JP2015194101A - 多気筒内燃機関のシリンダヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】多気筒内燃機関のシリンダヘッドにおいて、吸気側の冷却を的確に行う。【解決手段】冷却水は、吸気側に設けた複数の第2連通路13からヘッドジャケット(メインジャケット上層部11)に流入し、横向きに流れて排気側流路64から出口56に向かう。各気筒に対応してアイランド部46,47,49を有している。出口側に位置した第1アイランド部46をセンターアイランド部49と長手一側面肉部52とに連続させることで、冷却水を出口56と反対側に誘導するガイド壁部65を形成している。吸気側においてシリンダヘッド2に対する冷却水の接触性が高まることで、シリンダヘッド2の冷却性を向上できる。【選択図】図9
Description
本願発明は、多気筒内燃機関のシリンダヘッドに関するものである。
内燃機関のシリンダヘッドは冷却水で冷却されており、そこで、シリンダヘッドには、面的な広がりを持つ冷却水通路(ヘッドジャケット)が形成されている。そして、シリンダヘッドには、吸気弁や排気弁の弁軸、或いは燃料噴射ノズルや点火プラグが取り付けられており、これら弁軸や燃料噴射ノズル、点火プラグはシリンダヘッドの肉部に取り付けられている。
従って、多気筒内燃機関では、ヘッドジャケットには、弁軸や点火プラグ、燃料噴射ノズルを取り付けるための柱状や壁状のアイランド部(肉部)が各気筒に対応したエリアごとに配置されており、冷却水はこれらアイランド部も冷却しながら流れる。また、アイランド部はシリンダヘッドの強度メンバーとしても機能している。
そして、ヘッドジャケットの一例として、本願出願人の先願に係る特許文献1には、排気集合部を一体に設けたシリンダヘッドにおいて、クランク軸線方向(気筒列方向)に長いヘッドジャケットの一端部には冷却水入口を設けて他端部には冷却水出口を設けることで、ヘッドジャケットの内部を冷却水が一端から他端に向けて縦方向に流れるように設定しつつ、途中に狭窄部を設けて、排気出口の当たりで冷却水の流速を速めることで、シリンダヘッドのうち最も高温になる排気出口の当たりを効率的に冷却することが開示されている。
排気集合部を内蔵したシリンダヘッドでは、シリンダヘッドのうち排気側の部分は非常に高温になるため、特許文献1のように排気出口の当たりで流速を速めることは冷却性能において有益であるが、まだ、改善の余地が見られた。
すなわち、シリンダヘッドの冷却性能を高める(或いは暖機運転時に早期昇温させる)には、冷却水をヘッドジャケットの内面にしっかりと接触させて、シリンダヘッドから冷却水への熱交換を十分に行わせることが大事であるが、特許文献1では、冷却水の流れが良すぎて熱交換が不十分になるおそれがあった。
本願発明はかかる現状に鑑みなされたものであり、シリンダヘッドを効率よく冷却できるようにすること等を目的とするものである。
本願請求項1の発明は、長手一側面を吸気側として長手他側面を排気側としたシリンダヘッドの内部に形成されたヘッドジャケットに、当該ヘッドジャケットの底面と天井面とに繋がったアイランド部が複数の気筒ごとに形成されている構成において、まず、前記ヘッドジャケットは、前記アイランド部の群を挟んで前記長手他側面の側で気筒列方向に延びる排気側流路を有しており、前記排気側流路の一端は冷却水が排出される出口に連通している。
そして、前記各気筒に対応したアイランド部の群は、気筒の中央に位置する燃料噴射ノズル又は点火プラグが取り付くセンターアイランド部を有しており、前記センターアイランド部を挟んで前記長手一側面の側に、前記長手一側面の側から前記センターアイランド部に向かうに従って前記出口から遠ざかるように傾斜したガイド壁部を設けており、
更に、前記アイランド部の群の周囲のうちおおよそ前記長手一側面の側に寄った部位に、下方から冷却水が上がってくる冷却水供給口を、当該冷却水供給口から吐出された冷却水の一部が前記ガイド壁部に向かうようにして設けている。
更に、前記アイランド部の群の周囲のうちおおよそ前記長手一側面の側に寄った部位に、下方から冷却水が上がってくる冷却水供給口を、当該冷却水供給口から吐出された冷却水の一部が前記ガイド壁部に向かうようにして設けている。
本願は請求項2の発明も含んでおり、この発明は、請求項1において、前記ガイド壁部は前記センターアイランド部に繋がっており、このため、前記センターアイランド部も冷却水のガイド機能を果たしている。
更に本願発明は請求項3の発明も含んでおり、この発明は、前記ヘッドジャケットは下層部と上層部との2層構造になっており、前記上層部が請求項1又は2に記載した構成になっており、かつ、前記ガイド壁部に吸気弁軸が挿通されていると共に、前記ガイド壁部の下方にヘリカルポート方式の吸気ポートの一部が形成されている。
なお、本願発明の「アイランド部」は、完全に独立した状態でヘッドジャケットに存在している場合のみならず、シリンダヘッドの周囲を構成する肉部に繋がっている状態も含んでいる。
本願発明では、冷却水供給口からガイド壁部に向けて流れた冷却水は、ガイド壁部に導かれていったん冷却水供給口の側に戻るように流れ、それからガイド壁部を離れて排気側流路に向かい、排気側流路において出口に流れていく。このため、ヘッドジャケットのうち吸気側の部位での冷却水の滞留時間を長くして、シリンダヘッドから冷却水への熱交換をしっかりと行うことができる。
他方、冷却水は排気側流路に至ると速やかに出口に向かうため、排気側において冷却性能が悪化することはない。従って、シリンダヘッドの全体を効率よく冷却することができる。
また、ガイド壁部は傾斜しているため、ガイド壁部で囲われた部分に冷却水が滞留することはなくて、ガイド壁部もしっかりと冷却できる。このため、吸気弁軸が装着されている部分やセンターアイランド部も適切に冷却できる。
請求項2の構成を採用すると、冷却水がセンターアイランド部を舐めるようにして流れるため、センターアイランド部及びその内部に配置された燃料噴射ノズル又は点火プラグも適切に冷却できる。
さて、内燃機関では、燃焼室に気筒軸心回りのスワール流を形成することで燃料と空気との混合性を高めることが行われており、強いスワール流を形成するために、吸気ポートを、その終端部が渦巻き状になったヘリカルポートと成すことが行われている。このヘリカルポートは、クランク軸線方向から見て、始端から終端に向けて傾斜させることで吸気に強い旋回流を形成できるが、請求項3の構成を採用すると、ガイド壁部を利用することで、ヘリカルポートの傾斜を大きくすることができる。
つまり、ヘリカルポートを設ける部分は肉部でなければならないが、請求項3では、肉部であるガイド壁部の箇所にヘリカルポートを設けることで、ヘッドジャケットの上層部の容積を減らすことなくヘリカルポートを形成できるのであり、このため、冷却性を確保しつつ、燃焼室に強いスワール流を形成できる。
(1).内燃機関の概要
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、車両用内燃機関に適用している。まず、内燃機関の概要を図1の模式図に基づいて説明する。
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、車両用内燃機関に適用している。まず、内燃機関の概要を図1の模式図に基づいて説明する。
本願では、図面に関して正面視(正面図)・側面視(側面図)の文言を使用するが、正面視はクランク軸線方向から見た状態であり、側面視は、クランク軸線方向及び気筒軸線と直交した方向から見た状態である。前後方向はクランク軸線方向(シリンダヘッドの長手方向)であり、左右方向は、クランク軸線及び気筒軸線と直交した方向(シリンダヘッドの短手方向)である。上下に関しては、シリンダブロックからシリンダヘッドを向いた方向を上として定義している(従って、スラント型内燃機関の場合は、上下方向が必ずしも鉛直方向でない場合がある。)。
内燃機関は、機関本体の中核としてシリンダブロック1とその上面に固定されたシリンダヘッド2とを備えており、シリンダヘッド1の上面にはシリンダヘッドカバー3が固定されて、シリンダブロック1の下面にはオイルパン4が固定されている。シリンダブロック1及びシリンダヘッド2の一端面1a,2aには、タイミングチェーン(図示せず)を覆うフロントカバー(チェーンカバー、チェーンケース)5がボルトで固定されている。なお、タイミングチェーンは動力伝達手段と同義であり、タイミングギアやタイミングベルトも含んでいる。
シリンダブロック1には、シリンダヘッド2に向けて上向き開口したとブロックジャケット6が形成されており、シリンダヘッド2の内部にもヘッドジャケット7が形成されている。本実施形態の特徴として、ヘッドジャケット7は、フロントカバー5に近接して設けた先行ジャケット8と、概ねブロックジャケット6の上に位置したメインジャケット9とに分離構成されており、更に、メインジャケット9は、メインジャケット下層部10とメインジャケット上層部11とに分離されている。
先行ジャケット8は、メインジャケット下層部10と1つの第1連通路12で連通しており、メインジャケット下層部10とメインジャケット上層部11とは複数の第2連通路13で連通しており、メインジャケット下層部10とブロックジャケット6とは複数の第3連通路14で連通している。第3連通路14は、請求項に記載した冷却水供給口に相当する。
そして、シリンダブロック1のうち一端面1a寄りの部位には、先行ジャケット8に連通した上下長手のヘッド行き送水路16が上向きに開口するように形成されている。また、ヘッド行き送水路16を挟んでフロントカバー5と反対側の部位には、ブロックジャケット6に連通したブロック行き送水口17が形成されている。
ヘッド行き送水路16及びブロック行き送水口17には、ウォータポンプ19から冷却水が圧送される。ウォータポンプ19は、ハウジングの内部にインペラーを設けた構成であり、クランク軸20に設けたクランクプーリ21でベルト22を介して駆動される。ヘッド行き送水路16には第1制御弁23を設け、ブロック行き送水口17とウォータポンプ19との間には第1制御弁24を設けている。
両制御弁23,24は切り換え手段の例であり、その制御態様としては、通水と非通水状態とを単純に切り換えるだけでもよいし、水温に応じて通水量を調節してもよい。他方の制御弁は流量制御方式として、他方の制御弁は単純な開閉方式とすることも可能である。
シリンダヘッド2の周囲のうち、例えばフロントカバー5と反対側の他端面2bの近くの箇所に、サーモ弁を備えた分配装置25が配置されている(分配装置25は、シリンダヘッド2に一体化(内蔵)してもよい。)。メインジャケット上層部11の終端に出口管26が接続されており、出口管26から、ヒータ行き管27とラジェーター行き管28とポンプ戻り管29が分岐している。
ヒータ行き管27は、EGRクーラ30を経由して車内暖房用ヒータコア31に接続されており、ヒータコア31の出口ポートに接続されたヒータ戻り管32は、オイルクーラ33を経由して分配装置25に接続されている。他方、ラジェーター行き管28はラジェーター34に接続されており、ラジェーター34の出口ポートに接続されたラジェーター戻り管35は分配装置25に接続されている。更に、ポンプ戻り管29は、EGRバルブ36を経由して分配装置25に接続され、更に、ポンプ戻り管29は分配装置25を経由してウォータポンプ19の吸水口に接続されている。
本実施形態において、コールドスタート時のように冷却水の温度が所定以上に昇温していない状態では、第1制御弁23が開いて第2制御弁24が閉じていることにより、冷却水はブロックジャケット6には流れずに、ヘッドジャケット7の先行ジャケット8に流れる。
図2に示すように、冷却水が先行ジャケット8に流入している状態では、冷却水は、先行ジャケット8から第1連路12を経由してメインジャケット下層部10に至り、メインジャケット下層部10をまんべんなく流れてからメインジャケット上層部11に至る。
従って、暖機運転中は少ない量の冷却水が機関を素早く循環する。これにより、冷却水を早く循環させて早期昇温した冷却水をヒータコア31に送水できると共に、機関の過冷却を防止して早期暖機を実現できる。なお、敢えて述べるまでもないが、低温状態では冷却水はラジェーター32にも流れず、ヒータコア31等を経由してポンプ戻り管29よりウォータポンプ19にリターンする。すなわち、冷却水の一部が循環するだけである。
両制御弁23,24は、例えば分配装置25の近くに設けている水温センサからの信号に基づき、制御装置の一例としてのECU(エンジン・コントロール・ユニット)によって開閉が制御される(分配装置25に設けた感温部で作動するセンサ(リミットスイッチ)を設けて、このセンサによって制御弁23,24をON・OFFさせることも可能である。)。
すなわち、冷却水の温度が所定温度(例えば、ラジェーター34を循環するほどの温度)以上に昇温すると、第1制御弁23は閉じて第2制御弁24が開く。従って、冷却水はブロックジャケット6を流れてから、第3連通路14を経由してヘッドジャケット7のメインジャケット下層部10に流入し、メインジャケット下層部10をまんべんなく巡ってから、第2連通路13を経由してメインジャケット上層部11に至り、メインジャケット上層部11を巡ってから出口管26に排出される。
従って、暖機運転終了後のように機関温度が高い状態では、冷却水は先行ジャケット8には流れず、ブロックジャケット6から、ヘッドジャケット7のメインジャケット9に流れて出口管26に排出される。敢えて述べるまでもないが、冷却水がブロックジャケット6に流れている状態では、冷却水はラジェーター34にも流れている。
なお、暖機運転終了後も冷却水の一部を先行ジャケット8に流すことは可能であるが、先行ジャケット8に通水させるとメインジャケット下層部10の冷却能力が低下するため、シリンダヘッド2の冷却性の点からあまり好ましくない。水温に応じて、先行ジャケット8への通水とブロックジャケット6への通水を同時に行うことは可能である。
(2).冷却系統の具体的な構造
次に、冷却系統(特にヘッドジャケット7)の具体的な構造を、図3以下の図面も参照して説明する。本実施形態の内燃機関は3気筒であり、そこで、図4から理解できるように、ブロックジャケット6は3つの気筒を囲う形態になっており、シリンダブロック1の一端面1aの側において隣り合った2つの吸気ポートの間の部位に、ブロック行き送水口17を設けている。図3のとおり、ブロック行き送水口17は上下に長い形態になっており、図1に示した第2制御弁24は、例えばブロック行き送水口17の始端に設けている。
次に、冷却系統(特にヘッドジャケット7)の具体的な構造を、図3以下の図面も参照して説明する。本実施形態の内燃機関は3気筒であり、そこで、図4から理解できるように、ブロックジャケット6は3つの気筒を囲う形態になっており、シリンダブロック1の一端面1aの側において隣り合った2つの吸気ポートの間の部位に、ブロック行き送水口17を設けている。図3のとおり、ブロック行き送水口17は上下に長い形態になっており、図1に示した第2制御弁24は、例えばブロック行き送水口17の始端に設けている。
例えば図4に示すように(図5,8も参照)、ブロックジャケット6のうち、ヘッド行き送水路16及びブロック行き送水口17と反対側の部位に、5つの第3連通路14を設けている。図3及び図5とから理解できるように、ヘッド行き送水路16は、シリンダブロック1のうち、ブロック行き送水口17よりもフロントカバー5に寄った位置に設けており、上下長手の形態を成している。図1に示した第1制御弁23は、シリンダブロック1に埋め込むことが可能である。
図3から理解できるように、ヘッド行き送水路16はブロックジャケット6の外側に位置しており、シリンダブロック1のコーナー寄りに配置している(従って、端のシリンダボアから遠のいた位置に設けている。)。
図3,4,6では、ポンプ戻り管29に接続されてヘッド行き送水路16及びブロック行き送水口17に連通した流路38を表示しているが、この流路38はウォータポンプ19の内部に形成されている。従って、流路38はウォータポンプ19の一部を成すものである。そして、流路38は、クランク軸線39の方向に長い上水平部38aを有しており、上水平部38aに設けた2つの吐出穴が、それぞれヘッド行き送水路16とブロック行き送水口17とに連通している。従って、ヘッド行き送水路16とブロック行き送水口17とは、シリンダブロック1の一側面と上面とに開口している。
ウォータポンプ19に1本の吐出口を設けて、3方弁の2つの出口ポートに、ヘッド行き送水路16とブロック行き送水口17とを接続してもよい。この場合は、制御弁は1つになるので構造が簡単になる。
図3や図5等に明示するように、ヘッドジャケット7を構成する先行ジャケット8は、フロントカバー5に近接した部位に位置して、クランク軸線39と直交した短手方向40に細長い形態になっており、先行ジャケット8のうち、シリンダヘッド2の長手一側面2bの側の冷却水入口8aに、ヘッド行き送水路16を連通させている。
図9に示すように、シリンダヘッド2の長手一側面2bには、1つの気筒に対応して2つずつの吸気ポート41が開口していると共に、吸気マニホールド36(図8参照)が固定されている(図8の符号36′はサージタンクである。)。更に、シリンダヘッド2には、吸気ポート41の開口端を開閉する吸気弁の弁軸42が摺動自在に装着されている。また、シリンダヘッド2には、排気ポートの開口端を開閉する吸気弁の弁軸43が摺動自在に装着されている。なお、図9では、吸気ポート41とメインジャケット上層部11とを連通した状態に描いているが、これは両者の重なり関係を表示するための便宜的な措置であり、実際には、図10(A)に示すように、両者は壁で仕切られている。
本実施形態の吸気ポート41は、吸気を弁軸42の軸心回りに旋回させて燃焼室にスワール流を発生させるヘリカルポートになっている。吸気ポート41の終端部は巻き構造になっていると共に、平断面視で、クランク軸線39と直交した線に対して傾斜させている。
また、本実施形態では、図8に模式的に線のみで示すように、排気ポート44はシリンダヘッド2の内部において1つの排気集合通路45に集合しており、従って、シリンダヘッド2の長手他側面2cには1つの排気穴が空いているだけである。また、内部に集合通路45を設けているため、シリンダヘッド2は長手他側面2cの側が厚くなっている。
図9に示すように、メインジャケット上層部11の箇所には、吸気弁の弁軸42が嵌まっている第1アイランド部46と、排気弁の弁軸43が嵌まっている第2アイランド部47とが、メインジャケット9を上下に貫通した状態に形成されている。なお、実際には弁軸42,43はガイド筒にスライド自在に嵌まっているが、ガイド筒は省略している。
更に、シリンダヘッド2に、燃料噴射ノズル(又は点火プラク)48を取り付けるためのセンターアイランド部49がメインジャケット7を上下に貫通する状態(柱状の状態)で形成されており、一対の第1アイランド部46のうち出口56の側の第1アイランド部46とセンターアイランド49とは、一体に繋がっている。他方、第2アイランド部45はそれぞれ独立している。
シリンダヘッド2は、気筒列を挟んだ両側において、左右4本ずつのヘッドボルト50でシリンダブロック1に締結されている。8本のヘッドボルト50のうち吸気側の4本は、シリンダヘッド2の長手一側面2bを構成する長手一側肉部51に貫通しており、排気側の3本のヘッドボルト50は、一端面2aと反対側に位置した1本を除いて、ヘッドジャケット7を貫通した第3アイランド部52に貫通している。
メインジャケット上層部11では、先行ジャケット8とメインジャケット上層部11とは、端に位置した第3アイランド部52と長手一側肉部51とを繋ぐ壁部53で仕切られている。また、先行ジャケット8から離れた2つの第3アイランド部52の間には、第1補助アイランド部54が形成されている。
図8に示すように、メインジャケット下層部10では、一対の吸気弁軸42に対応した2つの第1アイランド部46とセンターアイランド部47とが集合アイランド部55に一体化している。また、メインジャケット下層部10では、前後中央部の第3アイランド部52と出口56の側に位置した1つの第3アイランド部52とに、吸気側に向けて延びる横向き延長部52aと、先行ジャケット8の側に延びる縦向き延長部52bとを一体に設けている。このため、メインジャケット下層部10では、2つの第3アイランド部52が略L形を成している。
図8では、第2連通路13は網かけ表示で位置を明示している。他方、第3連通路14はドット表示で位置を明示している。この図8に示すように、第3連通路14は排気側に寄せて、第2連通路13は吸気側に寄せている。従って、ブロックジャケット6からメインジャケット下層部10に上がってきた冷却水は、基本的には第2連通路13に向かう横向きの流れになっている。先行ジャケット8と反対側に位置した2つの第3連通路14の間には、第2補助アイランド部57を設けている。
メインジャケット下層部10のうち長手他側面2cの側の部分は、クランク軸線39方向(気筒列方向)に長い排気側流路60になっている。従って、シリンダヘッド2に排気集合通路45を設けたことでシリンダヘッド2が排気側で非常な高温になっても、的確に冷却できる。
他方、メインジャケット9のうち長手一側面2bの側の部分も、クランク軸線39方向に長い吸気側流路61になっており、吸気側流路61を集合アイランド部55に箇所で長手一側面2bの側に膨らませることでバッファ部58を設けている。バッファ部58の存在により、吸気側流路61における冷却水の流れを良くすることができる。
第3アイランド部52に縦向き延長部52bを設けたことで、中央部の気筒と先行ジャケット8の側の気筒とに対応した2つのエリアは排気側流路60に対して大きく遮られた状態になっており、かつ、第3アイランド部52に横向き延長部52aを設けたことで、隣り合った2つの気筒に対応したエリアの間に、排気側流路60と吸気側流路61とに連通した横向き流路62が形成されている。
横向き流路62は、端に位置した気筒に対応したエリアの外側にも存在している。従って、アイランド部の群は、排気側流路60と吸気側流路61と端の横向き流路62とでぐるりと囲われており、かつ、隣り合ったエリアの間では、排気側流路60と吸気側流路61とが中間の横向き流路62で繋がっている。
(3).メインジャケット上層部の特徴
図9においても、第2連通路13は網かけ表示している。そして、第2連通路13は吸気側に寄っているので、メインジャケット上層部11に上がった冷却水は、基本的には排気側に向けて横向きに流れ、それから縦向きに流れを変えて出口56に向かうことになる。そこで、メインジャケット上層部11には、冷却水が先行ジャケット8の側から出口56に向けて流れる排気側流路64が形成されている。
図9においても、第2連通路13は網かけ表示している。そして、第2連通路13は吸気側に寄っているので、メインジャケット上層部11に上がった冷却水は、基本的には排気側に向けて横向きに流れ、それから縦向きに流れを変えて出口56に向かうことになる。そこで、メインジャケット上層部11には、冷却水が先行ジャケット8の側から出口56に向けて流れる排気側流路64が形成されている。
そして、メインジャケット上層部11では、各気筒に対応した各エリアにおいて、出口側に位置した1つの第1アイランド部46を、長手一側肉部51とセンターアイランド部49とに連続させることで、長手一側面肉部51からメインジャケット上層部11の内部に向けて突出したガイド壁部65を形成しており、更に、ガイド壁部65を挟んで出口46と反対側の部位には、長手一側肉部51に入り込んだ湾状部59が形成されている。
つまり、1つの第1アイランド部46とセンターアイランド部49とを中核としてガイド壁部65が形成されており、ガイド壁部65を挟んで出口56と反対側の部位に湾状部59が形成されている。そして、既述のとおり、隣り合った気筒間の間でかつ吸気側には、冷却水供給口としての第2連通路13が空いており、また、出口56から遠い気筒の箇所では、第2連通路13はエリアを挟んで出口56と反対側に位置している。
このため、冷却水の一部は、いったん湾状部59に入り込んでから、ガイド壁部65に導かれて、リターンするようにして排気側流路64に向かい、排気側流路64では速やかに出口56に向かう。このように、冷却水が湾状部59に入り込むことで、冷却水が吸気側においてシリンダヘッド2に接触する面積か大きくなるため、吸気側においてもしっかりと冷却できる。
また、冷却水は、ガイド壁部65を構成していない第1アイランド部46やセンターアイランド部49、第2アイランド部47、第3アイランド部52も舐めるようにして流れるため、全体としてシリンダヘッド2をくまなく冷却できる。更に、ガイド壁部65が傾斜していることにより、当該ガイド壁部65よりも出口56の側に位置した第2連通路13から吐出した冷却水は、ガイド壁部65に沿って出口56と反対側に流れるようにもガイドされるため、冷却水をメインジャケット上層部11にくまなく流す機能が一層向上する。
既述のとおり、吸気ポート41はヘリカルポートになっているが、本実施形態の特徴として、各気筒に対応した一対の吸気ポート41のうち出口56の側に位置した一方の吸気ポート41は、ガイド壁部65の箇所に形成している。つまり、吸気ポート41はヘリカルポートの肉部の箇所に形成されるが、肉部であるガイド壁部65を利用して一方のヘリカルポート式吸気ポート41を形成している。
ヘリカルポート式吸気ポート41の終端部は、既述のとおり、図10(B)に示すような渦巻き室66になっており、吸気を吸気弁軸42の軸心回りに旋回する旋回流となすことにより、燃焼室(気筒)67に強いスワール流67を形成することができる。
図11に示すように、吸気ポート41は、始端から終端に向けて低くなるように水平面に対して傾斜しており、傾斜角度θを大きくするほど吸気の充填性能は向上するが、本願発明では、肉部であるガイド壁部65を利用して一方の吸気ポート41を形成しているため、重量増大やメインジャケット上層部11の容量減少を招来することなく吸気ポート41の傾斜角度θを大きくして、強いスワール流の形成に貢献できるのである。
他方の吸気ポート41は、長手一側肉部51から内向き突出した部分に形成している。従って、2つの吸気ポート41の間に湾状部59が形成されている。なお、ガイド壁部65に形成されていない他方の吸気ポート41の傾斜角度θは、一方の吸気ポート41よりも寝かせることが好ましい。
本願発明は、上記の他にも様々に具体化できる。例えば、3気筒のみならず、2気筒又は4気筒以上の内燃機関にも適用できることはいうまでもない。ガイド壁部は、必ずしも第1アイランド部やセンターアイランド部に連続させる必要はない。
本願発明は、内燃機関のシリンダヘッドに具体化できる。従って、産業上利用できる。
1 シリンダブロック
2 シリンダヘッド
6 ブロックジャケット
7 ヘッドジャケット
8 先行ジャケット
8a 先行ジャケットの冷却水入口
9 メインジャケット
10 メインジャケット下層部
11 メインジャケット上層部
12 第1連通路
13 第2連通路(冷却水供給口)
14 第3連通路
19 ウォータポンプ
41 ヘリカルポート方式の吸気ポート
42 吸気弁軸
43 排気弁軸
46 吸気弁軸が挿通された第1アイランド部
48 燃料噴射ノズル
49 燃料噴射ノズルが装着されたセンターアイランド部
56 メインジャケット上層部(ヘッドジャケット)の出口
59 湾状部
64 排気側流路
65 ガイド壁部
2 シリンダヘッド
6 ブロックジャケット
7 ヘッドジャケット
8 先行ジャケット
8a 先行ジャケットの冷却水入口
9 メインジャケット
10 メインジャケット下層部
11 メインジャケット上層部
12 第1連通路
13 第2連通路(冷却水供給口)
14 第3連通路
19 ウォータポンプ
41 ヘリカルポート方式の吸気ポート
42 吸気弁軸
43 排気弁軸
46 吸気弁軸が挿通された第1アイランド部
48 燃料噴射ノズル
49 燃料噴射ノズルが装着されたセンターアイランド部
56 メインジャケット上層部(ヘッドジャケット)の出口
59 湾状部
64 排気側流路
65 ガイド壁部
Claims (3)
- 長手一側面を吸気側として長手他側面を排気側としたシリンダヘッドの内部に形成されたヘッドジャケットに、当該ヘッドジャケットの底面と天井面とに繋がったアイランド部が複数の気筒ごとに形成されている構成であって、
前記ヘッドジャケットは、前記アイランド部の群を挟んで前記長手他側面の側で気筒列方向に延びる排気側流路を有しており、前記排気側流路の一端は冷却水が排出される出口に連通している一方、
前記各気筒に対応したアイランド部の群は、気筒の中央に位置する燃料噴射ノズル又は点火プラグが取り付くセンターアイランド部を有しており、前記センターアイランド部を挟んで前記長手一側面の側に、前記長手一側面の側から前記センターアイランド部に向かうに従って前記出口から遠ざかるように傾斜したガイド壁部を設けており、
更に、前記アイランド部の群の周囲のうちおおよそ前記長手一側面の側に寄った部位に、下方から冷却水が上がってくる冷却水供給口を、当該冷却水供給口から吐出された冷却水の一部が前記ガイド壁部に向かうようにして設けている、
多気筒内燃機関のシリンダヘッド。 - 前記ガイド壁部は前記センターアイランド部に繋がっており、このため、前記センターアイランド部も冷却水のガイド機能を果たしている、
請求項1に記載した多気筒内燃機関のシリンダヘッド。 - 前記ヘッドジャケットは下層部と上層部との2層構造になっており、前記上層部が請求項1又は2に記載した構成になっており、かつ、前記ガイド壁部に吸気弁軸が挿通されていると共に、前記ガイド壁部の下方にヘリカルポート方式の吸気ポートの一部が形成されている、
請求項1又は2に記載した多気筒内燃機関のシリンダヘッド。
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2014
- 2014-03-31 JP JP2014071632A patent/JP2015194101A/ja active Pending
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