JP2015190163A - 免震基礎の構築方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ベースプレートのアンカー筋が長くても、容易に免震基礎にベースプレートを打ち込むことができる免震基礎の構築方法を提供すること。
【解決手段】免震基礎の構築方法は、建物3のマットスラブ5上に、下側ベースプレート30が打ち込まれた免震基礎1を構築する。下側ベースプレート30には、アンカー筋33が取り付けられる。この免震基礎の構築方法は、マットスラブ5を構築する前に、マットスラブ5の底面の捨てコンクリート6上に架台60を建て込むステップS1と、架台60にマットスラブ5のスラブ上端筋51および免震基礎1の補強筋20を仮固定するステップS2と、マットスラブ5および免震基礎1のコンクリートを打設するステップS3〜S5と、を備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、構造物の基礎上に、ベースプレートが打ち込まれた免震基礎を構築する方法に関する。
従来より、スラブの上に免震基礎を構築し、この免震基礎の上に免震装置を設置する場合がある(特許文献1参照)。
具体的には、スラブおよび免震基礎は、鉄筋コンクリート造であり、この免震基礎には、アンカー筋が取り付けられたベースプレートが打ち込まれる。免震装置は、この免震基礎のベースプレート上に設置される。
以上の免震基礎の施工手順は、例えば、以下のようになる。
まず、スラブを配筋して、このスラブのコンクリートを打設する。次に、スラブ上に、免震基礎を配筋し、この免震基礎の上端部に、アンカー筋を取り付けたベースプレートを設置し、この状態で、免震基礎の高流動コンクリートを打設する。
ところで、アンカー筋の長さが免震基礎の高さ寸法よりも長く、アンカー筋の下端部をスラブの内部に打ち込む必要が生じる場合がある。この場合、スラブを構築した後にベースプレートを設置することはできないので、免震基礎の施工手順は、例えば、以下のようになる。
まず、スラブを配筋する。
次に、免震基礎を配筋して、ベースプレートを設置する。ここで、ベースプレートの水平面内での位置は決定しているので、ベースプレートのアンカー筋とマットスラブの主筋とが干渉する場合には、マットスラブの鉄筋をずらして、ベースプレートを設置する。
その後、マットスラブおよび免震基礎のコンクリートを打設する。
特許第5341783号公報
しかしながら、以上の施工方法では、ベースプレートを設置する際に、スラブの鉄筋をずらす作業が生じる。免震装置を支持するスラブは、マットスラブのように太径の鉄筋を用いることが多いため、このスラブの鉄筋をずらす作業に手間がかかる、という問題があった。
本発明は、ベースプレートのアンカー筋が長くても、容易に免震基礎にベースプレートを打ち込むことができる免震基礎の構築方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の免震基礎の構築方法は、構造物(例えば、後述の建物3)の基礎(例えば、後述のマットスラブ5)上に、ベースプレート(例えば、後述の下側ベースプレート30)が打ち込まれた免震基礎(例えば、後述の免震基礎1)を構築する方法であって、前記ベースプレートには、アンカー筋(例えば、後述のアンカー筋33)が取り付けられ、前記基礎を構築する前に、当該基礎の底面(例えば、後述の捨てコンクリート6)上に架台(例えば、後述の架台60)を建て込む工程(例えば、後述のステップS1)と、当該架台に前記基礎の鉄筋(例えば、後述のスラブ上端筋51)および前記免震基礎の鉄筋(例えば、後述の補強筋20)を仮固定する工程(例えば、後述のステップS2)と、
前記基礎および免震基礎のコンクリートを打設する工程(例えば、後述のステップS3〜S5)と、を備えることを特徴とする。
請求項2に記載の免震基礎の構築方法は、前記架台は、前記基礎の底面上に立設けられた複数の鉛直部材(例えば、後述の鉛直部材61)と、当該鉛直部材同士を連結する水平部材(例えば、後述の水平部材62)と、前記水平部材に設けられて前記基礎の鉄筋を位置決めする位置決め鉄筋(例えば、後述の位置決め鉄筋63)と、を備えることを特徴とする。
請求項3に記載の免震基礎の構築方法は、前記基礎および免震基礎のコンクリートを打設する工程は、前記基礎のうち前記免震基礎が取り付く部分を基礎欠き込み部(例えば、後述の欠き込み部7)とし、当該基礎欠き込み部を除いて前記基礎のコンクリートを打設する工程(例えば、後述のステップS3)と、前記基礎欠き込み部のコンクリート表面に高さ調整治具(例えば、後述の高さ調整治具70)を設けて、当該高さ調整治具により、アンカー筋を取り付けたベースプレートの高さを調整して支持する工程(例えば、後述のステップS4)と、前記基礎欠き込み部および免震基礎のコンクリートを打設する工程(例えば、後述のステップS5)と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、まず、基礎の底面上に架台を建て込んで、この架台に基礎の鉄筋および免震基礎の鉄筋を仮固定する。このとき、架台には、位置決め鉄筋を取り付けておき、この位置決め鉄筋をガイドとして、基礎の鉄筋を配筋する。
次に、基礎のうち免震基礎が取り付く部分を基礎欠き込み部とし、この基礎欠き込み部を除いて基礎のコンクリートを打設する。
次に、基礎欠き込み部のコンクリート表面に、アンカー筋を取り付けたベースプレートを設置する。このとき、高さ調整治具でベースプレートの高さ位置を調整する。
そして、基礎欠き込み部および免震基礎のコンクリートを打設する。
ここで、ガイドとなる位置決め鉄筋の位置は、基礎の鉄筋がベースプレートのアンカー筋に干渉しないように、ベースプレートの設計図などに基づいて決定する。具体的には、ベースプレートのアンカー筋の位置を架台に墨出しして、このアンカー筋の位置を避けて基礎の鉄筋が配筋されるように、位置決め鉄筋の位置を決定する。
したがって、この位置決め鉄筋をガイドとして基礎の鉄筋を配筋することで、基礎の鉄筋をベースプレートのアンカー筋に干渉しない位置に配筋できるから、従来のように基礎の鉄筋をずらす必要がなくなり、ベースプレートのアンカー筋が長くても、容易に免震基礎にベースプレートを打ち込むことができる。
また、基礎欠き込み部を除いて基礎のコンクリートを打設し、この基礎欠き込み部のコンクリート表面に高さ調整治具を設けて、この高さ調整治具により、ベースプレートの高さを調整して位置決めする。よって、ベースプレートの高さ位置を高精度で位置決めできる。
本発明の一実施形態に係る免震基礎の構築方法により構築される免震基礎1の縦断面図である。 図1のA−A断面図である。 前記実施形態に係る免震基礎の構築方法のフローチャートである。 前記実施形態に係る免震基礎の構築方法の手順を説明するための図(その1)である。 前記実施形態に係る免震基礎の構築方法の手順を説明するための図(その2)である。 前記実施形態に係る免震基礎の構築方法の手順を説明するための図(その3)である。 前記実施形態に係る免震基礎の構築方法に用いられる高さ調整治具の斜視図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る免震基礎の構築方法により構築される免震基礎1の縦断面図である。図2は、図1のA−A断面図である。なお、図1では、理解の容易のため、位置決め鉄筋63の表示を省略している。
免震基礎1は、免震装置10を介して基礎2で建物3を支持する免震構造に用いられる。基礎2は、杭4と、この杭4の杭頭部に設けられたマットスラブ5と、を備える。
免震基礎1は、鉄筋コンクリート造であり、マットスラブ5の上に設けられて、杭4の直上に位置している。
免震装置10は、免震基礎1の上に設置される。この免震装置10は、下側のフランジ11と、この下側のフランジ11の上に設けられた積層ゴム12と、この積層ゴム12の上に設けられた上側のフランジ13と、を備える。
積層ゴム12は、鋼板とゴムとが交互に積層されたものである。
上下のフランジ11、13には、周縁部に沿って所定間隔おきに、ボルトを挿通するためのボルト挿通孔が設けられている。
免震基礎1には、補強筋20が籠状に配筋されている。
また、免震基礎1の上面には、矩形状の下側ベースプレート30が打ち込まれている。この下側ベースプレート30の中央部には、コンクリート打設用の貫通孔31が形成されるとともに、下側ベースプレート30の周縁部には、貫通孔31を中心とする円環状の所定間隔おきに、雌ねじ部32が設けられている。この雌ねじ部32の下端には、下方に延びるアンカー筋33が取り付けられている。
また、下側ベースプレート30の下面の所定位置には、スタッドボルト34が打設されている。
建物3の下面には、上側ベースプレート40が打ち込まれているが、この上側ベースプレート40は、下側ベースプレート30と略同一の構造である。
上述の免震装置10の下側のフランジ11は、下側ベースプレート30の上に載置される。この状態で、下側のフランジ11のボルト挿通孔にボルト16を挿通して、このボルト16を下側ベースプレート30の雌ねじ部32に締め付けて固定する。これにより、免震装置10が免震基礎1に接合される。
また、免震装置の上側のフランジ13は、フランジ11と同一の構造であり、ボルト17により、上側ベースプレート40に固定される。
マットスラブ5には、スラブ下端筋50およびスラブ上端筋51が配筋されている。
スラブ下端筋50は、格子状にシングル配筋されており、スラブ上端筋51は、格子状にダブル配筋されている。
また、以上のマットスラブ5および免震基礎1には、架台60が打ち込まれている。
架台60は、マットスラブ5の底面の捨てコンクリート6の上に立設けられた複数の鉛直部材61と、これら鉛直部材61の頂部同士を連結して水平に延びる水平部材62と、水平部材62に設けられてマットスラブ5のスラブ上端筋51を位置決めする複数本の位置決め鉄筋63と、鉛直部材61同士を連結して斜めに延びるブレース64と、捨てコンクリート6から斜めに延びて鉛直部材61に連結される控え65と、を備える(図4、5参照)。
鉛直部材61、水平部材62、ブレース64、控え65は、山形鋼からなる。
位置決め鉄筋63は、スラブ上端筋51を配筋するためのガイドとなるものである。この位置決め鉄筋63は、図4および図5にも示すように、略鉛直に延びており、水平部材62の所定位置に溶接固定されている。これら位置決め鉄筋63の位置は、スラブ上端筋51が下側ベースプレート30のアンカー筋33およびスタッドボルト34に干渉しないように、下側ベースプレート30の設計図や配置図に基づいて決定する。具体的には、下側ベースプレート30のアンカー筋33の位置を架台に墨出しして、このアンカー筋33の位置を避けてスラブ上端筋51が配筋されるように、位置決め鉄筋63の位置を決定する。
以下、免震基礎1を構築する手順について、図3のフローチャートを参照しながら説明する。
まず、マットスラブ5を構築するための捨てコンクリート6が打設された状態とする。この捨てコンクリート6は、マットスラブ5の底面となる。
ステップS1では、図4に示すように、捨てコンクリート6の上に架台60を建て込む。
ステップS2では、図5に示すように、マットスラブ5および免震基礎1を配筋する。
具体的には、マットスラブ5のスラブ下端筋50、マットスラブ5のスラブ上端筋51、免震基礎1の補強筋20の順に下側の鉄筋から配筋する。
このとき、スラブ上端筋51および補強筋20は、架台60に仮固定する。
また、マットスラブ5のスラブ上端筋51は、架台60の位置決め鉄筋63をガイドとして、この位置決め鉄筋63の側面に当接するように配筋する。
ステップS3では、図5中の破線で示すように、マットスラブ5のうち免震基礎1が取り付く部分を欠き込み部7とし、この欠き込み部7を除いてマットスラブ5のコンクリートを打設する。
ステップS4では、図6に示すように、アンカー筋33を取り付けた下側ベースプレート30を設置する。
具体的には、欠き込み部7のコンクリート表面に高さ調整治具70を設ける。
図7は、高さ調整治具70の斜視図である。
高さ調整治具70は、治具本体71と、鉛直方向に延びて治具本体71に螺合されたボルト72と、欠き込み部7に打ち込まれたアンカー74から治具本体71を支持する控え73と、を備える。ボルト72は、上端でベースプレート30を支持しており、このボルト72を回転させて、このボルト72の治具本体71からの突出寸法を調整することで、ベースプレート30の高さ位置を調整する。
ステップS5では、欠き込み部7および免震基礎1に高流動コンクリートを打設する。
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)位置決め鉄筋63をガイドとして、マットスラブ5のスラブ上端筋51を配筋することで、マットスラブ5のスラブ上端筋51を下側ベースプレート30のアンカー筋33に干渉しない位置に配筋できるから、従来のように基礎の鉄筋をずらす必要がなくなり、下側ベースプレート30のアンカー筋33が長くても、容易に免震基礎1に下側ベースプレート30を打ち込むことができる。
(1)欠き込み部7を除いてマットスラブ5のコンクリートを打設し、この欠き込み部7のコンクリート表面に高さ調整治具70を設けて、この高さ調整治具70により、下側ベースプレート30の高さを調整して位置決めする。よって、下側ベースプレート30の高さ位置を高精度で位置決めできる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
1…免震基礎
2…基礎
3…建物
4…杭
5…マットスラブ
6…捨てコンクリート
7…欠き込み部
10…免震装置
11、13…フランジ
12…積層ゴム
16、17…ボルト
20…補強筋
30…下側ベースプレート
31…貫通孔
32…雌ねじ部
33…アンカー筋
34…スタッドボルト
40…上側ベースプレート
50…スラブ下端筋
51…スラブ上端筋
60…架台
61…鉛直部材
62…水平部材
63…位置決め鉄筋
64…ブレース
65…控え
70…調整治具
71…治具本体
72…ボルト
73…控え
74…アンカー

Claims (3)

  1. 構造物の基礎上に、ベースプレートが打ち込まれた免震基礎を構築する方法であって、
    前記ベースプレートには、アンカー筋が取り付けられ、
    前記基礎を構築する前に、当該基礎の底面上に架台を建て込む工程と、
    当該架台に前記基礎の鉄筋および前記免震基礎の鉄筋を仮固定する工程と、
    前記基礎および免震基礎のコンクリートを打設する工程と、を備えることを特徴とする免震基礎の構築方法。
  2. 前記架台は、前記基礎の底面上に立設けられた複数の鉛直部材と、
    当該鉛直部材同士を連結する水平部材と、
    前記水平部材に設けられて前記基礎の鉄筋を位置決めする位置決め鉄筋と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の免震基礎の構築方法。
  3. 前記基礎および免震基礎のコンクリートを打設する工程は、
    前記基礎のうち前記免震基礎が取り付く部分を基礎欠き込み部とし、当該基礎欠き込み部を除いて前記基礎のコンクリートを打設する工程と、
    前記基礎欠き込み部のコンクリート表面に高さ調整治具を設けて、当該高さ調整治具により、アンカー筋を取り付けたベースプレートの高さを調整して支持する工程と、
    前記基礎欠き込み部および免震基礎のコンクリートを打設する工程と、を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の免震基礎の構築方法。
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