JP2015189516A - 容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】合成樹脂材料にパール顔料などを混合することなくパール光沢が得られ、衝撃強度が高く、製造が容易でかつ製造費用を削減できる容器を提供する。
【解決手段】合成樹脂材料を射出成形することにより形成されたプリフォームを二軸延伸ブロー成形してなる合成樹脂複合体からなる容器であって、合成樹脂複合体は、海部分がポリエチレンテレフタレートからなり、島部分がポリプロピレンからなる海島構造をなし、島部分の長さは1.0μm以上、島部分の長さに対する幅の比は0.4以下である容器1。
【選択図】図1

Description

本発明は、容器に関するものである。
従来、壁体内に雲母系またはチタン系等のパール顔料を添加することにより、パール状の光沢(パール光沢)を具備した容器が知られている。しかし、パール顔料を用いると、内容物の視認性が損なわれることがあるため、パール顔料を用いずに、容器にパール光沢を発現させることが望まれていた。
そこで、例えば、ほぼ大きさが等しいポリエチレンナフタレート(PEN)系のペレットとポリエチレンテレフタレート(PET)系のペレットとを、40:60〜60:40の質量比で混合した混合ペレットを用いて、ダイレクトブロー成形を行うことにより、パール光沢を有する容器(小型ボトル)を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2010−89319号公報
しかしながら、PETに比べてPENは高価であるため、特許文献1の容器の製造方法のようなPETとPENの配合比では、製造費用が高くなるという課題があった。
また、特許文献1では、PEN系のペレットとPET系のペレットとの混合ペレットを、280〜295℃で60分程度、加熱・溶融・混練した後、ブロー成形開始の温度まで、混合ペレットの温度を下げるために30分程度を要するため、非常に手間がかかるという課題があった。
さらに、ダイレクトブロー成形により形成された容器は、二軸延伸ブロー成形により形成された容器よりも衝撃強度に劣るという課題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、合成樹脂材料にパール顔料などを混合することなくパール光沢が得られ、衝撃強度が高く、製造が容易でかつ製造費用を削減できる容器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、合成樹脂材料を射出成形することにより形成されたプリフォームを二軸延伸ブロー成形してなる合成樹脂複合体からなる容器であって、前記合成樹脂複合体は、海部分がポリエチレンテレフタレートからなり、島部分がポリプロピレンからなる海島構造をなし、前記島部分の長さは1.0μm以上、前記島部分の長さに対する幅の比は0.4以下である容器を提供する。
本発明の容器において、延伸倍率が2.5倍以上であることが好ましい。
本発明の容器において、前記合成樹脂複合体の100質量%に対して、前記ポリプロピレンを3質量%以上含有することが好ましい。
本発明の容器において、前記ポリプロピレンは、ランダムコポリマーであることが好ましい。
本発明によれば、合成樹脂材料にパール顔料などを混合することなくパール光沢が得られ、衝撃強度が高く、製造が容易でかつ製造費用を削減できる容器を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る容器を示す側面図である。 本発明の一実施形態に係る容器を構成する合成樹脂複合体の走査型電子顕微鏡像であり、(a)は全体像、(b)は(a)のα部を示す拡大像である。 実験例における容器を構成する合成樹脂複合体の走査型電子顕微鏡像である。 実験例における容器を構成する合成樹脂複合体の走査型電子顕微鏡像である。 実験例における容器を構成する合成樹脂複合体の走査型電子顕微鏡像である。 実験例における容器を構成する合成樹脂複合体の走査型電子顕微鏡像である。 実験例における容器を構成する合成樹脂複合体の走査型電子顕微鏡像である。
本発明の容器の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
図1は、本発明の一実施形態に係る容器を示す側面図である。
本実施形態の容器1は、透明または半透明の合成樹脂複合体からなり、予め射出成形により形成されたプリフォーム(半製品)を加熱し、ブロー成形金型内で延伸ロッドおよび高圧エアにより二軸延伸ブロー成形により作製された合成樹脂複合体からなる容器である。
本実施形態の容器1は、図1に示すように、口部2および胴部3を備え、これらがそれぞれの中心軸線を共通軸上に位置した状態でこの順に連設された有底筒状をなしている。
容器1を構成する合成樹脂複合体は、ポリエチレンテレフタレート(PET)と、ポリプロピレン(PP)と、を含有する。言い換えれば、この合成樹脂複合体は、ポリエチレンテレフタレートを主成分とし、さらに、ポリプロピレンを添加樹脂として含有する複合体である。
容器1を構成する合成樹脂複合体は、図2(a)に示す走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)像から分かるように、海島構造をなしている。また、海島構造の海部分(図2(a)におい連続して見える部分)はポリエチレンテレフタレートからなり、海島構造の島部分(図2(a)におい不連続に見える部分)はポリプロピレンからなる。すなわち、ポリエチレンテレフタレートからなる海部分の中に、ポリプロピレンからなる島部分が不連続に混在している。
ポリプロピレンからなる島部分の長さ(図2(b)に示す横長さ)は、1.0μm以上であり、2.0μm以上であることが好ましい。
島部分の長さが1.0μm未満では、ポリエチレンテレフタレートとポリプロピレンを含む合成樹脂材料を二軸延伸ブロー成形して得られた容器1に十分なパール外観(パール光沢)が発現しない。
ポリプロピレンからなる島部分の長さ(図2(b)に示す横長さ)に対する、ポリプロピレンからなる島部分の幅(図2(b)に示す縦長さ)の比(縦/横比)は0.4以下であり、0.2以下であることが好ましい。
島部分の長さに対する幅の比(縦/横比)が0.4を超えると、ポリエチレンテレフタレートとポリプロピレンを含む合成樹脂材料を二軸延伸ブロー成形して得られた容器1に十分なパール外観(パール光沢)が発現しない。
なお、ポリプロピレンからなる島部分の長さ(図2(b)に示す横長さ)は、容器1の横方向に沿う長さである。一方、ポリプロピレンからなる島部分の幅(図2(b)に示す縦長さ)は、容器1の縦(高さ)方向に沿う長さである。
容器1の延伸倍率、すなわち、容器1全体の延伸倍率は、2.5倍以上であり、5.0倍以上であることが好ましい。
容器1の延伸倍率が2.5倍未満では、ポリエチレンテレフタレートとポリプロピレンを含む合成樹脂材料を二軸延伸ブロー成形して得られた容器1に十分なパール外観(パール光沢)が発現しない。
また、合成樹脂複合体の100質量%に対して、ポリプロピレンを3質量%以上含有することが好ましい。
合成樹脂複合体の100質量%に対する、ポリプロピレンの含有量が少ないと、ポリエチレンテレフタレートとポリプロピレンを含む合成樹脂材料を二軸延伸ブロー成形して得られた容器1に十分なパール外観(パール光沢)が発現しない。
ポリプロピレンとしては、ランダムコポリマーまたはホモポリマーが用いられるが、透明性に優れ、かつより美麗なパール光沢が得られることから、ランダムコポリマーが好ましい。
次に、容器1の製造方法について説明する。
なお、以下の説明では、容器1(またはプリフォーム)の横断面の中央を通る直線を容器軸Oといい、容器軸Oに直交する方向を横方向という。
まず、原材料として、ポリエチレンテレフタレートとポリプロピレンを含む合成樹脂材料を用意する。
次いで、上記の合成樹脂材料を加熱溶融させ、プリフォーム用の金型内に射出成形することにより、有底筒状のプリフォームを作製する。このプリフォームを作製する際、上記の合成樹脂材料を加熱溶融させることにより、ポリエチレンテレフタレートと、ポリプロピレンとが均一に混合される。
このプリフォームは、ブロー成形によって延伸されない口部と、半球状の底部と、これらの口部と底部との間に配置され、かつブロー成形によって大きく延伸される円筒状の胴部と、から構成されている。
なお、プリフォームの状態では、ポリエチレンテレフタレートのみからなる場合よりも白濁しており、パール光沢は発現していない。
次いで、プリフォームの胴部を例えば約90℃〜110℃に加熱した状態で、ブロー成形金型内で二軸延伸ブロー成形することにより、ポリエチレンテレフタレートと、ポリプロピレンと、を含有する合成樹脂複合体からなる容器1を作製する。
得られた容器1を構成する合成樹脂複合体は、海部分がポリエチレンテレフタレートからなり、島部分がポリプロピレンからなる海島構造をなしている。
また、上記二軸延伸ブロー成形における容器1全体の延伸倍率は、2.5倍以上とすることが好ましい。
得られた容器1は、胴部3にパール光沢を有するとともに、視認する角度等によって、あたかもゆらめくような立体感のある美麗な光沢を備える(パール装飾効果)。これにより、容器1に収容される商品に高級感や清涼感などを付与することができる。
本実施形態の容器1によれば、二軸延伸ブロー成形によって胴部3にパール光沢を付与できるので、従来のように、胴部3となる合成樹脂材料(原材料)に対してパール顔料等を混合する必要がない。また、本実施形態の容器1によれば、従来のように、ポリエチレンテレフタレートと、ポリプロピレンと、を高温で長時間、加熱・溶融・混練して混合ペレットを作製し、成形開始温度まで、混合ペレットの温度を下げた後、ブロー成形をするという工程を経る必要がなく、従来よりも低温で成形することができる。よって、製造が容易であり、かつ製造費用を削減できる。さらに、本実施形態の容器1は、二軸延伸ブロー成形によって形成されているので、従来のようにダイレクトブロー成形により形成された容器よりも衝撃強度が高い。
以下、実験例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実験例に限定されるものではない。
[実施例]
ポリエチレンテレフタレート(商品名:SA−135、三井化学社製)と、ポリプロピレン(ランダムコポリマー、商品名:J246、プライムポリマー社製)とを配合し、合成樹脂材料を調製した。ここで、ポリエチレンテレフタレートとポリプロピレンの配合比を、質量比で97:3、95:5、93:7、90:10、80:20とした。
この合成樹脂材料を加熱溶融させ、プリフォーム用の金型内に射出成形することにより、有底筒状のプリフォームを作製した。なお、プリフォーム成形時の成形温度(合成樹脂材料を加熱溶融する温度)を290℃とした。
次に、このプリフォームを用いて、二軸延伸ブロー成形により、表1に示す各延伸倍率となるようにボトルを作製した。なお、二軸延伸ブロー成形時の成形温度(プリフォームの胴部を加熱する温度)を100℃とした。
得られたボトルの外観を目視により観察した。ボトルの外観に真珠光沢がある場合を「◎」または「○」、ボトルの外観に真珠光沢がない場合を「×」と評価した。なお、「◎」は、「○」よりも、より真珠光沢の度合いが強いことを示す。結果を表1に示す。
また、ボトルを走査型電子顕微鏡(商品名:XL−30、PHILIPS社製)で観察し、ボトルを構成する海島構造からなる合成樹脂複合体のうち、ポリプロピレンからなる島部分の寸法(島部分の長さおよび幅)を測定した。さらに、島部分の寸法測定の結果から、島部分の長さに対する幅の比(縦/横比)を算出した。結果を表1に示す。
表1の結果から、ボトル全体の延伸倍率が2.5倍以上、ポリプロピレンからなる島部分の長さが1.0μm以上、ポリプロピレンからなる島部分の長さに対する幅の比(縦/横比)が0.4以下であれば、ボトルの外観に真珠光沢があることが確認された。
また、ポリプロピレンの含有量が3質量%、ボトル全体の延伸倍率が9.63倍のボトルの走査型電子顕微鏡像を図2に示す。
ポリプロピレンの含有量が5質量%、ボトル全体の延伸倍率が2.5倍のボトルの走査型電子顕微鏡像を図3に示す。
ポリプロピレンの含有量が5質量%、ボトル全体の延伸倍率が5.25倍のボトルの走査型電子顕微鏡像を図4に示す。
ポリプロピレンの含有量が5質量%、ボトル全体の延伸倍率が5.50倍のボトルの走査型電子顕微鏡像を図5に示す。
ポリプロピレンの含有量が5質量%、ボトル全体の延伸倍率が9.63倍のボトルの走査型電子顕微鏡像を図6に示す。
ポリプロピレンの含有量が5質量%、ボトル全体の延伸倍率が15.00倍のボトルの走査型電子顕微鏡像を図7に示す。
図2〜図7から、ボトルを構成する合成樹脂複合体は、海部分がポリエチレンテレフタレートからなり、島部分がポリプロピレンからなる海島構造をなしていることが確認された。
本発明は、合成樹脂材料にパール顔料などを混合することなく、容器にパール光沢を発現させることができ、その容器の製造を容易にし、製造費用を削減できる。
1 容器
2 口部
3 胴部

Claims (4)

  1. 合成樹脂材料を射出成形することにより形成されたプリフォームを二軸延伸ブロー成形してなる合成樹脂複合体からなる容器であって、
    前記合成樹脂複合体は、海部分がポリエチレンテレフタレートからなり、島部分がポリプロピレンからなる海島構造をなし、
    前記島部分の長さは1.0μm以上、前記島部分の長さに対する幅の比は0.4以下であることを特徴とする容器。
  2. 延伸倍率が2.5倍以上であることを特徴とする請求項1に記載の容器。
  3. 前記合成樹脂複合体の100質量%に対して、前記ポリプロピレンを3質量%以上含有することを特徴とする請求項1または2に記載の容器。
  4. 前記ポリプロピレンは、ランダムコポリマーであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の容器。
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