JP2022187277A - プリフォーム、及び合成樹脂製容器の製造方法 - Google Patents
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- Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)
Abstract
【課題】比較的小容量の合成樹脂製容器をブロー成形によって製造するのに好適なプリフォームを提供する。【解決手段】上端側が開口する口部2と、下端側が閉塞された胴部3とを含む有底筒状に形成されたプリフォーム1において、口部2に設けられたネックリング2bよりも下側の部分の質量を6g以下、ネックリング2bの直下に形成された首下部2cの外径D2cを23.4~24.0mmとし、胴部3の外径D3が、縮径部3aを介して首下部2cの外径D2cの60~80%に縮径されており、首下部2cの最小肉厚t2cを、胴部3の最大肉厚t3の41~71%とする。【選択図】 図1
Description
本発明は、比較的小容量の合成樹脂製容器をブロー成形によって製造するためのプリフォーム、及びそのような合成樹脂製容器の製造方法に関する。
従来、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂を用いて有底筒状のプリフォームを作製し、このプリフォームを二軸延伸ブロー成形などによってボトル状に成形してなる合成樹脂製の容器が、各種飲料品、各種調味料等を内容物とする容器として広い分野で利用されている。
この種の合成樹脂製容器は、近年、益々身近な存在となってきており、かかる容器を利用した商品も多様化してきている。このような状況において、例えば、2000mLを超える大容量のものから、100mL程度の小容量(例えば、特許文献1参照)のものまで、商品となる内容物に応じて種々の容量の容器が提案されている。
しかしながら、本発明者らの検討によれば、例えば、容量120mL又はそれ未満の比較的小容量の容器用に作製されたプリフォームをブロー成形しようとすると、成形された容器の底部に、過延伸による白化が発生し易い傾向があることが見い出された。その対策として、ブロー成形に先立ってプリフォームを加熱、軟化させる際の加熱温度を高くすると、プリフォームが軸方向に延伸する際に、延伸方向が軸方向からずれてしまう芯ズレが発生してしまう虞があることも見出された。
本発明者らは、このような知見に基づいて、比較的小容量の合成樹脂製容器をブロー成形によって製造するのに好適なプリフォームを提供するべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
本発明に係るプリフォームは、合成樹脂製容器をブロー成形によって製造するためのプリフォームであって、上端側が開口する口部と、下端側が閉塞された胴部とを含む有底筒状に形成され、前記口部に設けられたネックリングよりも下側の部分の質量が、6g以下であり、前記ネックリングの直下に形成された首下部の外径が、23.4~24.0mmであり、前記胴部の外径が、縮径部を介して前記首下部の外径の60~80%に縮径されており、前記首下部の最小肉厚が、前記胴部の最大肉厚の41~71%である構成としてある。
また、本発明に係る合成樹脂製容器の製造方法は、上記プリフォームをブロー成形することによって合成樹脂製容器を製造する合成樹脂製容器の製造方法であって、前記プリフォームの縦延伸倍率を2.6倍以下にする方法としてある。
本発明によれば、過延伸による白化や芯ズレを生じることなく、比較的小容量の合成樹脂製容器をブロー成形によって製造することが可能になる。
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係るプリフォームの一例を示す部分断面図であり、図中一点鎖線で示す中心軸Cの右側に縦断面を示している。
また、図2は、図1に示すプリフォーム1をブロー成形することによって製造される合成樹脂製容器の一例として示す、容量65mLの丸形ボトル状容器の斜視図である。
図1は、本実施形態に係るプリフォームの一例を示す部分断面図であり、図中一点鎖線で示す中心軸Cの右側に縦断面を示している。
また、図2は、図1に示すプリフォーム1をブロー成形することによって製造される合成樹脂製容器の一例として示す、容量65mLの丸形ボトル状容器の斜視図である。
まず、本実施形態において、製造対象となる合成樹脂製容器の一例について説明するに、図2に示す容器10は、内容物の注入出口となる口部20と、内容物が収容される収容部30とを備えている。収容部30は、その上端側の部位が口部20に向かって縮径して口部20の下端に連接する胴部40と、胴部40の高さ方向下端側を閉塞する底部50とを含むように成形することができる。図示する例では、容器10が、概ね円筒状の容器形状を備えるように成形されているが、容器10の形状は、これに限定されない。
図2に示す例において、円筒状に形成された口部20の周面には、容器10を封止する図示しない蓋体を取り付けるためのネジ山2aが設けられているが、容器10の封止手段は、これに限定されない。蓋体を打栓によって取り付けるようにしてもよく、口部20の開口端縁に、ヒートシール層を有するフィルム状の蓋体をヒートシールするなどしてもよい。
また、口部20の下端側には、周方向に沿って外方に突出する環状のネックリング2bが設けられている。
また、口部20の下端側には、周方向に沿って外方に突出する環状のネックリング2bが設けられている。
このような容器10をブロー成形によって製造するのに好適な図1に示すプリフォーム1は、上端側が開口する口部2と、下端側が閉塞された胴部3とを含む有底筒状に形成されている。プリフォーム1の口部2は、ブロー成形によって延伸されずに、その外観を概ね維持して容器10の口部20となる部位であり、プリフォーム1の口部2には、容器10に付された符号と同一の符号を以て示すネジ山2a、ネックリング2bが設けられている。
ここで、プリフォーム1の上下左右及び縦横の方向は、口部2側を上にして図1に示す状態で規定するものとする。
また、プリフォーム1は、ブロー成形が可能な任意の熱可塑性樹脂を用いて射出成形、又は圧縮成形などによって形成することができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,非晶ポリアリレート,ポリ乳酸,ポリエチレンフラノエート又はこれらの共重合体などの熱可塑性ポリエステルが用いられ、特に、ポリエチレンテレフタレートなどのエチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステルが好適に用いられる。これらの樹脂は二種以上混合してもよく、他の樹脂をブレンドしてもよい。ポリカーボネート,アクリロニトリル樹脂,ポリプロピレン,プロピレン-エチレン共重合体,ポリエチレンなどを用いることもできる。このような熱可塑性樹脂を用いて形成されるプリフォーム1は、単層に形成するに限らず、容器10に求められる特性に応じて、ガスバリヤー層などを含む多層に形成することもできる。
なお、上記した材料には様々な環境対応材料が開発されており、例えば、メカニカルリサイクル材、ケミカルリサイクル材、使用済み製品等が粉砕処理されたフレーク材、植物由来のバイオプラスチック材等を単体や、他の材料とブレンドするなどして用いてもよい。
なお、上記した材料には様々な環境対応材料が開発されており、例えば、メカニカルリサイクル材、ケミカルリサイクル材、使用済み製品等が粉砕処理されたフレーク材、植物由来のバイオプラスチック材等を単体や、他の材料とブレンドするなどして用いてもよい。
このようなプリフォーム1は、加熱により軟化させてブロー成形が可能な状態とされてから、図示しないブロー成形型にセットされ、必要に応じて延伸ロッドにより軸方向(縦方向)に延伸されつつ、プリフォーム1内に吹き込まれたブローエアーによって軸方向及び周方向(横方向)に延伸される。このとき、口部2に設けられたネックリング2bの下方を起点として胴部3が延伸され、ブロー成形型のキャビティ形状が転写されることによって、延伸された胴部3が容器10の収容部30となるように成形される。
プリフォーム1の口部2は、容器10の口部20となる部位であることから、例えば、一般にPETボトルと称されるこの種の容器用に規格が定められた蓋体を口部20に取り付けて、容器10を封止する場合には、口部2の寸法、形状などは、蓋体に応じて設計する必要があり、また、ヒートシール層を有するフィルム状の蓋体をヒートシールして容器10を封止する場合にも、内容物の注入出口(又は飲み口)として適するように設計する必要があるため、その設計の自由度には制限がある。このため、本実施形態にあっては、口部2に設けられたネックリング2bよりも下側の部分を次のように設計することで、所期の目的が達成されるようにしている。
すなわち、本実施形態は、口部2に設けられたネックリング2bよりも下側の部分の質量が6g以下となるように、比較的小容量(好ましくは、50~120mL、より好ましくは60~90mL)の容器10を製造するためのプリフォーム1として、当該部位を形成する樹脂量の上限を設定し、このような限られた量の樹脂を有効に分配して、過延伸による白化が発生しないように、胴部3の肉厚(樹脂量)を確保するという考えに基づいている。
より詳細には、プリフォーム1のネックリング2bの直下に形成される首下部2cは、通常、その内面が口部2の内面と面一となるように形成されるが、その際に、首下部2cの肉厚ができるだけ薄くなるようにして、その分の樹脂が胴部3に分配されるように、首下部2cの外径D2cを23.4~24.0mmとしている。そして、胴部3の外径D3が、縮径部3aを介して首下部2cの外径D2cの60~80%に縮径されるようにすることで、外径が縮径された分だけ胴部3の肉厚が増大するようにしており、その結果、胴部3の最大肉厚t3に対して、首下部2cの最小肉厚t2cが41~71%に相対的に薄肉化されるように設計している。
ここで、プリフォーム1は、例えば、射出成形又は圧縮成形によって成形することができ、成形方法は特に限定されないが、射出成形によってプリフォーム1を成形する場合には、ショートショットを避けるために、首下部2cの外径D2cを上記範囲とするとともに、首下部2cの最小肉厚t2cを0.76~1.41mmとするのが好ましい。
本実施形態によれば、プリフォーム1を上記のように設計し、限られた量の樹脂を有効に分配して胴部3の肉厚を確保することで、プリフォーム1をブロー成形する際の過延伸を抑制して、過延伸による白化が生じないようにすることができる。過延伸をより有効に抑制する観点から、胴部3の最大肉厚t3は1.6~3.4mmであるのが好ましい。
また、プリフォーム1をブロー成形する際の過延伸を抑制する対策として、プリフォーム1の加熱温度を高くして、プリフォーム1をより軟化させて延伸し易くすることも考えられるが、この場合には、プリフォーム1が軸方向に延伸する際に、延伸方向が軸方向からずれてしまう芯ズレが発生してしまう虞がある。本実施形態によれば、このような不具合が発生しない程度にプリフォーム1を加熱してブロー成形に処することで、芯ズレを回避しつつ、過延伸による白化を有効に抑制することができる。
また、プリフォーム1をブロー成形する際の過延伸を抑制する対策として、プリフォーム1の加熱温度を高くして、プリフォーム1をより軟化させて延伸し易くすることも考えられるが、この場合には、プリフォーム1が軸方向に延伸する際に、延伸方向が軸方向からずれてしまう芯ズレが発生してしまう虞がある。本実施形態によれば、このような不具合が発生しない程度にプリフォーム1を加熱してブロー成形に処することで、芯ズレを回避しつつ、過延伸による白化を有効に抑制することができる。
本実施形態において、このような効果がより有効に奏されるようにするには、胴部3の縮径部3aが、軸方向に沿って径方向内方に凸となるように湾曲しながら縮径されるようにするのが好ましい。このようにすることで、ブロー成形に際して無理なく延伸するように胴部3を縮径させて、胴部3の肉厚が増大するように設計するのが容易になる。縮径部3aを介して首下部2cの外径D2cが胴部3の外径D3に縮径されるようにするにあたり、縮径部3aが形成される範囲は、首下部2cに対する胴部3の縮径率と、胴部3の最大肉厚t3とのバランスから適宜設計できる。例えば、ネックリング2bの基端から縮径部3aの下端までの軸方向に沿った長さL0が、ネックリング2bよりも下側の部分の軸方向に沿った長さLの32~51%であるのが好ましい。
また、過延伸による白化を有効に抑制するには、プリフォーム1をブロー成形するに際し、その縦延伸倍率を2.6倍以下にするのが好ましい。これに加えて、プリフォーム1のネックリング2bよりも下側の部分の軸方向に沿った長さLが、できるだけ長くなるようにプリフォーム1を設計するのが好ましく、当該長さLを25~35mmとするのが好ましく、27.6~31.5mmとするのが特に好ましい。
以下、具体的な実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。
[実施例1-5、比較例1-3]
ポリエチレンテレフタレートを用いて、図1に示すプリフォームを射出成形した。ネックリング下質量、首下部外径D2c、首下部外径D2cに対する胴部外径D3の縮径率D3/D2c、首下部最小肉厚t2c、胴部最大肉厚t3に対する首下部最小肉厚t2cの比t2c/t3、ネックリング下長さLに対する縮径部下端までの長さL0の比L0/Lを表1に示す通りとした。
ポリエチレンテレフタレートを用いて、図1に示すプリフォームを射出成形した。ネックリング下質量、首下部外径D2c、首下部外径D2cに対する胴部外径D3の縮径率D3/D2c、首下部最小肉厚t2c、胴部最大肉厚t3に対する首下部最小肉厚t2cの比t2c/t3、ネックリング下長さLに対する縮径部下端までの長さL0の比L0/Lを表1に示す通りとした。
各実施例、各比較例におけるプリフォームをブロー成形して得られた容器について、以下の評価方法により評価した。評価結果を表1に示す。
また、ブロー成形する際の縦延伸倍率、ブロー成形された容器の容量を表1に示す。
また、ブロー成形する際の縦延伸倍率、ブロー成形された容器の容量を表1に示す。
<評価方法>
(成形性)
プリフォームを射出成形するに際し、ショートショットが発生せずに成形が可能なものを「〇」、ショートショットが発生したものを「×」とした。
(芯ズレ)
ブロー成形された容器の底部を目視で観察し、ゲート中心が底部中心から直径2mm以内に収まっているものを「〇」、収まっていないものを「×」とした。
(白化)
ブロー成形された容器の底部を目視で観察し、白化が認められないものを「〇」、白化が認められたものを「×」とた。
(成形性)
プリフォームを射出成形するに際し、ショートショットが発生せずに成形が可能なものを「〇」、ショートショットが発生したものを「×」とした。
(芯ズレ)
ブロー成形された容器の底部を目視で観察し、ゲート中心が底部中心から直径2mm以内に収まっているものを「〇」、収まっていないものを「×」とした。
(白化)
ブロー成形された容器の底部を目視で観察し、白化が認められないものを「〇」、白化が認められたものを「×」とた。
実施例1-5では、プリフォームを射出成形するに際し、ショートショットが発生せずに成形が可能であった。さらに、ブロー成形された容器の評価もすべてにおいて良好な結果となった。
これに対して、比較例1ではt2c/t3が小さく、樹脂の流路が狭いためショートショットとなってしまった。比較例2、3では、t2c/t3が大きく、成形性に問題はないものの、ブロー成形された容器に芯ズレ、白化が認められた。
これに対して、比較例1ではt2c/t3が小さく、樹脂の流路が狭いためショートショットとなってしまった。比較例2、3では、t2c/t3が大きく、成形性に問題はないものの、ブロー成形された容器に芯ズレ、白化が認められた。
[比較例4]
実施例3と同様のプリフォームを用い、縦延伸倍率を2.81倍に変更してブロー成形を行った。
実施例3と同様のプリフォームを用い、縦延伸倍率を2.81倍に変更してブロー成形を行った。
[比較例5]
実施例5と同様のプリフォームを用い、縦延伸倍率を2.9倍に変更してブロー成形を行った。
実施例5と同様のプリフォームを用い、縦延伸倍率を2.9倍に変更してブロー成形を行った。
比較例4、5の結果から、縦延伸倍率が2.6倍を超えると、ブロー成形した容器に芯ズレ、白化が発生することが確認できた。
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
1 プリフォーム
2 口部
2b ネックリング
2c 首下部
3 胴部
3a 縮径部
10 容器
2 口部
2b ネックリング
2c 首下部
3 胴部
3a 縮径部
10 容器
Claims (7)
- 合成樹脂製容器をブロー成形によって製造するためのプリフォームであって、
上端側が開口する口部と、下端側が閉塞された胴部とを含む有底筒状に形成され、
前記口部に設けられたネックリングよりも下側の部分の質量が、6g以下であり、
前記ネックリングの直下に形成された首下部の外径が、23.4~24.0mmであり、
前記胴部の外径が、縮径部を介して前記首下部の外径の60~80%に縮径されており、
前記首下部の最小肉厚が、前記胴部の最大肉厚の41~71%であることを特徴とするプリフォーム。 - 前記縮径部が、軸方向に沿って径方向内方に凸となるように湾曲しながら縮径する請求項1に記載のプリフォーム。
- 前記ネックリングの基端から前記縮径部の下端までの軸方向に沿った長さが、前記ネックリングよりも下側の部分の軸方向に沿った長さの32~51%である請求項1又は2に記載のプリフォーム。
- 前記ネックリングよりも下側の部分の軸方向に沿った長さが、25~35mmである請求項1~3のいずれか一項に記載のプリフォーム。
- 前記胴部の最大肉厚が、1.6~3.4mmである請求項1~4のいずれか一項に記載のプリフォーム。
- 前記首下部の最小肉厚が、0.76~1.41mmである請求項1~5のいずれか一項に記載のプリフォーム。
- 請求項1~6のいずれか一項に記載のプリフォームをブロー成形することによって合成樹脂製容器を製造する合成樹脂製容器の製造方法であって、
前記プリフォームの縦延伸倍率を2.6倍以下にすることを特徴とする合成樹脂製容器の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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A621 | Written request for application examination |
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