JP2015189137A - ガスバリアフィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電子部材用途の要求レベルを満たすことのできるガスバリア性(特に水蒸気バリア性)と耐屈曲性、長期保存性に優れたガスバリアフィルムを提供する。【解決手段】フィルム基材1上に金属酸化物層が設けられたガスバリアフィルム5である。該ガスバリアフィルム5において、上記金属酸化物層は、金属酸化物の蒸着層2、特定のシラザン骨格を基本とするポリマーを主成分とする第1のバリア性コーティング層3、特定の金属アルコキシドからなる金属酸化物ポリマーを主成分とする第2のバリア性コーティング層4をこの順で設けてなるガスバリアフィルムである。【選択図】図1
Description
本発明は、基材フィルム上に金属酸化物層が設けられたガスバリアフィルム及びその製造方法に関する。
太陽電池や有機EL(エレクトロルミネッセンス)などの精密な電子部材を内蔵する製品において、水蒸気の製品内部への進入は内容物の変質や電子部材の損傷により製品寿命の短縮を引き起こす原因となるため、水蒸気の進入を高度に防止するガスバリア性部材が求められており、中でもフレキシブル性や軽量性を有する製品においては高性能なガスバリアフィルムが求められている。
現在、ガスバリアフィルムの代表的なものとして、主に包装用途で広く使用されているポリ塩化ビニリデンを主成分としたフィルムがあるが、このガスバリアフィルムは上記の電子部材用途で要求されるガスバリア性に対して十分な性能を有しているとは言えず、また、フィルムの加熱焼却処理で有害な塩素系ガスを発生させるといった問題も抱えており使用は控えられつつある。
一方で、上記の電子部材用途の要求レベルを満たすことのできる程の高度なガスバリア性を有するフィルムとして、酸化ケイ素等の金属酸化物を真空蒸着法により蒸着させた層を有するフィルムが知られている。しかし、この金属酸化物の蒸着層はその製造過程で異物の混入等によりピンホールやクラック等の欠陥を生じる場合が多く、欠陥が生じるとその箇所から水蒸気等のガスが透過するため、本来蒸着層が保有する高度なガスバリア性を十分に発揮できないという課題を抱えている。さらにこの金属酸化物の蒸着層は屈曲、延展等の物理的要因に対して脆く、製品作製後も取り扱いの条件によっては欠陥が発生する場合がある。
そこで、従来、上記金属酸化物の蒸着層の保護とガスバリア性の向上を目的に、上記蒸着層上にガスバリア性を有する金属酸化物のコーティング層を積層させる方法が開示されている。
特許文献1には、透明高分子フィルム上のプラズマ化学蒸着法により形成されたケイ素酸化物層に対し、ポリシラザンを含む塗工液を塗工後に加熱処理してコーティング層を積層させたガスバリアフィルムが開示されている。
しかしながら、電子部材用途の使用に対しては更なるガスバリア性の改善が要求されており、この要求に対して、ポリシラザンを含む塗工液を塗工後に真空紫外線照射を施したコーティング層を積層させたガスバリアフィルム(特許文献2)、金属酸化物蒸着層を有する基材上にポリシラザンを含む塗工液を塗工後に真空紫外線照射を施したコーティング層を積層させたガスバリアフィルム(特許文献3)が開示されている。
しかしながら、電子部材用途の使用に対しては更なるガスバリア性の改善が要求されており、この要求に対して、ポリシラザンを含む塗工液を塗工後に真空紫外線照射を施したコーティング層を積層させたガスバリアフィルム(特許文献2)、金属酸化物蒸着層を有する基材上にポリシラザンを含む塗工液を塗工後に真空紫外線照射を施したコーティング層を積層させたガスバリアフィルム(特許文献3)が開示されている。
しかしながら、上記特許文献2、特許文献3に開示されているような真空紫外線照射処理によって形成されたポリシラザン層は、シリカ転化膜へと改質されるためガスバリア性が向上するものの、金属酸化物の蒸着層と同様に屈曲性が低いという問題が生じる。
また、シリカ転化膜中に存在する真空紫外線照射で未反応のポリシラザンが、膜内に浸透した酸素や水蒸気によって徐々にシリカ転化が進行し膜体積が変化することでクラックが発生する可能性があり、ガスバリアフィルムの最表面にシリカ転化膜がある場合、ガスバリア性及び長期保存性の低下が懸念される。
また、シリカ転化膜中に存在する真空紫外線照射で未反応のポリシラザンが、膜内に浸透した酸素や水蒸気によって徐々にシリカ転化が進行し膜体積が変化することでクラックが発生する可能性があり、ガスバリアフィルムの最表面にシリカ転化膜がある場合、ガスバリア性及び長期保存性の低下が懸念される。
そこで、本発明は、電子部材用途の要求レベルを満たすことのできるガスバリア性(特に水蒸気バリア性)と耐屈曲性、長期保存性に優れたガスバリアフィルム及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の構成を有する発明によって上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は以下の構成を有している。
すなわち、本発明は以下の構成を有している。
(構成1の発明)
フィルム基材上に金属酸化物層が設けられたガスバリアフィルムであって、前記金属酸化物層は、金属酸化物の蒸着層、下記一般式(I)で表されるシラザン骨格を基本とするポリマーを主成分とする第1のバリア性コーティング層、下記一般式(II)で表される金属アルコキシドからなる金属酸化物ポリマーを主成分とする第2のバリア性コーティング層をこの順で設けてなることを特徴とするガスバリアフィルムである。
一般式(I)
(-SiR1R2-NR3-)n
(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基またはアルコキシ基を表す。nは繰り返し単位数を表す。)
一般式(II)
R4nM(OR5)m
(式中、R4およびR5はそれぞれ炭素数1〜30のアルキル基を表し、Mは金属原子を表す。nは0〜3の整数、mは1〜4の整数であって、且つ金属原子Mとの結合数を表す。)
フィルム基材上に金属酸化物層が設けられたガスバリアフィルムであって、前記金属酸化物層は、金属酸化物の蒸着層、下記一般式(I)で表されるシラザン骨格を基本とするポリマーを主成分とする第1のバリア性コーティング層、下記一般式(II)で表される金属アルコキシドからなる金属酸化物ポリマーを主成分とする第2のバリア性コーティング層をこの順で設けてなることを特徴とするガスバリアフィルムである。
一般式(I)
(-SiR1R2-NR3-)n
(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基またはアルコキシ基を表す。nは繰り返し単位数を表す。)
一般式(II)
R4nM(OR5)m
(式中、R4およびR5はそれぞれ炭素数1〜30のアルキル基を表し、Mは金属原子を表す。nは0〜3の整数、mは1〜4の整数であって、且つ金属原子Mとの結合数を表す。)
(構成2の発明)
構成1の発明において、前記金属酸化物ポリマーの重量平均分子量が、200以上100万以下の範囲であることを特徴とするガスバリアフィルムである。
構成1の発明において、前記金属酸化物ポリマーの重量平均分子量が、200以上100万以下の範囲であることを特徴とするガスバリアフィルムである。
(構成3の発明)
構成1又は構成2の発明において、前記第2のバリア性コーティング層の膜厚は、0.01μm〜5.0μmの範囲であることを特徴とするガスバリアフィルムである。
構成1又は構成2の発明において、前記第2のバリア性コーティング層の膜厚は、0.01μm〜5.0μmの範囲であることを特徴とするガスバリアフィルムである。
(構成4の発明)
フィルム基材上に金属酸化物層が設けられたガスバリアフィルムの製造方法であって、前記金属酸化物層は、金属酸化物の蒸着層、下記一般式(I)で表されるシラザン骨格を基本とするポリマーを主成分とする第1のバリア性コーティング層、下記一般式(II)で表される金属アルコキシドからなる金属酸化物ポリマーを主成分とする第2のバリア性コーティング層をこの順で設け、前記第1のバリア性コーティング層が真空紫外線照射処理されることを特徴とするガスバリアフィルムの製造方法である。
一般式(I)
(-SiR1R2-NR3-)n
(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基またはアルコキシ基を表す。nは繰り返し単位数を表す。)
一般式(II)
R4nM(OR5)m
(式中、R4およびR5はそれぞれ炭素数1〜30のアルキル基を表し、Mは金属原子を表す。nは0〜3の整数、mは1〜4の整数であって、且つ金属原子Mとの結合数を表す。)
フィルム基材上に金属酸化物層が設けられたガスバリアフィルムの製造方法であって、前記金属酸化物層は、金属酸化物の蒸着層、下記一般式(I)で表されるシラザン骨格を基本とするポリマーを主成分とする第1のバリア性コーティング層、下記一般式(II)で表される金属アルコキシドからなる金属酸化物ポリマーを主成分とする第2のバリア性コーティング層をこの順で設け、前記第1のバリア性コーティング層が真空紫外線照射処理されることを特徴とするガスバリアフィルムの製造方法である。
一般式(I)
(-SiR1R2-NR3-)n
(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基またはアルコキシ基を表す。nは繰り返し単位数を表す。)
一般式(II)
R4nM(OR5)m
(式中、R4およびR5はそれぞれ炭素数1〜30のアルキル基を表し、Mは金属原子を表す。nは0〜3の整数、mは1〜4の整数であって、且つ金属原子Mとの結合数を表す。)
本発明によれば、電子部材用途の要求レベルを満たすことのできるガスバリア性(特に水蒸気バリア性)と耐屈曲性、長期保存性に優れたガスバリアフィルム及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明に係るガスバリアフィルムは、上記構成1にあるとおり、フィルム基材上に金属酸化物層が設けられたガスバリアフィルムであって、前記金属酸化物層は、金属酸化物の蒸着層、下記一般式(I)で表されるシラザン骨格を基本とするポリマーを主成分とする第1のバリア性コーティング層、下記一般式(II)で表される金属アルコキシドからなる金属酸化物ポリマーを主成分とする第2のバリア性コーティング層をこの順で設けてなることを特徴とするガスバリアフィルムである。
本発明に係るガスバリアフィルムは、上記構成1にあるとおり、フィルム基材上に金属酸化物層が設けられたガスバリアフィルムであって、前記金属酸化物層は、金属酸化物の蒸着層、下記一般式(I)で表されるシラザン骨格を基本とするポリマーを主成分とする第1のバリア性コーティング層、下記一般式(II)で表される金属アルコキシドからなる金属酸化物ポリマーを主成分とする第2のバリア性コーティング層をこの順で設けてなることを特徴とするガスバリアフィルムである。
一般式(I)
(-SiR1R2-NR3-)n
(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基またはアルコキシ基を表す。nは繰り返し単位数を表す。)
一般式(II)
R4nM(OR5)m
(式中、R4およびR5はそれぞれ炭素数1〜30のアルキル基を表し、Mは金属原子を表す。nは0〜3の整数、mは1〜4の整数であって、且つ金属原子Mとの結合数を表す。)
(-SiR1R2-NR3-)n
(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基またはアルコキシ基を表す。nは繰り返し単位数を表す。)
一般式(II)
R4nM(OR5)m
(式中、R4およびR5はそれぞれ炭素数1〜30のアルキル基を表し、Mは金属原子を表す。nは0〜3の整数、mは1〜4の整数であって、且つ金属原子Mとの結合数を表す。)
図1は、本発明のガスバリアフィルムの一実施形態を示す概略断面図である。
図1に示される一実施形態によれば、本発明に係るガスバリアフィルム5は、フィルム基材1上に金属酸化物層が設けられ、当該金属酸化物層は、金属酸化物の蒸着層2の上に、上記一般式(I)で表される特定のシラザン骨格を基本とするポリマーを主成分とする第1のバリア性コーティング層3と、当該第1のバリア性コーティング層3の上に、上記一般式(II)で表される特定の金属アルコキシドからなる金属酸化物ポリマーを主成分とする第2のバリア性コーティング層4を設けてなる構成となっている。
図1に示される一実施形態によれば、本発明に係るガスバリアフィルム5は、フィルム基材1上に金属酸化物層が設けられ、当該金属酸化物層は、金属酸化物の蒸着層2の上に、上記一般式(I)で表される特定のシラザン骨格を基本とするポリマーを主成分とする第1のバリア性コーティング層3と、当該第1のバリア性コーティング層3の上に、上記一般式(II)で表される特定の金属アルコキシドからなる金属酸化物ポリマーを主成分とする第2のバリア性コーティング層4を設けてなる構成となっている。
すなわち、本発明の一実施の形態に係るガスバリアフィルムは、フィルム基材1上に、金属酸化物の蒸着層2、特定のシラザン骨格を基本とするポリマーを主成分とする第1のバリア性コーティング層3、特定の金属アルコキシドからなる金属酸化物ポリマーを主成分とする第2のバリア性コーティング層4を設けたガスバリアフィルム5であり、とくに、特定の金属アルコキシドからなる金属酸化物ポリマーを主成分とする第2のバリア性コーティング層4を、特定のシラザン骨格を基本とするポリマーを主成分とする第1のバリア性コーティング層3上に設けることを特徴としている。
以下、上記ガスバリアフィルム5を構成する各要素について詳しく説明する。
以下、上記ガスバリアフィルム5を構成する各要素について詳しく説明する。
(フィルム基材)
本実施形態のガスバリアフィルム5の基材として用いられるフィルム基材1は、無機物を蒸着できるフィルムであれば特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリイミド、ポリプロピレン、アクリル系樹脂、ポリスチレン、セルロースアセテート、ポリ塩化ビニルのフィルムないしシート等が挙げられる。これらの中でも優れたガスバリア性、透明性等の特性を有する蒸着フィルムが得られることから、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリプロピレンが特に好ましい。また、フィルム基材1は、一軸延伸または二軸延伸されていてもよく、その表面をコロナ処理や低温プラズマ処理等の表面処理がされていてもよい。
本実施形態のガスバリアフィルム5の基材として用いられるフィルム基材1は、無機物を蒸着できるフィルムであれば特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリイミド、ポリプロピレン、アクリル系樹脂、ポリスチレン、セルロースアセテート、ポリ塩化ビニルのフィルムないしシート等が挙げられる。これらの中でも優れたガスバリア性、透明性等の特性を有する蒸着フィルムが得られることから、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリプロピレンが特に好ましい。また、フィルム基材1は、一軸延伸または二軸延伸されていてもよく、その表面をコロナ処理や低温プラズマ処理等の表面処理がされていてもよい。
(金属酸化物の蒸着層)
本実施形態において、フィルム基材1上に設けられる金属酸化物の蒸着層2に含まれる金属酸化物としては、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化カルシウム等の無機金属酸化物が挙げられる。金属酸化物は単独で用いられてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。これらの金属酸化物の中でも特に、透明性、ガスバリア性および基材との密着性の観点から、酸化ケイ素または酸化アルミニウムを用いることが好ましい。
この金属酸化物の蒸着層2の膜厚としては、使用する金属酸化物の種類によっても異なるため特に制限はないが、例えば、10Å〜1000Å程度の範囲で形成させることが好適である。
本実施形態において、フィルム基材1上に設けられる金属酸化物の蒸着層2に含まれる金属酸化物としては、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化カルシウム等の無機金属酸化物が挙げられる。金属酸化物は単独で用いられてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。これらの金属酸化物の中でも特に、透明性、ガスバリア性および基材との密着性の観点から、酸化ケイ素または酸化アルミニウムを用いることが好ましい。
この金属酸化物の蒸着層2の膜厚としては、使用する金属酸化物の種類によっても異なるため特に制限はないが、例えば、10Å〜1000Å程度の範囲で形成させることが好適である。
フィルム基材1への金属酸化物の蒸着方法としては、特に限定されず、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンスプレーディング法等の物理気相成長法(PVD法)、あるいはプラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(CVD法)等の公知の方法を用いることができる。ただし、生産性等を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も好適である。
(第1のバリア性コーティング層)
本実施形態において、上記金属酸化物の蒸着層2上に設ける第1のバリア性コーティング層3は、下記一般式(I)で表される特定のシラザン骨格を基本とするポリマーを主成分とする塗工液を上記金属酸化物の蒸着層2上に塗工・乾燥することにより形成することができる。
本実施形態において、上記金属酸化物の蒸着層2上に設ける第1のバリア性コーティング層3は、下記一般式(I)で表される特定のシラザン骨格を基本とするポリマーを主成分とする塗工液を上記金属酸化物の蒸着層2上に塗工・乾燥することにより形成することができる。
一般式(I)
(-SiR1R2-NR3-)n
(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基またはアルコキシ基を表す。nは繰り返し単位数を表す。)
(-SiR1R2-NR3-)n
(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基またはアルコキシ基を表す。nは繰り返し単位数を表す。)
本発明において、上記特定のシラザン骨格を基本とするポリマーは、得られるガスバリア膜としての緻密性の観点から、上記一般式(I)中のR1、R2およびR3がそれぞれ水素原子であるパーヒドロポリシラザン(以下、単に「ポリシラザン」と呼ぶこともある。)であることが好ましい。
上記特定のシラザン骨格を基本とするポリマーを含む塗工液を調製する有機溶媒としては、上記シラザン骨格を基本とするポリマーと相溶する溶媒であれば使用することができるが、上記シラザン骨格を基本とするポリマーを分解させる可能性のあるアルコール系溶媒および水分を含みやすい溶媒の使用は好ましくない。従って、具体的には脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素等の炭化水素系溶媒、脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル系溶媒などが好ましく使用できる。例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、キシレン、トルエン、ソルベッソ、ターベン、ジクロロメタン、トリクロロエタン、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等を使用することができる。
上記特定のシラザン骨格を基本とするポリマーを含む塗工液中の当該ポリマーの固形分濃度として、具体的には0.1wt%〜20wt%であることが好ましい。
上記特定のシラザン骨格を基本とするポリマーを含む塗工液の塗工方法としては、例えば、グラビアコート、スプレーコート、スピンコート、ディッピング法、バーコート、ダイコート、スクリーン印刷法等の公知の方法を使用することができる。
上記特定のシラザン骨格を基本とするポリマーを含む塗工液を塗工して得られた塗布膜の乾燥膜厚としては、例えば50nm〜600nmの範囲であることが好ましく、より好ましくは50nm〜400nmの範囲であり、さらに好ましくは50nm〜200nmの範囲である。上記膜厚が50nm未満の場合、電子部材用途の要求レベルを満たすことのできる十分なガスバリア性を得ることが困難となるおそれがある。一方、上記膜厚が600nmを超えると、クラックが発生しやすくなるので好ましくない。
また、上記特定のシラザン骨格を基本とするポリマーを含む塗工液を塗工して得られた第1のガスバリアーコーティング層3の乾燥条件としては、金属酸化物の蒸着層2を設けたフィルム基材1の物性および形状を損なわない範囲であればよく、具体的には50〜200℃、好ましくは70〜150℃の温度で、0.005〜60分間、好ましくは0.01〜10分間程度である。
本実施形態においては、上記のようにして形成された第1のガスバリアーコーティング層3に対して、真空紫外線照射処理を施すことがガスバリア性向上の点から好ましい。この真空紫外線照射処理は、真空中で波長100〜200nmの紫外線を照射するものであり、例えば、エキシマランプ照射を例として挙げることができる。この真空紫外線照射処理は、上記特定のシラザン骨格を基本とするポリマーの分子結合を開裂させ、緻密な分子構造を有するケイ素―酸素結合に置換させる効果を有し、緻密なシリカ転化膜へ改質される。
上記真空紫外線照射処理の照射強度や照射時間は、金属酸化物の蒸着層2を設けたフィルム基材1がダメージを受けない範囲であれば任意に設定することができる。例えば、照射強度を50〜200mW/cm2、照射時間を0.1秒〜10分の範囲で設定することができる。
また、上記真空紫外線照射処理を行う際の雰囲気中の酸素濃度は、0.01〜1%とすることが好ましく、0.05〜0.5%とすることがより好ましい。酸素濃度が上記範囲にあることで真空紫外線の光エネルギーが酸素に阻害されることなく上記第1のガスバリアーコーティング層3の塗布膜表面にまで到達することができる。これにより、第1のバリア性コーティング層3は効率的にシリカ転化膜へと改質される。なお、酸素濃度は酸素以外の乾燥不活性ガスを系内に流入させることで調節することができ、乾燥不活性化ガスとしては例えば乾燥窒素ガスを使用することができる。
(第2のバリア性コーティング層)
本実施形態において、第2のバリア性コーティング層4は、下記一般式(II)で表される少なくとも1種類以上の金属アルコキシドを水および有機溶媒中で酸もしくは塩基触媒下、加水分解反応および縮合反応、すなわちゾルゲル法を経て生成させた金属酸化物のポリマーを主成分とするゾルゲルコーティング塗工液を第1のバリア性コーティング層3上に塗工・乾燥することにより形成することができる。
本実施形態において、第2のバリア性コーティング層4は、下記一般式(II)で表される少なくとも1種類以上の金属アルコキシドを水および有機溶媒中で酸もしくは塩基触媒下、加水分解反応および縮合反応、すなわちゾルゲル法を経て生成させた金属酸化物のポリマーを主成分とするゾルゲルコーティング塗工液を第1のバリア性コーティング層3上に塗工・乾燥することにより形成することができる。
一般式(II)
R4nM(OR5)m
(式中、R4およびR5はそれぞれ炭素数1〜30のアルキル基を表し、Mは金属原子を表す。nは0〜3の整数、mは1〜4の整数であって、且つ金属原子Mとの結合数を表す。)
R4nM(OR5)m
(式中、R4およびR5はそれぞれ炭素数1〜30のアルキル基を表し、Mは金属原子を表す。nは0〜3の整数、mは1〜4の整数であって、且つ金属原子Mとの結合数を表す。)
上記金属アルコキシドは、アルコキシドの部分加水分解物およびアルコキシドの加水分解縮合物のどちらかを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、アルコキシドの部分加水分解物としては、アルコキシ基のすべてが加水分解されている必要はなく、1個以上が加水分解されているもの、および、それらの混合物であってもよく、さらに、加水分解縮合物としては、部分加水分解アルコキシドの2量体以上のものを使用することができる。
また、上記一般式(II)において、Mで表される金属原子としては、例えばケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウム等が挙げられるが、なかでもバリア性および溶液安定性の観点からケイ素が好適である。
また、上記一般式(II)において、R4およびR5でそれぞれ表される炭素数1〜30のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基、n−ヘンエイコシル基、n−ドコシル基、n−トリコシル基、n−テトラコシル基、n−ペンタコシル基、n−ヘキサコシル基、n−ヘプタコシル基、n−オクタコシル基、n−ノナコシル基、n−トリアコンチル基等を挙げることができる。
さらに、上記一般式(II)において、R5で表されるアルキル基としては、特に炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基等を挙げることができる。
なお、上記一般式(II)において、同一分子中にこれらアルキル基R4が複数含まれる場合、それらは同一であっても、異なっていてもよい。また、アルキル基R5についても同様である。
なお、上記一般式(II)において、同一分子中にこれらアルキル基R4が複数含まれる場合、それらは同一であっても、異なっていてもよい。また、アルキル基R5についても同様である。
上記ゾルゲル法で使用する触媒としては、酸触媒を用いてもよく、塩基触媒を用いてもよい。酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸等が挙げられる。また、塩基触媒としては、反応溶液の均一性の保持の観点から第3級アンモニウム化合物を使用することが好ましい。
上記ゾルゲル法で使用する有機溶媒としては、水と一部もしくは全てと相溶する溶媒であれば使用することができ、例えば、メタノール、エタノール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルブタノール、セカンダリーブタノール、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル等を使用することができる。
上記ゾルゲル法で使用する水の量としては、特に制限はないが、中でも金属アルコキシドのモル数に対して、1〜2倍のモル数の範囲にあることが好ましい。これにより、下層の例えばポリシラザン層からなる第1のバリア性コーティング層3の欠陥を補修することに好適な金属酸化物ポリマー層からなる第2のバリア性コーティング層4を形成することが容易となる。
本実施形態においては、上記ゾルゲル法によって生成する金属酸化物ポリマーの重量平均分子量を200以上100万以下の範囲に調整することが好ましい。金属酸化物ポリマーの重量平均分子量が200未満であると造膜性に欠ける。一方、金属酸化物ポリマーの重量平均分子量が100万を超えると、ゾルゲルコーティング塗工液中に金属酸化物ポリマーのゲル化物が発生するため、塗工した第2のバリア性コーティング層4に欠陥が生じやすくなり、十分なガスバリア性が発現できないとともに、金属酸化物ポリマーによる第1のバリア性コーティング層3の補修効果(第1のバリア性コーティング層3に生じた欠陥を補修する効果)も得られにくい。
本実施形態において、ガスバリア性の観点から、上記金属酸化物ポリマーのより好ましくは重量平均分子量が200以上10万以下の範囲であり、さらに好ましくは重量平均分子量が200以上1万以下の範囲である。
なお、本発明においては、上記金属酸化物ポリマーの重量平均分子量は、光散乱光度計による測定によって得られる値をいうものとする。
なお、本発明においては、上記金属酸化物ポリマーの重量平均分子量は、光散乱光度計による測定によって得られる値をいうものとする。
上記金属酸化物ポリマーの分子量(重量平均分子量)を調整する方法としては以下の方法が挙げられる
すなわち、金属アルコキシドの種類、金属アルコキシドを2種以上併用する場合の組み合わせ、ゾルゲル法における水の量(金属アルコキシドのモル数に対して、1〜2倍のモル数)や有機溶媒の量(金属アルコキシドのモル数に対して、0〜20倍のモル数)、酸もしくは塩基触媒の添加量(金属アルコキシドのモル数に対して、0.01〜0.1倍のモル数)、反応時間(10分以上)、反応温度(0〜80℃)を適宜調整することで、ゾルゲル法によって生成する金属酸化物のポリマーの分子量を調整することができる。
すなわち、金属アルコキシドの種類、金属アルコキシドを2種以上併用する場合の組み合わせ、ゾルゲル法における水の量(金属アルコキシドのモル数に対して、1〜2倍のモル数)や有機溶媒の量(金属アルコキシドのモル数に対して、0〜20倍のモル数)、酸もしくは塩基触媒の添加量(金属アルコキシドのモル数に対して、0.01〜0.1倍のモル数)、反応時間(10分以上)、反応温度(0〜80℃)を適宜調整することで、ゾルゲル法によって生成する金属酸化物のポリマーの分子量を調整することができる。
上記ゾルゲルコーティング塗工液中の金属酸化物ポリマーの固形分濃度として、具体的には0.01wt%〜30wt%であることが好ましく、0.05wt%〜15wt%であることがより好ましく、0.5wt%〜5wt%であることがさらに好ましい。
上記ゾルゲルコーティング塗工液は、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて添加剤を加えることができ、例えば、レベリング剤、溶液安定化剤、難燃剤、可塑剤、表面処理剤、カップリング剤、着色剤等が挙げられる。
なお、上記ゾルゲルコーティング塗工液中に、造膜性の向上の目的で水溶性又はアルコール性高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エチレンービニルアルコール共重合体、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなど)を含有させると、特に高温高湿下での水蒸気バリア性を十分に発揮することができなくなるため、上記水溶性又はアルコール性高分子を含有しないことが望ましい。
上記ゾルゲルコーティング塗工液の塗工方法としては、例えば、グラビアコート、スプレーコート、スピンコート、ディッピング法、バーコート、ダイコート、スクリーン印刷法等の公知の方法を使用することができる。
上記ゾルゲルコーティング塗工液は1回または複数回の塗布で、乾燥膜厚が例えば0.01〜5.0μmの第2のバリア性コーティング層4を形成することができる。第2のバリア性コーティング層4の膜厚が上記範囲内であることにより、上記第2のバリア性コーティング層4の成膜時にクラック等が発生することを効果的に防止することができ、良好なガスバリア性を維持することができる。また、上記第2のバリア性コーティング層4の膜厚が上記範囲内であることにより、第2のバリア性コーティング層4の成膜の際、第2のバリア性コーティング層4の速乾性を高めることができ、製造工程上有利となる。
本実施形態において、上述の効果を十分に発現させる観点からは、第2のガスバリア性コーティング層4の膜厚は、好ましくは0.1〜1.0μmの範囲である。
本実施形態において、上述の効果を十分に発現させる観点からは、第2のガスバリア性コーティング層4の膜厚は、好ましくは0.1〜1.0μmの範囲である。
また、上記ゾルゲルコーティング塗工液を塗工して得られた塗布膜の乾燥条件としては、金属酸化物の蒸着層2と第1のバリア性コーティング層3とを設けたフィルム基材1の物性および形状を損なわない範囲であればよい。具体的には50〜200℃、好ましくは70〜150℃の温度で、0.005〜60分間、好ましくは0.01〜10分間、加熱および乾燥することにより第2のバリア性コーティング層4が形成されることが好適である。
以下に本発明について実施例及び比較例を挙げて具体的に説明する。以下の実施例及び比較例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
[実施例1]
<金属酸化物の蒸着層形成工程>
延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製の商品名称ルミラーS10、厚さ12μm)の一方の面に、SiOを蒸発源として、5×10-5Torrの真空下で、電子線加熱方式による真空蒸着法により厚さ400Åのケイ素酸化物蒸着層を形成させたガスバリア性基材フィルムを作製した。
<金属酸化物の蒸着層形成工程>
延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製の商品名称ルミラーS10、厚さ12μm)の一方の面に、SiOを蒸発源として、5×10-5Torrの真空下で、電子線加熱方式による真空蒸着法により厚さ400Åのケイ素酸化物蒸着層を形成させたガスバリア性基材フィルムを作製した。
<第1のバリア性コーティング層形成工程>
上記ガスバリア性基材フィルム上に、ポリシラザンキシレン溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製)を乾燥後膜厚が200nmとなるように塗工し、100℃で1分間乾燥させることによりポリシラザン層を得た。前記ポリシラザン層に対し、真空紫外線照射装置(株式会社エム・ディ・エキシマ製)を用いて窒素ガス雰囲気下、波長172nmの真空紫外線を照射し、第1のバリア性コーティング層(シリカ転化膜)を形成させた。
上記ガスバリア性基材フィルム上に、ポリシラザンキシレン溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製)を乾燥後膜厚が200nmとなるように塗工し、100℃で1分間乾燥させることによりポリシラザン層を得た。前記ポリシラザン層に対し、真空紫外線照射装置(株式会社エム・ディ・エキシマ製)を用いて窒素ガス雰囲気下、波長172nmの真空紫外線を照射し、第1のバリア性コーティング層(シリカ転化膜)を形成させた。
<第2のバリア性コーティング層形成工程>
上記第1のバリア性コーティング層上に、下記ゾルゲルコーティング塗工液を乾燥後膜厚が100nmとなるように塗工し、100℃で1分間乾燥させることにより第2のバリア性コーティング層(ゾルゲル膜)を形成させ、本実施例のガスバリアフィルムを得た。
(ゾルゲルコーティング塗工液の調製)
エタノール1.15g中にテトラエトキシシラン1.04gと0.3Nの塩酸を0.18g加えた後、室温で10分撹拌して金属酸化物(ケイ素酸化物)ポリマーを生成させ、当該金属酸化物ポリマーを主成分とするゾルゲルコーティング塗工液を調製した。ゾルゲルコーティング塗工液中に生成した金属酸化物ポリマーの重量平均分子量は300であった。なお、重量平均分子量(Mw)は光散乱光度計により測定を行った。
上記第1のバリア性コーティング層上に、下記ゾルゲルコーティング塗工液を乾燥後膜厚が100nmとなるように塗工し、100℃で1分間乾燥させることにより第2のバリア性コーティング層(ゾルゲル膜)を形成させ、本実施例のガスバリアフィルムを得た。
(ゾルゲルコーティング塗工液の調製)
エタノール1.15g中にテトラエトキシシラン1.04gと0.3Nの塩酸を0.18g加えた後、室温で10分撹拌して金属酸化物(ケイ素酸化物)ポリマーを生成させ、当該金属酸化物ポリマーを主成分とするゾルゲルコーティング塗工液を調製した。ゾルゲルコーティング塗工液中に生成した金属酸化物ポリマーの重量平均分子量は300であった。なお、重量平均分子量(Mw)は光散乱光度計により測定を行った。
[実施例2]
上記第2のバリア性コーティング層(ゾルゲル膜)の乾燥後膜厚を1000nmとした以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを得た。
上記第2のバリア性コーティング層(ゾルゲル膜)の乾燥後膜厚を1000nmとした以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを得た。
[実施例3]
上記第1のバリア性コーティング層(シリカ転化膜)の乾燥後膜厚を500nmとした以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを得た。
上記第1のバリア性コーティング層(シリカ転化膜)の乾燥後膜厚を500nmとした以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを得た。
[比較例1]
上記第2のバリア性コーティング層(ゾルゲル膜)を形成させなかったこと以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを得た。
上記第2のバリア性コーティング層(ゾルゲル膜)を形成させなかったこと以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを得た。
[比較例2]
上記第2のバリア性コーティング層を、エチレン/ビニルアルコール系共重合体分散液を乾燥後膜厚が100nmとなるように塗工し、100℃で1分間乾燥させて形成したコーティング層に変更した以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを得た。
上記第2のバリア性コーティング層を、エチレン/ビニルアルコール系共重合体分散液を乾燥後膜厚が100nmとなるように塗工し、100℃で1分間乾燥させて形成したコーティング層に変更した以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを得た。
[比較例3]
上記第1のバリア性コーティング層と第2のバリア性コーティング層の順番を入れ替えた以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを得た。
上記第1のバリア性コーティング層と第2のバリア性コーティング層の順番を入れ替えた以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを得た。
[比較例4]
上記ケイ素酸化物蒸着層を形成させなかったこと以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを得た。
上記ケイ素酸化物蒸着層を形成させなかったこと以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを得た。
<評価>
得られた上記各実施例および各比較例のガスバリアフィルムの水蒸気バリア性(透湿度)を下記の基準で評価した。
(測定条件)
ガス透過試験機(GTRテック株式会社製GTR−WVNC型)を用いて、JIS K7129Cに準拠して、40℃、90%RHの高温高湿下、1atmの差圧法にて測定した。
(評価基準)
◎:透湿度が5×10-3g/m2/day未満
○:透湿度が5×10-3g/m2/day以上1×10-3g/m2/day未満
△:透湿度が1×10-3g/m2/day以上1×10-1g/m2/day未満
×:透湿度が1×10-1g/m2/day以上
得られた上記各実施例および各比較例のガスバリアフィルムの水蒸気バリア性(透湿度)を下記の基準で評価した。
(測定条件)
ガス透過試験機(GTRテック株式会社製GTR−WVNC型)を用いて、JIS K7129Cに準拠して、40℃、90%RHの高温高湿下、1atmの差圧法にて測定した。
(評価基準)
◎:透湿度が5×10-3g/m2/day未満
○:透湿度が5×10-3g/m2/day以上1×10-3g/m2/day未満
△:透湿度が1×10-3g/m2/day以上1×10-1g/m2/day未満
×:透湿度が1×10-1g/m2/day以上
また、上記各実施例および各比較例のガスバリアフィルムの耐屈曲性は、直径50mmの円筒に上記各実施例および各比較例のガスバリアフィルムを巻き、5分間保持した後、透湿度を測定した。
(評価基準)
○:透湿度が試験前に測定した値から10%未満の変化であったもの
×:透湿度が試験前に測定した値から10%以上の変化であったもの
(評価基準)
○:透湿度が試験前に測定した値から10%未満の変化であったもの
×:透湿度が試験前に測定した値から10%以上の変化であったもの
また、上記各実施例および各比較例のガスバリアフィルムの長期保存性は、23℃、50%RH環境下で1か月保存した後、透湿度を測定した。
(評価基準)
○:透湿度が試験前に測定した値から10%未満の変化であったもの
×:透湿度が試験前に測定した値から10%以上の変化であったもの
以上の評価結果を纏めて下記表1に示した。
(評価基準)
○:透湿度が試験前に測定した値から10%未満の変化であったもの
×:透湿度が試験前に測定した値から10%以上の変化であったもの
以上の評価結果を纏めて下記表1に示した。
上記表1の結果から、本発明の実施例のガスバリアフィルムによれば、第1のバリア性コーティング層(シリカ転化膜)上に第2のバリア性コーティング層(ゾルゲル膜)を設けることで、特に高温高湿下での良好な水蒸気バリア性が得られることがわかる(実施例1〜3を参照)。
一方、第1のバリア性コーティング層(シリカ転化膜)上に第2のバリア性コーティング層(ゾルゲル膜)を設けないガスバリアフィルム(比較例1)では、第2のバリア性コーティング層(ゾルゲル膜)を設けた実施例のガスバリアフィルムに比べると水蒸気バリア性は十分であるとは言えず、さらに耐屈曲性と長期保存性にも劣る。
一方、第1のバリア性コーティング層(シリカ転化膜)上に第2のバリア性コーティング層(ゾルゲル膜)を設けないガスバリアフィルム(比較例1)では、第2のバリア性コーティング層(ゾルゲル膜)を設けた実施例のガスバリアフィルムに比べると水蒸気バリア性は十分であるとは言えず、さらに耐屈曲性と長期保存性にも劣る。
また、耐屈曲性を発現させる方法として、エチレン/ビニルアルコール系共重合体から得られる膜をシリカ膜上に設ける方法が特開2009−6508号公報に開示されているが、このようなエチレン/ビニルアルコール系共重合体から得られる膜を設けて作製したガスバリアフィルム(比較例2)では、耐屈曲性と長期保存性は良好であるものの、高温高湿下では水蒸気バリア性を十分に発揮することができず、耐屈曲性、長期保存性と水蒸気バリア性との両立が困難である。さらに、上記第1のバリア性コーティング層と第2のバリア性コーティング層の順番を入れ替えた比較例3のガスバリアフィルムにおいては、水蒸気バリア性と耐屈曲性の両立は可能であるが、シリカ転化膜がフィルム最表面に設置されているため、水蒸気の侵入を受けやすく、長期保存性が得られない。
また、蒸着層を設けずに作製したガスバリアフィルム(比較例4)では、長期保存性と耐屈曲性が良好であるものの、電子部材用途の要求レベルを満たすことのできる程のガスバリア性を発揮することができない。なお、実施例1のガスバリアフィルムのように、蒸着層上に第1のバリア性コーティング層(シリカ転化膜)と第2のバリア性コーティング層(ゾルゲル膜)を設けた場合、シリカ骨格から成る3層の相乗効果により、高いガスバリア性が得られる。
1 フィルム基材
2 金属酸化物の蒸着層
3 第1のバリア性コーティング層
4 第2のバリア性コーティング層
5 ガスバリアフィルム
2 金属酸化物の蒸着層
3 第1のバリア性コーティング層
4 第2のバリア性コーティング層
5 ガスバリアフィルム
Claims (4)
- フィルム基材上に金属酸化物層が設けられたガスバリアフィルムであって、前記金属酸化物層は、金属酸化物の蒸着層、下記一般式(I)で表されるシラザン骨格を基本とするポリマーを主成分とする第1のバリア性コーティング層、下記一般式(II)で表される金属アルコキシドからなる金属酸化物ポリマーを主成分とする第2のバリア性コーティング層をこの順で設けてなることを特徴とするガスバリアフィルム。
一般式(I)
(-SiR1R2-NR3-)n
(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基またはアルコキシ基を表す。nは繰り返し単位数を表す。)
一般式(II)
R4nM(OR5)m
(式中、R4およびR5はそれぞれ炭素数1〜30のアルキル基を表し、Mは金属原子を表す。nは0〜3の整数、mは1〜4の整数であって、且つ金属原子Mとの結合数を表す。) - 前記金属酸化物ポリマーの重量平均分子量が、200以上100万以下の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリアフィルム。
- 前記第2のバリア性コーティング層の膜厚は、0.01μm〜5.0μmの範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスバリアフィルム。
- フィルム基材上に金属酸化物層が設けられたガスバリアフィルムの製造方法であって、
前記金属酸化物層は、金属酸化物の蒸着層、下記一般式(I)で表されるシラザン骨格を基本とするポリマーを主成分とする第1のバリア性コーティング層、下記一般式(II)で表される金属アルコキシドからなる金属酸化物ポリマーを主成分とする第2のバリア性コーティング層をこの順で設け、前記第1のバリア性コーティング層が真空紫外線照射処理されることを特徴とするガスバリアフィルムの製造方法。
一般式(I)
(-SiR1R2-NR3-)n
(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基またはアルコキシ基を表す。nは繰り返し単位数を表す。)
一般式(II)
R4nM(OR5)m
(式中、R4およびR5はそれぞれ炭素数1〜30のアルキル基を表し、Mは金属原子を表す。nは0〜3の整数、mは1〜4の整数であって、且つ金属原子Mとの結合数を表す。)
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