JP2015185659A - 電磁波シールドフィルム転写用ポリエステルフィルム - Google Patents

電磁波シールドフィルム転写用ポリエステルフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】電磁波シールドフィルムをFPCやモジュール等の部材に転写するに際して、良好な艶消し外観を表面に付与できると同時に、転写工程における高温処理を経ても、転写後の支持フィルム剥離性に優れた支持フィルムを提供すること。
【解決手段】ポリエステルフィルムの少なくとも片側表面に凹凸を有し、該表面における光沢度(G60)が10以上20以下であり、フィルムのサブピーク温度(Tsm)が230℃以上245℃以下である電磁波シールドフィルム転写用ポリエステルフィルムにより達成される。
【選択図】なし

Description

本発明は、電磁波シールドフィルムをフレキシブルプリントサーキットやモジュールに転写するにあたって支持フィルムとなる、電磁波シールドフィルム転写用ポリエステルフィルムに関するものである。さらに詳しくは、かかる転写と同時に支持フィルム表面の凹凸形状も転写して、電磁波シールドフィルム表面に非光沢面を付与するのに好適な、電磁波シールドフィルム転写用ポリエステルフィルムに関するものである。
従来、パソコンのような事務機器、携帯電話のような通信機器および医療機器を包含する電子機器や、それを内蔵する各種機器において、近傍界から発生する電磁波を吸収して、誤動作;接点の誤接触;ノイズなどの障害を抑制するために電磁波シールドフィルムで被覆することが知られ、近年、支持フィルム上に電磁波シールドフィルムを形成し(例えば、保護層、電磁波シールド層がこの順に積層された電磁波シールドフィルム)、これを各種機器表面に高温圧着して電磁波シールドフィルムを転写することが行われている。(例えば、特許文献1、2)
また、従来の転写型の電磁波シールドフィルムは、クリアな成品外観を得るために平坦な支持フィルムが用いられていたが、近年、艶消し外観を有する成品の表面外観についても転写法を用いて付与する試みがなされつつある。それに伴い、艶消し層を備えた、艶消し外観転写性に優れた支持フィルムが求められるようになってきた。
一方、艶消し層を備えたフィルムについて、特許文献3には、成形性、厚さ斑、耐熱性に優れた成形用艶消し積層ポリエステルフィルムが開示されている。しかしながら、電磁波シールドフィルム転写用の支持フィルムとしての検討はなされておらず、よって耐熱性については、通常の成形加工用としては十分であっても、電磁波シールドフィルム転写用の支持フィルムとしては不十分である。
また、特許文献4には、良好な艶消し性と透明性とを有する二軸延伸共押出し艶消しポリエステルフィルムが開示されており、積層フィルムの片面に粒径が2〜5μmの粒子を1〜10重量%添加することが開示されているものの、具体的に例示されているフィルム光沢度(G60)は50〜70程度であり、また、転写加工用の支持フィルムとして用いる検討はなされておらず、耐熱性についても何ら認識がない。
特開2004−95566号公報 特開2009−38278号公報 特開平4−110147号公報 特開2002−200723号公報
近年、電磁波シールドフィルムをフレキシブルプリントサーキット(FPC)やモジュールに転写するに際して、生産効率を高めるべく、より高温での転写加工処理がなされるようになってきた。しかしながら、このような転写条件においては、上述したような従来の支持フィルムでは耐熱性が不足し、支持フィルムを剥離する際に支持フィルムが破断してしまう等の剥離性に問題がある。
本発明は、上記を鑑みなされたもので、その目的は、電磁波シールドフィルムをFPCやモジュール等の部材に転写するに際して、良好な艶消し外観を表面に付与できると同時に、転写工程における高温処理を経ても、転写後に支持フィルムを剥離するに際して破断等の剥離性低下の生じ難い、支持フィルムを提供することにある。
本発明者等は、かかる課題を解決するために鋭意検討した結果、表面光沢度が特定範囲にあるポリエステルフィルムのサブピーク温度を特定範囲内とすれば、電磁波シールドフィルム表面に良好な艶消し外観を付与できるとともに、転写加工後のフィルム剥離性も良好になることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、
「1.ポリエステルフィルムの少なくとも片側表面に凹凸を有し、該表面における光沢度(G60)が10以上20以下であり、フィルムのサブピーク温度(Tsm)が230℃以上245℃以下であることを特徴とする、電磁波シールドフィルム転写用ポリエステルフィルム。
2.ポリエステルフィルムが、基材層と少なくとも一方の表面に粒子含有の艶消し層とを有する積層ポリエステルフィルムであって、該艶消し層表面の光沢度(G60)が10以上20以下である、上記1に記載の電磁波シールドフィルム転写用ポリエステルフィルム。
3.基材層の粒子含有量が、基材層質量を基準として3.0質量%以下である、上記2に記載の電磁波シールドフィルム転写用ポリエステルフィルム。
4.基材層を構成するポリエステルおよび艶消し層を構成するポリマーが、いずれもポリエチレンテレフタレートである、上記2または3に記載の電磁波シールドフィルム転写用ポリエステルフィルム。
5.艶消し層中の粒子が、不定形シリカまたは合成ゼオライトである、上記2〜4のいずれかに記載の電磁波シールドフィルム転写用ポリエステルフィルム。」
が提供される。
本発明によれば、凹凸面側に形成した電磁波シールドフィルムをFPCやモジュール等の部材に転写するに際し、良好な艶消し外観を部材表面に付与できると同時に、かかる転写工程における高温処理を経ても、転写後に支持フィルムを剥離するに際して破断等の剥離性低下の生じ難い、電磁波シールドフィルム転写用ポリエステルフィルムを提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
<ポリエステルフィルム>
(ポリエステル)
本発明の電磁波シールド転写用ポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、芳香族二塩基酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルである。かかるポリエステルの具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等を例示することができ、これらに少量の従成分を共重合した共重合体またはこれと少割合の他樹脂とのブレンド物等であってもよい。これらのうち、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが耐熱性の観点から好ましく、さらにポリエチレンテレフタレートが耐熱性と成形性のバランスが良いので特に好ましい。
(光沢度:G60
本発明の電磁波シールド転写用ポリエステルフィルムは、その少なくとも片側表面に凹凸を有しており、該表面の光沢度(G60)が10以上20以下、好ましくは10以上15以下であることが必要である。なお、ここでいう光沢度(G60)とは、JIS規格Z8741に準拠し、入射角、受光角ともに60°で測定した値である。光沢度がこの範囲であることにより、艶消し表面外観を電磁波シールドフィルム表面に好適に付与することができる。光沢度が下限より小さいものは、後述のように、粒子の添加量を増加したりサンドマット処理を強化することとなり、フィルム製膜性の悪化や転写工程での高温圧着後の重剥離化が起こるので好ましくない。一方、光沢度が超えると、電磁波シールドフィルム表面に十分な艶消し外観を付与できなくなるので好ましくない。
表面に凹凸を形成して上述のような光沢度とする方法としては、例えば少なくともフィルム片側面をサンドマット処理する方法や、少なくとも片側表面に凹凸形成のための粒子を含有する艶消し層を有する積層フィルムとする等を挙げることができる。本発明においては、より高い耐熱性を付与することができ、また異物の混入等の問題も比較的少ないことから、基材層と少なくとも一方の表面に粒子含有の艶消し層とを有する積層ポリエステルフィルム、特に両層がポリエステル、なかでもポリエチレンテレフタレートで構成された共押出しの積層ポリエステルフィルムが好ましい。
(表面粗さ)
本発明の凹凸を有する表面(艶消し面)の10点平均粗さRzは、3000nm以上、6000nm以下であることが好ましく、より好ましくは4000nm以上、5000nm以下である。艶消し面の10点平均粗さRzがかかる範囲内であることにより、転写後の電磁波シールドフィルム表面の艶消し外観性をより高めることができる。この10点平均粗さRzが下限値に満たない場合、艶消し外観性の向上効果が小さくなる。一方、10点平均粗さRzが上限値を超える場合、艶消し外観性は良好であるものの、表面の凹凸が激し過ぎるために、製膜の際に粒子の脱落が起こったり、転写工程での高温圧着後の重剥離化が起こる等の不具合が生じることがある。
なお、艶消し表面の10点平均粗さRzは、例えば後述する平均粒径および最大粒子径を有する粒子を後述する範囲内で含有する艶消し層を有する積層ポリエステルフィルムとすることにより得られる。
(艶消し層)
積層ポリエステルフィルムの少なくとも一方の表面を占める艶消し層は、表面に凹凸を形成するための粒子(凹凸形成性粒子)を含有するポリマーからなる。粒子を含有させるポリマーは特に限定されないが、ポリエステル、特に後述する基材層に用いられるポリエステルと同一のものが好ましい。また粒子の平均粒径は2.5μm以上、5.5μm以下が好ましく、その含有量は、艶消し層の質量を基準として5質量%以上、25質量%以下が好ましい。さらに、艶消し層に含有する粒子の最大粒子径を16μm以下にすることが好ましい。このような態様とすることで、十分な艶消し外観を得ながら、転写工程での高温圧着後の剥離性を優れたものにし易くなる。
艶消し層中の粒子含有量が下限値に満たない場合は、上述の光沢度が得難くなる傾向にあり、他方、上限値を超える場合は、転写工程での高温圧着後の剥離性改善効果が低くなる傾向にあるだけでなく、製膜性が低下して破れが発生しやすくなる等、フィルムの製膜自体が困難となる傾向にある。これらの観点から、粒子の含有量は、好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは7質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以下である。
粒子の平均粒径は、好ましくは3.0μm以上、5.5μm以下、さらに好ましくは3.0μm以上、5.3μm以下である。粒子の平均粒径が下限に満たない場合は、光沢度を下げる効果が低下し、光沢度を下げるためにさらに粒子の添加量を増やすこととなり、転写工程での高温圧着後の剥離性改善効果が低くなる傾向にある。一方、粒子の平均粒径が上限値を超える場合は、高温圧着後の剥離性改善効果が低くなる傾向にあるだけでなく、フィルムの製膜性も劣る傾向にある。
また、粒子の最大粒子径は、好ましくは15μm以下、さらに好ましくは12μm以下である。なお、ここでいう最大粒子径は、累積粒径分布曲線の98%における粒径(d98)である。
艶消し層に用いられる粒子は、TG−DTA法による300℃での重量変化が0%以上、3.0%以下であることが好ましく、さらには1.5%以上、3.0%以下であることが好ましい。なお、ここでいう粒子の重量変化は、具体的にはTG−DTA装置により30℃から500℃まで昇温速度10℃/分で昇温した際の、300℃における重量変化を測定したものである。該重量変化が上限値を超えると、ポリエステルフィルムの製造工程や電磁波シールドフィルム転写工程で発泡を引き起こしたり、分子量を低下させてフィルムの製膜性や耐熱性を低下させる場合があり、特に粒子を多量に含有させた場合にフィルムの製膜性や耐熱性を著しく低下させることがある。
粒子の種類としては、無機粒子、有機粒子のどちらでもよく、不定形シリカ(コロイドシリカ)、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸リチウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、アルミナ、カーボンブラック、二酸化チタン、カオリン、合成ゼオライト、架橋ポリスチレン粒子、架橋アクリレート粒子などが例示される。これらの粒子の中で、不定形シリカまたは合成ゼオライトが好ましく、これらはいずれか1種を用いても併用してもよい。また同じ種類で粒径が異なる粒子の混合物を用いてもよい。また、不定形シリカの場合は、シランカップリング剤で表面処理して、水分吸着性を低下したものがより好ましい。
特に好ましい粒子は合成ゼオライトであり、合成ゼオライトの吸着性、特に水分吸着性を低下させるために、pHが5以上の酸で粒子形状を崩さない程度の酸処理をしたものが好ましく、さらに300℃以上の温度で熱処理したものが好ましい。
粒子の形状は特に規定するものではないが、不定形であると粒度分布が広くなり、凝集による粗大突起を引き起こしやすく、高温圧着後の剥離性改善効果が低くなったり、フィルムの製膜性が低下することがある。したがって粒子の形状は球状もしくは多面状であることが好ましい。好ましい粒子として、球状もしくは多面状の合成ゼオライトが例示される。特に多面形状の粒子の場合は艶消し効果が得られやすい。多面形状の粒子の中でも、特に立方体形状の粒子が好ましい。
これらの粒子の添加方法は特に制限されないが、例えばポリエステルの重縮合中のグリコール分散系に添加する方法、押出中マスターバッチを介して艶消し層に添加する方法等が挙げられる。
かかる艶消し層の厚みは3〜10μm、好ましくは4〜9μmの範囲が適当である。
(基材層)
本発明の電磁波シールドフィルム転写用ポリエステルフィルムは、艶消し層と基材層とを有することにより、より安定した製膜性が得られる。基材層がなく、粒子を多量に含む艶消し層だけでは、Tsmを所望の値にすることが難しくなりやすく、また製膜性も低下しやすい。
基材層は、粒子の含有量が基材層の質量を基準として3.0質量%以下であるポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートで構成されていることが好ましく、より好ましくは2.5質量%以下、さらに好ましくは2.0質量%以下である。このような態様にすることにより、Tsmを所望の値にしながら、優れた製膜性を得やすくなる。
基材層に用いられる粒子の種類は、通常フィルムに添加される粒子であれば特に限定されず、無機粒子、有機粒子のいずれでもよい。具体的には不定形シリカ(コロイドシリカ)、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸リチウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、アルミナ、カーボンブラック、二酸化チタン、カオリン、合成ゼオライト、架橋ポリスチレン粒子、架橋アクリレート粒子などが挙げられる。これらの粒子のうちの1種、または2種以上の異なる粒子を含有させてもよく、また同じ種類で粒径が異なる粒子の混合物を用いてもよい。
基材層には、本発明の目的を損なわない範囲であればポリエステル以外の他の樹脂、着色剤、帯電防止剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤等を必要に応じて含有することもできる。
基材層の厚みは、好ましくは10〜140μm、さらに好ましくは20〜100μm、特に好ましくは40〜60μmであることが好ましい。
(サブピーク温度Tsm)
本発明の電磁波シールドフィルム転写用ポリエステルフィルムは、サブピーク温度(Tsm)が230℃以上245℃以下であることが必要である。Tsmがこの範囲にあると、転写工程での高温処理を経たとしても強度を保持することができ、転写後に剥離するに際して破断等が生じ難い。Tsmが低すぎると、高温処理後の剥離性に劣る傾向にある。かかる観点から、Tsmは、好ましくは235℃以上である。他方、Tsmが高すぎると、高温処理後の剥離にてポリエステルフィルムの破断が起こる傾向にある。かかる観点から、Tsmは、好ましくは242℃以下である。
かかるTsmを達成するためには、フィルムの製造方法において、例えば後述する延伸後の熱固定温度条件を採用すればよい。
<フィルム製造方法>
本発明のポリエステルフィルムは、艶消し層および基材層からなる積層フィルムの場合を例に挙げると、例えば次の方法で製造することができる。すなわち艶消し層および基材層を共押出法により積層押出し、キャスティングドラムで冷却固化させて非晶未延伸フィルムとし、次いで縦方向(製膜機械軸方向のこと。以下、機械軸方向、連続製膜方向、長手方向またはMDと称することがある)および横方向(連続機械軸方向と厚み方向とに垂直な方向のこと。以下、幅方向、TDと称することがある)に延伸する。
縦方向の延伸は、例えば温度60〜130℃、好ましくは90〜125℃で2.0〜3.5倍、好ましくは2.5〜3.0倍延伸する。横方向の延伸は、例えば温度100〜130℃、好ましくは90〜125℃で2.0〜4.0倍、好ましくは3.0〜4.0倍延伸する。また、一方向の延伸は2段以上の多段で行う方法を用いることもできるが、最終的な延伸倍率は前述の範囲内にあることが好ましい。
次いで、所望のTsmを付与するために、熱固定処理を行なうことが大切である。例えば艶消し層および基材層がポリエチレンテレフタレートで構成されている場合では、230〜248℃の温度、好ましくは235〜245℃の温度、さらに好ましくは240〜245℃の温度で、2〜30秒、好ましくは2〜20秒、さらに好ましくは3〜10秒の時間の範囲で熱固定する。その際、熱収縮率を低減する目的で、20%以内の制限収縮もしくは伸長、または定長下で行なってもよく、また2段以上で行なってもよい。
なお、本発明のポリエステルフィルムがサンドマット処理されたフィルムの場合は、例えば、先ず単層のポリエステルフィルムを上述と同様の方法で製膜し、その後所望の光沢度が得られる条件でサンドマット処理すればよい。また、艶消し層が共押出し以外の方法、例えば塗工で設けられるものの場合は、上述と同様の条件で単層のポリエステルフィルムを製膜した後、粒子を含有する塗布層を設ければよい。
<その他のフィルム特性>
(固有粘度)
本発明の電磁波シールドフィルム転写用ポリエステルフィルムを構成するポリエステルの固有粘度(η)は、0.50dl/g以上0.70dl/g以下の範囲であることが好ましい。かかる固有粘度は35℃のo−クロロフェノール溶液での測定値で表わされる。フィルムの固有粘度の下限値は、好ましくは0.52dl/gである。またフィルムの固有粘度の上限値は、好ましくは0.65dl/gであり、さらに好ましくは0.60dl/gである。フィルムの固有粘度が下限値に満たない場合、機械的性能が低下して取扱性が難しくなる傾向にある。他方、フィルムの固有粘度が上限値を超えるようになると粘度が高くなりすぎ、フィルムの製造工程での負荷が増大し、生産性が低下する。
(フィルム厚み)
本発明のポリエステルフィルムは、電磁波シールドフィルム転写用の支持フィルムとして使用される厚さを有していれば良く、好ましくは10〜150μm、さらに好ましくは20〜100μm、特に好ましくは45〜70μmである。
以下、実施例により本発明をさらに説明する。なお、各特性値は以下の方法により測定した。
1.光沢度(G60
JIS規格(Z8741)に準拠し、日本電色工業(株)製のグロスメーター「VGS−SENSOR」を用いて測定した。入射角、受光角ともに60°にて測定(N=5)し、その平均値を用いた。
2.サブピーク温度(Tsm)
セイコ−電子工業(株)製DSC220を用い、試料量10mgにて、昇温速度20℃/分でDSC曲線を描かせ、融解による明瞭な吸熱ピークより低温側の吸熱ピークをサブピーク温度(Tsm)とした。
3.平均粒径および最大粒子径
粒子をエチレングリコール中に3%の濃度になるようにミキサーで攪拌し、島津製作所製レーザー散乱式粒度分布測定装置SALD−7000を用いて測定を行った。粒度分布測定結果から50%体積粒径(D50)を求め、これを平均粒径とした。また、最大粒子径は粒径d98とした。なおd98の値は累積粒径分布曲線の98%における粒径である。
4.粒子含有量
フィルムサンプルの粒子含有量を測定したい層から試料を削り取り、ポリエステルは溶解し粒子は溶解させない溶媒を選択して溶解処理した後、粒子を溶液から遠心分離し、粒子の全体質量に対する比率(質量%)をもって粒子の含有量とする。
5.フィルムの各層厚み
サンプルを三角形に切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂にて包埋した。そして、包埋されたサンプルをミクロトーム(ULTRACUT−S)で縦方向に平行な断面を50nm厚の薄膜切片にした後、透過型電子顕微鏡を用いて、加速電圧100kvにて観察撮影し、写真から各層の厚みを10点ずつ測定し、それぞれの層について平均厚みを求めた。艶消し層については、粒子の存在しない部分について測定した。
6.10点平均粗さRz
JIS−B0601、B0651に従い、3次元表面粗さ計(小坂研究所製、商品名:SURF CORDER SE−3CK)を使用して、触針先端R2μm、走査ピッチ2μm、走査長1mm、走査本数100本、カットオフ0.25mm、倍率5000倍の条件にて、10点平均粗さRzを測定した。
7.剥離性
試料フィルムの表面に、厚さ0.1μmのメチルメラミン系離型層(三羽研究所製、ATOM BOND RP−30−30)を形成し、その上にUV硬化型アクリル系樹脂(大日精化工業製、セイカビームEXF−3005(NS))を塗工・硬化することにより厚さ5μmの絶縁保護層、および下記組成の導電性ペーストを塗工することにより厚さ15μmの導電層を形成して、支持フィルム上に電磁波シールドフィルムを備えた転写用フィルムを作成した。
大日精化工業製、ウレタン樹脂UD1357 :60質量部
鱗片状銀粉(平均厚さ100nm、平均粒径5μm) :20質量部
樹枝状銀コート銅粉(平均粒径5μm) :20質量部
次いで、上記で得られた転写用フィルムを、フレキシブルプリント基板(ポリイミド層(12.5μm)、接着剤層(15μm)、銅箔層(12μm)、およびポリイミド層(12.5μm)が上からこの順に積層されてなる4層構造)表面に、導電層が被覆面側となるように貼り合わせ、温度200℃、圧力1MPa、1時間の条件で圧着した。圧力を開放し、サンプルを室温において25℃になるまで冷ました後、支持フィルムを手で剥離し、転写された絶縁保護層の表面を目視で観察した。以下の指標で評価した。
○:剥離:きれいに剥離している。
△:転写:電磁波シールドフィルム側に白異物が残る。
×:破断:剥離中に転写フィルムが破断する。
8.製品の艶消し性
上記1の光沢度と同様の方法にて、上記7で得られた絶縁保護層転写後のサンプルについて、絶縁保護層表面の光沢度(G60)を測定し、結果を以下のような指標により評価した。
◎:15以下・・・製品の艶消し性極めて良好
○:15超、20以下・・・製品の艶消し性良好
×:20を超える・・・製品の艶消し性不良
[実施例1〜4および比較例1〜4]
ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.63dl/g)に表1に示すとおりの粒子を添加して艶消し層(A層)を形成するためのA層ポリマーとし、また、A層と同様の粒子を表1の含有量にて添加し、基材層(B層)を形成するためのB層ポリマーとし、それぞれ280℃に加熱された押出機に供給し、A層ポリマー、B層ポリマーをA/Bの積層構成となるような2層フィードブロック装置を用い合流させ、その積層状態を維持したままダイスよりシートを20℃に維持した回転冷却ドラム上に溶融押出して未延伸フィルムとし、次いで該未延伸フィルムを縦方向に3.2倍延伸し、その後、140℃で横方向に3.4倍に延伸し、更に表1に示す条件で熱固定して、2軸延伸積層ポリエステルフィルム(厚さ50μm)を得た。各々のフィルムの評価結果を表1に示す。
Figure 2015185659
本発明の電磁波シールドフィルム転写用ポリエステルフィルムは、転写工程における高温処理を経ても転写後の支持フィルム剥離性に優れ、しかも、転写後の電磁波シールドフィルム表面に良好な艶消し外観を付与することができるので、その産業上の利用価値は極めて高い。

Claims (5)

  1. ポリエステルフィルムの少なくとも片側表面に凹凸を有し、該表面における光沢度(G60)が10以上20以下であり、フィルムのサブピーク温度(Tsm)が230℃以上245℃以下であることを特徴とする、電磁波シールドフィルム転写用ポリエステルフィルム。
  2. ポリエステルフィルムが、基材層と少なくとも一方の表面に粒子含有の艶消し層とを有する積層ポリエステルフィルムであって、該艶消し層表面における光沢度(G60)が10以上20以下である、請求項1に記載の電磁波シールドフィルム転写用ポリエステルフィルム。
  3. 基材層の粒子含有量が、基材層重量を基準として3.0重量%以下である、請求項2に記載の電磁波シールドフィルム転写用ポリエステルフィルム。
  4. 基材層を構成するポリエステルおよび艶消し層を構成するポリマーが、いずれもポリエチレンテレフタレートである、請求項2または3に記載の電磁波シールドフィルム転写用ポリエステルフィルム。
  5. 艶消し層中の粒子が、不定形シリカまたは合成ゼオライトである、請求項2〜4のいずれかに記載の電磁波シールドフィルム転写用ポリエステルフィルム。
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