JP2015183342A - インクジェット捺染方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】反応性染料を用いるインクジェット捺染方法において、布帛の反応性染料が印捺されていない領域における黄変を効果的に低減でき、また反応性染料が印捺された領域の発色を向上できるインクジェット捺染方法を提供する。
【解決手段】本発明に係るインクジェット捺染方法は、アルカリ剤を含む前処理剤によって予め全面に前処理を実施した布帛に対して印捺を行うインクジェット捺染方法であって、反応性染料を含有する第1のインクと、酸を含有し、かつ、pHが6以下の第2のインクと、を用い、前記第2のインクは、前記第1のインクの非印捺領域に印捺されることを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】本発明に係るインクジェット捺染方法は、アルカリ剤を含む前処理剤によって予め全面に前処理を実施した布帛に対して印捺を行うインクジェット捺染方法であって、反応性染料を含有する第1のインクと、酸を含有し、かつ、pHが6以下の第2のインクと、を用い、前記第2のインクは、前記第1のインクの非印捺領域に印捺されることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、インクジェット捺染方法に関する。
従来のテキスタイルプリントは、版を用いてプリントする方法やスクリーン捺染方法を用いて行われていた。近年、版が不要であり、かつ、少量多品種に対応可能であることから、インクジェット方式を利用した捺染の技術が注目されている。
捺染に用いられる染料種としては、直接染料、反応性染料、酸性染料、分散染料などがある。一般的に繊維の種類によって、相性の良い染料種は異なる。たとえば、綿、麻、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨセル等のセルロース系繊維の捺染には、反応性染料が適している。
インクジェット捺染においては、比較的少量のインク液で印捺するため高発色化が課題となっている。特に反応性染料を用いて印捺を行う場合には、繊維と反応性染料との反応性を高める必要があることから、反応性染料を布帛に印捺する前に、アルカリ剤を含有する前処理剤を布帛の全面に塗布する工程、いわゆる前処理工程が一般に行われている。このような前処理剤については、たとえば特許文献1〜4に開示されている。
しかしながら、上述の特許文献に開示されているような前処理剤を布帛の全面に塗布した場合、特許文献4にも記載されているように、スチーム処理等の定着工程を経た後、布帛の反応性染料が印捺されていない領域において黄色に変色(以下、単に「黄変」ともいう。)するという問題があった。このような黄変が発生すると、商品価値が大幅に損なわれることになる。
このような問題を解決するためには、布帛の反応性染料が印捺される領域にのみ前処理剤を塗布すればよいとも考えられる。しかしながら、一般に前処理剤にはアルカリ剤の他、糊剤などが配合されて粘度が上昇するため、インクジェット方式を利用して所定の領域のみに前処理剤を塗布することは困難であった。また、インクジェット方式を利用しない場合には、所定の領域のみに前処理剤を塗布することはさらに困難となる。また、黄変を抑制するためにアルカリ剤の強度や添加量を少なくする事も考えられるが、反応性染料が印捺される領域の発色が低下する。
本発明に係る幾つかの態様は、上記課題の少なくとも一部を解決することで、反応性染料を用いるインクジェット捺染方法において、布帛の反応性染料が印捺されていない領域における黄変を効果的に低減でき、また、反応性染料が印捺された領域の発色を向上できるインクジェット捺染方法を提供するものである。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係るインクジェット捺染方法の一態様は、
アルカリ剤を含む前処理剤によって予め全面に前処理を実施した布帛に対して印捺を行うインクジェット捺染方法であって、
反応性染料を含有する第1のインクと、
酸を含有し、かつ、pHが6以下の第2のインクと、
を用い、
前記第2のインクは、前記第1のインクの非印捺領域に印捺されることを特徴とする。
本発明に係るインクジェット捺染方法の一態様は、
アルカリ剤を含む前処理剤によって予め全面に前処理を実施した布帛に対して印捺を行うインクジェット捺染方法であって、
反応性染料を含有する第1のインクと、
酸を含有し、かつ、pHが6以下の第2のインクと、
を用い、
前記第2のインクは、前記第1のインクの非印捺領域に印捺されることを特徴とする。
適用例1のインクジェット捺染方法によれば、布帛の第1のインクの非印捺領域に第2のインクを印捺することで、第1のインクの非印捺領域が中和される。これにより、スチーム処理等の定着工程を経た後に第1のインクの非印捺領域において発生する黄変を効果的に低減することができる。
[適用例2]
適用例1のインクジェット捺染方法において、
前記酸が硫酸塩であることができる。
適用例1のインクジェット捺染方法において、
前記酸が硫酸塩であることができる。
適用例2のインクジェット捺染方法によれば、布帛にダメージを与えることなく中和することができる。
[適用例3]
適用例2のインクジェット捺染方法において、
前記硫酸塩が、硫酸水素ナトリウム、硫酸アルミニウム、および硫酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも1種であることができる。
適用例2のインクジェット捺染方法において、
前記硫酸塩が、硫酸水素ナトリウム、硫酸アルミニウム、および硫酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも1種であることができる。
適用例3のインクジェット捺染方法によれば、布帛にダメージを与えることなく中和することができる。
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか一例のインクジェット捺染方法において、
前記第1のインクが、尿素および尿素誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種を含有することができる。
適用例1ないし適用例3のいずれか一例のインクジェット捺染方法において、
前記第1のインクが、尿素および尿素誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種を含有することができる。
適用例4のインクジェット捺染方法によれば、第1のインクに尿素や尿素誘導体を含有させることにより、スチーム処理の際に繊維への水分導入を向上させることができ、その水分に反応性染料が追随するので、均一で高発色な捺染が可能となる。
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれか一例のインクジェット捺染方法において、
前記第1のインクが、保湿剤、浸透剤、および界面活性剤をさらに含有することができる。
適用例1ないし適用例4のいずれか一例のインクジェット捺染方法において、
前記第1のインクが、保湿剤、浸透剤、および界面活性剤をさらに含有することができる。
適用例5のインクジェット捺染方法によれば、インクの粘度や表面張力を適切な値に調整することができるので、第1のインクをインクジェット捺染に適したインクとすることができる。
[適用例6]
適用例1ないし適用例5のいずれか一例のインクジェット捺染方法において、
前記第2のインクが、保湿剤、浸透剤、および界面活性剤をさらに含有することができる。
適用例1ないし適用例5のいずれか一例のインクジェット捺染方法において、
前記第2のインクが、保湿剤、浸透剤、および界面活性剤をさらに含有することができる。
適用例6のインクジェット捺染方法によれば、インクの粘度や表面張力を適切な値に調整することができるので、第2のインクをインクジェット捺染に適したインクとすることができる。
[適用例7]
適用例1ないし適用例6のいずれか一例のインクジェット捺染方法において、
定着工程後、洗浄工程前における、前記布帛の前記第2インクの印捺領域のpHが5〜9であることができる。
適用例1ないし適用例6のいずれか一例のインクジェット捺染方法において、
定着工程後、洗浄工程前における、前記布帛の前記第2インクの印捺領域のpHが5〜9であることができる。
適用例7のインクジェット捺染方法によれば、布帛の第2インクの印捺領域のpHが5〜9である(中和された)ことにより、スチーム処理等の定着工程を経た後に第1のインクの非印捺領域において発生する黄変を効果的に低減することができると共に繊維の脆化を抑制できる。
[適用例8]
適用例1ないし適用例7のいずれか一例のインクジェット捺染方法において、
前記布帛が、セルロース系繊維およびポリアミド系繊維の少なくとも1種を含むことができる。
適用例1ないし適用例7のいずれか一例のインクジェット捺染方法において、
前記布帛が、セルロース系繊維およびポリアミド系繊維の少なくとも1種を含むことができる。
適用例8のインクジェット捺染方法によれば、セルロース系繊維やポリアミド系繊維は反応性染料との相性が良いので、さらに発色性や堅牢性に優れた染着を実現することができる。
以下に本発明の好適な実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
以下、本実施の形態に係るインクジェット捺染方法について詳細に説明する。本明細書において、「インクジェット捺染」とは、インクジェット方式を利用して記録媒体の一種である布帛(の表面)にインクを記録することをいい、インクジェット記録の1種である。また、「印捺」とは、記録媒体の一種である布帛(の表面)にインクを付着させることをいう。
1.インクジェット捺染方法
本実施の形態に係るインクジェット捺染方法は、アルカリ剤を含む前処理剤によって予め全面に前処理を実施した布帛に対して印捺を行うインクジェット捺染方法であって、反応性染料を含有する第1のインクと、酸を含有し、かつ、pHが6以下の第2のインクと、を用い、前記第2のインクは、前記第1のインクの非印捺領域に印捺されることを特徴とする。
本実施の形態に係るインクジェット捺染方法は、アルカリ剤を含む前処理剤によって予め全面に前処理を実施した布帛に対して印捺を行うインクジェット捺染方法であって、反応性染料を含有する第1のインクと、酸を含有し、かつ、pHが6以下の第2のインクと、を用い、前記第2のインクは、前記第1のインクの非印捺領域に印捺されることを特徴とする。
布帛の全面に前処理液を塗布すると、布帛の全面にアルカリ剤が付着する。このアルカリ剤が、スチーム処理等の定着工程を経た後に発生する黄変の原因となる。そこで、印捺工程において、布帛の第1のインクの非印捺領域に第2のインクを印捺することで、第1
のインクの非印捺領域は第2インクに含まれる酸によって中和される。これにより、スチーム処理等の定着工程を経た後に第1のインクの非印捺領域において発生する黄変を効果的に低減することができる。
のインクの非印捺領域は第2インクに含まれる酸によって中和される。これにより、スチーム処理等の定着工程を経た後に第1のインクの非印捺領域において発生する黄変を効果的に低減することができる。
また、従来の技術によれば、黄変を防止するためには、布帛を構成する繊維の種類に応じて前処理剤の組成を変更する必要があった。本実施の形態に係るインクジェット捺染方法によれば、前処理液の組成を繊維の種類に応じて変更する必要はなく、発色性が良好となる1種類の前処理剤を用意すればよいため、プロセスが容易となる点でも優れている。
本実施の形態に係るインクジェット捺染方法の主要な工程としては、以下の前処理工程、印捺工程、定着工程、洗浄工程が挙げられる。以下、各工程について詳細に説明する。
1.1.前処理工程
前処理工程は、布帛の全面に前処理剤を塗布する工程である。
前処理工程は、布帛の全面に前処理剤を塗布する工程である。
本実施の形態で用いられる布帛は、セルロース系繊維およびポリアミド系繊維の少なくとも1種を含むことが好ましい。セルロース系繊維やポリアミド系繊維は反応性染料との相性が良いので、さらに発色性や堅牢性に優れた染着を実現することができる。
セルロース系繊維としては、例えば綿、麻、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨセル等が挙げられる。ポリアミド系繊維としては、例えばナイロンが挙げられる。
前処理剤を布帛の全面に塗布する方法としては、特に制限されず、スプレー塗布、ディップ塗布、ローラー塗布、ファウンテン塗布、グラビア塗布、ブレード塗布、バー塗布、スライド塗布、エクストルージョン塗布等を使用することができる。
前処理剤は、アルカリ剤を必須成分とし、必要に応じて糊剤、水分誘導剤、還元防止剤、および水を含有することができる。以下、前処理剤に含有される各成分について説明する。
<アルカリ剤>
アルカリ剤は、反応性染料を繊維と反応させるための成分であり、前処理剤の必須成分である。
アルカリ剤は、反応性染料を繊維と反応させるための成分であり、前処理剤の必須成分である。
アルカリ剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、第三リン酸ナトリウム等が挙げられる。これらのアルカリ剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
前処理剤中におけるアルカリ剤の含有量は、繊維にアルカリ剤を十分に付着させる観点から、好ましくは0.5〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%である。
アルカリ剤の付着量が布帛1m2当たり0.5〜5gとなることが好ましく、1〜3gとなることがより好ましい。アルカリ剤の付着量が0.5g/m2よりも小さいと、反応性染料を十分に布帛に定着させることができなくなってしまう可能性がある。また、アルカリ剤の付着量が5g/m2よりも大きいと、布帛が黄変してしまう可能性がある。また、アルカリ剤をインクジェットヘッドで塗布する場合には、ヘッドが傷んでしまう可能性もある。
<糊剤>
前処理剤は、糊剤を含有することが好ましい。前処理剤に糊剤を添加することで、布帛を構成する繊維に反応性染料を効果的に付着させることができるので、滲みが低減された捺染を実現することができる。
前処理剤は、糊剤を含有することが好ましい。前処理剤に糊剤を添加することで、布帛を構成する繊維に反応性染料を効果的に付着させることができるので、滲みが低減された捺染を実現することができる。
糊剤としては、例えばグアーガム、ローカストビーンガム等の天然ガム類、澱粉類、アルギン酸ナトリウム、ふのり等の海草類、ペクチン酸等の植物皮類、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、焙焼澱粉、アルファ澱粉、カルボキシメチル澱粉、カルボキシエチル澱粉、ヒドロキシエチル澱粉等の加工澱粉、シラツガム系、ローストビーンガム系等の加工天然ガム、アルギン誘導体、あるいは、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸エステル等の合成糊、エマルジョン等が挙げられる。これらの中でも、滲みが低減された捺染を効果的に実現する観点から、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースよりなる群から選択される少なくとも1種の高分子化合物が好ましい。
前処理剤中における糊剤の含有量は、好ましくは0.05〜5.0質量%、より好ましくは0.1〜2.0質量%である。
<水分誘導剤>
前処理剤は、水分誘導剤を含有することが好ましい。前処理剤に水分誘導剤を添加することにより、スチーム処理の際に繊維への水分導入を向上させることができ、その水分に反応性染料が追随するので、均一で高発色な捺染が可能となる。
前処理剤は、水分誘導剤を含有することが好ましい。前処理剤に水分誘導剤を添加することにより、スチーム処理の際に繊維への水分導入を向上させることができ、その水分に反応性染料が追随するので、均一で高発色な捺染が可能となる。
水分誘導体としては、尿素および尿素誘導体が挙げられる。尿素誘導体としては、ジメチル尿素、チオ尿素、モノメチルチオ尿素、ジメチルチオ尿素等のアルキル尿素が挙げられる。
前処理剤中の水分誘導剤の含有量は、第1のインク中における水分誘導剤の含有量とのバランスを図りながら、前処理剤中における水分誘導剤の含有量を適宜調整することができる。なお、前処理剤中の水分誘導剤の含有量は、好ましくは5〜20質量%、より好ましくは10〜15質量%である。
反応性染料の繊維への染着効率を高める観点から、水分誘導体の付着量が布帛1m2当たり1〜8gとなることが好ましく、1〜6gとなることがより好ましい。
<還元防止剤>
前処理剤は、還元防止剤を含有することが好ましい。前処理剤に還元防止剤を添加することにより、繊維のセルロースと反応性染料との結合が、還元作用により切れてしまうのを抑制することができ、印捺斑の防止や印捺濃度・色相の再現性が向上し、また、高い発色性を得ることができる。このような還元防止剤としては、ニトロベンゼンスルホン酸塩を用いることが好ましく、メタニトロベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩、特にナトリウム塩を用いることが好ましい。
前処理剤は、還元防止剤を含有することが好ましい。前処理剤に還元防止剤を添加することにより、繊維のセルロースと反応性染料との結合が、還元作用により切れてしまうのを抑制することができ、印捺斑の防止や印捺濃度・色相の再現性が向上し、また、高い発色性を得ることができる。このような還元防止剤としては、ニトロベンゼンスルホン酸塩を用いることが好ましく、メタニトロベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩、特にナトリウム塩を用いることが好ましい。
前処理剤中における還元防止剤の含有量は、0.1〜5.0質量%であることが好ましい。
<水>
前処理剤は、液状媒体として水を含有することが好ましい。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることができる。また、紫外線照射または過酸化水素等により滅菌した水を用いることにより、前処理剤を長期保
存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
前処理剤は、液状媒体として水を含有することが好ましい。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることができる。また、紫外線照射または過酸化水素等により滅菌した水を用いることにより、前処理剤を長期保
存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
1.2.印捺工程
印捺工程は、全面に前処理剤が塗布された布帛に対して、インクジェット記録装置を用いて、画像を形成すべき領域に第1のインクを射出し、第1のインクの非印捺領域に第2のインクを射出する工程である。画像を形成すべき領域に第1のインクを射出することにより、所期の画像を形成することができる。また、第1のインクの非印捺領域に第2インクを射出することにより、第1のインクの非印捺領域が中和される。これにより、スチーム処理等の定着工程を経た後に第1のインクの非印捺領域において発生する黄変を効果的に低減することができる。
印捺工程は、全面に前処理剤が塗布された布帛に対して、インクジェット記録装置を用いて、画像を形成すべき領域に第1のインクを射出し、第1のインクの非印捺領域に第2のインクを射出する工程である。画像を形成すべき領域に第1のインクを射出することにより、所期の画像を形成することができる。また、第1のインクの非印捺領域に第2インクを射出することにより、第1のインクの非印捺領域が中和される。これにより、スチーム処理等の定着工程を経た後に第1のインクの非印捺領域において発生する黄変を効果的に低減することができる。
インクジェット塗布する際のインクジェット方式としては、圧電素子の機械的体積変化によりインク滴を形成し、吐出させるピエゾヘッド型インクジェット方式;インクに熱エネルギーを加え、それによる体積膨張を利用してインク滴を形成し、吐出させるバブルジェット(登録商標)型インクジェット方式のいずれであってもよい。しかしながら、ピエゾヘッドは、耐久性に優れており、捺染のような長時間安定的な吐出が要求される分野には特に好ましいといえる。そのため、ピエゾヘッド型インクジェット方式であることが好ましい。また、インクジェットプリンターの記録方式としては、シリアルヘッド方式とラインヘッド方式のいずれも用いることができる。
印捺工程の後、画像が形成された布帛を常温〜150℃の温度で0.5〜30分間放置して予備乾燥してもよい。この予備乾燥により、発色濃度を向上させ、かつ、滲みを有効に防止することができる。
以下、第1のインクおよび第2のインクに含まれる各成分について説明する。
1.2.1.第1のインク
<反応性染料>
第1のインクは、着色剤として反応性染料を含有する。反応性染料の具体例としては、特に制限されず、以下に例示するものが挙げられる。
<反応性染料>
第1のインクは、着色剤として反応性染料を含有する。反応性染料の具体例としては、特に制限されず、以下に例示するものが挙げられる。
C.I.Reactive Black5、8、13、14、31、34、39;C.I.Reactive Yellow2、3、7、15、17、18、22、23、24、25、27、37、39、42、57、69、76、81、84、85、86、87、92、95、102、105、111、125、135、136、137、142、143、145、151、160、161、165、167、168、175、176;C.I.Reactive Orange1、4、5、7、11、12、13、15、16、20、30、35、56、64、67、69、70、72、74、82、84、86、87、91、92、93、95、107;C.I.Reactive Red2、3、3:1、5、8、11、21、22、23、24、28、29、31、33、35、43、45、49、55、56、58、65、66、78、83、84、106、111、112、113、114、116、120、123、124、128、130、136、141、147、158、159、171、174、180、183、184、187、190、193、194、195、198、218、220、222、223、226、228、235;C.I.Reactive Violet1、2、4、5、6、22、23、33、36、38;C.I.Reactive Blue2、3、4、7、13、14、15、19、21、25、27、28、29、38、39、41、49、50、52、63、69、71、72、77、79、89、104、109、112、113、114、116、119、120、122、137、140、143、147、160、161、162、163、168、171、176、182、184、191、194、195、
198、203、204、207、209、211、214、220、221、222、231、235、236;C.I.Reactive Green8、12、15、19、21;C.I.Reactive Brown2、7、9、10、11、17、18、19、21、23、31、37、43、46等が挙げられる。これらの反応性染料は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
198、203、204、207、209、211、214、220、221、222、231、235、236;C.I.Reactive Green8、12、15、19、21;C.I.Reactive Brown2、7、9、10、11、17、18、19、21、23、31、37、43、46等が挙げられる。これらの反応性染料は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
第1のインク中における反応性染料の含有量は、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.5〜18質量%である。
<水>
第1のインクは、液状媒体として水を含有することが好ましい。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることができる。また、紫外線照射または過酸化水素等により滅菌した水を用いることにより、第1のインクを長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
第1のインクは、液状媒体として水を含有することが好ましい。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることができる。また、紫外線照射または過酸化水素等により滅菌した水を用いることにより、第1のインクを長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
<その他の添加剤>
第1のインクには、必要に応じて水分誘導剤、保湿剤、浸透剤、界面活性剤、防腐剤等の添加剤を添加することができる。これらの添加剤により、インクの粘度や表面張力を適切な値に調整することができるので、インクジェット捺染に適したインクとすることができる。
第1のインクには、必要に応じて水分誘導剤、保湿剤、浸透剤、界面活性剤、防腐剤等の添加剤を添加することができる。これらの添加剤により、インクの粘度や表面張力を適切な値に調整することができるので、インクジェット捺染に適したインクとすることができる。
<水分誘導剤>
第1のインクには、水分誘導剤を添加することができる。第1のインクに水分誘導剤を添加することにより、スチーム処理の際に繊維への水分導入を向上させることができ、その水分に反応性染料が追随するので、均一で高発色な捺染が可能となる。
第1のインクには、水分誘導剤を添加することができる。第1のインクに水分誘導剤を添加することにより、スチーム処理の際に繊維への水分導入を向上させることができ、その水分に反応性染料が追随するので、均一で高発色な捺染が可能となる。
水分誘導剤としては、上述した尿素および尿素誘導体が挙げられる。第1のインク中の水分誘導剤の含有量は、前処理剤中の水分誘導剤の含有量とのバランスを図りながら適宜調整することができる。なお、第1のインク中の水分誘導剤の含有量は、好ましくは5〜20質量%、より好ましくは10〜15質量%である。
<保湿剤>
保湿剤としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等の多価アルコール;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の複素環化合物;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド等が挙げられる。これらの保湿剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
保湿剤としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等の多価アルコール;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の複素環化合物;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド等が挙げられる。これらの保湿剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
第1のインク中における保湿剤の含有量は、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%である。
浸透剤としては、例えばエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリ
コールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類が挙げられる。これらの浸透剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
コールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類が挙げられる。これらの浸透剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
第1のインク中における浸透剤の含有量は、好ましくは0.5〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%である。
<界面活性剤>
界面活性剤としては、例えばシリコン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、アニオン性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えばシリコン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、アニオン性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
シリコン系界面活性剤としては、ポリシロキサン系化合物等が好ましく用いられ、例えば、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等が挙げられる。より詳しくは、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348(以上商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学株式会社製)等が挙げられる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、サーフィノール104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、440、465、485、SE、SE−F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA(以上全て商品名、Air Products and Chemicals. Inc.社製)、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF−103、AF−104、AK−02、SK−14、AE−3(以上全て商品名、日信化学工業株式会社製)、アセチレノールE00、E00P、E40、E100(以上全て商品名、川研ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ペレックスSS−H、SS−L、ラテムルWX、E−150、ネオペレックスGS、G−15、G−25、G−35(以上全て商品名、花王株式会社製)等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。該市販品としては、例えばS-144、S-145(旭硝子株式会社製);FC-170C、FC-430、フロラード-FC4430(住友スリーエム株式会社製);FSO、FSO-100、FSN、FSN-100、FS-300(Dupont社製);FT-250、251(株式会社ネオス製)などが挙げられる。これらの中でも、Dupont社製のFSO、FSO-100、FSN、FSN-100、FS-300が良好な印字品質、保存性を提供でき好ましい。
第1のインク中における界面活性剤の含有量は、好ましくは0.1〜1.5質量%、より好ましくは0.1〜1.0質量%である。
<防腐剤>
防腐剤の好ましい具体例としては、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンゾイソチアゾリン−3−オン(ゼネカ社のプロキ
セルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL2、プロキセルTN、プロキセルLV)、4−クロロ−3−メチルフェノール(バイエル社のプリベントールCMK等)などが挙げられる。
防腐剤の好ましい具体例としては、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンゾイソチアゾリン−3−オン(ゼネカ社のプロキ
セルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL2、プロキセルTN、プロキセルLV)、4−クロロ−3−メチルフェノール(バイエル社のプリベントールCMK等)などが挙げられる。
1.2.2.第2のインク
第2のインクは、酸を含有し、かつ、pHが6以下のインクである。
第2のインクは、酸を含有し、かつ、pHが6以下のインクである。
<酸>
第2のインクは、酸を含有する。酸の種類としては、第2のインクのpHを6以下に調整できる酸であれば、無機酸(塩)であってもよく、有機酸(塩)であってもよい。無機酸(塩)としては、たとえば硫酸、硝酸、塩酸、リン酸、ホウ酸、フッ化水素酸、およびこれらの塩が挙げられる。有機酸(塩)としては、たとえばギ酸、乳酸、酢酸、酒石酸、フマル酸、グリコール酸、フタル酸、マレイン酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、アントラニル酸、マロン酸、グルタル酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トシル酸、およびこれらの塩等が挙げられる。また、これらが塩である場合の対イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アルミニウムイオン、アンモニウムイオン等が挙げられる。これらの酸は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
第2のインクは、酸を含有する。酸の種類としては、第2のインクのpHを6以下に調整できる酸であれば、無機酸(塩)であってもよく、有機酸(塩)であってもよい。無機酸(塩)としては、たとえば硫酸、硝酸、塩酸、リン酸、ホウ酸、フッ化水素酸、およびこれらの塩が挙げられる。有機酸(塩)としては、たとえばギ酸、乳酸、酢酸、酒石酸、フマル酸、グリコール酸、フタル酸、マレイン酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、アントラニル酸、マロン酸、グルタル酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トシル酸、およびこれらの塩等が挙げられる。また、これらが塩である場合の対イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アルミニウムイオン、アンモニウムイオン等が挙げられる。これらの酸は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらの酸の中でも、布帛にダメージを与えることなく中和することができる観点から、硫酸塩が好ましく、硫酸水素ナトリウム、硫酸アルミニウム、および硫酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
第2のインク中における酸の含有量は、第2のインクのpHを6以下に調整することができれば特に制限されない。第2のインクのpHは、6以下であるが、好ましくは3以上5以下である。第2のインクのpHが3未満であると、布帛に対するダメージが大きくなりやすく、印捺物の品質が損なわれる場合がある。
第2のインクは、液状媒体として水を含有することが好ましい。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることができる。また、紫外線照射または過酸化水素等により滅菌した水を用いることにより、第2のインクを長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
<その他の添加剤>
第2のインクには、必要に応じて保湿剤、浸透剤、界面活性剤、防腐剤等の添加剤を添加することができる。これらの添加剤により、インクの粘度や表面張力を適切な値に調整することができるので、インクジェット捺染に適したインクとすることができる。
第2のインクには、必要に応じて保湿剤、浸透剤、界面活性剤、防腐剤等の添加剤を添加することができる。これらの添加剤により、インクの粘度や表面張力を適切な値に調整することができるので、インクジェット捺染に適したインクとすることができる。
第2のインクに含有される保湿剤、浸透剤、界面活性剤、防腐剤の種類および含有量は、上述の第1のインクに準ずるため、説明を省略する。
1.3.定着工程
スチーム処理して反応性染料を布帛を構成する繊維と反応させて、反応性染料を繊維に定着させる工程である。スチーム処理の条件としては、繊維の種類などを勘案して適宜決定することができるが、例えば湿度50〜100%(好ましくは湿度80〜100%)および温度90〜120℃(好ましくは95〜105℃)の環境下に、3〜60分(好ましくは5〜40分)置かれることが好ましい。
スチーム処理して反応性染料を布帛を構成する繊維と反応させて、反応性染料を繊維に定着させる工程である。スチーム処理の条件としては、繊維の種類などを勘案して適宜決定することができるが、例えば湿度50〜100%(好ましくは湿度80〜100%)および温度90〜120℃(好ましくは95〜105℃)の環境下に、3〜60分(好ましくは5〜40分)置かれることが好ましい。
定着工程後、洗浄工程前における、布帛の第2インクの印捺領域のpHは、好ましくは5〜9、より好ましくは6〜8である。布帛の第2インクの印捺領域のpHが5〜9であ
れば、スチーム処理等の定着工程を経た後に第1のインクの非印捺領域において発生する黄変を効果的に低減することができると共に繊維の脆化を抑制できる。
れば、スチーム処理等の定着工程を経た後に第1のインクの非印捺領域において発生する黄変を効果的に低減することができると共に繊維の脆化を抑制できる。
1.4.洗浄工程
布帛を洗浄して定着しなかった(反応に寄与しなかった)反応性染料を除去する工程である。定着しなかった反応性染料が繊維に残留することで、発色性が悪くなり、堅牢度が低下することがある。また、洗浄工程により、繊維に付着したアルカリ剤、尿素等、糊剤などを除去することもできる。洗浄工程では、界面活性剤を含む温水により洗浄することが好ましい。
布帛を洗浄して定着しなかった(反応に寄与しなかった)反応性染料を除去する工程である。定着しなかった反応性染料が繊維に残留することで、発色性が悪くなり、堅牢度が低下することがある。また、洗浄工程により、繊維に付着したアルカリ剤、尿素等、糊剤などを除去することもできる。洗浄工程では、界面活性剤を含む温水により洗浄することが好ましい。
2.実施例
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例、比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準である。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例、比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準である。
2.1.前処理剤の調製
1Lビーカーに、炭酸水素ナトリウム3質量部、尿素10質量部、メタニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム3質量部、カルボキシメチルセルロース1質量部を投入した。次いで、マグネチックスターラーで撹拌しながら、そこにイオン交換水を徐々に入れて合計100質量部となるようにした。前記の各成分が完全に溶解していることを確認した後、この水溶液を濾過して、前処理剤を得た。
1Lビーカーに、炭酸水素ナトリウム3質量部、尿素10質量部、メタニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム3質量部、カルボキシメチルセルロース1質量部を投入した。次いで、マグネチックスターラーで撹拌しながら、そこにイオン交換水を徐々に入れて合計100質量部となるようにした。前記の各成分が完全に溶解していることを確認した後、この水溶液を濾過して、前処理剤を得た。
2.2.捺染用インクセットの製造
表1〜表2に示す材料および組成となるように、各材料を十分に混合撹拌した後、孔径5.0μmのメンブレンフィルターでろ過することにより、表1に示す第1のインク(1A)、表2に示す第2のインク(2A、2B、2C、2D)をそれぞれ調製した。
表1〜表2に示す材料および組成となるように、各材料を十分に混合撹拌した後、孔径5.0μmのメンブレンフィルターでろ過することにより、表1に示す第1のインク(1A)、表2に示す第2のインク(2A、2B、2C、2D)をそれぞれ調製した。
なお、表1〜表2中の商品名は、それぞれ下記の通りである。
・オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製、アセチレングリコール系界面活性剤)
・ぺレックスSS−H(花王株式会社製、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム)
・プロキセルXL2(ゼネカ社製、1,2−ジベンゾイソチアゾリン−3−オン)
・オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製、アセチレングリコール系界面活性剤)
・ぺレックスSS−H(花王株式会社製、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム)
・プロキセルXL2(ゼネカ社製、1,2−ジベンゾイソチアゾリン−3−オン)
次に、表3に示すように、上記で得られた第1のインクおよび第2のインクを組み合わせて、実施例1〜3および比較例1〜3の各捺染用インクセットを構成した。
2.3.インクジェット捺染方法
2.3.1.前処理工程
布帛として絹100%の布帛(赤堀産業社製、16匁、サテン、型番:SS16)を用意し、これに上記で調製した前処理液を、ピックアップ率が90〜110%になるように市販のローラーを用いて塗布した。塗布後、乾燥機を用いて60℃で30分間加熱処理を行った。
2.3.1.前処理工程
布帛として絹100%の布帛(赤堀産業社製、16匁、サテン、型番:SS16)を用意し、これに上記で調製した前処理液を、ピックアップ率が90〜110%になるように市販のローラーを用いて塗布した。塗布後、乾燥機を用いて60℃で30分間加熱処理を行った。
2.3.2.印捺工程
インクジェットプリンターPX−G930(セイコーエプソン株式会社製)に上記で調製した第1のインクおよび第2のインクをそれぞれ充填した。その後、第1のインクを前処理工程済みの布帛に射出して画像を記録し、第1のインクの非印捺領域には第2のインクを射出した。なお、画像解像度は1440×1440dpiとした。
インクジェットプリンターPX−G930(セイコーエプソン株式会社製)に上記で調製した第1のインクおよび第2のインクをそれぞれ充填した。その後、第1のインクを前処理工程済みの布帛に射出して画像を記録し、第1のインクの非印捺領域には第2のインクを射出した。なお、画像解像度は1440×1440dpiとした。
2.3.3.定着工程
第1のインクおよび第2のインクが付着した布帛を、HTスチーマー(HT3−550型、辻井染機工業株式会社製)を用いて下記の条件でスチーム処理を行い、反応性染料を繊維に定着させた。
・スチーム温度:102℃
・湿度:100%RH
・処理時間:20分間
第1のインクおよび第2のインクが付着した布帛を、HTスチーマー(HT3−550型、辻井染機工業株式会社製)を用いて下記の条件でスチーム処理を行い、反応性染料を繊維に定着させた。
・スチーム温度:102℃
・湿度:100%RH
・処理時間:20分間
2.3.4.洗浄工程
定着工程を経て得られた染着物を水で揉み洗いし、徐々に温水を追加していった。その後、アニオン性界面活性剤入れた85℃の温水中に浸漬し、15分間撹拌した。さらに洗浄液中に水道水を入れながら手揉み洗いをした。最後に、洗浄布にアイロンを掛け、捺染物を得た。
定着工程を経て得られた染着物を水で揉み洗いし、徐々に温水を追加していった。その後、アニオン性界面活性剤入れた85℃の温水中に浸漬し、15分間撹拌した。さらに洗浄液中に水道水を入れながら手揉み洗いをした。最後に、洗浄布にアイロンを掛け、捺染物を得た。
2.4.評価方法
2.4.1.発色性評価
実施例1〜3、比較例1〜3のそれぞれの印捺物のOD値を、濃度計(Spectroino:Gretag社製)を用いて測定した。発色性の評価基準は、以下の通りである。
○:OD値1.5以上
×:OD値1.5未満
2.4.1.発色性評価
実施例1〜3、比較例1〜3のそれぞれの印捺物のOD値を、濃度計(Spectroino:Gretag社製)を用いて測定した。発色性の評価基準は、以下の通りである。
○:OD値1.5以上
×:OD値1.5未満
2.4.2.黄変評価
実施例1〜3、比較例1〜3のそれぞれの印捺物について、第1のインクの非印捺領域の黄変を目視で観察した。黄変の評価基準は、以下の通りである。
○:黄変が認められない。
×:黄変が認められる。
実施例1〜3、比較例1〜3のそれぞれの印捺物について、第1のインクの非印捺領域の黄変を目視で観察した。黄変の評価基準は、以下の通りである。
○:黄変が認められない。
×:黄変が認められる。
2.5.評価結果
表3に、各インクジェット捺染方法の概要および評価試験の結果を示す。
表3に、各インクジェット捺染方法の概要および評価試験の結果を示す。
表3の実施例1〜3の結果から明らかなように、酸を含有し、かつ、pHが6以下である第2のインクを第1のインクの非印捺領域に射出することで、黄変を効果的に低減できることが判明した。
一方、比較例1では、第2のインクを使用していないため、第1のインクの非印捺領域
に黄変が認められた。
に黄変が認められた。
比較例2では、布帛に前処理剤が塗布されていないため、布帛にアルカリ剤が付着しておらず、反応性染料と繊維との反応性が乏しくなった結果、得られた印捺物の発色性も不良となることが判明した。
比較例3では、酸を含有するが、pHが6を超える第2のインクを使用しているため、第1のインクの非印捺領域における中和が不十分となり黄変が認められた。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
Claims (8)
- アルカリ剤を含む前処理剤によって予め全面に前処理を実施した布帛に対して印捺を行うインクジェット捺染方法であって、
反応性染料を含有する第1のインクと、
酸を含有し、かつ、pHが6以下の第2のインクと、
を用い、
前記第2のインクは、前記第1のインクの非印捺領域に印捺されることを特徴とする、インクジェット捺染方法。 - 前記酸が硫酸塩である、請求項1に記載のインクジェット捺染方法。
- 前記硫酸塩が、硫酸水素ナトリウム、硫酸アルミニウム、および硫酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項2に記載のインクジェット捺染方法。
- 前記第1のインクが、尿素および尿素誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のインクジェット捺染方法。
- 前記第1のインクが、保湿剤、浸透剤、および界面活性剤をさらに含有する、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のインクジェット捺染方法。
- 前記第2のインクが、保湿剤、浸透剤、および界面活性剤をさらに含有する、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のインクジェット捺染方法。
- 定着工程後、洗浄工程前における、前記布帛の前記第2インクの印捺領域のpHが5〜9である、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のインクジェット捺染方法。
- 前記布帛が、セルロース系繊維およびポリアミド系繊維の少なくとも1種を含む、請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載のインクジェット捺染方法。
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CN107881807A (zh) * | 2017-10-19 | 2018-04-06 | 无锡嘉加科技有限公司 | 一种环保无水印花墨水及其制备方法 |
WO2019087826A1 (ja) * | 2017-11-06 | 2019-05-09 | セイコーエプソン株式会社 | インク組成物およびインク組成物の製造方法 |
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-
2014
- 2014-03-26 JP JP2014063474A patent/JP2015183342A/ja active Pending
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