JP2018109140A - 捺染用インクジェットインク組成物、インクセット及び記録方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】染料と、常温で液体であって、標準沸点が190℃以上260℃以下である環状アミドを5質量%以上30質量%以下と、を含み、記録媒体上でのCIELAB色空間で定義される色相角∠h°が15°以上80°以下の範囲となる、捺染用インクジェットインク組成物。
【選択図】なし
Description
染料と、
常温で液体であって、標準沸点が190℃以上260℃以下である環状アミドを5質量%以上30質量%以下と、
を含み、記録媒体上でのCIELAB色空間で定義される色相角∠h°が15°以上80°以下の範囲となる。
前記染料が、350nm以上450nm以下の範囲に最大吸収波長を有する染料であってもよい。
前記染料が、C.I.リアクティブオレンジ35、C.I.リアクティブオレンジ12、C.I.リアクティブオレンジ99、C.I.アシッドブラウン298、及び、C.I.アシッドオレンジ56の一種以上であってもよい。
前記染料の含有量が、3質量%以上15質量%以下であってもよい。
前記捺染用インクジェットインク組成物のpHが、6以上10以下であってもよい。
前記捺染用インクジェットインク組成物中に、標準沸点が180℃以上260℃以下であるアルキルポリオールを含み、
前記アルキルポリオールの含有量が、10質量%以上25質量%以下であってもよい。
アルカリ剤、酸及びヒドロトロピー剤の少なくとも一種を含有する前処理組成物を布帛に付与する前処理工程と、上述の捺染用インクジェットインク組成物を用いて前記布帛に印捺する印捺工程と、を含む。
本実施形態の捺染用インクジェットインク組成物(以下、捺染用インクジェットインク組成物、インク組成物等ともいう)は、後述する本実施形態の前処理組成物を布帛に付着させ、その後に当該捺染用インクジェットインク組成物をインクジェット法により布帛に付着させて使用される。まず、捺染用インクジェットインク組成物について説明する。
本実施形態の捺染用インクジェットインク組成物は、染料を含む。
捺染用インクジェットインク組成物とした場合に、記録媒体上でのCIELAB色空間で定義される色相角∠h°が15°以上80°以下の範囲としやすい染料の具体例としては、C.I.リアクティブオレンジ35、C.I.リアクティブオレンジ12、C.I.リアクティブオレンジ99、C.I.アシッドブラウン298、C.I.アシッドオレンジ56等が挙げられる。
類によらず、良好な発色性及び色相の経時的な安定性(耐光性)を得ることができる。
本実施形態の捺染用インクジェットインク組成物は、捺染に用いることにより、記録媒体上でのCIELAB色空間で定義される色相角∠h°が15°以上80°以下の範囲となる。
(2)捺染対象の布帛にインクを塗布する
(3)加熱、スチーム等により、十分に反応させる
(4)布帛を洗浄する
(5)分光測色を行う
そして、得られた測定結果から、色相角∠h°を算出して、捺染用インクジェットインク組成物の「記録媒体上での」CIELAB色空間で定義される色相角∠h°とする。
り測定することができる。最大吸収波長は、可視光域の吸光スペクトルが、例えば複数の極大を有する場合であっても、そのうちの最大の吸光度を示す波長のことをいう。染料の最大吸収波長の測定は、染料が溶解したインク組成物でも可能であり、染料濃度によって適宜決定すればよいが、当該インク組成物を水で500〜2000倍に希釈した希釈液を調製することで測定できる。
C.I.リアクティブオレンジ12 最大吸収波長:420nm
C.I.リアクティブオレンジ99 最大吸収波長:420nm
C.I.アシッドブラウン298 最大吸収波長:362nm
C.I.アシッドオレンジ56 最大吸収波長:414nm
本実施形態の捺染用インクジェットインク組成物は、常温で液体であって、標準沸点が190℃以上260℃以下である環状アミドを含む。係る環状アミドは、上述した染料を溶解させやすく、かつ、捺染用インクジェットインク組成物の固化や乾燥を抑制するという機能を備える。また、標準沸点が190℃以上260℃以下であることにより、環状アミドの揮発を十分に抑制し、これに伴い保湿性が高まる結果、捺染用インクジェットインク組成物の固化や乾燥を抑制する効果がより顕著に得られる。
(式(6)中、R1は、水素又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは、1〜4の整数を表す。また係るアルキル基は直鎖状でも分岐状でもよい。)
式(6)で表される化合物としては、2−ピロリドン[245℃]、1−メチル−2−
ピロリドン[204℃](N−メチル−2−ピロリドン)、1−エチル−2−ピロリドン[212℃](N−エチル−2−ピロリドン)、N−ビニル−2−ピロリドン[193℃]、1−プロピル−2−ピロリドン、1−ブチル−2−ピロリドン等のγ−ラクタム類、β−ラクタム類、δ−ラクタム類等が挙げられる。括弧内の数値は標準沸点を表す。これらの環状アミドは、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
本実施形態の捺染用インクジェットインク組成物は、上記成分の他に、以下の成分を含むことができる。
本実施形態の捺染用インクジェットインク組成物は、標準沸点が180℃以上260℃以下であるアルキルポリオールを含んでもよい。係るアルキルポリオールを含むことにより、捺染用インクジェットインク組成物の保湿性をさらに高め、インクジェット法による吐出安定性を優れたものとしつつ、長期放置時による記録ヘッドからの水分蒸発を効果的に抑制することができる。また、これにより、ノズルの目詰まりを生じやすい種の染料を用いた場合でも、放置回復性や連続吐出安定性を良好に維持することができる。
ンジオール[244℃]、3−メチル−1,5−ペンタンジオール[250℃]、2−メチルペンタン−2,4−ジオール[197℃]、ジエチレングリコール[245℃]、ジプロピレングリコール[232℃]等が挙げられる。なお、括弧内の数値は標準沸点を表す。これらのアルキルポリオールは、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
本実施形態に係る捺染用インクジェットインク組成物は、界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤は、捺染用インクジェットインク組成物の表面張力を低下させ記録媒体との濡れ性(布帛等への浸透性)を調整、向上させるために用いることができる。界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤のいずれも使用することができ、さらにこれらは併用してもよい。また、界面活性剤の中でも、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤を好ましく用いることができる。
K社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学工業社製)が挙げられる。
本実施形態のインク組成物は、pHを調整する目的で、pH調整剤を添加することができる。pH調整剤としては、特に限定されないが、酸、塩基、弱酸、弱塩基の適宜の組み合わせが挙げられる。そのような組み合わせに用いる酸、塩基の例としては、無機酸として、硫酸、塩酸、硝酸等、無機塩基として水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア等が挙げられ、有機塩基として、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン(THAM)等が挙げられ、有機酸として、アジピン酸、クエン酸、コハク酸、乳酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、モルホリノエタンスルホン酸(MES)、カルバモイルメチルイミノビス酢酸(ADA)、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、コラミン塩酸、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(TES)、アセトアミドグリシン、トリシン、グリシンアミド、ビシン等のグッドバッファー、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス緩衝液等を用いてもよい。さらに、これらのうち、pH調整剤の一部又は全部として、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の第三級アミン、及び、アジピン酸、クエン酸、コハク酸、乳酸等のカルボキシル基含有有機酸、が含まれることが、pH緩衝効果をより安定に得ることができるため好ましい。
本実施形態に係る捺染用インクジェットインク組成物は、水を含んでもよい。水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、及び蒸留水等の純水、並びに超純水のような、イオン性不純物を極力除去したものが挙げられる。また、紫外線照射又は過酸化水素の添加等によって滅菌した水を用いると、捺染用インクジェットインク組成物を長期保存する場合に細菌類や真菌類の発生を抑制することができる。
量が30質量%以上であることにより、捺染用インクジェットインク組成物を比較的低粘度とすることができる。また、水の含有量の上限は、捺染用インクジェットインク組成物の総量に対して、好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは85質量%以下であり、さらに好ましくは80質量%以下である。
本実施形態の捺染用インクジェットインク組成物は、標準沸点が190℃未満又は260℃超の環状アミド、含窒素複素環式化合物や、水溶性有機溶剤を含んでもよい。標準沸点が190℃未満又は260℃超の環状アミドとしては例えば、ε−カプロラクタム[136℃]等のラクタム類が挙げられ、水溶性有機溶剤としては、γ−ブチロラクトン[204℃]等のラクトン類、ベタイン化合物等が挙げられる。さらに、グリコールエーテルを含んでもよく、これにより組成物の濡れ性や浸透速度を制御できる場合がある。ため、画像の発色性を向上できる場合がある。
捺染用インクジェットインク組成物の保湿剤として、あるいは、染料の染着性を向上させる染着助剤として、尿素類を使用してもよい。尿素類の具体例としては、尿素、エチレン尿素、テトラメチル尿素、チオ尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。尿素類を含有する場合には、その含有量は、インク組成物の全質量に対して、1質量%以上10質量%以下とすることができる。
捺染用インクジェットインク組成物の固化、乾燥を抑制する目的で、糖類を使用してもよい。糖類の具体例としては、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール(ソルビット)、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、及びマルトトリオース等が挙げられる。
捺染用インクジェットインク組成物中の不要なイオンを除去する目的で、キレート化剤を使用してもよい。キレート化剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸及びそれらの塩類(エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム塩、又は、エチレンジアミンのニト
リロトリ酢酸塩、ヘキサメタリン酸塩、ピロリン酸塩、若しくはメタリン酸塩等)等が挙げられる。
捺染用インクジェットインク組成物は、防腐剤、防かび剤を使用してもよい。防腐剤、防かび剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンゾイソチアゾリン−3−オン(ゼネカ社のプロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL.2、プロキセルTN、プロキセルLV)、4−クロロ−3−メチルフェノール(バイエル社のプリベントールCMK等)などが挙げられる。
さらに上記以外の成分として、例えば、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、溶解助剤など、インクジェット用のインク組成物において通常用いることができる添加剤を含有してもよい。
本実施形態のインクジェット捺染用インク組成物は、pHが5.8以上10.5以下、好ましくは6.0以上10.0以下、より好ましくは6.0以上9.5以下、さらに好ましくは7.0以上8.5以下であることが好ましい。捺染用インクジェットインク組成物のpHがこの範囲であれば、インク組成物中における染料の保存安定性が向上し、得られる画像の発色性や色相の変化を生じにくいので、所定のデザインの色を良好に再現することができる。
本実施形態に係るインク組成物は、上記した各成分を、任意な順序で混合し、必要に応じて濾過等をして不純物を除去することにより得られる。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。
本実施形態の捺染用インクジェットインク組成物によれば、色相角∠h°が15°以上80°以下の範囲の色を、複数色の混色によることなく、捺染物において発色性良く表現でき、かつ、経時的な色相変化(耐光性)を抑制することができる。すなわち標準沸点が190℃以上260℃以下である環状アミドを5質量%以上30質量%以下で含むことにより、染料を十分な量で溶解させることができること、により、捺染物において良好な発色性を得ることができる。そして、色相角∠h°が30°以上65°以下の範囲の色を複数色の混色によることなく表現でき、経時的な色相変化(耐光性)を抑制することができ
る。
上述の本実施形態の捺染用インクジェットインク組成物は、他の任意の色の染料を含む捺染用インクジェットインク組成物、及び、後述する前処理組成物と、任意の組成物数、任意の色数で組み合わせたインクセットを構成することができる。
本実施形態に係る記録方法は、上述した捺染用インクジェットインク組成物を布帛に印捺する工程(以下、「印捺工程」ともいう。)を含む。以下、本実施形態に係る記録方法に含む工程及び含み得る工程について、工程毎に説明する。
本実施形態の捺染用インクジェットインク組成物は、記録媒体に付着させて使用される。記録媒体としては、特に限定されないが、各種の布帛が挙げられる。布帛を構成する素材としては、特に限定されず、例えば、綿、麻、羊毛、絹等の天然繊維、ポリプロピレン、ポリエステル、アセテート、トリアセテート、ポリアミド、ポリウレタン等の合成繊維、ポリ乳酸等の生分解性繊維などが挙げられ、これらの混紡繊維であってもよい。布帛としては、上記に挙げた繊維を、織物、編物、不織布等いずれの形態にしたものでもよい。本実施形態で使用する布帛は、これらのうち綿、麻等のセルロースを含む繊維で形成されたものがより好ましい。このような布帛を用いることで、捺染用インクジェットインク組成物のよりすぐれた染着性を得ることができる。
本実施形態に係る記録方法は、布帛にアルカリ剤、酸及びヒドロトロピー剤の少なくとも一種を含有する前処理組成物を付与する前処理工程を備えていてもよい。これにより染料の染着性が一層向上する。
。
前処理組成物は、アルカリ剤、酸及びヒドロトロピー剤の少なくとも一方を含有する。これらの成分の前処理組成物中の含有量は、布帛の種類などに応じて適宜設定することができ、特に制限されるものではない。
は0.1質量%以上1質量%以下、特に好ましくは0.2質量%以上0.5質量%以下配合することが好ましい。前処理組成物が界面活性剤を含有することにより、前処理された布帛上に塗布されたインクの浸透性や濡れ性を制御し、捺染物の発色性向上や滲みの抑制を実現できる。
本実施形態に係る記録方法は、上述した捺染用インクジェットインク組成物を布帛に印捺する印捺工程を含む。具体的には、インクジェット記録方式により吐出されたインク滴を布帛に付着させて、布帛に画像を形成する。インクジェット記録方式としては、いずれの方式でもよく、荷電偏向方式、コンティニュアス方式、オンデンマンド方式(ピエゾ式、バブルジェット(登録商標)式)などが挙げられる。これらのインクジェット記録方式の中でも、ピエゾ式のインクジェット記録装置を用いる方式が特に好ましい。
本実施形態に係る記録方法は、上記のインク組成物が印捺された布帛を熱処理する熱処理工程を含んでもよい。熱処理工程を行うことにより、染料が繊維に良好に染着する。熱処理工程は従来公知の方法を用いることができ、例えば、HT法(高温スチーミング法)、HP法(高圧スチーミング法)、サーモゾル法等が挙げられる。
本実施形態に係る記録方法は、捺染物を洗浄する洗浄工程を含んでもよい。洗浄工程は、上記の熱処理工程の後に行うことが好ましく、繊維に染着していない染料を効果的に除去することができる。洗浄工程は、例えば水を用いて行うことができ、必要に応じてソーピング処理を行ってもよい。
本実施形態に係る記録方法は、上述の前処理工程の後、上述の印捺工程の前に、布帛に付与された前処理組成物を乾燥する前処理組成物の乾燥工程を含んでいてもよい。前処理組成物の乾燥は、自然乾燥で行ってもよいが、乾燥速度の向上という観点から、加熱を伴う乾燥であることが好ましい。前処理組成物の乾燥工程において加熱を伴う場合に、その加熱方法は特に限定されるものではないが、例えば、ヒートプレス法、常圧スチーム法、高圧スチーム法、及びサーモフィックス法が挙げられる。また、加熱の熱源としては、以下に限定されないが、例えば赤外線(ランプ)が挙げられる。
本実施形態の記録方法によれば、印捺工程で上述の捺染用インクジェットインク組成物を用いることにより、色相角∠h°が15°以上80°以下の範囲の色を、複数色の混色によることなく、捺染物において発色性良く表現でき、かつ、経時的な色相変化(耐光性)を抑制でき、吐出信頼性(目詰まり放置回復性や連続吐出安定性)を良好にすることができる。
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1の組成になるように各成分を容器に入れて、マグネチックスターラーで2時間混合及び攪拌した後、孔径5μmのメンブランフィルターで濾過することで、実施例及び
比較例に係るインク組成物を得た。なお、表1中の数値は、質量%を示し、イオン交換水はインク組成物の全質量が100質量%となるように添加した。
・C.I.リアクティブオレンジ12 最大吸収波長:420nm
・C.I.リアクティブオレンジ99 最大吸収波長:420nm
・C.I.リアクティブイエロー2 最大吸収波長:404nm
・C.I.リアクティブレッド31 最大吸収波長:546nm
・C.I.アシッドブラウン298 最大吸収波長:362nm
・C.I.アシッドオレンジ56 最大吸収波長:414nm
・C.I.アシッドレッド289 最大吸収波長:527nm
・C.I.アシッドイエロー79 最大吸収波長:402nm
・BES(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸:試薬)
・オルフィンPD−002W(商品名、日信化学工業社製、アセチレングリコール系界面活性剤)
・プロキセルXL2(商品名、アーチ・ケミカルズ社製)
なお、染料の名称中に「リアクティブ」とあるものは反応染料、「アシッド」とあるものは酸性染料に分類した。
表2に示すようなインクセットを構成した。インクセットは、インク1、インク2、インク3及びインク4の4種類のインクからなるセットとした。インク1〜4は、それぞれ、ブラウン、マゼンタ、イエロー、ブラックのインクに相当する。そして、実施例21〜25のインクセットを、それぞれ、上記実施例1、2、3、18、19の捺染用インクジェットインク組成物と、色材濃度のみが異なる(5質量%)インクをインク1としたインクセットとした。また、比較例6のインクセットを、上記比較例1の捺染用インクジェットインク組成物と、色材濃度のみが異なる(5質量%)インクをインク1としたインクセットとした。また、比較例7のインクセットを、上記比較例5の捺染用インクジェットインク組成物の色材種を1種(C.I.アシッドイエロー79)とし、色材濃度が異なる(5質量%)インクをインク1としたインクセットとした。インクセットの各例のインク2〜4は、上記実施例1の捺染用インクジェットインク組成物と色材種(表2記載)及び濃度が異なる(5質量%)インクとした。
・C.I.リアクティブブルー15 最大吸収波長:672nm
・C.I.リアクティブブラック39 最大吸収波長:610nm
・C.I.アシッドブルー112 最大吸収波長:589nm
・C.I.アシッドブラック172 最大吸収波長:573nm
(1)反応染料を用いる場合の前処理液調製方法
ポリオキシエチレンジイソプロピルエーテル(オキシエチレン=30モル)を5質量部、エーテル化カルボキシメチルセルロースを5質量部、尿素(ヒドロトロピー剤)100質量部、m−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム10質量部をよく混合した後、イオン交換水1000質量部に少量ずつ添加しながら60℃下で30分撹拌する。その後、炭酸ナトリウム(アルカリ剤)30質量部を撹拌されている溶液にさらに加えて10分撹拌し、この溶液を孔径10μmのメンブレンフィルターでろ過することにより、前処理組成物を得た。
m−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウムを添加しないことと、アルカリ剤である炭酸ナトリウムの代わりに、硫酸アンモニウムを用いたこと以外は、上記、反応染料用前処理液の調製と同様にして、酸性染料用の前処理液を調製した。
4.4.1.捺染物の色相角評価
上記実施例1〜20の捺染用インクジェットインク組成物、及び、比較例1〜5の捺染用インクジェットインク組成物について、捺染物の色相角∠h°を以下の通り評価した。
白色度L*が85〜95の範囲にある布帛(綿100%、ビスコース、シルク、ウール又はPAエラストマー)を用い、上記のようにして得られた前処理組成物を前記布帛に塗布して、マングルにてピックアップ率80%で絞って乾燥させた。その後、インクジェットプリンターPX−G930(セイコーエプソン株式会社製)のカートリッジに上記で調製した捺染用インクジェットインク組成物を充填し、前処理を行った布帛に、1440dpi×720dpiの解像度で、インク打ち込み量23mg/inch2の条件で、各捺染用インクジェットインク組成物を付着させて画像を記録(印刷)した。
、フィルターD65、φ2度)を用いて測定した。評価結果を表3に示す。
A:色相角∠h°が20°以上75°以下であった
B:色相角∠h°が15°以上20°未満又は75°超80°以下であった
C:色相角∠h°が15°未満80°超であった
上記実施例1〜20の捺染用インクジェットインク組成物、及び、比較例1〜5の捺染用インクジェットインク組成物の耐光性評価を以下のように行った。
上記「4.4.1.捺染物の色相角評価」で得られた評価サンプルを用いて、ISO 105 B02に従って実施し、以下の基準に従って結果を評価した。評価結果を表3に示す。なお、この評価は、変退色を調べ,堅ろう度を判定するものであり、色相角を直接測定するものではないが、少なくとも変色を判定することができる。
A:耐光性が5級以上
B:耐光性が4級以上5級未満
C:耐光性が3級以上4級未満
D:耐光性が3級未満
E:捺染物の色相角h°が30°以上65°以下の範囲に入らないため、評価対象外
印捺を1440pi×720dpiの解像度で布帛(反応染料使用時:綿100%、酸性染料使用時:シルク)に実施した以外は、上記「4.4.1.捺染物の色相角評価」と同様の方法で、評価サンプルを得た。発色性の評価は、測色器(商品名「Spectrolino、X−RITE社製)で画像のOD値(発色濃度:イエロー成分のOD値とマゼンタ成分のOD値との和)を測定することで行い、測定されたOD値に基づいて画像の発色性を評価した。評価基準を以下に示す。評価結果を表3に示す。
B:OD値が2.5以上2.7未満
C:OD値が2.3以上2.5未満
D:OD値が2.3未満
インクジェットプリンターPX−G930(セイコーエプソン株式会社製)のカートリッジに上記の捺染用インクジェットインク組成物を充填した。充填後、ノズルチェックパターンを印刷して充填不良・ノズル目詰まりの無いことを確認してから、ヘッドをホームポジションに戻した状態(すなわち、ヘッドノズル面にヘッドキャップをした状態)にして、35℃/40%RHの環境下で一週間放置した。放置後、ノズルチェックパターンを印刷してノズルの吐出状況を観察することで、インク組成物のインクジェットヘッドの目詰まり放置回復性を評価した。その評価基準を以下に示す。評価結果を表3に示す。
B:クリーニング動作が2回〜5回の範囲内で、全ノズルからインク組成物が正常吐出された
C:クリーニング動作が6回〜10回の範囲内で、全ノズルからインク組成物が正常吐出された
D:全ノズルからインク組成物が正常吐出されるまでにクリーニング動作が11回以上必要であったか、又は、クリーニング動作を11回以上行っても正常吐出されないノズルがあった
インクジェットプリンターPX−G930(セイコーエプソン株式会社製)のカートリッジに上記の捺染用インクジェットインク組成物を充填後、A4普通紙に1000枚の連続ベタ印字を行い、クリーニング動作を行わずに、連続で印刷できる枚数の平均値を求め、以下の試験方法及び基準により評価した。評価結果を表3に示す。
(評価基準)
A:平均連続印刷枚数が、80枚以上
B:平均連続印刷枚数が、40枚以上80枚未満
C:平均連続印刷枚数が、20枚以上40枚未満
D:平均連続印刷枚数が、20枚未満
表2に記載された実施例21〜25及び比較例6、7のインクセットの耐光性を以下のように評価した。各インクセットを用いて、得られる印捺画像の色相角∠h°が15°以上80°以下になるように、1440dpi×720dpi又は720dpi×720dpiの解像度でインクの打ち込み量を制御して画像を印捺した以外は、上記、捺染用インクジェットインク組成物の耐光性評価と同様の評価方法で評価を実施した。なお、印捺は、綿100%の布帛、ビスコース、シルク、ウール、及び、PAエラストマーの各布帛に対して実施した。
各実施例の捺染用インクジェットインク組成物の結果をみると、いずれも、記録媒体上でのCIELAB色空間で定義される色相角∠h°が20°以上75°以下の範囲である染料と、常温で液体であって、標準沸点が190℃以上260℃以下である環状アミドを5質量%以上30質量%以下と、を含むことにより、色相角∠h°が20°以上75°以下の範囲の色を、複数色の混色によることなく、捺染物において発色性良く表現でき、かつ、経時的な色相変化(耐光性)を抑制することができることが判明した。
Claims (9)
- 染料と、
常温で液体であって、標準沸点が190℃以上260℃以下である環状アミドを5質量%以上30質量%以下と、
を含み、記録媒体上でのCIELAB色空間で定義される色相角∠h°が15°以上80°以下の範囲となる、捺染用インクジェットインク組成物。 - 請求項1において、
記録媒体上でのCIELAB色空間で定義される色相角∠h°が20°以上75°以下の範囲となる、捺染用インクジェットインク組成物。 - 請求項1又は請求項2において、
前記染料が、350nm以上450nm以下の範囲に最大吸収波長を有する染料である、捺染用インクジェットインク組成物。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
前記染料が、C.I.リアクティブオレンジ35、C.I.リアクティブオレンジ12、C.I.リアクティブオレンジ99、C.I.アシッドブラウン298、及び、C.I.アシッドオレンジ56の一種以上である、捺染用インクジェットインク組成物。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか一項において、
前記染料の含有量が、3質量%以上15質量%以下である、捺染用インクジェットインク組成物。 - 請求項1ないし請求項5のいずれか一項において、
前記捺染用インクジェットインク組成物のpHが、6以上10以下である、捺染用インクジェットインク組成物。 - 請求項1ないし請求項6のいずれか一項において、
前記捺染用インクジェットインク組成物中に、標準沸点が180℃以上260℃以下であるアルキルポリオールを含み、
前記アルキルポリオールの含有量が、10質量%以上25質量%以下である、捺染用インクジェットインク組成物。 - 請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の捺染用インクジェットインク組成物を含む、インクセット。
- アルカリ剤、酸及びヒドロトロピー剤の少なくとも一種を含有する前処理組成物を布帛に付与する前処理工程と、請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の捺染用インクジェットインク組成物を用いて前記布帛に印捺する印捺工程と、を含む、記録方法。
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