JP2016138157A - インクジェット捺染用インクセット及びインクジェット捺染方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】長期保存安定性に優れ、長期保存した後であっても発色性が良好となるインクジェット捺染用インクセット及び該インクセットを用いるインクジェット捺染方法を提供する。【解決手段】本発明に係るインクジェット捺染用インクセットは、繊維に対して反応性染料によって捺染を行うためのインクセットであり、反応性染料を含有する第1のインクと、アルカリ剤及び下記一般式(1)で示される化合物を含有する第2のインクと、を備えることを特徴とする。(式(1)中、R1、R2、R3は、それぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基を表す。R4は、置換もしくは非置換のアルケニル基を表す。R1、R2及びR3のうちの少なくとも1つとR4とが結合して複素環を形成してもよい。)【選択図】なし
Description
本発明は、インクジェット捺染用インクセット及び該インクセットを用いるインクジェット捺染方法に関する。
従来のテキスタイルプリントは、版を用いてプリントする方法やスクリーン捺染方法を用いて行われていた。近年、版が不要であり、かつ、少量多品種に対応可能であることから、インクジェット方式を利用した捺染の技術が注目されている。
捺染に用いられる染料種としては、直接染料、反応性染料、酸性染料、分散染料などがある。一般的に繊維の種類によって、相性の良い染料種は異なる。例えば、絹や羊毛の捺染には酸性染料が適しており、綿、麻、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨセル等の繊維の捺染には、反応性染料が適している。なお、絹や羊毛の捺染には、酸性染料を使用することが一般的であるが、反応性染料が使用される場合もある。
このような反応性染料を用いた捺染を行う際に利用するインク又はインクセットが、例えば特許文献1〜3に開示されている。特許文献1には、糊剤、アルカリ剤、還元防止剤、ヒドロトロピー剤及び水からなり、該糊剤に少なくともノニオン系高分子材料が含まれている前処理インクが開示されている。特許文献2には、セルロース系繊維の染色補助インクとして、尿素を含有するアルカリ剤含有インクが開示されている。特許文献3には、インクジェット記録用プリンタヘッドから吐出可能である定着促進組成物及び非アルカリ前処理液からなり、前記定着促進組成物はアルカリ剤とヒドロトロピー剤と水とを含み、前記非アルカリ前処理液は糊剤と水とを含むインクセットが開示されている。
上述の特許文献に開示されているインク又はインクセットでは、前処理インクや染色補助インクなどで、反応性染料を定着させるためのアルカリ剤と、蒸熱効率を上げるための尿素または尿素誘導体等(以下、「尿素等」ともいう。)のヒドロトロピー剤と、が併用されている。しかしながら、アルカリ剤と尿素等とが共存すると、長期保存や輸送に伴う高温放置により尿素等がアルカリ剤によって分解されて、前処理インクや染色補助インクなどの長期保存安定性が損なわれてしまうという課題があった。尿素等が分解されてしまうと、繊維への水分導入が低下し、発色性が低下する可能性がある。また、尿素の分解によって炭酸ガスやアンモニアが発生することで、周囲の環境を悪化させたり、特にインクジェット方式では気泡の発生により吐出安定性が損なわれたりする可能性がある。
また、特許文献1の技術では、アルカリ剤を含む前処理液を布帛前面に塗布する必要があった。その場合、反応性染料が塗布されない部分においてもアルカリ剤が付着するため、生地焼け(黄変)が発生する可能性がある。
本発明に係る幾つかの態様は、上記課題の少なくとも一部を解決することで、長期保存
安定性に優れ、長期保存した後であっても発色性が良好となるインクジェット捺染用インクセット及び該インクセットを用いるインクジェット捺染方法を提供するものである。
安定性に優れ、長期保存した後であっても発色性が良好となるインクジェット捺染用インクセット及び該インクセットを用いるインクジェット捺染方法を提供するものである。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係るインクジェット捺染用インクセットの一態様は、
繊維に対して反応性染料によって捺染を行うためのインクジェット捺染用インクセットであって、
反応性染料を含有する第1のインクと、
アルカリ剤及び下記一般式(1)で示される化合物を含有する第2のインクと、
を備えることを特徴とする。
(式(1)中、R1、R2、R3は、それぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基を表す。R4は、置換もしくは非置換のアルケニル基を表す。R1、R2及びR3のうちの少なくとも1つとR4とが結合して複素環を形成してもよい。)
本発明に係るインクジェット捺染用インクセットの一態様は、
繊維に対して反応性染料によって捺染を行うためのインクジェット捺染用インクセットであって、
反応性染料を含有する第1のインクと、
アルカリ剤及び下記一般式(1)で示される化合物を含有する第2のインクと、
を備えることを特徴とする。
適用例1のインクジェット捺染用インクセットによれば、アルカリ剤を含有する第2のインクにおいて、水分誘導剤としての尿素等に代えて上記一般式(1)で示される化合物を含有させることにより、アルカリ剤と尿素等との反応による尿素等の分解が発生することがなく、第2のインクの長期保存安定性が良好となる。また、適用例1のインクジェット捺染用インクセットによれば、上記一般式(1)で示される化合物は水分導入作用及び水分保持能に優れているため、インクの発色性を良好なものとすることができる。
[適用例2]
適用例1のインクジェット捺染用インクセットにおいて、前記アルカリ剤が、苛性ソーダ、重曹、及び炭酸ソーダよりなる群から選択される少なくとも1種であることができる。
適用例1のインクジェット捺染用インクセットにおいて、前記アルカリ剤が、苛性ソーダ、重曹、及び炭酸ソーダよりなる群から選択される少なくとも1種であることができる。
適用例2のインクジェット捺染用インクセットによれば、反応性染料を生地に確実に定着させることができ、高発色の捺染が可能となる。
[適用例3]
適用例1又は適用例2のインクジェット捺染用インクセットにおいて、前記一般式(1)で示される化合物が、トリメチルグリシン、γ−ブチロベタイン、ホマリン、トリゴネリン、カルニチン、ホモセリンベタイン、バリンベタイン、リジンベタイン、オルニチンベタイン、アラニンベタイン、スタキドリン、及びグルタミン酸ベタインよりなる群から選択される少なくとも1種であることができる。
適用例1又は適用例2のインクジェット捺染用インクセットにおいて、前記一般式(1)で示される化合物が、トリメチルグリシン、γ−ブチロベタイン、ホマリン、トリゴネリン、カルニチン、ホモセリンベタイン、バリンベタイン、リジンベタイン、オルニチンベタイン、アラニンベタイン、スタキドリン、及びグルタミン酸ベタインよりなる群から選択される少なくとも1種であることができる。
適用例3のインクジェット捺染用インクセットによれば、スチーム処理の際に繊維への水分導入を効果的に向上させることができる。その結果、その水分に反応性染料が追随するので、均一で高発色な捺染が可能となる。
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか一例のインクジェット捺染用インクセットにおいて、前記第2のインクが、さらに、還元防止剤を含有することができる。
適用例1ないし適用例3のいずれか一例のインクジェット捺染用インクセットにおいて、前記第2のインクが、さらに、還元防止剤を含有することができる。
適用例4のインクジェット捺染用インクセットによれば、繊維と反応性染料との結合が、還元作用により切れてしまうのを抑制することができ、印捺斑の防止や印捺濃度・色相の再現性が向上し、また高い発色性を得ることができる。
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれか一例のインクジェット捺染用インクセットにおいて、前記第1のインクが、さらに、尿素又はその誘導体を含有することができる。
適用例1ないし適用例4のいずれか一例のインクジェット捺染用インクセットにおいて、前記第1のインクが、さらに、尿素又はその誘導体を含有することができる。
適用例5のインクジェット捺染用インクセットによれば、第1のインクに尿素等を含有させることにより、スチーム処理の際に繊維への水分導入を向上させることができ、その水分に反応性染料が追随するので、均一で高発色な捺染が可能となる。
[適用例6]
適用例1ないし適用例5のいずれか一例のインクジェット捺染用インクセットによれば、前記第1のインク及び前記第2のインクの少なくとも一方が、保湿剤、浸透剤、界面活性剤をさらに含有することができる。
適用例1ないし適用例5のいずれか一例のインクジェット捺染用インクセットによれば、前記第1のインク及び前記第2のインクの少なくとも一方が、保湿剤、浸透剤、界面活性剤をさらに含有することができる。
適用例6のインクジェット捺染用インクセットによれば、インクの粘度や表面張力を適切な値に調整することができるので、インクジェット捺染に適したインクセットとすることができる。
[適用例7]
本発明に係るインクジェット捺染方法の一態様は、
適用例1ないし適用例6のいずれか一例のインクジェット捺染用インクセットを用いて繊維を染色することを特徴とする。
本発明に係るインクジェット捺染方法の一態様は、
適用例1ないし適用例6のいずれか一例のインクジェット捺染用インクセットを用いて繊維を染色することを特徴とする。
適用例7のインクジェット捺染方法によれば、上記のいずれか一例のインクジェット捺染用インクセットを用いるので、長期保存後のインクジェット捺染用インクセットを使用した場合であっても発色性に優れたインクジェット捺染を実現することができる。また、インクジェット捺染であるため、アルカリ剤を含む第2のインクを必要な箇所にのみ付着させることができる。すなわち、反応性染料を付与しない部分には第2のインクを付着させずに捺染を行うことができる。これにより、反応性染料を付与しない部分に生地焼け(黄変)が発生することを防ぐことができる。
[適用例8]
適用例7のインクジェット捺染方法において、前記繊維が、セルロース系繊維及びポリアミド系繊維の少なくとも1種を含むことができる。
適用例7のインクジェット捺染方法において、前記繊維が、セルロース系繊維及びポリアミド系繊維の少なくとも1種を含むことができる。
適用例8のインクジェット捺染方法によれば、セルロース系繊維やポリアミド系繊維は反応性染料との相性が良いので、さらに発色性や堅牢性に優れたインクジェット捺染を実現することができる。
以下に本発明の好適な実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施の形態に限定されるもの
ではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
ではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
以下、インクジェット捺染用インクセット、インクジェット捺染方法に大別してこの順に説明する。本明細書において、「インクジェット捺染」とは、インクジェット方式を利用して記録媒体の1種である繊維(の表面)にインクを記録することをいい、インクジェット記録の1種である。「捺染」とは、記録媒体の1種である繊維(の表面)に反応性染料を印画して、熱処理などの加工により繊維に染着させる方法をいう。
1.インクジェット捺染用インクセット
本実施の形態に係るインクジェット捺染用インクセットは、繊維に対して反応性染料によって捺染を行うためのインクジェット捺染用インクセットであって、反応性染料を含有する第1のインクと、アルカリ剤及び下記一般式(1)で示される化合物を含有する第2のインクと、を備えることを特徴とする。以下、第1のインク、第2のインクの順に説明する。
(式(1)中、R1、R2、R3は、それぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基を表す。R4は、置換もしくは非置換のアルケニル基を表す。R1、R2及びR3のうちの少なくとも1つとR4とが結合して複素環を形成してもよい。)
本実施の形態に係るインクジェット捺染用インクセットは、繊維に対して反応性染料によって捺染を行うためのインクジェット捺染用インクセットであって、反応性染料を含有する第1のインクと、アルカリ剤及び下記一般式(1)で示される化合物を含有する第2のインクと、を備えることを特徴とする。以下、第1のインク、第2のインクの順に説明する。
1.1.第1のインク
1.1.1.反応性染料
第1のインクは、着色剤として反応性染料を含有する。反応性染料の具体例としては、特に制限されず、以下に例示するものが挙げられる。
1.1.1.反応性染料
第1のインクは、着色剤として反応性染料を含有する。反応性染料の具体例としては、特に制限されず、以下に例示するものが挙げられる。
C.I.Reactive Black5、8、13、14、31、34、39;C.I.Reactive Yellow2、3、7、15、17、18、22、23、24、25、27、37、39、42、57、69、76、81、84、85、86、87、92、95、102、105、111、125、135、136、137、142、143、145、151、160、161、165、167、168、175、176;C.I.Reactive Orange1、4、5、7、11、12、13、15、16、20、30、35、56、64、67、69、70、72、74、82、84、86、87、91、92、93、95、107;C.I.Reactive Red2、3、3:1、5、8、11、21、22、23、24、28、29、31、33、35、43、45、49、55、56、58、65、66、78、83、84、106、111、112、113、114、116、120、123、124、128、130、136、141、147、158、159、171、174、180、183、184、187、190、193、194、195、198、218、220、222、223、226、228、235;C.I.Reactive Violet1、2、4、5、6、22、23、33、36、38;C.I.Reactive Blue2、3、4、7、13、14、15、19、21、25、27、28、29、38、39、41、49、50、52、63、69、71、72、77、79、89、104、109、112、113、114、116、119、120、122、137、140、143、147、160、161、162、163、168、171、176、182、184、191、194、195、198、203、204、207、209、211、214、220、221、222、
231、235、236;C.I.Reactive Green8、12、15、19、21;C.I.Reactive Brown2、7、9、10、11、17、18、19、21、23、31、37、43、46等が挙げられる。これらの反応性染料は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
231、235、236;C.I.Reactive Green8、12、15、19、21;C.I.Reactive Brown2、7、9、10、11、17、18、19、21、23、31、37、43、46等が挙げられる。これらの反応性染料は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
第1のインク中における反応性染料の含有量は、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.5〜18質量%である。
1.1.2.尿素及び尿素誘導体
第1のインクは、尿素又は尿素誘導体を含有することが好ましい。第1のインクに尿素等を含有させることにより、スチーム処理の際に繊維への水分導入をより向上させることができ、その水分に反応性染料が追随するので、均一で高発色な捺染が可能となる。
第1のインクは、尿素又は尿素誘導体を含有することが好ましい。第1のインクに尿素等を含有させることにより、スチーム処理の際に繊維への水分導入をより向上させることができ、その水分に反応性染料が追随するので、均一で高発色な捺染が可能となる。
尿素誘導体としては、ジメチル尿素、チオ尿素、モノメチルチオ尿素、ジメチルチオ尿素等のアルキル尿素が挙げられる。
第1のインク中における尿素等の含有量は、第1のインクを繊維に付着させたときに第2のインクによって繊維に付着したアルカリ剤との反応をできる限り低減する観点から、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%である。第1のインク中における尿素等の含有量は、第2のインク中に含まれる一般式(1)で示される化合物の含有量とのバランスを図りながら適宜調整することができる。
反応性染料の繊維への染着効率を高める観点から、尿素等及び一般式(1)で示される化合物の繊維への合計付着量が繊維1m2当たり1〜8gとなることが好ましく、1〜4gとなることがより好ましい。
1.1.3.水
第1のインクは、液状媒体として水を含有することが好ましい。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることができる。また、紫外線照射または過酸化水素等により滅菌した水を用いることにより、本実施の形態に係るインクジェット捺染用インクセットを長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
第1のインクは、液状媒体として水を含有することが好ましい。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることができる。また、紫外線照射または過酸化水素等により滅菌した水を用いることにより、本実施の形態に係るインクジェット捺染用インクセットを長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
1.1.4.その他の添加剤
第1のインクには、必要に応じて保湿剤、浸透剤、界面活性剤、糊剤、防腐剤等の添加剤を添加することができる。これらの添加剤により、インクの粘度や表面張力を適切な値に調整することができるので、インクジェット捺染に適したインクセットとすることができる。
第1のインクには、必要に応じて保湿剤、浸透剤、界面活性剤、糊剤、防腐剤等の添加剤を添加することができる。これらの添加剤により、インクの粘度や表面張力を適切な値に調整することができるので、インクジェット捺染に適したインクセットとすることができる。
<保湿剤>
保湿剤としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等の多価アルコール;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の複素環化合物;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド等が挙げられる。これらの保湿剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
保湿剤としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等の多価アルコール;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の複素環化合物;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド等が挙げられる。これらの保湿剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
第1のインク中における保湿剤の含有量は、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%である。
<浸透剤>
浸透剤としては、例えばエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルトリグリコール)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類が挙げられる。これらの浸透剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
浸透剤としては、例えばエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルトリグリコール)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類が挙げられる。これらの浸透剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
第1のインク中における浸透剤の含有量は、好ましくは0.5〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%である。
<界面活性剤>
界面活性剤としては、例えばシリコン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、アニオン性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えばシリコン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、アニオン性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
シリコン系界面活性剤としては、ポリシロキサン系化合物等が好ましく用いられ、例えば、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等が挙げられる。より詳しくは、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348(以上商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学株式会社製)等が挙げられる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、サーフィノール104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、440、465、485、SE、SE−F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA(以上全て商品名、Air Products and Chemicals. Inc.社製)、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF−103、AF−104、AK−02、SK−14、AE−3(以上全て商品名、日信化学工業株式会社製)、アセチレノールE00、E00P、E40、E100(以上全て商品名、川研ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ペレックスSS−H、SS−L、ラテムルWX、E−150、ネオペレックスGS、G−15、G−25、G−35(以上全て商品名、花王株式会社製)等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。該市販品としては、例えばS-144、S-145(旭硝子株式会社製);FC-170C、FC-430、フロラード-FC4430(住友スリーエム株式会社製);FSO、FSO-100、FSN、FSN-100、FS-300(Dupont社製);FT-250、251(株式会社ネオス製)などが挙げられる。これらの中でも、Dupo
nt社製のFSO、FSO-100、FSN、FSN-100、FS-300が良好な印字品質、保存性を提供でき好ましい。
nt社製のFSO、FSO-100、FSN、FSN-100、FS-300が良好な印字品質、保存性を提供でき好ましい。
第1のインク中における界面活性剤の含有量は、好ましくは0.1〜1.5質量%、より好ましくは0.1〜1.0質量%である。
<糊剤>
糊剤を添加することで、繊維に反応性染料を効果的に付着させることができるので、滲みが低減された捺染を実現することができる。
糊剤を添加することで、繊維に反応性染料を効果的に付着させることができるので、滲みが低減された捺染を実現することができる。
糊剤としては、例えばグアーガム、ローカストビーンガム等の天然ガム類、澱粉類、アルギン酸ナトリウム、ふのり等の海草類、ペクチン酸等の植物皮類、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、焙焼澱粉、アルファ澱粉、カルボキシメチル澱粉、カルボキシエチル澱粉、ヒドロキシエチル澱粉等の加工澱粉、シラツガム系、ローストビーンガム系等の加工天然ガム、アルギン誘導体、あるいは、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸エステル等の合成糊、エマルジョン等が挙げられる。これらの中でも、滲みが低減された捺染を効果的に実現する観点から、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースよりなる群から選択される少なくとも1種の高分子化合物が好ましい。
<防腐剤>
防腐剤の好ましい具体例としては、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンゾイソチアゾリン−3−オン(ゼネカ社のプロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL2、プロキセルTN、プロキセルLV)、4−クロロ−3−メチルフェノール(バイエル社のプリベントールCMK等)などが挙げられる。
防腐剤の好ましい具体例としては、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンゾイソチアゾリン−3−オン(ゼネカ社のプロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL2、プロキセルTN、プロキセルLV)、4−クロロ−3−メチルフェノール(バイエル社のプリベントールCMK等)などが挙げられる。
1.2.第2のインク
1.2.1.アルカリ剤
第2のインクは、反応性染料を繊維と反応させるためのアルカリ剤を含有する。
1.2.1.アルカリ剤
第2のインクは、反応性染料を繊維と反応させるためのアルカリ剤を含有する。
アルカリ剤としては、例えば苛性ソーダ、重曹、炭酸ソーダ、水酸化カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸カリウム、酢酸ソーダ、酢酸カリウム、第三リン酸ナトリウム等が挙げられる。これらのアルカリ剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、苛性ソーダ、重曹、及び炭酸ソーダよりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
第2のインク中におけるアルカリ剤の含有量は、繊維にアルカリ剤を十分に付着させる観点から、好ましくは0.5〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%である。
アルカリ剤の付着量は、繊維1m2当たり0.5〜5gとなることが好ましく、1〜3gとなることがより好ましい。アルカリ剤の付着量が0.5g/m2よりも小さいと、反応性染料を十分に布帛に定着させることができなくなる可能性がある。また、アルカリ剤の付着量が5g/m2よりも大きいと、布帛が生地焼け(黄変)してしまう可能性がある。また、アルカリ剤をインクジェットヘッドで塗布する場合には、ヘッドが傷んでしまう可能性もある。
1.2.2.一般式(1)で示される化合物
第2のインクは、水分誘導剤として、下記一般式(1)で示される化合物(以下、「化合物(1)」ともいう。)を含有する。
第2のインクは、水分誘導剤として、下記一般式(1)で示される化合物(以下、「化合物(1)」ともいう。)を含有する。
上記一般式(1)中、R1、R2、R3は、それぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基を表す。当該アルキル基は、直鎖であってもよいし、分岐鎖であってもよい。このようなアルキル基としては、メチル基、エチル基、1−プロピル基、1−メチルエチル基、1−ブチル基、2−メチルプロピル基、2,2−ジメチルエチル基、1−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基等が挙げられる。
R1、R2、R3は、水に対する溶解性を高める観点及び疎水性を小さくする観点から、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、さらに好ましくは炭素数1〜2のアルキル基、特に好ましくは炭素数1のアルキル基である。R1、R2、R3が炭素数6以上のアルキル基であると、水に対する溶解性が著しく小さくなり、疎水性が高くなるため、スチーム処理の際に繊維への水分導入が低下し、水分に反応性染料が追随できなくなるので、不均一かつ低発色な捺染となりやすい。
上記一般式(1)中、R4は、置換もしくは非置換の、アルケニル基を表す。この置換基としては、直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、フェニル基等が挙げられる。また、置換基としてのアルキル基は、さらにアミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、フェニル基によって置換されていてもよい。
また、上記一般式(1)において、R1、R2及びR3のうちの少なくとも1つとR4とが結合して複素環を形成してもよい。この複素環は、その一部又は全部がπ電子共役系を形成していてもよい。このような複素環としては、例えば、アジリジン、アゼチジン、アゾリジン、アジナン、アゼパン等の単結合により形成される複素環;アジリン、アゼト、アゾール、ピリジン、アゼピン等のπ電子共役系により形成される複素環等が挙げられる。
化合物(1)の具体例としては、トリメチルグリシン、γ−ブチロベタイン、ホマリン、トリゴネリン、カルニチン、ホモセリンベタイン、バリンベタイン、リジンベタイン、オルニチンベタイン、アラニンベタイン、スタキドリン、及びグルタミン酸ベタイン等が挙げられ、これらの中から選択される1種以上を使用することができる。
化合物(1)は、スチーム処理の際に繊維への水分導入効果が高く、また水分保持能にも大変優れている。そのため、一般的に使用されている尿素等の水分誘導剤に代えて使用することができる。アルカリ剤と尿素等とが共存すると、長期の保存により尿素等がアルカリ剤によって分解されて、長期保存安定性が損なわれる。尿素等が分解されてしまうと、繊維への水分導入が低下し、発色性が低下する原因となる。また、尿素等の分解によって炭酸ガスやアンモニアが発生することで、周囲の環境を悪化させたり、特にインクジェット方式では気泡の発生により吐出安定性が損なわれたりする場合がある。そのため、本
実施の形態に係るインクジェット捺染用インクセットでは、アルカリ剤を含有する第2のインクは、尿素及び尿素誘導体のいずれをも含まない構成とし、これに代えて化合物(1)を配合することによって、上記の課題を解決することに成功したものである。なお、本明細書における「長期」とは、常温(25℃)において6ヶ月程度の期間のことをいう。
実施の形態に係るインクジェット捺染用インクセットでは、アルカリ剤を含有する第2のインクは、尿素及び尿素誘導体のいずれをも含まない構成とし、これに代えて化合物(1)を配合することによって、上記の課題を解決することに成功したものである。なお、本明細書における「長期」とは、常温(25℃)において6ヶ月程度の期間のことをいう。
第2のインク中における化合物(1)の含有量は、スチーム処理の際に繊維への水分導入をより向上させる観点から、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは5〜20質量%である。
1.2.3.還元防止剤
第2のインクは、還元防止剤を含有することが好ましい。第2のインクに還元防止剤を添加することにより、繊維と反応性染料との結合が、還元作用により切れてしまうのを抑制することができ、印捺斑の防止や印捺濃度・色相の再現性が向上し、また高い発色性を得ることができる。このような還元防止剤としては、ニトロベンゼンスルホン酸塩を用いることが好ましく、メタニトロベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩、特にナトリウム塩を用いることが好ましい。
第2のインクは、還元防止剤を含有することが好ましい。第2のインクに還元防止剤を添加することにより、繊維と反応性染料との結合が、還元作用により切れてしまうのを抑制することができ、印捺斑の防止や印捺濃度・色相の再現性が向上し、また高い発色性を得ることができる。このような還元防止剤としては、ニトロベンゼンスルホン酸塩を用いることが好ましく、メタニトロベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩、特にナトリウム塩を用いることが好ましい。
第2のインク中における還元防止剤の含有量は、0.3〜10質量%であることが好ましい。
1.2.4.水
第2のインクは、液状媒体として水を含有することが好ましい。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることができる。また、紫外線照射または過酸化水素等により滅菌した水を用いることにより、本実施の形態に係るインクジェット捺染用インクセットを長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
第2のインクは、液状媒体として水を含有することが好ましい。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることができる。また、紫外線照射または過酸化水素等により滅菌した水を用いることにより、本実施の形態に係るインクジェット捺染用インクセットを長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
1.2.5.その他の添加剤
第2のインクには、必要に応じて第1のインクで説明した、保湿剤、浸透剤、界面活性剤、糊剤、防腐剤等の添加剤を添加することができる。各添加剤の種類および含有量についても、第1のインクと同様である。これらの添加剤により、インクの粘度や表面張力を適切な値に調整することができるので、インクジェット捺染に適したインクセットとすることができる。
第2のインクには、必要に応じて第1のインクで説明した、保湿剤、浸透剤、界面活性剤、糊剤、防腐剤等の添加剤を添加することができる。各添加剤の種類および含有量についても、第1のインクと同様である。これらの添加剤により、インクの粘度や表面張力を適切な値に調整することができるので、インクジェット捺染に適したインクセットとすることができる。
2.インクジェット捺染方法
本実施の形態に係るインクジェット捺染方法は、上述のインクジェット捺染用インクセットを用いて繊維を染色することを特徴とする。本実施の形態に係るインクジェット捺染方法によれば、上記のいずれかのインクジェット捺染用インクセットを用いるので、長期保存後のインクセットを使用した場合であっても発色性に優れた捺染を実現することができる。また、インクジェット捺染であるため、アルカリ剤を含む第2のインクを必要な箇所にのみ付着させることができる。すなわち、反応性染料を付与しない部分には第2のインクを付着させずに捺染を行うことができる。これにより、反応性染料を付与しない部分に生地焼け(黄変)が発生することを防ぐことができる。
本実施の形態に係るインクジェット捺染方法は、上述のインクジェット捺染用インクセットを用いて繊維を染色することを特徴とする。本実施の形態に係るインクジェット捺染方法によれば、上記のいずれかのインクジェット捺染用インクセットを用いるので、長期保存後のインクセットを使用した場合であっても発色性に優れた捺染を実現することができる。また、インクジェット捺染であるため、アルカリ剤を含む第2のインクを必要な箇所にのみ付着させることができる。すなわち、反応性染料を付与しない部分には第2のインクを付着させずに捺染を行うことができる。これにより、反応性染料を付与しない部分に生地焼け(黄変)が発生することを防ぐことができる。
本実施の形態に係るインクジェット捺染方法において、インクジェット捺染の対象となる繊維は、セルロース系繊維及びポリアミド系繊維の少なくとも1種を含むことが好ましい。セルロース系繊維やポリアミド系繊維は反応性染料との相性が良いので、さらに発色性や堅牢性に優れた捺染を実現することができる。
セルロース系繊維としては、例えば綿、麻、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨ
セル等が挙げられる。ポリアミド系繊維としては、例えば絹、ウール、ナイロンが挙げられる。
セル等が挙げられる。ポリアミド系繊維としては、例えば絹、ウール、ナイロンが挙げられる。
以下、本実施の形態に係るインクジェット捺染方法について具体的に説明する。本実施の形態に係るインクジェット捺染方法の主要な工程としては、以下の前処理及び印画工程、定着工程、洗浄工程が挙げられる。
(1)前処理及び印画工程:繊維の染色が必要な箇所に、第1のインク及び第2のインクを塗布する工程である。第2のインクは、染色が必要な箇所に前処理を行うために利用される。また、第1のインクは、繊維を染色し、画像を形成するために利用される。前処理及び印画工程は、必要な箇所にインクを塗布する観点から、インクジェット方式で実施される。
インクジェット方式としては、圧電素子の機械的体積変化によりインク滴を形成し、吐出させるピエゾヘッド型インクジェット方式;インクに熱エネルギーを加え、それによる体積膨張を利用してインク滴を形成し、吐出させるバブルジェット(登録商標)型インクジェット方式のいずれであってもよい。しかしながら、ピエゾヘッドは、耐久性に優れており、捺染のような長時間安定的な吐出が要求される分野には特に好ましいといえる。そのため、ピエゾヘッド型インクジェット方式であることが好ましい。また、インクジェットプリンターの記録方式としては、シリアルヘッド方式とラインヘッド方式のいずれも用いることができる。
本実施の形態では、第2のインクによる前処理と、第1のインクによる印画とを、同時に実施している。すなわち、所定のエリアの捺染を行うために、この所定のエリア上をインクジェットヘッドで走査し始めてからひととおり走査し終えるまでの記録動作を1回、とした場合、本実施の形態では、この1回の記録動作において、ヘッドで第2のインクを塗布した直後に第1のインクを塗布している。このように、1回の記録動作において、前処理と印画とを同時に実施することにより、前処理用のインクと印画用のインクを塗布する位置のずれを防止することが可能となる。
前処理と印画とを、別の記録動作において実施してもよい。すなわち、1回目の記録動作で、第2のインクによって、所定エリア上に前処理を実施した後、2回目の記録動作で、第1のインクによって、この所定エリア上に印画を実施するようにしても良い。さらに、第2のインク、第1のインクを、それぞれ別々の記録動作で塗布するようにしても良い。この場合は、第2のインクが乾いた後に、第1のインクを塗布することができるため、第1のインクの滲みを防止することが可能となる。
前処理及び印画工程の後、画像が形成された繊維を常温〜150℃の温度で0.5〜30分間放置して予備乾燥してもよい。この予備乾燥により、発色濃度を向上させ、かつ、滲みを有効に防止することができる。
(2)定着工程:スチーム処理して反応性染料を繊維と反応させて、反応性染料を繊維に定着させる工程である。スチーム処理の条件としては、繊維の種類などを勘案して適宜決定することができるが、例えば湿度50〜100%(好ましくは湿度80〜100%)および温度90〜120℃(好ましくは95〜105℃)の環境下に、3〜60分(好ましくは5〜40分)置かれることが好ましい。
(3)洗浄工程:繊維を洗浄して定着しなかった(反応に寄与しなかった)反応性染料を除去する工程である。定着しなかった反応性染料が繊維に残留することで、発色性が悪くなり、堅牢度が低下することがある。また、洗浄工程により、繊維に付着したアルカリ剤
、水分誘導剤、糊剤などを除去することもできる。洗浄工程では、界面活性剤を含む温水により洗浄することが好ましい。
、水分誘導剤、糊剤などを除去することもできる。洗浄工程では、界面活性剤を含む温水により洗浄することが好ましい。
3.実施例
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例、比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準である。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例、比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準である。
3.1.インクジェット捺染用インクセットの製造
表1〜表2に示す材料および組成となるように、各材料を十分に混合撹拌した後、孔径5.0μmのメンブレンフィルターでろ過することにより、表1に示す第1のインク(1A)、表2に示す第2のインク(2A、2B、2C、2D、2E、2F)をそれぞれ調製した。
表1〜表2に示す材料および組成となるように、各材料を十分に混合撹拌した後、孔径5.0μmのメンブレンフィルターでろ過することにより、表1に示す第1のインク(1A)、表2に示す第2のインク(2A、2B、2C、2D、2E、2F)をそれぞれ調製した。
なお、表1〜表2中の商品名は、それぞれ下記の通りである。
・オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製、アセチレングリコール系界面活性剤)
・プロキセルXL2(ゼネカ社製、1,2−ジベンゾイソチアゾリン−3−オン)
・オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製、アセチレングリコール系界面活性剤)
・プロキセルXL2(ゼネカ社製、1,2−ジベンゾイソチアゾリン−3−オン)
次に、表3に示すように、上記で得られた第1のインク及び第2のインクを組み合わせて、実施例1〜3及び比較例1〜3の各インクジェット捺染用インクセットを構成した。
3.2.インクジェット捺染
3.2.1.前処理工程及び印画工程
インクジェットプリンターPX−G930(セイコーエプソン株式会社製)に上記で調製した第1のインク、第2のインクをそれぞれ充填した。その後、第1のインク及び第2のインクを繊維(綿100%)に塗布した。なお、画像解像度は1440×720dpiとした。
3.2.1.前処理工程及び印画工程
インクジェットプリンターPX−G930(セイコーエプソン株式会社製)に上記で調製した第1のインク、第2のインクをそれぞれ充填した。その後、第1のインク及び第2のインクを繊維(綿100%)に塗布した。なお、画像解像度は1440×720dpiとした。
3.2.2.定着工程
前処理工程及び印画工程を経て得られた染着物を、HTスチーマー(HT3−550型、辻井染機工業株式会社製)を用いて下記の条件でスチーム処理を行い、反応性染料を繊維に定着させた。
・スチーム温度:102℃
・湿度:100%RH
・処理時間:10分間
前処理工程及び印画工程を経て得られた染着物を、HTスチーマー(HT3−550型、辻井染機工業株式会社製)を用いて下記の条件でスチーム処理を行い、反応性染料を繊維に定着させた。
・スチーム温度:102℃
・湿度:100%RH
・処理時間:10分間
3.2.3.洗浄工程
定着工程を経て得られた染着物を水で揉み洗いし、徐々に温水を追加していった。その後、アニオン性界面活性剤入れた85℃の温水中に浸漬し、15分間撹拌した。さらに洗浄液中に水道水を入れながら手揉み洗いをした。最後に、洗浄布にアイロンを掛け、捺染物を得た。
定着工程を経て得られた染着物を水で揉み洗いし、徐々に温水を追加していった。その後、アニオン性界面活性剤入れた85℃の温水中に浸漬し、15分間撹拌した。さらに洗浄液中に水道水を入れながら手揉み洗いをした。最後に、洗浄布にアイロンを掛け、捺染物を得た。
3.3.評価方法
3.3.1.発色性評価
実施例1〜3、比較例1〜3のそれぞれの捺染物のOD値を、濃度計(Spectroino:Gretag社製)を用いて測定した。発色性の評価基準は、以下の通りである。
◎:OD値1.5以上
○:OD値1.3以上1.5未満
△:OD値1.1以上1.3未満
×:OD値1.1未満
3.3.1.発色性評価
実施例1〜3、比較例1〜3のそれぞれの捺染物のOD値を、濃度計(Spectroino:Gretag社製)を用いて測定した。発色性の評価基準は、以下の通りである。
◎:OD値1.5以上
○:OD値1.3以上1.5未満
△:OD値1.1以上1.3未満
×:OD値1.1未満
3.3.2.保存後における発色性評価
実施例1〜3、比較例1〜3の各インクジェット捺染用インクセットを、70℃に設定された恒温槽で6日間保存した。この保存後のインクジェット捺染用インクセットを用いて、上記の捺染方法と同様にして捺染物を得た後、上記の発色性評価を行った。発色性の評価基準は、上記と同様である。
実施例1〜3、比較例1〜3の各インクジェット捺染用インクセットを、70℃に設定された恒温槽で6日間保存した。この保存後のインクジェット捺染用インクセットを用いて、上記の捺染方法と同様にして捺染物を得た後、上記の発色性評価を行った。発色性の評価基準は、上記と同様である。
3.4.評価結果
表3に、各インクジェット捺染用インクセットの組合せ及び評価試験の結果を示す。
表3に、各インクジェット捺染用インクセットの組合せ及び評価試験の結果を示す。
表3の実施例1〜3の結果から明らかなように、アルカリ剤を含有する第2のインクが尿素及び尿素誘導体のいずれをも含有せず、化合物(1)を含有する構成とすることによって、インクジェット捺染用インクセットの保存安定性が良好となり、70℃6日間保存した後のインクジェット捺染用インクセットを用いて得られた捺染物の発色性も良好となることが判明した。
一方、比較例1のインクジェット捺染用インクセットでは、アルカリ剤と尿素とが共存する第2のインクを用いているので、70℃6日間保存後の第2のインクでは尿素等がアルカリ剤によって分解されており、得られた捺染物の発色性が不良となることが判明した。
比較例2のインクジェット捺染用インクセットでは、第2のインクにアルカリ剤が含有されていないため、反応性染料と繊維との反応性が乏しく、得られた捺染物の発色性が不良となることが判明した。
比較例3のインクジェット捺染用インクセットでは、第2のインクに水分誘導剤が含有されていないため、スチーム処理の際に繊維への水分導入が不十分となり、反応性染料が繊維に効率的に染着できないため、得られた捺染物の発色性があまり良好ではないことが判明した。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
Claims (8)
- 前記アルカリ剤が、苛性ソーダ、重曹、及び炭酸ソーダよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載のインクジェット捺染用インクセット。
- 前記一般式(1)で示される化合物が、トリメチルグリシン、γ−ブチロベタイン、ホマリン、トリゴネリン、カルニチン、ホモセリンベタイン、バリンベタイン、リジンベタイン、オルニチンベタイン、アラニンベタイン、スタキドリン、及びグルタミン酸ベタインよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は請求項2に記載のインクジェット捺染用インクセット。
- 前記第2のインクが、さらに、還元防止剤を含有する、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インクセット。
- 前記第1のインクが、さらに、尿素又はその誘導体を含有する、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インクセット。
- 前記第1のインク及び前記第2のインクの少なくとも一方が、保湿剤、浸透剤、界面活性剤をさらに含有する、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インクセット。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インクセットを用いて繊維を染色する、インクジェット捺染方法。
- 前記繊維が、セルロース系繊維及びポリアミド系繊維の少なくとも1種を含む、請求項7に記載のインクジェット捺染方法。
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