JP2015183203A - 連続鋳造用鋳型及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】靱性の向上が図れて耐熱衝撃性の更なる向上が図れ、かつ、耐腐食性も図れ、その結果、鋳型の長寿命化が図れる連続鋳造用鋳型及びその製造方法を提供する。【解決手段】溶鋼接触面側に、粗面化処理が行われた下地めっき層12と溶射皮膜13が順次形成された連続鋳造用鋳型及びその製造方法において、溶射皮膜13が、Co:5質量%以上15質量%以下、Cr:2質量%以上6質量%、及び残部WCからなる粒状のサーメット材料と、0を超え8質量%以下のAlを含有する粒状のNi−Al合金とを、混合して形成され、しかも、全体の20質量%以上60質量%以下をNi−Al合金とした溶射粒子を火炎溶射機14で溶射し、サーメット材料の粒界にNi−Al合金を存在させて形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、鉄鋼等の製造に使用する連続鋳造用鋳型及びその製造方法に係り、更に詳細には、耐熱、耐食、及び耐摩耗性に優れる連続鋳造用鋳型及びその製造方法に関する。
従来、内面を溶射処理して耐摩耗性を高めた連続鋳造用鋳型としては、例えば、特許文献1に開示された鋳型がある。この鋳型の製造に際しては、析出硬化型銅合金からなる母材(以下、母材銅板ともいう)表面に、Ni等の下地めっきを施し、その上にNi−Cr系の自溶性合金を溶射した後、これを約1000℃に加熱している。これにより、母材銅板と下地Niめっき層との間、及び下地Niめっき層と溶射皮膜との間に、それぞれ拡散層を形成して冶金的に結合させ、母材銅板の上に強固な耐摩耗性を有する溶射皮膜を形成させている。
しかし、上記したように、溶射後の母材銅板を1000℃程度に加熱する場合、母材銅板が変形する。このため、母材銅板の歪取り作業を行う必要があるが、歪取りを行っても連続鋳造用鋳型のバックフレームに組込めないことがあり、また仮にバックフレームに組込めても、母材銅板の平坦精度が劣るという問題がある。
更に、母材銅板の強度回復のため時効硬化熱処理を行う必要があり、その製造工程が極めて複雑多岐にわたるという問題がある。ここで、Ni−Cr系の自溶性合金を溶射した後、熱処理をしないことも考えられるが、この場合、母材銅板との密着力が0.20〜0.29MPa(2〜3kg/mm)と小さく、長期の使用が困難であるという問題がある。
このため、本発明者は、特許文献2に示すような、熱処理を行うことなく製造可能な連続鋳造用鋳型を、先に出願した。
具体的には、溶射皮膜を、10〜90質量%のNi系合金材料と、耐摩耗性セラミックスを含み、Ni系合金材料の割合に対応して90〜10質量%のサーメット材料からなり、しかも、Ni系合金材料とサーメット材料とを、それぞれ独立の火炎溶射機を用いて、同時に同一箇所に溶射して形成した鋳型である。
しかし、上記特許文献2に記載の鋳型では、靱性や耐熱衝撃性に起因した溶射皮膜の剥離が発生し、鋳型の更なる長寿命化が図れなかった。
そこで、本発明者は更に、特許文献3に示す連続鋳造用鋳型を出願した。
具体的には、溶射皮膜を、Cr:10〜30質量%、Ni:5〜15質量%、及び残部WCからなる粒状のサーメット材料Aと、Ni又はNi系合金からなる粒状の材料Bとを混合して形成し、しかも全体の5〜30質量%を材料Bとした溶射粒子を火炎溶射機で溶射して形成した鋳型である。
この鋳型により、現在のニーズに見合った耐熱衝撃性を備えることができ、鋳型の長寿命化が図れる。
特公昭61−15782号公報 特開平10−71454号公報 特開2011−31247号公報
しかしながら、上記特許文献3では、溶射皮膜の材料Bとして、Niを使用しているが、腐食、特にS(硫黄)系の腐食環境では、Niの耐食性(耐腐食性)が非常に弱いことから、腐食律速で鋳型の寿命が短くなる場合があった。つまり、上記鋳型では、現在のニーズに見合った耐熱衝撃性と耐腐食性の両立が図れず、鋳型の寿命が短くなる場合があった。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、靱性の向上が図れて耐熱衝撃性の更なる向上が図れ、かつ、耐腐食性も図れ、その結果、鋳型の長寿命化が図れる連続鋳造用鋳型及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う第1の発明に係る連続鋳造用鋳型は、溶鋼接触面側に、粗面化処理が行われた下地めっき層と溶射皮膜が順次形成された連続鋳造用鋳型において、
前記溶射皮膜は、Co:5質量%以上15質量%以下、Cr:2質量%以上6質量%以下、及び残部WCからなる粒状のサーメット材料と、0を超え8質量%以下のAlを含有する粒状のNi−Al合金とを、混合して形成され、しかも、全体の20質量%以上60質量%以下を前記Ni−Al合金とした溶射粒子を火炎溶射機で溶射し、前記サーメット材料の粒界に前記Ni−Al合金を存在させて形成されている。
第1の発明に係る連続鋳造用鋳型において、前記下地めっき層は、Ni、Co、Fe、又はこれらのいずれか1又は2以上を基材とする合金からなって、該下地めっき層の表面は、前記粗面化処理により粗度が50μm以上150μm以下となっているのがよい。
第1の発明に係る連続鋳造用鋳型において、前記溶射皮膜の厚みは0.05mm以上1mm以下であるのがよい。
第1の発明に係る連続鋳造用鋳型において、前記火炎溶射機は、前記溶射粒子の速度を600m/秒以上にする高速火炎溶射機であるのがよい。
前記目的に沿う第2の発明に係る連続鋳造用鋳型の製造方法は、溶鋼接触面側に、粗面化処理が行われた下地めっき層と溶射皮膜を順次形成する連続鋳造用鋳型の製造方法において、
Co:5質量%以上15質量%以下、Cr:2質量%以上6質量%以下、及び残部WCからなる粒状のサーメット材料と、0を超え8質量%以下のAlを含有する粒状のNi−Al合金とを、混合して形成され、しかも、全体の20質量%以上60質量%以下を前記Ni−Al合金とした溶射粒子を火炎溶射機で溶射し、前記サーメット材料の粒界に前記Ni−Al合金を存在させた前記溶射皮膜を形成する。
第2の発明に係る連続鋳造用鋳型の製造方法において、前記下地めっき層は、Ni、Co、Fe、又はこれらのいずれか1又は2以上を基材とする合金からなって、該下地めっき層に前記粗面化処理を行って、表面の粗度を50μm以上150μm以下とした後、前記溶射皮膜を形成するのがよい。
第2の発明に係る連続鋳造用鋳型の製造方法において、前記火炎溶射機に高速火炎溶射機を使用し、前記溶射粒子の速度を600m/秒以上にするのがよい。
本発明に係る連続鋳造用鋳型及びその製造方法は、溶射皮膜を、所定の割合に調整したCo、Cr、及び残部WCからなる粒状のサーメット材料と、所定量のAlを含有する粒状のNi−Al合金とを混合して形成され、しかも全体の20質量%以上60質量%以下をNi−Al合金とした溶射粒子を火炎溶射機で溶射し、サーメット材料の粒界にNi−Al合金を存在させて形成するので、従来よりも靱性を向上でき、耐熱衝撃性の向上が図れ、かつ、耐腐食性(特に、硫黄に対する耐腐食性)も図れる。従って、形成する溶射皮膜の剥離と腐食を抑制でき、鋳型の更なる長寿命化が図れる。
また、下地めっき層が、Ni、Co、Fe、又はこれらのいずれか1又は2以上を基材とする合金からなる場合、火炎溶射機で溶射される溶射粒子の一部が、下地めっき層の表層に入り込み、溶射粒子の噛み込みの保持力を確保できる。ここで、更に、粗面化処理を行っているので、溶射皮膜の付着強度を向上できる。なお、この粗面化処理は、粗度が50μm以上150μm以下であるため、溶射皮膜の厚みのばらつきを抑制しながら、溶射皮膜の密着力を高めることができる。
そして、溶射皮膜の厚みを0.05mm以上1mm以下とする場合、溶射皮膜の厚みを、溶射皮膜の剥離を抑制して、鋳型の更なる長寿命化が図れる最適な厚みとすることができる。
更に、火炎溶射機が、溶射粒子の速度を600m/秒以上にする高速火炎溶射機である場合、溶射皮膜の下地めっき層への密着力を更に高めることができる。
本発明の一実施の形態に係る連続鋳造用鋳型の製造方法における溶射状況を示す説明図である。 (A)は同連続鋳造用鋳型の溶射皮膜の部分拡大模式図、(B)はサーメット材料のみで形成した溶射皮膜の部分拡大模式図である。 耐熱衝撃性の評価方法の説明図である。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1、図2(A)に示すように、本発明の一実施の形態に係る連続鋳造用鋳型は、上下方向に貫通する空間部が形成された冷却部材10を有し、この空間部に溶鋼を供給して冷却しながら鋳片を製造するものである。なお、冷却部材10は、銅又は銅合金(例えば、Cu−Cr−Zr等)からなる母材11を有し、その溶鋼接触面側に、下地めっき層12と溶射皮膜13が、順次形成されている。以下、詳しく説明する。
図1に示すように、母材11の溶鋼接触面側には、粗面化処理が行われた下地めっき層12が形成されている。下地めっき層12は、溶射の密着の原理であるアンカー効果が、銅又は銅合金からなる柔らかい母材よりも得られるものであり、特に、Ni、Co、Fe、又はこれらのいずれか1又は2以上を基材とする合金からなることが好ましい。
この下地めっき層12に行われる粗面化処理は、下地めっき層12の表面の粗度(Rz)を、50μm以上150μm以下(好ましくは、下限を70μm、上限を120μm、更には100μm)とするのが好ましい。ここで、粗度が50μm以上150μm以下の範囲を外れると、下地めっき層への溶射皮膜の密着力が98MPa(10kg/mm)未満となって、溶射皮膜が下地めっき層から剥離し易くなる。
下地めっき層12上には、溶射皮膜13が形成されている。
溶射皮膜13は、Co、Cr、及び残部WCからなる粒状のサーメット材料と、所定量のAlを含有する粒状のNi−Al合金とを混合して形成した溶射粒子を、火炎溶射機14で溶射して形成している。
なお、溶射粒子として、Ni−Al合金を選択したのは、Alが酸化物となり易く(不動態化し易く)、しかも、このAlと合金化し易いのがNiであることによる。なお、Ni−Al合金には、不可避的不純物が含まれていてもよい。
この溶射皮膜13の厚みは、0.05mm以上1mm以下の範囲で密に(充填率が90%以上、更には95%以上で)形成されていることが好ましい。
ここで、溶射皮膜の厚みが0.05mm未満の場合、溶射皮膜の厚みが薄過ぎて、鋳型の耐用年数が短くなり過ぎる。一方、溶射皮膜の厚みが1mmを超える場合、溶射皮膜が厚過ぎて、溶射皮膜が冷却部材から剥がれ易くなる。
以上のことから、形成する溶射皮膜13の厚みは、0.05mm以上1mm以下とすることが好ましいが、下限を0.1mm、更には0.2mm、上限を0.7mmとするのが更に好ましい。
溶射粒子は、粒状のサーメット材料と粒状のNi−Al合金(溶射粒子全体の20質量%以上60質量%以下をNi−Al合金としている)を混合して形成されている。この溶射粒子を溶射して形成される溶射皮膜の拡大模式図を図2(A)に、また、粒状のサーメット材料のみを溶射して形成した溶射皮膜の拡大模式図を図2(B)に、それぞれ示す。なお、図2(A)、(B)に示す各溶射皮膜は、下地めっき層上に形成されている。
図2(A)に示すように、粒状のサーメット材料とNi−Al合金とを混合した溶射粒子により、溶射皮膜を形成することで、サーメット材料の粒界にNi−Al合金が存在する。このため、図2(B)に示すサーメット材料のみで溶射皮膜を形成した場合と比較して、溶射皮膜の脆さを低減でき、靱性の向上が図れる。
即ち、溶射粒子中のNi−Al合金の量が20質量%未満の場合、サーメット材料の粒界に存在するNi−Al合金の量が少な過ぎて、靱性の改善効果が得られなり、かつ、耐腐食性が悪くなる。一方、溶射粒子中のNi−Al合金の量が60質量%を超える場合、溶射皮膜中に含まれるサーメット材料の量が少な過ぎ、溶射皮膜の硬度の低下や、体積摩耗率の上昇を招く。なお、Ni−Al合金は、サーメット材料の全ての粒界に存在することが好ましいが、部分的であってもよい。
以上のことから、溶射粒子中のNi−Al合金の量を20質量%以上60質量%以下としたが、下限を25質量%、更には30質量%(更に好ましくは30質量%超)、上限を55質量%、更には50質量%とすることが好ましい。
サーメット材料は、Co:5質量%以上15質量%以下(好ましくは、下限を6質量%、更には7質量%、上限を14質量%、更には13質量%)、Cr:2質量%以上6質量%以下(好ましくは、下限を3質量%、上限を5質量%)、残部WCで構成されている。なお、サーメット材料には、不可避的不純物として、例えば、Fe等が含まれていてもよい。
サーメット材料を、上記した構成にすることで、耐摩耗用材料として一般的に使用されているWC/12%Coと比較して、硬度を同程度に、高温での耐熱衝撃性を5〜7倍程度に向上できる。従って、溶射皮膜13の耐クラック性の向上も図れる。
また、Ni−Al合金は、Al含有量を0を超え8質量%以下としている。
Al含有量が0質量%の場合(Alが含まれていない場合)、Niのみとなるため、前記したように、耐腐食性が悪くなる。一方、Al含有量が8質量%を超える場合、NiがAlを固溶できなくなり(Alの固溶限:8質量%程度)、金属間化合物が形成されて、溶射皮膜の耐熱衝撃性が低下するおそれがある。
以上のことから、Ni−Al合金のAl含有量を0を超え8質量%以下としたが、下限を3質量%、更には4質量%、上限を7質量%、更には6質量%とすることが好ましい。
以上に示した溶射皮膜13は、火炎溶射機14で溶射粒子を溶射して形成される。
この火炎溶射機14は、溶射粒子の速度を600m/秒(好ましくは、700m/秒)以上にする高速火炎溶射機であるが、通常使用されている火炎溶射機を使用することもできる。なお、高速火炎溶射機を用いた場合には、溶射皮膜13の下地めっき層12への密着力を更に高めることができる。
上記した理由により、溶射粒子の速度の上限については規定していないが、現実的には、例えば、1000m/秒程度である。
次に、本発明の一実施の形態に係る連続鋳造用鋳型の製造方法について説明する。
まず、図1に示すように、連続鋳造用鋳型を構成する母材11の溶鋼接触面側内面に、厚みが100μm程度の下地めっきを行って、下地めっき層12を形成する。
この場合の電解液としては、1リットル中に、S−Ni(スルファミン酸ニッケル)を350g、塩化ニッケルを5g、硼酸を30g溶かした溶液を使用し、めっき液の温度を45〜60℃、電流密度を3A/dmとする。ここでは、下地めっき層をNiで形成したが、例えば、Co又はFeで形成してもよく、また、Ni、Co、及びFeのいずれか1又は2以上を基材とする合金で形成してもよい。
この下地めっき層12には、粗面化処理が行われ、下地めっき層12の表面の粗度を50μm以上150μm以下としている。
ここで、粗面化処理は、アルミナやスティールグリットを使用したブラスト処理により行う。なお、使用するアルミナとしては、例えば、粒度#24のグリッドのアルミナを使用でき、ブラスト処理の際の空気圧を約0.49MPa(5kg/cm)にする。また、スティールグリットを使用する場合は、粒度#50のグリッドのスティールグリットを使用でき、ブラスト処理の際の空気圧を約0.49MPa(5kg/cm)にする。
そして、粗面化処理された下地めっき層12上に、Co、Cr、及び残部WCからなる粒状のサーメット材料と、粒状のNi−Al合金とを混合して形成され、しかも全体の20質量%以上60質量%以下をNi−Al合金とした溶射粒子を、火炎溶射機14で溶射する。
ここで、サーメット材料とNi−Al合金の各粒径分布は、形成する溶射皮膜の強度を考慮すれば、例えば、5μm以上60μm以下(好ましくは、下限を10μm、上限を55μm)程度である。なお、溶射前のサーメット材料とNi−Al合金の各粒径分布は、同じでもよく、異なってもよい。
この溶射粒子は、サーメット材料とNi−Al合金を個別に購入し、これを上記した割合に混合して使用できるが、予め混合されたものを購入して使用することもできる。
そして、溶射粒子を溶射する火炎溶射機14には、溶射粒子の速度を600m/秒(好ましくは、700m/秒)以上にする高速火炎溶射機を使用するが、従来公知の火炎溶射機を使用することもできる。
これにより、図2(A)に示すように、サーメット材料の粒界に、Ni−Al合金を存在させた溶射皮膜13を形成することができる。この溶射皮膜13の厚みは、特に限定しないが、0.05mm以上1mm以下の範囲で密に形成されていることが好ましい。
このように形成した溶射皮膜13の表面側を、必要に応じて仕上げ加工した後、連続鋳造用鋳型として使用する。
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
まず、前記実施の形態で示した方法により、Cu−Cr−Zrからなる母材の表面に、Niからなる下地めっき層を形成した。この粗面化処理は、スティールグリットを使用し、そのときの空気圧を約0.49MPaとした。
そして、この下地めっき層上に、高速火炎溶射機を用いて、厚みが0.8mm程度の溶射皮膜を形成した。この溶射皮膜を構成する材料の種類とその割合を、表1に示す。
Figure 2015183203
なお、表1に記載の参考例は、サーメット材料として、耐摩耗用材料として一般的に使用されているWC/12%Coを使用した(配合金属は不使用)。
また、比較例1〜4は、耐熱衝撃性を向上させた前記した特許文献3(特開2011−31247号公報)に記載の溶射粒子であり、サーメット材料としてWC/Cr/Niを、配合金属としてNi又はNi−Cr合金を、それぞれ使用した。
そして、実施例1〜4は、サーメット材料としてWC/Co/Crを、配合金属としてAl含有量が5質量%のNi−Al合金を、それぞれ使用した。
また、表1中の耐熱衝撃性は、図3に示すように、形成した溶射皮膜の表面側に、プラズマ溶射機を一定速度で移動させ、溶射皮膜にクラックが発生する回数で評価した。具体的には、比較例1〜4と実施例1〜4の各クラック発生回数を、参考例のクラック発生回数で除し、その逆数を耐熱衝撃性として、表1に示した。この比較例1〜4と実施例1〜4の各耐熱衝撃性は、参考例の耐熱衝撃性を1.0とした場合の比率となる。
更に、表1中の鋳型寿命の延長の度合いは、実際に使用した鋳型の使用時間を測定し、参考例の時間を1.0として、比較例1〜4と実施例1〜4の比率を求めた。
表1から明らかなように、実施例1〜4の耐熱衝撃性は、参考例の耐熱衝撃性の5倍以上(最大で8倍程度)に上昇させることができ、また、耐熱衝撃性を向上させた比較例1〜4と同等以上に上昇させることができた。
従って、耐熱衝撃性に起因する鋳型寿命については、比較例1〜4と同等以上に延長できることを確認できた。
続いて、上記した比較例1と実施例1の各溶射粒子を用い、前記した方法で溶射皮膜を形成した試験片を使用し、耐腐食性について調査した。
まず、上記した試験片を炉内に配置した後、この炉内に、HS(硫化水素)ガス:2%、Arガス:98%、に調整した混合ガスを、流量:200(ミリリットル/分)で供給した。そして、炉内を、250℃/時間の昇温速度で500℃まで昇温し、この温度を16時間保持した後、100℃/時間の降温速度で冷却した。
なお、炉内を室温まで冷却した後は、炉内への混合ガスの供給を停止し、炉内から試験片を取り出して切断した後、その断面をEPMAで観察して、溶射皮膜の厚み方向の腐食状況を確認した。
その結果、硫黄による腐食厚み(硫化反応層の厚み)は、実施例1の場合、溶射皮膜の表面から19.8μmまでの範囲に渡っていたが、比較例1の場合、溶射皮膜の表面から80.0μmまでの範囲に渡っており、実施例1と比較して4倍程度の深さまで、腐食が進行していたことが分った。
従って、耐腐食性は、比較例1と比較して、大幅に向上できることを確認できた。つまり、耐腐食性に起因する鋳型寿命については、比較例1より大幅に延長できることを確認できた。また、他の実施例2〜4についても、実施例1と同様の傾向を示した。
なお、上記した比較例1と実施例1の各溶射粒子を用いて溶射皮膜を形成した試験片を使用し、耐摩耗性(ビッカース硬度)についても調査した結果、比較例1は726であったが、実施例1は941であった。
従って、耐磨耗性についても、比較例1と比較して、向上できることを確認できた。
以上のことから、本発明の連続鋳造用鋳型及びその製造方法を使用することで、靱性の向上が図れて耐熱衝撃性の更なる向上が図れ、かつ、耐腐食性も図れ、その結果、鋳型の長寿命化が図れることを確認できた。
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の連続鋳造用鋳型及びその製造方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
前記実施の形態で示した溶射皮膜及び下地めっき層は、少なくとも、硫黄による腐食が発生し易い冷却部材の下側(鋳造方向下流側)の溶鋼接触面側に形成すればよいが、冷却部材の溶鋼接触面側の全体に渡って形成してもよい。
また、本発明を適用する溶射皮膜を形成する冷却部材には、一対の短辺と一対の長辺とで構成される4つ組みしたものがあるが、これに限定されるものではなく、例えば、ビレット(例えば、幅及び厚みが100〜200mm程度)又はブルーム(例えば、幅及び厚みが200〜400mm程度)を製造するチューブ状のものでもよい。従って、鋳型の構成についても、例えば、スラブ、ビレット、ブルーム、又はビームブランク(H型鋼用に使用)を製造する鋳型、更には、鍛造又は鍛造した銅ブロックに導水孔を穿孔したブロック鋳型に、本願発明を適用することも勿論可能である。
10:冷却部材、11:母材、12:下地めっき層、13:溶射皮膜、14:火炎溶射機

Claims (7)

  1. 溶鋼接触面側に、粗面化処理が行われた下地めっき層と溶射皮膜が順次形成された連続鋳造用鋳型において、
    前記溶射皮膜は、Co:5質量%以上15質量%以下、Cr:2質量%以上6質量%以下、及び残部WCからなる粒状のサーメット材料と、0を超え8質量%以下のAlを含有する粒状のNi−Al合金とを、混合して形成され、しかも、全体の20質量%以上60質量%以下を前記Ni−Al合金とした溶射粒子を火炎溶射機で溶射し、前記サーメット材料の粒界に前記Ni−Al合金を存在させて形成されたことを特徴とする連続鋳造用鋳型。
  2. 請求項1記載の連続鋳造用鋳型において、前記下地めっき層は、Ni、Co、Fe、又はこれらのいずれか1又は2以上を基材とする合金からなって、該下地めっき層の表面は、前記粗面化処理により粗度が50μm以上150μm以下となっていることを特徴とする連続鋳造用鋳型。
  3. 請求項1又は2記載の連続鋳造用鋳型において、前記溶射皮膜の厚みは0.05mm以上1mm以下であることを特徴とする連続鋳造用鋳型。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の連続鋳造用鋳型において、前記火炎溶射機は、前記溶射粒子の速度を600m/秒以上にする高速火炎溶射機であることを特徴とする連続鋳造用鋳型。
  5. 溶鋼接触面側に、粗面化処理が行われた下地めっき層と溶射皮膜を順次形成する連続鋳造用鋳型の製造方法において、
    Co:5質量%以上15質量%以下、Cr:2質量%以上6質量%以下、及び残部WCからなる粒状のサーメット材料と、0を超え8質量%以下のAlを含有する粒状のNi−Al合金とを、混合して形成され、しかも、全体の20質量%以上60質量%以下を前記Ni−Al合金とした溶射粒子を火炎溶射機で溶射し、前記サーメット材料の粒界に前記Ni−Al合金を存在させた前記溶射皮膜を形成することを特徴とする連続鋳造用鋳型の製造方法。
  6. 請求項5記載の連続鋳造用鋳型の製造方法において、前記下地めっき層は、Ni、Co、Fe、又はこれらのいずれか1又は2以上を基材とする合金からなって、該下地めっき層に前記粗面化処理を行って、表面の粗度を50μm以上150μm以下とした後、前記溶射皮膜を形成することを特徴とする連続鋳造用鋳型の製造方法。
  7. 請求項5又は6記載の連続鋳造用鋳型の製造方法において、前記火炎溶射機に高速火炎溶射機を使用し、前記溶射粒子の速度を600m/秒以上にすることを特徴とする連続鋳造用鋳型の製造方法。
JP2014058334A 2014-03-20 2014-03-20 連続鋳造用鋳型の製造方法 Active JP6109106B2 (ja)

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