JP2015180767A - 粉末冶金用金属粉末、コンパウンド、造粒粉末および焼結体 - Google Patents
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Abstract
Description
ある。
体を得た後、成形体を脱脂・焼結することにより、焼結体を製造する。このような焼結体
の製造過程では、金属粉末の粒子同士の間で原子の拡散現象が生じ、これにより成形体が
徐々に緻密化することによって焼結に至る。
る群から選択される少なくとも1種と不可避元素とで構成された粉末冶金用金属粉末が提
案されている。このような粉末冶金用金属粉末によれば、Zrの作用によって焼結性が向
上し、高密度の焼結体を容易に製造することができる。
るようになってきている。
このような場合、焼結体に対してさらに熱間等方加圧処理(HIP処理)のような追加処
理を行うことで高密度化を図っているが、作業工数が大幅に増加するとともに高コスト化
を免れない。
待が高まっている。
び造粒粉末、ならびに前記粉末冶金用金属粉末を用いて製造された高密度の焼結体を提供
することにある。
本発明の粉末冶金用金属粉末は、Feが主成分であり、
Crが15質量%以上26質量%以下の割合で含まれ、
Niが7質量%以上22質量%以下の割合で含まれ、
Siが0.3質量%以上1.2質量%以下の割合で含まれ、
Cが0.005質量%以上0.3質量%以下の割合で含まれ、
Zrが0.01質量%以上0.5質量%以下の割合で含まれ、
Nbが0.01質量%以上0.5質量%以下の割合で含まれていることを特徴とする。
することができる。その結果、追加処理を施すことなく、高密度の焼結体を製造可能な粉
末冶金用金属粉末が得られる。
しい。
る。すなわち、高密度であるにもかかわらず、高い耐食性と大きな伸びとを有する焼結体
を製造し得る粉末冶金用金属粉末が得られる。
bは、0.3以上3以下であることが好ましい。
析出のタイミングのずれを最適化することができる。その結果、成形体中に残存する空孔
を内側から順次掃き出すようにして排出することができるので、焼結体中に生じる空孔を
最小限に抑えることができる。したがって、高密度で焼結体特性に優れた焼結体を製造可
能な粉末冶金用金属粉末が得られる。
%以上0.6質量%以下であることが好ましい。
これにより、製造される焼結体の高密度化が必要かつ十分なものとなる。
含まれていることが好ましい。
より強化することができる。
が好ましい。
性に優れた焼結体を製造することができる。
粒子同士を結着するバインダーと、を含むことを特徴とする。
これにより、高密度の焼結体を製造可能なコンパウンドが得られる。
これにより、高密度の焼結体を製造可能な造粒粉末が得られる。
Crが15質量%以上26質量%以下の割合で含まれ、
Niが7質量%以上22質量%以下の割合で含まれ、
Siが0.3質量%以上1.2質量%以下の割合で含まれ、
Cが0.005質量%以上0.3質量%以下の割合で含まれ、
Zrが0.01質量%以上0.5質量%以下の割合で含まれ、
Nbが0.01質量%以上0.5質量%以下の割合で含まれている粉末冶金用金属粉末
を焼結して製造されたことを特徴とする。
これにより、追加処理を施すことなく、高密度の焼結体が得られる。
1領域よりも酸化ケイ素の含有率が相対的に低い第2領域と、を含むことが好ましい。
高密度でかつ機械的特性に優れた焼結体が得られる。
細に説明する。
まず、本発明の粉末冶金用金属粉末について説明する。
した後、脱脂・焼結することにより、所望の形状の焼結体を得ることができる。このよう
な粉末冶金技術によれば、その他の冶金技術に比べ、複雑で微細な形状の焼結体をニアネ
ット(最終形状に近い形状)で製造することができるという利点を有する。
により、製造される焼結体の高密度化を図る試みがなされてきた。しかしながら、焼結体
には空孔が形成され易いため、溶製材と同等の機械的特性を得るには、焼結体においてさ
らなる高密度化を図る必要があった。
の追加処理を施すことにより、高密度化を図っていた。しかしながら、このような追加処
理は、多くの手間やコストを伴うため、焼結体の用途を広げる際の足かせとなる。
るための条件について鋭意検討を重ねた。その結果、金属粉末を構成する合金の組成を最
適化することにより、焼結体の高密度化が図られることを見出し、本発明を完成するに至
った。
割合で含まれ、Niが7質量%以上22質量%以下の割合で含まれ、Siが0.3質量%
以上1.2質量%以下の割合で含まれ、Cが0.005質量%以上0.3質量%以下の割
合で含まれ、Zrが0.01質量%以上0.5質量%以下の割合で含まれ、Nbが0.0
1質量%以上0.5質量%以下の割合で含まれ、残部がFeおよびその他の元素で構成さ
れている金属粉末である。このような金属粉末によれば、合金組成の最適化が図られた結
果、焼結時の緻密化を特に高めることができる。その結果、追加処理を施すことなく、高
密度の焼結体を製造することができる。
とになる。このような焼結体は、例えば機械部品や構造部品といった外力(荷重)が加わ
る用途にも幅広く適用可能なものとなる。
説明では、粉末冶金用金属粉末を単に「金属粉末」ということもある。
粉末を用いることで、長期にわたって高い機械的特性を維持し得る焼結体が得られる。
くは15.5質量%以上25質量%以下とされ、より好ましくは16質量%以上21質量
%以下とされ、さらに好ましくは16質量%以上20質量%以下とされる。Crの含有率
が前記下限値を下回ると、全体の組成によっては、製造される焼結体の耐食性が不十分に
なる。一方、Crの含有率が前記上限値を上回ると、全体の組成によっては、焼結性が低
下し、焼結体の高密度化が困難になる。
定される。例えば、Niの含有率が7質量%以上22質量%以下であり、かつ、Moの含
有率が1.2質量%未満である場合には、Crの含有率が18質量%以上20質量%以下
であるのがさらに好ましい。一方、Niの含有率が10質量%以上22質量%以下であり
、かつ、Moの含有率が1.2質量%以上5質量%以下である場合には、Crの含有率が
16質量%以上18質量%未満であるのがさらに好ましい。
金属粉末におけるNiの含有率は、7質量%以上22質量%以下とされるが、好ましく
は7.5質量%以上17質量%以下とされ、より好ましくは8質量%以上15質量%以下
とされる。Niの含有率を前記範囲内に設定することで、長期にわたって機械的特性に優
れた焼結体が得られる。
体の耐食性や耐熱性を十分に高められないおそれがあり、一方、Niの含有率が前記上限
値を上回ると、かえって耐食性や耐熱性が低下するおそれがある。
あり、Siを含む金属粉末を用いることで、長期にわたって高い機械的特性を維持し得る
焼結体が得られる。
ましくは0.4質量%以上1質量%以下とされ、より好ましくは0.5質量%以上0.9
質量%以下とされる。Siの含有率が前記下限値を下回ると、全体の組成によっては、S
iを添加する効果が希薄になるため、製造される焼結体の耐食性や機械的特性が低下する
。一方、Siの含有率が前記上限値を上回ると、全体の組成によっては、Siが多くなり
過ぎるため、かえって耐食性や機械的特性が低下する。
きる。具体的には、ZrやNbは、それぞれがCと結合することにより、ZrCやNbC
等の炭化物を生成する。このZrCやNbCといった炭化物が分散して析出することによ
り、結晶粒の著しい成長を防止する効果が生じる。このような効果が得られる明確な理由
は不明であるが、理由の1つとして、分散した析出物が障害となって結晶粒の著しい成長
を阻害するため、結晶粒のサイズのバラツキが抑えられることが考えられる。これにより
、焼結体中に空孔が生じ難くなるとともに、結晶粒の肥大化が防止されるため、高密度で
かつ機械的特性の高い焼結体が得られる。
好ましくは0.008質量%以上0.15質量%以下とされ、より好ましくは0.01質
量%以上0.08質量%以下とされる。Cの含有率が前記下限値を下回ると、全体の組成
によっては、結晶粒が成長し易くなり、焼結体の機械的特性が不十分になる。一方、Cの
含有率が前記上限値を上回ると、全体の組成によっては、Cが多くなり過ぎるため、かえ
って焼結性が低下する。
金属粉末の焼結時において速やかな原子拡散をもたらす。そして、この原子拡散が駆動力
となって金属粉末の粒子間距離が急速に縮まり、粒子間にネックを形成する。その結果、
成形体の緻密化が進行し、速やかに焼結する。
子半径は約0.117nmであり、Zrの原子半径は約0.145nmである。このため
、ZrはFeに対して固溶するものの、完全な固溶には至らず、一部のZrはZrC等の
Zr炭化物やZrO2等のZr酸化物(以下、まとめて「Zr炭化物等」という。)とし
て析出する。そして、この析出したZr炭化物等は、金属粉末が焼結するとき、結晶粒の
著しい成長を阻害すると考えられる。その結果、前述したように、焼結体中に空孔が生じ
難くなるとともに、結晶粒の肥大化が防止され、高密度でかつ機械的特性の高い焼結体が
得られる。
集積を促進し、その結果、結晶粒の肥大化を抑えつつ、焼結の促進と高密度化とが図られ
る。
立方格子相は、他の結晶格子相に比べて焼結性に優れているため、焼結体の高密度化に寄
与する。
する。このため、焼結性低下の一因となっている酸素の含有量を低下させることができ、
焼結体の高密度化をさらに高めることができる。
好ましくは0.03質量%以上0.2質量%以下とされ、より好ましくは0.05質量%
以上0.1質量%以下とされる。Zrの含有率が前記下限値を下回ると、全体の組成によ
っては、Zrを添加する効果が希薄になるため、製造される焼結体の高密度化が不十分に
なる。一方、Zrの含有率が前記上限値を上回ると、全体の組成によっては、Zrが多く
なり過ぎるため、前述した炭化物の比率が多くなり過ぎて、かえって高密度化が損なわれ
る。
子半径よりはわずかに小さい。具体的には、Feの原子半径は約0.117nmであり、
Nbの原子半径は約0.134nmである。このため、一部のNbはNbC等のNb炭化
物やNb2O5等のNb酸化物(以下、まとめて「Nb炭化物等」という。)として析出
する。したがって、焼結の際には、Zr炭化物等とNb炭化物等がそれぞれ析出し、それ
らの析出物が結晶粒の著しい成長を阻害するとともに、結晶粒界において酸化ケイ素の集
積を促進すると考えられる。
Zr炭化物等の析出の方が、より低温領域において始まる。この理由は明確ではないが、
ZrとNbの原子半径の差が関与していると考えられる。そして、このように炭化物が析
出する温度領域が異なることで、金属粉末が焼結する際、Nb炭化物等の析出による効果
とZr炭化物等の析出による効果が発現するタイミングがずれると推測される。このよう
に炭化物が析出するタイミングがずれることにより、空孔の生成が抑えられ、緻密な焼結
体が得られるものと考えられる。すなわち、Nb炭化物等とZr炭化物等の双方が存在し
ていることにより、高密度化を図りつつ、結晶粒の肥大化を抑制することが可能になると
考えられる。
好ましくは0.03質量%以上0.2質量%以下とされ、より好ましくは0.05質量%
以上0.1質量%以下とされる。Nbの含有率が前記下限値を下回ると、全体の組成によ
っては、Nbを添加する効果が希薄になるため、製造される焼結体の高密度化が不十分に
なる。一方、Nbの含有率が前記上限値を上回ると、全体の組成によっては、Nbが多く
なり過ぎるため、前述した炭化物の比率が多くなり過ぎて、かえって高密度化が損なわれ
る。
は0.3以上3以下であるのが好ましく、0.5以上2以下であるのがより好ましい。Z
r/Nbを前記範囲内に設定することにより、Nb炭化物等の析出とZr炭化物等の析出
のタイミングのずれを最適化することができる。これにより、成形体中に残存する空孔を
内側から順次掃き出すようにして排出することができるので、焼結体中に生じる空孔を最
小限に抑えることができる。したがって、Zr/Nbを前記範囲内に設定することで、高
密度で機械的特性に優れた焼結体を製造可能な金属粉末を得ることができる。
については0.05質量%以上0.6質量%以下であるのが好ましく、0.10質量%以
上0.48質量%以下であるのがより好ましく、0.12質量%以上0.24質量%以下
であるのがさらに好ましい。Zrの含有率とNbの含有率の合計を前記範囲内に設定する
ことで、製造される焼結体の高密度化が必要かつ十分なものとなる。
)/Siとしたとき、(Zr+Nb)/Siは0.1以上0.7以下であるのが好ましく
、0.15以上0.6以下であるのがより好ましく、0.2以上0.5以下であるのがさ
らに好ましい。(Zr+Nb)/Siを前記範囲内に設定することで、Siを添加した場
合の靭性の低下等が、ZrおよびNbの添加によって十分に補われる。その結果、高密度
であるにもかかわらず、靭性といった機械的特性に優れ、かつ、Siに由来する耐食性に
も優れた焼結体を製造可能な金属粉末が得られる。
前述したようなZr炭化物等および前述したようなNb炭化物等が「核」となり、酸化ケ
イ素の集積が起こると考えられる。酸化ケイ素が結晶粒界に集積することにより、結晶内
部の酸化物濃度が低下するため、焼結の促進が図られる。その結果、焼結体の高密度化が
さらに促進されるものと考えられる。
いので、この点での結晶成長が抑制される(ピン留め効果)。その結果、結晶粒の著しい
成長が抑制され、より微細な結晶を有する焼結体が得られる。このような焼結体は、機械
的特性が特に高いものとなる。
め、粒状に成形される傾向にある。したがって、焼結体には、このような粒状をなし、酸
化ケイ素の含有率が相対的に高い第1領域と、第1領域よりも酸化ケイ素の含有率が相対
的に低い第2領域と、が形成され易くなる。第1領域が存在することで、前述したような
、結晶内部の酸化物濃度の低下と、結晶粒の著しい成長の抑制とが図られる。
MA)による定性定量分析を行うと、第1領域では、O(酸素)が主元素となっている一
方、第2領域では、Feが主元素となる。前述したように、第1領域は、主に結晶粒界に
存在する一方、第2領域は、結晶内部に存在する。そこで、第1領域において、Oおよび
Siの2元素の含有率の和とFeの含有率とを比較すると、2元素の含有率の和はFeの
含有率より多くなっている。一方、第2領域では、OおよびSiの2元素の含有率の和は
、Feの含有率より圧倒的に小さい。これらのことから、第1領域では、SiおよびOの
集積が図られていることがわかる。具体的には、第1領域では、Siの含有率とOの含有
率との和は、Feの含有率の1.5倍以上10000倍以下になっているのが好ましい。
また、第1領域におけるSiの含有率は、第2領域におけるSiの含有率の3倍以上10
000倍以下になっているのが好ましい。
くとも一方は、第1領域>第2領域の関係を満足する。このことから、第1領域において
、前述したZr炭化物等やNb炭化物等が、酸化ケイ素が集積する際の核になっているこ
とを示している。具体例としては、第1領域におけるZrの含有率は、第2領域における
Zrの含有率の3倍以上10000倍以下になっているのが好ましい。同様に、第1領域
におけるNbの含有率は、第2領域におけるNbの含有率の3倍以上10000倍以下に
なっているのが好ましい。
。したがって、本発明により高密度化が図られた焼結体であっても、組成比によっては、
酸化ケイ素が集積していない場合もあると考えられる。
のの、0.5μm以上15μm以下程度とされ、好ましくは1μm以上10μm以下程度
とされる。これにより、酸化ケイ素の集積に伴う焼結体の機械的特性の低下を抑えつつ、
焼結体の高密度化を十分に促進させることができる。
る第1領域の面積と同じ面積を持つ円の直径(円相当径)の平均値として求めることがで
きる。平均値を求める際には10個以上の測定値が用いられる。
b)/Cとしたとき、(Zr+Nb)/Cは1以上16以下であるのが好ましく、2以上
13以下であるのがより好ましく、3以上10以下であるのがさらに好ましい。(Zr+
Nb)/Cを前記範囲内に設定することで、Cを添加した場合の硬度の上昇および靭性の
低下と、ZrおよびNbの添加によってもたらされる高密度化とを両立させることができ
る。その結果、引張強さや靭性といった機械的特性に優れた焼結体を製造可能な金属粉末
が得られる。
NおよびSのうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。なお、これらの元素は、不可避
的に含まれる場合もある。
である。
以下であるのが好ましく、0.05質量%以上1質量%以下であるのがより好ましい。M
nの含有率を前記範囲内に設定することで、高密度で機械的特性に優れた焼結体が得られ
る。
体の耐食性や機械的特性を十分に高められないおそれがあり、一方、Mnの含有率が前記
上限値を上回ると、かえって耐食性や機械的特性が低下するおそれがある。
金属粉末におけるMoの含有率は、特に限定されないが、1質量%以上5質量%以下で
あるのが好ましく、1.2質量%以上4質量%以下であるのがより好ましく、2質量%以
上3質量%以下であるのがさらに好ましい。Moの含有率を前記範囲内に設定することで
、製造される焼結体の密度の大幅な低下を招くことなく、焼結体の耐食性をより強化する
ことができる。
金属粉末におけるCuの含有率は、特に限定されないが、5質量%以下であるのが好ま
しく、1質量%以上4質量%以下であるのがより好ましい。Cuの含有率を前記範囲内に
設定することで、製造される焼結体の密度の大幅な低下を招くことなく、焼結体の耐食性
をより強化することができる。
金属粉末におけるNの含有率は、特に限定されないが、0.03質量%以上1質量%以
下であるのが好ましく、0.08質量%以上0.3質量%以下であるのがより好ましく、
0.1質量%以上0.25質量%以下であるのがさらに好ましい。Nの含有率を前記範囲
内に設定することで、製造される焼結体の密度の大幅な低下を招くことなく、焼結体の耐
力等の機械的特性をより高めることができる。
溶融金属に対して窒素ガスを導入する方法、製造された金属粉末に窒化処理を施す方法等
が用いられる。
金属粉末におけるSの含有率は、特に限定されないが、0.5質量%以下であるのが好
ましく、0.01質量%以上0.3質量%以下であるのがより好ましい。Sの含有率を前
記範囲内に設定することで、製造される焼結体の密度の大幅な低下を招くことなく、製造
される焼結体の被削性をより高めることができる。
d、Al等が添加されていてもよい。その場合、これらの元素の含有率は、特に限定され
ないが、それぞれ0.1質量%未満であるのが好ましく、合計でも0.2質量%未満であ
るのが好ましい。なお、これらの元素は、不可避的に含まれる場合もある。
ては、上述したFe、Cr、Ni、Si、C、Zr、Nb、Mn、Mo、Cu、N、S、
V、W、Co、B、Ti、Se、Te、Pd、Al以外の全ての元素が挙げられ、具体的
には、例えば、Li、Be、Na、Mg、P、K、Ca、Sc、Zn、Ga、Ge、Y、
Ag、In、Sn、Sb、Hf、Ta、Os、Ir、Pt、Au、Bi等が挙げられる。
これらの不純物の混入量は、各々の元素がFe、Cr、Ni、Si、ZrおよびNbの各
含有量よりも少なくなるように設定されているのが好ましい。また、これらの不純物の混
入量は、各々の元素が0.03質量%未満となるように設定されるのが好ましく、0.0
2質量%未満となるように設定されるのがより好ましい。また、合計でも0.3質量%未
満とされるのが好ましく、0.2質量%未満とされるのがより好ましい。なお、これらの
元素は、その含有率が前記範囲内であれば、前述したような効果が阻害されないので、意
図的に添加されていてもよい。
量は0.8質量%以下程度であるのが好ましく、0.5質量%以下程度であるのがより好
ましい。金属粉末中の酸素量をこの程度に収めることで、焼結性が高くなり、高密度で機
械的特性に優れた焼結体が得られる。なお、下限値は特に設定されないが、量産容易性等
の観点から0.03質量%以上であるのが好ましい。
成分)であり、焼結体の特性に大きな影響を及ぼす。Feの含有率は、特に限定されない
が、50質量%以上であるのが好ましい。
規定された鉄及び鋼−原子吸光分析法、JIS G 1258(2007)に規定された
鉄及び鋼−ICP発光分光分析法、JIS G 1253(2002)に規定された鉄及
び鋼−スパーク放電発光分光分析法、JIS G 1256(1997)に規定された鉄
及び鋼−蛍光X線分析法、JIS G 1211〜G 1237に規定された重量・滴定
・吸光光度法等により特定することができる。具体的には、例えばSPECTRO社製固
体発光分光分析装置(スパーク放電発光分光分析装置、モデル:SPECTROLAB、
タイプ:LAVMB08A)や、(株)リガク製ICP装置(CIROS120型)が挙
げられる。
JIS G 1211(2011) 鉄及び鋼−炭素定量方法
JIS G 1212(1997) 鉄及び鋼−けい素定量方法
JIS G 1213(2001) 鉄及び鋼中のマンガン定量方法
JIS G 1214(1998) 鉄及び鋼−りん定量方法
JIS G 1215(2010) 鉄及び鋼−硫黄定量方法
JIS G 1216(1997) 鉄及び鋼−ニッケル定量方法
JIS G 1217(2005) 鉄及び鋼−クロム定量方法
JIS G 1218(1999) 鉄及び鋼−モリブデン定量方法
JIS G 1219(1997) 鉄及び鋼−銅定量方法
JIS G 1220(1994) 鉄及び鋼−タングステン定量方法
JIS G 1221(1998) 鉄及び鋼−バナジウム定量方法
JIS G 1222(1999) 鉄及び鋼−コバルト定量方法
JIS G 1223(1997) 鉄及び鋼−チタン定量方法
JIS G 1224(2001) 鉄及び鋼中のアルミニウム定量方法
JIS G 1225(2006) 鉄及び鋼−ひ素定量方法
JIS G 1226(1994) 鉄及び鋼−すず定量方法
JIS G 1227(1999) 鉄及び鋼中のほう素定量方法
JIS G 1228(2006) 鉄及び鋼−窒素定量方法
JIS G 1229(1994) 鋼−鉛定量方法
JIS G 1232(1980) 鋼中のジルコニウム定量方法
JIS G 1233(1994) 鋼−セレン定量方法
JIS G 1234(1981) 鋼中のテルル定量方法
JIS G 1235(1981) 鉄及び鋼中のアンチモン定量方法
JIS G 1236(1992) 鋼中のタンタル定量方法
JIS G 1237(1997) 鉄及び鋼−ニオブ定量方法
2011)に規定された酸素気流燃焼(高周波誘導加熱炉燃焼)−赤外線吸収法も用いら
れる。具体的には、LECO社製炭素・硫黄分析装置、CS−200が挙げられる。
(2006)に規定された鉄および鋼の窒素定量方法、JIS Z 2613(2006
)に規定された金属材料の酸素定量方法も用いられる。具体的には、LECO社製酸素・
窒素分析装置、TC−300/EF−300が挙げられる。
ましい。オーステナイトの結晶構造は、焼結体に高い耐食性を付与するとともに、大きな
伸びを付与する。このため、かかる結晶構造を有する粉末冶金用金属粉末は、高密度であ
るにもかかわらず、高い耐食性と大きな伸びとを有する焼結体を製造し得るものとなる。
X線回折法により判定することができる。
のが好ましく、1μm以上20μm以下であるのがより好ましく、2μm以上10μm以
下であるのがさらに好ましい。このような粒径の粉末冶金用金属粉末を用いることにより
、焼結体中に残存する空孔が極めて少なくなるため、特に高密度で機械的特性に優れた焼
結体を製造することができる。
、累積量が小径側から50%になるときの粒径として求められる。
場合、成形性が低下し、焼結密度が低下するおそれがあり、前記上限値を上回った場合、
成形時に粒子間の隙間が大きくなるので、やはり焼結密度が低下するおそれがある。
粉末冶金用金属粉末の平均粒径が前記範囲内であれば、最大粒径が200μm以下である
のが好ましく、150μm以下であるのがより好ましい。粉末冶金用金属粉末の最大粒径
を前記範囲内に制御することにより、粉末冶金用金属粉末の粒度分布をより狭くすること
ができ、焼結体のさらなる高密度化を図ることができる。
において、累積量が小径側から99.9%となるときの粒径のことをいう。
き、S/Lで定義されるアスペクト比の平均値は、0.4以上1以下程度であるのが好ま
しく、0.7以上1以下程度であるのがより好ましい。このようなアスペクト比の粉末冶
金用金属粉末は、その形状が比較的球形に近くなるので、成形された際の充填率が高めら
れる。その結果、焼結体のさらなる高密度化を図ることができる。
長径に直交する方向においてとりうる最大長さである。また、アスペクト比の平均値は、
100個以上の粒子について測定されたアスペクト比の値の平均値として求められる。
好ましく、4g/cm3以上であるのがより好ましい。このようにタップ密度が大きい粉
末冶金用金属粉末であれば、成形体を得る際に、粒子間の充填性が特に高くなる。このた
め、最終的に、特に緻密な焼結体を得ることができる。
g以上であるのが好ましく、0.2m2/g以上であるのがより好ましい。このように比
表面積の広い粉末冶金用金属粉末であれば、表面の活性(表面エネルギー)が高くなるた
め、より少ないエネルギーの付与でも容易に焼結することができる。したがって、成形体
を焼結する際に、成形体の内側と外側とで焼結速度の差が生じ難くなり、内側に空孔が残
存して焼結密度が低下するのを抑制することができる。
次に、このような本発明の粉末冶金用金属粉末を用いて焼結体を製造する方法について
説明する。
[B]成形体を製造する成形工程と、[C]脱脂処理を施す脱脂工程と、[D]焼成を行
う焼成工程と、を有する。以下、各工程について順次説明する。
まず、本発明の粉末冶金用金属粉末と、バインダーとを用意し、これらを混練機により
混練し、混練物(組成物)を得る。
分散している。
スアトマイズ法、高速回転水流アトマイズ法等)、還元法、カルボニル法、粉砕法等の各
種粉末化法により製造される。
のが好ましく、水アトマイズ法または高速回転水流アトマイズ法により製造されたもので
あるのがより好ましい。アトマイズ法は、溶融金属(溶湯)を、高速で噴射された流体(
液体または気体)に衝突させることにより、溶湯を微粉化するとともに冷却して、金属粉
末を製造する方法である。粉末冶金用金属粉末をこのようなアトマイズ法によって製造す
ることにより、極めて微小な粉末を効率よく製造することができる。また、得られる粉末
の粒子形状が表面張力の作用により球形状に近くなる。このため、成形した際に充填率の
高いものが得られる。すなわち、高密度な焼結体を製造可能な粉末を得ることができる。
る水(以下、「アトマイズ水」という。)の圧力は、特に限定されないが、好ましくは7
5MPa以上120MPa以下(750kgf/cm2以上1200kgf/cm2以下
)程度とされ、より好ましくは、90MPa以上120MPa以下(900kgf/cm
2以上1200kgf/cm2以下)程度とされる。
度とされる。
するような円錐状に噴射される場合が多い。この場合、アトマイズ水が形成する円錐の頂
角θは、10°以上40°以下程度であるのが好ましく、15°以上35°以下程度であ
るのがより好ましい。これにより、前述したような組成の粉末冶金用金属粉末を、確実に
製造することができる。
を冷却することができる。このため、広い合金組成において高品質な粉末が得られる。
あるのが好ましく、1×105℃/s以上であるのがより好ましい。このような急速な冷
却により、均質な粉末冶金用金属粉末が得られる。その結果、高品質な焼結体を得ること
ができる。
てもよい。分級の方法としては、例えば、ふるい分け分級、慣性分級、遠心分級のような
乾式分級、沈降分級のような湿式分級等が挙げられる。
ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレ
ート等のアクリル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化
ビニリデン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等
のポリエステル、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンまたはこ
れらの共重合体等の各種樹脂や、各種ワックス、パラフィン、高級脂肪酸(例:ステアリ
ン酸)、高級アルコール、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド等の各種有機バインダ
ーが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を混合して用いることができる。
が好ましく、5質量%以上10質量%以下程度であるのがより好ましい。バインダーの含
有率が前記範囲内であることにより、成形性よく成形体を形成することができるとともに
、密度を高め、成形体の形状の安定性等を特に優れたものとすることができる。また、こ
れにより、成形体と脱脂体との大きさの差、いわゆる収縮率を最適化して、最終的に得ら
れる焼結体の寸法精度の低下を防止することができる。すなわち、高密度でかつ寸法精度
の高い焼結体を得ることができる。
ては、例えば、フタル酸エステル(例:DOP、DEP、DBP)、アジピン酸エステル
、トリメリット酸エステル、セバシン酸エステル等が挙げられ、これらのうちの1種また
は2種以上を混合して用いることができる。
剤、酸化防止剤、脱脂促進剤、界面活性剤等の各種添加物を必要に応じ添加することがで
きる。
およびこれらの配合量等の諸条件により異なるが、その一例を挙げれば、混練温度:50
℃以上200℃以下程度、混練時間:15分以上210分以下程度とすることができる。
、1mm以上15mm以下程度とされる。
もよい。これらの混練物および造粒粉末等が、後述する成形工程に供される組成物の一例
である。
より、複数個の金属粒子同士をバインダーで結着してなるものである。
レン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、
ポリブチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリ
塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチ
レンテレフタレート等のポリエステル、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニ
ルピロリドンまたはこれらの共重合体等の各種樹脂や、各種ワックス、パラフィン、高級
脂肪酸(例:ステアリン酸)、高級アルコール、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド
等の各種有機バインダーが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を混合して用いる
ことができる。
含むものが好ましい。これらのバインダー成分は、結着性が高いため、比較的少量であっ
ても効率よく造粒粉末を形成することができる。また、熱分解性も高いことから、脱脂お
よび焼成の際に、短時間で確実に分解、除去することが可能になる。
あるのが好ましく、0.3質量%以上5質量%以下程度であるのがより好ましく、0.3
質量%以上2質量%以下であるのがさらに好ましい。バインダーの含有率が前記範囲内で
あることにより、著しく大きな粒子が造粒されたり、造粒されていない金属粒子が大量に
残存してしまうのを抑制しつつ、造粒粉末を効率よく形成することができる。また、成形
性が向上するため、成形体の形状の安定性等を特に優れたものとすることができる。また
、バインダーの含有率を前記範囲内としたことにより、成形体と脱脂体との大きさの差、
いわゆる収縮率を最適化して、最終的に得られる焼結体の寸法精度の低下を防止すること
ができる。
面活性剤等の各種添加物が添加されていてもよい。
層造粒法、転動流動造粒法等が挙げられる。
溶媒としては、例えば、水、四塩化炭素のような無機溶媒や、ケトン系溶媒、アルコール
系溶媒、エーテル系溶媒、セロソルブ系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系
溶媒、芳香族複素環化合物系溶媒、アミド系溶媒、ハロゲン化合物系溶媒、エステル系溶
媒、アミン系溶媒、ニトリル系溶媒、ニトロ系溶媒、アルデヒド系溶媒のような有機溶媒
等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上の混合物が用いられる。
のが好ましく、20μm以上100μm以下程度であるのがより好ましく、25μm以上
60μm以下程度であるのがさらに好ましい。このような粒径の造粒粉末は、良好な流動
性を有し、成形型の形状をより忠実に反映させ得るものとなる。
、累積量が小径側から50%になるときの粒径として求められる。
次に、混練物または造粒粉末を成形して、目的の焼結体と同形状の成形体を製造する。
形)法、金属粉末射出成形(MIM:Metal Injection Molding)法、押出成形法等の各
種成形法を用いることができる。
バインダーの組成、およびこれらの配合量等の諸条件によって異なるが、成形圧力が20
0MPa以上1000MPa以下(2t/cm2以上10t/cm2以下)程度であるの
が好ましい。
度が80℃以上210℃以下程度、射出圧力が50MPa以上500MPa以下(0.5
t/cm2以上5t/cm2以下)程度であるのが好ましい。
℃以上210℃以下程度、押出圧力が50MPa以上500MPa以下(0.5t/cm
2以上5t/cm2以下)程度であるのが好ましい。
に分布した状態となる。
の収縮分を見込んで決定される。
次に、得られた成形体に脱脂処理(脱バインダー処理)を施し、脱脂体を得る。
ンダーを除去して、脱脂処理がなされる。
を曝す方法等が挙げられる。
によって若干異なるものの、温度100℃以上750℃以下×0.1時間以上20時間以
下程度であるのが好ましく、150℃以上600℃以下×0.5時間以上15時間以下程
度であるのがより好ましい。これにより、成形体を焼結させることなく、成形体の脱脂を
必要かつ十分に行うことができる。その結果、脱脂体の内部にバインダー成分が多量に残
留してしまうのを確実に防止することができる。
気、窒素、アルゴンのような不活性ガス雰囲気、大気のような酸化性ガス雰囲気、または
これらの雰囲気を減圧した減圧雰囲気等が挙げられる。
なお、このような脱脂工程は、脱脂条件の異なる複数の過程(ステップ)に分けて行う
ことにより、成形体中のバインダーをより速やかに、そして、成形体に残存させないよう
に分解・除去することができる。
もよい。脱脂体は、硬度が比較的低く、かつ比較的可塑性に富んでいるため、脱脂体の形
状が崩れるのを防止しつつ、容易に機械加工を施すことができる。このような機械加工に
よれば、最終的に寸法精度の高い焼結体を容易に得ることができる。
前記工程[C]で得られた脱脂体を、焼成炉で焼成して焼結体を得る。
この際、前述したようなメカニズムによって、脱脂体が速やかに焼結される。その結果、
全体的に緻密な高密度の焼結体が得られる。
よって異なるが、一例として980℃以上1330℃以下程度とされる。また、好ましく
は1050℃以上1260℃以下程度とされる。
間以下程度とされる。
してもよい。
組織が肥大化するのを防止しつつ、脱脂体全体を十分に焼結させることができる。その結
果、高密度であり、かつ特に機械的特性に優れた焼結体を得ることができる。
く、したがって、脱脂体の温度も一定になり易い。その結果、より均質な焼結体を製造す
ることができる。
あるため、安価な焼成炉が利用可能であるとともに、ランニングコストも抑えることがで
きる。換言すれば、前記焼成温度を超える場合には、特殊な耐熱材料を用いた高価な焼成
炉を利用する必要があり、しかもランニングコストも高くなるおそれがある。
とを考慮した場合、水素のような還元性ガス雰囲気、アルゴンのような不活性ガス雰囲気
、またはこれらの雰囲気を減圧した減圧雰囲気等が好ましく用いられる。
、本発明の粉末冶金用金属粉末とバインダーとを含む組成物を、成形した後、脱脂・焼結
して製造された焼結体は、従来の金属粉末を焼結してなる焼結体に比べて相対密度が高く
なる。よって、本発明であれば、HIP処理のような追加処理を施さなければ到達し得な
かった高密度の焼結体を、追加処理なしに実現することができる。
一例として従来よりも2%以上の相対密度の向上が期待できる。
る(好ましくは98%以上、より好ましくは98.5%以上)。このような範囲の相対密
度を有する焼結体は、粉末冶金技術を利用することで目的とする形状に限りなく近い形状
を有するものであるにもかかわらず、溶製材に匹敵する優れた機械的特性を有するものと
なるため、ほとんど後加工を施すことなく各種の機械部品や構造部品等に適用可能なもの
となる。
・焼結して製造された焼結体は、その引張強さや0.2%耐力が、従来の金属粉末を用い
て同様に焼結してなる焼結体の引張強さや0.2%耐力よりも大きくなる。これは、合金
組成を最適化したことにより、金属粉末の焼結性を高め、これにより製造される焼結体の
機械的特性が向上したためと考えられる。
的には、粉末冶金用金属粉末の組成によって若干異なるものの、一例として表面のビッカ
ース硬度が140以上500以下になることが期待される。また、好ましくは150以上
400以下になることが期待される。このような硬度を有する焼結体は、特に高い耐久性
を有するものとなる。
が、さらなる高密度化および機械的特性の向上を図るために、各種の追加処理を施すよう
にしてもよい。
であってもよく、各種焼き入れ処理、各種サブゼロ処理、各種焼き戻し処理等であっても
よい。これらの追加処理は単独で行われてもよく、複数が組み合わされて行われてもよい
。
が揮発し、最終的に得られる焼結体の組成は、金属粉末中の組成から若干変化している場
合もある。
おける含有率が、粉末冶金用金属粉末における含有率の5%以上100%以下の範囲内(
好ましくは30%以上100%以下の範囲内)で変化する可能性がある。
ける含有率が、粉末冶金用金属粉末における含有率の1%以上50%以下の範囲内(好ま
しくは3%以上50%以下の範囲内)で変化する可能性がある。
HIP処理に供されてもよいが、HIP処理を行っても十分な効果が発揮されない場合も
多い。HIP処理では、焼結体のさらなる高密度化を図ることができるが、そもそも本発
明で得られる焼結体は、焼成工程の終了時点ですでに十分な高密度化が図られている。こ
のため、さらにHIP処理を施したとしても、それ以上の高密度化は進み難い。
理物が汚染されたり、汚染に伴って被処理物の組成や物性が意図しない変化を生じたり、
汚染に伴って被処理物が変色したりするおそれがある。また、加圧されることにより被処
理物内において残留応力が発生あるいは増加し、これが経時的に解放されるのに伴って変
形や寸法精度の低下といった不具合の発生を招くおそれがある。
い焼結体を製造可能であるため、HIP処理を施した場合と同様の高密度化および高強度
化が図られた焼結体を得ることができる。そして、このような焼結体は、汚染や変色、意
図しない組成や物性の変化等が少なく、変形や寸法精度の低下といった不具合の発生も少
ないものとなる。よって、本発明によれば、機械的強度および寸法精度が高く、耐久性に
優れた焼結体を効率よく製造することができる。
ど必要としないため、組成や結晶組織が焼結体全体で均一になり易い。このため、構造的
な等方性が高く、形状によらず全方位からの荷重に対する耐久性に優れたものとなる。
ける空孔率よりも相対的に小さくなることが多いことが認められる。このようになる理由
は明確ではないが、ZrおよびNbが添加されることにより、成形体の内部よりも表面近
傍において、焼結反応がより進み易くなっているということが挙げられる。
とき、A2−A1は0.1%以上3%以下であるのが好ましく、0.2%以上2%以下で
あるのがより好ましい。A2−A1がこのような範囲にある焼結体は、必要かつ十分な機
械的強度を有する一方、表面を容易に平坦化することを可能にする。すなわち、かかる焼
結体の表面を研磨することにより、鏡面性の高い表面を得ることができる。
ものとなる。このため、かかる焼結体は、優れた美的外観が要求される用途にも好適に用
いられる。
深さの位置を中心に半径25μmの範囲内の空孔率のことをいう。また、焼結体の内部の
空孔率A2とは、焼結体の断面のうち、表面から300μmの深さの位置を中心に半径2
5μmの範囲内の空孔率のことをいう。これらの空孔率は、焼結体の断面を走査型電子顕
微鏡で観察し、前記範囲内に存在する空孔の面積を前記範囲の面積で除して得られた値で
ある。
好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
舶用部品、航空機用部品、宇宙輸送機(例えばロケット等)用部品のような輸送機器用部
品、パソコン用部品、携帯電話端末用部品のような電子機器用部品、冷蔵庫、洗濯機、冷
暖房機のような電気機器用部品、工作機械、半導体製造装置のような機械用部品、原子力
発電所、火力発電所、水力発電所、製油所、化学コンビナートのようなプラント用部品、
時計用部品、金属食器、宝飾品、眼鏡フレームのような装飾品の他、あらゆる構造部品に
用いられる。
1.焼結体の製造
[1]まず、水アトマイズ法により製造された表1に示す組成の金属粉末を用意した。
なお、この金属粉末の平均粒径は4.05μm、タップ密度は4.20g/cm3、比表
面積は0.23m2/gであった。
り同定、定量した。また、ICP分析には、(株)リガク製、ICP装置(CIROS1
20型)を用いた。また、Cの同定、定量には、LECO社製炭素・硫黄分析装置(CS
−200)を用いた。さらに、Oの同定、定量には、LECO社製酸素・窒素分析装置(
TC−300/EF−300)を用いた。
とを、質量比で9:1となるよう秤量して混合し、混合原料を得た。
[3]次に、この混合原料を混練機で混練し、コンパウンドを得た。
形体を作製した。
・材料温度:150℃
・射出圧力:11MPa(110kgf/cm2)
し、脱脂体を得た。
・脱脂温度 :500℃
・脱脂時間 :1時間(脱脂温度での保持時間)
・脱脂雰囲気:窒素雰囲気
を得た。なお、焼結体の形状は、直径10mm、厚さ5mmの円筒形状とした。
・焼成温度 :1150℃
・焼成時間 :3時間(焼成温度での保持時間)
・焼成雰囲気:アルゴン雰囲気
粉末冶金用金属粉末の組成等を表1に示すように変更した以外は、それぞれサンプルN
o.1の焼結体の製造方法と同様にして焼結体を得た。なお、サンプルNo.30の焼結
体については、焼成後、下記の条件でHIP処理を施した。また、サンプルNo.18〜
20の焼結体は、それぞれガスアトマイズ法により製造された金属粉末を用いて得られた
ものである。なお、表1には、備考欄に「ガス」と表記している。
・加熱温度 :1100℃
・加熱時間 :2時間
・加圧力 :100MPa
」とし、本発明に相当しないものを「比較例」としている。
また、各焼結体には、微量の不純物が含まれていたが、表1への記載は省略した。
粉末冶金用金属粉末の組成等を表2に示すように変更した以外は、それぞれサンプルN
o.1の焼結体の製造方法と同様にして焼結体を得た。なお、サンプルNo.48の焼結
体については、焼成後、下記の条件でHIP処理を施した。また、サンプルNo.41〜
43の焼結体は、それぞれガスアトマイズ法により製造された金属粉末を用いて得られた
ものである。なお、表2には、備考欄に「ガス」と表記している。
・加熱温度 :1100℃
・加熱時間 :2時間
・加圧力 :100MPa
」とし、本発明に相当しないものを「比較例」としている。
また、各焼結体には、微量の不純物が含まれていたが、表2への記載は省略した。
粉末冶金用金属粉末の組成等を表3に示すように変更した以外は、それぞれサンプルN
o.1の焼結体の製造方法と同様にして焼結体を得た。なお、サンプルNo.66の焼結
体については、焼成後、下記の条件でHIP処理を施した。また、サンプルNo.59〜
61の焼結体は、それぞれガスアトマイズ法により製造された金属粉末を用いて得られた
ものである。なお、表3には、備考欄に「ガス」と表記している。
・加熱温度 :1100℃
・加熱時間 :2時間
・加圧力 :100MPa
」とし、本発明に相当しないものを「比較例」としている。
また、各焼結体には、微量の不純物が含まれていたが、表3への記載は省略した。
[1]まず、表4に示す組成の金属粉末を、サンプルNo.1の場合と同様、水アトマ
イズ法により製造した。
ダーはポリビニルアルコールであり、金属粉末100質量部に対して1質量部になる量を
使用した。また、ポリビニルアルコール1質量部に対して50質量部の溶媒(イオン交換
水)を使用した。これにより、平均粒径50μmの造粒粉末を得た。
は、プレス成形機を使用した。また、作製する成形体の形状は、20mm角の立方体形状
とした。
・材料温度:90℃
・成形圧力:600MPa(6t/cm2)
し、脱脂体を得た。
・脱脂温度 :450℃
・脱脂時間 :2時間(脱脂温度での保持時間)
・脱脂雰囲気:窒素雰囲気
を得た。
・焼成温度 :1150℃
・焼成時間 :3時間(焼成温度での保持時間)
・焼成雰囲気:アルゴン雰囲気
粉末冶金用金属粉末の組成等を表4に示すように変更した以外は、それぞれサンプルN
o.67の場合と同様にして焼結体を得た。なお、サンプルNo.87の焼結体について
は、焼成後、下記の条件でHIP処理を施した。
・加熱温度 :1100℃
・加熱時間 :2時間
・加圧力 :100MPa
本発明に相当するものを「実施例」とし、本発明に相当しないものを「比較例」としてい
る。
2.1 相対密度の評価
各サンプルNo.の焼結体について、JIS Z 2501(2000)に規定された
焼結金属材料の密度を測定する方法に準じて、焼結密度を測定するとともに、各焼結体を
製造するのに用いた粉末冶金用金属粉末の真密度を参照して、各焼結体の相対密度を算出
した。
算出結果を表5〜8に示す。
各サンプルNo.の焼結体について、JIS Z 2244(2009)に規定された
ビッカース硬さ試験の試験方法に準じて、ビッカース硬度を測定した。
測定結果を表5〜8に示す。
各サンプルNo.の焼結体について、JIS Z 2241(2011)に規定された
金属材料引張試験方法に準じて、引張強さ、0.2%耐力および伸びを測定した。
そして、測定したこれらの物性値について、以下の評価基準にしたがって評価した。
A:焼結体の引張強さが520MPa以上である
B:焼結体の引張強さが510MPa以上520MPa未満である
C:焼結体の引張強さが500MPa以上510MPa未満である
D:焼結体の引張強さが490MPa以上500MPa未満である
E:焼結体の引張強さが480MPa以上490MPa未満である
F:焼結体の引張強さが480MPa未満である
A:焼結体の引張強さが560MPa以上である
B:焼結体の引張強さが550MPa以上560MPa未満である
C:焼結体の引張強さが540MPa以上550MPa未満である
D:焼結体の引張強さが530MPa以上540MPa未満である
E:焼結体の引張強さが520MPa以上530MPa未満である
F:焼結体の引張強さが520MPa未満である
A:焼結体の0.2%耐力が195MPa以上である
B:焼結体の0.2%耐力が190MPa以上195MPa未満である
C:焼結体の0.2%耐力が185MPa以上190MPa未満である
D:焼結体の0.2%耐力が180MPa以上185MPa未満である
E:焼結体の0.2%耐力が175MPa以上180MPa未満である
F:焼結体の0.2%耐力が175MPa未満である
A:焼結体の0.2%耐力が225MPa以上である
B:焼結体の0.2%耐力が220MPa以上225MPa未満である
C:焼結体の0.2%耐力が215MPa以上220MPa未満である
D:焼結体の0.2%耐力が210MPa以上215MPa未満である
E:焼結体の0.2%耐力が205MPa以上210MPa未満である
F:焼結体の0.2%耐力が205MPa未満である
A:焼結体の伸びが48%以上である
B:焼結体の伸びが46%以上48%未満である
C:焼結体の伸びが44%以上46%未満である
D:焼結体の伸びが42%以上44%未満である
E:焼結体の伸びが40%以上42%未満である
F:焼結体の伸びが40%未満である
と表6、7とで、評価基準が異なる。
HIP処理を施した焼結体を除く。)に比べて、相対密度およびビッカース硬度が高いこ
とが認められた。また、引張強さ、0.2%耐力および伸びといった特性についても、有
意差があることが認められた。
較したところ、いずれも同程度であることが認められた。
実施例に相当する焼結体の断面について、走査型電子顕微鏡(日本電子製、JXA−8
500F)で観察像を取得した。なお、撮像時の加速電圧は15kV、拡大倍率は1万倍
とした。
、第1領域を囲むように位置し、淡色を呈する領域(第2領域)とが認められた。そこで
、第1領域の円相当径の平均値を求めたところ、いずれの焼結体においても、2μm以上
8μm以下の程度であった。
結果、第1領域では、Siの含有率とOの含有率との和が、Feの含有率の2.5倍から
3.5倍の間であった。また、第1領域におけるSiの含有率は、第2領域におけるSi
の含有率の14倍以上であった。また、第1領域におけるZrの含有率は、第2領域にお
けるZrの含有率の3倍以上であった。
集積していると認められる。
さなくても、焼結体に対し、HIP処理を施したのと同様の高密度と優れた機械的特性と
を付与し得ることが明らかとなった。
、いずれもオーステナイトの結晶構造を主として有していることが認められた。
Claims (10)
- Feが主成分であり、
Crが15質量%以上26質量%以下の割合で含まれ、
Niが7質量%以上22質量%以下の割合で含まれ、
Siが0.3質量%以上1.2質量%以下の割合で含まれ、
Cが0.005質量%以上0.3質量%以下の割合で含まれ、
Zrが0.01質量%以上0.5質量%以下の割合で含まれ、
Nbが0.01質量%以上0.5質量%以下の割合で含まれていることを特徴とする粉
末冶金用金属粉末。 - オーステナイトの結晶構造を有している請求項1に記載の粉末冶金用金属粉末。
- Nbの含有率に対するZrの含有率の比率Zr/Nbは、0.3以上3以下である請求
項1または2に記載の粉末冶金用金属粉末。 - Zrの含有率とNbの含有率の合計が0.05質量%以上0.6質量%以下である請求
項1ないし3のいずれか1項に記載の粉末冶金用金属粉末。 - さらに、Moが1質量%以上5質量%以下の割合で含まれている請求項1ないし4のい
ずれか1項に記載の粉末冶金用金属粉末。 - 平均粒径が0.5μm以上30μm以下である請求項1ないし5のいずれか1項に記載
の粉末冶金用金属粉末。 - 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の粉末冶金用金属粉末と、前記粉末冶金用金属
粉末の粒子同士を結着するバインダーと、を含むことを特徴とするコンパウンド。 - 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の粉末冶金用金属粉末を造粒してなることを特
徴とする造粒粉末。 - Feが主成分であり、
Crが15質量%以上26質量%以下の割合で含まれ、
Niが7質量%以上22質量%以下の割合で含まれ、
Siが0.3質量%以上1.2質量%以下の割合で含まれ、
Cが0.005質量%以上0.3質量%以下の割合で含まれ、
Zrが0.01質量%以上0.5質量%以下の割合で含まれ、
Nbが0.01質量%以上0.5質量%以下の割合で含まれている粉末冶金用金属粉末
を焼結して製造されたことを特徴とする焼結体。 - 粒状をなし酸化ケイ素の含有率が相対的に高い第1領域と、前記第1領域よりも酸化ケ
イ素の含有率が相対的に低い第2領域と、を含む請求項9に記載の焼結体。
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