JP2015178846A - 真空断熱材及び断熱容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】様々な温度環境下において断熱性能を良好なものとすることができる真空断熱材及び断熱容器を提供すること。
【解決手段】略平板状の芯材11と、芯材11を被包する外被材12とを備え、外被材12の内部を減圧することにより形成された真空断熱材10において、芯材11は、有機材料からなる発泡状構造体を有する発泡体構造層111と、粘土鉱物からなる粉体状構造体の集合物である粉体構造層112とを少なくとも積層して構成されたものである。また、本発明の断熱容器は、真空断熱材10が、発泡体構造層111が低温側、かつ粉体構造層112が高温側となる態様で配設されることが好ましい。
【選択図】図1
【解決手段】略平板状の芯材11と、芯材11を被包する外被材12とを備え、外被材12の内部を減圧することにより形成された真空断熱材10において、芯材11は、有機材料からなる発泡状構造体を有する発泡体構造層111と、粘土鉱物からなる粉体状構造体の集合物である粉体構造層112とを少なくとも積層して構成されたものである。また、本発明の断熱容器は、真空断熱材10が、発泡体構造層111が低温側、かつ粉体構造層112が高温側となる態様で配設されることが好ましい。
【選択図】図1
Description
本発明は、真空断熱材及びこれを備えた断熱容器に関するものである。
従来、真空断熱材(VIP:Vacuum Insulation Panel)は、芯材を外被材で覆いその内部を減圧することにより形成されるもので、外縁部に外被材のみで構成されるヒレ部分を有している。
かかる真空断熱材においては、芯材は、無機繊維を平板状にさせて構成されたもの、あるいは粉体を固形化して平板状にさせて構成されたものであった。無機繊維を平板状にさせて構成された芯材では、グラスウール、グラスファイバー、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、シリカ繊維、炭化ケイ素繊維等が用いられており、粉末を固形化して平板状にさせて構成された芯材では、シリカ、パーライト、カーボンブラック等の無機粉末が用いられていた(例えば、特許文献1参照)。
ところが、上述した真空断熱材では、芯材が無機繊維を平板状に構成されたものである場合、例えば50℃以上の高温環境下で用いられると、外被材で用いられているフィルムの分解ガスや内部に進入したガスにより、繊維間の隙間での気体(ガス)分子の運動により熱伝導率が増大して、断熱性能が劣化する虞れがあった。
また、芯材が粉末を固形化して平板状にさせて構成された真空断熱材では、無機粉体の有する吸着機能により高温環境下で用いられても断熱性能が劣化しにくい特性を有するが、無機粉体の密度が高いために、低温環境下で用いられる場合には、無機繊維を平板状にさせて構成されたものに比べて熱伝導率が高くなり断熱性能が劣る傾向がある。
従って、上述した真空断熱材では、一方が高温で他方が低温となるような両者の温度差が大きい環境下においては、良好な断熱性能を有することが困難であった。
本発明は、上記実情に鑑みて、様々な温度環境下において断熱性能を良好なものとすることができる真空断熱材及び断熱容器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る真空断熱材は、略平板状の芯材と、前記芯材を被包する外被材とを備え、前記外被材の内部を減圧することにより形成された真空断熱材において、前記芯材は、有機材料からなる発泡状構造体を有する発泡体構造層と、粘土鉱物からなる粉体状構造体の集合物である粉体構造層とを少なくとも積層して構成されたことを特徴とする。
また本発明は、上記真空断熱材において、前記粉体状構造体は、その集合物が多孔質構造を有することを特徴とする。
本発明に係る断熱容器は、上記真空断熱材が適宜配設されることによって構成された断熱容器において、前記真空断熱材は、前記発泡体構造層が低温側、かつ前記粉体構造層が高温側となる態様で配設されたことを特徴とする。
本発明によれば、芯材が、有機材料からなる発泡状構造体の集合物である発泡体構造層と、粘土鉱物からなる粉体状構造体の集合物である粉体構造層とを少なくとも積層して構成されているので、低温環境下においては発泡体構造層により熱伝導率を低下させることが可能である一方、高温環境下においては粉体構造層により熱伝導率を低下させることが可能である。しかも、粉体構造層を粘土鉱物からなる粉体状構造体から形成してあるので、高温環境下において外被材の分解ガスや内部に進入したガスを良好に吸着することにより発泡状構造体間の隙間での気体(ガス)分子の運動を抑制することができ、これにより、高温環境下においての熱伝導率を更に低下させることができる。従って、様々な温度環境下において断熱性能を良好なものとすることができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、発泡体構造層が低温側、かつ粉体構造層が高温側となる態様で真空断熱材が配設されることにより、低温環境下において優れた断熱特性を有する発泡体構造層を低温側にし、かつ高温環境下において優れた断熱特性を有する粉体構造層を高温側に配置することができ、断熱効果をより向上させることができるという効果を奏する。
以下に添付図面を参照して、本発明に係る真空断熱材及び断熱容器の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態である真空断熱材の横断面図である。ここで例示する真空断熱材10は、略平板状の形態を成す芯材11を例えばフィルムからなる外被材12にて被包して脱気密封した矩形状のものである。かかる真空断熱材10においては、製造工程の特性上、外縁部にヒレ部分121が形成されている。
上記真空断熱材10を構成する芯材11は、発泡体構造層111と粉体構造層112とを積層した2層構造となっている。
発泡体構造層111は、例えば発泡ウレタン等の有機材料からなる発泡状構造体を有するものであり、具体的には連続気泡ウレタンフォームを多段圧縮成形した連続気泡ウレタンフォーム積層体により構成されている。
粉体構造層112は、例えばタルク、ゼオライト、カオリナイト等の粘土鉱物(層状珪酸塩鉱物)のような層状結晶構造を有するものを粉体状にした粉体状構造体の集合物であり、より詳細には、粉体状構造体を焼結等によりボード化させたものである。
かかる構成を有する真空断熱材10では、芯材11を発泡体構造層111と粉体構造層112との2層構造としているので、低温環境下においては発泡体構造層111により熱伝導率を低下させることが可能である一方、高温環境下においては粉体構造層112により熱伝導率を低下させることが可能である。
そして、真空断熱材10が用いられる温度環境下に応じて発泡体構造層111及び粉体構造層112の厚みを変化させることが望ましい。すなわち、高温環境下で用いられる場合には、粉体構造層112の厚みを発泡体構造層111に対して相対的に増大させる一方、低温環境下で用いられる場合には、発泡体構造層111の厚みを粉体構造層112に対して相対的に増大させることが好ましい。
また、上記真空断熱材10では、2層構造とすることで発泡体構造層111と粉体構造層112との間における発泡状構造体と粉体状構造体との接触抵抗を増大させることができる。しかも、粉体構造層112を層状結晶構造を有する粘土鉱物を粉体化させて形成してあるので、高温環境下において外被材12で用いられているフィルムの分解ガスや内部に進入したガスを良好に吸着することにより発泡状構造体間の隙間での気体(ガス)分子の運動を抑制することができ、これにより、高温環境下においての熱伝導率を更に低下させることができる。
従って、本発明の実施の形態である真空断熱材10によれば、様々な温度環境下において断熱性能を良好なものとすることができる。
図2は、本発明の実施の形態である真空断熱材と、比較例1として発泡状構造体のみで芯材が構成された真空断熱材と、比較例2として粉体状構造体のみで芯材が構成された真空断熱材との各平均温度における熱伝導率を示す図表である。
かかる図2においては、本発明の実施の形態である真空断熱材10を(イ)とし、比較例1の真空断熱材を(ロ)とし、比較例2の真空断熱材を(ハ)として示している。また、平均温度[℃]は、各真空断熱材の厚み方向の中央部分での温度を示している。
この図2から明らかなように、広範囲の温度環境下においては、実施の形態である真空断熱材10の熱伝導率が最も低く、断熱性能が良好であることが明らかである。
図3は、本発明の実施の形態である真空断熱材が適用された自動販売機を概念的に示す概念図である。ここで例示する自動販売機は、例えば缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を冷却、若しくは加熱した状態で販売するもので、自動販売機本体40、外扉60及び内扉70を備えている。
自動販売機本体40は、図4に示すように、複数の金属板を適宜組み合わせることによって構成されたものであり、前面が開口した箱状に構成されている。より具体的には、上壁41、一対の側壁42、底壁43、背壁44が接合されることによって自動販売機本体40が構成されている。一対の側壁42は、それぞれ底壁43よりも下方に延在しており、互いの間に台座壁45が接合されている。
自動販売機本体40には、その内部に断熱構造の商品収容室50が設けられている。本実施の形態では、図4に示すように、上壁41、一対の側壁42、底壁43、背壁44の内壁面にそれぞれ予め板状に成形した断熱ボード51が配設されることにより、これら断熱ボード51によって囲まれる空間に商品収容室50が構成されている。そして、商品収容室50に対して前方側より例えば2つの断熱仕切板52が挿入されることで、自動販売機本体40の内部に3つの独立した商品収容庫53が左右に並んだ態様で設けられている。
図5は、図3に示した自動販売機本体の内部における1つの商品収容庫の内部構造を示す断面側面図である。この図5では、最も左側にある商品収容庫(以下、左庫ともいう)53の内部構造について示すが、中央の商品収容庫(以下、中庫ともいう)53及び右側の商品収容庫(以下、右庫ともいう)53の内部構造も左庫53と略同じような構成を有している。尚、本明細書における左側とは、自動販売機を正面側から見た場合の左方を示し、右側とは、自動販売機を正面側から見た場合の右方を示す。
左庫53の内部には、搬出シュータ54が設けられており、この搬出シュータ54よりも下方となる領域(以下、「熱交換領域」ともいう)に温度調節ユニット55が配設されている一方、搬出シュータ54よりも上方となる領域(以下、「商品収納領域」ともいう)に商品収納ラック58が配設されている。
搬出シュータ54は、商品収納ラック58から払い出された商品を内扉70(下部内扉70a)の商品搬出口73に案内するためのプレート状部材であり、前方側に向けて漸次下方に傾斜する態様で配設されている。この搬出シュータ54には、熱交換領域と商品収納領域との間を連通させる通気孔が多数穿設してある。
温度調節ユニット55は、左庫53の内部雰囲気を所望の温度状態に維持するためのもので、蒸発器55a、電熱ヒータ55b及び庫内送風ファン55cを備えて構成されている。
蒸発器55aは、圧縮機561、凝縮器562及び膨張弁563と冷媒配管57にて接続されて冷凍サイクルを構成するものであり、自身の流路を通過する冷媒が蒸発することで周囲空気を冷却するものである。ここで、圧縮機561、凝縮器562及び膨張弁563は、自動販売機本体40の内部であって商品収容室50の下方に区画された機械室46に配設されている。
電熱ヒータ55bは、蒸発器55aの前方域に配設されており、通電状態となることにより自身の周囲空気を加熱する加熱源である。庫内送風ファン55cは、左庫(商品収容庫)53の内部空気を循環させるための送風手段である。
このような温度調節ユニット55においては、例えば冷凍サイクルを運転した状態で庫内送風ファン55cを駆動すると、蒸発器55aにおいて冷却された空気が搬出シュータ54の通気孔を通じて上方に送給されるため、商品収納ラック(商品収納領域)58を低温状態に維持することができる。一方、電熱ヒータ55bに通電した状態で庫内送風ファン55cを駆動すると、電熱ヒータ55bによって加熱された空気が搬出シュータ54の通気孔を通じて上方に送給されるため、商品収納ラック(商品収納領域)58を高温状態に維持することができる。
外扉60は、自動販売機本体40の前面開口を覆うためのもので、自動販売機本体40の左側縁部に開閉移動可能に配設されている。外扉60の前面には、商品を販売する際に必要となるディスプレイウィンドウ、商品選択ボタン、紙幣挿通口、硬貨投入口、返却レバー、金額表示器、硬貨返却口が設けられているとともに(いずれも図示せず)、商品取出口61が設けられている。
また、この外扉60には商品取出部62が設けられている。商品取出部62は、商品収容庫53における商品収納ラック58から払い出されて内扉70の後述する商品搬出口73を通過した商品を収容し、かつ商品取出口61を通じて該商品を取出可能にするものである。
内扉70は、商品収容庫53(商品収容室50)の前面を覆うための断熱扉で、外扉60よりも内方となる位置において自動販売機本体40の一側縁部に開閉可能に配設されている。この内扉70は、上下に分割された構造を有しており、商品収容庫53(商品収容室50)の前面開口の下部側を覆う下部内扉70aと、商品収容庫53(商品収容室50)の前面開口の上部側を覆う上部内扉70bとから構成されている。
下部内扉70aは、図3及び図5に示すように、各商品収容庫53に対応した部位に商品搬出扉74を備えた商品搬出口73が形成されており、商品収納ラック58から商品が搬出シュータ54に払い出された場合に、商品搬出口73を通じて商品を商品取出部62に搬出することが可能である。
上部内扉70bは、外扉60の内方となる位置において自動販売機本体40の一側縁部に開閉可能に配設されており、支持部材80を介して外扉60の裏面に取付支持されている。この上部内扉70bは、外扉60とともに開閉移動するものである。
上記自動販売機本体40における各断熱ボード51、断熱仕切板52及び内扉70により断熱容器が形成されており、断熱仕切板52は、本発明の実施の形態である真空断熱材10により構成されている。より詳細には、右庫53が商品を冷却する冷却庫として用いられ、かつ左庫53及び中庫53が商品を加熱する加熱庫として用いられる場合、中庫53と右庫53とを区画する断熱仕切板52に上記真空断熱材10が用いられている。この場合、真空断熱材10は、図6に示すように、発泡体構造層111が右庫側、かつ粉体構造層112が中庫側となる態様で、すなわち発泡体構造層111が低温側、かつ粉体構造層112が高温側となる態様で配設されている。
このように真空断熱材10が、発泡体構造層111が低温側、かつ粉体構造層112が高温側となる態様で配設されることにより、低温環境下において優れた断熱特性を有する発泡体構造層111を低温側にし、かつ高温環境下において優れた断熱特性を有する粉体構造層112を高温側に配置することができ、断熱効果をより向上させることができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく種々の変更を行うことができる。
上述した実施の形態では、芯材11が発泡体構造層111と粉体構造層112とを積層した2層構造として説明したが、本発明においては、これら発泡体構造層111及び粉体構造層112以外に必要に応じて他の層を積層して構成しても構わない。
上述した実施の形態では、その適用例として自動販売機の断熱仕切板52を示したが、本発明においては、自動販売機に限られず、例えば冷凍収容庫等を断熱容器として適用しても良い。
10 真空断熱材
11 芯材
111 発泡体構造層
112 粉体構造層
12 外被材
121 ヒレ部分
11 芯材
111 発泡体構造層
112 粉体構造層
12 外被材
121 ヒレ部分
Claims (3)
- 略平板状の芯材と、
前記芯材を被包する外被材と
を備え、
前記外被材の内部を減圧することにより形成された真空断熱材において、
前記芯材は、
有機材料からなる発泡状構造体を有する発泡体構造層と、
粘土鉱物からなる粉体状構造体の集合物である粉体構造層と
を少なくとも積層して構成されたことを特徴とする真空断熱材。 - 前記粉体状構造体は、その集合物が多孔質構造を有することを特徴とする請求項1に記載の真空断熱材。
- 請求項1又は請求項2に記載の真空断熱材が適宜配設されることによって構成された断熱容器において、
前記真空断熱材は、前記発泡体構造層が低温側、かつ前記粉体構造層が高温側となる態様で配設されたことを特徴とする断熱容器。
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