(実施の形態1)
以下、本発明の好ましい実施の形態として実施形態1に係る駐車システム100を、図面を参照して説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は対応する構成部材には同一の参照符号を付して、その説明については省略する。なお、本実施形態1では、格納スペースの所望の載置領域に載置させる車両として自動車を例に挙げて説明するが、車両は自動車に限定されるものではなく、荷役車両、軽車両、または原動機付き自転車などであってもよい。
駐車システム100は、パレットレスな格納スペース5における所望の載置領域7に自動車V(車両)を搬送することができる機械式駐車装置である。特に、駐車システム100は、いわゆる平面往復式の機械式駐車装置である。以下において、図1を参照して本実施形態1に係る駐車システム100の概略構成について説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る駐車システム100の要部構成を模式的に示す図である。
(駐車システムの概略構成)
図1に示すように駐車システム100は、出入庫室1に入庫した自動車Vを地下の所定階まで昇降装置2により降下させる。そして、この降下させた自動車Vを地下に形成された格納スペース5における所望の載置領域7に、搬器3により移動させることができる。地下の各階には、自動車Vを駐車させるための空間である格納スペース5が、搬器3を移動させるための走行レーン4を挟み込むように形成されている。また搬器3は、走行レーン4における所定位置で停止すると、載置領域7との間で自動車Vの搬出および搬入を行う。この自動車の搬出入に関する搬器3の詳細な構成については後述する。なお、図1では1階層しか示していないが、地下に複数階層を設け、各階層それぞれに格納スペース5が形成されていてもよい。
また、出入庫室1内には、入庫した自動車Vの位置を計測するための側位置センサ11および車輪位置検知センサ12が設けられている。駐車システム100では、これら側位置センサ11および車輪位置検知センサ12による計測結果に基づき出入庫室1内における自動車Vの駐車位置を把握することができる。
(搬器の構成)
次に、図2〜図4を参照して、駐車システム100が備える搬器3の構成について詳細に説明する。なお、本実施の形態では、搬器3として水平方向に移動するものを例に挙げて説明する。
図2に示すように、搬器3は、搬送部である搬送台車31と、搬出入装置32とを備えてなる構成である。搬送台車31および搬出入装置32は搬器主制御部(制御部)70からの制御指示に応じて動作するように構成されている。図2は、図1に示す駐車システム100が備える搬器3の使用態様の一例を示す図である。図2では、搬出入装置32が搬送台車31から載置領域7に載置されている自動車Vまで延びた状態の一例を示している。
搬送台車31は、地下に設けられた走行レーン4を移動し、自動車Vを所定位置まで移動させるものである。なお、図2では、搬送台車31の駆動系については省略して図示している。走行レーン4において搬送台車31が停止できる所定位置には不図示のドグがそれぞれ設けられており、搬送台車31に搭載された不図示のセンサが指定されたドグを検知することで搬送台車31をこの指定された位置に停止させることができる。なお、ドグは、走行レーン4の側部に設けられた突起物で実現でき、例えば、金属板を矩形状に折り曲げて形成することができる。
また、搬送台車31における自動車Vの搬出入側端部(自動車Vの進行方向側の端部)には、搬器3からの自動車Vのはみ出しの有無を検知するための車両検知センサ20がそれぞれ設けられている。この車両検知センサ20は、図1に示すように、レーザー光を発光させる発光部20aと、該発光部20aと対向する位置に配置され、この発光部20aで発光されたレーザー光を受光する受光部20bとから構成されている。そして、車両検知センサ20では、受光部20bが受光すべきレーザー光が遮られたか否かにより搬器3からの自動車Vのはみ出しの有無を判定することができる。また、この車両検知センサ20により搬送台車31の一方の搬出入側端部を自動車Vが通過したタイミングを知ることもできる。なお、車両検知センサ20は、自動車Vにより発光部20aで発光されたレーザー光が遮られていない場合ではOFF状態であり、レーザー光が遮られるとON状態に状態が遷移するように構成されている。また、車両検知センサ20は、レーザー光を発光する発光部20aと、このレーザー光を受光する受光部20bとから構成されているがこれに限定されるものではなく検知方式は任意である。例えば、発光部20aはレーザー光の代わりに赤外線を発光し、受光部20bでこの赤外線を受光する構成であってもよい。あるいは、発光部20aおよび受光部20bの代わりに撮像部を設け、撮像部によって撮像された映像から画像処理により車両の有無を検知する構成であってもよい。
搬出入装置32は、搬送台車31と昇降装置2との間または搬送台車31と格納スペース5における載置領域7との間で自動車Vを移動させるものである。搬出入装置32は、搬送台車31上に設けられており、この搬送台車31上から自動車Vの進行方向の前後に移動して、例えば、昇降装置2または載置領域7に載置されている自動車Vの車体下部に出し入れ可能となっている。図2に示すように、搬出入装置32は第1フォーク33、第2フォーク34、固定保持部(保持部)35、および可動保持部(保持部)36を備える。
第1フォーク33および第2フォーク34は、平面形状が矩形となる板状部材であり、それぞれの長手方向が自動車Vの進行方向と一致するように搬送台車31上に配置されている。搬送台車31上では第2フォーク34、第1フォーク33の順に下から配置されている。搬器3は、後述する搬器主制御部70からの制御指示の下、フォーク駆動部37が動作し、搬送台車31から第1フォーク33および第2フォーク34を伸ばしたり、伸びた第1フォーク33および第2フォーク34を縮ませたりする、いわゆるテレスコーピング構造となっている。
具体的には、図3に示すように搬送台車31、第2フォーク34、および第1フォーク33間それぞれにはチェーンが架け渡されている。そして、フォーク駆動部37が有する駆動モーター38の回転速度および回転方向の変化によりチェーンを引っ張る速度および方向を変化させ、第1フォーク33および第2フォーク34を搬送台車31上から伸ばしたり、あるいは伸びた第1フォーク33および第2フォーク34を縮めたりすることができる。また、第1フォーク33および第2フォーク34の伸縮速度を変化させることもできる。図3は図2に示す搬器3の要部構成を模式的に示す図である。図2では搬送台車31、第1フォーク33、および第2フォーク34の連結構造を模式的に表している。
図3に示すように、まず、紐状の第1チェーン92の各端部が、第2フォーク34における長手方向の両端部(紙面における左右の端部)で固定されており、クロスして搬送台車31における長手方向の両端部に設けられた第1回転体90および駆動モーター38にかけるように配置されている。さらに、搬送台車31、第2フォーク34、および第1フォーク33の間を左右対称に紐状の第2チェーン93および第3チェーン94が架け渡されている。第2チェーン93または第3チェーン94は、搬送台車31の長手方向における一方の端部近傍に一端が固定され、第2フォーク34の長手方向における他方の端部近傍に設けられた第2回転体91aまたは91bを介して、第1フォーク33の長手方向の一方の端部近傍に一端が固定されるように配置されている。
このように第1〜第3チェーン92〜94が配置された状態で駆動モーター38が図3において時計周りに回転すると搬送台車31上から第2フォーク34が紙面右手側に突出し、さらにこの第2フォーク34上から第1フォーク33が紙面右手側に突出することで搬出入装置32は図2に示すように、格納スペース5側に延びることができる。また、この伸びた状態から駆動モーター38が逆回転すると搬送台車31上に第2フォーク34および第1フォーク33がそれぞれ戻り、配置される。さらに、駆動モーター38の逆回転動作を維持すると、走行レーン4を挟んで反対側の格納スペース5における載置領域7に向けて搬出入装置32を伸ばすことができる。
また、上記したように搬出入装置32を搬送台車31から載置領域7へ延伸させたり、載置領域7から搬送台車31側へ伸縮させたりするために回転する駆動モーター38にはエンコーダー(移動距離測定部)39(後述の図5参照)が備えられている。
駆動モーター38の回転数と搬出入装置32の移動距離との間は比例関係にある。そこで、このエンコーダー39は、駆動モーター38の回転数を計測し、この回転数から搬出入装置32の移動距離を求めることができる。なお、このエンコーダー39の代わりに第1フォーク33と第2フォーク34との間の相対的な移動距離を計測するエンコーダー(リニアエンコーダー)あるいは、第2フォーク34と搬送台車31との間の相対的な移動距離を計測するエンコーダー(リニアエンコーダー)を備え、搬出入装置32の移動距離を求める構成としてもよい。すなわち、搬出入装置32では、第1フォーク33と第2フォーク34との間の相対的な移動距離は、第2フォーク34と搬送台車31との間の相対的な移動距離の2倍となるという関係がある。このため、第1フォーク33と第2フォーク34との間の相対的な移動距離、あるいは第2フォーク34と搬送台車31との間の相対的な移動距離いずれか一方を求めることができれば、他方の移動距離も求めることができ、搬出入装置32全体での移動距離を求めることができる。なお、エンコーダー39またはリニアエンコーダーは一般的な光学式エンコーダーにより実現できるためその計測メカニズムについては説明を省略する。
また、第1フォーク33には、自動車Vの前後方向における一方の端部側の左右の車輪をそれぞれ保持する固定保持部35と、他方の端部側の左右の車輪をそれぞれ保持する可動保持部36とが搭載されている。固定保持部35は、第1フォーク33に固定されており、この第1フォーク33と一体的に移動する。一方、可動保持部36は、第1フォーク33において固定保持部35に対して相対的に移動するように構成されている。なお、本明細書では説明の便宜上、固定保持部35によって自動車Vの左右の後輪TRを保持し、可動保持部36によって左右の前輪TFを保持するものとする。しかしながら、固定保持部35によって前輪TFを、可動保持部36によって後輪TRを保持する構成であってもよい。すなわち、搬出入装置32の移動方向と自動車Vの載置領域7における載置方向との組合せにより固定保持部35および可動保持部36それぞれで保持する車輪の組合せが変わることが自明であろう。
具体的には、図4に示すように、第1フォーク33は、自動車Vの左右の後輪TRを保持するための固定保持部35と、左右の前輪TFを保持するための可動保持部36とを備えている。なお、図4は、図2に示す搬器3の第1フォーク33部分の構造を示す平面図である。
固定保持部35は、第1車輪検知センサ43、および左右の後輪TRそれぞれに対応するように設けられた1対の第1アーム部52を有する。一方、可動保持部36は、第2車輪検知センサ44、および左右の前輪TFそれぞれに対応するように設けられた1対の第2アーム部53を有している。本実施形態では、第1車輪検知センサ43は、固定保持部35における、自動車Vの右側車輪近傍に設けられ、第2車輪検知センサ44は、可動保持部36における、自動車Vの左側車輪近傍にそれぞれ設けられている。これら第1車輪検知センサ43および第2車輪検知センサ4は、自動車Vの両側にそれぞれ設けられてもよいし、一方の同じ側にそれぞれ設けられてもよい。
第1車輪検知センサ43および第2車輪検知センサ44は、固定保持部35および可動保持部36における所定高さ位置(例えば、固定保持部35および可動保持部36の底面から約5cmの高さ位置)に設けられている。そして、第1車輪検知センサ43および第2車輪検知センサ44は、照射したレーザー光の反射の有無により車輪の有無を検出することができるように構成されている。
また、可動保持部36を固定保持部35に対して相対的に移動することができるように保持部駆動部40を備える(図3参照)。保持部駆動部40は、保持部駆動モーター41を有しており、この保持部駆動モーター41の回転に応じて可動保持部36が固定保持部35に対して相対的に移動することができる。このため、可動保持部36を移動させることで自動車Vのホイールベース(WB)のサイズに合わせて第1アーム部52と第2アーム部53とを配置させることができる。なお、保持部駆動モーター41の回転動作は、搬器主制御部70からの指示に応じて制御されている(後述の図5参照)。
ここで、固定保持部35が有する第1アーム部52および可動保持部36が有する第2アーム部53は同様の構成であるため、以下では第1アーム部52を例に挙げてその構成について説明する。
第1アーム部52は、一対の円柱形状の棒状部材54と、各棒状部材54を水平方向に回動自在となるように固定保持部35に接合させる一対の接合部56を有する。各棒状部材54の先端部には接合部56を中心に回転できるようにアーム部用車輪55が備えられている。
より具体的には固定保持部35において第1アーム部52により車輪を保持しない状態では、一対の棒状部材54は、第1フォーク33の長手方向に沿って互いに逆向きに延伸するように配置される(開状態)。一方、車輪を保持する場合、一対の棒状部材54はこの第1フォーク33の長手方向に対して垂直をなし、かつ互いに平行となるように配置される(閉状態)。すなわち、一対の棒状部材54は、第1フォーク33の長手方向に沿った位置と、この長手方向に対して垂直をなす位置との間で各接合部56を中心に回転することができる。
また、円柱形状を有する棒状部材54自身も、その中心軸を中心に回動自在に設けられている。それゆえ、一対の棒状部材54によって車輪を挟み込む際、この車輪との間で生じる摩擦力で、車輪の右側の棒状部材が時計周りに、車輪の左側の棒状部材が反時計周りに回転する。これにより、一対の棒状部材54が第1フォークの長手方向に延伸している状態から、この長手方向に対して略垂直となる位置へと移動することで、車輪を挟み込み、一対の棒状部材54上に車輪を乗り上げさせて支持することができる。
また、可動保持部36は、上記したように保持部駆動部40が有する保持部駆動モーター41の回転に応じて固定保持部35に対して第1フォーク33の長手方向の前後に移動することができるように構成されている。この保持部駆動モーター41には保持部エンコーダー42(後述する図5参照)が備えられており、この保持部エンコーダー42によって保持部駆動モーター41の回転数を計測し、この回転数から可動保持部36の移動距離を求めることができる。
なお、本実施形態では、固定保持部35は第1フォーク33で固定され可動保持部36のみが第1フォーク33上で固定保持部35に対して相対的に移動する構成であったがこれに限定されるものではない。固定保持部35に代えて可動保持部36を備え、第1フォーク33上に可動保持部36を2つ設けた構成としてもよい。また、可動保持部36の移動距離(移動量)は、保持部エンコーダー42が保持部駆動モーター41の回転数を計測し、求める構成であった。しかしながら、上記したエンコーダー39と同様に、保持部エンコーダー42の代わりにリニアエンコーダーを備え、可動保持部36の第1フォーク上における移動距離(移動量)を計測する構成であってもよい。
(搬器による自動車の搬送)
次に、図2を再度、参照して上記した構成を有する搬器3による自動車Vの搬送について説明する。
搬器3は走行レーン4に沿って移動し、走行レーン4中の所定位置で停止できるように構成されている。そして、搬器3の停止状態時に、搬出入装置32により自動車Vを搬送台車31と載置領域7との間で搬出入する。
例えば、搬出入装置32が載置領域7に載置されている自動車Vを搬送台車31側に移動させる(引き込む)場合、搬器3が走行レーン4を移動し、自動車Vの前方で停止する。このとき固定保持部35の第1アーム部52および可動保持部36の第2アーム部53それぞれにおける一対の棒状部材54は開状態にあり、第1フォーク33の長手方向に沿って一直線上に並んでいる。
次に、図2に示すように、搬出入装置32を搬送台車31から格納スペース5側に移動させる。搬出入装置32は自動車Vの下にもぐりこみ、第1アーム部52が左右の後輪TRの内側に、第2アーム部53が左右の前輪TFの内側にそれぞれ配置される。この状態で、一対の棒状部材54が水平方向に回転して互いに平行に並ぶ閉状態になるまで移動する。これによって第1アーム部52および第2アーム部53それぞれは、一対の棒状部材54によって対応する後輪TR,前輪TFを前後から挟み込み、後輪TR,前輪TFを載置領域7から持ち上げることができる。
このようにして第1アーム部52および第2アーム部53により自動車Vを持ち上げて、支持すると、今度は、搬出入装置32を載置領域7から搬送台車31まで移動させる。これにより、自動車Vは搬器3に載せられた状態となる。そして、搬器3上で後輪TR,前輪TFが第1アーム部52、第2アーム部53それぞれによって挟持されたまま、搬器3は走行レーン4を移動する。そして搬器3が新たな停止位置に停止すると、今度は、上記手順とは逆の手順によって、自動車Vを搬器3から新たな載置領域7に移動させる。
なお、駐車システム100は、上記したように出入庫室1と格納階との間で自動車Vを搬送する昇降装置2を備える。出入庫室1において入庫した自動車Vは、そこで待機している昇降装置2に乗り込む。その後、昇降装置2は自動車Vを載せたまま格納階に移動する。そして格納階に到着した昇降装置2の位置に搬器3が移動し、昇降装置2との間で自動車Vの搬出入を行う。すなわち、搬器3は、自動車Vを載置領域7に払い出したり、載置領域7から引き込んだりする場合だけではなく、昇降装置2内から自動車Vを引き込んだり昇降装置2内に自動車Vを払い出したりするときにも使用することができる。
(寸法情報取得処理)
次に、上記した構成を有する搬器3により格納スペース5の載置領域7に載置する自動車Vの寸法情報の取得処理について説明する。まず、図5を参照して、寸法情報取得処理に関する構成について説明する。図5は、本発明の実施形態1に係る駐車システム100における寸法情報取得処理に関する要部構成を示すブロック図である。なお、このブロック図における各部の配置は一例であって、これに限定されるものではない。例えば、搬器主制御部70を、搬器32外に別途設け、搬器主制御部70と搬器32とが通信可能に接続された構成としてもよい。
駐車システム100は、図5に示すように、上記した搬器3に加え、記憶装置6、および出入庫室1内に入庫時寸法演算部10を備えている。駐車システム100では、自動車Vの入庫時に、入庫時寸法演算部10により自動車Vの寸法に関する情報である入庫時車両寸法情報61を求める。すなわち、上記したように出入庫室1には側位置センサ11および車輪位置検知センサ12が備えられており、これらのセンサによる検知結果から入庫時寸法演算部10が入庫時車両寸法情報61を求める。入庫時寸法演算部10によって求められた入庫時車両寸法情報61は記憶装置6に格納され、搬器3による自動車Vの搬送に利用されるように構成されている。なお、入庫時車両寸法情報61としては、例えば、自動車Vの全長、ホイールベース(WB)の長さ、フロントオーバーハング(FOH)、リアオーバーハング(ROH)の長さ、所定高さ位置における車輪の前後端間隔、ならびに車輪の中心位置(前後端間隔の中点)などを挙げることができる。
通常は、この記憶装置6に記憶された入庫時車両寸法情報61を参照して、搬出入装置32は、搬送台車31と昇降装置2との間、あるいは搬送台車31と載置領域7との間で自動車Vの搬出入を実行する。しかしながら、この記憶装置6に格納された入庫時車両寸法情報61のデータが欠損したり壊れたりする場合がある。このように入庫時車両寸法情報61のデータが欠損したり壊れたりした場合、駐車システム100では、搬出入装置32が昇降装置2から搬送台車31に、あるいは載置領域7から搬送台車31に自動車Vを引き込む際に、別途、車両寸法情報72を求めることができるように構成されている。車両寸法情報72としては、入庫時車両寸法情報61と同様に、例えば、自動車Vの全長、ホイールベース(WB)の長さ、フロントオーバーハング(FOH)、リアオーバーハング(ROH)の長さ、所定高さ位置における車輪の前後端間隔、ならびに車輪の中心位置(前後端間隔の中点)などを挙げることができる。
つまり、搬器3は、上記した構成に加え、搬器主制御部70が寸法演算部71を有し、この寸法演算部71がエンコーダー39、車両検知センサ20、および第2車輪検知センサ44から取得した検知結果に基づき車両寸法情報72を求める。そして、機器主制御部70は、この求めた車両寸法情報72を自身が備えるメモリ等に記憶する。
なお、車両検知センサ20による検知結果は、車両検知センサ20の前を自動車Vが通過している間はON状態となり、自動車が存在しない場合はOFF状態となる。一方、第2車輪検知センサ44の検知結果は、第2車輪検知センサ44の前に車輪が存在している間はON状態となり、車輪が存在しない場合はOFF状態となる。
具体的には、以下のようにして車両寸法情報72を求める。なお、ここでは、図4に示すように、第1車輪検知センサ43および第2車輪検知センサ44それぞれは、第1アーム部52および第2アーム部53それぞれにおける一対の棒状部材54間の中点位置に配置されているものとして説明する。
すなわち、図6に示すように、搬出入装置32が、搬送台車31から自動車Vに向かって伸びて、第2車輪検知センサ44が後輪TRの車両後方側端部に達するとON状態となる。基準位置(第1基準位置)からこのON状態に至るときまでの搬出入装置32(すなわち、第2車輪検知センサ44)の移動距離を、寸法演算部71は、基準位置からこのON状態を検知するまでの期間におけるエンコーダー39の計測結果から求めることができる。なお、図6では、このときの搬出入装置32の移動距離を移動量aとして示す。図6は、自動車と搬出入装置32との位置関係と第2車輪検知センサ44の検知結果の対応関係を示す図である。
なお、図6では、説明の便宜上、第2車輪検知センサ44が車両検知センサ20を経過した位置を基準位置(第1基準位置)として示しているが、基準位置はこれに限定されるものではない。すなわち、この基準位置は、搬出入装置32の移動距離を測定するにあたりその測定開始位置の基準とする位置である。例えば、車輪検知センサ44による検知結果から搬出入装置32の移動距離を計測する場合、この基準位置は、移動開始前の搬出入装置32における車輪検知センサ44の位置となる。一方、搬送台車31の搬出入側端部から車輪までの距離を求める場合は、第1基準位置は、搬送台車31の搬出入側端部位置となる。基準位置は、移動距離を求める際に利用するセンサと、求めるべき移動距離の区間とに応じて適宜変更することができる。
さらに、搬出入装置32が搬送台車31から自動車Vの方へ延びて、第2車輪検知センサ44が後輪TRの車両前方側端部を経過するとOFF状態に変化する。このOFF状態に変化する直前までの搬出入装置32の移動距離を、寸法演算部71は基準位置からこのOFF状態に変化したタイミングを検知するまでの期間におけるエンコーダー39の計測結果から求めることができる。なお、このときの搬出入装置32の移動距離を移動量bとして示す。
このように、寸法演算部71は、基準位置から後輪TRの車両後方側端部までの移動量aと基準位置から後輪TRの車両前方側端部までの移動量bとを得ることができるため、両者の差分から後輪TRの前後端間隔(b−a)およびその中点((b−a)/2)を求めることができる。
さらに、搬出入装置32が搬送台車31から自動車Vの方へ延びて、第2車輪検知センサ44が前輪TFの車両後方側端部に達すると、再度、OFF状態からON状態へと検知結果が変化する。この再度ON状態へと状態が遷移したときの搬出入装置32の移動距離を、寸法演算部71は基準位置からこの再度のON状態への状態変化を検知するまでの期間におけるエンコーダー39の計測結果から求めることができる。なお、図6では、このときの搬出入装置32の移動距離を移動量cとして示す。
また、寸法演算部71は、後輪TRと前輪TFとは同じ外径を有するものとみなしている。そのため、前輪TFの車両後方側端部までの移動量cを求めると、この移動量cに先に求めた後輪TRの前後端間隔の値を足し合わせ、前輪TFの車両前方側端部までの移動距離を求めることができる。また、前輪TFの車両後方側端部までの移動量cに先に求めた後輪TRの前後端間隔の中点の値を足し合わせ、前輪TFの中点までの移動距離を求めることもできる(c+(b−a)/2)。そして、寸法演算部71は、基準位置から前輪TFの中点までの移動距離から、基準位置から後輪TRの中点までの移動距離を差し引き、ホイールベース(WB)の長さを求めることができる。
なお、上記ではエンコーダー39の計測結果のデータのみを利用して車両寸法情報72のうち、車輪の前後端間隔およびその中点位置、ならびにホイールベースの長さを求める構成について説明した。しかしながら、第2車輪検知センサ44は可動保持部36に備えられている。このため、第1フォーク33上における可動保持部36の移動も考慮する必要がある場合は、保持部エンコーダー42により計測した可動保持部36の移動距離に関するデータも利用する必要がある。このような場合では、本発明の移動距離測定部はエンコーダー39と保持部エンコーダー42とにより実現されることとなる。逆に、前輪TFおよび後輪TRを第2車輪検知センサ44により検知する間、可動保持部36が移動しない場合は、保持部エンコーダー42により計測した移動距離に関するデータは不要である。
また、上記では搬出入装置32が搬送台車31から載置領域7に載置された自動車Vに向かって移動する際に、第2車輪検知センサ44の検知結果を利用して車輪の前後端間隔およびその中点位置、ならびにホイールベースの長さを求める構成について説明した。しかしながら、走行レーン4を挟んで上記した移動方向とは逆に搬出入装置32が移動する場合は、今度は可動保持部36よりも固定保持部35の方が移動方向に向かって前側となる。したがって、この場合は、搬出入装置32が搬送台車31から載置領域7に載置された自動車Vに向かって移動する際に、第1車輪検知センサ43の検知結果を利用して車輪の前後端間隔およびその中点位置、ならびにホイールベースの長さを上記と同様にして求めることとなる。したがって、搬出入装置32の移動方向が1方向のみの場合、第1車輪検知センサ43は省略することができることはいうまでもない。
また、本実施の形態に係る搬出入装置32は、上記のように求めた車両寸法情報72に基づき、固定保持部35を後輪TRに位置合わせし、可動保持部36を前輪TFに位置合わせする。そして、固定保持部35および可動保持部36によって自動車Vの車輪を保持することができる。
次に、固定保持部35および可動保持部36によって車輪が保持され、自動車Vが載置領域7から搬送台車31に移動させる際に、寸法演算部71は図7に示すようにして自動車Vの全長を求める。図7は、搬出入装置32上に保持されている車と車両検知センサ20との位置関係を示す図であり、(A)〜(C)の3段階での位置関係を示している。なお、図7では説明の便宜上、載置領域7に載置された自動車Vの前端部位置を基準位置(第2基準位置)として示している。
まず、載置領域7において自動車Vが搬出入装置32上に保持されている状態(図7(A))から搬送台車31側に移動し、自動車Vの後方側の端部が車両検知センサ20の検知位置まで達した状態となるとする(図7(B))。このとき、車両検知センサ20の状態がOFF状態からON状態へと遷移する。
寸法演算部71は、搬出入装置32の移動開始からこの車両検知センサ20がON状態へと変化するタイミングまでの搬出入装置32の移動量dを駆動モーター38に設けられているエンコーダー39の計測結果から求める。このとき求めた移動量dは、載置領域7に載置されていた自動車Vの後方側端部と車両検知センサ20との間の距離となる。
さらに搬出入装置32が搬送台車31に向かって移動し、自動車Vの前方側端部が車両検知センサ20の検知位置の直後まで達した状態となる(図7(C))。このとき車両検知センサ20の状態がON状態からOFF状態へと遷移する。
寸法演算部71は、搬出入装置32の移動開始から車両検知センサ20がOFF状態からON状態となり、再度OFF状態へと変化するタイミングまでの搬出入装置32の移動量eを駆動モーター38に設けられているエンコーダー39の計測結果から求める。このとき求めた移動量eは、載置領域7に載置されていた自動車Vの前方側端部と車両検知センサ20との間の距離となる。
以上のように、自動車Vの後方側端部と車両検知センサ20との間の距離と、自動車Vの前方側端部と車両検知センサ20との間の距離とを求めることができるため、寸法演算部71は、両者の差分(e―d)より自動車Vの全長を求めることができる。
また、ここで、車両検知センサ20の検知位置から自動車Vの前方側端部までの距離がeであり、車両検知センサ20の検知位置から前輪の中心までの距離が(c+(b−a)/2)である。そこで、寸法演算部71は、これらの値の差をとるとFOHの長さを求めることができる。また、自動車Vの全長から先ほど求めたWBの長さとFOHの長さとを差し引くとROHの長さを求めることができる。
以上のようにして、駐車システム100では、機器主制御部70の寸法演算部71が自動車Vに関連する車両寸法情報72を求め、メモリに格納することができる。また、記憶装置6に格納された入庫時車両寸法情報61のデータが破損した場合、機器主制御部70は入庫時車両寸法情報61を車両寸法情報72により更新することができる。
さらに、駐車システム100は、より精度よくWBの長さ等を求めるために、以下のように構成されていてもよい。すなわち、第1アーム部52および第2アーム部53それぞれで車輪を挟みこみ自動車Vを保持するタイミングにおいて、駆動モーター38および保持部駆動モーター41の動作を停止させているブレーキを解放させるように構成されている。これにより、第1フォーク33および第2フォーク34、ならびに可動保持部36が長手方向の前後に自由に移動することができるようになる。
このため、固定保持部35の第1アーム部52の位置が後輪TRの位置に応じた位置となるように、第1フォーク33および第2フォーク34の位置関係を調整することができる。さらに、可動保持部36も固定保持部35に対して、第1フォークの長手方向の前後に自由に移動することができるようになる。このため、第1アーム部52と第2アーム部53の間の長さを、エンコーダー39および保持部エンコーダー42で計測した搬出入装置32の移動距離(移動量)に基づき補正することで自動車VのWBの長さに応じたものとなるように精度よく調整することができる。
なお、駐車システム100では、上記したように、搬出入装置32によって載置領域7または昇降装置2にある自動車Vを搬送台車31上へ移動する際に自動車Vに関する車両寸法情報72を寸法演算部71が求めることができる構成である。このため、上記したように、記憶装置6に格納されている、入庫時車両寸法情報61のデータが壊れてしまったり失われてしまったりした場合であっても車両寸法情報72によって更新することができる。
また、寸法演算部71は、上記のように車両寸法情報72として自動車Vの全長を得ることができる構成である。このため、予め搬送台車31の中心位置(例えば、車両検知センサ20から搬送台車31の中心位置までの距離)に関する情報を保持しておく。そして、自動車Vの全長から自動車Vの中心位置を求める。そして求めた自動車Vの中心位置をこの搬送台車31の中心位置に合わせるように該自動車Vを移動させることができる。
また、寸法演算部71は、ROHを求めることができる。このため、搬出入装置32は、搬器主制御部70からの制御指示の下、このROHに基づき自動車Vの後方側端部が載置領域7を超え搬送台車31側にはみ出ない位置に自動車Vを載置することができる。つまり、搬器3から最短距離となる載置領域7に自動車Vを載置することができる。
なお、上記した構成を有する駐車システム100は、以下の実施例1から3に示すように実施することもできる。以下、実施例1から4についてそれぞれ説明する。
(実施例1)
本実施の形態に係る駐車システム100は、上記したように、通常は、入庫時寸法演算部10により求められた入庫時車両寸法情報61を参照して、機器主制御部70からの制御指示の下、搬出入装置32は搬送台車31から載置領域7に載置されている自動車Vに向かって延伸するように構成されている。つまり、搬送台車31から搬出入装置32の第1フォーク33および第2フォーク34をどれだけ伸ばすか、第1フォーク33上の可動保持部36をどれだけ移動させるかについて、搬出入装置32は、入庫時車両寸法情報61に基づき決定する。
このため、入庫時車両寸法情報61に誤りが含まれており、固定保持部35の第1アーム部52の位置、あるいは可動保持部36の第2アーム部53の位置に対応する車輪が存在しない場合がある。このような場合、上記したように搬出入装置32が自動車Vに向かって移動する際に寸法演算部71で求めた車両寸法情報72に基づき、第1フォーク33、第2フォーク34、または可動保持部36の位置決めを再度行うように構成されていてもよい。
(実施例2)
また、本実施の形態に係る駐車システム100では、上記したように、寸法演算部71によって求めた車両寸法情報72によって入庫時車両寸法情報61を更新することができる構成であった。しかしながら、搬器3は、搬器主制御部70がさらに、機能ブロックとして車両寸法情報比較部(不図示)を備え、この車両寸法情報比較部により入庫時車両寸法情報61と車両寸法情報72とを比較できる構成としてもよい。さらにまた、この車両寸法情報比較部による比較の結果、両者が大きく異なる場合は、出入庫室1に備えられている側位置センサ11および車輪位置検知センサ12に故障が発生していると判断し、故障発生を通知する情報を出力する構成としてもよい。
(実施例3)
また、本実施の形態に係る駐車システム100では、上記したように、入庫時車両寸法情報61のうち自動車の全長を参照して、例えば、搬出入装置32が自動車Vの載置位置を決定することができる構成である。
このような構成において、搬出入装置32は、自動車Vを移動させながら寸法演算部71が車両寸法情報72を求め、この求めた車両寸法情報72に基づき、自動車Vの載置位置を補正する構成とすることもできる。
ここで、搬器3に載置されている自動車Vを載置領域7に移動させる場合を例に挙げて説明する。搬出入装置32は、入庫時車両寸法情報61に含まれる自動車Vの全長から、自動車Vが車両検知センサ20の通過後、この全長または全長にいくらか所定のマージンを含めた距離を移動させた位置を目標載置位置として設定することができる。そして、当初、搬出入装置32は、この目標載置位置に自動車Vを移動させようと動作する。
搬出入装置32により自動車Vの移動が開始すると、車両検知センサ20はOFF状態からON状態へと状態が遷移する。さらに、搬出入装置32により自動車Vが移動すると車両検知センサ20はON状態からOFF状態へと状態が遷移する。この車両検知センサ20のON状態およびOFF状態の切り替えタイミングから上述したように自動車Vの全長を求めることができる。
ここで、搬出入装置32では機器主制御部70が車両検知センサ20の検知結果から求めた全長に基づき、自動車Vの載置位置を特定する。そして、この特定した載置位置と先に求めた目標載置位置とを比較する。そして、両者の比較の結果、異なる場合、目標載置位置を車両検知センサ20の検知結果から求めた載置位置に変更し、自動車Vを移動させるように構成されていてもよい。このように構成されている場合、入庫時車両寸法情報61のデータが誤っているときであっても、車両検知センサ20による検知結果から求めた自動車Vの全長に基づき目標載置位置を補正することができる。
さらに、上記した目標載置位置を補正可能な構成において、車両検知センサ20のチャタリング等により搬送台車31から載置領域7に自動車Vの全体が移動していないにも関わらずON状態からOFF状態への状態遷移を検出してしまう場合がある。この場合、車両検知センサ20による検知結果から求めた自動車Vの全長に基づき目標載置位置を補正すると、誤った位置に自動車Vを載置してしまうこととなる。そこで、搬出入装置32は、所定距離の移動前に車両検知センサ20の検知状態がON状態からOFF状態へと遷移した場合は、目標載置位置の補正を行わないように構成してもよい。なお、この所定距離は、例えば、入庫時車両寸法情報61に含まれる自動車Vの全長とすることができる。
(実施例4)
また、本実施の形態に係る駐車システム100では、上記したように、寸法演算部71によって求めた車両寸法情報72によって入庫時車両寸法情報61を更新することができる構成であった。ここで、例えば、急な停電が生じ、記憶装置6に格納された入庫時車両寸法情報61の全て、あるいは一部が失われる場合がある。このような場合、電源が復旧したら搬器3では保守員からの指令に基づき各載置領域7に載置されている自動車Vの前まで搬送台車31が移動する。そして、搬出入装置32が載置領域7に載置されている自動車Vに向かって移動し、上記したように寸法演算部71が車両寸法情報72を自動的に求め、この求めた車両寸法情報72によって入庫時車両寸法情報61を更新するように構成されていてもよい。
このように構成されている場合、入庫時車両寸法情報61が失われた場合であっても、搬出入装置32が各自動車Vに向かって移動し、各自動車Vについての車両寸法情報72を求めることができる。このため、搬出入装置32は、各自動車Vの車両寸法に応じた位置に固定保持部35および可動保持部36を配置させ車輪を保持することができる。さらにまた車輪を保持した自動車Vを車両寸法に応じた所望の載置領域7における位置または搬器3上の位置に載置させることができる。
なお、上記では本実施の形態に係る駐車システム100として平面往復式の機械式駐車装置を例に挙げて説明したが駐車システム100はこれに限定されるものではなく、エレベータ式またはエレベータスライド式など各種方式の機械式駐車装置とすることができる。また、駐車システム100をエレベータ式の機械式駐車装置とする場合、例えば、搬器3は本発明の搬送部を、上記した搬送台車31の代わりに垂直方向に移動する昇降装置2の昇降台とすることができる。
(実施形態2)
本発明者は、特許文献1および特許文献2に開示された搬器の構成についてさらに鋭意検討したところ、自動車の車輪を保持する保持部を適切な位置に配置するためには、複数の検知センサの結果を用いて行わなければならず、前後の車輪位置に各保持部を円滑に配置することができないという問題に気が付いた。
そこで、本発明者は、車輪検知センサを備えた保持部の構成を鋭意検討したところ、1つの車輪検知センサから得られた検知結果に基づき、該車輪位置に応じた位置に保持部を適切に配置できることを見出した。特に、自動車に向かって前輪用および後輪用の保持部それぞれが移動するとき、その移動において前方側に位置する保持部に車輪検知センサを備え、この保持部の移動量(移動距離)を計測することで、前後の車輪位置を特定し、該車輪位置に応じた位置に保持部を適切に配置することができることを見出した。
具体的には、上記した実施形態1に係る駐車システム100で説明したように、車輪検知センサ(例えば、第1車輪検知センサ43または第2車輪検知センサ44)の検知結果(ON状態またはOFF状態)と、エンコーダー39の計測結果から車輪位置に関する情報を得ることができる。ただし、実施形態1に係る駐車システム100では、第1車輪検知センサ43および第2車輪検知センサ44それぞれは、第1アーム部52および第2アーム部53それぞれにおける一対の棒状部材54間の中点位置に配置されているものとして説明した。なお、第1アーム部における一対の棒状部材54間の中点位置それぞれを結ぶ直線は、固定保持部35の平面形状における中心位置を通るものとする。しかしながら、例えば、図8に示すように、保持部の構造によっては、車輪検知センサを、一対の棒状部材間の中点位置に配置できない場合がある。図8は、比較例に係る保持部の構成の一例を示す図である。
図8に示す比較例に係る保持部が備える一対の接合部256では、一方の接合部256がアイドルギア257を介してラックギア258に噛合され、他方の接合部256がそのままラックギア258に噛合されている。また、ラックギア258がボールねじ259を介して駆動モーター260と連結されており、リニアガイド261に沿って移動するようになっている。このような構成において、ラックギア258の一方向への移動によって一対の棒状部材254を互いに逆向きに回転させる機構となっている。このように一対の接合部256の間にアイドルギア257などの駆動機構が配置された構成の場合、車輪検知センサ243を接合部256間(一対の棒状部材254間)の中点位置に配置することができない。このため、図8に示すように、車輪検知センサ243は、一対の棒状部材254間の中点位置からずれた位置に配置されることとなる。このような構成の場合、車輪検知センサ243の検知結果に基づき、特定した自動車Vの車輪位置に一対の棒状部材254を適切に配置させるためには、このずれについても考慮する必要がある。
そこで、本発明のさらなる実地形態(実施形態2)は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の検知センサによる検知結果を用いることなく円滑に保持部を所定の車輪位置に配置させることができる駐車システムを提供することにある。本発明の実施形態2に係る駐車システムについて、具体的に以下に示す。
以下本発明の実施形態2に係る駐車システム150について、図面を参照しながら説明する。実施形態2に係る駐車システム150では、第1車輪検知センサ43または第2車輪検知センサ44が接合部56間の中点位置からずれている場合であっても、適切な車輪位置に保持部(固定保持部35および可動保持部36)を配置できる構成について説明する。
(駐車システムの概略構成)
実施形態2に係る駐車システム150では、搬出入装置32は、保持部として固定保持部35および可動保持部36を備え、搬出入装置32の第1フォーク33上で両者の相対的な位置関係が変化するようになっている。また、保持部の移動距離を測定する移動距離測定部として、エンコーダー39および保持部エンコーダー42を備えた構成となっている。また、車輪検知センサとして、固定保持部35に対応して設けられた第1車輪検知センサ43と、可動保持部36に対応して設けられた第2車輪検知センサ44とを備えている。
実施形態2に係る駐車システム150は、実施形態1に係る駐車システム100と比較して、固定保持部35における第1車輪検知センサ43の設置位置ならびに可動保持部36における第2車輪検知センサ44の設置位置が異なっている。すなわち、図9に示すように、第1車輪検知センサ43は、一対の棒状部材54間の中点位置(一対の接合部56間の中点位置)から外側(可動保持部36から離れる方向側)に、ずれ量αだけずれた位置に設置されている。同様に第2車輪検知センサ44は、一対の棒状部材54間の中点位置(一対の接合部56間の中点位置)から外側(固定保持部35から離れる方向側)にずれ量βだけずれた位置に設置されている。図9は、本発明の実施形態2に係る駐車システム150が備える搬器3の第1フォーク33部分の構造を示す平面図である。
また、実施形態2に係る駐車システム150は、実施形態1に係る駐車システム100と比較して、図10に示すように搬器主制御部70が不図示のメモリに検知センサ情報73をさらに保持している点で異なる。また、搬送台車31が第1リセット用検知センサ50a、第2リセット用検知センサ50bをさらに備えた点でも異なる。図10は、本発明の実施形態2に係る駐車システム150における保持部位置決定処理に関する要部構成を示すブロック図である。
検知センサ情報73は、移動前の固定保持部35における第1車輪検知センサ43の位置(基準位置Ao)に関する情報ならびに移動前の可動保持部36における第2車輪検知センサ44の位置(基準位置Bo)に関する情報である。具体的には、第1車輪検知センサ43の基準位置Aoに関する情報は、移動前の第1車輪検知センサ43が搬送台車31の平面形状における中心(原点O)から搬出入装置32の移動方向にどのくらい離れているかを示す情報である。一方、第2車輪検知センサ44の基準位置Boに関する情報は、移動前の第2車輪検知センサ44が搬送台車31の原点Oから搬出入装置32の移動方向にどのくらい離れているかを示す情報である。さらに検知センサ情報73は、固定保持部35の一対の棒状部材54間の中点位置O1から第1車輪検知センサ43の基準位置Aoまでのずれ量αに関する情報も含まれている。同様に、検知センサ情報73には、可動保持部36の一対の棒状部材54間の中点位置O2から第2車輪検知センサ44の基準位置Boまでのずれ量βに関する情報も含まれている。
第1リセット用検知センサ50aおよび第2リセット用検知センサ50bは、エンコーダー39および保持部エンコーダー42それぞれで計測されている値をゼロにリセットするために用いる検知センサである。これらの検知センサによる検知位置に、固定保持部35および可動保持部36が位置したとき、搬器主制御部70によってエンコーダー39および保持部エンコーダー42それぞれで計測されている値がゼロにリセットされる。
上記した点を除くと実施形態2に係る駐車システム150は、実施形態1に係る駐車システム100と同様の構成となる。このため、実施形態2に係る駐車システム150において実施形態1に係る駐車システム100と同様の部材には同じ番号を付し、その説明は省略する。
(保持部位置決定処理)
次に、図9に示すように、第1車輪検知センサ43または第2車輪検知センサ44が、一対の棒状部材54間の中点位置からずれた位置に設置されている構成において、保持部を車輪位置に応じた適切な位置に配置する処理(保持部位置決定処理)について説明する。まず、上記した図9、図10に加えて図11を参照して、保持部位置決定処理について説明する。図11は、図9に示す搬器3の第1フォーク33に設けられた固定保持部35の移動の遷移状態を示す模式図である。図11では搬送台車31から載置領域7に載置されている自動車Vへの、固定保持部35の移動について示しており、第1車輪検知センサ43の位置と車輪との位置関係が明確となるように、固定保持部35と、第1車輪検知センサ43と、車輪(前輪TF,後輪TR)とだけを図示している。
また、保持部位置決定処理に関する寸法演算部71による演算方法は、基本的には、実施形態1の寸法情報取得処理で、搬出入装置32を自動車Vに向かって移動させた際に実施した演算方法と同じである。しかしながら、実施形態1に係る駐車システム100では、便宜上、第1車輪検知センサ43または第2車輪検知センサ44の基準位置を車両検知センサ20による検知位置としたが、実施形態2に係る駐車システム150は、移動前の固定保持部35における第1車輪検知センサ43または第2車輪検知センサ44の位置とする点で異なる。つまり、実施形態2に係る駐車システム150では、車両検知センサ20の検知結果が不要となっており、第1車輪検知センサ43による検知結果または第2車輪検知センサ44の検知結果に基づき車輪位置に応じた保持部位置を決定することができる。
ここで、搬出入装置32の移動において固定保持部35が前方側に配置されるように自動車Vに向かって移動する場合について説明する。なお、説明の便宜上、自動車Vは搬出入装置32が配置されている側が車両の前方となるように載置領域7に載置されているものとするが、自動車Vの載置方向はこれに限定されるものではなく、前輪と後輪との位置が逆であってもよい。
まず、搬器主制御部70は、上記したように、検知センサ情報73として、移動前の固定保持部35における第1車輪検知センサ43または移動前の可動保持部36における第2車輪検知センサ44の位置(基準位置A0、B0)に関する情報を保持している。この基準位置に関する情報は、例えば、搬送台車31の中心(原点O)を基準にして、搬出入装置32における第1フォーク33および第2フォーク34の延伸方向に対する距離とすることができる。例えば、図9において原点Oから紙面左側方向が正、右側方向を負としたとき、第1車輪検知センサ43の基準位置A0は正の値で表すことができる。一方、第2車輪検知センサ44の基準位置B0は負の値で表すことができる。
なお、第2車輪検知センサ44の基準位置B0は、必ずしも原点Oからの距離とする必要はなく、例えば、第1車輪検知センサ43の基準位置A0からの距離としてもよい。また、移動前の第1アーム部52および第2アーム部53の第1フォーク33上の位置関係は、前回、移動させた自動車のホイールベースの寸法に依存している。このため、搬器主制御部70は、検知センサ情報73として、基準位置A0、B0の位置情報を保持することができる。
また、検知センサ情報73には、固定保持部35の一対の棒状部材54間の中点位置O1からの、第1車輪検知センサ43のずれ量αに関する情報も含まれている。同様に、検知センサ情報73には、可動保持部36の一対の棒状部材54間の中点位置O2からの、第2車輪検知センサ44のずれ量βに関する情報も含まれている。このような前提において、実施形態2に係る駐車システム150では、以下のようにして車輪位置に応じた保持部位置を決定する。
まず、本発明の第1保持部として例示する固定保持部35に設けられた第1車輪検知センサ43による検知結果に基づく、保持部位置決定処理について説明する。図11に示すように、搬出入装置32が、固定保持部35を可動保持部36よりも移動方向の前方側に配置した状態で搬送台車31から自動車Vに向かって伸びる。そして、固定保持部35に設けられた第1車輪検知センサ43が前輪TFの一方側の端部(車両前方側端部)位置A1に達するとON状態となる。基準位置(第1基準位置)A0からこのON状態に至るときまでの搬出入装置32の移動量、より正確には、搬出入装置32の移動に伴い移動する固定保持部35に設けられた第1車輪検知センサ43の移動量A0A1を、寸法演算部71は、基準位置A0からこのON状態を検知するまでの期間におけるエンコーダー39の計測結果から求めることができる。
さらに、搬出入装置32が搬送台車31から自動車Vの方へ延びて、第1車輪検知センサ43が前輪TFの他方側の端部(車両後方側端部)位置A2を通過するとOFF状態に変化する。このOFF状態に変化する直前までの搬出入装置32の移動量A0A2を、寸法演算部71は基準位置A0からこのOFF状態に変化したタイミングを検知するまでの期間におけるエンコーダー39の計測結果から求めることができる。
このように、寸法演算部71は、基準位置A0から前輪TFの車両前方側端部位置A1までの移動量A0A1と基準位置A0から前輪TFの車両後方側端部位置A2までの移動量A0A2とを得ることができるため、両者の差分から前輪TFの前後端間隔(A0A2−A0A1)およびその中点((A0A2−A0A1)/2)を求めることができる。
さらに、搬出入装置32が搬送台車31から自動車Vの方へ延びて、第1車輪検知センサ43が後輪TRの車両前方側端部A3に達すると、再度、OFF状態からON状態へと検知結果が変化する。このようにON状態へと再度、状態が遷移したときの搬出入装置32の移動量A0A3を、寸法演算部71は基準位置A0からこの再度のON状態を検知するまでの期間におけるエンコーダー39の計測結果から求めることができる。
また、実施形態2に係る駐車システム150では、前輪TFと後輪TRとは、ほぼ同じ外径を有するものとみなしている。そのため、寸法演算部71は、後輪TRの車両前方側端部A3までの移動量を求めると、この移動量A0A3に先に求めた前輪TFの前後端間隔の中点の値を足し合わせ、基準位置A0から後輪TRの中点までの移動量を求めることもできる(A0A3+(A0A2−A0A1)/2)。
ここで、基準位置A0となる第1車輪検知センサ43が設けられている位置は、固定保持部35の中心位置、すなわち、一対の棒状部材54間の中点位置O1からαだけ正の方向にずれた位置となっている。そこで、一対の棒状部材54間の中点位置O1と、後輪TRの中心位置とを位置合わせするためには、このずれ量αについても考慮する必要がある。寸法演算部71は、固定保持部35を後輪TRに対応する位置に配置するために移動させる移動量を、上記で求めた基準位置A0から後輪TRの中点までの移動量にずれ量αを足し合わせることで求めることができる(A0A3+(A0A2−A0A1)/2+α)。
一方、寸法演算部71は、可動保持部36を前輪TFに対応する位置に配置するために移動させる移動量を、以下のように求める。すなわち、図9に示すように、搬送台車31の原点Oから、第1車輪検知センサ43が設けられている基準位置A0までの距離を距離OA0とすると、第2車輪検知センサ44が設けられている基準位置B0までの距離を距離OB0とすることができる。ここで、距離OB0の値は、距離OA0の値を正としたとき、負の値となる。このため、第1車輪検知センサ43と第2車輪検知センサ44との間の距離(A0B0)は、図9の場合はOA0−OB0で求めることができる。
そこで、基準位置A0から前輪TFの中点までの移動量に距離A0B0を足し、さらに、可動保持部36における一対の棒状部材54間の中点位置O2からの第2車輪検知センサ43のずれ量βを考慮する。すなわち、基準位置A0から前輪TFの中点までの移動量((A0A2+A0A1)/2)に、第1車輪検知センサ43と第2車輪検知センサ44との間の距離(OA1−OB1)を足し合わせた値に、負の値となるずれ量βを足す。つまり図9に示す例では、第2車輪検知センサ44は、固定保持部35の一対の棒状部材54間の中点位置O2から負の方向にずれている。このため、上記では、負の値となるずれ量βを足すことで、可動保持部36における一対の棒状部材54間の中点位置O2を、前輪TFの中点に合わせることができる。
なお、ここでは、基準位置A0から前輪TFの中点までの移動量を、移動量A0A2と移動量A0A1との平均値として求めているが、移動量A0A2と移動量A0A1との差分を2で除した値に、移動量A0A1を足して求めることもできる。
また、図9の例では固定保持部35と可動保持部36との相対的な位置関係は、第1車輪検知センサ43と第2車輪検知センサ44との位置関係に基づき規定しているが可動保持部35の中点位置O1と固定保持部36の中点位置O2との相対的な位置関係で規定する構成であってもよい。このように、固定保持部35と可動保持部36との相対的な位置関係を、互いの中点位置間の距離で規定する場合、寸法演算部71は上記したずれ量βを保持して、該ずれ量βを足し合わせる処理が不要となる。また、実施形態1と同様、搬送台車31に対して載置領域が片側(搬出入装置32の繰り出し時移動方向が一方向)のみの場合は、第2車輪検知センサ44自体が不要である。
また、上記した寸法演算部71による演算では、一対の棒状部材54間の中点位置O1または中点位置O2から第1車輪検知センサ43または第2車輪検知センサ44それぞれは一定の距離だけずれた位置に設けられた構成を想定していた。しかし、一対の棒状部材54間の中点位置O1または中点位置O2に第1車輪検知センサ43または第2車輪検知センサ44が設けられている場合、実施形態1に係る駐車システム100で説明したように上記したずれ量αまたはβを考慮する必要がない。
なお、寸法演算部71によって上記した計算により求めた固定保持部35および可動保持部36の移動位置には、固定保持部35および可動保持部36を搬器主制御部70がそれぞれ以下のように制御して移動させる。
すなわち、図11に示す例のように固定保持部35を移動方向の前方側に配置して搬出入装置32が自動車Vに向かって移動する場合、まず、搬器主制御部70は、固定保持部35の中点位置O1が後輪TRの中点と一致する位置まで搬出入装置32を移動させるように制御する。次いで、搬器主制御部70は、可動保持部36の中点位置が前輪TFの中点と一致する位置まで、該可動保持部36を固定保持部35に対して相対的に第1フォーク33上で移動させるように制御する。
一方、可動保持部36を前方側に配置して搬出入装置32が移動する場合、可動保持部36に設けられた第2車輪検知センサ44の検知結果に基づき寸法演算部71が上記した保持部位置決定処理で実施した演算を行い、自動車Vの各車輪位置を特定することができる。そして、この特定した結果に基づき、搬器主制御部70は可動保持部36および固定保持部35をそれぞれ下記のように移動させるように制御する。なお、説明の便宜上、図6に示すように搬器3に近接する側が車両の後方側となるように自動車Vが載置領域7に載置されているものとする。
すなわち、搬器主制御部70は、先行する可動保持部36の位置合わせを行う前に、固定保持部35の中点位置O1が後輪TRの中点と一致する位置まで搬出入装置32を移動させるように制御する。そして、搬器主制御部70は、固定保持部35の中点位置O1が後輪TRの中点と一致する位置で、搬出入装置32の移動を停止させる。次いで、搬器主制御部70は、可動保持部36の中点位置が前輪TFの中点と一致する位置まで、該可動保持部36を第1フォーク33上で固定保持部35に対して相対的に移動させるように制御する。
例えば、自動車Vのホイールベースの寸法が、第2車輪検知センサ44と固定保持部35における一対の棒状部材54の中点位置01との間の距離よりも長い場合、第2車輪検知センサ44が最初の車輪(例えば後輪TR)を検知し、次の車輪(例えば前輪TF)を検知する前に固定保持部35における一対の棒状部材54の中点位置01が後輪TRに達することとなる。このことは、エンコーダー39の計測値と、後輪TRの中点までの移動量を比較監視することで検知することができる。この場合は、搬器主制御部70は、固定保持部35における一対の棒状部材54の中点位置O1と後輪TRの中点とを位置合わせするように搬出入装置32の移動を制御する。そして、搬器主制御部70は、固定保持部35の中点位置O1が後輪TRの中点と一致する位置で搬出入装置32の移動を停止させる。次いで、搬器主制御部70は、第2車輪検知センサ44が前輪TFに到達するまで可動保持部36を移動させる。そして、可動保持部36における一対の棒状部材54の中点位置O2が前輪TFの中点と一致するように、可動保持部36を、第1フォーク33上で固定保持部35に対して相対的に移動させて位置合わせする。
また、自動車Vのホイールベースの寸法が、第2車輪検知センサ44と固定保持部35における一対の棒状部材54の中点位置01との間の距離よりも短い場合、第2車輪検知センサ44が後輪TRを検知し、続いて前輪TFの車両後側端部に達したとき、まだ、固定保持部35における一対の棒状部材54の中点位置01は後輪TRに達していない。この場合、搬器主制御部70は、固定保持部35における一対の棒状部材54の中点位置O1と後輪TRの中点とが一致する位置まで搬出入装置32を移動させるように制御する。そして、搬器主制御部70は、固定保持部35の中点位置O1が後輪TRの中点と一致する位置で搬出入装置32の移動を停止させる。次いで、搬器主制御部70は、可動保持部36における一対の棒状部材54の中点位置O2が前輪TFの中点と一致する位置まで戻るように、可動保持部36を第1フォーク33上で移動させるように制御する。
なお、同型で同寸法の車両のみを載置領域7に載置する構成の場合は、搬出入装置32の移動方向において前方に位置する車輪検知センサの検知結果に基づき、前方に位置する保持部を配置する車輪の位置を特定するだけで、後方に位置する保持部は自動的に車輪位置に応じた位置に配置することができる。このため、このように構成される場合は、可動保持部36が固定保持部35に対して相対的に移動し、車輪位置に応じて位置合わせする必要がない。
(車輪検知センサの設置範囲)
ところで、寸法演算部71による上記した演算により、保持部位置決定処理を実施するにあたり、第1車輪検知センサ43を固定保持部35に設ける好適な位置がある。あるいは、第2車輪検知センサ44を可動保持部36に設ける好適な位置がある。
この好適な位置について、第1車輪検知センサ43を例に挙げて図12を参照して説明する。図12は、実施形態2に係る第1車輪検知センサ43の固定保持部35における設置範囲の一例を示す模式図である。
図12に示すように、固定保持部35において設けられた第1車輪検知センサ43の床面からの高さ位置をHとする。このとき、第1車輪検知センサ43の設置範囲は、一対の棒状部材54により車輪(例えば後輪TR)が挟持された状態で該車輪を検知できる範囲であることが好適である。さらには、第1車輪検知センサ43の設置範囲は、固定保持部35において、この車輪を検知できる範囲に加えて、この範囲よりも搬出入装置32の進行方向に向かって前側の任意の範囲とすることができる。すなわち、図12に示すように固定保持部35において、一対の棒状部材54によって車輪が挟持された状態で、高さHの第1車輪検知センサ43が最初に検知することができる車輪の端部(例えば、車両前方側端部)位置から、搬出入装置32の移動方向における前方の任意の範囲内に、該第1検知センサ43を設置することが好適である。つまり、固定保持部35において一対の棒状部材54が挟持すべき車輪位置に達する前、もしくは達した際には、車輪を第1検知センサ43により検知できていることが好ましい。
(エンコーダーおよび保持部エンコーダーの計測結果の値のリセット)
実施形態2に係る駐車システム150では、第1車輪検知センサ43または第2車輪検知センサ44の検知結果と、搬出入装置32の移動量を計測するエンコーダー39および可動保持部36の移動量を計測する保持部エンコーダー42それぞれの計測結果とから、保持部位置決定処理を実施していた。ところで、停電など不具合が生じたり、搬器3の第1〜第3チェーン92〜94の張りなおしが行われると、エンコーダー39または保持部エンコーダー42の計測結果の値が欠損したり、不正確となってしまったりする場合がある。このように計測結果の値が欠損したり不正確となってしまったりする場合、エンコーダー39または保持部エンコーダー42で計測している値を一旦、例えばゼロにリセットする必要がある。そこで、実施形態2に係る駐車システム150において搬器3は、以下のようにしてエンコーダー39および保持部エンコーダー42の計測結果の値をリセットする。
例えば、第1フォーク33および第2フォーク34が搬送台車31上に重ねられ、搬出入装置32の平面形状が一番小さい寸法形状となったとき、搬器3の平面形状における中心位置である原点Oから例えば1500mm離れた位置に中点位置O1がきたときを固定保持部35の原点位置として定めている。そこで、搬器3には、原点Oから1500mm離れた位置に中点位置O1が来たときにON状態となる第1リセット用検知センサ50aが設けられている。そして、搬出入装置32を移動させて第1リセット用検知センサ50aがON状態となった場所を、固定保持部35の原点位置として、搬器主制御部70はエンコーダー30による計測結果の値をリセットする。
このように搬器3における固定保持部35の原点位置への位置決めがなされ、エンコーダー39の計測結果の値がリセットされると、次に可動保持部36の原点位置への位置決めを行う。具体的には、可動保持部36の原点位置は、固定保持部35との相対的な位置関係から求めるようになっている。そこで、可動保持部36を固定保持部35に向かって移動させ、両者の間隔が所定距離となったか否かを検知する第2リセット用検知センサ50bがさらに設けられる。そして、可動保持部35を移動させて第2リセット用検知センサ50bが可動保持部35との距離が所定距離となったことを検知した際の可動保持部36の位置を可動保持部36の原点位置とする。そして、可動保持部36がその原点位置に配置されたときに、搬器主制御部70は保持部エンコーダー42による計測結果の値をリセットする。
なお、第1、第2リセット用検知センサ50a、50bについては、本実施形態の場合は第1フォーク端部にリミットスイッチ、光学センサ、近接スイッチなどのセンサを設け、第2フォークの端部に該センサに対応するストライカや感応板を設けて、平面形状が一番小さい寸法形状となったことを検出する構成により実現できる。また、他の移動機構を採る場合でも、搬送台車31の上面または保持部にセンサを設け、他方にストライカや感応板を設けて所定位置にきたことを検出するなど周知の構成を採ることができる。
あるいは、以下のようにしてエンコーダー39および保持部エンコーダー42による計測結果の値をリセットする構成としてもよい。すなわち、搬器3の搬送台車31上の所定位置に第1リセット用検知センサ50aを設け、搬出入装置32の移動に伴い固定保持部35を搬送台車31上で移動させる。そして、固定保持部35の中点位置O1がこの第1リセット用検知センサ50aによって検知された位置にて、搬器主制御部70はエンコーダー39による計測結果の値をリセットする。次に、第1フォーク33上で可動保持部36を移動させ、可動保持部36の中点位置O2がこの第1リセット用検知センサ50aによって検知された位置にて、搬器主制御部70は保持部エンコーダー42の計測結果の値をリセットする。
さらには、第1リセット用検知センサ50aを、搬送台車31上の所定位置において固定保持部35の中点位置O1を検知するために設け、第2リセット用検知センサ50bを、搬送台車上の別の所定位置において可動保持部36の中点位置O2を検知するために設けた構成としてもよい。このように構成される場合、搬器主制御部70は、固定保持部35の中点位置O1が第1リセット用検知センサ50aによって検知された位置にてエンコーダー39による計測結果の値をリセットする。また、搬器主制御部70は、可動保持部36の中点位置O2が第2リセット用検知センサ50bによって検知された位置にて保持部エンコーダー42による計測結果の値をリセットする。
なお、以上で述べた「中点位置O1の検知」または「中点位置O2の検知」は必ずしも第1、第2リセット用検知センサ50a、50bを構成する上記したセンサを保持部の中点位置に設けることを意味するものではなく、保持部の中点位置が所定位置に来たことを検出できさえすれば、センサやこれに対応するストライカ及び感応板などの取付位置は任意に定めることができる。
以上のように、実施形態2に係る駐車システム150では、所定位置にて、エンコーダー39および保持部エンコーダー42それぞれの計測結果の値をリセットできるため、計測結果の値が失われたり不正確となったりしても訂正することができる。
なお、実施形態2に係る駐車システム150において搬出入装置32が備える保持部は、この搬出入装置32の第1フォーク33上に固定されている固定保持部35と、固定保持部35に対して相対的に移動可能な可動保持部36とを備えた構成を例に挙げて説明したが、この構成に限定されない。例えば、搬出入装置32が備える2つの保持部を共に可動保持部36としてもよい。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。