JP2015178563A - 熱耐性金属錯体発光体 - Google Patents

熱耐性金属錯体発光体 Download PDF

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JP2015178563A JP2014056463A JP2014056463A JP2015178563A JP 2015178563 A JP2015178563 A JP 2015178563A JP 2014056463 A JP2014056463 A JP 2014056463A JP 2014056463 A JP2014056463 A JP 2014056463A JP 2015178563 A JP2015178563 A JP 2015178563A
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▲祥▼光 舘
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Abstract

【課題】既存のレアメタル等を用いることなく低コストで、優れた発光特性を有し、樹脂混合時に加工性及び均一性を向上させ得る融点を有する熱耐性金属錯体発光体の提供。【解決手段】亜鉛塩、及び式(I)で表される配位子を含むことを特徴とする熱耐性金属錯体発光体。(SpはC1〜4のアルキレン基;Eはメチレン基、エチレン基、O、SeおよびNHから選択、Lは、アルキル基で置換されていてもよいヘテロアリール基、かつ少なくとも1つのLが他の2つのLと異なり;RはC1〜6の炭化水素基)【選択図】図1

Description

本発明は、優れた発光特性を有する熱耐性金属錯体発光体に関する。
現在、様々な発光材料が、それらが有する特異的な性質を利用して、試薬、材料などとして多くの分野で使用され、その用途によって、発光効率、輝度、発光寿命および耐久性のような発光特性がより高いレベルで求められるようにもなっている。
一方、イリジウムなどのレアメタルを用いず、低コストで、固体状態で効率よく発光し、しかも耐熱性を有する金属錯体発光体が開発されている。
例えば、特開2010−174052号公報(特許文献1)、特開2012−229181号公報(特許文献2)および特開2014−19664号公報(特許文献3)に記載の金属錯体発光体が挙げられ、その中でも、特許文献3に記載の亜鉛錯体は、特に発光特性に優れている。
特開2010−174052号公報 特開2012−229181号公報 特開2014−19664号公報
しかしながら、特許文献3に記載の亜鉛錯体は、有機材料でありながら、耐熱性が高く、発光特性に優れているが、比較的高融点の結晶材料である。このため、一般の熱可塑性樹脂と混合して発光性塗料として利用する場合には、溶融加工温度が高くなる、発光体の樹脂中への分散が不均一になり易い、といった問題があった。
そこで、本発明は、既存のレアメタルなどを用いることなく低コストで、優れた発光特性を有し、かつ多様な樹脂と混合して用いる発光性塗料や耐熱性の高い発光樹脂材料として、樹脂混合時に加工性および均一性を向上させ得る融点を有する熱耐性金属錯体発光体を提供することを課題とする。
本発明の発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、亜鉛塩と特定の配位子を含む、従来の金属錯体発光体において、その配位子化合物の置換基を異種の置換基に置き換えること、具体的には、ベンゼン環コアの末端置換基ある3つの含ヘテロ元素芳香環が同種のピリジン誘導体またはイミダゾール誘導体である金属錯体の一部を、異種のピリジン誘導体またはイミダゾール誘導体に置き換えることにより、優れた発光特性と耐熱性を維持しつつ、金属錯体の融点が低下することを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、亜鉛塩、および式(I):
Figure 2015178563
(式中、
Spは、炭素数1〜4のアルキレン基であり、
Eは、メチレン基、エチレン基、O、SeおよびNHからなる群から選択され、
Lは、アルキル基で置換されていてもよいヘテロアリール基であり、かつ少なくとも1つのLが他の2つのLと異なり、
Rは、炭素数1〜6の炭化水素基である)
で表される配位子を含むことを特徴とする熱耐性金属錯体発光体が提供される。
本発明によれば、既存のレアメタルなどを用いることなく低コストで、優れた発光特性を有し、かつ多様な樹脂と混合して用いる発光性塗料や耐熱性の高い発光樹脂材料として、樹脂混合時に加工性および均一性を向上させ得る融点を有する熱耐性金属錯体発光体を提供することができる。
金属錯体の融点の低下には、式(I)の置換基Lの嵩高さ、置換基Lのヘテロ原子(例えば、窒素原子)の周辺に、そのヘテロ原子と亜鉛塩の亜鉛金属との結合を阻害する、置換基Lの原子または分子の有無が関与するものと考えられる。
したがって、本発明の熱耐性金属錯体発光体は、発光性塗料や発光樹脂材料としての応用が広く期待でき、産業上極めて有用である。
また、本発明の熱耐性金属錯体発光体は、次のいずれか1つの要件:
(1)Lが、ピリジル基とメチルピリジル基との組み合わせ、またはピリジル基とN−メチルイミダゾリル基との組み合わせである
(2)Spが、エチレン基である、
(3)Eが、メチレン基およびOからなる群から選択される、
(4)Rが、メチル基、エチル基およびフェニル基からなる群から選択される、
(5)亜鉛塩が、ZnCl2、ZnBr2、Zn(OAc)2およびZn(ClO4)2からなる群から選択される、
(6)金属錯体発光体が、式(II):
1 m2 nX=E’
(式中、
1は、置換基を有していてもよいアリール基であり、
2は、置換基を有していてもよいアルキル基であり、
Xは、P、SおよびCからなる群から選択され、
E’は、O、S、NR’(R’は置換基である)およびなしからなる群から選択され、
mおよびnは、同一または異なって0〜3の整数でありかつm+nが2または3である)
で表される配位性化合物をさらに含む、および
(7)上記の配位性化合物が、トリフェニルホスフィンオキシドである
を満足する場合に、上記の効果をさらに発揮する。
本発明の熱耐性金属錯体発光体の構造変化と融点の相関関係を示す図である。
本発明の熱耐性金属錯体発光体(以下「金属錯体発光体」」ともいう)は、亜鉛塩、および式(I):
Figure 2015178563
(式中、
Spは、炭素数1〜4のアルキレン基であり、
Eは、メチレン基、エチレン基、O、SeおよびNHからなる群から選択され、
Lは、アルキル基で置換されていてもよいヘテロアリール基であり、かつ少なくとも1つのLが他の2つのLと異なり、
Rは、炭素数1〜6の炭化水素基である)
で表される配位子を含むことを特徴とする。
本発明において、金属錯体発光体とは、紫外線のような光線の照射に応答して発光性を示す金属錯体を意味する。具体的には、溶媒の非存在下またはその存在下で紫外線のような光線を照射した際に、それに応答して高発光性を示すような金属錯体を意味する。以下、本発明を詳説する。
<亜鉛塩>
亜鉛塩とは、亜鉛イオンをカチオンとして含む塩を意味する。金属源として亜鉛塩を使用することで、レアメタルを使用した場合と比べて、発光材料を安価でかつ大量に製造することができる。
亜鉛塩に含まれるアニオンとしては、所望の発光特性を得ることができる限り、特に限定されない。具体的には、F-、Cl-、Br-、I-、OH-、CN-、NO3 -、NO2 -、ClO-、ClO2 -、ClO3 -、ClO4 -、MnO4 -、CH3COO-(OAc-)、HCO3 -、CO3 2-、H2PO4-、HPO4 2-、PO4 3-、SO4 2-、HSO4 -、HS-、SCN-、O2 -、S2 -、S23 2-、CF3SO3 -などを挙げることができ、Cl-、Br-、OAc-およびClO4 -が特に好ましい。
よって、亜鉛塩は、ZnCl2、ZnBr2、Zn(OAc)2およびZn(ClO42からなる群から選択されることが好ましい。この場合、より安価で発光特性に優れた発光材料を提供することができる。また、所望の発光特性を得ることができる限り、少量の他の金属塩を含んでいてもよい。
<配位子>
本発明の配位子は、前記のような式(I)を用いて表される。
具体的には、配位子は、ベンゼン環をコアとし、その置換基として−E−Rと−Sp−Lが交互に配置した構造を有する。また、配位子が以下のようなSp、E、LおよびRの組み合わせを有することで、この置換基の配置は、ベンゼン環に対し、3つの−E−Rが環に対して上側に、3つの−Sp−Lが環に対して下側に配置するababab構造(a:above,b:below)の構造をとり、これが特異なネットワーク構造と発光特性の発現に効果がある。このネットワーク構造では発光部位である亜鉛錯体が、固体状態で亜鉛同士のエネルギー遷移が生じない適度な距離に配置されるため、固体状態で優れた発光特性を示すことができる。
具体的には、配位子として、1,3,5−トリエチル−2(6−メチルピリジン−2−イルエチル)−4,6−ビス(ピリジン−2−イルエチル)ベンゼン[PyPico]、1,3,5−トリエチル−2(2−メチルイミダゾール−2−イルエチル)−4,6−ビス(ピリジン−2−イルエチル)ベンゼン[PyImd]、1,3,5−トリエチル−2,4−ビス(6−メチルピリジン−2−イルエチル)−6(ピリジン−2−イルエチル)ベンゼン[PicoPy]、1,3,5−トリエチル−2(2−メチルイミダゾール−2−イルエチル)−4,6−ビス(ピリジン−2−イルエチル)ベンゼン[ImdPy]などが挙げられる。
Spは、炭素数1〜4のアルキレン基である。
Spの炭素数が4を超えると、金属錯体が前記のようなネットワーク構造を形成できず、金属錯体の発光特性が低下することがある。一方、Spの炭素数が2未満では、亜鉛同士のエネルギー遷移が生じ、この場合も金属錯体の発光特性が低下することもある。Spのアルキレン基の炭素数は、2〜4が好ましく、2がより好ましい。
アルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、ブチレン基、テトラメチレン基などが挙げられる。
本発明においては、Spがエチレン基であることが特に好ましい。この場合、より安価で発光特性に優れた発光材料を提供することができる。
Eは、メチレン基、エチレン基、O、SeおよびNHからなる群から選択される。
Eが炭素数3のプロピレン基、トリメチレン基になると、金属錯体が前記のようなネットワーク構造を形成できず、金属錯体の発光特性が低下することがある。
本発明においては、Eがメチレン基およびOからなる群から選択されることがより好ましく、メチレン基が特に好ましい。この場合、より安価で発光特性に優れた発光材料を提供することができる。
Lは、アルキル基で置換されていてもよいヘテロアリール基である。
本発明において、ヘテロアリール基とは、S、NおよびOから選択される1〜4のヘテロ原子を含む、1、2または3環式の芳香族基をいい、発光特性の点で、ヘテロ原子としてはNが特に好ましい。
3つのLはいずれもヘテロアリール基であるため、式(1)の配位子はLを介して亜鉛塩に配位することができ、得られた金属錯体により、より安価で発光特性に優れた発光材料を提供することができる。
ヘテロアリール基としては、例えば、チエニル、ベンズチエニル、フリル、ベンズフリル、ピロリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンズチアゾリル、イソチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、ベンズオキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ベンズトリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニリル、インドリルおよびインダゾリルなどが挙げられる。
アルキル基としては、炭素数は1〜4、好ましくは1〜3の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基が挙げられ、例えば、メチル基、エチル基などが挙げられる。
アルキル基で置換されたヘテロアリール基とは、任意の位置を1以上のアルキル基で置換されたヘテロアリール基を意味し、例えば、メチルピリジン[ピコリン]、N−メチルイミダゾールなどのアルキル置換ヘテロアリールの一価基が挙げられる。
Lは、ピリジル基とメチルピリジル基との組み合わせ、またはピリジル基とN−メチルイミダゾリル基との組み合わせであるのが好ましい。
Rは、炭素数1〜6の炭化水素基である。
Rの炭素数が6を超えると、金属錯体が前記のようなネットワーク構造を形成できず、金属錯体の発光特性が低下することがある。Rの炭化水素基の炭素数は、1がより好ましい。
Rの炭化水素基は、特に限定されず、その内部に環状構造、芳香族、不飽和結合を有していてもよいが、メチル基、エチル基およびフェニル基からなる群から選択されることが好ましい。この場合、より安価で発光特性に優れた発光材料を提供することができる。
また、所望の発光特性を得ることができる限り、Sp、EおよびRは、直鎖状であってよく、分枝鎖状であってよいが、より高い発光特性を期待することができるため、これらは直鎖状であることが好ましい。同様に、これらの基はその他の置換基を含んでいてもよい。
配位子はその内部にSp、EおよびRをそれぞれ3つ有するが、それらは、所望の発光特性を有することができる限り、同一であってよく、異なっていてもよいが、それぞれ同一であることが好ましい。この場合、前記のようなネットワーク構造をより容易に構築することができ、また配位子の合成もより容易となる。
他方、亜鉛塩と配位子との間の使用割合は、特に限定はされず、亜鉛塩1モルに対して、通常、配位子0.50〜1.5モル、好ましくは0.66〜1.0モルである。
本発明の金属錯体発光体は、式(II):
1 m2 nX=E’
(式中、
1は、置換基を有していてもよいアリール基であり、
2は、置換基を有していてもよいアルキル基であり、
Xは、P、SおよびCからなる群から選択され、
E’は、O、S、NR’(R’は置換基である)およびなしからなる群から選択され、
mおよびnは、同一または異なって0〜3の整数でありかつm+nが2または3である)
で表される配位性化合物をさらに含むのが好ましい。
式(II)で表される配位性化合物は配位子として存在しても外添されていてもよい。
1のアリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基など炭素数6〜12のアリール基が挙げられ、その置換基の具体例としては、Clなどのハロゲン原子、下記の炭素数1〜4の直鎖および分岐鎖のアルキル基が挙げられる。
2のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基などの炭素数1〜4の直鎖および分岐鎖のアルキル基が挙げられ、その置換基の具体例としては、Clなどのハロゲン原子が挙げられる。
mおよびnは、同一または異なって0〜3の整数でありかつm+nが2または3である。
Xは、P、SおよびCからなる群から選択される。
E’は、O、S、NR’およびなしからなる群から選択され、R’の置換基の具体例としては、H、ハロゲン原子、上記の炭素数1〜4の直鎖および分岐鎖のアルキル基が挙げられる。
本発明において用いることができる、式(II)で表される配位性化合物を含む配位化合物としては、例えば、下式で表される化合物が挙げられ、これらの中でも、トリフェニルホスフィンオキシド(下式、上段左から1番目)、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンジオキシド(下式、上段左から2番目)、ジフェニルスルフィド(下式、上段右から2番目)、ジフェニルスルホキシド(下式、下段左から1番目)およびベンゾフェノン(下式、下段左から3番目)が特に好ましく、トリフェニルホスフィンオキシドがさらに好ましい。
Figure 2015178563
上記の化合物以外にも、配位性化合物としては、例えば、下式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2015178563
式(II)で表される配位性化合物の含有量は、特に限定はされず、亜鉛塩1モルに対して、通常、0.5〜3.0モル、好ましくは0.9〜2.2モルである。
<金属錯体発光体の製造方法>
本発明の金属錯体発光体は、公知の方法により製造することができる。
例えば、金属錯体発光体は、
(a)1,3,5−トリエチルベンゼンと臭化水素酢酸とを反応させる工程、
(b)工程aで得られた1,3,5−トリス(ブロモメチル)−2,4,6−トリエチルベンゼンと、ヘテロアリール化合物とを反応させることで配位子を得る工程、および
(c)亜鉛塩を含む溶液に工程bで得られた配位子を含む溶液を添加することで金属錯体発光体を得る工程
を含む製造方法により得ることができる。
また、式(II)で表される配位性化合物をさらに含む金属錯体発光体は、
(d)工程cで得られた金属錯体発光体および式(II)で表される配位性化合物を反応させる工程により得ることができる。
以下、この製造方法の各工程について詳説する。
<工程a>
工程aでは、例えば、1,3,5−トリエチルベンゼンと臭化水素酢酸とを、酢酸中、パラホルムアルデヒドの存在下に反応させることで1,3,5−トリス(ブロモメチル)−2,4,6−トリエチルベンゼンを得ることができる。本発明で使用する原料は、特段の記載がされていない限り、公知の方法により製造することができ、また商業的に入手可能でもある。
本発明においては、1,3,5−トリエチルベンゼンと臭化水素酢酸との使用割合は、モル比で1:0.9〜1.1であることが好ましく、1:1であることがより好ましい。1,3,5−トリエチルベンゼンが臭化水素酢酸1モルに対して0.9モル未満である場合や1.1モルを超える場合には、目的化合物の収率が低下するおそれがあり、製造コストが高くなるおそれがある。
反応条件は、原料の種類や量などにより適宜設定すればよい。
反応温度は、通常、50〜120℃、好ましくは60〜90℃である。反応温度が50℃未満では、反応効率が低下するおそれがある。一方、反応温度が120℃を超えると、目的化合物の収率が低下するおそれ、製造コストが高くなるおそれがある。
また、反応時間は反応温度により最適時間は変化するが、通常、12〜36時間、好ましくは18時間である。反応時間が12時間未満では、反応が不十分となるおそれがある。一方、反応時間が36時間を超えると、製造コストが高くなるおそれがある。
さらに、反応圧力は、特に限定されず、例えば大気圧下が挙げられる。また、雰囲気は、特に限定されず、例えば空気中および窒素雰囲気が挙げられる。
<工程b>
工程bでは、例えば、工程aで得られた1,3,5−トリス(ブロモメチル)−2,4,6−トリエチルベンゼンと、2−メチルピリジン、2,6−ジメチルピリジンおよび1,2−ジメチルイミダゾールのようなヘテロアリール化合物とを、THF(テトロヒドロフラン)中、n−BuLi(n−ブチルリチウム)の存在下に反応させることで配位子を得ることができる。
本発明においては、1,3,5−トリス(ブロモメチル)−2,4,6−トリエチルベンゼンとヘテロアリール化合物との使用割合は、モル比で1:3〜3.6であることが好ましく、1:3.6であることがより好ましい。1,3,5−トリス(ブロモメチル)−2,4,6−トリエチルベンゼンがヘテロアリール化合物1モルに対して3モル未満である場合や3.6モルを超える場合には、目的化合物の収率が低下するおそれがあり、製造コストが高くなるおそれがある。
反応条件は、原料の種類や量などにより適宜設定すればよい。
反応温度は、通常、−60〜−100℃、好ましくは−80℃である。反応温度が−100℃未満では、反応効率が低下するおそれがある。一方、反応温度が−60℃を超えると、目的化合物の収率が低下するおそれ、製造コストが高くなるおそれがある。
また、反応時間は反応温度により最適時間は変化するが、通常、6〜24時間、好ましくは12時間である。反応時間が6時間未満では、反応が不十分となるおそれがある。一方、反応時間が24時間を超えると、製造コストが高くなるおそれがある。
さらに、反応圧力は、特に限定されず、例えば大気圧下が挙げられる。また、雰囲気は、特に限定されず、例えば空気中および窒素雰囲気が挙げられる。
<工程c>
工程cでは、例えば、亜鉛塩を含むアセトン溶液に工程bで得られた配位子を含むアセトン溶液を添加することで金属錯体発光体を含む溶液を得、次いで金属錯体発光体を濾別して金属錯体発光体を回収することができる。本発明で使用する原料は、特段の記載がされていない限り、公知の方法により製造することができ、商業的に入手可能である。
本発明においては、亜鉛塩と配位子との使用割合は、モル比で1:0.6〜1.5であることが好ましく、1:1.0であることがより好ましい。配位子が亜鉛塩1モルに対して0.6モル未満である場合や1.5モルを超える場合には、目的化合物の収率が低下するおそれがあり、製造コストが高くなるおそれがある。
反応条件は、原料の種類や量などにより適宜設定すればよい。
反応温度は、通常、0〜40℃、好ましくは25℃である。反応温度が0℃未満では、反応効率が低下するおそれがある。一方、反応温度が40℃を超えると、目的化合物の収率が低下するおそれ、製造コストが高くなるおそれがある。
また、反応時間は反応温度により最適時間は変化するが、通常、3〜24時間、好ましくは12時間である。反応時間が3時間未満では、反応が不十分となるおそれがある。一方、反応時間が24時間を超えると、製造コストが高くなるおそれがある。
さらに、反応圧力は、特に限定されず、例えば大気圧下が挙げられる。また、雰囲気は、特に限定されず、例えば空気中および窒素雰囲気が挙げられる。
<工程d>
工程dでは、例えば、工程cで得られた金属錯体発光体および式(II)で表される配位性化合物としてのトリフェニルホスフィンオキシドをテトラヒドロフラン(THF)中で反応させ、反応混合物から溶媒を留去しかつ反応混合物のジクロロメタン溶液にヘキサンを添加し、ジクロロメタンを除去して再沈殿させるか、反応混合物から固体を濾別する工程により、トリフェニルホスフィンオキシドをさらに含む金属錯体発光体を得ることができる。本発明で使用する原料は、特段の記載がされていない限り、公知の方法により製造することができ、商業的に入手可能である。
本発明においては、トリフェニルホスフィンオキシドの使用割合は、特に限定はされず、亜鉛塩1モルに対して、通常、0.5〜3.0モル、好ましくは1.5〜2.5モルである。トリフェニルホスフィンオキシドが亜鉛塩1モルに対して0.5モル未満である場合や3.0モルを超える場合には、目的化合物の収率が低下するおそれがあり、製造コストが高くなるおそれがある。
反応条件は、原料の種類や量などにより適宜設定すればよい。
反応温度は、通常、0〜50℃、好ましくは25℃である。反応温度が0℃未満では、反応効率が低下するおそれがある。一方、反応温度が50℃を超えると、目的化合物の収率が低下するおそれ、製造コストが高くなるおそれがある。
また、反応時間は反応温度により最適時間は変化するが、通常、6〜24時間、好ましくは12時間である。反応時間が6時間未満では、反応が不十分となるおそれがある。一方、反応時間が24時間を超えると、製造コストが高くなるおそれがある。
さらに、反応圧力は、特に限定されず、例えば大気圧下が挙げられる。また、雰囲気は、特に限定されず、例えば空気中および窒素雰囲気が挙げられる。
工程温度、工程圧力、工程時間および製造設備のような製造条件は、使用原料などにより適宜設定される。また、所望の物性を得ることができる限り、使用原料は単独で使用してもよく、複数の原料を組み合わせて使用してもよい。
<金属錯体発光体>
本発明の金属錯体は好適な発光特性を有する。具体的には、270nm、310nmおよび365nmのレーザーを励起光源として用いたときに優れた発光波長を示す。より具体的には、270nm、310nmおよび365nmレーザーを励起光源として用いたときに優れた発光量子収率を示す。
本発明においては、安価かつ埋蔵量の豊富な亜鉛を原料として使用し、非常に簡便な方法を用いて固体状態で優れた発光特性を示す発光材料を得ることができる。また得られる発光材料は水や空気に非常に安定であり、取り扱いが容易である。したがって、本発明によれば、安価で発光特性に優れた発光材料を提供することができる。また、本発明の金属錯体発光体をLED用発光材料として使用することもできる。
本発明を以下の実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
実施例の各工程において得られた化合物および金属錯体を、以下の機器および条件で分析して同定し、またそれらの物性を評価した。
1H−NMRおよび13C−NMR)
核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製、型式:LAMBDA400)を用いて、室温条件で化合物の1H−NMRおよび13C−NMRスペクトルを測定した。テトラメチルシランを0.05質量%含む重クロロホルムに化合物を溶解して測定試料を調製した。
(IR)
フーリエ変換赤外分光光度計(日本分光株式会社製、型式:FT/IR−420)を用いて、化合物のIRスペクトルを測定した。化合物が油状である場合には、化合物をそのまま塩化ナトリウム板に挟持し、化合物が粉末である場合には、化合物を臭化カリウムと混合してペレットを作成し、測定試料とした。
(FAB−MS)
質量分析計(日本電子株式会社製、型式:Tandem MStation JMS−700/700S)を用いて、化合物のMSスペクトルを測定した。試料を3−ニトロベンジルアルコール(NBA)と混合して、FABイオン化法により正イオンモードで測定した。
(融点)
微量融点測定装置(株式会社ヤナコ機器開発研究所製、型式:MP−500P)を用いて、金属錯体の融点を測定した。3回測定の平均幅の中心点を融点とした。
(発光量子収率)
蛍光・燐光分光光度計(分光器:オーシャンオプティクス社製、型式:QE65000)励起光源として波長270nm、310nmおよび365nmのLED光源(オーシャンオプティクス社製、型式:LLS−270、LLS−310およびLLS−365)を用い、金属錯体の発光波長(発光スペクトル)を測定した。サンプルステージに厚さ2mmに金属錯体の固体粉末を敷き詰め、積分球を被せてスペクトルを測定した。
得られた発光波長の測定結果に基づいて、サリチル酸ナトリウムを基準物質として発光領域の面積比より量子収率を求めた。
(製造例1)
1,3,5−トリ(ブロモメチル)−2,4,6−トリエチルベンゼン[化合物2]の合成
Figure 2015178563
容量500mLの2口フラスコに、亜鉛5.00g(76.9ミリモル)、パラホルムアルデヒド18.49g、酢酸20mL、25%臭化水素/酢酸溶液50mLを氷浴下で入れ、1,3,5−トリエチルベンゼン[化合物1]10.0g(61.6ミリモル)、25%臭化水素/酢酸溶液300mLを加え、油浴下、90℃で12時間加熱還流した。溶液温度が室温まで冷却すると白色固体が析出した。濾過によって固体を集め、残る微量の酢酸を塩化メチル30mLと蒸留水30mL、炭酸ナトリウムを用いて中和し、溶液を塩化メチル(20mL×3回)で抽出した後、有機層に硫酸ナトリウムを加えよく撹拌した。硫酸ナトリウムを濾過によって除去し、有機層をエバポレーターで濃縮した後、カラムクロマトグラフィーによって精製した(Rf=0.9、アルミナ、展開溶媒:塩化メチル)。得られた有機層をエバポレーターで濃縮し、ジクロロメタン/ヘキサンを用いた再結晶により白色固体を得た(収量:16.54g、収率:61%)。
[化合物2]の分析結果
IR (KBr/cm-1): 2967 (s, sp3C-H), 2932 (m, sp3C-H), 2906 (m, sp3C-H), 2871 (m, sp3C-H), 1569 (m, C=C), 1453 (m, sp3C-H), 1211, 1201, 762 (w, CH2), 704, 581 (s, C-Br), 558;
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ (ppm) 1.34 (t, 9H, 3JHH = 7.7 Hz, Ar-CH2CH3), 2.94 (q, 6H, 3JHH= 7.6 Hz, Ar-CH2CH3), 4.58 (s, 6H, 4-CH2Br);
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ (ppm) 15.59, 22.72, 28.53, 132.64, 144.98
(比較製造例1)
1,3,5−トリエチル−2,4,6−トリ(ピリジン−2−イルエチル)ベンゼン[PyPy]の合成
Figure 2015178563
容量100mLの2口フラスコに、窒素雰囲気下でテトラヒドロフラン(脱水)70mL、2−メチルピリジン1.58mL(16.0ミリモル)を加えた。−90℃の冷アセトン浴中で1.6M n−ブチルリチウム−ヘキサン溶液11.0mL(17.6ミリモル)を滴下し、室温下で2時間撹拌した。容量200mLの3口フラスコに、[化合物2]1.77g(4.0ミリモル)を入れ、窒素雰囲気下でテトラヒドロフラン(脱水)50mLを加え、−90℃の冷アセトン浴中で2−メチルピリジン溶液をキャニュラーによって滴下し、12時間撹拌した。蒸留水20mLを加えてn−ブチルリチウムをクエンチし、エバポレーターで濃縮した。ジクロロメタン30mL、蒸留水10mL、25%アンモニア水20mLを加え、撹拌し、溶液をジクロロメタン(30mL×3回)で抽出した後、有機層に硫酸ナトリウムを加えよく撹拌した。硫酸ナトリウムを濾過によって除去し、有機層をエバポレーターで濃縮した後、カラムクロマトグラフィーによって精製した。なお、精製条件は、初期の(Rf=0.5、アルミナ、展開溶媒:ジクロロメタン)から(Rf=0.1、シリカゲル、展開溶媒:塩化メチル)に適宜切り替えた。得られた有機層をエバポレーターで濃縮し、黄色の油状物質を得た(収量:0.80g、収率:42%)。
PyPy]の分析結果
IR (Neat/cm-1): 2964, 2928, 2870, 1589, 1568, 1472, 1432, 747;
1H NMR (400MHz, CDCl3): δ (ppm) 1.23 (t, 9H, 3JHH = 7.4 Hz, Ar-CH2CH3), 2.79 (q, 6H, 3JHH = 7.5 Hz,Ar-CH2CH3), 2.98-3.09 (m, 12H, Ar-CH2CH2-Py), 7.14-7.18 (m, 6H, 3-Py-CH, 5-Py-CH), 7.63(ddd, 1H, 3JHH = 7.7 Hz, 4JHH = 1.8 Hz, 4-Py-CH), 8.61 (dd, 3H, 3JHH = 4.8 Hz, 4JHH = 0.9 Hz,6-Py-CH);
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ (ppm) 15.96, 22.60, 29.62, 40.14, 121.12, 122.51, 135.49, 136.29, 139.13, 149.45, 161.85;
FAB-MS: m/z = 478.4 ([M+H]+), HRMS (FAB): m/z =478.3223 ([M+H]+)
calcd. for C33H40N3 478.3222
(比較製造例2)
1,3,5−トリエチル−2,4,6−トリ(6−メチルピリジン−2−イルエチル)ベンゼン[PicoPico]の合成
Figure 2015178563
容量100mLの2口フラスコに、窒素雰囲気下でテトラヒドロフラン(脱水)80mL、2,6−ジメチルピリジン1.86mL(16.0ミリモル)を加えた。−90℃の冷アセトン浴中で1.6M n−ブチルリチウム−ヘキサン溶液11.0mL(17.6ミリモル)を滴下し、室温下で2時間撹拌した。容量200mLの3口フラスコに、[化合物2]1.77g(4.0ミリモル)を入れ、窒素雰囲気下でテトラヒドロフラン(脱水)60mLを加え、−90℃の冷アセトン浴中で2−メチルピリジン溶液をキャニュラーによって滴下し、12時間撹拌した。蒸留水20mLを加えてn−ブチルリチウムをクエンチし、エバポレーターで濃縮した。ジクロロメタン30mL、蒸留水10mL、25%アンモニア水20mLを加え、撹拌し、溶液をジクロロメタン(30mL×3回)で抽出した後、有機層に硫酸ナトリウムを加えよく撹拌した。硫酸ナトリウムを濾過によって除去し、有機層をエバポレーターで濃縮した後、カラムクロマトグラフィーによって精製した。なお、精製条件は、初期の(Rf=0.5、アルミナ、展開溶媒:ジクロロメタン)から(Rf=0.1、シリカゲル、展開溶媒:塩化メチル)に適宜切り替えた。得られた有機層をエバポレーターで濃縮し、黄色の油状物質を得た(収量:1.64g、収率:79%)。
PicoPico]の分析結果
IR (Neat/cm-1): 2964, 2928, 2870, 1590, 1584, 1480, 794;
1H NMR (400 MHz,CDCl3): δ (ppm) 1.21 (t, 9H, 3JHH = 7.4 Hz, Ar-CH2CH3), 2.58 (s, 9H, 6-Pico-C-CH3), 2.75 (q,6H, 3JHH = 7.5 Hz, Ar-CH2CH3), 2.93-3.04 (m, 12H, Ar-CH2CH2-Pico), 6.93 (d, 3H, 3JHH = 7.7Hz, 5-Pico-CH), 6.99 (d, 3H, 3JHH = 7.7 Hz, 3-Pico-CH), 7.48 (dd, 3H, 3JHH = 7.6 Hz,4-Pico-CH);
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ (ppm) 15.83, 22.51, 24.58, 29.68, 40.13, 119.20, 120.48, 135.44, 136.36, 139.04, 157.87, 161.21;
FAB-MS: m/z = 520.5 ([M+H]+), HRMS(FAB): m/z = 520.3676 ([M+H]+)
calcd. for C36H46N3 520.3692
(比較製造例3)
1,3,5−トリエチル−2,4,6−トリ(1−メチルイミダゾール−2−イルエチル)ベンゼン[ImdImd]の合成
Figure 2015178563
容量200mLの3口フラスコに、1,2−ジメチルイミダゾール1.92g(20.0ミリモル)を入れ、窒素雰囲気下でテトラヒドロフラン(脱水)120mLを加えた。−90℃の冷アセトン浴中で1.6M n−ブチルリチウム−ヘキサン溶液13.8mL(22.0ミリモル)を滴下し、室温下で2時間撹拌した。容量300mLの2口フラスコに、[化合物2]1.77g(4.0ミリモル)を入れ、窒素雰囲気下でテトラヒドロフラン(脱水)80mLを加え、−90℃の冷アセトン浴中で1,2−ジメチルイミダゾール溶液をキャニュラーによって滴下し、12時間撹拌した。蒸留水20mLを加えてn−ブチルリチウムをクエンチし、エバポレーターで濃縮した。ジクロロメタン30mL、蒸留水10mL、25%アンモニア水20mLを加え、撹拌し、溶液をジクロロメタン(30mL×3回)で抽出した後、有機層に硫酸ナトリウムを加えよく撹拌した。硫酸ナトリウムを濾過によって除去し、有機層をエバポレーターで濃縮した後、カラムクロマトグラフィーによって精製した。なお、精製条件は、初期の(Rf=0.5、アルミナ、展開溶媒:ジクロロメタン)から(Rf=0.1、シリカゲル、展開溶媒:塩化メチル)に適宜切り替えた。得られた有機層をエバポレーターで濃縮し、黄色の油状物質を得た(収量:1.29g、収率:66%)。
ImdImd]の分析結果
IR (Neat/cm-1): 2967, 2930, 2906, 1493, 1461, 1281, 706;
1H NMR (400 MHz,CDCl3): δ (ppm) 1.23 (t, 9H, 3JHH = 7.5 Hz, Ar-CH2CH3), 2.69 (q, 6H, 3JHH = 7.4 Hz,Ar-CH2CH3), 2.83-3.15 (m, 12H, Ar-CH2CH2-Imd), 3.51 (s, 9H, Imd-N-CH3), 6.82 (d, 3H, 3JHH= 1.2 Hz), 6.99 (d, 3H, 3JHH = 1.3 Hz);
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ (ppm) 15.90, 22.47, 27.05, 27.05, 28.42, 32.31, 120.41, 127.05, 136.09, 139.47, 147.65;
FAB-MS: m/z = 487.5([M+H]+), HRMS (FAB): m/z = 487.3544 ([M+H]+)
calcd. for C30H43N6 487.3549
(製造例2)
1−アダマンタンカルボキシメチル−3,5−ビス(ブロモメチル)−2,4,6−トリエチルベンゼン[化合物3]および
1,3−ビス(アダマンタンカルボキシメチル)−5−ブロモメチル−2,4,6−トリエチルベンゼン[化合物4]の合成
Figure 2015178563
容量300mLのナス型フラスコに、[化合物2]4.41g(10.0ミリモル)、1−アダマンタンカルボン酸0.9g(5.0ミリモル)、炭酸セシウム3.27g(10.0ミリモル)を入れ、アセトニトリル200mLを加えた。油浴下40℃で1.5時間加熱還流した。反応容器を氷浴で冷やし、溶媒を減圧留去し、得られた残渣に蒸留水とジクロロメタンを30mLずつ加えよく撹拌した。溶液をジクロロメタン(30mL×3回)で抽出した後、有機層に硫酸ナトリウムを加えよく撹拌した。硫酸ナトリウムを濾過によって除去し、エバポレーターで濃縮すると油状物質が得られた。これをカラムクロマトグラフィーによって精製した。なお、精製条件は、(Rf=0.15、シリカゲル13cm、展開溶媒:塩化メチル/ヘキサン=1/2から1/1)の範囲で変化させた。得られた有機層をエバポレーターで濃縮し、無色透明の油状物質を得た。これにヘキサンを加えると白色固体が得られた。
[化合物2]収量:2.53g、収率:57%
[化合物3]収量:1.51g、収率:28%
[化合物4]収量:0.96g、収率:15%
[化合物3]の分析結果
IR (KBr/cm-1): 2968(s, sp3C-H), 2931(s, sp3C-H), 2903(s, sp3C-H), 2854 (m, sp3C-H), 1723 (s, C=O), 1563 (m, C=C), 1495, 1456 (m, sp3C-H), 1267, 1224 (s, C-O), 1212 (s), 1181, 1069 (s);
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ (ppm) 1.25 (t, 6H, 3JHH = 7.6 Hz, Ar-CH2CH3),1.37 (t, 3H, 3JHH = 7.6 Hz, Ar-CH2CH3), 1.69 (m, 6H, 4-Adm-CH2), 1.89 (d, 6H, 3JHH = 2.9 Hz,2-Adm-CH2), 2.00 (s, 3H, 3-Adm-CH), 2.81 (q, 4H, 3JHH = 7.6 Hz, Ar-CH2CH3), 2.97 (q, 2H,3JHH = 7.7 Hz, Ar-CH2CH3), 4.61 (s, 4H, Ar-CH2Br), 5.11 (s, 2H, Ar-CH2Br);
13C NMR (100MHz, CDCl3): δ (ppm) 15.59, 15.99, 22.66, 22.75, 27.88, 28.89, 36.40, 38.75, 40.77, 60.52, 131.01, 132.14, 144.86, 145.99, 177.94.
[化合物4]の分析結果
IR (Neat/cm-1): 2904, 2851, 1715, 1453, 1220, 1067, 738;
1H NMR (400 MHz,CDCl3): δ (ppm) 1.15 (t, 3H, 3JHH = 7.6 Hz, Ar-CH2CH3), 1.27 (t, 6H, 3JHH = 7.6 Hz,Ar-CH2CH3), 1.69 (m, 12H, 4-Adm-CH2), 1.90 (d, 12H, 3JHH = 2.7 Hz, 2-Adm-CH2), 1.99 (s, 6H,3-Adm-CH), 2.69 (q, 2H, 3JHH = 7.6 Hz, Ar-CH2CH3), 2.85 (q, 4H, 3JHH = 7.6 Hz, Ar-CH2CH3),4.64 (s, 2H, Ar-CH2Br), 5.13 (s, 2H, Ar-CH2Br);
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ (ppm) 16.04, 16.33, 22.63, 22.71, 27.91, 29.31, 36.42, 38.78, 40.78, 60.68, 130.56, 131.60, 145.81, 146.98, 177.97;
FAB-MS: m/z = 637 ([M-H]-), HRMS (FAB): m/z = 637.2888 ([M-H]-)
calcd. For C37H5079BrO4 637.2892
(製造例3)
1,3,5−トリエチル−2−ヒドロキシメチル−4,6−ビス(ピリジン−2−イルエチル)ベンゼン[化合物5]の合成
Figure 2015178563
容量100mLの2口フラスコに、窒素雰囲気下でテトラヒドロフラン(脱水)15mL、2−メチルピリジン0.97mL(9.8ミリモル)を加えた。−90℃の冷アセトン浴中で1.6M n−ブチルリチウム−ヘキサン溶液5.5mL(8.8ミリモル)を滴下し、室温下で2時間撹拌した。容量100mLの2口フラスコに、[化合物3]1.08g(2.0ミリモル)を入れ、窒素雰囲気下でテトラヒドロフラン(脱水)10mLを加え、−90℃の冷アセトン浴中で2−メチルピリジン溶液をキャニュラーによって滴下し、12時間撹拌した。蒸留水20mLを加えてn−ブチルリチウムをクエンチし、エバポレーターで濃縮した。塩化メチル20mL、蒸留水10mL、25%アンモニア水20mLを加え、撹拌し、溶液を塩化メチル(20mL×3回)で抽出した後、有機層に硫酸ナトリウムを加えよく撹拌した。硫酸ナトリウムを濾過によって除去し、有機層をエバポレーターで濃縮した後、カラムクロマトグラフィーによって精製した。なお、精製条件は、初期の(Rf=0.15、アルミナ、展開溶媒:ジクロロメタン/ヘキサン=1/1)から(Rf=0.15、アルミナ、展開溶媒:塩化メチル)に適宜切り替えた。得られた有機層をエバポレーターで濃縮し、黄色の油状物質を得た(収量:0.761g、収率:93%)。
[化合物5]の分析結果
IR (KBr/cm-1): 3326 (b, O-H), 2967(s, sp3C-H), 2931(s, sp3C-H), 2904(s, sp3C-H),2871(m, sp3C-H), 1592, 1569(m, C=C), 1474(m, sp3C-H), 1435, 1014, 751(m, C-C);
1H NMR(400 MHz, CDCl3): δ (ppm) 1.21 (t, 3H, 3JHH = 7.5 Hz, Ar-CH2CH3), 1.26 (t, 6H, 3JHH = 7.5 Hz,Ar-CH2CH3), 2.79 (q, 2H, 3JHH = 7.4 Hz, Ar-CH2CH3), 2.88 (q, 4H, 3JHH = 7.5 Hz, Ar-CH2CH3),2.94-3.09 (m, 8H, Ar-CH2CH2-Py), 4.77 (d, 2H, 3JHH = 3.3 Hz, Ar-CH2OH), 7.12-7.21 (m, 4H,3-Py-CH, 5-Py-CH), 7.62 (ddd, 2H, 3JHH = 7.6 Hz, 4JHH = 1.8 Hz, 4-Py-CH), 8.59 (d, 3H, 3JHH =4.5 Hz, 6-Py-CH);
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ (ppm) 15.90, 16.54, 22.53, 22.68, 39.92, 59.12, 121.15, 122.48, 134.41, 135.78, 136.35, 140.42, 141.46, 149.40, 161.66;
FAB-MS: m/z =403.4 ([M+H]+), HRMS (FAB): m/z = 403.2744 ([M+H]+)
calcd. for C27H35N2O 403.2749
(製造例4)
2,4,6−トリエチル−3,5−ビス(ピリジン−2−イルエチル)ベンジルメタンスルホネート[化合物6]の合成
Figure 2015178563
容量50mLの2口フラスコに、[化合物5]0.457g(1.1ミリモル)を入れ、窒素雰囲気下でジクロロメタン(脱水)5mLを加え、メタンスルホニルクロリド 0.27mL(3.4ミリモル)、トリエチルアミン0.63mL(4.5ミリモル)を氷浴中で滴下し、室温まで昇温後2時間撹拌した。飽和炭酸カリウム水溶液10mLを加えてクエンチし、ジクロロメタン(20mL×3回)によって抽出した後、有機層に硫酸ナトリウムを加えよく撹拌した。硫酸ナトリウムを濾過によって除去し、エバポレーターで濃縮した後、カラムクロマトグラフィーによって精製した(Rf=0.7、アルミナ、展開溶媒:ジクロロメタン)。得られた有機層をエバポレーターで濃縮し、茶色の油状物質を得た(収量:0.424g、収率:78%)。
[化合物6]の分析結果
IR (KBr/cm-1): 2960(s, sp3C-H), 2926(m, sp3C-H), 2902(m, sp3C-H), 2867(m, sp3C-H), 1592, 1566(m, C=C), 1478(m, sp3C-H), 1433(s, R-SO2-OR'), 757(m, C-C);
1H NMR(400 MHz, CDCl2): δ (ppm) 1.21 (t, 3H, 3JHH = 7.4 Hz, Ar-CH2CH3), 1.27 (t, 6H, 3JHH = 7.5 Hz,Ar-CH2CH3), 2.78 (q, 2H, 3JHH = 7.5 Hz, Ar-CH2CH3), 2.86 (q, 4H, 3JHH = 7.5 Hz, Ar-CH2CH3),2.94-3.09 (m, 8H, Ar-CH2CH2-Py), 3.13 (s, 3H, OSO2CH3), 4.73 (s, 2H, Ar-CH2OMs),7.12-7.18 (m, 4H, 3-Py-CH, 5-Py-CH), 7.69 (ddd, 2H, 3JHH = 6.4 Hz, 4JHH = 1.2 Hz, 4-Py-CH),8.60 (ddd, 3H, 3JHH = 4.8 Hz, 4JHH = 0.9 Hz, 5JHH = 0.9 Hz, 6-Py-CH);
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ (ppm) 15.87, 16.19, 22.45, 22.74, 29.45, 31.50, 39.96, 40.01, 41.77, 121.20, 122.59, 131.36, 136.05, 136.35, 140.62, 142.41, 149.51, 161.57
(製造例5)
1,3,5−トリエチル−2(6−メチルピリジン−2−イルエチル)−4,6−ビス(ピリジン−2−イルエチル)ベンゼン[PyPico]の合成
Figure 2015178563
容量50mLの2口フラスコに、窒素雰囲気下でテトラヒドロフラン(脱水)5mL、2,6−ジメチルピリジン0.36mL(3.1ミリモル)を加えた。−90℃の冷アセトン浴中で1.6M n−ブチルリチウム−ヘキサン溶液2.1mL(3.4ミリモル)を滴下し、室温下で2時間撹拌した。容量100mLの2口フラスコに、[化合物6]0.42g(0.88ミリモル)を入れ、窒素雰囲気下でテトラヒドロフラン(脱水)10mLを加え、−90℃の冷アセトン浴中で2,6−ジメチルピリジン溶液をキャニュラーによって滴下し、12時間撹拌した。蒸留水20mLを加えてn−ブチルリチウムをクエンチし、エバポレーターで濃縮した。塩化メチル20mL、蒸留水10mL、25%アンモニア水20mLを加え、撹拌し、溶液を塩化メチル(20mL×3回)で抽出した後、有機層に硫酸ナトリウムを加えよく撹拌した。硫酸ナトリウムを濾過によって除去し、有機層をエバポレーターで濃縮した後、カラムクロマトグラフィーによって精製した。なお、精製条件は、初期の(Rf=0.5、アルミナ、展開溶媒:塩化メチル)から(Rf=0.1、シリカゲル、展開溶媒:塩化メチル)に適宜切り替えた。得られた有機層をエバポレーターで濃縮し、黄色の油状物質を得た(収量:0.314g、収率:72%)。
PyPico]の分析結果
IR (KBr/cm-1): 2966(s, sp3C-H), 2929(m, sp3C-H), 2871(m, sp3C-H), 1591,1577, 1570(m, C=C), 1473(m, sp3C-H), 1455, 1435, 750(m, C-C);
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ (ppm) 1.22 (t, 6H, 3JHH = 7.3 Hz, Ar-CH2CH3), 1.18-1.32 (m, 3H, Ar-CH2CH3), 2.58 (s, 3H,6-Pico-C-CH3), 2.72-2.83 (m, 6H, Ar-CH2CH3), 2.94-3.10 (m, 12H, Ar-CH2CH2-Py), 6.95 (d,1H, 3JHH = 7.6 Hz, 5-Pico-CH), 7.00 (d, 1H, 3JHH = 6.5 Hz, 3-Pico-CH), 7.12-7.18 (m, 4H,3-Py-CH, 5-Py-CH), 7.50 (dd, 1H, 3JHH = 7.8 Hz, 4-Pico-CH), 7.64 (ddd, 2H, 3JHH = 7.6 Hz, 4JHH= 1.9 Hz, 4-Py-CH), 8.61 (d, 2H, 3JHH = 4.3 Hz, 6-Py-CH);
13C NMR (150 MHz, CDCl3): δ(ppm) 15.90 (1,3-Ar-CH2CH3), 15.96 (5-Ar-CH2CH3), 22.58 (1,3-Ar-CH2CH3, 5-Ar-CH2CH3),24.61 (6-Pico-CCH3), 29.61 (Ar-CH2CH2-Py), 29.75 (Ar-CH2CH2-Pico), 40.15 (Ar-CH2CH2-Py,Ar-CH2CH2-Pico), 119.21 (3-Pico-C), 120.54, (5-Pico-C) 121.09 (5-Py-C), 122.53 (3-Py-C),135.39 (4,6-Ar-C). 135.65 (2-Ar-C), 136.27 (4-Py-C), 136.41 (4-Pico-C), 139.03 (5-Ar-C), 139.17 (1,3-Ar-C), 149.43 (6-Py-C), 157.94 (6-Pico-C), 161.21 (2-Pico-C), 161.89 (2-Py-C);
FAB-MS: m/z = 492 ([M+H]+), HRMS (FAB): m/z = 492.3382 ([M+H]+)
calcd. for C34H42N3 492.3379
(製造例6)
1,3,5−トリエチル−2(2−メチルイミダゾール−2−イルエチル)−4,6−ビス(ピリジン−2−イルエチル)ベンゼン[PyImd]の合成
Figure 2015178563
容量100mLの2口フラスコに、1,2−ジメチルイミダゾール1.30g(13.5ミリモル)を入れ、窒素雰囲気下でテトラヒドロフラン(脱水)80mLを加えた。−90℃の冷アセトン浴中で1.6M n−ブチルリチウム−ヘキサン溶液9.8mL(15.7ミリモル)を滴下し、室温下で2時間撹拌した。容量300mLの2口フラスコに、[化合物6]2.16g(4.5ミリモル)を入れ、窒素雰囲気下でテトラヒドロフラン(脱水)80mLを加え、−90℃の冷アセトン浴中で1,2−ジメチルイミダゾール溶液をキャニュラーによって滴下し、12時間撹拌した。蒸留水15mLを加えてn−ブチルリチウムをクエンチし、エバポレーターで濃縮した。ジクロロメタン20mL、蒸留水10mL、25%アンモニア水20mLを加え、撹拌し、溶液をジクロロメタン(30mL×3回)で抽出した後、有機層に硫酸ナトリウムを加えよく撹拌した。硫酸ナトリウムを濾過によって除去し、有機層をエバポレーターで濃縮した。その後、油状物質を蒸留水でよく洗い、次いでカラムクロマトグラフィーによって精製した。なお、精製条件は、初期の(Rf=0.5、アルミナ、展開溶媒:塩化メチル)から(Rf=0.1、シリカゲル、展開溶媒:塩化メチル)に適宜切り替えた。得られた有機層をエバポレーターで濃縮し、黄色の油状物質を得た(収量:1.20g、収率:55%)。
PyImd]の分析結果
IR (Neat/cm-1): 2965, 2929, 1589, 1472, 1433, 748, 732;
1H NMR (400 MHz,CDCl3): δ (ppm) 1.21-1.26 (m, 9H, Ar-CH2CH3), 2.71 (q, 4H, 3JHH = 7.4 Hz, Ar-CH2CH3),2.82 (q, 2H, 3JHH = 7.5 Hz, Ar-CH2CH3), 2.87-3.18 (m, 12H, Ar-CH2CH2-Py, Ar-CH2CH2-Imd),3.39 (s, 3H, 2-Imd-NCH3), 6.80 (d, 1H, 3JHH = 1.3 Hz, 4-Imd-H), 7.00 (d, 1H, 3JHH = 1.3 Hz,5-Imd-H), 7.16 (ddd, 2H, 3JHH = 4.9 Hz, 7.5 Hz, 4JHH = 1.2 Hz, 5-Py-CH), 7.22 (ddd, 1H, 3JHH =7.8 Hz, 4JHH = 1.0 Hz, 3-Py-CH), 7.65 (ddd, 1H, 3JHH = 7.7 Hz, 4JHH = 1.9 Hz, 4-Py-CH), 8.59(ddd, 1H, 3JHH = 4.9 Hz, 4JHH = 1.8 Hz, 5JHH = 0.9 Hz,6-Py-CH);
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ (ppm) 15.94, 15.98, 22.47, 22.64, 27.11, 28.50, 29.67, 32.28, 40.18, 120.43, 121.18, 122.40,127.25, 134.96, 135.65, 136.37, 139.31, 139.33, 147.98, 149.46, 161.72;
FAB-MS: m/z = 481([M+H]+), HRMS (FAB): m/z = 481.3312 ([M+H]+)
calcd. for C32H41N4 481.3331
(製造例7)
1,3,5−トリエチル−2−ヒドロキシメチル−4,6−ビス(6−メチルピリジン−2−イルエチル)ベンゼン[化合物7]の合成
Figure 2015178563
容量100mLの2口フラスコに、窒素雰囲気下でテトラヒドロフラン(脱水)5mL、2,6−ジメチルピリジン0.58mL(5.0ミリモル)を加えた。−90℃の冷アセトン浴中で1.6M n−ブチルリチウム−ヘキサン溶液3.3mL(5.5ミリモル)を滴下し、室温下で2時間撹拌した。容量100mLの2口フラスコに、[化合物3]0.54g(1.0ミリモル)を入れ、窒素雰囲気下でテトラヒドロフラン(脱水)10mLを加え、−90℃の冷アセトン浴中で2,6−ジメチルピリジン溶液をキャニュラーによって滴下し、12時間撹拌した。蒸留水20mLを加えてn−ブチルリチウムをクエンチし、エバポレーターで濃縮した。塩化メチル20mL、蒸留水10mL、25%アンモニア水20mLを加え、撹拌し、溶液を塩化メチル(20mL×3回)で抽出した後、有機層に硫酸ナトリウムを加えよく撹拌した。硫酸ナトリウムを濾過によって除去し、有機層をエバポレーターで濃縮した後、カラムクロマトグラフィーによって精製した(Rf=0.15、アルミナ、展開溶媒:ジクロロメタン/ヘキサン=1/1)。得られた有機層をエバポレーターで濃縮し、黄色の油状物質を得た(収量:0.36g、収率:85%)。
[化合物7]の分析結果
IR (KBr/cm-1): 3384(b, O-H), 2966(s, sp3C-H), 2929(s, sp3C-H), 1592, 1577(m,C=C), 1455(s, sp3C-H), 795, 757(m, C-C);
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ (ppm) 1.19 (t, 3H,3JHH = 7.4 Hz, Ar-CH2CH3), 1.23 (t, 6H, 3JHH = 7.5 Hz, Ar-CH2CH3), 2.57 (s, 6H, 6-Pico-C-CH3),2.77 (q, 2H, 3JHH = 7.5 Hz, Ar-CH2CH3), 2.82-2.90 (m, 4H, Ar-CH2CH3), 2.82-3.03 (m, 8H,Ar-CH2CH2-Pico), 4.76 (s, 2H, Ar-CH2OH), 6.95 (d, 2H, 3JHH = 7.6 Hz, 3-Pico-CH), 7.00 (d, 2H,3JHH = 7.6 Hz, 5-Pico-CH), 7.49 (dd, 2H, 3JHH = 7.7 Hz, 4-Pico-CH);
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ (ppm) 15.79, 16.51, 22.50, 22.68, 24.57, 29.74, 39.95, 59.16, 119.21, 120.60, 134.27,135.94, 136.48, 140.35, 141.60, 157.98, 161.10;
FAB-MS: m/z = 431 ([M+H]+), HRMS (FAB):m/z = 431.3069 ([M+H]+)
calcd. for C29H39N2O 431.3062
(製造例8)
2,4,6−トリエチル−3,5−ビス(6−メチルピリジン−2−イルエチル)ベンジルメタンスルホネート[化合物8]の合成
Figure 2015178563
容量50mLの2口フラスコに、[化合物7]0.43g(1.0ミリモル)を入れ、窒素雰囲気下でジクロロメタン(脱水)5mLを加え、メタンスルホニルクロリド0.24mL(3.0ミリモル)、トリエチルアミン0.56mL(4.0ミリモル)を氷浴中で滴下し、室温まで昇温後2時間撹拌した。飽和炭酸カリウム水溶液10mLを加えてクエンチし、ジクロロメタン(20mL×3回)によって抽出した後、有機層に硫酸ナトリウムを加えよく撹拌した。硫酸ナトリウムを濾過によって除去し、エバポレーターで濃縮した後、カラムクロマトグラフィーによって精製した(Rf=0.7、アルミナ、展開溶媒:ジクロロメタン)。得られた有機層をエバポレーターで濃縮し、茶色の油状物質を得た(収量:0.49g、収率:96%)。
[化合物8]の分析結果
IR (KBr/cm-1): 2967(s, sp3C-H), 2931(m, sp3C-H), 2907(m, sp3C-H), 2872(m, sp3C-H), 1591, 1578(m, C=C), 1455(s, R-SO2-OR'), 1320, 1174, 795(m, C-C);
1H NMR (400MHz, CDCl3): δ (ppm) 1.19 (t, 3H, 3JHH = 7.5 Hz, Ar-CH2CH3), 1.25 (t, 6H, 3JHH = 7.5 Hz,Ar-CH2CH3), 2.57 (s, 6H, 6-Pico-C-CH3), 2.77 (q, 2H, 3JHH = 7.4 Hz, Ar-CH2CH3), 2.83 (q, 4H,3JHH = 7.5 Hz, Ar-CH2CH3), 2.91-3.07 (m, 8H, Ar-CH2CH2-Py), 3.14 (s, 3H, OSO2CH3), 4.71 (s,2H, Ar-CH2OMs), 6.90 (d, 2H, 3JHH = 7.6 Hz, 3-Pico-CH), 7.00 (d, 2H, 3JHH = 7.6 Hz,5-Pico-CH), 7.48 (dd, 2H, 3JHH = 7.7 Hz, 4-Pico-CH);
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ (ppm) 15.72, 16.10, 22.38, 22.66, 24.60, 29.55, 31.48, 39.95, 41.81, 119.25, 120.57, 131.15, 136.11,136.44, 140.52, 142.44, 157.95, 160.86
(製造例9)
1,3,5−トリエチル−2,4−ビス(6−メチルピリジン−2−イルエチル)−6(ピリジン−2−イルエチル)ベンゼン[PicoPy]の合成
Figure 2015178563
容量100mLの2口フラスコに、窒素雰囲気下でテトラヒドロフラン(脱水)10mL、2−メチルピリジン0.38mL(3.8ミリモル)を加えた。−90℃の冷アセトン浴中で1.6M n−ブチルリチウム−ヘキサン溶液2.6mL(4.2ミリモル)を滴下し、室温下で2時間撹拌した。容量100mLの2口フラスコに、[化合物8]0.48g(2.3ミリモル)を入れ、窒素雰囲気下でテトラヒドロフラン(脱水)10mLを加え、−90℃の冷アセトン浴中で2−メチルピリジン溶液をキャニュラーによって滴下し、12時間撹拌した。蒸留水20mLを加えてn−ブチルリチウムをクエンチし、エバポレーターで濃縮した。塩化メチル20mL、蒸留水10mL、25%アンモニア水20mLを加え、撹拌し、溶液を塩化メチル (20mL×3回)で抽出した後、有機層に硫酸ナトリウム を加えよく撹拌した。硫酸ナトリウムを濾過によって除去し、有機層をエバポレーターで濃縮した後、カラムクロマトグラフィーによって精製した。なお、精製条件は、初期の(Rf=0.5、アルミナ、展開溶媒:塩化メチル)から(Rf=0.1、シリカゲル、展開溶媒:塩化メチル)に適宜切り替えた。得られた有機層をエバポレーターで濃縮し、黄色の油状物質を得た(収量:0.35g、収率:74%)。
PicoPy]の分析結果
IR (KBr/cm-1): 2966(s, sp3C-H), 2929(m, sp3C-H), 1591, 1577(m, C=C), 1455(s, sp3C-H), 795, 751 m, C-C);
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ (ppm) 1.17-1.29 (m, 9H,Ar-CH2CH3), 2.57 (s, 6H, 6-Pico-C-CH3), 2.71-2.82 (m, 6H, Ar-CH2CH3), 2.91-3.08 (m, 12H,Ar-CH2CH2-Py), 6.93 (d, 2H, 3JHH = 7.6 Hz, 3-Pico-CH), 7.00 (d, 2H, 3JHH = 7.5 Hz, 5-Pico-CH),7.12-7.18 (m, 2H, 3-Py-CH, 5-Py-CH), 7.49 (dd, 2H, 3JHH = 7.7 Hz, 4-Pico-CH) 7.62 (ddd, 1H,3JHH = 7.6 Hz, 4JHH = 1.8 Hz, 4-Py-CH), 8.61 (dd, 3H, 3JHH = 5.3 Hz, 4JHH = 1.8 Hz, 6-Py-CH) ;
13C NMR (150 MHz, CDCl3): δ (ppm) 15.86 (3-Ar-CH2CH3), 15.91 (1,5-Ar-CH2CH3),22.56(1,5-Ar-CH2CH3, 3-Ar-CH2CH3), 24.62(6-Pico-CCH3), 29.60 (Ar-CH2CH2-Py), 29.72(Ar-CH2CH2-Pico), 40.17 (Ar-CH2CH2-Py, Ar-CH2CH2-Pico), 119.22 (3-Pico-C), 120.53(5-Pico-C), 121.08 (5-Py-C), 122.54 (3-Py-C), 135.31(6-Ar-C), 135.57 (2,4-Ar-C), 136.26(4-Py-C), 136.39 (4-Pico-C), 139.05 (1,5-Ar-C), 139.17 (3-Ar-C), 149.43 (6-Py-C), 157.93(6-Pico-C), 161.23 (2-Py-C), 161.91;
EI-MS: m/z = 505 ([M]+), HRMS (EI): m/z = 505.3457([M]+)
calcd. for C35H43N3 505.3457
(製造例10)
1,3,5−トリエチル−2,4−ヒドロキシメチル−6(ピリジン−2−イルエチル)ベンゼン[化合物9]の合成
Figure 2015178563
容量100mLの2口フラスコに、窒素雰囲気下でテトラヒドロフラン(脱水)70mL、2−メチルピリジン4.41mL(44.7ミリモル)を加えた。−90℃の冷アセトン浴中で1.6M n−ブチルリチウム−ヘキサン溶液30.7mL(49.1ミリモル)を滴下し、室温下で2時間撹拌した。容量300mLの2口フラスコに、[化合物4]4.77g(7.45ミリモル)を入れ、窒素雰囲気下でテトラヒドロフラン(脱水)100mLを加え、−90℃の冷アセトン浴中で2−メチルピリジン溶液をキャニュラーによって滴下し、一夜撹拌した。蒸留水30mLを加えてn−ブチルリチウムをクエンチし、エバポレーターで濃縮した。塩化メチル20mL、蒸留水10mL、25%アンモニア水20mLを加え、撹拌し、溶液をジクロロメタン(40mL×4回)で抽出した後、有機層に硫酸ナトリウムを加えよく撹拌した。硫酸ナトリウムを濾過によって除去し、有機層をエバポレーターで濃縮した後、カラムクロマトグラフィーで精製した。なお、精製条件は、初期の(Rf=0.15、アルミナ、展開溶媒:ジクロロメタン/ヘキサン=1/1)から(Rf=0.15、アルミナ、展開溶媒:塩化メチル)に適宜切り替えた。得られた有機層をエバポレーターで濃縮し、黄色の油状物質を得た(収量:1.86g、収率:76%)。
[化合物9]の分析結果
IR (Neat/cm-1): 3331, 2963, 2929, 1598, 1475, 1435, 1007, 736;
1H NMR (400 MHz,CDCl3): δ (ppm) 1.22-1.28 (m, 9H, Ar-CH2CH3), 2.85-3.08 (m, 10H, Ar-CH2CH2-Py,Ar-CH2CH3), 4.77 (s, 4H, Ar-CH2OH), 7.14-7.19 (m, 2H, 3-Py-CH, 5-Py-CH), 7.63 (ddd,1H,3JHH = 7.7 Hz, 4JHH = 1.9 Hz, 4-Py-CH), 8.61 (d, 2H, 3JHH = 4.9 Hz, 6-Py-CH);
13C NMR (100MHz, CDCl3): δ (ppm) 16.51, 17.16, 22.50, 22.65, 29.51, 39.83, 59.11, 121.28, 122.53, 134.59, 136.23, 136.46, 141.80, 142.92, 149.46, 161.49;
FAB-MS: m/z = 328 ([M+H]+), HRMS (FAB):m/z = 328.2266 ([M+H]+)
calcd. for C21H30NO2 328.2277.
(製造例11)
2,4,6−トリエチル−3−(ピリジン−2−イルエチル)ベンジルジメタンスルホネート[化合物10]の合成
Figure 2015178563
容量100mLの2口フラスコに、[化合物9]1.86g(5.69ミリモル)を入れ、窒素雰囲気下でジクロロメタン(脱水)70mLを加え、メタンスルホニルクロリド2.24mL(28.5ミリモル)、トリエチルアミン4.36mL(31.3ミリモル)を氷浴中で滴下し、室温まで昇温後一夜撹拌した。飽和炭酸ナトリウム水溶液20mLを加えてクエンチし、ジクロロメタン(30mL×3回)によって抽出した後、有機層に硫酸ナトリウムを加えよく撹拌した。硫酸ナトリウムを濾過によって除去し、エバポレーターで濃縮した後、カラムクロマトグラフィーによって精製した(Rf=0.7、アルミナ、展開溶媒:ジクロロメタン)。得られた有機層をエバポレーターで濃縮し、茶色の油状物質を得た(収量:2.01g、収率:73%)。
[化合物10]の分析結果
IR (Neat/cm-1) 2965, 2930, 1590, 1472, 1453, 1434, 1259, 1040, 754, 705, 648;
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ (ppm) 1.25 (t, 6H, 3JHH = 7.6 Hz, Ar-CH2CH3), 1.31 (t, 3H, 3JHH =7.6 Hz, Ar-CH2CH3), 2.83 (q, 4H, 3JHH = 7.5 Hz, Ar-CH2CH3), 2.91 (q, 2H, 3JHH = 7.6 Hz,Ar-CH2CH3), 2.95-3.08 (m, 4H, Ar-CH2CH2-Py), 3.14 (s, 6H, OSO2CH3), 4.71 (s, 4H,Ar-CH2OSO2CH3), 7.10-7.17 (m, 2H, 3-Py-CH, 5-Py-CH), 7.61 (ddd, 1H, 3JHH = 7.6 Hz, 4JHH =1.9 Hz, 4-Py-CH), 8.60 (d, 1H, 3JHH = 4.9 Hz, 6-Py-CH);
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ (ppm)16.00, 16.25, 22.37, 22.61, 29.28, 31.51, 39.71, 41.15, 121.31, 122.66, 131.93, 136.47, 136.65,142.05, 143.73, 149.46, 161.20
(製造例12)
1,3,5−トリエチル−2(2−メチルイミダゾール−2−イルエチル)−4,6−ビス(ピリジン−2−イルエチル)ベンゼン[ImdPy]の合成
Figure 2015178563
容量100mLの2口フラスコに、1,2−ジメチルイミダゾール1.44g(15.0ミリモル)を入れ、窒素雰囲気下でテトラヒドロフラン(脱水)80mLを加えた。−90℃の冷アセトン浴中で1.6M n−ブチルリチウム−ヘキサン溶液10.3mL(16.5ミリモル)を滴下し、室温下で2時間撹拌した。容量300mLの2口フラスコに、[化合物10]1.45g(3.0ミリモル)を入れ、窒素雰囲気下でテトラヒドロフラン(脱水)80mLを加え、−90℃の冷アセトン浴中で1,2−ジメチルイミダゾール 溶液をキャニュラーによって滴下し、12時間撹拌した。蒸留水20mLを加えてn−ブチルリチウムをクエンチし、エバポレーターで濃縮した。塩化メチル20mL、蒸留水10mL、25%アンモニア水20mL を加え、撹拌し、溶液を塩化メチル (20mL×3回)で抽出した後、有機層に硫酸ナトリウムを加えよく撹拌した。硫酸ナトリウム を濾過によって除去し、有機層をエバポレーターで濃縮した。その後、油状物質を蒸留水でよく洗い、次いでカラムクロマトグラフィーで精製した。なお、精製条件は、初期の(Rf=0.5、アルミナ、展開溶媒:塩化メチル)から(Rf=0.1、シリカゲル、展開溶媒:塩化メチル)に適宜切り替えた。得られた有機層をエバポレーターで濃縮し、黄色の油状物質を得た(収量:1.03g、収率:71%)。
ImdPy]の分析結果
IR (Neat/cm-1): 2965, 2928, 1590, 1493, 1280, 1128, 731;
1H NMR (400 MHz,CDCl3): δ (ppm) 1.20-1.25 (m, 9H, Ar-CH2CH3), 2.66 (q, 2H, 3JHH = 7.5 Hz, Ar-CH2CH3),2.75 (q, 4H, 3JHH = 7.5 Hz, Ar-CH2CH3), 2.84-3.16 (m, 12H, Ar-CH2CH2-Py, Ar-CH2CH2-Imd),3.47 (s, 6H, 2-Imd-NCH3), 6.81 (d, 2H, 3JHH = 1.3 Hz, 4-Imd-H), 6.99 (d, 2H, 3JHH = 1.3 Hz,5-Imd-H), 7.16 (ddd, 1H, 3JHH = 4.9 Hz, 7.5 Hz, 4JHH = 1.2 Hz, 5-Py-CH), 7.22 (ddd, 1H, 3JHH =7.8, 4JHH = 1.0 Hz, 3-Py-CH), 7.65 (ddd, 1H, 3JHH = 7.6 Hz, 4JHH = 1.9 Hz, 4-Py-CH), 8.59 (ddd,1H, 3JHH = 5.0 Hz, 4JHH = 1.8 Hz, 5JHH = 0.9 Hz, 6-Py-CH);
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ (ppm) 15.95, 16.00, 22.45, 22.56, 27.10, 28.51, 29.68, 32.33, 40.14, 120.43, 121.21, 122.33,127.21, 135.08, 135.74, 136.42, 139.38, 139.45, 147.85, 149.43, 161.58;
FAB-MS: m/z = 484([M+H]+), HRMS (FAB): m/z = 484.3444 ([M+H]+)
calcd. for C31H42N5 484.3440
(実施例1〜4および比較例1〜3)
金属錯体発光体(配位高分子)の合成
製造例5、6、9および12ならびに比較製造例1〜3で得られた配位子のそれぞれと金属源としての亜鉛塩との金属錯体発光体(配位高分子)7種を製造した。
配位子0.2ミリモル(0.1g程度)にアセトン(脱水)20mLを加え、配位子溶液を調製した。塩化亜鉛0.29ミリモル(0.042g)にアセトン(脱水)30mLを加え、塩化亜鉛溶液を調製した。配位子溶液に対して塩化亜鉛溶液を滴下し、室温下で8時間撹拌した。溶液をエバポレーターで濃縮した後、生じた沈殿を濾過によって集め、ジエチルエーテル20mLで数回洗浄して、配位高分子を得た。
得られた金属錯体発光体の収量および収率(用いた配位子と塩化亜鉛の重量との重量収率)を、測定した各金属錯体発光体の融点と共に表1に示す。
また、図1に金属錯体発光体の構造変化と融点の相関関係を示す。
図1は、融点の高いものから順に、得られた金属錯体を図の左から右に等間隔にプロットしたもので、縦軸に融点を示している。
さらに、測定した各金属錯体発光体の発光量子収率を表2に示す。
Figure 2015178563
Figure 2015178563
表1および表2によれば、本発明の熱耐性金属錯体発光体(実施例1〜4)は、従来の金属錯体発光体(比較例1〜3)と比較して、遜色のない優れた発光特性と耐熱性を有し、下記のように式(I)の3つの置換基Lが同種のヘテロアリール基である配位子を有する金属錯体発光体に対して、相対的に融点が大きく低下することがわかる。
表1によれば、式(I)の3つの置換基Lが同種のメチルイミダゾール基である配位子を有する比較例3の金属錯体発光体[ImdImd]の融点263℃に対して、置換基Lのメチルイミダゾール基の1つおよび2つをピリジル基に置き換えた配位子を有する実施例1および2の金属錯体発光体[ImdPy]および[PyImd]の融点はそれぞれ231℃および203℃に低下していることがわかる。
また同様にして、式(I)の3つの置換基Lが同種のピリジル基である配位子を有する比較例2の金属錯体発光体[PyPy]の融点202℃に対して、置換基Lのピリジル基の1つおよび2つをメチルピリジル基(ピコリル基)に置き換えた配位子を有する実施例3および4の金属錯体発光体[PyPico]および[PicoPy]の融点はそれぞれ169℃および153℃に低下していることがわかる。
さらに、実施例4の金属錯体発光体[PicoPy]における配位子の置換基Lの残り1つもメチルピリジル基に置き換えた比較例3の金属錯体発光体[PicoPico]の融点は149℃であり、実施例4の金属錯体発光体よりも僅かではあるが低いことがわかる。
以上の関係を示したものが図1であり、金属錯体発光体の構造変化、すなわち配位子の置換基Lの置き換えにより、融点が149〜263℃という約110℃もの温度幅で変化することがわかる。
このように本発明の熱耐性金属錯体発光体は、その適用場面、具体的には併用する樹脂材料の融点や加工温度に応じて、その融点を設定でき、発光性塗料や発光樹脂材料としての応用が広く期待できる。
(実施例5および6)
配位性化合物をさらに含む金属錯体発光体(配位高分子)の合成
容量30mLのナス型フラスコに、実施例3および実施例4で合成した金属錯体発光体(配位高分子)55mgおよびトリフェニルホスフィンオキシド(POPh3)79ミリモル(22mg)を入れ、テトラヒドロフラン5mLを加え、室温下で7時間撹拌した。その後、溶液をエバポレーターで濃縮した後、生じた沈殿を濾過によって集め、ジエチルエーテル20mLで数回洗浄して、配位高分子を得た。
得られた金属錯体発光体の収量を、測定した各金属錯体発光体の融点と共に表3に示す。
さらに、測定した各金属錯体発光体の発光量子収率を表4に示す。
Figure 2015178563
Figure 2015178563
表3および表4によれば、本発明の配位性化合物を含む熱耐性金属錯体発光体(実施例5および6)は、上記の本発明の金属錯体発光体(実施例1〜4)と同様に、優れた発光特性と耐熱性を有し、式(I)の3つの置換基Lが同種のヘテロアリール基である配位子を有する金属錯体発光体(比較例2)および本発明の配位性化合物を含まない金属錯体発光体(実施例3および4)に対して、相対的に融点が大きく低下することがわかる。
図1と、実施例5および6の結果とを合わせると、金属錯体発光体の構造変化および配位性化合物の添加により、融点が118〜263℃という約145℃もの温度幅で変化することがわかる。
このように本発明の熱耐性金属錯体発光体は、その適用場面、具体的には併用する樹脂材料の融点や加工温度に応じて、その融点を設定でき、発光性塗料や発光樹脂材料としての応用が広く期待できる。

Claims (8)

  1. 亜鉛塩、および式(I):
    Figure 2015178563
    (式中、
    Spは、炭素数1〜4のアルキレン基であり、
    Eは、メチレン基、エチレン基、O、SeおよびNHからなる群から選択され、
    Lは、アルキル基で置換されていてもよいヘテロアリール基であり、かつ少なくとも1つのLが他の2つのLと異なり、
    Rは、炭素数1〜6の炭化水素基である)
    で表される配位子を含むことを特徴とする熱耐性金属錯体発光体。
  2. 前記Lが、ピリジル基とメチルピリジル基との組み合わせ、またはピリジル基とN−メチルイミダゾリル基との組み合わせである請求項1に記載の熱耐性金属錯体発光体。
  3. 前記Spが、エチレン基である請求項1または2に記載の熱耐性金属錯体発光体。
  4. 前記Eが、メチレン基およびOからなる群から選択される請求項1〜3のいずれか1つに記載の熱耐性金属錯体発光体。
  5. 前記Rが、メチル基、エチル基およびフェニル基からなる群から選択される請求項1〜4のいずれか1つに記載の熱耐性金属錯体発光体。
  6. 前記亜鉛塩が、ZnCl2、ZnBr2、Zn(OAc)2およびZn(ClO4)2からなる群から選択される請求項1〜5のいずれか1つに記載の熱耐性金属錯体発光体。
  7. 前記金属錯体発光体が、式(II):
    1 m2 nX=E’
    (式中、
    1は、置換基を有していてもよいアリール基であり、
    2は、置換基を有していてもよいアルキル基であり、
    Xは、P、SおよびCからなる群から選択され、
    E’は、O、S、NR’(R’は置換基である)およびなしからなる群から選択され、
    mおよびnは、同一または異なって0〜3の整数でありかつm+nが2または3である)
    で表される配位性化合物をさらに含む請求項1〜6のいずれか1つに記載の熱耐性金属錯体発光体。
  8. 前記配位性化合物が、トリフェニルホスフィンオキシドである請求項7に記載の熱耐性金属錯体発光体。
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