JP2015178486A - 脂環式多価カルボン酸の製造方法 - Google Patents

脂環式多価カルボン酸の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】芳香族多価カルボン酸の水素添加反応により、対応する脂環式多価カルボン酸を製造する工程において、反応器内の反応混合物の除熱性能を安定に保ち、長期間にわたり安定した反応成績を得ること。また、反応器の除熱を冷却媒体との熱交換のみに依存せず、急速に加熱や除熱を行う際、熱媒体等の温度を著しく変動させることによるエネルギーロスを少なくすること、更に、除熱のための付加的構造物を必要としない脂環式多価カルボン酸の製造方法の提供。
【解決手段】水性媒体中で芳香族多価カルボン酸の芳香核を水素添加し、対応する脂環式多価カルボン酸を連続的に製造する方法において、反応器に供給する原料混合物の温度を調節することにより、反応温度を制御することを特徴とし、特に、反応温度が100℃以上200℃以下であり、反応器に供給される原料混合物の温度が反応温度より40℃〜120℃低い。
【選択図】なし

Description

本発明は、芳香族多価カルボン酸を原料として連続的に固体触媒存在下で水素化反応を行って、対応する脂環式多価カルボン酸を製造する方法に関し、詳しくはテレフタル酸(以下、「TPA」と記すことがある)等の芳香族多価カルボン酸の芳香核を水素化(以下「核水添」と記すことがある)して1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(以下、「1,4−CHDA」又は単に「CHDA」と記すことがある)等の対応する脂環式多価カルボン酸を製造する方法に関する。
1,4−CHDA等の脂環式多価カルボン酸は1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式多価アルコールの原料であり、これらのアルコール類は、ポリエステル系塗料やポリエステル系合成繊維、合成樹脂等の原料として有用であり、特に耐熱性、耐候性、物理的強度等の優れた樹脂や繊維の原料として用いられる。
日本国特開2002−255895号公報には、融点が250℃以上の芳香族カルボン酸を水素化して芳香族カルボン酸水素化物を製造する方法において、芳香族カルボン酸と溶媒とからスラリー液を調合し、該スラリーを連続的に反応器に供給し、固体触媒存在下に水素化反応を行い、かつ反応器から連続的に抜き出した反応液の少なくとも一部を反応器に循環することで、反応器内で芳香族カルボン酸が実質的に全量溶解した状態で水素化反応を行うことを特徴とする芳香族カルボン酸水素化物の製造方法が開示されている。
ここでは、反応器は固定床でも撹拌槽型でもよいとされているが、反応器の温度の制御方法には言及されていない。しかしながら、固定床反応を工業的規模で実施しようとすると、反応帯域のすべてにおいて反応温度を均一に維持することは一般には困難である。
また、反応液を反応器に循環する際には、固定床と撹拌槽型のいずれの場合でも、熱バランス上、反応液を、反応器から抜き出した後の循環ライン中で冷却するか、反応原料液と混合する工程で反応原料液によって熱的に希釈するか等、いずれの場合も反応液を冷却する工程が必要である。
また、撹拌槽反応器を用いたテレフタル酸(TPA)から1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)への溶液水素化反応公知技術の例では、反応器からの除熱方法としては汎用的な、ジャケット方式、内部コイル式、あるいは外部に設けた熱交換器への循環式が示されている。しかしながら、このような伝熱面を介した冷却方法を用いると、伝熱面に原料や反応生成物が析出・付着してしまい、急速に伝熱効率が低下することが多い。
日本国特開2002−255895号公報
本発明の第1の課題は、芳香族多価カルボン酸の水素添加反応により、対応する脂環式多価カルボン酸を製造する工程において、反応器内の反応混合物の除熱性能を安定に保ち、長期間にわたり安定した反応成績を得ることである。
本発明の第2の課題は、反応器の除熱を冷却媒体との熱交換のみに依存せずに行うようにすることである。これにより熱交換による除熱において問題となる、加熱や除熱を急速
に行おうとする場合の、熱媒体等の温度を著しく高く又は低くすることによるエネルギーロスを少なくすることができる。
本発明の第3の課題は、除熱のための付加的構造物を必要とせずに芳香族多価カルボン酸の水素添加を行うことができる方法の提供である。これによって反応器の構造の簡素化と反応器内の撹拌効率の維持・向上が図られる。
上記課題に対し、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、反応装置として少なくとも原料調製槽と反応器とを含む反応装置を使用し、かつ供給する水性媒体の冷熱エネルギーによって発熱反応の反応熱を除くことができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の要旨は、以下の[1]〜[6]に存する。
[1]水性媒体中で芳香族多価カルボン酸の芳香核を水素添加し、対応する脂環式多価カルボン酸を連続的に製造する方法において、反応器に供給する原料混合物の温度を調節することにより、反応温度を制御する脂環式多価カルボン酸の製造方法。
[2]反応器に供給する原料混合物の温度が、反応温度に対し、反応熱により補償しうる温度である、[1]に記載の脂環式多価カルボン酸の製造方法。
[3]原料混合物における、芳香族多価カルボン酸と水性媒体との混合比率を、芳香族多価カルボン酸/水性媒体の重量比として、5/95〜50/50の範囲とする、[1]又は[2]に記載の脂環式多価カルボン酸の製造方法。
[4]反応温度が100℃以上200℃以下であり、反応器に供給される原料混合物の温度が反応温度より40℃〜120℃低い、[1]〜[3]のいずれか1に記載の脂環式多価カルボン酸の製造方法。
[5]反応温度の制御を、反応器に供給する原料混合物の温度によって行う、[1]〜[4]のいずれか1に記載の脂環式多価カルボン酸の製造方法。
[6]原料調製槽又は原料調製槽と反応器との間に設けた原料温度調節器を用いて、反応器に供給する原料混合物の温度を調節する、[1]〜[5]のいずれか1に記載の脂環式多価カルボン酸の製造方法。
本発明の方法を用いることにより、反応熱の除熱性能が付着物等の影響を受けにくくなって、反応を安定に保つことができ、反応器の内部にも付加的な除熱設備を設けることなく、簡便に反応器の温度制御を行うことができる。
図1は、本発明において、原料調製槽と反応器との間に熱交換器を設置して原料混合物の温度を調節できるようにした例を示す反応装置の模式図である。 図2は、本願実施例のヒートバランスを示す模式図である。
<芳香族多価カルボン酸>
本発明に用いる芳香族多価カルボン酸としては、芳香環に結合した2個以上のカルボキシル基を有する化合物であれば特に限定されることなく用いることができる。
芳香族多価カルボン酸としては、1分子内にカルボキシル基を2〜4個有することが好ましく、特に2個が好ましい。芳香族ジカルボン酸の水素添加物である脂環式ジカルボン酸から脂環式ジオールが得られ、これはポリマーの製造原料として用いることができるからである。また、芳香族多価カルボン酸は単独でも2種類以上の混合物として用いてもよい。
芳香族多価カルボン酸としては、炭素数4〜14の芳香環を有する芳香族多価カルボン酸を挙げることができ、具体的には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,1’−ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などが挙げられる。
これらの化合物の中でも、炭素数4〜10の芳香環を有する芳香族ジカルボン酸が好ましく、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸がより好ましい。最も好ましいのはテレフタル酸である。
<水性媒体>
本発明の方法における水素添加反応は液相反応であり、通常は溶媒の存在下で行われる。溶媒としては、反応工程において原料や生成物等と反応せず、反応を阻害せず、触媒を被毒しないもの等、反応の進行に悪影響を与えないものであれば特に制限されない。このような溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノールなどのアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;ヘキサン、デカリンなどの炭化水素類などが挙げられる。これらの溶媒を単独であるいは混合して用いることができる。
中でも、発熱反応である水素添加反応において、反応熱による温度上昇が少ない溶媒、即ち比熱が大きい溶媒が望ましい。また、溶媒としては沸点の高いものが望ましい。沸点の低い溶媒、即ち蒸気圧が高い溶媒では、反応熱による液温の上昇により溶媒の蒸気圧が上昇し、結果的に気相中の水素分圧が低下して、水素の溶媒中への溶解度が減少し、反応速度が低下するからである。即ち、溶媒としては水を含む水性媒体、特に水を用いるのが好ましい。なお、溶媒中に生成物である脂環式多価カルボン酸を含有していてもよい。
<芳香族多価カルボン酸と水性媒体との混合比率>
本発明の方法においては、反応器に供給する芳香族多価カルボン酸と水性媒体との混合比率(重量比)は、5/95〜50/50であることが好ましい。より好ましい比率は10/90〜30/70である。
スラリー中の芳香族多価カルボン酸と水性媒体との混合比率(重量比)が5/95未満のように低い場合は、反応時の発熱量が小さくなるので、反応温度の制御は容易になるが、反応生成液からの反応物と溶媒との分離が難しくなる。一方、芳香族多価カルボン酸と水性媒体との混合比率が50/50を超えて高くなると、反応熱が大きくなって反応の制御性が悪化するとともに、スラリーの流動性が悪化して、反応器への移送・供給や、反応の進行が不均一になる等の問題が起こることがある。また、生成液からの触媒の分離・回収も困難になることがある。
<反応温度>
本発明の方法が適用される芳香族多価カルボン酸の水素添加反応の反応温度は、100℃〜200℃であることが好ましく、150〜190℃であることがより好ましい。反応温度が100℃より低いと反応速度が著しく遅くなり、生産効率が低下する傾向がある。一方、反応温度が200℃を超えると、副反応が多く発生し目的生成物の収率が低下したり、溶媒の蒸気圧が高くなるため、同じ水素分圧を維持するためには過大な加圧反応が必要となり、設備の耐圧強度も高いものが求められたりするため、設備費用が増大し、経済性が劣る傾向がある。
<スラリーの供給温度>
本発明の方法に用いる原料混合物であるスラリー(芳香族多価カルボン酸と水性媒体との混合物を主として含む)を反応器に供給するときの温度は、25〜100℃とすることが好ましい。スラリーの供給温度が25℃未満となると、反応器の内温とスラリー供給口周辺の温度差が大きくなり、反応液中に溶解した成分が供給口周辺で析出して、スラリー供給口が狭窄化したり、閉塞したりする可能性がある。
一方、スラリーの供給温度が100℃を超えると反応速度が非常に速くなるが、この反応は発熱反応であるため、場合によっては反応熱によって反応温度が更に高くなり、暴走反応となる可能性もある。暴走反応を予防するためには、反応液の体積を制限したり、大型の冷却設備を設けたりする等の対策が必要となる。反応器へのスラリーの供給温度を上記範囲とすることにより、反応を安定して効率的に進めることができるため好ましい。
<スラリーの供給時の温度調節による反応温度の制御>
本発明では、反応器に供給する原料混合物スラリーの温度を調節することにより、反応温度を制御することを特徴とする。反応器に供給する原料混合物スラリーの温度を調節する方法は、特に限定されないが、原料調製槽と反応器とを含む反応装置を使用し、原料調製槽又は原料調製槽と反応器との間に設けた原料温度調節器を用いて、前記原料混合物の温度を調節することにより、反応温度を制御することが好ましい。
本発明の方法において、原料調製槽と反応器との間に熱交換器を設置して原料温度を調節できるようにした例を図1に示す。図1に示したように、原料調製槽1と反応器2とをつなぐ移送配管に原料温度調節器4が設置され、反応器2には水素昇圧コンプレッサ3が接続されている。原料調製槽1に貯留した原料混合物はポンプ5により反応器2に移送される。
ここで、反応温度を所望の温度とするためには、例えば
1)原料の供給量と反応条件に基づき、単位時間あたりに発生する反応熱を計算し、
2)これを生成物と溶媒との混合物の比熱で除することで、反応により反応系が上昇する温度を推定し、
3)上記の温度上昇に見合うように、系内に供給する原料成分のスラリーの熱容量から、当該スラリーの温度を調節する、
等の方法を用いればよい。
このような反応温度の調節は、原料調製槽又は原料調製槽と反応器との間に設けた熱交換器(原料温度調節器)を用いて、供給原料の温度を調節することにより達成できる。
より具体的には、原料調製槽として、ジャケット(外部式でも内部式でもよい)、内部コイル、外部循環式熱交換器、等の原料温度調節器(温度調節手段)を有するものを用いて供給原料(スラリー)の調製及び温度制御を行う方法、原料調製槽と反応器とをつなぐ移送配管に原料温度調節器として熱交換器を設置して温度を調節する方法、又はこれらの組み合わせ、などが挙げられる。効率の面と閉塞やメンテナンスの容易さの点から、多管式熱交換器(シェルアンドチューブ式熱交換器)を原料調製槽及び/又は移送配管に設ける方法が好ましい。
本発明の反応温度の調節又は制御は、反応器に供給する原料混合物(スラリー)の温度によって行う。更に、反応の制御性を向上させるため、補助的に反応器に温度調節用のジャケットを設けてもよい。
本発明によれば、溶媒の種類、原料芳香族多価カルボン酸の仕込み濃度のいずれを操作する場合でも、通常、原料混合物の加熱のみで熱バランスを取ることが可能となる。
本発明によれば、反応器に供給する原料混合物の調節された温度と、反応熱とにより反応温度を維持することができる。即ち、反応器に供給する原料混合物の温度を、反応温度に対し、反応熱により補償しうる温度とすることが好ましい。
反応器に供給される原料混合物の好適な温度は、スラリー濃度にも依存するが、反応温度が100℃〜200℃の場合、反応温度より40℃〜120℃低いことが好ましく、反応温度より50℃〜115℃低いことが好ましい。
<従来法との対比と発明の効果>
従来の方法では、反応温度の調節は、外部循環ラインを設けて反応器外に取り出したスラリーから濾過装置を用いて固体成分(Pd/C触媒や液中に溶解しきれない原料成分などの固体成分)を分離しつつ、当該ラインに流体加熱用の熱交換器を設ける方法により行われるのが一般的である。
しかし、例えばクロスフロー型の濾過システムを使用した連続濾過においては、通常1次側には透過量に対して著しく多い量(例えば約10倍等)の流体を流す必要があり、循環ラインでの圧力損失を考慮して大きな熱交換器を設けたり、流体移送用のポンプを大流量のものを用いたりする必要があった。
本発明の方法では、反応器よりも上流側、即ち原料供給ラインで加熱する方法であるため、伝熱面積の制約もなく、また反応器内部にコイル等を設ける必要もないため反応器の構造もシンプルなもので十分である。しかも、ポンプ等についても原料供給のために必要なポンプ等の流体駆動装置以外に新たな装置を必要とせず、また、上記の外部循環法に比べて熱交換器を通過する液流量は約1/10程度で済むため圧力損失も小さく、ポンプ等に要求される追加の駆動力も少なくて十分である。
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
実施例1
<前提>
図1に示すような構成の反応装置を用いてテレフタル酸(TPA)を水素添加して1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)を製造する。
まず、常温の原料調製槽中で、約20℃のTPA1599kg/hを20℃の水6397kg/h中に混合・分散させて、TPA濃度が20重量%のスラリーを調製する(TPA/水(重量比)=20/80)。
このスラリーを、水素によって6.1MPa・G(ゲージ圧、以下同じ)まで昇圧し、7996kg/hの供給量で、スラリー移送配管の途中に設けられた多管式熱交換器を用いて91℃に温度を調節した上で、170℃に保たれた撹拌機付きの反応器に供給する。
反応器にパラジウムが活性炭に担持された触媒(Pd/C触媒)を2重量%となるように流動させつつ、撹拌槽内を6.1MPa・Gに保持して、114℃の水素(6.1MPa・G)を2664Nm/hで反応器に供給する。
Pd/C触媒を濾過しつつ、反応器から反応生成液を161280kg/hと飽和水蒸気を含む水素ガスを1986Nm/hの割合で連続的に取り出し、この95%(153224kg/h)を反応器へ循環させつつ、TPAの芳香核が水素添加された、CHDAの水溶液を8056kg/hの生産率で得る。
反応温度を170℃の一定温度として、この運転を150時間継続すると、テレフタル酸転化率99.8%で、CHDAの収率は97.5%となる。
このときの、原料スラリー供給温度(91℃)は以下のようにして推定して、決定したものである。
<原料供給温度の決定方法>
上記例におけるヒートバランスを図2に示す。図2は、図1に示した反応装置から反応器2の部分を取り出して示すものであり、そのヒートバランス制御のための2基の熱交換器4及び固体触媒や液中に溶解しきれない原料成分・反応生成物などの固体成分を濾別す
るための濾過モジュール6を有している。
(プロセス条件)
原料スラリー供給温度:X℃
反応温度:170℃(但し放熱ロスを考慮して、設定温度は172℃とする)
原料水素ガス供給温度:113℃
製品抜出温度:170℃
未反応ガス抜出温度:172℃
未反応ガス凝縮水返送温度:40℃
反応液循環加熱温度:入温170℃→出温172℃
(ヒートバランス計算)
上記の前提に基づいて、ASPEN Tech社の「ASPEN Plus Ver.7.2」を使用してヒートバランス計算を実施した。計算に用いる比熱等の熱力学的物性値は上記ソフトウェアが内蔵する物性データベースを用いて引用又は算出して使用した。
概略の計算手順を以下に記す。
(1)上記例の運転におけるTPA供給量(1599kg/h)と、反応条件(反応温度170℃、6.1MPa・G)より、水素添加による発熱量は、489Mcal/hとなる。
(2)供給水素ガスの温度を113℃(6.1MPa・G、2664Nm/h)と設定すると、これを反応液温の172℃まで昇温するためには、49Mcal/hの加熱が必要となる。
(3)反応器から排出されるガス(飽和水蒸気を含む水素ガス:1986Nm/h)を40℃まで冷却するためには、83Mcal/h必要である。
(4)反応温度170℃を安定に維持するための保温のため、循環ラインにて170℃の反応液(TPA1599kg/h+水6397kg/hのスラリー)を、172℃までの加熱に要する熱量は343Mcal/hとなる。
(熱収支:基準温度は反応温度の170℃とする)
反応熱:489Mcal/h
排出水素冷却:83Mcal/h
循環反応液加熱:343Mcal/h
原料水素ガス持込冷熱:△49Mcal/h
過剰水素/水蒸気蒸発潜熱+40℃凝縮水持込冷熱:△237Mcal/h
(供給原料が持ち込むべき冷熱)
以上の結果から、供給原料であるTPA/水スラリーが反応器に供給すべき冷熱量は、
(489+83+343)−(49+237)=629Mcal/h
と計算される。
この熱量に相当する供給温度(図2中のX℃)を、上記の供給流量・混合比と各成分の比熱とを考慮して算出すると、スラリーの供給温度は91℃と計算される。
実施例2
次の点を変更した以外は、実施例1と同様に実施した。
即ち、常温の原料調製槽中で、約20℃のTPA800kg/hを20℃の水7196kg/h中に混合・分散させて、TPA濃度が10重量%のスラリーを調製する(TPA/水(重量比)=10/90)。このスラリーを、水素によって6.1MPa・G(ゲージ圧、以下同じ)まで昇圧し、7996kg/hの供給量で、スラリー移送配管の途中に設けられた多管式熱交換器を用いて113℃に温度を調節した上で、170℃に保たれた
撹拌機付きの反応器に供給する。
反応器にパラジウムが活性炭に担持された触媒(Pd/C触媒)を2重量%となるように流動させつつ、撹拌槽内を6.1MPa・Gに保持して、74℃の水素(6.1MPa・G)を1342Nm/hで反応器に供給する。Pd/C触媒を濾過しつつ、反応器から反応生成液を160789kg/hと飽和水蒸気を含む水素ガスを951Nm/hの割合で連続的に取り出し、この95%(152759kg/h)を反応器へ循環させつつ、TPAの芳香核が水素添加された、CHDAの水溶液を8031kg/hの生産率で得る。
このときの、原料スラリー供給温度(112℃)は以下のようにして推定して、決定したものである。概略の計算手順を以下に記す。
(1)上記例の運転におけるTPA供給量(800kg/h)と、反応条件(反応温度170℃、6.1MPa・G)より、水素添加による発熱量は、257Mcal/hとなる。
(2)供給水素ガスの温度を113℃(6.1MPa・G、1342Nm/h)と設定すると、これを反応液温の172℃まで昇温するためには、42Mcal/hの加熱が必要となる。
(3)反応器から排出されるガス(飽和水蒸気を含む水素ガス:951Nm/h)を40℃まで冷却するためには、40Mcal/h必要である。
(4)反応温度170℃を安定に維持するための保温のため、循環ラインにて170℃の反応液(TPA800kg/h+水7196kg/hのスラリー)を、172℃までの加熱に要する熱量は366Mcal/hとなる。
(熱収支:基準温度は反応温度の170℃とする)
反応熱:257Mcal/h
排出水素冷却:40Mcal/h
循環反応液加熱:366Mcal/h
原料水素ガス持込冷熱:△42Mcal/h
過剰水素/水蒸気蒸発潜熱+40℃凝縮水持込冷熱:△115Mcal/h
(供給原料が持ち込むべき冷熱)
以上の結果から、供給原料であるTPA/水スラリーが反応器に供給すべき冷熱量は、
(257+40+366)−(42+115)=506Mcal/h
と計算される。
この熱量に相当する供給温度(図2中のX℃)を、上記の供給流量・混合比と各成分の比熱とを考慮して算出すると、スラリーの供給温度は113℃と計算される。
実施例3
次の点を変更した以外は、実施例1と同様に実施した。
即ち、常温の原料調製槽中で、約20℃のTPA2399kg/hを20℃の水5597kg/h中に混合・分散させて、TPA濃度が30重量%のスラリーを調製する(TPA/水(重量比)=30/70)。このスラリーを、水素によって6.1MPa・G(ゲージ圧、以下同じ)まで昇圧し、7996kg/hの供給量で、スラリー移送配管の途中に設けられた多管式熱交換器を用いて58℃に温度を調節した上で、170℃に保たれた撹拌機付きの反応器に供給する。
反応器にパラジウムが活性炭に担持された触媒(Pd/C触媒)を2重量%となるように流動させつつ、撹拌槽内を6.1MPa・Gに保持して、128℃の水素(6.1MPa・G)を3990Nm/hで反応器に供給する。Pd/C触媒を濾過しつつ、反応器から反応生成液を161924kg/hと飽和水蒸気を含む水素ガスを2391Nm/hの割合で連続的に取り出し、この95%(153836kg/h)を反応器へ循環させ
つつ、TPAの芳香核が水素添加された、CHDAの水溶液を8088kg/hの生産率で得る。
このときの、原料スラリー供給温度(58℃)は以下のようにして推定して、決定したものである。概略の計算手順を以下に記す。
(1)上記例の運転におけるTPA供給量(2399kg/h)と、反応条件(反応温度170℃、6.1MPa・G)より、水素添加による発熱量は、257Mcal/hとなる。
(2)供給水素ガスの温度を128℃(6.1MPa・G、3990Nm/h)と設定すると、これを反応液温の172℃まで昇温するためには、56Mcal/hの加熱が必要となる。
(3)反応器から排出されるガス(飽和水蒸気を含む水素ガス:2391Nm/h)を40℃まで冷却するためには、122Mcal/h必要である。
(4)反応温度170℃を安定に維持するための保温のため、循環ラインにて170℃の反応液(TPA2399kg/h+水5597kg/hのスラリー)を、172℃までの加熱に要する熱量は324Mcal/hとなる。
(熱収支:基準温度は反応温度の170℃とする)
反応熱:760Mcal/h
排出水素冷却:122Mcal/h
循環反応液加熱:324Mcal/h
原料水素ガス持込冷熱:△56Mcal/h
過剰水素/水蒸気蒸発潜熱+40℃凝縮水持込冷熱:△349Mcal/h
(供給原料が持ち込むべき冷熱)
以上の結果から、供給原料であるTPA/水スラリーが反応器に供給すべき冷熱量は、
(760+122+324)−(56+349)=801Mcal/h
と計算される。
この熱量に相当する供給温度(図2中のX℃)を、上記の供給流量・混合比と各成分の比熱とを考慮して算出すると、スラリーの供給温度は58℃と計算される。
<結果の確認>
上記の通り、本発明の方法を用いることにより、水性媒体中で芳香族多価カルボン酸を核水添し、対応する脂環式多価カルボン酸を連続的に製造する方法において、供給する原料の温度を調節することにより、反応温度を制御することが可能となり、簡便な設備で安定的に脂環式多価カルボン酸を製造することが可能となる。
本発明を詳細にまた特定の実施形態を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は、2014年2月26日出願の日本特許出願(特願2014−035826)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明により、水性媒体中で芳香族多価カルボン酸を核水添し、対応する脂環式多価カルボン酸を連続的に製造する方法において、反応熱の除熱性能が付着物等の影響を受けにくくなるので反応を安定に保つことができ、かつ反応器の内部に付加的な除熱設備を要することもない、反応器の温度制御を行うことができる方法が提供される。
1:原料調製槽
2:反応器
3:水素昇圧コンプレッサ
4:原料温度調節器(熱交換器)
5:ポンプ
6:濾過モジュール

Claims (6)

  1. 水性媒体中で芳香族多価カルボン酸の芳香核を水素添加し、対応する脂環式多価カルボン酸を連続的に製造する方法において、反応器に供給する原料混合物の温度を調節することにより、反応温度を制御する脂環式多価カルボン酸の製造方法。
  2. 反応器に供給する原料混合物の温度が、反応温度に対し、反応熱により補償しうる温度である、請求項1に記載の脂環式多価カルボン酸の製造方法。
  3. 原料混合物における、芳香族多価カルボン酸と水性媒体との混合比率を、芳香族多価カルボン酸/水性媒体の重量比として、5/95〜50/50の範囲とする、請求項1又は2に記載の脂環式多価カルボン酸の製造方法。
  4. 反応温度が100℃以上200℃以下であり、反応器に供給される原料混合物の温度が反応温度より40℃〜120℃低い、請求項1〜3のいずれか1項に記載の脂環式多価カルボン酸の製造方法。
  5. 反応温度の制御を、反応器に供給する原料混合物の温度によって行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載の脂環式多価カルボン酸の製造方法。
  6. 原料調製槽又は原料調製槽と反応器との間に設けた原料温度調節器を用いて、反応器に供給する原料混合物の温度を調節する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の脂環式多価カルボン酸の製造方法。
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