JP2015178475A - 高純度フェノール - Google Patents
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Abstract
Description
精製工程において用いる水は、窒素含有量が少なく、色相に優れたフェノールを得やすいことから、窒素化合物の含有量が少ない水が好ましい。本発明に係る精製工程においては、上述のとおり、水抽出蒸留、酸分解工程により得られる液の中和、水洗などで水を用いることがある。窒素化合物の含有量は、具体的には、窒素原子量として1ppm未満であることが好ましく、0.3ppm未満であることが更に好ましく、0.2ppm未満であることが特に好ましく、実質的に含有しないものが最も好ましい。なお、フェノール製造プラントにおいては、通常、微量の窒素が含まれている水をリサイクルして利用している。そこで、このような高純度な水は、陽イオン交換樹脂で処理された水を用いることが好ましい。
ヒドロキノン、カテコール、ベンゾキノンおよび水に含まれる窒素化合物が着色原因物質となっているため、窒素化合物の含有量を窒素原子量として0.1ppm未満に、蟻酸と酢酸の合計含有量を1ppm以上5ppm未満に、ヒドロキノン、カテコールおよびベンゾキノンが何れも0.4ppm未満にすることにより、色相に優れたフェノールを得ることができたと考えらえる。
カラム:東ソー(株)製「TSKgel SuperIC−AZ」
溶離液:NaHCO31.9ミリモル/リットル+Na2CO33.2ミリモル/リットル
検出:電気伝導度
流速:0.8ミリリットル/分
検出方式:酸化分解、化学発光法(波長590〜2500nm)
キャリアガス:酸素600ミリリットル/分
反応ガス:オゾン200ミリリットル/分
加熱炉温度:上部800℃、下部900℃
カラム:財団法人化学物質評価研究機構製「 L−column ODS」
移動相A: アセトニトリル
移動相B:0.1体積%ギ酸
検出: フォトダイオードアレイPDA996
流速:1.0 ミリリットル/分
本発明者は、先ず、フェノールの色相について経時変化することが無いか検討を行い、製造直後には殆ど着色がみられなくとも、融解状態で長時間、例えば24時間保存後に着色することがあることを見出した。そして、更に、長時間保存せずとも着色のし易さを評価できないかと考え、フェノールの保存状態について検討を行い、フェノールを凝固させた後に融解させることにより、フェノールが速く着色することを見出した。
フェノールの常圧における融点は40.5℃であるが、フェノールの凝固及び融解は、フェノールをフェノールの融点未満又は融点以上に保持することにより行うことができる。フェノールを凝固させる時の温度は、速く凝固させやすい点では低温が好ましいが、色相変化を加速させやすい点では高温が好ましいと考えられる。そして、冷却作業が不要となる点では、室温がフェノールの融点未満である場合は、室温で凝固させることが好ましい。また、氷を用いて簡便に冷却できる点では0℃も好ましい。そこで、具体的には、35℃以下で凝固させることが好ましく、20℃以下で凝固させることが更に好ましく、氷を用いて約0℃で凝固させることが最も好ましい。フェノールを融解させる時の温度は、速く融解させやすい点では高温が好ましいが、色相変化を加速させやすく、簡便に加熱を行いやすい点では低温が好ましいと考えられる。そこで、具体的には、50℃以上で融解させることが好ましく、55℃以上で融解させることが更に好ましく、また、一方、100℃以下で融解させることが好ましく、80℃以下で融解させることが更に好ましい。
クメン法により製造したフェノールについて、本発明に係る色相評価方法により、フェノールの色相変化を加速させ、短時間で着色しやすいフェノールであるか否かを評価できることは後述する実施例において裏付けられたとおりであるが、フェノール中の着色原因物質は、フェノールの製造に用いた原料やフェノールの製法に依存すると考えられることから、本発明に係る色相評価方法は、特にクメン法により製造したフェノールに好適であることがわかる。
されるものではない。
クメンを酸化することにより、クメンハイドロパーオキサイドを含む反応液を得た。この反応液を脱ガスしてから減圧下で濃縮した。濃縮した液に硫酸を添加して、クメンハイドロパーオキサイドをフェノールとアセトンとに分解した。この液を図1に示す工程に従って精製することにより高純度なフェノールを得た。
酸分解Aさせた液をラインミキサーに移し、水酸化ナトリウム水溶液bを加えて中和Cさせた後、油水分離装置を使いて水相を除去Dすることにより有機相を得た。有機相に含まれる芒硝を水洗Eすることにより除去した。水洗を施した液を以下手順で蒸留を繰り返すことにより、蟻酸が2ppm、酢酸が1ppm未満、窒素化合物が0.1ppm未満である高純度なフェノールを得た。
続いて、高沸分1bを蒸留2することにより、塔底からアセトフェノン、α−メチルスチレンダイマー、クミルフェノール、ヒドロキノン、カテコールおよびベンゾキノンなどの高沸分2bを除去すると共に、塔頂から濃縮されたフェノール2tを回収した。蒸留2は、塔頂温度160℃、塔底温度209℃、塔頂圧力約53kPa、塔底圧力74kPaで行った。液組成から計算した理論段数は67段であり、原料供給段は23段目であった。また、塔底からの高沸分2bの抜き出し量は、蒸留2への供給量に対して5重量%であった。
高純度フェノール4sを三菱化学(株)製全窒素分析装置「TN−100」を用いて以下の条件で測定した。この結果、高純度フェノール4sに含まれる窒素化合物の量は、窒素原子量として、0.1ppm未満であった。
検出方式:酸化分解、化学発光法(波長590〜2500nm)
キャリアガス:酸素600ミリリットル/分
反応ガス:オゾン200ミリリットル/分
加熱炉温度:上部800℃、下部900℃
カラム:東ソー(株)製「TSKgel SuperIC−AZ」
溶離液:NaHCO31.9ミリモル/リットル+Na2CO33.2ミリモル/リットル
検出:電気伝導度
流速:0.8ミリリットル/分
カラム:財団法人化学物質評価研究機構製「 L−column ODS」
移動相A: アセトニトリル
移動相B:0.1体積%ギ酸
検出: フォトダイオードアレイPDA996
流速:1.0 ミリリットル/分
また、株式会社日立ハイテクノロジーズ製UV−vis分光光度計「U−3010」を用いて、測定モード:Abs、スリット幅:2.0nm、走査速度:60nm/分、開始波長:700nm、終了波長:200nm、データ取込間隔:2.0nmで測定した波長480mmにおける強度は、0.001abs未満であった。
実施例1において、水抽出蒸留3および蒸留4を以下の条件に変更し、水抽出蒸留、酸分解工程により得られる液の中和および水洗で窒素化合物の含有量が窒素原子量として1ppm以上の水を用いた以外は、同様に実験を行い、フェノールを得た。
水抽出蒸留3では、側流からの抜出量を、水抽出蒸留3に供給する濃縮されたフェノール2tの1.4重量%とした。また、蒸留4では、液組成から計算した理論段数が25段、原料供給段が22段目、側流抜出段が4段目となる条件で行った。
以上の結果より、本発明のフェノールが高純度で色相に優れていることが裏付けられた。
クメン法により製造直後のフェノール液(室温により凝固する前)のハーゼン色数を、目視で評価したところ、5未満であった。
参考例1でハーゼン色数を評価したフェノール液を、24時間60℃で保存した後に、そのハーゼン色数を目視で評価したところ、20であった。
参考例1でハーゼン色数を評価したフェノール液(室温により凝固する前)200cm3を耐熱性のガラス容器に入れた。このガラス容器を氷水に45分間漬けることによりフェノールを凝固させた後、60℃の恒温槽に45分間保持することにより溶融させた。ハーゼン色数を目視で評価したところ20であった。
参考例1でハーゼン色数を評価したフェノール液とは別にクメン法により製造された、製造直後のフェノール液(室温により凝固する前)200cm3を耐熱性のガラス容器に入れた。このガラス容器を氷水に45分間漬けることによりフェノールを凝固させた後、60℃の恒温槽に45分間保持することにより溶融させた。この凝固と融解の操作を合計3回繰り返した。ハーゼン色数を目視により評価した結果、15であった。
参考例1及び4でハーゼン色数を評価したフェノール液とは別にクメン法により製造された、製造直後のフェノール液(室温により凝固する前)のハーゼン色数を目視で評価したところ、5未満であった。
参考例5でハーゼン色数を評価したフェノール液を、24時間60℃で保存した後に、そのハーゼン色数を目視で評価したところ、5未満であった。
参考例5でハーゼン色数を評価したフェノール液(室温により凝固する前)200cm3を耐熱性のガラス容器に入れた。このガラス容器を氷水に45分間漬けることによりフェノールを凝固させた後、60℃の恒温槽に45分間保持することにより溶融させた。ハーゼン色数を目視で評価したところ5未満であった。
市販のフェノールに含まれる窒素化合物の含有量を実施例1と同様にして測定した。結果は、以下のとおりであった。微量の窒素を含んでいたことから、精製工程において窒素化合物を含有する水を使用していたと推定された。
和光純薬工業株式会社製フェノール;窒素原子量として0.8ppm
関東化学株式会社製フェノール;窒素原子量として0.8ppm
東京化成工業株式会社製フェノール;窒素原子量として0.8ppm
三井化学株式会社製フェノール;窒素原子量として0.9ppm
Claims (1)
- 窒素化合物の含有量が窒素原子量として0.1ppm未満であり、蟻酸と酢酸の合計含有量が1ppm以上5ppm未満であり、ヒドロキノン、カテコールおよびベンゾキノンが何れも0.4ppm未満であることを特徴とするフェノール。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014056870A JP2015178475A (ja) | 2014-03-19 | 2014-03-19 | 高純度フェノール |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014056870A JP2015178475A (ja) | 2014-03-19 | 2014-03-19 | 高純度フェノール |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2015178475A true JP2015178475A (ja) | 2015-10-08 |
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ID=54262809
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JP2014056870A Pending JP2015178475A (ja) | 2014-03-19 | 2014-03-19 | 高純度フェノール |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2015178475A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10532968B2 (en) | 2016-11-14 | 2020-01-14 | Lg Chem, Ltd. | Method for purifying phenol |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005002075A (ja) * | 2003-06-16 | 2005-01-06 | Mitsubishi Chemicals Corp | フェノール及びその製造方法 |
WO2014010510A1 (ja) * | 2012-07-13 | 2014-01-16 | 出光興産株式会社 | ビスフェノールaの製造方法 |
-
2014
- 2014-03-19 JP JP2014056870A patent/JP2015178475A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2005002075A (ja) * | 2003-06-16 | 2005-01-06 | Mitsubishi Chemicals Corp | フェノール及びその製造方法 |
WO2014010510A1 (ja) * | 2012-07-13 | 2014-01-16 | 出光興産株式会社 | ビスフェノールaの製造方法 |
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