JP2015177622A - ブラシレスモータの制御装置及び制御方法 - Google Patents

ブラシレスモータの制御装置及び制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】設定デューティとスイッチング素子の出力平均デューティとの乖離を低減する。【解決手段】3相ブラシレスモータの2相に対してスイッチング素子がPWM信号に応じたパルス電圧を印加する通電モードを、非通電相のパルス誘起電圧に基づいて切り替えるモータ制御装置は、設定デューティDtが下限デューティDmin未満である場合(S3005)、PWM信号の連続する2周期を主周期と調整周期とに区分して、主周期では、パルス誘起電圧を検出する周期として下限デューティDminに制限し、調整周期では、主周期デューティD1と調整周期デューティD2とを平均化した平均デューティが設定デューティDtとなるように調整周期デューティD2を調整する(S3008,S3009)。そして、PWM信号のデューティに対するスイッチング素子の応答性に応じて、主周期デューティD1又は調整周期デューティD2を補正する(S3010,S3011)。【選択図】 図10

Description

本発明は、ブラシレスモータの制御装置及び制御方法に関し、詳しくは、3相ブラシレスモータの通電モードの切り替え判定を、センサレスで行う制御装置及び制御方法に関する。
従来のブラシレスモータの制御装置及び制御方法として、3相ブラシレスモータにおいて、2相にPWM(Pulse Width Modulation)信号に応じたパルス電圧を印加する通電モードを、パルス電圧の印加中に非通電相に誘起されるパルス誘起電圧が通電モードごとに定められる閾値を横切ったときに、切り替えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、2相にパルス電圧を印加した直後にはパルス誘起電圧が振れるため、ブラシレスモータを低速で回転させるためにPWM信号のデューティを小さくすると、パルス誘起電圧の振れ期間内でパルス誘起電圧をサンプリングすることになり、通電モードの切り替えタイミングを誤る可能性がある。
このため、特許文献1のブラシレスモータの制御装置及び制御方法では、PWM信号の複数周期のうち1周期(以下、「主周期」という)において非通電相のパルス誘起電圧を検出するようにして、主周期におけるPWM信号のデューティ(以下、「主周期デューティ」という)を、パルス誘起電圧が振れ期間内でサンプリングされないように制限し、また、PWM信号の複数周期のうち主周期以外の他の周期(以下、「調整周期」という)におけるPWM信号のデューティ(以下、「調整周期デューティ」という)を主周期デューティよりも小さく設定し、主周期デューティと調整周期デューティとを平均化した平均デューティが、回転速度フィードバック制御などで設定されるデューティ(以下、「設定デューティ」という)となるように調整している。
特開2013−66343号公報
ところで、ブラシレスモータの各相に対する通電を切り替える、例えば、FET(Field Effect Transistor)などのスイッチング素子には、その制御端子に入力されるパルス信号のデューティが0に近づくとオンしなくなる不感帯が存在する。
このため、調整周期デューティが小さくなって0に近い領域となると、スイッチング素子の出力デューティについて主周期と調整周期とで平均化した平均デューティ(以下、「出力平均デューティ」という)は、設定デューティから乖離して、設定デューティに対してステップ状に変化してしまう。
したがって、回転速度のフィードバック制御を行っている場合、設定デューティを、出力平均デューティがステップ状に変化する不連続部の近傍に設定すると、出力平均デューティが振れて実際の回転速度がハンチングをおこすおそれがあった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、設定デューティと出力平均デューティとの乖離を低減したブラシレスモータの制御装置及び制御方法を提供することを目的とする。
このため、本発明に係るブラシレスモータの制御装置及び制御方法は、3相ブラシレスモータの2相に対してスイッチング素子がPWM信号に応じたパルス電圧を印加する通電モードを、非通電相に誘起されるパルス誘起電圧に基づいて切り替えることを前提として、設定されたPWM信号のデューティである設定デューティが第1所定値未満である場合、PWM信号の連続する複数周期のうち所定の1周期を、パルス誘起電圧を検出する周期として第1所定値に制限し、制限された所定の1周期のデューティと、PWM信号の複数周期のうち所定の1周期以外の他の周期のデューティと、を平均化した平均デューティが、設定デューティとなるように、他の周期のデューティを調整し、PWM信号のデューティに対するスイッチング素子の応答性に応じて、所定の1周期のデューティ又は他の周期のデューティを補正する。
本発明のブラシレスモータの制御装置及び制御方法によれば、設定デューティとスイッチング素子の出力平均デューティとの乖離を低減して、設定デューティに対する出力平均デューティの線形性を向上させているので、回転速度のフィードバック制御における回転速度のハンチングを抑制することができる。
エンジンを冷却する冷却システムの一例を示す構成図である。 ブラシレスモータ及びその制御装置の一例を示す回路構成図である。 制御ユニットの一部の構成を示すブロック図である。 ブラシレスモータの通電モードの一例を示すタイムチャートである。 パルス誘起電圧の検出タイミングを示すタイミングチャートである。 パルス誘起電圧の別の検出タイミングを示すタイムチャートである。 PWM信号の主周期と調整周期を示すタイムチャートである。 電動ウォータポンプの駆動条件成立を判定するフローチャートである。 モータ制御処理のうちメインルーチンの一例を示すフローチャートである。 センサレス制御サブルーチンの前半部を例示するフローチャートである。 センサレス制御サブルーチンの後半部を例示するフローチャートである。 目標回転速度の演算の一例を示す説明図である。 第1の印加デューティ設定を示すタイムチャートである。 第2の印加デューティ設定を示すタイムチャートである。 第3の印加デューティ設定を示すタイムチャートである。 設定デューティと主周期デューティ及び調整周期デューティとの関係を示す説明図であり、(a)は制御ユニットのPWM信号デューティ、(b)はスイッチング素子の出力デューティ、(c)はスイッチング素子の出力平均デューティである。 スイッチング素子のスイッチング特性の一例を示す説明図である。 非不感帯におけるスイッチング素子の応答性を示す説明図であり、(a)は制御ユニットのPWM信号出力、(b)はゲート電圧波形、(c)はスイッチング素子のスイッチング出力である。 不感帯におけるスイッチング素子の応答性を示す説明図であり、(a)は制御ユニットのPWM信号出力、(b)はゲート電圧波形、(c)はスイッチング素子のスイッチング出力である。 設定デューティと補正後の主周期デューティ及び調整周期デューティとの関係を示す説明図であり、(a)は制御ユニットのPWM信号デューティ、(b)はスイッチング素子の出力デューティ、(c)はスイッチング素子の出力平均デューティである。 設定デューティと別の補正後の主周期デューティ及び調整周期デューティとの関係を示す説明図であり、(a)は制御ユニットのPWM信号デューティ、(b)はスイッチング素子の出力デューティ、(c)はスイッチング素子の出力平均デューティである。
以下、添付された図面を参照し、本発明を実施するための実施形態について詳述する。
図1は、冷媒を循環させてエンジンを冷却する冷却システムの一例を示す。
車両に搭載されたエンジン10のシリンダブロック、シリンダヘッドなどを冷却した冷媒としての冷却水は、第1の冷却水通路12を介して、電動式のラジエータファン14が併設されたラジエータ16に導かれる。ラジエータ16に導かれた冷却水は、フィンが取り付けられたラジエータコアを通過するときに外気と熱交換をし、その温度が低下する。そして、ラジエータ16を通過することで温度が低下した冷却水は、第2の冷却水通路18を介してエンジン10へと戻される。なお、エンジン10を冷却する冷媒として、冷却水以外にLLC(Long Life Coolant)を用いてもよい。
また、エンジン10から排出された冷却水がラジエータ16をバイパスするように、第1の冷却水通路12と第2の冷却水通路18とは、バイパス通路20を介して連通接続されている。バイパス通路20の下流端と第2の冷却水通路18との接合箇所には、バイパス通路20の通路面積を全開から全閉までの間で多段階又は連続的に開閉する電制サーモスタット22が配設されている。電制サーモスタット22は、例えば、駆動回路を介してPWM信号のデューティ(デューティ比)に応じて駆動される内蔵ヒータにより、同じく内蔵されたワックスが熱膨張することを利用して弁を開閉する開閉弁として構成することができる。従って、電制サーモスタット22をデューティにより制御することで、ラジエータ16を通過する冷却水の割合を変化させることができる。
第2の冷却水通路18の下流端と電制サーモスタット22のとの間には、エンジン10とラジエータ16との間で冷却水を強制的に循環させる、機械式ウォータポンプ24及び電動ウォータポンプ26が夫々配設されている。機械式ウォータポンプ24は、エンジン10の冷却水入口を塞ぐように取り付けられており、例えば、エンジン10のカムシャフトによって駆動される。電動ウォータポンプ26は、アイドルストップ機能によりエンジン10が停止した場合にも冷却性能を発揮あるいは暖房機能を維持できるようにすべく、エンジン10とは異なる駆動源である、後述のブラシレスモータによって駆動され、車両の電力系統は、アイドルストップ中においても、電動ウォータポンプ26を駆動できるように構成されている。
ラジエータファン14、電制サーモスタット22、及び電動ウォータポンプ26の駆動を制御する制御系として、エンジン10から排出される冷却水の温度(冷却水温度)を検出する冷却水温度検出手段としての水温センサ28、車速を検出する車速センサ30、外気温を検出する温度センサ32、エンジン回転速度を検出する回転速度センサ34、エンジン負荷を検出する負荷センサ36が取り付けられている。そして、水温センサ28、車速センサ30、温度センサ32、回転速度センサ34及び負荷センサ36の出力信号は、コンピュータを内蔵したエンジンコントロールユニット(以下、「ECU」という)38に入力され、そのROM(Read Only Memory)などに記憶された制御プログラムに従って、ラジエータファン14、電制サーモスタット22及び電動ウォータポンプ26が制御される。
ECU38は、電動ウォータポンプ26を駆動させるための駆動条件が成立しているか否かを、少なくともエンジン10の運転中、繰り返し判定する。ECU38は、この駆動条件が成立していると判定した場合には、電動ウォータポンプ26に対して駆動指令信号を出力する一方、駆動条件が成立していないと判定した場合には、電動ウォータポンプ26の駆動を停止あるいは禁止する停止指令信号を出力する。
以上のようなエンジン10の冷却システムにおいて、エンジン10の始動時に、エンジン10及びその近傍における冷却水温度だけが上昇するホットスポットの発生を抑制してエンジン10の燃費を向上させるために、電動ウォータポンプ26により、エンジン10のフリクションに影響を与えない程度の比較的低い流量で冷却水を循環させる必要性が生じている。このため、電動ウォータポンプ26を駆動するブラシレスモータには、制御可能な回転速度範囲を低回転速度側へ拡大することが求められている。
なお、本実施形態では、ブラシレスモータ100は、エンジン10を冷却する冷却システムに組み込まれた電動ウォータポンプ26を駆動しているが、この他、自動変速機用の油圧ポンプシステムに組み込まれた電動オイルポンプを駆動するものであってもよく、ブラシレスモータ100が駆動する対象機器を電動ウォータポンプ26に限定するものではない。
図2は、電動ウォータポンプ26を駆動するブラシレスモータ100、及びその制御装置の一例を示す。
ブラシレスモータ100は、3相DC(Direct Current)ブラシレスモータ(3相同期電動機)であり、スター結線したU相,V相及びW相の3相巻線110u,110v,110wを、図示省略した円筒状のステータ(固定子)に備え、該ステータの中央部に形成した空間にロータ(永久磁石回転子)120を回転可能に備えている。
ブラシレスモータ100の制御装置(以下、「モータ制御装置」という)200は、駆動回路210と、マイクロコンピュータを備えた制御ユニット220と、を備え、制御ユニット220は、ECU38との間で通信を行う。モータ制御装置200は、ブラシレスモータ100の近傍に配置されるものに限られず、例えば、モータ制御装置200のうち少なくとも制御ユニット220が、ECU38あるいは他のコントロールユニットと一体的に形成されてもよい。
駆動回路210は、逆並列のダイオード212a〜212fを含んでなるスイッチング素子214a〜214fを3相ブリッジ接続した回路と、電源回路230とを有しており、スイッチング素子214a〜214fは、例えば、FETやIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)など、電力制御の用途に用いられる半導体素子で構成されている。スイッチング素子214a〜214fの制御端子(ゲート端子)は制御ユニット220に接続され、制御ユニット220は、スイッチング素子214a〜214fのオン・オフをパルス幅変調(Pulse Width Modulation:PWM)によって制御することで、ブラシレスモータ100に印加する電圧を制御している。
PWM制御においては、三角波で設定されるキャリア信号の値(電圧レベル)と、印加電圧の指令値に基づいて設定される指示信号の値(電圧レベル)と、を比較してPWM信号を生成することで、各スイッチング素子214a〜214fをオン・オフさせるタイミングを検出している。
制御ユニット220によるブラシレスモータ100の駆動制御は、ロータ120の位置情報を検出するセンサを用いないセンサレスで行われ、更に、制御ユニット220は、センサレス駆動方式をモータ回転速度に応じて正弦波駆動方式と矩形波駆動方式とに切り替える。
正弦波駆動方式は、各相に正弦波電圧を加えてブラシレスモータ100を駆動する方式である。この正弦波駆動方式では、ロータ120が回転することによって発生する誘起電圧(速度起電圧)からロータ120の位置情報を得る一方、速度起電圧による回転子位置の検出周期の間で、モータ回転速度に基づきロータ120の位置を推定し、推定したロータ120の位置とPWMデューティとから3相出力設定値を算出し、相間電圧の差で電流の向きと強さとを制御して3相交流電流を各相に流す。
また、矩形波駆動方式は、3相のうちでパルス電圧を印加する2相の選択パターン(通電モード)を所定のロータ120の位置毎に順次切り替えることでブラシレスモータ100を駆動する方式である。
この矩形波駆動方式では、通電相に対するパルス状の電圧印加によって非通電相に誘起される電圧(変圧器起電圧、パルス誘起電圧)からロータ120の位置情報を得て、通電モードの切り替えタイミングである角度位置を検出する。
ここで、正弦波駆動方式において位置検出のために検出する速度起電圧は、モータ回転速度の低下に伴って出力レベルが低下するため、低回転速度域では位置検出の精度が低下する。一方、矩形波駆動方式において位置検出のために検出するパルス誘起電圧は、モータ停止状態を含む低回転速度域においても検出可能であり、低回転速度域でも位置検出の精度を維持できる。
そこで、制御ユニット220は、正弦波駆動方式で位置情報を十分な精度で検出できる高回転速度域、つまり、設定回転速度よりもモータ回転速度が高い領域では、正弦波駆動方式でブラシレスモータ100を制御する、いわゆる高速センサレス制御を行う。
また、制御ユニット220は、正弦波駆動方式では十分な精度で位置情報を検出できない低回転速度域では、矩形波駆動方式でブラシレスモータ100を制御する、いわゆる、低速センサレス制御を行う。なお、正弦波駆動方式では十分な精度で位置情報を検出できない低回転速度域には、設定回転速度よりも低いモータ回転速度域、及び、モータ起動時が含まれる。
更に、制御ユニット220は、ブラシレスモータ100のPWM制御において、例えば、モータ回転速度と目標回転速度との偏差に応じてPWM制御のデューティ比を決定して、モータ回転速度を目標回転速度に近づける。
図3は、制御ユニット220のうち、低速センサレス制御に関する部分を例示する機能ブロック図である。
制御ユニット220は、印加電圧演算部302、PWM発生部304、ゲート信号切替部306、通電モード決定部308、比較部310、電圧閾値切替部312、電圧閾値学習部314、非通電相電圧選択部316、主周期デューティ設定部318、調整周期デューティ設定部320、デューティ補正部322を備えている。
印加電圧演算部302は、ブラシレスモータ100の目標回転速度とブラシレスモータ100の実際の回転速度である実回転速度とを演算し、演算された目標回転速度と実回転速度とに基づいて、印加電圧の指令値を演算する。
PWM発生部304は、印加電圧演算部302で演算された印加電圧の指令値に基づき、パルス幅変調されたPWM信号を生成する。
通電モード決定部308は、駆動回路210の通電モードを決定するモード指令信号を出力するデバイスであり、比較部310が出力するモード切替トリガ信号をトリガとして通電モードを6通りに切り替える。
通電モードとは、ブラシレスモータ100のU相、V相、W相の3相のうちでパルス電圧を印加する2相の選択パターンを示し、U相からV相に向けて電流を流す第1通電モードM1、U相からW相に向けて電流を流す第2通電モードM2、V相からW相に向けて電流を流す第3通電モードM3、V相からU相に向けて電流を流す第4通電モードM4、W相からU相に向けて電流を流す第5通電モードM5、W相からV相に向けて電流を流す第6通電モードM6の6種類の通電モードからなる。
そして、通電モード決定部308は、比較部310が出力するモード切替トリガ信号に応じて、第1通電モードM1〜第6通電モードM6のいずれか1つを指令するモード指令信号を出力する。
ゲート信号切替部306は、駆動回路210の各スイッチング素子214a〜214fがどのような動作でスイッチングするかを、通電モード決定部308の出力であるモード指令信号、及び、PWM発生部304で生成されたPWM信号に基づいて決定し、該決定に従い6つのゲートパルス信号をモータ駆動回路210に出力する。
電圧閾値切替部312は、通電モードの切り替えタイミングの検出に用いる電圧閾値を、通電モードに応じて順次切り替えて出力し、閾値の切り替えタイミングは、通電モード決定部308の出力であるモード指令信号に基づき決定される。
非通電相電圧選択部316は、モード指令信号に従い、ブラシレスモータ100の3相端子電圧Vu,Vv,Vwの中から非通電相の電圧の検出値を選択し、比較部310及び電圧閾値学習部314に出力する。
なお、非通電相の端子電圧は、厳密にはグランドGND−端子間の電圧であるが、本実施形態では、中性点の電圧を検出し、この中性点の電圧とグランドGND−端子間電圧との差を求めて端子電圧Vu,Vv,Vwとする。
比較部310は、電圧閾値切替部312が出力する閾値と、非通電相電圧選択部316が出力する非通電相の電圧検出値(パルス誘起電圧の検出値)とを比較することで、通電モードの切り替えタイミング、換言すれば、通電モードを切り替える回転子位置(磁極位置)になったか否かを検出し、切り替えタイミングを検出したときに通電モード決定部308に向けてモード切替トリガを出力する。
また、電圧閾値学習部314は、通電モードの切り替えタイミングの判定に用いる閾値を更新して記憶するデバイスである。
非通電相(開放相)のパルス誘起電圧は、ブラシレスモータ100の製造ばらつき、電圧検出回路の検出ばらつきなどによって変動するため、閾値として固定値を用いると通電モードの切り替えタイミングを誤って判定する可能性がある。
そこで、電圧閾値学習部314は、通電モードの切り替えを行う所定磁極位置でのパルス誘起電圧を検出し、当該検出結果に基づいて電圧閾値切替部312が記憶する閾値を修正する閾値の学習処理を実施する。
通電モードは、前述のように6通りの通電モードM1〜M6からなり、矩形波駆動方式では、これらの通電モードM1〜M6を電気角60deg間隔で設定される切り替え角度位置で順次切り替え、3相のうちパルス電圧(パルス状の電圧)を印加する2相を順次切り替えることでブラシレスモータ100を駆動する。
制御ユニット220は、図4に示すように、U相のコイルの角度位置を回転子(磁極)の基準位置(角度=0deg)としたときに、回転子の角度位置(磁極位置)が30degであるときに第3通電モードM3から第4通電モードM4への切り替えを行い、回転子角度位置が90degであるときに第4通電モードM4から第5通電モードM5への切り替えを行い、回転子角度位置が150degであるときに第5通電モードM5から第6通電モードM6への切り替えを行い、回転子角度位置が210degであるときに第6通電モードM6から第1通電モードM1への切り替えを行い、回転子角度位置が270degであるときに第1通電モードM1から第2通電モードM2への切り替えを行い、回転子角度位置が330degであるときに第2通電モードM2から第3通電モードM3への切り替えを行う。
制御ユニット220の電圧閾値切替部312は、通電モードの切り替えを行う回転子の角度位置での非通電相の電圧(パルス誘起電圧)を閾値として更新可能に記憶していて、そのときの通電モードに応じた閾値を出力する。
比較部310は、非通電相の電圧が閾値に達したときに次の通電モードへの切り替えを実施する角度を検出したことを示す信号を出力し、係る信号に基づき通電モード決定部308は通電モードの切り替えを実行する。
ここで、PWM発生部304で生成されたPWM信号は、そのデューティが下限デューティ(第1所定値)未満である場合には、次の理由により、主周期デューティ設定部318、調整周期デューティ設定部320、及びデューティ補正部322を経てから、ゲート信号切替部306へ出力される。
非通電相のパルス誘起電圧は、PWM信号がオンとなってパルス電圧を2相に印加している間において検出するが、図5及び図6に示すように、パルス電圧の印加を開始した直後にはパルス誘起電圧が振れるリンギングが発生するため、ブラシレスモータ100を低速で回転させるためにPWM信号のデューティを小さくしてオン期間を短くしていくと(パルス電圧の印加時間を短くしていくと)、リンギング期間内でパルス誘起電圧をサンプリングしてしまい、これによってパルス誘起電圧を誤検出し、通電モードの切り替えタイミングを誤判定してしまう可能性があった。
そこで、主周期デューティ設定部318は、図7に示すように、PWM発生部304で生成されたPWM信号の連続する複数周期(例えば、N周期:Nは2以上の整数)のうちの所定の1周期である主周期において非通電相のパルス誘起電圧を検出すべく、主周期におけるPWM信号のデューティである主周期デューティDを、パルス誘起電圧がリンギング期間内でサンプリングされないように下限デューティDmin(第1所定値)に制限する制限手段をなす。これにより、パルス誘起電圧の検出精度を向上させて、通電モードの切り替えタイミングの判定を安定して行うようにし、ブラシレスモータ100の脱調の発生を抑制している。
また、調整周期デューティ設定部320は、図7に示すように、PWM発生部304で生成されたPWM信号の連続するN周期のうちの主周期以外の他の周期である調整周期におけるPWM信号のデューティ、すなわち、調整周期デューティD〜Dを、主周期デューティ設定部318で設定された主周期デューティD(=Dmin)よりも小さく設定し、主周期デューティDと調整周期デューティD〜Dとを平均化した平均デューティDav{=(D+D+・・・・+D)/N}が、回転速度に応じて設定されるデューティである設定デューティDtとなるように調整する調整手段をなす。これにより、主周期デューティDを下限デューティDmin以下にできない代わりに、PWM信号のN周期のうち主周期以外の他の周期である調整周期でデューティを小さくして、PWM信号のN周期で実質的に設定デューティDtを印加するようにし、電動ウォータポンプ26の作動領域を低回転速度側に拡大させている。
さらに、デューティ補正部322は、後述するように、主周期デューティ設定部318で設定された主周期デューティD、及び調整周期デューティ設定部320で設定された調整周期デューティD〜Dを、PWM信号のデューティに対するスイッチング素子214a〜214fの応答性に応じて補正する補正手段をなす。
主周期及び調整周期の周期数を特定するNの値は、ブラシレスモータ100の実回転速度、目標回転速度、PWM信号の設定デューティDt、PWMキャリア周波数などの種々のパラメータに基づいて変更可能であるが、以下の実施形態では、便宜上、N=2と設定して、制御ユニット220が、主周期デューティDによりパルス誘起電圧の検出精度を担保し、主周期デューティDと調整周期デューティDとで設定デューティDtを実質的に印加するものとして説明する。
図8は、イグニッションキーがオンとなったことを契機として、ECU38において繰り返し行われる、ブラシレスモータ100(電動ウォータポンプ26)の駆動条件に関する処理の内容を示している。
ステップ1001(図では「S1001」と略記する。以下同様)では、電動ウォータポンプ(電動WP)26、すなわち、ブラシレスモータ100の駆動条件が成立しているか否かを判断する。
例えば、ブラシレスモータ100の電源電圧が所定電圧を超えている、各種の診断処理でブラシレスモータ100や駆動回路210について異常が検出されていない、ブラシレスモータ100の電源リレーがオンになっている、電動ウォータポンプ26の駆動要求がある、エンジン10の水温又は油温が所定温度以上であるなどを、ブラシレスモータ100の駆動条件に含めることができる。
なお、図1に示した冷却システムの場合、電動ウォータポンプ26の駆動条件の成立/非成立は、ECU38から各種の情報を取得したモータ制御装置200(制御ユニット220)が判断する構成とすることができる。
ブラシレスモータ100の駆動条件が成立していると判定された場合には、ステップ1002に進み、駆動フラグFを、駆動条件が成立していることを意味する値(例えば1)に設定して、RAM(Random Access Memory)などの書き込み可能な記憶装置に記憶する(Yes)。一方、ブラシレスモータ100の駆動条件が成立していないと判定された場合には、ステップ1003に進み、駆動フラグFを、駆動条件が成立していないことを意味する値(例えば0)に設定してRAMなどに記憶する(No)。
次に、図9は、イグニッションキーがオンとなったことを契機として、制御ユニット220により繰り返し行われる、ブラシレスモータ100(電動オイルポンプ26)の制御のメインルーチンを示す。
ステップ2001では、駆動フラグFが0から1に変化したか否か、すなわち、ブラシレスモータ100の駆動条件が非成立状態から成立状態へ変化したか否かを判定する。駆動フラグFが0から1に変化したと判定された場合には、ステップ2003へ進み(Yes)、駆動フラグFが0若しくは1のまま、または駆動フラグFが1から0に変化した場合には、ステップ2002へ進む(No)。
ステップ2002では、後述するブラシレスモータ100のセンサレス制御を行う必要があるか否かを判断すべく、駆動フラグFが0であるか否かを判定する。駆動フラグFが0である場合には、ブラシレスモータ100の駆動条件が成立していないので、ブラシレスモータ100のセンサレス制御を省略すべく、本制御処理を終了する(Yes)。一方、駆動フラグFが1である場合には、ブラシレスモータ100の駆動条件が成立しているので、センサレス制御を実行すべく、ステップ2005へ進む(No)。
制御ユニット220は、ステップ2001で駆動条件が非成立状態から成立状態へ変化したと判定された場合、ステップ2003において、ブラシレスモータ100の初期位置(駆動開始時点での磁極位置)の推定処理を実施する条件が成立しているか否かを判断する。
例えば、ブラシレスモータ100が慣性回転している途中で駆動指令が生じた場合、推定処理の開始から完了までの間に初期位置の推定に影響を与えるほどにブラシレスモータ100が回転してしまうことがないように、推定処理は、ブラシレスモータ100の回転速度が所定速度以下であること、換言すれば、ロータ120が回転することによって発生する誘起電圧(速度起電圧)が所定電圧以下であることを条件とする。
つまり、上記の初期位置推定処理における所定速度は、初期位置の推定誤差を許容範囲内とすることができるモータ回転速度の上限値であり、前記所定電圧は、上限回転速度のときに発生する誘起電圧(速度起電圧)である。
ここで、所定速度は、所定速度≧0rpmとすることができ、モータ停止状態若しくは推定処理に要する時間での磁極位置の変化が十分に小さい低速回転状態で、初期位置の推定処理を実施する。
制御ユニット220は、ステップ2003において初期位置の推定処理を実施する条件が成立していないと判断した場合、つまり、モータ回転速度が所定速度を超えている場合にはステップ2003の処理を繰り返し、実施条件が成立していると判断すると(モータ回転速度≦所定速度が成立すると)ステップ2004へ進む。
なお、制御ユニット220は、ステップ2003において初期位置の推定処理を実施する条件が成立していないと判断した場合、初期位置の推定が不能であると判断し、ブラシレスモータ100を所定位置まで回転させて固定する位置決め処理を実施することができる。
ステップ2004で、制御ユニット220は、ブラシレスモータ100の初期位置を推定する処理を実施し、当該推定処理で推定した初期位置に応じて駆動を開始するときの通電モードを決定し、当該決定に基づいてブラシレスモータ100の駆動を開始する。
初期位置推定処理の概略を説明すると、ブラシレスモータ100を回転させないようにして各通電モードでの通電を順次行い、各通電モードで非通電相(開放相)に誘起されるパルス誘起電圧を取得する。
そして、所定の組み合わせで通電モード間でのパルス誘起電圧の差を求め、当該差のレベルを相互に比較することで、ブラシレスモータ100の初期位置を検出する。ブラシレスモータ100の初期位置(停止位置)が検出されれば、その初期位置から駆動を開始するのに最適な通電モードが決まることになる。
ブラシレスモータ100が回転を開始すると、制御ユニット220は、ステップ2005へ進み、前述したセンサレス制御、つまり、低速域では矩形波駆動方式、高速域では正弦波駆動方式でブラシレスモータ100を駆動する。
次に、図10及び図11のフローチャートは、図9のフローチャートのステップ2005における回転速度フィードバックによるセンサレス制御の内容を示すサブルーチンである。
ステップ3001では、印加電圧演算部302がブラシレスモータ100の目標回転速度を演算する。
本実施形態の電動オイルポンプ26を回転駆動するブラシレスモータ100では、例えば、図12に示すように、冷却システムの第1の冷却水通路12、第2の冷却水通路18、またはバイパス通路20内を通過する冷却水の温度が高いほど目標回転速度をより高い回転速度に設定することができる。ブラシレスモータ100が自動変速機などに油圧を供給する油圧ポンプを駆動する場合には、オイル温度(ATF(Automatic Transmission Fluid)油温)が高いほど目標回転速度をより高い回転速度に設定する。
なお、目標回転速度は、図1の冷却システムでは、モータ制御装置200(制御ユニット220)において、ECU38からの通信により入力した冷却水温度情報に基づいて演算されるが、これに代えて、ECU38で目標回転速度を演算した後、通信により、モータ制御装置200(制御ユニット220)に目標回転速度の信号が入力されるようにしてもよい。
ステップ3002では、印加電圧演算部302が通電モードの切り替え周期に基づいて、ブラシレスモータ100の実回転速度を演算する。具体的には、印加電圧演算部302が、比較部310から出力されるモード切替トリガを用いて、通電モードの切り替えが行われる時間間隔を計測し、この時間間隔から回転速度を演算する。例えば、ブラシレスモータ100の極対数が3である場合、回転速度は、「回転速度=60/3/時間間隔」という式から求めることができる。
ステップ3003では、印加電圧演算部302が、ステップ3001で演算した目標回転速度とステップ3002で演算した実回転速度とに基づいて印加電圧(入力電圧)の指令値を演算する。
例えば、目標回転速度と実回転速度との偏差に基づく比例積分制御(PI制御)によって、下式に従って印加電圧(入力電圧)の指令値を決定する。
印加電圧=回転速度偏差*比例ゲイン+回転速度偏差積分値*積分ゲイン
回転速度偏差=目標回転速度−実回転速度
ただし、印加電圧の指令値の決定方法を、目標回転速度に基づくものに限定するものではなく、例えば、電動オイルポンプ26の目標吐出圧と実吐出圧との偏差に基づき、印加電圧の指令値を決定する方法や、要求トルクに基づき印加電圧の指令値を決定する方法など、公知の決定方法を適宜採用できる。また、目標値に実際値を近づけるための印加電圧の演算処理を、比例積分制御に限定するものではなく、比例積分微分制御(PID制御)など公知の演算処理方法を適宜採用できる。
ステップ3004では、PWM発生部304により、ステップ3003で決定した印加電圧(入力電圧)に基づいて、ブラシレスモータ100に印加するために設定される設定デューティDtを演算する。具体的には、設定デューティDt(%)を以下の式から算出する。
設定デューティDt=印加電圧/電源電圧*100
ステップ3005では、PWM発生部304により、設定デューティDt≧下限デューティDminが成立するか否かを判定する。
ここで、下限デューティDminは、前述のように、リンギングの影響を受けずに非通電相のパルス誘起電圧を検出できるパルス電圧の印加時間、すなわちPWM信号がオンとなるデューティの下限値(>0)であり、リンギング期間やサンプリング時間などの実測値に基づいて演算されるか、あるいはROM(Read Only Memory)などに予め記憶されている。
下限デューティDminは、例えば、図5に示されるように、非通電相のパルス誘起電圧のサンプリング(A/D変換)を開始するタイミングを、PWM制御においてキャリア周期毎に増減を繰り返すキャリア信号の谷、換言すれば、PWM信号のパルス幅の中央付近とする場合、リンギング期間にサンプリングが行われることを抑制し、かつ、サンプリング中に2相に対するパルス電圧の印加が停止してしまうことを抑制すべく、下式で示されるように、リンギング期間とサンプリング時間との長い方の2倍としてもよい。
Dmin=max(リンギング期間、サンプリング時間)*2/キャリア周期*100
また、下限デューティDminは、例えば、図6に示されるように、前述のように、リンギング期間が経過した直後からサンプリングを開始させる場合、リンギング期間にサンプリングが行われることを抑制し、かつ、サンプリング中に2相に対するパルス電圧の印加が停止してしまうことを抑制すべく、下限デューティDminを下式で示されるように算出してもよい。
Dmin=(リンギング期間+サンプリング時間)/キャリア周期*100
なお、非通電相のパルス誘起電圧は、パルス電圧のデューティによって大きさが変化し、デューティが小さいと、電圧検出の分解能を下回る電圧になってしまい、通電モードの切り替えタイミングの判定が不能になってしまう可能性があるため、必要に応じて、電圧検出の分解能を上回るパルス誘起電圧を発生させるデューティの最小値を下限デューティDminとしてもよい。
ステップ3005において、設定デューティDt≧下限デューティDminが成立すると判定された場合には、ステップ3006へ進む(Yes)。一方、設定デューティDt≧下限デューティDminが成立しない、すなわち、設定デューティDt<下限デューティDminであると判定された場合には、パルス誘起電圧をリンギング期間内でサンプリングしないようにすべく、ステップ3007へ進む(No)。
ステップ3006では、PWM発生部304が、ステップ3004で演算された設定デューティDtを、スイッチング素子に実際に印加するPWM信号のデューティである第1の印加デューティDAとして設定して、第1の印加デューティDA(=Dt)のPWM信号をゲート信号切替部306へ伝達する。
このような第1の印加デューティDAの設定により、図13に示すように、3相のうちの2相に通電する、すなわち、電流方向で上流側の相に接続されたスイッチング素子(SW素子)のうち上段側のもの(以下、「上流上段側スイッチング素子」という。以下同様)をオンにし、かつ、下流下段側スイッチング素子をオン・オフする任意の通電モードにおいて、下流下段側スイッチング素子の制御端子に、オン時間の比率を設定デューティDtで特定したPWM信号をゲート信号として印加する。例えば、V相に接続された上段側のスイッチング素子214cをオンにし、かつ、W相に接続された下段側のスイッチング素子214fをオン・オフする通電モードM3では、スイッチング素子214fの制御端子に、設定デューティDtのPWM信号をゲート信号として印加する。
ここで、PWM発生部304は、上流相から下流相に向けて電流を流すために、下流下段側スイッチング素子をPWM信号に従ってオン・オフさせるだけでなく、相補PWM方式でPWM信号を生成する。すなわち、図13に示すように、下流下段側スイッチング素子がオンであるとき下流上段側スイッチング素子がオフとなり、下流下段側スイッチング素子がオフであるとき下流上段側スイッチング素子がオンとなるように、下流上段側スイッチング素子について、下流下段側スイッチング素子に印加するPWM信号と逆位相のPWM信号を生成する。例えば、通電モードM3では、W相の下段側のスイッチング素子214fに印加するPWM信号と逆位相のPWM信号をW相の上段側のスイッチング素子214eに印加する。
相補PWM方式を採用するのは、通電モードM3を例として説明すると、下流側であるW相の下段側のスイッチング素子214fがオンからオフになったとき、電流は、それまで流れていた方向に流れようとするため、W相の上段側のスイッチング素子214eに逆並列に接続されたダイオード212eを通るが、スイッチング素子214eのスイッチング部におけるオン抵抗よりもダイオード212eの順方向抵抗の方が大きいため、スイッチング素子214eをオンにしておけば、電流は、スイッチング素子212eのスイッチング部(例えば、FETのチャネルなど)を流れて電流損失を低減できるからである。
また、図13に示すように、下流上段側スイッチング素子と下流下段側スイッチング素子とが同時にオンとなって生じる地絡・短絡を回避するために、下流下段側スイッチング素子に印加するPWM信号のオン時間よりも下流上段側スイッチング素子に印加するPWM信号のオフ時間が長くなるように、下流上段側スイッチング素子及び下流下段側スイッチング素子がいずれもオフとなるデッドタイムZを設けている。
図13に示すように、下流下段側スイッチング素子に印加するPWM信号は、下段キャリア信号の値と、下流側のスイッチング素子に印加するPWM信号を生成するための下流側指示信号の値と、を比較して生成し、下流上段側スイッチング素子に印加するPWM信号は、デッドタイムを設けるために下段キャリア信号の電位レベルをオフセットした上段キャリア信号の値と、下流側指示信号の値と、を比較して生成することができる。
前述した、相補PWM方式の採用、デッドタイムの設定、及びPWM信号の生成方法については、以下で説明する第2の印加デューティ設定及び第3の印加デューティ設定においても同様に実施するものとして説明を省略する。
ステップ3007では、PWM発生部304が、設定デューティDt≧Dmin/2が成立するか否かを判定する。なお、下限デューティDminを2で除算しているのは、前述のように、主周期及び調整周期の周期数を特定するNの値をN=2と設定しているためであるが、設定デューティDt=Dmin/2(第2所定値)が成立するのは、Dt=(D+D)/2=(Dmin+D)/2という関係式において、調整周期デューティDが0となるときである。
ステップ3007において、設定デューティDt≧下限デューティDmin/2が成立すると判定された場合には、ステップ3008へ進む(Yes)。一方、設定デューティDt≧下限デューティDmin/2が成立しない、すなわち、設定デューティDt<下限デューティDmin/2であると判定された場合には、ステップ3009へ進む(No)。
ステップ3008では、主周期デューティ設定部318及び調整周期デューティ設定部320が、それぞれ、主周期デューティD及び調整周期デューティDからなる第2の印加デューティDBを設定して、第2の印加デューティDBのPWM信号をデューティ補正部322へ伝達する。
ここで、主周期デューティDは下限デューティDminに設定されて、パルス誘起電圧をリンギング期間内でサンプリングしないようにしている。また、調整周期デューティDは、0≦D≦Dminを満たす範囲で、設定デューティDtに応じて求められる(D=2×Dt−Dmin)。
このような第2の印加デューティDBの設定により、図14に示すように、任意の通電モードにおいて、主周期で下流下段側スイッチング素子の制御端子に、オン時間の比率を下限デューティDminで特定したPWM信号をゲート信号として印加する一方、調整周期では、下流側指示信号の値を変化させて、下流下段側スイッチング素子の制御端子に、オン時間の比率をD(=2×Dt−Dmin)で特定したPWM信号をゲート信号として印加する。例えば、V相に接続された上段側のスイッチング素子214cをオンにし、かつ、W相に接続された下段側のスイッチング素子214fをオン・オフにする通電モードM3では、主周期において、スイッチング素子214fの制御端子に、下限デューティDminのPWM信号をゲート信号として印加し、調整周期において、同じくスイッチング素子214fの制御端子に、D(=2×Dt−Dmin)で特定したPWM信号をゲート信号として印加する。
したがって、第2の印加デューティDBでは、主周期において、通電モードの切り替えにより意図される回転方向である正回転方向にトルクを発生させる一方、調整周期において、主周期で流れていた電流を減少させて、主周期と同じ正回転方向に発生するトルクを減少させ、下限デューティDmin/2以上の設定デューティDtで特定されたPWM信号を印加できるようにする、いわば正側のデューティ調整を行っている。
ステップ3009では、主周期デューティ設定部318及び調整周期デューティ設定部320が、それぞれ、下限デューティDminに等しい主周期デューティDと、−Dmin≦D<0を満たす、すなわち、−Dminを最小値とするマイナス値の調整周期デューティDと、からなる第3の印加デューティDCを設定して、第3の印加デューティDCのPWM信号をデューティ補正部322へ伝達する。
このような第3の印加デューティDCの設定により、図15に示すように、任意の通電モードにおいて、主周期では、下流側指示信号を下段キャリア信号及び上段キャリア信号と交差しない値にしつつ、上流側指示信号を下段キャリア信号及び上段キャリア信号と交差する値に変化させて、下流下段側スイッチング素子の制御端子に、オン時間の比率を下限デューティDminで特定したPWM信号をゲート信号として印加する。
一方、調整周期では、下流側指示信号を下段キャリア信号及び上段キャリア信号と交差しない値に変化させる代わりに、上流側指示信号を下段キャリア信号及び上段キャリア信号と交差する値に変化させて、下流下段側スイッチング素子ではなく、上流下段側スイッチング素子の制御端子に、オン時間の比率を|D|(=|2×Dt−Dmin|)で特定したPWM信号をゲート信号として印加する。このとき、下流上段側スイッチング素子の制御端子には、前述の相補PWM方式により、オン状態のPWM信号が印加されているので、下流上段側スイッチング素子は上流側となり、上流下段側スイッチング素子は下流側となり、主周期と調整周期とでは、通電相に印加する電圧が逆となる。
したがって、第3の印加デューティDCでは、主周期において、通電モードの切り替えにより意図される回転方向である正回転方向にトルクを発生させる一方、調整周期において、正回転方向と逆の負回転方向にトルクを発生させ、下限デューティDmin/2未満の設定デューティDtで特定されるPWM信号を印加できるようにする、いわば負側のデューティ調整を行っている。
ステップ3010では、デューティ補正部322が、ステップ3008で設定された第2の印加デューティDBを、PWM信号のデューティに対するスイッチング素子214a〜214fの応答性に応じて補正する。
また、ステップ3011では、デューティ補正部322が、ステップ3009で設定された第3の印加デューティDCを、PWM信号のデューティに対するスイッチング素子214a〜214fの応答性に応じて補正する。
ここで、デューティ補正部322が、第2の印加デューティDB及び第3の印加デューティDCを補正する意義について説明する。
図16(a)に示すように、制御ユニット220(ゲート信号切替部306)からスイッチング素子214a〜214fの制御端子に向けて出力されるPWM信号において、第2の印加デューティDB及び第3の印加デューティDCは、下限デューティDminに制限された主周期デューティDと調整周期デューティDとを平均化した平均デューティDavが設定デューティDtに正比例するように、調整周期デューティDを調整して、PWM信号の主周期及び調整周期の2周期で実質的に設定デューティDtを印加できるようにしたものである。
しかし、図17に示すように、スイッチング素子214a〜214fは、制御ユニット220からスイッチング素子214a〜214fへ出力されたPWM信号のデューティの0%〜X%の範囲においてオンしない、すなわち、スイッチング部(例えば、FETのチャネルなど)を通して電流を流さない不感帯を有している。また、第3の印加デューティDCの設定において負側のデューティ調整を行う場合にも、スイッチング素子214a〜214fは、制御ユニット220から出力されるPWM信号のデューティの−X%〜0%の範囲において、同様の不感帯を有している。
したがって、図16(a)及び(b)に示すように、スイッチング素子214a〜214fのスイッチング出力において、出力調整周期デューティD21は、同じ設定デューティDtに対して、制御ユニット220から出力されるPWM信号の調整周期デューティDと同じ値となるべきところ、調整周期デューティDがスイッチング素子214a〜214fの不感帯−X%〜X%となる範囲、すなわち、設定デューティDtで{(Dmin−X)/2}から{(Dmin+X)/2}の範囲で、スイッチング素子214a〜214fがオンしない0[%]に固定される。このため、図16(c)に示すように、スイッチング素子214a〜214fの出力平均デューティは、設定デューティDtに対して、図16(a)の平均デューティDavのように線形変化せずにステップ状に変化してしまう。
そこで、制御ユニット220から出力されるPWM信号のうち、第2の印加デューティDB及び第3の印加デューティDCを、PWM信号のデューティに対するスイッチング素子214a〜214fの応答性に応じて補正して、スイッチング素子214a〜214fの出力平均デューティを平均デューティDavに合致させるようにしている。
なお、スイッチング素子214a〜214fが不感帯を有するのは以下の理由による。
スイッチング素子が、例えば、MOSFET(Metal Oxide Field-Effect Transistor:金属酸化物電界効果トランジスタ)の場合、図18(b)に示すように、n型のときのソースに対するゲート電圧、あるいは、p型のときのドレインに対するゲート電圧が所定のしきい値電圧THを上回ったときに、図18(c)に示すようにスイッチング素子214a〜214fがオンとなって電流が流れ、図18(b)に示すように、ゲート電圧が所定のしきい値電圧THを下回ったときにスイッチング素子214a〜214fがオフとなって電流が遮断される。
図18(a)に示すように、制御ユニット220からスイッチング素子214a〜214fのゲート端子へ出力されるPWM信号のデューティが不感帯の0%〜X%の範囲にない、すなわち、X%よりも大きい場合には、ゲート電圧が所定のしきい値電圧THを上回るまでの時間を考慮しても、図18(c)に示すように、スイッチング素子214a〜214fがオンとなって電流が流れる時間は確保される。
しかし、図19(a)に示すように、制御ユニット220からスイッチング素子214a〜214fへ出力されるPWM信号のデューティが不感帯の0%〜X%である場合には、図19(b)に示すように、ゲート電圧が所定のしきい値電圧THを上回る前に、制御ユニット220から出力されるPWM信号がハイ(high)レベルからロー(low)レベルとなってしまうので、スイッチング素子214a〜214fはオンされずに電流を流すことができない。このため、スイッチング素子214a〜214fは、その制御端子に入力されるPWM信号のデューティが0に近づくとオンしなくなる不感帯を有している。
ステップ3010及びステップ3011において、デューティ補正部322が第2の印加デューティDB及び第3の印加デューティDCを補正する方法としては、例えば、図20(a)に示すように、制御ユニット220から出力されるPWM信号のうち、調整周期デューティDが0未満となる、すなわち、設定デューティDtがDmin/2(第2所定値)未満となる範囲で、調整周期デューティDがスイッチング素子214a〜214fの不感帯である−X[%]〜0[%]の範囲に含まれないようにすべく、調整周期デューティDをX[%]減少させた補正調整周期デューティD20に補正する。そして、かかる補正に応じて、主周期デューティDをX[%]だけ増大させた補正主周期デューティD10に補正し、これにより、補正主周期デューティD10と補正調整周期デューティD20とを平均化した平均デューティDavが設定デューティDtとなるよう調整している。
また、補正主周期デューティD10では、主周期デューティDを、設定デューティDtがDmin/2から(Dmin+x)/2へ増大するに従って、設定デューティDtに対する調整周期デューティDの変化率と同じ変化率で増大させる。
このような補正によれば、図20(b)に示すように、スイッチング素子の出力デューティにおいて、出力主周期デューティD11は、スイッチング素子214a〜214fの不感帯に影響を受けないため、補正主周期デューティD10に対して変化せず、また、出力調整周期デューティD21は、補正調整周期デューティD20がスイッチング素子214a〜214fの不感帯である−X[%]〜X[%]の範囲に含まれないように補正されているので、設定デューティDtでDmin/2未満となる範囲で補正調整周期デューティD20から変化していない。このため、スイッチング素子の出力平均デューティは、図20(c)に示すように、設定デューティDtがDmin/2未満となる範囲では、平均デューティDavと同じく設定デューティDtに対して線形変化して、出力平均デューティと設定デューティDtとが1対1の関係となる。
また、図20(b)に示すように、スイッチング素子214a〜214fの出力デューティのうち、出力調整周期デューティD21は、設定デューティDtでDmin/2から(Dmin+X)/2の範囲において、スイッチング素子214a〜214fの有する不感帯の影響を受けて0に固定され、調整周期デューティDから減少しているものの、設定デューティDtがDmin/2以上となる範囲の補正によれば、調整周期デューティDの減少分を補正主周期デューティD10で増大補正して、出力主周期デューティD11と出力調整周期デューティD21とを平均化した平均デューティDavが設定デューティDtとなるようにしているので、スイッチング素子214a〜214fの出力平均デューティは、図20(c)に示すように、設定デューティDtがDmin/2以上となる範囲では、平均デューティDavと同じく設定デューティDtに対して線形変化して、出力平均デューティと設定デューティDtとが1対1の関係となる。
図20(a)の補正を別の表現で言い換えると、要するに、調整周期デューティDがスイッチング素子214a〜214fの不感帯に含まれないように調整周期デューティDを調整周期デューティD20に補正するとともに、かかる補正に応じて、主周期デューティDと調整周期デューティDとを平均化した平均デューティDavが設定デューティDtに対して線形関係となる(正比例する)ように、主周期デューティDを補正主周期デューティD10に補正する。そして、一部の設定デューティDtにおいて、調整周期デューティDがスイッチング素子214a〜214fの不感帯に含まれているとしても、スイッチング素子214a〜214fの出力デューティにおける出力調整周期デューティD21がどのような値となるかを予め予測して、出力主周期デューティD11と出力調整周期デューティD21とを平均化した、スイッチング素子214a〜214fの出力平均デューティが、設定デューティDtに対して線形関係となる(正比例する)ように主周期デューティDを補正主周期デューティD10に補正する。
ステップ3010及びステップ3011において、デューティ補正部322が第2の印加デューティDB及び第3の印加デューティDCを補正する別の方法としては、例えば、図21(a)に示すように、制御ユニット220から出力されるPWM信号において、調整周期デューティDがスイッチング素子214a〜214fの不感帯である−X[%]〜0[%]の範囲に含まれないようにすべく、設定デューティDtが(Dmin+X)/2以下となる範囲で、調整周期デューティDを、X[%]の2倍すなわち2X[%]減少させた補正調整周期デューティD20に補正する。そして、かかる補正に応じて、設定デューティDtが(Dmin+X)/2以下となる範囲で、主周期デューティDを、2X[%]だけ増大させた補正主周期デューティD10に補正し、これにより、補正主周期デューティD10と補正調整周期デューティD20とを平均化した平均デューティDavが設定デューティDtとなるようにしている。
図21(a)の補正を別の表現で言い換えると、要するに、調整周期デューティDがスイッチング素子214a〜214fの不感帯に含まれないように調整周期デューティDを調整周期デューティD20に補正するとともに、かかる補正に応じて、主周期デューティDと調整周期デューティDとを平均化した平均デューティDavが設定デューティDtに対して線形関係となる(正比例する)ように、主周期デューティDを補正主周期デューティD10に補正する。主周期デューティDは、調整周期デューティDの補正に応じて補正するだけである。
このような補正によれば、図21(b)に示すように、スイッチング素子の出力デューティにおいて、出力主周期デューティD11は、スイッチング素子214a〜214fの不感帯に影響を受けないため、補正主周期デューティD10に対して変化せず、また、出力調整周期デューティD21は、補正調整周期デューティD20がスイッチング素子214a〜214fの不感帯である−X[%]〜X[%]の範囲に含まれないように補正されているので、補正調整周期デューティD20から変化していない。このため、図21(c)に示すように、スイッチング素子214a〜214fの出力平均デューティは、平均デューティDavと同じく設定デューティDtに対して線形変化して、出力平均デューティと設定デューティDtとが1対1の関係となる。
なお、制御ユニット220から出力されるPWM信号の補正が必要ない場合、例えば、図20(a)及び図21(a)において設定デューティDtが(Dmin+X)/2〜Dminとなる範囲では、デューティ補正部322は、主周期デューティ設定部318及び調整周期デューティ設定部320から伝達されたPWM信号について、その主周期デューティD及び調整周期デューティDを何ら補正することなくゲート信号切替部306に伝達する。
ステップ3102では、非通電相電圧選択部316が、本ステップを実行しているときの通電モードにおける非通電相のパルス誘起電圧を検出する。具体的には、通電モードM1及びM4の場合はW相の電圧Vwを検出し、通電モードM2及びM5の場合はV相の電圧Vvを検出し、通電モードM3及びM6の場合はU相の電圧Vuを検出する。
通電モードの切り替え直後は、転流電流が発生し、かかる転流電流の発生区間で検出した電圧を用いると、通電モードの切り替えタイミングを誤判断することになってしまう。そこで、通電モード切替直後の電圧検出値については、初回から設定回にわたって切り替えタイミングの判断には用いないようにすることができる。前記設定回は、ブラシレスモータ100の実回転速度、及び、ブラシレスモータ100に実際に流れる電流(モータ負荷)に応じて可変に設定することができ、実回転速度が高く、実際に流れる電流が高いほど、前記設定回を大きな値に設定することができる。
ステップ3013では、低速センサレス制御の実施条件であるか否かを判断する。
具体的には、ブラシレスモータ100の実回転速度が、低速センサレス制御及び高速センサレス制御のいずれを実施するかの選択基準となる設定回転速度よりも高いか否かに基づいて判断する。設定回転速度は、速度起電圧をトリガとする切り替え判断を行える実回転速度の最小値であり、予め実験やシミュレーションによって決定して記憶しておく。なお、設定回転速度として、例えば、低速センサレス制御への移行を判断する第1設定回転速度と、低速センサレス制御の停止を判断する第2設定回転速度(>第1設定回転速度)とを設定し、センサレス制御の切り替えが短時間で繰り返されることを抑制することが好ましい。
ステップ3013において、低速センサレス制御の実施条件であると判断した場合、換言すれば、ブラシレスモータ100の実回転速度が設定回転速度未満である場合には、ステップ3014へ進み、比較部310が、非通電相電圧選択部316からの非通電相のパルス誘起電圧と、電圧閾値切替部312からの閾値と、を比較し、非通電相のパルス誘起電圧が閾値を横切ったと判定したときに、通電モードの切り替えタイミングであると判断してステップ3015へ進み、通電モード決定部308が次の通電モードを決定して、通電モードの切り替えを実施する。
一方、ステップ3013で、低速センサレス制御の実施条件ではないと判断した場合、換言すれば、ブラシレスモータ100の実回転速度が設定速度よりも高い場合には、ステップ3016へ進み、非通電相のパルス誘起電圧が零レベルを横切った時点から更に30deg回転したと判断した時点を、次の通電モードへの切り替えタイミングとして検出する、高速センサレス制御を実施する。
詳細には、30degをそのときのモータ回転速度に基づいて時間に換算し、ゼロクロス時点から30degに相当する時間が経過した時点で、次の通電モードへの切り替えタイミングを判定し、ステップ3015へ進んで、次の通電モードに切り替える。
このようなモータ制御装置200によれば、主周期デューティD及び調整周期デューティDを、PWM信号のデューティに対するスイッチング素子214a〜214fの応答性に応じて、すなわち、不感帯によりスイッチング素子がオンしないPWM信号のデューティ範囲を考慮して、補正している。このため、スイッチング素子214a〜214fの出力平均デューティは、調整周期デューティDが0近辺の値となる設定デューティDtにおいて、設定デューティDtからの乖離が低減して、平均デューティDavと同様、設定デューティDtに対して線形変化し、出力平均デューティと設定デューティDtとが1対1の関係となる。
したがって、調整周期デューティDが0近辺となるときの設定デューティDtで回転速度のフィードバック制御を行っても、出力平均デューティが顕著に振れることがなく、ブラシレスモータ100の実回転速度がハンチングを起こす可能性を低減することができる。
なお、前述の実施形態では、1周期の主周期と(N−1)周期の調整周期とで構成されるPWM信号のN周期について、説明の便宜上、N=2としたが、これに代えて、Nの値を2より大なる整数としてもよく、主周期デューティD及び調整周期デューティD〜Dについて、前述の補正と同様に補正を行うことができる。
ここで、前記実施形態から把握し得る請求項以外の技術的思想について、以下に効果と共に記載する。
(イ)3相ブラシレスモータの2相に対してスイッチング素子がPWM信号に応じたパルス電圧を印加する通電モードを、非通電相に誘起されるパルス誘起電圧に基づいて切り替えるブラシレスモータの制御装置であって、
設定されたPWM信号のデューティである設定デューティが第1所定値未満である場合、前記PWM信号の連続する複数周期のうち所定の1周期を、前記パルス誘起電圧を検出する主周期として、前記第1所定値に制限する制限手段と、
前記主周期のデューティと、前記PWM信号の複数周期のうち前記主周期以外の他の周期(調整周期)のデューティと、を平均化した平均デューティが、前記設定デューティとなるように、前記調整周期のデューティを調整する調整手段と、
前記PWM信号のデューティに対する前記スイッチング素子の応答性に応じて、前記主周期のデューティ又は前記調整周期のデューティを補正する補正手段と、
を含んで構成されるブラシレスモータの制御装置。
このようにすれば、設定デューティが下限デューティ(第1所定値)未満となった場合に、非通電相のパルス誘起電圧が振れ期間内でサンプリングされないように主周期デューティを下限デューティに制限するとともに、調整周期デューティを主周期デューティよりも小さく設定し、主周期デューティと調整周期デューティとを平均化した平均デューティが設定デューティとなるように調整するブラシレスモータの制御装置は、PWM信号のデューティに対するスイッチング素子の応答性に応じて、主周期デューティ及び調整周期デューティを補正することがきできる。
これにより、設定デューティとスイッチング素子の出力平均デューティとの乖離を低減して、設定デューティに対する出力平均デューティの線形性を向上させているので、回転速度のフィードバック制御における回転速度のハンチングを抑制することができる。
(ロ)前記補正手段は、前記調整周期のデューティの補正内容に基づいて、前記主周期のデューティを補正することを特徴とする、(イ)に記載のブラシレスモータの制御装置。
このようにすれば、調整周期デューティを補正しても、主周期デューティ及び調整周期デューティの平均による平均化デューティが設定デューティとなるように主周期デューティを補正することができる。
(ハ)前記補正手段は、前記スイッチング素子がオンしないPWM信号のデューティである不感帯に前記調整周期のデューティが含まれる場合に、前記主周期のデューティ又は前記調整周期のデューティを補正することを特徴とする(イ)又は(ロ)に記載のブラシレスモータの制御装置。
このようにすれば、調整周期デューティがスイッチング素子の不感帯に含まれないように調整周期デューティを補正するか、あるいは、調整周期デューティを補正しなくても、調整周期デューティに対してスイッチング素子の出力デューティにおける出力調整周期デューティが変化することを予め予測して主周期デューティを補正することができる。
(ニ)前記補正手段は、前記スイッチング素子がオンしないPWM信号のデューティである不感帯に前記調整周期のデューティが含まれないように、前記調整周期デューティを補正することを特徴とする(ハ)に記載のブラシレスモータの制御装置。
このようにすれば、調整周期デューティに対して、スイッチング素子の出力デューティにおける出力調整周期デューティが変化しないようにすることができる。
(ホ)前記補正手段は、前記調整周期デューティを前記不感帯の半分の幅の整数倍で補正することを特徴とする(ハ)又は(ニ)に記載のブラシレスモータの制御装置。
このようにすれば、調整周期デューティが不感帯に含まれないようにすることができる。
(ヘ)前記補正手段は、前記設定デューティが前記下限デューティよりも小さい第2所定値未満である場合に、前記調整周期のデューティを補正することを特徴とする、(イ)〜(ホ)に記載のブラシレスモータの制御装置。
このようにすれば、調整周期のディーティの一部はスイッチング素子の不感帯に含まれなくなるので、設定デューティに対するスイッチング素子の出力平均デューティの線形性が向上する。
(ト)前記第2所定値は、前記他の周期のデューティが0となる場合のデューティであることを特徴とする、(ホ)に記載のブラシレスモータの制御装置。
このようにすれば、調整周期のデューティがマイナスである場合に、調整周期のデューティがスイッチング素子の不感帯に含まれないように補正することができる。
(チ)前記補正手段は、前記主周期のデューティを増大補正し、前記調整周期のデューティを減少補正することを特徴とする(イ)〜(ト)のいずれか1つに記載のブラシレスモータの制御装置。
このようにすれば、下限デューティに制限された主周期のデューティを減少補正することがなく、非通電相におけるパルス誘起電圧の検出精度が担保される。このように主周期デューティを減少補正することはできず、増大補正することしかできないが、調整周期のデューティを減少補正するようにすることで、主周期デューティと調整周期デューティとを平均化した平均デューティを設定デューティに一致させることができる。
100…ブラシレスモータ、110u…U相、110v…V相、110w…W相、120…ロータ、200…モータ制御装置、210…駆動回路、212a〜212f…スイッチング素子、302…印加電圧演算部、304…PWM発生部、306…ゲート信号切替部、308…通電モード決定部、310…比較部、312…電圧閾値切替部、316…非通電相電圧選択部、318…主周期デューティ設定部、320…調整周期デューティ設定部、322…デューティ補正部

Claims (4)

  1. 3相ブラシレスモータの2相に対してスイッチング素子がパルス幅変調信号に応じたパルス電圧を印加する通電モードを、非通電相に誘起されるパルス誘起電圧に基づいて切り替えるブラシレスモータの制御装置であって、
    設定されたパルス幅変調信号のデューティである設定デューティが第1所定値未満である場合、前記パルス幅変調信号の連続する複数周期のうち所定の1周期を、前記パルス誘起電圧を検出する周期として、前記第1所定値に制限する制限手段と、
    制限された前記所定の1周期のデューティと、前記パルス幅変調信号の複数周期のうち前記所定の1周期以外の他の周期のデューティと、を平均化した平均デューティが前記設定デューティとなるように、前記他の周期のデューティを調整する調整手段と、
    前記パルス幅変調信号のデューティに対する前記スイッチング素子の応答性に応じて、前記所定の1周期のデューティ又は前記他の周期のデューティを補正する補正手段と、
    を含んで構成されるブラシレスモータの制御装置。
  2. 前記補正手段は、前記パルス幅変調信号のデューティが前記第1所定値よりも小さい第2所定値未満である場合に、前記他の周期のデューティを補正することを特徴とする、請求項1に記載のブラシレスモータの制御装置。
  3. 前記補正手段は、前記他の周期のデューティの補正内容に基づいて、前記所定の1周期のデューティを補正することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のブラシレスモータの制御装置。
  4. 3相ブラシレスモータの2相に対してスイッチング素子がパルス幅変調信号に応じたパルス電圧を印加する通電モードを、非通電相に誘起されるパルス誘起電圧に基づいて切り替えるブラシレスモータのコントロールユニットが、
    前記パルス幅変調信号のデューティが所定値未満である場合、前記パルス幅変調信号の連続する複数周期のうち所定の1周期を、前記パルス誘起電圧を検出する周期として、前記所定値に制限し、
    制限された前記所定の1周期のデューティと、前記パルス幅変調信号の複数周期のうち前記所定の1周期以外の他の周期のデューティと、を平均化した平均デューティが、前記パルス幅変調信号のデューティとなるように、前記他の周期のデューティを調整し、
    前記パルス幅変調信号のデューティに対する前記スイッチング素子の応答性に応じて、前記所定の1周期のデューティ又は前記他の周期のデューティを補正する、
    ブラシレスモータの制御方法。
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