JP2015175609A - 原子力発電プラントおよび原子力発電プラントの防食方法 - Google Patents

原子力発電プラントおよび原子力発電プラントの防食方法 Download PDF

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Abstract

【課題】海水成分を含む冷却水と接触する構造部材の隙間腐食を抑制することができる原子力発電プラントを提供する。
【解決手段】原子力発電プラント1において、臭化物水溶液注入装置35の臭化物水溶液貯留槽36が、注入配管37により浄化系配管10に接続される。注入ポンプ38および開閉弁39が注入配管37に設けられる。臭化物水溶液(例えば、臭化亜鉛水溶液)が臭化物水溶液貯留槽36に充填される。海水成分が原子炉圧力容器2内の炉水に混入されたとき、注入ポンプ38の駆動により、臭化物水溶液貯留槽36内の臭化物水溶液が注入配管37および炉浄化系配管10を通して原子炉圧力容器2内に注入される。臭化物水溶液の注入により、放射線が照射されている炉水と接触する構造部材の自然浸漬電位が−0.3Vvs.SHE以下に低減され、浄化系配管10等の構造部材の隙間腐食の発生が抑制される。
【選択図】図1

Description

本発明は、原子力発電プラントおよび原子力発電プラントの防食方法に係り、特に、沸騰水型原子力発電プラントに適用するのに好適な原子力発電プラントおよび原子力発電プラントの防食方法に関する。
原子力発電プラントでは、ステンレス鋼およびニッケル基合金は、構造材と呼ばれ、原子炉内機器および配管等の構造部材に用いられている。それらのステンレス鋼およびニッケル基合金は、高濃度の海水成分を含む水溶液に、隙間を形成した状態で浸漬され且つ特定の条件を満たしたとき、隙間腐食が生じる可能性があることが知られている(谷純一、加古謙司、佐藤勝”希薄海水中におけるステンレス鋼のすきま腐食挙動”、電力中央研究所報告、Q12001(2013)参照)。
海水成分のうち、最も隙間腐食に影響を及ぼす成分は塩化物イオンである。このため、原子力発電プラントにおいては、原子炉水化学ハンドブック、(社)日本原子力学会編、196頁〜201頁、コロナ社(2000)に記載されているように、塩化物イオン濃度を監視し、特定濃度以上の場合は濃度低減対策を講じることが求められる。原子力発電プラントの最終的な放熱源は海(または河川)であるが、冷却剤と海水とは隔離されているため、冷却材が海水成分と直接接することはない。
沸騰水型原子力発電プラントの原子炉で用いられる冷却水は、高温高圧の純水であって、その塩化物イオン濃度がppbオーダー以下となるよう管理されている(原子炉水化学ハンドブック、(社)日本原子力学会編、196頁〜201頁、コロナ社(2000)参照)。沸騰水型原子力発電プラントの通常の運転中では、その塩化物イオン濃度は、沸騰水型原子力発電プラントの冷却水と接触する構造部材に隙間腐食が生じない条件に維持管理されている。しかし、過酷事故等に起因して冷却水の浄化、循環および冷却が困難になった場合に限っては、炉心を冷却するために海水を冷却水として使用せざるを得なくなる可能性がある。それによって、高濃度の塩化物イオンが構造部材に接触する場合に、構造部材の隙間が形成されている部位で、隙間腐食が発生する可能性が生じる。
ところが、温度、塩化物イオン濃度、隙間形状が特定条件を満たしていたとしても、自然浸漬電位が隙間腐食発生のしきい電位を超過していない場合には、隙間腐食は熱力学的に発生し得ない。前述した隙間腐食発生のしきい電位は、腐食隙間再不働態化電位と呼称される。自然浸漬電位と腐食隙間再不働態化電位との高低を比較することによって、隙間腐食の発生可能性の有無を評価できることが知られている(深谷祐一、明石正恒、佐々木英次、辻川茂男、“No−Cr−Mo合金の対すきま腐食可使用条件の定量評価”、IHI技法、Vol.47、No.4、162頁〜172頁(2007)参照)。隙間腐食は、自然浸漬電位が腐食隙間再不働態化電位を超過しているときにのみ、発生する可能性がある。つまり、高濃度の塩化物イオンが冷却水中に混入した場合であっても、自然浸漬電位が腐食隙間再不働態化電位を下回っている場合には、構造部材における隙間腐食の発生を抑制できる。
特開2013−194274号公報には、防錆剤注入装置および脱気器を含む注入ライン、および浄化装置、防剤分離装置および脱気器を含むリサイクルラインを、原子炉圧力容器に接続された冷却水循環系に接続した原子力プラントが記載されている。防錆剤注入装置から注入ラインに注入された、防錆剤である五ほう酸ナトリウム、モリブデン酸塩、タングステン酸塩および金属水酸化物のいずれか1つ又は2つ以上の混合物を原子炉圧力容器に注入することにより、過酷事故時に海水が冷却水として原子炉圧力容器内に注入された場合であっても、海水を含む冷却水と接触した、原子力プラントの構造部材の腐食を抑制している。このため、廃炉までの長期に亘って原子力プラントの健全性を維持することができる。
八代仁、高温塩化物水溶液中におけるSUS304ステンレス鋼の孔食および隙間腐食に関する研究、東北大学 学位論文、45頁〜58頁(1994)は、250℃のNaCl水溶液中におけるSUS304ステンレス鋼の隙間腐食についての挙動を記載している。日本工業規格:腐食隙間再不働態化電位測定方法(JIS G 0592)、(財)日本規格協会(2002)は、ステンレス鋼の腐食隙間再不動態化電位測定方法を記載している。なお、原子炉圧力容器等の内部に存在する冷却水中に高濃度の溶存水素が存在する場合には、この冷却水と接触する、原子力プラントの構造部材の自然浸漬電位が低下することが知られている(Chien C. Lin, Water Chemistry of Nuclear Reactor Systems 7. BNES, London, pp. 135-137(1996)参照)。
特開2013−194274号公報
谷純一、加古謙司、佐藤勝"希薄海水中におけるステンレス鋼のすきま腐食挙動"、電力中央研究所報告、Q12001(2013) 原子炉水化学ハンドブック、(社)日本原子力学会編、196頁〜201頁、コロナ社(2000) 深谷祐一、明石正恒、佐々木英次、辻川茂男、"No−Cr−Mo合金の対すきま腐食可使用条件の定量評価"、IHI技法、Vol.47、No.4、162頁〜172頁(2007) 八代仁、高温塩化物水溶液中におけるSUS304ステンレス鋼の孔食および隙間腐食に関する研究、東北大学 学位論文、45頁〜58頁(1994) 日本工業規格:腐食隙間再不働態化電位測定方法(JIS G 0592)、(財)日本規格協会(2002) Chien C. Lin, Water Chemistry of Nuclear Reactor Systems 7. BNES, London, pp. 135-137(1996)
前述の各先行技術文献は、80℃を超過する温度域における海水を含む冷却水中の隙間腐食の評価および対策について言及していない。また、全面腐食以外の局部腐食、特に隙間腐食の評価・対策について、それらの先行技術文献は言及していない。さらに、八代仁、高温塩化物水溶液中におけるSUS304ステンレス鋼の孔食および隙間腐食に関する研究、東北大学 学位論文、45頁〜58頁(1994)は、NaCl水溶液中におけるSUS304ステンレス鋼の隙間腐食についての挙動を報告しているが、80℃を超過する高温域における海水を含む冷却水中における腐食隙間再不働態化電位、および同条件における腐食電位について記載していない。
発明者らは、原子力発電プラントにおいて、海水成分を含む冷却水が構造部材によって形成される隙間に入り込んだ場合に、その隙間を構成する構造部材に隙間腐食が生じる可能性があることを見出した。
本発明の目的は、海水成分を含む冷却水と接触する構造部材の隙間腐食を抑制することができる原子力発電プラントおよび原子力発電プラントの防食方法を提供することにある。
上記した目的を達成する本発明の特徴は、原子炉圧力容器と、前記原子炉圧力容器に接続された配管と、臭化物注入装置とを備え、臭化物注入装置を配管に接続したことにある。
臭化物注入装置を原子炉圧力容器に接続された配管に接続しているので、海水成分が原子炉圧力容器内の、放射線が照射されている冷却水に流入する場合において、この冷却水の自然浸漬電位を−0.3Vvs.SHE以下に低下させることができ、この冷却水と接触する構造部材の隙間腐食を抑制することができる。
上記の目的は、原子炉圧力容器内の放射線が照射された冷却水に海水成分が混入する前、およびその冷却水に海水成分が混入した後のいずれかにおいて、冷却水への臭化物の注入を開始し、臭化物の注入により冷却水の自然浸漬電位を−0.3Vvs.SHE以下に低減することによっても達成できる。
本発明によれば、海水成分が原子炉圧力容器内に流入した場合において、海水成分を含む冷却水と接触する構造部材の隙間腐食を抑制することができる。
本発明の好適な一実施例である実施例1の原子力発電プラントの構成図である。 280℃以下の希釈人工海水中における塩化物イオン濃度と腐食隙間再不働態化電位の関係を示す特性図である。 280℃以下の希釈人工海水中における、γ線照射下での塩化物イオン濃度と腐食隙間再不働態化電位の関係を示す特性図である。 250℃の希釈人工海水の吸収線量とステンレス鋼の自然浸漬電位および溶存水素濃度のそれぞれとの関係を示す特性図である。 250℃の希釈人工海水中における、γ線照射ありおよびγ線照射なしのそれぞれでのステンレス鋼の塩化物イオン濃度と自然浸漬電位および溶存水素濃度のそれぞれとの関係を示す特性図である。 本発明の他の好適な実施例である実施例2の原子力発電プラントの構成図である。
発明者らは、原子力発電プラントを対象に、海水成分を含む冷却水と接触する構造部材の隙間腐食を抑制できる対策について種々の検討を行った。この結果、発明者らは、原子力発電プラントの構造部材の隙間腐食に対し、高温での腐食隙間再不働態化電位を明確化することができ、さらに、高温の海水成分を含む冷却水中における構造部材の自然浸漬電位、および腐食隙間再不働態化電位および自然浸漬電位の双方に及ぼすγ線照射の影響を明らかにすることができた。この結果、これらの新たな知見に基づいて、発明者らは、原子力発電プラントの構造部材の隙間腐食を抑制することができる新たな対策を見出すことができた。この新たな対策は、海水が原子炉圧力容器内の冷却水、すなわち、炉水に混入されたときに臭化物をその炉水に注入する、および海水をその炉水に注入するときに臭化物をその炉水に注入する、のいずれかである。
発明者らが行った前述の検討結果を、以下に説明する。
発明者らは、高温の海水中における構造部材の隙間腐食発生の可能性の有無を確認する試験を行った。この試験では、温度と塩化物イオン濃度をパラメータとして、高温の希釈人工海水中におけるステンレス鋼の腐食隙間再不働態化電位を、JIS G 0592(日本工業規格:腐食隙間再不働態化電位測定方法(JIS G 0592)、(財)日本規格協会(2002)参照)を適用して測定し、その腐食隙間再不働態化電位のγ線照射による影響を調べた。さらに、高温の希釈人工海水にγ線を照射した場合の、ステンレス鋼の自然浸漬電位の測定結果に基づいて、発明者らは、非常時に冷却水として海水を原子炉圧力容器内に注入した場合において、海水成分を含む炉水と接触する構造部材の隙間腐食を抑制できる方法を見出した。
50℃、100℃、250℃および280℃のそれぞれの温度の希釈人工海水において、塩化物イオン濃度を1ppm〜1000ppmの範囲内で変え(ただし、280℃の希釈人工海水では、塩化物イオン濃度を1ppm〜100ppmの範囲内で変える)、金属と金属の隙間を有するSUS304ステンレス鋼製の試験片をそれぞれの温度の希釈人工海水に浸漬させ、それぞれのケースにおいてSUS304ステンレス鋼製の試験片の腐食隙間再不働態化電位を測定した。その試験片は、試験槽内に循環させたそれぞれの希釈人工海水に浸漬させた。SUS304ステンレス鋼製の試験片は、原子力発電プラントの構造部材を模擬している。その測定結果を、JIS G 0592に測定例として示されている腐食隙間再不働態化電位と併せて、図2に示す。50℃、100℃、250℃および280℃のそれぞれの温度の希釈人工海水では、塩化物イオン濃度が高いほど、腐食隙間再不働態化電位が低くなる傾向にある。JIS G 0592に測定例として示されている、55℃のNaCl水溶液中で測定された腐食隙間再不働態化電位(図2において○で示す)も、同じ傾向を示している。
JIS G 0592に示された、55℃のNaCl水溶液中で測定された腐食隙間再不働態化電位と、発明者らが測定した50℃の希釈人工海水中で測定した腐食隙間再不働態化電位とを比較すると、1000ppm以上の、塩化物イオン濃度の高い領域では、希釈人工海水中での腐食隙間再不働態化電位が、NaCl水溶液中での腐食隙間再不働態化電位よりも約0.2V高くなった。このため、希釈人工海水中では、隙間腐食がSUS304ステンレス鋼試験片に生じにくいことが分かった。これは塩化物イオン以外の海水成分が希釈人工海水に含まれていることに起因していると、発明者らは推定した。
100℃の希釈人工海水中での腐食隙間再不働態化電位は、50℃の希釈人工海水中でのそれに比べて、0.2から0.3V低くなった。さらに、250℃および280℃のそれぞれの希釈人工海水中での腐食隙間再不働態化電位は、塩化物イオン濃度が10ppm以下の領域では100℃の希釈人工海水中での腐食隙間再不働態化電位とほぼ同じであった。しかし、塩化物イオン濃度が100ppmを超える領域では、250℃および280℃のそれぞれにおける腐食隙間再不働態化電位は、100℃での腐食隙間再不働態化電位よりも低くなった。さらに、塩化物イオン濃度が100ppmを超える領域では、280℃での腐食隙間再不働態化電位は、250℃でのそれよりも低い値を示した。
この結果、希釈人工海水中での腐食隙間再不働態化電位は、250℃で最低値になることが分かった。また、250℃の希釈人工海水中では、塩化物イオン濃度が100ppm以上になる領域において、塩化物イオン濃度の上昇に伴う腐食隙間再不働態化電位の低下傾向が消失し、試験範囲では約−0.25Vvs.SHEの腐食隙間再不働態化電位が下限値となることが分かった。
以上の試験結果により、希釈人工海水中におけるステンレス鋼製の試験片の隙間腐食は、250℃の希釈人工海水中で最も生じやすくなるが、その試験片の腐食隙間再不働態化電位を、少なくとも約−0.3Vvs.SHE未満の電位に保持することによって、ステンレス鋼製の試験片、すなわち、原子力発電プラントのステンレス鋼製の構造部材における隙間腐食の発生を回避できることが分かった。
腐食隙間再不働態化電位のγ線による影響を調べるために、発明者らは、1kGyの空間線量率のγ線を照射している100℃、250℃および280℃のそれぞれの希釈人工海水の塩化物イオン濃度を変化させ、試験槽内に循環させた各希釈人工海水にSUS304ステンレス鋼製の試験片を浸漬させてそれぞれの試験片の腐食隙間再不働態化電位を測定する試験を行った。この試験においてγ線照射下で測定された、100℃、250℃および280℃のそれぞれの希釈人工海水に浸漬されたSUS304ステンレス鋼製のそれぞれの試験片の腐食隙間再不働態化電位、およびγ線が照射されていない状態において同じ温度の希釈人工海水に浸漬された各試験片の腐食隙間再不働態化電位を、図3に示す。なお、後者の腐食隙間再不働態化電位は、図2に示された腐食隙間再不働態化電位の一部である。
図3に示された結果に基づいて、発明者らは、100℃、250℃および280℃のそれぞれの希釈人工海水に浸漬された試験片の、γ線照射下およびγ線非照射下のそれぞれの腐食隙間再不働態化電位を比較した。この結果、γ線照射下においても、前述した腐食隙間再不働態化電位の下限値(約−0.3Vvs.SHE)が有効であることが確認された。
発明者らは、最も低い腐食隙間再不働態化電位を示した250℃の希釈人工海水を対象に、試験槽内の希釈人工海水の吸収線量を0Gy〜1830Gyの範囲で変化させ、その希釈人工海水に浸漬させたステンレス鋼製の試験片の自然浸漬電位を測定する試験を行った。この試験では、試験槽から流出する希釈人工海水の溶存水素濃度も併せて測定した。なお、希釈人工海水の吸収線量は、γ線の照射時間を変えることによって変化させることができる。希釈人工海水の吸収線量に対応して測定された自然浸漬電位および溶存水素濃度を、図4に示す。試験槽に供給する希釈人工海水の圧力は4.5MPaに、試験槽の入口における希釈人工海水の溶存水素濃度は100ppbにそれぞれ保持される。また、試験槽の入口での希釈人工海水の塩化物イオン濃度は、40倍に希釈された海水の塩化物イオンの濃度になっている。
希釈人工海水の吸収線量を0Gy〜1830Gyの範囲内で変化させて測定したステンレス鋼製の試験片の自然浸漬電位は、図4に示す結果になった。吸収線量0Gyにおける自然浸漬電位の値が、希釈人工海水にγ線を照射しない場合での測定値である。測定されたそれぞれの自然浸漬電位は、吸収線量が0Gyを超えて1830Gy以下の範囲内において、γ線を照射しない吸収線量0Gyのときよりも低い値を示している。すなわち、吸収線量0Gyでは自然浸漬電位が約−0.1Vvs.SHEであるが、吸収線量が1000Gyになったときに自然浸漬電位が約−0.5Vvs.SHEまで低下する。なお、吸収線量が1000Gy以上では、ステンレス鋼製の試験片の自然浸漬電位は約−0.5Vvs.SHEに保持される。
図4に示された溶存水素濃度の測定値は、吸収線量が1000Gyまでの領域では吸収線量の増加に伴って約100ppbまで上昇し、吸収線量が1000Gyを超える領域では、溶存水素濃度はほぼ一定になる。
以上の結果に基づいて、海水成分を含む炉水にγ線が照射されることにより、発明者らは、炉水の溶存水素濃度が増加し、原子力発電プラントの炉水に接触する構造部材の自然浸漬電位が低下することを把握した。
発明者らは、250℃の希釈人工海水中において、希釈人工海水の吸収線量を1830Gyに保持した場合での、ステンレス鋼製の試験片の海水成分である塩化物イオン濃度の依存性を確認する試験を行った。試験槽内での希釈人工海水の塩化物イオン濃度を0ppm〜1000ppmの範囲で変化させ、ぞれぞれの希釈人工海水にγ線を照射した場合およびγ線を照射しない場合の各ケースにおいて、ステンレス鋼製の試験片の自然浸漬電位を測定すると共に、試験槽から流出する希釈人工海水の溶存水素濃度を測定した。実際の海水を20〜2000の希釈率で希釈した場合に相当する濃度範囲で希釈人工海水の塩化物イオン濃度を変化させた。希釈人工海水の塩化物イオン濃度1000ppmは、実際の海水を約20倍に希釈した場合における希釈された海水の塩化物イオン濃度である。
この試験における希釈人工海水の塩化物イオン濃度に対する自然浸漬電位および溶存水素濃度のそれぞれの測定結果を、図5に示す。図5から、実際の海水を2000倍に希釈した塩化物イオン濃度が10ppmの希薄人工海水中であっても、γ線照射によって希釈人工海水の溶存水素濃度が増加し、希薄人工海水に浸漬されたステンレス鋼製の試験片の自然浸漬電位が低下することが分かった。
発明者らは、希釈人工海水の溶存水素濃度がγ線の照射によって増加する原因は、希釈人工海水に海水成分として含まれる臭化物イオンが、式(1)で表される反応によって希釈人工海水に含まれる水の放射線分解で発生したOHラジカルと結合するために、余剰となったHが希釈人工海水中で溶存水素になるためであると推定した。
Br-+OH・ → BrOH- …(1)
炉水中に高濃度の溶存水素が存在すると、原子力発電プラントの炉水と接触するステンレス鋼製の構造部材の自然浸漬電位が低下することが、Chien C. Lin, Water Chemistry of Nuclear Reactor Systems 7. BNES, London, pp. 135-137(1996)によって知られている。構造部材の自然浸漬電位の低下は、溶存水素存在下では水の放射線分解により生成される酸素および過酸化水素などの酸化性化学種である酸化剤の生成量が減少すること、およびステンレス鋼製の構造部材の表面で式(2)により表される酸化反応が生じることに起因している。
2 → 2H++2e- …(2)
海水が炉水に混入する事象が発生した場合に、海水成分である臭化物イオンが炉水に存在することにより、炉水の溶存水素濃度が高くなる。この結果、発明者らは、γ線照射下においてステンレス鋼製の構造部材の自然浸漬電位が低下したと考えた。
以上の検討結果に基づいて、発明者らは、以下に述べる新たな知見を見出した。原子力発電プラントにおいて、炉水へのγ線照射下で、少なくとも2000倍に希釈された海水の海水成分の濃度に相当する高濃度の海水成分が存在する炉水に接触するステンレス鋼の構造部材の自然浸漬電位は、図4および図5に示されるように、図2および図3に示された腐食隙間再不働態化電位の下限値(−0.25Vvs.SHE)を下回るため、いずれは構造部材に隙間腐食が生じない環境が形成される。しかしながら、γ線が照射された炉水と接触する構造部材の自然浸漬電位が、図2および図3において、構造部材に隙間腐食が発生しない領域(例えば、図2および図3において●を結ぶ直線よりも下方の領域)内の経路を経由して、腐食隙間再不働態化電位の下限値よりも低い自然浸漬電位に到達するか否かは不明である。そこで、発明者らは、炉水に海水成分が混入するよりも前の時点および炉水に海水成分が混入する初期の時点において、図2および図3に示される構造部材に隙間腐食が発生しない領域を経由して低い自然浸漬電位に到達するように、炉水と接触する構造部材の炉水の腐食隙間再不働態化電位を制御すればよいとの結論(新たな知見)を得た。
この結論に基づいて、発明者らは、臭化物注入装置を用い、原子炉圧力容器内の炉心の冷却に海水を使用する非常時において、原子炉圧力容器内に海水成分が流入する前後の期間(例えば、海水成分が原子炉圧力容器内に流入する前後の10分〜20分の期間)において、臭化物、例えば臭化物水溶液を炉水に連続的に注入すればよいと考えた。すなわち、炉水への海水成分の混入が予定されるときで炉水の塩化物イオン濃度が低い状態にあるうちに、まず臭化物イオンを炉水に注入することにより、原子力発電プラントの炉水と接触する構造部材の自然浸漬電位を−0.3Vvs.SHE以下に低下させる。これにより、炉水への臭化物イオンの注入以降において、炉水の温度および塩化物イオンの濃度が変化した場合でも、炉水と接触する構造部材における隙間腐食の発生を抑制できる。
このとき、炉水の臭化物イオン濃度を、少なくとも2000倍に希釈された海水での濃度に相当する50ppb以上となるよう調整すること、および構造部材の腐食電位を連続的に測定して炉水への臭化物イオンの注入量を制御することが望ましい。
炉水に注入する臭化物は、臭化亜鉛、臭化鉄、臭化ナトリウム、臭化ニッケル、臭化マグネシウムおよび臭化テトラエチルアンモニウムから選ばれた少なくとも一種である。臭化物は、臭化物水溶液として原子炉圧力容器内の炉水に注入される。
上記の検討結果を反映した本発明の実施例を以下に説明する。
本発明の好適な一実施例である実施例1の原子力発電プラントを、図1を用いて説明する。本実施例の原子力発電プラント1は、沸騰水型原子力発電プラントである。
本実施例の原子力発電プラント(例えば、沸騰水型原子力発電プラント)1は、原子炉、タービン3、復水器4、臭化物水溶液注入装置(臭化物注入装置)35、再循環系、原子炉浄化系、給水系、残留熱除去系およびオフガス系等を備えている。
原子炉は、炉心3を内蔵する原子炉圧力容器2を有し、原子炉圧力容器2内に複数のジェットポンプ9を設置している。炉心3には多数の燃料集合体(図示せず)が装荷されている。燃料集合体は、核燃料物質で製造された複数の燃料ペレットが充填された複数の燃料棒を含んでいる。原子炉圧力容器2内に配置された炉心シュラウド4が炉心3を取り囲んでいる。複数のジェットポンプ9が、原子炉圧力容器2と炉心シュラウド4の間に形成される環状のダウンカマ20内に配置される。気水分離器7および蒸気乾燥器8が原子炉圧力容器2内に設置され、気水分離器7が炉心3の上方に、蒸気乾燥器8が気水分離器7の上方にそれぞれ配置される。
原子炉圧力容器2は、原子炉格納容器16内に据え付けられ、原子炉格納容器16内のドライウェル41に配置される。環状の圧力抑制室17が設けられ、圧力抑制室内に冷却水を充填した圧力抑制プール40が形成される。圧力抑制室17は、原子炉格納容器16に接続されたベント管に取り付けられる。
再循環系は、ステンレス鋼製の複数の再循環系配管5、および再循環系配管5のそれぞれに設置された再循環ポンプ6を有する。再循環系配管5の上流端は、原子炉圧力容器2に接続され、ダウンカマ20に連絡される。再循環系配管5の下端は、ジェットポンプ9のノズル(図示せず)に連絡される。
原子炉圧力容器2に接続された主蒸気配管18がタービン19に接続される。タービン19は、復水器21の上方に配置され、復水器21に連絡される。線量率モニタ34が主蒸気配管18に面して配置される。給水系は、復水器21と原子炉圧力容器2を連絡する給水配管22に、復水ポンプ23、復水浄化装置(例えば、復水脱塩器)24、低圧給水加熱器25、給水ポンプ26および高圧給水加熱器27を、復水器21から原子炉圧力容器2に向って、この順に設置して構成されている。
原子炉浄化系は、再循環系配管5と給水配管22を連絡するステンレス鋼製の浄化系配管10に、再生熱交換器11、非再生熱交換器12、炉水浄化装置13および浄化系ポンプ14をこの順に設置している。浄化系配管10は、再循環ポンプ6の下流で再循環系配管5に接続される。原子炉圧力容器2の底部である下鏡に接続されたドレン配管15は、再生熱交換器11の上流で浄化系配管10に接続される。腐食電位センサ42がドレン配管15に設けられる。
臭化物水溶液注入装置35は、臭化物水溶液貯留槽36、注入配管37及び注入ポンプ38を有する。臭化物水溶液貯留槽36は、注入配管37によって炉水浄化装置13の下流でさらに再生熱交換器11の下流で浄化系配管10に接続される。注入ポンプ30および開閉弁39が注入配管37に設けられる。例えば、臭化物水溶液である臭化亜鉛水溶液が臭化物水溶液貯留槽36内に充填されている。
残留熱除去系は配管33および熱交換器(冷却器)(図示せず)を有する。配管33の上流端部が再循環ポンプ6の上流で再循環系配管5に接続され、配管33の下流端部が再循環ポンプ6の下流で再循環系配管5に接続される。配管33には、その熱交換器および開閉弁(図示せず)が設けられる。
非常用炉心冷却装置の一つである高圧炉心スプレイ系は、冷却水供給配管31およびスプレイヘッダー32を有する。スプレイヘッダー32は、多数の注水口(図示せず)を形成しており、炉心3に装荷された燃料集合体の上方で気水分離器7の下方で、原子炉圧力容器2内に配置される。
オフガス系は、オフガス系配管28、空気抽出器29および再結合器30を有する。オフガス系配管28は、復水器21に接続され、さらに、排気筒(図示せず)に接続される。空気抽出器29および再結合器30がオフガス系配管28に設けられ、再結合器30は空気抽出器29の下流に位置している。酸素注入装置51が、空気抽出器29の上流でオフガス系配管28に接続される。
水質測定装置44がサンプリング配管43によって給水配管22と浄化系配管10接続点と高圧給水加熱器27の間で給水配管22に接続される。水質測定装置46がサンプリング配管45によって非再生熱交換器12と炉水浄化装置13の間で浄化系配管10に接続される。水質測定装置48がサンプリング配管47によってドレン配管15に接続される。水質測定装置50がサンプリング配管49によって主蒸気配管18に接続される。
原子炉圧力容器2内のダウンカマ20に存在する冷却水(以下、炉水という)は、再循環ポンプ6で昇圧され、再循環系配管5を通ってジェットポンプ9のノズルからジェットポンプ9のスロート(図示せず)内に噴射される。この噴射により、ジェットポンプ9のノズルの周囲でダウンカマ20内に存在する炉水も、ジェットポンプ9のスロート内に吸引される。ジェットポンプ9から吐出された炉水は炉心3に供給される。炉心3に供給された炉水は燃料集合体の各燃料棒内の核燃料物質の核分裂で発生する熱によって加熱され、加熱された炉水の一部が蒸気になる。この蒸気は、気水分離器7および蒸気乾燥器19にて水分が除去された後に、原子炉圧力容器2から主蒸気配管18を通ってタービン19に導かれ、タービン19を回転させる。タービン19に連結された発電機(図示せず)が回転し、電力が発生する。線量率モニタ34は主蒸気配管18の線量率を測定する。
タービン19から排出された蒸気は、復水器21で凝縮されて水になる。この水は、給水として、給水配管22を通り原子炉圧力容器2内に供給される。給水配管22を流れる給水は、復水ポンプ23で昇圧され、復水浄化装置24で不純物が除去され、給水ポンプ26でさらに昇圧される。給水は、低圧給水加熱器25および高圧給水加熱器27で加熱されて原子炉圧力容器2内に導かれる。抽気配管(図示せず)によりタービン19から抽気された抽気蒸気が、低圧給水加熱器25および高圧給水加熱器27にそれぞれ供給され、給水を加熱する。
気水分離器7で分離された炉水は、ダウンカマ20内に流入して給水配管22から供給される給水と混合され、ダウンカマ20内を下降する。この炉水は、再循環系配管5に流入し、前述したように、炉心3に供給されて燃料集合体内の燃料棒の冷却に使用される。
空気抽出器29が作動して復水器21内の非凝縮性ガスを吸引する。非凝縮性ガスの吸引によって復水器21内が負圧になり、タービン19の効率が向上する。非凝縮性ガスは、原子炉圧力容器2内で炉水の放射線分解で生じた水素及び酸素を含んでいる。空気抽出器29により吸引された非凝縮性ガスはオフガス系配管28を通って再結合器30に導かれ、非凝縮性ガスに含まれる水素及び酸素が再結合器30内に存在する触媒の作用により再結合されて水になる。この水は、再結合器30の下流でオフガス系配管28に設けられた凝縮器(図示せず)で凝縮されて除去される。再結合器30内での水素と酸素の再結合を促進するために、酸素注入装置51からオフガス系配管28に所定量の酸素が注入される。
再循環系配管5内を流れる炉水の一部は、浄化系ポンプ14の駆動によって原子炉浄化系の浄化系配管10内に流入し、再生熱交換器11および非再生熱交換器12で冷却された後、炉水浄化装置13で浄化される。浄化された冷却水は、再生熱交換器11で加熱されて浄化系配管10および給水配管22を経て原子炉圧力容器2内に戻される。原子炉圧力容器2内の炉水の一部は、ドレン配管15を通って浄化系配管10に導かれ、炉水浄化装置13で浄化される。
腐食電位センサ42はドレン配管15内を流れる炉水の自然浸漬電位を測定する。給水配管22内を流れる給水の一部が、サンプリング配管43によってサンプリングされ、水質測定装置44に供給される。給水配管22からサンプリングされた給水の水質(給水配管22内を流れる給水の溶存酸素濃度、溶存水素濃度、pHおよび導電率など)が水質測定装置44で測定される。浄化系配管10内を流れる炉水の一部が、サンプリング配管45によってサンプリングされ、水質測定装置46に供給される。浄化系配管10からサンプリングされた炉水の水質(浄化系配管10内を流れる炉水の溶存酸素濃度、溶存水素濃度、pHおよび導電率など)が水質測定装置46で測定される。ドレン配管15内を流れる炉水の一部が、サンプリング配管47によってサンプリングされ、水質測定装置48に供給される。ドレン配管15からサンプリングされた炉水の水質(ドレン配管15内を流れる炉水の溶存酸素濃度、溶存水素濃度、pHおよび導電率など)が水質測定装置48で測定される。主蒸気配管18内を流れる蒸気の一部が、サンプリング配管49によってサンプリングされ、水質測定装置50に供給される。水質測定装置50は、サンプリングした蒸気を凝縮して生成される凝縮水の水質を測定する。水質測定装置44,46,48及び50は、サンプリングした水、サンプリングした蒸気の凝縮水を減圧および冷却することにより、室温から約50℃の範囲内の温度および大気圧から約5気圧の範囲内の圧力で水質を測定している。腐食電位センサ42によって炉水の腐食電位も測定するため、サンプリングされた炉水の酸素濃度及び過酸化水素濃度の両方を定量することができる。
例えば、原子力発電プラント1において事故が発生し、炉心3内の燃料集合体に含まれる各燃料棒を冷却するために、冷却水として海水を炉心3に注入する場合を想定する。冷却水である海水は、例えば、原子炉圧力容器2に接続された配管を通して原子炉圧力容器2内の炉心3に供給される。このため、原子炉圧力容器2内に存在する炉水は、注入された海水に含まれる海水成分を含んでいる。炉心3に装荷されている燃料集合体が海水成分を含む炉水によって冷却される。
原子力発電プラント1に適用される本実施例の原子力発電プラントの防食方法について説明する。上記したように、原子炉圧力容器2内に海水が供給される事象が生じたとき、海水成分が原子炉圧力容器2内に流入する時点の前後10分〜20分の間、臭化物水溶液である臭化亜鉛水溶液が臭化物水溶液注入装置35から原子炉圧力容器2内に注入される。原子力発電プラント1において、炉水と接触する構造部材としては、原子炉圧力容器2内に設けられた炉心シュラウド4、シュラウドサポート(図示せず)、炉心支持板(図示せず)及びジェットポンプ9等の炉内構造物、及び再循環系配管5、浄化系配管10及び残留除去系の配管33等の原子炉圧力容器2に接続された配管がある。
臭化亜鉛水溶液の原子炉圧力容器2内への注入を具体的に説明する。注入された海水が原子炉圧力容器2内に到達すると、炉水と接触する構造部材の自然浸漬電位が変化する可能性がある。腐食電位センサ42で測定された、炉水と接触する構造部材の自然浸漬電位が設定自然浸漬電位である−0.3Vvs.SHEを超えたとき、開閉弁39を開いて注入ポンプ38を駆動する。電力が、例えば、電源車(図示せず)から注入ポンプ38に供給されるので、注入ポンプ38が駆動される。臭化物水溶液貯留槽36内の臭化亜鉛水溶液が、注入配管37を通って浄化系配管10内を流れている炉水に注入される。臭化亜鉛を含む炉水は、浄化系配管10及び給水配管22を通って原子炉圧力容器2内のダウンカマ20に流入し、炉心3に供給される。臭化亜鉛は炉水中で臭化物イオン(Br-)および亜鉛イオン(Zn2+)として存在する。海水成分が原子炉圧力容器2内に流入したとき、具体的には、腐食電位センサ42で測定された、炉水と接触する構造部材の自然浸漬電位が−0.3Vvs.SHEを超えた時点から、例えば、10分〜20分の期間において、臭化物水溶液注入装置35からの臭化亜鉛水溶液が原子炉圧力容器2内に供給される。臭化亜鉛水溶液の注入量は、原子炉圧力容器2内の炉水の臭化物イオン濃度が50ppbになるように、例えば、注入ポンプ38の回転速度を調節して制御される。
臭化亜鉛水溶液を注入している間、炉水を所定の周期でサンプリングし、炉水の臭化物イオン濃度が、水質測定装置46および48でそれぞれ測定される。炉水の臭化物イオン濃度は、水質測定装置46および48において誘導結合プラズマ質量分析器またはフレームレス原子フレームレス原子吸光などの分析機器により定量される。
臭化亜鉛水溶液の注入により、原子炉圧力容器2内の炉水に臭化亜鉛が注入され、式(1)で表される反応により、臭化物イオンが炉水中のOHラジカルと反応してBrOH-を生成し、炉水の溶存水素濃度が高まる。この結果、炉水と接触する構造部材の自然浸漬電位が、設定自然浸漬電位である−0.3Vvs.SHE以下に減少し、原子力発電プラント1の構造部材の隙間腐食の発生が抑制される。原子炉圧力容器2内の炉水は、燃料集合体の複数の燃料棒から放出されるγ線(放射線)の照射を受けるが、炉水と接触する構造部材の自然浸漬電位は設定自然浸漬電位以下に減少する。
炉水をサンプリングしていないときにおける炉水の海水成分濃度および臭化物イオン濃度の変化に伴う炉水の導電率、pHおよび溶存水素濃度のそれぞれの変化を、サンプリング配管45および47にそれぞれ設置した炉水導電率計(図示せず)およびpH計(図示せず)で監視する。
炉水の臭化物イオン濃度は、臭化物イオンと炉水の放射線分解によって生じるOHラジカルとの結合によって減少する。このため、水質測定装置46および48でそれぞれ測定された炉水の臭化物イオン濃度、炉水の導電率および炉水のpHに基づいて、注入ポンプ38の回転速度を調節して、臭化物水溶液注入装置35の臭化物水溶液貯留槽36から浄化系配管10に注入される臭化亜鉛水溶液の注入量を制御する。腐食電位センサ42で測定された、ドレン配管15内を流れる炉水と接触する構造部材の自然浸漬電位が、設定自然浸漬電位である−0.3Vvs.SHEを超えたとき、注入ポンプ38の回転速度を増加させて臭化亜鉛水溶液の注入量を増加させる。
本実施例によれば、海水が原子炉圧力容器2内に流入し、海水成分を含む炉水が、ステンレス鋼製の再循環系配管5、浄化系配管10および原子炉圧力容器2内の炉心シュラウド4などの構造部材に形成される隙間に入り込む場合においても、放射線が照射される炉水に海水成分が流入した時点から10分〜20分の範囲内の期間で炉水に臭化亜鉛水溶液を注入するため、炉水と接触する構造部材の自然浸漬電位を急激に低下させて炉水の自然浸漬電位を−0.3Vvs.SHE以下に低下させることができ、構造部材における隙間腐食の発生を抑制することができる。
海水成分が原子炉圧力容器2内の炉水に混入される事象が生じたとき、この事象の発生時から長時間を経過すると、その炉水内の臭化物イオン濃度が高くなる。本実施例では、歩王社線が照射される炉水に海水成分が混入されて炉水の自然浸漬電位が−0.3Vvs.SHEを超えたときに、臭化亜鉛水溶液が注入されるので、短時間に炉水の自然浸漬電位を−0.3Vvs.SHE以下にすることができる。このため、構造部材における隙間腐食の発生が著しく抑制される。
海水を冷却水として原子炉圧力容器2内に注入する場合には、海水成分が原子炉圧力容器2内に到達する時点が予想できるため、この到達時点から10分〜20分前から臭化亜鉛水溶液の原子炉圧力容器2内への注入を開始し、10分〜20分の間、臭化亜鉛水溶液の注入を継続して行う。このような臭化亜鉛水溶液の注入によっても、構造部材における隙間腐食の発生を抑制することができる。
本実施例では、炉水の臭化物イオン濃度が50ppbになるように臭化亜鉛水溶液を注入するので、炉水と接触する構造部材の自然浸漬電位を−0.3Vvs.SHE以下に効率良く低減することができる。
臭化亜鉛水溶液の替りに、臭化鉄、臭化ナトリウム、臭化ニッケル、臭化マグネシウムまたは臭化テトラエチルアンモニウムの水溶液、または臭化亜鉛、臭化鉄、臭化ナトリウム、臭化ニッケル、臭化マグネシウムおよび臭化テトラエチルアンモニウムから選ばれた少なくともの二種の物質を含む水溶液を原子炉圧力容器2内に注入してもよい。
は、浄化系配管10ではなく、原子炉圧力容器2に接続される高圧スプレイ系、低圧スプレイ系、再循環系および残留熱除去系のそれぞれの配管のうちの1つに接続してもよい。
また、本実施例における臭化物水溶液の原子炉圧力容器2内への注入は、海水を冷却水として原子炉圧力容器2内に注入する場合だけでなく、例えば、復水器21内の、蒸気を凝縮するために海水が供給される熱交換器の伝熱管が損傷して上記の冷却に使用する海水が給水配管22内に流入した場合にも適用することができる。給水配管22に流入した海水成分の量が給水配管22に設けられた復水浄化装置24で完全に除去できないほどに多い場合には、流入した海水成分が原子炉圧力容器2内の炉水に混入される。このような場合においても、腐食電位センサ42で測定された、炉水と接触する構造部材の自然浸漬電位が設定自然浸漬電位である−0.3Vvs.SHEを超えたとき、炉水と接触する構造部材の自然浸漬電位が−0.3Vvs.SHEを超えた時点から10分〜20分の期間において臭化物水溶液(例えば、臭化亜鉛水溶液)を原子炉圧力容器2内の炉水に注入する。復水器21の熱交換器の伝熱管の損傷により海水成分が炉水に混入した場合には、注入ポンプ38に所内電源または外部電源から電力を供給することができるので、電源車からの電力の供給が不要になる。
本発明の他の好適な実施例である実施例2の原子力発電プラントを、図6を用いて説明する。本実施例の原子力発電プラント1Aは、沸騰水型原子力発電プラントである。
本実施例の原子力発電プラント1Aは、実施例1の原子力発電プラント1において臭化物水溶液注入装置35を炉浄化系配管10ではなく高圧炉心スプレイ系の冷却水供給配管31に接続した構成を有する。原子力発電プラント1Aの他の構成は原子力発電プラント1と同じである。
原子力発電プラント1Aを用いた本実施例の原子力発電プラントの防食方法を、以下に説明する。異常事象が生じて原子炉圧力容器2内に海水を注入する必要が生じ、腐食電位センサ42で測定された、炉水と接触する構造部材の自然浸漬電位が−0.3Vvs.SHEを超えた場合には、開閉弁39を開き、バッテリーから電力を注入ポンプ38に供給して注入ポンプを駆動する。臭化物水溶液注入装置35の臭化物水溶液貯留槽36内の臭化亜鉛水溶液が、注入配管37を通して冷却水供給配管31に供給され、さらに、冷却水供給配管31によってスプレイヘッダー32の各注水口から炉心3内に注水される。本実施例でも、実施例1と同様に、炉水と接触する構造部材の自然浸漬電位が−0.3Vvs.SHE以下になり、構造部材における隙間腐食の発生を抑制することができる。
臭化物水溶液貯留槽36から冷却水供給配管31に供給された臭化亜鉛水溶液が、圧力抑制プール40に流入しないように、注入配管37と冷却水供給配管31の接続点から圧力抑制プール40側で冷却水供給配管31に設けられた開閉弁(図示せず)が閉じている。
本実施例は、実施例1で生じる各効果を得ることができる。
冷却水供給配管31を通しての臭化物水溶液の原子炉圧力容器2内への注入は、実施例1で述べた復水器21の伝熱管の損傷による海水成分の原子炉圧力容器2内への流入時においても、実施することができる。
なお、実施例1及び2は、原子炉圧力容器2内の炉水に海水成分が混入した後だけでなく、その炉水に海水成分が混入すると分かっている場合(例えば、原子炉圧力容器2内に冷却水として海水を注入することが決定されたとき、または蒸気を凝縮する海水が内部を流れる復水器21の伝熱管の損傷を、海水成分が原子炉圧力容器2内に流入する前に分かったとき)には、海水成分が原子炉圧力容器2内に流入する前に臭化物水溶液を原子炉圧力容器2内に注入してもよい。なお、海水成分が原子炉圧力容器2内の炉水に混入する前に、臭化物水溶液の原子炉圧力容器2内に注入する場合には、臭化物水溶液の原子炉圧力容器2内への注入は、炉水への海水成分の混入の前に所定量の臭化物水溶液を炉水に注入してこの注入を停止してもよいし、さらには、原子炉圧力容器2内の炉水に海水成分が混入する前から炉水に海水成分が混入した後に掛けて臭化物水溶液を原子炉圧力容器2内に注入してもよい。すなわち、炉水に海水成分が混入する前の時点で臭化物水溶液を原子炉圧力容器2内に注入し、炉水に海水成分が混入した後の時点で臭化物水溶液の原子炉圧力容器2内への注入を停止する。この場合においても、臭化物水溶液を原子炉圧力容器2内への注入時間は、例えば、10分〜20分である。
実施例1及び実施例2は、隙間腐食が生じやすい材料(例えば、ステンレス鋼及びニッケル基合金など)で構成された構造部材を有する原子力発電プラントに適用することが望ましい。
1,1A…原子力発電プラント、2…原子炉圧力容器、3…炉心、4…炉心シュラウド、5…再循環系配管、10…浄化系配管、13…炉水浄化装置、19…タービン、21…復水器、22…給水配管、24…復水浄化装置、31…冷却水供給配管、33…配管、35…臭化物水溶液注入装置、36…臭化物水溶液貯留槽、37…注入配管、38…注入ポンプ、42…腐食電位センサ、44,46,48,50…水質測定装置。

Claims (9)

  1. 原子炉圧力容器と、前記原子炉圧力容器に接続される配管と、臭化物注入装置とを備え、前記臭化物注入装置を前記配管に接続したことを特徴とする原子力発電プラント。
  2. 前記配管が、高圧スプレイ系、低圧スプレイ系、再循環系および残留熱除去系のいずれかの配管である請求項1に記載の原子力発電プラント。
  3. 原子炉圧力容器内の放射線が照射された冷却水に海水成分が混入する前、および前記冷却水に前記海水成分が混入した後のいずれかにおいて、前記冷却水への臭化物の注入を開始し、前記臭化物の注入により前記冷却水と接触する構造部材の自然浸漬電位を−0.3Vvs.SHE以下に低減することを特徴とする原子力発電プラントの防食方法。
  4. 前記冷却水に前記海水成分が混入して前記構造部材の前記自然浸漬電位が−0.3Vvs.SHEを超えたとき、前記冷却水に前記臭化物を注入する請求項3に記載の原子力発電プラントの防食方法。
  5. 前記臭化物の前記冷却水への注入を、前記冷却水に前記海水成分が混入する前に開始するときには、前記冷却水に前記海水成分が混入する前に、前記臭化物を前記冷却水に注入して前記臭化物の前記冷却水への注入を停止する請求項3に記載の原子力発電プラントの防食方法。
  6. 前記臭化物の前記冷却水への注入を、前記冷却水に前記海水成分が混入する前に開始するときには、前記臭化物の前記冷却水への注入を、前記海水成分が前記冷却水に混入する前から前記海水成分が前記冷却水に混入した後まで継続して行う請求項3に記載の原子力発電プラントの防食方法。
  7. 前記臭化物は、前記冷却水の臭化物イオン濃度が50ppb以上になるように、前記冷却水に注入される請求項3ないし6のいずれか1項に記載の原子力発電プラントの防食方法。
  8. 前記臭化物は、臭化亜鉛、臭化鉄、臭化ナトリウム、臭化ニッケル、臭化マグネシウム、臭化テトラエチルアンモニウムのうちの少なくとも1種である請求項3ないし7のいずれか1項に記載の原子力発電プラントの防食方法。
  9. 前記臭化物は、高圧スプレイ系、低圧スプレイ系、再循環系および残留熱除去系のいずれかの配管を通して前記原子炉圧力容器の前記冷却水に注入される請求項3に記載の原子力発電プラントの防食方法。
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