JP2015175071A - 保持部材 - Google Patents

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充弘 飯田
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Abstract

【課題】ミシンの刺繍枠移動機構又は刺繍枠に取り外し可能に装着される、対象物を保持可能な保持部材であって、ミシンの撮影手段が対象物を撮影するのに適した保持部材を提供すること。
【解決手段】保持部材120は、平面状の表面133を有する平面部121と、ミシンが有する刺繍枠移動機構に取り外し可能に装着されるよう構成された装着部122と、色の基準となる色基準部材123と、平面部121に載置される対象物を固定するよう構成された固定手段とを備える。保持部材120は、平面部121に載置される対象物を平面状の表面133に沿って固定することができる。
【選択図】図9

Description

本発明は、刺繍枠移動機構を備えるミシンで利用可能な保持部材に関する。
撮影手段を備えるミシンが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のミシンでは、被縫製物を保持した刺繍枠が、ミシンの刺繍枠移動機構に取り付けられる。撮影手段は、刺繍枠に保持された被縫製物を撮影して画像データを生成する。生成された画像データによって表される画像(撮影画像)は、刺繍模様が配置されたり、編集されたりする際の背景画像に用いられる。また、撮影画像は、刺繍模様を縫製するための刺繍データを生成する処理に用いられる。
特開2009−201704号公報
従来の刺繍枠は、刺繍枠が保持する対象物が、ミシンが備える撮影手段で撮影されることについて十分に考慮されていない。
本発明の目的は、ミシンの刺繍枠移動機構又は刺繍枠に取り外し可能に装着される、対象物を保持可能な保持部材であって、ミシンの撮影手段が対象物を撮影するのに適した保持部材を提供することである。
本発明の第一態様に係る保持部材は、平面状の表面を有する平面部と、前記平面部を支持し、ミシンが有する刺繍枠移動機構に取り外し可能に装着されるよう構成された装着部と、前記平面部に設けられ、色の基準となる色基準部材と、前記平面部に載置される対象物を固定するよう構成された固定手段とを備える。
第一態様の保持部材は、平面部に載置される対象物を平面状の表面に沿って固定することができる。刺繍枠移動機構を備えるミシンに保持部材が装着された場合、ミシンは、色基準部材を撮影して生成された画像データに基づき、対象物を撮影して生成された画像データ(対象画像データ)を補正することができる。この場合ミシンは、明るさ等の撮影条件に起因する、対象画像データの色ムラを適切に補正することができる。つまり、保持部材は、従来の刺繍枠に比べ、ミシンの撮影手段が画像データを生成するのに適している。保持部材は、保持部材とは別に、色基準部材を準備するユーザの手間を省くことができる。
本発明の第二態様に係る保持部材は、平面状の表面を有する平面部と、前記平面部に設けられ、ミシンが有する刺繍枠に係合可能な係合部と、前記平面部に設けられ、色の基準となる色基準部材と、前記平面部に載置される対象物を固定するよう構成された固定手段とを備える。
第二態様の保持部材は、平面部に載置される対象物を平面状の表面に沿って固定することができる。刺繍枠移動機構を備えるミシンに保持部材が係合された刺繍枠が装着された場合、ミシンは、次の画像処理を実行可能である。つまり、ミシンは、色基準部材を撮影して生成された画像データに基づき、対象物を撮影して生成された画像データ(対象画像データ)を補正することができる。ミシンは、明るさ等の撮影条件に起因する、対象画像データの色ムラを適切に補正することができる。つまり、保持部材は、刺繍枠が単独で対象物を保持する場合に比べ、ミシンの撮影手段が画像データを生成するのに適している。保持部材は、保持部材とは別に、色基準部材を準備するユーザの手間を省くことができる。
本発明の第三態様に係る保持部材は、平面状の表面を有する平面部であって、前記表面の少なくとも一部に筆記具による描画が可能な描画領域を有する平面部と、前記平面部を支持し、ミシンが有する刺繍枠移動機構に取り外し可能に装着されるよう構成された装着部と、前記平面部に設けられ、色の基準となる色基準部材とを備える。
第三態様の保持部材は、筆記具による書き込みが可能な描画領域を有する平面部を備える。ユーザは描画領域にイラスト、図形、文字、記号等を任意に書き込むことができる。刺繍枠移動機構を備えるミシンに保持部材が装着された場合、ミシンは、色基準部材を撮影して生成された画像データに基づき、描画領域を撮影して生成された画像データ(対象画像データ)を補正することができる。この場合ミシンは、明るさ等の撮影条件に起因する、対象画像データの色ムラを適切に補正することができる。つまり、保持部材は、従来の刺繍枠に比べ、ミシンの撮影手段が画像データを生成するのに適している。保持部材は、保持部材とは別に、色基準部材を準備するユーザの手間を省くことができる。
ミシン1の斜視図である。 ミシン1の斜視図である。 頭部14の下端部の構成を示す説明図である。 保持板90の平面図である。 保持板90の右側面図である。 保持板90の底面図である。 保持板90が取り付けられた刺繍枠50の平面図である。 保持板90が取り付けられた刺繍枠50の底面図である。 保持部材120の平面図である。 保持部材120の右側面図である。 保持部材120の底面図である。 保持部材150の平面図である。 保持部材150の正面図である。 保持部材150の底面図である。 紙190を固定した状態の保持部材150の平面図である。 ミシン1の電気的構成を示すブロック図である。
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。図1から図3を参照して、ミシン1の物理的構成について説明する。図1及び図2の上下方向、右下側、左上側、左下側、右上側が、各々、ミシン1の上下方向、前方、後方、左方、右方である。つまり、後述の液晶ディスプレイ15が配置された面がミシン1の前面である。ベッド部11及びアーム部13の長手方向がミシン1の左右方向であり、脚柱部12が配置されている側が右側である。脚柱部12の伸長方向がミシン1の上下方向である。
図1及び図2に示すように、ミシン1は、ベッド部11、脚柱部12、アーム部13、及び頭部14を備える。ベッド部11は、左右方向に延びるミシン1の土台部である。脚柱部12は、ベッド部11の右端部から上方へ立設されている。アーム部13は、ベッド部11に対向して脚柱部12の上端から左方へ延びる。頭部14は、アーム部13の左先端部に連結する部位である。
ベッド部11は、ベッド部11の上面に針板21(図3参照)を備える。針板21は、針穴(図示略)を有する。ミシン1は、針板21の下側(つまり、ベッド部11内)に、図示しない送り歯、送り機構、及び釜機構等を備える。送り歯は、刺繍縫製ではない通常の縫製時に、送り機構によって駆動され、被縫製物(例えば、加工布)を所定の移動量で移動させる。釜機構は、針板21の下方において上糸(図示略)を下糸(図示略)に絡ませる。
ミシン1は更に刺繍枠移動機構(以下、「移動機構」という)40を備える。移動機構40は、ミシン1のベッド部11に対して着脱可能である。図1及び図2は、ミシン1に移動機構40が装着された状態を示す。移動機構40がミシン1に装着されると、移動機構40とミシン1とは電気的に接続される。移動機構40は、本体部41及びキャリッジ42を備える。キャリッジ42は、本体部41の上側に設けられている。キャリッジ42は、前後方向に長い直方体形状である。キャリッジ42は、枠ホルダ(図示略)、Y軸移動機構(図示略)、及びY軸モータ84(図16参照)を備える。枠ホルダは、キャリッジ42の右側面に設けられている。枠ホルダには、大きさ及び形状が異なる複数種類の刺繍枠及び保持部材の中から選択された1つを着脱可能である。複数種類の刺繍枠及び保持部材については後述する。Y軸移動機構は、枠ホルダを前後方向(Y軸方向)に移動させる。Y軸モータ84は、Y軸移動機構を駆動する。
本体部41は、X軸移動機構(図示略)及びX軸モータ83(図16参照)を内部に備える。X軸移動機構は、キャリッジ42を左右方向(X軸方向)に移動させる。X軸モータ83は、X軸移動機構を駆動する。移動機構40は、キャリッジ42(枠ホルダ)に装着された刺繍枠又は保持部材を、固有のXY座標系(刺繍座標系)で示される位置に移動可能である。刺繍座標系では、例えば、ミシン1の右方、左方、前方、及び後方が、Xプラス方向、Xマイナス方向、Yマイナス方向、及びYプラス方向である。
脚柱部12の前面には、液晶ディスプレイ(以下、LCDという)15が設けられている。LCD15には、コマンド、イラスト、設定値、及びメッセージ等の様々な項目を含む画像が表示される。LCD15の前面側には、押圧された位置を検知可能なタッチパネル26が設けられている。ユーザが、指又はスタイラスペン(図示略)を用いてタッチパネル26の押圧操作を行うと、タッチパネル26によって、押圧された位置が検知される。ミシン1のCPU61(図16参照)は、検知された押圧位置に基づき、画像中で選択された項目を認識する。以下、ユーザによるタッチパネル26の押圧操作を、パネル操作と言う。ユーザは、パネル操作によって、縫製したい模様及び実行すべきコマンド等を選択できる。脚柱部12は、内部にミシンモータ81(図16参照)を備える。
アーム部13の上部には、開閉可能なカバー16が設けられている。図1及び図2では、カバー16は閉じた状態である。カバー16の下方、つまりアーム部13の内部には、糸収容部(図示略)が設けられている。糸収容部は、上糸が巻回された糸駒(図示略)を収容可能である。アーム部13内部には、左右方向に延びる主軸(図示略)が設けられている。主軸は、ミシンモータ81により回転駆動される。アーム部13の前面左下部には、スタート/ストップスイッチ29を含む各種スイッチが設けられている。スタート/ストップスイッチ29は、ミシン1の運転を開始又は停止させる、即ち、縫製開始又は停止の指示を入力するのに使用される。
図3に示すように、頭部14には、針棒6、押え棒8、及び針棒上下動機構34等が設けられている。針棒6及び押え棒8は、頭部14の下端部から下方に延びる。針棒6の下端には、縫針7が着脱可能に装着される。押え棒8の下端部には、押え足9が着脱可能に取り付けられている。針棒6は、針棒上下動機構34の下端に設けられる。針棒上下動機構34は、主軸の回転により針棒6を上下方向に駆動させる。ミシン1は、縫製部33として、針棒6、針棒上下動機構34、及びミシンモータ81(図16参照)を備える。
頭部14の内部には、イメージセンサ35が設けられている。イメージセンサ35は、例えば、周知のCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサである。イメージセンサ35は、針棒6の下方を含む領域を撮影可能に配置され、画像データを生成可能である。出力された画像データはRAM63(図16参照)の所定の記憶エリアに記憶される。イメージセンサ35が生成した画像データによって表される画像の座標系と、空間全体の座標系(以下、「ワールド座標系」ともいう。)とはフラッシュメモリ64に記憶されたパラメータによって予め関連づけられている。ワールド座標系と、刺繍座標系とはフラッシュメモリ64(図16参照)に記憶されたパラメータによって予め関連づけられている。このためミシン1は、画像データに基づき、刺繍座標系の座標を特定する処理を実行可能である。
本実施形態のイメージセンサ35は、ホワイトバランスを補正した画像データを生成する機能を有する。より具体的には、イメージセンサ35は、オートホワイトバランス機能(AWB)と、マニュアルホワイトバランス機能(MWB)とを有する。AWBは、画像データの色情報に基づき決定された決定ホワイトバランス値(決定WB値)を用いて画像データの色温度補正を行う機能である。MWBは、設定ホワイトバランス値(設定WB値)を用いて画像データの色温度補正を行う機能である。設定WB値は、後述するCPU61によって設定されたホワイトバランス値(WB値)である。色情報は、色を表す情報である。本実施形態の色情報は、赤(R)、緑(G)、青(B)の三つの原色の諧調値(0から255の数値)で表される。
移動機構40に装着可能な複数種類の刺繍枠及び保持部材について説明する。刺繍枠は、第一枠部材及び第二枠部材を有し、第一枠部材と第二枠部材とで被縫製物を保持可能である。第一枠部材と、第二枠部材とは各々、枠状の部材である。刺繍枠は、刺繍枠の内側に設定される縫製可能領域に、縫製部33による縫目を形成可能に構成されている。保持部材は、平面状の表面を有する平面部を有し、平面部に載置される対象物を保持可能である。対象物は、例えば、イメージセンサ35の撮影対象物である。
図1、及び図4から図8を参照して、移動機構40に装着可能な刺繍枠50及び刺繍枠50に装着可能な保持板90について説明する。図4及び図7の左右方向、上方、及び下方を各々、刺繍枠50及び保持板90の左右方向、後方、及び前方とする。保持板90は、平面視前後方向に長い矩形状の板部材である。つまり保持板90の短辺方向が保持板90の左右方向である。保持板90の長辺方向が保持板90の前後方向である。後述する色基準部材93が設けられた側が保持板90の前方である。図1に例示する刺繍枠50は、内枠51(第一枠部材に相当)と外枠52(第二枠部材に相当)とを有し、内枠51と外枠52とで被縫製物(図示略)を挟持して保持する周知構成の刺繍枠である。図7及び図8に示すように、刺繍枠50は、装着部53、4つの係合部54、及び3つの係合孔55を備える。装着部53は、ミシン1の移動機構40に取り外し可能に装着されるよう構成されている。本実施形態の装着部53には、図7に示すように、検出対象部56が設けられている。検出対象部は、刺繍枠の種類毎に固有の形状を有する。刺繍枠50が移動機構40に取り付けられた場合、ミシン1は、後述の検出器36(図16参照)によって検出される装着部53の検出対象部56の形状に基づき、刺繍枠50の種類を特定可能である。4つの係合部54及び3つの係合孔55は、刺繍枠50に取り付けられた保持板90と係合する。
図1、図7、及び図8に示すように、刺繍枠50には、保持板90を取り付け可能である。保持板90は、例えば、シート状の対象物がイメージセンサ35で撮影される場合に使用される。シート状の対象物は、例えば、紙、加工布、樹脂シートである。図4から図6に示すように、保持板90は、平面部91、4つの係合部92、3つの係合部99、色基準部材93、6つの磁性体95、指標部97、基線98、及び6つの磁石100(図7参照)を主に備える。図4及び図5では、説明の便宜上、磁石100の図示を省略している。平面部91は、平面状の表面911を有する。図5及び図6に示すように、本実施形態の平面部91は、表面911とは反対側の面912も平面状である。4つの係合部92及び3つの係合部99は、ミシン1が有する刺繍枠50に係合可能である。より詳細には、4つの係合部92は、矩形状の保持板90の4辺の略中央の各々に設けられた、保持板90の中心側に延びる切り欠きである。3つの係合部99は各々、保持板90の下面から下方に向けて突出した、底面視円状の凸部である。3つの係合部99のうち2つは、保持板90の下面の前側に設けられ、残り1つは保持板90の下面の後ろ側に設けられている。
色基準部材93は、色の基準となる部材である。色基準部材93は、白色の基準となる白色基準部材931及び黒色の基準となる黒色基準部材932を含む。本実施形態では、白色基準部材931及び黒色基準部材932は各々、表面が平面状の周知の反射板である。色基準部材93は所定の色の塗料が平面部91に印刷されることにより形成されてもよいし、平面部91に所定の色の反射テープ材が平面部91に貼付されることにより形成されてもよい。白色基準部材931及び黒色基準部材932は各々、平面部91の表面911と同一平面上であって、保持板90の長辺方向の一端部側となる、撮影対象範囲R1よりも外側(前側)において保持板90の短辺方向(左右方向)に延設されている。白色基準部材931及び黒色基準部材932は各々、イメージセンサ35の撮影可能範囲内に設けられる。イメージセンサ35の撮影可能範囲は、イメージセンサ35の撮影範囲、移動機構40の移動可能範囲、刺繍枠又は保持部材の大きさ等によって決まる。撮影対象範囲R1は、イメージセンサ35によって撮影される対象となる矩形形状の範囲であり、図4、図7の二点鎖線で示す範囲である。撮影対象範囲R1は平面部91の表面911のうちの中央部を含む。本実施形態では撮影対象範囲R1は、フラッシュメモリ64に記憶されたデータに基づき、ミシン1によって、保持板及び保持部材の種類に応じてイメージセンサ35の撮影可能範囲内に設定される。
本実施形態では、白色基準部材931及び黒色基準部材932は各々、撮影対象範囲R1よりも面積が小さい矩形状であり、互いに隣接して配置されている。白色基準部材931及び黒色基準部材932の長辺方向(左右方向)の長さは、撮影対象範囲R1の短辺方向(左右方向)の長さと同じである。また、白色基準部材931及び黒色基準部材932の短辺方向(前後方向)の長さは、イメージセンサ35の撮影範囲を考慮して設定されている長さである。
6つの磁性体95は各々、平面視円状の鉄板である。各磁性体95は、表面911に設けられた平面視円状の凹部94内に配置され、平面部91に埋め込まれている。つまり、各磁性体95の上面は、表面911と同一、又は表面911よりも僅かに下方にあり、表面911よりも上方には突出していない。本実施形態の6つの磁性体95は、平面部91の表面911のうちの撮影対象範囲R1の境界部を含む位置に配置されている。6つの磁性体95のうち4つは、矩形状の撮影対象範囲R1の四隅に配置されている。6つの磁性体95のうち残り2つは、矩形状の撮影対象範囲R1の長手方向の2辺の中心に配置されている。図7に示すように、保持板90は、各磁性体95に対応する6つの磁石100を備える。保持板90は、6組の磁性体95及び磁石100によって、シート状の対象物、例えば図形200が描画された矩形形状の紙180を固定可能である。つまり、6組の磁性体95及び磁石100は、平面部91に載置される対象物を固定するように構成されている。
指標部97は、平面部91の少なくとも周縁に設けられている。本実施形態の指標部97は、磁性体95よりも外側(表面911と同一平面において、保持板90の中心から離れる側)に8つの指標96を有する。各指標96は、平面部91に埋め込まれた磁性体95の位置を示す。8つの指標96のうちの2つは、保持板90の長辺方向の一端(後端)から他端側(前側)に向けて延設された凹部であり、保持板90の長辺方向における磁性体95の位置を示す。8つの指標96のうちの3つは、保持板90の短辺方向の一端(左端)から他端側(右側)に向けて延設された凹部であり、保持板90の短辺方向における磁性体95の位置を示す。8つの指標96のうちの3つは、保持板90の短辺方向の他端(右端)から一端側(左側)に向けて延設された凹部であり、保持板90の短辺方向における磁性体95の位置を示す。指標部97は、磁性体95よりも外側にあるので、シート状の対象物の大きさによっては、磁性体95がシート状の対象物によって覆われた状態であっても、指標96が覆われていない場合がある。この場合、ユーザは、保持板90の短辺方向の位置を示す指標96の位置と、保持板90の長辺方向の位置を示す指標96の位置とに基づき、6つの磁性体95の配置を特定可能である。
基線98は、対象物を平面部91の表面911に載置する際の目安である。本実施形態の基線98は、撮影対象範囲R2の輪郭に沿って延びる直線状の線分である。
図7に示すように、保持板90が刺繍枠50に取り付けられた場合、4つの係合部92は各々、刺繍枠50が有する4つの凸部状の係合部54と係合する。図8に示すように、保持板90が刺繍枠50に取り付けられた場合、3つの係合部99は各々、刺繍枠50が有する、底面視円状で上下方向に貫通する3つの係合孔55と係合する。これにより、保持板90は刺繍枠50に対して位置決めされて係止される。保持板90が取り付けられた刺繍枠50が移動機構40に装着された場合、保持板90の表面911は、ベッド部11と略平行である。平面部91は、針板21の上側、且つ、針棒6及び押え足9の下方に配置される。また、図8に示すように、刺繍枠50の外枠52の裏面右端部には、刺繍枠50の長辺方向に長い矩形形状の滑りシート57が設けられている。滑りシート57は、表面が低摩擦係数となるように加工処理されたシート部材である。滑りシート57は、外枠52の裏側表面よりも僅かに凸となるように設けられる。滑りシート57の突出量は、移動機構40に装着された刺繍枠50とベッド部11又は針板21との間の距離を考慮した量である。このため、刺繍枠50が移動機構40に装着されたときには、滑りシート57がベッド部11又は針板21の上面に接触する状態となる。刺繍枠50が移動機構40に装着された場合、刺繍枠50は刺繍枠50の長辺方向の一端側を装着部53により支持され、刺繍枠50の長辺方向の他端側を滑りシート57によって支持される。刺繍枠50は、刺繍枠50に滑りシート57が設けられていない場合に比べ、刺繍枠50に装着された平面部91の表面を水平に維持しやすい。そして、移動機構40が刺繍枠50を移動させるときには、滑りシート57がベッド部11又は針板21の上面に接触しながら移動するので、移動機構40は摩擦抵抗が少ない状態で刺繍枠50をスムーズに移動させることができる。
図9から図11を参照して、移動機構40に装着可能な保持部材120について説明する。図9の左右方向、上方、及び下方を各々、保持部材120の左右方向、後方、及び前方とする。保持部材120は、平面視前後方向に長い矩形状の板部材である。つまり保持部材120の短辺方向が保持部材120の左右方向である。後述する装着部122が設けられた側が保持部材120の左方である。保持部材120の長辺方向が保持部材120の前後方向である。後述する色基準部材123が設けられた側が保持部材120の前方である。図9から図11に例示する保持部材120は、例えば、シート状の対象物がイメージセンサ35で撮影される場合に使用される。保持部材120の構成は、保持板90の構成と類似するので、同様な構成については説明を簡略化する。また、保持部材120は、裏面の滑りシートは省略した構成であるとする。
図9から図11に示すように、保持部材120は、平面部121、装着部122、色基準部材123、6つの磁性体125、指標部127、基線128、及び6つの磁石130(図2参照)を主に備える。平面部121は、平面視矩形状の平面状の表面133を有する。図10及び図11に示すように、本実施形態の平面部121は、表面133とは反対側の面134も平面状である。装着部122は、平面部121の周縁部のうちの一方の長辺(左辺)の略中央部に設けられた、平面視平面部121の長辺方向に長い矩形状の部位である。装着部122は、平面部121を支持し、ミシン1の移動機構40に取り外し可能に装着されるよう構成されている。本実施形態の装着部122には、検出対象部129が設けられている。検出対象部129は、保持部材120に固有の形状を有しており、刺繍枠50の装着部53に設けられる検出対象部56の形状とは異なる。したがって、保持部材120が移動機構40に取り付けられた場合、ミシン1は、後述の検出器36によって検出される検出対象部129の形状に基づき、保持部材120が取り付けられたことを特定可能である。
色基準部材123は、色の基準となる部材である。色基準部材123は、平面部121の周縁部のうち、保持部材120の長辺方向の一端部側であって、基線128によって囲まれる撮影対象範囲R2よりも外側(前方)に配置されている。色基準部材123は、色基準部材93と同様に、白色の基準となる白色基準部材131及び黒色の基準となる黒色基準部材132を含む。白色基準部材131及び黒色基準部材132の長辺方向(左右方向)の長さは、撮影対象範囲R2の短辺方向の長さと同じである。また、白色基準部材131及び黒色基準部材132の短辺方向(前後方向)の長さは、イメージセンサ35の撮影範囲を考慮して設定されている長さである。
6つの磁性体125は各々、平面視円状の鉄板である。各磁性体125は、磁性体95と同様に、表面133に設けられた平面視円状の凹部124内に埋め込まれている。保持部材120は、各磁性体125に対応する6つの磁石130(図2参照)を備える。保持部材120は、6組の磁性体125及び磁石130によって、シート状の対象物を固定可能である。つまり、6組の磁性体125及び磁石130は、平面部121に載置される対象物を固定するように構成されている。
指標部127は、平面部121の少なくとも周縁に設けられている。指標部127は、指標部97と同様に、8個の指標126を備える。8個の指標126は各々、平面部121に埋め込まれた磁性体125の位置を示す。
基線128は、対象物を平面部121の表面133に載置する際の目安である。本実施形態の基線128は、矩形状の撮影対象範囲R2に沿って設けられた直線状の線分である。保持部材120が移動機構40に装着された場合、保持部材120の表面133は、ベッド部11と略平行である。平面部121は、針板21の上側、且つ、針棒6及び押え足9の下方に配置される。
図12から図15を参照して、移動機構40に装着可能な保持部材150について説明する。図12の左右方向、上方、及び下方を各々、保持部材150の左右方向、後方、及び前方とする。保持部材150は、平面視前後方向に長い矩形状の板部材である。つまり保持部材150の短辺方向が保持部材150の左右方向である。後述する装着部152が設けられた側が保持部材150の左方である。保持部材150の長辺方向が保持部材150の前後方向である。後述する色基準部材153が設けられた側が保持部材150の後方である。図12から図15に例示する保持部材150は、例えば、シート状の対象物がイメージセンサ35で撮影される場合に使用される。保持部材150の構成は、保持板90、保持部材120の構成と類似するので、同様な構成については説明を簡略化する。
図12から図15に示すように、保持部材150は、平面部151、装着部152、保護板部155、色基準部材153、凸部154、及び4つの磁石160(図15参照)を主に備える。平面部151、装着部152、保護板部155、及び凸部154は、樹脂材料により一体的に形成されている。平面部151は、平面視矩形状の平面状の表面163を有する。表面163のうち中央部を含む平面視矩形状の領域は描画領域158である。描画領域158は、磁性体製(例えば、鉄製)の板165によって形成されている。板165には、筆記具(例えば、専用のペン)による描画及び消去具による消去の少なくとも一方が可能な表面処理が施されている。具体的には、板165の表面は、例えばフッ素系樹脂によるコーティング処理が施された所謂ホワイトボードである。ユーザは、板165の描画領域158に、筆記具による描画と消去具による消去とを行うことができる。描画領域158は、保持部材150がミシン1に装着された場合に設定される撮影対象範囲と一致する。平面部151には、板165が嵌る凹部(図示略)が形成されている。凹部の深さは、板165の板厚と略等しい。板165は、その裏面が平面部151の凹部に接着されて、平面部151に固定されている。また、図14に示すように、平面部151の裏面には、格子状に形成された複数の補強リブが設けられている。
装着部152は、平面部151の周縁部のうち一方の長辺の略中央部に設けられた、平面視平面部151の長辺方向に長い矩形状の部位である。装着部152は、平面部151を支持し、ミシン1の移動機構40に取り外し可能に装着されるよう構成されている。装着部152には、検出対象部159が設けられている。検出対象部159は、保持部材150に固有の形状を有している。したがって、保持部材120が移動機構40に取り付けられた場合、ミシン1は、後述の検出器36によって検出される検出対象部159の形状に基づき、保持部材150が取り付けられたことを特定可能である。
保護板部155は、保持部材150がイメージセンサ35を備えていないミシンに誤って装着されることを防止するために設けられた部位である。保護板部155は、装着部152の周縁から平面部151の表面163と平行に突出した部位である。詳細には、保護板部155は、装着部152の左端よりも左側に延設された部位と、装着部152の後端よりも後方に延設された部位とを有する。ユーザが保持部材150をミシンに装着する場合、ユーザはミシンの前方に保持部材150を配置した状態から、保持部材150の装着部152を後方に移動させて、装着部152をミシンの移動機構の右側面に差し込む。ユーザがイメージセンサ35を備えていないミシンに保持部材150を装着しようとした場合、保護板部155がミシンの移動機構と干渉して、装着部152を移動機構に差し込むことができない構成にされている。一方、ユーザがイメージセンサ35を備える本実施形態のミシン1に保持部材150を装着する場合、保護板部155はミシン1の移動機構40と干渉せず、装着部152を移動機構40に差し込むことができる。
色基準部材153は、色の基準となる部材である。色基準部材153は、平面部151の周縁部のうち、保持部材150の長辺方向の一端部側であって、描画領域158よりも外側(後方)に配置されている。色基準部材153は、色基準部材93と同様に、白色の基準となる白色基準部材161及び黒色の基準となる黒色基準部材162を含む。白色基準部材161及び黒色基準部材162は、平面視矩形状であり、長辺方向(左右方向)の長さは、撮影対象範囲R3の短辺方向の長さと同じである。白色基準部材161及び黒色基準部材162の短辺方向(前後方向)の長さは、イメージセンサ35の撮影範囲を考慮して設定された長さである。
凸部154は、平面部151に設けられ、色基準部材153の周囲の少なくとも一部において色基準部材153の表面よりも突出する。凸部154は色基準部材153の周囲を所定の幅(例えば1mm)で全周を囲う。凸部154の突出高さは、例えば、1mmである。
図15に示す如く、4つの磁石160は、各々平面視矩形形状の薄板状の磁石である。保持部材150は、磁石160が板165に吸着することによって、シート状の対象物、例えば紙190を固定可能である。つまり、4つの磁石160と板165とは、平面部121の描画領域158(撮影対象範囲)に載置される対象物を固定するように構成されている。磁石160は描画領域158に配置されるため、磁石160の厚さは、移動機構40により保持部材150が移動される時に、押え足9と干渉しない厚さとすることが好ましい。このため、磁石160の厚さは、薄いほど好ましく、例えば、1mmである。各磁石160の大きさは、板165の形状、大きさ等を考慮して適宜決定され、例えば、90mm×15mmである。
保持部材150が移動機構40に装着された場合、保持部材150の表面163は、ベッド部11と略平行である。平面部151は、針板21の上側、且つ、針棒6及び押え足9の下方に配置される。図13、14に示すように、保持部材150の裏面右端部には、保持部材150の長辺方向に長い矩形形状の滑りシート157が設けられている。滑りシート157は、表面が低摩擦係数となるように加工処理されたシート部材である。滑りシート157は、保持部材150の裏側表面よりも僅かに凸となるように設けられる。滑りシート157の突出量は保持部材150とベッド部11又は針板21との間の距離を考慮した量である。保持部材150が移動機構40に装着されたときには、滑りシート157がベッド部11又は針板21の上面に接触する状態となる。保持部材150が移動機構40に装着された場合、保持部材150は保持部材150の長辺方向の一端側を装着部152により支持され、保持部材150の長辺方向の他端側を滑りシート157によって支持される。保持部材150は、保持部材150に滑りシート157が設けられていない場合に比べ、平面部151の表面163を水平に維持しやすい。移動機構40が保持部材150を移動させるときには、滑りシート157がベッド部11又は針板21の上面に接触しながら移動するので、移動機構40は摩擦抵抗が少ない状態で保持部材150をスムーズに移動させることができる。
図16を参照して、ミシン1の電気的構成について説明する。図16に示すように、ミシン1は、CPU61と、バス65によって各々CPU61に接続されたROM62、RAM63、フラッシュメモリ64、及び入出力インターフェイス(I/O)66とを備えている。
CPU61は、ミシン1の主制御を司り、ROM62に記憶された各種プログラムに従って、撮影及び縫製に関わる各種演算及び処理を実行する。ROM62は、図示しないが、プログラム記憶エリアを含む複数の記憶エリアを備える。プログラム記憶エリアには、ミシン1を動作させるための各種プログラムが記憶されている。
RAM63には、CPU61が演算処理した演算結果等を収容する記憶エリアが必要に応じて設けられる。フラッシュメモリ64には、ミシン1が各種処理を実行するための各種パラメータ等が記憶されている。I/O66には、駆動回路71から74、タッチパネル26、スタート/ストップスイッチ29、イメージセンサ35、及び検出器36が接続されている。検出器36は、移動機構40に装着された刺繍枠又は保持部材の種類を検出し、検出結果を出力するよう構成されている。
駆動回路71には、ミシンモータ81が接続されている。駆動回路71は、CPU61からの制御信号に従って、ミシンモータ81を駆動する。ミシンモータ81の駆動に伴い、ミシン1の主軸(図示略)を介して針棒上下動機構34(図3参照)が駆動され、針棒6が上下動される。駆動回路72には、X軸モータ83が接続されている。駆動回路73には、Y軸モータ84が接続されている。駆動回路72及び73は、各々、CPU61からの制御信号に従って、X軸モータ83及びY軸モータ84を駆動する。X軸モータ83及びY軸モータ84の駆動に伴い、制御信号に応じた移動量だけ、刺繍枠50が左右方向(X軸方向)及び前後方向(Y軸方向)に移動される。駆動回路74は、CPU61からの制御信号に従ってLCD15を駆動することで、LCD15に画像を表示させる。
ミシン1の動作を簡単に説明する。刺繍枠50を用いた刺繍縫製時には、刺繍枠50が移動機構40によって左右方向(X軸方向)、及び前後方向(Y軸方向)に移動されるのと併せて、針棒上下動機構34(図3参照)及び釜機構(図示略)が駆動される。これにより、針棒6に装着された縫針7によって、刺繍枠50に保持された被縫製物に対して刺繍模様が縫製される。刺繍模様ではない通常の実用模様の縫製時には、ベッド部11から移動機構40が取り外された状態で、送り歯(図示略)により被縫製物が移動されながら縫製が行われる。刺繍枠50、保持部材120、150を用いた対象物の撮影時には、移動機構40に装着された刺繍枠50、保持部材120、150の何れかが移動機構40によって左右方向(X軸方向)、及び前後方向(Y軸方向)に移動される。イメージセンサ35は撮影範囲内を撮影する。これにより、撮影範囲内の対象物、色基準部材等が撮影された画像データが生成される。
ミシン1の移動機構40に保持板90が取り付けられた刺繍枠50、保持部材120、150の何れかが取り付けられた場合、ミシン1は次のような処理を実行可能である。即ち、ミシン1のイメージセンサ35は、AWBを有するので、ミシン1の制御部は、色基準部材93、123、153を撮影した画像データに基づき、画像データのホワイトバランスを調整させることができる。特に色基準部材93、123、153は各々、白色基準部材931、131、161を含むので、ミシン1は、白色基準部材931、131、161を撮影した画像データに基づき、適切にホワイトバランスを調整することができる。また、イメージセンサ35は、MWBを有するので、ミシン1は、色基準部材93、123、153を撮影するときのWB値と、対象物を撮影するときのWB値を同じ値とすることができる。対象物は平面状の表面に沿って配置された状態で撮影されるので、ミシン1は、しわ及びたるみ等に起因する対象物のゆがみを低減させた画像を表す画像データを取得可能である。
ミシン1は、色基準部材93、123、153の何れかを撮影した画像データ(第一画像データ)に基づき、対象物を撮影した画像データ(第二画像データ)に対して色に関する補正することも可能である。例えばミシン1は、第一画像データに基づき、第二画像データに対して、公知のシェーディング補正を実行することが可能である。この場合、ミシン1は、補正前に比べ、色ムラ及び照度ムラを低減させた第二画像データを取得することができる。
平面部121、装着部122、色基準部材123、及び保持部材120は、本発明の平面部、装着部、色基準部材、及び保持部材に相当する。6つの磁石130は、本発明の磁石に相当する。6つの磁性体125は、本発明の磁性体に相当する。6組の磁石130及び磁性体125は、本発明の固定手段に相当する。白色基準部材131及び黒色基準部材132は各々、本発明の白色基準部材及び黒色基準部材に相当する。8つの指標126は、本発明の指標に相当する。指標部127は、本発明の指標部に相当する。基線128は、本発明の基線に相当する。
平面部91、色基準部材93、及び保持板90は、本発明の平面部、色基準部材、及び保持部材に相当する。4つの係合部92、3つの係合部99は、本発明の係合部に相当する。6つの磁石100は、本発明の磁石に相当する。6つの磁性体95は、本発明の磁性体に相当する。6組の磁石100及び磁性体95は、本発明の固定手段に相当する。白色基準部材931及び黒色基準部材932は各々、本発明の白色基準部材及び黒色基準部材に相当する。8つの指標96は、本発明の指標に相当する。指標部97は、本発明の指標部に相当する。基線98は、本発明の基線に相当する。
平面部151、装着部152、色基準部材153、凸部154、滑りシート157、描画領域158、及び保持部材150は、本発明の平面部、装着部、色基準部材、凸部、滑りシート、描画領域、及び保持部材に相当する。4つの磁石160は、本発明の磁石に相当する。白色基準部材161及び黒色基準部材162は各々、本発明の白色基準部材及び黒色基準部材に相当する。
保持板90は、平面部91に載置される対象物を平面状の表面911に沿って固定することができる。保持部材120は、平面部121に載置される対象物を平面状の表面133に沿って固定することができる。保持部材150は、筆記具による書き込みが可能な描画領域158を有する平面部151を備える。ユーザは筆記具で描画領域158にイラスト、図形、文字、記号等を任意に書き込むことができる。板165は筆記具による描画及び消去具による消去が可能な表面処理が施された所謂ホワイトボードであるので、筆記具による書き込みを繰り返し行うことができる。保持部材150は、平面部151に載置される対象物を平面状の表面163に沿って固定することができる。保持部材150では、ユーザは、描画領域158にイラスト等を直接描いてもよいし、対象物にイラスト等を描いてもよい。
移動機構40を備えるミシン1に保持板90が係合された刺繍枠50が装着された場合、保持部材120又は150が装着された場合、ミシン1は、次の画像処理を実行可能である。つまり、ミシン1は、色基準部材93、123、153の何れかを撮影して生成された画像データ(第一画像データ)に基づき、対象物を撮影して生成された画像データ(第二画像データ)を補正することができる。ミシン1は、明るさ等の撮影条件に起因する、第二画像データの色ムラを適切に補正することができる。つまり、保持板90、保持部材120、150は、刺繍枠50が単独で対象物を保持する場合に比べ、ミシン1の撮影機器が画像データを生成するのに適している。保持板90、保持部材120、150は、保持部材とは別に、色基準部材を準備するユーザの手間を省くことができる。
保持部材120が装着されたミシン1は、白色基準部材131を撮影して生成された画像データの色情報に基づき、第二画像データを補正することができる。このため保持部材120は、対象物の色、特に白色及び白色に近い色を、より適切に表す第二画像データをミシン1に生成させることができる。保持部材120が装着されたミシン1は、黒色基準部材132を撮影して生成された画像データの色情報に基づき、第二画像データを補正することができる。保持部材120は、対象物の色をより適切に表す第二画像データをミシン1に生成させることができる。上記効果は、保持板90が係合された刺繍枠50が装着されたミシン1、又は保持部材150が装着されたミシン1でも得られる。
保持板90は、磁石100と磁性体95という簡単な構成で、対象物を平面状の平面部91に沿って固定することができる。保持部材120は、磁石130と磁性体125という簡単な構成で、対象物を平面状の平面部121に沿って固定することができる。保持部材150は、磁石160と板165という簡単な構成で、対象物を平面状の平面部151に沿って固定することができる。保持板90には指標部97が設けられているので、ユーザは、対象物を平面部91の表面に沿って配置した状態で、平面部91に埋め込まれた磁性体95の位置を知ることができる。このため、ユーザは、磁石100を用いて、対象物を平面部91の表面に沿って固定する作業を容易に行うことができる。保持部材120には指標部127が設けられているので、ユーザは、対象物を平面部121の表面に沿って配置した状態で、平面部121に埋め込まれた磁性体125の位置を知ることができる。このため、ユーザは、磁石130を用いて、対象物を平面部121の表面に沿って固定する作業を容易に行うことができる。
保持板90は、基線98を有する。このため、ユーザは、基線98を目安にして、対象物を平面部91の表面のうちの適切な位置に配置することができる。保持部材120は、基線128を有する。このため、ユーザは、基線128を目安にして、対象物を平面部121の表面のうちの適切な位置に配置することができる。適切な位置は、例えば、対象物が撮影対象範囲内に収まる位置である。
保持部材120がミシン1に装着された場合、色基準部材123は針棒6よりも前側に配置される。故に保持部材120は、保持部材120がミシン1に装着される過程で、色基準部材123が針棒6の下端に装着された縫針7、及び押え棒8の下端に取り付けられた押え足9と接触し、色基準部材123に傷が付く可能性を低減できる。保持板90も同様な効果が得られる。一方、保持部材150がミシン1に装着された場合、色基準部材153は針棒6よりも後側に配置され、描画領域158側が前側に配置される。故に保持部材150は、保持部材150がミシン1に装着された後に、ユーザが描画領域158に筆記具でイラスト等を描いたり、描画領域158に対象物を固定したり、描画領域158上の対象物の配置を調整する作業を行いやすい。また、色基準部材153が描画領域158よりも後方に配置されていることで、ユーザが前記の作業を行う際に、色基準部材153に触れて、色基準部材153を汚したり、誤って傷を付けたりすることを回避することができる。
保持部材150は凸部154を有する。凸部154は、保持部材150をミシン1に取り付けたり、ミシン1から取り外して収納したりするとき等に、色基準部材153に傷が付くことを抑制する。移動機構40を備えるミシン1に保持部材150が装着された場合、保持部材150は、ミシン1による、色基準部材153を撮影して生成された画像データに基づき、対象画像データを補正する処理の精度が低下することを抑制できる。
保持部材150は滑りシート157を有する。同程度の外径を有する保持部材150と従来の刺繍枠とを比較した場合、保持部材150は平面部151を有する分、刺繍枠に比べ重量が重くなる。しかし、保持部材150は平面部151の表面163とは反対側の面164に滑りシート157を備える。よって、保持部材150が移動機構40に装着され、滑りシート157がミシンのベッド部11又は針板21の上面と接触したとき、保持部材150は摩擦抵抗が少ない状態でスムーズに移動できる。
本発明の保持部材は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更が加えられてもよい。例えば、以下の(A)及び(B)の変形が適宜加えられてもよい。
(A)保持部材が装着されるミシン1の構成は適宜変更してよい。ミシン1は、工業用ミシン及び多針ミシンであってもよい。
(B)保持板90は、少なくとも平面部91、係合部92、色基準部材93、及び対象物を固定するよう構成された固定手段を備えればよく、保持板90のその他の部材は適宜省略されてもよいし、構成が変更されてよい。保持部材120は、少なくとも平面部121、装着部122、色基準部材123及び対象物を固定するよう構成された固定手段を備えればよく、保持部材120のその他の部材は適宜省略されてよいし、構成が変更されてよい。平面部91、121の大きさ、形状、及び配置は、対象物の大きさ、移動機構40の移動可能範囲、イメージセンサ35の撮影範囲等を考慮して適宜変更されてよい。係合部92、99は、ミシンが有する刺繍枠に係合可能であればよく、係合部92、99の形状、配置、数等は適宜変更されてよい。
色基準部材93、123は、白色基準部材及び黒色基準部材のうちの一方を備える構成であってもよい。色基準部材93、123の配置、大きさ、及び形状等は適宜変更されてよい。例えば、色基準部材は、平面部91、121の撮影対象範囲全体に設けられてもよい。この場合、第一画像データは、平面部91、121に対象物が固定されていない状態、つまり、色基準部材がイメージセンサ35に露出した状態で撮影されてもよい。第二画像データは、平面部91、121に対象物が固定された状態、つまり、色基準部材がイメージセンサ35に露出していない状態で撮影されてもよい。
固定手段は、対象物を固定するよう構成されていればよく、1組以上の磁石及び磁性体の他、互いに引き合うよう配置された1対以上の磁石、粘着性フィルム等であってもよい。保持部材150は、4つの磁石160(図2参照)を備える必要は無い。保持部材150では、板165の材質は適宜変更されてよく、例えば、板165が磁石で形成されてもよい。板165が磁石で形成されている場合には、保持部材150は、磁石160に代えて鉄板等の磁性体であればよい。指標96、126は各々、平面部91、121の少なくとも周縁に設けられ、平面部91、121に埋め込まれている位置を示すものであればよく、形状、大きさ、配置、数等は、撮影対象範囲等に応じて適宜変更されてよい。基線98、128は各々、対象物を載置する際の目安となるものであればよい。基線98、128は各々、ミシン1によって設定される撮影対象範囲を示す必要は無い。例えば、指標及び基線は、印刷されたマークであってもよいし、凸部であってもよい。保持部材150では滑りシート157は適宜省略されてもよい。保持部材120は保持部材150と同様の滑りシート157を設けてもよい。保持部材150では凸部154は適宜省略されてもよい。保持板90又は保持部材120は保持部材150と同様の凸部154を設けてもよい。凸部154は色基準部材93、123、153の周囲の少なくとも一部に設けられてもよい。
90 保持板
91、121、151 平面部
92、99 係合部
93、123、153 色基準部材
95、125 磁性体
96、126 指標
97、127 指標部
98、128 基線
100、130、160 磁石
120、150 保持部材
122 装着部
133、163、911 表面
131、161、931 白色基準部材
132、162、932 黒色基準部材

Claims (19)

  1. 平面状の表面を有する平面部と、
    前記平面部を支持し、ミシンが有する刺繍枠移動機構に取り外し可能に装着されるよう構成された装着部と、
    前記平面部に設けられ、色の基準となる色基準部材と、
    前記平面部に載置される対象物を固定するよう構成された固定手段と
    を備えることを特徴とする保持部材。
  2. 前記色基準部材は、白色の基準となる白色基準部材を含むことを特徴とする請求項1に記載の保持部材。
  3. 前記色基準部材は、黒色の基準となる黒色基準部材を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の保持部材。
  4. 前記固定手段は、磁石と、磁性体とを有し、
    前記磁石と前記磁性体との一方は、前記平面部に埋め込まれていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の保持部材。
  5. 前記平面部の少なくとも周縁に設けられ、前記磁石又は前記磁性体が前記平面部に埋め込まれている位置を示す指標を有する指標部を更に備えることを特徴とする請求項4に記載の保持部材。
  6. 前記平面部には、前記対象物を載置する際の目安となる基線が設けられていることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の保持部材。
  7. 平面状の表面を有する平面部と、
    前記平面部に設けられ、ミシンが有する刺繍枠に係合可能な係合部と、
    前記平面部に設けられ、色の基準となる色基準部材と、
    前記平面部に載置される対象物を固定するよう構成された固定手段と
    を備えることを特徴とする保持部材。
  8. 前記色基準部材は、白色の基準となる白色基準部材を含むことを特徴とする請求項7に記載の保持部材。
  9. 前記色基準部材は、黒色の基準となる黒色基準部材を含むことを特徴とする請求項7又は8に記載の保持部材。
  10. 前記固定手段は、磁石と、磁性体とを有し、
    前記磁石と前記磁性体との一方は、前記平面部に埋め込まれていることを特徴とする請求項7から9の何れかに記載の保持部材。
  11. 前記平面部の少なくとも周縁に設けられ、前記磁石又は前記磁性体が前記平面部に埋め込まれている位置を示す指標を有する指標部を更に備えることを特徴とする請求項10に記載の保持部材。
  12. 前記平面部には、前記対象物を載置する際の目安となる基線が設けられていることを特徴とする請求項7から11の何れかに記載の保持部材。
  13. 平面状の表面を有する平面部であって、前記表面の少なくとも一部に筆記具による描画が可能な描画領域を有する平面部と、
    前記平面部を支持し、ミシンが有する刺繍枠移動機構に取り外し可能に装着されるよう構成された装着部と、
    前記平面部に設けられ、色の基準となる色基準部材と
    を備えることを特徴とする保持部材。
  14. 前記平面部の少なくとも一部は磁性体によって形成され、
    前記磁性体とともに前記平面部に載置される対象物を固定する磁石を備えることを特徴とする請求項13に記載の保持部材。
  15. 前記色基準部材は、白色の基準となる白色基準部材を含むことを特徴とする請求項13又は14に記載の保持部材。
  16. 前記色基準部材は、黒色の基準となる黒色基準部材を含むことを特徴とする請求項13から15の何れかに記載の保持部材。
  17. 前記平面部に設けられ、前記色基準部材の周囲の少なくとも一部に前記色基準部材の表面よりも突出する凸部を備えることを特徴とする請求項13から16の何れかに記載の保持部材。
  18. 前記平面部の前記表面とは反対側の面に滑りシートを備えること請求項13から17の何れかに記載の保持部材。
  19. 前記描画領域は、筆記具による描画及び消去具による消去の少なくとも一方が可能な表面処理が施されていることを特徴とする請求項13から18の何れかに記載の保持部材。
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