JP2015174916A - イオン交換膜およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電気特性、膜強度に優れ、かつ膜内部および表面の気泡欠陥が少ないイオン交換膜を提供する。【解決手段】ビニロン短繊維の湿式不織布と、アニオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体またはカチオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体を含有するイオン交換膜であって、湿式不織布は一方の面から厚み方向に向かって、少なくとも一部に前記イオン性共重合体が含浸した含浸層を備えており、繊維の平均繊維径が3〜40μmであり、かつバインダ繊維の含有率が2〜9質量%で表されるイオン交換膜。【選択図】図1

Description

本発明は、カチオン交換基またはアニオン交換基を有するイオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体を含むイオン交換膜に関する。
イオン交換膜は製塩や食品および地下かん水等の脱塩工程で電気透析法用の膜として利用される。通常、イオン交換膜はスチレン・ジビニルベンゼン系の重合体にイオン交換基および架橋を導入することでイオン選択性を発現している。しかし、架橋の導入により膜が脆くなる為、ポリ塩化ビニル製のポリマーメッシュ等を補強材に用いている。その為、製造工程が複雑となり高コストの原因となっている。電気透析法は、陰極と陽極の両電極間に陰イオン交換膜と陽イオン交換膜を交互に配列して締め付けた電気透析槽に直流電力を与えることでイオンを移動させる。その為、イオン濃度が減少する脱塩室とイオン濃度が増加する濃縮室が交互に設置される。電気透析が進み濃縮室内の難溶性塩の濃度が上がってくると析出によるスケールが発生するため、濃縮室に酸等の薬品を添加してスケール発生を防止しているが、この場合、薬品量が多くなるという問題があった。その為、安価で、かつ膜汚染の少ないイオン交換膜の開発が望まれている。
特許文献1には、不織布シートと、該不織布シートの一方の表面に設けられたイオン交換樹脂コーティング層とからなり、該不織布シートは、繊維径が8〜30μmの長繊維層を両面に有し且つ該長繊維層の間の中間層として繊維径が5μm以下の微細繊維層が繊維同士の融着により形成されている繊維層構造を有するイオン交換膜が開示されている。当該膜では、安価な不織布シートを用いても、強度、寸法安定性や形状安定性を改善することができ、電解液と接触させたときの波打ちも有効に抑制され、膜抵抗が低いイオン交換膜を得ることができる。
しかしながら、特許文献1のイオン交換膜は、電気透析に使用した場合、基材シートとイオン交換樹脂との接着性が十分でなく、電気透析の長期運転中に樹脂が基材から剥離し、ブリスター(水疱)が発生する問題点があった。さらには、不織布シートの表面にイオン交換樹脂コーティング層を設ける工程でイオン交換樹脂コーティング溶液を塗布した際に、不織布シート内部の空気とコーティング溶液の置換がしにくく、残存空気による発泡欠陥が発生しやすい問題点があった。
特開2012−40508号公報
本発明の目的は、電気特性、膜強度に優れ、かつ膜内部および表面の気泡欠陥が少ないイオン交換膜、およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題について種々検討した結果、特定のイオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体を、特定の製造方法でビニロン短繊維の湿式不織布に適用すると、当該湿式不織布に気泡結果の少ない含浸層を形成することができるだけでなく、電気特性および膜強度に優れることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明のイオン交換膜は、ビニロン短繊維の湿式不織布と、下記一般式(1)で示されるアニオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体または下記一般式(2)で示されるカチオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体を含有するイオン交換膜であって、
前記湿式不織布は、一方の面から厚み方向に向かって、少なくとも一部に前記イオン性重合体が含浸した含浸層を備えており、
前記湿式不織布の主体繊維の平均繊維径が3〜40μmであり、かつバインダ繊維の含有率が2〜9質量%であるイオン交換膜である。
Figure 2015174916
[式中、0.5000≦o/(n+o)≦0.9999であり、0.001≦m/(m+n+o)≦0.50であり、XはHまたはアルカリ金属イオンまたは4級アンモニウムイオン等の1価のカチオンである。]
Figure 2015174916
[式中、0.5000≦o2/(n2+o2)≦0.9999であり、0.001≦m2/(m2+n2+o2)≦0.50であり、Yは、PF 、SbF 、AsF 等の5B族元素のハロゲン化アニオン、BF 等の3B族元素のハロゲン化アニオン、I(I )、Br、Cl等のハロゲンアニオン、ClO 等のハロゲン酸アニオン、AlCl 、FeCl 、SnCl 等の金属ハロゲン化物アニオン、NO で示される硝酸アニオン、p−トルエンスルホン酸アニオン、ナフタレンスルホン酸アニオン、CHSO 、CFSO 等の有機スルホン酸アニオン、CFCOO、CCOO等のカルボン酸アニオン、OH等の1価のアニオンである。]
前記イオン交換膜において、前記湿式不織布の主体繊維の平均繊維径が8〜20μmであり、かつバインダ繊維の含有率が3〜8質量%であることが望ましい。
前記イオン交換膜において、前記イオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体が、ビニロン短繊維の湿式不織布に適用された状態で架橋処理された架橋体であることが好ましい。
また、本発明は、イオン交換膜の製造方法についても包含しており、前記製造方法は、イオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体溶液を準備する工程;
剥離シートの上に、前記イオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体の水溶液を塗布して、イオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体の塗布層を形成する工程;
前記塗布層にビニロン短繊維の湿式不織布を重ね合わせ、この不織布の少なくとも一部にイオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体を含浸させ、含浸体を形成する工程;
前記塗布層と前記湿式不織布とを重ねあわせた状態で、この含浸体を乾燥させる工程;および
前記剥離シートを、乾燥した含浸体から剥離する工程;
を含んでいる。
前記製造方法において、剥離工程の後、イオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体に熱処理を施してもよく、さらに、熱処理工程の後、イオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体に架橋処理を施してもよい。
なお、本発明において、含浸とは、イオン性ポリビニルアルコール系ブロック共重合体がビニロン短繊維の湿式不織布の空隙および/または細孔をほぼ埋めている状態を意味している。
本発明によれば、特定のイオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体を、特定の製造方法でビニロン短繊維の湿式不織布に適用すると、当該湿式不織布に気泡欠陥の少ない含浸層を形成することができるだけでなく、電気特性および膜強度に優れるイオン交換膜が得られる。
イオン交換膜の膜抵抗試験装置の概略図である。
(アニオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体)
本発明で用いるアニオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体は、前記一般式(1)で示される。
前記一般式(1)におけるo/(n+o)は、ビニルアルコール系共重合体成分中に含まれる酢酸ビニル単位以外の比率を示す。下限に関しては0.5000以上であり、より好ましくは0.7000以上であり、さらに好ましくは0.8000以上である。一方、上限に関しては、好ましくは0.9999であり、より好ましくは0.999以下であり、さらに好ましくは0.995以下である。
前記一般式(1)におけるm/(m+n+o)はビニルアルコール系共重合体成分およびアニオン基を有する重合体成分に含まれるアニオン基を有する重合体成分の比率を示す。下限に関しては0.001以上であり、よりこのましくは0.003以上であり、更に好ましくは0.005以上である。上限に関しては0.50以下であり、より好ましくは0.30以下であり、されに好ましくは0.25以下である。
前記一般式(1)におけるXとしては、4級アンモニウムイオン等が好ましく、更に好ましくはアルカリ金属イオン、Hイオンの1価カチオンが好ましい。
(カチオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体)
本発明で用いるカチオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体は、前記一般式(2)で示される。
前記一般式(2)におけるo/(n+o)は、ビニルアルコール系共重合体成分中に含まれる酢酸ビニル単位以外の比率を示す。下限に関しては0.5000以上であり、より好ましくは0.7000以上であり、さらに好ましくは0.8000以上である。一方、上限に関しては、好ましくは0.9999であり、より好ましくは0.999以下であり、さらに好ましくは0.995以下である。
前記一般式(2)におけるm/(m+n+o)はビニルアルコール系重合体成分およびカチオン基を有する重合体成分に含まれるカチオン基を有する重合体成分の比率を示す。下限に関しては0.001以上であり、よりこのましくは0.003以上であり、更に好ましくは0.005以上である。上限に関しては0.50以下であり、より好ましくは0.30以下であり、されに好ましくは0.25以下である。
前記一般式(2)におけるY−としては、PF 、SbF 、AsF 等の5B族元素のハロゲン化アニオン、BF 等の3B族元素のハロゲン化アニオン、I(I )、Br、、ClO 等のハロゲン酸アニオン、AlCl 、FeCl 、SnCl 等の金属ハロゲン化物アニオン、NO で示される硝酸アニオン、p−トルエンスルホン酸アニオン、ナフタレンスルホン酸アニオン、CHSO 、CFSO 等の有機スルホン酸アニオン、CFCOO、CCOO等のカルボン酸アニオン、更に好ましくはCl等のハロゲンアニオン、OH等の1価のアニオンが好ましい。
(ブロック共重合体の製造)
本発明のカチオン交換性単量体、またはアニオン交換性単量体を重合してなる重合体成分とビニルアルコール系重合体成分がブロック共重合を形成する重合体の製造方法は主に次の2つの方法に大別される。すなわち、(1)所望のブロック共重合体を製造した後、特定のブロックにカチオン基またはアニオン基を結合させる方法、および(2)少なくとも1種類のカチオン性単量体またはアニオン性単量体を重合させて所望のブロック共重合体を得る方法である。このうち、(1)については、末端にメルカプト基を有するビニルアルコール系重合体の存在下、1種類または複数種の単量体をブロック共重合させ、次いでブロック共重合体中の1種類または複数種の重合体成分にカチオン基またはアニオン基を導入する方法、(2)については、末端にメルカプト基を有するビニルアルコール系重合体の存在下、少なくとも1種類のカチオン性単量体またはアニオン性単量体をラジカル重合させることによりブロック共重合体を製造する方法が工業的な容易さから好ましい。特に、ブロック共重合体中の各成分の種類や量を容易に制御できることから、末端にメルカプト基を有するビニルアルコール系重合体の存在下、少なくとも1種類以上のカチオン性単量体またはアニオン性単量体をラジカル重合させてブロック共重合体を製造する方法が好ましい。
これらのブロック共重合体の製造に用いられる、末端にメルカプト基を有するビニルアルコール系重合体は、例えば、特開昭59−187003号などに記載されている方法により得ることができる。すなわち、チオール酸の存在下にビニルエステル系単量体、例えば酢酸ビニルをラジカル重合して得られるビニルエステル系重合体をけん化する方法があげられる。また、末端にメルカプト基を有するビニルアルコール系重合体とイオン性単量体とを用いてブロック共重合体を得る方法としては、例えば、特開昭59−189113号などに記載された方法が挙げられる。すなわち、末端にメルカプト基を有するビニルアルコール系重合体の存在下にイオン性単量体をラジカル重合させることによりブロック共重合体を得ることができる。このラジカル重合は公知の方法、例えば塊状重合、溶液重合、パール重合、乳化重合などによって行うことができるが、末端にメルカプト基を含有するビニルアルコール系重合体を溶解し得る溶剤、例えば水やジメチルスルホキシドを主体とする媒体中で行うのが好ましい。また、重合プロセスとしては、回分法、半回分法、連続法のいずれをも採用することができる。
本発明のイオン交換膜は、必要に応じて、このイオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体を構成する共重合体中に、ノニオン系界面活性剤を含んでいてもよい。
(イオン交換膜の製造)
本発明のイオン交換膜は、イオン性ポリビニルアルコール系ブロック共重合体溶液を準備する工程;
剥離シートの上に、前記イオン性ポリビニルアルコール系ブロック共重合体の水溶液を塗布して、イオン性ポリビニルアルコール系ブロック共重合体の塗布層を形成する工程;
前記塗布層にビニロン不織布を重ね合わせ、このビニロン不織布の少なくとも一部にイオン性ポリビニルアルコール系ブロック共重合体を含浸させ、含浸体を形成する工程;
前記塗布層とビニロン不織布とを重ねあわせた状態で、この含浸体を乾燥させる工程;
および 前記剥離シートを、乾燥した含浸体から剥離する工程;を含んでいる。
(イオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体溶液準備工程)
より詳細には、上記のイオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体を、水、DMSOなどの溶媒に溶解し、イオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体溶液(好ましくは水溶液)を調製する。
得られたイオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体溶液は、ビニロン不織布に対して、含浸層を良好に形成する観点から、例えば粘度が、300〜5000mPa・sであってもよく、好ましくは、400〜4000mPa・s、より好ましくは500〜3000mPa・sであってもよい。また、濃度は、イオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体の種類に応じて適宜設定することができるが、例えば、1〜50wt%であってもよく、好ましくは2〜45wt%、より好ましくは3〜40wt%であってもよい。
(塗布層形成工程)
そして、得られたイオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体溶液(好ましくは水溶液)を、剥離シートに、バーコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、ブレードコーターなどの各種塗布手段を利用して塗布し、塗布層(キャスト層)を形成する。塗布層は、次に重ねあわされるビニロン不織布の大きさに応じて、適当な塗布面を形成する。
剥離シートは、均一な塗布層を形成できるとともに、最終的に剥離させることができれば特に限定されず、公知又は慣用の剥離性フィルムまたはシート(例えば、PETフィルム、ポリエチレンフィルム、シリコーンシートなど)を利用することができる。
塗布層の厚みは、ビニロン不織布に対して埋没し一体化形成することができる観点から、例えば、300μm〜1500μm程度であってもよく、好ましくは500μm〜1400μm程度、より好ましくは600μm〜1300μm程度であってもよい。この塗布層、乾燥処理を行うことなく、引き続き、次のビニロン不織布含浸工程へと供される。
(ビニロン不織布含浸工程)
この塗布層は、乾燥工程を行う前に、ビニロン不織布が重ね合わされ、ビニロン不織布が含浸し、イオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体溶液が含浸され、ビニロン不織布が埋没し一体化される。
ビニロン不織布は、埋没させて一体化形成する観点から、例えば坪量が、10〜90g/m程度であってもよく、好ましくは15〜70g/m程度であってもよく、より好ましくは25〜50g/m程度であってもよい。
また、ビニロン不織布の厚みは、例えば、50μm〜150μmであってもよく、好ましくは60μm〜130μm、より好ましくは70μm〜100μmであってもよい。
ビニロン不織布の主体繊維の平均繊維径は、3〜40μmである。当該主体繊維の平均繊維径は8〜20μmであることが好ましい。主体繊維の繊維径がこの範囲にあることで、得られるイオン交換膜の機械強度が優れ、かつ耐久性にも優れる。前記主体繊維の平均繊維径が3μm未満の場合、気泡欠陥が生じ、耐久性が低下するおそれがある。一方、前記主体繊維の平均繊維径が40μm超の場合は、イオン交換膜の機械強度が劣るおそれがある。
ビニロン不織布のバインダ繊維の含有率は、2〜9質量%である。当該バインダ繊維の含有率は3〜8質量%であることが好ましい。バインダ繊維の含有率がこの範囲にあることで、得られるイオン交換膜の機械強度が優れ、かる耐久性にも優れる。ビニロン不織布のバインダ繊維の含有率が2質量%未満の場合は、ビニロン不織布としての強度が弱く取扱い性が悪くなる。一方、バインダ繊維の含有率が9質量%超だと、気泡欠陥数が増加し、機械的強度も低下するおそれがある。
(乾燥工程)
乾燥工程では、塗布層とビニロン不織布とを重ねあわせた状態で、この含浸体を乾燥させる。乾燥条件は、室温乾燥であっても、熱風乾燥であってもよいが、作業効率を高めるため、熱風乾燥機を用いるのが好ましい。熱風乾燥機を用いる場合、乾燥温度としては特に制限は無いが、例えば50〜110℃程度であってもよく、好ましくは60〜90℃程度であってもよい。
(剥離工程)
剥離工程では、剥離シートを乾燥した含浸体から剥離し、イオン交換層が形成されたイオン交換膜を得ることができる。
(イオン交換膜形成後の後処理)
本発明において、イオン交換層を形成した後に、熱処理を施すことが好ましい。熱処理を施すことによって、イオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体の結晶化度が高くなるので、物理的な架橋点が増加し、得られるイオン交換膜の機械的強度が増大する。また、非晶部にカチオン基またはアニオン基が濃縮され、イオン交換パスの形成が促進されるため、荷電密度が増加し、対イオン選択性が向上する。熱処理の方法は特に限定されず、熱風乾燥機などが一般に用いられる。熱処理の温度は、特に限定されないが、50〜250℃であることが好ましい。熱処理の温度が50℃未満であると、得られるイオン交換膜の機械的強度の増大効果が充分でないおそれがある。該温度が80℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることがさらに好ましい。熱処理の温度が250℃を超えると、イオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体が融解するおそれがある。該温度が230℃以下であることがより好ましく、200℃以下であることがさらに好ましい。熱処理の時間は、通常、1分〜10時間程度である。熱処理は不活性ガス(例えば窒素ガス、アルゴンガスなど)雰囲気下で行うことが望ましい。
本発明において、イオン交換層を形成した後に、架橋処理を施すことが好ましい。架橋処理を施すことによって、得られるイオン交換層の機械的強度が増大する。また、荷電密度が増加するため、対イオン選択性が向上する。架橋処理の方法は、重合体の分子鎖同士を化学結合によって結合できる方法であればよく、特に限定されない。通常、イオン交換層を、架橋処理剤を含む溶液に浸漬する方法などが用いられる。該架橋処理剤としては、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、グリオキザールなどが例示される。該架橋処理剤の濃度は、通常、溶液に対する架橋処理剤の体積濃度が0.001〜10体積%の範囲であることが好ましい。
前記の後処理において、熱処理と架橋処理のすべてを行ってもよいし、そのうちの2つを行ってもよいし、そのいずれかのみを行ってもよい。行う処理の順番は特に限定されない。複数の処理を同時に行ってもよいが、熱処理を施した後に、架橋処理を施すことが好ましい。熱処理を施すことにより架橋されにくい部位が生じ、その後、架橋処理、特に化学架橋処理を行うことで、架橋された部位と架橋されない部位が混在することによって、膜強度が高くなるからである。熱処理、架橋処理の順番で行うことが、得られるイオン交換膜の機械的強度の面から特に好ましい。
(イオン交換膜の用途)
本発明のイオン交換膜は、種々の用途に用いることができる。例えば、カチオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体またはアニオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体のいずれかからなるイオン交換層を有する本発明のイオン交換膜は、耐有機汚染性に優れ、かつ膜抵抗が小さく、長期間にわたって効率よく、安定に電気透析を行うことができる。従って、このようなイオン交換膜は、有機物(食品、医薬原材料など)の脱塩、ホエーの脱塩、塩の濃縮、糖液の脱塩、海水やかん水の脱塩、水道水の脱塩、軟水化などに適している。一般に、有機汚染が顕著であるイオン交換膜として特に好適に用いられる。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。尚、以下の実施例および比較例中、特に断りのない限り「%」および「部」は質量基準である。実施例および比較例における分析および評価は下記の方法に従って行った。
(1)繊維径の測定
長さ10mの単繊維の重量I(g)を測定し、下記の計算式から主体繊維の半径rを求め、主体繊維の平均繊維径(μm)を算出した。
主体繊維の平均繊維径(μm)=2r
Figure 2015174916
ここで、1.3は樹脂密度(g/cm)、πは円周率3.14である。
(2)破裂強度測定
破裂強度測定は、ミューレン低圧形破裂試験(No.305−YPL、安田製作所)を使用して、試験を実施した。サンプルサイズは、60×60mm以上の寸法で、JIS−P8110に規定する方法にて実施した。
(3)気泡数測定
得られたイオン交換膜を光学顕微鏡(ECLIPSE LV100、ニコン製)を使用して、倍率5倍にて観察し、面積1cmの領域に存在する気泡サイズ50μm以上の個数をカウントした。
(4)膜抵抗測定
膜抵抗は、図1に示される白金黒電極板を有する2室セル中にイオン交換膜を挟み、膜の両側に0.5mol/L−NaCl溶液を満たし、交流ブリッジ(周波数1000サイクル/秒)により25℃における電極間の抵抗を測定し、該電極間抵抗とイオン交換膜を設置しない場合の電極間抵抗との差により求めた。上記測定に使用する膜は、あらかじめ0.5mol/L−NaCl溶液中で平衡にしたものを用いた。
(末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコールPVAの合成)
特開昭59−187003号公報に記載された方法によって、末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコール(PVA−1)を合成した。得られたポリビニルアルコールの重合度は1550、けん化度は99.9%であった。
(ブロック共重合体P−1の合成:PVA−b−PSS)
還流冷却管、攪拌翼を備え付けた500mLの四つ口セパラブルフラスコに、水117g、末端メルカプト基含有ポリビニルアルコール(PVA−1)を25.0gとパラスチレンスルホン酸ナトリウム(PSS:アルドリッチ製)を12.6g仕込み、攪拌下90℃まで加熱して窒素をバブリングしつつ溶解した。窒素置換後、上記水溶液に2,2'-アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−2−プロピオンアミド]の2.0%水溶液6.2mLを1.5時間かけて逐次的に添加して重合を開始させ、進行させた後、系内温度を90℃に24時間維持して重合をさらに進行させ、ついで冷却して、ポリビニルアルコールとパラスチレンスルホン酸ナトリウムのブロック共重合体(PVA−b−PSS)の水溶液P−1を作製した。該水溶液のpHは6.5であった。水溶液P−1の一部を乾燥した後、重水に溶解し、500MHzでのH−NMR測定に付した結果、パラスチレンスルホン酸ナトリウム単位の変性量は10モル%であった。
(ブロック共重合体P−2の合成:PVA−b−VBTAC)
還流冷却管、攪拌翼を備え付けた500mLの四つ口セパラブルフラスコに、水137g、末端メルカプト基含有ポリビニルアルコール(PVA)を25.0gとビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド(VBTAC:アルドリッチ製)を13.4g仕込み、攪拌下90℃まで加熱して窒素をバブリングしつつ溶解した。窒素置換後、上記水溶液に2,2'-アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−2−プロピオンアミド]の2.0%水溶液12.2mLを1.5時間かけて逐次的に添加して重合を開始させ、進行させた後、系内温度を90℃に4時間維持して重合をさらに進行させ、ついで冷却して、ポリビニルアルコールとビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライドのブロック共重合体(PVA−b−VBTAC)の水溶液P−2を作製した。該水溶液のpHは8.0であった。水溶液P−2の一部を乾燥した後、重水に溶解し、500MHzでの1H−NMR測定に付した結果、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド単位の変性量は10モル%であった。
<実施例1>
(陽イオン交換膜CEM−1の作製)
脱イオン水を用いて濃度12wt%のP−1水溶液を調整した。このポリマー水溶液を、バーコーターを用いてPETフィルムに800μm液厚になるように塗布して塗布層(キャスト層)を形成した。次いで、このキャスト層を形成したPETフィルムのキャスト層面に、ビニロン不織布(坪量:36g/cm、主体繊維の平均繊維系:3μm、バインダ繊維の含有量:5質量%)を重ね合わせてP−1水溶液をビニロン不織布に含浸させた。その後、熱風乾燥機DKM400(YAMATO製)にて温度80℃、40分間乾燥した後、PETフィルムを剥離して含浸塗布皮膜を作製した。こうして得られた皮膜を、160℃で30分間熱処理し、物理的な架橋を生じさせた。ついで、皮膜を2mol/Lの硫酸ナトリウムの電解質水溶液に24時間浸漬させた。該水溶液にpHが1になるように濃硫酸を加えた後、1体積%グルタルアルデヒド水溶液に皮膜を浸漬し、25℃で24時間スターラーを用いて撹拌し、架橋処理を行った。ここで、グルタルアルデヒド水溶液としては、石津製薬株式会社製「グルタルアルデヒド」(25体積%)を水で希釈したものを用いた。架橋処理の後、皮膜を脱イオン水に浸漬し、途中数回脱イオン水を交換しながら、皮膜が膨潤平衡に達するまで浸漬させ、陽イオン交換膜CEM−1を得た。
(イオン交換膜の評価)
このようにして作製した陽イオン交換膜を、所望の大きさに裁断し、測定試料を作製した。得られた測定試料を用い、上記方法にしたがって、気泡数、破裂強度、膜抵抗を前述の方法にて測定した。結果を表1に示す。
<実施例2〜10>
(陽イオン交換膜CEM−2〜10の作製)
用いたビニロン不織布の主体繊維の平均繊維径、バインダ繊維の含有量を表1に示した内容に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて実施し、CEM−2〜10を得た。
(イオン交換膜の評価)
このようにして作製した陽イオン交換膜を、所望の大きさに裁断し、測定試料を作製し
た。得られた測定試料を用い、上記方法にしたがって、気泡数、破裂強度、膜抵抗を前述の方法にて測定した。結果を表1に示す。
<比較例1〜3>
(陽イオン交換膜CEM−11〜13の作製)
用いたビニロン不織布の主体繊維の平均繊維径、バインダ繊維の含有量を表1に示した内容に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて実施し、CEM−11〜13を得た。
(イオン交換膜の評価)
このようにして作製した陽イオン交換膜を、所望の大きさに裁断し、測定試料を作製し
た。得られた測定試料を用い、上記方法にしたがって、気泡数、破裂強度、膜抵抗を前述の方法にて測定した。結果を表1に示す。
<比較例4>
(陽イオン交換膜CEM−14の作製)
脱イオン水を用いて濃度12wt%のP−1水溶液を調整した。このポリマー水溶液を、バーコーターを用いてPETフィルムに800μm液厚になるように塗布して塗布層(キャスト層)を形成した。次いで、熱風乾燥機DKM400(YAMATO製)にて温度80℃、40分間乾燥した後、PETフィルムを剥離して含浸塗布皮膜を作製した。こうして得られた皮膜を、160℃で30分間熱処理し、物理的な架橋を生じさせた。ついで、皮膜を2mol/Lの硫酸ナトリウムの電解質水溶液に24時間浸漬させた。該水溶液にpHが1になるように濃硫酸を加えた後、1体積%グルタルアルデヒド水溶液に皮膜を浸漬し、25℃で24時間スターラーを用いて撹拌し、架橋処理を行った。ここで、グルタルアルデヒド水溶液としては、石津製薬株式会社製「グルタルアルデヒド」(25体積%)を水で希釈したものを用いた。架橋処理の後、皮膜を脱イオン水に浸漬し、途中数回脱イオン水を交換しながら、皮膜が膨潤平衡に達するまで浸漬させ、陽イオン交換膜CEM−14を得た。
(イオン交換膜の評価)
このようにして作製した陽イオン交換膜を、所望の大きさに裁断し、測定試料を作製し
た。得られた測定試料を用い、上記方法にしたがって、気泡数、膜抵抗を前述の方法にて測定した。破裂強度に関しては試料が脆すぎて測定不可能であった。結果を表1に示す。
<実施例11>
(陰イオン交換膜AEM−1の作製)
脱イオン水を用いて濃度12wt%のP−2水溶液を調整した。このポリマー水溶液を、バーコーターを用いてPETフィルムに800μm液厚になるように塗布して塗布層(キャスト層)を形成した。次いで、このキャスト層を形成したPETフィルムのキャスト層面に、ビニロン不織布(坪量:36g/cm、主体繊維の平均繊維系:3μm、バインダ繊維の含有量:5質量%)を重ね合わせてP−2水溶液をビニロン不織布に含浸させた。その後、熱風乾燥機DKM400(YAMATO製)にて温度80℃、40分間乾燥した後、PETフィルムを剥離して含浸塗布皮膜を作製した。こうして得られた皮膜を、160℃で30分間熱処理し、物理的な架橋を生じさせた。ついで、皮膜を2mol/Lの硫酸ナトリウムの電解質水溶液に24時間浸漬させた。該水溶液にpHが1になるように濃硫酸を加えた後、1体積%グルタルアルデヒド水溶液に皮膜を浸漬し、25℃で24時間スターラーを用いて撹拌し、架橋処理を行った。ここで、グルタルアルデヒド水溶液としては、石津製薬株式会社製「グルタルアルデヒド」(25体積%)を水で希釈したものを用いた。架橋処理の後、皮膜を脱イオン水に浸漬し、途中数回脱イオン水を交換しながら、皮膜が膨潤平衡に達するまで浸漬させ、陰イオン交換膜を得た。
(イオン交換膜の評価)
このようにして作製した陰イオン交換膜を、所望の大きさに裁断し、測定試料を作製し
た。得られた測定試料を用い、上記方法にしたがって、気泡数、破裂強度、膜抵抗を前述の方法にて測定した。結果を表2に示す。
<実施例12〜20>
(陰イオン交換膜AEM−2〜10の作製)
用いたビニロン不織布の主体繊維の平均繊維径、バインダ繊維の含有量を表1に示した内容に変更した以外は、実施例11と同様の方法にて実施し、AEM−2〜10を得た。
(イオン交換膜の評価)
このようにして作製した陰イオン交換膜を、所望の大きさに裁断し、測定試料を作製し
た。得られた測定試料を用い、上記方法にしたがって、気泡数、破裂強度、膜抵抗を前述の方法にて測定した。結果を表2に示す。
<比較例5〜7>
(陰イオン交換膜AEM−11〜13の作製)
用いたビニロン不織布の主体繊維の平均繊維径、バインダ繊維の含有量を表2に示した内容に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて実施し、AEM−11〜13を得た。
(イオン交換膜の評価)
このようにして作製した陰イオン交換膜を、所望の大きさに裁断し、測定試料を作製し
た。得られた測定試料を用い、上記方法にしたがって、気泡数、破裂強度、膜抵抗を前述の方法にて測定した。結果を表1に示す。
<比較例8>
(陰イオン交換膜AEM−14の作製)
脱イオン水を用いて濃度12wt%のP−2水溶液を調整した。このポリマー水溶液を、バーコーターを用いてPETフィルムに800μm液厚になるように塗布して塗布層(キャスト層)を形成した。次いで、熱風乾燥機DKM400(YAMATO製)にて温度80℃、40分間乾燥した後、PETフィルムを剥離して含浸塗布皮膜を作製した。こうして得られた皮膜を、160℃で30分間熱処理し、物理的な架橋を生じさせた。ついで、皮膜を2mol/Lの硫酸ナトリウムの電解質水溶液に24時間浸漬させた。該水溶液にpHが1になるように濃硫酸を加えた後、1体積%グルタルアルデヒド水溶液に皮膜を浸漬し、25℃で24時間スターラーを用いて撹拌し、架橋処理を行った。ここで、グルタルアルデヒド水溶液としては、石津製薬株式会社製「グルタルアルデヒド」(25体積%)を水で希釈したものを用いた。架橋処理の後、皮膜を脱イオン水に浸漬し、途中数回脱イオン水を交換しながら、皮膜が膨潤平衡に達するまで浸漬させ、陰イオン交換膜AEM−14を得た。
(イオン交換膜の評価)
このようにして作製した陰イオン交換膜を、所望の大きさに裁断し、測定試料を作製した。得られた測定試料を用い、上記方法にしたがって、気泡数、膜抵抗を前述の方法にて測定した。破裂強度に関しては試料が脆すぎて測定不可能であった。結果を表2に示す。
Figure 2015174916
Figure 2015174916
表1に示すように主体繊維の繊維径が3〜40μmであり、バインダ繊維の含有率が2〜9質量%であるビニロン短繊維の湿式不織布を用いた陽イオン交換膜は、膜に発生する気泡欠陥の数が少なく、膜強度が高く、低膜抵抗であった(実施例1〜10)。特に、主体繊維の繊維径が8〜20μmであり、かつバインダ繊維の含有率が3〜8質量%であるビニロン短繊維の湿式不織布を用いた陽イオン交換膜は、より気泡欠陥の数が少なく、膜強度がより高かった(実施例2〜4、7、8)。一方、主体繊維の平均繊維径が40μm超の場合は、膜強度に劣っていた(比較例1)。また、主体繊維の平均繊維径が3μm未満の場合は、気泡欠陥が多かった(比較例2)。さらに、バインダ繊維の含有率が9質量%超であるビニロン短繊維の湿式不織布を用いた陽イオン交換膜は、気泡欠陥が多かった(比較例3)。基材を用いたなった場合は、膜が脆く破裂強度が測定できなかった(比較例4)。
表2に示すように主体繊維の繊維径が3〜40μmであり、バインダ繊維の含有率が2〜9質量%であるビニロン短繊維の湿式不織布を用いた陰イオン交換膜は、膜に発生する気泡欠陥の数が少なく、膜強度が高く、低膜抵抗であった(実施例11〜20)。特に、主体繊維の繊維径が8〜20μmであり、バインダ繊維の含有率が3〜8質量%であるビニロン短繊維の湿式不織布を用いた陰イオン交換膜は、より気泡欠陥の数が少なく、膜強度がより高かった(実施例12〜14、17、18)。一方、主体繊維の平均繊維径が40μm超の場合は、膜強度に劣っていた(比較例5)。また、主体繊維の平均繊維径が3μm未満の場合は、気泡欠陥が多かった(比較例6)。さらに、バインダ繊維の含有率が9質量%超であるビニロン短繊維の湿式不織布を用いたイオン交換膜は、気泡欠陥が多かった(比較例7)。基材を用いたなった場合は、膜が脆く破裂強度が測定できなかった(比較例8)。
K:イオン交換膜(有効面積1.0cm2)
L:白金電極
M:NaCl水溶液
N:水浴
O:LCRメーター

Claims (5)

  1. ビニロン短繊維の湿式不織布と、下記一般式(1)で示されるアニオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体または下記一般式(2)で示されるカチオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体を含有するイオン交換膜であって、
    前記湿式不織布は、一方の面から厚み方向に向かって、少なくとも一部に前記イオン性共重合体が含浸した含浸層を備えており、
    前記湿式不織布の主体繊維の平均繊維径が3〜40μmであり、かつバインダ繊維の含有率が2〜9質量%であることを特徴とするイオン交換膜。
    Figure 2015174916
    [式中、0.5000≦o/(n+o)≦0.9999であり、0.001≦m/(m+n+o)≦0.50であり、XはHまたはアルカリ金属イオンまたは4級アンモニウムイオン等の1価のカチオンである。]
    Figure 2015174916
    [式中、0.5000≦o2/(n2+o2)≦0.9999であり、0.001≦m2/(m2+n2+o2)≦0.50であり、Yは、PF 、SbF 、AsF 等の5B族元素のハロゲン化アニオン、BF 等の3B族元素のハロゲン化アニオン、I(I )、Br、Cl等のハロゲンアニオン、ClO 等のハロゲン酸アニオン、AlCl 、FeCl 、SnCl 等の金属ハロゲン化物アニオン、NO で示される硝酸アニオン、p−トルエンスルホン酸アニオン、ナフタレンスルホン酸アニオン、CHSO 、CFSO 等の有機スルホン酸アニオン、CFCOO、CCOO等のカルボン酸アニオン、OH等の1価のアニオンである。]
  2. 請求項1に記載のイオン交換膜において、前記湿式不織布の主体繊維の平均繊維径が8〜20μmであり、かつバインダ繊維の含有率が3〜8質量%である、イオン交換膜。
  3. 請求項1または請求項2に記載のイオン交換膜において、前記イオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体が、前記不織布に適用された状態で架橋処理された架橋体である、イオン交換膜。
  4. イオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体溶液を準備する工程;
    剥離シートの上に、前記イオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体の水溶液を塗布して、イオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体の塗布層を形成する工程;
    前記塗布層にビニロン短繊維の湿式不織布を重ね合わせ、この不織布の少なくとも一部にイオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体を含浸させ、含浸体を形成する工程;
    前記塗布層と前記湿式不織布とを重ねあわせた状態で、この含浸体を乾燥させる工程;および
    前記剥離シートを、乾燥した含浸体から剥離する工程;
    を含むイオン交換膜の製造方法。
  5. 請求項4の製造方法において、剥離工程の後、イオン性ビニルアルコール系ブロック共重合体に熱処理を施す、イオン交換膜の製造方法。
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