JP2015170728A - 熱電変換材料及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温の温度領域で使用されるBi−Sb−Te熱電変換材料及びその製造方法に関し、優れた無次元性能指数ZTを有する熱電変換素子を提供する。【解決手段】純度5N7以上であり、無次元性能指数ZTが1.3以上であることを特徴とするBi−Sb−Te熱電変換材料で、Bi−Sb−Te熱電変換材料中の不純物含有量を低減することにより、電気伝導率や熱伝導率を大きく変化させることなく、ゼーベック係数と無次元性能指数を向上させることができる。【選択図】図1
Description
本発明は、優れた無次元性能指数を示す熱電変換素子に好適な熱電変換材料及びその製造方法に関する。
近年、地球温暖化、原子力等の問題による省エネ意識の高まりにより、自然界のエネルギーを有効に活用することを目的として、熱電気変換技術が注目されている。熱電変換材料の代表的なものとして、200℃の低温領域においてはBi-Te系が使用され、300〜600℃の中温領域においてはMg−Si系等が使用され、そして600℃を超える高温領域では、カルシウムコバルト酸化物等が使用されている。
熱電性能は一般に、無次元の性能指数で表すことが多い。具体的には、ZT=S2×σ/κ(ここで、S:ゼーベック係数、σ:電気伝導率、κ:熱伝導率)で表記される。この式から、無次元性能指数ZTを向上させるためには、熱伝導率の低減、電気伝導率の増加、ゼーベック係数の増加が要求される。一方で、ゼーベック係数と電気伝導率は反対の依存性をもち、熱伝導率と電気伝導率は正の関係にある。
また、これら3つの因子(S、σ、κ)は、キャリア濃度の関数となっており、キャリア濃度が低いほど、ゼーベック係数は増加する一方、電気伝導率及び熱伝導率は低くなる。したがって、これらを独立に制御することは基本的に難しい。そこで、無次元性能指数であるS2×σ/κが極大値をとるように、通常は、キャリア濃度は1×1019cm−3前後に設定している。
ところで、上述の温度領域以下(150℃以下)の自然放出廃棄エネルギーは、自然放出全廃棄エネルギーの約60%以上もの膨大な量を占める。この温度領域での熱回収技術は、現在のところ熱電素子以外にはないことから、低温用熱電素子の熱電性能向上に向けた研究が活発に行われている。例えば、この低温の温度領域で使用される代表的な熱電材料であるBi0.5Sb1.5Te3に関して、以下の研究が知られている。
非特許文献1では、メカニカルアロイ法と放電プラズマ焼結法で作製した(Bi1−xSbx)2Te3において、Sbの添加量が、熱伝導率、電気伝導率、ゼーベック係数に与える影響を調べている。この研究では、x=0.80のとき、Z=3.35×10−3K−1が得られている。なお、この数値は室温(300K)におけるZTでは1.0に相当する。
非特許文献2では、ゾーンメルト法と放電プラズマ法で作製した(Bi2Te3)x(Sb2Te3)1−xにおける熱伝導率、電気伝導率、ゼーベック係数を調べ、X=0.24のとき、室温(300K)でZT=1.1を得ている。また、非特許文献3では、ブリッジマン法で作製したBi0.5Sb1.5Te3.0インゴットに通電加圧加工という塑性加工を行うことにより、パワーファクター3.94×10−3W/m/K2を得ている。
Liu Xue-Dong et al, Material Transactions, vol.43, No.4 (2002) p681
Jun Jiang, Lidond Chen, Qin Yao and Qun Wang, Material Transactions, vol.46, No.5 (2005) p959
森崎、荒木、田辺、北川、長谷埼、:日本金属学会誌 第70巻 第5号2006年447-451
本発明は、低温の温度領域で使用されるBi−Sb−Te熱電変換材料及びその製造方法に関し、優れた無次元性能指数ZTを有する熱電変換素子を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明者は鋭意研究を行った結果、Bi−Sb−Te熱電変換材料中の不純物含有量を低減することにより、電気伝導率や熱伝導率を大きく変化させることなく、ゼーベック係数を向上させることができ、これにより、無次元性能指数を向上することができるとの知見を得た。
このような知見に基づき、本発明は、
1)純度5N7以上であり、無次元性能指数ZTが1.3以上であることを特徴とするBi−Sb−Te熱電変換材料。
2)平均結晶粒径が2〜3μmであることを特徴とする上記1)記載のBi−Sb−Te熱電変換材料。
3)Bi−Sb−Te合金インゴットを作製し、該インゴットをガスアトマイズ法で微粉化した後、さらにジェットミル法を用いて微細化し、得られる合金粉末を焼結して純度5N7以上であり、無次元性能指数ZTが1.3以上であることを特徴とするBi−Sb−Te熱電変換材料の製造方法。
4)純度6N以上のBi−Sb−Te合金インゴットを用いることを特徴とする上記3)のBi−Sb−Te熱電変換材料の製造方法。
5)高純度石英管坩堝を使用してガスアトマイズ法で微粉化することを特徴とする上記3)又は4)に記載のBi−Sb−Te熱電変換材料の製造方法。
6)ジェットミル法を用いて平均粒径2〜3μmの合金粉末を得ることを特徴とする上記3)〜5)のいずれか一に記載のBi−Sb−Te熱電変換材料の製造方法。
1)純度5N7以上であり、無次元性能指数ZTが1.3以上であることを特徴とするBi−Sb−Te熱電変換材料。
2)平均結晶粒径が2〜3μmであることを特徴とする上記1)記載のBi−Sb−Te熱電変換材料。
3)Bi−Sb−Te合金インゴットを作製し、該インゴットをガスアトマイズ法で微粉化した後、さらにジェットミル法を用いて微細化し、得られる合金粉末を焼結して純度5N7以上であり、無次元性能指数ZTが1.3以上であることを特徴とするBi−Sb−Te熱電変換材料の製造方法。
4)純度6N以上のBi−Sb−Te合金インゴットを用いることを特徴とする上記3)のBi−Sb−Te熱電変換材料の製造方法。
5)高純度石英管坩堝を使用してガスアトマイズ法で微粉化することを特徴とする上記3)又は4)に記載のBi−Sb−Te熱電変換材料の製造方法。
6)ジェットミル法を用いて平均粒径2〜3μmの合金粉末を得ることを特徴とする上記3)〜5)のいずれか一に記載のBi−Sb−Te熱電変換材料の製造方法。
本発明は、焼結法を用いて作製したBi−Sb−Te熱電変換材料において、材料中における不純物含有量を低減することで、熱伝導率や電気伝導率を大きく変化させず、ゼーベック係数を向上させることができるという優れた効果を有する。
ヨッフェの理論(A.Ioffe: Semiconductor Thermoelements and Thermoelectric Cooling 1957、ISBN-10: 0850860393)に従えば、ゼーベック係数Sは、キャリア濃度と次のような関係がある。S=±kB/e×(γ+2+In2×(2πm*kBT)3/2/h3/n、但し、kB:ボルツマン定数、m*:有効質量、γ:散乱因子、h:プランク定数、e:電荷素量、n:キャリア濃度である。この式から、キャリア濃度が低いほど、ゼーベック係数が増加する関係となっている。しかし、先に記載した通り、熱伝導率及び電気伝導率もキャリア濃度の関数となるため、キャリア濃度が低くなると、電気伝導率や電気伝導率が低くなり、その結果、無次元性能指数ZTが1を大幅に下回る低い数値となることがある。
そこで、本発明は、無次元性能指数ZTの数値が極大となると言われているキャリア濃度が約1019cm−3を備えるBi−Sb−Te焼結体(熱電変換材料)において、Bi、Sb、Teを除く元素の不純物含有量を3wtppm以下まで低減(純度5N7以上)することにより、電気伝導率及び熱伝導率を大きく変化させず、ゼーベック係数を向上させることができ、その結果、室温(300K)における無次元性能指数1.3以上まで向上させることを可能とすることを特徴とするものである。
熱電変換材料の作製方法としては、大きく分けて溶解法と焼結法の2つがある。溶解法は、インゴットをブリッジマン法やゾーンメルティング法で一方向凝固させる方法である。この方法は、不純物の制御性に優れるが、組成の均一性に難点があり、さらに機械的強度も劣るという問題もある。そのため、本発明では、不純物の制御性は難しいが機械的強度に優れ、かつ粒径が微細化でき、組成の制御性に優れる焼結法を採用することとしている。
焼結法は、具体的には、Bi、Sb、Te原料を目的組成となるように秤量し、この原料を前記ブリッジマン法などを用いて合金インゴットを作製し、次に、この合金インゴットを機械粉砕した後、ホットプレス法やスパークプラズマ焼結(SPS)法により焼結するものである。焼結法は、一般に、遊星型ボールミルを用いたメカニカルアロイ法で粉末を作製するが、粉砕機の内壁材料が剥離して、その一部が粉砕粉に混入するため高純度の原料を使用しても、焼結体の純度が低下してしまうという問題があった。
そこで、本発明は、不純物の少ないBi−Sb−Te焼結体(熱電変換材料)を作製するために、不純物汚染の少ない製造プロセスを開発した。一般的な製造工程としては合金作製→ボールミル粉砕→分級→焼結となるが、この工程の中で最も汚染を受け易い工程はボールミル粉砕である。熱電変換素子は熱伝導率を低減するために合金インゴットを平均粒径5μm以下程度まで微粉化する必要があるため、一般には40時間以上の長時間をかけて遊星型ボールを材料に衝突させて粉砕を行う。
しかし、このとき、粉砕粉が粉砕機内壁や遊星型ボールミルから汚染を受けるために5N5以上の純度を得ることは難しいとされている。一方で、遊星型ボールミルによる粉砕法以外に微細粉を得る方法としては、ガスアトマイズ法とジェットミル法がある。前者は、真空もしくは不活性ガス雰囲気中で高圧不活性ガスを滴下される溶湯に吹き付けて急冷凝固させて微粉化する方法であるため、不純物汚染を極めて効果的に抑制することができる。
しかし、このガスアトマイズ法で得られる粉の粒度はせいぜい数十μm程度であり、目標とする数μm程度の微細粉を得ることは困難である。他方、ジェットミル法は、不活性雰囲気中で粉同士を衝突させて微粉化させる方法なので、遊星型ボールミルを用いた粉砕に比べて、不純物汚染を抑制することが可能であるが、粉砕時間が長くなると不純物汚染や酸素濃度が高くなるといった懸念がある。以上のことから、数μmオーダーの微細粉を得るためにガスアトマイズ法とジェットミル法を併用することとする。
すなわち、ガスアトマイズ法で平均粒度が10〜20μmの微粉を作製し、その後、この微粉をジェットミル法によって短時間粉砕することにより、平均粒度が数μm程度の粉末を安定して提供することができる。このように、ガスアトマイズ法とジェットミル法を併用することにより、高純度でかつ平均粒径が数μmオーダーの粉末を得ることができる。
ガスアトマイズ法の際、ジルコニウム製坩堝もしくはアルミナ製坩堝を使用して作製された微粉末は、坩堝からの汚染を受けて、10wtppm以上の不純物が混入することが確認された。そこで、坩堝材の種類とガスアトマイズ粉の純度との関係を調査した結果、高純度石英製の坩堝を使用した場合には、不純物濃度を1wtppm未満まで低減することが可能になることが確認された。このような不純物汚染の観点から、ガスアトマイズ法で用いる坩堝の材料にも留意する必要がある。石英製坩堝としては、純度4N〜5Nのものを用いることが好ましい。
本発明のBi−Sb−Te熱電変換材料(焼結体)は、例えば、以下のようにして作製することができる。まず、純度6N(99.9999%)以上のBi(ビスマス)、純度6N(99.9999%)以上のSb(アンチモン)、純度6N(99.9999%)以上のTe(テルル)を必須原料として準備する。次に、Bi0.5Sb1.5Te3.0の組成となるように各原料を秤量した後、スカル溶解などの方法で合金インゴットを作製する。ここで、スカル溶解法は合金インゴットの作製方法の一例であり、石英管を用いたブリッジマン法を用いても構わない。
次に、この合金を原料として用いてガスアトマイズ法で微粉化を行う。このとき、不純物汚染を防ぐために、高純度石英製の坩堝を使用することが好ましい。これにより、不純物濃度を1wtppm未満で、かつ、平均粒径が10〜20μmのガスアトマイズ粉を得ることができる。次に、得られた粉末を用いて、ジェットミル粉砕を約30分間程度行って、平均粒径が2〜3μmの粉末を得る。但し、雰囲気中に酸素が残留していると、原料粉末の表面に酸化膜が形成されやくなるため、純度4N5以上の不活性ガスを充填しておくことが望ましい。
また、上記ジェットミル粉砕は、不純物汚染の少ない粉砕法ではあるが、長時間稼働させると、ミル壁等からの不純物の混入する影響を受け始めることになる。そのため、ジェットミルの処理時間としては、20〜50分間が好ましく、これ以上長時間、粉砕を行なうと、不純物の汚染の影響を受けて、ジェットミル後のBi−Sb−Te粉末の純度を低下させるために好ましくない。一方、20分より短い処理時間では、十分に微細化できず、所望の特性が得られないため、好ましくない。
したがって、ジェットミル後のBi−Sb−Te合金粉末の平均粒径をできる限り小さくし、かつ、該合金粉末の純度を高純度に維持させるためには、ジェットミルの処理時間を20〜50分間とし、これにより、該合金粉末の平均粒径を2〜3μm、該合金粉末の純度を5N7以上に維持することが達成できる。
したがって、ジェットミル後のBi−Sb−Te合金粉末の平均粒径をできる限り小さくし、かつ、該合金粉末の純度を高純度に維持させるためには、ジェットミルの処理時間を20〜50分間とし、これにより、該合金粉末の平均粒径を2〜3μm、該合金粉末の純度を5N7以上に維持することが達成できる。
このようにして得られた微細な合金粉末を、ホットプレス(HP)、熱間静水圧プレス(HIP)又はスパークプラズマ焼結(SPS)法を用いて焼結することで焼結体を作製する。このとき、焼結雰囲気中への酸素の混入を防止するために、不活性ガス雰囲気又は高真空(5×10−4Torr程度以下)で焼結することが望ましい。
以上により、不純物濃度3wtppm未満、平均結晶粒径2μm以上3μm以下のBi−Sb−Te焼結体(熱電変換材料)を作製することができ、この材料のゼーベック係数は250μV/Kを超える値が得られ、この結果、室温で無次元性能指数ZTが1.3以上を得ることができる。
以上により、不純物濃度3wtppm未満、平均結晶粒径2μm以上3μm以下のBi−Sb−Te焼結体(熱電変換材料)を作製することができ、この材料のゼーベック係数は250μV/Kを超える値が得られ、この結果、室温で無次元性能指数ZTが1.3以上を得ることができる。
以下、実施例及び比較例について説明する。なお、本実施例はあくまで一例であり、この例によって何ら制限されるものではない。すなわち、本発明は特許請求の範囲によってのみ制限されるものであり、本発明に含まれる実施例以外の種々の変形を包含するものである。
(実施例1−3)
原料として、純度6NのBiショット原料、純度6NのSbショット原料、純度6NのTeインゴットを準備した。これらの原料をアルゴンガスで充満されたグローブボックス中でBi0.5Sb1.5Te3.0の組成となるように秤量した。その後、この原料を用いてスカル溶解を行い、3.5kgの合金インゴットを得た。溶解の具体的な条件としては、1×10−4Torrまで真空引きした後、Teの蒸発を極力抑えるために高純度Arガス(5N)を炉内に導入し、約200Torrとした。その後、昇温を行い、620℃で10分間保持した後、電源をオフにして急冷した。
原料として、純度6NのBiショット原料、純度6NのSbショット原料、純度6NのTeインゴットを準備した。これらの原料をアルゴンガスで充満されたグローブボックス中でBi0.5Sb1.5Te3.0の組成となるように秤量した。その後、この原料を用いてスカル溶解を行い、3.5kgの合金インゴットを得た。溶解の具体的な条件としては、1×10−4Torrまで真空引きした後、Teの蒸発を極力抑えるために高純度Arガス(5N)を炉内に導入し、約200Torrとした。その後、昇温を行い、620℃で10分間保持した後、電源をオフにして急冷した。
スカル溶解で作製したインゴットをブロック状に切断し、エッチング処理した後、ガスアトマイズの原料とした。この原料を高純度石英製の坩堝に投入し、1×10−2Paまで真空引き後、高純度Arガスを導入し、昇温を行い、620℃で10分間保持した後、溶湯ストッパーを外して溶湯を溶湯ノズル孔から滴下し、15MPaの高圧Arガスを吹き付けて急冷凝固した。実施例1で得られた粉末の粒度分布を図1に示す。粉末の平均粒径は17μmであった。
次に、ガスアトマイズ粉を原料に用いて0.7MPaの窒素ガス圧力条件でジェットミル粉砕を行った。窒素ガスは、純度5N、酸素濃度50wtppm以下、露点−60℃以下のものを用いた。実施例1で得られた粉末をレーザー回折・散乱式粒度分布測定器を用いて測定した。その粒度分布を図2に示す。粉末の平均粒径は2.5〜2.6μmであった。ここで、平均粉末粒径は計測した粒度分布の累積50%径の値とした。次にこの粉末を用いて、真空雰囲気中、プレス圧力20MPa、温度380℃、10分間の条件で、放電プラズマ焼結を行った。
実施例1で得られた焼結体中の不純物濃度を、主に、GDMS法によって測定した。その結果を表1に示す。なお、ガス成分であるO(酸素)、C(炭素)、H(水素)、N(窒素)については、LECO法を用いて測定した。表1で示される通り、焼結体の純度(ガス成分を除く)は5N7以上であった。本発明において、各分析方法の検出限界値未満の元素については、検出限界値をその含有量として見なして、検出可能な不純物含有量と合算し、不純物の総含有量を算出して、焼結体の純度を求めた。
次に、焼結体の平均結晶粒径を(株)セイシン企業製LMS−30を用いて測定した。その結果、焼結体の平均結晶粒径は、粉末の平均粒径と同程度であった。さらに、それぞれの焼結体について、熱電特性を測定した結果、無次元性能指数ZTで1.35〜1.39といずれも高い値を示した。以上の結果を表2に示す。
次に、焼結体の平均結晶粒径を(株)セイシン企業製LMS−30を用いて測定した。その結果、焼結体の平均結晶粒径は、粉末の平均粒径と同程度であった。さらに、それぞれの焼結体について、熱電特性を測定した結果、無次元性能指数ZTで1.35〜1.39といずれも高い値を示した。以上の結果を表2に示す。
(比較例1〜3)
比較例1〜3では、実施例1〜3と同様の方法で作製したガスアトマイズ原料を、ジルコニア坩堝(比較例1)、アルミナ坩堝(比較例2)、高純度石英坩堝(比較例3)をそれぞれ用いて、ガスアトマイズを行い、平均粒度18μm、19μm、17μmの微粉を作製した。次に、この微粉をジェットミル粉砕せず、真空雰囲気中、プレス圧力20MPa、温度380℃、10分間の条件で、放電プラズマ焼結を行った。その結果、焼結体の純度はそれぞれ5N3(比較例1)、5N5(比較例2)、5N9(比較例3)であった。それぞれの焼結体について、熱電特性を測定した結果、無次元性能指数ZTで0.79、0.85、0.88であった。以上の結果を表2に示す。なお、各物性の評価は実施例1と同様の方法及び条件を用いて行った。
比較例1〜3では、実施例1〜3と同様の方法で作製したガスアトマイズ原料を、ジルコニア坩堝(比較例1)、アルミナ坩堝(比較例2)、高純度石英坩堝(比較例3)をそれぞれ用いて、ガスアトマイズを行い、平均粒度18μm、19μm、17μmの微粉を作製した。次に、この微粉をジェットミル粉砕せず、真空雰囲気中、プレス圧力20MPa、温度380℃、10分間の条件で、放電プラズマ焼結を行った。その結果、焼結体の純度はそれぞれ5N3(比較例1)、5N5(比較例2)、5N9(比較例3)であった。それぞれの焼結体について、熱電特性を測定した結果、無次元性能指数ZTで0.79、0.85、0.88であった。以上の結果を表2に示す。なお、各物性の評価は実施例1と同様の方法及び条件を用いて行った。
(比較例4)
比較例4では、実施例1〜3と同様の方法で作製したガスアトマイズ原料を、ジルコニア坩堝を用いて、ガスアトマイズを行い、平均粒度18μmの微粉を作製した。次に、この微粉を、メカニカルアロイ法を用いて粉砕を行った。このとき、粉砕には直径約13mmのステンレスボールを用い、粉末量とボールとの重量比を1:40の条件で、約5時間の粉砕を行い、平均粒度3.5μmの粉末を得た。次に、この粉末を真空雰囲気中で、プレス圧力20MPa、温度380℃、10分間の条件で、放電プラズマ焼結を行った。その結果、焼結体の純度は5N1であった。この焼結体について熱電特性を測定した結果、無次元性能指数ZTで0.84であった。以上の結果を表2に示す。なお、各物性の評価は実施例1と同様の方法及び条件を用いて行った。
比較例4では、実施例1〜3と同様の方法で作製したガスアトマイズ原料を、ジルコニア坩堝を用いて、ガスアトマイズを行い、平均粒度18μmの微粉を作製した。次に、この微粉を、メカニカルアロイ法を用いて粉砕を行った。このとき、粉砕には直径約13mmのステンレスボールを用い、粉末量とボールとの重量比を1:40の条件で、約5時間の粉砕を行い、平均粒度3.5μmの粉末を得た。次に、この粉末を真空雰囲気中で、プレス圧力20MPa、温度380℃、10分間の条件で、放電プラズマ焼結を行った。その結果、焼結体の純度は5N1であった。この焼結体について熱電特性を測定した結果、無次元性能指数ZTで0.84であった。以上の結果を表2に示す。なお、各物性の評価は実施例1と同様の方法及び条件を用いて行った。
(比較例5)
比較例5では、実施例1〜3と同様の方法で作製したガスアトマイズ原料を、高純度石英坩堝を用いて、ガスアトマイズを行い、平均粒度17μmの微粉を作製した。次に、この微粉をメカニカルアロイ法を用いて粉砕を行った。このとき、粉砕には直径約13mmのステンレスボールを用い、粉末量とボールとの重量比を1:40の条件で、約5時間の粉砕を行い、平均粒径3.2μmの粉末を得た。次に、この粉末を真空雰囲気中で、プレス圧力20MPa、温度380℃、10分間の条件で、放電プラズマ焼結を行った。その結果、焼結体の純度は5N6であった。この焼結体について熱電特性を測定した結果、無次元性能指数ZTで1.28であった。以上の結果を表2に示す。なお、
各物性の評価は実施例1と同様の方法及び条件を用いて行った。
比較例5では、実施例1〜3と同様の方法で作製したガスアトマイズ原料を、高純度石英坩堝を用いて、ガスアトマイズを行い、平均粒度17μmの微粉を作製した。次に、この微粉をメカニカルアロイ法を用いて粉砕を行った。このとき、粉砕には直径約13mmのステンレスボールを用い、粉末量とボールとの重量比を1:40の条件で、約5時間の粉砕を行い、平均粒径3.2μmの粉末を得た。次に、この粉末を真空雰囲気中で、プレス圧力20MPa、温度380℃、10分間の条件で、放電プラズマ焼結を行った。その結果、焼結体の純度は5N6であった。この焼結体について熱電特性を測定した結果、無次元性能指数ZTで1.28であった。以上の結果を表2に示す。なお、
各物性の評価は実施例1と同様の方法及び条件を用いて行った。
本発明によれば、焼結法で作製したBi−Sb−Te熱電変換材料において、材料中の不純物含有量を効果的に低減することができ、それにより、熱伝導率や電気伝導率を大きく変化させず、ゼーベック係数を向上できるという優れた効果を有する。本発明は特に低温の温度領域で使用される熱電変換素子の材料として有用である。
Claims (6)
- 純度5N7以上であり、無次元性能指数ZTが1.3以上であることを特徴とするBi−Sb−Te熱電変換材料。
- 平均結晶粒径が2〜3μmであることを特徴とする請求項1記載のBi−Sb−Te熱電変換材料。
- Bi−Sb−Te合金インゴットを作製し、該インゴットをガスアトマイズ法で微粉化した後、さらにジェットミル法を用いて微細化し、得られる合金粉末を焼結して純度5N7以上であり、無次元性能指数ZTが1.3以上であることを特徴とするBi−Sb−Te熱電変換材料の製造方法。
- 純度6N以上のBi−Sb−Te合金インゴットを用いることを特徴とする請求項3記載のBi−Sb−Te熱電変換材料の製造方法。
- 高純度の石英管坩堝を使用してガスアトマイズ法で微粉化することを特徴とする請求項3又は4に記載のBi−Sb−Te熱電変換材料の製造方法。
- ジェットミル法を用いて平均粒径2〜3μmの合金粉末を得ることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載のBi−Sb−Te熱電変換材料の製造方法。
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