JP2015168341A - 車両のブレーキ制御装置 - Google Patents

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泰 大峯
慎次 塚本
Shinji Tsukamoto
慎次 塚本
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Masahito Terasaka
将仁 寺坂
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Abstract

【課題】停車保持制御中における安定した停車保持と、ブレーキペダル操作フィーリングの向上とを両立させる。
【解決手段】ECUは、停車保持制御を開始すると、マスタシリンダ圧センサにより検出されるセンサ信号を2通りのカットオフ周波数を使ってローパスフィルタ処理を施して、2つの液圧検出値Pmfc1,Pmfc2を算出する(S21)。ECUは、マスタシリンダ圧Pmの変化勾配Aを演算し(S22)、変化勾配Aの大きさ(|A|)が基準勾配Arefよりも小さい場合には、第1液圧検出値Pmfc1を今回の演算時におけるマスタシリンダ圧Pmに設定し、変化勾配Aの大きさ(|A|)が基準勾配Aref以上である場合には、第2液圧検出値Pmfc1を今回の演算時におけるマスタシリンダ圧Pmに設定する(S23〜S25)。
【選択図】図4

Description

本発明は、停車中にブレーキペダルへの踏み込み操作入力が無くなっても、ホイールシリンダへの液圧供給状態を保持する停車保持制御を実施する車両のブレーキ制御装置に関する。
従来から、停車中にブレーキペダルへの踏み込み操作入力が無くなっても、ホイールシリンダへの液圧供給状態を保持する停車保持制御が知られている。例えば、特許文献1には、制動中の車両の車速がゼロとなったときのホイールシリンダの液圧を記憶し、この液圧を保持するようにリニア制御弁の通電量を制御する制動力保持制御装置が提案されている。この装置では、ホイールシリンダとマスタシリンダと連結する作動液流路に開閉弁を設け、停車保持制御に限らず、開閉弁を閉弁した状態で、ポンプにより加圧された作動液を開閉弁より下流側のリニア制御弁により調圧してホイールシリンダに供給する。つまり、ドライバーのブレーキペダル踏み込み操作力により発生したマスタシリンダの液圧をホイールシリンダに供給するわけではなく、踏み込み操作力の検出値に基づいて設定される目標制動力を発生させるようにリニア制御弁の開度を制御する。このため、マスタシリンダと開閉弁との間の作動液流路にストロークシミュレータが設けられており、開閉弁が閉弁状態であってもブレーキペダルのストローク操作が可能となっている。
特開2007−216765号公報
一方、マスタシリンダの出力する液圧を直接ホイールシリンダに供給して制動力を発生させるブレーキ装置の場合には、ホイールシリンダとマスタシリンダと連結する作動液流路に設けた開閉弁を停車中に閉弁保持するようにすれば、停車保持制御を実施することができる。しかし、こうした装置では、ストロークシミュレータのような液圧吸収装置を備えていないため、停車保持制御が開始された後にブレーキペダルが踏み込まれてもブレーキペダルをストロークさせることができない。このため、良好なペダルフィーリングが得られない。
この問題を解消するためには、停車保持制御中に、ドライバーのペダル踏み増し操作が検出されたときに開閉弁を開弁し、その後、ペダル戻し操作が検出されたときに再び開閉弁を閉弁させるようにすればよい。具体的には、マスタシリンダの出力する液圧を検出する圧力センサを設け、圧力センサの検出値が閾値を超えたときに開閉弁を開弁してマスタシリンダからホイールシリンダへ作動液を供給するようにし、圧力センサの検出値が閾値以下にまで低下したときに、再び開閉弁を閉弁させるようにすればよい。
一般に、液圧を検出する場合には、圧力センサの検出値に対してローパスフィルタ処理を施して高周波ノイズ成分を除去する。しかし、このローパスフィルタのカットオフ周波数が低いと検出値の位相遅れが生じるため、停車保持制御中にブレーキペダルが急に踏み込まれた場合にはペダル操作に対して開閉弁の開弁が遅れてしまいペダルフィーリングの低下を招く。また、開閉弁の開弁後、ブレーキペダルが急に戻された場合にはペダル操作に対して開閉弁の閉弁が遅れてしまい、ホイールシリンダの液圧が停車保持に必要な液圧を下回ってしまう可能性がある。
一方、ローパスフィルタのカットオフ周波数を高くすれば上記問題は解消できるものの、逆に、開閉弁の作動に伴う液圧の脈動等の影響を受け易くなり、検出値が閾値を短い周期でクロスして開閉弁の開閉ハンチング(開閉弁が開閉動作を繰り返す現象)を招いてしまう。その場合には、開閉弁の作動に伴う異音が発生したり、ブレーキペダルに振動が伝わったりすることがある。特に、停車中にブレーキペダルを踏んでいる時には、車室内が静かであり、かつ、路面から外乱を受けないため、異音やペダル振動の発生によってドライバーに違和感を与えやすい。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、停車保持制御中における安定した停車保持と、ブレーキペダル操作フィーリングの向上とを両立させることを目的とする。
上記課題を解決する本発明の特徴は、
車輪に設けられ作動液の液圧を受けて前記車輪に制動力を与えるホイールシリンダ(92)と、
ブレーキペダル(10)に入力された踏み込み操作力により作動液を加圧する踏力作動液加圧装置(20)と、
前記踏力作動液加圧装置と前記ホイールシリンダとを連結する作動液流路に設けられ、前記作動液流路を開閉制御可能な制御弁(66,67)と、
停車中に前記踏力作動液加圧装置から前記ホイールシリンダへ液圧が供給されている状態で前記制御弁を閉弁させることにより、前記ブレーキペダルへの踏み込み操作入力が無くなっても、前記ホイールシリンダへの液圧供給状態を保持する停車保持制御を実施する停車保持制御手段(100,S12)と
を備えた車両のブレーキ制御装置において、
前記停車保持制御手段は、
前記踏力作動液加圧装置によって加圧された作動液の液圧を検出する圧力センサ(102)を備え、前記圧力センサの出力するセンサ信号にローパスフィルタ処理を施して液圧検出値を取得する液圧検出手段(S20)と、
前記停車保持制御中に、前記液圧検出手段の取得した液圧検出値が第1閾値よりも大きくなった場合に前記制御弁を開弁させ、その後、前記液圧検出値が第2閾値以下にまで低下した場合に前記制御弁を閉弁させる開閉制御手段(S31,S32,S33)と、
前記ブレーキペダルの操作速度を表す操作速度指標を取得するペダル操作速度指標取得手段(S22)とを備え、
前記液圧検出手段は、前記操作速度指標が急操作判定閾値よりも小さい場合には、第1カットオフ周波数でローパスフィルタ処理を施した液圧検出値を取得し、前記操作速度指標が前記急操作判定閾値以上である場合には、前記第1カットオフ周波数よりも高い第2カットオフ周波数でローパスフィルタ処理を施した液圧検出値を取得する(S21,S23〜S25)ことにある。
本発明においては、踏力作動液加圧装置がブレーキペダルに入力された踏み込み操作力により作動液を加圧する。踏力作動液加圧装置は、例えば、マスタシリンダを用いることができる。ホイールシリンダは、踏力作動液加圧装置によって加圧された作動液の液圧を受けて作動し、車輪に制動力を与える。踏力作動液加圧装置とホイールシリンダとを連結する作動液流路には、制御弁が設けられている。制御弁が開弁しているときには、踏力作動液加圧装置とホイールシリンダとが連通し、制御弁が閉弁しているときには、踏力作動液加圧装置とホイールシリンダとの連通が遮断される。
停車保持制御手段は、停車中に踏力作動液加圧装置からホイールシリンダへ液圧が供給されている状態で制御弁を閉弁させることにより、ブレーキペダルの踏み込み操作入力が無くなっても、ホイールシリンダへの液圧供給状態を保持する停車保持制御を実施する。従って、ドライバーがブレーキペダルの踏み込み力を緩めても、停車状態(車体速度がゼロとなっている状態)に維持することができる。
踏力作動液加圧装置と制御弁との間の作動液流路にストロークシミュレータのような液圧吸収装置を備えていないブレーキ制御装置では、停車保持制御により制御弁が閉弁状態に維持されている間は、踏み込み操作により加圧された作動液を逃がすことができない。このため、ドライバーがブレーキペダルを踏み込んでもブレーキペダルをストロークさせることができず、ブレーキペダル操作フィーリングが低下する。
そこで、開閉制御手段が、停車保持制御中に、液圧検出手段の取得した作動液の液圧検出値が第1閾値よりも大きくなった場合に制御弁を開弁させ、その後、液圧検出値が第2閾値以下にまで低下した場合に制御弁を閉弁させる。これにより、停車保持制御中にブレーキペダルの踏み込み操作が行われた場合でも、ブレーキペダルをストロークさせることができる。この場合、液圧検出手段は、踏力作動液加圧装置によって加圧された作動液の液圧を検出する圧力センサを備え、圧力センサの出力するセンサ信号にローパスフィルタ処理を施して液圧検出値を取得する。これにより、高周波ノイズが除去された液圧検出値を取得することができる。尚、ローパスフィルタ処理を施す対象となるセンサ信号は、圧力センサの出力するセンサ信号そのものだけを意味しているわけではなく、圧力センサの出力するセンサ信号を検出値(デジタル信号)に変換した後のセンサ信号であってもよい。また、第2閾値は、第1閾値と同じ値であっても良いし、不感帯を設けて第1閾値よりも小さな値であってもよい。
ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数が低いと液圧検出値の位相遅れによって急なブレーキペダル操作に対して制御弁の開弁動作および閉弁動作が遅れてしまう。一方、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を、ドライバーが制御弁の作動遅れを感じない程度に高くすると、作動液の液圧の脈動に反応して制御弁の開閉ハンチングが生じることがある。
こうした問題を解決するために、本発明は、ペダル操作速度指標取得手段が、ブレーキペダルの操作速度を表す操作速度指標を取得する。そして、液圧検出手段は、操作速度指標が急操作判定閾値よりも小さい場合には、第1カットオフ周波数でローパスフィルタ処理を施した液圧検出値を取得し、操作速度指標が急操作判定閾値以上である場合には、第1カットオフ周波数よりも高い第2カットオフ周波数でローパスフィルタ処理を施した液圧検出値を取得する。従って、第1カットオフ周波数を制御弁の開閉ハンチング防止用に設定し、第1カットオフ周波数よりも高い第2カットオフ周波数を制御弁の動作遅れ防止用に設定することができる。液圧検出値を取得するにあたっては、例えば、カットオフ周波数を設定した後に、その設定したカットオフ周波数を用いてセンサ信号にローパスフィルタ処理を施しても良いし、第1カットオフ周波数と第2カットオフ周波数とを用いた2通りのローパスフィルタ処理により取得した2つの液圧検出値から何れか一方を選択するようにしてもよい。
車両保持制御によって制御弁が閉弁されている状態から、ドライバーがブレーキペダルの踏み増し操作を行った場合には、その操作途中で制御弁が開弁される。この場合、ブレーキペダルの踏み増し操作速度が高速でなければ、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数が低くても、ドライバーは、ペダル操作に対する制御弁の作動遅れを感じない。また、制御弁が開弁されている状態から、ドライバーがブレーキペダルの戻し操作を行った場合には、その操作途中で制御弁が閉弁される。この場合、ブレーキペダルの戻し操作速度が高速でなければ、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数が低くても、ホイールシリンダの液圧低下は僅かですむ。このような理由から、液圧検出手段は、操作速度指標が急操作判定閾値よりも小さい場合には、第1カットオフ周波数(<第2カットオフ周波数)でローパスフィルタ処理を施した液圧検出値を取得する。これにより、制御弁の開閉ハンチングを防止することができ、ドライバーに与える違和感を低減することができる。
一方、車両保持制御によって制御弁が閉弁されている状態から、ドライバーがブレーキペダルの踏み増し操作を高速に行った場合には、制御弁の開弁動作遅れに起因するブレーキ操作フィーリングの低下を招きやすい。また、制御弁が開弁されている状態から、ドライバーがブレーキペダルの戻し操作を高速で行った場合には、制御弁の閉弁動作遅れに起因するホイールシリンダの液圧低下が大きくなりやすい。そこで、液圧検出手段は、操作速度指標が急操作判定閾値以上である場合には、第2カットオフ周波数(>第1カットオフ周波数)でローパスフィルタ処理を施した液圧検出値を取得する。これにより、ドライバーの急なブレーキペダル操作に対する制御弁の作動遅れが低減される。従って、ブレーキペダルのストローク操作をスムーズに行うことができるとともに、ホイールシリンダの液圧の低下を抑制することができる。
この結果、本発明によれば、停車保持制御中における安定した停車保持と、ブレーキペダル操作フィーリングの向上とを両立させることができる。
本発明の一側面は、
前記ペダル操作速度指標取得手段は、前記操作速度指標として、前記液圧検出値の変化勾配の大きさ(|A|)を取得することにある。
本発明の一側面によれば、操作速度指標として液圧検出値の変化勾配の大きさを取得するため、操作速度指標を取得するための特別なセンサを必要とせず、低コストにて実施することができる。
尚、上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の各構成要件は前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係る車両のブレーキ制御装置の概略システム構成図である。 ブレーキペダルが踏み込まれたときのマスタシリンダユニットの状態を表す断面図である。 実施形態に係る停車保持制御ルーチンを表すフローチャートである。 実施形態に係るカットオフ周波数設定サブルーチンを表すフローチャートである。 停車保持制御によりホイールシリンダの液圧が保持されている状態を表す状態説明図である。 停車保持制御中にマスタシリンダユニットの作動液がホイールシリンダに供給されている状態を表す状態説明図である。
以下、本発明の一実施形態に係る車両ブレーキ制御装置について図面を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る車両のブレーキ制御装置の概略システム構成図である。
本実施形態のブレーキ制御装置は、ブレーキペダル10、ブースタ付マスタシリンダユニット20、動力液圧発生装置50、ブレーキアクチュエータ60、リザーバ80、各車輪にそれぞれ設けられるディスクブレーキユニット90FR,90FL,90RR,90RL、および、電子制御ユニット100(ECU100と呼ぶ)を備えている。
ディスクブレーキユニット90FR,90FL,90RR,90RLは、ブレーキディスク91FR,91FL,91RR,91RLとブレーキキャリパに内蔵されたホイールシリンダ92FR,92FL,92RR,92RLとを備えている。尚、車輪毎に対応して設けられる構成については、その符号の末尾に、右前輪については「FR」、左前輪については「FL」、右後輪については「RR」、左後輪については「RL」を付しているが、以下、車輪位置を特定する必要がない場合には、末尾の符号を省略する。また、前輪側と後輪側とに区分して説明する場合には、その符号の末尾に、前輪側に設けられる構成については「F」、後輪側に設けられる構成については「R」を付す。
各ホイールシリンダ92は、ブレーキアクチュエータ60に接続され、ブレーキアクチュエータ60から供給される作動液(ブレーキフルード)の液圧により、車輪と共に回転するブレーキディスク91にブレーキパッドを押し付けて車輪に制動力を付与する。
動力液圧発生装置50は、吸入配管81を介してリザーバ80から作動液を汲み上げるポンプ51と、アキュムレータ52とを備えている。アキュムレータ52は、ポンプ51により加圧された作動液の圧力エネルギーを窒素等の封入ガスの圧力エネルギーに変換して蓄える。動力液圧発生装置50は、アキュムレータ配管82を介して加圧された作動液をブースタ付マスタシリンダユニット20とブレーキアクチュエータ60とに供給する。また、動力液圧発生装置50は、アキュムレータ圧センサ101を備えている。アキュムレータ圧センサ101は、動力液圧発生装置50の供給する作動液の液圧であるアキュムレータ圧Paを検出する。
ブースタ付マスタシリンダユニット20は、アキュムレータ圧を利用してブレーキペダル10の踏み込み操作力を助勢するハイドロブースタと呼ばれるブレーキブースタをマスタシリンダと一体化したものである。
ブースタ付マスタシリンダユニット20(以下、マスタシリンダユニット20と呼ぶ)は、ブレーキペダル10の踏み込み操作に応答して増圧されたマスタシリンダ室33(後述する)内の作動液をマスタ配管83を介してブレーキアクチュエータ60に供給する。また、マスタシリンダユニット20は、増圧用に用いたブースタ室32(後述する)内の作動液をレギュレータ配管84を介してブレーキアクチュエータ60に供給する。
ブレーキアクチュエータ60は、マスタ配管83を介して作動液が供給されるマスタ通路61と、レギュレータ配管84を介して作動液が供給されるレギュレータ通路62と、アキュムレータ配管82を介して作動液が供給されるアキュムレータ通路63とを備えている。マスタ通路61とレギュレータ通路62とは、連通路64によって連通されている。アキュムレータ通路63は、レギュレータ通路62に連通している。従って、マスタ通路61は、連通路64を介してアキュムレータ通路63に連通している。
また、ブレーキアクチュエータ60は、各ホイールシリンダ92と個別配管88を介して連通する個別通路65を備えている。以下、ブレーキアクチュエータ60内における各通路において、作動液を供給する側(マスタシリンダユニット20側あるいは動力液圧発生装置50側)を上流側、作動液が供給される側(ホイールシリンダ92側)を下流側と定義する。尚、「作動液を供給する」とは、「作動液の液圧を供給する」と同じ意味を表す。
マスタ通路61には、連通路64との接続位置よりも上流側にマスタカット弁66が設けられる。レギュレータ通路62には、連通路64およびアキュムレータ通路63との接続位置よりも上流側にレギュレータカット弁67が設けられる。アキュムレータ通路63には、増圧弁68が設けられる。連通路64には、連通切替弁69が設けられる。マスタカット弁66およびレギュレータカット弁67は、非通電時に開弁状態を維持し、通電中においてのみ閉弁状態が維持される常開式の開閉弁である。増圧弁68および連通切替弁69は、非通電時に閉弁状態を維持し、通電中においてのみ開弁状態が維持される常閉式の開閉弁である。レギュレータ通路62には、レギュレータカット弁67をバイパスするチェック弁70が設けられる。チェック弁70は、レギュレータカット弁67の上流から下流への作動液の流れを許容し、上記下流から上流への作動液の流れを阻止する逆止弁である。
前輪のホイールシリンダ92Fに連通する個別通路65Fは、マスタ通路61に接続される。また、後輪のホイールシリンダ92Rに連通する個別通路65Rは、レギュレータ通路62に接続される。それぞれの個別通路65には、個別常開弁71が設けられる。個別常開弁71は、非通電時に開弁状態を維持し、通電中においてのみ閉弁状態が維持される常開式の開閉弁である。また、それぞれの個別通路65には、個別常開弁71をバイパスするチェック弁72が設けられる。チェック弁72は、個別常開弁71の上流から下流への作動液の流れを阻止し、上記下流から上流への作動液の流れを許容する逆止弁である。
各個別通路65には、個別常開弁71の下流側から個別減圧通路73が分岐して設けられる。各個別減圧通路73は、リターン通路74に接続される。リターン通路74は、リターン配管85を介してリザーバ80に連通している。各個別減圧通路73には、個別常閉弁75が設けられる。個別常閉弁75は、非通電時に閉弁状態を維持し、通電中においてのみ開弁状態が維持される常閉式の開閉弁である。
また、ブレーキアクチュエータ60は、マスタシリンダ圧センサ102、および、制御圧センサ103を備えている。マスタシリンダ圧センサ102は、レギュレータ通路62のレギュレータカット弁67よりも上流側における作動液の液圧、つまり、マスタシリンダユニット20からブレーキアクチュエータ60に供給される作動液の液圧(マスタシリンダ圧Pmと呼ぶ)を検出する。制御圧センサ103は、アキュムレータ通路63の増圧弁68よりも下流側における作動液の液圧(制御圧Pcと呼ぶ)を検出する。
マスタシリンダユニット20は、ハウジング21、オペレーティングロッド22、パワーピストン23、マスタシリンダピストン24、レギュレータピストン25、スプールバルブ26、リアクションロッド27、ゴムリアクションディスク28、第1リターンスプリング29、および、第2リターンスプリング30を備えている。オペレーティングロッド22は、ブレーキペダル10に連結されており、ブレーキペダル10の踏み込み操作に伴い軸方向に移動する。ブレーキペダル10の踏み込み操作によりオペレーティングロッド22の進む方向(図1における左方向)を圧縮方向と呼び、その反対方向、つまり、ブレーキペダル10の踏み込み操作が解除されたときにオペレーティングロッド22が戻る方向(図1における右方向)を伸長方向と呼ぶ。
ハウジング21の内部にはシリンダ31が形成されている。パワーピストン23は、オペレーティングロッド22に連結され、シリンダ31内における伸長方向側に配設されている。パワーピストン23の伸長方向側の面とシリンダ31の伸長方向側端面との間には、作動液室となるブースタ室32が形成されている。
マスタシリンダピストン24は、パワーピストン23の圧縮方向側に当接して設けられる。マスタシリンダピストン24より圧縮方向側には、レギュレータピストン25が配設されている。マスタシリンダピストン24とレギュレータピストン25との間には、両者を離間させる方向に付勢する第1リターンスプリング29(コイルスプリング)が設けられている。マスタシリンダピストン24とレギュレータピストン25との間には、マスタシリンダ室33が形成される。
レギュレータピストン25の圧縮方向側には、レギュレータピストン25を伸長方向に付勢する第2リターンスプリング30(コイルスプリング)が設けられている。第2リターンスプリング30は、第1リターンスプリング29に比べてバネ定数が小さく設定されている。レギュレータピストン25の圧縮方向側には、スプールバルブ26が取り付けられている。
ハウジング21には、マスタシリンダピストン24の外周面とシリンダ31との間に形成される液室に連通するリザーバ通路34が形成されている。リザーバ通路34は、リザーバ配管86を介してリザーバ80に接続されている。また、ハウジング21には、レギュレータピストン25より圧縮方向側の液室に連通するアキュムレータ通路35と、上記液室にアキュムレータ通路35よりも圧縮方向側で連通するリザーバ通路36とが形成されている。アキュムレータ通路35は、アキュムレータ配管82に接続されている。リザーバ通路36は、リザーバ配管86に接続されている。レギュレータピストン25の圧縮方向側の面に臨む液室をレギュレータ室37と呼ぶ。尚、図中において、符号87は、アキュムレータ配管82内が過剰圧となった場合に、アキュムレータ配管82内の作動液をリザーバ配管86に逃がして減圧するリリーフバルブを表している。
また、ハウジング21には、レギュレータ室37とブースタ室32とを連通するブースタ入力通路38、および、ブースタ室32とレギュレータ配管84とを接続するブースタ出力通路39が形成されている。
マスタシリンダユニット20は、ブレーキペダル10が踏み込まれていないときは、第2リターンスプリング30の付勢力によってマスタシリンダピストン24、レギュレータピストン25、および、スプールバルブ26が伸長方向に移動した状態に維持される。この状態を初期状態と呼ぶ。初期状態においては、レギュレータ室37は、スプールバルブ26によってアキュムレータ通路35との連通が阻止され、リザーバ通路36と連通した状態となる。
ブレーキペダル10が踏み込まれると、第1リターンスプリング29のバネ定数が第2リターンスプリング30のバネ定数よりも大きく設定されているため、マスタシリンダ室33が圧縮されるよりも先にレギュレータピストン25が圧縮方向に押され、スプールバルブ26が圧縮方向に移動する。これによって、図2に示すように、レギュレータ室37は、アキュムレータ通路35と連通され、かつ、リザーバ通路36との連通が阻止された状態となる。
レギュレータ室37とアキュムレータ通路35とが連通すると、アキュムレータ52とブースタ室32とがブースタ入力通路38を介して連通して、ブースタ室32の液圧が増圧される。これによってパワーピストン23の背面に働く圧力が増加し、ブレーキペダル10の踏み込み操作力が助勢される。第2リターンスプリング30は、初期状態から所定距離だけ圧縮方向に移動すると、シリンダ31に設けられた係止部(図示略)によって圧縮方向への移動が規制される。このため、マスタシリンダピストン24が圧縮方向へ移動することでレギュレータピストン25とマスタシリンダピストン24との距離が縮まり、マスタシリンダ室33が圧縮される。これにより、ブレーキペダル10の踏み込み操作力に応じた液圧の作動液がマスタシリンダ室33からマスタ配管83に供給される。また、同時に、ブースタ室32からレギュレータ配管84に作動液が供給される。このレギュレータ配管84に供給される作動液の液圧もブレーキペダル10の踏み込み操作力に応じた液圧になる。
従って、このマスタシリンダユニット20は、ブレーキペダル10に入力された踏み込み操作力により作動液を加圧する本発明の踏力作動液加圧装置に相当する。
ECU100は、各種の演算処理を行うマイコン、動力液圧発生装置50を駆動するポンプ駆動回路、ブレーキアクチュエータ60に設けられた各種の開閉弁(電磁弁)を駆動する電磁弁駆動回路、各種のセンサ信号を入力するインターフェース等を備えている。ECU100は、アキュムレータ圧センサ101、マスタシリンダ圧センサ102、制御圧センサ103、車輪速センサ104、アクセルペダルセンサ105、加速度センサ106、および、ミリ波レーダーセンサ107を接続し、これらのセンサ101〜107から出力された検出信号を入力する。
車輪速センサ104は、各車輪の回転速度である車輪速を表す検出信号を出力する。アクセルペダルセンサ105は、アクセルペダル(図示略)の踏み込み操作量を表す検出信号を出力する。加速度センサ106は、車体に働く加速度を表す検出信号を出力する。本実施形態においては、加速度センサ106は、車体に働く重力加速度の方向に基づいて、車両の停車している路面の前後方向の傾斜角度(=車体の前後方向の傾斜角度)を推定するために用いられるが、車両の挙動を検出するための加速度センサを兼用することができる。ミリ波レーダーセンサ107は、レーダークルーズコントロールの実行時に使用されるもので、先行車と自車との車間距離を表す検出信号を出力する。
ECU100は、これらのセンサ101〜107から出力される検出信号(例えば、電圧信号)をデジタル値である検出値に変換し、その検出値にローパスフィルタ処理を施すことにより、検出値から高周波ノイズを除去する。あるいは、検出信号にローパスフィルタ処理を施した後にデジタル信号である検出値に変換する。
ECU100は、通常時においては、ブレーキペダル操作の有無に関係なく、ブレーキアクチュエータ60の各弁を非通電状態に維持するとともに、アキュムレータ圧センサ101により検出されるアキュムレータ圧Paが基準圧力範囲に維持されるようにポンプ51を駆動制御する。ドライバーがブレーキペダル10の踏み込み操作を行ったときには、マスタシリンダユニット20から前輪と後輪との2系統に分けてホイールシリンダ92に作動液が供給される。これにより、ドライバーのブレーキペダル10の踏み込み操作に応じた制動力が車輪に発生する。
また、ECU100は、車輪速センサ104により車速(車体速度)を演算するとともに、車輪速と車速とから演算されるスリップ率に基づいて、制動時の車輪のロック傾向の有無を判定し、ロック傾向を検出した場合にはアンチロック制御を実施する。この場合、ECU100は、個別常開弁71、および、個別常閉弁75の開閉を制御してホイールシリンダ圧を一時的に低下させる。
また、ECU100は、ブレーキペダル10の踏み込み操作が行われていないときに制動力を発生させる必要が生じた場合には、自動ブレーキ制御を実施する。例えば、レーダークルーズコントロールの実施中に、ミリ波レーダーセンサ107により先行車両の接近を検出して車両を減速させる必要が生じた場合には、マスタカット弁66、および、レギュレータカット弁67を閉弁し連通切替弁69を開弁状態する。ECU100は、この状態で、制御圧センサ103により検出される制御圧Pcと目標ホイールシリンダ圧とを比較し、制御圧Pcが目標ホイールシリンダ圧に達するように増圧弁68を開弁させる。自動ブレーキ制御中にホイールシリンダ92の液圧を下げる場合には、ECU100は、レギュレータカット弁67を開弁してホイールシリンダ92とリザーバ80とを連通させる。
また、ECU100は、停車中にブレーキペダル10への踏み込み操作入力が無くなっても、ホイールシリンダ92への液圧供給状態を保持する停車保持制御を実施する。以下、ECU100の実施する停車保持制御について説明する。図3は、ECU100の実施する停車保持制御ルーチンを表す。
ECU100は、ステップS11において、停車保持制御の開始条件が成立したか否かを判断する。停車保持制御の開始条件は、ブレーキペダル10の踏み込み操作によって車速がゼロにまで低下したときに成立する。ECU100は、所定の短い演算周期で、マスタシリンダ圧センサ102により検出されるマスタシリンダ圧Pm、および、車輪速センサ104により検出される車輪速から演算される車速を読み込んで、上記の開始条件の成立判断を繰り返す。
ECU100は、開始条件が成立したと判断すると、ステップS12において、停車保持制御を開始する。停車保持制御は、マスタカット弁66とレギュレータカット弁67とを閉弁させることにより開始される。この場合、車速がゼロになったタイミングで両カット弁66,67を閉弁させると、そのときにホイールシリンダ92に供給されている作動液の液圧が高すぎる場合がある。そこで、ECU100は、開始条件が成立した場合、マスタシリンダ圧Pmが設定圧P*に低下するまで待機し、マスタシリンダ圧Pmが設定圧P*以下になったこと検出したタイミングでマスタカット弁66とレギュレータカット弁67とを閉弁させる。これにより、図5に太線により示すように、4輪のホイールシリンダ92の液圧が一定圧に保持されて、ドライバーがブレーキペダル10の踏み込み操作力を緩めても停車状態を維持することができる。
尚、設定圧P*は、車体を停止保持するために必要な液圧に設定されている。車体を停止保持するために必要なホイールシリンダ圧は、路面の前後方向の傾斜角度によって異なる。そこで、ECU100は、加速度センサ106により検出される重力加速度方向に基づいて路面の前後方向の傾斜角度を推定し、この傾斜角度に応じた設定圧P*を演算する。
続いて、ECU100は、ステップS20において、カットオフ周波数設定・液圧検出処理を実施して、マスタシリンダ圧Pmを取得する。このカットオフ周波数設定・液圧検出処理については後述する。尚、ステップS11,S12においてもマスタシリンダ圧Pmを取得する処理が含まれているが、ステップS20における処理では、マスタシリンダ圧Pmを取得する際に実施するローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を選択する点で、ステップS11,S12と相違する。
ECU100は、ステップS20においてマスタシリンダ圧Pmを取得すると、続くステップS31において、マスタシリンダ圧Pmが設定圧P*よりも大きいか否かを判断する。停車保持制御が開始された後にドライバーがブレーキペダル10の踏み増しを行わない間は、マスタシリンダ圧Pmが設定圧P*よりも大きくならない。従って、ドライバーがブレーキペダル10の踏み込み操作力を保持あるいは緩めている場合には、「No」と判定される。この場合、ECU100は、ステップS32において、マスタカット弁66とレギュレータカット弁67とを閉弁させる。この処理が最初に行われるときには、マスタカット弁66とレギュレータカット弁67とは、既にステップS12で閉弁されている。従って、この場合、両カット弁66,67の閉弁状態が維持される。
続いて、ECU100は、ステップS34において、停車保持制御の終了条件が成立したか否かを判断する。停車保持制御の終了条件は、アクセル操作が検出されたときに成立する。ECU100は、アクセルペダルセンサ105により検出されるアクセル操作量を読み込んで終了条件の成立を判断する。尚、図示しないシフトレーバーがパーキング位置にセットされることを停車保持制御の終了条件に加えても良い。
ECU100は、停車保持制御の終了条件が成立しない場合(S34:No)には、その処理をステップS20に戻して、上述した処理を繰り返す。ステップS20〜ステップS34のループ処理は、所定の演算周期にて実施される。こうした処理が繰り返されているときに、ドライバーがブレーキペダル10を踏み込んでマスタシリンダ圧Pmが設定圧P*よりも大きくなると(S31:Yes)、ECU100は、ステップS33において、マスタカット弁66とレギュレータカット弁67とを開弁させる。これにより、図6に太線により示すように、マスタシリンダユニット20の作動液がホイールシリンダ92に供給されて、ブレーキペダル10がスムーズにストロークする。
ECU100は、ステップS33においてマスタカット弁66とレギュレータカット弁67とを開弁させると、その処理をステップS34に進めて、上述した処理を繰り返す。従って、マスタシリンダ圧Pmが設定圧P*を上回っている間は、マスタカット弁66とレギュレータカット弁67とが開弁状態に維持される。そして、ドライバーがブレーキペダル10の踏み込み操作力を緩めて、マスタシリンダ圧Pmが設定圧P*以下になると(S31:No)、ECU100は、その処理をステップS32に進めてマスタカット弁66とレギュレータカット弁67と閉弁させる。
ECU100は、停車保持制御の終了条件が成立するまで上述した処理を繰り返す。そして、停車保持制御の終了条件が成立すると、ステップS35において、マスタカット弁66とレギュレータカット弁67とを開弁させて、停車保持制御を終了する。
停車保持制御によれば、停車保持制御が開始されてマスタカット弁66とレギュレータカット弁67とが閉弁されている状態で、マスタシリンダ圧Pmが設定圧P*より大きくなった場合には、マスタカット弁66とレギュレータカット弁67とが開弁される。このため、ドライバーがブレーキペダル10を踏み増してもブレーキペダル10をストロークさせることができる。また、マスタカット弁66とレギュレータカット弁67とが開弁された後、マスタシリンダ圧Pmが設定圧P*以下になった場合にはマスタカット弁66とレギュレータカット弁67とが再閉弁される。このため、ホイールシリンダ92の液圧を保持することができる。従って、ブレーキアクチュエータ60がストロークシミュレータのような液圧吸収装置を備えていない構成であっても、ブレーキペダル10をストロークさせながら停車保持制御を実施することができる。
こうした停車保持制御中においては、マスタシリンダ圧センサ102の出力するセンサ信号にローパスフィルタ処理を施すことによって高周波ノイズの除去された液圧検出値Pmが取得される。しかし、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数が低いと液圧検出値の位相遅れによって急なブレーキペダル操作に対してカット弁66,67の開弁動作および閉弁動作が遅れてしまう。一方、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を、ドライバーがカット弁66,67の作動遅れを感じない程度に高くすると、作動液の液圧の脈動に反応してカット弁66,67の開閉ハンチングを生じることがある。
そこで、停車保持制御ルーチンには、ステップS20の処理としてカットオフ周波数設定・液圧検出処理が組み込まれている。カットオフ周波数設定・液圧検出処理は、所定の演算周期にて繰り返し実施される。以下、カットオフ周波数設定・液圧検出処理について説明する。図4は、カットオフ周波数設定・液圧検出サブルーチンを表す。ECU100は、ステップS21において、マスタシリンダ圧センサ102から出力されるセンサ信号(電圧信号)をデジタル値に変換し、そのデジタル値に対して2通りのカットオフ周波数(第1カットオフ周波数fc1,第2カットオフ周波数fc2)を使ってローパスフィルタ処理を施して、2つの液圧検出値Pmfc1,Pmfc2を算出する。つまり、センサ信号のデジタル値を第1カットオフ周波数fc1にてローパスフィルタ処理を施した第1液圧検出値Pmfc1と、センサ信号のデジタル値を第2カットオフ周波数fc2にてローパスフィルタ処理を施した第2液圧検出値Pmfc2とを算出する。
ローパスフィルタ処理は、例えば、次式の伝達関数H(s)を用いて、検出値から高周波ノイズ成分を除去する。
H(s)=K・(1/(1+sτ))
ここで、sはラプラス演算子であり、τはフィルタの時定数、Kは通過域のゲインである。カットオフ周波数は、(1/2πτ)として表され、時定数τの逆数に比例する。
第1カットオフ周波数fc1は、液圧の脈動によってカット弁66,67が開閉ハンチングしないレベルに設定されている。第2カットオフ周波数fc2は、急なブレーキペダル操作が行われたときであってもカット弁66,67の開弁動作の遅れをドライバーに感じさせなく、かつ、カット弁66,67の閉弁動作の遅れに起因するホイールシリンダ92の液圧の低下を許容範囲内に抑えることのできるレベルに設定されている。この場合、第1カットオフ周波数fc1は,第2カットオフ周波数fc2に比べて低く設定される。
続いて、ECU100は、ステップS22において、マスタシリンダ圧Pmの変化勾配A(単位時間当たりのマスタシリンダ圧Pmの変化量)を演算する。ECU100は、直近の複数回の演算時に算出したマスタシリンダ圧Pm(後述するステップS24又はステップS25にて演算されるマスタシリンダ圧Pm)を使って変化勾配Aを演算する。例えば、直前回の演算時に算出したマスタシリンダ圧Pm(n-1)と、それよりもm回前の演算時(m×演算周期だけ前)に算出したマスタシリンダ圧Pm(n-1-m)を抽出し、マスタシリンダ圧Pm(n-1)のマスタシリンダ圧Pm(n-1-m)に対する変化量を算出する。また、1つの変化量だけで変化勾配Aを求めると誤差を含みやすいため、1演算周期ずつずらしたs個分の変化量を求め、このs個分の変化量の平均値からマスタシリンダ圧Pmの変化勾配Aを算出する。例えば、3個分の変化量を用いて演算する場合(s=3)には、第1変化量ΔA1=Pm(n-1)−Pm(n-1-m)、第2変化量ΔA2=Pm(n-2)−Pm(n-2-m)、第3変化量ΔA3=Pm(n-3)−Pm(n-3-m)を算出して、その3つの変化量の平均値((ΔA1+ΔA2+ΔA3)/3)を(m×演算周期)で除算した演算結果を変化勾配Aとすればよい。尚、マスタシリンダ圧Pmの変化勾配Aを算出するにあたっては、ステップS21で算出した液圧検出値Pmfc1,Pmfc2の何れを用いても良い。
マスタシリンダ圧Pmは、ブレーキペダル10の踏み込み操作力に相当する値を示すため、変化勾配Aは、ブレーキペダル10の操作速度を表す指標として使用することができる。
続いて、ECU100は、ステップS23において、変化勾配Aの大きさ(|A|)が基準勾配Arefよりも小さいか否かについて判断する。この基準勾配Arefは、ドライバーの行ったブレーキペダル操作が速い操作なのか否かを判定する急操作判定閾値である。ECU100は、変化勾配Aの大きさ(|A|)(以下、変化勾配|A|と呼ぶ)が基準勾配Arefよりも小さい場合には(S23:Yes)、ステップS24において、第1液圧検出値Pmfc1を今回の演算時におけるマスタシリンダ圧Pmに設定する(Pm←Pmfc1)。逆に、変化勾配|A|が基準勾配Aref以上である場合には(S23:No)、ECU100は、ステップS25において、第2液圧検出値Pmfc2を今回の演算時におけるマスタシリンダ圧Pmに設定する(Pm←Pmfc2)。
ECU100は、ステップS24あるいはステップS25においてマスタシリンダ圧Pmを設定すると、その処理をメインルーチン(図3)のステップS31に進めて上述した処理を実施する。
以上説明した本実施形態の車両のブレーキ制御装置によれば、以下の作用・効果を奏する。
1.停車保持制御が開始された後、マスタシリンダ圧Pmが設定圧P*より大きくなった場合には、マスタカット弁66とレギュレータカット弁67とが開弁され、その後、マスタシリンダ圧Pmが設定圧P*以下になった場合には、マスタカット弁66とレギュレータカット弁67とが閉弁される。このため、ブレーキアクチュエータ60がストロークシミュレータのような液圧吸収装置を備えていない構成であっても、ブレーキペダル10をストロークさせながらホイールシリンダ92の液圧を適正に保持することができる。
2.停車保持制御中においては、2通りのカットオフ周波数fc1,fc2を用いたローパスフィルタ処理により2通りの液圧検出値Pmfc1,Pmfc2が演算され、マスタシリンダ圧Pmの変化勾配|A|が基準勾配Arefより小さい場合、つまり、ブレーキペダル10の操作速度が速くない場合には、第1カットオフ周波数fc1を用いて演算された液圧検出値Pmfc1がマスタシリンダ圧Pmとして設定される。従って、液圧制御(S31〜S33)によるカット弁66,67の開閉ハンチングを防止することができる。また、通常の操作速度でブレーキペダル10の踏み増し操作が行われた場合には、ドライバーにとってカット弁66,67の開弁遅れを感じにくい。つまり、ブレーキペダル10をスムーズにストロークさせることができ、ペダル操作フィーリングの低下を招かない。また、通常の操作速度でブレーキペダル10の戻し操作が行われた場合には、カット弁66,67の閉弁動作の応答遅れに起因するホイールシリンダ92の液圧低下をほとんど招かない。
3.マスタシリンダ圧Pmの変化勾配|A|が基準勾配Aref以上となる場合、つまり、ブレーキペダル操作速度が速い場合には、第2カットオフ周波数fc2を用いて演算された液圧検出値Pmfc2がマスタシリンダ圧Pmとして設定される。従って、ドライバーが急にブレーキペダル10の踏み増し操作を行った場合には、その操作に対するカット弁66,67の開弁応答を速くすることができる。このため、ブレーキペダル10をスムーズにストロークさせることができ、ペダル操作フィーリングの低下を招かない。また、カット弁66,67が開弁されている状態で、ドライバーが急にブレーキペダル10の戻し操作を行った場合には、その操作に対するカット弁66,67の閉弁応答を速くすることができる。従って、ホイールシリンダ92の液圧低下を抑えることができる。
4.これらの結果、停車保持制御中における安定した停車保持と、ブレーキペダル操作フィーリングの向上とを両立させることができる。
5.マスタシリンダ圧センサ102を利用してブレーキペダル10の操作速度を判定できるため、ブレーキペダル10のストロークを検出するストロークセンサを必要とせず、低コストにて実施することができる。
以上、本実施形態の車両のブレーキ制御装置について説明したが、本発明は上記実施形態および変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態においては、アキュムレータ圧を利用してブレーキペダル10の踏み込み操作力を助勢するハイドロブースタ方式のマスタシリンダユニット20を備えているが、本発明は、必ずしも、操作力を助勢するブースタ機能を備えている必要はない。また、本実施形態においては、マスタシリンダユニット20の供給する作動液の液圧をレギュレータ通路62に設けたマスタシリンダ圧センサ102により検出しているが、液圧センサをマスタ通路61に設け、マスタ通路61の液圧を検出する構成であってもよい。
また、本実施形態においては、停車保持制御を行う場合、前輪と後輪との両方のホイールシリンダ92への液圧供給状態を保持するようにしているが、前輪または後輪のホイールシリンダ92への液圧供給状態を保持するようにしてもよい。
また、本実施形態においては、マスタシリンダ圧センサ102を利用してブレーキペダル10の操作速度を判定しているが、例えば、ブレーキペダル10のストロークを検出するストロークセンサを設け、ストロークセンサにより検出されるストローク位置の微分値を使って操作速度を判定する構成であってもよい。
また、本実施形態においては、2通りのカットオフ周波数を用いたローパスフィルタ処理により2つの液圧検出値(Pmfc1,Pmfc2)を演算しておき、ブレーキペダル操作速度に応じて液圧検出値を選択する構成であるが、ブレーキペダル操作速度に応じたカットオフ周波数を設定したのちに、設定したカットオフ周波数を用いてローパスフィルタ処理を行う構成であってもよい。また、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数は、2通りに限るものではなく、複数通りであればよい。
また、ステップS11,S12においてマスタシリンダ圧Pm(液圧検出値)を演算する場合、第1カットオフ周波数fc1と第2カットオフ周波数fc2との何れを用いても良いし、それらとは異なる別に設定したカットオフ周波数を用いてもよい。
また、ローパスフィルタ処理については、種々の手法を採用することができる。
また、本実施形態においては、マスタカット弁66とレギュレータカット弁67とを開閉させるための閾値である設定圧P*を、開弁用と閉弁用とで同一の値としているが、不感帯を設けて、開弁用の設定圧P*1(本発明の第1閾値)と閉弁用の設定圧P*2(本発明の第2閾値)とを異なるようにしてもよい(P*1>P*2)。
10…ブレーキペダル、20…ブースタ付マスタシリンダユニット、24…マスタシリンダピストン、25…レギュレータピストン、26…スプールバルブ、32…ブースタ室、33…マスタシリンダ室、37…レギュレータ室、38…ブースタ入力通路、39…ブースタ出力通路、50…動力液圧発生装置、51…ポンプ、52…アキュムレータ、60…ブレーキアクチュエータ、61…マスタ通路、62…レギュレータ通路、63…アキュムレータ通路、64…連通路、65…個別通路、66…マスタカット弁、67…レギュレータカット弁、68…増圧弁、69…連通切替弁、71…個別常開弁、73…個別減圧通路、74…リターン通路、75…個別常閉弁、80…リザーバ、92…ホイールシリンダ、101…アキュムレータ圧センサ、102…マスタシリンダ圧センサ、103…制御圧センサ、104…車輪速センサ、105…アクセルペダルセンサ、100…電子制御ユニット(ECU)。

Claims (2)

  1. 車輪に設けられ作動液の液圧を受けて前記車輪に制動力を与えるホイールシリンダと、
    ブレーキペダルに入力された踏み込み操作力により作動液を加圧する踏力作動液加圧装置と、
    前記踏力作動液加圧装置と前記ホイールシリンダとを連結する作動液流路に設けられ、前記作動液流路を開閉制御可能な制御弁と、
    停車中に前記踏力作動液加圧装置から前記ホイールシリンダへ液圧が供給されている状態で前記制御弁を閉弁させることにより、前記ブレーキペダルへの踏み込み操作入力が無くなっても、前記ホイールシリンダへの液圧供給状態を保持する停車保持制御を実施する停車保持制御手段と
    を備えた車両のブレーキ制御装置において、
    前記停車保持制御手段は、
    前記踏力作動液加圧装置によって加圧された作動液の液圧を検出する圧力センサを備え、前記圧力センサの出力するセンサ信号にローパスフィルタ処理を施して液圧検出値を取得する液圧検出手段と、
    前記停車保持制御中に、前記液圧検出手段の取得した液圧検出値が第1閾値よりも大きくなった場合に前記制御弁を開弁させ、その後、前記液圧検出値が第2閾値以下にまで低下した場合に前記制御弁を閉弁させる開閉制御手段と、
    前記ブレーキペダルの操作速度を表す操作速度指標を取得するペダル操作速度指標取得手段とを備え、
    前記液圧検出手段は、前記操作速度指標が急操作判定閾値よりも小さい場合には、第1カットオフ周波数でローパスフィルタ処理を施した液圧検出値を取得し、前記操作速度指標が前記急操作判定閾値以上である場合には、前記第1カットオフ周波数よりも高い第2カットオフ周波数でローパスフィルタ処理を施した液圧検出値を取得する、車両のブレーキ制御装置。
  2. 請求項1記載の車両のブレーキ制御装置において、
    前記ペダル操作速度指標取得手段は、前記操作速度指標として、前記液圧検出値の変化勾配の大きさを取得する、車両のブレーキ制御装置。
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