JP2015168254A - 加飾用貼布、加飾物品及び加飾用貼布の製造方法 - Google Patents

加飾用貼布、加飾物品及び加飾用貼布の製造方法 Download PDF

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道憲 藤澤
Michinori Fujisawa
道憲 藤澤
公輔 横山
Kosuke Yokoyama
公輔 横山
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Abstract

【課題】物品表面に貼り合せられる人工皮革や合成皮革等の皮革様シートを加飾層として備えた加飾用貼布において、物品に貼り合せたときの端面の外観品位を向上させる技術を提供する。
【解決手段】物品の表面に貼り合せられる加飾用貼布であって、皮革様シートと皮革様シートの物品の表面に貼り合せられる側の面に形成された粘接着層とを備え、上面視したときに粘接着層の端部を隠すように、皮革様シートの表面を基準とした垂直面に対して10度以上の角度を保持して切断された切断面を有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、物品の表面に貼り合わされて、その物品に皮革様の外観を付与するための加飾用貼布に関する。
カメラ,モバイル機器,携帯電話,家電製品の筐体や、車両,航空機等の内装部品、建材,家具等の外装部材として皮革様の外観に加飾された加飾部材が知られている。例えば、下記特許文献1は、少なくとも外面の一部に天然又は人造皮革又はフィルムを貼り付けてあるカメラ用保持具を開示する。
登録実用新案第3185757号公報
皮革調の外観を有する加飾用貼布を物品に貼り合せる方法について、図6〜図8を参照して説明する。
図6は皮革調の外観を有する加飾用貼布20の部分断面模式図である。図6に示すように、加飾用貼布20は、繊維基材1と繊維基材1に積層されて加飾面を形成する表面樹脂層2と、繊維基材1を物品に貼り合せるための粘接着層4とを備える。
図7は加飾用貼布20を物品である筐体30に貼り合せる様子を説明するための模式図である。筐体30は、加飾用貼布20が貼り合せられる領域である貼合面30aと、加飾用貼布20が貼り合せられない領域である非貼合面30bとを備える表面を有する。筐体30においては、加飾用貼布20を貼り合せたときに形成される段差を解消するために、貼合面30aが非貼合面30bよりも加飾用貼布20の厚み分だけ低くなるように段差を付けて形成されている。
図7(a)に示すように、筐体30の所定の貼合面30aに加飾用貼布20を正確に手6で位置合わせしながら貼り合せることにより、図7(b)に示すような加飾筐体50が得られる。加飾用貼布20は、貼合面30aに手6で位置合わせしながら貼り合せる際の一定範囲の貼りズレを許容するクリアランスを維持するために、貼合面30aの外形の輪郭よりも、その外形がわずかに小さく形成されている。
図8は、図7(b)の加飾筐体50のVIII−VIII'断面を示す部分断面模式図である。図8に示すように、加飾筐体50に貼り合わされた加飾用貼布20の端面E'と非貼合面30bの壁面との間には、通常、わずかな隙間が形成されるために、端面E'は外部に露出している。端面E'は角度βの視野範囲で外部から視認される。
露出した端面E'は、繊維基材1の端面と表面樹脂層2の端面と粘接着層4の端面から形成されており、各層の色調や風合いは互いに異なる。そのために、視認される、繊維基材と樹脂層と粘接着層との積層構造からなる端面の外観は、品位が低いという問題があった。また、加飾用貼布が原反からレーザーカットにより切り出されて整形されたものである場合には、レーザーカットによる焦げや溶融して変形された部分が端面に形成され、そのような端面の状態もそのまま視認されることによっても外観品位が低下するという問題があった。
本発明は、物品表面に貼り合せられる人工皮革や合成皮革等の皮革様シートを加飾層として備えた加飾用貼布において、物品に貼り合せたときの端面の外観品位を向上させる技術を提供することを目的とする。
本発明の一局面は、物品の表面に貼り合せられる加飾用貼布であって、皮革様シートと皮革様シートの物品の表面に貼り合せられる側の面に形成された粘接着層とを備え、上面視したときに粘接着層の端部を隠すように、皮革様シートの表面を基準とした垂直面に対して10度以上の角度を保持して切断された切断面を有すること、また、切断面が、レーザーカットされた切断面であることが好ましい。
また、本発明の他の一局面は、物品の表面に、上述した加飾用貼布を貼り合せて形成された加飾物品である。また、物品としては、その表面に、加飾用貼布が貼り合せられる領域である貼合面と、貼合面に隣接する加飾用貼布が貼り合せられない領域である非貼合面とを有し、貼合面は、非貼合面よりも加飾用貼布の厚み分だけ低くなるように段差を付けて形成されている物品であることが好ましい。
また、本発明の他の一局面は、皮革様シートの一面に粘接着層を積層して形成された加飾用貼布原反を準備する工程と、加飾用貼布原反を所定の形状の加飾用貼布に整形するためにレーザーカットする工程とを備え、レーザーカットする工程は、加飾用貼布の原反を、前記皮革様シートの側から上面視したときに前記粘接着層の端部を隠すように、前記皮革様シートの表面を基準とした垂直面に対して少なくとも10度以上の角度を保持してレーザーを照射することによりカットする工程である加飾用貼布の製造方法である。
本発明によれば、物品表面に皮革様シートを加飾層として備えた加飾用貼布を貼り合せて得られる加飾物品において、加飾用貼布の端面の外観品位を向上させることができる。
図1は、実施形態の加飾用貼布10の部分断面模式図である。 図2は、加飾用貼布10を筐体30に貼り合せる様子を説明する模式図である。 図3は、図2(b)の加飾筐体40のIII−III'断面を示す部分断面模式図である。 図4は、加飾筐体の変形例の断面を示す部分断面模式図である。 図5は、加飾用貼布の製造方法を説明する説明図である。 図6は、従来の加飾用貼布20の部分断面模式図である。 図7は、加飾用貼布20を筐体30に貼り合せる様子を説明する模式図である。 図8は、図7(b)の加飾筐体50のVIII−VIII'断面を示す部分断面模式図である。
本発明に係る物品表面に貼り合せられる加飾用貼布(以下単に加飾用貼布とも称する)、加飾物品及び加飾用貼布の製造方法の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の加飾用貼布10の部分断面模式図である。加飾用貼布10は、繊維基材1とその一面に積層された表面樹脂層2とを備える人工皮革である皮革様シート3と、繊維基材1の他の一面に積層された粘接着層4とを備える。図1に示しように、加飾用貼布10は、粘接着層4の端部に対して、上面視したときに粘接着層4の端部を隠すように、皮革様シート3の表面を基準とした垂直面Axに対して10度以上の角度を保持して切断された切断面Eを有する。加飾用貼布10においては、端面Eは、皮革様シート3の表面を基準とした垂直面Axに対して10度以上の角度αを保持するように斜め方向に切断されている。
図2は加飾用貼布を物品である筐体30に貼り合せる様子を説明するための模式図である。筐体30は、加飾用貼布10が貼り合せられる領域である貼合面30aと、加飾用貼布10が貼り合せられない領域である非貼合面30bとを備える表面を有する。貼合面30aは、加飾用貼布10を貼り合せたときに形成される段差を解消するために、非貼合面30bよりも加飾用貼布10の厚み分だけ低くなるように段差を付けて形成されている。
図2(a)に示すように、筐体30の所定の貼合面30aに加飾用貼布10を正確に手貼りして貼り合せることにより、図2(b)に示すような加飾筐体40が得られる。なお、加飾用貼布10を貼合面30aに手6で位置合わせして貼り合せる際の一定範囲の貼りズレを許容するために、加飾用貼布10は、通常、端部にクリアランスを維持するために、貼合面30aの外形の輪郭よりもわずかに小さく形成されている。
図3は、図2(b)の加飾筐体40のIII−III'断面を示す部分断面模式図である。図3に示すように、筐体30に貼り合わされた加飾用貼布10の端面Eは皮革様シート3の表面を基準とした垂直面Axに対して10度以上の角度αを保持するように斜め方向に切断されている。そのために、皮革様シート3を貼り合わされた面の上方から加飾筐体40を見たときに端面Eは視認されず、加飾面である表面樹脂層2のみが視認される。そのために、加飾用貼布10の切断面に存在する、繊維基材1や粘接着層4の端面、レーザーカットにより生じる端面の焦げが視認されにくくなる。その結果、加飾用貼布が貼り合せられた加飾筐体の外観品位が向上する。
図4は、図2(b)の加飾筐体40の変形例の断面を示す部分断面模式図である。図4(a)は、加飾用貼布10が貼り合せられる領域である貼合面31aと、加飾用貼布10が貼り合せられない領域である非貼合面31bとを備える表面を有する筐体31を用いた例である。筐体31においては、貼合面31aと非貼合面31bとを接続する壁面が、加飾用貼布10の端面Eの傾斜に沿って傾斜を保持するように形成されている。このような壁面を形成することにより、端面が外部から、さらに視認されにくくなる。
また、図4(b)は、貼合面と非貼合面との間に段差のない筐体32を用いた例である。筐体32においては、貼合面と非貼合面との間に段差がない。このような筐体32を用いた場合であっても、端面を所定の角度αを保持するように形成することにより、端面が外部から視認されにくくなる。
加飾用貼布の端面における、皮革様シートの表面を基準とした垂直面に対する角度αとしては、10度以上、さらには30度以上、とくには40度以上であることが端面が外部からより視認しにくくなる点から好ましい。角度αの上限は、60度、さらには75度程度であることが加工性の点から好ましい。
次に、本実施形態の加飾用貼布の製造方法の一例について図5を参照して説明する。図5中、100はレーザーカット装置である。レーザーカット装置100は、YAGレーザーやファイバーレーザー等のレーザーを発するレーザー発振部101と、発せられたレーザーを集束する集束レンズを備え、集束されたレーザー103を所定の切断経路に沿ってx−y平面を移動しながら照射するレーザーヘッド102とを備える。また、105はテーブルであり、テーブル上に加飾用貼布の原反110が載置されている。加飾用貼布の原反110は、繊維基材1と、繊維基材1の一面に積層形成された表面樹脂層2とを有する皮革様シート3と、繊維基材1の他の一面に積層形成された粘接着層4とを備える。
図5に示すように、本実施形態の加飾用貼布の製造においては、加飾用貼布の原反110を目的とする加飾用貼布の形状に整形するために、テーブル105の表面に皮革様シート3の表面層2が面するように原反110が配置される。また、レーザーヘッド102は、粘接着層4の側からテーブル105の表面を基準とした垂直面Axに対して所定の角度αを保持してレーザー103が照射されるように、傾斜を持って位置決めされる。このとき、粘接着層4の側がレーザーヘッド102に対向する。
そして、レーザーカット装置100から、加飾用貼布の原反110の切断箇所に対して、所定の角度αを保持して所定の切断経路に沿って移動させながらレーザーヘッド102からレーザー103を照射することにより、原反110は目的とする形状の加飾用貼布に整形される。このようにして原反110の粘接着層4の側から所定の角度αを保持してレーザー103を照射することにより、図1に示したような、粘接着層4の端部を隠すように、皮革様シート3の表面を基準とした垂直面Axに対して10度以上の角度αを保持するように斜め方向に切断された切断面Eを有する加飾用貼布10が得られる。
次に、加飾用貼布の構成について詳しく説明する。加飾用貼布は加飾面を有する皮革様シートと、皮革様シートを物品表面に貼り合せるための粘接着層を備える。
皮革様シートとしては、人工皮革や合成皮革のような皮革に似せたシート基材が用いられる。人工皮革は皮革の銀面の外観に似せた銀面調の表面樹脂層や、表面の繊維が起毛処理されたスェード調またはヌバック調の加飾面を有する。人工皮革は、例えば、ポリウレタン等の高分子弾性体を含浸付与した繊維基材を含む。このような繊維基材の表面に皮革の銀面の外観に似せた銀面調の表面樹脂層を積層することにより銀面調の加飾面を有する人工皮革が得られる。また、繊維基材の表面の繊維を起毛処理することにより、スェード調またはヌバック調の加飾面を有する人工皮革が得られる。また、合成皮革は、織物の表面に厚みのある軟質塩化ビニル等を主体とする弾性層を積層して得られる銀面調の皮革様シートである。本実施形態では、代表例として、人工皮革を例に挙げて詳しく説明する。
図1に示したような加飾用貼布10は、繊維基材1と、繊維基材1に積層された高分子弾性体を主体とする表面樹脂層2とを積層して得られる人工皮革である皮革様シート3を備える。
繊維基材としては、例えば、不織布に、必要に応じて高分子弾性体を含浸付与したものが挙げられる。不織布の中では、とくには極細繊維の不織布が好ましい。極細繊維の不織布は繊維密度が緻密であるために繊維の粗密ムラが小さく、均質性が高い。そのためにしなやかさと高い充実感に優れた人工皮革が得られる。本実施形態では、極細繊維の不織布を含む繊維基材を用いる場合について詳しく説明する。
極細繊維の不織布は、例えば、海島型(マトリクス-ドメイン型)複合繊維のような極細繊維発生型繊維を絡合処理し、極細繊維化処理することにより得られる。なお、本実施形態においては、海島型複合繊維を用いる場合について詳しく説明するが、海島型複合繊維以外の極細繊維発生型繊維を用いても、また、極細繊維発生型繊維を用いずに、直接極細繊維を紡糸してもよい。なお、海島型複合繊維以外の極細繊維発生型繊維の具体例としては、紡糸直後に複数の極細繊維が軽く接着されて形成され、機械的操作により解きほぐされることにより複数の極細繊維が形成されるような剥離分割型繊維や、溶融紡糸工程において花弁状に複数の樹脂を交互に集合させてなる花弁型繊維等が挙げられ、極細繊維を形成しうる繊維であれば特に限定されずに用いられる。
極細繊維の不織布の製造においては、はじめに、選択的に除去できる海島型複合繊維の海成分(マトリクス成分)を構成する熱可塑性樹脂と、極細繊維を形成する樹脂成分である海島型複合繊維の島成分(ドメイン成分)を構成する熱可塑性樹脂とを溶融紡糸し、延伸することにより海島型複合繊維を得る。
海成分の熱可塑性樹脂としては、島成分の樹脂とは溶剤に対する溶解性または分解剤に対する分解性を異にする熱可塑性樹脂が選ばれる。海成分を構成する熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、水溶性ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレンプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、スチレンエチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、などが挙げられる。
島成分を形成し、極細繊維を形成する樹脂成分である熱可塑性樹脂としては、海島型複合繊維及び極細繊維を形成可能な樹脂であれば特に限定されない。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET),イソフタル酸変性PET,スルホイソフタル酸変性PET,ポリブチレンテレフタレート,ポリヘキサメチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル;ポリ乳酸,ポリエチレンサクシネート,ポリブチレンサクシネート,ポリブチレンサクシネートアジペート,ポリヒドロキシブチレート−ポリヒドロキシバリレート樹脂等の脂肪族ポリエステル;ポリアミド6,ポリアミド66,ポリアミド10,ポリアミド11,ポリアミド12,ポリアミド6−12等のポリアミド;ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリブテン,ポリメチルペンテン,塩素系ポリオレフィンなどのポリオレフィン等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
極細繊維の不織布の製造方法としては、例えば、海島型複合繊維を溶融紡糸してウェブを製造し、ウェブを絡合処理した後、海島型複合繊維から海成分を選択的に除去して極細繊維を形成するような方法が挙げられる。ウェブを製造する方法としては、スパンボンド法などにより紡糸した長繊維の海島型複合繊維をカットせずにネット上に捕集して長繊維ウェブを形成する方法や、長繊維をステープルにカットして短繊維ウェブを形成する方法等が挙げられる。これらの中では、緻密さ及び充実感に優れている点から長繊維ウェブが特に好ましい。また、形成されたウェブには形態安定性を付与するために融着処理を施してもよい。
なお、長繊維とは、紡糸後に意図的にカットされた短繊維ではない、連続的な繊維であることを意味する。さらに具体的には、例えば、繊維長が3〜80mm程度になるように意図的に切断された短繊維ではない繊維を意味する。極細繊維化する前の海島型複合繊維の繊維長は100mm以上であることが好ましく、技術的に製造可能であり、かつ、製造工程において不可避的に切断されない限り、数m、数百m、数kmあるいはそれ以上の繊維長であってもよい。なお、後述する絡合時のニードルパンチや、表面のバフィングにより、製造工程において不可避的に長繊維の一部が切断されて短繊維になることもある。
海島型複合繊維の海成分を除去して極細繊維を形成するまでの何れかの工程において、絡合処理及び水蒸気による熱収縮処理等の繊維収縮処理を施すことにより、海島型複合繊維を緻密化することができる。絡合処理としては、例えば、ウェブを5〜100枚程度重ね、ニードルパンチや高圧水流処理する方法が挙げられる。
海島型複合繊維の海成分は、ウェブを形成させた後の適当な段階で溶解または分解して除去される。このような分解除去または溶解抽出除去により海島型複合繊維が極細繊維化されて、繊維束状の極細繊維が形成される。
極細繊維の繊度は特に限定されないが、0.001〜0.9dtex、さらには0.01〜0.6dtex、とくには0.02〜0.5dtexであることが好ましい。繊度が高すぎる場合には、緻密感が不充分な不織布が得られる傾向がある。また、繊度が低すぎる繊維は製造しにくい。また、繊維同士が集束して不織布の剛性が高くなる傾向がある。
このようにして得られた極細繊維の不織布は、必要に応じて厚さ調整及び平坦化処理される。具体的には、スライス処理やバフィング処理が施される。このようにして、極細繊維の不織布が得られる。
不織布の空隙には、極細繊維化の前工程、後工程、又は前後両方の工程の何れかの段階で、必要に応じて高分子弾性体が含浸付与される。高分子弾性体を含浸付与する方法としては、例えば、繊維構造体に高分子弾性体の水系エマルジョンを含浸し、ロール・ニップ処理を行うような方法が挙げられる。
高分子弾性体の水系エマルジョンとしては、従来から人工皮革を製造する際に使用されているものが特に限定なく用いられうる。
高分子弾性体の具体例としては、例えば、ポリウレタン、アクリル系弾性体、シリコーン系弾性体、ジエン系弾性体、ニトリル系弾性体、フッ素系弾性体、ポリスチレン系弾性体、ポリオレフィン系弾性体、ポリアミド系弾性体、ハロゲン系弾性体等が挙げられる。これらは単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中ではポリウレタンが耐摩耗性や機械的特性に優れる点から好ましい。
ポリウレタンとしては、ポリカーボネート系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリカーボネート/エーテル系ポリウレタンのエマルジョン等の水系ポリウレタンが好ましい。これらのポリウレタンは容易にその分散液が調製され、架橋構造を形成しやすく、また、繊維に密着させすぎずに空隙に存在させることにより柔らかな風合いを発現させやすい点から特に好ましい。
不織布に付与される高分子弾性体の量は、特に限定されないが、不織布100質量部に対する高分子弾性体(固形分)の量は、1〜80質量部、さらには2〜60質量部、とくには5〜40質量部であることが好ましい。高分子弾性体の量が少なすぎる場合には、形態安定性が低下する傾向があり、多すぎる場合には、ゴム感が強い人工皮革が得られる傾向がある。
このようにして不織布の繊維間の空隙に高分子弾性体を含浸付与させた繊維基材が得られる。
上述したような方法により得られた繊維基材は、必要に応じてスライス処理またはバフィング処理することにより厚さ調整及び平坦化処理されたり、揉み柔軟化処理、空打ち柔軟化処理、逆シールのブラッシング処理、防汚処理、親水化処理、滑剤処理、柔軟剤処理、酸化防止剤処理、紫外線吸収剤処理、蛍光剤処理、難燃剤処理等の仕上げ処理が施されてもよい。
このようにして得られる繊維基材の厚さは、特に限定されないが、100〜3000μm、さらには300〜2000μm程度であることが好ましい。
そして、このようにして得られる繊維基材に所望の外観を付与するための処理を施すことにより人工皮革に仕上げられる。人工皮革としては、例えば、繊維基材の表面に銀面調の樹脂層を付与した銀面調の人工皮革や、人工皮革基材の表層をサンドペーパーなどを用いてバフィング処理して起毛処理または立毛処理することにより毛羽立てた外観を付与した起毛調人工皮革(スエード、ヌバック、ベロア、バックスキン)等が挙げられる。また、銀面調の人工皮革の銀面調の樹脂層は、さらに、エンボス処理によりシボ模様等が付与されていてもよい。
このようにして得られた人工皮革の繊維基材の加飾面が形成されていない側の面に粘接着層を積層することにより、加飾用貼布の原反が得られる。
粘接着層は人工皮革の繊維基材の加飾面が形成されていない側の面に両面粘着テープを貼り合せて形成したり、接着剤の層を積層したりすることにより形成される。
粘接着層を形成するための接着剤は特に限定されず、例えば、例えば、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリオレフィン系、アクリル系、酢酸ビニル系、ポリスチレン系、エポキシ系等の接着剤が挙げられる。
粘接着層の厚さは10〜150μmであり、20〜130μm、さらには30〜120μmであることが好ましい。粘接着層の厚みが薄すぎる場合には、接着性が低下する傾向がある。また、粘接着層の厚みが厚すぎる場合には、乾燥時間が長くなるため作業効率が低下する傾向があり、また、得られる加飾用貼布の厚みが厚くなりすぎるために好ましくない。
なお、粘接着層として両面粘着テープを貼り合せる場合、繊維基材の皺を取り除く程度に伸展方向にテンションが掛けられて張られる。このとき、繊維基材の引張強力が低い場合には、繊維基材が弾性変形し、両面粘着テープを貼り合せた後、テンションを除去したときに両面粘着テープに皺が発生することがある。このような皺の発生を抑制するために、極細繊維の不織布を含む繊維基材を用いた人工皮革、とくには、繊維基材の5%引張強力として0.5kg/25mm以上、さらには1.0kg/25mm以上であることが好ましい。このような人工皮革を用いた場合には、伸展方向にテンションが掛けられたときに弾性変形しにくく、テンションを除去したときに収縮することがないために、両面粘着テープに皺が発生することが抑制される。
このようにして得られた加飾用シートの原反を、上述したような方法により、目的とする加飾用シートの形状に整形する際に、垂直面に対して10度以上の斜度を保持する切断面を形成することにより、本実施形態の加飾用シートが得られる。
本発明の加飾用貼布は、一眼レフカメラやコンパクトデジタルカメラの筐体やカメラグリップ、携帯端末本体(スマートフォン、タブレットPC)およびそのケース、カバーなどのアクセサリ、車両内装材、化粧品ケースなどの樹脂成形体の表面を皮革調に加飾するために好ましく用いられる。
10,20 加飾用貼布
1 繊維基材
2 表面樹脂層
3 皮革様シート
4 粘接着層
30 筐体
30a 貼合面
30b 非貼合面
40,50 加飾筐体(物品)
100 レーザーカット装置
101 レーザー発振部
102 レーザーヘッド
103 レーザー
105 テーブル
Ax 垂直面
E,E' 端面

Claims (7)

  1. 物品の表面に貼り合せられる加飾用貼布であって、
    皮革様シートと前記皮革様シートの前記物品の表面に貼り合せられる側の面に形成された粘接着層とを備え、
    上面視したときに前記粘接着層の端部を隠すように、前記皮革様シートの表面を基準とした垂直面に対して10度以上の角度を保持して切断された切断面を有することを特徴とする加飾用貼布。
  2. 前記切断面は、レーザーカットされた切断面である請求項1に記載の加飾用貼布。
  3. 前記粘接着層が、両面粘着テープまたは接着剤で形成された層である請求項1または2に記載の加飾用貼布。
  4. 前記皮革様シートは、繊度0.8dtex以下の極細繊維の繊維束の絡合体を含む繊維基材と、前記繊維基材に積層された加飾面になる表面樹脂層とを備える人工皮革である請求項1〜3の何れか1項に記載の加飾用貼布。
  5. 前記物品の表面に、請求項1〜4の何れか1項に記載の加飾用貼布を貼り合せて形成されたことを特徴とする加飾物品。
  6. 前記物品は、その表面に、前記加飾用貼布が貼り合せられる領域である貼合面と、前記貼合面に隣接する加飾用貼布が貼り合せられない領域である非貼合面とを有し、
    前記貼合面は、前記非貼合面よりも前記加飾用貼布の厚み分だけ低くなるように段差を付けて形成されている物品である請求項5に記載の加飾物品。
  7. 皮革様シートの一面に粘接着層を積層して形成された加飾用貼布原反を準備する工程と、
    前記加飾用貼布原反を所定の形状の加飾用貼布に整形するためにレーザーカットする工程とを備え、
    前記レーザーカットする工程は、
    前記加飾用貼布の原反を、前記皮革様シートの側から上面視したときに前記粘接着層の端部を隠すように、前記皮革様シートの表面を基準とした垂直面に対して少なくとも10度以上の角度を保持してレーザーを照射することによりカットする工程であることを特徴とする加飾用貼布の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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