JP2015168092A - 産業用インクジェット印刷機用塗工紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】不透明度を向上させるために原紙に嵩高剤を含有しつつ、産業用インクジェット印刷機において品質上のトラブルや操業上のトラブルを引き起こすことが抑制された産業用インクジェット印刷機用塗工紙を提供することである。
【解決手段】嵩高剤を含有する紙料を抄造してなる原紙と、該原紙の少なくとも一方の面に顔料およびバインダーを主成分とする塗工層とを有し、且つ塗工層が、平均粒子径0.1μm以上0.28μm以下の重質炭酸カルシウムを片面あたり塗工層中の顔料100質量部に対して60質量部以上とポリオキシエチレンアルキルエーテル化合物とを含有することを特徴とする産業用インクジェット印刷機用塗工紙によって達成される。
【選択図】なし

Description

本発明は、産業用インクジェット印刷機を用いて印刷するための産業用インクジェット印刷機用塗工紙に関する。
インクジェット記録方式の技術が急速に進歩し、多数枚の商業印刷物を製造するための産業用または商業用の印刷機に、インクジェット記録方式を使用する産業用インクジェット印刷機が公知である(例えば、特許文献1および2、非特許文献1および2参照)。産業用インクジェット印刷機は、例えば、大日本スクリーン製造社のTruepressJet、ミヤコシ社のMJPシリーズ、コダック社のProsperおよびVERSAMARK、富士フィルム社のJetPressなどの名称で販売されている。
このような産業用インクジェット印刷機は、印刷諸条件に依存するものの一般家庭向けおよびSOHO向けインクジェットプリンター、並びに大判インクジェットプリンターに比べてカラー印刷速度が10倍〜数十倍と速く、印刷速度が15m/分以上、より高速では60m/分を超える。このため、産業用インクジェット印刷機は、一般家庭向けおよびSOHO向けインクジェットプリンターおよび大判インクジェットプリンターと区別される。
産業用インクジェット印刷機は、可変情報を取り扱うことができるためにオンデマンド印刷に適応することができる。印刷業者は、固定情報をグラビア印刷機、オフセット印刷機、活版印刷機、フレキソ印刷機、熱転写印刷機またはトナー印刷機など従来からの印刷機で印刷し、可変情報を産業用インクジェット印刷機で印刷する形態を採用する場合が多い。印刷画質や印刷コストの点から、従来からの印刷機にオフセット印刷機を用いる場合が多い。
しかしながら、オフセット印刷機用塗工紙など従来の印刷機用塗工紙は、産業用インクジェット印刷機に対するインク定着またはインク吸収などの点で印刷適性が不十分である。このために、印刷部のインクが混ざり合って境界滲みを発生するなどの品質上のトラブルまたは未定着のインクが印刷機や塗工紙に転写して汚れるなどの操業上のトラブルを引き起こすことがある。一方、従来のインクジェットプリンター専用紙は、オフセット印刷機などの従来からの印刷機に対する塗工層強度などの点で印刷適性が不十分である。
オフセット印刷機に対する印刷適性を維持したまま、輪転型インクジェットプリンティングシステムにおいて、良好なインクセット性を備えた印刷用塗工紙として、カチオン性樹脂を含有する原紙の少なくとも一方の面に、吸油度が100ml/100g以下の顔料およびラテックスを主成分とする塗工層を設け、塗工層中に界面活性剤を片面あたり0.05g/m以上2g/m以下含有する印刷用塗工紙が公知である(例えば、特許文献3参照)。また、オフセット印刷機に対する印刷適性を損なうことがなく、インクジェット印刷において、印刷部分のモットリングが発生することがない、印刷部分の耐擦過性や染料インクにおける発色性が優れた印刷用塗工紙として、原紙の少なくとも一方の面に顔料とバインダーを主成分とする塗工層を設け、原紙がカチオン性樹脂および水溶性多価陽イオン塩から選ばれる少なくとも1種を含有する処理液によってサイズプレスされてなる処理原紙であり、カチオン性樹脂および水溶性多価陽イオン塩から選ばれる少なくとも1種の片面あたり固形分換算塗布量が0.1g/m以上5g/m以下の範囲であり、且つ塗工層中の顔料の少なくとも1種が平均粒子径0.1μm以上0.28μm以下の重質炭酸カルシウムであり、平均粒子径0.1μm以上0.28μm以下の重質炭酸カルシウムの塗工層中の含有量が塗工層中の顔料100質量部に対して60質量部以上の範囲である印刷用塗工紙が公知である(例えば、特許文献4参照)。
特開2011−251231号公報 特開2005−088525号公報 特開2013−104147号公報 国際公開第2013/108753号パンフレット
徳増路子著「B2判印刷本紙対応インクジェット印刷機」(「印刷雑誌」、印刷学会出版部発行、2010年8月号(Vol.93)、21頁〜24頁) 宮城安利著「オフセット品質のインクジェット印刷機」(「印刷雑誌」、印刷学会出版部発行、2010年8月号(Vol.93)、25頁〜29頁)
商業印刷物は両面印刷される場合が多い。従って、裏面に印刷された画像が表面から視認されると、きれいに印刷されていても、用途によっては商業印刷物として品質的に不可とされる場合がある。このために、不透明度を向上させる必要がある。特に坪量100g/m以下のような比較的低い坪量である塗工紙において不透明度の向上は重要である。
不透明度を向上させる方法として嵩高剤を原紙に配合する方法がある。嵩高剤は、一般的に疎水基と親水基とを有する化合物からなる添加剤であって、パルプと配合することによってパルプの繊維表面と化合物の親水基とが結合し、繊維表面を化合物の疎水基で覆って水素結合による繊維間結合を弱め、結果として紙の嵩を高める添加剤である。嵩を高めることによって紙の不透明度を得ることができる。しかしながら、原紙が嵩高剤を含有すると、繊維表面が疎水性を示すために産業用インクジェット印刷機に用いられる水溶性染料インクや水溶性顔料インクの、特にインク溶媒の、塗工層から原紙に向かう吸収力を阻害するようになる。
不透明度を得る目的で嵩高剤を原紙に含有させた塗工紙は不透明度が向上するものの、水溶性染料インクや水溶性顔料インクを使用する産業用インクジェット印刷機に対して、インク吸収性またはインク定着性などの点で印刷適性が低下することになる。このために、インク吸収性不足から滲みを発生するなどの品質上のトラブル、またはインク定着性不足から印刷部分のインクが転写して印刷機や塗工紙に汚れを発生するなどの操業上のトラブルを引き起こす場合がある。
特許文献3および特許文献4に記載された印刷用塗工紙は、抄造された原紙の表面にカチオン性樹脂を付与してなり、紙料に嵩高剤を含有していないために塗工層を有するとはいえ、さらなる不透明度の向上が望まれている。特に、不透明度の向上は、坪量が100g/m以下の印刷用塗工紙に望まれている。
上記の問題から、不透明度を向上させるために原紙に嵩高剤を含有しながら、品質上のトラブルや操業上のトラブルの発生が抑制された産業用インクジェット印刷機用塗工紙が要望されている。
本発明の課題は、不透明度に優れ、不透明度を向上させるために原紙に嵩高剤を含有しつつ、産業用インクジェット印刷機において品質上のトラブルや操業上のトラブルを引き起こすことが抑制された産業用インクジェット印刷機用塗工紙を提供することである。
本発明の課題は、嵩高剤を含有する紙料を抄造してなる原紙と、該原紙の少なくとも一方の面に顔料およびバインダーを主成分とする塗工層とを有し、且つ塗工層が、平均粒子径0.1μm以上0.28μm以下の重質炭酸カルシウムを片面あたり塗工層中の顔料100質量部に対して60質量部以上とポリオキシエチレンアルキルエーテル化合物とを含有することを特徴とする産業用インクジェット印刷機用塗工紙によって達成される。
好ましくは、嵩高剤が、脂肪族モノアミンまたは脂肪族ポリアミンとエピハロヒドリン化合物との重縮合物である。
好ましくは、ポリオキシエチレンアルキルエーテル化合物の塗工層中の含有量が、片面あたり0.001g/m以上0.3g/m以下である。
本発明により、不透明度に優れ、不透明度を向上させるために原紙に嵩高剤を含有しつつ、産業用インクジェット印刷機において品質上のトラブルや操業上のトラブルを引き起こすことが抑制された産業用インクジェット印刷機用塗工紙を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下、本発明の産業用インクジェット印刷機用塗工紙(以下、単に「印刷機用塗工紙」と記載する。)について詳細に説明する。本明細書中で使用される場合、「インクジェット印刷」とは、産業用インクジェット印刷機を用いて印刷することをいう。
産業用インクジェット印刷機には、用紙搬送の違いによって連続紙タイプとカット紙タイプがある。また搭載するインク種には、色材が染料である水性染料インクと色材が顔料である水性顔料インクとがある。本発明において、産業用インクジェット印刷機の用紙搬送またはインク種についてはいずれでも構わない。
印刷する画像に可変情報と固定情報が存在する場合は、固定情報の一部または全部をグラビア印刷機、オフセット印刷機、活版印刷機、フレキソ印刷機、熱転写印刷機またはトナー印刷機など従来からの印刷機を用いて印刷することが好ましい。特に、製造コストと印刷品質の点でオフセット印刷機が好ましい。従来からの印刷機での印刷は、産業用インクジェット印刷機を用いて印刷する前であっても後であっても構わない。
本発明において、産業用インクジェット印刷機の印刷速度は、60m/分以上である。これ未満の印刷速度であってもインクジェット印刷が可能であるが、本発明の効果が顕著に認められる印刷速度は60m/分以上である。また、産業用という観点から生産性が重視され、生産性として60m/分以上が望まれる。カット紙タイプの場合は、印刷速度は、毎分当たりの印刷される用紙サイズから算出する。
本発明において、原紙は、LBKP(Leaf Bleached Kraft Pulp)、NBKP(Needle Bleached Kraft Pulp)などの化学パルプ、GP(Groundwood Pulp)、PGW(Pressure Groundwood Pulp)、RMP(Refiner Mechanical Pulp)、TMP(Thermo Mechanical Pulp)、CTMP(Chemi Thermo Mechanical Pulp)、CMP(Chemi Mechanical Pulp)、CGP(Chemi Groundwood Pulp)などの機械パルプ、およびDIP(De−Inked Pulp)などの古紙パルプなどの木材パルプと従来公知の填料とを主成分として、バインダー、サイズ剤、定着剤、歩留まり向上剤、紙力増強剤などの各種添加剤を必要に応じ1種以上用いて混合して調成された紙料を、長網抄紙機、円網抄紙機およびツインワイヤー抄紙機などの各種装置で製造された紙である。
本発明において、原紙は、嵩高剤を紙料に含有させて抄造してなるものである。嵩高剤は、製紙分野で従来公知の製紙用の嵩高剤であって、その種類については特に限定されない。例えば、油脂系非イオン界面活性剤、糖アルコール系非イオン界面活性剤、糖系非イオン界面活性剤、多価アルコール系非イオン界面活性剤、多価アルコールと脂肪酸とのエステル化合物、高級アルコールあるいは高級脂肪酸のポリオキシアルキレン付加物、多価アルコールと脂肪酸とのエステル化合物のポリオキシアルキレン付加物、脂肪酸ポリアミドアミン、脂肪族モノアミンまたは脂肪族ポリアミンとエピハロヒドリン化合物との重縮合物などを挙げることができる。
特許文献3および特許文献4は、原紙がカチオン性樹脂を含有し、カチオン性樹脂としてジメチルアミン−エピクロロヒドリン重縮合物を記載する。しかしながら、これら特許文献は、カチオン性樹脂を原紙に含有させる方法として抄造された原紙にカチオン性樹脂を塗布または含浸する方法を記載することから、嵩高剤としてジメチルアミン−エピクロロヒドリン重縮合物を記載していないといえる。
本発明の好ましい態様は、嵩高剤として脂肪族モノアミンまたは脂肪族ポリアミンとエピハロヒドリン化合物との重縮合物を紙料に含有させて抄造して得られる原紙である。これにより、嵩高剤としての機能および抄造された原紙においてはカチオン性樹脂としての機能を有する。この結果、印刷機用塗工紙は、不透明度が向上して優れた不透明度を有し、インクジェット印刷における品質上のトラブルおよび操業上のトラブルの抑制を、より得ることができる。
本発明において、脂肪族モノアミンまたは脂肪族ポリアミンとエピハロヒドリン化合物との重縮合物とは、脂肪族モノアミンおよび脂肪族ポリアミンから選ばれる1種以上と、エピハロヒドリン化合物から選ばれる1種以上との重縮合物である。脂肪族モノアミンは、例えば、モノメチルアミン、モノエチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノ、ジあるいはトリエタノールアミンなどである。脂肪族ポリアミンは、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサメチレンジアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、1,3−ジアミノブタンなどである。エピハロヒドリン化合物は、例えば、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、メチルエピクロロヒドリン、メチルエピブロモヒドリンなどである。脂肪族モノアミンまたは脂肪族ポリアミンとエピハロヒドリン化合物との重縮合物は、商業的入手容易性の点から、ジメチルアミン−エピクロロヒドリン重縮合物が好ましい。本発明において、脂肪族モノアミンまたは脂肪族ポリアミンとエピハロヒドリン化合物との重縮合物の数平均分子量は、特に限定されないが、500以上20,000以下が好ましく、1,000以上10,000以下がより好ましい。
嵩高剤を含有する紙料を抄造してなる原紙であるために、インクジェット印刷における品質上のトラブルや操業上のトラブルを抑制することが劣化すると考えられる。しかしながら、後述の、重質炭酸カルシウムとポリオキシエチレンアルキルエーテル化合物とを塗工層が含有することによって、印刷機用塗工紙は、不透明度に優れ、インクジェット印刷における品質上のトラブルや操業上のトラブルを抑制することが劣化しない。このような組み合わせ相乗効果は、他では得られない。
本発明において、嵩高剤の原紙中の含有量は、本発明の効果の点から、原紙中のパルプ100質量部に対して1質量部以上10質量部以下が好ましい。
本発明において、塗工層は、顔料として平均粒子径が0.1μm以上0.28μm以下の重質炭酸カルシウムを含有する。平均粒子径がこの範囲から外れると、インクジェット印刷における品質上のトラブルや操業上のトラブルが発生する。
本発明において、平均粒子径は、単粒子の場合は単粒子の平均粒子径であり、二次粒子など凝集粒子を形成する場合は凝集粒子の平均粒子径である。重質炭酸カルシウムの平均粒子径は、エネルギー分散形X線分光器などの元素分析機能付走査型電子顕微鏡を用いて印刷機用塗工紙表面の電子顕微鏡写真を撮影し、撮影された粒子を撮影画像の面積が近似する球形と見なして粒子径を計算し、撮影画像内に存在する100個の粒子を測定することによって算出することができる。
本発明にかかる平均粒子径を有する重質炭酸カルシウムは、例えば、次に示す方法で製造することができる。先ず、天然石灰石を乾式粉砕し得られた粉体を、水または分散剤を添加した水溶液に分散させた重質炭酸カルシウム予備分散スラリーを調製する。このようにして調製した重質炭酸カルシウム予備分散スラリーを、さらに、ビーズミル等を用い湿式粉砕する。ここで、天然石灰石を直ちに湿式粉砕することもできるが、湿式粉砕に先立って予め乾式粉砕することが好ましい。乾式粉砕では、石灰石の粒子径を40mm以下、好ましくは平均粒子径を2μm以上2mm以下の程度に粉砕しておくことがよい。
次に、上記粉砕した石灰石の表面に有機分散剤を施すことが好ましい。これは種々の方法で行うことができるが、乾式粉砕した石灰石を有機分散剤の存在下で湿式粉砕することにより行う方法が好ましい。具体的には、石灰石/水性媒体(好ましくは水)との質量比が30/70以上85/15以下、好ましくは60/40以上80/20以下の範囲となるように石灰石に水性媒体を加え、ここに有機分散剤を加える。有機分散剤としては、例えば、官能基としてカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩またはリン酸エステル塩を有する低分子または高分子の水溶性アニオン系界面活性剤、若しくはポリエチレングリコール型または多価アルコール型非イオン界面活性剤を挙げることができる。有機分散剤の水溶性アニオン系界面活性剤で、ポリアクリル酸を有するポリアクリル酸系有機分散剤が特に好ましい。これら有機分散剤は、サンノプコ社、東亞合成社、花王社等から市販されており、本発明に用いることができる。使用する有機分散剤の量は特に限定されないが、重質炭酸カルシウム100質量部当たり固形分として0.3質量部以上3.5質量部以下の範囲で使用することが好ましく、0.5質量部以上3質量部以下の範囲がより好ましい。得られる分散液を従来公知の方法により湿式粉砕する。または、上記範囲の量となる有機分散剤を予め溶解してなる水性媒体を石灰石と混合し従来公知の方法により湿式粉砕する。湿式粉砕は、バッチ式でも連続式でもよく、サンドミル、アトライター、ボールミルなどの粉砕媒体を使用したミルなどの装置が好ましい。このように湿式粉砕することにより、平均粒子径が0.1μm以上0.28μm以下である重質炭酸カルシウムを得ることができる。なお、本発明にかかる平均粒子径を有する重質炭酸カルシウムを得る方法は上記方法に限定されない。
本発明において、塗工層中の本発明にかかる重質炭酸カルシウムの含有量は、塗工層中の顔料100質量部に対して60質量部以上である。60質量部未満であると、インクジェット印刷における品質上のトラブルや操業上のトラブルが発生する。
塗工層は、本発明にかかる重質炭酸カルシウム以外に従来公知の顔料を含有することができる。従来公知の顔料の例としては、軽質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、サチンホワイト、リトポン、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム等の無機顔料、およびプラスチック顔料などの有機顔料を挙げることができる。
本発明において、塗工層はバインダーを含有する。使用できるバインダーは従来公知のバインダーであって特に限定されない。例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド等のポリアクリル酸系、ポリ酢酸ビニル系、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル等の各種共重合体ラテックス、ポリビニルアルコールまたはその変性体、ポリエチレンオキシド、ユリアまたはメラミン等のホルマリン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミド、脂肪族モノアミンまたは脂肪族ポリアミンとエピクロロヒドリン等との水溶性合成物を挙げることができる。さらには、天然植物から精製した澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉、酵素変性澱粉やそれらをフラッシュドライして得られる冷水可溶性澱粉、デキストリン、マンナン、キトサン、アラビノガラクタン、グリコーゲン、イヌリン、ペクチン、ヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の天然多糖類またはそのオリゴマー、さらにはその変性体を挙げることができる。また、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、コラーゲン等の天然タンパク質またはその変性体、ポリ乳酸、ペプチド等の合成高分子やオリゴマーを挙げることができる。塗工層は、これらバインダーから単独または組み合わせて含有することができる。また、バインダーはカチオン変性を施すことができる。
本発明において、「顔料およびバインダーを主成分」とは、塗工層を形成する乾燥固形分量に対して60質量%以上を顔料およびバインダーが占めることを指す。
本発明において、塗工層は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル化合物を含有する。ポリオキシエチレンアルキルエーテル化合物は、R−O−(CHCHO)H(Rはアルキル基、nは整数である。)の構造を有する界面活性剤の一種である。
本発明において、ポリオキシエチレンアルキルエーテル化合物は、その疎水基である上記式中のR(アルキル基)の炭素数が、例えば、炭素数が8以上22以下の範囲が好ましい。具体的には、例えば、オクチル基、ラウリル基、ミリスチル基、セチル基、ステアリル基、オレイル基、ベヘニル基などを挙げることができる。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテル化合物の親水基であるオキシエチレン基に関する上記式中のn、すなわちエチレンオキサイド基の数が、例えば、10以上50以下の範囲が好ましい。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル化合物の塗工層中の含有量は、片面あたり0.001g/m以上0.3g/m以下が好ましい。この理由は、インクジェット印刷における品質上のトラブルまたは操業上のトラブルが、より抑制されるからである。
本発明において、塗工層は、顔料、バインダーおよびポリオキシエチレンアルキルエーテル化合物の他に従来公知の各種添加剤を含有することができる。添加剤の例としては、インク定着剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、印刷適性向上剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤等を挙げることができる。
本発明において、印刷機用塗工紙の塗工層は、塗工層塗液を原紙上に塗工・乾燥して得ることができる。塗工層塗液を原紙上に塗工する方法としては、通常使用される塗工装置を用いる方法であり、特に限定されない。塗工装置の例としては、ロールコーター、エアナイフコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター等の各種ブレードコーター、ショートドウェルコーター、カーテンコーター等を挙げることができる。塗工された塗工層塗液を乾燥する方法としては、通常使用される乾燥装置を用いる方法であり、特に限定されない。乾燥装置の例としては、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤー等の熱風乾燥機、赤外線加熱ドライヤー、マイクロ波等を利用した乾燥機等を挙げることができる。
本発明において、原紙または印刷機用塗工紙は、カレンダー処理してから使用することができる。
本発明において、塗工層は原紙の両面に設けることができる。両面に設けることで、印刷機によっては両面に印刷できるために好ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明は、その主旨を超えない限り、以下の実施例に限定されない。また、実施例において示す質量部、質量%および体積%は乾燥固形分あるいは実質成分の値を示す。また、塗工量は、乾燥固形分量を示す。
<不透明度の評価>
不透明度は、JIS P8149に準拠し、SPECTRO COLORMETER MODEL PF−10(日本電色工業社製)を用いて測定した。評価基準を以下に示す。本発明において、評価3であれば印刷機用塗工紙は不透明度に優れるものとする。
3:不透明度の値が、94.0%以上である。
2:不透明度の値が、89.0%以上94.0%未満である。
1:不透明度の値が、89.0%未満である。
<品質上のトラブルに関する抑制性評価>
品質上のトラブルに関する抑制性は、得られた印刷物について画像の滲み具合によって評価した。
各実施例および各比較例で得られた印刷機用塗工紙に対して、ミヤコシ社製の産業用インクジェット印刷機MJP20Fを用いて、ブラック、シアン、マゼンタおよびイエローの4色の4cm×4cm各ベタ印刷部がタテヨコ接してレイアウトされた評価画像の印刷を行った。印刷は、印刷速度150m/分で用紙4500mに印刷した。得られた印刷物について、ベタ印刷部および色間境界部分の滲み具合を目視により官能評価した。本発明において、評価2または3であれば印刷機用塗工紙は品質上のトラブルの発生が抑制されているものとする。
3:滲みがほとんど認められず、良好。
2:滲みが僅かに認められるが、実用上問題無し。
1:滲みが認められ、不良。
<操業上のトラブルに関する抑制性評価>
操業上のトラブルに関する抑制性は、印刷後の印刷機および印刷物のインクによる汚れ具合によって評価した。
各実施例および各比較例で得られた印刷機用塗工紙に対して、ミヤコシ社製の産業用インクジェット印刷機MJP20Fによって、ブラック、シアン、マゼンタおよびイエローの4色の4cm×4cm各ベタ印刷部がタテヨコ接してレイアウトされた評価画像を用いて印刷を行った。印刷は、印刷速度150m/分で用紙4500mに印刷した。印刷後の印刷機および印刷物の汚れ具合を目視により官能評価した。本発明において、評価2または3であれば印刷機用塗工紙は操業上のトラブルの発生が抑制されているものとする。
3:汚れがほとんど認められず、良好。
2:汚れが僅かに認められるが、実用上問題無い。
1:汚れが認められ、不良。
<重質炭酸カルシウムの調製>
重質炭酸カルシウムは、天然の石灰石をジョークラッシャー、ハンマークラッシャー、ローラーミルによって平均粒子径30μm程度までに粗粉砕して、これに水と市販のポリアクリル酸系分散剤を加えて攪拌し、固形分約75質量%の予備分散スラリーとする。この予備分散スラリーをアシザワ・ファインテック社製湿式粉砕機(横型、円柱型粉砕室の寸法:直径約0.5m、長さ約1.3m)を用いて処理する。ビーズは直径約0.2mmのジルコニア製を、充填率80体積%〜85体積%の範囲で変化させ、流量は約15リットル/分としパス回数を変化させて、各種平均粒子径となる重質炭酸カルシウムを調製した。
<原紙の作製>
濾水度400mlcsfのLBKP100質量部からなるパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウム8質量部、両性澱粉0.8質量部、硫酸バンド0.8質量部、アルキルケテンダイマー型サイズ剤(サイズパインK903、荒川化学工業社製)1.0質量部、および表1に記載の嵩高剤を含有量がパルプ100質量部に対して1.5質量部となるよう添加して、長網抄紙機で抄造した。サイズプレス装置で両面あたり酸化澱粉を3.0g/m付着させ、マシンカレンダー処理をして、坪量75g/mの原紙をそれぞれ作製した。なお、比較例2では嵩高剤を含有せず抄造した。
<塗工層塗液の調製>
塗工層の塗液は、下記の内容により調製した。
顔料 種類および含有量を表1に記載
スチレン−ブタジエン共重合体 8質量部
界面活性剤 種類および含有量を表1に記載
上記の内容で配合し、水で混合分散して固形分濃度50質量%に調整した。
Figure 2015168092
表1中の記載について説明する。
嵩高剤について、DL−FA20は荒川化学工業社製のポリアルキレンポリアミンとエピクロロヒドリンとの重縮合物であり、KB−210は花王社製の脂肪酸エステルである。
軽質炭酸カルシウムは、形状が立方状、平均粒子径0.15μmの白石工業社製Brilliant−15である。カオリンは、平均粒子径1.1μmの白石カルシウム社製カオファイン90である。
界面活性剤の種類に記載する括弧内の数字はオキシエチレン鎖の数を表す。
原紙に塗工層塗液を、ブレードコーターを用いて片面あたりの塗工量が12g/mとなるように両面に塗工・乾燥した。
評価結果を表1に記載する。
表1から、本発明に該当する実施例の印刷機用塗工紙は、不透明度を有しつつ、品質上のトラブルおよび操業上のトラブルの発生を抑制することができると分かる。
主に、実施例1と実施例2との対比から、嵩高剤として、脂肪族モノアミンまたは脂肪族ポリアミンとエピハロヒドリン化合物との重縮合物が好ましいと分かる。また、実施例1および実施例3〜6どうし対比から、ポリオキシエチレンアルキルエーテル化合物の塗工層中の含有量について片面あたり0.001g/m以上0.3g/m以下が好ましいと分かる。
本発明の構成を満足しない比較例では、本発明の効果が得られないことが分かる。

Claims (3)

  1. 嵩高剤を含有する紙料を抄造してなる原紙と、該原紙の少なくとも一方の面に顔料およびバインダーを主成分とする塗工層とを有し、且つ塗工層が、平均粒子径0.1μm以上0.28μm以下の重質炭酸カルシウムを片面あたり塗工層中の顔料100質量部に対して60質量部以上とポリオキシエチレンアルキルエーテル化合物とを含有することを特徴とする産業用インクジェット印刷機用塗工紙。
  2. 嵩高剤が、脂肪族モノアミンまたは脂肪族ポリアミンとエピハロヒドリン化合物との重縮合物である請求項1記載の産業用インクジェット印刷機用塗工紙。
  3. ポリオキシエチレンアルキルエーテル化合物の塗工層中の含有量が、片面あたり0.001g/m以上0.3g/m以下である請求項1または2に記載の産業用インクジェット印刷機用塗工紙。
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