JP2015066704A - 産業用インクジェット印刷機向け印刷用塗工紙及びその製造方法並びにそれを用いる印刷物製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】オフセット印刷などの従来からの印刷機に対する印刷適性を有しつつ、産業用インクジェット印刷機の印刷速度に対応する印刷適性を有する産業用インクジェット印刷機向け印刷用塗工紙を提供することである。
【解決手段】アセトアセチル基と架橋し得る架橋剤を少なくとも1種含有する基紙と、該基紙上に、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールおよび平均粒子径0.1μm以上0.28μm以下である重質炭酸カルシウムを少なくとも含有する塗工層とを有する産業用インクジェット印刷機向け印刷用塗工紙。
【選択図】なし
【解決手段】アセトアセチル基と架橋し得る架橋剤を少なくとも1種含有する基紙と、該基紙上に、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールおよび平均粒子径0.1μm以上0.28μm以下である重質炭酸カルシウムを少なくとも含有する塗工層とを有する産業用インクジェット印刷機向け印刷用塗工紙。
【選択図】なし
Description
本発明は、産業用インクジェット印刷機を用いて印刷するための印刷用塗工紙およびその製造方法に関する。また、産業用インクジェット印刷機によって印刷物を製造する方法に関する。
インクジェット記録方式の技術が急速に進歩し、多数枚の商業印刷物を製造するための産業用または商業用の印刷機に、インクジェット記録方式を使用する産業用インクジェット印刷機が公知である(例えば、特許文献1および2、非特許文献1および2参照)。産業用インクジェット印刷機は、例えば、大日本スクリーン製造社のTruepressJet、ミヤコシ社のMJPシリーズ、コダック社のProsperおよびVERSAMARK、富士フィルム社のJetPressなどの名称で販売されている。
このような産業用インクジェット印刷機は、印刷諸条件に依存するものの一般家庭向けおよびSOHO向けインクジェットプリンター、並びに大判インクジェットプリンターに比べてカラー印刷速度が10倍〜数十倍と速く、印刷速度が15m/分以上、より高速では60m/分を超える。このため、産業用インクジェット印刷機は、一般家庭向けおよびSOHO向けインクジェットプリンターおよび大判インクジェットプリンターと区別される。
産業用インクジェット印刷機は、可変情報を取り扱うことができるためにオンデマンド印刷に適応することができる。印刷業者は、固定情報をグラビア印刷機、オフセット印刷機、活版印刷機、フレキソ印刷機、熱転写印刷機またはトナー印刷機など従来からの印刷機で印刷し、可変情報を産業用インクジェット印刷機で印刷する形態を採用する場合が多い。
しかしながら、オフセット印刷用塗工紙など従来の印刷用塗工紙は、産業用インクジェット印刷機に対するインク定着またはインク吸収容量などの点で印刷適性が不十分である。このために、画像の汚れなどが発生し、商品として十分な画質が得られない。従来のインクジェットプリンター専用紙は、オフセット印刷機などの従来からの印刷機に対する塗工層強度などの点で印刷適性が不十分である。このために、オフセット印刷機ではブランケットパイリングなど印刷不良が発生し、商品として十分な画質が得られない。また、従来のインクジェットプリンター専用紙は、産業用インクジェット印刷機のような印刷速度を想定していないために、産業用インクジェット印刷機に対するインク吸収速度またはインク滴のドット拡散などの点で印刷適性が不十分である。このために、画像の汚れまたはベタ印刷領域の白抜けが発生し、商品として十分な画質が得られない。
なお、ドット拡散とは、塗工紙に着弾したインク滴同士が十分拡散して、インク滴間の隙間を埋める品質である。
なお、ドット拡散とは、塗工紙に着弾したインク滴同士が十分拡散して、インク滴間の隙間を埋める品質である。
支持体上に、少なくとも無機微粒子、親水性樹脂及び水不溶性樹脂を含有する多孔質性のインク吸収層を有するインクジェット記録媒体において、該親水性樹脂の少なくとも1種が、アセトアセチル基と反応する架橋剤により架橋されたアセトアセチル基変性ポリビニルアルコールであることを特徴とするインクジェット記録媒体が公知である(例えば、特許文献3参照)。
徳増路子著「B2判印刷本紙対応インクジェット印刷機」(「印刷雑誌」、印刷学会出版部発行、2010年8月号(Vol.93)、21頁〜24頁)
宮城安利著「オフセット品質のインクジェット印刷機」(「印刷雑誌」、印刷学会出版部発行、2010年8月号(Vol.93)、25頁〜29頁)
特許文献3に記載されるが如くのインクジェット記録媒体はインクジェットプリンター用紙であって、多孔質性の点から、シリカ、アルミナまたはアルミナ水和物をインク吸収層の無機微粒子に用いている。さらに、特許文献3に記載されるが如くのインクジェット記録媒体の製造方法は、インク吸収層を形成する塗工組成物中に架橋剤を直接配合または後から添加し塗布する方法、支持体上へ塗工組成物の塗布開始時から乾燥終了時までの任意の時期にアセトアセチル基変性ポリビニルアルコールのアセトアセチル基と反応する架橋剤を含む液を付与、乾燥する方法、架橋剤を含む液をオーバーコートし、乾燥する方法のいずれかである。このような、シリカ、アルミナまたはアルミナ水和物を塗工層の無機微粒子に用いて上記の方法で製造されるインクジェット記録媒体は、産業用インクジェット印刷機やオフセット印刷機などの従来からの印刷機に対する印刷適性が不十分である。
上記の問題から、産業用インクジェット印刷機向けの印刷用塗工紙が十分に確立されていない。特に、産業用インクジェット印刷機とオフセット印刷機などの従来からの印刷機との両方に印刷適性を有する印刷用塗工紙が求められている。また、産業用インクジェット印刷機を用いて商品となり得る印刷物を製造する方法が十分に確立されていない。特に、画質に拘らないチラシ類に比べて画質を求める小冊子類、カタログ類またはパンフレット類などの商品となり得る印刷物を製造する方法が十分に確立されていない。
本発明の第1課題は、オフセット印刷機などの従来からの印刷機に対して印刷適性を有し、商品として十分な画質を得ることができ、且つ、産業用インクジェット印刷機に対して印刷適性を有し、商品として十分な画質を得ることができる産業用インクジェット印刷機向け印刷用塗工紙を提供することである。また、その製造方法を提供することである。
本発明の第2課題は、この印刷用塗工紙を用いて産業用インクジェット印刷機による印刷物製造方法を提供することである。
本発明の第2課題は、この印刷用塗工紙を用いて産業用インクジェット印刷機による印刷物製造方法を提供することである。
本発明の第1課題は、アセトアセチル基と架橋し得る架橋剤を少なくとも1種含有する基紙と、該基紙上に、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールおよび平均粒子径0.1μm以上0.28μm以下である重質炭酸カルシウムを少なくとも含有する塗工層とを有する産業用インクジェット印刷機向け印刷用塗工紙によって達成される。
好ましくは、アセトアセチル基と架橋し得る架橋剤がヒドラジン化合物である。さらに好ましくは、ヒドラジン化合物がアジピン酸ジヒドラジドである。
また、本発明の課題は、アセトアセチル基と架橋し得る架橋剤を原紙に含有させて基紙を得る工程と、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールおよび平均粒子径0.1μm以上0.28μm以下である重質炭酸カルシウムを少なくとも含有する塗工組成物を基紙上に塗工する工程と、塗工された塗工組成物を乾燥する工程とを含む産業用インクジェット向け印刷用塗工紙の製造方法によって達成される。
本発明の第2課題は、上記の産業用インクジェット印刷機向け印刷用塗工紙を用い、印刷速度が60m/分以上である産業用インクジェット印刷機による印刷物製造方法によって達成される。
本発明により、オフセット印刷機などの従来からの印刷機に対して印刷適性を有し、商品として十分な画質を得ることができ、且つ、産業用インクジェット印刷機に対して印刷適性を有し、商品として十分な画質を得ることができる産業用インクジェット印刷機向け印刷用塗工紙を提供することができる。また、その製造方法を提供することができる。さらに、この印刷用塗工紙に対して産業用インクジェット印刷機を使用して印刷することで商品となり得る印刷物の製造方法を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
産業用インクジェット印刷機には、用紙搬送の違いによって連続紙タイプとカット紙タイプがある。また搭載するインク種には、色材が染料である水性染料インクと色材が顔料である水性顔料インクがある。本発明において、産業用インクジェット印刷機の用紙搬送またはインク種についてはいずれでも構わない。
印刷する画像に可変情報と固定情報が存在する場合は、固定情報の一部または全部をグラビア印刷機、オフセット印刷機、活版印刷機、フレキソ印刷機、熱転写印刷機またはトナー印刷機など従来からの印刷機を用いて印刷することが好ましい。特に、製造コストと印刷品質の点でオフセット印刷機が好ましい。従来からの印刷機は、産業用インクジェット印刷機を用いて印刷する前であっても後であっても構わない。
本発明において、従来からの印刷機は、例えば、グラビア印刷機、オフセット印刷機、活版印刷機、フレキソ印刷機、熱転写印刷機またはトナー印刷機である。グラビア印刷機は、画像が彫り込まれたロール状の版胴を介してインクを被印刷体に転写する方式の印刷機である。オフセット印刷機は、インクを一度ブランケットに移してから被印刷体に再び転移する間接印刷方式の印刷機である。活版印刷機は、凸版に付与されたインクを被印刷体に押しつけるように圧をかけて印刷する凸版印刷方式の印刷機である。フレキソ印刷機は、柔軟な弾性のある樹脂版を使用する凸版印刷方式の印刷機である。熱転写印刷機は、各色のインクリボンを用いる印刷機であって、熱によってインクリボンから色材を被印刷体に転写する方式の印刷機である。トナー印刷機は、帯電ドラムに付着したトナーを、静電気を利用して被印刷体にトナーを転写させる電子写真方式の印刷機である。
本発明において、「商品として十分な画質」とは、印刷後の印刷物に、塗工層の剥離が発生していないこと、画像の汚れや滲みが発生していないことを指す。さらに、「商品として十分な画質」とは、産業用インクジェット印刷機では被印刷体に着弾したインク滴のドット拡散不良によって印刷物の印刷部分に白抜けが発生していないこと、オフセット印刷機ではブランケットパイリングが発生していないことを含む。「商品となり得る印刷物」とは、「商品として十分な画質」を有する印刷物である。
本発明において、産業用インクジェット印刷機の印刷速度は、60m/分以上である。これ未満の印刷速度であっても産業用インクジェット印刷が可能であるが、本発明の効果が顕著に認められる印刷速度は60m/分以上である。また、産業用という観点から生産性が重視され、生産性として60m/分以上が望まれる。カット紙タイプの場合は、印刷速度は、毎分当たりの印刷される用紙サイズから算出する。
本発明において、産業用インクジェット印刷機向け印刷用塗工紙は、顔料として平均粒子径0.1μm以上0.28μm以下の範囲の重質炭酸カルシウムを塗工層に含有する。
本発明において、重質炭酸カルシウムは、粒子径1.5μm超の粒子を含有しないことが好ましい。この理由は、産業用インクジェット印刷における印刷物の画像の汚れ発生を、さらに抑制することができるからである。
平均粒子径がこれらの範囲に該当しない場合、産業用インクジェット印刷機に対する印刷適性が得られず、印刷物は、商品として十分な画質を得ることができない。
本発明において、平均粒子径は、単粒子の場合は単粒子の平均粒子径であり、二次粒子など凝集粒子を形成する場合は凝集粒子の平均粒子径である。重質炭酸カルシウムなどの平均粒子径は、エネルギー分散形X線分光器などの元素分析機能付走査型電子顕微鏡を用いて印刷用塗工紙表面の電子顕微鏡写真を撮影し、撮影された粒子を面積が近似する球形と見なして粒子径を計算し、撮影画像内に存在する100個から粒子を測定することによって算出することができる。縦軸が頻度(%)で横軸が粒子径(μm)である粒度分布曲線は、100個の粒子から測定された粒子径データから粒子画像解析ソフトウェアを用いて得ることができる。
本発明において、塗工層は、重質炭酸カルシウム以外に従来公知の顔料を含有することができる。従来公知の顔料の例としては、各種カオリン、クレー、タルク、軽質炭酸カルシウム、サチンホワイト、リトポン、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、プラスチック顔料や有機顔料などを挙げることができる。
本発明において、塗工層中の本発明にかかる重質炭酸カルシウムの含有量は、塗工層中の総顔料100質量部に対して60質量部以上が好ましい。塗工層中の重質炭酸カルシウムが塗工層中の総顔料100質量部に対して60質量部以上であると、産業用インクジェット印刷機向け印刷用塗工紙は、産業用インクジェット印刷機に対して、より良好な印刷適性が得られる。
本発明にかかる平均粒子径を有する重質炭酸カルシウムは、例えば、次に示す方法で製造することができる。先ず、天然石灰石を乾式粉砕し得られた粉体を、水または分散剤を添加した水溶液に分散させた重質炭酸カルシウムの予備分散スラリーを調製する。このようにして調製した予備分散スラリーを、さらに、ビーズミル等を用い湿式粉砕する。ここで、天然石灰石を直ちに湿式粉砕することもできる。しかし、生産性の点から、湿式粉砕に先立って予め乾式粉砕することが好ましい。乾式粉砕では、石灰石の粒子径を40mm以下、好ましくは平均粒子径を2μm以上2mm以下の程度に粉砕しておくことがよい。湿式粉砕では、途中段階で整粒を行い、粒子径を整えることが好ましい。整粒は、市販の整粒機によって実施することができる。
次に、上記粉砕した石灰石の表面に有機分散剤を施すのがよい。これは種々の方法で行うことができるが、乾式粉砕した石灰石を有機分散剤の存在下で湿式粉砕することにより行う方法が好ましい。具体的には、石灰石/水性媒体(好ましくは水)との質量比が30/70以上85/15以下、好ましくは60/40以上80/20以下の範囲となるように石灰石に水性媒体を加え、ここに有機分散剤を加える。有機分散剤の例としては、官能基としてカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩またはリン酸エステル塩を有する低分子または高分子の水溶性アニオン系界面活性剤、若しくはポリエチレングリコール型または多価アルコール型非イオン界面活性剤を挙げることができる。有機分散剤の水溶性アニオン系界面活性剤で、ポリアクリル酸を有するポリアクリル酸系有機分散剤が特に好ましい。これら有機分散剤は、サンノプコ社、東亞合成社、花王社等から市販されており、本発明に用いることができる。使用する有機分散剤の量は特に限定されないが、重質炭酸カルシウム100質量部当たり固形分として0.3質量部以上3.5質量部以下の範囲で使用することが好ましく、0.5質量部以上3質量部以下の範囲がより好ましい。得られる予備分散スラリーを従来公知の方法により湿式粉砕する。または、上記範囲の量となる有機分散剤を予め溶解してなる水性媒体を石灰石と混合し従来公知の方法により湿式粉砕する。湿式粉砕は、バッチ式でも連続式でもよく、サンドミル、アトライター、ボールミルなどの粉砕媒体を使用したミルなどの装置によって実施することができる。このように湿式粉砕し、平均粒子径が0.1μm以上0.28μm以下である重質炭酸カルシウムを得ることができる。なお、本発明にかかる平均粒子径を有する重質炭酸カルシウムを得る方法は上記方法に限定されない。
本発明において、産業用インクジェット印刷機向け印刷用塗工紙は、塗工層のバインダーとしてアセトアセチル基変性ポリビニルアルコールを含有する。本発明にかかるアセトアセチル基変性ポリビニルアルコールは従来公知のものであって、例えば、通常の完全鹸化や部分鹸化ポリビニルアルコールにジケテンを酢酸溶液中で付加反応させる方法、ポリビニルアルコールとアセト酢酸エステルとを溶液中でエステル交換反応させる方法等により得ることができる。また、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールは、例えば、日本合成化学工業社から市販され、用いることができる。分子中のアセトアセチル基変性量は、0.2モル%以上10モル%以下の範囲が好ましい。また、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールの重合度は、100以上3000以下の範囲が好ましい。さらに、鹸化度は、70モル%以上100モル%以下の範囲が好ましい。
塗工層には、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール以外に従来公知のバインダーを含有することができる。バインダーの例としては、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールを除くポリビニルアルコールや各種変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド等のポリアクリル酸系、ポリ酢酸ビニル系、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル等の各種共重合体ラテックス、ポリエチレンオキシド、ユリアまたはメラミン等のホルマリン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミン、エピクロルヒドリン等の水溶性合成物を挙げることができる。さらには、天然植物から精製した澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉、酵素変性澱粉やそれらをフラッシュドライして得られる冷水可溶性澱粉、デキストリン、マンナン、キトサン、アラビノガラクタン、グリコーゲン、イヌリン、ペクチン、ヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の天然多糖類またはそのオリゴマー、さらにはその変性体を挙げることができる。また、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、コラーゲン等の天然タンパク質またはその変性体、ポリ乳酸、ペプチド等の合成高分子やオリゴマーを挙げることができる。これらは単独または組み合わせて使用することができる。またバインダーは、カチオン変性を施して使用することができる。顔料に対して過剰にバインダーを配合すると産業用インクジェット印刷において、インク吸収容量の点から印刷適性が低下する場合があるため、塗工層に含有する全顔料固形分100質量部に対してバインダーは3質量部以上25質量部以下の範囲が好ましく、5質量部以上20質量部以下の範囲がより好ましい。アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールは、塗工層中の総バインダー量100質量部に対して60質量部以上であることが好ましい。
本発明において、産業用インクジェット印刷機向け印刷用塗工紙の塗工層は、本発明にかかる重質炭酸カルシウムおよびアセトアセチル基変性ポリビニルアルコール以外に必要に応じて、インク定着剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、印刷適性向上剤、界面活性剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤等の塗工紙分野で通常使用されている従来公知の各種助剤を含有することができる。
本発明において、産業用インクジェット印刷機向け印刷用塗工紙の塗工層は、塗工組成物を基紙上に塗工・乾燥して得ることができる。塗工組成物を基紙上に塗工する工程としては、通常使用される塗工装置を用いる方法であり、特に限定されない。例えば、ロールコーター、エアナイフコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター等の各種ブレードコーター、ショートドウェルコーター、カーテンコーターなどの各種塗工装置を用いる方法を挙げることができる。塗工された塗工組成物を乾燥する工程としては、通常使用される乾燥装置を用いる方法であり、特に限定されない。例えば、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤー等の熱風乾燥機、赤外線、加熱ドライヤー、マイクロ波等を利用した乾燥機等の各種乾燥装置を用いる方法を挙げることができる。
本発明において、基紙は、アセトアセチル基と架橋し得る架橋剤を原紙に含有させることによって得ることができる。アセトアセチル基と架橋し得る架橋剤を原紙に含有させる基紙を得る工程は、(1)紙料中にアセトアセチル基と架橋し得る架橋剤を添加する方法、(2)アセトアセチル基と架橋し得る架橋剤を含有する処理液組成物を原紙に塗工または含浸する方法、を挙げることができる。
本発明において、アセトアセチル基と架橋し得る架橋剤を原紙に含有させる方法は上記(2)が好ましい。この理由は、架橋剤が、原紙の比較的表面付近に存在するようになるからである。
本発明において、アセトアセチル基と架橋し得る架橋剤を原紙に含有させる方法は上記(2)が好ましい。この理由は、架橋剤が、原紙の比較的表面付近に存在するようになるからである。
本発明において、原紙は、LBKP(Leaf Bleached Kraft Pulp)、NBKP(Needle Bleached Kraft Pulp)などの化学パルプ、GP(Groundwood Pulp)、PGW(Pressure Groundwood Pulp)、RMP(Refiner Mechanical Pulp)、TMP(Thermo Mechanical Pulp)、CTMP(Chemi Thermo Mechanical Pulp)、CMP(Chemi Mechanical Pulp)、CGP(Chemi Groundwood Pulp)などの機械パルプ、DIP(De-Inked Pulp)などの古紙パルプなどの木材パルプと従来公知の填料を主成分として、バインダーおよびサイズ剤や定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤などの各種添加剤を必要に応じ1種以上用いて混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などの各種装置で製造された紙である。
本発明において、アセトアセチル基と架橋し得る架橋剤としては、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールと架橋反応を起こすものであれば特に制限されない。具体的には、アミン化合物、ヒドラジン化合物、エポキシ化合物、N−メチロール化合物、アジリジン化合物およびオキサゾリン化合物から選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられる。
アミン化合物の例としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジアミン、フェニレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリアミノプロパン、アミノ基を有する重合体(例えば、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン)等を挙げることができる。
ヒドラジン化合物の例としては、カルボヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、チオカルボヒドラジド、エチレン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン−1,3−ジヒドラジン、ブチレン−1,4−ジヒドラジン、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、サリチル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、4,4′−オキシベンゼンスルホニルヒドラジド、ヒドラジド基を有するビニル重合体等を挙げることができる。
エポキシ化合物の例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジレート、o−フタル酸ジグリシジレート、p−フタル酸ジグリシジレート、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、ビスフェノールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジル−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等を挙げることができる。
N−メチロール化合物の例としては、N−メチロール尿素、メチロールジメチルヒダントイン、メチロールメラミン等を挙げることができる。アジリジン化合物の例としては、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N′−ジフェニルメタン−4,4′−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、N,N′−ヘキサメチレン−1,6′−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、N,N′−トルエン−2,4′−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)等を挙げることができる。オキサゾリン化合物の例としては、2−メチル−2−オキサゾリン、2−エチル−2−オキサゾリン、2,4,4−トリメチル−2−オキサゾリン、1,3−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、オキサゾリニル基を有するビニル重合体等を挙げることができる。
これらの架橋剤のうち、架橋剤の水溶性および反応性並びに産業用インクジェット印刷機に対する印刷適性の点から、ヒドラジン化合物、エポキシ化合物、N−メチロール化合物が好ましい。その中でも、ヒドラジン化合物がより好ましく、アジピン酸ジヒドラジドが最も好ましい。
塗工層中のアセトアセチル基変性ポリビニルアルコールのアセトアセチル基を架橋させるためには、架橋剤を、塗工層の塗工組成物に添加する方法、塗工組成物を塗工後の塗工層にオーバーコートする方法がある。しかしながら、これらの方法では産業用インクジェット印刷機に対する印刷適性が得られない。塗工層中のアセトアセチル基変性ポリビニルアルコールのアセトアセチル基を架橋し得る架橋剤を予め原紙に含有させた基紙であることによって、得られる印刷用塗工紙は、オフセット印刷機などの従来からの印刷機に対する印刷適性に優れ、且つ産業用インクジェット印刷機に対する印刷適性に優れる。
本発明において、アセトアセチル基と架橋し得る架橋剤の基紙中の含有量は、乾燥固形分量で、0.1g/m2以上3.0g/m2以下の範囲が好ましい。処理液組成物を塗工または含浸する方法では、片面あたり0.05g/m2以上1.5g/m2以下の範囲が好ましい。この範囲であると、オフセット印刷機などの従来からの印刷機に対する印刷適性を有しつつ、産業用インクジェット印刷機に対するより良好な印刷適性を有する。加えて、印刷される画質に影響するような塗工層のひび割れ発生を抑制することができる。
本発明において、処理液組成物は、アセトアセチル基と架橋し得る架橋剤以外に必要に応じて界面活性剤、消泡剤、増粘剤、色味調整剤、蛍光増白剤、耐水化剤、染料定着剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤など各種添加剤を含有することができる。
本発明において、アセトアセチル基と架橋し得る架橋剤を含有する処理液組成物を原紙に塗工または含浸する方法は、公知の塗工または含浸させる方法を用いることができる。例えば、バーチカル型サイズプレス、ホリゾンタル型サイズプレス、インクラインド型サイズプレス、ゲートロール、ビルブレード等のサイズプレス装置、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドブレードコーター、バーコーター、リバースロールコーター、コンマコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーター等、各種の塗工装置を用いる方法を挙げることができる。
本発明において、原紙、基紙あるいは印刷用塗工紙は、必要に応じてマシンカレンダー、ソフトニップカレンダー、スーパーカレンダー、多段カレンダー、マルチニップカレンダー等により表面を平滑化することができる。
アセトアセチル基と架橋し得る架橋剤を少なくとも1種含有する基紙上に、本発明にかかるアセトアセチル基変性ポリビニルアルコールおよび平均粒子径0.1μm以上0.28μm以下である重質炭酸カルシウムを少なくとも含有する塗工層を設けることによって、産業用インクジェット印刷機向け印刷用塗工紙は、オフセット印刷機などの従来からの印刷機に対する印刷適性に優れ、且つ産業用インクジェット印刷機に対する印刷適性に優れる。
本発明において、産業用インクジェット印刷機向け印刷用塗工紙は、本発明にかかる塗工層を両面に有することが好ましい。塗工層を両面に設けることでCWF−Paper並みの画質を両面に得ることができる。
本発明において、好ましい態様は、本発明にかかる産業用インクジェット印刷機向け印刷用塗工紙を用い、印刷速度が60m/分以上である産業用インクジェット印刷機による印刷物製造方法である。この印刷物製造方法により、生産性に優れ、産業用インクジェット印刷機において良好な印刷物を製造することができる。また、印刷物は、産業用インクジェット印刷機による印刷の前または後にオフセット印刷機のような従来からの印刷機によって印刷することが可能である。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明は、その主旨を超えない限り、以下の実施例に限定されない。また、実施例において示す質量部、質量%および体積%、並びに塗工量は、乾燥固形分あるいは実質成分の値を示す。
<平均粒子径の測定>
走査型電子顕微鏡の撮影画像から求める。平均粒子径を表1に記載する。
走査型電子顕微鏡の撮影画像から求める。平均粒子径を表1に記載する。
<重質炭酸カルシウムの調製>
重質炭酸カルシウムは、天然の石灰石をジョークラッシャー、ハンマークラッシャー、ローラーミルによって平均粒子径30μm程度までに粗粉砕して、整粒し、これに水と市販のポリアクリル酸系分散剤を加えて攪拌し、固形分約75質量%の予備分散スラリーとした。この予備分散スラリーをアシザワ・ファインテック社製湿式粉砕機(横型、円柱型粉砕室の寸法:直径約0.5m、長さ約1.3m)を用いて処理し、その後、整粒した。ビーズは直径約0.2mmのジルコニア製を用いた。ビーズの充填率は80体積%〜85体積%の範囲で変化させた。流量は約15リットル/分としパス回数を変化させた。以上の操作から、各種平均粒子径となる重質炭酸カルシウムを調製した。
重質炭酸カルシウムは、天然の石灰石をジョークラッシャー、ハンマークラッシャー、ローラーミルによって平均粒子径30μm程度までに粗粉砕して、整粒し、これに水と市販のポリアクリル酸系分散剤を加えて攪拌し、固形分約75質量%の予備分散スラリーとした。この予備分散スラリーをアシザワ・ファインテック社製湿式粉砕機(横型、円柱型粉砕室の寸法:直径約0.5m、長さ約1.3m)を用いて処理し、その後、整粒した。ビーズは直径約0.2mmのジルコニア製を用いた。ビーズの充填率は80体積%〜85体積%の範囲で変化させた。流量は約15リットル/分としパス回数を変化させた。以上の操作から、各種平均粒子径となる重質炭酸カルシウムを調製した。
<原紙の作製>
濾水度400mlcsfのLBKP100質量部からなるパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウム10質量部、両性澱粉0.8質量部、硫酸アルミニウム0.8質量部、アルキルケテンダイマー型サイズ剤(サイズパインK903、荒川化学工業社製)1.0質量部を添加して長網抄紙機で抄造し、抄造紙を得た。この抄造紙に、サイズプレス装置で両面あたり酸化澱粉を2.5g/m2付着させ、マシンカレンダー処理をして坪量100g/m2となる原紙を作製した。
濾水度400mlcsfのLBKP100質量部からなるパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウム10質量部、両性澱粉0.8質量部、硫酸アルミニウム0.8質量部、アルキルケテンダイマー型サイズ剤(サイズパインK903、荒川化学工業社製)1.0質量部を添加して長網抄紙機で抄造し、抄造紙を得た。この抄造紙に、サイズプレス装置で両面あたり酸化澱粉を2.5g/m2付着させ、マシンカレンダー処理をして坪量100g/m2となる原紙を作製した。
<処理液組成物1の調製>
水475質量部に、アジピン酸ジヒドラジド(ADH、日本化成社製)25質量部を溶解し、処理液組成物1を調製した。
水475質量部に、アジピン酸ジヒドラジド(ADH、日本化成社製)25質量部を溶解し、処理液組成物1を調製した。
<処理液組成物2の調製>
水475質量部に、ソルビトール系ポリグリシジルエーテル(SR−SEP、阪本薬品工業社製)25質量部を溶解し、処理液組成物2を調製した。
水475質量部に、ソルビトール系ポリグリシジルエーテル(SR−SEP、阪本薬品工業社製)25質量部を溶解し、処理液組成物2を調製した。
<処理液組成物3の調製>
水475質量部に、メチロールメラミン(ニカレヂンS−176、日本カーバイド社製)25質量部を溶解し、処理液組成物3を調製した。
水475質量部に、メチロールメラミン(ニカレヂンS−176、日本カーバイド社製)25質量部を溶解し、処理液組成物3を調製した。
<処理液組成物4の調製>
水475質量部に、ジエチレントリアミン(和光純薬工業社製)25質量部を溶解し、処理液組成物4を調製した。
水475質量部に、ジエチレントリアミン(和光純薬工業社製)25質量部を溶解し、処理液組成物4を調製した。
<処理液組成物5の調製>
水475質量部に、プロピオン酸ヒドラジド(大塚化学社製)25質量部を溶解し、処理液組成物5を調製した。
水475質量部に、プロピオン酸ヒドラジド(大塚化学社製)25質量部を溶解し、処理液組成物5を調製した。
<基紙1の作製>
上記の原紙上に処理液組成物1を片面あたり塗工量1g/m2となるようにエアナイフコーターを用いて両面塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。乾燥後、ソフトカレンダーを用いてカレンダー処理をして基紙1を作製した。
上記の原紙上に処理液組成物1を片面あたり塗工量1g/m2となるようにエアナイフコーターを用いて両面塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。乾燥後、ソフトカレンダーを用いてカレンダー処理をして基紙1を作製した。
<基紙2の作製>
上記の原紙上に処理液組成物2を片面あたり塗工量1g/m2となるようにエアナイフコーターを用いて両面塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。乾燥後、ソフトカレンダーを用いてカレンダー処理をして基紙2を作製した。
上記の原紙上に処理液組成物2を片面あたり塗工量1g/m2となるようにエアナイフコーターを用いて両面塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。乾燥後、ソフトカレンダーを用いてカレンダー処理をして基紙2を作製した。
<基紙3の作製>
上記の原紙上に処理液組成物3を片面あたり塗工量1g/m2となるようにエアナイフコーターを用いて両面塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。乾燥後、ソフトカレンダーを用いてカレンダー処理をして基紙3を作製した。
上記の原紙上に処理液組成物3を片面あたり塗工量1g/m2となるようにエアナイフコーターを用いて両面塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。乾燥後、ソフトカレンダーを用いてカレンダー処理をして基紙3を作製した。
<基紙4の作製>
上記の原紙上に処理液組成物4を片面あたり塗工量1g/m2となるようにエアナイフコーターを用いて両面塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。乾燥後、ソフトカレンダーを用いてカレンダー処理をして基紙4を作製した。
上記の原紙上に処理液組成物4を片面あたり塗工量1g/m2となるようにエアナイフコーターを用いて両面塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。乾燥後、ソフトカレンダーを用いてカレンダー処理をして基紙4を作製した。
<基紙5の作製>
上記の原紙上に処理液組成物5を片面あたり塗工量1g/m2となるようにエアナイフコーターを用いて両面塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。乾燥後、ソフトカレンダーを用いてカレンダー処理をして基紙5を作製した。
上記の原紙上に処理液組成物5を片面あたり塗工量1g/m2となるようにエアナイフコーターを用いて両面塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。乾燥後、ソフトカレンダーを用いてカレンダー処理をして基紙5を作製した。
<基紙6の作製>
上記の原紙上に処理液組成物1を片面あたり塗工量0.06g/m2となるようにエアナイフコーターを用いて両面塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。乾燥後、ソフトカレンダーを用いてカレンダー処理をして基紙6を作製した。
上記の原紙上に処理液組成物1を片面あたり塗工量0.06g/m2となるようにエアナイフコーターを用いて両面塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。乾燥後、ソフトカレンダーを用いてカレンダー処理をして基紙6を作製した。
<基紙7の作製>
上記の原紙上に処理液組成物1を片面あたり塗工量1.4g/m2となるようにエアナイフコーターを用いて両面塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。乾燥後、ソフトカレンダーを用いてカレンダー処理をして基紙7を作製した。
上記の原紙上に処理液組成物1を片面あたり塗工量1.4g/m2となるようにエアナイフコーターを用いて両面塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。乾燥後、ソフトカレンダーを用いてカレンダー処理をして基紙7を作製した。
<基紙8の作製>
濾水度400mlcsfのLBKP100質量部からなるパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウム10質量部、両性澱粉0.8質量部、硫酸アルミニウム0.8質量部、アルキルケテンダイマー型サイズ剤(サイズパインK903、荒川化学工業社製)1.0質量部、アジピン酸ジヒドラジド(日本化成社製)2.5質量部を添加して長網抄紙機で抄造し、抄造紙を得た。この抄造紙に、サイズプレス装置で両面あたり酸化澱粉を2.5g/m2付着させ、マシンカレンダー処理をして坪量100g/m2となる基紙8を作製した。
濾水度400mlcsfのLBKP100質量部からなるパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウム10質量部、両性澱粉0.8質量部、硫酸アルミニウム0.8質量部、アルキルケテンダイマー型サイズ剤(サイズパインK903、荒川化学工業社製)1.0質量部、アジピン酸ジヒドラジド(日本化成社製)2.5質量部を添加して長網抄紙機で抄造し、抄造紙を得た。この抄造紙に、サイズプレス装置で両面あたり酸化澱粉を2.5g/m2付着させ、マシンカレンダー処理をして坪量100g/m2となる基紙8を作製した。
<塗工組成物の調製>
塗工組成物は、比較例5、7および8を除き下記の内容により調製した。
重質炭酸カルシウムおよびその他の顔料 配合部数は表1に記載
アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール(ゴーセネックスZ−210、日本合成化学工業社製) 15質量部
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(JSR−2605G、JSR社製)
5質量部
上記の内容で配合し、水で混合・分散して、濃度40質量%に調整した。
塗工組成物は、比較例5、7および8を除き下記の内容により調製した。
重質炭酸カルシウムおよびその他の顔料 配合部数は表1に記載
アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール(ゴーセネックスZ−210、日本合成化学工業社製) 15質量部
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(JSR−2605G、JSR社製)
5質量部
上記の内容で配合し、水で混合・分散して、濃度40質量%に調整した。
比較例5については、下記の内容により調製した。
重質炭酸カルシウムおよびその他の顔料 配合部数は表1に記載
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(JSR−2605G、JSR社製)
20質量部
上記の内容で配合し、水で混合・分散して、濃度40質量%に調整した。
重質炭酸カルシウムおよびその他の顔料 配合部数は表1に記載
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(JSR−2605G、JSR社製)
20質量部
上記の内容で配合し、水で混合・分散して、濃度40質量%に調整した。
比較例7については、下記の内容により調製した。
重質炭酸カルシウムおよびその他の顔料 配合部数は表1に記載
アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール(ゴーセネックスZ−210、日本合成化学工業社製) 15質量部
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(JSR−2605G、JSR社製)
5質量部
アジピン酸ジヒドラジド(ADH、日本化成社製) 2.5質量部
上記の内容で配合し、水で混合・分散して、濃度40質量%に調整した。
重質炭酸カルシウムおよびその他の顔料 配合部数は表1に記載
アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール(ゴーセネックスZ−210、日本合成化学工業社製) 15質量部
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(JSR−2605G、JSR社製)
5質量部
アジピン酸ジヒドラジド(ADH、日本化成社製) 2.5質量部
上記の内容で配合し、水で混合・分散して、濃度40質量%に調整した。
表1に示したその他顔料は、以下の通りである。
軽質炭酸カルシウム(TP123、奥多摩工業社製、平均粒子径0.63μm)
カオリン(HG90、ヒューバー社製、平均粒子径0.19μm)
シリカ(コロイダルシリカMP−2040、日産化学工業社製、平均粒子径0.2μm)
軽質炭酸カルシウム(TP123、奥多摩工業社製、平均粒子径0.63μm)
カオリン(HG90、ヒューバー社製、平均粒子径0.19μm)
シリカ(コロイダルシリカMP−2040、日産化学工業社製、平均粒子径0.2μm)
実施例および比較例の印刷用塗工紙を以下の手順にて作製した。
<印刷用塗工紙の作製>
基紙または原紙上に、塗工組成物をブレードコーター用いて両面塗工し、乾燥させた後、カレンダー処理をして印刷用塗工紙を作製した。塗工量は、片面当たり10g/m2とした。
比較例8の印刷用塗工紙については以下のように作製した。比較例1において、カレンダー処理する前の塗工層上に処理液組成物1を片面あたり塗工量1g/m2となるようにエアナイフコーターを用いて両面塗工し、乾燥した。乾燥後、カレンダー処理し、印刷用塗工紙を得た。
基紙または原紙上に、塗工組成物をブレードコーター用いて両面塗工し、乾燥させた後、カレンダー処理をして印刷用塗工紙を作製した。塗工量は、片面当たり10g/m2とした。
比較例8の印刷用塗工紙については以下のように作製した。比較例1において、カレンダー処理する前の塗工層上に処理液組成物1を片面あたり塗工量1g/m2となるようにエアナイフコーターを用いて両面塗工し、乾燥した。乾燥後、カレンダー処理し、印刷用塗工紙を得た。
<オフセット印刷機印刷>
オフセット印刷機としてミヤコシ社製オフセットフォーム輪転機を用いて、印刷速度:150m/分、使用インク:T&K TOKA UVベストキュア墨および金赤(Bronze Red)、UV照射量:8kW2基の条件で、6000m、所定の評価画像を繰り返し印刷した。
オフセット印刷機としてミヤコシ社製オフセットフォーム輪転機を用いて、印刷速度:150m/分、使用インク:T&K TOKA UVベストキュア墨および金赤(Bronze Red)、UV照射量:8kW2基の条件で、6000m、所定の評価画像を繰り返し印刷した。
<産業用インクジェット印刷機印刷>
産業用インクジェット印刷機としてコダック社製印刷機Prosper 5000XL Pressを用いて、印刷速度:75m/分と100m/分との2段階、使用インク:水性顔料インク、各印刷速度で、6000m、所定の評価画像を印刷した。
産業用インクジェット印刷機としてコダック社製印刷機Prosper 5000XL Pressを用いて、印刷速度:75m/分と100m/分との2段階、使用インク:水性顔料インク、各印刷速度で、6000m、所定の評価画像を印刷した。
<印刷物の評価>
上記によって得られる印刷物に対して、オフセット印刷機および産業用インクジェット印刷機に対する印刷適性に伴って印刷物の画質が低下する。商品として十分な画質を有するか否か、印刷物の画質を目視によって下記の5段階で官能評価を行った。本発明において、評価3、4および5が、本発明の効果を有するものとする。
5:画質の低下が無く、商品として十分な画質を有する。
4:画質の低下が僅かであり、商品として十分な画質を有する。
3:画質の低下が認められるが、下限レベルで商品として十分な画質を有する。
2:画質の低下があり、用途によっては商品として十分な画質を有しない。
1:画質の低下があり、用途に関係なく商品として十分な画質を有さない。
上記によって得られる印刷物に対して、オフセット印刷機および産業用インクジェット印刷機に対する印刷適性に伴って印刷物の画質が低下する。商品として十分な画質を有するか否か、印刷物の画質を目視によって下記の5段階で官能評価を行った。本発明において、評価3、4および5が、本発明の効果を有するものとする。
5:画質の低下が無く、商品として十分な画質を有する。
4:画質の低下が僅かであり、商品として十分な画質を有する。
3:画質の低下が認められるが、下限レベルで商品として十分な画質を有する。
2:画質の低下があり、用途によっては商品として十分な画質を有しない。
1:画質の低下があり、用途に関係なく商品として十分な画質を有さない。
実施例1〜15および比較例1〜8の各評価結果を表1に示す。
表1から、本発明の産業用インクジェット印刷機向け印刷用塗工紙である実施例1〜15は、オフセット印刷機など従来からの印刷機と産業用インクジェット印刷機の両方に印刷適性を有し、商品になり得る十分な画質を有する印刷物を製造することができる。一方、本発明の産業用インクジェット印刷機向け印刷用塗工紙に相当しない比較例1〜8は、これらへの印刷適性を有さず、商品になり得る十分な画質を有する印刷物を製造することができない。
Claims (5)
- アセトアセチル基と架橋し得る架橋剤を少なくとも1種含有する基紙と、該基紙上に、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールおよび平均粒子径0.1μm以上0.28μm以下である重質炭酸カルシウムを少なくとも含有する塗工層とを有する産業用インクジェット印刷機向け印刷用塗工紙。
- アセトアセチル基と架橋し得る架橋剤が、ヒドラジン化合物である請求項1記載の産業用インクジェット印刷機向け印刷用塗工紙。
- ヒドラジン化合物がアジピン酸ジヒドラジドである請求項2記載の産業用インクジェット印刷機向け印刷用塗工紙。
- アセトアセチル基と架橋し得る架橋剤を原紙に含有させて基紙を得る工程と、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールおよび平均粒子径0.1μm以上0.28μm以下である重質炭酸カルシウムを少なくとも含有する塗工組成物を基紙上に塗工する工程と、塗工された塗工組成物を乾燥する工程とを含む産業用インクジェット向け印刷用塗工紙の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の印刷用塗工紙を用い、印刷速度が60m/分以上である産業用インクジェット印刷機を使用して該印刷用塗工紙に印刷する印刷物製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013200889A JP2015066704A (ja) | 2013-09-27 | 2013-09-27 | 産業用インクジェット印刷機向け印刷用塗工紙及びその製造方法並びにそれを用いる印刷物製造方法 |
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CN112553944A (zh) * | 2020-12-04 | 2021-03-26 | 亚太森博(广东)纸业有限公司 | 一种未涂布的数码纸及其制备方法 |
-
2013
- 2013-09-27 JP JP2013200889A patent/JP2015066704A/ja active Pending
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