JP2015162643A - チップ状固体電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、上記の問題点を解決するために、例えば下記の特許文献1には、図3に示されるようにして、リードフレーム5の溶接部に予めグサリ針7を貫通させる処理(以下、グサリ処理という)を行い、リードフレーム5の溶接面に複数個の断面三角形状の突起物6を設け、突起物6を電極引出端子に食い込ませることで、リードフレーム5と電極引出端子の溶接性を向上させることが開示されている。
しかしながら、特許文献1記載の固体電解コンデンサは、コンデンサ素子の両巻回端面からそれぞれ電極引出端子が引き出されており、電極引出端子と接合されたリードフレームを「コ」の字状に折り曲げ加工することによって、固体電解コンデンサの両側面からそれぞれ下面(実装面)にリードフレームを引き回し、固体電解コンデンサの外部電極としている。このため、当該構造を有する固体電解コンデンサは、製品の体積に占めるコンデンサ素子の割合(体積効率)が小さくなり、固体電解コンデンサの大容量化が図れないという問題があった。
一方で、特許文献2に示す下面電極タイプと称されるチップ状固体電解コンデンサによれば、製品の体積効率を高めることができる。しかしながら、当該チップ状固体電解コンデンサは、電極引出端子と接合される陽極リードフレームを折り曲げ加工することなくコンデンサ素子の下面に配置する構造であるため、特許文献2に示すチップ状固体電解コンデンサにそのまま特許文献1に示すグサリ処理を適用すると、グサリ処理をした部位がそのまま製品の実装面を含む実装部位を構成する。
そのため、実装面にグサリ処理をした部位が存在すると、製品の実装面積が小さくなり、基板等の被実装物との接合強度が低下したり、場合によっては被実装物に製品を実装することができなくなるという問題があった。
しかも、陽極リードフレームの一方主面のうちの非溶接部位を実装面として、突起部の突出方向が実装面と反対方向となるように陽極リードフレームの他方主面側に溶接部位が折り返された状態で、突起部が形成された溶接部位で電極引出端子と陽極リードフレームとが溶接されるので、実装面(陽極リードフレームの一方主面のうちの非溶接部位)には突起部を設けることがない。このため、基板等の被実装物に対し、十分な接合強度を有するように実装面積を確保することができる。
本発明のチップ状固体電解コンデンサにおける突起部2は、最初に、陽極リードフレーム1の溶接部位Dを鋭利な針を用いてグサリ処理することにより、図2(a)に例示されるように、陽極リードフレームの一方主面Bから突出した突起部2’を形成した。なお、突起部2’を形成する方法は、突起物をリードフレームに押圧することで形成するが、先端断面が鋭角の突起物が好ましく、先端が錐状の突起物を貫通させて形成させると突起部2’の形状が安定するのでより好ましい。その後、この突起部2’を実装面(陽極リードフレーム1の一方主面Bのうちの非溶接部位C)と反対方向になるように、陽極リードフレーム1の他方主面A側に折り返すことにより形成される(図2(b)参照)。
本発明では、陽極リードフレーム1に形成される突起部2の大きさは、突起の高さが0.4mm〜0.45mm程度のものが一般的であるが、これに限定されるものではない。
本発明のチップ状固体電解コンデンサにおける陽極リードフレーム1の構造としては、一般的な下面電極構造における陽極リードフレームより長く(広く)することが好ましく、折り返す箇所から0.8mm〜0.9mm長くすることがより好ましい。
本発明においては、陽極リードフレーム1と電極引出端子4とが溶接される溶接部位Dに設けられた突起部2が、溶接時に、溶解した電極引出端子4に食い込み、良好な溶接性を確保することができる。また、突起部2と電極引出端子4を溶接するために、陽極リードフレーム1と電極引出端子4との溶接面積を小さくすることができ、かつ少ない電流で固体電解コンデンサ素子を陽極リードフレーム1に溶接できる。
尚、上記の構造を有した本発明のチップ状固体電解コンデンサにおいては、抵抗溶接を行う際の電流が突起部2のみに集中して流れ、大面積を有する陽極リードフレーム1に電流が流れないので、突起部2の位置において局部的に発熱が起こり、熱ストレスの影響を抑えることもできる。
本発明の製法における最初の工程(突起部形成工程)では、陽極リードフレーム1の、電極引出端子4との溶接部位Dに、グサリ針を刺してグサリ処理を行い、図2(a)に示されるような断面形状を有した突起部2’を、陽極リードフレーム1の一方主面Bから突出するようにして1箇所以上設ける。図2(a)において、符号Aは他方主面、Cは非溶接部位、Dは溶接部位である。この際、陽極リードフレーム1の溶接部位Dに設けられる突起部2’は、複数設けられてもよい。このような突起を形成するためのグサリ処理に使用されるグサリ針の先端は、円錐状または角錐状(三角錐状または四角錐状)であることが好ましい。
このとき、陽極リードフレーム1と電極引出端子4との抵抗溶接は、インダイレクト式の抵抗溶接が望ましい。何故なら、一般的なダイレクト式の抵抗溶接では、下面電極構造の陽極リードフレーム1の実装部分に抵抗溶接の電極が直接接触するため、溶接痕や変色が見られるからである。
これに対し、インダイレクト式の抵抗溶接では、下面電極構造の陽極リードフレームの実装部分に電極が直接接触しないため、溶接痕や変色は見られず製品外観上好ましい。
このように、本発明では、溶接後において陽極リードフレームのグサリ処理孔が露出せずに収容されるため、基板等の被実装物とチップ状固体電解コンデンサの実装面積を確保することができる。
さらに、公知の方法にて作製した固体電解コンデンサ素子3から引き出した電極引出端子4と陽極リードフレーム1との抵抗溶接を行った。具体的には、電極引出端子4を陽極リードフレーム1の突起部2に接触させ、抵抗溶接(インダイレクト式)により溶接を行った。なお、詳細な実験条件は、以下の通りである。
<使用部材および溶接条件>
陽極リードフレーム:150μm厚さ、幅2.8mm、長さ1.6mmの銅フレー
ム材(表面ニッケル/金メッキ処理)
グサリ処理針 :φ0.3mm(一点)、先端形状は円錐形
アルミタブ :長さ0.9mm、幅2.0mm(陽極引出し端子)
抵抗溶接機 :トランジスタ式抵抗溶接機
溶接条件 :電極加圧力 アルミタブ側11.8N 陽極リードフレーム側
35.4N
溶接電流 初期値750A/終了値1500A
通電時間 1.5ms
長さ0.7mmの陽極リードフレームを用い、グサリ処理を行わないことと、陽極リードフレームを折り返さないこと以外は、実施例と同様の方法で行った。
実施例、比較例とも32個ずつの測定用サンプルを作製し、それぞれについて、溶接部における接続強度を測定した。
図4に、実施例および比較例についての溶接強度と溶接不良を示す。なお、この図4の中の太い実線で描かれた「◇」は、複数の測定点が重なり合っていることを示しており、点線は、実施例における平均値と比較例における平均値の大小関係を示している。
このことから、本発明のように、陽極リードフレームにグサリ処理を行って突起部を設けたことにより溶接性は向上し、溶接不良を減らすことができることが確認された。
また、実施例について、チップ状固体電解コンデンサの基板への実装性を32個確認した所、グサリ処理孔が外装樹脂内部に収納されているために、製品の実装に問題がないことが確認された。
2 突起部
2’突起部
3 固体電解コンデンサ素子
4 電極引出端子
5 リードフレーム
6 突起物
7 グサリ針
8 陰極リードフレーム
9 外装樹脂
A 他方主面
B 一方主面
C 非溶接部位
D 溶接部位
Claims (3)
- 電極引出端子を有する固体電解コンデンサ素子と、前記電極引出端子と溶接される陽極リードフレームとを備えたチップ状固体電解コンデンサにおいて、
前記陽極リードフレームは、前記電極引出端子と溶接される溶接部位と、前記溶接部位を除く非溶接部位とを含み、
前記溶接部位には、前記陽極リードフレームの一方主面から突出した突起部が形成され、
前記陽極リードフレームの一方主面のうちの前記非溶接部位を実装面として、前記突起部の突出方向が前記実装面と反対方向となるように前記陽極リードフレームの他方主面側に前記溶接部位が折り返され、
前記突起部が形成された溶接部位で前記電極引出端子と前記陽極リードフレームとが溶接されていることを特徴とするチップ状固体電解コンデンサ。 - 前記溶接部位に複数の前記突起部が設けられていることを特徴とする請求項1記載のチップ状固体電解コンデンサ。
- 固体電解コンデンサ素子の電極引出端子と陽極リードフレームとを溶接してチップ状固体電解コンデンサを製造するチップ状固体電解コンデンサの製造方法であって、
前記陽極リードフレームにおける前記電極引出端子と溶接される溶接部位に、前記陽極リードフレームの一方主面から突出した突起部を形成する工程と、
前記陽極リードフレームの一方主面のうち前記溶接部位を除く非溶接部位を実装面として、前記突起部の突出方向が前記実装面と反対方向となるように前記陽極リードフレームの他方主面側に前記溶接部位を折り返す工程と、
前記突起部が形成された溶接部位で前記電極引出端子と前記陽極リードフレームとを溶接する工程と
を含むことを特徴とするチップ状固体電解コンデンサの製造方法。
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