JP2011014663A - 固体電解コンデンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】 陽極リードと陽極リードフレームとの溶接性が安定した固体電解コンデンサを提供することにある。
【解決手段】 固体電解コンデンサにおいて導出した陽極リード14先端部に加工によりV字状または矩形状の凹部を形成させ、あるいは、円形状に穿孔し、しかる後、凹部に陽極リードフレーム9と溶接することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は固体電解コンデンサに関する。
PCや携帯電話などの需要がグローバル規模で急速に増えており、特にGHz帯の高周波帯域で使用されている。そのため、それらの電気機器は、CPUなどの電源周りに使用しているコンデンサの等価直列抵抗(以下ESRと称す)の低減化及びインダクタンス(以下ESLと称す)の低減化が求められている。また、電気機器の小型化が求められていることから、固体電解コンデンサにおいても小型化の必要性が急速に高まっている。
図2に従来の固体電解コンデンサの構造の一例を示す。図2(a)は固体電解コンデンサのコンデンサ素子の正断面図、図2(b)は固体電解コンデンサの陽極リード先端部の斜視図、図2(c)は固体電解コンデンサの製品断面図である。ここで従来の固体電解コンデンサの製造工程を述べる。まず、弁作用金属の粉末をプレス、焼結し、陽極リード3が導出された多孔質の陽極体1を形成した後、化成処理を行い、陽極体1の表面に電気化学的方法により酸化皮膜を発生させた誘電体皮膜2を形成する。その後、誘電体皮膜2上に二酸化マンガンもしくは導電性高分子からなる固体電解質層5を形成する。その上にグラファイト層6、銀ペースト層7からなる陰極層を形成し図2(a)に示すコンデンサ素子13を構成する。
次に陽極リード先端部14と陽極リードフレーム9を溶接により接合し、コンデンサ素子13の外表面の陰極層と陰極リードフレーム8を導電性接着剤12で接合する。このとき図2(b)に示すように陽極リードフレーム9と溶接される陽極リード先端部14の形状は扁平な板状である。
更に、図示しないプリント基板上に設けたランドとの接触端子とするために、陽極リードフレーム9及び陰極リードフレーム8が部分的に露出した状態になるように、外装樹脂10でコンデンサ素子13と陽極リードフレーム9及び陰極リードフレーム8をモールド成形し、図2(c)の製品断面図に示す固体電解コンデンサを形成する。
尚、陽極リードフレーム9は銅、パラジウム、金、亜鉛、錫の何れか1つまたは、複数を含んだメッキを施している。最終的に外装した樹脂から露出した陽極リードフレーム9及び陰極リードフレーム8を、所定の長さに切断・折り曲げることにより固体電解コンデンサを完成する。
ここで、導出した陽極リードと陽極リードフレームとの接合部分を安定して溶接するための技術が種々開示されている。
特許文献1には陽極リードフレーム(陽極コム端子ともいう)の中央部付近に貫通孔を設け、そこに複数枚積層した陽極体素子の陽極部を抵抗溶接することで、溶接性を向上する技術が開示されている。
また、特許文献2には、リードフレーム(陽極端子ともいう)に貫通孔を穿設し、そこに陽極リードを挿通し、溶接する技術が開示されている。
特許第4000956号公報 特開2001−338840号公報
しかしながら、陽極リードは弁作用金属と同種の高融点の物質が多く用いられるため、従来技術は、陽極リードとリードフレームとの溶接性が不安定であるという課題がある。溶接性を向上させる一つの方法としてジュール熱の発生を大きくすることがあげられるがコスト性や生産性の改善、更には環境にやさしい造り方を目指さなければならない今日、如何に溶接時の通電電流、通電時間を増やさず効率よく、しかも品質信頼性を向上させた製造をするかが求められている。そこで、本発明は、陽極リードと陽極リードフレームとの安定した溶接性が得られる固体電解コンデンサを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の固体電解コンデンサは、弁作用金属からなる多孔質の陽極体から扁平状の陽極リードが導出され、前記陽極体の表面に形成された誘電体層と、前記誘電体層上に順次形成された固体電解質層と陰極層とを有するコンデンサ素子と、前記陽極リードに接合された陽極リードフレームと、前記陰極層に接合された陰極リードフレームとを含む固体電解コンデンサであって、前記陽極リード先端部に凹部、または、孔部を有することを特徴とする。
本発明の固体電解コンデンサは、前記陽極リード先端部が前記陽極リードフレームとの接合面に対し垂直な方向に開放された凹部を有することを特徴とする。尚、前記接合面とは前記陽極リード先端部と前記陽極リードフレームが溶接により接合している面である。
本発明の固体電解コンデンサは、前記陽極リード先端部が前記陽極リードフレームとの前記接合面に対し垂直な方向に穿孔されたことを特徴とする。
本発明の固体電解コンデンサは、前記陽極リード先端部の前記凹部、または、前記孔部が、研磨材により加工されたことを特徴とする。
本発明の固体電解コンデンサは、前記陽極リード先端部の前記凹部、または、前記孔部が、水または熱により加工されたことを特徴とする。
本発明によれば、前記陽極リード先端部を前記研磨材やウォータージェットメス、金属表面にコーティングしたダイヤモンドカッター、打ち抜き、レーザ等で加工することによって、前記凹部、または、前記孔部を形成し、しかる後、前記凹部、または、前記孔部と前記陽極リードリードフレームとを溶接する前記固体電解コンデンサを得ることが出来る。
さらに本発明によれば、前記弁作用金属が、タンタル、アルミニウム、チタン、ニオブ、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウムの内のいずれか1つを含むことを特徴とする。
本発明の固体電解コンデンサによれば、陽極リード表面に形成された酸化皮膜を均一に除去した後、陽極リード先端部を加工したものである。陽極リードのリードフレームとの接触抵抗を上げ、抵抗溶接での溶接性の安定化を図ることが可能となる。
上記により溶接時の被溶接体の接触面積が縮小されることで、通電電流を増加させることなく、ジュール熱の発生が増加し、良好な溶接がなされ、かつ、陽極リードがV字状や矩形状に加工、または、円形に穿孔することにより形成された陽極リード先端凹部の内部にも陽極リードフレームの金属が回り込むように接合されることによって、安定した溶接強度を有した固体電解コンデンサを得ることが出来る。
すなわち、本発明の固体電解コンデンサによれば、陽極リードと陽極リードフレームとの溶接において陽極リード先端部を加工することにより陽極リードと陽極リードフレームとの引っ張り強度、引き剥がし、ねじり応力に対しても、より堅固な接合状態を維持出来る。
本発明の固体電解コンデンサを説明する図であり、図1(a)は本発明の固体電解コンデンサの陽極リード先端部をV字状に凹部に加工した斜視図、図1(b)は本発明の固体電解コンデンサの陽極リード先端部を矩形状に凹部に加工した斜視図、図1(c)は本発明の固体電解コンデンサの陽極リード先端部を円形状に穿孔した斜視図である。 従来の固体電解コンデンサを説明する図であり、図2(a)は従来の固体電解コンデンサのコンデンサ素子の断面図、図2(b)は従来の固体電解コンデンサの陽極リード先端部の斜視図、図2(c)は従来の固体電解コンデンサの樹脂封止後のフレームフォーミング完了後の製品断面図である。
次に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1を参照して本発明の実施の形態の固体電解コンデンサ及びその製造方法を説明する。
まず、本発明の実施の形態における固体電解コンデンサの構造について図1を参照しながら説明する。このコンデンサ素子13は従来と同じ構成であり、弁作用金属の粉末に、弁作用金属と同種の金属からなる陽極リード11の一端を表出させ、他部を埋没して加圧成形し、焼結した陽極体の表面に誘電体皮膜を形成し、さらに固体電解質層、グラファイト及び銀ペーストを形成している。陽極リード11の表面には、誘電体皮膜及びポリマー這い上がり防止用の絶縁皮膜を形成している。
その後、陽極リード先端部14と陽極リードフレーム9を溶接により接合し、コンデンサ素子13の外表面の陰極層と陰極リードフレーム8を導電性接着剤で接合する。このとき、陽極リード先端部14にはV字状に凹部の加工や、矩形状に凹部の加工、または、円形状に孔を開けるなどの加工を施してある。これらの陽極リード先端部14の加工により得られた形状は陽極リード11と陽極リードフレーム9の溶接する部分の接触面積を減少させることが出来、接触抵抗を増加するよう作用する。これによって溶接時の通電電流が増加されなくても、ジュール熱の発生が増加し良好な溶接がなされ、かつ、V字状や矩形状に加工すること、または、円形に穿孔することにより形成した陽極リード先端部14の凹部にも陽極リードフレーム9の金属が回り込むように接合することによって、溶接の安定性向上が図れる構造となる。陽極リード端部の凹部の形状であるが、図1(a)は加工時に陽極リード先端部の幅が研磨材の幅に対して十分確保できる場合の形状、図1(b)は陽極リード先端部の幅が狭いものに対して打ち抜き加工で対応する形状、図1(c)は打ち抜き加工等でも対応が難しい幅の狭いタイプに対してレーザ光による加工で対応する形状を示した。尚、陽極リード先端部に施す凹部または孔の形状は陽極リード先端部と陽極リードフレームとの接触抵抗が増加させることが出来る形状で、かつ、溶接時に十分なジュール熱が発生し溶接強度が増加する形状であれば特に限定するものではない。
固体電解コンデンサの製品の断面構造は陽極リード先端部14のほかは従来技術で説明した図2(c)と同様の構成となる。プリント基板上に設けたランドと接触端子とするために陽極リードフレーム9及び陰極リードフレーム8が部分的に露出した状態になるように外装樹脂10でコンデンサ素子13と陽極リードフレーム9及び陰極リードフレーム8をモールド成形し、固体電解コンデンサを形成する。最終的に外装した樹脂から露出した陽極リードフレーム9及び陰極リードフレーム8を所定の長さに切断し折り曲げすることにより固体電解コンデンサを完成する。
実施例について図1を参照しながら説明する。実施例として、直径がφ0.80mmのタンタルワイヤーからなる陽極リード11を、縦4.5mm、幅3.6mm高さ0.9mmのタンタル金属粉の直方体に埋め込みプレス機にて成型した。この時、陽極リード11は、厚さ0.35mmになるまで潰し加工を施し、その際の陽極リード11の幅は1.4mmである。その後、この弁金属の成形体を焼結し陽極体を得た。さらに、60℃のリン酸液に浸し、電圧を16Vで設定維持し、4時間電圧をかけ、90Vの20分で昇圧し、表面に誘電体皮膜を形成させた。
続いて誘電体皮膜を形成させた陽極体に這い上がり防止として絶縁体であるシリコンを弁金属の焼結体側から0.2mmで塗布し、150℃の180分で乾燥させ絶縁皮膜を得た。その後、再度60℃のリン酸に再び浸し、16Vで2時間化成を行なった。
次に、パラトルエンスルホン酸第二鉄及び3,4−エチレンジオキシチオフェンを用いて固体電解質層を形成させた。この時、固体電解質層の膜厚は、20μm(片側)である。内部にポリマーを形成させるため、水溶媒のパラトルエンスルホン酸第二鉄を用いて5分間浸漬した後、引上げて常温にてポリマーを形成した。その上に20(片側)μmのグラファイトペースト及び60μm(片側)の銀ペーストを塗布し、化学重合により導電性高分子からなる薄い陰極層を形成したコンデンサ素子13を得た。
前述した薄い陰極層に関しては、化学重合により形成した導電性高分子だけでなく、スラリーポリマー、電解重合による導電性高分子、及び熱分解による二酸化マンガン層でおこなっても良い。また、単一的な方法だけでなく、二酸化マンガンと化学重合の組合せや化学重合とスラリーポリマーとの組合せ等においても良い。
続いて、上記で陰極層を得た陽極リード11の誘電体皮膜及びポリマー這い上がり防止用のため形成していた絶縁皮膜を陽極リード先端部14から0.6mmの位置より、幅1.4mm、縦1.5mmの範囲で除去した。これにより陽極リードフレーム9に溶接するための陽極リード11の露出部を得た。
更に皮膜を除去した陽極リード11にダイヤモンドコーティングした金属研磨材を用いて、陽極リード先端部14にV字状の凹部を加工した。そして陽極リード先端部14とCuを主成分とした幅2.5mm、厚み0.15mmからなる陽極リードフレーム9を溶接により接合した。この工程を行うにあたり、陽極リード先端部14にV字状の凹部に加工が施されたことによって、被溶接部の面積が減少し、接触抵抗が大きくなりジュール熱の発生量の増加が生じ、良好な溶接がなされ、かつ、V字状や矩形状に加工、または、円形に穿孔することにより形成された陽極リード凹部の内部にも陽極リードフレームの金属が回り込むように接合されることによって、大幅な溶接性改善が可能になる。
続いてコンデンサ素子13の外表面の陰極層と陰極リードフレームを導電性接着剤で接合し、外装樹脂にてコンデンサ素子13を封止した後、外装樹脂で覆われたコンデンサ素子13をフレームから切り離し、陽極リードフレーム8及び陰極リードフレーム9を折り曲げて固体電解コンデンサを得た。
尚、陽極リード先端部14の加工はダイヤモンドコーティングした研磨材による加工の他に、打ち抜き加工、水による加工方法であるウォータメスやレーザ光を用いて行ってもよい。
本発明と従来技術の結果を表1に示す。
本発明の実施例として、陽極リード先端部を金属研磨材を用いて図1(a)の形態に加工した。また、比較例として、従来技術である未加工の状態の陽極リード先端部との溶接強度を比較した。尚、溶接条件である通電電流、通電時間、加圧力は実施例、比較例とも同等にした。溶接強度の測定は陽極リードフレーム側を固定し、陽極リード先端部をプッシュプルゲージにて200mm/minの速度で荷重し実施した。また、電気特性測定に関しては、DCバイアス電圧1.5Vに設定し測定した。LC(リーク電流)に関しては、定格電圧を印加し30sec後の値を測定した。
Figure 2011014663
表1のESR及びLCの数値は比較例の不良数を「1」とした場合の結果である。溶接強度の数値は比較例の絶対値の平均を「1」とした場合の結果である。表1から伺えるようにESR不良、LC不良は比較例より実施例が減少しており、溶接強度に至っては比較例より実施例が大幅に向上している。これらの結果から本発明における有用性が伺える。
更に本発明の実施例として、前述した加工方法を用いて図1(b)、図1(c)の形態に加工した形状でも同様の比較をおこなったところ、表1と同等の結果が得られた。
1 陽極体
2 誘電体皮膜
3 陽極リード
4 絶縁皮膜
5 固体電解質層
6 グラファイト層
7 銀ペースト層
8 陰極リードフレーム
9 陽極リードフレーム
10 外装樹脂
11 陽極リード
12 導電性接着剤
13 コンデンサ素子
14 陽極リード先端部

Claims (5)

  1. 弁作用金属からなる多孔質の陽極体から扁平状の陽極リードが導出され、前記陽極体の表面に形成された誘電体層と、前記誘電体層上に順次形成された固体電解質層と陰極層とを有するコンデンサ素子と、前記陽極リードに接合された陽極リードフレームと、前記陰極層に接合された陰極リードフレームとを含む固体電解コンデンサであって、前記陽極リード先端部に凹部、または、孔部を有することを特徴とする固体電解コンデンサ。
  2. 前記陽極リード先端部は前記陽極リードフレームとの接合面に対し垂直な方向に開放された前記凹部を有することを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  3. 前記陽極リード先端部は前記陽極リードフレームとの接合面に対し垂直な方向に穿孔された前記孔部を有することを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  4. 前記陽極リード先端部の前記凹部、または、前記孔部は、研磨材により加工されたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
  5. 前記陽極リード先端部の前記凹部、または、前記孔部は、水または熱によって加工されたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
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