JP2015162262A - 電池機能回復方法、電池機能回復組成物およびその製造方法 - Google Patents

電池機能回復方法、電池機能回復組成物およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電池機能を効果的かつ速やかに回復し得る電池機能回復組成物を提供する。【解決手段】本発明の組成物は、液状媒体と、該液状媒体に分散した多層カーボンナノチューブとを含む電池機能回復組成物である。組成物全体に対する多層カーボンナノチューブの濃度が1質量%以上50質量%以下である。組成物の粘度が8000cP以下である。多層カーボンナノチューブのアスペクト比の平均値が50〜200である。【選択図】図1

Description

本発明は、電池の機能回復方法に関する。また本発明は、該電池機能回復方法に用いられる組成物に関する。さらには、該組成物の製造方法に関する。
鉛蓄電池その他の二次電池は、自動車のバッテリーや商用電源のバックアップ電源等として広く用いられている。鉛蓄電池の一つの典型的な構成では、正極に酸化鉛、負極に鉛、電解液に希硫酸が用いられている。かかる鉛蓄電池では、放電を行うと、負極の鉛が硫酸鉛、正極の酸化鉛が硫酸鉛となり、正極で水が生成する。かかる放電に伴い、負極の表面に硫酸鉛の絶縁性結晶が析出するサルフェーションが発生し、電池機能が劣化することが知られている。また、正極についても充放電を繰り返すうちに酸化鉛が格子電極から滑落して機能劣化を起こすことが知られている。このように低下した鉛蓄電池の機能を回復させる技術として、従来種々の手法が提案されている。例えば特許文献1には、電解液に対して炭素懸濁液からなる再生剤を添加することにより鉛蓄電池を再生することが記載されている。
特開2008−97900号公報
しかしながら、従来の電池再生剤では、性能の落ちた電池の寿命を多少引き延ばすことはできても、電池機能を効果的かつ速やかに回復することが難しかった。本発明は上記課題を解決するものである。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、高アスペクト比、高濃度かつ高分散の多層カーボンナノチューブ分散液を電池再生剤として用いることにより、電池機能を効果的かつ速やかに回復し得ることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明によって提供される組成物は、液状媒体と、該液状媒体に分散した多層カーボンナノチューブとを含む電池機能回復組成物である。この組成物は、該組成物全体に対する前記多層カーボンナノチューブの濃度が1質量%以上50質量%以下である。また、前記組成物の粘度が8000cP以下である。そして、前記多層カーボンナノチューブのアスペクト比の平均値が50〜200である。
ここで開示される電池機能回復組成物(すなわち電池機能回復剤)では、1質量%以上50質量%以下であるような高濃度(かつ50〜200であるような高アスペクト比)の多層カーボンナノチューブ分散液であるにもかかわらず、8000cPと粘度が低く(分散性が高く)なっている。かかる高アスペクト比、高濃度かつ高分散の多層カーボンナノチューブ分散液からなる組成物は、カーボンナノチューブの凝集塊が少なく、電池の電極に少量添加するだけで該電極の不活性部分にカーボンナノチューブが速やかに付着し、電極全体に好適な導電ネットワークを形成することができる。これにより、電極の不活性部分にも電流が流れるようになり、低下した電池機能を効果的かつ速やかに回復することができる。
また、上記組成物は、攪拌等の操作を行わずに常温で静置しても、多層カーボンナノチューブが凝集して沈降することなく良好な分散状態を長期間にわたって維持することができる。そのため、使用直前に、攪拌等の分散処理(多層カーボンナノチューブの凝集塊を解く作業)を行う必要がなく、作業効率を低下させることはない。このため、該組成物は電池再生剤として扱い易く、この点においても技術的価値が高い。
ここに開示される電池機能回復組成物の好ましい一態様では、前記液状媒体が、希硫酸または水である。かかる構成によると、電池性能に悪影響を及ぼすことなく、電池機能回復組成物としてより容易に使用できる。
ここに開示される電池機能回復組成物の好ましい一態様では、前記組成物中の多層カーボンナノチューブの少なくとも50個数%以上は、該多層カーボンナノチューブの長さが1μm〜10μmである。このことによって、前述した電池機能回復効果が発揮されやすくなる。
ここに開示される電池機能回復組成物の好ましい一態様では、前記組成物の粘度が20cP以上8000cP以下である。このことによって、前述した電池機能回復効果がより良く発揮され得る。
ここに開示される電池機能回復組成物の好ましい一態様では、前記組成物全体に対する前記多層カーボンナノチューブの濃度が1質量%以上25質量%以下である。このことによって、前述した電池機能回復効果が発揮されやすくなる。
本発明によると、また、電池の機能を回復させる方法が提供される。この電池機能回復方法は、ここに開示されるいずれかの電池機能回復組成物を、電池の電解液に添加することを特徴とする。かかる電池機能回復方法によると、上記組成物を電池の電解液に添加することにより、電池機能を効果的かつ速やかに回復し得る。これにより、電池の長寿命化を図ることができる。
本発明によると、また、液状媒体と、該液状媒体に分散した多層カーボンナノチューブとを含む電池機能回復組成物を製造する方法が提供される。この製造方法は、前記液状媒体を分散用容器に投入することを包含する。また、前記分散用容器に前記多層カーボンナノチューブを投入し、当該分散用容器の内容物の粘度を100cP〜100000cPの間に調整することを包含する。さらに、前記内容物の粘度が10cP〜50000cPの間で設定した分散目標値になるまで前記分散用容器の内容物をアニュラーギャップタイプのビーズミルを用いて分散処理することを包含する。そして、前記分散用容器の内容物の多層カーボンナノチューブ濃度が所望の値になるまで前記多層カーボンナノチューブの投入と前記分散処理を繰り返すことを特徴とする。
ここで開示される製造方法では、アニュラーギャップタイプのビーズミルを用いて分散処理を行うことで上記内容物に含まれる多層カーボンナノチューブ(CNTs)を分断する。これによって、液状媒体に投入する前よりも短尺の多層カーボンナノチューブ(CNTs)を分散させることができる。短尺の多層カーボンナノチューブ(CNTs)は、長尺の多層カーボンナノチューブ(CNTs)と比べて分散性が高く凝集塊を形成し難い。このため、高濃度であっても多層カーボンナノチューブ(CNTs)が均質に分散した機能回復組成物を調製することができる。
さらに、ここで開示される製造方法では、所定の投入目標値になるように分散用容器の内容物の粘度を調整してから、所定の分散目標値になるまで分散処理を行う。そして、所望の濃度の分散液(好ましくは分散用容器の内容物全体の多層カーボンナノチューブ濃度(含有量)が1質量%〜50質量%となる分散液)が得られるまで、上記多層カーボンナノチューブ(CNTs)の投入と分散処理を繰り返す。これによって、一度に多量の多層カーボンナノチューブ(CNTs)が投入されてしまうことで、分散処理前に多数の凝集塊が形成され、分散処理が困難になることを防止している。
また、ここで開示される製造方法では、典型的には、多層カーボンナノチューブを容器に投入する際の粘度調整値(以下、投入目標値ともいう。)が100cP〜100000cPの間に設定されている。かかる数値範囲内で投入目標値を設定することによって、分散処理を好適に実施でき、且つ、多層カーボンナノチューブ分散液の生産性を高めることができる。
また、ここで開示される製造方法では、典型的には、上記分散目標値が10cP〜50000cPの間で設定されている。かかる数値範囲内で分散目標値を設定することによって、分散処理後の多層カーボンナノチューブが必要以上に短尺になることを防止することができる。また、液状媒体全体に多層カーボンナノチューブ(CNTs)を均質に分散させることができ、且つ、生産性を高めることができる。
以上のとおり、ここで開示される製造方法によれば、高濃度の多層カーボンナノチューブ(CNTs)を含む機能回復組成物であっても液中に多層カーボンナノチューブ(CNTs)を均質に分散させることができる。このような高濃度且つ高分散の多層カーボンナノチューブ分散液は、電池機能回復組成物として好適に使用することができる。
図1は、ここで開示される製造方法を実施するための装置(電池機能回復組成物の製造装置)の一例を模式的に示した図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書及び図面に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
<電池機能回復組成物>
ここに開示される組成物は、二次電池(例えば鉛蓄電池)の機能を回復させる電池機能回復組成物である。該組成物は、液状媒体に多層カーボンナノチューブが分散した組成物であり、多層カーボンナノチューブが高濃度に含有されたインク状組成物、或いはペースト状組成物を包含する。すなわち、この組成物は、液状媒体と、該液状媒体に分散した多層カーボンナノチューブとを含んでいる。
<多層カーボンナノチューブ>
上記組成物に用いられる多層カーボンナノチューブの種類は、本発明を特に限定するものではない。例えば、アーク放電法、レーザ蒸発法、化学気相成長法(CVD法)等の各種方法により製造された多層カーボンナノチューブ(CNTs)を適宜選択して用いることができる。多層(例えば3層〜200層、好ましくは4層〜60層)のカーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブよりも原子間の結晶性が低いため、後述する分散処理において長尺方向に対して直交する方向に分断することが容易である。これによって、多層カーボンナノチューブのチューブ構造を適切に維持したまま該多層カーボンナノチューブが均質に分散された組成物を得ることができる。
上記多層カーボンナノチューブには、作製時に生じた不純物(例えば、アモルファスカーボン等の炭素成分や触媒金属等)が含まれていてもよい。また、上記多層カーボンナノチューブは、上記不純物を除去するための任意の後処理(例えばアモルファスカーボンの除去、触媒金属の除去等の精製処理)を施したものであってもよい。
上記組成物中の多層カーボンナノチューブの少なくとも50個数%以上(好ましくは80個数%以上、より好ましくは90個数%以上)は、該多層カーボンナノチューブの直径(典型的には電子顕微鏡観察に基づく計測値)が1nm〜300nm(好ましくは5nm〜200nm、例えば10nm〜150nm)であることが好ましい。また、上記組成物中の多層カーボンナノチューブの少なくとも50個数%以上(好ましくは80個数%以上、より好ましくは90個数%以上)は、該多層カーボンナノチューブの長さ(典型的には電子顕微鏡観察に基づく計測値)が少なくとも概ね1μm以上(好ましくは1μm〜10μm)であり、概ね3μm以上(典型的には3μm〜100μm、好ましくは3μm〜50μm、例えば3μm〜30μm)であることが好ましい。
さらに、多層カーボンナノチューブのアスペクト比(多層カーボンナノチューブの長さ/直径)の平均値は、概ね50以上であるとよい。かかるアスペクト比が大きいほど、該組成物を電池に添加した際に電極の不活性部分にカーボンナノチューブが付着しやすくなり、電極全体に好適な導電ネットワークを形成しやすい(ひいては電池機能を回復しやすい)というメリットがある。多層カーボンナノチューブのアスペクト比の平均値は、概ね50以上にすることが適当であり、好ましくは80以上であり、より好ましくは100以上であり、特に好ましくは150以上である。その一方、多層カーボンナノチューブのアスペクト比が大きすぎると、多層カーボンナノチューブが凝集塊を形成しやすいというデメリットが生じ得る。しかし、後述する分散処理によれば、高アスペクト比のカーボンナノチューブでも均質に分散させることができるため、上記デメリットを解消することができる。多層カーボンナノチューブのアスペクト比の上限は特に限定されないが、分散安定性の観点からは、概ね200以下にすることが適当であり、好ましくは180以下であり、より好ましくは150以下であり、さらに好ましくは100以下であり、特に好ましくは80以下である。例えば、多層カーボンナノチューブのアスペクト比が50〜180(好ましくは80〜120)である組成物が、電池性能回復効果と分散安定性とを両立させる観点から好適である。
<液状媒体>
上記多層カーボンナノチューブを分散させる液状媒体は、水系溶媒(典型的には精製水)や、非水系溶媒(例えば、トルエン、N−メチル−2ピロリドン(NMP)、メチルエチルケトンなど)を好ましく用いることができる。これらの溶媒を用いることによって、電池性能に悪影響を及ぼすことなく(例えば電解液の濃度を過度に増大させることなく)、電池機能回復組成物としてより好適に使用することができる。あるいは、上記多層カーボンナノチューブを分散させる液状媒体は、電解液の溶媒と同種の液状媒体であってもよい。例えば、処理対象となる電池が鉛蓄電池であり、該鉛蓄電池の電解液が希硫酸である場合には、電解液と同種の希硫酸を用いてもよい。
<多層カーボンナノチューブの濃度>
ここで開示される電池機能回復組成物は、該組成物全体を100質量%とした場合に、上記多層カーボンナノチューブの濃度(含有量)を1質量%以上にすることができる。このような高濃度の多層カーボンナノチューブを含む組成物は、電池の電極に少量添加するだけで該電極全体に好適な導電ネットワークを形成することができる。そのため、電池の機能を回復しやすいというメリットがある。多層カーボンナノチューブの濃度としては、概ね1質量%以上にすることが適当であり、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上であり、さらに好ましくは20質量%以上であり、特に好ましくは30質量%以上である。その一方、多層カーボンナノチューブの濃度が大きすぎると、多層カーボンナノチューブが凝集塊を形成しやすいというデメリットも生じ得るが、後述する分散処理によれば、高濃度のカーボンナノチューブでも均質に分散させることができるため、そのようなデメリットを解消することができる。多層カーボンナノチューブの濃度の上限は特に限定されないが、分散安定性の観点からは、概ね50質量%以下にすることが適当であり、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは30質量%である。例えば、多層カーボンナノチューブの濃度が10質量%〜50質量%(例えば10質量%〜35質量%)である組成物が、電池性能回復効果と分散安定性とを両立させる観点から好適である。
<粘度>
ここで開示される電池機能回復組成物の粘度は、概ね8000cP以下である。かかる組成物の粘度が小さいほど、多層カーボンナノチューブが均質に分散している。そのため、該組成物を電池に添加した際に電極の不活性部分にカーボンナノチューブが付着しやすくなり、電極全体に好適な導電ネットワークを形成しやすい(ひいては電池機能を回復しやすい)というメリットがある。組成物の粘度としては、概ね8000cP以下にすることが適当であり、好ましくは6000cP以下であり、より好ましくは4000cP以下であり、さらに好ましくは3000cP以下であり、特に好ましくは2000cP以下である。組成物の粘度の下限は特に限定されないが、製造容易性の観点からは、概ね10cP以上にすることが適当であり、好ましくは20cP以上であり、より好ましくは50cP以上であり、さらに100cP以上であり、特に好ましくは1000cP以上である。例えば、粘度が20cP〜8000cP(例えば100cP〜6000cP、さらには1000cP〜5000cP、2000cP〜4000cP)である組成物が、電池性能回復効果と製造容易性とを両立させる観点から好適である。なお、粘度の測定はこの種の分散液の粘度を測定するのに使用される一般的な粘度計、例えば市販されるB型粘度計、回転円筒型粘度計等を使用して簡単に測定することができる。
<その他の含有物>
ここで開示される電池機能回復組成物は、上述の多層カーボンナノチューブおよび液状媒体以外に、必要に応じて各種の添加材を副成分として用いてもよい。かかる添加剤としては、例えば、分散剤、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤等が挙げられる。
分散剤としては、液状媒体の種類に応じて適宜選択することができる。例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、アクリル樹脂エマルジョン、水溶性アクリル系ポリマー、スチレンエマルジョン、シリコンエマルジョン、アクリルシリコンエマルジョン、フッ素樹脂エマルジョン、EVAエマルジョン、酢酸ビニルエマルジョン、塩化ビニルエマルジョン、ウレタン樹脂エマルジョン、ポリビニルブチラール(例えば、積水化学工業株式会社製のエスレック(商標)BL−10、BX−L)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂などを好ましく用いることができる。上記分散剤の添加量は、多層カーボンナノチューブを100質量%として、1質量%〜100質量%程度であるとよい。これによって、より好適に多層カーボンナノチューブを液状媒体中に分散させることができる。
界面活性剤としては、非イオン性またはアニオン性のものを好ましく採用し得る。電池に添加したときの安定性の観点から、非イオン性の活性剤がより好ましい。例えば、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェノールエーテル(トリトンX−100)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(SDBS)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、セチルトリメチルアンモニウム臭化物(CTAB)、コール酸ナトリウム;等の活性剤が例示される。上記界面活性剤の添加量は、多層カーボンナノチューブを100質量%として、0.1質量%〜50質量%(好ましくは10質量%以下、特に好ましくは5質量%以下)程度であるとよい。これによって、より好適に多層カーボンナノチューブを液状媒体中に分散させることができる。
<電池機能回復液>
ここに開示される電池機能回復組成物は、典型的には該組成物を含む電池機能回復液の形態で電池の電極(例えば鉛蓄電池の正極および負極)に供給されて、その電池の再生に用いられる。上記電池機能回復液は、例えば、ここに開示されるいずれかの電池機能回復組成物を希釈(典型的には、前記液状媒体により希釈)して調製されたものであり得る。あるいは、該電池機能回復組成物をそのまま電池機能回復液として使用してもよい。すなわち、ここに開示される技術における電池機能回復組成物の概念には、電池に供給されて該電池の再生に用いられる電池機能回復液と、希釈して電池機能回復液として用いられる濃縮液(電池機能回復液の原液)との双方が包含される。
ここに開示される電池機能回復液における多層カーボンナノチューブの濃度(含有量)は特に制限されないが、典型的には0.01質量%以上であり、0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることがさらに好ましく、1質量%以上であることが特に好ましい。多層カーボンナノチューブの含有量の増大によって、より高い機能回復が実現され得る。また、電池機能回復組成物の分散安定性等の観点から、通常は、上記含有量は、30質量%以下が適当であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
<濃縮液>
ここに開示される電池機能回復組成物は、電池に供給される前には濃縮された形態(すなわち、電池機能回復液の濃縮液の形態)であってもよい。このように濃縮された形態の電池機能回復組成物は、製造、流通、保存等の際における利便性やコスト低減等の観点から有利である。濃縮倍率は、例えば、体積換算で2倍〜100倍程度とすることができ、通常は5倍〜50倍程度が適当である。好ましい一態様に係る電池機能回復組成物の濃縮倍率は5倍〜20倍であり、特に好ましくは5倍〜10倍である。
このように濃縮液の形態にある電池機能回復組成物は、所望のタイミングで希釈して電池機能回復液を調製もしくは該組成物をそのまま電池機能回復液として使用し、その電池機能回復液を電池に供給する態様で使用することができる。上記希釈は、典型的には、上記濃縮液に前述の液状媒体を加えて混合することにより行うことができる。
<用途>
ここに開示される電池機能回復組成物は、種々の電池の再生処理に適用され得る。適用対象となる電池は、繰り返し充放電可能な蓄電デバイスであればよく、例えば、鉛蓄電池、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等の蓄電池ならびに電気二重層キャパシタ等の蓄電素子であり得る。以下、ここに開示される電池機能回復組成物を用いて鉛蓄電池の機能を回復させる方法の好適な一態様につき説明する。
すなわち、ここに開示されるいずれかの電池機能回復組成物を含む電池機能回復液を用意する。上記回復液を用意することには、電池機能回復組成物に、濃度調整(例えば3〜10倍の希釈)等の操作を加えて電池機能回復液を調製することが含まれ得る。あるいは、上記電池機能回復組成物をそのまま電池機能回復液として使用してもよい。
次いで、その電池機能回復液を鉛蓄電池の電解液に供給(添加)する。電池機能回復液を鉛蓄電池の電解液に加えると、電池機能回復液に均一に分散している多層カーボンナノチューブが電極の不活性部分(例えば硫酸鉛の結晶で覆われている部分や、酸化鉛が滑落している部分)に付着し、電極全体に好適な導電ネットワークを形成する。これにより、電極の不活性部分にも電流が流れるようになり、低下した電池機能(例えば電圧や電池容量)を元の状態まで回復することができる。なお、必要に応じて、電池機能回復液を鉛蓄電池の電解液に供給した後、鉛蓄電池に対して1回もしくは複数回の充放電操作(例えばパルス充放電)を行ってもよい。これにより、多層カーボンナノチューブが電極に付着し易くなるので、上述した作用効果がより良く発揮され得る。
電池機能回復液の添加量としては特に限定されるものではなく、多層カーボンナノチューブの濃度によっても異なり得る。例えば多層カーボンナノチューブの濃度が0.1〜1質量%の場合、電池機能回復液の添加量は、電解液1リットル(L)当たり1mL〜100mLとすることが好ましく、1mL〜10mLとすることがより好ましい。
なお、上記組成物は、攪拌等の操作を行わずに常温で静置しても、多層カーボンナノチューブが凝集して沈降することなく良好な分散状態を長期間にわたって維持することができる。そのため、使用直前に、攪拌等の分散処理(多層カーボンナノチューブの凝集塊を解く作業)を行う必要がなく、作業効率を低下させることはない。このため、該組成物は電池機能回復液として扱い易く、この点においても技術的価値が高い。
<電池機能回復組成物の製造方法>
次に、ここに開示される電池機能回復組成物の製造方法を説明する。
<原料の用意>
先ず、ここで開示される製造方法で用いられる原料について説明する。ここで開示される製造方法では、原料として多層カーボンナノチューブと前述した液状媒体とを用いる。また、カーボンナノチューブと液状媒体以外にも、分散剤として機能する高分子化合物を副原料などとして用いてもよい。
上記組成物の原料として使用される多層カーボンナノチューブ(すなわち、分散対象となる多層カーボンナノチューブ)のアスペクト比の平均値は、前述した電池機能回復組成物中の多層カーボンナノチューブのアスペクト比と同等であるか、それよりも大きいことが好ましい。つまり、後述する分散処理において、原料の多層カーボンナノチューブが分断され、アスペクト比が低下傾向になる。そのため、該分散処理によるアスペクト比の低下分を予め考慮して該原料の多層カーボンナノチューブのアスペクト比を大きめに調整しておくとよい。例えば、ここで開示される製造方法によれば、原料として用いるカーボンナノチューブのアスペクト比(カーボンナノチューブの長さ/直径)の平均値は、10〜1000(典型的には100〜1000、好ましくは100〜500、より好ましくは100〜300)であるとよい。
<液状媒体の投入>
次に、ここで開示される製造方法の各工程について説明する。ここで開示される製造方法では、先ず、上記液状媒体を分散用容器に投入する。分散用容器は、上記液状媒体と上記多層カーボンナノチューブとを収容し分散できる容器であればよく、特に本発明を限定するものではない。なお、液状媒体の投入を実施する前に、所望の濃度の分散液が得られるように、上述の各原料を計量しておくとよい。
また、上記分散剤として機能する高分子化合物を用いる場合には、上記液状媒体の投入後、後述の多層カーボンナノチューブの投入前若しくは該投入と同時に、分散剤を液状媒体に添加するとよい。この場合、分散剤を添加した液状媒体をよく撹拌し、液状媒体中に分散剤を溶解させる。これによって、多層カーボンナノチューブ同士が凝集することを防止することができる。
<多層カーボンナノチューブの投入(添加)>
次に、上記分散用容器に多層カーボンナノチューブを投入する。粉状の多層カーボンナノチューブ製造物を原料として用いる場合、静かに多層カーボンナノチューブ(CNTs)を投入した後にしばらく静置し、分散容器の内容物をゆっくりと撹拌(例えば、1200rpm程度)するとよい。これによって、投入時に液状媒体上で浮遊している多層カーボンナノチューブが空気中へ舞い上がることを防止できる。上記多層カーボンナノチューブを分散用容器に投入し撹拌することによって低分散の多層カーボンナノチューブ分散液が調製され、分散用容器の内容物の粘度が上昇する。
また、ここで開示される製造方法では、上記内容物(低分散の多層カーボンナノチューブ分散液)の粘度が予め定めた投入目標値(目標範囲)になるように、多層カーボンナノチューブを分散容器内に投入する。上記「投入目標値」とは、原液を調製する際に多層カーボンナノチューブ同士が必要以上に凝集し、後述の分散処理を好適に実施することが難しくなるのを防止するために予め定める値である。かかる投入目標値は、100cP〜100000cPの範囲内で定めると好ましい。かかる投入目標値の一例として10000cP〜60000cP程度が挙げられる。投入目標値を極端に高く設定すると、分散容器の内容物が必要以上に高くなり、後述の分散処理が好適に実施できなくなるおそれがある。一方、極端に低く設定すると、多層カーボンナノチューブの再投入と分散処理とを繰り返す回数が多くなり、生産性が低下してしまう。上記数値範囲内で投入目標値を設定することによって、分散処理を好適に実施でき、且つ、ここで開示される製造方法の生産性を高めることができる。
ここで開示される製造方法では、典型的には、分散容器の内容物の粘度が上記投入目標値(目標範囲)になるまで多層カーボンナノチューブの投入と撹拌を続ける。そして、粘度が投入目標値(目標範囲)に達したら、多層カーボンナノチューブの投入を停止し、分散処理を開始する。なお、実際に多層カーボンナノチューブを投入する際に、投入目標値に対する内容物の粘度に誤差が生じることは当然許容される。例えば当該誤差範囲としては、投入目標値±500cP程度でよい。
<分散処理>
次に、ここで開示される製造方法では、上記分散用容器の内容物をアニュラーギャップタイプのビーズミルを用いて分散処理する。アニュラーギャップタイプのビーズミルとは、円筒状のローターとこれと同心円の円筒状ステーターの隙間に分散室が形成された装置である。このビーズミルでは、上記分散室内にビーズと試料を充填し、ローターを回転させることによって分散室内の対象を分散する。このアニュラーギャップタイプのビーズミルは、上記ローターと上記ステーターの間隙が狭く設定されており、分散のためのエネルギー密度が高められている。上記アニュラーギャップタイプのビーズミルの分散速度は周速5m/s〜25m/s(好ましくは8m/s〜20m/s、例えば15m/s)であるとよい。
上述のようなビーズミルで分散容器の内容物を分散処理することによって、内容物中の多層カーボンナノチューブを分断することができる。これによって得られる短尺の多層カーボンナノチューブは、分散液全体に対する多層カーボンナノチューブ濃度が高い場合であっても、均質に分散させることができる。例えば、平均長さが5μmを超えるようなカーボンナノチューブ(CNTs)を分散処理することによって、全体の80%以上(好適には90%以上)の数の多層カーボンナノチューブを5μm以下に調整することができ、分散性を向上させることができる。
ここでの分散処理では、分散容器の内容物の粘度を予め定めた分散目標値以下にする。「分散目標値」とは、分散容器の内容物が均質に分散されるとともに、多層カーボンナノチューブが必要以上に分断されることを防止するために予め定める値である。この分散目標値を極端に高く設定すると、多層カーボンナノチューブの再投入と分散処理とを繰り返す回数が多くなり、生産性が低下してしまう。また、分散目標値を極端に低く設定すると、多層カーボンナノチューブの分断が進み、非常に短尺な多層カーボンナノチューブが形成されてしまうので、多層カーボンナノチューブの特性を損なうおそれがある。また、計量した多層カーボンナノチューブを全て投入した後の分散目標値は、所望の分散性が得られるような粘度に設定するとよい。かかる分散目標値は、例えば10cP〜50000cP(例えば10cP〜10000cP)の範囲内で定めると好ましい。かかる分散目標値の一例として1000cP〜8000cP程度が挙げられる。この場合、粘度が8000cP以下という高分散な多層カーボンナノチューブ分散液を得られるとともに、分散されている多層カーボンナノチューブが必要以上に短尺になることを防止することができる。このとき得られる多層カーボンナノチューブのアスペクト比の平均値は、例えば、分断前の25%〜75%となる。
ここで開示される製造方法では、上記分散処理によって分散容器の内容物(低分散の多層カーボンナノチューブ分散液)が均質に分散されていくに従って当該内容物の粘度が低下する。かかる分散容器の内容物の粘度を計測し続けて、上記分散目標値になった場合に分散処理を一旦停止して次工程を開始する。なお、分散処理においても、分散目標値に対する内容物の粘度に誤差が生じることは当然許容される。当該誤差範囲としては、分散目標値±500cP程度である。
<カーボンナノチューブの再投入、分散処理>
ここで開示される製造方法では、上記分散用容器の内容物の多層カーボンナノチューブ濃度が所望の値になるまで上記多層カーボンナノチューブの投入と上記分散処理を繰り返すことを特徴とする。より具体的には、ここで開示される製造方法では、上記分散処理にて分散容器の内容物の粘度が分散目標値になった場合に分散処理を一旦停止する。そして、内容物の粘度が投入目標値になるまで分散容器に多層カーボンナノチューブを再投入し、分散目標値になるまで再び分散処理を行う。ここで開示される製造方法では、このように「多層カーボンナノチューブの投入」と「分散処理」とを繰り返すことによって、分散容器の内容物(多層カーボンナノチューブ分散液:電池機能回復組成物)の粘度を低く維持したままで、多層カーボンナノチューブ濃度を所望の値に近づけて行くことができる。これによって、高分散且つ高濃度の多層カーボンナノチューブ分散液(電池機能回復組成物)を得ることができる。
このようにして 、上述の製造方法では、目標とする濃度と分散目標値を適宜調整することによって、多層カーボンナノチューブが液状媒体に高濃度に分散した電池機能回復組成物を得ることができる。
例えば、ここで開示される製造方法によれば、多層カーボンナノチューブの濃度が1質量%以上50%質量以下(好ましくは1質量%以上30質量%以下)であり、且つ、粘度が8000cP以下(例えば10cP〜8000cP、好ましくは10cP〜5000cP)である電池機能回復組成物を得ることができる。かかる電池機能回復組成物は、カーボンナノチューブ濃度が高いにもかかわらず高分散性であるため、例えば、鉛蓄電池に添加される電池機能回復液として好ましく用いることができる。
<試験例1>
以上、本発明の一実施形態について説明した。次に、ここで開示される製造方法の具体的な試験例を説明する。なお、かかる試験例の説明は本発明を以下に紹介するものに限定する意図ではない。
ここで説明する試験例では、図1に示すような装置(電池機能回復組成物の製造装置)100を用いる。この製造装置100は、図1に示すように、貯蔵部10と連結部20と分散部30とを備えている。
A.貯蔵部
図1に示すように、貯蔵部10は、分散容器の内容物(液状媒体と多層カーボンナノチューブ)を貯蔵しておく部分であり、貯留槽12と攪拌機14とを備えている。また、貯留槽12には、粘度計(図示省略)が取り付けられている。貯留槽12には、上記攪拌機14が取り付けられており、当該攪拌機14が稼働することによって貯留槽12内の内容物が撹拌される。
B.連結部
連結部20は、上記貯蔵部10と後述の分散部30とを連結する部分であり、供給管22と排出管24とを備えている。供給管22にはポンプ26が設けられている。上記貯留槽12内の内容物(低分散の多層カーボンナノチューブ分散液)は、上記ポンプ26が稼働することによって分散部30に供給される。また、排出管24は、分散部30を通過した多層カーボンナノチューブ分散液が貯留槽12に戻ってくるように設けられている。すなわち、図1に示す構成の製造装置100では、貯蔵部10と分散部30との間で連結部20を介して多層カーボンナノチューブ分散液を循環させることができる。
C.分散部
分散部30は、上記アニュラーギャップタイプのビーズミルで構成されている。より具体的には、分散部30は、円筒状のローターとこれと同心円の円筒状ステーターとを備えており、その隙間に分散室32が形成されている。分散室32にはビーズが充填されており、上記ローターが回転すると充填されているビーズによって分散室32内の多層カーボンナノチューブ分散液がより高度に分散される。
上記製造装置100を用いた製造方法の手順は以下のとおりである。
<原液の調製>
ここでは、先ず、上記貯留槽12に貯蔵する原液(低分散の多層カーボンナノチューブ分散液)を調製する。具体的には、上記貯留槽12に液状媒体を投入し、攪拌機14を稼働する。このとき、何らかの添加物(例えば、分散剤)を用いる場合には、撹拌速度を1200rpm程度に設定して液状媒体に添加物を少量ずつ添加する。ここでは、所望の濃度の分散液を得るために必要な多層カーボンナノチューブを予め計量しておき、該計量した多層カーボンナノチューブを液状媒体に少量ずつ投入する。上述したように、多層カーボンナノチューブを投入するに従って、貯留槽12の内容物(低分散の多層カーボンナノチューブ分散液)の粘度が上昇する。そして、当該粘度が、予め定めた投入目標値(例えば、60000cP)になったら、計量した多層カーボンナノチューブが残っていても投入を停止する。
<分散処理>
次に、連結部20のポンプ26を稼働し、貯留槽12の内容物を供給管22、分散部30、排出管24の順で製造装置100内にて循環させる。排出管24から安定的に内容物が排出されるようになったら(内容物の循環が安定したら)、分散部30(アニュラーギャップタイプのビーズミル)を稼働させる。これによって、分散部30に供給された内容物が分散室32内で分散される。そして、分散部30で分散された内容物(高分散の多層カーボンナノチューブ分散液)は、上記排出管24を通じて貯留槽12に排出される。すなわち、分散処理では、貯留槽12から分散部30に高粘度の分散液を供給し、分散部30で分散された分散液が貯留槽12に戻す。これによって、貯留槽12の内容物の粘度が経時的に低下する。
上記分散処理を継続して、貯留槽12内の内容物の粘度が分散目標値(例えば、8000cP)になったら内容物の循環を停止する。そして、未投入分の多層カーボンナノチューブを貯留槽12に少しずつ投入しながら、貯留槽12の内容物を撹拌する。そして、内容物の粘度が上述の投入目標値になったら投入を一端停止して、上述の分散目標値になるまで分散処理を実施する。ここでは、予め計量した多層カーボンナノチューブを全て投入するまで上述の処理を繰り返す。
<回収>
計量した多層カーボンナノチューブを全て投入した後の分散処理で貯留槽12の内容物の粘度が分散目標値になったら供給管22を貯留槽12から外す。そして、排出管24から貯留槽12への内容物の戻りがなくなるまでポンプ26を稼働させる。これによって、貯留槽12に、所望の濃度(例えば10質量%〜50質量%)であり、且つ、高分散(粘度8000cP以下)の多層カーボンナノチューブを含む電池機能回復組成物が回収される。
以上、本発明の一試験例である装置100を用いた製造方法を説明した。次に、かかる製造装置100を用いた分散処理の前後における多層カーボンナノチューブの状態を電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)で観察した。具体的には、形態の異なるカーボンナノチューブを分散させたサンプル1およびサンプル2を用意し、各例における分散処理前後の多層カーボンナノチューブの状態を観察した。
(サンプル1)
サンプル1では、直径30nm、平均長さ3μmであるアスペクト比(平均値)100の多層カーボンナノチューブを原料として用いた。また、液状媒体(ここでは純水)には、分散剤としてのCMCを液状媒体(純水)の1質量%に相当する量だけ添加した。そして、上記製造装置100を用いて、サンプル1の電池機能回復組成物を調製した。その結果、サンプル1の多層カーボンナノチューブのアスペクト比(平均値)は50になっており、比較的に短尺なカーボンナノチューブが液状媒体全体に均質に分散された電池機能回復組成物が得られた。サンプル1では、多層カーボンナノチューブ濃度は5質量%、組成物の粘度は8000cPに設定した。
(サンプル2)
サンプル2では、直径10nm、平均長さ3μmであるアスペクト比平均値300の多層カーボンナノチューブを原料として用いた。なお、アスペクト比の平均値が異なる点を除いて、上記サンプル1と同じ条件で調製した。その結果、サンプル2の多層カーボンナノチューブのアスペクト比(平均値)は150になっており、比較的に短尺なカーボンナノチューブが液状媒体全体に均質に分散された電池機能回復組成物が得られた。
<試験例2>
サンプル1,2に係る組成物の電池機能回復効果を確認するため、以下の再生試験を行った。すなわち、サンプル1,2の各組成物を約3倍に希釈して電池機能回復液を調製した(多層カーボンナノチューブ濃度:0.5質量%)。また、バッテリー電圧(端子間電圧)が劣化した鉛蓄電池(28B17サイズの車載用バッテリーを使用した。)を複数用意し、該鉛蓄電池の電解液にサンプル1,2の電池機能回復液を100mL添加した。そして、所定の充放電パルス操作を行った後、再生試験後におけるバッテリー電圧を測定した。また、比較のために、多層カーボンナノチューブに代えて、カーボンブラックを添加したサンプル3に係る電池機能回復液を作製した。カーボンブラックの濃度は0.5質量%とした。そして、同様の手順でサンプル3の電池機能回復液100mLを鉛蓄電池の電解液に添加して再生試験を行い、再生試験後におけるバッテリー電圧を測定した。
その結果、多層カーボンナノチューブを用いたサンプル1,2では、バッテリー電圧が回復して新品に近い再生能力が確認できたのに対し、カーボンブラックを用いたサンプル3では、サンプル1,2ほどの再生能力が確認できなかった。
以上の結果から、本試験例によると、高アスペクト比、高濃度かつ高分散の多層カーボンナノチューブ分散液を電池機能回復組成物として用いることによって、電池機能を効果的かつ速やかに回復することができた。そのため、本構成によると、電池の長寿命化を実現することができる。
以上、本発明の一実施形態に係る電池機能回復方法および電池機能回復組成物を説明したが、本発明に係る電池機能回復方法および電池機能回復組成物は、上述した何れの実施形態にも限定されず、種々の変更が可能である。
10 貯蔵部
12 貯留槽
14 攪拌機
20 連結部
22 供給管
24 排出管
26 ポンプ
30 分散部
32 分散室
100 製造装置

Claims (11)

  1. 液状媒体と、該液状媒体に分散した多層カーボンナノチューブとを含む電池機能回復組成物であって、
    前記組成物全体に対する前記多層カーボンナノチューブの濃度が1質量%〜50質量%であり、
    前記組成物の粘度が8000cP以下であり、
    前記多層カーボンナノチューブのアスペクト比の平均値が50〜200である、電池機能回復組成物。
  2. 前記液状媒体が、希硫酸または水である、請求項1に記載の電池機能回復組成物。
  3. 前記組成物中の多層カーボンナノチューブの少なくとも50個数%以上は、該多層カーボンナノチューブの長さが1μm〜10μmである、請求項1または2に記載の電池機能回復組成物。
  4. 前記組成物の粘度が20cP〜8000cPである、請求項1〜3の何れか一つに記載の電池機能回復組成物。
  5. 前記組成物全体に対する前記多層カーボンナノチューブの濃度が10質量%〜50質量%である、請求項1〜4の何れか一つに記載の電池機能回復組成物。
  6. 電池の機能を回復させる電池機能回復方法であって、
    請求項1〜5の何れか一つに記載の電池機能回復組成物を、電池の電解液に添加する、電池機能回復方法。
  7. 液状媒体と、該液状媒体に分散した多層カーボンナノチューブとを含む電池機能回復組成物を製造する方法であって:
    前記液状媒体を分散用容器に投入すること;
    前記分散用容器に前記多層カーボンナノチューブを投入し、当該分散用容器の内容物の粘度を100cP〜100000cPの間に調整すること;
    前記内容物の粘度が10cP〜50000cPの間で設定した分散目標値になるまで前記分散用容器の内容物をアニュラーギャップタイプのビーズミルを用いて分散処理すること;
    を包含し、
    ここで、前記分散用容器の内容物の多層カーボンナノチューブ濃度が所望の値になるまで前記多層カーボンナノチューブの投入と前記分散処理を繰り返す、製造方法。
  8. 前記分散用容器に前記多層カーボンナノチューブを投入する前若しくは該投入と同時に、分散剤として機能する高分子化合物を前記液状媒体に添加する、請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記分散処理後の多層カーボンナノチューブのアスペクト比の平均値が、前記分散用容器に投入する前の多層カーボンナノチューブのアスペクト比の平均値の少なくとも50%を維持する、請求項7または8に記載の製造方法。
  10. 前記アスペクト比の平均値が100以上の多層カーボンナノチューブを前記分散用容器に投入する、請求項7〜9の何れか一つに記載の製造方法。
  11. 前記分散用容器の内容物の多層カーボンナノチューブ濃度が1質量%〜50質量%になるまで、前記多層カーボンナノチューブの投入と前記分散処理を繰り返す、請求項7〜10の何れか一つに記載の製造方法。






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JP2016091662A (ja) * 2014-10-30 2016-05-23 スペースリンク株式会社 鉛蓄電池回復剤
WO2019093360A1 (ja) * 2017-11-13 2019-05-16 Aca株式会社 カーボンナノワイヤー分散液及びその製造方法

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