JP2015160983A - 低熱膨張合金 - Google Patents
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3.0≦1.94Ti+Nb≦7.0 (1)
式(1)中の元素記号には、対応する元素の含有量が代入される。
3.0≦1.94Ti+Nb≦7.0 (1)
3.0≦1.94Ti+Nb≦7.0 (1)
3.0≦1.94Ti+Nb≦7.0 (1)
式(1)中の元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
本実施形態の低熱膨張合金は、次の化学組成を有する。
炭素(C)は、Nb及びTiと結合して炭化物を形成し、合金の強度を高める。C含有量が低すぎれば、この効果が有効に得られない。一方、C含有量が高すぎれば、高温においても安定なNbC及びTiC過剰に存在することにより、熱間加工性を低下させる。したがって、C含有量は0.01〜0.2%である。C含有量の好ましい下限は0.01%よりも高く、さらに好ましくは0.015%である。C含有量の好ましい上限は0.2%未満であり、さらに好ましくは0.1%である。
シリコン(Si)は鋼を脱酸する。Si含有量が低すぎれば、この効果が有効に得られない。一方、Si含有量が高すぎれば、合金のキューリ温度が低下し、自発体積磁歪が減少する。その結果、合金の熱膨張係数が高まる。したがって、Si含有量は0.05〜1.0%である。Si含有量の好ましい下限は0.05%よりも高く、さらに好ましくは0.08%である。Si含有量の好ましい上限は1.0%未満であり、さらに好ましくは0.5%であり、さらに好ましくは0.2%である。
マンガン(Mn)は鋼を脱酸する。Mn含有量が低すぎれば、この効果が有効に得られない。一方、Mn含有量が高すぎれば、合金のキューリ温度が低下し、自発体積磁歪が減少する。その結果、合金の熱膨張係数が高まる。したがって、Mn含有量は0.05〜2.0%である。Mn含有量の好ましい下限は0.05%よりも高く、さらに好ましくは0.08%である。Mn含有量の好ましい上限は2.0%未満であり、さらに好ましくは1.0%であり、さらに好ましくは0.2%である。
アルミニウム(Al)は鋼を脱酸する。Al含有量が低すぎれば、この効果が有効に得られない。一方、Al含有量が高すぎれば、合金のキューリ温度が低下し、自発体積磁歪が減少する。その結果、合金の熱膨張係数が高まる。したがって、Al含有量は0.01〜0.14%である。Al含有量の好ましい下限は0.01%よりも高く、さらに好ましくは0.02%であり、さらに好ましくは0.03%である。Al含有量の好ましい上限は2.0%未満であり、さらに好ましくは0.1%であり、さらに好ましくは0.05%である。
ニッケル(Ni)は、合金の自発体積磁歪を高め、その結果、熱膨張係数を下げる。Niはさらに、Ti及びNbと結合して金属間化合物を形成し、合金の強度を高める。Ni含有量が低すぎれば、この効果は有効に得られない。一方、Ni含有量が高すぎれば、合金の熱膨張係数がかえって増大する。したがって、Ni含有量は37.5〜43.5%である。Ni含有量の好ましい下限は37.5%よりも高く、さらに好ましくは39%である。Ni含有量の好ましい上限は43.5%未満であり、さらに好ましくは42.5%であり、さらに好ましくは40.5%である。
チタン(Ti)は、母相に固溶して合金のヤング率を高める。Tiはさらに、Nb及びNiとNi3(Nb,Ti)を形成し、合金のヤング率及び引張強度を高める。Ti含有量が低すぎれば、上記効果が有効に得られない。一方、Ti含有量が高すぎれば、母相にTiが過剰に固溶する。この場合、合金の熱膨張係数が高くなる。Ti含有量が高すぎればさらに、Ni3(Nb,Ti)が過剰に析出して、合金の熱膨張係数が高くなる。したがって、Ti含有量は0.5〜3.6%である。Ti含有量の好ましい下限は0.5%よりも高い。Ti含有量の好ましい上限は3.6%未満であり、さらに好ましくは2.0%であり、さらに好ましくは1.0%である。
ニオブ(Nb)は、Tiと同様に母相に固溶して合金のヤング率を高める。Nbはさらに、Nb及びTiとNi3(Nb,Ti)を形成し、合金のヤング率及び引張強度を高める。Nb含有量が低すぎれば、上記効果が有効に得られない。一方、Nb含有量が高すぎれば、母相にNbが過剰に固溶する。この場合、合金の熱膨張係数が高くなる。Nb含有量が高すぎればさらに、Ni3(Nb,Ti)が過剰に析出して、合金の熱膨張係数が高くなる。したがって、Nb含有量は1.6〜7.0%である。Nb含有量の好ましい下限は1.6%よりも高く、さらに好ましくは3.0%であり、さらに好ましくは5.0%である。Nb含有量の好ましい上限は7.0%未満であり、さらに好ましくは6.0%である。
本実施形態の低熱膨張合金の化学組成はさらに、次の式(1)を満たす。
3.0≦1.94Ti+Nb≦7.0 (1)
式(1)中の元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
本実施形態の低熱膨張合金中の固溶Ti量は、質量%で1.0%以下である。合金中の固溶Nb量は、質量%で1.0%以下である。この場合、熱膨張係数の増大が抑制されつつ、1%以下の固溶Ti及び固溶Nbにより、ヤング率が高まる。しかしながら、固溶Ti量及び固溶Nb量が高すぎれば、ヤング率の向上効果は飽和し、合金の熱膨張係数が急激に増加する。したがって、固溶Ti量及び固溶Nb量はそれぞれ、1.0%以下である。固溶Ti量の好ましい下限は0.4%である。固溶Nb量の好ましい下限は0.3%である。
金属間化合物が析出した場合の合金中の固溶Ni量がインバー合金の組成のFe−36%Niに近い値になれば、合金の熱膨張係数が低くなる。合金中の固溶Ni量が低すぎる場合、及び、合金中の固溶Ni量が高すぎる場合、合金の熱膨張係数が高くなる。したがって、本実施形態の固溶Ni量は、34.0〜40.0%である。
本実施形態による低熱膨張合金の引張強度は800MPa以上である。Ni3(Nb,Ti)が母相中に微細析出する場合、引張強度は800MPa以上になる。一方、Ni3(Nb,Ti)が粗大になれば、引張強度は低下して、800MPa未満となる。後述の時効処理を適切な条件で実施することにより、降伏強度は800MPa以上になる。
上述の合金の製造方法の一例は次のとおりである。上記化学組成を有する溶鋼を製造する。溶鋼を用いて造塊法によりインゴットを製造する。製造されたインゴットに対して、熱間加工を実施して合金材を製造する。熱間加工はたとえば、熱間鍛造である。
三次元アトムプローブ法により、各試験番号の板材中の固溶Ni、固溶Ti量及び固溶Nb量を求めた。具体的には、各試験番号の板材から0.2mm×0.2mm×10mmの柱状試料を採取した。柱状試料に対して電解研磨を実施し、柱状試料を針状とした。
上記板材から直径3mm、長さ15mmの試験片を作製した。試験片を用いて、熱膨張係数を求めた。具体的には、水平示差検出方式の測定装置を用いて、30〜100℃の平均熱膨張係数を求めた。
上記板材から長さ60mm、幅10mm、厚さ1.5mmの試験片を作製した。試験片を用いてヤング率を求めた。具体的には、横共振法の測定装置を用いて、ヤング率を求めた。
[引張試験]
上記板材から6丸引張試験片を作製した。作製された引張試験片に歪ゲージを貼り付けた。その後、引張試験片を用いて、常温、大気中にて引張試験を実施し、応力−歪曲線を得た。得られた応力−歪曲線を用いて、引張強度TS(MPa)を求めた。
試験結果を表2に示す。
試験結果を表3に示す。試験番号21及び22の化学組成は適切であり、F1値も式(1)を満たした。さらに、時効処理での熱処理温度及び処理時間も適切であった。そのため、固溶Ti量及び固溶Nb量はいずれも1.0%以下であった。その結果、引張強度は800MPa以上であり、ヤング率は150GPa以上であった。さらに、30〜100℃での熱膨張係数は4.0×10-6/℃以下であった。
Claims (3)
- 低熱膨張合金であって、
質量%で、
C:0.01〜0.2%、
Si:0.05〜1.0%、
Mn:0.05〜2.0%、
Al:0.01〜0.14%、
Ni:37.5〜43.5%、
Ti:0.5〜3.6%、及び、
Nb:1.6〜7.0%を含有し、残部はFe及び不純物からなり、式(1)を満たす化学組成を有し、
800MPa以上の引張強度を有し、
前記低熱膨張合金中の固溶Ni量は34.0〜40.0%であり、固溶Ti量は1.0%以下であり、固溶Nb量は1.0%以下である、低熱膨張合金。
3.0≦1.94Ti+Nb≦7.0 (1)
式(1)中の元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。 - 請求項1に記載の低熱膨張合金であってさらに、
Cr、Mo、W、V、Ta及びZrからなる群から選択される1種又は2種以上を合計で1%以下含有する、低熱膨張合金。 - 質量%で、
C:0.01〜0.2%、
Si:0.05〜1.0%、
Mn:0.05〜2.0%、
Al:0.01〜0.14%、
Ni:37.5〜43.5%、
Ti:0.5〜3.6%、及び、
Nb:1.6〜7.0%を含有し、残部はFe及び不純物からなり、式(1)を満たす化学組成を有し、
熱間加工後に溶体化処理され、さらに、520〜650℃で10〜100時間時効処理されて製造される、低熱膨張合金。
3.0≦1.94Ti+Nb≦7.0 (1)
式(1)中の元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
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