JP2015157351A - 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具 - Google Patents

硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具 Download PDF

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Abstract

【課題】硬質被覆層がすぐれた硬さ、靭性を備え、長期の使用に亘って耐チッピング性、耐欠損性を発揮する被覆工具を提供する。
【解決手段】硬質被覆層が、組成式:(Ti1−x―yAlMe)(C1−z)で表される複合窒化物または複合炭窒化物層(但し、Meは、Si、Zr、B、V、Crの中から選ばれる一種の元素)を含み、Alの平均含有割合Xav、Meの平均含有割合Yav、Cの平均含有割合Zav(Xav、Yav、Zav:原子比)が、0.60≦Xav≦0.95、0.005≦Yav≦0.10、0≦Zav≦0.005、Xav+Yav≦0.955を満足し、その層は少なくとも立方晶結晶粒を含み、該立方晶結晶粒の平均粒子幅Wが0.05〜1.0μm、平均アスペクト比Aが5以下の粒状組織を有し、立方晶結晶粒内に、TiとAlとMeの所定の周期の濃度変化が存在することにより、前記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、合金鋼等の高熱発生を伴うとともに、切刃に対して衝撃的な負荷が作用する高速断続切削加工で、硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を備えることにより、長期の使用に亘ってすぐれた切削性能を発揮する表面被覆切削工具(以下、被覆工具という)に関するものである。
従来、一般に、炭化タングステン(以下、WCで示す)基超硬合金、炭窒化チタン(以下、TiCNで示す)基サーメットあるいは立方晶窒化ホウ素(以下、cBNで示す)基超高圧焼結体で構成された基体(以下、これらを総称して基体という)の表面に、硬質被覆層として、Ti−Al系の複合窒化物層を物理蒸着法により被覆形成した被覆工具が知られており、これらは、すぐれた耐摩耗性を発揮することが知られている。
ただ、前記従来のTi−Al系の複合窒化物層を被覆形成した被覆工具は、比較的耐摩耗性にすぐれるものの、高速断続切削条件で用いた場合にチッピング等の異常損耗を発生しやすいことから、硬質被覆層の改善についての種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、工具基体にTi、Al、Siからなる金属元素あるいはTiの一部を周期律表4,5,6族元素で置換した金属元素と、B、C、N、Oから選択される少なくとも1種以上の元素とから構成される硬質被覆層を1層以上物理蒸着法により被覆した被覆工具において、硬質被覆層にSiの窒化物相を介在させることにより、熱処理後の高硬度鋼切削加工の乾式化、高速化に対応可能な、高温下においても硬質被覆層の硬度劣化を抑制することができることが開示されている。
また、特許文献2には、工具基体表面に、第1被覆層と、柱状結晶構造を有し工具基体表面の垂線方向に対して平均で1〜15°の角度で斜めの方向に成長した第2被覆層とを順次被覆していることによって、硬質被覆層に衝撃がかかっても第2被覆層から伝わる力が分散して第1被覆層には衝撃が伝わりにくくクラックが進展しにくくなる結果、硬質被覆層に発生するチッピングや大きな欠損を抑制できることが開示されている。
さらに、特許文献3には、工具基体と、その基体上に形成された硬質被覆層とを備える表面被覆切削工具であって、硬質被覆層は、AlまたはCrのいずれか一方または両方の元素と、周期律表4a,5a,6a族元素およびSiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素およびホウ素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とにより構成される化合物と、塩素とを含むことにより、硬質被覆層の耐摩耗性と耐酸化性とを飛躍的に向上することが開示されている。
一方、従前より汎用されていた物理蒸着法による硬質被覆層の蒸着形成においては、Alの含有割合xを0.6以上にすることは困難で、より一段と切削性能を向上させることが望まれている。
このような観点から、化学蒸着法で硬質被覆層を形成することで、Alの含有割合xを、0.9程度にまで高める技術も提案されている。
例えば、特許文献4には、TiCl、AlCl、NHの混合反応ガス中で、650〜900℃の温度範囲において化学蒸着を行うことにより、Alの含有割合xの値が0.65〜0.95である(Ti1−xAl)N層を蒸着形成できることが記載されているが、この文献では、この(Ti1−xAl)N層の上にさらにAl層を被覆し、これによって断熱効果を高めることを目的とするものであるから、xの値を0.65〜0.95まで高めた(Ti1−xAl)N層の形成によって、切削性能へ如何なる影響があるかという点についてまでの開示はない。
また、例えば、特許文献5には、TiCN層、Al層を内層として、その上に、化学蒸着法により、立方晶結晶構造あるいは六方晶結晶構造を含む立方晶結晶構造の(Ti1−xAl)N層(但し、xは0.65〜0.9)を外層として被覆するとともに、該外層に100〜1100MPaの圧縮応力を付与することにより、被覆工具の耐熱性と疲労強度を改善することが提案されている。
特開2002−96205号公報 特開2008−105164号公報 特開2006−82207号公報 特表2011−516722号公報 特表2011−513594号公報
近年の切削加工における省力化および省エネ化の要求は強く、これに伴い、切削加工は一段と高速化、高効率化の傾向にあり、被覆工具には、より一層、耐チッピング性、耐欠損性、耐剥離性等の耐異常損傷性が求められるとともに、長期の使用に亘ってのすぐれた耐摩耗性が求められている。
しかし、前記特許文献1に記載されている被覆工具は、(Ti1−xAl)N層からなる硬質被覆層が物理蒸着法で蒸着形成され、硬質被覆層中にSi等の窒化物相を介在させることにより、fcc構造を有し柱状に成長するTiAlN層内にナノ結晶が分散し、このナノ結晶が格子歪を発生し分散強化機構により、TiAlNの硬度を上昇させるものであるが、このナノ結晶は粒界に偏析しているため、例えば、合金鋼の高速断続切削に供した場合には、耐摩耗性、耐チッピング性が十分であるとは言えないという課題があった。
また、特許文献2および特許文献3に記載されている被覆工具は、それぞれ耐欠損性および耐摩耗性・耐酸化特性を向上させることを意図しているが、高速断続切削等の衝撃が伴うような切削条件下では、耐チッピング性が十分でないという課題があった。
一方、前記特許文献4に記載されている化学蒸着法で蒸着形成した(Ti1−xAl)N層については、Al含有割合xを高めることができ、また、立方晶結晶構造を形成させることができることから、所定の硬さを有し耐摩耗性にすぐれた硬質被覆層が得られるものの、基体との密着強度は十分でなく、また、靭性に劣るという課題があった。
さらに、前記特許文献5に記載されている被覆工具は、所定の硬さを有し耐摩耗性にはすぐれるものの、靭性に劣ることから、合金鋼の高速断続切削加工等に供した場合には、チッピング、欠損、剥離等の異常損傷が発生しやすく、満足できる切削性能を発揮するとは言えないという課題があった。
そこで、本発明が解決しようとする技術的課題、すなわち、本発明の目的は、合金鋼、炭素鋼、鋳鉄等の高速断続切削等に供した場合であっても、すぐれた靭性を備え、長期の使用に亘ってすぐれた耐チッピング性、耐摩耗性を発揮する被覆工具を提供することである。
そこで、本発明者らは、前述の観点から、少なくともTiとAlの複合窒化物または複合炭窒化物(以下、「(Ti,Al)(C,N)」あるいは「(Ti1−xAl)(C1−y)」で示すことがある)を含む硬質被覆層を化学蒸着で蒸着形成した被覆工具の耐チッピング性、耐摩耗性の改善をはかるべく、鋭意研究を重ねた結果、次のような知見を得た。
即ち、従来の少なくとも1層の(Ti1−xAl)(C1−y)層を含み、かつ所定の平均層厚を有する硬質被覆層は、(Ti1−xAl)(C1−y)層が工具基体に垂直方向に柱状をなして形成されている場合、高い耐摩耗性を有する。その反面、(Ti1−xAl)(C1−y)層の異方性が高くなるほど(Ti1−xAl)(C1−y)層の靭性が低下し、その結果、耐チッピング性、耐欠損性が低下し、長期の使用に亘って十分な耐摩耗性を発揮することができず、また、工具寿命も満足できるものであるとはいえなかった。
そこで、本発明者らは、硬質被覆層を構成する(Ti1−xAl)(C1−y)層について鋭意研究したところ、硬質被覆層にSi、Zr、B、V、Crの中から選ばれる一種の元素(以下、「Me」で示す。)を含有させ(Ti1−x―yAlMe)(C1−z)層を立方晶結晶相と六方晶結晶相とで構成し、かつ、立方晶結晶相内にTiとAlとMeの周期的な濃度変化を形成させるという全く新規な着想により、立方晶結晶粒に歪みを生じさせ、硬さと靭性を高めることに成功し、その結果、硬質被覆層の耐チッピング性、耐欠損性を向上させることができるという新規な知見を見出した。
具体的には、硬質被覆層が、化学蒸着法により成膜された平均層厚1〜20μmのTiとAlとMe(但し、Meは、Si、Zr、B、V、Crの中から選ばれる一種の元素)の複合窒化物または複合炭窒化物層を少なくとも含み、組成式:(Ti1−x―yAlMe)(C1−z)で表した場合、AlのTiとAlとMeの合量に占める平均含有割合XavおよびMeのTiとAlとMeの合量に占める平均含有割合YavならびにCのCとNの合量に占める平均含有割合Zav(但し、Xav、Yav、Zavはいずれも原子比)が、それぞれ、0.60≦Xav≦0.95、0.005≦Yav≦0.10、0≦Zav≦0.005、Xav+Yav≦0.955を満足し、前記複合窒化物または複合炭窒化物層は、NaCl型の面心立方構造を有する結晶粒を含み(あるいはさらにウルツ鉱型の六方晶構造を有する結晶粒を含み)、工具基体表面と垂直な皮膜断面から個々の結晶粒の粒子幅とアスペクト比を観察・測定し、平均粒子幅W、平均アスペクト比Aを求めた場合、NaCl型の面心立方構造を有する結晶粒の工具基体表面と平行な方向の粒子幅をw、また、工具基体表面と垂直な方向の粒子長さをlとし、該wとlとの比l/wを各結晶粒のアスペクト比aとし、さらに、個々の結晶粒について求めたアスペクト比aの平均値を平均アスペクト比A、個々の結晶粒について求めた粒子幅wの平均値を平均粒子幅Wとした場合、平均粒子幅Wが0.05〜1.0μm、平均アスペクト比Aが5以下である粒状組織であり、前記NaCl型の面心立方構造の結晶粒内に、組成式:(Ti1−x―yAlMe)(C1−z)におけるTiとAlとMeの周期的な濃度変化が存在し(即ち、x、y、zは、一定値ではなく、周期的に変化する値である)、Alの含有割合xの周期的に変化するxの値の極大値の平均値をXmax、また、Alの含有割合xの周期的に変化するxの値の極小値の平均値をXminとした場合、XmaxとXminの差が0.05〜0.25であることにより、NaCl型の面心立方構造を有する結晶粒に歪みを生じさせ、従来の硬質被覆層に比して、(Ti1−x―yAlMe)(C1−z)層の硬さと靭性が高まり、その結果、耐チッピング性、耐欠損性が向上し、長期に亘ってすぐれた耐摩耗性を発揮することを見出した。
そして、前述のような構成の(Ti1−x―yAlMe)(C1−z)層は、例えば、トリメチルアルミニウム(Al(CH)を反応ガス成分として含有する以下の化学蒸着法による成膜時にSiClを添加することによって成膜することができる。
(a)成膜工程
工具基体表面に、反応ガス組成(容量%)を、TiCl:1.5〜2.5%、Al(CH:0〜5%、AlCl:6〜10%、MeCln:1〜3%、NH:10〜12%、N:6〜7%、C:0〜1%、H:残、反応雰囲気圧力:2〜3kPa、反応雰囲気温度:700〜900℃として、所定時間、熱CVD法を行うことにより、所定の目標層厚の(Ti1−x―yAlMe)(C1−z)層を成膜する。
(b)エッチング工程
前記(a)の成膜工程時に、TiCl:2.0〜5.0容量%、H:残、反応雰囲気圧力:2〜5kPa、反応雰囲気温度:750〜900℃の条件からなる、TiClエッチング工程を所定時間、所定回数挟む。
なお、上記[(a)成膜工程]において使用される反応ガス成分MeClnとしては、Me成分の種類に応じて例えば、SiCl,ZrCl,BCl,VCl,CrClがそれぞれ用いられる。あるいはSiHClのような塩素基の一部が水素に置き換わった反応ガスも使用可能である。
前述のようなTiClエッチング工程を成膜工程中に挟むことにより、NaCl型の面心立方構造の組成式:(Ti1−x―yAlMe)(C1−z)で表される結晶粒が選択的にエッチングされ、結晶粒内にTiとAlとMeの局所的な組成差が形成され、それが、安定化するために原子の再配列が起こり、組成の周期的な変化が生じ、その結果、靭性が飛躍的に向上することを見出した。その結果、特に、耐欠損性、耐チッピング性が向上し、切れ刃に断続的・衝撃的負荷が作用する合金鋼等の高速断続切削加工に用いた場合においても、硬質被覆層が、長期の使用に亘ってすぐれた切削性能を発揮し得ることを見出した。
本発明は、前記知見に基づいてなされたものであって、
「(1) 炭化タングステン基超硬合金、炭窒化チタン基サーメットまたは立方晶窒化ホウ素基超高圧焼結体のいずれかで構成された工具基体の表面に、硬質被覆層を設けた表面被覆切削工具において、
(a)前記硬質被覆層は、化学蒸着法により成膜された平均層厚1〜20μmのTiとAlとMe(但し、Meは、Si、Zr、B、V、Crの中から選ばれる一種の元素)の複合窒化物または複合炭窒化物層を少なくとも含み、組成式:(Ti1−x―yAlMe)(C1−z)で表した場合、AlのTiとAlとMeの合量に占める平均含有割合XavおよびMeのTiとAlとMeの合量に占める平均含有割合YavならびにCのCとNの合量に占める平均含有割合Zav(但し、Xav、Yav、Zavはいずれも原子比)が、それぞれ、0.60≦Xav≦0.95、0.005≦Yav≦0.10、0≦Zav≦0.005、Xav+Yav≦0.955を満足し、
(b)前記複合窒化物または複合炭窒化物層は、NaCl型の面心立方構造を有する複合窒化物または複合炭窒化物の相を少なくとも含み、
(c)また、工具基体表面と垂直な皮膜断面側から観察・測定した場合に、NaCl型の面心立方構造を有する複合窒化物または複合炭窒化物の結晶粒の平均粒子幅Wが0.05〜1.0μm、平均アスペクト比Aが5以下の粒状組織であり、
(d)さらに、前記NaCl型の面心立方構造を有する複合窒化物または複合炭窒化物の結晶粒内に、組成式:(Ti1−x―yAlMe)(C1−z)におけるTiとAlとMeの周期的な濃度変化が存在し、Alの含有割合xの周期的に変化するxの値の極大値の平均値をXmax、また、Alの含有割合xの周期的に変化するxの値の極小値の平均値をXminとした場合、XmaxとXminの差が0.05〜0.25であることを特徴とする表面被覆切削工具。
(2) 前記複合窒化物または複合炭窒化物層中のTiとAlとMeの周期的な濃度変化が存在するNaCl型の面心立方構造を有する結晶粒において、TiとAlとMeの周期的な濃度変化が立方晶結晶粒の<001>で表される等価の結晶方位のうちの一つの方位に沿って存在し、その方位に沿った周期が3〜30nmであり、その方位に直交する面内でのAlの含有割合xの変化は0.01以下であること特徴とする(1)に記載の表面被覆切削工具。
(3) 前記複合窒化物または複合炭窒化物層中のTiとAlとMeの周期的な濃度変化が存在するNaCl型の面心立方構造を有する結晶粒において、
(a)TiとAlとMeの周期的な濃度変化が立方晶結晶粒の<001>で表される等価の結晶方位のうちの一つの方位に沿って存在し、その方位を方位dとすると、方位dに沿った周期が3〜30nmであり、方位dに直交する面内でのAlの含有割合xの変化は0.01以下である領域A、
(b)TiとAlとMeの周期的な濃度変化が、方位dと直交する立方晶結晶粒の<001>で表される等価の結晶方位のうちの一つの方位に沿って存在し、その方位を方位dとすると、方位dに沿った周期が3〜30nmであり、方位dに直交する面内でのAlの含有割合xの変化は0.01以下である領域B、
前記領域Aおよび領域Bが結晶粒内に存在し、前記領域Aと領域Bの境界が{110}で表される等価な結晶面のうちの一つの面に形成されることを特徴とする(1)に記載の表面被覆切削工具。
(4)前記複合窒化物または複合炭窒化物層は、NaCl型の面心立方構造を有するTiとAlとMeの複合窒化物または複合炭窒化物の単相からなることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
(5)前記複合窒化物または複合炭窒化物層は、2種以上の複数の相が共存する混合相からなり、該混合相は、NaCl型の面心立方構造を有するTiとAlとMeの複合窒化物または複合炭窒化物の相を少なくとも含み、混合相に共存するその他の各相はTiとAlとMeから選ばれる少なくとも1種の元素とC,Nから選ばれる少なくとも一種からなる化合物からなることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
(6)前記複合窒化物または複合炭窒化物層には、ウルツ鉱型の六方晶構造を有する結晶粒が存在し、工具基体表面と垂直な皮膜断面側から測定した場合に、該ウルツ鉱型の六方晶構造を有する結晶粒の存在する面積割合は30面積%以下であることを特徴とする(1)乃至(3),(5)のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
(7) 前記炭化タングステン基超硬合金、炭窒化チタン基サーメットまたは立方晶窒化ホウ素基超高圧焼結体のいずれかで構成された工具基体と前記TiとAlとMeの複合窒化物または複合炭窒化物層の間に、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層および炭窒酸化物層のうちの1層または2層以上からなり、かつ、0.1〜20μmの合計平均層厚を有するTi化合物層を含む下部層が存在することを特徴とする(1)乃至(6)のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
(8) 前記複合窒化物または複合炭窒化物層の上部に、少なくとも1〜25μmの平均層厚を有する酸化アルミニウム層を含む上部層が存在することを特徴とする(1)乃至(7)のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
(9) 前記複合窒化物または複合炭窒化物層は、少なくとも、トリメチルアルミニウムを反応ガス成分として含有する化学蒸着法により成膜されたものであることを特徴とする(1)乃至(8)のいずれかに記載の表面被覆切削工具。」
に特徴を有するものである。
なお、本発明における硬質被覆層は、前述のような複合窒化物または複合炭窒化物層をその本質的構成とするが、さらに、従来から知られている下部層や上部層などと併用することにより、複合窒化物または複合炭窒化物層が奏する効果と相俟って、一層すぐれた特性を創出することができることは言うまでもない。
本発明について、以下に詳細に説明する。
硬質被覆層を構成する複合窒化物または複合炭窒化物層の平均層厚:
本発明の硬質被覆層は、化学蒸着された組成式:(Ti1−x―yAlMe)(C1−z)で表されるTiとAlとMeの複合窒化物または複合炭窒化物層を少なくとも含む。この複合窒化物または複合炭窒化物層は、硬さが高く、すぐれた耐摩耗性を有するが、特に平均層厚が1〜20μmのとき、その効果が際立って発揮される。その理由は、平均層厚が1μm未満では、層厚が薄いため長期の使用に亘っての耐摩耗性を十分確保することができず、一方、その平均層厚が20μmを越えると、TiとAlとMeの複合窒化物または複合炭窒化物層の結晶粒が粗大化し易くなり、チッピングを発生しやすくなる。したがって、その平均層厚を1〜20μmと定めた。
硬質被覆層を構成する複合窒化物または複合炭窒化物層の組成:
本発明の硬質被覆層を構成する複合窒化物または複合炭窒化物層は、組成式:(Ti1−x―yAlMe)(C1−z)で表した場合(但し、Meは、Si、Zr、B、V、Crの中から選ばれる一種の元素)、AlのTiとAlとMeの合量に占める平均含有割合XavおよびMeのTiとAlとMeの合量に占める平均含有割合YavならびにCのCとNの合量に占める平均含有割合Zav(但し、Xav、Yav、Zavはいずれも原子比)が、それぞれ、0.60≦Xav≦0.95、0.005≦Yav≦0.10、0≦Zav≦0.005、Xav+Yav≦0.955を満足するように制御する。
その理由は、Alの平均含有割合Xavが0.60未満であると、TiとAlとMeの複合窒化物または複合炭窒化物層の硬さに劣るため、合金鋼等の高速断続切削に供した場合には、耐摩耗性が十分でない。一方、Alの平均含有割合Xavが0.95を超えると、相対的にTiの含有割合が減少するため、脆化を招き、耐チッピング性が低下する。したがって、Alの平均含有割合Xavは、0.60≦Xav≦0.95と定めた。
また、Meの平均含有割合Yavが0.005未満であると、TiとAlとMeの複合窒化物または複合炭窒化物層の硬さに劣るため、合金鋼等の高速断続切削に供した場合には、耐摩耗性が十分でない。一方、0.10を超えると粒界へのMeの偏析等により、TiとAlとMeの複合窒化物または複合炭窒化物層の靭性が低下し、合金鋼等の高速断続切削に供した場合には、耐チッピング性が十分でない。したがって、Meの平均含有割合Yavは、0.005≦Yav≦0.10と定めた。
ここで、Meの具体的な成分としては、Si、Zr、B、V、Crの中から選ばれる一種の元素を使用する。
Meとして、Yavが0.005以上になるようにSi成分あるいはB成分を使用した場合には、複合窒化物または複合炭窒化物層の硬さが向上するため耐摩耗性の向上が図られ、Zr成分は結晶粒界を強化する作用を有し、また、V成分は靭性を向上することから、耐チッピング性のより一層の向上が図られ、Cr成分は耐酸化性を向上させることから、工具寿命のよりいっそう長寿命化が期待される。しかし、いずれの成分も、平均含有割合Yavが0.10を超えると、相対的にAl成分、Ti成分の平均含有割合が減少することから、耐摩耗性あるいは耐チッピング性が低下傾向を示すようになるため、Yavが0.10を超えるような平均含有割合となることは避けなければならない。
また、複合窒化物または複合炭窒化物層に含まれるCの平均含有割合(原子比)Zavは、0≦Zav≦0.005の範囲の微量であるとき、複合窒化物または複合炭窒化物層と工具基体もしくは下部層との密着性が向上し、かつ、潤滑性が向上することによって切削時の衝撃を緩和し、結果として複合窒化物または複合炭窒化物層の耐欠損性および耐チッピング性が向上する。一方、Cの平均含有割合Zavが0≦Zav≦0.005の範囲を逸脱すると、複合窒化物または複合炭窒化物層の靭性が低下するため耐欠損性および耐チッピング性が逆に低下するため好ましくない。したがって、Cの平均含有割合Zavは、0≦Zav≦0.005と定めた。
複合窒化物または複合炭窒化物層を構成するNaCl型の面心立方構造(以下、単に「立方晶」という)を有する結晶粒:
前記複合窒化物または複合炭窒化物層中の各立方晶結晶粒について、工具基体表面と垂直な皮膜断面側から観察・測定した場合に、工具基体表面と平行な方向の粒子幅をw、また、工具基体表面に垂直な方向の粒子長さをlとし、前記wとlとの比l/wを各結晶粒のアスペクト比aとし、さらに、個々の結晶粒について求めたアスペクト比aの平均値を平均アスペクト比A、個々の結晶粒について求めた粒子幅wの平均値を平均粒子幅Wとした場合、平均粒子幅Wが0.05〜1.0μm、平均アスペクト比Aが5以下を満足するように制御する。
この条件を満たすとき、複合窒化物または複合炭窒化物層を構成する立方晶結晶粒は粒状組織となり、すぐれた耐摩耗性を保ちながら、優れた耐チッピング性、耐欠損性を示す。一方、平均アスペクト比Aが5を超えると結晶粒が柱状晶になり、耐チッピング性、耐欠損性が低下するため好ましくない。
また、平均粒子幅Wが0.05μm未満であると耐摩耗性が低下し、1.0μmを超えると靭性が低下する。したがって、複合窒化物または複合炭窒化物層を構成する立方晶結晶粒の平均粒子幅Wは、0.05〜1.0μmと定めた。
立方晶結晶構造を有する結晶粒内に存在するTiとAlとMeの濃度変化:
さらに、立方晶結晶構造を有する結晶を組成式:(Ti1−x―yAlMe)(C1−z)で表した場合、結晶粒内にTiとAlとMeの周期的な濃度変化が存在するとき(即ち、x、y、zは、一定値ではなく、周期的に変化する値であるとき)、結晶粒に歪みが生じ、硬さが向上する。しかしながら、TiとAlとMeの濃度変化の大きさの指標である前記組成式におけるAlの含有割合xの周期的に変化するxの値の極大値の平均値をXmax、また、Alの含有割合xの周期的に変化するxの値の極小値の平均値をXminとした場合、XmaxとXminの差が0.05より小さいと前述した結晶粒の歪みが小さく十分な硬さの向上が見込めない。一方、XmaxとXminの差が0.25を超えると結晶粒の歪みが大きくなり過ぎ、格子欠陥が大きくなり、硬さが低下する。そこで、立方晶結晶構造を有する結晶粒内に存在するTiとAlとMeの濃度変化は、XmaxとXminの差を0.05〜0.25とした。また、前記複合窒化物または複合炭窒化物層中のTiとAlとMeの周期的な濃度変化が存在する立方晶結晶構造を有する結晶粒において、TiとAlとMeの周期的な濃度変化が立方晶結晶粒の<001>で表される等価の結晶方位のうちの一つの方位に沿って存在した場合、結晶粒の歪みによる格子欠陥が生じにくく、靭性が向上する。また、前記のTiとAlとMeの周期的な濃度変化が存在する方位に直交する面内ではTiとAlとMeの濃度は実質的に変化せず、上記直交する面内でのTiとAlとMeの濃度変化のAlのTiとAlとMeの合量に占める含有割合の平均値Xoの変化は0.01以下である。
また、前記立方晶結晶粒の<001>で表される等価の結晶方位のうちの一つの方位に沿った濃度変化の周期が3nm未満では靭性が低下し、30nmを超えると硬さの向上効果が十分に発揮されない。したがって、より望ましい前記濃度変化の周期は3〜30nmである。
また、TiとAlとMeの周期的な濃度変化が直交する2方向に存在する、領域Aと領域Bが結晶粒内に存在する結晶粒については、結晶粒内で2方向の歪みが存在することで靭性が向上する。さらに、領域Aと領域Bの境界が{110}で表される等価な結晶面のうちの一つの面に形成されることで領域Aと領域Bの境界のミスフィットが生じないため、高い靭性を維持することが出来る。
即ち、TiとAlとMeの周期的な濃度変化が立方晶結晶粒の<001>で表される等価の結晶方位のうちの一つの方位に沿って存在し、その方位を方位dとした場合、方位dに沿った周期が3〜30nmであり、方位dに直交する面内でのAlの含有割合xの変化が0.01以下である領域Aと、TiとAlとMeの周期的な濃度変化が、方位dと直交する立方晶結晶粒の<001>で表される等価の結晶方位のうちの一つの方位に沿って存在し、その方位を方位dとした場合、方位dに沿った周期が3〜30nmであり、方位dに直交する面内でのAlの含有割合xの変化が0.01以下である領域Bが形成されている場合には、結晶粒内で2方向の歪みが存在することで靭性が向上し、さらに、領域Aと領域Bの境界が{110}で表される等価な結晶面のうちの一つの面に形成されることで領域Aと領域Bの境界のミスフィットが生じないため、高い靭性を維持することが出来る。
結晶粒中の立方晶結晶相の占める面積割合:
本発明の複合窒化物または複合炭窒化物層は、立方晶結晶格子の電子後方散乱回折像が観測される立方晶結晶相の単相から構成することができるが、2種以上の複数の相が共存する混合相として構成しても良い。この場合、混合相に共存する立方晶結晶相以外の他の各相は、TiとAlとMeから選ばれる少なくとも1種の元素とC,Nから選ばれる少なくとも一種の化合物として構成することもできる。
その他の相としては、例えば、電子線後方散乱回折装置(EBSD)を用いて個々の結晶粒の結晶方位を、前記TiとAlとMeの複合窒化物または複合炭窒化物層の縦断面(工具基体表面と垂直な皮膜断面)方向から解析した場合、ウルツ鉱型の六方晶構造(以下、単に「六方晶」という)を有する六方晶結晶格子の電子後方散乱回折像が観測される六方晶結晶相が存在することが許される。
しかし、混合相としての六方晶結晶相が存在するとき、工具基体表面と垂直な皮膜断面側から該六方晶結晶相の占める面積割合を測定した場合、測定視野面積に占める該六方晶結晶相の面積割合は30面積%以下であることが好ましい。これは、結晶粒中の六方晶結晶相の占める面積割合が30面積%を超えると硬さが低下し、その結果、耐摩耗性が低下するという理由による。
また、本発明の複合窒化物または複合炭窒化物層は、下部層としてTiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層および炭窒酸化物層のうちの1層または2層以上からなり、かつ、0.1〜20μmの合計平均層厚を有するTi化合物層を含む場合および/または上部層として1〜25μmの平均層厚を有する酸化アルミニウム層を含む場合においても、前述した特性が損なわれず、これらの公知の下部層や上部層などと併用することにより、これらの層が奏する効果と相俟って、いっそう、すぐれた特性を創出することができる。下部層として、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層および炭窒酸化物層のうちの1層または2層以上からなるTi化合物層を含む場合、Ti化合物層の合計平均層厚が20μmを超えると結晶粒が粗大化し易くなり、チッピングを発生しやすくなる。また、上部層として、酸化アルミニウム層を含む場合、酸化アルミニウム層の合計平均層厚が25μmを超えると結晶粒が粗大化し易くなり、チッピングを発生しやすくなる。一方で、下部層が0.1μmを下回ると、本発明の複合窒化物または複合炭窒化物層の下部層との密着性向上効果を期待できず、また、上部層が1μmを下回ると、上部層を成膜する事による耐摩耗性向上効果が顕著ではない。
図1に、本発明の硬質被覆層を構成するTiとAlとMeの複合窒化物または複合炭窒化物層の断面模式図を示す。
本発明は、炭化タングステン基超硬合金、炭窒化チタン基サーメットまたは立方晶窒化ホウ素基超高圧焼結体のいずれかで構成された工具基体の表面に、硬質被覆層を設けた表面被覆切削工具において、硬質被覆層は、化学蒸着法により成膜された平均層厚1〜20μmのTiとAlとMeの複合窒化物または複合炭窒化物層を少なくとも含み、組成式:(Ti1−x―yAlMe)(C1−z)で表した場合、AlのTiとAlとMeの合量に占める平均含有割合XavおよびMeのTiとAlとMeの合量に占める平均含有割合YavならびにCのCとNの合量に占める平均含有割合Zav(但し、Xav、Yav、Zavはいずれも原子比)が、それぞれ、0.60≦Xav≦0.95、0.005≦Yav≦0.10、0≦Zav≦0.005、Xav+Yav≦0.955を満足し、複合窒化物または複合炭窒化物層は、NaCl型の面心立方構造を有する複合窒化物または複合炭窒化物の相(立方晶結晶相)を少なくとも含み、工具基体表面と垂直な皮膜断面側から観察・測定した場合に、立方晶結晶粒の平均粒子幅Wが0.05〜1.0μm、平均アスペクト比Aが5以下の粒状組織であり、立方晶結晶構造を有する結晶粒内に、組成式:(Ti1−x―yAlMe)(C1−z)におけるTiとAlとMeの周期的な濃度変化が存在し、Alの含有割合xの周期的に変化するxの値の極大値の平均値をXmax、また、Alの含有割合xの周期的に変化するxの値の極小値の平均値をXminとした場合、XmaxとXminの差が0.05〜0.25であることにより、複合窒化物または複合炭窒化物の立方晶結晶構造を有する結晶粒内に歪みが生じるため、結晶粒の硬さが向上し、高い耐摩耗性を保ちつつ、靭性が向上する。その結果、耐チッピング性が向上するという効果が発揮され、従来の硬質被覆層に比して、長期の使用に亘ってすぐれた切削性能を発揮し、被覆工具の長寿命化が達成される。
本発明の硬質被覆層を構成するTiとAlとMeの複合窒化物または複合炭窒化物層の断面を模式的に表した膜構成模式図である。 本発明の一実施態様に該当する硬質被覆層を構成するTiとAlとMeの複合窒化物層または複合炭窒化物層の断面において、TiとAlとMeの周期的な濃度変化が存在する立方晶結晶構造を有する結晶粒について、TiとAlとMeの周期的な濃度変化が立方晶結晶粒の<001>で表される等価の結晶方位のうちの一つの方位に沿って存在し、その方位に直交する面内でのAlの含有割合xの変化は小さいことを模式的に表した模式図である。 本発明の一実施態様に該当する硬質被覆層を構成するTiとAlとMeの複合窒化物層または複合炭窒化物層の断面において、TiとAlとMeの周期的な濃度変化が存在する立方晶結晶構造を有する結晶粒について、結晶粒内に領域Aと領域Bが存在することを模式的に表した模式図である。 本発明の一実施態様に該当する硬質被覆層を構成するTiとAlとMeの複合窒化物層または複合炭窒化物層の断面において、TiとAlとMeの周期的な濃度変化が存在する立方晶結晶構造を有する結晶粒について、透過型電子顕微鏡を用いて、エネルギー分散型X線分光法(EDS)による線分析を行った結果のTiとAlとMeの合計に対するAlの周期的な濃度変化xのグラフの一例を示すものである。
本発明は、超硬合金製工具基体、すなわち、炭化タングステン基超硬合金、炭窒化チタン基サーメットまたは立方晶窒化ホウ素基超高圧焼結体のいずれかで構成された工具基体の表面に、硬質被覆層を設けた表面被覆切削工具において、硬質被覆層が、化学蒸着法により成膜された平均層厚1〜20μmのTiとAlとMeの複合窒化物または複合炭窒化物層を少なくとも含み、組成式:(Ti1−x―yAlMe)(C1−z)で表した場合、AlのTiとAlとMeの合量に占める平均含有割合XavおよびMeのTiとAlとMeの合量に占める平均含有割合YavならびにCのCとNの合量に占める平均含有割合Zav(但し、Xav、Yav、Zavはいずれも原子比)が、それぞれ、0.60≦Xav≦0.95、0.005≦Yav≦0.10、0≦Zav≦0.005、Xav+Yav≦0.955を満足し、複合窒化物または複合炭窒化物層を構成する結晶粒は、立方晶結晶構造を有する結晶粒を少なくとも含み、工具基体表面と垂直な皮膜断面側から観察・測定した場合に、立方晶結晶構造を有する結晶粒の平均粒子幅Wが0.05〜1.0μm、平均アスペクト比Aが5以下の粒状組織であり、立方晶結晶構造を有する結晶粒内に、組成式:(Ti1−x―yAlMe)(C1−z)におけるTiとAlとMeの周期的な濃度変化が存在し、Alの含有割合xの周期的に変化するxの値の極大値の平均値をXmax、また、Alの含有割合xの周期的に変化するxの値の極小値の平均値をXminとした場合、XmaxとXminの差が0.05〜0.25であるという構成を有することにより、耐チッピング性が向上し、従来の硬質被覆層に比して、長期の使用に亘ってすぐれた切削性能を発揮し、被覆工具の長寿命化が達成されるものであれば、その具体的な実施の態様はいかなるものであっても構わない。
つぎに、本発明の被覆工具の一実施態様を、実施例を用いて具体的に説明する。
原料粉末として、いずれも1〜3μmの平均粒径を有するWC粉末、TiC粉末、TaC粉末、NbC粉末、Cr32粉末およびCo粉末を用意し、これら原料粉末を、表1に示される配合組成に配合し、さらにワックスを加えてアセトン中で24時間ボールミル混合し、減圧乾燥した後、98MPaの圧力で所定形状の圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を5Paの真空中、1370〜1470℃の範囲内の所定の温度に1時間保持の条件で真空焼結し、焼結後、ISO規格SEEN1203AFSNのインサート形状をもったWC基超硬合金製の工具基体A〜Cをそれぞれ製造した。
また、原料粉末として、いずれも0.5〜2μmの平均粒径を有するTiCN(質量比でTiC/TiN=50/50)粉末、Mo2C粉末、ZrC粉末、NbC粉末、WC粉末、Co粉末およびNi粉末を用意し、これら原料粉末を、表2に示される配合組成に配合し、ボールミルで24時間湿式混合し、乾燥した後、98MPaの圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を1.3kPaの窒素雰囲気中、温度:1500℃に1時間保持の条件で焼結し、焼結後、ISO規格SEEN1203AFSNのインサート形状をもったTiCN基サーメット製の工具基体Dを作製した。
つぎに、これらの工具基体A〜Dの表面に、通常の化学蒸着装置を用い、
(a)表4に示される形成条件A〜V、すなわち、反応ガス組成(容量%)を、TiCl:1.5〜2.5%、Al(CH:0〜5%、AlCl:6〜10%、MeCl:1〜3%、NH:10〜12%、N:6〜7%、C:0〜1%、H:残として、反応雰囲気圧力:2〜3kPa、反応雰囲気温度:700〜900℃として、所定時間、熱CVD法を行うことにより、表7、8に示される平均粒子幅Wおよび平均アスペクト比Aの粒状組織の(Ti1−x―yAlMe)(C1−z)層を成膜する(成膜工程)。
なお、上記MeClについては、Me(Si,Zr,B,V,Cr)の種別に応じて、それぞれ、SiCl,ZrCl,BCl,VCl,CrClを用いる。
(b)前記(a)の成膜工程時に、表5に示される形成条件a〜j、すなわち、反応ガス組成(容量%)を、TiCl:2.0〜5.0%、H:残として、反応雰囲気圧力:2〜5kPa、反応雰囲気温度:750〜900℃とするTiClエッチング工程を所定時間、所定回数挟む(エッチング工程)。
(c)前記(a)の成膜工程中に(b)からなるエッチング工程を表7、8に示された所定時間、所定回数、挟むことによって、表7、8に示される目標層厚を有する立方晶結晶を少なくとも含む粒状組織の(Ti1−x―yAlMe)(C1−z)層からなる硬質被覆層を形成することにより本発明被覆工具1〜27を製造した。
なお、本発明被覆工具6〜13、17,18、20,21、24、27については、表3に示される形成条件で、表6に示される下部層および/または表7、8に示される上部層を形成した。
前記本発明被覆工具1〜27の硬質被覆層を構成するTiとAlとMeの複合窒化物または複合炭窒化物層について、走査型電子顕微鏡(倍率5000倍及び20000倍)を用いて複数視野に亘って観察したところ、図1に示した膜構成模式図に示されるように立方晶結晶あるいは立方晶結晶と六方晶結晶の混合相を含む粒状組織の(Ti1−x―yAlMe)(C1−z)層が確認された。また、立方晶結晶粒内にTiとAlとMeの周期的な分布が存在していることが、透過型電子顕微鏡(倍率200000倍)を用いて、エネルギー分散型X線分光法(EDS)による面分析により確認された。さらに、透過型電子顕微鏡(倍率200000倍)を用いたEDSによる面分析の結果を用いて、本発明における複合窒化物または複合炭窒化物層中に存在する立方晶結晶粒の5周期分のxの周期におけるxの極大値の平均値をXmaxとし、また、同じく5周期分のxの周期におけるxの極小値の平均値をXminとし、その差(=Xmax−Xmin)を求めたところ、その値が0.05〜0.25であることが確認された。
また、前記複合窒化物または複合炭窒化物層について、電子線後方散乱回折装置を用いて個々の結晶粒の結晶構造を、TiとAlとMeの複合窒化物または複合炭窒化物層の工具基体表面と垂直な皮膜断面側から観察・測定・解析した場合、立方晶結晶格子の電子線後方散乱回折像が観察される立方晶結晶相単相、あるいは、立方晶結晶相と六方晶結晶格子の電子線後方散乱回折像が観察される六方晶結晶相との混合相からなり、かつ、電子線後方散乱回折像が観察された測定視野面積に占める六方晶結晶相の面積割合は30面積%以下であることが確認された。
また、比較の目的で、工具基体A〜Dの表面に、表3および表4に示される条件かつ表9,10に示される目標層厚(μm)で本発明被覆工具1〜27と同様に、少なくともTiとAlとMeの複合窒化物または複合炭窒化物層を含む硬質被覆層を蒸着形成した。この時には、(Ti1−x―yAlMe)(C1−z)層の成膜工程中にエッチング工程を挟まないで硬質被覆層を形成することにより比較被覆工具1〜13、16〜27を製造した。
なお、本発明被覆工具6〜13、17,18、20,21、24、27と同様に、比較被覆工具6〜13、17,18、20,21、24、27については、表3に示される形成条件で、表6に示される下部層および/または表9,10に示される上部層を形成した。
参考のため、工具基体Bおよび工具基体Cの表面に、従来の物理蒸着装置を用いて、アークイオンプレーティングにより、参考例の(Ti1−x―yAlMe)(C1−z)層を目標層厚で蒸着形成することにより、表9に示される参考被覆工具14、15を製造した。
なお、参考例の蒸着に用いたアークイオンプレーティングの条件は、次のとおりである。
(a)前記工具基体BおよびCを、アセトン中で超音波洗浄し、乾燥した状態で、アークイオンプレーティング装置内の回転テーブル上の中心軸から半径方向に所定距離離れた位置に外周部にそって装着し、また、カソード電極(蒸発源)として、所定組成のTi−Al−Me合金を配置し、
(b)まず、装置内を排気して10−2Pa以下の真空に保持しながら、ヒーターで装置内を500℃に加熱した後、前記回転テーブル上で自転しながら回転する工具基体に−1000Vの直流バイアス電圧を印加し、かつTi−Al−Me合金からなるカソード電極とアノード電極との間に200Aの電流を流してアーク放電を発生させ、装置内にTiおよびAlおよびMeイオンを発生させ、もって工具基体表面をボンバード洗浄し、
(c)次に、装置内に反応ガスとして窒素ガスを導入して4Paの反応雰囲気とすると共に、前記回転テーブル上で自転しながら回転する工具基体に−50Vの直流バイアス電圧を印加し、かつ、前記Ti−Al−Me合金からなるカソード電極(蒸発源)とアノード電極との間に120Aの電流を流してアーク放電を発生させ、前記工具基体の表面に、表9に示される目標組成、目標層厚の(Ti,Al,Me)N層を蒸着形成し、参考被覆工具14、15を製造した。
また、本発明被覆工具1〜27、比較被覆工具1〜13、16〜27および参考被覆工具14、15の各構成層の工具基体に垂直な方向の断面を、走査型電子顕微鏡(倍率5000倍)を用いて測定し、観察視野内の5点の層厚を測って平均して平均層厚を求めたところ、いずれも表7〜10に示される目標層厚と実質的に同じ平均層厚を示した。
また、複合窒化物または複合炭窒化物層の平均Al含有割合xについては、電子線マイクロアナライザ(EPMA,Electron−Probe−Micro−Analyser)を用い、表面を研磨した試料において、電子線を試料表面側から照射し、得られた特性X線の解析結果の10点平均からAlの平均Al含有割合XavおよびMeの平均含有割合Yavを求めた。平均C含有割合Zavについては、二次イオン質量分析(SIMS,Secondary−Ion−Mass−Spectroscopy)により求めた。イオンビームを試料表面側から70μm×70μmの範囲に照射し、スパッタリング作用によって放出された成分について深さ方向の濃度測定を行った。平均C含有割合ZavはTiとAlとMeの複合窒化物または複合炭窒化物層についての深さ方向の平均値を示す。
また、本発明被覆工具1〜27および比較被覆工具1〜13、16〜27および参考被覆工具14、15について、工具基体に垂直な方向の断面方向から走査型電子顕微鏡(倍率5000倍及び20000倍)を用いて、工具基体表面と水平方向に長さ10μmの範囲に存在する複合窒化物または複合炭窒化物層を構成する粒状組織(Ti1−x―yAlMe)(C1−z)層中の個々の結晶粒について、工具基体表面と垂直な皮膜断面側から観察し、基体表面と平行な方向の粒子幅w、基体表面に垂直な方向の粒子長さlを測定し、各結晶粒のアスペクト比a(=l/w)を算出するとともに、個々の結晶粒について求めたアスペクト比aの平均値を平均アスペクト比Aとして算出し、また、個々の結晶粒について求めた粒子幅wの平均値を平均粒子幅Wとして算出した。その結果を、表7〜10に示した。
また、電子線後方散乱回折装置を用いて、TiとAlとMeの複合窒化物または複合炭窒化物層からなる硬質被覆層の工具基体表面に垂直な方向の断面を研磨面とした状態で、電界放出型走査電子顕微鏡の鏡筒内にセットし、前記研磨面に70度の入射角度で15kVの加速電圧の電子線を1nAの照射電流で、前記断面研磨面の測定範囲内に存在する結晶粒個々に照射し、工具基体表面と水平方向に長さ100μmに亘り硬質被覆層について0.01μm/stepの間隔で、電子線後方散乱回折像を測定し、個々の結晶粒の結晶構造を解析することで立方晶結晶構造あるいは六方晶結晶構造であるかを同定し、TiとAlとMeの複合窒化物または複合炭窒化物層には、立方晶の複合窒化物または複合炭窒化物の相が含まれていることを確認するとともに、さらに、該層に含まれる六方晶結晶相の占める面積割合を求めた。その結果を、同じく、表7〜10に示す。
さらに、透過型電子顕微鏡(倍率200000倍)を用いて、複合窒化物または複合炭窒化物層の微小領域の観察を行い、エネルギー分散型X線分光法(EDS)を用いて、断面側から面分析を行ったところ、前記立方晶結晶構造を有する結晶粒内に、組成式:(Ti1−x―yAlMe)(C1−z)におけるTiとAlとMeの周期的な濃度変化が存在することを確認した。また、該結晶粒について電子線回折を行うことで、TiとAlとMeの周期的な濃度変化が立方晶結晶粒の<001>で表される等価の結晶方位のうちの一つの方位に沿って存在することを確認し、その方位に沿ったEDSによる線分析を5周期分の区間で行い、TiとAlとMeの合計に対するAlの周期的な濃度変化の極大値の平均値をXmaxとして求め、また、同区間での、TiとAlとMeの合計に対するAlの周期的な濃度変化の極小値の平均値をXminとして求め、その差(=Xmax−Xmin)を求めた。
また、TiとAlとMeの周期的な濃度変化がある立方晶結晶粒の<001>で表される等価の結晶方位のうちの一つの方位に直交する方向に沿った線分析を前記5周期分の距離に相当する区間で行い、その区間でのAlの含有割合xの最大値と最小値の差を、TiとAlとMeの周期的な濃度変化がある立方晶結晶粒の<001>で表される等価の結晶方位のうちの一つの方位と直交する面内での変化量の最大値ΔXoとして求めた。
さらに、領域Aと領域Bが結晶粒内に存在する結晶粒については、領域Aと領域Bのそれぞれに対して、前述と同様にTiとAlとMeの合計に対するAlの5周期分の周期的な濃度変化の極大値の平均値Xmaxと極小値の平均値Xminとの差(=Xmax−Xmin)を求めるとともに、TiとAlとMeの周期的な濃度変化がある立方晶結晶粒の<001>で表される等価の結晶方位のうちの一つの方位と直交する面内におけるTiとAlとMeの合計に対するAlの含有割合xの最大値と最小値の差を変化量の最大値として求めた。
即ち、領域AのTiとAlとMeの周期的な濃度変化が立方晶結晶粒の<001>で表される等価の結晶方位のうちの一つの方位に沿って存在し、その方位を方位dとした場合、方位dに沿った濃度変化の周期を求めるとともに、方位dに直交する方向に沿った線分析を前記5周期分の距離に相当する区間で行い、その区間でのAlの含有割合xの最大値と最小値の差を、TiとAlとMeの周期的な濃度変化がある立方晶結晶粒の<001>で表される等価の結晶方位のうちの一つの方位と直交する面内での変化量の最大値ΔXodaとして求めた。
また、領域BのTiとAlとMeの周期的な濃度変化が立方晶結晶粒の<001>で表される等価の結晶方位のうちの一つの方位に沿って存在し、その方位を方位dとした場合、方位dに沿った濃度変化の周期を求めるとともに、方位dに直交する方向に沿った線分析を前記5周期分の距離に相当する区間で行い、その区間でのAlの含有割合xの最大値と最小値の差を、TiとAlとMeの周期的な濃度変化がある立方晶結晶粒の<001>で表される等価の結晶方位のうちの一つの方位と直交する面内での変化量の最大値ΔXodbとして求めた。
また、dとdが直交し、領域Aと領域Bの境界が{110}で表される等価な結晶面のうちの一つの面に形成されることを確認した。
このような周期の確認は透過型電子顕微鏡(倍率200000倍)を用いた複合窒化物または複合炭窒化物層の微小領域の観察の視野における最低1個の該結晶粒で確認した。また、領域Aと領域Bが結晶粒内に存在する結晶粒については、透過型電子顕微鏡(倍率200000倍)を用いた複合窒化物または複合炭窒化物層の微小領域の観察の視野における最低1個の該結晶粒の該領域Aおよび領域Bのおのおので評価した値の平均を算出することによって求めた。










つぎに、前記各種の被覆工具をいずれもカッタ径125mmの工具鋼製カッタ先端部に固定治具にてクランプした状態で、本発明被覆工具1〜27、比較被覆工具1〜13、16〜27および参考被覆工具14,15について、以下に示す、合金鋼の高速断続切削の一種である乾式高速正面フライス、センターカット切削加工試験を実施し、切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。その結果を表11に示す。
工具基体:炭化タングステン基超硬合金、炭窒化チタン基サーメット、
切削試験: 乾式高速正面フライス、センターカット切削加工、
被削材: JIS・SCM440幅100mm、長さ400mmのブロック材、
回転速度: 943 min−1
切削速度: 370 m/min、
切り込み: 1.5 mm、
一刃送り量: 0.12 mm/刃、
切削時間: 8分、

原料粉末として、いずれも1〜3μmの平均粒径を有するWC粉末、TiC粉末、ZrC粉末、TaC粉末、NbC粉末、Cr32粉末、TiN粉末およびCo粉末を用意し、これら原料粉末を、表12に示される配合組成に配合し、さらにワックスを加えてアセトン中で24時間ボールミル混合し、減圧乾燥した後、98MPaの圧力で所定形状の圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を5Paの真空中、1370〜1470℃の範囲内の所定の温度に1時間保持の条件で真空焼結し、焼結後、切刃部にR:0.07mmのホーニング加工を施すことによりISO規格CNMG120412のインサート形状をもったWC基超硬合金製の工具基体α〜γをそれぞれ製造した。
また、原料粉末として、いずれも0.5〜2μmの平均粒径を有するTiCN(質量比でTiC/TiN=50/50)粉末、NbC粉末、WC粉末、Co粉末、およびNi粉末を用意し、これら原料粉末を、表13に示される配合組成に配合し、ボールミルで24時間湿式混合し、乾燥した後、98MPaの圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を1.3kPaの窒素雰囲気中、温度:1500℃に1時間保持の条件で焼結し、焼結後、切刃部分にR:0.09mmのホーニング加工を施すことによりISO規格・CNMG120412のインサート形状をもったTiCN基サーメット製の工具基体δを形成した。
つぎに、これらの工具基体α〜γおよび工具基体δの表面に、通常の化学蒸着装置を用い、
(a)表4に示される形成条件A〜V、すなわち、反応ガス組成(容量%)を、TiCl:1.5〜2.5%、Al(CH:0〜5%、AlCl:6〜10%、MeCl:1〜3%、NH:10〜12%、N:6〜7%、C:0〜1%、H:残として、反応雰囲気圧力:2〜5kPa、反応雰囲気温度:750〜900℃として、所定時間、熱CVD法を行うことにより、表15、16に示される平均粒子幅Wおよび平均アスペクト比Aの粒状組織の(Ti1−x―yAlMe)(C1−z)層を成膜する(成膜工程)。
なお、上記MeClについては、実施例1と同様に、Me(Si,Zr,B,V,Cr)の種別に応じて、それぞれ、SiCl,ZrCl,BCl,VCl,CrClを用いる。
(b)前記(a)の成膜工程時に、表5に示される形成条件a〜j、すなわち、反応ガス組成(容量%)を、TiCl:2.0〜5.0%、H:残として、反応雰囲気圧力:2〜5kPa、反応雰囲気温度:750〜900℃とするTiClエッチング工程を所定時間、所定回数挟む(エッチング工程)。
(c)前記(a)の成膜工程中に(b)からなるエッチング工程を表15、16に示された所定時間、所定回数、挟むことによって、表15、16に示される目標層厚を有する立方晶結晶を少なくとも含む粒状組織の(Ti1−x―yAlMe)(C1−z)層からなる硬質被覆層を形成することにより本発明被覆工具31〜57を製造した。
なお、本発明被覆工具34〜43、47、48、50、51、54、57については、表3に示される形成条件で、表14に示される下部層および/または表15、16に示される上部層を形成した。
また、比較の目的で、同じく工具基体α〜γおよび工具基体δの表面に、通常の化学蒸着装置を用い、表3および表4に示される条件かつ表17、18に示される目標層厚で本発明被覆工具と同様に硬質被覆層を蒸着形成することにより、表17、18に示される比較被覆工具31〜43、46〜57を製造した。
なお、本発明被覆工具34〜43、47、48、50、51、54、57と同様に、比較被覆工具34〜43、47、48、50、51、54、57については、表3に示される形成条件で、表14に示される下部層および/または表17、18に示される上部層を形成した。
参考のため、工具基体βおよび工具基体γの表面に、従来の物理蒸着装置を用いて、アークイオンプレーティングにより、参考例の(Ti1−x―yAlMe)(C1−z)層を目標層厚で蒸着形成することにより、表17に示される参考被覆工具44,45を製造した。
なお、アークイオンプレーティングの条件は、実施例1に示される条件と同様の条件を用いた。
また、本発明被覆工具31〜57、比較被覆工具31〜43,46〜57および参考被覆工具44,45の各構成層の断面を、走査型電子顕微鏡(倍率5000倍)を用いて測定し、観察視野内の5点の層厚を測って平均して平均層厚を求めたところ、いずれも表15〜18に示される目標層厚と実質的に同じ平均層厚を示した。
また、前記本発明被覆工具31〜57、比較被覆工具31〜43,46〜57および参考被覆工具44,45の硬質被覆層について、実施例1に示される方法と同様の方法を用いて、平均Al含有割合Xav、平均Me含有割合Yav、平均C含有割合Zav、粒状組織(Ti1−x―yAlMe)(C1−z)層を構成する結晶粒の平均粒子幅W、平均アスペクト比A、結晶粒における六方晶結晶相の占める面積割合を求めた。その結果を、表15〜18に示す。
前記本発明被覆工具31〜57の硬質被覆層を構成するTiとAlとMeの複合窒化物または複合炭窒化物層について、走査型電子顕微鏡(倍率5000倍及び20000倍)を用いて複数視野に亘って観察したところ、図1に示した膜構成模式図に示されるように立方晶結晶が存在する粒状組織の(Ti1−x―yAlMe)(C1−z)層が確認された。また、立方晶結晶粒内にTiとAlとMeの周期的な濃度分布が存在していることが、透過型電子顕微鏡(倍率200000倍)を用いて、エネルギー分散型X線分光法(EDS)による面分析により確認された。さらに詳しく解析した結果、Alの含有割合xの周期的に変化するxの値の極大値の平均値Xmaxと、Alの含有割合xの周期的に変化するxの値の極小値の平均値Xminとの差(Xmax−Xmin)が0.05〜0.25であることが確認された。
また、前記複合窒化物または複合炭窒化物層について、電子線後方散乱回折装置を用いて個々の結晶粒の結晶構造を、TiとAlの複合窒化物または複合炭窒化物層の工具基体表面と垂直な皮膜断面側から観察・測定・解析した場合、立方晶結晶格子の電子線後方散乱回折像が観察される立方晶結晶相単相、あるいは、立方晶結晶相と六方晶結晶格子の電子線後方散乱回折像が観察される六方晶結晶相との混合相からなり、かつ、電子線後方散乱回折像が観察された測定視野面積に占める六方晶結晶相の面積割合が30面積%以下であることが確認された。







つぎに、前記各種の被覆工具をいずれも工具鋼製バイトの先端部に固定治具にてネジ止めした状態で、本発明被覆工具31〜57、比較被覆工具31〜43,46〜57および参考被覆工具44,45について、以下に示す、合金鋼の乾式高速断続切削試験、鋳鉄の湿式高速断続切削試験を実施し、いずれも切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。
切削条件1:
被削材:JIS・SCM435の長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度: 360 m/min、
切り込み: 1.5 mm、
送り: 0.2 mm/rev、
切削時間: 5 分、
(通常の切削速度は、220m/min)、
切削条件2:
被削材:JIS・FCD450の長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度: 350 m/min、
切り込み: 1.2 mm、
送り: 0.4 mm/rev、
切削時間: 5 分、
(通常の切削速度は、200m/min)、
表19に、前記切削試験の結果を示す。

原料粉末として、いずれも0.5〜4μmの範囲内の平均粒径を有するcBN粉末、TiN粉末、TiCN粉末、TiC粉末、Al粉末、Al粉末を用意し、これら原料粉末を表20に示される配合組成に配合し、ボールミルで80時間湿式混合し、乾燥した後、120MPaの圧力で直径:50mm×厚さ:1.5mmの寸法をもった圧粉体にプレス成形し、ついでこの圧粉体を、圧力:1Paの真空雰囲気中、900〜1300℃の範囲内の所定温度に60分間保持の条件で焼結して切刃片用予備焼結体とし、この予備焼結体を、別途用意した、Co:8質量%、WC:残りの組成、並びに直径:50mm×厚さ:2mmの寸法をもったWC基超硬合金製支持片と重ね合わせた状態で、通常の超高圧焼結装置に装入し、通常の条件である圧力:4GPa、温度:1200〜1400℃の範囲内の所定温度に保持時間:0.8時間の条件で超高圧焼結し、焼結後上下面をダイヤモンド砥石を用いて研磨し、ワイヤー放電加工装置にて所定の寸法に分割し、さらにCo:5質量%、TaC:5質量%、WC:残りの組成およびJIS規格CNGA120412の形状(厚さ:4.76mm×内接円直径:12.7mmの80°菱形)をもったWC基超硬合金製インサート本体のろう付け部(コーナー部)に、質量%で、Zr:37.5%、Cu:25%、Ti:残りからなる組成を有するTi−Zr−Cu合金のろう材を用いてろう付けし、所定寸法に外周加工した後、切刃部に幅:0.13mm、角度:25°のホーニング加工を施し、さらに仕上げ研摩を施すことによりISO規格CNGA120412のインサート形状をもった工具基体イ、ロをそれぞれ製造した。

つぎに、これらの工具基体イ、ロの表面に、通常の化学蒸着装置を用い、実施例1と同様の方法により表3および表4に示される条件で、少なくとも(Ti1−x―yAlMe)(C1−z)層を含む硬質被覆層を目標層厚で蒸着形成することにより、表22、23に示される本発明被覆工具61〜72を製造した。
なお、本発明被覆工具64〜68、71については、表3に示される形成条件で、表21に示すような下部層および/または表22、23に示すような上部層を形成した。
また、比較の目的で、同じく工具基体イ、ロの表面に、通常の化学蒸着装置を用い、表3および表4に示される条件で、少なくとも(Ti1−x―yAlMe)(C1−z)層を含む硬質被覆層を目標層厚で蒸着形成することにより、表24、25に示される比較被覆工具61〜64,67〜74を製造した。
なお、本発明被覆工具64〜68、71と同様に、比較被覆工具64、67、68については、表3に示される形成条件で、表21に示すような下部層および/または表24、25に示すような上部層を形成した。
参考のため、工具基体イ、ロの表面に、従来の物理蒸着装置を用いて、アークイオンプレーティングにより、(Ti1−x―yAlMe)(C1−z)層を目標層厚で蒸着形成することにより、表24に示される参考被覆工具69,70を製造した。
なお、アークイオンプレーティングの条件は、実施例1に示される条件と同様の条件を用い、前記工具基体の表面に、表24に示される目標組成、目標層厚の(Ti1−x―yAlMe)(C1−z)層を蒸着形成し、参考被覆工具65,66を製造した。
また、本発明被覆工具61〜72、比較被覆工具61〜64,67〜74および参考被覆工具65,66の各構成層の断面を、走査型電子顕微鏡(倍率5000倍)を用いて測定し、観察視野内の5点の層厚を測って平均して平均層厚を求めたところ、いずれも表22〜25に示される目標層厚と実質的に同じ平均層厚を示した。
また、前記本発明被覆工具61〜72、比較被覆工具61〜64,67〜74および参考被覆工具65,66の硬質被覆層について、実施例1に示される方法と同様の方法を用いて、平均Al含有割合Xav、平均Me含有割合Yav、平均C含有割合Zav、粒状組織(Ti1−x―yAlMe)(C1−z)層を構成する結晶粒の平均粒子幅W、平均アスペクト比A、結晶粒における六方晶結晶相の占める面積割合を求めた。その結果を、表22〜25に示す。





つぎに、各種の被覆工具をいずれも工具鋼製バイトの先端部に固定治具にてネジ止めした状態で、本発明被覆工具61〜72、比較被覆工具61〜64,67〜74および参考被覆工具65,66について、以下に示す、浸炭焼入れ合金鋼の乾式高速断続切削加工試験を実施し、切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。
切削試験: 浸炭焼入れ合金鋼の乾式高速断続切削加工、
被削材: JIS・SCr420(硬さ:HRC62)の長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度: 260 m/min、
切り込み: 0.15 mm、
送り: 0.15 mm/rev、
切削時間: 4 分、
表26に、前記切削試験の結果を示す。

表11、表19および表26に示される結果から、本発明の被覆工具は、TiとAlとMeの複合窒化物または複合炭窒化物の少なくとも立方晶結晶粒を含む硬質被覆層において、該立方晶結晶粒内に、TiとAlとMeの濃度変化が存在することで、結晶粒の歪みにより、硬さが向上し、高い耐摩耗性を保ちつつ、靱性が向上する。しかも、切れ刃に断続的・衝撃的高負荷が作用する高速断続切削加工に用いた場合でも、耐チッピング性、耐欠損性にすぐれ、その結果、長期の使用に亘ってすぐれた耐摩耗性を発揮することが明らかである。
これに対して、硬質被覆層を構成するTiとAlとMeの複合窒化物または複合炭窒化物の少なくとも立方晶結晶粒を含む硬質被覆層において、該立方晶結晶粒内に、TiとAlとMeの濃度変化が存在していない比較被覆工具1〜13、16〜27,31〜43、46〜57、61〜64、67〜74および参考被覆工具14、15、44、45、65,66については、高熱発生を伴い、しかも、切れ刃に断続的・衝撃的高負荷が作用する高速断続切削加工に用いた場合、チッピング、欠損等の発生により短時間で寿命にいたることが明らかである。
前述のように、本発明の被覆工具は、合金鋼の高速断続切削加工ばかりでなく、各種の被削材の被覆工具として用いることができ、しかも、長期の使用に亘ってすぐれた耐チッピング性、耐摩耗性を発揮するものであるから、切削装置の高性能化並びに切削加工の省力化および省エネ化、さらに低コスト化に十分満足に対応できるものである。

Claims (9)

  1. 炭化タングステン基超硬合金、炭窒化チタン基サーメットまたは立方晶窒化ホウ素基超高圧焼結体のいずれかで構成された工具基体の表面に、硬質被覆層を設けた表面被覆切削工具において、
    (a)前記硬質被覆層は、化学蒸着法により成膜された平均層厚1〜20μmのTiとAlとMe(但し、Meは、Si、Zr、B、V、Crの中から選ばれる一種の元素)の複合窒化物または複合炭窒化物層を少なくとも含み、組成式:(Ti1−x―yAlMe)(C1−z)で表した場合、AlのTiとAlとMeの合量に占める平均含有割合XavおよびMeのTiとAlとMeの合量に占める平均含有割合YavならびにCのCとNの合量に占める平均含有割合Zav(但し、Xav、Yav、Zavはいずれも原子比)が、それぞれ、0.60≦Xav≦0.95、0.005≦Yav≦0.10、0≦Zav≦0.005、Xav+Yav≦0.955を満足し、
    (b)前記複合窒化物または複合炭窒化物層は、NaCl型の面心立方構造を有する複合窒化物または複合炭窒化物の相を少なくとも含み、
    (c)また、工具基体表面と垂直な皮膜断面側から観察・測定した場合に、NaCl型の面心立方構造を有する複合窒化物または複合炭窒化物の結晶粒の平均粒子幅Wが0.05〜1.0μm、平均アスペクト比Aが5以下の粒状組織であり、
    (d)さらに、前記NaCl型の面心立方構造を有する複合窒化物または複合炭窒化物の結晶粒内に、組成式:(Ti1−x―yAlMe)(C1−z)におけるTiとAlとMeの周期的な濃度変化が存在し、Alの含有割合xの周期的に変化するxの値の極大値の平均値をXmax、また、Alの含有割合xの周期的に変化するxの値の極小値の平均値をXminとした場合、XmaxとXminの差が0.05〜0.25であることを特徴とする表面被覆切削工具。
  2. 前記複合窒化物または複合炭窒化物層中のTiとAlとMeの周期的な濃度変化が存在するNaCl型の面心立方構造を有する結晶粒において、TiとAlとMeの周期的な濃度変化が立方晶結晶粒の<001>で表される等価の結晶方位のうちの一つの方位に沿って存在し、その方位に沿った周期が3〜30nmであり、その方位に直交する面内でのAlの含有割合xの変化は0.01以下であること特徴とする請求項1に記載の表面被覆切削工具。
  3. 前記複合窒化物または複合炭窒化物層中のTiとAlとMeの周期的な濃度変化が存在するNaCl型の面心立方構造を有する結晶粒において、
    (a)TiとAlとMeの周期的な濃度変化が立方晶結晶粒の<001>で表される等価の結晶方位のうちの一つの方位に沿って存在し、その方位を方位dとすると、方位dに沿った周期が3〜30nmであり、方位dに直交する面内でのAlの含有割合xの変化は0.01以下である領域A、
    (b)TiとAlとMeの周期的な濃度変化が、方位dと直交する立方晶結晶粒の<001>で表される等価の結晶方位のうちの一つの方位に沿って存在し、その方位を方位dとすると、方位dに沿った周期が3〜30nmであり、方位dに直交する面内でのAlの含有割合xの変化は0.01以下である領域B、
    前記領域Aおよび領域Bが結晶粒内に存在し、前記領域Aと領域Bの境界が{110}で表される等価な結晶面のうちの一つの面に形成されることを特徴とする請求項1に記載の表面被覆切削工具。
  4. 前記複合窒化物または複合炭窒化物層は、NaCl型の面心立方構造を有するTiとAlとMeの複合窒化物または複合炭窒化物の単相からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  5. 前記複合窒化物または複合炭窒化物層は、2種以上の複数の相が共存する混合相からなり、該混合相は、NaCl型の面心立方構造を有するTiとAlとMeの複合窒化物または複合炭窒化物の相を少なくとも含み、混合相に共存するその他の各相はTiとAlとMeから選ばれる少なくとも1種の元素とC,Nから選ばれる少なくとも一種からなる化合物からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  6. 前記複合窒化物または複合炭窒化物層には、ウルツ鉱型の六方晶構造を有する結晶粒が存在し、工具基体表面と垂直な皮膜断面側から測定した場合に、該ウルツ鉱型の六方晶構造を有する結晶粒の存在する面積割合は30面積%以下であることを特徴とする請求項1乃至3または請求項5のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  7. 前記炭化タングステン基超硬合金、炭窒化チタン基サーメットまたは立方晶窒化ホウ素基超高圧焼結体のいずれかで構成された工具基体と前記TiとAlとMeの複合窒化物または複合炭窒化物層の間に、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層および炭窒酸化物層のうちの1層または2層以上からなり、かつ、0.1〜20μmの合計平均層厚を有するTi化合物層を含む下部層が存在することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  8. 前記複合窒化物または複合炭窒化物層の上部に、少なくとも1〜25μmの平均層厚を有する酸化アルミニウム層を含む上部層が存在することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  9. 前記複合窒化物または複合炭窒化物層は、少なくとも、トリメチルアルミニウムを反応ガス成分として含有する化学蒸着法により成膜されたものであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
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