JP2015157296A - チタンまたはチタン合金からなる鋳塊の連続鋳造装置 - Google Patents

チタンまたはチタン合金からなる鋳塊の連続鋳造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】鋳肌の状態が良好な鋳塊を鋳造することが可能なチタンまたはチタン合金からなる鋳塊の連続鋳造装置を提供する。
【解決手段】チタンまたはチタン合金を溶解させた溶湯を断面円形で無底の鋳型内に注入して凝固させながら下方に引抜くことで、チタンまたはチタン合金からなる鋳塊を連続的に鋳造する連続鋳造装置1であって、鋳型2の上方に設けられ、前記鋳型内の前記溶湯の湯面を加熱するプラズマトーチ7と、鋳型の側方に設けた交流型の電磁撹拌装置8で、溶湯12の少なくとも湯面を撹拌する。そして、電磁撹拌装置により、溶湯の湯面の周縁部において、鋳型の壁面に平行する流れを、溶湯の少なくとも湯面に生じさせる。
【選択図】図2

Description

本発明は、チタンまたはチタン合金からなる鋳塊を連続的に鋳造する、チタンまたはチタン合金からなる鋳塊の連続鋳造装置に関する。
真空アーク溶解や電子ビーム溶解によって溶融させた金属を無底の鋳型内に注入して凝固させながら下方に引抜くことで、鋳塊を連続的に鋳造することが行われている。
特許文献1には、チタンまたはチタン合金をアルゴンガス雰囲気中でプラズマアーク溶解して鋳型内に注入して凝固させる、自動制御プラズマ溶解鋳造方法が開示されている。不活性ガス雰囲気中で行われるプラズマアーク溶解においては、真空中で行われる電子ビーム溶解とは異なり、純チタンだけでなく、チタン合金も鋳造することが可能である。
また、特許文献2には、電子ビームを用いた高融点金属インゴットの製造方法が開示されている。この製造方法では、インゴットの底部を回転させながら引き抜くとともに、鋳型プール面に照射する電子ビームを、鋳型プールの中心部に比べて、鋳型プールの周縁部に沿った電子ビームのエネルギー密度を高めて照射している。
特許第3077387号公報 特開2009−172665号公報
ところで、鋳造された鋳塊の鋳肌に凹凸や傷があると、圧延前に表面を切削する等の前処理が必要となり、歩留り低減や作業工数の増加の原因となる。そこで、鋳肌に凹凸や傷が無い鋳塊を鋳造することが求められている。
また、チタンまたはチタン合金からなる丸型の鋳塊(丸型インゴット)は、圧延、鍛造、熱処理などの工程を経て製品化される。そのため、疲労強度など機械的特性に優れた製品を得るには、直径が1000mm以上の大径の鋳塊が求められている。
しかし、鋳塊の径が大きくなるほど、溶湯の湯面への総入熱量が大きくなる。湯面への総入熱量が大きくなると、形成される溶湯プールの中心の深さが深くなって、成分偏析が顕著となり、溶湯の湯面の周縁部において入熱量が過小となる。溶湯の湯面の周縁部において入熱量が過小となると、湯面シェル露出量が増加して、初期凝固シェルの成長が促進される。その結果、鋳塊の鋳肌性状が悪化したり、場合によっては鋳塊の引抜きが困難になったりする。
また、大径の鋳塊をプラズマアーク溶解によって鋳造する場合、プラズマトーチを固定していたのでは溶湯の湯面を加熱できる範囲に限界がある。そこで、プラズマトーチを移動させて溶湯の湯面を全面的に加熱しながら引抜きを行う必要がある。
しかし、直径が1000mm以上の大径の鋳塊を製造する場合、プラズマトーチが1本では移動距離が長くなる。そのため、湯面上の所定箇所においてプラズマトーチが離れてから戻ってくるまでの時間が長くなり、その間に溶湯の温度が大幅に低下してしまう。そこで、プラズマトーチを複数本使用することで、溶湯の温度低下を軽減させる必要がある。
しかしながら、プラズマトーチの移動速度には限界があるため、鋳塊の径が大きくなってプラズマトーチの移動距離が長くなるほど、溶湯の湯面上の位置や時間による入熱量のばらつきが大きくなる。その結果、鋳塊内の位置によって凝固挙動が不均一となり、鋳肌性状が悪化する。
特に、直径が1000mm以上の大径の鋳塊を製造する場合、溶湯の湯面の加熱を鋳型との境界近傍である周縁部に限定しなければ、熱バランス指標を目標範囲に近づけることができず、鋳肌性状の良好な鋳塊を得ることが困難になる。
しかし、周縁部に限定して溶湯の湯面を加熱しても、プラズマトーチの移動距離が長いために、湯面近傍での入抜熱バランス範囲の変動幅が大きくなる。その結果、良好な鋳肌性状を安定的に得ることが困難になる。
また、溶湯の湯面の加熱を鋳型との境界近傍に集中させすぎると、湯面の中央部付近では入熱量が不足して、湯面の中央部付近が凝固するという問題が生じる。中央部付近が凝固すると、凝固物が溶湯の流れに沿って鋳型との境界に移動し、その上に溶湯が被って表面欠陥が発生することが懸念される。
本発明の目的は、鋳肌の状態が良好な鋳塊を鋳造することが可能なチタンまたはチタン合金からなる鋳塊の連続鋳造装置を提供することである。
本発明は、チタンまたはチタン合金を溶解させた溶湯を断面円形で無底の鋳型内に注入して凝固させながら下方に引抜くことで、チタンまたはチタン合金からなる鋳塊を連続的に鋳造する連続鋳造装置であって、前記鋳型の上方に設けられ、前記鋳型内の前記溶湯の湯面を加熱するプラズマトーチと、前記鋳型の側方に設けられ、交流電流による電磁撹拌によって、前記溶湯の少なくとも湯面を撹拌する電磁撹拌装置と、を有し、前記電磁撹拌装置により、前記溶湯の湯面の周縁部において、前記鋳型の壁面に平行する流れを、前記溶湯の少なくとも湯面に生じさせることを特徴とする。
本発明によれば、電磁撹拌によって、溶湯の湯面の周縁部において、鋳型の壁面に平行する流れを溶湯の少なくとも湯面に生じさせる。これにより、溶湯の湯面の周縁部において、プラズマトーチによる溶湯の湯面への入熱を鋳型の壁面に沿って拡散させることができる。これにより、溶湯の湯面の周縁部が均熱化されるので、入抜熱バランスの変動幅を狭くすることができる。また、電磁撹拌で、プラズマトーチによる入熱を拡散させることで、溶湯の湯面への総入熱量を小さくすることができる。これにより、溶湯プールの中心深さを浅くすることができるので、成分偏析を低減させることができる。よって、鋳肌の状態が良好な鋳塊を鋳造することができる。
連続鋳造装置を示す斜視図である。 連続鋳造装置を示す断面図である。 表面欠陥の発生メカニズムを表す説明図である。 表面欠陥の発生メカニズムを表す説明図である。 鋳塊の表面写真である。 鋳塊の表面写真である。 鋳型と鋳塊との完全接触領域のモデル図である。 通過熱流束と鋳塊表面温度との関係を示す図である。 均一入熱及び傾斜入熱した場合の溶湯の湯面への総入熱量と溶湯プールの中心深さとの関係を示す図である。 均一入熱及び傾斜入熱した場合の鋳型との境界近傍における平均入熱量と湯面シェル露出量との関係を示す図である。 鋳型を上方から見たモデル図である。 点Aにおける入熱履歴のグラフである。 鋳型を上方から見たモデル図である。 点Aにおける入熱履歴のグラフである。 鋳型の断面図である。 鋳型を上方から見たときのプラズマトーチの移動パターンを示す図である。 傾斜加熱によるプラズマトーチの出力パターンを示す図である。 総入熱量が等しい場合の鋳型の境界近傍での入熱量と鋳型の中央部付近での入熱量との関係を示す図である。 鋳型を上方から見たときの溶湯の流れを示す図である。 直流型電磁撹拌の概念図である。 プラズマトーチの中心からの距離と周方向の撹拌力との関係を示す図である。 交流型電磁撹拌の概念図である。 鋳型を上方から見たモデル図である。 鋳型を上方から見たモデル図である。 鋳型を上方から見たモデル図である。 鋳型を上方から見たモデル図である。 鋳型を側方から見たモデル図である。 鋳型を側方から見たモデル図である。 鋳型を側方から見たモデル図である。 鋳型を上方から見たモデル図である。 鋳型を上方から見たときのプラズマトーチの移動パターンを示す図である。 鋳型を上方から見たときの溶湯の流れを示す図である。 溶湯の湯面の温度分布を示す図である。 溶湯の湯面の流速ベクトルを示す図である。 電磁撹拌を行わない場合の溶湯プールを示す図である。 電磁撹拌を行った場合の溶湯プールを示す図である。 鋳塊表面の通過熱量と鋳塊表面温度との関係を示す図である。 鋳型を上方から見たときの溶湯の流れを示す図である。 溶湯プール内での溶湯の流れを示す図である。 電磁撹拌を行った場合の溶湯プールを示す図である。 鋳型を側方から見たときの溶湯の流れを示す図である。 溶湯プール内での溶湯の流速ベクトルを示す図である。 電磁撹拌を行った場合の溶湯プールを示す図である。 電磁撹拌を行った場合の溶湯プールを示す図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
(連続鋳造装置の構成)
本実施形態によるチタンまたはチタン合金からなる鋳塊の連続鋳造装置(連続鋳造装置)1は、プラズマアーク溶解させたチタンまたはチタン合金の溶湯を断面円形で無底の鋳型内に注入して凝固させながら下方に引抜くことで、チタンまたはチタン合金からなる丸型インゴット(鋳塊)を連続的に鋳造する連続鋳造装置である。この連続鋳造装置1は、斜視図である図1、および、断面図である図2に示すように、鋳型2と、コールドハース3と、原料投入装置4と、プラズマトーチ5と、スターティングブロック6と、プラズマトーチ7と、電磁撹拌装置8と、コントローラ(制御装置)9と、を有している。なお、図1においては、電磁撹拌装置8およびコントローラ9の図示を省略している。連続鋳造装置1のまわりは、アルゴンガスやヘリウムガス等からなる不活性ガス雰囲気にされている。
原料投入装置4は、コールドハース3内にスポンジチタンやスクラップ等のチタンまたはチタン合金の原料を投入する。プラズマトーチ5は、コールドハース3の上方に設けられており、プラズマアークを発生させてコールドハース3内の原料を溶融させる。コールドハース3は、原料が溶融した溶湯12を所定の流量で注湯部3aから鋳型2内に注入する。
鋳型2は、銅製であって、無底で断面形状が円形に形成されており、円筒状の壁部の少なくとも一部の内部を循環する水によって冷却されるようになっている。スターティングブロック6は、図示しない駆動部によって上下動され、鋳型2の下側開口部を塞ぐことが可能である。プラズマトーチ7は、鋳型2の上方に設けられており、図示しない移動手段により溶湯12の湯面上で水平移動されながら、鋳型2内に注入された溶湯12の湯面をプラズマアークで加熱する。コントローラ9は、プラズマトーチ7の移動を制御する。
電磁撹拌装置8は、コイル鉄心にEMSコイルを巻回したものであって、鋳型2の側方に設けられており、交流電流による電磁撹拌によって、鋳型2内の溶湯12の少なくとも湯面を攪拌する。コントローラ9は、電磁撹拌装置8による電磁撹拌を制御する。
以上の構成において、鋳型2内に注入された溶湯12は、水冷式の鋳型2との接触面から凝固していく。そして、鋳型2の下側開口部を塞いでいたスターティングブロック6を所定の速度で下方に引き下ろしていくことで、溶湯12が凝固した円柱状の丸型インゴット11が下方に引抜かれながら連続的に鋳造される。
ここで、真空雰囲気での電子ビーム溶解では微少成分が蒸発するために、チタン合金の鋳造は困難である。これに対して、不活性ガス雰囲気でのプラズマアーク溶解では、純チタンだけでなく、チタン合金も鋳造することが可能である。
なお、連続鋳造装置1は、鋳型2内の溶湯12の湯面に固相あるいは液相のフラックスを投入するフラックス投入装置を有していてもよい。ここで、真空雰囲気での電子ビーム溶解では、フラックスが飛散するのでフラックスを鋳型2内の溶湯12に投入するのが困難である。これに対して、不活性ガス雰囲気でのプラズマアーク溶解では、フラックスを鋳型2内の溶湯12に投入することができるという利点を有する。
(操業条件)
ところで、チタンまたはチタン合金からなる丸型インゴット11を連続鋳造した際に、丸型インゴット11の表面(鋳肌)に凹凸や傷があると、次工程である圧延過程で表面欠陥となる。そのため、圧延する前に丸型インゴット11表面の凹凸や傷を切削等で取り除く必要があり、歩留まりの低下や作業工程の増加など、コストアップの要因となる。そのため、鋳肌に凹凸や傷が無い丸型インゴット11を鋳造することが求められている。
表面欠陥の発生メカニズムを表す説明図である図3Aおよび図3Bに示すように、鋳型2との境界近傍では、プラズマアークや電子ビームにより加熱される溶湯12の湯面近傍(湯面から湯面下10mm程度までの領域)においてのみ鋳型2と凝固シェル13の表面とが接触している。そして、これより深い領域では丸型インゴット11が熱収縮することで、鋳型2との間にエアギャップ14が発生する。そして、図3Aに示すように、初期凝固シェル15(溶湯12が鋳型2に触れて最初に凝固する部分)への入熱が過多の場合、凝固シェル13が薄くなりすぎるために強度不足により凝固シェル13の表面が引きちぎられる「ちぎれ欠陥」が発生する。一方、図3Bに示すように、初期凝固シェル15への入熱が不足すると、成長した(厚くなった)凝固シェル13上に溶湯12が被ることで「湯被り欠陥」が発生する。「ちぎれ欠陥」が発生した鋳塊の表面写真を図4Aに、「湯被り欠陥」が発生した鋳塊の表面写真を図4Bに、それぞれ示す。
鋳型2と丸型インゴット11との完全接触領域16のモデル図を図5に示す。完全接触領域16は、湯面から湯面下10mm程度までのハッチングで図示された、鋳型2と丸型インゴット11とが接触している領域である。完全接触領域16においては、丸型インゴット11の表面から鋳型2への通過熱流束qが生じる。Dは湯面シェルの厚みである。
通過熱流束qと丸型インゴット11の表面温度Tとの関係を図6に示す。ここで、熱バランス指標である通過熱流束q[W/m]および丸型インゴット11の表面温度T[℃]は、完全接触領域16における平均値で評価している。この関係図から、鋳型2と丸型インゴット11との完全接触領域16における丸型インゴット11の表面温度Tの平均値が800℃<T<1250℃の範囲であれば、ちぎれ欠陥や湯被り欠陥のない、鋳肌の状態が良好な丸型インゴット11を得ることができることがわかる。
また、チタンまたはチタン合金からなる丸型インゴット11は、圧延、鍛造、熱処理などの工程を経て製品化される。そのため、疲労強度など機械的特性に優れた製品を得るには、直径が1000mm以上の大径の丸型インゴット11が求められている。
しかし、丸型インゴット11の径が大きくなるほど、溶湯12の湯面への総入熱量が大きくなる。均一入熱及び傾斜入熱した場合の溶湯12の湯面への総入熱量と溶湯プールの中心深さとの関係を図7に示す。湯面への総入熱量が大きくなると、形成される溶湯プールの中心の深さが深くなって、成分偏析が顕著となり、溶湯12の湯面の周縁部において入熱量が過小となる。また、均一入熱及び傾斜入熱した場合の鋳型2との境界近傍における平均入熱量と湯面シェル露出量との関係を図8に示す。溶湯12の湯面の周縁部において入熱量が過小になると、湯面シェル露出量が増加して、初期凝固シェル15(図3B参照)の成長が促進される。その結果、丸型インゴット11の鋳肌性状が悪化したり、場合によっては丸型インゴット11の引抜きが困難になったりする。
また、大径の丸型インゴット11をプラズマアーク溶解によって鋳造する場合、プラズマトーチ7を固定していたのでは溶湯12の湯面を加熱できる範囲に限界がある。そこで、プラズマトーチ7を移動させて溶湯12の湯面を全面的に加熱しながら引抜きを行う必要がある。
しかし、直径が1000mm以上の大径の丸型インゴット11を製造する場合、鋳型2を上方から見たモデル図である図9Aに示すように、プラズマトーチ7が1本では移動距離が長くなる。そのため、湯面上の点Aにおいてプラズマトーチ7が離れてから戻ってくるまでの時間が長くなる。湯面上の点Aにおける入熱履歴のグラフである図9Bに示すように、プラズマトーチ7が離れてから戻ってくるまでの間(図9Bに示す時間t)に、溶湯12の温度が大幅に低下してしまう。
そこで、鋳型2を上方から見たモデル図である図10Aに示すように、プラズマトーチ7を複数本(ここでは2本)使用することで、溶湯12の温度低下を軽減させる必要がある。点Aにおける入熱履歴のグラフである図10Bに示すように、プラズマトーチ7が離れてから戻ってくるまでの時間(図10Bに示す時間t’)が短くなることで、溶湯12の温度低下が軽減する。
しかしながら、プラズマトーチ7の移動速度に限界があるため、丸型インゴット11の径が大きくなってプラズマトーチ7の移動距離が長くなるほど、溶湯12の湯面上の位置や時間による入熱量のばらつきが大きくなる。その結果、丸型インゴット11内の位置によって凝固挙動が不均一となり、鋳肌性状が悪化する。
特に、直径が1000mm以上の大径の丸型インゴット11を製造する場合、溶湯12の湯面の加熱を鋳型2との境界近傍である周縁部に限定しなければ、熱バランス指標を図6に示した目標範囲に近づけることができず、鋳肌性状の良好な丸型インゴット11を得ることが困難になる。
なお、複数本のプラズマトーチ7を使用した場合に、各プラズマトーチ7が移動中に近づきすぎると、図10Aに示すようにプラズマトーチ7同士がお互いに干渉し合う等して、プラズマトーチ7の寿命を縮める恐れがある。そのため、複数のプラズマトーチ7間において、ある程度の距離を保つ必要がある。
しかし、周縁部に限定して溶湯12の湯面を加熱しても、プラズマトーチ7の移動距離が長いために、湯面近傍での入抜熱バランス範囲の変動幅が大きくなる。その結果、安定して良好な鋳肌性状を得ることが困難になる。
また、溶湯12の湯面の加熱を周縁部に集中させすぎると、鋳型2の断面図である図11に示すように、溶湯12の湯面の中央部付近では入熱量が不足して、中央部付近(図11中、破線で囲まれた部分)が凝固するという問題が生じる。中央部付近が凝固すると、凝固物が溶湯12の流れに沿って鋳型2との境界に移動し、その上に溶湯12が被って「湯被り欠陥」(図3B参照)が発生することが懸念される。
(プラズマトーチの移動パターン)
そこで、本実施形態では、2本のプラズマトーチ7a,7bで溶湯12の湯面における鋳型2との境界近傍、即ち、湯面の周縁部を集中的に加熱する。鋳型2を上方から見たときのプラズマトーチ7の移動パターンを図12に示す。
図12に示すように、鋳型2内の溶湯12の中心を原点として、溶湯12の中心軸に垂直な湯面をxy平面とする。そして、2本のプラズマトーチ7a,7bの各々の中心が、下記の範囲を移動するように、コントローラ9(図2参照)で制御する。
プラズマトーチ7aの範囲:x<0の範囲(図12の左側の半円)
プラズマトーチ7bの範囲:x>0の範囲(図12の右側の半円)
そして、溶湯12の湯面の半径をRとしたとき、プラズマトーチ7a,7bを、それぞれの中心がA→B→C→D→E→Fと移動するようにして、下記の軌道をたどるように制御する。
0<r1<R/2の半径を持つ内周部円弧:プラズマトーチ7aにおいては、B→C→D、プラズマトーチ7bにおいては、D→E→F
R/2<r2<Rの半径を持つ外周部円弧:プラズマトーチ7aにおいては、E→F→A、プラズマトーチ7bにおいては、A→B→C
内周部円弧及び外周部円弧の2つの円弧をつなぐ直線:プラズマトーチ7aにおいては、A→B及びD→E、プラズマトーチ7bにおいては、C→D及びF→A
即ち、プラズマトーチ7aを、その中心が下記の軌道をたどるように制御する。
A→B:内周部円弧及び外周部円弧の2つの円弧をつなぐ直線
B→C→D:内周部円弧
D→E:内周部円弧及び外周部円弧の2つの円弧をつなぐ直線
E→F→A:外周部円弧
また、プラズマトーチ7bを、その中心が下記の軌道をたどるように制御する。
A→B→C:外周部円弧
C→D:内周部円弧及び外周部円弧の2つの円弧をつなぐ直線
D→E→F:内周部円弧
F→A:内周部円弧及び外周部円弧の2つの円弧をつなぐ直線
このように、コントローラ9で2本のプラズマトーチ7a,7bの動きを制御することで、2本のプラズマトーチ7a,7bを図12に示す移動パターンで移動させる。そして、外周部円弧を移動するプラズマトーチ7a,7bで溶湯12の湯面の周縁部を集中的に加熱する。これにより、初期凝固シェル15(図3A、図3B参照)の成長を抑制することができるので、熱バランス指標を目標範囲に近づけることができる。
また、2本のプラズマトーチ7a,7bで傾斜加熱を行うように、コントローラ9で2本のプラズマトーチ7a,7bのトーチ出力を制御する。傾斜加熱によるプラズマトーチ7a,7bの出力パターンを図13に示す。即ち、プラズマトーチ7a,7bの各々の中心が外周部円弧を移動するときにはトーチ出力が高く、内周部円弧を移動するときにはトーチ出力が低くなるように、トーチ出力を制御する。これにより、溶湯12の湯面の周縁部における入熱量が大きく、溶湯12の湯面の中央部付近における入熱量が小さくなる。
内周部円弧を移動するプラズマトーチ7a,7bで溶湯12の湯面の中央部付近を加熱することで、溶湯12の湯面の中央部付近が凝固するのを回避することができる。また、溶湯12の湯面への総入熱量が、均一入熱時に比べて小さくなるので、溶湯プールの中心深さが浅くなる。その結果、成分偏析を低減させることができる。
ここで、総入熱量が等しい場合の鋳型2の境界近傍での入熱量と鋳型2の中央部付近での入熱量との関係を図14に示す。チタンまたはチタン合金からなる丸型インゴット11の連続鋳造装置1においては、初期凝固シェル15の成長を抑制しつつ、且つ、鋳型2の中央部付近(溶湯12の湯面の中央部付近)における凝固を回避することができる領域内で、溶湯12の湯面への総入熱量を可能な限り低減させるように、総入熱量、鋳型2の境界近傍での入熱量(溶湯12の湯面の周縁部における入熱量)、および、鋳型2の中央部付近での入熱量(溶湯12の湯面の中央部付近における入熱量)を決定するのが好ましい。図14においては、破線で囲まれた範囲で、鋳型2の境界近傍での入熱量、および、鋳型2の中央部付近での入熱量を決定することで、初期凝固シェル15の成長を抑制し、溶湯12の湯面の中央部付近における凝固を回避しながら、湯面への総入熱量を低減させることができる。
(電磁撹拌による撹拌パターン)
また、電磁撹拌装置8が、溶湯12の少なくとも湯面を撹拌するように、コントローラ9(図2参照)で制御する。そして、溶湯12の湯面の周縁部において、鋳型2の壁面に平行する流れ、例えば、鋳型2の周方向に旋回する流れを溶湯12の少なくとも湯面に生じさせるように、電磁撹拌装置8を制御する。さらに、鋳型2の壁面に平行する流れに加えて、溶湯12の湯面の中央部に向かう流れを溶湯12の少なくとも湯面に生じさせるように、電磁撹拌装置8を制御する。鋳型2を上方から見たときの溶湯12の流れを図15に示す。
溶湯12の湯面の周縁部において、鋳型2の壁面に平行する流れを溶湯12の少なくとも湯面に生じさせることで、溶湯12の湯面の周縁部において、プラズマトーチ7a,7bによる溶湯12の湯面への入熱を鋳型2の壁面に沿って拡散させることができる。これにより、溶湯12の湯面の周縁部が均熱化されるので、入抜熱バランスの変動幅を狭くすることができる。
また、溶湯12の湯面の中央部に向かう流れを溶湯12の少なくとも湯面に生じさせることで、プラズマトーチ7a,7bによる溶湯12の湯面の周縁部への入熱を溶湯12の湯面の中央部に向かって拡散させることができる。その結果、溶湯12の湯面の中央部付近が温められるので、溶湯12の湯面の中央部付近が凝固するのを回避することができる。
また、電磁撹拌で、プラズマトーチ7a,7bによる入熱を拡散させることで、溶湯12の湯面への総入熱量を小さくすることができる。これにより、溶湯プールの中心深さを浅くすることができるので、成分偏析を低減させることができる。よって、鋳肌の状態が良好な丸型インゴット11を鋳造することができる。
ここで、溶湯12の湯面の周縁部において、鋳型2の壁面に平行する流れを溶湯12の少なくとも湯面に生じさせる方法として、直流電流による電磁撹拌が挙げられる。しかし、直流型電磁撹拌の概念図である図16に示すように、プラズマトーチの中心に近いほど電流密度Jが高いので、電流密度Jに磁束密度Bをかけた値である撹拌力Fは、プラズマトーチの中心に近いほど大きくなる。その結果、プラズマトーチの中心位置の近傍に撹拌力Fが集中する。プラズマトーチの中心からの距離rと周方向の撹拌力Fとの関係を図17に示す。図17に示すように、プラズマトーチの中心から離れた位置ほど周方向の撹拌力Fが小さくなる。このように、直流電流による電磁撹拌では、得られる溶湯12の流れパターンが、プラズマトーチの中心の位置によって決定されてしまうため、鋳型2の壁面に平行する流れを得るための流動制御が困難になる。
そこで、本実施形態では、交流電流による電磁撹拌を適用している。交流型電磁撹拌の概念図である図18に示すように、交流電流型の電磁撹拌装置8の電磁コイルを、例えば、鋳型2の周りに等間隔で4つ配置する。この電磁撹拌装置8による撹拌力は、プラズマトーチの位置に関わらず、電磁コイルに近い位置で大きくなる。その結果、溶湯12の湯面の周縁部において、鋳型2の壁面に平行する流れを溶湯12の少なくとも湯面に生じさせることが可能となる。なお、電磁コイルの数は4つに限定されず、また、電磁コイル同士の間隔も等間隔に限定されない。
例えば、鋳型2を上方から見たモデル図である図19に示すように、電磁コイルを鋳型2の全周に設ける。電磁コイルのコイル鉄心を鋳型2に沿って湾曲させることで、鋳型2の壁面に沿った周方向の流れを効果的に生じさせることができる。また、鋳型2を上方から見たモデル図である図20に示すように、鋳型2の周方向に電磁コイルを4つに分割する。なお、これら電磁コイルの数は4つに限定されず、また、電磁コイル同士の間隔は等間隔であっても不等間隔であってもよい。そして、これらの配置及び出力をコントローラ9で適正に制御することで、溶湯12の湯面の中央部に向かう流れ等の流れを溶湯12の少なくとも湯面に生じさせることができる。
具体的には、鋳型2を上方から見たモデル図である図21に示すように、4つの電磁コイルの移動磁界の方向がすべて同じ方向になるように制御することで、溶湯12の湯面の周縁部において、鋳型2の周方向に旋回する流れを溶湯12の少なくとも湯面に生じさせることができる。これにより、プラズマトーチ7による溶湯12の湯面の周縁部への入熱を鋳型2の周方向に拡散させることができる。
また、鋳型2を上方から見たモデル図である図22に示すように、4つの電磁コイルのうち、図中右側の2つの電磁コイルと、図中左側の2つの電磁コイルとで、移動磁界の方向が逆になるように制御することで、溶湯12の湯面の周縁部を通って鋳型2の周方向に旋回し、且つ、互いに逆方向に旋回する一対の流れを溶湯12の少なくとも湯面に生じさせることができる。この流れにより、溶湯12の湯面の中央部に向かう流れを、溶湯12の少なくとも湯面に生じさせることができる。これにより、プラズマトーチ7による溶湯12の湯面の周縁部への入熱を鋳型2の周方向に拡散させるとともに、溶湯12の湯面の中央部に向かって拡散させることができる。
また、鋳型2を側方から見たモデル図である図23に示すように、電磁コイルを鋳型2の軸方向に沿って設け、移動磁界の方向が下から上になるように制御することで、溶湯12の湯面の周縁部において、鋳型2の壁面に沿って上昇する流れを溶湯12に生じさせることができる。この流れにより、溶湯プールの湯面側から溶湯12の中央部に流れ込む方向に流れる対流を生じさせることができる。これにより、プラズマトーチ7による溶湯12の湯面の周縁部への入熱を周縁部において拡散させるとともに、溶湯12の湯面の中央部に向かって拡散させることができる。
また、鋳型2を側方から見たモデル図である図24に示すように、電磁コイルを鋳型2の軸方向に沿って設け、移動磁界の方向が上から下になるように制御することで、溶湯12の湯面の周縁部において、鋳型2の壁面に沿って下降する流れを溶湯12に生じさせることができる。この流れにより、溶湯プールの底側から溶湯12の中央部に流れ込む方向に流れる対流を生じさせることができる。これにより、プラズマトーチ7による溶湯12の湯面の周縁部への入熱を周縁部において拡散させるとともに、溶湯12の湯面の中央部に向かって拡散させることができる。
また、鋳型2を側方から見たモデル図である図25に示すように、電磁コイルを鋳型2の軸方向から傾斜させて設けることで、鋳型2の周方向に旋回する流れに加えて、鋳型2の軸方向に沿った流れを溶湯12に生じさせることができる。即ち、図21、図22に示したような、鋳型2の周方向に旋回する流れと、図23、図24に示したような、溶湯12の中央部を流れる対流とを生じさせることができる。これにより、プラズマトーチ7による溶湯12の湯面の周縁部への入熱を鋳型2の周方向に拡散させるとともに、溶湯12の湯面の中央部に向かって拡散させることができる。
また、鋳型2を上方から見たモデル図である図26に示すように、4つの電磁コイルの撹拌力に強弱をつけるように制御することで、溶湯12の湯面の中央部に向かう流れを溶湯12の少なくとも湯面に生じさせることができる。これにより、プラズマトーチ7による溶湯12の湯面の周縁部への入熱を周縁部において拡散させるとともに、溶湯12の湯面の中央部に向かって拡散させることができる。なお、これら電磁コイルの数は4つに限定されず、また、電磁コイル同士の間隔は等間隔であっても不等間隔であってもよい。
そして、電磁撹拌により、溶湯プールの形状も大きく変化する。よって、コントローラ9で電磁撹拌パターンを適正に制御することで、溶湯プールの深さを低減させたり、溶湯プールの形状を鍋底形にしたりすることができる。ここで、鍋底形は、後述するように、鋳塊の鋳肌品質を向上させ、成分偏析を低減させるのに望ましい形状である。
(流動凝固計算)
次に、本実施形態に係る連続鋳造装置1を用いて、丸型インゴット11を連続鋳造したときの流動凝固計算を行った。丸型インゴット11の材料は、Ti−6Al−4Vとした。また、鋳型2のサイズ(即ち、溶湯12の湯面の直径)は、φ1200mmとした。また、原料の溶解量は、1.3ton/hourとした。
さらに、鋳型2を上方から見たときのプラズマトーチの移動パターンを示す図である図27に示すように、出力1000kWの2本のプラズマトーチ7a,7bを、溶湯12の湯面の周縁部の上方において、トーチ間距離が常に1050mmとなるようにして、鋳型2の中心に対して点対称となるように往復移動させた。このとき、プラズマトーチ7a,7bの移動速度を50mm/sec、周期を約66secとした。
また、3種の電磁撹拌パターンを想定した体積力を溶湯12に付与した。このとき、溶湯12の湯面の周縁部で1000N/m程度の撹拌力となるように、体積力を溶湯12に付与した。
まず、鋳型2を上方から見たときの溶湯の流れを示す図である図28に示すように、鋳型2の周方向に等間隔で設けた4つの電磁コイルで、鋳型2の周方向に旋回する流れを溶湯12の少なくとも湯面に生じさせた場合について、流動凝固計算を行った。
溶湯12の湯面の温度分布を図29に示す。プラズマトーチ7a,7bによる入熱が鋳型2の周方向に拡散していることがわかる。また、溶湯12の湯面の流速ベクトルを図30に示す。溶湯12の湯面の周縁部において、流速は450mm/secであった。また、電磁撹拌を行わない場合の溶湯プールを図31に示す。これに対し、電磁撹拌を行った場合の溶湯プールを図32に示す。溶湯12の湯面の中央部が凝固していることがわかる。
丸型インゴット11の表面の通過熱量と丸型インゴット11の表面温度との関係を図33に示す。電磁撹拌の印加により、丸型インゴット11の表面温度は目標範囲にほぼ収まることがわかる。
次に、鋳型2を上方から見たときの溶湯の流れを示す図である図34に示すように、鋳型2の周方向に等間隔で設けた4つの電磁コイルで、溶湯12の湯面の周縁部を通って鋳型2の周方向に旋回し、且つ、互いに逆方向に旋回する一対の流れを溶湯12の少なくとも湯面に生じさせた場合について、流動凝固計算を行った。溶湯プール内での溶湯12の流れを図35に示す。溶湯12の湯面の中央部に向かう流れが生じていることがわかる。また、この電磁撹拌を行ったときの溶湯プールを図36に示す。溶湯12の湯面の中央部の凝固が回避されていることがわかる。
次に、鋳型2を側方から見たときの溶湯の流れを示す図である図37に示すように、鋳型2の軸方向に沿って設けた電磁コイルで、溶湯12の湯面の周縁部において、鋳型2の壁面に沿って上昇する流れを溶湯12に生じさせた場合について、流動凝固計算を行った。溶湯プール内での溶湯の流速ベクトルを図38に示す。溶湯12の湯面の中央部に向かう流れが生じていることがわかる。また、電磁撹拌を行ったときの溶湯プールを図39に示す。溶湯12の湯面の中央部の凝固が回避されていることがわかる。
次に、図12に示した移動パターンでプラズマトーチ7a,7bを移動させるとともに、図28に示すパターンで電磁撹拌を行った場合について、流動凝固計算を行った。ここで、図12に示す内周部円弧の半径r1を200mm、外周部円弧の半径r2を525mmとした。また、各プラズマトーチ7a,7bは、その移動方向をA→B→C→D→E→Fとし、移動速度を50mm/secとした。また、各プラズマトーチ7a,7bの出力は、内周部円弧移動時と外周部円弧移動時とでそれぞれ1000kWとした。即ち、ここでは傾斜加熱を行っていない。
また、図28に示すように、鋳型2の周方向に等間隔で設けた4つの電磁コイルで、溶湯12の湯面の周縁部において、鋳型2の周方向に旋回する流れを溶湯12の少なくとも湯面に生じさせた。
このときの溶湯プールを図40に示す。電磁撹拌を行わない場合、図31に示すように溶湯プールの形状は放物形である。この放物形は、凝固シェルの厚みが鉛直下方向に向かって増加する傾向を示しており、プール底部が狭い形状である。電磁撹拌の印加により、図40に示すように、溶湯プールの形状は鍋底形に変化した。この鍋底形は、プール底部において凝固界面が径方向外方に膨らんだ形状であり、鋳塊の鋳肌品質を向上させ、成分偏析を低減させるのに望ましい形状である。
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係るチタンまたはチタン合金からなる鋳塊の連続鋳造装置1によると、電磁撹拌によって、溶湯12の湯面の周縁部において、鋳型2の壁面に平行する流れを溶湯12の少なくとも湯面に生じさせる。これにより、溶湯12の湯面の周縁部において、プラズマトーチ7による溶湯12の湯面への入熱を鋳型2の壁面に沿って拡散させることができる。これにより、溶湯12の湯面の周縁部が均熱化されるので、入抜熱バランスの変動幅を狭くすることができる。また、電磁撹拌で、プラズマトーチ7による入熱を拡散させることで、溶湯12の湯面への総入熱量を小さくすることができる。これにより、溶湯プールの中心深さを浅くすることができるので、成分偏析を低減させることができる。よって、鋳肌の状態が良好な丸型インゴット11を鋳造することができる。
また、電磁撹拌によって、溶湯12の湯面の周縁部において、鋳型2の周方向に旋回する流れを溶湯12の少なくとも湯面に生じさせる。これにより、プラズマトーチ7による溶湯12の湯面の周縁部への入熱を鋳型2の周方向に拡散させることができる。よって、溶湯12の湯面の周縁部を好適に均熱化することができる。
また、電磁撹拌によって、溶湯12の湯面の周縁部を通って鋳型2の周方向に旋回し、且つ、互いに逆方向に旋回する一対の流れを溶湯12の少なくとも湯面に生じさせることで、溶湯12の湯面の中央部に向かう流れを溶湯12の少なくとも湯面に生じさせる。これにより、プラズマトーチ7による溶湯12の湯面の周縁部への入熱を鋳型2の周方向に拡散させるとともに、溶湯12の湯面の中央部に向かって拡散させることができる。その結果、溶湯12の湯面の周縁部を好適に均熱化することができる。また、溶湯12の湯面の中央部付近が温められるので、溶湯12の湯面の中央部付近が凝固するのを回避することができる。
また、電磁撹拌によって、溶湯12の湯面の周縁部において、鋳型2の壁面に沿って上昇または下降する流れを溶湯12に生じさせることで、溶湯12の湯面の中央部に向かう流れを溶湯12に生じさせる。これにより、プラズマトーチ7による溶湯12の湯面の周縁部への入熱を周縁部において拡散させるとともに、溶湯12の湯面の中央部に向かって拡散させることができる。その結果、溶湯12の湯面の周縁部を好適に均熱化することができる。また、溶湯12の湯面の中央部付近が温められるので、溶湯12の湯面の中央部付近が凝固するのを回避することができる。
(本実施形態の変形例)
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
1 連続鋳造装置
2 鋳型
3 コールドハース
3a 注湯部
4 原料投入装置
5 プラズマトーチ
6 スターティングブロック
7,7a,7b プラズマトーチ
8 電磁撹拌装置
9 コントローラ
11 丸型インゴット(鋳塊)
12 溶湯
13 凝固シェル
14 エアギャップ
15 初期凝固シェル
16 完全接触領域

Claims (4)

  1. チタンまたはチタン合金を溶解させた溶湯を断面円形で無底の鋳型内に注入して凝固させながら下方に引抜くことで、チタンまたはチタン合金からなる鋳塊を連続的に鋳造する連続鋳造装置であって、
    前記鋳型の上方に設けられ、前記鋳型内の前記溶湯の湯面を加熱するプラズマトーチと、
    前記鋳型の側方に設けられ、交流電流による電磁撹拌によって、前記溶湯の少なくとも湯面を撹拌する電磁撹拌装置と、
    を有し、
    前記電磁撹拌装置により、前記溶湯の湯面の周縁部において、前記鋳型の壁面に平行する流れを、前記溶湯の少なくとも湯面に生じさせることを特徴とするチタンまたはチタン合金からなる鋳塊の連続鋳造装置。
  2. 前記電磁撹拌装置により、前記溶湯の湯面の周縁部において、前記鋳型の周方向に旋回する流れを、前記溶湯の少なくとも湯面に生じさせることを特徴とする請求項1に記載のチタンまたはチタン合金からなる鋳塊の連続鋳造装置。
  3. 前記電磁撹拌装置により、前記溶湯の湯面の周縁部を通って前記鋳型の周方向に旋回し、且つ、互いに逆方向に旋回する一対の流れを前記溶湯の少なくとも湯面に生じさせることで、前記溶湯の湯面の中央部に向かう流れを前記溶湯の少なくとも湯面に生じさせることを特徴とする請求項1に記載のチタンまたはチタン合金からなる鋳塊の連続鋳造装置。
  4. 前記電磁撹拌装置により、前記溶湯の湯面の周縁部において、前記鋳型の壁面に沿って上昇または下降する流れを前記溶湯に生じさせることで、前記溶湯の湯面の中央部に向かう流れを前記溶湯に生じさせることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のチタンまたはチタン合金からなる鋳塊の連続鋳造装置。
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