JP2015157284A - 除菌浄化用水処理装置 - Google Patents

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利暖 田中
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Abstract

【課題】本発明の目的は、オゾナイザーと反応槽を別体構造とすることでより確実な流体処理と製品のコンパクト化を図った除菌浄化用水処理装置を提供することにある。
【解決手段】放電式のオゾナイザーと紫外線ランプを内蔵した反応槽とを別体構造とし、オゾナイザーで生成したオゾンと処理水を混合したオゾン水を空気抜き弁付きエアセパレータにより排オゾンガスを抜いて処理用オゾン水とし、この処理用オゾン水を反応槽に通水する除菌浄化用水処理装置である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、植物を養液栽培するための水処理装置に関し、特に、水耕栽培に適した除菌浄化用水処理装置に関する。
従来、この種の養液栽培システムには、例えば、図14の養液循環システム1が提案されている。この養液循環システム1は、養液容器2と植物を栽培する栽培床3とを備え、養液容器2には、補給水パイプ4と、適宜の養液原液を蓄積した蓄積タンク6の原液供給パイプ7とが接続されている。養液容器2と栽培床3とは、供給パイプ8と戻りパイプ9とにより接続されている。この養液循環システム1では、養液容器2内の養液10は、供給パイプ8を介して栽培床3に供給され、戻りパイプ9を介して養液容器2内に蓄積される。
図15における養液循環システム11は、図14の養液栽培システム1に浄化装置12を設けたものであり、養液容器2と栽培床3とが供給パイプ8と戻りパイプ9とにより接続され、養液容器2に浄化装置12が接続されている。この養液循環システム11では、養液容器2内の養液10が供給パイプ8を介して栽培床3に供給され、戻りパイプ9を介して養液容器2内に蓄積される。浄化装置12は、養液容器2内の養液10全体を浄化するようになっている。
特許文献1における養液栽培方法における養液栽培装置は、栽培床に排液タンクが接続され、この排液タンクに除菌装置が接続されている。除菌装置内には中空糸膜モジュールが設けられ、この中空糸膜モジュールにより排液中の菌や不純物が除去される。一方、栽培床にはオゾン殺菌装置を介して流れる原水の流路も繋がっており、このオゾン殺菌装置によりオゾン処理した原水が栽培床に供給される。
また、特許文献2には、オゾンによる水耕栽培用殺菌装置が開示されている。この殺菌装置は、植物の栽培チャンネルに循環供給するための培養液を貯留する培養液タンクと、栽培チャンネルに供給するオゾン水を製造するオゾン水製造タンクと、オゾン発生器とを備えている。この構成により、栽培チャンネルからの培養液が培養液タンクに蓄積され、この培養液タンク内の培養液がオゾン処理される。そして、培養液タンク内の培養液と、オゾン水製造タンク内のオゾン水とが栽培チャンネルの栽培植物に交互に供給される。
特開2001−299116号公報 特開2002−191244号公報
しかしながら、図14における養液循環システム1は、養液10を浄化する機能を有していないため、仮に、栽培床3に病気が蔓延した場合には、養液容器2内の養液10に病原菌が繁殖する可能性がある。この場合、養液10に補給する補給水としては通常地下水や上水が利用されるため病原菌は少なくなっているものの、養液10が循環することによって栽培床3に潜む病原菌がシステム全体に広がって植物の発育が遅くなったり植物が全滅するおそれがある。
図15に示す養液循環システム11は、浄化装置12を設けることで養液10を浄化して病気の蔓延を防ぐようにはしているものの、この養液循環システム11では養液容器2に浄化装置12が接続され、養液容器2内の養液10全体を浄化装置12で浄化処理しているために補給された養液の成分が変化する可能性がある。また、浄化装置12によりオゾン処理や紫外線処理を実施していることから、養液10中の鉄分やMn成分が酸化して沈殿し、養液全体の物性が変化することがあるため、養液10内に鉄分やMn成分を定期的に補給する必要も生じていた。
一方、特許文献1では、オゾン殺菌装置のみによりオゾン処理したとき、酸性化しやすくなってpH調節が難しくなり、植物のオゾン障害が発生するおそれがあり、また、この酸性化により、配管系統が腐食したり植物が育成不良になることもあった。中空糸膜モジュールにより排水の除菌や不純物除去をおこなう場合、有機物のぬめり等による目詰まりを防ぐために頻繁に洗浄を実施する必要があった。
特許文献2の水耕栽培用殺菌装置についても、オゾン供給のみで殺菌をおこなっているため、培養液が酸性化しやすくなってpH管理が難しくなっていた。その上、オゾン濃度が濃いため、同文献1と同様に、オゾン障害が発生するおそれがある。
本発明は、上記した実情に鑑み、鋭意検討の結果開発に至ったものであり、その目的とするところは、オゾナイザーと反応槽を別体構造とすることでより確実な流体処理と製品のコンパクト化を図った除菌浄化用水処理装置を提供することにある。
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、放電式のオゾナイザーと紫外線ランプを内蔵した反応槽とを別体構造とし、オゾナイザーで生成したオゾンと処理水を混合したオゾン水を空気抜き弁付きエアセパレータにより排オゾンガスを抜いて処理用オゾン水とし、この処理用オゾン水を反応槽に通水する除菌浄化用水処理装置である。
請求項2に係る発明は、反応槽の流路内に光触媒を設けた除菌浄化用水処理装置である。
請求項3に係る発明は、エアセパレータの空気抜き弁の気体抜き口に掃除棒を外方より操作可能とした除菌浄化用水処理装置である。
請求項1又は2に係る発明によると、オゾナイザーと反応槽を別体構造とすることで、次のような効果を発揮する。すなわち、流体中に有機物が多いときは、大量のオゾンが必要になるが、このようなときにオゾナイザーを追加するだけで、オゾンを容易に2倍、3倍にでき、逆に、流体中の残留オゾンが多くなると、反応槽(紫外線ランプ)を追加すると促進酸化が進み、残留するオゾンを分解することで、より確実な流体処理ができる。
また、オゾナイザーの電極部は、強力な酸化にさらされるため、他の機器よりも寿命が短くなるが、本発明は分離されているので、電極部等の交換が極めて容易になる。
装置を一体で形成されると、特に高容量又は高出力の製品になり、石英ガラスの微少隙間の生成がより困難になるばかりか、2重の高価な石英ガラスが必要になるが、本発明装置のように分離すると、紫外線透過部のみ石英ガラスにするだけで良い。
さらに、本発明装置は分離しているので、同量のオゾンを発生されるためのガラス管(例えば、ほう珪酸ガラス)が小さくでき、かつ、高圧電極も金属加工で対応できるため、寸法の安定性が格段に向上できるので、常に安定したオゾンが生成される。
請求項3に係る発明によると、カルシウム分の詰まりをなくし、詰まりの予防を簡単に行うことができる。
なお、オゾン供給機能と紫外線照射機能と光触媒作用機能とを有する水処理装置で培養液を除菌浄化することにより、これらの相乗効果によって強い殺菌作用と有機物分解作用とを発揮して病原菌の繁殖を抑えて養液を循環させることができる。このとき、栽培ベッドを流れた培養液のみを除菌浄化できるので、養液の成分変化を防止して植物の効果的な生育促進に常に寄与できる。更には、システム全体の省スペース化も可能であり、ランニングコストも抑えることができるため経済的にも優れている。
特に、促進酸化型の水処理装置であるから、オゾンを適度に分解することで、常時利用できる効果があり、これにより、除菌効果だけでなく、溶存酸素を付加する機能も加わり、植物の生長促進効果が発揮される。
しかも、栽培ベッドを流れた培養液を廃液タンク内に蓄積させて除菌浄化し、この培養液を養液タンクに流しているので、養液タンク内の培養液を栽培ベッドに流した状態を常に維持することができ、培養液による栽培効果を高めることができる。
また、除菌浄化ユニットにより除菌浄化させた培養液を直接養液タンクに送ることができるため、一旦廃液タンクに蓄積してから除菌浄化する場合と比較して養液タンクに供給するまでのタイムラグが少なく、動作開始からすぐに除菌浄化した培養液を養液タンクに供給することが可能になる。
本発明における養液栽培システムの第1実施形態を示した模式図である。 除菌浄化用水処理装置の一例を示した概略断面図である。 図2におけるオゾナイザーの概略断面図である。 図2における紫外線・光触媒ユニットの概略断面図である。 本発明における養液栽培システムの第2実施形態を示した模式図である。 本発明における養液栽培システムの第3実施形態を示した模式図である。 本発明における水処理装置にpH調整器を設けた例を示す模式図である。 水処理装置の他例を示した概略断面図である。 エジェクタを示した断面図である。 空気抜き弁を示した断面図である。 気液分離装置の一例を示した断面図である。 気液分離装置の他例を示した断面図である。 水処理装置を洗浄循環する状態を示す模式図である。 従来の養液循環システムの一例を示した模式図である。 従来の養液循環システムの他例を示した模式図である。
以下に、本発明における養液栽培システムと、例えばこのシステムに用いる除菌浄化用水処理装置の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。図1においては、本発明における養液栽培システムの第1実施形態の模式図を示している。養液栽培システム本体(以下、システム本体という)20は、栄養分を溶かした液肥である培養液21を入れる養液タンク22とイチゴやネギ等の図示しない植物が植えられた栽培ベッド23との間を循環させるものである。このシステム本体20において、養液タンク22と栽培ベッド23とは、供給ライン24と戻りライン25とにより接続されて循環ライン26が構成され、この循環ライン26の養液タンク22と栽培ベッド23との間には、廃液タンク27と除菌浄化用の水処理装置30とが接続されている。また、システム本体20には、これら以外にも、循環ポンプ31、pH調整器32、EC調整器33、補給水ライン34、養液混合機35が接続されている。
システム本体20における供給ライン24は、養液タンク22から栽培ベッド23に培養液21を供給するためのラインであり、その流路が途中で分岐されて養液投入口24aが設けられ、この養液投入口24aから栽培ベッド23に培養液21を供給できるようになっている。一方、戻りライン25は、栽培ベッド23から養液タンク22に培養液21を戻すためのラインであり、栽培ベッド23の出口側から1本の流路に集束された状態で養液タンク22に接続される。
廃液タンク27は、供給ライン24と戻りライン25との間に接続される。この廃液タンク27は、栽培ベッド23よりも下流側でより低い位置で、かつ、養液タンク22よりも上流側でより高い位置で、高低差のある状態に設けられる。廃液タンク27には、栽培ベッド23を流れたあとの培養液21が蓄積される。更に、廃液タンク27には水処理装置30が接続され、この水処理装置30は、栽培ベッド23を流れた培養液21のみを除菌浄化した後に養液タンク22に流すようになっている。
図において、水処理装置30は、養液供給管36と養液戻り管37とにより廃液タンク27に接続され、培養液21は、廃液タンク27から養液供給管36を介して水処理装置30内に供給され、この水処理装置30で除菌浄化された後に養液戻り管37を介して廃液タンク27に戻される。
水処理装置30は、図2に示すように、オゾン供給部40と、紫外線照射部41と、光触媒作用部42とを有しており、後述するように、オゾン供給部40は培養液21にオゾンを供給し、紫外線照射部41は培養液21に紫外線を照射し、光触媒作用部42は培養液21に光触媒を作用させるようになっている。本実施形態においては、オゾン供給部40はオゾナイザー43内に設けられ、紫外線照射部41と光触媒作用部42とは紫外線・光触媒ユニット44内にそれぞれ設けられている。このオゾナイザー43と紫外線・光触媒ユニット44とは別ユニットとして形成され、オゾナイザー43の下流側に紫外線・光触媒ユニット44が接続されて水処理装置30が構成されている。
図3において、オゾン供給部40(オゾナイザー43)は、中央部に円筒の金属棒50を有し、この金属棒50の外周側に、約0.3〜1.5mm程度の隙間51を介して略円筒状の誘電体(絶縁体)52が配設されている。誘電体52は、例えば、ガラス、セラミック、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の材料からなり、この誘電体52の入口側、出口側には、それぞれ供給口53、吐出口54が形成されている。また、誘電体52の外周側には、処理水を流すように配置している。
同図において、金属棒50を高圧の電気に帯電させ、処理水をアース電極55とすることで、金属棒50と誘電体52の空間(隙間)51に無声放電を発生させ、この空間51にエアや高濃度酸素を送ることでオゾナイザー43を構成している。
図2に示すように、オゾン供給部40は、収納容器56に収納され、この収納容器56には、乾燥空気の入口である空気入口ポート57と、オゾンガスの出口であるガス出口ポート58と、高圧の養液の入口である養液入口ポート59と、高圧の養液の出口である養液出口ポート60とが形成されている。このうち、空気入口ポート57は供給口53と、ガス出口ポート58は吐出口54と連通し、空気入口ポート57は、オゾン供給部40の内部を介してガス出口ポート58と連通している。一方、養液入口ポート59と養液出口ポート60は、収納容器56とオゾナイザー43との空間を介して連通している。この構成により、オゾナイザー43は、空気又は空気よりも酸素濃度の高い気体を原料としてオゾンを生成し、このオゾンを溶存酸素と共に養液に気泡状態で混合させる後述のエジェクタ71に接続されている。
また、上述のオゾナイザー43を2個或は3個程度並列状態に配置することによって、濃度を同じとし、オゾン発生用のエアまたは高濃度酸素の流量を増やすことが可能となり、一方、オゾナイザー43を直列状態に配置することによって、オゾン濃度を上げることができる。
図4において、紫外線・光触媒ユニット44は、中央部に紫外線光源61を有し、この紫外線光源61の外周側に保護用の保護筒62が設けられている。紫外線光源61は、紫外線を照射可能に設けられ、後述する光触媒63から正孔および電子を効率良く生じさせるために、例えば、波長が410nm以下の紫外線を多く含む特性となっている。紫外線光源61としては、例えば、紫外線ランプや低圧又は高圧水銀ランプが用いられ、また、250〜400nmの波長を有する蛍光ランプや、紫外光を照射するLEDが複数個並べられたものであってもよい。紫外線光源がLEDランプのときには、この光源本体の寿命を延ばすことと小型化が可能になり、更には、発熱量も抑えられて効率の良い浄化が可能になる。更に、図示しないが、紫外線光源の形状は、直線(ストレート)形、円筒(サークル)形、螺旋形、波形などであればよく、何れかの形状を選択することで光触媒63を効率的に機能させることが可能になる。
紫外線光源61の外周の保護筒62は、例えば、石英ガラスやホウ珪酸ガラス、高珪酸ガラスなどから形成される。このうち、特に、ホウ珪酸ガラス、高珪酸ガラスは、比較的安価であり、材料をそのまま使用することができるが、紫外線透過率、耐熱性、強度等の点を考慮した場合、石英ガラスを材料とすることが最も好ましい。保護筒62の外周側には所定の内径を有する外筒64が設けられ、この外筒64と保護筒62との間に培養液21の流路65が形成されている。この流路65内には、光触媒63が配設されている。
光触媒63は、例えば、二酸化チタンからなっており、図示しない網やチタン線、繊維状チタン材料の集合体、その他多孔性チタン材料等からなるチタン又はチタン合金などの材料の表面側に形成されている。この材料は、細状に形成することで反応面積が大きくなり、オゾンとの反応性が良くなる。材料は、チタンやチタン合金以外であってもよく、例えば、ガラスやセラミック等を材料とし、この材料の表面に光触媒を形成するようにしてもよい。
本実施形態においては、紫外線・光触媒ユニット44の中央部に紫外線光源61を配置した構造としているため、ユニット全体のコンパクト化が図られ、かつ、培養液21に対して紫外線光源61からの照射を効率的に実施できる。図示しないが、紫外線・光触媒ユニットは、保護筒の外側に紫外線光源、内側に光触媒をそれぞれ設けた構造としてもよい。この場合、培養液21は保護筒の内部を流れることになる。
図2に示すように、紫外線・光触媒ユニット44には、入口側接続口66、出口側接続口67が設けられ、この接続口66、67には、前述した養液供給管36、養液戻り管37がそれぞれ接続されている。更に、養液供給管36にはバイパス流路68が設けられ、このバイパス流路68は、二次側が養液入口ポート59に接続されている。バイパス流路68の途中には加圧ポンプ69が設けられ、この加圧ポンプ69によりバイパス流路68からオゾナイザー43に養液供給管36を流れる培養液の一部が供給される。
また、養液供給管36のバイパス流路68よりも二次側には戻り流路70が設けられている。この戻り流路70により、養液供給管36と養液出口ポート60とが接続されている。更に、戻り流路70の途中にはエジェクタ71が設けられ、このエジェクタ71は、逆止弁72を介してガス供給路73によってガス出口ポート58と繋がっている。
逆止弁72は、適宜の態様で設けられ、オゾナイザー43から供給されるオゾンや酸素の逆流を防ぐために設けられている。また、エジェクタ71は、例えば、セラミックや金属又は樹脂等を材料としてリング状に形成され、戻り流路70から流れる養液と、ガス供給路73から流れるオゾン(及び酸素又は空気)とを混合させることにより微細気泡状の混合液(オゾン水)をつくるようになっている。このとき、逆止弁72を通過したオゾンと酸素又は空気は、エジェクタ71内部の図示しない溢路により流速が早められて養液供給管36に供給され、気泡状態で養液中に溶け込むようになる。
一方、図1において、システム本体20における循環ポンプ31は、養液タンク22内の培養液21を汲み上げて栽培ベッド23に供給するものであり、汲み上げられた培養液21は、栽培ベッド23を流れた後に下流側の廃液タンク27に流れ、更に、廃液タンク27の下流側の養液タンク22に流れるように戻りライン25が構成される。
pH調整器(pHセンサ)32は、養液タンク22中のpHを調整するために設置され、一般に使用されているものを利用できる。本実施形態では、このpH調整器32により、養液タンク22の培養液21のpHを、例えば、pH6〜6.5程度に調整する。また、EC調整器33は、養液タンク22中のEC(電気伝導度)を調整するために設置され、pH調整器32と同様に、一般に使用されているものを利用できる。このEC調整器33により培養液21中のECを調整する場合、例えば、イチゴではEC=0.5、トマトではEC=1.0程度の適宜の値に調整すればよい。
図7は、本発明にpHセンサ(pH調整器)を組み合わせた例を示している。同図において、液体のpHを測定するためのpHセンサ75であって、このpHセンサ75により測定した液体pHに基づいてオゾン供給部40、紫外線照射部41、光触媒作用部42のうちの何れか1つ又は複数を作動させて液体のpHを予め設定した設定値に近づけるようにしている。
pHセンサ75は、水処理装置30に制御信号76を送受信し、この制御信号76は、液体が酸性のときにこの液体がアルカリ性に近づくまでオゾン供給部40を停止させて紫外線照射部41と光触媒作用部42とを動作させる信号と、液体がアルカリ性のときにこの液体が酸性に近づくまで紫外線照射部41と光触媒作用部42とを停止させてオゾン供給部40を動作させる信号とを有している。
pH調整器75における調整方法は、上記の例以外に、オゾン供給部40、紫外線照射部41、光触媒作用部42をそれぞれ間欠運転させたり、また、オゾン量や紫外線量を適宜に微調整することによってpHをコントロールしても良い。
補給水ライン34は、養液タンク22に水を補給するために設けられ、栽培ベッド23への供給により培養液21が減少したときに、この補給水ライン34を介して適宜量の水が補給される。これにより、不足した培養液21の量を補うことができ、植物に対して常に培養液21を供給することが可能になる。
養液混合機35は、供給ポンプ38と図示しない定量注入器を介して養液タンク22に接続され、この養液混合機内35には培養液21の成分となる原液として、例えば、液状の肥料74が蓄積されている。養液タンク22内の培養液21が減少し、補給水ライン34から水が補給されるときには、pH調整器32とEC調整器33とによりpHとECが測定され、このpHとECとが適正値になるように定量注入器により予め設定された割合の原液74が養液混合機35から適宜注入される。
水処理装置30に図示しないタイマーを内蔵し、このタイマーにより運転をオンオフし、又は間欠運転し、或はオゾン濃度を変化させて水処理装置30からのオゾンの供給量を制御してもよい。この場合、適量のオゾンを供給することができ、過剰なオゾンの供給による培養液21の酸性化を防いで配管系統の腐食や植物の生育不良を防止できる。
また、廃液タンクと養液タンクとの間に図示しない送り用のポンプを設けるようにしてもよい。この場合、廃液タンク27と養液タンク22との間に高低差を設けることなく廃液タンク27内の培養液21を養液タンク22に送ることができる。
次に、上記実施形態の作用を説明する。第1図において、第1実施形態を説明する。システム本体20を作動させると、養液タンク22内の培養液21が循環ポンプ31により加圧されて供給ライン24に圧送され、養液投入口24aから栽培ベッド23に供給される。この培養液21の供給により、栽培ベッド23の植物の育成が促進される。続いて、培養液21は、栽培ベッド23と廃液タンク27との間の高低差により、戻りライン25を通じて下流側の廃液タンク27に自由落下するように流れる。
図1及び図2において、廃液タンク27に蓄積した培養液21は、水処理装置30により除菌浄化される。この場合、水処理装置30内に培養液21が流れると、この培養液21は、養液供給管36を流れて入口側接続口66から紫外線・光触媒ユニット44内に供給される。このとき、培養液21の一部は、バイパス流路68を介して養液入口ポート59よりオゾナイザー43内に流入される。
オゾナイザー43には、オゾン供給部40において図示しない高圧電源から電圧が印加されて金属棒50が高圧に帯電された状態で空気入口ポート57より空気、又は、空気よりも酸素濃度の高い気体が原料として供給されて隙間51を流れる。このとき、金属棒50と誘電体52とアース電極55とによって隙間51が放電空間となってこの隙間51内にオゾンが生成される。このオゾンは、吐出口54を介してガス出口ポート58から吐出され、エジェクタ71の働きによって酸素或は空気とともに戻り流路70から養液供給管36を流れる養液中に混入される。
続いて、培養液21は、バイパス流路68に流れない培養液とともに紫外線・光触媒ユニット44内に流入する。培養液21は、紫外線光源61と光触媒63とを通過するときに、紫外線照射部41からの紫外線と光触媒作用部42の光触媒作用とによって除菌浄化される。この場合、光触媒63は紫外線の照射により光触媒作用機能が向上し、この光触媒による光触媒作用は、オゾンよりも強い除菌能力と有機物の分解能力とを有している。
このときの光触媒63による除菌浄化作用の原理を説明する。二酸化チタン等からなる光触媒63に波長400nm以下の紫外光が照射されると、価電子帯に正孔が発生するとともに伝導帯に電子が生じる。この正孔の酸化電位は、オゾン、過酸化水素等の酸化電位よりも高いため、有機物は光触媒作用により完全に酸化分解され、最終的には二酸化炭素と水に完全分解される。光触媒63は、紫外光が照射された際に生じる正孔またはこの正孔と水が反応して生じる極めて反応活性に富むヒドロオキシルラジカル(OHラジカル)により酸化反応が起こる。このとき、紫外光が照射された際に生じる正孔と同時に発生する電子と酸素ガス等との還元反応が平行して進行する。
光触媒63は、このような強力な酸化反応によって従来のオゾンや過酸化水素、塩素等の除菌剤よりも強い除菌能力を発揮でき、また、有機物の分解能力も備えている。更に、光照射により生じた正孔やOHラジカルの寿命はミリ秒以下と短いので、オゾンや過酸化水素等の酸化剤のように処理後に残留することがなく、残留酸化剤を処理する装置が不要であるという利点がある。以上のことから、光触媒63により培養液21に残存するオゾンでは浄化の難しい混入物を効果的に除菌浄化できる。また、オゾンに紫外線を照射すると、OHラジカルが生成されるため、より高い促進酸化効果が得られる。
次いで、水処理装置30により除菌浄化された培養液21は、図1において、廃液タンク27と養液タンク22との間の高低差により、廃液タンク27から下流側の養液タンク22に自由落下するように流れて養液タンク22内に蓄積される。そして、培養液21は、除菌浄化された後に補給水ライン34から水、養液混合機35から原液74が加えられ、培養液21のpHとECの数値がpH調整器32とEC調整器33とにより調整され、培養液として適切な状態に調整される。
本発明の養液栽培システムは、養液タンク22と栽培ベッド23との間に水処理装置30を設け、この水処理装置30で栽培ベッド23を流れた培養液21のみを養液タンク22の上流側で除菌浄化しているので、栽培ベッド23から病原菌を含んだ培養液21が養液タンク22内に混ざることがなく、養液タンク22内の培養液21の成分変化を防ぐことができる。また、養液タンク22内の培養液21の鉄分やMn成分が酸化して沈殿することが少なく、この培養液21に鉄分やMn成分を補給する必要が少なくて済む。
しかも、廃液タンク27内に培養液21を蓄積し、廃液タンク27内で培養液21を除菌浄化した後に養液タンク22に流しているので、養液タンク22内の培養液21を循環ライン26に常時循環させることができる。
水処理装置30は、オゾン供給機能と紫外線照射機能と光触媒作用機能とにより複合的に栽培ベッド23を流れた培養液21を除菌浄化できるため、これらの相乗効果により高効率の除菌浄化を実施できる。例えば、水処理装置30は、オゾンの発生量を少なく抑えることができ、オゾンを常時供給しながら培養液21を浄化して酸性化を防ぐことができ、これにより、pH調整も容易になり、植物のオゾン障害も防ぐことができる。更に、配管系統の腐食や植物の育成不良を防止でき、定期的な養分補給を行なうだけで多くの植物の収穫を得ることができる。しかも、微量のオゾンを常時供給できることにより、配管系の内壁の菌類の成長を抑制でき、バイオフィルムの発生も少なくなる。
更に、水処理装置30は、有機物の処理を常時行うことができるため、栽培ベッド23の有機物による詰まり、腐食、ぬめり等が防がれ、根の成長が促されることで植物の生育が向上する。例えば、植物がイチゴである場合、このイチゴは根が腐食すると収穫回数が減少するが、このような根腐れが防止されることにより長期に渡る安定した収穫が可能となる。また、有機物の発生が少なくなることで、収穫後における栽培ベッド23の清掃も容易になる。
図5は、本発明における養液栽培システムの第2実施形態を示している。以下の実施形態は、第1実施形態と同一部分は同一符号によって表し、その説明を省略する。
第2実施形態におけるシステム本体100は、栽培ベッド23と養液タンク22との間に水処理装置30を直接接続し、この水処理装置30で除菌浄化した培養液21を養液タンク22に流すようにしたものである。この場合には、廃液タンクを設けていない状態で培養液を流しているためシステム本体100の流路を単純化でき、コンパクト性やコストの点でも有利となる。
図6は、本発明における養液栽培システムの第3実施形態を示している。この実施形態のシステム本体101は、水処理装置30が養液供給管36と養液戻り管37とにより廃液タンク27に接続され、更に、養液戻り管37から分岐流路102を設け、この分岐流路102を下流側の養液タンク22に接続したものである。この構成により、水処理装置30で除菌浄化された培養液21は、分岐流路102を介して廃液タンク27に直接供給されるため、廃液タンク27内に蓄積された培養液21全体を除菌浄化してから養液タンク22に供給する必要がなく、システム本体101の動作を開始して直後に除菌浄化した培養液21を養液タンク22に供給できる。
図8は、図2に示した水処理装置の他例を示したもので、同一部分は同一符号で示し、その説明を省略する。図8において、エジェクタ71の液体導入口78から高圧(0.1MPa〜1MPa程度)の液体を送り込むと、通路79を高速で流れる。このとき、図9におけるエジェクタ71のスリット80から気体導入口81からの気体を巻き込み、通路82で混合され、気液混合された液体が出口83より出ていく。従来、エジェクタやベンチュリー管等は、180度の流路で気液が混合されるため、配管された状態では容易に流量変更ができなかった。本発明の構造では、その流路を90度曲げることでノズル部84の交換を容易にし、配管状態でも流量の変更や清掃ができるようにしたので、ノズル部84を取り外すと、掃除が極めて容易である。
エジェクタ71は、流路を狭くするため、図9の通路79に流体中の異物が詰まることがある。この場合でも、ノズル部84だけを外せるため、容易に内部の清掃ができる構造になっている。
オゾン濃度と電流値は実験で利用したオゾナイザーでは、1.1Aまでは、ほぼ比例関係になり、電流値を変更するだけで、オゾン濃度を調整することができる。また、電流値と抵抗値も比例関係にあるため、可変抵抗器(ボリューム等)で電流値を変更することにより、オゾン濃度を容易に変更することができる。
図8に示す電極棒タイプで、適度な電圧を用いると広範囲の内圧でも安定したオゾン発生量を確保できる。これに対して、2重のガラス管や電源電圧の合致しない電源を用いると、内圧による変化を大きく受ける。
図8の本発明のオゾナイザーにおいて、放電空間の高圧電極棒と絶縁体(ガラス管)の隙間は、0.2〜1mm程度、高圧電源としては、8Kv〜15Kv程度を用いて行うことで、広範囲の内圧で濃度の高いオゾンが得られる。
図10に示す空気抜き弁付きエアセパレータ85は、空気抜き穴86が形成され、この部分は、気液混合になるため、カルシウムやシリカ等の成分が詰まりやすい。この部分に掃除棒87を利用して、つまりの予防を行う装置を設けている。これにより、詰まりが無くなり、長期間空気抜きとしての機能を有する装置になった。したがって、空気抜き弁付きエアセパレータ85は、掃除棒87で詰まり予防できるので、栽培液同様にカルシウム、シリカ或は塩分を含む温泉の浄化にも好適である。なお、図中89は、バネ88を装着したボタンである。
図10に示す空気抜き弁付きエアセパレータ85は、気液混合水が偏芯した導入口90より浸入し、回転することで外側に液体が、内側に気体が集まる。集まった気体は、空気抜き弁91への穴を解して、外部に放出される。分離された水は、液体出口92より、出て行く。このとき、連通口94を有する邪魔板93があると、より明確に気体と液体を分離することができる。この構造を採用することにより、非常にコンパクトに気体と液体を分離することができる。
図11に示す気液分離装置99において、気体混合流体(気体主体の流体)が入り口95より入ることで、液体分が下にたまり、気体は気体出口96より排出される。ある程度液体が溜まると、浮き97が浮き上がり液体出口98より液体が排出される。
上述のように、図8において、エジェクタ71により気液混合された液体は、排オゾンガスを取り除かれたオゾン水が供給管92aを介して反応槽44へ供給される。このとき、空気抜き弁付きエアセパレータ85により分離された水は、液体出口92より反応槽44へ供給され、一方、気液分離装置99により、気体と液体が排出され、気液分離装置99よりオゾン処理槽105に入り、オゾン処理された空気が外気へ排出される。
図12は、気液分離器102の別の形態を示したものである。気液混合気体入り口103から水滴を含んだガスが進入し、水滴が液体最上面108まで溜まると排水口110から排水し、気体は、気体出口104から排出される。この特徴は、気液分離では、通常ゴム栓付きの浮きでシールするが、この場合、穴を大きくすると気体も液体も下の穴から出ることがある。また、穴径を大きくできないので、気液混合気体入り口から、多くの液体が進入すると、排水が追いつかず、気体出口から液体が流出することがあった。液体最上面を超えた液体は、内パイプの内径で排出できるため、入り口から大量の液体が進入しても排水量が多いため、気体出口から液体が出ることはなくなる。外パイプ106、中間パイプ111、内パイプ107を市販の塩ビ管などで形成できるため、製品コストが抑えられる。気体出口104が詰まった場合、内部に溜まった液体が押されて排水口110から出終わると、排水口110から気体が出てしまう。このような場合は、パイプの長さを長くするだけで、気体出口104の詰まりに対する抵抗を増やすことができる。ゴム栓によるシールを行わないので、耐久性が高い。
図13は、循環しながらクエン酸洗浄を行う配管例を示している。一般的な養液(肥料)には、窒素、リン酸、カリウム等3大栄養素以外に、鉄分、マンガン等の微量元素も含有されている。この鉄分やマンガン成分がオゾンや紫外線ランプの影響で、酸化鉄、酸化マンガンとして、析出してしまう。これが、ガラス管や光触媒に付着し、促進酸化効果が少なくなってしまう。この様な現象は、温泉や鉱泉でも成分により発生することがある。この場合、配管から外して掃除をしたりするのが不便であり、実用性に欠ける。この様なときにクエン酸洗浄を行う。従来、クエン酸洗浄は漬け置き洗いで対応していたが、これだと時間が1時間前後必要となる。これらの問題点に対し、循環しながらクエン酸洗浄を行うと、短時間で、しかも低濃度のクエン酸で洗浄できることが分かった。
図13において、クエン酸洗浄する場合は、まず、バルブ112を開き、呼び水投入口113に水を満たし、再びバルブ112を閉止する。この水にクエン酸を数g投入する。次に装置を停止し、循環を止める。循環停止の確認後、バルブ114,115を閉じる。次にバルブ112,116を開き、装置を運転する。この運転状態で、約10分運転し、停止する。その後、呼び水投入口113に入っているチューブ117を排水口に落とし、クエン酸液を排水する。
本発明における、水処理装置を用いると、一般生菌を減らすことで、野菜や果実が長持ちする。ネギの株内に生息する一般生菌及び大腸菌群、E.Coliについて本発明装置の有り無しで比較測定を行った。この結果、標準平板培養法により、一般生菌は、結果(1)として、比較例は1,100/gと12,000/gであり、結果(2)として、300以下/gと2,700/gである。一般生菌は、本発明装置有りの方が少なくなった。一般生菌が少なくなると、野菜や果実などは長持ちすることは従来から知られており、本発明装置を利用することで一般生菌が少なくなることが実証された。
Figure 2015157284
表1は、ねぎの生長比較資料であるが、水処理装置(除菌浄化装置)の有りと無しで長さ、太さが異なる。いずれも、有りの方が大きくなっており、生長促進効果が認められる。
この理由は、
(1)オゾンを水に溶け込ませるときに酸素も同時に溶けるため、溶液中の酸素濃度が増加する。植物はこの酸素があると根が活性化され、栄養分の吸収力が上がる。
(2)植物は養液中の無機物(窒素、リン酸、カリウム等)を吸収する。一般にこの無機物は、有機物の中にも存在する。この有機物を浄化することで無機物を取り出すことでより多くの無機物を吸収できる。
(3)生長阻害要因である、菌やバクテリア等を除菌するため、病気にかかりにくい環境ができる。
(4)オゾンは多量にあると生長阻害要因になるが、本提案の除菌浄化装置は、促進酸化により、不要なオゾンを分解するため、余分なオゾン処理が不要又は小型にできる。よって、除菌浄化を迅速に、かつ、連続で利用できるため、生長促進効果がある。
本発明における除菌浄化用水処理装置は、養液栽培システムに応用されるばかりでなく、例えば、温泉、浴場、プールその他の水処理装置として広く適用でき得る。
20 システム本体
21 培養液
22 養液タンク
23 栽培ベッド
27 廃液タンク
30 水処理装置
43 オゾナイザー
44 反応槽
102 分岐流路

Claims (3)

  1. 放電式のオゾナイザーと紫外線ランプを内蔵した反応槽とを別体構造とし、前記オゾナイザーで生成したオゾンと処理水を混合したオゾン水を空気抜き弁付きエアセパレータにより排オゾンガスを抜いて処理用オゾン水とし、この処理用オゾン水を前記反応槽に通水することを特徴とする除菌浄化用水処理装置。
  2. 前記反応槽の流路内に光触媒を設けた請求項1に記載の除菌浄化用水処理装置。
  3. 前記エアセパレータの空気抜き弁の気体抜き口に掃除棒を外方より操作可能とした請求項1又は2に記載の除菌浄化用水処理装置。
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