JP2006320282A - 培養液循環供給装置及び培養液循環供給用殺菌装置並びに培養液循環供給方法 - Google Patents

培養液循環供給装置及び培養液循環供給用殺菌装置並びに培養液循環供給方法 Download PDF

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Abstract

【課題】培養液を循環利用する際に、栄養分を損ねることなく安価に殺菌を行う。
【解決手段】培養液循環供給装置は、栽培ベッド1に供給する培養液を保持するための培養液タンク2と、培養液タンク2から栽培ベッド1に培養液を供給するための給液機構と、培養液タンク2から栽培ベッド1に供給された培養液の余剰分を殺菌処理するために保持する処理タンク4と、光照射により殺菌作用を発揮可能な光触媒を構成する抗菌活性金属化合物を含有する殺菌部材を備え、処理タンク4に保持された余剰培養液を、該殺菌部材で殺菌可能な殺菌装置5と、殺菌装置5の近傍に配置され、殺菌部材を励起するための光源と、処理タンク4と殺菌装置5との間で余剰培養液を循環させるための循環機構と、殺菌装置5で殺菌された処理済培養液を処理タンク4から移動させて保持するための処理済タンク6とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、植物の養液栽培において培養液を循環して再利用する培養液循環供給装置であって殺菌機能を備えたもの、及び培養液の循環供給に使用する殺菌装置、並びに培養液循環供給方法に関する。
施設栽培における地力の低下や連作障害、病虫害の回避、栽培の省力自動化、生産の増強等を目的として、養液栽培が行われている。養液栽培は土を使わず肥料分を溶かした培養液を用いるものであり、種々の方式が利用されている。中でも、ロックウールに代表される土に代わる培地を用いて、培養液を培地に供給して栽培する、いわゆるかけ流し式の養液栽培は、コストが安価で栽培も安定していることから、近年広く普及している(例えば特許文献1参照)。
特開2003−274773号公報
しかしながら、かけ流し式養液栽培方式では、30〜40%程度の余剰液が排液としてハウス外に捨てられ、環境には好ましくないという問題があった。このため、環境汚染の防止や資源保護、栽培ランニングコストの低減等の観点から、余剰液を再利用する循環式養液栽培への移行が求められている。ただ、培養液を循環利用する方式では、水媒性病害の蔓延の危険性が高くなる。例えば培養液中にピシウム属菌やフザリウム属菌等の根腐れを引き起こす病原菌が一旦混入すると、短期間で蔓延して同一水系の植物に甚大な被害を生じるおそれがある。このため、培養液を循環利用する場合には、培養液を殺菌する技術が必須となる。
培養液殺菌技術としては、加熱殺菌や紫外線、オゾン等によるものがあるが、種々の問題点から広く普及していないのが現状である。すなわち、加熱殺菌は、電気ヒータ等によって培養液を70〜80℃以上の高温にして殺菌処理する方法であるが、処理した培養液を再度冷却する必要があり運用コストが高くなるという問題がある。また紫外線を利用する方法は波長250〜280nm程度の紫外線の殺菌力を利用する方法であるが、紫外線によって培養液中の鉄分が破壊されたり亜鉛分が不溶化される等の影響が生じ、植物からこれらの養分の欠乏症が生じて葉緑素が形成されず、葉の緑色が退色して白や黄色に変化するクロロシスを生じ、品質低下を招くという問題がある。また厚膜胞子を形成するフザリウム属菌等に対しての殺菌効果が弱いという欠点もある。同様にオゾンによる殺菌方法でも殺菌能力に限界があり、多量のオゾンを用いないとフザリウム属菌等の強力な病害微生物の防除に充分な効果を得ることができない。また細菌類が培地のロックウール中に入り込むと殺菌効果が著しく低下する上、人体にも有害である等の問題もある。このように、いずれの殺菌方法もコストが高い、効果が低い、人体に危険である、植物に障害が出る等の課題があり、現状では有効な殺菌方法として普及している技術がないという状態であった。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものである。本発明の主な目的は、培養液を循環利用する際に効果的な殺菌を安価に行うことのできる培養液循環供給装置及び培養液循環供給用殺菌装置並びに培養液循環供給方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明の第1の側面に係る培養液循環供給装置は、植物に培養液を供給すると共に、培養液を循環利用するために培養液の殺菌機能を備える培養液循環供給装置であって、植物が栽植される培地をセット可能な栽培ベッドと、栽培ベッドに供給する培養液を保持するための培養液タンクと、培養液タンクから栽培ベッドに培養液を供給するための給液機構と、培養液タンクから栽培ベッドに供給された培養液の余剰分を殺菌処理するために保持する処理タンクと、光照射により殺菌作用を発揮可能な光触媒を構成する抗菌活性金属化合物を含有する殺菌部材を備え、処理タンクに保持された余剰培養液を、該殺菌部材で殺菌可能な殺菌装置と、殺菌装置の近傍に配置され、殺菌部材を励起するための光源と、処理タンクと殺菌装置との間で余剰培養液を循環させるための循環機構と、殺菌装置で殺菌された処理済培養液を処理タンクから移動させて保持するための処理済タンクとを備える。この構成によって、光触媒の殺菌作用によって培養液に影響を与えることなく効果的に殺菌でき、培養液の循環再利用を可能として低コスト、省資源で環境への流出を抑えた植物の養液栽培が実現できる。
また本発明の第2の側面に係る培養液循環供給装置は、さらに栽培ベッドと処理タンクとの間に配置され、培養液タンクから栽培ベッドに供給された培養液の余剰分を回収し、処理タンクに送出するための余水タンクを備える。この構成によって、栽培ベッドから排出される余剰培養液を余水タンクで一旦集め、処理タンクに送出することができる。
さらに、本発明の第3の側面に係る培養液循環供給装置は、さらに処理タンクが、該処理タンク内の余剰培養液の水位を検出するための水位センサを備える。これにより、処理タンク内の水位に応じて、余剰培養液の量、言い換えると培養液タンクから供給された培養液の栽培ベッドでの消費量を検知することができ、これに応じて栽培ベッドへの培養液の給液量を制御することができる。
さらにまた、本発明の第4の側面に係る培養液循環供給装置は、殺菌部材は、抗菌活性金属化合物を含有するアクリロニトリル系繊維よりなる殺菌シートよりなる。
さらにまた、本発明の第5の側面に係る培養液循環供給装置は、アクリロニトリル系繊維が、抗菌活性金属化合物でキレート処理されている。
さらにまた、本発明の第6の側面に係る培養液循環供給装置は、殺菌シートが、繊維を立体的に集合して、繊維の間に空気又は水等の液体が通過できる濾過空隙を設けてなり、該繊維が、抗菌活性金属化合物を含有するアクリロニトリル系繊維を、pH1〜6の範囲内で熱処理をしてなる光触媒活性を有する抗菌性アクリロニトリル系繊維を含む。
さらにまた、本発明の第7の側面に係る培養液循環供給装置は、殺菌シートが、アクリロニトリル系繊維の一部のニトリル基をスルホン酸基に置換し、銀イオンをキレートさせたアクリロニトリル系繊維を10〜90%の割合で混合した銀担持抗菌性不織布である。
さらにまた、本発明の第8の側面に係る培養液循環供給用殺菌装置は、植物に培養液を供給すると共に、供給された培養液の余剰分を循環再利用する培養液の循環供給において、培養液を殺菌するための殺菌装置であって、培養液を保持するための処理槽と、処理槽内に配置され、光照射により殺菌作用を発揮可能な光触媒を構成する抗菌活性金属化合物を含有する殺菌部材と、処理槽の近傍に配置され、殺菌部材を光励起するための光源とを備え、処理タンクに保持された余剰培養液を、該殺菌部材を光励起して殺菌するよう構成されている。この構成によって、光触媒の殺菌作用によって培養液に影響を与えることなく効果的に殺菌でき、培養液の循環再利用を可能として低コスト、省資源で環境への流出を抑えた植物の養液栽培が実現できる。
さらにまた、本発明の第9の側面に係る培養液循環供給方法は、植物に培養液を供給すると共に、供給された培養液の余剰分を循環再利用する培養液の循環供給方法であって、培養液を保持する培養液タンクから、植物が栽植される培地をセットした栽培ベッドに給液を行う工程と、栽培ベッドに供給された培養液の余剰分を余剰培養液として処理タンクに回収する工程と、植物の活動が低下する期間に、培養液タンクから栽培ベッドへの給液を停止すると共に、処理タンク内の余剰培養液を、処理タンクに循環可能に連結された殺菌装置で殺菌する工程と、殺菌装置で殺菌された処理済培養液を、培養液タンクに移送する工程とを有し、該殺菌工程が 殺菌装置に含まれる、光照射により殺菌作用を発揮可能な光触媒を構成する抗菌活性金属化合物を含有する殺菌部材により、処理タンクに保持された余剰培養液を、該殺菌部材で殺菌する。これによって、光触媒の殺菌作用によって培養液に影響を与えることなく効果的に殺菌でき、培養液の循環再利用を可能として低コスト、省資源で環境への流出を抑えた植物の養液栽培が実現できる。
本発明の培養液循環供給装置及び培養液循環供給用殺菌装置並びに培養液循環供給方法によれば、養液栽培において培養液を循環利用する際に問題となる培養液の殺菌を、効果的にかつ安価に実現できるという極めて優れた特長を実現する。特に、光触媒を利用して殺菌を行うことで、低消費電力でランニングコストの安い、安全な殺菌が行える。また夜間等、植物の活動休止期間中に殺菌装置を機能させることで、給液と殺菌を交互に行って効率のよい養液栽培が行える。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための培養液循環供給装置及び培養液循環供給用殺菌装置並びに培養液循環供給方法を例示するものであって、本発明は培養液循環供給装置及び培養液循環供給用殺菌装置並びに培養液循環供給方法を以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
(培養液循環供給システム)
図1に、本発明の一実施の形態に係る培養液循環供給装置の構成を示す。この図に示す培養液循環供給装置100は、植物を植え付けして栽培する培地を載置あるいは充填するための栽培ベッド1と、栽培ベッド1に培養液を供給するための培養液タンク2と、余剰の培養液を蓄える余水タンク3と、余水タンク3の余剰培養液を殺菌処理するために保持する処理タンク4と、処理タンク4内の余剰培養液を殺菌するための殺菌装置5と、殺菌装置5で殺菌された処理済培養液を保持するための処理済タンク6とを備える。各タンクの間は連結パイプ7で連結されて養液の流路を構成し、さらに必要な給液や液の移送を行うための給液ポンプPを備えており、給液機構を構成している。連結パイプ7は、培養液を流す導管であり、培養液や周囲環境によって劣化し難いものがよく、例えばステンレス、真鍮、鋳鉄等の金属類、フッ素樹脂、塩化ビニル等の樹脂等の材質のものが利用できる。また給液ポンプPは、マグネットポンプ、渦巻きポンプ、水中ポンプ、ダイヤフラムポンプ、スクリューポンプ、プランジャーポンプ、ピストンポンプ等が利用でき、好ましくは、マグネットポンプや水中ポンプとする。なお給液ポンプは、図1の例では各連結パイプに設けられているが、一のポンプを複数のパイプの給液に兼用することもできる。この培養液循環供給装置100は、培養液タンク2と栽培ベッド1とを給液パイプ7Eで連結し、培養液給液ポンプP5を駆動して給液可能としている。その給液制御は、主に処理タンク4に設けられた処理水位センサ8Bで行う。処理水位センサ8Bが培養液給液ポンプP5を駆動して、培養液タンク2から給液パイプ7Eを介して栽培ベッド1に培養液を供給し、余剰培養液を余水タンク3で回収する。一方殺菌装置5を用いて処理タンク4で殺菌処理し、処理済タンク6を介して培養液タンク2に戻し再利用するという培養液循環供給システムを構成する。
栽培ベッド1は日中の太陽光で育成される。このため、培養液循環供給システムは、日中に植物を育成させるため栽培ベッド1に培養液が培養液タンク2から供給される。給液の度に生じる余剰培養液は、その都度余水タンク3に集液される。また余水タンク3は処理タンク4と余水タンクパイプ7Aで連結されており、この経路には余水給液ポンプP1が配置される。余水タンク3内の余剰培養液は余水給液ポンプP1で速やかに処理タンク4へ移動し貯液される。
一方、夜間は植物の活動が止まるため、給液も停止される。よってこの間に余剰培養液の殺菌を行う。ここでは、殺菌装置5と処理タンク4の間で余剰培養液を循環させることで殺菌する。殺菌装置5と処理タンク4は循環パイプ7Bで連結され、循環ポンプP2で循環パイプ7Bを通じて余剰培養液を循環可能としている。殺菌処理された培養液は、循環殺菌処理の終了後、あるいは早朝等適当なタイミングで処理タンク連結パイプ7C及び処理タンク排出ポンプP3によって処理済タンク6に移される。処理済タンク6は培養液タンク2と処理済タンク連結パイプ7Dで連結されており、処理済給液ポンプP4で処理済タンク6に集められた処理済培養液を培養液タンク2に給液可能としている。培養液タンク2には培養液水位センサ8Aが備えられており、処理済タンク6から培養液タンク2への処理済給液ポンプP4と連動されている。そして日中に培養液給液ポンプP5を駆動し、培養液タンク2から給液パイプ7Eを介して栽培ベッド1への給液が再開され、培養液タンク2内の培養液の水位が低下すると培養液水位センサ8Aがこれを検出して処理済給液ポンプP4を駆動し、処理済タンク6に集められた処理済培養液を培養液タンク2へ原水と共に補給する。
また、栽培ベッド1への培養液の給液量の制御については、処理タンク4に処理水位センサ8Bを設けて、栽培ベッド1からの余剰培養液の量すなわち排液量で給液のON/OFFを制御する。これにより、植物の活動状態に応じて必要な量の培養液を給液できる。例えば曇雨天の日は植物の活動が鈍るため培養液の消費量も少なくなり、その結果1日の給液の中で早い時点から排液が多くなる。この場合は処理タンク4の処理水位センサ8Bの上限まで排液が集水されるので、その後の給液は行われなくなり、培養液の量が制限される。このように、排液量に応じた給液が可能になると共に、常に一定の排液量となるため、殺菌装置5の能力を栽培規模によって限定することができる。
(栽培ベッド1)
栽培ベッド1は、植物を植え付けして栽培する培地を載置あるいは充填するための栽培床を構成する。栽培ベッド1に培地を載置して、培養液タンクから供給される培養液を育苗植物に与えて育成する。栽培ベッド1は、現在利用されている若しくは将来開発される栽培ベッドが適宜利用できる。一般的には、栽培ベッド1は太陽光で培地の植物を育成するよう、屋外や採光可能な屋内等日当たりのよい場所に配置される。ただ、培地ベッドの上方に光源を配置することで、屋内や夜間の育成も可能とできる。
(余水タンク3)
余水タンク3は、栽培ベッド1と余水タンクパイプ7Aを介して連通され、栽培ベッド1から余剰の培養液を一時的に蓄える。余水タンク3を栽培ベッド1よりも低い位置に配置することで、栽培ベッド1から排出される余剰培養液を余水タンクパイプ7Aを介して自動的に余水タンク3に集められる。また余水タンク3は、余水タンクパイプ7Aを介して処理タンク4と連結される。また余水タンク3の余剰培養液を処理タンク4に移送するため、余水タンクパイプ7Aには余水給液ポンプP1を備える。
余水タンクは余水水位センサ8Cを備えており、余水タンクが余剰培養液で溢れないように制御される。具体的には余水水位センサ8Cで水位の上限と下限を設定し、水位の上限に達したら余水給液ポンプP1を駆動して余水タンク内の余剰培養液を処理タンクへ移送する。また水位が下限に達したら、余水給液ポンプP1の運転を停止する。このように、余水水位センサ8Cで余水タンク内の水位を検出し、これに応じて余水給液ポンプP1の運転を制御することで、余水タンク内の余剰培養液の水量を調整できる。
(処理タンク4)
処理タンク4は、移送された余剰培養液を殺菌するための殺菌装置5及び殺菌装置5で殺菌処理された処理済培養液を移送するための処理済タンク6と処理タンク連結パイプ7Cで連結されている。連結パイプは、培養液を移送するための処理タンク排出ポンプP3を備える。これにより、処理タンク4内の未処理の余剰培養液を汲み上げて殺菌装置5に移送、循環させ、殺菌処理を行うと共に、処理済培養液は処理済タンク6に移送できる。また処理タンク4は、内部の培養液の水位を検出するための処理水位センサ8Bを備えている。処理水位センサ8Bにより、余水タンク3から処理タンク4に移送される余剰培養液の量を検出できる。一方で、培養液タンク2にも培養液水位センサ8Aを備えており、培養液タンク2から栽培ベッド1への培養液の給液量を検出できる。これらの水位センサを用いて、栽培ベッド1への給液量と、栽培ベッド1での培養液の消費量が把握でき、植物の活動状態に応じて培養液の給液量を調整できる。
(処理済タンク6)
処理済タンク6も、個別の処理タンク連結パイプ7C、7Dで処理タンク4、培養液タンク2と各々連結されており、それぞれ処理タンク排出ポンプP3、処理済給液ポンプP4で培養液を処理タンク4から処理済タンク6へ、処理済タンク6から培養液タンク2へと、それぞれ移送できる。
(培養液タンク2)
培養液タンク2は、培養液を蓄えるタンクである。ここで培養液とは、液肥、液肥と水の混合液の他、その名称に拘わらず水のみの場合も包含する意味で使用する。また水と液肥を供給するタンクやチューブを個別に設けることもできる。この例では、原水と液肥を混合して培養液としている。原水は、液肥を溶かす水であり、水道水や井戸水が使用される。培養液タンク2には、液肥と原水とで適切な濃度に調整された培養液が保持される。
(殺菌装置5)
次に、図2に殺菌装置5の一例を示す。この図に示す殺菌装置5は、余剰培養液を保持する処理槽50内に、殺菌部材として殺菌シート53を充填している。殺菌シート53は光触媒反応により殺菌作用を生じさせる抗菌活性金属化合物を含有する。処理槽50は供給口51と排出口52を開口しており、処理槽50に開口された供給口51から余剰培養液を供給し、殺菌シート53で殺菌した後排出口52から余剰培養液を排出する。図2の例では、処理槽50を矩形状の箱形に形成し、一面に供給口51を、この面と対向する側の他方の面に排出口52を開口している。処理槽50は矩形状の箱形の他に、筒状、ドーナツ型その他の形状であってもよい。また処理槽50は複数槽を直列又は並列に連結して使用することもできる。これら供給口51及び排出口52は、ホースニップルを設け、パイプやホース等との接続を容易にしている。また処理槽50は、内部に保持する殺菌シート53で光触媒反応による殺菌効果を得るために、透光性のある部材で構成して外部からの励起光を殺菌シート53に照射可能する。この例では、処理槽50はアクリルやポリカーボネイト等の硬質部材で構成される。
このように処理槽50内に充填した殺菌部材に、循環機構で培養液を循環させて、殺菌物質を抗菌性不織布として培養液が直接通過する際、又は表面を通過する際に、抗菌性不織布に接触させて殺菌を行う。この構成では、従来のように培養液に太陽光等の励起光を広い面積で照射するために栽培ベッドの周囲に溝を設けたりする必要がなく、広いスペースを用意せずとも処理槽50を循環させ、抗菌性不織布に接触させて殺菌することで効率的かつ効果的な殺菌が可能となり、コンパクトな殺菌装置とできる。
(光源L)
また、処理槽50の近傍には光触媒物質を励起する光源を配置する。光源Lとしては、蛍光灯やハロゲンランプ、LED等が利用できる。特に蛍光灯はコスト及び消費電力の面から好ましい。図2の例では、蛍光灯を5本平行に並べて利用している。蛍光灯を処理槽50の上方に配置し、かつ処理槽50の上面を投光性部材とすることで、蛍光灯を点灯させて効率よく光触媒反応を生じさせることができる。なお光源の配置位置は処理槽の上方に限られず、下方や側方としてもよく、これに応じて処理槽は少なくとも光源と面する部位を投光性部材で構成する。好ましくは処理槽の上下左右を透光性部材で構成し、光源の位置によらず光を取り入れて殺菌シート53の光触媒反応を得ることができる。また太陽光で殺菌を行う場合は、人工光源を特に設ける必要はない。この場合も本発明の範囲内に含むものであり、光源には採光窓等も含む意味で使用する。
(殺菌シート53)
殺菌シート53は、光触媒物質を担持させており、光を照射することで抗菌効果を発揮しうる。例えば、光触媒物質として抗菌活性金属化合物を含有するアクリロニトリル系繊維で構成された不織布を殺菌シート53として使用する。図2の例では、処理槽50内に抗菌性不織布を1枚充填している。抗菌性不織布を複数枚充填し充填密度を上げることで、病原菌を抗菌性不織布により接触させることができ、効率よく殺菌させることができる。また抗菌性不織布をプリーツ状にしたり、丸めてロール状にして充填して使用することもできる。
(抗菌活性金属化合物)
抗菌活性金属化合物としては、銀、銅、亜鉛、チタン、金、白金、パラジウム、ニッケル、コバルト等、抗菌性を示す金属が利用できる。これらの金属は1種類を単独で用いてもよいし、複数種類を組み合わせて用いてもよい。特に可視光線で励起して殺菌効果を発揮でき、利用のし易さや安全性等の面からは銀が好ましい。銀担持光触媒は可視光線を受けると銀イオンが光受容体となり、基底電子を電導バンドまで励起し、繊維表面吸着酸素を励起電子が還元して、スーパーオキシドアニオンラジカルを生成する。一方、電子の抜けた正孔は、OHアニオンから電子を引き抜いてヒドロキシラジカルを生成する。このヒドロキシラジカルは非常に強力な酸化力を持ち、細菌等の有機物を分解する。また、ヒドロキシラジカルの寿命は一瞬であるため、周囲への悪影響も生じない。
図2の例では、アクリロニトリル系繊維の一部のニトリル基をスルホン酸基に置換し、銀イオンをキレートさせたアクリロニトリル系繊維を30%、ポリオレフィン繊維を70%の割合で混合した銀担持抗菌性不織布を使用した。また光触媒殺菌効果を生じさせるためには、細菌等処理対象の有機物と光触媒物質とを接触させる必要がある。このため殺菌シート53を抗菌性不織布として、培養液中に含まれる細菌等が効率よく光触媒物質と接触させることができる。抗菌性不織布は、繊維を立体的に集合して、繊維の間に空気や水等の液体が通過できる濾過空隙を設けている。繊維は、抗菌活性金属化合物を含有するアクリロニトリル系繊維を、pH1〜6の範囲内で熱処理をしてなる光触媒活性を有する抗菌性アクリロニトリル系繊維とし、抗菌性を持たせる。
(抗菌性不織布)
ここで抗菌性不織布の詳細について説明する。抗菌性アクリロニトリル系繊維は、抗菌活性金属化合物を好ましくは銀系化合物とし、さらにアクリロニトリル系繊維として好ましくはアニオン性官能基を有する。さらに、抗菌性アクリロニトリル系繊維は、アクリロニトリル系繊維を、例えば100〜160℃の湿熱又は乾熱で熱処理してなるもので、この抗菌性アクリロニトリル系繊維の含有量は、好ましくは10〜90%とする。抗菌性不織布は、抗菌性アクリロニトリル系繊維にバインダ繊維を添加し、バインダ繊維でもって繊維の交点を連結できる。
抗菌性不織布は、繊維を湿式あるいは乾式で立体的に集合して繊維の交点を結合した不織布である。繊維の交点を結合した抗菌性不織布は、強靭で繊維が分離し難い特長がある。ただ抗菌性不織布は、必ずしも繊維の交点を結合する必要はない。それは、抗菌性不織布が、強度の要求されない状態で使用できる用途もあるからである。繊維の交点を結合する抗菌性不織布は、未硬化で液状のバインダを繊維に塗布してこれを硬化させる方法と、主体繊維とバインダ繊維を混合して両繊維を立体的に集合して不織布とした後、バインダ繊維を溶融する方法とがある。液状のバインダで繊維の交点を結合する方法は、不織布に液状のバインダを噴霧して塗布し、あるいは、不織布を液状のバインダに浸漬した後、余分のバインダを絞りとってバインダを硬化させる。バインダ繊維を使用する方法は、バインダ繊維を熱風で溶融し、あるいは、不織布を熱圧してバインダ繊維を溶融して主体繊維の交点を結合する。また、バインダ繊維として木材パルプや合成パルプを使用することもでき、繊維の絡み合い、水素結合によってシート化することができる。
抗菌性不織布は、乾式、湿式等の各種製法で製造される。バインダ繊維を混合して製造される抗菌性不織布は、主体繊維とバインダ繊維とを混合し、両繊維を立体的に集合して製造される。この抗菌性不織布は、バインダ繊維の添加量を、10〜90重量%、好ましくは30〜80重量%とする。抗菌性不織布は、バインダ繊維を添加しないで製造することもできる。ただ、バインダ繊維を添加して製作した抗菌性不織布を加熱してバインダ繊維で溶着した抗菌性不織布は、強度を向上できる。バインダ繊維が主体繊維の交点を溶着するからである。
抗菌性不織布は、光触媒活性を有する抗菌性アクリロニトリル系繊維を含んでいる。抗菌性アクリロニトリル系繊維の混合量は、例えば10〜90重量%とするが、好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは20〜50重量%、最適には30〜40重量%とする。
抗菌性不織布に含まれる抗菌性アクリロニトリル系繊維は、混合量が少なすぎると抗菌性能が低下する。ただ、抗菌性アクリロニトリル系繊維の添加量を多くすると、原料コストが高くなる。また、バインダ繊維で繊維の交点を結合する抗菌性不織布は、抗菌性アクリロニトリル系繊維の添加量を多くすると、バインダ繊維の添加量が少なくなって強度が低下する。抗菌性不織布に含まれる抗菌性アクリロニトリル系繊維の混合量は、用途に要求される抗菌性能とコストと強度とを考慮して、用途に最適な前述の範囲とする。
抗菌性不織布は、抗菌性アクリロニトリル系繊維に加えて、主体繊維又はバインダ繊維として、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維等の合成繊維を、単独であるいは複数を混合して添加することもできる。ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維等の熱可塑性繊維は、バインダ繊維として使用することができる。これらのバインダ繊維を含む抗菌性不織布は、熱圧加工して繊維を交点で結合して強靭にできる。また木材パルプや合成パルプも使用することができる。
抗菌性不織布は、抗菌性アクリロニトリル系繊維に、ポリオレフィン繊維又はポリエステル繊維を添加したものが、機械的強度、耐薬品性、熱加工適性、コスト等の総合的な見地から最適である。抗菌性アクリロニトリル系繊維に添加するポリオレフィン繊維又はポリエステル繊維は、乾式法で製造する場合は、長さを例えば25〜150mm、好ましくは、35〜70mmとするものが適しており、湿式法で製造する場合は、長さを例えば1〜25mm、好ましくは、3〜15mmとするものが適している。
抗菌性不織布は、太さを例えば0.1〜50デシテックス、好ましくは0.3〜20デシテックスとする繊維を、60重量%以上含む不織布で構成する。
抗菌性不織布に使用される光触媒活性を有する抗菌性アクリロニトリル系繊維は、アクリロニトリル系重合体から形成された繊維であって、抗菌活性金属化合物を含有するものである限り特に制約はない。アクリロニトリル系重合体は、好ましくは60重量%以上、更に好ましくは80%重量以上のアクリロニトリルと公知のモノマーとの共重合体を用いることができる。
抗菌活性金属化合物としては、抗菌活性を有する金属化合物である限り特に制約はないが、光触媒活性を有効に付与するために銀系化合物であることが好ましい。ここで、本発明において繊維に含有せしめるべき抗菌活性金属化合物の量は、特に限定はないが、より好ましくは、繊維に対して金属イオンとして1〜200m・mol/kg含有させるのが良い。即ち金属化合物の含有量は要求される抗菌性のレベルにより異なるのであり、係る範囲の下限に満たない場合は生活環境での見るべき光触媒活性やこれに伴う充分な抗菌性能が得られにくく、上限を越える場合は、繊維が乾燥等の熱処理工程で著しく着色する問題が生じ易い。さらに係る範囲内で生活用途或いは工業用途への充分な光触媒活性に伴う抗菌性能が恒久的に得られることから、上述した範囲を越えてまで含有せしめることは、不必要にコストが高くなり工業的に有利でない。
抗菌性アクリロニトリル系繊維を使用した抗菌性不織布は、以下の方法で製造できる。まず不織布の製造工程乾式で抗菌性不織布を製造する。抗菌性不織布を構成する繊維として、30重量%の抗菌性アクリロニトリル系繊維と、70重量%のポリオレフィン繊維を用いる。抗菌性アクリロニトリル系繊維の太さは、1.7デシテックスで、平均長さは51mmとする。ポリオレフィン繊維は、繊維の断面に低融点と高融点のものが並列型に存在する複合繊維を用いた。その太さは11デシテックスで、平均長さは51mmとする。
乾式法による不織布の製造においては、熱風あるいは熱ロールによってバインダー繊維を融着させるサーマルボンド法を利用する。以上の装置と繊維を使用して、単位面積に対する重量を140g/m2、厚さを4mmとする抗菌性不織布を製造する。
このような抗菌性アクリロニトリル系繊維としては、特許第3422376号で開示されるもの、光触媒活性を有する抗菌性不織布としては特開2001−259012で開示されるものが好適に利用できる。抗菌性不織布に使用される抗菌性アクリロニトリル系繊維は、抗菌活性金属化合物を銀系化合物とするのが好ましい。
一般に銀を利用した抗菌性物質では、銀イオンが溶出して抗菌効果を発揮するものが多い。しかしながら、銀の溶出量が多すぎると、植物の生長に悪影響を及ぼすおそれがある。またこの方式では効果が持続せず、銀イオンが溶出するにつれて殺菌効果が失われ、比較的短寿命で定期的に交換する必要があった。さらにかけ流し式の場合は、溶出した銀が排出されるため、周囲の環境に与える影響も懸念され、さらに廃棄物の処理も問題となる。これに対して本実施の形態で使用した銀担持抗菌性不織布は、銀イオンをキレートさせた繊維を使用しており、溶解度が低く長期間にわたって光触媒の殺菌力を発揮でき安定して使用できる。また溶出量が少ないため環境への影響も少なく、長寿命化によって廃棄物の量も抑えることができ、環境に優しい培養液循環供給用殺菌装置とできる。
このように抗菌性アクリロニトリル系繊維で光触媒活性を有する抗菌性不織布を作製し、これを処理槽50に充填し、処理槽50上部に光源を設置する。これにより、栽培ベッド1に給液された余剰の培養液が、処理槽50内を循環する際に、光触媒活性を有する抗菌性不織布に光が照射されることにより、光触媒活性を有し殺菌が行われる。また同時に、抗菌性アクリロニトリル系繊維に結合した銀にバクテリア等の有機物が接触することで、銀がバクテリアの細胞表面に強く吸着し、細胞内部に浸透し細胞膜に保持され、細胞膜内の酵素を阻害して死滅させる殺菌効果もある。
(実施例1)
この殺菌機能を備える培養液循環供給装置を使用して養液栽培を行い、その効果を検証した。光触媒活性を有する殺菌シート53には、抗菌活性金属化合物を銀系化合物とし、アクリロニトリル系繊維の一部のニトリル基をスルホン酸基に置換し、銀イオンをキレートさせた抗菌性アクリロニトリル系繊維を30重量%、バインダ繊維としてポリオレフィンの並列型複合繊維を70重量%使用して、乾式法によって作製した抗菌性不織布を使用した。この抗菌性不織布は、坪量が140g/m2、厚みが4mmと低密であり、培養液を循環させるのに非常に適している。この抗菌性不織布からなる殺菌シート53(孔隙率97%)を抗菌性不織布として処理槽50に充填した。
殺菌装置5の処理槽50は、厚さ10mmの透明のアクリル板で構成した。その大きさは、300mm×1000mmで深さを30mmとした。この処理槽50に、上記の殺菌シート53を充填した。また処理槽50の上部には、光源として40wの緑色蛍光灯を4本設置した。培養液の殺菌は、栽培ベッド1に給液された余剰の培養液が処理タンク4内を循環する際、殺菌シート53に光源の光を照射して光触媒活性により殺菌し、同時に殺菌シート53のアクリロニトリル系繊維に結合した銀に病原菌が接触することによる殺菌を行う。
上記の培養液循環供給装置を使用して、栽培ベッド1で実際にトマトの栽培を行い、一方比較例として殺菌装置5を使用しないで同様にトマトを栽培し、これらのトマトの生育、品質、収量及び培養液成分に及ぼす影響を比較した。トマトの品種としては、ハウス桃太郎を使用し、2004年9月26日に播種、同年10月27日に定植し、8段摘心栽培した。また培養液としては、大塚A処方培養液を用い、定植から1ヶ月をEC1.2dS/m、摘心まで1.8dS/m、摘心以降2.4dS/mとし、給液は1日に5回、1回量約200ml/株とした。
そして実施例1として、上記実施の形態に係る銀担持光触媒殺菌ユニットを組み込んだ培養液循環システムで栽培し、殺菌時間は1時間、排液量は30lに設定した。一方比較例1として、培養液タンク2と栽培ベッド1のみを使用し、この間で培養液を循環させた。2004年12月2日に得たトマトの育成調査の結果を、表1に示す。表1において、茎径は3段果房直下の茎を測定し、葉長、葉幅、葉色については3段果房直下の葉をそれぞれ測定した。
Figure 2006320282
表1に示すように、定植後以下月の生育は、両区の間で差は見られなかった。さらに育成を継続し、2005年4月19日時点における育成調査の結果を表2に示す。表2において葉長、葉幅は5段直下の葉を測定している。
Figure 2006320282
このように、実施例と比較例との間に生育の差異は殆ど見られない。すなわち、培養液の殺菌処理によってトマトの生育に悪影響を与えておらず、従来と同様の生長が得られることが判る。
また、トマトの収量及び糖度を測定した結果を表3に示す。表3において、収量は2月14日現在における積算収量(2段果房収穫中)、糖度は1段果房と2段果房の平均値をそれぞれ示している。この表に示すように、収量はほぼ同じで、やや実施例1が比較例1より少ないが、1段及び2段果房での糖度は、両者に差は見られない。
Figure 2006320282
さらにトマトの育成を継続し、2005年1月〜4月まで月毎にトマトの収量を上物、空洞果、乱形果、小玉、チャック果について測定した結果を表4に示す。さらに、1月から4月までに得られたトマトの収量を総計した結果を表5に示すと共に、図3に図示する。これらの図表に示すように、収量は実施例1と比較例で殆ど差は見られなかった。このように、培養液の殺菌処理によって収量に及ぼす影響が殆ど無いことが確認された。
Figure 2006320282
Figure 2006320282
加えて、トマトの糖度について果段毎に測定した結果を表6及び図4に示す。この図に示すように、殺菌処理した実施例1は比較例1と比べ遜色なく、むしろ1段果房において僅かに劣る以外は全般に比較例よりも良好な結果を示しており、本実施例の有効性が確認された。
Figure 2006320282
次に、培養液中の肥料成分に及ぼす銀担持光触媒処理の影響を調べた。この結果を表7に示す。この表に示すとおり、培養液中の肥料成分は多量成分、微量成分とも見られなかった。銀は比較例1が1ppbに対し実施例1では6ppbと、若干高い傾向が見られたが、絶対的な濃度としては依然として低く、銀担持抗菌性不織布からの溶出はほとんどないものと考えられ、また環境への影響が懸念される量には程遠い。
Figure 2006320282
また、実施例1における培養液の余剰液すなわち排液と、排液を殺菌処理した処理済培養液の肥料成分濃度についても同様に、それぞれの肥料成分を測定した。その結果を表8に示す。この表に示すように、P、K濃度が低く、Ca、Mg、Fe濃度が高くなり、その排液を殺菌処理をしても肥料成分に影響はなかった。一方、銀は相対的には約6倍に濃度が高まったが、6ppbと絶対的な値としては殆ど問題にならない低い値であった。
Figure 2006320282
このように、殺菌装置5で余剰培養液を殺菌処理しても、従来の紫外線やオゾンを使用した殺菌方法と比べて培養液中の養分に悪影響を与えず、ほぼ同様の収量、糖度でトマトを生産できることが明らかとなった。一方で銀担持抗菌性不織布を使用する殺菌方法は安全で安価に実現でき、その実用性は極めて高い。
(実施例2)
次に、銀担持抗菌性不織布を利用した光触媒の殺菌効果を検討するため、トマト・キュウリの養液栽培において特に問題となるフザリウム属菌(Fusarium oxysporum)の小型分生子に対する殺菌効果を測定した。ここでは、大阪府立食とみどりの総合技術センター内温室において、徳島県農業総合研究所の開発による光触媒培養液殺菌装置5を用いて、供試病原菌としてキュウリつる割病菌(Fusarium oxysporum f.sp.cucumerinum)を使用し、殺菌能力を検証した。試験方法としては、つる割病菌をPB(蔗糖加用)により培養し、小型分生子を採取し、培養液中に105cfu/mlの濃度となるように調整した。そして培養液タンク2、ポンプを設置した培養液循環供給装置に20Lの培養液を入れ、所定の時間循環後、培養液を採取し小型分生子の発芽を懸滴培養、及び希釈平板法で調査した。また培養液に代わって井戸水を使用し、井戸水中に小型分生子を同様の濃度で加え、測定した。これらの結果を表9及び図5に示す。表9はフザリウム属菌小型分生子の培地上における発芽を示し、図5はフザリウムの小型分生子に対する殺菌効果を、それぞれ示している。
Figure 2006320282
これらから、フザリウム属菌の小型分生子の発芽は、濃度0.5単位培養液条件下、循環液量8Lで16分経過後に発芽率の低下が認められた。またフザリウム属菌の分生子の発芽は、井戸水と培養液とでは差が認められなかった。また寒天培地による分生子の発芽状況について調査したところ、懸滴培養と同様の結果が得られた。これらの結果から、培養液、井戸水いずれの場合も、殺菌装置5で16分間循環させることで、フザリウム属菌をほぼ殺菌することが可能であることが示された。
(実施例3)
さらに、ピシウム属菌に対する殺菌効果を同様に測定した。ここでも、大阪府立食とみどりの総合技術センター内温室において、徳島県農業総合研究所の開発による光触媒培養液殺菌装置5を用いて、供試病原菌としてトマト・キュウリ根腐病菌(Pythium myriotylum)を使用し、殺菌能力を検証した。試験方法としては、トマト・キュウリ根腐病菌をSchmitthenner培地で培養し、遊走子を形成させた。そして培養液中に103cfu/mlの濃度となるように遊走子を調整し、試験に供した。培養液タンク2、ポンプを設置した培養液循環供給装置に20Lの培養液を入れ、所定の時間循環後、培養液を採取し遠心分離で遊走子を回収後、懸滴培養で発芽率を調査した。また上記と同様に、培養液に代わって井戸水を使用し、井戸水中に小型分生子を同様の濃度で加え、測定した。これらの結果をピシウム属菌遊走子に対する銀光触媒の殺菌効果として図6に示す。この図に示すように、ピシウム属菌の遊走子の発芽は、濃度0.5単位培養液条件下、循環液量8Lで4分経過後から発芽率の低下が観察され、32分後で20%以下となった。また遊走子の発芽は、井戸水と培養液とでは差が認められなかった。このことからピシウム属菌についても、培養液、井戸水いずれの場合も殺菌装置5でフザリウム属菌の約2倍である32分間循環させることで、ピシウム属菌をほぼ殺菌することが可能であることが示された。
このように、養液栽培において、培養液をかけ捨てとせず、循環利用することで、環境への排液放出を防ぎ、環境保護及び資源保護を図ることができる。特に光触媒抗菌性不織布は、光触媒効果で抗菌性を発揮し、培養液の養分を損ねることなく効果的に殺菌を行うことができる。またこの際に銀等の抗菌活性金属化合物の溶出量も抑えられ、植物や環境への悪影響もない。
本発明の培養液循環供給装置及び培養液循環供給用殺菌装置並びに培養液循環供給方法は、トマトやキュウリ等の野菜や苺等の果物といった植物の養液栽培に好適に利用できる。
本発明の一実施の形態に係る培養液循環供給装置を示すブロック図である。 培養液循環供給用殺菌装置の一例を示す模式図である。 実施例1及び比較例1に係るトマトの収量を示すグラフである。 実施例1及び比較例1に係るトマトの糖度を示すグラフである。 フザリウム小型分生子の発芽率を示すグラフである。 ピシウム属菌遊走子の発芽率を示すグラフである。
符号の説明
100…培養液循環供給装置
1…栽培ベッド
2…培養液タンク
3…余水タンク
4…処理タンク
5…殺菌装置
6…処理済タンク
7…連結パイプ
7A…余水タンクパイプ
7B…循環パイプ
7C…処理タンク連結パイプ
7D…処理済タンク連結パイプ
7E…給液パイプ
8A…水位センサ
8B…処理水位センサ
8C…余水水位センサ
50…処理槽
51…供給口
52…排出口
53…殺菌シート
P…給液ポンプ
P1…余水給液ポンプ
P2…循環ポンプ
P3…処理タンク排出ポンプ
P4…処理済給液ポンプ
P5…培養液給液ポンプ
L…光源

Claims (9)

  1. 植物に培養液を供給すると共に、培養液を循環利用するために培養液の殺菌機能を備える培養液循環供給装置であって、
    植物が栽植される培地をセット可能な栽培ベッドと、
    前記栽培ベッドに供給する培養液を保持するための培養液タンクと、
    前記培養液タンクから前記栽培ベッドに培養液を供給するための給液機構と、
    前記培養液タンクから前記栽培ベッドに供給された培養液の余剰分を殺菌処理するために保持する処理タンクと、
    光照射により殺菌作用を発揮可能な光触媒を構成する抗菌活性金属化合物を含有する殺菌部材を備え、前記処理タンクに保持された余剰培養液を、該殺菌部材で殺菌可能な殺菌装置と、
    前記殺菌装置の近傍に配置され、前記殺菌部材を励起するための光源と、
    前記処理タンクと前記殺菌装置との間で余剰培養液を循環させるための循環機構と、
    前記殺菌装置で殺菌された処理済培養液を前記処理タンクから移動させて保持するための処理済タンクと、
    を備えることを特徴とする培養液循環供給装置。
  2. 請求項1に記載の培養液循環供給装置であって、さらに
    前記栽培ベッドと前記処理タンクとの間に配置され、前記培養液タンクから前記栽培ベッドに供給された培養液の余剰分を回収し、前記処理タンクに送出するための余水タンクと、
    を備えることを特徴とする培養液循環供給装置。
  3. 請求項2に記載の培養液循環供給装置であって、さらに
    前記処理タンクは、該処理タンク内の余剰培養液の水位を検出するための水位センサを備えることを特徴とする培養液循環供給装置。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の培養液循環供給装置であって、
    前記殺菌部材は、前記抗菌活性金属化合物を含有するアクリロニトリル系繊維よりなる殺菌シートよりなることを特徴とする培養液循環供給装置。
  5. 請求項4に記載の培養液循環供給装置であって、
    前記アクリロニトリル系繊維が、抗菌活性金属化合物でキレート処理されてなることを特徴とする培養液循環供給装置。
  6. 請求項4又は5に記載の培養液循環供給装置であって、
    前記殺菌シートが、繊維を立体的に集合して、繊維の間に空気又は水等の液体が通過できる濾過空隙を設けてなり、該繊維が、抗菌活性金属化合物を含有するアクリロニトリル系繊維を、pH1〜6の範囲内で熱処理をしてなる光触媒活性を有する抗菌性アクリロニトリル系繊維を含むことを特徴とする培養液循環供給装置。
  7. 請求項4から6のいずれかに記載の培養液循環供給装置であって、
    前記殺菌シートが、アクリロニトリル系繊維の一部のニトリル基をスルホン酸基に置換し、銀イオンをキレートさせたアクリロニトリル系繊維を10〜90%の割合で混合した銀担持抗菌性不織布であることを特徴とする培養液循環供給装置。
  8. 植物に培養液を供給すると共に、供給された培養液の余剰分を循環再利用する培養液の循環供給において、培養液を殺菌するための殺菌装置であって、
    培養液を保持するための処理槽と、
    前記処理槽内に配置され、光照射により殺菌作用を発揮可能な光触媒を構成する抗菌活性金属化合物を含有する殺菌部材と、
    前記処理槽の近傍に配置され、前記殺菌部材を光励起するための光源と、
    を備え、
    前記処理タンクに保持された余剰培養液を、該殺菌部材を光励起して殺菌するよう構成されてなることを特徴とする培養液循環供給用殺菌装置。
  9. 植物に培養液を供給すると共に、供給された培養液の余剰分を循環再利用する培養液の循環供給方法であって、
    培養液を保持する培養液タンクから、植物が栽植される培地をセットした栽培ベッドに給液を行う工程と、
    前記栽培ベッドに供給された培養液の余剰分を余剰培養液として処理タンクに回収する工程と、
    植物の活動が低下する期間に、前記培養液タンクから栽培ベッドへの給液を停止すると共に、前記処理タンク内の余剰培養液を、処理タンクに循環可能に連結された殺菌装置で殺菌する工程と、
    前記殺菌装置で殺菌された処理済培養液を、培養液タンクに移送する工程と、
    を有し、
    該殺菌工程が 前記殺菌装置に含まれる、光照射により殺菌作用を発揮可能な光触媒を構成する抗菌活性金属化合物を含有する殺菌部材により、前記処理タンクに保持された余剰培養液を、該殺菌部材で殺菌することを特徴とする培養液循環供給方法。
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