JP2004329005A - 養液栽培装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】アレロパシー物質の影響を簡易に除去して植物の生育性を高めることができる養液栽培装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る養液栽培装置1は、養液Lを貯え苗Sが栽培される栽培槽2と、苗Sから養液Lに溶出したアレロパシー物質を吸収するゼオライト9とを有する。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明に係る養液栽培装置1は、養液Lを貯え苗Sが栽培される栽培槽2と、苗Sから養液Lに溶出したアレロパシー物質を吸収するゼオライト9とを有する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、果樹、野菜等の植物を養液栽培するために用いられる養液栽培装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、植物を養液栽培する装置として、例えば特許文献1に記載のものが知られている。この養液栽培装置では、植物に供給される養液(培養液)を活性炭により殺菌しながら循環させることにより、病原菌の繁殖等を抑制している。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−313055号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、養液を単に循環させながらイチゴやトマト、キュウリ等の果樹や野菜が実る植物を養液栽培すると、時間の経過とともに果樹や野菜の生長、収量が低下するが、これは植物の生育を抑制・阻害するアレロパシー物質(フェノール物質)が植物の根から養液の中に溶出し、循環養液中に蓄積されるためと考えられる。
【0005】
そこで、アレロパシー物質が多量に蓄積される前に循環養液を交換することが考えられるが、養液の交換には労力を要する上、使用済みの養液をそのまま排水溝に流しては周囲の環境に影響を与えるおそれがある。また、養液の交換を回避するために、植物に供給されても吸収されなかった養液については循環させずに放出することも考えられるが、それを排水溝に流す限りは上記同様の問題がある。
【0006】
一方、上記特許文献1に記載のように養液中の成分を活性炭により吸着したのでは、活性炭が植物の生育に必要な有機物(鉄分)もよく吸着してしまうので、養分が不足するか、それを頻繁に補わなければならなくなる。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、アレロパシー物質の影響を簡易に除去して植物の生育性を高めることができる養液栽培装置を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、養液を貯え植物が栽培される栽培槽と、前記植物から前記栽培槽中の養液に溶出したアレロパシー物質を吸収するゼオライトとを有する養液栽培装置を特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の養液栽培装置において、前記ゼオライトに酸化チタンがコーティングされていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の養液栽培装置において、前記ゼオライトが酸化チタンと混在していることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項2又は請求項3に記載の養液栽培装置において、前記酸化チタンに紫外線を照射する光源を有することを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の養液栽培装置において、前記栽培槽からの養液が流入するとともに前記栽培槽に向けて養液を流出させる貯液槽を有し、該貯液槽の養液中に前記ゼオライトを有することを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の養液栽培装置において、前記ゼオライトが粒状又は板状であることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、植物から養液中に溶出したアレロパシー物質がゼオライトに吸収される一方、このゼオライトには植物の生育に重要な養液中の鉄分等が活性炭を用いた場合のように吸収されないので、アレロパシー物質の影響を簡易に除去して植物の自害を防止し、その生育性を高めることができる。
【0015】
とりわけ請求項2、請求項3に係る発明によれば、ゼオライトに吸収されたアレロパシー物質を酸化チタンにより分解してアレロパシー物質の回収及び除去を一連に行うことができるので、養液の長期間にわたる使用が容易となる。また、請求項4に係る発明によれば、光源により酸化チタンに紫外線を照射することができるので、日照時間が短い場合等でも酸化チタンによるアレロパシー物質の分解能力を十分に発揮させることができる。
【0016】
そして、このようにゼオライト又はゼオライトと酸化チタンとが機能することにより、請求項5に係る発明のように養液を循環させたときに、養液を再利用し続けることが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態に係る養液栽培装置を示す。この養液栽培装置1は図示を略すビニールハウス内に設置され、イチゴ(供試品種:とよのか)の苗Sの水耕栽培に用いられる。
【0019】
養液栽培装置1は、栽培槽2と、調整槽3と、補助光源4とを有し、栽培槽2及び調整槽3には養液Lが満たされている。栽培槽2及び調整槽3には同一のコンテナ(縦×横×高さ:54cm×34cm×19cm)が用いられるとともに、養液Lには表1の組成を有する園試処方75%標準液(EC 2.0dS/m:以下、この標準液を「基準液」という。)が用いられ、栽培槽2は30×10−3m3(30リットル)の養液Lを収容する。
【0020】
【表1】
【0021】
栽培槽2には、葉数が8枚でクラウン径約9mmの苗Sが3株植えられる培床5と、栽培槽2の内部の養液Lにエアーを供給するポンプ6と、栽培槽2の内部の養液Lを汲み上げるポンプ7とが設けられている。培床5は栽培槽2を全体的に覆い、この培床5の遮光作用により栽培槽2の養液Lにおけるアオミドロの繁殖等が防止されている。ポンプ6はここでは毎分3.8×10−3m3(3.8リットル)のエアーを連続的に供給し、ポンプ7は汲み上げた養液Lを排液管8を通じて調整槽3に送出する。
【0022】
調整槽3には、粒状の天然ゼオライト9が養液Lに浸るように設けられている。ゼオライト9は調整槽3の底面10上に敷設されてもよいが、この実施の形態では微細な網目を有するフィルター11が底面10の上方に設けられ、ゼオライト9はそのフィルター11上に敷設されている。ゼオライト9は、酸化チタン(アナターゼ)との混合剤として酸化チタンと混在するように用意しても、表面を酸化チタンでコーティングしてもよく、後述のように酸化チタンは紫外線を受けてゼオライト9の吸着物質を分解するので、日光による紫外線の照射量が少ない場合には、蛍光灯等からなる補助光源4を調整槽3の上方で点灯させて酸化チタンの分解作用を活性化させてもよい。
【0023】
排液管8は、調整槽3の側壁12でフィルター11よりも上方の部分に接続されている。また、調整槽3の側壁12に対向する側壁13には、フィルター11よりも下方の部分に給液管14が接続されている。ポンプ7が駆動されると、調整槽3では栽培槽2からの養液Lが流入するとともに、栽培槽2に向けて養液Lが流出する。換言すれば、栽培槽2には給液管14を通じて養液Lが供給され、この養液Lは排液管8を通じて栽培槽2から排出され、調整槽3及び給液管14を経て再度栽培槽2に供給される。本実施の形態では、養液Lは毎分180×10−6m3(180ミリリットル)の流量で循環し、この養液Lの繰返しの利用によりその成分量が基準液から変化した場合には、調整槽3において養液Lの成分量を基準液に戻るように調整する。
【0024】
この実施の形態に係る養液培養装置1では、苗Sの根Rから養液L中に溶出したアレロパシー物質が調整槽3においてゼオライト9に吸着される一方、ゼオライト9には苗Sの生育に重要な養液L中の鉄分等が活性炭を用いた場合のように吸着されないので、アレロパシー物質の影響を簡易に除去して苗Sの自害を防止し、その生育性を高めることができる。
【0025】
ここでは特にゼオライト9に吸着されたアレロパシー物質を酸化チタンにより分解し、アレロパシー物質の回収及び除去を一連に行うことができるので、養液Lを循環させても長期間にわたり再利用し続けることが可能となる。
【0026】
また、調整槽3において養液Lの流入口(排液管8)と流出口(給液管14)とがゼオライト9を挟んで上下に位置しているので、調整槽3から栽培槽2に供給される養液Lが確実にゼオライト9を通過し、アレロパシー物質の吸着が確実に行われてアレロパシー物質の循環が有効に防止されている。
【0027】
以下、より具体的な実施例について説明する。
【0028】
【実施例】
この実施例では調整槽3を処理区と称し、ゼオライト9を酸化チタンと共存させずに処理区に入れた場合を試行No.1、ゼオライト9を酸化チタン混合剤として処理区に入れた場合を試行No.2として、約5ヶ月間に及ぶイチゴの水耕栽培を行った。また、ゼオライト又はゼオライトと酸化チタンとの代わりに石英砂(寒水石)500gを処理区に入れた場合を試行No.3、石英砂500gを処理区に入れた場合を試行No.4として、比較用の栽培を行った。
【0029】
試行No.1、試行No.2及び試行No.3においては養液交換を行わず、N、P、K、Mg、Ca、Feを基準液と同じ濃度になるように調整したが、試行No.4においては養液Lを2週毎に全量交換した。また、環境温度は15℃程度に保ち、日照時間が不足する場合には補助光源4を点灯させて紫外線を補った。受粉は開花時に筆による人工授粉を行った。
【0030】
各試行について4つのサンプルで実験を行い、1株当たりの果房数、開花数、収穫果実数の平均値を調べたところ、表2に示すような結果を得た。
【0031】
【表2】
【0032】
表2からわかるように、ゼオライトを使用せず養液交換をしなかった試行No.3では果房数、開花数及び収穫果実数のいずれも少なく、2週間毎に養液交換を行った試行No.4との差異が明確に表れている。一方、本実施の形態に係る試行No.1及び試行No.2では、養液交換をしなかったにもかかわらず果房数、開花数、収穫果実数のいずれも多く、収穫果実数については試行No.4と比べても著しく多くなっている。これは、アレロパシー物質がゼオライトにより常に吸着される状態にあったからと考えられ、特に吸着されたアレロパシー物質が酸化チタンにより逐次分解されていたと思われる試行No.2では、試行No.3に対して収穫果実数が30%も多かった。
【0033】
なお、本発明は上述した形態に限られるものではなく、例えば図2に示すようにゼオライト9を平板として層状に配置しても、人工ゼオライトを用いてもよい。また、養液Lの調整は必ずしも調整槽3で行う必要はなく、アレロパシー物質を吸収するようにゼオライトを配置することができるのであれば調整槽3自体の設置も必須ではない。
【0034】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成したので、アレロパシー物質の影響を簡易に除去して植物の生育性を高めることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態に係る養液栽培装置を示す説明図である。
【図2】養液栽培装置の他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 養液栽培装置
2 栽培槽
3 調整槽(貯液層)
4 補助光源(光源)
9 ゼオライト
L 養液
S イチゴの苗(植物)
【発明の属する技術分野】
本発明は、果樹、野菜等の植物を養液栽培するために用いられる養液栽培装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、植物を養液栽培する装置として、例えば特許文献1に記載のものが知られている。この養液栽培装置では、植物に供給される養液(培養液)を活性炭により殺菌しながら循環させることにより、病原菌の繁殖等を抑制している。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−313055号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、養液を単に循環させながらイチゴやトマト、キュウリ等の果樹や野菜が実る植物を養液栽培すると、時間の経過とともに果樹や野菜の生長、収量が低下するが、これは植物の生育を抑制・阻害するアレロパシー物質(フェノール物質)が植物の根から養液の中に溶出し、循環養液中に蓄積されるためと考えられる。
【0005】
そこで、アレロパシー物質が多量に蓄積される前に循環養液を交換することが考えられるが、養液の交換には労力を要する上、使用済みの養液をそのまま排水溝に流しては周囲の環境に影響を与えるおそれがある。また、養液の交換を回避するために、植物に供給されても吸収されなかった養液については循環させずに放出することも考えられるが、それを排水溝に流す限りは上記同様の問題がある。
【0006】
一方、上記特許文献1に記載のように養液中の成分を活性炭により吸着したのでは、活性炭が植物の生育に必要な有機物(鉄分)もよく吸着してしまうので、養分が不足するか、それを頻繁に補わなければならなくなる。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、アレロパシー物質の影響を簡易に除去して植物の生育性を高めることができる養液栽培装置を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、養液を貯え植物が栽培される栽培槽と、前記植物から前記栽培槽中の養液に溶出したアレロパシー物質を吸収するゼオライトとを有する養液栽培装置を特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の養液栽培装置において、前記ゼオライトに酸化チタンがコーティングされていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の養液栽培装置において、前記ゼオライトが酸化チタンと混在していることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項2又は請求項3に記載の養液栽培装置において、前記酸化チタンに紫外線を照射する光源を有することを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の養液栽培装置において、前記栽培槽からの養液が流入するとともに前記栽培槽に向けて養液を流出させる貯液槽を有し、該貯液槽の養液中に前記ゼオライトを有することを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の養液栽培装置において、前記ゼオライトが粒状又は板状であることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、植物から養液中に溶出したアレロパシー物質がゼオライトに吸収される一方、このゼオライトには植物の生育に重要な養液中の鉄分等が活性炭を用いた場合のように吸収されないので、アレロパシー物質の影響を簡易に除去して植物の自害を防止し、その生育性を高めることができる。
【0015】
とりわけ請求項2、請求項3に係る発明によれば、ゼオライトに吸収されたアレロパシー物質を酸化チタンにより分解してアレロパシー物質の回収及び除去を一連に行うことができるので、養液の長期間にわたる使用が容易となる。また、請求項4に係る発明によれば、光源により酸化チタンに紫外線を照射することができるので、日照時間が短い場合等でも酸化チタンによるアレロパシー物質の分解能力を十分に発揮させることができる。
【0016】
そして、このようにゼオライト又はゼオライトと酸化チタンとが機能することにより、請求項5に係る発明のように養液を循環させたときに、養液を再利用し続けることが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態に係る養液栽培装置を示す。この養液栽培装置1は図示を略すビニールハウス内に設置され、イチゴ(供試品種:とよのか)の苗Sの水耕栽培に用いられる。
【0019】
養液栽培装置1は、栽培槽2と、調整槽3と、補助光源4とを有し、栽培槽2及び調整槽3には養液Lが満たされている。栽培槽2及び調整槽3には同一のコンテナ(縦×横×高さ:54cm×34cm×19cm)が用いられるとともに、養液Lには表1の組成を有する園試処方75%標準液(EC 2.0dS/m:以下、この標準液を「基準液」という。)が用いられ、栽培槽2は30×10−3m3(30リットル)の養液Lを収容する。
【0020】
【表1】
【0021】
栽培槽2には、葉数が8枚でクラウン径約9mmの苗Sが3株植えられる培床5と、栽培槽2の内部の養液Lにエアーを供給するポンプ6と、栽培槽2の内部の養液Lを汲み上げるポンプ7とが設けられている。培床5は栽培槽2を全体的に覆い、この培床5の遮光作用により栽培槽2の養液Lにおけるアオミドロの繁殖等が防止されている。ポンプ6はここでは毎分3.8×10−3m3(3.8リットル)のエアーを連続的に供給し、ポンプ7は汲み上げた養液Lを排液管8を通じて調整槽3に送出する。
【0022】
調整槽3には、粒状の天然ゼオライト9が養液Lに浸るように設けられている。ゼオライト9は調整槽3の底面10上に敷設されてもよいが、この実施の形態では微細な網目を有するフィルター11が底面10の上方に設けられ、ゼオライト9はそのフィルター11上に敷設されている。ゼオライト9は、酸化チタン(アナターゼ)との混合剤として酸化チタンと混在するように用意しても、表面を酸化チタンでコーティングしてもよく、後述のように酸化チタンは紫外線を受けてゼオライト9の吸着物質を分解するので、日光による紫外線の照射量が少ない場合には、蛍光灯等からなる補助光源4を調整槽3の上方で点灯させて酸化チタンの分解作用を活性化させてもよい。
【0023】
排液管8は、調整槽3の側壁12でフィルター11よりも上方の部分に接続されている。また、調整槽3の側壁12に対向する側壁13には、フィルター11よりも下方の部分に給液管14が接続されている。ポンプ7が駆動されると、調整槽3では栽培槽2からの養液Lが流入するとともに、栽培槽2に向けて養液Lが流出する。換言すれば、栽培槽2には給液管14を通じて養液Lが供給され、この養液Lは排液管8を通じて栽培槽2から排出され、調整槽3及び給液管14を経て再度栽培槽2に供給される。本実施の形態では、養液Lは毎分180×10−6m3(180ミリリットル)の流量で循環し、この養液Lの繰返しの利用によりその成分量が基準液から変化した場合には、調整槽3において養液Lの成分量を基準液に戻るように調整する。
【0024】
この実施の形態に係る養液培養装置1では、苗Sの根Rから養液L中に溶出したアレロパシー物質が調整槽3においてゼオライト9に吸着される一方、ゼオライト9には苗Sの生育に重要な養液L中の鉄分等が活性炭を用いた場合のように吸着されないので、アレロパシー物質の影響を簡易に除去して苗Sの自害を防止し、その生育性を高めることができる。
【0025】
ここでは特にゼオライト9に吸着されたアレロパシー物質を酸化チタンにより分解し、アレロパシー物質の回収及び除去を一連に行うことができるので、養液Lを循環させても長期間にわたり再利用し続けることが可能となる。
【0026】
また、調整槽3において養液Lの流入口(排液管8)と流出口(給液管14)とがゼオライト9を挟んで上下に位置しているので、調整槽3から栽培槽2に供給される養液Lが確実にゼオライト9を通過し、アレロパシー物質の吸着が確実に行われてアレロパシー物質の循環が有効に防止されている。
【0027】
以下、より具体的な実施例について説明する。
【0028】
【実施例】
この実施例では調整槽3を処理区と称し、ゼオライト9を酸化チタンと共存させずに処理区に入れた場合を試行No.1、ゼオライト9を酸化チタン混合剤として処理区に入れた場合を試行No.2として、約5ヶ月間に及ぶイチゴの水耕栽培を行った。また、ゼオライト又はゼオライトと酸化チタンとの代わりに石英砂(寒水石)500gを処理区に入れた場合を試行No.3、石英砂500gを処理区に入れた場合を試行No.4として、比較用の栽培を行った。
【0029】
試行No.1、試行No.2及び試行No.3においては養液交換を行わず、N、P、K、Mg、Ca、Feを基準液と同じ濃度になるように調整したが、試行No.4においては養液Lを2週毎に全量交換した。また、環境温度は15℃程度に保ち、日照時間が不足する場合には補助光源4を点灯させて紫外線を補った。受粉は開花時に筆による人工授粉を行った。
【0030】
各試行について4つのサンプルで実験を行い、1株当たりの果房数、開花数、収穫果実数の平均値を調べたところ、表2に示すような結果を得た。
【0031】
【表2】
【0032】
表2からわかるように、ゼオライトを使用せず養液交換をしなかった試行No.3では果房数、開花数及び収穫果実数のいずれも少なく、2週間毎に養液交換を行った試行No.4との差異が明確に表れている。一方、本実施の形態に係る試行No.1及び試行No.2では、養液交換をしなかったにもかかわらず果房数、開花数、収穫果実数のいずれも多く、収穫果実数については試行No.4と比べても著しく多くなっている。これは、アレロパシー物質がゼオライトにより常に吸着される状態にあったからと考えられ、特に吸着されたアレロパシー物質が酸化チタンにより逐次分解されていたと思われる試行No.2では、試行No.3に対して収穫果実数が30%も多かった。
【0033】
なお、本発明は上述した形態に限られるものではなく、例えば図2に示すようにゼオライト9を平板として層状に配置しても、人工ゼオライトを用いてもよい。また、養液Lの調整は必ずしも調整槽3で行う必要はなく、アレロパシー物質を吸収するようにゼオライトを配置することができるのであれば調整槽3自体の設置も必須ではない。
【0034】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成したので、アレロパシー物質の影響を簡易に除去して植物の生育性を高めることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態に係る養液栽培装置を示す説明図である。
【図2】養液栽培装置の他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 養液栽培装置
2 栽培槽
3 調整槽(貯液層)
4 補助光源(光源)
9 ゼオライト
L 養液
S イチゴの苗(植物)
Claims (6)
- 養液を貯え植物が栽培される栽培槽と、前記植物から前記栽培槽中の養液に溶出したアレロパシー物質を吸収するゼオライトとを有することを特徴とする養液栽培装置。
- 前記ゼオライトに酸化チタンがコーティングされていることを特徴とする請求項1に記載の養液栽培装置。
- 前記ゼオライトが酸化チタンと混在していることを特徴とする請求項1に記載の養液栽培装置。
- 前記酸化チタンに紫外線を照射する光源を有することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の養液栽培装置。
- 前記栽培槽からの養液が流入するとともに前記栽培槽に向けて養液を流出させる貯液槽を有し、該貯液槽の養液中に前記ゼオライトを有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の養液栽培装置。
- 前記ゼオライトが粒状又は板状であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の養液栽培装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003124845A JP2004329005A (ja) | 2003-04-30 | 2003-04-30 | 養液栽培装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003124845A JP2004329005A (ja) | 2003-04-30 | 2003-04-30 | 養液栽培装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004329005A true JP2004329005A (ja) | 2004-11-25 |
Family
ID=33502272
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003124845A Pending JP2004329005A (ja) | 2003-04-30 | 2003-04-30 | 養液栽培装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004329005A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006262762A (ja) * | 2005-03-23 | 2006-10-05 | Yoshiteru Murayama | 水耕栽培箱 |
JP2012228265A (ja) * | 2012-07-23 | 2012-11-22 | Omega:Kk | 植物の養液栽培方法 |
CN101762687B (zh) * | 2010-01-12 | 2013-03-20 | 山东省农业科学院土壤肥料研究所 | 植物器官水溶性提取物化感作用的分析测试方法 |
JP2020010659A (ja) * | 2018-07-20 | 2020-01-23 | 株式会社ワコーシステムコントロール | 培養液の殺菌方法及び装置 |
-
2003
- 2003-04-30 JP JP2003124845A patent/JP2004329005A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006262762A (ja) * | 2005-03-23 | 2006-10-05 | Yoshiteru Murayama | 水耕栽培箱 |
CN101762687B (zh) * | 2010-01-12 | 2013-03-20 | 山东省农业科学院土壤肥料研究所 | 植物器官水溶性提取物化感作用的分析测试方法 |
JP2012228265A (ja) * | 2012-07-23 | 2012-11-22 | Omega:Kk | 植物の養液栽培方法 |
JP2020010659A (ja) * | 2018-07-20 | 2020-01-23 | 株式会社ワコーシステムコントロール | 培養液の殺菌方法及び装置 |
JP7204175B2 (ja) | 2018-07-20 | 2023-01-16 | 株式会社ワコーシステムコントロール | 培養液の殺菌方法及び装置 |
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