JP2015152076A - 無段変速機 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、大きなレシオカバレッジを確保しつつ、低フリクション化を図ることができる無段変速機を提供することを目的とする。
駆動源に連結可能な入力部材と、
駆動輪に連結可能な出力部材と、
静止部と、
3つの回転要素を有する第1遊星歯車と、
3つの回転要素を有する第2遊星歯車と、
変速比を無段階に変更するバリエータと、を備えた自動変速機において、
前記第1遊星歯車の3つの回転要素を、共通速度線図上における並び順に第1回転要素、第2回転要素、第3回転要素とし、
前記第2遊星歯車の3つの回転要素を、共通速度線図上における並び順に第4回転要素、第5回転要素、第6回転要素とし、
前記第1回転要素を、前記入力部材に常時連結すると共に、前記バリエータを介して前記第4回転要素に連結し、
前記第2回転要素を、第1の締結要素を介して前記静止部に選択的に固定可能とし、
前記第3回転要素を、連結部材を介して前記第6回転要素と逆回転するように連結し、
前記第5回転要素を、前記出力部材に常時連結し、
前記第2遊星歯車を、第2の締結要素の締結により選択的に一体回転可能とし、
前記第1の締結要素を締結し、前記第2の締結要素を解放することで、前記入力部材から前記出力部材へのトルク伝達フローとして、前記バリエータを介した第1トルクフローと前記連結部材を介した第2トルクフローとを有するパワースプリットモードとし、
前記第1の締結要素を解放し、前記第2の締結要素を締結することで、前記トルク伝達フローとして、前記バリエータを介した第1トルクフローのみを有するCVTモードとすることを特徴とする。
このように、パワースプリットモードとCVTモードを備えることで、レシオカバレッジの拡大を図ることができ、大きなレシオカバレッジを確保することができる。また、パワースプリッドモードでは、トルク伝達フローが第1トルクフローと第2トルクフローに分かれるので、バリエータへの入力トルクの低減を図ることができ、低フリクション化を図ることができる。
ここで、バリエータへの入力トルクが大きい場合では、バリエータでのスリップ防止のためにベルトのクランプ力を高める必要がある。このとき、バリエータにおけるベルトクランプ力が作動油圧によって制御される場合では、ベルトクランプ力を高めるために作動油圧を作り出すオイルポンプの仕事が増加(ポンプ吐出圧を上昇)することになる。また、ベルトクランプ力が高くなることで、ベルトにおけるフリクションが高くなってしまう。そのため、変速機全体のフリクションが上昇することになる。
しかし、バリエータへの入力トルクを低減することで、バリエータのベルトクランプ力の向上を図る必要がなくなり、オイルポンプの仕事の増加を抑制すると共に、ベルトにおけるフリクション増大を防止できるので、フリクションの低減を図ることができる。
まず、構成を説明する。
図1は、実施例1の無段変速機を示すスケルトン図である。以下、図1に基づいて、実施例1の無段変速機の遊星歯車構成と締結要素構成を説明する。
また、この実施例1では、変速機入力軸INと変速機出力軸OUTが平行配置されている。そのため、この無段変速機ATは、FFエンジン車(フロントエンジン−フロントドライブエンジン車)に適用される。
ここで、共通速度線図(共線図)とは、遊星歯車の三つの回転要素(サンギヤS、キャリヤC、リングギヤR)の回転関係を求めるために描かれる図であり、シングルピニオン型遊星歯車の場合、並びが(S-C-R)又は(R-C-S)となる。
ここで、前記プライマリプーリPrPは、変速機入力軸INに連結する固定シーブと、固定シーブに対して軸方向に摺動可能な可動シーブと、を有している。前記セカンダリプーリSePは、変速機出力軸OUTに連結する固定シーブと、固定シーブに対して摺動可能な可動シーブと、を有している。前記ベルトBEは、プライマリプーリPrPとセカンダリプーリSePとの間に巻き掛けられた金属ベルトであり、それぞれの固定シーブと可動シーブとの間に挟持される。ここでは、固定シーブと可動シーブとのそれぞれに接する傾斜面を両側にもった多数のエレメントを重ね、薄板を層状に重ねると共に円環状に形成したリング2組を、エレメントの両側に挟み込ませることで構成された、いわゆるVDT型ベルトを使用している。
また、この変速コントローラCONは、プライマリプーリPrP又はセカンダリプーリSePにおけるベルト挟圧力を調整することで、プライマリプーリPrP又はセカンダリプーリSePに対してベルトBEをスリップさせることができる。すなわち、変速コントローラCONは、スリップ制御手段に相当する。
さらに、この変速コントローラCONでは、プライマリプーリPrP及びセカンダリプーリSePにおけるベルト挟圧トルクを監視している。そして、このバリエータCVTでのトルク伝達に必要なベルト挟圧トルクが確保できなくなったときに、バリエータCVTでのトルク伝達が不可能になったと判断する。すなわち、この変速コントローラCONは、バリエータ判断手段に相当する。
なお、油圧アクチュエータに供給される作動油は、エンジンENGの出力軸に連結された図示しないオイルポンプによって供給される。
なお、前記第1ブレーキL/B及び前記第2クラッチR/Cは、それぞれ変速コントローラCONからの油圧指令値に基づく作動油によって締結/解放が制御される摩擦クラッチである。ここで、第1ブレーキL/B等の摩擦クラッチを制御する作動油は、上述のオイルポンプによって供給される。
ここで、前記連結部材Mは、第1リングギヤR1の外周に形成された外歯ギヤM1と、第2リングギヤR2の外周に形成されるとともに外歯ギヤM1に噛み合う外歯ギヤM2と、を有している。なお、図1においては、外歯ギヤM1,M2の噛み合う箇所の一部のみ模式的に示している。
なお、前記第1クラッチH/Cは、変速コントローラCONからの油圧指令値に基づく作動油によって締結/解放が制御される摩擦クラッチである。
このPSモードでは、図2に示すように、第1ブレーキL/Bを締結し、第1クラッチH/C及び第2クラッチR/Cを解放すると共に、バリエータCVTでのトルク伝達を可能とする。
なお、「バリエータCVTでのトルク伝達を可能とする」とは、プライマリプーリPrP及びセカンダリプーリSePによってベルトBEをスリップしないように挟持することである。以下、同様である。
このCVTモードでは、図2に示すように、第1ブレーキL/B及び第2クラッチR/Cを解放し、第1クラッチH/Cを締結すると共に、バリエータCVTでのトルク伝達を可能とする。
このスリップモードでは、図2に示すように、第1ブレーキL/B及び第1クラッチH/Cを締結し、第2クラッチR/Cを解放すると共に、バリエータCVTをスリップ状態にする。
なお、「バリエータCVTをスリップ状態にする」とは、プライマリプーリPrP又はセカンダリプーリSePの少なくとも一方におけるベルト挟圧力を低減し、プライマリプーリPrP又はセカンダリプーリSePに対してベルトBEをスリップさせて、このバリエータCVTでのトルク伝達を不可能にすることである。
この前進リンプフォームモードでは、図2に示すように、第1ブレーキL/B及び第1クラッチH/Cを締結し、第2クラッチR/Cを解放する。なお、バリエータCVTは例えばベルトBEの破断や油圧アクチュエータの不具合等によってトルク伝達に必要なベルト挟圧トルクが確保できず、トルク伝達が不可能であるため、制御は行わない。
このRモードでは、図2に示すように、第1ブレーキL/B及び第1クラッチH/Cを解放し、第2クラッチR/Cを締結すると共に、バリエータCVTでのトルク伝達を可能とする。
この後退リンプフォームモードでは、図2に示すように、第1ブレーキL/Bを解放し、第1クラッチH/C及び第2クラッチR/Cを締結する。なお、バリエータCVTは例えばベルトBEの破断や油圧アクチュエータの不具合等によってトルク伝達に必要なベルト挟圧トルクが確保できず、トルク伝達が不可能であるため、制御は行わない。
(PSモード)
PSモードでは、図3Aのハッチングに示すように、第1ブレーキL/Bが締結され、且つ、バリエータCVTでのトルク伝達を可能とされる。この第1ブレーキL/Bの締結により、第1キャリヤC1が変速機ケースTCに固定される。
また、第1キャリヤC1の固定により、第1リングギヤR1の回転が、第1サンギヤS1の入力回転方向と逆回転方向で、且つ減速される。そして、この第1サンギヤS1への入力回転数を逆転減速した第1リングギヤR1の回転数は、連結部材Mを介して回転方向を逆にして第2リングギヤR2に伝達される。
そして、第2リングギヤR2の回転数と第2サンギヤS2の回転数が決まることで、第2キャリヤC2の回転数が規定され、変速機出力軸OUTに伝達されてPSモードが達成される。
ここで、第2キャリヤC2の回転数(=変速機出力回転数)も、第2サンギヤS2の回転数の変動によって変化する。すなわち、図3Bに示すL1点が、PSモードでの最大変速比(最ロー変速比)となる。また、図3Bに示すH1点が、PSモードでの最小変速比(最ハイ変速比)となる。
CVTモードでは、図4Aのハッチングに示すように、第1クラッチH/Cが締結され、且つ、バリエータCVTでのトルク伝達を可能とされる。この第1クラッチH/Cの締結により、第2遊星歯車PG2において二つの回転要素S2,C2が直結されて、第2遊星歯車PG2の三つの回転要素S2,C2,R2が一体に回転する状態にされる。
また、第1クラッチH/Cの締結により第2遊星歯車PG2が一体回転しているため、第2サンギヤS2、第2キャリヤC2、第2リングギヤR2の回転数は一致する。すなわち、第2キャリヤC2の回転数は第2サンギヤS2の回転数と同じになり、変速機出力軸OUTに伝達されてCVTモードが達成される。ここで、第2キャリヤC2の回転数(=変速機出力回転数)も、第2サンギヤS2の回転数の変動によって変化する。すなわち、図4Bに示すL2点が、CVTモードでの最大変速比(最ロー変速比)となる。また、図4Bに示すH2点が、CVTモードでの最小変速比(最ハイ変速比)となる。
なお、第2リングギヤR2の回転数は、連結部材Mを介して回転方向を逆にして第1リングギヤR1に伝達される。これにより、第1リングギヤR1の回転数が拘束される。そして、第1サンギヤS1の回転数(=入力回転数)と第1リングギヤR1の回転数が決まることで、第1キャリヤC1の回転数が規定される。ただし、連結部材Mは第1サンギヤS1の回転数を拘束するだけであるため、この連結部材Mを介してトルク伝達は行われない。
スリップモードでは、図5Aのハッチングに示すように、第1ブレーキL/Bと第1クラッチH/Cが締結され、且つ、変速コントローラCONによりバリエータCVTをスリップ状態にされる。この第1ブレーキL/Bの締結により、第1キャリヤC1が変速機ケースTCに固定される。また、第1クラッチH/Cの締結により、第2遊星歯車PG2において二つの回転要素S2,C2が直結されて、第2遊星歯車PG2の三つの回転要素S2,C2,R2が一体に回転する状態にされる。また、バリエータCVTのスリップ状態により、このバリエータCVTを介してのトルク伝達が不可能にされる。
また、第1クラッチH/Cの締結により第2遊星歯車PG2が一体回転しているため、第2サンギヤS2、第2キャリヤC2、第2リングギヤR2の回転数は一致する。すなわち、第2キャリヤC2の回転数は第2リングギヤR2の回転数と同じになり、変速機出力軸OUTに伝達されてスリップモードが達成される。
なお、バリエータCVTがスリップ状態にされているので、第1サンギヤS1への入力回転数が、バリエータCVTを介して第2サンギヤS2に伝達されることはない。そのため、第2サンギヤS2の回転数が拘束されることはなく、第2リングギヤR2と同じ回転数となる。
変速コントローラCONにより、バリエータCVTでのトルク伝達が不可能と判断されたときでは、前進リンプフォームモードが選択され、図6Aのハッチングに示すように、第1ブレーキL/Bと第1クラッチH/Cが締結される。この第1ブレーキL/Bの締結により、第1キャリヤC1が変速機ケースTCに固定される。また、第1クラッチH/Cの締結により、第2遊星歯車PG2において二つの回転要素S2,C2が直結されて、第2遊星歯車PG2の三つの回転要素S2,C2,R2が一体に回転する状態にされる。
また、第1クラッチH/Cの締結により第2遊星歯車PG2が一体回転しているため、第2サンギヤS2、第2キャリヤC2、第2リングギヤR2の回転数は一致する。すなわち、第2キャリヤC2の回転数は第2リングギヤR2の回転数と同じになり、変速機出力軸OUTに伝達されて前進リンプフォームモードが達成される。
なお、バリエータCVTでのトルク伝達が不可能な状態になっているので、第1サンギヤS1への入力回転数が、バリエータCVTを介して第2サンギヤS2に伝達されることはない。そのため、第2サンギヤS2の回転数が拘束されることはなく、第2リングギヤR2と同じ回転数となる。
Rモードでは、図7Aのハッチングに示すように、第2クラッチR/Cが締結され、且つ、バリエータCVTでのトルク伝達を可能とされる。この第2クラッチR/Cの締結により、第1遊星歯車PG1において二つの回転要素S1,C1が直結されて、第1遊星歯車PG1の三つの回転要素S1,C1,R1が一体に回転する状態にされる。
図7Bに示すように、第1サンギヤS1への入力回転数は、バリエータCVTにより変速されて第2サンギヤS2に伝達される。このとき、第2サンギヤS2の回転数はバリエータCVTの変速比で変動するため、この第2サンギヤS2の回転数の変動幅がバリエータCVTのレシオカバレッジとなる。
また、第2クラッチR/Cの締結により第1遊星歯車PG1が一体回転しているため、第1サンギヤS1、第1キャリヤC1、第1リングギヤR1の回転数は一致する。すなわち、第1リングギヤR1の回転数は第1サンギヤS1の回転数(=入力回転数)と同じになる。そして、この入力回転数である第1リングギヤR1の回転数は、連結部材Mを介して回転方向を逆にして第2リングギヤR2に伝達される。
そして、第2リングギヤR2の回転数と第2サンギヤS2の回転数が決まることで、第2キャリヤC2の回転数が規定され、変速機出力軸OUTに伝達されてRモードが達成される。ここで、第2キャリヤC2の回転数(=変速機出力回転数)も、第2サンギヤS2の回転数の変動によって変化する。
変速コントローラCONにより、バリエータCVTでのトルク伝達が不可能と判断されたときに後退する場合では、後進リンプフォームモードが選択され、図8Aのハッチングに示すように、第1クラッチH/Cと第2クラッチR/Cが締結される。この第1クラッチH/Cの締結により、第2遊星歯車PG2において二つの回転要素S2,C2が直結されて、第2遊星歯車PG2の三つの回転要素S2,C2,R2が一体に回転する状態にされる。また、第2クラッチR/Cの締結により、第1遊星歯車PG1において二つの回転要素S1,C1が直結されて、第1遊星歯車PG1の三つの回転要素S1,C1,R1が一体に回転する状態にされる。
なお、バリエータCVTでのトルク伝達が不可能な状態になっているので、第1サンギヤS1への入力回転数が、バリエータCVTを介して第2サンギヤS2に伝達されることはない。そのため、第2サンギヤS2の回転数が拘束されることはなく、第2リングギヤR2と同じ回転数となる。
実施例1の無段変速機ATでは、トルク伝達モードとして、PSモードとCVTモードを有している。ここで、図3B及び図4Bに示すように、PSモードでの最大変速比L1の方が、CVTモードでの最大変速比L2よりも大きくなる。一方、CVTモードでの最小変速比H2の方がPSモードでの最小変速比H1よりも小さくなる。
そのため、このPSモードとCVTモードを組み合わせることで、無段変速機ATにおけるレシオカバレッジを拡大することができ、例えばバリエータCVTのレシオカバレッジよりも大きなレシオカバレッジを確保することができる。
ここで、一般的に、トルクコンバータ付き変速機は、ストール時に変速機入力トルクが最大になる。これに対し、実施例1では、変速比ロー側をPSモードにすることによって、バリエータCVTへの入力トルクを低減することができ、プーリサイズを小さくすることができる。すなわち、ストール時の変速機入力トルクが大きくても、プーリサイズの大型化を抑制することができる。
なお、このスリップモードでは、バリエータCVTを介した第1トルクフローを強制的に遮断する際に、バリエータCVTをスリップ状態にしている。そのため、部品点数の追加を行うことなく第1トルクフローを遮断することができる。
これにより、2つの遊星歯車(第1,第2遊星歯車PG1,PG2)と、バリエータCVTと、3つの締結要素(第1,第2クラッチH/C,R/Cと第1ブレーキL/B)によって、ロー、ハイ、リバースの各走行モードを達成することができる。この結果、無段変速機ATが大型化することを抑制しつつ、大きなレシオカバレッジを確保すると共に、低フリクション化を図ることができる。
実施例1の無段変速機ATにあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
駆動輪Rに連結可能な出力部材(変速機出力軸)OUTと、
静止部(変速機ケース)TCと、
3つの回転要素を有する第1遊星歯車PG1と、
3つの回転要素を有する第2遊星歯車PG2と、
変速比を無段階に変更するバリエータCVTと、を備えた自動変速機ATにおいて、
前記第1遊星歯車PG1の3つの回転要素を、共通速度線図上における並び順に第1回転要素(第1サンギヤ)S1、第2回転要素(第1キャリヤ)C1、第3回転要素(第1リングギヤ)R1とし、
前記第2遊星歯車PG2の3つの回転要素を、共通速度線図上における並び順に第4回転要素(第2サンギヤ)S2、第5回転要素(第2キャリヤ)C2、第6回転要素(第2リングギヤ)R2とし、
前記第1回転要素(第1サンギヤ)S1を、前記入力部材(変速機入力軸)INに常時連結すると共に、前記バリエータCVTを介して前記第4回転要素(第2サンギヤ)S2に連結し、
前記第2回転要素(第1キャリヤ)C1を、第1の締結要素(第1ブレーキ)L/Bを介して前記静止部(変速機ケース)TCに選択的に固定可能とし、
前記第3回転要素(第1リングギヤ)R1を、連結部材Mを介して前記第6回転要素(第2リングギヤ)R2と逆回転するように連結し、
前記第5回転要素(第2キャリヤ)C2を、前記出力部材(変速機出力軸)OUTに常時連結し、
前記第2遊星歯車PG2を、第2の締結要素(第1クラッチ)H/Cの締結により選択的に一体回転可能とし、
前記第1の締結要素(第1ブレーキ)L/Bを締結し、前記第2の締結要素(第1クラッチ)H/Cを解放することで、前記入力部材(変速機入力軸)INから前記出力部材(変速機出力軸)OUTへのトルク伝達フローとして、前記バリエータCVTを介した第1トルクフローと前記連結部材Mを介した第2トルクフローとを有するパワースプリットモード(PSモード)とし、
前記第1の締結要素(第1ブレーキ)L/Bを解放し、前記第2の締結要素(第1クラッチ)H/Cを締結することで、前記トルク伝達フローとして、前記バリエータCVTを介した第1トルクフローのみを有するCVTモードとする構成とした。
これにより、大きなレシオカバレッジを確保しつつ、低フリクション化を図ることができる。
前記パワースプリットモード(PSモード)時の最大変速比L1を、前記CVTモード時の最大変速比L2よりも大きい値に設定する構成とした。
これにより、ストール時の変速機入力トルクが大きくても、プーリサイズの大型化を抑制することができる。
前記プライマリプーリPrP又は前記セカンダリプーリSePの少なくとも一方と前記ベルトBEとの間をスリップさせるスリップ制御手段(変速コントローラ)CONを有し、
前記第1の締結要素(第1ブレーキ)L/Bを締結し、前記第2の締結要素(第1クラッチ)H/Cを締結し、前記バリエータCVTをスリップ状態にすることで、前記トルク伝達フローとして前記連結部材Mを介した第2トルクフローのみを有するスリップモードとする構成とした。
これにより、トルク伝達レスポンスを向上し、例えば発進性能の向上を図ることができる。
前記バリエータCVTがトルク伝達不可能状態になったとき、前記第1の締結要素(第1ブレーキ)L/Bを締結し、前記第2の締結要素(第1クラッチ)H/Cを締結することで、前記トルク伝達フローとして前記連結部材Mを介した第2トルクフローのみを有する前進リンプフォームモードとする構成とした。
これにより、バリエータCVTに不具合が生じた場合であっても、前進走行を可能とすることができる。
前記第1の締結要素(第1ブレーキ)L/Bを解放し、前記第2の締結要素(第1クラッチ)H/Cを解放し、前記第4の締結要素(第2クラッチ)R/Cを締結することで、前記トルク伝達フローとして、前記バリエータCVTを介した第1トルクフローと前記連結部材Mを介した第2トルクフローとを有すると共に前記入力部材(変速機入力軸)INの回転を逆転して前記出力部材(変速機出力軸)OUTに伝達する後退モード(Rモード)とする構成とした。
これにより、無段変速機ATが大型化することを抑制しつつ、大きなレシオカバレッジを確保すると共に、低フリクション化を図ることができる。
前記バリエータCVTがトルク伝達不可能状態になったとき、前記第1の締結要素(第1ブレーキ)L/Bを解放し、前記第2の締結要素(第1クラッチ)H/Cを締結し、前記第4の締結要素(第2クラッチ)R/Cを締結することで、前記トルク伝達フローとして前記連結部材Mを介した第2トルクフローのみを有すると共に前記入力部材(変速機入力軸)INの回転を逆転して前記出力部材(変速機出力軸)OUTに伝達する後退リンプフォームモードとする構成とした。
これにより、バリエータCVTに不具合が生じた場合であっても、後退走行を可能とすることができる。
実施例2は、第3クラッチを介して第1サンギヤをバリエータに連結した例である。
なお、前記第3クラッチD/Cは、変速コントローラCONからの油圧指令値に基づく作動油によって締結/解放が制御される摩擦クラッチである。
このダイレクトモードでは、図10に示すように、第1ブレーキL/B及び第1クラッチH/Cを締結し、第2クラッチR/C及び第3クラッチD/Cを解放する。そして、第3クラッチD/Cを解放することで、第1サンギヤS1とバリエータCVTとの間のトルク伝達経路が遮断され、このバリエータCVTでのトルク伝達が不可能になる。
ダイレクトモードでは、図11Aのハッチングに示すように、第1ブレーキL/Bと第1クラッチH/Cが締結され、第2クラッチR/C及び第3クラッチD/Cが解放される。この第1ブレーキL/Bの締結により、第1キャリヤC1が変速機ケースTCに固定される。また、第1クラッチH/Cの締結により、第2遊星歯車PG2において二つの回転要素S2,C2が直結されて、第2遊星歯車PG2の三つの回転要素S2,C2,R2が一体に回転する状態にされる。さらに、第3クラッチD/Cの解放により、第1サンギヤS1とバリエータCVTの間のトルク伝達経路が遮断され、このバリエータCVTを介してのトルク伝達が不可能にされる。
また、第1クラッチH/Cの締結により第2遊星歯車PG2が一体回転しているため、第2サンギヤS2、第2キャリヤC2、第2リングギヤR2の回転数は一致する。すなわち、第2キャリヤC2の回転数は第2リングギヤR2の回転数と同じになり、変速機出力軸OUTに伝達されてダイレクトモードが達成される。
さらに、第3クラッチD/Cの解放により、バリエータCVTへのトルク伝達経路が遮断されているので、第1サンギヤS1への入力回転数が、バリエータCVTを介して第2サンギヤS2に伝達されることはない。そのため、第2サンギヤS2の回転数が拘束されることはなく、第2リングギヤR2と同じ回転数となる。
なお、このダイレクトモードでは、バリエータCVTを介した第1トルクフローを強制的に遮断する際に、第1サンギヤS1とバリエータCVTの間に介装した第3クラッチD/Cを解放している。そのため、バリエータCVTが過熱状態になることを防止でき、バリエータCVTの負担を軽減しつつ、第1トルクフローを遮断することができる。
実施例2の無段変速機AT2にあっては、下記に挙げる効果を得ることができる。
前記第1の締結要素(第1ブレーキ)L/Bを締結し、前記第2の締結要素(第1クラッチ)H/Cを締結し、前記第3の締結要素(第3クラッチ)D/Cを解放することで、前記トルク伝達フローとして前記連結部材Mを介した第2トルクフローのみを有するダイレクトモードとする構成とした。
これにより、トルク伝達レスポンスを向上し、例えば発進性能の向上を図ることができる。
PG1 第1遊星歯車
S1 第1サンギヤ(第1回転要素)
C1 第1キャリヤ(第2回転要素)
R1 第1リングギヤ(第3回転要素)
PG2 第2遊星歯車
S2 第2サンギヤ(第4回転要素)
C2 第2キャリヤ(第5回転要素)
R2 第2リングギヤ(第6回転要素)
IN 変速機入力軸(入力部材)
OUT 変速機出力軸(出力部材)
M 連結部材
L/B 第1ブレーキ(第1の締結要素)
H/C 第1クラッチ(第2の締結要素)
R/C 第2クラッチ(第4の締結要素)
D/C 第3クラッチ(第3の締結要素)
CVT バリエータ
TC 変速機ケース(静止部)
ENG エンジン(駆動源)
R 駆動輪
T/C トルクコンバータ
CON 変速コントローラ(スリップ制御手段/バリエータ判断手段)
Claims (7)
- 駆動源に連結可能な入力部材と、
駆動輪に連結可能な出力部材と、
静止部と、
3つの回転要素を有する第1遊星歯車と、
3つの回転要素を有する第2遊星歯車と、
変速比を無段階に変更するバリエータと、を備えた自動変速機において、
前記第1遊星歯車の3つの回転要素を、共通速度線図上における並び順に第1回転要素、第2回転要素、第3回転要素とし、
前記第2遊星歯車の3つの回転要素を、共通速度線図上における並び順に第4回転要素、第5回転要素、第6回転要素とし、
前記第1回転要素を、前記入力部材に常時連結すると共に、前記バリエータを介して前記第4回転要素に連結し、
前記第2回転要素を、第1の締結要素を介して前記静止部に選択的に固定可能とし、
前記第3回転要素を、連結部材を介して前記第6回転要素と逆回転するように連結し、
前記第5回転要素を、前記出力部材に常時連結し、
前記第2遊星歯車を、第2の締結要素の締結により選択的に一体回転可能とし、
前記第1の締結要素を締結し、前記第2の締結要素を解放することで、前記入力部材から前記出力部材へのトルク伝達フローとして、前記バリエータを介した第1トルクフローと前記連結部材を介した第2トルクフローとを有するパワースプリットモードとし、
前記第1の締結要素を解放し、前記第2の締結要素を締結することで、前記トルク伝達フローとして、前記バリエータを介した第1トルクフローのみを有するCVTモードとする
ことを特徴とする無段変速機。 - 請求項1に記載された無段変速機において、
前記入力部材を、トルクコンバータを介して前記駆動源に連結し、
前記パワースプリットモード時の最大変速比を、前記CVTモード時の最大変速比よりも大きい値に設定する
ことを特徴とする無段変速機。 - 請求項1又は請求項2に記載された無段変速機において、
前記第1回転要素を、第3の締結要素を介して前記バリエータに選択的に連結し、
前記第1の締結要素を締結し、前記第2の締結要素を締結し、前記第3の締結要素を解放することで、前記トルク伝達フローとして前記連結部材を介した第2トルクフローのみを有するダイレクトモードとする
ことを特徴とする無段変速機。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の無段変速機において、
前記バリエータは、前記第1回転要素に連結されるプライマリプーリと、前記第4回転要素に連結されるセカンダリプーリと、前記プライマリプーリと前記セカンダリプーリの間に掛け回されたベルトと、を有し、
前記プライマリプーリ又は前記セカンダリプーリの少なくとも一方と前記ベルトとの間をスリップさせるスリップ制御手段を有し、
前記第1の締結要素を締結し、前記第2の締結要素を締結し、前記バリエータをスリップ状態にすることで、前記トルク伝達フローとして前記連結部材を介した第2トルクフローのみを有するスリップモードとする
ことを特徴とする無段変速機。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の無段変速機において、
前記バリエータでのトルク伝達が不可能になったことを判断するバリエータ判断手段を備え、
前記バリエータがトルク伝達不可能状態になったとき、前記第1の締結要素を締結し、前記第2の締結要素を締結することで、前記トルク伝達フローとして前記連結部材を介した第2トルクフローのみを有する前進リンプフォームモードとする
ことを特徴とする無段変速機。 - 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載された無段変速機において、
前記第1遊星歯車を、第4の締結要素の締結により選択的に一体回転可能とし、
前記第1の締結要素を解放し、前記第2の締結要素を解放し、前記第4の締結要素を締結することで、前記トルク伝達フローとして、前記バリエータを介した第1トルクフローと前記連結部材を介した第2トルクフローとを有すると共に前記入力部材の回転を逆転して前記出力部材に伝達する後退モードとする
ことを特徴とする無段変速機。 - 請求項6に記載された無段変速機において、
前記バリエータでのトルク伝達が不可能になったことを判断するバリエータ判断手段を備え、
前記バリエータがトルク伝達不可能状態になったとき、前記第1の締結要素を解放し、前記第2の締結要素を締結し、前記第4の締結要素を締結することで、前記トルク伝達フローとして前記連結部材を介した第2トルクフローのみを有すると共に前記入力部材の回転を逆転して前記出力部材に伝達する後退リンプフォームモードとする
ことを特徴とする無段変速機。
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