JP2009036231A - 変速装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】無段変速機構を備えているとともに、遊星歯車機構を利用して正逆回転切換および減速を同時に達成する変速装置をコンパクトに構成できるようにする。
【解決手段】前後進切換装置20は、シングルピニオン型の単一の遊星歯車機構50とクラッチC1、C2、ブレーキB1、B2を用いて、正逆回転切換および減速を同時に達成できるため、軸方向寸法が短縮されて配設スペースが低減される。これにより、出力軸30の軸線上に差動歯車機構22が配設される2軸構成の車両用変速装置においても、その出力軸30の軸線上に前後進切換装置20をコンパクトに配設することができる。また、正逆回転切換と同時に減速するため、それだけ減速比が拡大され、入力軸28の軸線上に設けられた遊星歯車式の減速機構16と合わせて大きな減速比を実現することができる。
【選択図】図1
【解決手段】前後進切換装置20は、シングルピニオン型の単一の遊星歯車機構50とクラッチC1、C2、ブレーキB1、B2を用いて、正逆回転切換および減速を同時に達成できるため、軸方向寸法が短縮されて配設スペースが低減される。これにより、出力軸30の軸線上に差動歯車機構22が配設される2軸構成の車両用変速装置においても、その出力軸30の軸線上に前後進切換装置20をコンパクトに配設することができる。また、正逆回転切換と同時に減速するため、それだけ減速比が拡大され、入力軸28の軸線上に設けられた遊星歯車式の減速機構16と合わせて大きな減速比を実現することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は変速装置に係り、特に、無段変速機構を備えているとともに遊星歯車機構を利用して正逆回転切換および減速を同時に達成する変速装置をコンパクトに構成する技術に関するものである。
入力軸および出力軸にそれぞれ入力側可変プーリおよび出力側可変プーリが設けられた無段変速機構を備えている変速装置が、車両用等の変速装置として広く用いられている。そして、このような変速装置において、入力軸上および出力軸上の少なくとも一方に遊星歯車機構を配設し、その遊星歯車機構を利用して正逆回転切換を行なったり減速したりするものが提案されている。特許文献1、2に記載の装置はその一例で、入力軸上に正逆回転切換用の遊星歯車機構が設けられているとともに、出力軸上に減速用の遊星歯車機構が設けられており、且つその出力軸に差動歯車機構が設けられて左右の駆動輪に動力を分配するようになっている。また、特許文献3(図3、図4参照)には、出力軸上に配設された遊星歯車機構により、正逆回転切換を行なうとともに、その正回転および逆回転で何れも減速するようにした変速装置が記載されている。
特開昭60−88267号公報
特開2005−320996号公報
特開2006−46468号公報
特許文献1、2に記載の変速装置は、2軸構成でコンパクトに構成できるものの、正逆回転切換用の遊星歯車機構は、正回転時には単に入力側部材と出力側部材とを直結するだけであるため、出力軸側の遊星歯車機構で減速しても、必ずしも十分な減速比が得られない場合がある。一方、特許文献3に記載の変速装置は、出力軸に配設された遊星歯車機構だけで正逆回転切換および減速を達成することができるが、2組の遊星歯車機構を組み合わせたものであるため、軸方向寸法が大きくなり、特に出力軸に差動歯車機構を設けて動力を分配する2軸構成の変速装置の場合、搭載スペースの制約で適用できない場合がある。
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、無段変速機構を備えているとともに遊星歯車機構を利用して正逆回転切換および減速を同時に達成する変速装置をコンパクトに構成できるようにすることにある。
かかる目的を達成するために、第1発明は、入力軸および出力軸にそれぞれ入力側可変プーリおよび出力側可変プーリが設けられた無段変速機構を備えている変速装置において、(a) 前記入力軸上および出力軸上の少なくとも一方に配設された遊星歯車機構と、(b) その遊星歯車機構のキャリアおよびリングギヤをそれぞれ出力側部材に選択的に連結する第1締結手段および第2締結手段と、(c) その遊星歯車機構のキャリアおよびリングギヤをそれぞれ選択的に回転停止させる第1ブレーキ手段および第2ブレーキ手段と、を備えており、且つ、(d) その遊星歯車機構のサンギヤは入力側部材に連結されて回転駆動されることを特徴とする。
第2発明は、第1発明の変速装置において、前記遊星歯車機構は前記出力軸上に配設されていることを特徴とする。
第3発明は、第1発明または第2発明の変速装置において、前記出力軸上には差動歯車機構が設けられており、前記無段変速機構から伝達された出力を左右の駆動輪に分配することを特徴とする。
このような変速装置においては、第1ブレーキ手段によってキャリアを回転停止するとともに、第2締結手段によってリングギヤを出力側部材に連結することにより、正逆回転の一方に切り換えることができる一方、第2ブレーキ手段によってリングギヤを回転停止するとともに、第1締結手段によってキャリアを出力側部材に連結することにより、正逆回転の他方に切り換えることができる。また、遊星歯車機構として、例えばシングルピニオン型の遊星歯車機構が用いられた場合には、そのギヤ比の大きさに拘らず正逆回転共に所定の減速比で減速される一方、ダブルピニオン型の遊星歯車機構の場合には、ギヤ比を0.5未満に設定することにより、正逆回転共に所定の減速比で減速される。
このように、本発明の変速装置は、シングルピニオン型或いはダブルピニオン型の単一の遊星歯車機構を用いて、正逆回転切換および減速を同時に達成できるため、前記特許文献3の図3、図4に記載の変速装置に比較して軸方向寸法が短縮され、配設スペースが低減される。これにより、例えば第3発明のように出力軸に差動歯車機構が配設される2軸構成の車両用変速装置においても、その出力軸上に遊星歯車機構をコンパクトに配設することができる。また、正逆回転切換と同時に減速することができるため、それだけ減速比が拡大され、例えば第3発明のように出力軸に差動歯車機構が配設される2軸構成の車両用変速装置においても、入力軸および出力軸の他方に設けられる減速機構と合わせて大きな減速比を実現することができる。
第2発明では、上記遊星歯車機構が出力軸上に配設されているため、正逆回転に拘らず無段変速機構の回転方向が一定に維持され、正逆回転切換時の負荷が低減されて耐久性が向上する。
本発明の変速装置は、車両の原動機と駆動輪との間に配設され、原動機から入力軸に伝達された回転を変速して出力軸から駆動輪へ伝達する車両用変速装置に好適に適用され、正逆回転切換は車両の前後進を切り換えるために用いられるが、車両用以外の変速装置にも適用され得る。車両用変速装置の場合、無段変速機構の入力軸および出力軸が車両の幅方向となる姿勢で配設されるFF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両に好適に採用される。原動機の種類は特に限定されるものではなく、燃料の燃焼によって動力を発生するガソリンエンジンやディーゼルエンジン、電気ネルギーで回転駆動される電動モータが広く用いられているが、複数種類の原動機を備えているハイブリッド車両等にも適用され得る。
無段変速機構の入力軸および出力軸は互いに平行で、軸方向の同じ位置に前記入力側可変プーリおよび出力側可変プーリが設けられ、それ等に跨がって巻き掛けられた伝動ベルトを介して入力軸から出力軸に動力が伝達されるとともに、両可変プーリのV溝幅が連続的に変化して有効径(伝動ベルトの掛かり径)が相反的に増減させられることにより、変速比が連続的に変化させられる。
遊星歯車機構としてシングルピニオン型の遊星歯車機構を用いる場合、第1ブレーキ手段によってキャリアを回転停止するとともに、第2締結手段によってリングギヤを出力側部材に連結することにより、逆回転とされ且つ減速させられる一方、第2ブレーキ手段によってリングギヤを回転停止するとともに、第1締結手段によってキャリアを出力側部材に連結することにより、正回転で減速させられる。
遊星歯車機構として、ギヤ比が0.5未満のダブルピニオン型の遊星歯車機構を用いる場合、第1ブレーキ手段によってキャリアを回転停止するとともに、第2締結手段によってリングギヤを出力側部材に連結することにより、正回転で減速させられる一方、第2ブレーキ手段によってリングギヤを回転停止するとともに、第1締結手段によってキャリアを出力側部材に連結することにより、逆回転とされ且つ減速させられる。
遊星歯車機構としては、上記のようにシングルピニオン型或いはダブルピニオン型の単純な遊星歯車機構が好適に用いられるが、大径部および小径部を有するステップドピニオンを備えている遊星歯車機構などを採用することも可能である。
第2発明では、遊星歯車機構が出力軸上に配設されるが、第1発明の実施に際しては遊星歯車機構を入力軸上に配設することも可能である。何れの場合も、その遊星歯車機構とは別に、他方の軸上に減速機構を配設することにより、変速装置の軸方向寸法をコンパクトに維持しつつ大きな減速比を確保することができる。減速機構としては、シングルピニオン型の遊星歯車機構が好適に用いられ、サンギヤが入力側部材に連結されて回転駆動されるとともに、キャリアおよびリングギヤの一方が反力要素として回転停止させられ、他方が正回転または逆回転で減速回転させられるように構成されるが、ダブルピニオン型の遊星歯車機構を採用することも可能である。上記反力要素を、ブレーキ手段を介して選択的に回転停止させるようにしても良い。
第3発明は車両用変速装置に関するもので、出力軸上に差動歯車機構が配設されているが、他の発明の実施に際しては、出力軸から更に減速用のカウンタ軸等を介して差動歯車機構に動力が伝達されるようになっていても良い。差動歯車機構としては傘歯車式のものが広く用いられているが、遊星歯車式の差動歯車機構(例えばダブルピニオン型の遊星歯車機構)を用いることも可能である。
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明が適用された車両用駆動装置10の骨子図である。この車両用駆動装置10は横置き型で、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両に好適に採用されるものであり、走行用の駆動源(原動機)として内燃機関であるガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等のエンジン12を備えている。エンジン12の出力は、トルクコンバータ14から減速機構16、ベルト式無段変速機(CVT)18、前後進切換装置20を介して差動歯車機構22に伝達され、左右の車軸24L、24Rを経て左右の駆動輪26L、26Rへ分配される。ベルト式無段変速機18は無段変速機構に相当し、そのベルト式無段変速機18の他、減速機構16および前後進切換装置20を含んで本実施例の車両用変速装置が構成されている。
図1は、本発明が適用された車両用駆動装置10の骨子図である。この車両用駆動装置10は横置き型で、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両に好適に採用されるものであり、走行用の駆動源(原動機)として内燃機関であるガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等のエンジン12を備えている。エンジン12の出力は、トルクコンバータ14から減速機構16、ベルト式無段変速機(CVT)18、前後進切換装置20を介して差動歯車機構22に伝達され、左右の車軸24L、24Rを経て左右の駆動輪26L、26Rへ分配される。ベルト式無段変速機18は無段変速機構に相当し、そのベルト式無段変速機18の他、減速機構16および前後進切換装置20を含んで本実施例の車両用変速装置が構成されている。
この車両用駆動装置10は、ベルト式無段変速機18の互いに平行な入力軸28および出力軸30の軸線上に総ての構成要素が配置された2軸構成で、入力軸28の軸線上にエンジン12、トルクコンバータ14、減速機構16、およびベルト式無段変速機18のプライマリシーブ32が、その順番で配設されている。また、出力軸30上には、ベルト式無段変速機18のセンカダリシーブ34、前後進切換装置20、および差動歯車機構22が、その順番で上記と逆方向すなわちエンジン12側へ向かって配設されており、車軸24Lは前後進切換装置20およびセカンダリシーブ34の軸心を挿通して反対側へ突き出している。
減速機構16は、シングルピニオン型の遊星歯車機構40を主体として構成されている。遊星歯車機構40のサンギヤS1は、入力側部材であるトルクコンバータ14のタービン軸42に一体的に連結されており、キャリアCA1は出力側部材である前記入力軸28に一体的に連結されており、リングギヤR1は、ブレーキB0を介して固定部材であるケース44に選択的に連結されることにより回転停止させられるようになっている。ブレーキB0は、油圧式の多板式、単板式、或いはベルト式の摩擦係合装置で、油圧アクチュエータによって係合解放制御されるようになっている。
図2の左半分は、この減速機構16の各回転要素S1、CA1、R1の回転速度を直線で結ぶことができる共線図で、回転速度「1.0」は、減速機構16の入力回転速度すなわちタービン軸42の回転速度である。3本の縦線は、左側から順番にサンギヤS1、キャリアCA1、およびリングギヤR1を表しており、これ等の縦線の間隔は遊星歯車機構40のギヤ比ρ1(=サンギヤS1の歯数/リングギヤR1の歯数)に応じて定められ、サンギヤS1とキャリアCA1の間隔を「1」とすると、キャリアCA1とリングギヤR1の間隔は「ρ1」である。そして、ブレーキB0が係合させられてリングギヤR1が回転停止させられると、それ等の回転要素S1、CA1、R1の回転速度は太い実線で示す直線X1との交点で示され、出力側部材である入力軸28に連結されたキャリアCA1は、タービン軸42(サンギヤS1)と同じ方向へギヤ比ρ1に応じて定まる所定の減速比〔具体的には(1+ρ1)/ρ1〕で減速回転させられる。
上記リングギヤR1は、サンギヤS1に伝達された動力をキャリアCA1から出力するための反力要素として機能するもので、動力伝達時すなわち車両の駆動時にはブレーキB0によって回転停止させられるが、車両停止時等にブレーキB0を解放してリングギヤR1を回転自在とすることにより、エンジン12の負荷を軽減して燃費向上を図ることができる。但し、リングギヤR1をケース44に対してスプライン嵌合等により常時回転不能に配設することも可能である。
図1に戻って、ベルト式無段変速機18は、前記入力軸28に設けられた有効径が可変のプライマリシーブ(入力側可変プーリ)32と、出力軸30に設けられた有効径が可変のセカンダリシーブ(出力側可変プーリ)34と、それ等のプライマリシーブ32、セカンダリシーブ34に巻き掛けられた伝動ベルト46とを備えており、両シーブ32、34と伝動ベルト46との間の摩擦力を介して動力伝達が行われる。プライマリシーブ32、セカンダリシーブ34はそれぞれV溝幅が可変で、油圧シリンダ32s、34sを備えて構成されており、プライマリシーブ32の油圧シリンダ32sの油圧(プライマリシーブ圧)Pinが制御されることにより、両シーブ32、34のV溝幅が変化して伝動ベルト46の掛かり径(有効径)が変更され、変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が連続的に変化させられる。また、セカンダリシーブ34の油圧シリンダ34sの油圧(セカンダリシーブ圧)Pout は、伝動ベルト46が滑りを生じないように調圧制御される。
前後進切換装置20は、シングルピニオン型の遊星歯車機構50を主体として構成されている。遊星歯車機構50のサンギヤS2は、入力側部材であるベルト式無段変速機18の出力軸30に一体的に連結されており、キャリアCA2はクラッチC1を介して出力側部材である連結シャフト52に選択的に連結されるとともに、ブレーキB1を介して固定部材であるケース44に選択的に連結されることにより回転停止させられるようになっており、リンギグヤR2はクラッチC2を介して出力側部材である連結シャフト52に選択的に連結されるとともに、ブレーキB2を介して固定部材であるケース44に選択的に連結されることにより回転停止させられるようになっている。上記クラッチC1、C2は第1締結手段、第2締結手段に相当し、ブレーキB1、B2は第1ブレーキ手段、第2ブレーキ手段に相当する。これ等のクラッチC1、C2、ブレーキB1、B2は、何れも油圧式の多板式、単板式、或いはベルト式の摩擦係合装置で、それぞれ油圧アクチュエータによって係合解放制御されるようになっている。
図2の右半分は、この前後進切換装置20の各回転要素S2、CA2、R2の回転速度を直線で結ぶことができる共線図で、ベルト式無段変速機18の変速比γ=1の場合であり、変速比γに応じてサンギヤS2の回転速度が上下に変化する。3本の縦線は、左側から順番にサンギヤS2、キャリアCA2、およびリングギヤR2を表しており、これ等の縦線の間隔は遊星歯車機構50のギヤ比ρ2(=サンギヤS2の歯数/リングギヤR2の歯数)に応じて定められ、サンギヤS2とキャリアCA2の間隔を「1」とすると、キャリアCA2とリングギヤR2の間隔は「ρ2」である。
そして、ブレーキB1が係合させられてキャリアCA2が回転停止させられるとともに、クラッチC2が係合させられてリングギヤR2が連結シャフト52に連結されると、回転要素S2、CA2、R2の回転速度は太い実線で示す直線Y1との交点で示され、出力側部材である連結シャフト52に連結されたリングギヤR2は、出力軸30(サンギヤS2)と逆方向へギヤ比ρ2に応じて定まる所定の減速比〔具体的には−(1/ρ2)〕で減速回転させられる。図1の(b) の作動表に示すように、本実施例ではこの状態が後進ギヤ段で、車両は後進方向へ駆動されるとともに、この場合に前記減速機構16と前後進切換装置20とを合わせた減速比、すなわちベルト式無段変速機18の変速比γ=1とした時の減速比は、−〔(1+ρ1)/ρ1〕×(1/ρ2)となり、例えばρ1=ρ2=0.5の場合、−3×2=−6となって大きな減速比が得られる。
一方、ブレーキB2が係合させられてリングギヤR2が回転停止させられるとともに、クラッチC1が係合させられてキャリアCA2が連結シャフト52に連結されると、回転要素S2、CA2、R2の回転速度は太い実線で示す直線Y2との交点で示され、出力側部材である連結シャフト52に連結されたキャリアCA2は、出力軸30(サンギヤS2)と同じ方向へギヤ比ρ2に応じて定まる所定の減速比〔具体的には(1+ρ2)/ρ2〕で減速回転させられる。図1の(b) の作動表に示すように、本実施例ではこの状態が前進ギヤ段で、車両は前進方向へ駆動されるとともに、この場合に前記減速機構16と前後進切換装置20とを合わせた減速比、すなわちベルト式無段変速機18の変速比γ=1とした時の減速比は、〔(1+ρ1)/ρ1〕×〔(1+ρ2)/ρ2〕となり、例えばρ1=ρ2=0.5の場合、3×3=9となって大きな減速比が得られる。
図1に戻って、差動歯車機構16は傘歯車式の差動機構が用いられており、前記連結シャフト52に一体的に連結されたデフケース54が一体的に回転駆動されることにより、互いに噛み合わされたピニオンギヤおよびサイドギヤを介して左右の車軸24L、24Rに動力を分配し、左右の駆動輪26L、26Rを回転駆動する。
ここで、本実施例の車両用変速装置の前後進切換装置20は、シングルピニオン型の単一の遊星歯車機構50とクラッチC1、C2、ブレーキB1、B2を用いて、前後進切換および減速を同時に達成できるため、前記特許文献3の図3、図4に記載の変速装置に比較して軸方向寸法が短縮され、配設スペースが低減される。これにより、出力軸30の軸線上に差動歯車機構22が配設される2軸構成の車両用変速装置においても、その出力軸30の軸線上に前後進切換装置20をコンパクトに配設することができる。また、正逆回転切換と同時に減速するため、それだけ減速比が拡大され、入力軸28の軸線上に設けられた遊星歯車式の減速機構16と合わせて大きな減速比を実現することができる。
また、本実施例では前後進切換装置20が出力軸30の軸線上に配設されているため、前後進に拘らずベルト式無段変速機18の回転方向が一定に維持され、前後進切換時の負荷が低減されて伝動ベルト46等の耐久性が向上する。
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の実施例において、前記実施例と実質的に共通する部分には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
図3および図4は、それぞれ前記図1および図2に対応する図で、この車両用駆動装置60は、前記実施例に比較して前後進切換装置62の構成が相違し、ダブルピニオン型の遊星歯車機構64を主体として構成されている。遊星歯車機構64のサンギヤS2は、入力側部材であるベルト式無段変速機18の出力軸30に一体的に連結されており、キャリアCA2はクラッチC1を介して出力側部材である連結シャフト52に選択的に連結されるとともに、ブレーキB1を介して固定部材であるケース44に選択的に連結されることにより回転停止させられるようになっており、リンギグヤR2はクラッチC2を介して出力側部材である連結シャフト52に選択的に連結されるとともに、ブレーキB2を介して固定部材であるケース44に選択的に連結されることにより回転停止させられるようになっている。
図4の右半分は、この前後進切換装置62の各回転要素S2、R2、CA2の回転速度を直線で結ぶことができる共線図で、ベルト式無段変速機18の変速比γ=1の場合であり、変速比γに応じてサンギヤS2の回転速度が上下に変化する。3本の縦線は、左側から順番にサンギヤS2、リングギヤR2、およびキャリアCA2を表しており、これ等の縦線の間隔は遊星歯車機構64のギヤ比ρ2(=サンギヤS2の歯数/リングギヤR2の歯数)に応じて定められ、サンギヤS2とキャリアCA2の間隔を「1」とすると、キャリアCA2とリングギヤR2の間隔は「ρ2」である。本実施例では、ρ2<0.5の遊星歯車機構64が用いられる。
そして、ブレーキB1が係合させられてキャリアCA2が回転停止させられるとともに、クラッチC2が係合させられてリングギヤR2が連結シャフト52に連結されると、回転要素S2、R2、CA2の回転速度は太い実線で示す直線Y1との交点で示され、出力側部材である連結シャフト52に連結されたリングギヤR2は、出力軸30(サンギヤS2)と同じ方向へギヤ比ρ2に応じて定まる所定の減速比〔具体的には(1/ρ2)〕で減速回転させられる。図3の(b) の作動表に示すように、本実施例ではこの状態が前進ギヤ段で、車両は前進方向へ駆動されるとともに、この場合に前記減速機構16と前後進切換装置62とを合わせた減速比、すなわちベルト式無段変速機18の変速比γ=1とした時の減速比は、〔(1+ρ1)/ρ1〕×(1/ρ2)となり、例えばρ1=0.5、ρ2=0.33の場合、3×3=9となって大きな減速比が得られる。
一方、ブレーキB2が係合させられてリングギヤR2が回転停止させられるとともに、クラッチC1が係合させられてキャリアCA2が連結シャフト52に連結されると、回転要素S2、R2、CA2の回転速度は太い実線で示す直線Y2との交点で示され、出力側部材である連結シャフト52に連結されたキャリアCA2は、出力軸30(サンギヤS2)と逆方向へギヤ比ρ2に応じて定まる所定の減速比〔具体的には−(1−ρ2)/ρ2〕で減速回転させられる。図3の(b) の作動表に示すように、本実施例ではこの状態が後進ギヤ段で、車両は後進方向へ駆動されるとともに、この場合に前記減速機構16と前後進切換装置62とを合わせた減速比、すなわちベルト式無段変速機18の変速比γ=1とした時の減速比は、−〔(1+ρ1)/ρ1〕×〔(1−ρ2)/ρ2〕となり、例えばρ1=0.5、ρ2=0.33の場合、−3×2=−6となって大きな減速比が得られる。
本実施例においても、前後進切換装置62は、ダブルピニオン型の単一の遊星歯車機構64とクラッチC1、C2、ブレーキB1、B2を用いて、正逆回転切換および減速を同時に達成できるため、前記実施例と同様の作用効果が得られる。
図5および図6は、それぞれ前記図1および図2に対応する図で、この車両用駆動装置70は、前記車両用駆動装置10に比較して減速機構72の構成が相違している。すなわち、この減速機構72において、遊星歯車機構40のサンギヤS1は、入力側部材であるトルクコンバータ14のタービン軸42に一体的に連結されており、リングギヤR1は出力側部材である前記入力軸28に一体的に連結されており、キャリアCA1は、ブレーキB0を介して固定部材であるケース44に選択的に連結されることにより回転停止させられるようになっている。
図6の左半分は、この減速機構16の各回転要素S1、CA1、R1の回転速度を直線で結ぶことができる共線図で、回転速度「1.0」は、減速機構72の入力回転速度すなわちタービン軸42の回転速度である。3本の縦線は、左側から順番にサンギヤS1、キャリアCA1、およびリングギヤR1を表しており、これ等の縦線の間隔は遊星歯車機構40のギヤ比ρ1(=サンギヤS1の歯数/リングギヤR1の歯数)に応じて定められ、サンギヤS1とキャリアCA1の間隔を「1」とすると、キャリアCA1とリングギヤR1の間隔は「ρ1」である。そして、ブレーキB0が係合させられてキャリアCA1が回転停止させられると、それ等の回転要素S1、CA1、R1の回転速度は太い実線で示す直線X1との交点で示され、出力側部材である入力軸28に連結されたリングギヤR1は、タービン軸42(サンギヤS1)と逆方向へギヤ比ρ1に応じて定まる所定の減速比〔具体的には−1/ρ1〕で減速回転させられる。
したがって、この場合に前記前後進切換装置20の各回転要素S2、CA2、R2の回転速度を直線で結ぶことができる共線図は、図6の右半分に示されるようになる。そして、ブレーキB1が係合させられてキャリアCA2が回転停止させられるとともに、クラッチC2が係合させられてリングギヤR2が連結シャフト52に連結されると、回転要素S2、CA2、R2の回転速度は太い実線で示す直線Y1との交点で示され、出力側部材である連結シャフト52に連結されたリングギヤR2は、出力軸30(サンギヤS2)と逆方向へギヤ比ρ2に応じて定まる所定の減速比〔具体的には−(1/ρ2)〕で減速回転させられる。図5の(b) の作動表に示すように、本実施例ではこの状態が前進ギヤ段で、車両は前進方向へ駆動されるとともに、この場合に減速機構72と前後進切換装置20とを合わせた減速比、すなわちベルト式無段変速機18の変速比γ=1とした時の減速比は、(1/ρ1)×(1/ρ2)となり、例えばρ1=ρ2=0.5の場合、2×2=4となって大きな減速比が得られる。
一方、ブレーキB2が係合させられてリングギヤR2が回転停止させられるとともに、クラッチC1が係合させられてキャリアCA2が連結シャフト52に連結されると、回転要素S2、CA2、R2の回転速度は太い実線で示す直線Y2との交点で示され、出力側部材である連結シャフト52に連結されたキャリアCA2は、出力軸30(サンギヤS2)と同じ方向へギヤ比ρ2に応じて定まる所定の減速比〔具体的には(1+ρ2)/ρ2〕で減速回転させられる。図5の(b) の作動表に示すように、本実施例ではこの状態が後進ギヤ段で、車両は後進方向へ駆動されるとともに、この場合に減速機構72と前後進切換装置20とを合わせた減速比、すなわちベルト式無段変速機18の変速比γ=1とした時の減速比は、−(1/ρ1)×〔(1+ρ2)/ρ2〕となり、例えばρ1=ρ2=0.5の場合、2×3=6となって大きな減速比が得られる。
なお、図3および図4の車両用駆動装置60においても、減速機構16の代わりに上記減速機構72を採用することができる。また、減速機構16、72としてダブルピニオン型の遊星歯車機構を利用することもできる。また、上記実施例では何れもエンジン12の回転方向と駆動輪26L、26Rの回転方向とが同じ場合を前進ギヤ段としているが、エンジン12の回転方向と駆動輪26L、26Rの回転方向とが反対の場合を前進ギヤ段とすることもできる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これ等はあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
18:ベルト式無段変速機(無段変速機構) 20、62:前後進切換装置 22:差動歯車機構 28:入力軸 30:出力軸(入力側部材) 50、64:遊星歯車機構 52:連結シャフト(出力側部材) C1:クラッチ(第1締結手段) C2:クラッチ(第2締結手段) B1:ブレーキ(第1ブレーキ手段) B2:ブレーキ(第2ブレーキ手段)
Claims (3)
- 入力軸および出力軸にそれぞれ入力側可変プーリおよび出力側可変プーリが設けられた無段変速機構を備えている変速装置において、
前記入力軸上および出力軸上の少なくとも一方に配設された遊星歯車機構と、
該遊星歯車機構のキャリアおよびリングギヤをそれぞれ出力側部材に選択的に連結する第1締結手段および第2締結手段と、
該遊星歯車機構のキャリアおよびリングギヤをそれぞれ選択的に回転停止させる第1ブレーキ手段および第2ブレーキ手段と、
を備えており、且つ、該遊星歯車機構のサンギヤは入力側部材に連結されて回転駆動される
ことを特徴とする変速装置。 - 前記遊星歯車機構は前記出力軸上に配設されている
ことを特徴とする請求項1に記載の変速装置。 - 前記出力軸上には差動歯車機構が設けられており、前記無段変速機構から伝達された出力を左右の駆動輪に分配する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の変速装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2007
- 2007-07-31 JP JP2007198692A patent/JP2009036231A/ja active Pending
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