JP2015150974A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ドライバビリティの低下を抑制しつつターボラグによるトルク不足を好適に補償する。【解決手段】ハイブリッド車両の制御装置は、アクセル踏み込み操作がなされた場合に、要求トルクと実トルクとの乖離の度合いを検出する検出手段と、前記検出された乖離の度合いが所定値未満である場合に、前記要求トルクに対する前記実トルクの不足分を補うための前記電動機のトルクアシストが前記アクセル踏み込み操作の開始時点から開始されるように電動機を制御し、前記検出された乖離の度合いが所定値以上である場合に、前記トルクアシストが前記アクセル踏み込み操作に伴う過給器の応答遅延開始時点から開始されるように電動機を制御する制御手段とを具備し、前記制御手段は、前記検出された乖離の度合いが所定値以上である場合に、前記実トルクを徐変させる。【選択図】図7
Description
本発明は、過給器を備えたハイブリッド車両を制御する、ハイブリッド車両の制御装置の技術分野に関する。
この種のハイブリッド車両において、ターボラグ発生時に内燃機関の出力不足分を電動機によりアシストするものが提案されている(特許文献1参照)。
また、アクセル踏み込み操作時、過給圧の上昇を抑えるようにエンジンのスロットルバルブ開度を徐々に上げるスロットルなまし制御と、アクセル踏み込み操作時に現れる要求駆動トルクに対するトルク不足分をモータトルクにより補償するモータアシスト制御とを協調させるものも提案されている(特許文献2参照)。
また、モータトルク制御手段が目標過給圧と実過給圧との差に基づいてモータトルクを制御するものもある(特許文献3参照)。
また、エンジン回転数センサとスロットル開度センサからの入力信号に基づいてターボ過給器の作動特性を算出し、その作動特性に基づいて加速時の不足トルクを補うように電動機を作動させるものもある(特許文献4参照)。
電動機のアシストによりターボラグによる不足トルクを補う場合において、ターボラグ開始時点で電動機のアシストを開始すると、要求トルクと実トルクとが乖離した状態では要求トルクに実トルクが急激に近づき、所謂OR(Over Run)感(即ち、飛び出し感)となって知覚され易い。
一方で、ターボラグ開始以前を含む全域で電動機のアシストを実施する場合、要求トルクによっては電動機のアシスト限界を超えることがあり、不足トルクを十分に補償することが難しい場合がある。
即ち、従来の装置には、ドライバビリティの低下を抑制しつつ電動機によるアシストを行うことが困難であるという技術的問題点がある。
本発明は係る技術的問題点に鑑みてなされたものであり、ドライバビリティの低下を抑制しつつターボラグによるトルク不足を好適に補償可能なハイブリッド車両の制御装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係るハイブリッド車両の制御装置は、過給器を有する内燃機関と電動機とを備えたハイブリッド車両を制御するハイブリッド車両の制御装置であって、アクセル踏み込み操作がなされた場合に、要求トルクと実トルクとの乖離の度合いを検出する検出手段と、前記検出された乖離の度合いが所定値未満である場合に、前記要求トルクに対する前記実トルクの不足分を補うための前記電動機のトルクアシストが前記アクセル踏み込み操作の開始時点から開始されるように前記電動機を制御し、前記検出された乖離の度合いが所定値以上である場合に、前記トルクアシストが前記アクセル踏み込み操作に伴う前記過給器の応答遅延開始時点から開始されるように前記電動機を制御する制御手段とを具備し、前記制御手段は、前記検出された乖離の度合いが所定値以上である場合に、前記実トルクを徐変させることを特徴とする(請求項1)。
本発明に係るハイブリッド車両の制御装置によれば、要求トルクと実トルクとの乖離が小さい場合には、アクセル踏み込み操作開始時点から電動機によるトルクアシストが開始され、実トルクの応答性が確保される。
また、要求トルクと実トルクとの乖離が大きい場合には、電動機のトルクアシストが過給器の過給応答遅延の開始時点から開始されると共に、実トルクが要求トルクに対して徐変される。従って、電動機のアシスト可能範囲内で、過給応答遅延開始時点以降のもたつき感を解消しつつ、急激なトルクアシストによる飛び出し感を解消することができる。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
<発明の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の好適な各種実施形態について説明する。
<第1実施形態>
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係るハイブリッド車両100の構成について説明する。ここに、図1は、ハイブリッド車両100の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
以下、図面を参照して、本発明の好適な各種実施形態について説明する。
<第1実施形態>
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係るハイブリッド車両100の構成について説明する。ここに、図1は、ハイブリッド車両100の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
図1において、ハイブリッド駆動装置10は、エンジン200、動力分割機構300、入力軸400、駆動軸500、減速機構600、モータジェネレータMG1(以下、適宜「MG1」と略称する)、モータジェネレータMG2(以下、適宜「MG2」と略称する)を備える。
エンジン200は、ハイブリッド車両100の主たる動力源として機能する、本発明に係る「内燃機関」の一例たるガソリンエンジンである。エンジン200の詳細な構成については図2を使用して後述する。
モータジェネレータMG1は、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを備えた電動発電機である。
モータジェネレータMG2は、モータジェネレータMG1と同様に、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを備えた、本発明に係る「電動機」の一例たる電動発電機である。
モータジェネレータMG1及びMG2は、同期電動発電機として構成され、例えば外周面に複数個の永久磁石を有するロータと、回転磁界を形成する三相コイルが巻回されたステータとを備えるが、無論他の構成を有していてもよい。これら各モータジェネレータは、不図示のPCU(Power Control Unit)等の制御により、不図示のバッテリとの間で電力の入出力が可能である。
動力分割機構300は、相互に差動作用をなす複数の回転要素を備えた公知の遊星歯車機構である。
動力分割機構300は、中心部に設けられたサンギアS1と、サンギアS1の外周に同心円状に設けられたリングギアR1と、サンギアS1とリングギアR1との間に配置されてサンギアS1の外周を自転しつつ公転する複数のピニオンギア(不図示)と、これら各ピニオンギアの回転軸を軸支するキャリアC1とを備える。
サンギアS1は、エンジン200の出力トルクであるエンジントルクTeに対する反力トルクを負担するための反力要素であり、モータジェネレータMG1に固定されている。従って、サンギアS1の回転速度は、モータジェネレータMG1の回転速度たるMG1回転速度Nmg1と等価である。
リングギアR1は、動力分割機構300の出力要素であり、動力分割機構300の動力出力軸である駆動軸500に固定されている。尚、駆動軸500は、デファレンシャル等を介してハイブリッド車両10の駆動輪DWに間接的に連結されている。
キャリアC1は、トーションダンパTDPを介して後述するエンジン200のクランク軸に連結される入力軸400に、その回転軸を共有する形で連結されており、その回転速度は、エンジン200の機関回転数NEと等価である。
動力分割機構300は、上述した構成の下で、エンジン200から入力軸400に供給されるエンジントルクTeを、キャリアC1によってサンギアS1及びリングギアR1に所定の比率(各ギア相互間のギア比に応じた比率)で分配し、エンジン200の動力を2系統に分割することが可能である。
減速機構600は、駆動軸500とモータジェネレータMG2との間に介装された、サンギアS2、リングギアR2、ピニオンギア(不図示)及びキャリアC2の各回転要素を備えた遊星歯車機構である。
減速機構600において、サンギアS2は、モータジェネレータMG2のロータに固定されている。また、キャリアC2は、ハイブリッド車両100のシャシ等に回転不能に固定されている。リングギアR2は、駆動軸500に連結されている。係る構成において、減速機構600は、モータジェネレータMG2の回転速度Nmg2を、駆動軸500に対し、各回転要素(ギア)のギア比に応じて定まる減速比に従って減速して伝達することが出来る。
次に、図2を参照し、エンジン200の詳細な構成について説明する。ここに、図2は、エンジン200の構成を概念的に表してなる概略構成図である。尚、同図において、図2と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
エンジン200は、ガソリンを燃料とする、本発明に係る「内燃機関」の一例たる直列4気筒エンジンである。エンジン200は、シリンダブロック201に4本の気筒202が並列した構成を有している。燃料たるガソリンは不図示の吸気ポートに噴射され、吸入行程において、空気と混合された混合気として気筒内部に吸入される。この気筒内部において、吸入空気は、圧縮行程における不図示の着火装置の着火制御により着火し、燃焼室内で燃焼する。
この燃焼に伴う燃焼エネルギは、不図示のピストン及びコネクティングロッドを介して不図示のクランク軸を駆動することにより運動エネルギに変換される。このクランク軸の回転は、クランク軸と連結される上述した入力軸400の回転として伝達される。
排気行程において各気筒から排出される排気は、排気マニホールド203に集約され、排気マニホールド203に接続された排気管204に導かれる。
エンジン200は、ターボ過給器250を備える。ターボ過給器250は、タービンハウジング251に収容されたタービンブレード252と、コンプレッサハウジング254に収容されたコンプレッサインペラ255と、これらを連結するターボ回転軸253とを備える。ターボ過給器250は、排気熱を回収してタービンブレード252を回転駆動し、タービンブレード252と略一体に回転するコンプレッサインペラ255の流体圧縮作用を利用して吸入空気を大気圧以上に過給可能な、本発明に係る「過給器」の一例である。
エンジン200において、上流側吸気管205には、不図示のエアクリーナを介して外界から空気が吸入される。この吸入空気は、ターボ過給器250のコンプレッサインペラ255の回転により圧縮され、コンプレッサインペラ255の下流側に設置された下流側吸気管206に供給される。
下流側吸気管206には、インタークーラ207が設置されている。インタークーラ207は、圧縮後の吸入空気を冷却して過給効率を向上させるための冷却装置である。
下流側吸気管206における、インタークーラ207の下流側には、スロットル弁208が設置されている。スロットル弁208は、開閉状態に応じて吸入空気を調量する弁であり、ECU100と電気的に接続された不図示のアクチュエータにより、その開閉状態が制御される構成となっている。即ち、スロットル弁208は、所謂電子制御スロットル装置の一部である。
下流側吸気管206は、スロットル弁208の下流側において吸気マニホールド209に連結されている。吸気マニホールド209は、シリンダブロック201内に形成された、各気筒に対応する吸気ポートに接続されている。吸気マニホールド209に導かれた吸入空気は、この吸気ポートにおいて霧状に噴射されるガソリンと混合され、先に述べたように、各気筒における不図示の吸気弁の開弁時に気筒内に吸入される。
上流側吸気管205には、エアフローメータ210が設置されている。エアフローメータ210は、外界から吸入される吸入空気の量たる吸入空気量Gaを検出可能に構成されたセンサである。エアフローメータ210は、ECU100と電気的に接続されており、検出された吸入空気量Gaは、ECU100により適宜参照される構成となっている。
上流側吸気管205には、第1圧力センサ211が設置されている。第1圧力センサ211は、上流側吸気管205における吸入空気の圧力、即ち、コンプレッサ入口圧P0を検出可能に構成されたセンサである。第1圧力センサ211は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたコンプレッサ入口圧P0は、ECU100によって適宜参照される構成となっている。尚、コンプレッサ入口圧P0は、実質的に大気圧と同等である。
下流側吸気管206には、第2圧力センサ212が設置されている。第2圧力センサ212は、下流側吸気管206における吸入空気の圧力、即ち、コンプレッサ出口圧P3を検出可能に構成されたセンサである。第2圧力センサ212は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたコンプレッサ出口圧P3は、ECU100によって適宜参照される構成となっている。尚、コンプレッサ出口圧P3は、実質的に過給圧と同等である。尚、ECU100は、コンプレッサ入口圧P0とコンプレッサ出口圧P3との比たるコンプレッサ前後圧力比Rp(Rp=P3/P0)を常時把握している。
エンジン200において、排気管204には、空燃比センサ213が設置されている。空燃比センサ213は、例えば、拡散抵抗層を備えた限界電流式広域空燃比センサであり、排気管204を流れる排気の空燃比(排気空燃比)を検出可能に構成される。
排気管204に導かれた排気は、ターボ過給器250のタービンブレード252に熱エネルギを供与した後、三元触媒及びNOx吸蔵還元触媒に流入する。
尚、ハイブリッド車両10において、タービンブレード252の回転数であるタービン回転数Rt及びアクセルペダルの操作量たるアクセル開度Ta等を含む各種状態値は、不図示のセンサにより検出され、ハイブリッド車両10を制御する不図示の制御装置に供給されている。
<実施形態の動作>
次に、実施形態の動作について説明する。
<実施形態の動作>
次に、実施形態の動作について説明する。
<トルクアシスト制御の詳細>
始めに、図3を参照し、駆動軸500に対するモータジェネレータMG2のトルクアシストを制御する、トルクアシスト制御の詳細について説明する。ここに、図3は、トルクアシスト制御のフローチャートである。尚、トルクアシスト制御は、ハイブリッド車両10の動作を制御する、本発明に係る「ハイブリッド車両の制御装置」の一例たる制御装置により実行される。
始めに、図3を参照し、駆動軸500に対するモータジェネレータMG2のトルクアシストを制御する、トルクアシスト制御の詳細について説明する。ここに、図3は、トルクアシスト制御のフローチャートである。尚、トルクアシスト制御は、ハイブリッド車両10の動作を制御する、本発明に係る「ハイブリッド車両の制御装置」の一例たる制御装置により実行される。
図3において、アクセル開度Taが取得される(ステップS101)。次に、駆動軸500の要求トルクである要求駆動トルクTtagが算出される(ステップS102)。要求駆動トルクTtagは、ハイブリッド車両10の車速及びアクセル開度Ta等に基づいて公知の手法により算出される。
要求駆動トルクTtagが算出されると、推定エンジントルクTecal及び推定駆動トルクTcalが算出される(ステップS103)。推定エンジントルクTecalは、下記(1)式に従って算出される。推定駆動トルクTcalは、下記(2)式に従って算出される。
尚、上記式において、TmはモータジェネレータMG2の出力トルクであるモータトルクであり、Ieはエンジン200のイナーシャであり、IgはモータジェネレータMG1のイナーシャであり、ρは動力分割機構300のギア比であり、Gmは減速機構400の減速ギア比であり、ωgはモータジェネレータMG1の回転角速度であるMG1角速度であり、TgはモータジェネレータMG1の出力トルクであるジェネレータトルクである。
尚、上記式において、TmはモータジェネレータMG2の出力トルクであるモータトルクであり、Ieはエンジン200のイナーシャであり、IgはモータジェネレータMG1のイナーシャであり、ρは動力分割機構300のギア比であり、Gmは減速機構400の減速ギア比であり、ωgはモータジェネレータMG1の回転角速度であるMG1角速度であり、TgはモータジェネレータMG1の出力トルクであるジェネレータトルクである。
次に、アクセル開度Taが所定値α未満であるか否かが判定される(ステップS104)。尚、ここではアクセル開度Taが所定値未満であるか否かが判定されるが、アクセル開度変化率が所定値B(α≠B)未満であるか否かが判定されてもよい。
アクセル開度Taが所定値α未満である場合(ステップS104:YES)、後述する電池出力パターンP1が選択され、モータジェネレータMG2により、この電池出力パターンP1に対応するトルクアシストが行われる(ステップS105)。ステップS105が実行されると、トルクアシスト制御は終了し、所定周期を経て処理は再びステップS101に戻される。
一方、アクセル開度Taが所定値α以上である場合(ステップS104:NO)、更にアクセル開度Taが所定値β未満であるか否かが判定される(ステップS106)。アクセル開度Taが所定値β未満である場合(ステップS106:YES)、後述する電池出力パターンP2が選択され、モータジェネレータMG2により、この電池出力パターンP2に対応するトルクアシストが行われる(ステップS107)。
続いて、要求駆動トルクTtagと推定駆動トルクTcalとの偏差が所定値k以上であるか否かが判定される(ステップS108)。偏差が所定値k未満である場合(ステップS108:NO)、トルクアシスト制御は終了し、所定周期を経て処理は再びステップS101に戻される。
一方、偏差が所定値k以上である場合(ステップS108:YES)、ハイブリッド車両10のバッテリ出力が一時的に拡大され(ステップS109)、トルクアシスト制御は終了する。尚、バッテリ出力の拡大は、バッテリの出力制限値Woutを一時的に増加することにより行われる。
ステップS106において、アクセル開度Taが所定値β以上である場合(ステップS106:NO)、後述する電池出力パターンP3が選択され、モータジェネレータMG2により、この電池出力パターンP3に対応するトルクアシストが行われる(ステップS110)。
続いて、要求駆動トルクTtagと推定駆動トルクTcalとの偏差が所定値λ以上であるか否かが判定される(ステップS111)。偏差が所定値λ未満である場合(ステップS111:NO)、トルクアシスト制御は終了し、所定周期を経て処理は再びステップS101に戻される。
一方、偏差が所定値λ以上である場合(ステップS111:YES)、ハイブリッド車両10のバッテリ出力が一時的に拡大され(ステップS112)、トルクアシスト制御は終了する。尚、バッテリ出力の拡大は、バッテリの出力制限値Woutを一時的に増加補正することにより行われる。
次に、図4を参照し、バッテリ出力の拡大について説明する。ここに、図4は、バッテリ出力拡大の模式図である。
図4において、バッテリの放電制限値Woutの時間推移が例示される。バッテリの放電制限値Woutは、単位時間当たりにバッテリから持ち出し可能な最大電力であり、通常、バッテリ温度等により規定される。図4では、この通常値がWout1に相当する。
一方、バッテリ出力が一時的に拡大される場合、この放電制限値Woutが、例えばこの通常値Wout1から暫定値Wouttmpまで拡大される。図4では、時刻t1からt2に至る期間においてバッテリ出力が拡大される様子が示されている。バッテリ出力が拡大されると、モータジェネレータMG2の最大出力トルクも上昇するため、より大きなトルクアシストが可能となる。
次に、図5乃至7を参照し、上述した電池出力パターンについて説明する。ここに、図5は、アクセル開度Taが所定値α未満である場合のハイブリッド車両10のトルク応答の模式図であり、図6は、同じく所定値α以上β未満である場合のトルク応答の模式図であり、図7は、同じく所定値β以上である場合のトルク応答の模式図である。即ち、図5は電池出力パターンP1を説明する図であり、図6は電池出力パターンP2を説明する図であり、図7は電池出力パターンP3を説明する図である。
尚、本実施形態において、アクセル開度Taは、本発明に係る「要求トルクと実トルクとの乖離の度合い」の一例となっており、アクセル開度Taが所定値β未満である場合とは、本発明に係る「乖離の度合いが所定値未満である場合」の一例に相当し、アクセル開度が所定値β以上である場合とは、本発明に係る「乖離の度合いが所定値以上である場合」の一例に相当する。
図5において、上段から順に駆動軸トルク、モータトルク及びバッテリ出力の各時間推移が例示される。駆動軸トルクは、駆動軸500の軸トルクである。また、図5において、実線は要求トルクであり、破線はエンジントルクを表す。
時刻t3にアクセルペダルの踏み込み操作がなされたとする。この場合、アクセル開度Taが小さければ、時刻t4においてターボ過給器250の過給応答遅延(所謂ターボラグ)が発生するまで、エンジントルク(破線参照)は要求トルク(実線参照)から乖離しない。
一方、時刻t4においてエンジントルクが要求トルクから乖離し始めると、モータジェネレータMG2によるトルクアシストが行われる(ハッチング部分参照)。このトルクアシストにより、エンジントルクと要求トルクとの差が埋められ、エンジントルクとモータトルクとを併せた駆動トルク(即ち、本発明に係る「実トルク」の一例)は、要求トルク通りに推移する。
この際、要求トルクとエンジントルクとの乖離が小さいことから、トルクアシストが行われるに際してのバッテリからの電力持ち出し量、即ちバッテリ出力は、放電制限値Wout未満で推移する。電池出力パターンP1に相当するトルクアシストはこのように行われる。
図6において、時刻t3にアクセルペダルの踏み込み操作がなされたとする。アクセル開度Taが中程度であると、時刻t4においてターボ過給器250の過給応答遅延(所謂ターボラグ)が発生する以前、例えば、アクセルペダルの踏み込み操作開始時点である時刻t3において、エンジントルク(破線参照)は要求トルク(実線参照)から乖離し始める。
一方、時刻t3においてエンジントルクが要求トルクから乖離し始めると、モータジェネレータMG2によるトルクアシストが行われる(ハッチング部分参照)。このトルクアシストにより、エンジントルクと要求トルクとの差が埋められ、エンジントルクとモータトルクとを併せた駆動トルクは要求トルク通りに推移する。
この際、要求トルクとエンジントルクとの乖離が中程度であることから、トルクアシストが行われるに際してのバッテリからの電力持ち出し量、即ちバッテリ出力は、ターボ過給器250の過給応答遅延が最も大きくなる一部の期間を除いて放電制限値Wout未満で推移する。一方で、この一部の期間においては、バッテリ出力が不足するため、バッテリ出力が拡大される(下段の破線参照)。電池出力パターンP2に相当するトルクアシストはこのように行われる。
図7において、時刻t3にアクセルペダルの踏み込み操作がなされたとする。アクセル開度Taが大きいと、時刻t4においてターボ過給器250の過給応答遅延(所謂ターボラグ)が発生する以前、例えば、アクセルペダルの踏み込み操作開始時点である時刻t3において、エンジントルク(破線参照)は要求トルク(実線参照)から乖離し始める。また、その乖離の度合いは大きくなる。
このように要求トルクとエンジントルクとの乖離の度合いが大きい場合に、アクセルペダルの踏み込み操作時点である時刻t3からモータジェネレータMG2によるトルクアシストが行われると、モータトルクが不足する可能性がある。このため、このような場合には、ターボ過給器250の過給応答遅延が始まる時刻t4からモータトルクによるトルクアシストが開始される。
一方、過給応答遅延の開始時刻からモータトルクによるトルクアシストを開始すると、要求トルクとエンジントルクとの乖離が比較的短時間で埋められ、飛び出し感としてドライバに知覚される可能性がある。そこで、モータトルクによるトルクアシストは、エンジントルクとモータトルクとの和である駆動トルクが、要求トルクに対して徐々に近付くように行われる(ハッチング部分参照)。即ち、時刻t5においてエンジントルクが要求トルクに追従するまで、駆動トルク(細い実線参照)は要求トルクに対して若干不足した状態で徐変される。また、バッテリ出力は、ターボ過給器250の過給応答遅延が最も大きくなる一部の期間を除いて放電制限値Wout未満で推移するが、この一部の期間においては、バッテリ出力が不足するため、バッテリ出力が拡大される(下段の破線参照)。電池出力パターンP3に相当するトルクアシストはこのように行われる。
このように、本実施形態によれば、要求トルクと駆動トルク(トルクアシストが行われていなければエンジントルクと等価である)との乖離の度合いが小さい場合は、電池出力パターンP1又はP2により、アクセル踏み込み操作開始時点からモータトルクによるトルクアシストが開始される。このため、もたつき感が解消され、好適なドライバビリティが提供される。
一方、要求トルクと駆動トルクとの乖離の度合いが大きい場合には、電池出力パターンP3により、ターボ過給器250の応答遅延開始時刻からトルクアシストが開始される。この際、トルクアシストは、モータトルクの出力可能範囲内で、駆動トルクが要求トルクに対して徐々に近付くように行われる。従って、ターボ過給器250の過給応答遅延に起因するトルク段差が解消され、トルク段差がもたらす物理的ショックやもたつき感が解消される。一方、駆動トルクが徐変されることから、飛び出し感についても防止される。
<第2実施形態>
第1実施形態では、本発明に係る要求トルクと実トルクとの乖離の度合いとして、アクセル開度Taが用いられたが、この乖離の度合いとしては、ターボ過給器250におけるタービン回転数Rtを用いることもできる。第2実施形態では、このような例について説明する。
<第2実施形態>
第1実施形態では、本発明に係る要求トルクと実トルクとの乖離の度合いとして、アクセル開度Taが用いられたが、この乖離の度合いとしては、ターボ過給器250におけるタービン回転数Rtを用いることもできる。第2実施形態では、このような例について説明する。
始めに、図8を参照し、タービン回転数Rtとエンジントルクとの関係について説明する。ここに、図8は、タービン回転数とエンジントルクとの関係を説明する図である。
図8において、エンジントルクの時間推移が例示される。実線はタービン回転数Rtが高い場合の時間推移であり、破線はタービン回転数Rtが低い場合の時間推移である。図示するように、タービン回転数Rtが低いと、ターボ過給器250の過給応答遅延が顕在化する。一方、タービン回転数Rtが高いと、この過給応答遅延は顕在化し難い。
図9は、タービン回転数Rtを利用したトルクアシスト制御のフローチャートである。
図9において、タービン回転数Rtが取得される(ステップS201)と、このタービン回転数Rtが所定値X未満であるか否かが判定される(ステップS202)。タービン回転数Rtが所定値X未満である場合(ステップS202:YES)、後述する電池出力パターンP4が選択され、モータジェネレータMG2により、この電池出力パターンP4に対応するトルクアシストが行われる(ステップS203)。
一方、タービン回転数Rtが所定値X以上である場合(ステップS202:NO)、後述する電池出力パターンP5が選択され、モータジェネレータMG2により、この電池出力パターンP5に対応するトルクアシストが行われる(ステップS204)。
ステップS203又はS204が実行されるとトルクアシスト制御は終了し、所定時間を経て処理は再びステップS201に戻される。
次に、図10乃至11を参照し、上述した電池出力パターンについて説明する。ここに、図10は、タービン回転数Rtが所定値X未満である場合のハイブリッド車両10のトルク応答の模式図であり、図11は、同じく所定値X以上である場合のトルク応答の模式図である。即ち、図10は電池出力パターンP4を説明する図であり、図11は電池出力パターンP5を説明する図である。尚、これら各図において、図6及び7と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図10において、時刻t3にアクセルペダルの踏み込み操作がなされたとする。ここで、タービン回転数Rtが低い場合、時刻t4においてターボ過給器250の過給応答遅延(所謂ターボラグ)が発生する以前、例えば、アクセルペダルの踏み込み操作開始時点である時刻t3において、エンジントルク(破線参照)は要求トルク(実線参照)から大きく乖離し始める。
このように要求トルクとエンジントルクとの乖離の度合いが大きい場合に、アクセルペダルの踏み込み操作時点である時刻t3からモータジェネレータMG2によるトルクアシストが行われると、モータトルクが不足する可能性がある。このため、このような場合には、ターボ過給器250の過給応答遅延が始まる時刻t4からモータトルクによるトルクアシストが開始される。
一方、過給応答遅延の開始時刻からモータトルクによるトルクアシストを開始すると、要求トルクと駆動トルクとの乖離が比較的短時間で埋められ、飛び出し感としてドライバに知覚される可能性がある。そこで、モータトルクによるトルクアシストは、エンジントルクとモータトルクとの和である駆動トルクが要求トルクに徐々に近付くように行われる(ハッチング部分参照)。即ち、時刻t5においてエンジントルクが要求トルクに追従するまで、駆動トルクは要求トルクに対して若干不足した状態で徐変される。また、バッテリ出力は、ターボ過給器250の過給応答遅延が最も大きくなる一部の期間を除いて放電制限値Wout未満で推移するが、この一部の期間においては、バッテリ出力が不足するため、バッテリ出力が拡大される(下段の破線参照)。電池出力パターンP4に相当するトルクアシストはこのように行われる。
図11において、時刻t3にアクセルペダルの踏み込み操作がなされたとする。また、図10と同様に、時刻t4においてターボ過給器250の過給応答遅延(所謂ターボラグ)が発生する以前、例えば、アクセルペダルの踏み込み操作開始時点である時刻t3において、エンジントルク(破線参照)は要求トルク(実線参照)から乖離し始めたとする。ここで、タービン回転数Rtが高ければ、図9に例示したようにエンジントルクの応答性は大きく悪化しない。
このため、エンジントルクが要求トルクから乖離し始める時刻t3において、モータジェネレータMG2によるトルクアシストが行われる(ハッチング部分参照)。このトルクアシストにより、エンジントルクと要求トルクとの差が埋められ、エンジントルクとモータトルクとを併せた駆動トルクは要求トルク通りに推移する。トルクアシストが行われるに際してのバッテリからの電力持ち出し量、即ちバッテリ出力は、ターボ過給器250の過給応答遅延が最も大きくなる一部の期間を除いて放電制限値Wout未満で推移する。一方で、この一部の期間においては、バッテリ出力が不足するため、バッテリ出力が拡大される(下段の破線参照)。電池出力パターンP5に相当するトルクアシストはこのように行われる。
このように、本実施形態によれば、要求トルクと駆動トルクとの乖離の度合いを規定する指標としてタービン回転数Rtを用い、タービン回転数Rtが高い場合は、電池出力パターンP5により、アクセル踏み込み操作開始時点からモータトルクによるトルクアシストが開始される。このため、もたつき感が解消され、好適なドライバビリティが提供される。
一方、タービン回転数Rtが低い場合は、電池出力パターンP4により、ターボ過給器250の応答遅延開始時刻からトルクアシストが開始される。この際、トルクアシストは、モータトルクの出力可能範囲内で、駆動トルクが要求トルクに対して徐々に近付くように行われる。従って、ターボ過給器250の過給応答遅延に起因するトルク段差が解消され、トルク段差がもたらす物理的ショックやもたつき感が解消される。一方、駆動トルクが徐変されることから、飛び出し感についても防止される。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うハイブリッド車両の制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
10…ハイブリッド車両、200…エンジン、250…ターボ過給器、MG1、MG2…モータジェネレータ。
Claims (1)
- 過給器を有する内燃機関と電動機とを備えたハイブリッド車両を制御するハイブリッド車両の制御装置であって、
アクセル踏み込み操作がなされた場合に、要求トルクと実トルクとの乖離の度合いを検出する検出手段と、
前記検出された乖離の度合いが所定値未満である場合に、前記要求トルクに対する前記実トルクの不足分を補うための前記電動機のトルクアシストが前記アクセル踏み込み操作の開始時点から開始されるように前記電動機を制御し、前記検出された乖離の度合いが所定値以上である場合に、前記トルクアシストが前記アクセル踏み込み操作に伴う前記過給器の応答遅延開始時点から開始されるように前記電動機を制御する制御手段と
を具備し、
前記制御手段は、前記検出された乖離の度合いが所定値以上である場合に、前記実トルクを徐変させる
ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
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