JP2015147427A - 異形タイヤインナーライナー及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
タイヤケーシングが構築される際にタイヤが成形工程を受けるため、異形インナーライナーはタイヤ、特に大アスペクト比タイヤに重要である。この成形工程のために、ライナーがセンターライン領域及びショルダー領域で延伸する。これを相殺するために、センターライン及び相当するショルダーゾーン中の一層ヘビーなゲージを非アロイインナーライナーに使用することにより、最終硬化タイヤにおいて一様なゲージが得られるようにしてきた。
しかしながら、DVA インナーライナーは典型的にはインフレートフィルム方法により製造されて一様なゲージを有する傾向があり、それ故、生タイヤ中で異形構造(contour)を欠いている。成形工程中に、DVA インナーライナーは、特にショルダー領域及びセンターライン領域中で、タイヤドラム上で典型的に非一様に延伸し、その結果、硬化タイヤのインナーライナーが非一様なゲージを有し得る。例えば、ショルダー領域及びセンターライン領域中のような薄い領域は、より大きな空気透過性を有する可能性があり、それにより内部タイラゴム構成部品の酸化及びエージングの増大をもたらし得る。
更に、この開示は異形タイヤインナーライナーから形成された物品、特にタイヤに関する。タイヤは実質的に一様なゲージを有するインナーライナーを含む。
また、この開示は異形タイヤインナーライナーを提供する工程を含むバリヤーフィルム及び/又はタイヤインナーライナーの製造方法に関するものであり、前記異形タイヤインナーライナーはエラストマー及びエンジニアリング樹脂の動的加硫アロイを含む。
また、この開示は(i) 実質的に一様なゲージを有する、シームレスタイヤインナーライナー(そのシームレスインナーライナーはスリーブの形態である)を用意する工程(そのシームレスタイヤインナーライナーはエラストマー及びエンジニアリング樹脂の動的加硫アロイを含む)、(ii)前記シームレスタイヤインナーライナーを半径方向及び軸方向の少なくとも一つの延伸にかける工程、及び(iii) 異形タイヤインナーライナーを製造する工程を更に含む方法に関する。
また、この開示は異形タイヤインナーライナーを提供する工程を含む空気入りタイヤの製造方法に関するものであり、前記異形タイヤインナーライナーはエラストマー及びエンジニアリング樹脂の動的加硫アロイを含む。
現在記載される発明に適用し得る定義は以下に記載されるとおりである。
“ゴム”はASTM D1566 定義:“大きい変形から回復でき、かつそれが沸騰溶媒に本質的に不溶性である(が膨潤し得る)状態に変性でき、又は既に変性されている材料”と合致するあらゆるポリマー又はポリマーの組成物を表す。更に、ゴムは無定形材料である。エラストマーはゴムという用語と互換可能に使用し得る用語である。エラストマー組成物は先に定義された少なくとも一種のエラストマーを含むあらゆる組成物を表す。
ASTM D1566により定義される、加硫ゴムコンパウンドは、“変形力の除去後にほぼその初期の寸法及び形状に迅速に、力強く回復し得る小さい力による大きい変形を受け易い、エラストマーから配合された架橋弾性材料”を表す。硬化エラストマー組成物は硬化プロセスを受け、かつ/又は有効量の硬化剤もしくは硬化パッケージを含み、もしくはこれらを使用して製造されるあらゆるエラストマー組成物を表し、加硫ゴムコンパウンドという用語と互換可能に使用される用語である。
“アリール”は芳香族化合物、例えば、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン等の特徴の環構造を形成する炭化水素基を表し、典型的にはその構造内に交互の二重結合(“不飽和”)を有する。こうして、アリール基は芳香族化合物から1個以上の水素をその式から取り去ることにより誘導し得る基、例えば、フェニル、即ち、C6H5である。
置換は化学化合物又は成分の少なくとも1個の水素の置換を表す。こうして、例えば、“置換”スチレン単位として、p-メチルスチレン、p-エチルスチレン等が挙げられる。
本明細書に使用される“質量%”は質量パーセントを意味し、“モル%”はモルパーセントを意味し、“容量%”は容量パーセントを意味し、また全ての分子量は、特にことわらない限り、g/モルの単位である。
本開示は異形DVA インナーライナー及び、特にタイヤ用の、それらの製造方法に関する。現在の技術を使用して製造されるDVA インナーライナーは実質的に一様のゲージを有する傾向がある。本明細書に使用される“実質的に一様なゲージ”は25%未満(好ましくは20%未満、好ましくは15%未満、又は好ましくは10%未満)のゲージ変化を意味する。フィルムゲージはASTM D374-94方法Cに従って測定される。フィルムゲージ変化はメジャーテク・シリーズ200 装置を使用して測定される。この装置はキャパシタンスゲージを使用してフィルム厚さを測定する。夫々のフィルムサンプルについて、フィルムが横方向にゲージ中を通される際に、10フィルム厚さデータ点がフィルム1インチ(2.54cm)当り測定される。三つのフィルムサンプルがゲージ変化を測定するのに使用される。ゲージ変化はフィルム厚さの全範囲(最大マイナス最小)を平均厚さにより割り、その結果を2で割ることにより測定される。ゲージ変化は平均付近の変化%として表される。
記載の容易のために、タイヤインナーライナーの異形構造は最終タイヤ中のその位置に関して記載される。図1は代表的なタイヤの断面を表す。インナーライナー1、ビード2、ビードトウ3、ビードヒール4、側壁5、及びベルト6が本発明に特に重要である。本発明にまた妥当である寸法はショルダー領域7、最大ベルト幅(ベルト幅の半分が8として示される)、タイヤ高さ9、及びショルダー10である。ショルダーは、典型的には最大ベルト幅の約50%のセンターラインからの距離に見られる、ショルダー領域の中間点と考えられる。
本発明のインナーライナーの異形構造はタイヤ構築方法中に消失して異形構造を実質的に欠いているインナーライナーを有するタイヤを生じ、かつ実質的に一様なゲージを有することが好ましい。本発明者らはタイヤ中の実質的に一様のインナーライナーゲージがタイヤケーシングへの最小の空気透過を確実にすることを助け、それにより一層良好な性能を有利にもたらし得ることを示唆する。経済的利益がまたDVA フィルムの一つのサイズを使用して幾つかのサイズのタイヤを構築することができることにより得られる。ストック異形DVA インナーライナーが製造され、幾つかのタイヤインナーライナーサイズが本明細書に記載されるように、延伸により、ストックインナーライナーから誘導し得ることが予知し得る。
本発明者らは、異形DVA インナーライナーがタイヤを構築するのに使用される場合に、最終タイヤがビードからビードまでの実質的に一様なゲージを有するDVA インナーライナーを有利に有することを提案する。このようなタイヤは通常の完全エラストマーインナーライナーを有するタイヤに対し改良された不透過性特性、及び維持又は改良された機械的性質を有すると予想される。
本発明のインナーライナーはエラストマー及びエンジニアリング樹脂の動的加硫アロイを含む。エラストマー成分及びエンジニアリング樹脂成分だけでなく、DVA が以下に説明される。相溶性付与剤、例えば、第二エラストマー、及び添加剤、例えば、充填剤、クレー、及びプロセスオイルがまた以下に説明される。
或る実施態様において、DVA が55:45 〜80:20 、好ましくは60:40 〜75:25 、又は更に好ましくは65:35 〜75:25 のエラストマー対樹脂の質量比のエラストマー及びエンジニアリング樹脂を含む。
エンジニアリング樹脂は典型的にはDVA 中で連続マトリックスを形成し、DVA に不透過性特性を与え、一方、エラストマーは可撓性を与える。タイヤに有益であることが知られている殆どあらゆるエラストマーがDVA 中に使用し得る。高められた不透過性のために、本発明に格別有益なエラストマー組成物はモノマーの混合物を含み、その混合物は少なくとも(1) C4-C7 イソオレフィンモノマー成分と(2) マルチオレフィン、モノマー成分を有する。イソオレフィンは一実施態様では全モノマーの70質量%から99.5質量%まで、また別の実施態様では85質量%から99.5質量%までの範囲で存在する。マルチオレフィンは一実施態様では30質量%から約0.5 質量%まで、また別の実施態様では15質量%から0.5 質量%までの範囲の量で存在する。更に別の実施態様において、モノマー混合物の8質量%から0.5 質量%までがマルチオレフィンである。
本発明の一実施態様において、エラストマーがブチル型ゴム又は分岐ブチル型ゴム、特にこれらのエラストマーのハロゲン化別型である。有益なエラストマーは不飽和ブチルゴム、例えば、オレフィン又はイソオレフィンとマルチオレフィンのコポリマーである。本発明の方法及び組成物に有益な不飽和エラストマーの非限定例はポリ(イソブチレン-コ-イソプレン)、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリ(スチレン-コ-ブタジエン)、天然ゴム、星型分岐ブチルゴム、及びこれらの混合物である。本発明に有益なエラストマーは当業界で知られているあらゆる好適な手段により製造され、本発明は本明細書ではエラストマーの製造方法により限定されない。
本発明のブチルゴムポリマーの一実施態様は95〜99.5質量%のイソブチレンを0.5 〜8質量%のイソプレン、又は更に別の実施態様では、0.5 〜5.0 質量%のイソプレンと反応させることにより得られる。
官能基Xはハロゲン又は或る種のその他の官能基であってもよく、これらはその他の基、例えば、カルボン酸、カルボキシ塩、カルボキシエステル、アミド、及びイミド、ヒドロキシ、アルコキシド、フェノキシド、チオレート、チオエーテル、キサンテート、シアニド、シアネート、アミノ、及びこれらの混合物によるベンジルハロゲンの求核置換によりとり込まれてもよい。これらの官能化イソモノオレフィンコポリマー、それらの調製方法、官能化の方法、及び硬化が、更に特別に米国特許第5,162,445号に開示されている。
実施態様において、エラストマーがイソブチレンと0.5 〜20モル%のパラ-メチルスチレンのランダムポリマーを含み、そのベンジル環に存在するメチル置換基の60モル%までがハロゲン、例えば、臭素又は塩素(パラ-(ブロモメチルスチレン))、酸、又はエステルで官能化される。
別の実施態様において、官能基はポリマー成分が高温で混合される時にそれがマトリックスポリマー中に存在する官能基、例えば、酸官能基、アミノ官能基又はヒドロキシル官能基と反応でき、又は極性結合を形成し得るように選ばれる。
有益な熱可塑性樹脂又はエンジニアリング樹脂(これらの用語は互換可能に使用される)は500 MPa より大きいヤング率、そして、必要により170 ℃〜270 ℃の融点を有するあらゆる熱可塑性ポリマー、コポリマー又はこれらの混合物であると定義され、下記の一種以上が挙げられるが、これらに限定されない:a)ポリアミド樹脂:ナイロン6(N6)、ナイロン66(N66) 、ナイロン46(N46) 、ナイロン11(N11) 、ナイロン12(N12) 、ナイロン610 (N610)、ナイロン612 (N612)、ナイロン6/66コポリマー(N6/66) 、ナイロン6/66/610(N6/66/610)、ナイロンMXD6(MXD6)、ナイロン6T(N6T) 、ナイロン6/6Tコポリマー、ナイロン66/PP コポリマー、ナイロン66/PPSコポリマー;b)ポリエステル樹脂:ポリブチレンテレフタレート(PBT) 、ポリエチレンテレフタレート(PET) 、ポリエチレンイソフタレート(PEI) 、PET/PEI コポリマー、ポリアクリレート(PAR) 、ポリブチレンナフタレート(PBN) 、液体結晶性ポリエステル、ポリオキシアルキレンジイミドジ酸/ポリブチレートテレフタレートコポリマー及びその他の芳香族ポリエステル:c)ポリニトリル樹脂:ポリアクリロニトリル(PAN) 、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル-スチレンコポリマー(AS)、メタクリロニトリル-スチレンコポリマー、メタクリロニトリル-スチレン-ブタジエンコポリマー;d)ポリメタクリレート樹脂:ポリメチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート;e)ポリビニル樹脂:酢酸ビニル(EVA) 、ポリビニルアルコール(PVA) 、ビニルアルコール/エチレンコポリマー(EVOA)、エチレン/ビニルアルコールコポリマー(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC) 、ポリビニル/ポリビニリデンコポリマー、ポリ塩化ビニリデン/メタクリレートコポリマー;f)セルロース樹脂:セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート;g)フッ素樹脂:ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF) 、ポリクロロフルオロエチレン(PCTFE) 、テトラフルオロエチレン/エチレンコポリマー(ETFE);h)芳香族ポリイミド;i)ポリスルホン;j)ポリアセタール;k)ポリラクトン;l)ポリフェニレンオキサイド及びポリフェニレンスルフィド;m)スチレン-無水マレイン酸;n)芳香族ポリケトン;並びにo) a)〜n)のいずれか及び全ての混合物だけでなく、a)〜n)の夫々の中の例示のエンジニアリング樹脂のいずれかの混合物。本開示の目的のために、エンジニアリング樹脂の定義はオレフィンのポリマー、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレンを除く。好ましいエンジニアリング樹脂として、ポリアミド樹脂及びこれらの混合物が挙げられ、特に好ましい樹脂として、ナイロン6、ナイロン6/66コポリマー、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610 、ナイロン612 及びそれらのブレンドが挙げられる。
その他のエラストマー(即ち“第二エラストマー”)がハロゲン化イソブチレンをベースとするエラストマーと組み合わせて使用し得る。一般に、異形タイヤインナーライナーに有益な第二エラストマーとして、例えば、天然エラストマー(NR)、高ジエンエラストマー、イソプレンエラストマー(IR)、エポキシ化天然エラストマー、スチレンブタジエンエラストマー(SBR) 、ポリブタジエンエラストマー(BR)(高シス-BR 及び低シス-BR を含む)、ニトリルブタジエンエラストマー(NBR) 、水素化NBR 、水素化SBR 、オレフィンエラストマー(例えば、エチレンプロピレンエラストマー(EPDM及びEPM の両方を含む)、マレイン酸変性エチレンプロピレンエラストマー(M-EPM) 、ブチルエラストマー(IIR)、イソブチレンと芳香族ビニル又はジエンモノマーコポリマー、アクリルエラストマー(ACM) 、イオノマー、その他のハロゲン含有エラストマー(例えば、クロロプレンエラストマー(CR)、ヒドリンエラストマー(CHR) 、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM) 、塩素化ポリエチレン(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレン(M-CM)、シリコーンエラストマー(例えば、メチルビニルシリコーンエラストマー、ジメチルシリコーンエラストマー、メチルフェニルビニルシリコーンエラストマー)、硫黄含有エラストマー(例えば、ポリスルフィドエラストマー)、フルオロエラストマー(例えば、フッ化ビニリデンエラストマー、フッ素含有ビニルエーテルをベースとするエラストマー、テトラフルオロエチレン-プロピレンエラストマー、フッ素含有シリコーンエラストマー、フッ素含有ホスファーゲンエラストマー)、熱可塑性エラストマー(例えば、スチレン含有エラストマー、オレフィンエラストマー、エステルエラストマー、ウレタンエラストマー、又はポリアミドエラストマー)、及びそれらの混合物が挙げられる。
注目されるような、小粒子の形態で熱可塑性マトリックス中に分散された、第二エラストマーは、イソブチレンをベースとするエラストマー又はハロゲン化イソブチレンをベースとするエラストマーに関して記載されたように、必要により部分的に、実質的に、又は完全に硬化、架橋又は加硫し得る。このような架橋はハロゲン化エラストマー成分に適用されるのと同じ動的加硫方法を使用することにより第二エラストマーをポリアミドマトリックス中に分散する過程で達成し得る。
存在する場合、第二エラストマー(官能化又は非官能化)の量は典型的には20質量%未満、好ましくは10質量%未満、一般に0.5 質量%〜20質量%、例えば、5質量%〜15質量%、例えば、7.5 質量%〜12.5質量%である。
本明細書に記載された組成物は一種以上の充填剤成分、例えば、炭酸カルシウム、クレー、マイカ、シリカ及びシリケート、タルク、二酸化チタン、澱粉並びにその他の有機充填剤、例えば、木粉、及びカーボンブラックを有してもよい。好適な充填剤として、カーボンブラック、例えば、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、変性カーボンブラック、例えば、シリカ処理又はシリカ被覆カーボンブラック等が挙げられる。強化等級のカーボンブラックが好ましい。充填剤として、またその他の強化材又は非強化材、例えば、シリカ、クレー、炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン等が挙げられる。充填剤は組成物中に存在するエラストマーの0質量%から30質量%までのレベルで存在してもよい。
表層剥離クレー、内位添加クレー、又は分散クレーがまた組成物中に存在してもよい。これらのクレー(また、“ナノクレー”と称される)が公知である。本開示の目的に適した膨潤可能な層状クレー材料として、天然又は合成フィロシリケート、特にスメクタイトクレー、例えば、モンモリロナイト、ノントロナイト、バイデルライト、ボルコンスコイト、ラポナイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、マグダイト、ケニヤイト、ステベンサイト等だけでなく、バーミキュライト、ハロイサイト、酸化アルミネート、ハイドロタルサイト等が挙げられる。これらの層状クレーは一般に一緒に結合され、層間表面に存在する交換可能なカチオン、例えば、Na+ 、Ca+2、K+又はMg+2を含む、一実施態様では典型的には4〜20Å、また別の実施態様では8〜12Åの厚さを有する多数のシリケート小板状体を含む粒子を含む。
存在する場合、本明細書に記載された組成物中に含まれる表層剥離、内位添加、又は分散されたクレーの量は組成物の機械的性質又はバリヤー特性、例えば、引張強さ又は空気/酸素不透過性の改良を生じるのに充分な量である。これらの量は典型的には組成物のポリマー含量を基準として、一実施態様では0.5 〜15質量%、また別の実施態様では1〜10質量%、また更に別の実施態様では1〜5質量%であってもよい。
或る実施態様において、2009年8月27日に出願された、米国特許出願第12/548,797号に記載されたものの如き相溶性付与剤、好ましくはポリイソブチレン無水コハク酸(PIBSA) エラストマーが、使用し得る。
上記エラストマーのいずれかの少なくとも一種及び上記エンジニアリング樹脂のいずれかの少なくとも一種がブレンドされて動的加硫アロイを生成する。“動的加硫”という用語は加硫可能なエラストマーが高せん断及び高温の条件下で熱可塑性樹脂の存在下で加硫される加硫方法を意味するために本明細書に使用される。結果として、加硫可能なエラストマーが同時に架橋されて、好ましくは熱可塑性マトリックス内に“ミクロゲル”の微細なミクロン以下のサイズの粒子として分散されるようになる。エラストマーは数平均均等ドメイン直径が0.1 ミクロンから1ミクロンの範囲である場合に小粒子サイズを有する。得られる物質が動的加硫アロイ(“DVA”)としばしば称される。
エラストマーは熱可塑性樹脂/エラストマーブレンドを基準として、一実施態様では90質量%まで、別の実施態様では70質量%まで、別の実施態様では60質量%まで、更に別の実施態様では40質量%までの質量の量で組成物中に存在してもよい。更に別の実施態様(これらのいずれかは上記最大質量%のいずれかと組み合わされてもよい)において、エラストマーが少なくとも2質量%で、別の実施態様では少なくとも10質量%で、更に別の実施態様では少なくとも20質量%で、更に別の実施態様では少なくとも35質量%で存在してもよい。
或る実施態様において、可塑剤がエラストマー及び熱可塑性ブレンドと合わされる。好適な可塑剤として、サンマイドTM(三和化学工業社、神奈川、日本)及びUni-RezTM(アリゾナ・ケミカル、ジャクソンビル、FL.)を含む種々のトレードマークで販売されるものが挙げられる。このような材料は典型的には20,000ダルトン未満、例えば、1,000 〜18,000ダルトン、好ましくは3,000 〜17,000ダルトンの分子量を有し、250 ℃より高い引火点、-20 ℃未満の脆化温度、及び約180 ℃未満の軟化温度を有する。
少なくとも一種の促進剤の使用を伴ない、又は伴なわない、一種以上の加硫剤が、当業界で一種以上のエラストマーのための加硫“系”としばしば称される。加硫系が使用される。何とならば、特に高ジエンエラストマーと反応性ではないエラストマーの混合物が使用される場合には、典型的には一種より多い加硫剤が有益な効果のために使用されるからである。
加硫系は、例えば、このような目的のためにゴム工業で普通に使用されるあらゆる混合装置、例えば、2本ロールゴムミル、バンバリーミキサー、混合押出機等を使用して熱可塑性樹脂へのゴム含有組成物の添加の前のプロセス工程でゴム及び硬化系成分を混合することにより、ゴム成分に好適な濃度で分散でき、そのゴム成分は必要により一種以上の充填剤、エキステンダー及び/又は可塑剤を含んでもよい。このような混合がゴム組成物の“促進”と普通称される。また、ゴム組成物は動的加硫を行なう前に混合押出機のステージで促進し得るが、これは商用の、実用的な、総合方法で制御するのに困難であり、それ程望ましくない。加硫系が混合装置(その中で動的加硫を行なうことが意図されている)中の一種以上の熱可塑性樹脂へのゴムの添加の前に、ゴム相、又はゴム組成物(また必要により一種以上の充填剤、エキステンダー及びその意図される最終使用の適用のためのその他の普通の成分を含んでもよい)中に分散し得ることが特に好ましい。そうすることにより、予備配合されたゴム組成物が、以下に記載されるように、動的加硫装置、好ましくは混合押出機への一層有効な供給のためにペレット化し得る。
また、促進コンパウンドは振動ディスク硬化レオメーター試験(試験及び材料に関する米国協会、規格ASTM D412に詳しく記載されている)を使用して加硫の状態について試験し得る。その後に動的加硫プロセスの総時間及び温度が調節でき、その結果、組成物中に存在する加硫性エラストマーが充分に硬化されてそれらが一部である熱可塑性組成物の所望の性質、例えば、空気又は流体保持バリヤー、例えば、タイヤ用のインナーライナーを得る。
好ましいポリマー成分は一種以上の加硫性成分としてのハロゲン化イソブチレン含有コポリマー、例えば、ハロゲン化ブチル、例えば、塩素化ブチル又は臭素化ブチル、及び臭素化ポリ(イソブチレン-コ-p-メチルスチレン)(BIMSコポリマー)、及び熱可塑性ポリマー、例えば、ナイロン又は種々のナイロンポリマーの混合物を含む。本明細書に記載された動的加硫組成物がエンジニアリング樹脂の連続マトリックス中に分散され、部分又は完全硬化された、小粒子の形態の一種以上のハロゲン化エラストマー成分を含むことが特に好ましい。
本明細書中の実施態様は異形タイヤインナーライナーを提供する工程を含むタイヤインナーライナーの製造方法に関するものであり、前記異形タイヤインナーライナーはエラストマーとエンジニアリング樹脂の動的加硫アロイを含む。或る実施態様において、異形タイヤインナーライナーがビード端部におけるゲージより大きい異形タイヤインナーライナーのセンターラインにおけるゲージを有する。その他の実施態様において、異形タイヤインナーライナーがセンターラインにおけるゲージより大きい異形タイヤインナーライナーのショルダー領域におけるゲージを有する。
このような異形DVA インナーライナーが異形構造を製造するための当業界で知られているあらゆる方法、及びこれらの適合を使用して製造し得ることは本開示の範囲内である。
異形タイヤインナーライナーは当業界で知られているあらゆる手段によりインナーライナーに成形し得る。例えば、DVA がシート、フィルム、又は管に押し出され、カレンダー掛けされ、又は成形されてもよい。特別な実施態様において、インフレートフィルムがシートに連続的に切断されてもよい。こうして得られたシート又は管状の成形物品が空気入りタイヤ又は低ガス透過性ホースのホース管もしくはホースカバーのインナーライナー層に有効に使用し得る。更に、その組成物の低透過性特性がガス以外の流体、例えば、液体、例えば、水、油圧油、ブレーキ液、伝熱流体等との使用に適しており、但し、流体と直接接触する層が取り扱われている流体に対し好適な耐性を有することを条件とする。
異形化工程(contouring step)(また“ゲージプロファイリング”として知られている)は押出及びカレンダー掛けにより起こり得る。このような実施態様において、異形タイヤインナーライナーが異形シートを含む。特別な実施態様において、異形シートがキャストフィルムを含む。
或る実施態様において、加熱できるドラムが約170 ℃から230 ℃まで(好ましくは180 〜220 ℃、190 〜210 ℃、又は190 ℃〜200 ℃)の範囲の温度に加熱される。フィルムがフィルムを破壊せず、又はそれ以外にフィルムの保全性を損なわないで、好ましくは30秒以下(好ましくは20秒以下、10秒以下、5秒以下、又は1秒以下)の時間にわたって、所望の温度に達するまで、ドラムが加熱される。
次いで加熱されたフィルムが0.01秒-1以上、0.10秒-1以上、又は1.00秒-1以上の延伸速度で延伸されてもよい。フィルムが半径方向及び/又は軸方向の、500 %未満、好ましくは400 %未満、好ましくは300 %未満、200 %未満、100 %未満の全歪まで変形される。
異形インナーライナーから製造されたタイヤの透過係数が60もしくは50又は40cc*mm/m2-日未満であることが望ましい。別の実施態様において、異形インナーライナーから製造されたタイヤが0.08もしくは0.015又は0.05 cc*mm/m2-日・mmHg未満の透過係数を有する。
1.エンジニアリング樹脂(好ましくはナイロン)及びエラストマー(好ましくは官能化ポリ(イソブチレン-コ-アルキルスチレン))(好ましくは55:45 〜80:20 、好ましくは60:40 〜75:25 、又は更に好ましくは65:35 〜75:25 のエラストマー対樹脂の質量比の)の動的加硫アロイを含むタイヤインナーライナー;前記インナーライナーが異形形態であり(そのインナーライナーがセンターライン及び対向端部を有し、好ましくは夫々の端部におけるゲージより大きいセンターラインにおけるゲージを有し、好ましくはインナーライナーのセンターライン対端部ゲージ比が約3.0:1.0 、約2.5:1.0 、約2.0:1.1 、約1.8:1.0 、又は約1.5:1.0 である)(また、インナーライナーがセンターラインから測定して、最大ベルト幅の40%〜60%の距離にショルダー領域を有し、インナーライナーがセンターラインにおけるゲージより大きいショルダー領域におけるゲージを有し、好ましくはインナーライナーのショルダー領域対センターラインのゲージ比が約3.0:1.0 、約2.5:1.0 、約2.0:1.1 、約1.8:1.0 、又は約1.5:1.0 である)。
2.端部における厚さが約10μmから500 μmまで、約50μmから500 μmまで、100 μmから450 μmまで、又は200 μmから400 μmまでである、パラグラフ1のタイヤインナーライナー。
4.異形タイヤインナーライナー(そのインナーライナーはエラストマーとエンジニアリング樹脂の動的加硫アロイを含む)を提供する工程を含む、パラグラフ3のタイヤに有益な、パラグラフ1〜2のタイヤインナーライナーの製造方法。
5.タイヤインナーライナーがキャストフィルムを含み、更に(i) 動的加硫アロイを押し出す工程、及び、(ii)押し出された動的加硫アロイをカレンダー掛けして異形タイヤインナーライナーを提供する工程を含む、パラグラフ4の方法。
6.タイヤインナーライナーが非一様に延伸されたスリーブを含み、更に(i) 実質的に一様なゲージを有する、シームレスタイヤインナーライナー(好ましくはインフレートフィルムを含む)を提供する工程(そのシームレスタイヤインナーライナーはスリーブの形態であり、そのシームレスタイヤインナーライナーはエラストマーとエンジニアリング樹脂の動的加硫アロイを含む)、(ii)前記シームレスタイヤインナーライナーを半径方向及び軸方向の少なくとも一つの非一様な延伸にかける工程(好ましくは加熱されたエキスパンダブルドラムで)、及び(iii) 異形タイヤインナーライナーを製造する工程を含む、パラグラフ4の方法。
7.パラグラフ4〜6の方法を含む空気入りタイヤの製造方法。
8. シームレスタイヤインナーライナーを半径方向に延伸する工程を含むシームレスタイヤインナーライナーの直径を増大する方法(そのシームレスタイヤインナーライナーはエラストマーとエンジニアリング樹脂の動的加硫アロイを含む)。
1. エラストマー及びエンジニアリング樹脂の動的加硫アロイを含むタイヤインナーライナーであって、そのインナーライナーが異形形態であることを特徴とする前記タイヤインナーライナー。
2. タイヤインナーライナーがセンターライン及び対向端部を有し、かつ、タイヤインナーライナーが、端部におけるゲージより大きいセンターラインにおけるゲージを有する、上記1記載のタイヤインナーライナー。
3. タイヤインナーライナーのセンターライン対端部ゲージ比が約2.5:1.0 である、上記1又は2記載のタイヤインナーライナー。
4. タイヤインナーライナーが、一対のショルダー領域を有し、夫々のショルダー領域におけるゲージはインナーライナーセンターラインにおけるゲージより大きく、ショルダー領域の間の中央部分がインナーライナー幅の25%〜40%の幅を有し、かつ、夫々のショルダー領域がインナーライナー幅の10%〜25%の幅を有する、上記1から3のいずれか1項記載のタイヤインナーライナー。
5. インナーライナーのショルダー対センターラインのゲージ比が約2.5:1.0 である、上記1から4のいずれか1項記載のタイヤインナーライナー。
6. 端部における厚さが約10μmから500 μmまでの範囲内である、上記1から5のいずれか1項記載のタイヤインナーライナー。
7. エラストマーが官能化ポリ(イソブチレン-コ-アルキルスチレン)であり、かつエンジニアリング樹脂がナイロンである、上記1記載のタイヤインナーライナー。
8. 上記1記載のタイヤインナーライナーを含むタイヤ。
9. 異形タイヤインナーライナーを提供する工程であって、前記タイヤインナーライナーはエラストマーとエンジニアリング樹脂の動的加硫アロイを含む工程を含む、タイヤインナーライナーの製造方法。
10. タイヤインナーライナーがキャストフィルムを含む、上記9記載の方法。
11. (i) 動的加硫アロイを押し出す工程、及び
(ii)押し出された動的加硫アロイをカレンダー掛けしてタイヤインナーライナーを提供する工程、
を更に含む上記9又は10記載の方法。
12. タイヤインナーライナーが非一様に延伸されたスリーブを含む、上記9から11のいずれか1項記載の方法。
13. (i) 実質的に一様なゲージを有する、スリーブの形態にあるシームレスタイヤインナーライナーを提供する工程であって、前記シームレスタイヤインナーライナーがエラストマーとエンジニアリング樹脂の動的加硫アロイを含む、工程、
(ii)前記シームレスタイヤインナーライナーを半径方向及び軸方向の少なくとも一つの延伸にかける工程、及び、
(iii) 異形タイヤインナーライナーを製造する工程、
を更に含む、上記9から12のいずれか1項記載の方法。
14. シームレスタイヤインナーライナーがインフレートフィルムを含む、上記9から13のいずれか1項記載の方法。
15. 工程(ii)の延伸が加熱されたエキスパンダブルドラム上で起こる、上記9から13のいずれか1項記載の方法。
16. タイヤインナーライナーがセンターライン及び対向端部を有し、センターラインにおけるゲージが端部におけるゲージより大きい、上記9記載の方法。
17. 異形タイヤインナーライナーのセンターラインにおける厚さ対端部における厚さの比が約2.5:1.0 である、上記16記載の方法。
18. タイヤインナーライナーがセンターラインから測定して、最大ベルト幅の40%〜60%の距離にショルダー領域を有し、かつタイヤインナーライナーがセンターラインにおけるゲージより大きいショルダー領域におけるゲージを有する、上記9記載の方法。
19. タイヤインナーライナーのショルダーにおける厚さ対センターラインにおける厚さの比が約2.5:1.0 である、上記18記載の方法。
20. タイヤインナーライナーの端部における厚さが約10μmから500 μmまでの範囲である、上記9記載の方法。
21. エラストマーが官能化ポリ(イソブチレン-コ-アルキルスチレン)であり、かつ、エンジニアリング樹脂がナイロンである、上記9記載の方法。
22. シームレスタイヤインナーライナーを半径方向に延伸する工程を含むシームレスタイヤインナーライナーの直径を増大する方法であって、前記シームレスタイヤインナーライナーがエラストマー及びエンジニアリング樹脂の動的加硫アロイを含むことを特徴とする前記方法。
標本の厚さが変化し、Mahr Federal社の厚さゲージにより手動で測定した。ゲージ(μm)を異形シートの幅(インチ)にわたって測定し、データを図3に要約した。図3はレギュラーゲージフィルムと較べての、異形DVA フィルムについてのゲージ分布を示す。
これらの異形DVA インナーライナーは実質的に一様のゲージを有する標準のインナーライナーと比較し得る。下記の試験を使用し得る:応力/歪特性、引張特性、ショアーA硬度、及び透過性試験。異形DVA インナーライナーは表1に以下に示される少なくとも公称の性質と較べて、改良された空気不透過性を示し、改良又は維持された機械的性質を有すると予想される。
2−ビード
3−ビードトウ
4−ビードヒール
5−側壁
6−ベルト
7−ショルダー領域
8−ベルト幅の半分
9−タイヤ高さ
10−ショルダー
Claims (7)
- 以下の工程を含む、タイヤインナーライナーを含むタイヤの製造方法:
異形タイヤインナーライナーを形成する工程であって、前記タイヤインナーライナーは、エラストマー及びエンジニアリング樹脂の動的加硫アロイを含み、前記タイヤインナーライナーは、タイヤ構築方法の前のインナーライナーの最も厚い部分及び最も薄い部分における厚さが25%より大きく異なるように異形形態である、工程、
前記異形タイヤインナーライナーを含む生タイヤを構築する工程であって、タイヤの構築中、タイヤインナーライナーのゲージがインナーライナーの非一様な延伸によって標準化される、工程。 - タイヤインナーライナーが、キャストフィルム、インフレートフィルム又は押出フィルムを含む、請求項1記載の方法。
- 下記の方法の1つによって異形タイヤインナーライナーを提供する工程を更に含む、請求項1又は2記載の方法:
(i) 動的加硫アロイを押し出した後、押し出された動的加硫アロイをカレンダー掛けして異形タイヤインナーライナーを作製する工程、又は、
(ii) 実質的に一様なゲージを有する、スリーブの形態にあるシームレスタイヤインナーライナーを提供し;前記シームレスタイヤインナーライナーを半径方向及び軸方向の少なくとも一つの延伸にかけることにより異形タイヤインナーライナーを製造する工程。 - タイヤインナーライナーがセンターライン及び対向端部を有し、センターラインにおけるゲージが端部におけるゲージより大きい、請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
- インナーライナーのセンターライン対端部ゲージ比が2.5:1.0である、請求項1から4のいずれか1項記載の方法。
- タイヤインナーライナーが、一対のショルダー領域を有し、夫々のショルダー領域におけるゲージはインナーライナーセンターラインにおけるゲージより大きく、ショルダー領域の間の中央部分がインナーライナー幅の25%〜40%の幅を有し、かつ、夫々のショルダー領域がインナーライナー幅の10%〜25%の幅を有する、請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
- エラストマーが官能化ポリ(イソブチレン-コ-アルキルスチレン)であり、かつ、エンジニアリング樹脂がナイロンである、請求項1から6のいずれか1項記載の方法。
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