JP2015146961A - 眼科装置及び眼科装置の制御方法 - Google Patents

眼科装置及び眼科装置の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】複数の被検眼の画像を得ようとした場合、瞳孔の散瞳状態や、被検者の人種の違い等の撮影条件の差により、これらを一定の明るさの条件下にてそろえる。
【解決手段】眼科装置において、被検眼の撮影に際しての撮影構図を判定する撮影構図判定手段と、被検眼の撮影画像におけるハイライトポイントの輝度を求めるハイライト輝度算出手段と、撮影構図判定手段により判定された撮影構図に応じて、ハイライトポイントの目標輝度を設定する目標輝度設定手段と、ハイライトポイントの輝度と目標輝度とに応じて被検眼の画像を補正する画像補正手段と、を配する。
【選択図】図6

Description

本発明は、眼科医院等で使用される眼科検査に供せられる眼科撮影装置等、眼科装置、及び眼科装置の制御方法に関するものである。
眼科撮影装置等の眼科装置として、被検眼の眼底撮影を行う眼底カメラが広く知られている。また眼底カメラにおいては、被検眼の観察を行い、検査目的に合わせた撮影を行うためのカラー撮影、FAG(可視蛍光撮影)、ICG(近赤外蛍光撮影)等の複数の撮影モードを有する装置が知られている。
ここで、眼科撮影装置により得られる撮影画像は、被検眼の瞳孔の散瞳状態や、被検者の人種の違いによる反射率の差等により明るさが異なることが知られている。
特許文献1に開示される技術では、この明るさの相違に対してさらに撮影画像を解析し、明るさの補正を行う技術が開示されている。
また、眼底カメラに限らない一般的な画像補正の技術として、階調情報を抽出し、抽出した階調情報と修正目標と対比しデータ変換特性を生成し、画像変換を行う階調補正装置が、特許文献2に示されている。
特開2012−50588号公報 特開昭61−105962号公報
ここで、例えば眼底画像を撮像する場合、眼底には比較的明るく撮影される視神経乳頭部や、比較的暗く撮影される黄斑部といった部位が存在する。従って、撮像対象をこれらの何れを選択するかにより、画像の明るさは大きく異なる。また、眼底画像においては、画像の中心部と画像の周囲端部とでは、画像の明るさにおいて相違することも知られている。これらの効果が相乗することにより、眼底画像において明るさを一様にできない場合があることを本発明者は見出した。
この様な被検眼の画像において特有の課題に対し、特許文献1に開示する明るさ補正では明るさを一定とすることが容易ではない。或いは、特許文献2に例示される単純な階調補正では、抽出される階調情報が構図により異なるため、異なる構図に対しては充分な対応が出来ない。また、眼底画像等は例えば年度毎に継続して撮像される場合があるように、同一対象を複数枚異なった時間において得ることも考えられる。このような場合には、特に一様な明るさを伴った眼底画像等を安定的に得ることが求められる。
本発明はこのような状況に鑑みて為されたものであって、被検眼の瞳孔の散瞳状態や、被検者の人種の違い等の撮影条件の差があっても、明るさのばらつきを低減した被検眼の画像を得ることが可能となる眼科装置或いは眼科装置の制御方法の提供を目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る眼科装置は、被検眼の撮影に際しての撮影構図を判定する撮影構図判定手段と、
前記被検眼の撮影画像におけるハイライトポイントの輝度を求めるハイライト輝度算出手段と、
前記撮影構図判定手段により判定された撮影構図に応じて、前記ハイライトポイントの目標輝度を設定する目標輝度設定手段と、
前記ハイライトポイントの輝度と前記目標輝度とに応じて前記被検眼の画像を補正する画像補正手段と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、被検眼の瞳孔の散瞳状態や、被検者の人種の違い等の撮影条件の差があっても、明るさのばらつきを低減した眼底画像を取得することが可能となる。
眼科装置の一態様である眼底撮像装置における像高と明るさの関係を示す図である。 眼底画像の撮影における代表的な構図を示す図である。 本発明の実施例1である眼底撮像装置の全体の構成図である。 図3に例示する眼底撮像装置の測定部の構成を示す図である。 液晶板の固視標となる開口部と遮光部の位置関係を表す図である。 実施例1における眼底撮像装置の画像補正部の処理を示すフローチャートである。 実施例1におけるハイライト目標輝度算出テーブルである。 実施例1及び2におけるハイライト目標輝度算出テーブルである。 階調補正テーブルである。 実施例2における眼底撮像装置の画像補正部の処理を示すフローチャートである。 実施例2における視神経乳頭検出方法を説明する図である。
本発明を案出する際に検討された眼底画像毎における明るさの相違の理由についてまず述べる。
図1は、眼底画像における画像の中心部と端部の明るさの差を示す図である。眼底カメラは、眼底という微小な領域を撮影するため、図1に示すように画像中央部と端部では明るさの差が生じてしまう。これは、眼底面を照射する光源の問題や、レンズにより生じ、さらにγ変換のような画像処理の特性により変化する。即ち眼科装置における光学系の設計により変動はあるが、設計のみにより画像の位置によらず一定の明るさにすることは容易ではない。
次に、眼底画像の撮影構図について説明する。前述したように、眼底には比較的明るく撮影される視神経乳頭部や、比較的暗く撮影される黄斑部といった部位が存在する。そのため、撮影したい部位が撮像画面の中心に映るように被検眼を誘導し撮影構図を変える撮影が行われる。図2にその代表的な構図により撮影される眼底画像を模式的に示す。図中ODは、視神経乳頭を模式的に示しており、通常この部位が最も明るく撮影される。また、Mは黄斑を示しており、比較的暗く撮影される。図2(a)は後極中心撮影と呼ばれる構図であり、視神経乳頭部ODと黄斑部M双方が画像の中心に近い場所に配置されるような構図である。また、図2(b)は、視神経乳頭部ODが、画像の中心に配置される撮影構図である。さらに、図2(c)は、黄斑部Mが画像の中心に配置される撮影構図である。
これらの撮影構図において、同一の被検眼を同一の撮影条件で撮影を行った場合においても、視神経乳頭の像高は、図2(a)、2(b)、或いは2(c)では異なるため、その明るさも異なることになる。つまり、視神経乳頭がもっとも像中心に近い撮影構図である図2(b)の視神経乳頭が最も明るく撮影され、視神経乳頭の像高が最も高い図2(c)の視神経乳頭が最も暗く撮影されることになる。
このように撮影構図により、同一被検眼の同一部位を撮影してもその明るさは異なってしまう。例えば、従来の技術によって図2(a)に示される構図での画像を変換目標とするような補正処理が行われると考えると、図2(b)の構図での画像では、ハイライトポイントとなる視神経乳頭が図2(a)の画像中と比較して明るくなるため、全体的に暗くするデータ変換特性が作成される。しかしながら、視神経乳頭位置が異なるため、同一の撮影条件であれば、位置の差に相当して視神経乳頭は明るくなるはずである。しかし、当該画像中ではこの位置による明るさの差が考慮されていないため、視神経乳頭部の明るさは、図2(b)に示す画像の場合に近くなる一方、視神経乳頭以外の部分は、暗くなりすぎるという課題が生じることが分かった。逆に、図2(c)の構図の画像では、ハイライトポイントとなる視神経乳頭が図2(a)の画像中と比較して暗くなるため、全体的に明るくするデータ変換特性が作成される。この場合、視神経乳頭以外の部分は、明るくなりすぎてしまう。
以下、このような理由から生じる明るさ補正を為す本発明を、図示の実施例に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例では、眼科装置における眼底撮像装置を例として述べる。
<撮像装置構成>
本実施例における眼底撮像装置の全体の構成について、図3から図5を用いて説明する。図3は眼底撮像装置の側面図であり、測定部100、本体部103、カメラ部102、ジョイスティック104、あご台105を有する。
カメラ部102は、後述の蓄積電荷読み取り部14を有する。測定部100は、不図示のモーターと制御回路により本体部103に対して3次元的に駆動可能なように構成されており、ジョイスティック104の操作、もしくは後述の制御部により制御可能なように構成されている。また、あご台105は、被検者のあごと額とを固定することで、被検眼の固定を促す。測定部100には、画像を表示する表示部17が付随する。
図4は眼底撮像装置である眼底カメラの測定部100の構成を示している。観察用光源1から被検眼Eの前方に位置する対物レンズ2に至る光路O1上には、観察用光源1、コンデンサレンズ3、撮影用光源4、及びミラー5がこの順序にて配列されている。また、ミラー5の反射方向には、リング状の開口を有する絞り6、リレーレンズ7、孔あきミラー8が順次に配列され、これらにより眼底照明光学系が構成されている。また、観察用光源1は、近赤外光を発するLED光源からなる。
孔あきミラー8の背後の光路O2上には、合焦レンズ9、撮影レンズ10、及びCCD等から成る撮像素子11が順次に配列され、これらにより眼底撮影光学系が構成されている。
また、孔あきミラー8の孔部の近傍の光路O2から左右方向にずれた位置には、指標光束を導くライトガイド12aの出射端が配置され、このライトガイド12aの入射端には、アライメント指標を点灯するためのLED光源13aが接続されている。ライトガイド12aの出射端の光路O2に対して対称な位置には、図示しないライトガイド12bの出射端が配置され、ライトガイド12bの入射端にはLED光源13aと同様の波長を有する図示しないLED光源13bが接続されている。これらによりアライメント用指標投影光学系が構成されている。
撮像素子11の出力は蓄積電荷読取部14、及び画像信号処理部15を介して、眼底カメラ全体を制御するシステム制御部16に接続されている。更に、画像信号処理部15には、撮像された画像を表示する表示部17、が接続されている。
眼底観察時において、観察用光源1を出射した照明光は、コンデンサレンズ3、撮影用光源4を通過しミラー5で反射される。ミラー5で反射された反射光は、絞り6、リレーレンズ7を通過し、孔あきミラー8の周辺部で反射され、対物レンズ2を介して、被検眼Eの眼底Erを照射する。眼底Erの反射光は、対物レンズ2、孔あきミラー8の孔部、合焦レンズ9、及び撮影レンズ10を通過し、撮像素子11の撮像面上に結像し、眼底画像として観察される。
ライトガイド12a、12bの出射端から出射するLED光源13a、13bからの指標光束は、各々アライメント指標像として対物レンズ2を介して被検眼Eに投影される。被検眼Eと眼底カメラとの作動距離が適正な場合には、被検眼Eの角膜面で反射された指標光束の反射像は平行光となり、照明光束の眼底反射光と同じ光路を経て撮像素子11の撮像面上に、それぞれ指標像を形成する。
蓄積電荷読取部14は撮像素子11の光電変換後の蓄積電荷を保持し、蓄積電荷の読み取り、及び保持された電荷のクリアを連続的に行いながら信号を読み取り、画像信号処理部15に出力する。出力された画像は、システム制御部16に送られ、後述のアライメント制御に用いられる。また、システム制御部では、アライメント指標像から検出したアライメントのずれ方向とずれ量から、測定部を適正なアライメント位置へ測定部100を駆動させる制御も行う。
ここで、固視光学系について図4を用いて説明する。被検眼Eと対向している対物レンズ2の背後の光路O2上にはダイクロイックミラー19が配置され、当該ダイクロイックミラー19により固視光学系への光路の分岐が為される。ダイクロイックミラー19の反射方向には、リレーレンズ20が配置されており、被検眼Eを固視させるための任意の位置に点灯可能な液晶板21、及び光源22が配置される。
オペレータは被検眼Eの所望部位を撮影するために、液晶板21上の所望の位置での点灯を行う。所望部位を変更する場合は、例えば十字キー等の不図示の固視標移動スイッチを使用して、液晶板21上の点灯位置を移動させる。より詳細には、液晶板21の固視標となる開口部21aと遮光部21bの位置関係は、図5に示すようになっている。液晶板21は、8×8のマトリクスで構成しており、固指標移動スイッチの指示に従い8×8すべてを動かし、被検者の視線を誘導しても良いし、代表的な構図である、後極中心、視神経乳頭中心、黄斑中心を検者が設定し、それに対応する開口部のみを用いて設定するようにもできる。
このようにして被検眼の視線を誘導し、アライメントが完了すると、検者は図示しない撮影スイッチを押す。これにより、観察用光源1は消灯し、撮影用光源4が発光し、射出された撮影照明光束は、上述の観察用光源1から射出された照明光束と同様の光路を辿り、被検眼Eの眼底Erを照明する。眼底Erからの反射光束は、再び対物レンズ2、合焦レンズ9、及び撮影レンズ10を介し、撮像素子11に結像し記録される。
また、本実施例における光学系、および画像処理系で撮影した画像の位置と明るさの関係は図1に示すような関係にある。画像中心の明るさを1.0とした場合、中心と画像端の中間あたりでは、およそ0.8の明るさとなり、画像の端部では0.6の明るさになる。
さらに、本実施例における眼底カメラにあっては、撮影者は不図示の撮影光量設定スイッチを使用して撮影光量を任意に設定可能とされている。
<画像補正>
次に、本実施例中における眼底撮像装置の画像処理部のうち、撮影画像の補正を行う画像補正部について図6〜図9を用いて説明する。該画像補正部は前述のシステム制御部16に実装されている。この画像補正部では、補正前の眼底撮像画像へ補正を行い、補正された画像を不図示のメモリへ蓄積する。
画像補正処理の処理フローを図6に示す。このフロー中の処理ステップに従い説明を行う。
(S001:構図判定)
まず、撮影構図の判定処理を行う。撮影構図は、被検眼の目線を前述の固視光学系を用いて誘導することで決定される。そのため、撮影時の前記固指標移動スイッチの指示位置により構図を判定する。この撮影構図の判定は、システム制御部16において被検眼Eの撮影に際しての撮影構図を判定する撮影構図判定手段或いは判定手段として機能するモジュール領域により実行される。なお、本実施例では、前述したように被検眼の固視目標位置に応じて撮影構図の判定が為される。
(S002:ハイライト輝度検出)
次に、ハイライト輝度の抽出を行う。ハイライト輝度を検出するために、まず撮影画像の輝度ヒストグラムを作成する。
撮影される画像は、RGB信号で画像補正部へ入力されるため、RGBの各信号を次式により輝度信号Yへ変換する。
Y = 0.30×R + 0.59×G + 0.11×B (式1)
本実施例では、RGB信号は、各8ビット信号であり、変換された輝度信号Yも8ビット信号として変換される。
変換された輝度信号Yについて輝度ヒストグラムを作成する。輝度ヒストグラムは、8ビット信号であるので、0から255までの輝度値の画素の数を計数することで作成される。
次に、この輝度ヒストグラムから、ハイライトポイントを検出する。本実施例では、輝度ヒストグラムの明るい側、つまり信号値255の側からヒストグラム値を加算していき、撮影画像の画素数の1%に相当する値になった信号値を、ハイライト輝度とする。本実施例では撮影画像の画素数の1%に相当する値になった時の信号値をハイライト輝度としているがこれに限定されるものではない。例えば、撮影画像の画素数の2%に相当する値になった時の信号値をハイライト輝度としてもよい。
以上の被検眼Eの撮影画像におけるハイライトポイントの輝度を求める工程は、システム制御部16においてハイライト輝度算出手段として機能するモジュール領域により実行される。
(S003:ハイライト目標輝度算出)
次に、ハイライト輝度の補正目標であるハイライト目標輝度を算出する。ハイライト目標輝度はS001の構図判定で得られた撮影構図と撮影者が設定した撮影光量とからテーブルを参照することで決定される。このテーブルを図7に示す。
本実施例では、代表的な構図である、後極中心、視神経乳頭中心、黄斑中心を検者が設定し、それに対応する開口部(例えば図5に示される開口部21a)を用いて設定する構成としている。
ここで、構図毎の設定値の差をみると、乳頭中心の構図が最も明るく設定されており、順に後極中心、黄斑中心の撮影構図となっている。つまり、眼底画像中で最も明るく撮影される視神経乳頭が、前述の眼底観察画像中最も明るく撮影される画像の中心付近にいる構図である乳頭中心構図の場合、ハイライト目標輝度も高く設定されている。一方、視神経乳頭が、前述の眼底観察画像中暗く撮影される画像の像高の高い領域にある構図であるほど、ハイライト目標輝度は順次低く設定されている。このように、構図毎にハイライトの目標輝度が変化することで、撮影構図によらず画像全体の明るさの見えを一定にすることが可能となる。従って、前述した撮影構図判定手段にあっては、眼底画像中における視神経乳頭の位置に基づいて構図の判定を行うことも好適である。
また、撮影光量は、標準を0とし、明るく撮影する側を+、暗く撮影する側を−とし、プラスマイナス2段階、計5段階の設定が可能な構成になっている。撮影光量は、撮影者から眼底撮影装置に対して行われる画像の明るさについて出された指示に応じ、明るい撮影を指示された場合ハイライトの目標輝度も明るくなり、暗い撮影を指示された場合ハイライトの目標輝度も暗くなるよう設定されている。
この撮影光量と、撮影構図から本テーブルを参照することでハイライト目標輝度が決定される。この判定された撮影構図に応じたハイライトポイントにおける当該ハイライト目標輝度の設定(決定)は、システム制御部16において目標輝度設定手段として機能するモジュール領域により実行される。また、上述したテーブルは、本発明において撮影構図と、対応する前記ハイライトポイントの目標輝度とに関する目標輝度テーブルに対応し、当該テーブルはシステム制御部16において目標輝度テーブル記憶手段として機能するモジュール領域により記憶されている。上述したように、この目標輝度の設定は、記憶されている目標輝度テーブルを参照して行われる。
或いは、当該参照の操作は、システム制御部16において目標輝度修正手段として機能するモジュール領域により実行されるとも定義可能である。当該目標輝度修正手段は、判定された撮影構図に応じて目標輝度を修正し、その際視神経乳頭位置が撮影画像の中心にあるほどハイライト目標輝度を下げることが好ましい。
なお、本実施例では、撮影構図を3種類に固定し、3種類の固指標位置を検者が操作する構成としたが、図5に示す8×8のすべての固視標を検者が操作し撮影を行うように固指標提示位置の自由度を増した構成としても、もちろん良い。その場合、固指標位置に対応するようにハイライト目標輝度テーブルを作成すればよく、ハイライト目標テーブルは、固指標位置に対応する視神経乳頭位置と、図1に示す眼底撮像装置の明るさと像高の関係から導出することが可能である。また、図8に示すように、固指標位置に対応する視神経乳頭の画像中心からの像高(視神経乳頭の画像中心からの距離)と、撮影光量からなるテーブルとして作成することが可能となる。
(S004:変換テーブル選択)
変換テーブルを図9に示す。説明のため変換テーブルは9−1から9−7までの7種類としたが、この数に限定されるものではない。図9の横軸は入力される画像の輝度値であり、縦軸は補正テーブルにより補正された画像の出力輝度である。変換テーブルを選択する際は、ステップS002で検出されたハイライト輝度を横軸の入力とし、ステップS003で決定されたハイライト目標輝度を縦軸にとる点に最も近い補正テーブルを選択する。
この変換テーブルは、ハイライトポイントの輝度と目標輝度との関係に応じた、撮影画像中のハイライトポイント以外の位置の輝度の補正値を算出するために用いられる。当該変換テーブルは、システム制御部16において変換テーブル記憶手段として機能するモジュール領域により記憶される。
(S005:画像補正)
ステップS004で選択された変換テーブルにより、入力画像を変換し補正画像を作成する。変換は、RGBの画像成分ごとに行われ、それぞれを図9に示される変換テーブルにより変換する。即ち、本実施例の画像補正手段は、変換テーブルに基づいて撮影画像中の各位置の輝度を補正するシステム制御部16中のモジュール領域により構成され、ハイライトポイントの輝度と目標輝度とに応じて被検眼の画像を補正する。
以上のステップにより、画像の明るさの補正が行われることで、眼底画像のハイライトポイントとして選択される視神経乳頭の位置によらず、最適な明るさの補正が行われる。即ち、本発明の実施例1に係る眼科装置にあっては、被検眼の画像を取得する撮像素子11と、画像の構図に応じた変換特性を用いて該画像に対して上述した輝度変換を行う変換手段を主たる構成として有するものとしても把握できる。この場合、変換手段としては、システム制御部16において、前述した構図判定から画像補正に至る工程を実行するモジュール領域の集合体が対応する。
次に第2の実施例について図8、図10、図11を用いて説明する。本実施例は、実施例1における撮像装置を用い、画像補正の処理フロー中の構図判定とハイライト輝度抽出部を視神経乳頭検出手段に置き換えたものである。本実施例では、実施例1における構図判定と、ハイライト輝度抽出との代わりに、視神経乳頭の検出を行う。
従って、本実施例2においては、撮影構図判定手段は、被検眼における視神経乳頭の位置を検出する検出手段として機能するシステム制御部16中のモジュール領域を包含し、撮影画像と該画像中にて検出された視神経乳頭位置に基づいて撮影構図を判定することとなる。
視神経乳頭は、眼底中最も明るく撮影される部位であり、この部位がハイライトポイントとなる。そのため、視神経乳頭の検出を行い、検出された視神経乳頭部の輝度値をハイライト輝度とする。撮影構図判定手段は、ハイライト輝度算出手段により求められたハイライトポイントの位置に基づいて撮影構図を判定することとなる。即ち、前述したように、ハイライトポイントに対応する視神経乳頭の検出位置から、撮影構図を判断する。これにより、固指標と画像の相関が必要ではなくなるため、固指標位置と、実際に撮影された構図にずれがあるような場合にも画像を適正に補正することができる。具体的には、固指標をうまく注視することができない被検者の画像の補正にも対応することができる。
なお、本実施例での撮像装置の構成については、先に述べた実施例1での装置構成と同様の構成であるため説明を省略し、構成の異なる画像補正部のみ説明を行う。
<画像補正部>
画像補正処理の処理フローを図10に示す。このフロー中の処理ステップに従い説明を行う。
(S101:視神経乳頭検出)
まず、視神経乳頭の検出を行う。検出方法について図11を用いて説明する。図11は眼底画像の模式図であり、視神経乳頭ODと処理枠Wが示されている。視神経乳頭は、個人差はあるが本実施例で用いた眼底撮像装置で撮影される範囲のおよそ1%の面積比で撮影される。そのため、1%の面積比となる処理枠Wを用いて眼底中を矢印で示すように探索し、処理枠中の輝度が最も明るくなる場所を視神経乳頭位置とすることで、視神経乳頭検出を行う。
また、視神経乳頭は他の部位に比べ白く撮影されるため、同様の処理枠を用いて最も白くなる場所を探索しても良いし、ここで挙げた以外の方法で検出しても良い。
(S102:視神経乳頭輝度検出)
次に視神経乳頭の輝度検出を行う。視神経乳頭は、前述の通り眼底画像中で最も明るく撮影される部位であるため、この視神経乳頭の輝度を決定されたハイライトポイントの輝度としている。ステップS101で検出された乳頭位置の平均輝度を算出し、算出された輝度を視神経乳頭輝度とする。
また、視神経乳頭の大きさは個人差があるため、ステップS101で用いた処理枠Wよりも視神経乳頭が小さい場合、検出された平均輝度は、所望の輝度よりも低い値になることが想定される。このため、ステップS101で用いた処理枠よりもちいさな領域の平均輝度を視神経乳頭輝度として算出しても良い。
(S103:ハイライト目標輝度算出)
次にハイライト目標輝度を算出する。ハイライト目標輝度算出テーブルを図8に示す。図8のテーブルは、実施例1において固指標位置の設定自由度を増した場合に用いるテーブルと同様のものとなる。実施例1との差は、撮影画像の乳頭位置から算出した目標輝度となるため、固視標の提示位置との相関がなく、固視標をうまく注視できないような被検者においても、画像補正の効果が高いことである。
ステップS101で検出された視神経乳頭位置と画像中心の距離を求め、この距離と、撮影光量から図8のテーブルを参照することによりハイライトの目標輝度値を算出する。
以降の処理ステップは、実施例1と同様であるため、説明を省略する。
以上のステップにより、画像の明るさの補正が行われることで、眼底画像のハイライトポイントとして選択される視神経乳頭の位置によらず、最適な明るさの補正が行われる。特に、ハイライトポイントとなる乳頭位置を画像から検出するため、固視標の提示位置との相関がなく、固視標をうまく注視できないような被検者においても、画像補正の効果が得られる。
即ち、本発明によれば、被検眼の撮影位置を変更するような撮影構図によらず撮影画像の明るさを一定にすることが可能となり、診断価値の高い眼底画像を提供することが可能となる。さらに固視標をうまく注視できないような被検者においても、画像補正の効果が得られる眼底撮影を行うことができる。
[その他の実施例]
実施例1および実施例2では、カラー撮影について説明を行ってきたが、眼科撮像装置として光学フィルタ等を用いて行われている、レッドフリー撮影、コバルト撮影、自発蛍光撮影などにおいても、視神経乳頭が明るく撮影されるため、同様の効果を得られる。
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
1 観察用光源
2 対物レンズ
3 コンデンサレンズ
4 撮影用光源
5 ミラー
6 リング状の開口を有する絞り
7 リレーレンズ
8 孔あきミラー
9 合焦レンズ
10 撮影レンズ
11 撮像素子
12a ライトガイド
12b ライトガイド
13a LED光源
13b LED光源
14 蓄積電荷読取部
15 画像信号処理部
16 システム制御部
17 表示部
18 操作部
19 ハーフミラー
20 リレーレンズ
E 被検眼
Er 眼底
O1 光路
O2 光路
OD 視神経乳頭

Claims (17)

  1. 被検眼の撮影に際しての撮影構図を判定する撮影構図判定手段と、
    前記被検眼の撮影画像におけるハイライトポイントの輝度を求めるハイライト輝度算出手段と、
    前記撮影構図判定手段により判定された撮影構図に応じて、前記ハイライトポイントの目標輝度を設定する目標輝度設定手段と、
    前記ハイライトポイントの輝度と前記目標輝度とに応じて前記被検眼の画像を補正する画像補正手段と、を有することを特徴とする眼科装置。
  2. 前記撮影構図判定手段は、前記被検眼の固視目標位置に応じて前記撮影構図を判定することを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
  3. 前記撮影構図判定手段は、前記被検眼の視神経乳頭の位置を検出する検出手段を有し、
    前記撮影構図判定手段は、前記検出手段の検出した位置に基づいて前記撮影構図を判定することを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
  4. 前記撮影構図判定手段は、前記ハイライト輝度算出手段により求められたハイライトポイントの位置に基づいて前記撮影構図を判定することを特徴とする請求項3に記載の眼科装置。
  5. ハイライト輝度算出手段は、前記被検眼における視神経乳頭に対応する位置をハイライトポイントと決定し、決定された前記ハイライトポイントの輝度を求めることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の眼科装置。
  6. 前記撮影構図判定手段により判定された前記撮影構図に応じて前記目標輝度を修正する目標輝度修正手段を有し、
    目標輝度修正手段は、前記視神経乳頭位置が前記撮影画像の中心にあるほどハイライト目標輝度を下げることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の眼科装置。
  7. 前記撮影構図と、対応する前記ハイライトポイントの目標輝度とに関する目標輝度テーブルを記憶する目標輝度テーブル記憶手段を有し、
    前記目標輝度の設定は前記目標輝度テーブルを参照して行われることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の眼科装置。
  8. 前記ハイライトポイントの輝度と前記目標輝度との関係に応じた、前記撮影画像中の前記ハイライトポイント以外の位置の輝度の補正値を算出する変換テーブルを記憶する変換テーブル記憶手段を有し、
    前記画像補正手段は、前記変換テーブルに基づいて前記撮影画像中の各位置の輝度を補正することを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の眼科装置。
  9. 被検眼の撮影に際しての撮影構図を判定する撮影構図判定工程と、
    前記被検眼の撮影画像におけるハイライトポイントの輝度を求めるハイライト輝度算出工程と、
    前記撮影構図判定工程において判定された撮影構図に応じて、前記ハイライトポイントの目標輝度を設定する目標輝度設定工程と、
    前記ハイライトポイントの輝度と前記目標輝度とに応じて前記被検眼の画像を補正する画像補正工程と、を有することを特徴とする眼科装置の制御方法。
  10. 前記撮影構図判定工程において、前記被検眼の固視目標位置に応じて前記撮影構図を判定することを特徴とする請求項9に記載の眼科装置の制御方法。
  11. 前記撮影構図判定工程において、前記被検眼の視神経乳頭の位置を検出し、検出した前記位置に基づいて前記撮影構図を判定することを特徴とする請求項9に記載の眼科装置の制御方法。
  12. 前記撮影構図判定工程において、前記ハイライト輝度算出工程により求められたハイライトポイントの位置に基づいて前記撮影構図を判定することを特徴とする請求項11に記載の眼科装置の制御方法。
  13. 請求項9乃至12の何れか一項に記載の眼科装置の制御方法の各工程をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
  14. 被検眼の画像を取得する取得手段と、
    前記画像の構図に応じた変換特性を用いて前記画像に対して輝度変換を行う変換手段と、
    を備えたことを特徴とする眼科装置。
  15. 前記構図を判定する判定手段を更に備え、
    前記判定手段は前記画像における視神経乳頭の位置に基づいて構図を判定することを特徴とする請求項14記載の眼科装置。
  16. 被検眼の画像を取得する取得工程と、
    前記画像の構図に応じた変換特性を用いて前記画像に対して輝度変換を行う変換工程と、
    を備えたことを特徴とする画像処理方法。
  17. 請求項16記載の画像処理方法の各工程をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
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