JP2014073205A - 眼底撮影装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】好適な露出で眼底撮影を行うことが可能な眼底撮影装置を提供する。
【解決手段】実施形態の眼底撮影装置は、照明光学系と、撮影光学系と、露光制御部とを有する。照明光学系は、被検眼の眼底に照明光を照射する。撮影光学系は、複数の画素ラインによる露光タイミングを所定の時間差で順次に切り替えながら画素ライン単位で照明光の眼底反射光を検出する撮像素子を含む。露光制御部は、撮像素子による眼底反射光の露光量を、複数の画素ラインによる露光タイミングの切り替えに応じて変更する。
【選択図】図4

Description

この発明は眼底撮影装置に関する。
被検眼の状態を把握するために眼底を撮影する技術が知られている。眼底撮影装置は、眼底に照射された照明光の眼底反射光を受光して電気信号を出力する撮像素子を有する(たとえば特許文献1を参照)。撮像素子としては、CCDやCMOS等の固体撮像素子が用いられる。
撮像素子の電子シャッタの方式には、グローバルシャッタ方式とローリングシャッタ方式がある(たとえば特許文献2を参照)。グローバルシャッタ方式は、全ての画素を同じタイミングで露光するものである。ローリングシャッタ方式は、各ラインの画素を同じタイミングで露光を行いつつ、隣接するライン間に所定の時間差を設けて複数のラインを順次露光していくものである。
特開2012−161702号公報 特開2012−129817号公報
一般に、眼底を撮影して得られる画像(眼底像)において、照明光を反射する程度の相違から、視神経乳頭は相対的に明るく描画され、それ以外の部分(特に中心窩等)は相対的に暗く描画される。場合によっては、視神経乳頭の描画領域の画素値が飽和することや、中心窩の描画領域の画素値が一様に低くなることがある。つまり、眼底の部位よっては白飛びや黒潰れが発生し、好適な露出の画像が得られないことがある。
この発明の目的は、好適な露出で眼底撮影を行うことが可能な技術を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、被検眼の眼底に照明光を照射する照明光学系と、複数の画素ラインによる露光タイミングを所定の時間差で順次に切り替えながら画素ライン単位で前記照明光の眼底反射光を検出する撮像素子を含む撮影光学系と、前記撮像素子による前記眼底反射光の露光量を、前記露光タイミングの切り替えに応じて変更する露光制御部とを有する眼底撮影装置である。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の眼底撮影装置であって、前記照明光学系は、前記照明光を出力する光源を含み、前記露光制御部は、前記露光タイミングの切り替えに応じて前記光源を制御することにより前記露光量の変更を行うことを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の眼底撮影装置であって、前記照明光学系または前記撮影光学系は、光学シャッタを含み、前記露光制御部は、前記露光タイミングの切り替えに応じて前記光学シャッタを制御することにより前記露光量の変更を行うことを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の眼底撮影装置であって、前記照明光学系または前記撮影光学系は、減光フィルタを含み、前記露光制御部は、前記露光タイミングの切り替えに応じて前記減光フィルタを制御することにより前記露光量の変更を行うことを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の眼底撮影装置であって、前記露光制御部は、眼底の撮影画像において相対的に暗く描画される暗部領域に対応する画素ラインによる露光量を増加させるように前記露光量の変更を行うことを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の眼底撮影装置であって、前記露光制御部は、眼底の撮影画像において相対的に明るく描画される明部領域に対応する画素ラインによる露光量を減少させるように前記露光量の変更を行うことを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の眼底撮影装置であって、前記撮影光学系の光軸を中心として前記撮像素子を回転させる撮像素子駆動部を有し、前記露光制御部は、眼底の撮影画像において相対的に暗く描画される暗部領域と相対的に明るく描画される明部領域とが同じ画素ラインに対応する場合、前記撮像素子駆動部を制御して前記撮像素子を回転させることを特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の眼底撮影装置であって、前記複数の画素ラインのうち眼底の特徴部位に対応する画素ラインを特定する画素ライン特定部を有し、前記露光制御部は、特定された画素ラインによる露光量と他の画素ラインによる露光量とを違えるように前記露光量の変更を行うことを特徴とする。
また、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の眼底撮影装置であって、前記照明光学系は、赤外照明光を出力する赤外光源を含み、前記撮影光学系は、前記撮像素子との間において画素位置の対応付けが予めなされており、前記赤外照明光の眼底反射光を検出する赤外撮像素子を含み、前記画素ライン特定部は、前記赤外撮像素子による検出結果に基づく赤外眼底像を解析することにより、前記特徴部位に対応する前記赤外撮像素子の画素を特定する画素特定部を含み、特定された前記赤外撮像素子の画素に対応付けられた前記撮像素子の画素を含む画素ラインを、前記特徴部位に対応する画素ラインとすることを特徴とする。
また、請求項10に記載の発明は、請求項8に記載の眼底撮影装置であって、被検眼を固視させるための固視光学系を有し、前記画素ライン特定部は、眼底撮影時における前記固視光学系による固視位置および前記撮影光学系による撮影画角に基づいて、前記特徴部位に対応する画素ラインを特定することを特徴とする。
また、請求項11に記載の発明は、請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の眼底撮影装置であって、被検眼を固視させるための固視光学系と、眼底の特徴部位からの前記照明光の反射光が所定の画素ラインによって検出されるように前記固視光学系を制御する固視制御部とを有することを特徴とする。
この発明によれば、好適な露出で眼底撮影を行うことが可能である。
実施形態に係る眼底撮影装置の構成例を示す概略図である。 この発明に係る眼底撮影装置の実施形態における撮像素子の概略説明図である。 この発明に係る眼底撮影装置の実施形態における撮像素子の概略説明図である。 実施形態に係る眼底撮影装置の構成例を示す概略図である。 実施形態に係る眼底撮影装置の動作例を説明するための概略図である。 実施形態に係る眼底撮影装置の動作例を説明するための概略図である。 実施形態に係る眼底撮影装置の動作例を説明するための概略図である。 実施形態に係る眼底撮影装置の動作例を説明するための概略図である。 実施形態に係る眼底撮影装置の動作例を説明するための概略図である。 変形例に係る眼底撮影装置の構成例を示す概略図である。 変形例に係る眼底撮影装置の構成例を示す概略図である。 変形例に係る眼底撮影装置の構成例を示す概略図である。
この発明に係る眼底撮影装置の実施形態の一例を説明する。なお、この実施形態では眼底カメラについて説明するが、たとえばスリットランプ(細隙灯顕微鏡装置)や眼科手術用顕微鏡のように、眼底を撮影可能な他の形態の装置であってもよい。
[構成]
この実施形態に係る眼底撮影装置の構成を図1に示す。眼底撮影装置1には、被検眼Eの眼底Efの表面形態を表す2次元画像(眼底像)を形成するための光学系が設けられている。眼底像には、観察画像や撮影画像などが含まれる。観察画像は、たとえば、近赤外光を用いて撮影された眼底Efの動画像である。観察画像は赤外眼底像の一例である。撮影画像は、たとえば、フラッシュ光を用いて撮影された眼底Efの静止画像である。この静止画像としては、カラー画像、フルオレセイン蛍光画像、インドシアニングリーン蛍光画像、自発蛍光画像などがある。また、眼底撮影装置1は、被検眼Eの前眼部を撮影することも可能である。
眼底撮影装置1には、従来の眼底カメラと同様に、被検者の顔を支持するための顎受けや額当てが設けられている。更に、眼底撮影装置1には、従来の眼底カメラと同様に、照明光学系10と撮影光学系30が設けられている。照明光学系10は眼底Efに照明光を照射する。撮影光学系30は、この照明光の眼底反射光を撮像素子(イメージセンサ37、43)に導く。
[光学系]
(眼底観察用光学系)
照明光学系10の観察光源11は、定常光(連続光)を出力可能な定常光源である。この定常光源は、フラッシュ光の出力も可能であってよい。観察光源11は、たとえばハロゲンランプやLED(Light Emitting Diode)により構成される。観察光源11は可視光と赤外光とを含む。観察光源11から出力された光(観察照明光)は、凹面状の反射面を有する反射ミラー12により反射され、コンデンサレンズ13を経由し、可視カットフィルタ14を透過して近赤外光となる。更に、観察照明光は、ビームスプリッタ17を透過し、ミラー18により反射され、リレーレンズ20、21、絞り22およびリレーレンズ23を経由する。そして、観察照明光は、孔開きミラー24の周辺部(孔部の周囲の領域)にて反射され、対物レンズ25を経由して眼底Efを照明する。
なお、ビームスプリッタ17としては、たとえば、赤外光を透過し、可視光を反射するダイクロイックミラーが用いられる。また、光学フィルタ部19については後述する。
観察照明光の眼底反射光は、対物レンズ25により屈折され、孔開きミラー24の中心領域に形成された孔部を通過し、ダイクロイックミラー55を透過し、フォーカスレンズ31を経由し、ダイクロイックミラー32により反射される。更に、この眼底反射光は、ダイクロイックミラー33を透過し、ミラー35により反射され、コンデンサレンズ36によりイメージセンサ37の受光面に結像される。イメージセンサ37は、所定の時間間隔で眼底反射光を検出し、電気信号(画像信号)を生成して出力する。
観察用のイメージセンサ37は、たとえば、アナログの画像信号(映像信号)を出力するビデオカメラとして機能する。イメージセンサ37は、光電変換機能を有する撮像素子である。イメージセンサ37は、たとえば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサや、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサにより構成される。
ダイクロイックミラー33は、イメージセンサ37を通る光路と、LCD(Liquid Crystal Display)38を通る光路とを合成するものである。ダイクロイックミラー33は、これら光路から退避できるように構成されていてもよい。その場合、観察照明光はダイクロイックミラー33を経由することなくイメージセンサ37に導かれる。また、光学フィルタ部34については後述する。
(眼底撮影用光学系)
撮影光源15は、フラッシュ光(ストロボ光、瞬間光などとも呼ばれる)を出力する。撮影光源15は、定常光の出力も可能であってよい。撮影光源15は、たとえばLEDやキセノンランプにより構成される。撮影光源15から出力された光(撮影照明光)は、コンデンサレンズ16を経由し、ビームスプリッタ17により反射される。そして、撮影照明光は、観察照明光と同様の経路を通って眼底Efに照射される。この撮影照明光の眼底反射光は、観察照明光と同様の経路を通ってダイクロイックミラー32に導かれる。
眼底反射光が赤外光の場合、眼底反射光はダイクロイックミラー32により反射され、観察照明光と同様の経路を通ってイメージセンサ37により検出される。他方、眼底反射光が可視光の場合、眼底反射光はダイクロイックミラー32を透過し、ミラー40により反射され、コンデンサレンズ42によりイメージセンサ43により検出される。なお、光学フィルタ部41については後述する。また、イメージセンサ43は、たとえば、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサにより構成される。
イメージセンサ43は、ローリングシャッタ方式の撮像素子である。つまり、イメージセンサ43は、複数の画素ラインによる露光タイミングを所定の時間差で順次に切り替えながら画素ライン単位で光を検出するように動作する。
図2に示すように、イメージセンサ43には、アレイ状(格子状)に配列された複数の画素Pij(i=1〜N、j=1〜M)が設けられている。すなわち、複数の画素Pijは、N行M列の行列状に配列されている。第i行(Line i)に含まれるM個の画素Pi1〜PiMが、第i番目の画素ラインLiを構成している。
なお、この例では横方向に直線状に並ぶ画素たちを画素ラインと呼んでいるが、縦方向に直線状に並ぶ画素たちを画素ラインと定義してもよい。
また、各画素ラインLiが2行以上の画素を含んでいてもよい。たとえば、画素P1j、P2j(j=1〜M)が第1行の画素ラインを構成し、画素P3j、P4j(j=1〜M)が第2行の画素ラインを構成し・・・というように、各画素ラインが、隣接する2つの画素列を含んでいてもよい。
ローリングシャッタ動作のタイミングチャートを図3に示す。イメージセンサ43は、N個の画素ラインLi(i=1〜N)で順次に露光を行う。隣接する画素ラインLi、L(i+1)の間の露光タイミングの差はΔTである。各画素ラインLiが動作する期間Riは、露光期間Ri1と、読み出し期間Ri2とを含む。露光期間Ri1は、光を検出して電荷を蓄積可能な期間である。読み出し期間Ri2は、露光期間Ri1に蓄積された電荷を読み出して信号を出力する期間である。
期間T1およびT3は、ローリングシャッタ方式に特有の露光の同期が取れない期間である。一般的なローリングシャッタ方式の撮像素子では、全ての画素ラインL1〜LNで露光が可能な期間T2において撮影を行う。そして、それ以外の期間T1およびT3においては、シャッタ等を用いて撮像素子への光の入射を規制することで、画素ラインLiの間の露光時間のズレを回避している。このような一般的なローリングシャッタ方式の撮像素子を用いた制御に対し、この実施形態では後述の制御を行う。
(光学フィルタ部)
光学フィルタ部19、34、41について説明する。各光学フィルタ部19、34、41には、各種用途の光学フィルタが設けられている。光学フィルタとしては、蛍光撮影用のもの、レッドフリー撮影用のものなどがある。蛍光撮影用の光学フィルタとしては、自発蛍光撮影(FAF)用のもの、フルオレセイン蛍光撮影(FA)用のもの、インドシアニングリーン撮影(ICG)用のものなどがある。なお、光学フィルタはこれらに限定されるものではなく、眼科分野での各種撮影手法に用いられる光学フィルタであればよい。
具体例として蛍光撮影用のフィルタについて説明する。光学フィルタ部19には、FAF用エキサイタフィルタ、FA用エキサイタフィルタ、ICG用エキサイタフィルタが設けられている。これらエキサイタフィルタは、それぞれ、照明光学系10の光路に対して挿脱可能とされている。光学フィルタ部34には、FAF用バリアフィルタが設けられている。このバリアフィルタは、ダイクロイックミラー32とイメージセンサ37とを結ぶ光路に対して挿脱可能とされている。光学フィルタ部41には、FA用バリアフィルタとICG用バリアフィルタとが設けられている。これらバリアフィルタは、それぞれ、ダイクロイックミラー32とイメージセンサ43とを結ぶ光路に対して挿脱可能とされている。
イメージセンサ43の手前に配置された光学フィルタ部41は、減光フィルタを含んでいてもよい。減光フィルタ(ND(Neutral Density)フィルタ)は、イメージセンサ43が受光する光の量を減少させるフィルタである。光学フィルタ部41は、光の透過率が異なる複数の減光フィルタを有していてもよい。また、減光フィルタは、液晶パネルを用いて透過率を変化させるよう構成されたデバイス(液晶減光フィルタ)であってもよい。なお、撮影光源15から対物レンズ25までの間、または、対物レンズ25からイメージセンサ43までの間の任意の位置に、減光フィルタを設けることが可能である。
なお、減光フィルタに代えて光学シャッタを設けることが可能である。光学シャッタは、光を遮断するデバイスである。光学シャッタは、遮蔽板を機械的に動作させることで光を遮断する機械式シャッタでもよいし、液晶パネルを用いた液晶シャッタのように非機械式シャッタであってもよい。なお、撮影光源15から対物レンズ25までの間、または、対物レンズ25からイメージセンサ43までの間の任意の位置に、光学シャッタを設けることが可能である。
(固視光学系)
LCD38は、固視標や視力測定用指標などの各種指標を表示する。固視標は被検眼Eを固視させるための指標であり、眼底Efの観察時や撮影時などに使用される。LCD38による固視標の画像の表示位置を変更することにより、被検眼Eの固視位置を変更することができる。固視位置には、視神経乳頭を撮影するための乳頭撮影用固視位置、黄斑を撮影するための黄斑撮影用固視位置、視神経乳頭と黄斑の双方を同時に撮影するための眼底中心撮影用固視位置などがある。なお、固視位置はこれらに限定されるものではなく、固視位置を任意に変更することが可能である。LCD38に代えて、他の構成の固視標呈示手段を設ける事が可能である。たとえば、選択的に点灯可能な複数の光源(LED等)を配列した構成の内部固視標を用いることが可能である。
(アライメント光学系50、フォーカス光学系60など)
更に、眼底撮影装置1には、従来の眼底カメラと同様にアライメント光学系50とフォーカス光学系60が設けられている。アライメント光学系50は、被検眼Eに対する装置光学系の位置合わせ(xy方向のアライメント)を行うための指標を生成する。この指標をアライメント指標と呼ぶことがある。フォーカス光学系60は、眼底Efに対するz方向の位置合わせを行うための指標、つまり眼底Efに対してフォーカス(ピント)を合わせるための指標を生成する。この指標をスプリット指標と呼ぶことがある。
アライメント光学系50のLED51から出力された光(アライメント光)は、絞り52、53およびリレーレンズ54を経由してダイクロイックミラー55により反射され、孔開きミラー24の孔部を通過し、対物レンズ25により被検眼Eの角膜に投影される。
アライメント光の角膜反射光は、観察照明光の眼底反射光と同様の光路を経由してイメージセンサ37の受光面に投影される。イメージセンサ37による受光像(アライメント指標像)は、観察画像とともに表示される。ユーザは、従来の眼底カメラと同様の操作を行ってアライメントを実施する。アライメント指標像の位置を解析して光学系を移動させることにより自動的にアライメントを行うようにしてもよい。
フォーカス調整を行う際には、照明光学系10の光路に反射棒67の反射面が斜設される。フォーカス光学系60のLED61から出力された光(フォーカス光)は、リレーレンズ62を通過し、スプリット指標板63により二つの光束に分離され、二孔絞り64を通過し、ミラー65に反射され、コンデンサレンズ66により反射棒67の反射面に一旦結像されて反射される。更に、フォーカス光は、リレーレンズ23を経由し、孔開きミラー24に反射され、対物レンズ25により眼底Efに結像される。
フォーカス光の眼底反射光は、アライメント光の角膜反射光と同様の経路を通ってイメージセンサ37により検出される。イメージセンサ37による受光像(スプリット指標像)は、観察画像とともに表示される。眼底撮影装置1は、従来と同様に、スプリット指標像の位置を解析してフォーカスレンズ31およびフォーカス光学系60を移動させることによりピント合わせを行う。また、スプリット指標像を視認しつつ手動でフォーカスレンズ31およびフォーカス光学系60を移動させることによりピント合わせを行うようにしてもよい。
符号70は、被検眼Eのまばたきの発生を検知するための受光素子を示す。受光素子70はたとえばフォトディテクタである。このまばたき検知処理は、たとえば従来と同様に、被検眼Eによる観察照明光の反射光の強度に基づいて行われる。受光素子70は、被検眼Eからの反射光の強度を監視するために用いられる。これは、被検眼Eがまばたきをしている状態における反射光の強度が、まばたきをしていない状態におけるそれよりも高いことを利用した技術である。
この実施形態では2台の撮像素子を用いているが、この発明に係る眼底撮影装置は少なくとも1台の撮像素子を有するものであればよい。また、この眼底撮影装置(眼底カメラ)は、散瞳タイプまたは無散瞳タイプのいずれであってもよい。
[制御系]
眼底撮影装置1の制御系について説明する。この制御系の構成例を図4に示す。
眼底撮影装置1は、その構成部材を移動させるための各種の駆動部を有する。たとえば、イメージセンサ駆動部43Aは、撮影光学系30の光軸を中心としてイメージセンサ43を回転させる。イメージセンサ駆動部43Aは、たとえば、イメージセンサ43の背面(受光面の対向面)における撮影光軸の延長位置に接続された回転軸と、この回転軸を回転させるアクチュエータとを含んで構成される。このアクチュエータは、たとえばパルスモータである。イメージセンサ駆動部43Aは、撮像素子駆動部の一例である。
また、眼底撮影装置1は、図示しないフィルタ駆動部を有する。第1のフィルタ駆動部は、光学フィルタ部19の光学フィルタを光路に対して挿脱する。また、第2のフィルタ駆動部は、光学フィルタ部34の光学フィルタを光路に対して挿脱する。また、第3のフィルタ駆動部は、光学フィルタ部41の光学フィルタを光路に対して挿脱する。各フィルタ駆動部は、複数の光学フィルタを保持するフィルタ保持部材と、このフィルタ保持部材を駆動させるアクチュエータとを含む。フィルタ保持部材としては、たとえばターレット板等が用いられる。アクチュエータとしては、たとえばパルスモータやソレノイドが用いられる。
また、眼底撮影装置1は、フォーカスレンズ31を光軸に沿って移動させるフォーカスレンズ駆動部、フォーカス光学系60を光軸に沿って移動させるフォーカス光学系駆動部、反射棒67を光路に対して挿脱させる反射棒駆動部などを有する。また、眼底撮影装置1は、光学系全体を(たとえば3次元的に)移動させる光学系駆動部を有する。これら駆動部は、たとえば従来と同様の構成を有する。
眼底撮影装置1の制御系は、制御部100と、画像処理部200と、表示部300と、操作部400とを含んで構成される。
(制御部100)
制御部100は、各種の制御処理や演算処理を実行する。制御部100は、主制御部110と、記憶部120と、露光制御部130とを含んで構成される。なお、主制御部110と露光制御部130は一部機能が重複していてもよい。
(主制御部110)
主制御部110は、眼底撮影装置1の各部を制御する。たとえば、主制御部110は、観察光源11、撮影光源15、イメージセンサ37、43、LED51、LED61などの制御を行う。また、主制御部110は、イメージセンサ駆動部43A等の各種駆動部をそれぞれ制御する。また、主制御部110は、受光素子70からの電気信号を受けて上記のまばたき検知処理を実行する。
(記憶部120)
記憶部120には各種の情報が記憶される。たとえば記憶部120には、主制御部110や露光制御部130や画像処理部200に所定の処理を実行させるためのコンピュータプログラムが予め記憶されている。また、記憶部120には、被検眼Eの検査において取得された情報(画像データ等)や、患者に関する情報(電子カルテ情報等)などが記憶される。
(露光制御部130)
露光制御部130は、イメージセンサ43による撮影照明光の眼底反射光の露光量を、イメージセンサ43による露光タイミングの切り替えに応じて変更する。前述したように、イメージセンサ43は、ローリングシャッタ方式の撮像素子であり、図3に示すように複数の画素ラインLiによる露光タイミングを所定の時間差ΔTで順次に切り替えながら画素ラインLi単位で眼底反射光の検出を行うようになっている。露光制御部130は、このようなイメージセンサ43の露光タイミングの切り替えに同期して、イメージセンサ43による眼底反射光の露光量を変更する制御を行う。この制御の具体例については後述する。
なお、イメージセンサ43による露光量の変更制御は、特定の画素ラインLiによる露光量を増加または減少させるものである。このような変更制御は、たとえば、当該画素ラインLiの露光期間中においてイメージセンサ43に入射する光量を変更することにより行われる。この入射光量の変更制御は、たとえば、撮影照明光の出力態様の制御、および/または、出力された撮影照明光の光量の変更制御を含む。撮影照明光の出力態様の制御は、たとえば、撮影光源15による出力強度や出力時間を制御することにより行うことができる。また、出力された撮影照明光の光量の変更制御は、たとえば、照明光学系10の光路または撮影光学系30の光路に設けられた光量変更部材によって行うことができる。この光量変更部材としては、光の透過と遮断とを切り替えるための光学シャッタや、透過光量を変更するための減光フィルタなどがある。この実施形態では、撮影光源15を制御する場合について説明する。光量変更部材を制御する場合については、変形例として後述する。
(画像処理部200)
画像処理部200は各種の画像処理を実行する。画像処理部200は、画素ライン特定部210を有する。画素ライン特定部210は、画素特定部211を有する。
画素ライン特定部210は、複数の画素ラインLiのうち眼底Efの特徴部位に対応する画素ラインを特定する。この画素ラインを注目画素ラインと呼ぶ。
この特定処理において注目される眼底Efの特徴部位は予め決められている。この特徴部位は、たとえば、眼底Efを撮影して得られる眼底像において特徴的な明るさ(輝度)で描画される眼底Efの部位である。この特徴部位の例として、特徴的に明るく描画される視神経乳頭、特徴的に暗く描画される黄斑(中心窩)などがある。また、特徴的な明るさで描画される傷病部位を特徴部位として適用することもできる。また、たとえば蛍光撮影で強調して描画される血管のように、所定の撮影手法によって特徴的な明るさで描画される眼底Efの部位や傷病部位を、特徴部位として適用することも可能である。
注目画素ラインを特定する処理には様々なものがある。その一例として、赤外眼底像を用いる場合を説明する。前述のように、観察光源11から出力される観察照明光は可視光と赤外光とを含み、可視カットフィルタ14を透過して赤外光(近赤外光)となる。観察光源11は、赤外光源の一例である。観察照明光の眼底反射光はイメージセンサ37によって検出される。イメージセンサ37は、赤外撮像素子の一例である。
ここで、イメージセンサ37の画素位置とイメージセンサ43の画素位置との間には、予め対応付けがなされているものとする。つまり、イメージセンサ37の任意の画素に対応するイメージセンサ43の画素が予め決められているものとする。
この対応付けは、たとえば光学系の構成に基づいてなされる。その具体例として、まず、イメージセンサ37およびイメージセンサ43のそれぞれについて、その受光面の中心に位置する画素を光軸上に配置させる。それにより、中心画素同士が対応付けられる。更に、イメージセンサ37に導かれる光路と、イメージセンサ43に導かれる光路は、フォーカスレンズ31を共有しており、フォーカスレンズ31よりも後段の位置には、それぞれの受光面に対する結像状態を可変とする光学素子は設けられていない。よって、中心画素以外の画素についても、対応付けを行うことが可能である。
なお、受光面に対する結像状態を可変にする光学素子が設けられている場合であっても、制御部100が結像状態を認識することによって、その都度、画素同士の対応付けを行うことが可能である。また、単一のイメージセンサで赤外撮影と可視撮影とを行う場合には、画素位置の対応付けは自明である。
画素特定部211は、イメージセンサ37による検出結果に基づく赤外眼底像、つまり赤外光を用いて撮影された眼底Efの画像を解析することにより、眼底Efの特徴部位に対応するイメージセンサ37の画素を特定する。
この処理は、たとえば、赤外眼底像の画素のうち特徴的な画素値(輝度値)を有する画素を特定するものである。特徴的な輝度値の例として、絶対的な意味で特徴的な輝度値と、相対的な意味で特徴的な輝度値がある。前者は、たとえば閾値処理や2値化処理などに基づき特定される。後者は、たとえば輝度値のヒストグラムなどに基づき特定される。
また、特徴的な輝度値には、特徴的に高い輝度値と、特徴的に低い輝度値がある。前者は、たとえば視神経乳頭に対応する輝度値である。後者は、たとえば黄斑に対応する輝度値である。
画素特定部211は、このようにして特徴的な輝度値を有する画素を特定する。なお、輝度値以外の情報を参照して画素特定処理を行うことも可能である。たとえば、目的の特徴部位の形状(視神経乳頭であれば、円形状または楕円形状)に基づくパターンマッチングを含めて上記処理を行うことができる。
画素特定部211により眼底Efの特徴部位に対応するイメージセンサ37の画素(注目画素)が特定されると、画素ライン特定部210は、これら注目画素に対応付けられたイメージセンサ43の画素Pijを、上記対応付けを参照して特定する。更に、画素ライン特定部210は、特定された画素Pijを含む画素ラインLiを特定し、当該画素ラインLiを注目画素ラインとして採用する。ここで、特定される注目画素ラインの個数は1以上である。
画素ライン特定処理の他の例を説明する。この処理例では、撮影画角と固視位置に基づいて注目画素ラインの特定を行う。前述のように、眼底撮影装置1は、被検眼Eを固視させるための固視光学系を有する。また、撮影光学系30は、所定の撮影画角にて眼底Efを撮影する。画素ライン特定部210は、眼底撮影時における固視光学系による固視位置および撮影光学系30による撮影画角に基づいて、眼底Efの特徴部位に対応する画素ラインを特定する。
この処理についてより詳しく説明する。撮影画角には、小瞳孔用の撮影画角や、通常瞳孔用の撮影画角がある。また、撮影画角を任意に設定することも可能である。いずれにしても撮影画角は撮影前に決められるので、眼底Efの撮影範囲も予め決められている。なお、被検眼Eの眼球光学系により撮影範囲が既定範囲から変化することもあるが、撮影において最も注目する部位(視神経乳頭、黄斑等)がフレームの中央領域に位置するように固視を行うので、それほど影響はない。また、眼球光学系の屈折力に応じて撮影画角を調整してから撮影を行うようにしてもよい。
所定の撮影画角で、かつ所定の固視位置で撮影を行うことにより、固視が好適に行われていることを条件として、フレームのどの位置に眼底Efの特徴部位が描画されるか特定することができる。つまり、画素ライン特定部210は、眼底Efの特徴部位に対応する画素を特定することができ、更に、この画素を含む画素ラインを特定することができる。このようにして特定された1以上の画素ラインが注目画素ラインとして採用される。
(表示部300、操作部400)
表示部300と操作部400は、眼底撮影装置1のユーザインターフェイスを構成する。表示部300は、主制御部110による制御の下に各種情報を表示する。表示部300は、たとえばLCD等の表示デバイスである。操作部400は、操作指示や情報入力に用いられる。操作部400は、撮影トリガボタンや各種スイッチ等のハードウェアを含んで構成される。操作部400を用いた操作がなされると、その操作内容に応じた電気信号(操作信号)が操作部400から主制御部110に入力される。主制御部110は、この操作信号に基づいて、その操作内容に応じた動作を眼底撮影装置1に実行させる。
表示部300はタッチパネルディスプレイであってもよい。この場合、操作部400は、このタッチパネルディスプレイとコンピュータプログラムとを含んで構成される。操作部400に対する操作内容は、電気信号として主制御部110に入力される。また、表示部300に表示されたグラフィックユーザインターフェイス(GUI)と、操作部400とを用いて、操作や情報入力を行うようにしてもよい。
[動作]
眼底撮影装置1の動作の一例を説明する。
まず、従来と同様に、アライメント指標を用いて被検眼Eに対する光学系のアライメントを行うとともに、スプリット指標を用いて眼底Efに対するフォーカス調整を行う。
このとき、観察光源11は定常光を出力しており、イメージセンサ37はその眼底反射光を所定の時間間隔で検出している。すなわち、眼底撮影装置1は、所定のフレームレートの眼底Efの赤外動画像(観察画像)を取得し表示部300にて表示する。
主制御部110は、観察画像を構成する1つの静止画像(フレーム)を画素ライン特定部210に送る。画素ライン特定部210は、イメージセンサ43の複数の画素ラインL1〜LNのうち、眼底Efの特徴部位に対応する注目画素ラインLiを特定する。画素ライン特定部210は、注目画素ラインLiを示す画素ライン識別情報を露光制御部130に送る。
露光制御部130は、画素ライン識別情報を受けて、注目画素ラインLiによる露光量と、他の画素ラインLk(k≠i)による露光量とを違えるように、イメージセンサ43による撮影照明光の眼底反射光の露光量の変更を行う。この処理の例を以下に説明する。
眼底Efの特徴部位が、撮影画像において相対的に暗く描画される暗部領域である場合(たとえば黄斑である場合)の例を説明する。説明の簡略化のため、イメージセンサ43の画素ラインLiの個数は10個であるとする(i=1〜10)。また、10個の画素ラインLiと、眼底Efの撮影画像G1(既に取得された赤外眼底像、または、これから取得されるべき眼底像)との関係は、図5Aに示すようになっているものとする。本例では、眼底Efの特徴部位は黄斑H2であるとし、黄斑H2に対応する画素ラインは第7行の画素ラインL7であるとする。なお、符号H1は視神経乳頭を示す。
露光制御部130は、イメージセンサ43の画素ラインL1〜L10の露光タイミングの切り替えに応じて撮影光源15を制御することにより、イメージセンサ43による撮影照明光の眼底反射光の露光量を変更する。撮影光源15の制御は露光タイミングの切り替えに同期して、たとえば図5Bに示す態様で行われる。図5Bに示す例では、露光制御部130は撮影光源15を3回発光させる。
符号A1で示す第1回目の発光として、露光制御部130は、期間T1において第7行の画素ラインL7の露光開始タイミングと同時に撮影光源15の発光を開始させ、次の第8行の画素ラインL8の露光開始タイミングと同時に撮影光源15の発光を停止させる。このときの発光時間は、隣接する画素ラインの間の露光タイミングの差ΔTに等しい。
また、符号A2で示す第2回目の発光として、露光制御部130は、全ての画素ラインL1〜L10が露光可能な期間T2内の任意のタイミングで、撮影光源15を任意の期間にわたって発光させる。このときの発光時間は予め設定される。
更に、符号A3で示す第3回目の発光として、露光制御部130は、期間T3において第6行の画素ラインL6の露光終了タイミングと同時に撮影光源15の発光を開始させ、次の第7行の画素ラインL7の露光終了タイミングと同時に撮影光源15の発光を停止させる。このときの発光時間は、隣接する画素ラインの間の露光タイミングの差ΔTに等しい。
このような露光制御によれば、黄斑H2に対応する画素ラインL7は眼底反射光を3回検出し、他の画素ラインLi(i≠7)は眼底反射光を2回検出する。したがって、黄斑H2に対応する画素ラインL7による露光時間を増加させることができ、その結果として画素ラインL7による露光量を(他の画素ラインと比較して)増加させることができる。ここで、黄斑H2は、撮影画像において相対的に暗く描画される暗部領域であるが、黄斑H2に対応する画素ラインL7についてのみ露光量が増加されるので、従来の撮影方式よりも黄斑H2を明りょうに(高コントラストで)描画することができる。
露光制御の他の例を図5Cに示す。本例は、期間T2における発光A2を行わず、期間T1およびT3での発光A1およびA3のみ行うものである。つまり、本例では、黄斑H2に対応する画素ラインL7は眼底反射光を2回検出し、他の画素ラインLi(i≠7)は眼底反射光を1回検出する。本例によれば、黄斑H2に対応する画素ラインL7の露光時間と、他の画素ラインLi(i≠7)の露光時間との間の差を最大化することができる(つまり2倍になる)。よって、高コントラストの眼底像が得られる。
一方、たとえば視神経乳頭H1のように、眼底Efの撮影画像において相対的に明るく描画される明部領域を特徴部位とする場合には、上記露光制御と同様にして、明部領域(視神経乳頭H1)に対応する画素ラインL4による露光量を減少させるように撮影光源15の制御を行うことが可能である。それにより、視神経乳頭H1に対応する画素ラインL4についてのみ露光時間(したがって露光量)が減少されるので、従来の撮影方式よりも視神経乳頭H1を明りょうに(高コントラストで)描画することができる。
上記のような露光制御における露光時間の差について説明する。撮影画角や被検眼Eに依存するが、撮影画像に占める黄斑の割合(径の長さの割合)をたとえば10%とする。つまり、上記の例で言えば、全10個の画素ラインのうちの1つが黄斑に対応していると仮定する。期間T1、T3における発光時間をxとし、画素ラインの個数をNとし、全画素ラインに共通の露光時間(つまり期間T2における発光時間)をyとすると、注目画素ラインの露光時間と他の画素ラインの露光時間との比Rは、次式のように表される。
具体例として、眼底撮影に必要な露光時間が10msである場合、期間T1、T3における発光時間xを50μmとし、画素ラインの個数Nを2000とし、共通露光時間yを10msとすると、露光時間比Rは約9.09%となる。
また、一般に、イメージセンサの感度やS/N比の向上、更には光源の高輝度化などによって、眼底撮影に必要な露光時間を短縮することが可能である。これら要件を考慮することにより、露光時間比Rの改善を図ることができる。
たとえば図6Aに示す撮影画像G2のように、視神経乳頭H1と黄斑H2が同じ画素ラインL5に位置する場合がある。より一般に、眼底Efの撮影画像において相対的に暗く描画される暗部領域と相対的に明るく描画される明部領域とが同じ画素ラインに対応する場合がある。そうすると、前述したような暗部領域に対する露光制御や明部領域に対する露光制御を行うことができない。
このような場合、露光制御部130は、イメージセンサ駆動部43Aを制御して、イメージセンサ43を所定角度だけ回転させる。この所定角度はたとえば90度である。イメージセンサ43を90度回転させると、図6Bに示すように、撮影画像G2が90度回転し、視神経乳頭H1と黄斑H2とが異なる画素ラインL4およびL7に対応するようになる。このようなイメージセンサ43の回転を行うことにより、明部領域と暗部領域とを異なる画素ラインに対応させることができ、前述の露光制御を行うことが可能となる。
[作用・効果]
眼底撮影装置1の作用および効果について説明する。
眼底撮影装置1は、照明光学系10と、撮影光学系30と、露光制御部130とを有する。照明光学系10は、被検眼Eの眼底Efに照明光を照射する。撮影光学系30は、複数の画素ラインLiによる露光タイミングを所定の時間差ΔTで順次に切り替えながら画素ラインLi単位で照明光の眼底反射光を検出するイメージセンサ43(撮像素子)を含む。露光制御部130は、イメージセンサ43による眼底反射光の露光量を、複数の画素ラインLiの露光タイミングの切り替えに応じて変更する。
このような眼底撮影装置1によれば、ローリングシャッタ方式の撮像素子を用いる場合において、画素ラインLiの切り替えに応じて露光量を変更することができるので、好適な露出で眼底撮影を行うことが可能となる。
照明光学系10は、照明光(撮影照明光)を出力する撮影光源15(光源)を含む。そして、露光制御部130は、複数の画素ラインLiの露光タイミングの切り替えに応じて撮影光源15を制御することにより露光量の変更を行うことが可能である。
露光制御部130は、眼底Efの撮影画像において相対的に暗く描画される暗部領域(黄斑H2等)に対応する画素ラインLiによる露光量を増加させるように露光量の変更を行うことができる。それにより、暗部領域がより明りょうに描画された眼底像を取得することが可能である。
露光制御部130は、眼底Efの撮影画像において相対的に明るく描画される明部領域(視神経乳頭H1等)に対応する画素ラインLiによる露光量を減少させるように露光量の変更を行うことができる。それにより、明部領域がより明りょうに描画された眼底像を取得することが可能である。
眼底撮影装置1は、撮影光学系30の光軸を中心としてイメージセンサ43を回転させるイメージセンサ駆動部43A(撮像素子駆動部)を有していてもよい。そして、露光制御部130は、暗部領域と明部領域とが同じ画素ラインLiに対応する場合、イメージセンサ駆動部43Aを制御してイメージセンサ43を回転させることができる。それにより、暗部領域と明部領域とが同じ画素ラインに対応する場合に、これら領域を異なる画素ラインに対応するように撮影画像を回転させ、上記の暗部領域に対する処理や明部領域に対する処理を実行することが可能である。
なお、イメージセンサ43を回転させる代わりに、イメージセンサ43に入射する光束(眼底反射光)を回転させる光学素子を設けることができる。その場合、露光制御部130は、この光学素子を制御することにより、眼底反射光を所定角度だけ回転させてイメージセンサ43に入射させる。それにより、イメージセンサ43を回転させる場合と同様の効果を得ることが可能となる。
また、イメージセンサ43や眼底反射光の回転角度は、自動で決定してもよいし、ユーザが决定してもよい。前者の場合の例として、所定のデフォルト角度だけ回転させる構成、暗部領域と明部領域との位置関係および画素ラインの配列に基づいて回転角度を決定する構成などを適用することが可能である。後者の場合の例として、眼底Efの撮影画像を表示部300に表示させ、この表示画像に基づいて操作部400を操作することによって回転角度を決定する構成を適用することが可能である。
眼底撮影装置1は、複数の画素ラインのうち眼底Efの特徴部位に対応する画素ライン(注目画素ライン)Liを特定する画素ライン特定部210を有していてもよい。その場合、露光制御部130は、注目画素ラインLiによる露光量と他の画素ラインLk(k≠i)による露光量とを違えるように露光量の変更を行うことが可能である。この露光量の変更は、たとえば、注目画素ラインLiによる露光時間と、他の画素ラインLkによる露光時間とを違えることにより行われる。更に、この露光時間の制御は、たとえば、注目画素ラインLiに対する露光回数と、他の画素ラインLkに対する露光回数とを違えることにより行われる。なお、特徴部位が暗部領域である場合には注目画素ラインLiによる露光量(露光時間、露光回数)を増加させるように制御を行い、特徴部位が明部領域である場合には注目画素ラインLiによる露光量(露光時間、露光回数)を減少させるように制御を行う。このような構成によれば、特徴部位に応じて露光制御を行うことができるので、特徴部位が明りょうに描画された眼底像を取得することが可能となる。
照明光学系10が、赤外照明光を出力する観察光源11(赤外光源)を含み、かつ、撮影光学系30が、イメージセンサ43との間において画素位置の対応付けが予めなされており、赤外照明光の眼底反射光を検出するイメージセンサ37(赤外撮像素子)を含む場合、次のようにして画素ラインの特定処理を行うことが可能である。すなわち、画素ライン特定部210は、イメージセンサ37による検出結果に基づく赤外眼底像を解析することにより、眼底Efの特徴部位に対応するイメージセンサ37の画素を特定する機能(画素特定部211)を有する。更に、画素ライン特定部210は、当該機能により特定されたイメージセンサ37の画素に対応付けられたイメージセンサ43の画素を含む画素ラインを、眼底Efの特徴部位に対応する画素ラインLiとして特定する。この構成によれば、赤外眼底像に基づいて注目画素ラインLiを的確に特定することができ、その結果として好適な眼底像を取得することが可能となる。
また、眼底撮影装置1が、被検眼Eを固視させるための固視光学系を有する場合、画素ライン特定部210は、眼底撮影時における固視光学系による固視位置および撮影光学系30による撮影画角に基づいて、眼底Efの特徴部位に対応する画素ラインLiを特定することができる。この構成によれば、上記のような赤外眼底撮影を行う必要がないので、簡便に注目画素ラインLiを特定することが可能である。
なお、注目画素ラインの特定処理において赤外眼底撮影を行うか行わないかは任意である。たとえば、双方の機能を選択的に適用することが可能である。
[変形例]
この発明に係る眼底撮影装置は、以上において説明したものには限定されない。この発明を実施しようとする者は、この発明の要旨の範囲内において任意の変形(省略、変更、置換等)を施すことが可能である。以下、そのような変形の例を説明する。なお、上記実施形態と同様の構成部分に関する説明を割愛することがある。また、上記実施形態と同様の構成部分は同じ符号で示される。
(第1変形例)
上記実施形態では、光源を制御することにより撮像素子による露光量を変更している。しかし、他の制御を行うことによって、同様の露光量の偏向制御を行うことが可能である。たとえば、前述したように、光の透過および遮断を切り替えるための光学シャッタや、透過光量を変更するための減光フィルタを用いることが可能である。なお、光源の制御、光学シャッタの制御、減光フィルタの制御のうちの2つ以上を任意に組み合わせることも可能である。
光学シャッタを用いる場合について説明する。光学シャッタを有する眼底撮影装置の制御系の構成例を図7に示す。露光制御部130は、イメージセンサ43の複数の画素ラインLiによる露光タイミングの切り替えに応じて光学シャッタ80を制御することにより、イメージセンサ43による露光量を変更する。具体例として、暗部領域に対応する注目画素ラインLiによる露光量を増加させる場合、露光制御部130は、たとえば、注目画素ラインLiの露光時間を他の画素ラインLiの露光時間よりも長くするように、光学シャッタ80の開閉動作を制御する。また、明部領域に対応する注目画素ラインLiによる露光量を減少させる場合、露光制御部130は、たとえば、注目画素ラインLiの露光時間を他の画素ラインLiの露光時間よりも短くするように、光学シャッタ80の開閉動作を制御する。なお、光学シャッタ80の開閉タイミングは、目的の条件を満たすように任意に設定される。
減光フィルタを用いる場合について説明する。減光フィルタを有する眼底撮影装置の制御系の構成を図8に示す。露光制御部130は、イメージセンサ43の複数の画素ラインLiによる露光タイミングの切り替えに応じて減光フィルタ90を制御することにより、イメージセンサ43による露光量を変更する。具体例として、暗部領域に対応する注目画素ラインLiによる露光量を増加させる場合、露光制御部130は、たとえば、注目画素ラインLiの露光期間における透過光量(透過率)を、他の画素ラインLiの露光期間における透過光量(透過率)よりも大きく(高く)するように、減光フィルタ90を制御する。また、明部領域に対応する注目画素ラインLiによる露光量を減少させる場合、露光制御部130は、たとえば、注目画素ラインLiの露光期間における透過光量(透過率)を、他の画素ラインLiの露光期間における透過光量(透過率)よりも小さく(低く)するように、減光フィルタ90を制御する。なお、減光フィルタ90の透過光量(透過率)を変更するタイミングは、目的の条件を満たすように任意に設定される。
所定の透過光量(透過率)の減光フィルタ90を光路に挿脱する構成の場合には、光学シャッタ80による光の透過/遮断の切り替えと同様に、減光フィルタ90の挿入(光量低下)/退避(光量増加)の切り替えが行われる。
光学シャッタ80や減光フィルタ90を適用する構成は、オン/オフの応答性能が低い光源を用いる場合に有効と考えられる。つまり、そのような光源では上記実施形態のような高速での発光制御を実現できない可能性があり、その場合には光学シャッタ80や減光フィルタ90を用いてイメージセンサ43に入射する光の光量を高速で切り替えることができる。なお、LEDのような応答性能の高い光源を用いる場合には、上記実施形態の構成が有効と考えられる。
(第2変形例)
上記実施形態において、眼底Efの特徴部位に対応する画素ラインを特定する処理を説明した。これに代えて、所定の画素ラインに特徴部位が描画されるように被検眼Eを誘導するように構成することが可能である。被検眼Eの誘導は、固視位置を変更することにより行われる。固視位置の変更は、たとえば、図9に示す固視光学系のLCD(固視用LCD)38を制御することで実現可能である。固視用LCD38の制御は固視制御部140が行う。なお、固視制御部140の少なくとも一部の機能が、主制御部110の機能と重複していてもよい。
この変形例による処理の一例を説明する。主制御部110は、固視標が投影された状態の眼底Efの赤外眼底像(動画像)をリアルタイムで表示部300に表示させる。更に、主制御部110は、この表示画面(赤外眼底像)において所定の画素ラインの位置を示す画像(目標ライン画像)を表示させる。ユーザは、赤外眼底像中の特徴部位が目標ライン画像に重なるように、操作部400によって固視位置(つまり固視用LCD38による固視標の画像の表示位置)を変更する。この固視位置の変更は、操作部400からの操作信号を受けた固視制御部140が固視用LCD38を制御することにより行われる。特徴部位が目標ライン画像に重なったら、ユーザは操作部400を用いて撮影指示を入力する。これを受けた眼底撮影装置1は眼底撮影を行う。なお、特徴部位が目標ライン画像に重なったことを検出して自動で眼底撮影を行うようにしてもよい。眼底撮影は、たとえば上記実施形態と同様に、露光制御部130の制御の下に実行される。
他の処理例を説明する。固視制御部140は、赤外眼底像中の特徴部位と目標ライン画像との位置関係を取得することができる。この処理は、たとえば画像解析により特徴部位を特定し、表示画面における特徴部位の座標と目標ライン画像の座標とを比較することにより行うことができる。双方の位置が一致したら、固視制御部140は、眼底撮影が可能なことを示す情報を出力する。この情報を受けた主制御部110は、眼底撮影を実行させる。或いは、この情報を受けた主制御部110は、眼底撮影が可能な旨のメッセージを表示部300に表示させる。このメッセージを認識したユーザが操作部400を用いて撮影指示を入力する。これを受けた眼底撮影装置1は眼底撮影を行う。眼底撮影は、たとえば上記実施形態と同様に、露光制御部130の制御の下に実行される。
この変形例によれば、所定の画素ラインに特徴部位が描画されるように被検眼Eを誘導することができるので、良好な露光状態の眼底像を取得することが可能である。
1 眼底撮影装置
10 照明光学系
11 観察光源
15 撮影光源
30 撮影光学系
37 イメージセンサ
38 (固視用)LED
43 イメージセンサ
43A イメージセンサ駆動部
80 光学シャッタ
90 減光フィルタ
100 制御部
110 主制御部
120 記憶部
130 露光制御部
140 固視制御部
200 画像処理部
210 画素ライン特定部
211 画素特定部
300 表示部
400 操作部
E 被検眼
Ef 眼底
Pij 画素
Li 画素ライン
G1、G2 撮影画像
H1 視神経乳頭
H2 黄斑

Claims (11)

  1. 被検眼の眼底に照明光を照射する照明光学系と、
    複数の画素ラインによる露光タイミングを所定の時間差で順次に切り替えながら画素ライン単位で前記照明光の眼底反射光を検出する撮像素子を含む撮影光学系と、
    前記撮像素子による前記眼底反射光の露光量を、前記露光タイミングの切り替えに応じて変更する露光制御部と
    を有する眼底撮影装置。
  2. 前記照明光学系は、前記照明光を出力する光源を含み、
    前記露光制御部は、前記露光タイミングの切り替えに応じて前記光源を制御することにより前記露光量の変更を行う
    ことを特徴とする請求項1に記載の眼底撮影装置。
  3. 前記照明光学系または前記撮影光学系は、光学シャッタを含み、
    前記露光制御部は、前記露光タイミングの切り替えに応じて前記光学シャッタを制御することにより前記露光量の変更を行う
    ことを特徴とする請求項1に記載の眼底撮影装置。
  4. 前記照明光学系または前記撮影光学系は、減光フィルタを含み、
    前記露光制御部は、前記露光タイミングの切り替えに応じて前記減光フィルタを制御することにより前記露光量の変更を行う
    ことを特徴とする請求項1に記載の眼底撮影装置。
  5. 前記露光制御部は、眼底の撮影画像において相対的に暗く描画される暗部領域に対応する画素ラインによる露光量を増加させるように前記露光量の変更を行うことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の眼底撮影装置。
  6. 前記露光制御部は、眼底の撮影画像において相対的に明るく描画される明部領域に対応する画素ラインによる露光量を減少させるように前記露光量の変更を行うことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の眼底撮影装置。
  7. 前記撮影光学系の光軸を中心として前記撮像素子を回転させる撮像素子駆動部を有し、
    前記露光制御部は、眼底の撮影画像において相対的に暗く描画される暗部領域と相対的に明るく描画される明部領域とが同じ画素ラインに対応する場合、前記撮像素子駆動部を制御して前記撮像素子を回転させる
    ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の眼底撮影装置。
  8. 前記複数の画素ラインのうち眼底の特徴部位に対応する画素ラインを特定する画素ライン特定部を有し、
    前記露光制御部は、特定された画素ラインによる露光量と他の画素ラインによる露光量とを違えるように前記露光量の変更を行う
    ことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の眼底撮影装置。
  9. 前記照明光学系は、赤外照明光を出力する赤外光源を含み、
    前記撮影光学系は、前記撮像素子との間において画素位置の対応付けが予めなされており、前記赤外照明光の眼底反射光を検出する赤外撮像素子を含み、
    前記画素ライン特定部は、
    前記赤外撮像素子による検出結果に基づく赤外眼底像を解析することにより、前記特徴部位に対応する前記赤外撮像素子の画素を特定する画素特定部を含み、
    特定された前記赤外撮像素子の画素に対応付けられた前記撮像素子の画素を含む画素ラインを、前記特徴部位に対応する画素ラインとする
    ことを特徴とする請求項8に記載の眼底撮影装置。
  10. 被検眼を固視させるための固視光学系を有し、
    前記画素ライン特定部は、眼底撮影時における前記固視光学系による固視位置および前記撮影光学系による撮影画角に基づいて、前記特徴部位に対応する画素ラインを特定する
    ことを特徴とする請求項8に記載の眼底撮影装置。
  11. 被検眼を固視させるための固視光学系と、
    眼底の特徴部位からの前記照明光の反射光が所定の画素ラインによって検出されるように前記固視光学系を制御する固視制御部と
    を有することを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の眼底撮影装置。
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