以下では、本発明の実施形態および参考例(第1〜第11参考例)に係る形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
<抵抗>
図1は、本発明の第1実施形態に係るチップ部品1の模式的な斜視図である。
チップ部品1は、微小なチップ部品であり、図1に示すように、直方体形状をなしている。チップ部品1の平面形状は、直交する二辺(長辺81、短辺82)がそれぞれ0.6mm以下、0.3mm以下の矩形(0603チップ)であってもよいし、0.4mm以下、0.2mm以下の矩形(0404チップ)であってもよい。好ましくは、チップ部品1の寸法に関し、長さL1(長辺81の長さ)が約0.3mmであり、幅W1(短辺82の長さ)が約0.15mmの矩形(03015チップ)であり、厚さT1が約0.1mmである。
チップ部品1は、チップ部品1の本体を構成する基板2と、外部接続電極となる第1および第2接続電極3,4と、第1および第2接続電極3,4によって外部接続される回路素子が選択的に形成される素子領域5とを主に備えている。
基板2は、略直方体のチップ形状である。基板2において図1における上面をなす一つの表面は、素子形成面2Aである。素子形成面2Aは、基板2において回路素子が形成される表面であり、略長方形状である。基板2の厚さ方向において素子形成面2Aとは反対側の面は、裏面2Bである。素子形成面2Aと裏面2Bとは、略同寸法かつ同形状であり、互いに平行である。素子形成面2Aにおける一対の長辺81および短辺82によって区画された矩形状の縁を、周縁部85ということにし、裏面2Bにおける一対の長辺81および短辺82によって区画された矩形状の縁を、周縁部90ということにする。素子形成面2A(裏面2B)に直交する法線方向から見ると、周縁部85と周縁部90とは、重なっている。
基板2は、素子形成面2Aおよび裏面2B以外の表面として、複数の側面(側面2C、側面2D、側面2Eおよび側面2F)を有している。当該複数の側面は、素子形成面2Aおよび裏面2Bのそれぞれに交差(詳しくは、直交)して延びて、素子形成面2Aおよび裏面2Bの間を繋いでいる。
側面2Cは、素子形成面2Aおよび裏面2Bにおける長手方向一方側(図1における左手前側)の短辺82間に架設されていて、側面2Dは、素子形成面2Aおよび裏面2Bにおける長手方向他方側(図1における右奥側)の短辺82間に架設されている。側面2Cおよび側面2Dは、当該長手方向における基板2の両端面である。側面2Eは、素子形成面2Aおよび裏面2Bにおける短手方向一方側(図1における左奥側)の長辺81間に架設されていて、側面2Fは、素子形成面2Aおよび裏面2Bにおける短手方向他方側(図1における右手前側)の長辺81間に架設されている。側面2Eおよび側面2Fは、当該短手方向における基板2の両端面である。側面2Cおよび側面2Dのそれぞれは、側面2Eおよび側面2Fのそれぞれと交差(詳しくは、直交)している。そのため、素子形成面2A〜側面2Eにおいて隣り合うもの同士が直角をなしている。
基板2では、素子形成面2Aおよび側面2C〜2Eのそれぞれの全域がパッシベーション膜23で覆われている。そのため、厳密には、図1では、素子形成面2Aおよび側面2C〜2Eのそれぞれの全域は、パッシベーション膜23の内側(裏側)に位置していて、外部に露出されていない。さらに、チップ部品1は、樹脂膜24を有している。樹脂膜24は、素子形成面2A上のパッシベーション膜23の全域(周縁部85およびその内側領域)を覆っている。パッシベーション膜23および樹脂膜24については、以降で詳説する。
第1および第2接続電極3,4は、基板2の素子形成面2A上において周縁部85を覆い、素子形成面2Aおよび側面2C〜2Eに跨るように一体的に形成されている。第1および第2接続電極3,4のそれぞれは、チップ部品1の最表面に露出するように形成されている。第1および第2接続電極3,4は、素子形成面2Aの長手方向に互いに間隔を開けて配置されている。当該配置位置において、第1接続電極3は、チップ部品1の一方の短辺82(側面2C寄りの短辺82)およびその両側の一対の長辺81に沿う三方の側面2C,2E,2Fを一体的に覆うように形成されている。一方、第2接続電極4は、チップ部品1の他方の短辺82(側面2D寄りの短辺82)およびその両側の一対の長辺81に沿う三方の側面2D,2E,2Fを一体的に覆うように形成されている。これにより、基板2の長手方向両端部において側面同士が交わる各コーナー部11はそれぞれ、第1接続電極3もしくは第2接続電極4によって覆われている。第1および第2接続電極3,4は、素子形成面2A(裏面2B)に直交する法線方向から見た平面視において、略同寸法かつ同形状である。
第1接続電極3は、平面視における4辺をなす一対の長辺3Aおよび短辺3Bを有している。長辺3Aと短辺3Bとは平面視において直交している。素子形成面2A(裏面2B)に直交する法線方向から見た平面視において、第1接続電極3の表面には、複数の凹部6が形成されている。
複数の凹部6は、第1接続電極3の周端部に互いに間隔を空けて形成されている。より具体的には、複数の凹部6は、第1接続電極3の長辺3Aおよび短辺3Bに沿う領域に互いに間隔を空けて形成されている。各凹部6は、たとえば、平面視略円形状に形成されている。凹部6の幅(外径)は、2μm〜30μmであり、その深さ(第1接続電極3の表面に対する凹部6の底部の位置)は、2μm〜20μmである。なお、各凹部6の形状としては、平面視円形状の他、平面視四角形状のものを採用してもよい。複数の凹部6によって取り囲まれた第1接続電極3の内方部には、凹部6が形成されていない平坦な平坦部7が形成されている。
平坦部7は、第1接続電極3の内方部において略長方形状になるように形成されている。チップ部品1の製造工程では、素子領域5に形成された回路素子のプロービング(電気的テスト)が実施されるのであるが、このように第1接続電極3の表面に平坦部7を設けておくことで、プローブ70a(図14E参照)が第1接続電極3の凹部6に入り込むことを抑制または防止することができる。その結果プローブ70aの接触領域を良好に確保できる。また、実装基板9(図19参照)に実装する際の接続面積も良好に確保できる。
第2接続電極4は、平面視における4辺をなす一対の長辺4Aおよび短辺4Bを有している。長辺4Aと短辺4Bとは平面視において直交している。長辺3Aおよび長辺4Aは、基板2の短辺82と平行に延びていて、短辺3Bおよび短辺4Bは、基板2の長辺81と平行に延びている。また、チップ部品1は、裏面2Bに電極を有していない。第2接続電極4の表面にも、前述の第1接続電極3の場合と同様の構成で、複数の凹部6および平坦部7が形成されている。第2接続電極4に形成された複数の凹部6および平坦部7の構成は、前述の第1接続電極4に形成された複数の凹部6および平坦部7の構成と同様であるので、その説明を省略する。
素子領域5には、回路素子が形成されている。回路素子は、基板2の素子形成面2Aにおける第1接続電極3と第2接続電極4との間の領域に形成されていて、パッシベーション膜23および樹脂膜24によって上から被覆されている。
図2は、図1に係るチップ部品1の平面図であり、第1接続電極3、第2接続電極4および回路素子(抵抗56)の配置関係ならびに回路素子(抵抗56)の平面視の構成を示す図である。
図2を参照すると、本実施形態では、回路素子として抵抗56が形成されている。抵抗56は、等しい抵抗値を有する複数個の(単位)抵抗体Rを素子形成面2A上でマトリックス状に配列した抵抗回路網によって構成されている。抵抗体Rは、TiN(窒化チタン)、TiON(酸化窒化チタン)またはTiSiONからなる。抵抗56は、後述する配線膜22に電気的に接続されていて、配線膜22を介して第1接続電極3と第2接続電極4とに電気的に接続されている。つまり、抵抗56は、基板2上に形成され、第1および第2接続電極3,4の間に接続されている。
より具体的に、抵抗56は、行方向(基板2の長手方向)に沿って配列された8個の抵抗体Rと、列方向(基板2の幅方向)に沿って配列された44個の抵抗体Rとで構成された合計352個の抵抗体Rを有している。これらの抵抗体Rは、抵抗56の抵抗回路網を構成する複数の素子要素である。
これら多数個の抵抗体Rが1個〜64個の所定個数毎にまとめられて電気的に接続されることによって、複数種類の抵抗回路が形成されている。形成された複数種類の抵抗回路は、導体膜E(導体で形成された配線膜)で所定の態様に接続されている。さらに、基板2の素子形成面2Aには、抵抗回路を抵抗56に対して電気的に組み込んだり、または、抵抗56から電気的に分離したりするために切断(溶断)可能な複数のヒューズFが設けられている。複数のヒューズFおよび導体膜Eは、第1接続電極3の内側辺沿いに、配置領域が直線状になるように配列されている。より具体的には、複数のヒューズFおよび導体膜Eが隣接するように配置され、その配列方向が直線状になっている。複数のヒューズFは、複数種類の抵抗回路(抵抗回路毎の複数の抵抗体R)を第1接続電極3に対してそれぞれ切断可能(切り離し可能)に接続している。
図3Aは、図2に示す抵抗56の一部分を拡大して描いた平面図である。図3Bは、図3Aの切断面線IIIb−IIIbから見た断面図である。図3Cは、図3Aの切断面線IIIc−IIIcから見た断面図である。図4は、図2の切断面線IV−IVから見た断面図である。
図3A〜図3Cを参照して、抵抗56(抵抗体R)の構成について説明した後、チップ部品1の第1および第2接続電極3,4の構成について説明する。
チップ部品1は、前述した配線膜22、パッシベーション膜23および樹脂膜24の他に、絶縁膜20と抵抗体膜21とをさらに備えている(図3Bおよび図3C参照)。絶縁膜20、抵抗体膜21、配線膜22、パッシベーション膜23および樹脂膜24は、基板2(素子形成面2A)上に形成されている。
絶縁膜20は、たとえば、SiO2(酸化シリコン)を含む。絶縁膜20は、基板2の素子形成面2Aの全域を覆っている。絶縁膜20の厚さは、0.1μm〜5μmである。なお、本実施形態では、一層からなる絶縁膜20が形成されている例について説明するが、複数層からなる絶縁膜が形成されていてもよい。また、絶縁膜20は、前述の厚さに限定されるものではなく、より厚く形成されていてもよい。
抵抗体膜21は、絶縁膜20上に形成されている。抵抗体膜21は、TiN、TiONまたはTiSiONにより形成されている。抵抗体膜21の厚さは、たとえば、約2000Åである。抵抗体膜21は、第1接続電極3と第2接続電極4との間を平行に直線状に延びる複数本の抵抗体膜(以下「抵抗体膜ライン21A」という)を構成していて、抵抗体膜ライン21Aは、ライン方向に所定の位置で切断されている場合がある(図3A参照)。
抵抗体膜ライン21A上には、配線膜22が積層されている。配線膜22は、Al(アルミニウム)またはアルミニウムとCu(銅)との合金(AlCu合金)からなる。配線膜22の厚さは、約8000Åである。配線膜22は、抵抗体膜ライン21A上に、ライン方向に一定間隔Rを開けて積層されていて、抵抗体膜ライン21Aに接している。
この構成の抵抗体膜ライン21Aおよび配線膜22の電気的特徴を回路記号で示すと、図5の通りである。すなわち、図5(a)に示すように、所定間隔Rの領域の抵抗体膜ライン21A部分が、それぞれ、一定の抵抗値rを有する1つの抵抗体Rを形成している。
そして、配線膜22が積層された領域では、配線膜22が隣り合う抵抗体R同士を電気的に接続することによって、当該配線膜22で抵抗体膜ライン21Aが短絡されている。よって、図5(b)に示す抵抗値rの抵抗体Rの直列接続からなる抵抗回路が形成されている。
また、隣接する抵抗体膜ライン21A同士は抵抗体膜21および配線膜22で接続されているから、図3Aに示す抵抗56の抵抗回路網は、図5(c)に示す(前述した抵抗体Rの単位抵抗からなる)抵抗回路を構成している。このように、抵抗体膜21および配線膜22は、抵抗体Rや抵抗回路(つまり抵抗56)を構成している。そして、各抵抗体Rは、抵抗体膜ライン21A(抵抗体膜21)と、抵抗体膜ライン21A上にライン方向に一定間隔をあけて積層された複数の配線膜22とを含み、配線膜22が積層されていない一定間隔R部分の抵抗体膜ライン21Aが、1個の抵抗体Rを構成している。抵抗体Rを構成している部分における抵抗体膜ライン21Aは、その形状および大きさが全て等しい。よって、基板2上にマトリックス状に配列された多数個の抵抗体Rは、等しい抵抗値を有している。
また、抵抗体膜ライン21A上に積層された配線膜22は、抵抗体Rを形成すると共に、複数個の抵抗体Rを接続して抵抗回路を構成するための導体膜Eの役目も果たしている(図2参照)。
図4を参照して、チップ部品1の第1接続電極3が形成された領域について詳説する。なお、図4では、第2接続電極4が形成された領域は、第1接続電極3が形成された領域と同等の構成であるので、その図示を省略している。
第1接続電極3は、Ni層33、Pd層34およびAu層35からなる積層構造を有している。第1接続電極3が形成された領域には、前述の通り、基板2上に絶縁膜20が形成されている。絶縁膜20には、第1接続電極3の凹部6が形成された領域に対応する位置に複数の下地凹部8が形成されている。
複数の下地凹部8は、絶縁膜20を厚さ方向に向けて掘り下げるように形成されており、その底面は、絶縁膜20の厚さ方向途中部(すなわち、基板2の表面と絶縁膜20の表面との間)に位置している。各下地凹部8は、たとえば、平面視円形状の開口と、当該開口の面積よりも小さい面積からなる底面を有しており、各下地凹部8の側面は、当該開口の開口端と底面とに架設されている。すなわち、各下地凹部8は、開口端から底面に向けてその開口幅が徐々に狭まる断面視テーパ状に形成されている。
なお、各下地凹部8の形状は、断面視テーパ状に限定されるものではなく、下地凹部8の側面が絶縁膜20の表面に対して直角(すなわち、下地凹部8の開口の面積と底面の面積が同一)になるように形成されていてもよい。また、下地凹部8の底面は、絶縁膜20の表面と平行になるように形成されていてもよいし、側面から厚さ方向に向けてなら滑らか曲線を描くように形成されていてもよい。
各下地凹部8の開口幅W2(下地凹部8の外径)は、2μm〜20μm(本実施形態では、4μm)であり、その深さT2(第1接続電極3の表面に対する各下地凹部8の底面の位置)は、0.4μm〜5μm(本実施形態では、0.8μm)である。なお、各下地凹部8の開口幅W2およびその深さT2の各数値は、一例を示したものに過ぎず、第1および第2接続電極3,4に形成すべき凹部6の大きさや深さによって適宜変更可能である。
絶縁膜20上に形成された抵抗体膜21、および、抵抗体膜21上に形成された配線膜22は、それぞれ第1接続電極3の下方(直下の領域)に入り込むように形成されており、第1接続電極3と接続されている。より具体的に、抵抗体膜21および配線膜22は、その一方表面(表面)および他方表面(裏面)が、下地凹部8の側面および底面によって区画された凹状の空間に入り込むように、下地凹部8の側面および底面、ならびに絶縁膜20の表面に沿って形成されている。これにより、抵抗体膜21および配線膜22によって、さらに当該下地凹部8が形成された領域において、凹状の空間が区画されている。
そして、第1接続電極3は、抵抗体膜21および配線膜22によって区画された凹状の空間をさらに埋め戻すように配線膜22上に形成されている。これによって、第1接続電極3には、下地凹部8が形成された領域に対応する位置に凹部6が形成されている。つまり、凹部6は、第1接続電極3の表面がチップ部品1の厚さ方向に向かって滑らかに窪んだ部分であり、その底部は素子形成面2Aには至っていない。
図6(a)は、図2に示すチップ部品1の平面図の一部分を拡大して描いたヒューズFを含む領域の部分拡大平面図であり、図6(b)は、図6(a)の切断面線VIb−VIbから見た断面図である。
図6(a)および(b)に示すように、前述したヒューズFおよび導体膜Eも、抵抗体Rを形成する抵抗体膜21上に積層された配線膜22により形成されている。すなわち、抵抗体Rを形成する抵抗体膜ライン21A上に積層された配線膜22と同じレイヤーに、配線膜22と同じ金属材料であるAlまたはAlCu合金によってヒューズFおよび導体膜Eが形成されている。なお、配線膜22は、前述したように、抵抗回路を形成するために、複数個の抵抗体Rを電気的に接続する導体膜Eとしても用いられている。
つまり、抵抗体膜21上に積層された同一レイヤーにおいて、抵抗体Rを形成するための配線膜や、ヒューズFや、導体膜Eや、さらには、抵抗56を第1および第2接続電極3,4に接続するための配線膜が、配線膜22として、同一の金属材料(AlまたはAlCu合金)を用いて形成されている。なお、ヒューズFを配線膜22と異ならせている(区別している)のは、ヒューズFが切断しやすいように細く形成されていること、および、ヒューズFの周囲に他の回路要素が存在しないように配置されていることによるからである。
ここで、配線膜22において、ヒューズFが配置された領域を、トリミング対象領域Xということにする(図2および図6(a)参照)。トリミング対象領域Xは、第1接続電極3の内側辺沿いの直線状領域であって、トリミング対象領域Xには、ヒューズFだけでなく、導体膜Eも配置されている。また、トリミング対象領域Xの配線膜22の下方にも抵抗体膜21が形成されている(図6(b)参照)。そして、ヒューズFは、配線膜22において、トリミング対象領域X以外の部分よりも配線間距離が大きい(周囲から離された)配線である。
なお、ヒューズFは、配線膜22の一部だけでなく、抵抗体R(抵抗体膜21)の一部と抵抗体膜21上の配線膜22の一部とのまとまり(ヒューズ素子)を指していてもよい。
また、ヒューズFは、導体膜Eと同一のレイヤーを用いる場合のみを説明したが、導体膜Eでは、その上にさらに別の導体膜を積層するようにし、導体膜E全体の抵抗値を下げるようにしてもよい。なお、この場合であっても、ヒューズFの上に導体膜を積層しなければ、ヒューズFの溶断性が悪くなることはない。
図7は、抵抗体膜ライン21Aおよび配線膜22により構成される一の電気回路図である。
図7を参照して、抵抗56は、基準抵抗回路R8と、抵抗回路R64、2つの抵抗回路R32、抵抗回路R16、抵抗回路R8、抵抗回路R4、抵抗回路R2、抵抗回路R1、抵抗回路R/2、抵抗回路R/4、抵抗回路R/8、抵抗回路R/16、抵抗回路R/32とを第1接続電極3からこの順番で直列接続することによって構成されている。基準抵抗回路R8および抵抗回路R64〜R2のそれぞれは、自身の末尾の数(R64の場合には「64」)と同数の抵抗体Rを直列接続することで構成されている。抵抗回路R1は、1つの抵抗体Rで構成されている。抵抗回路R/2〜R/32のそれぞれは、自身の末尾の数(R/32の場合には「32」)と同数の抵抗体Rを並列接続することで構成されている。抵抗回路の末尾の数の意味については、後述する図8および図9においても同じである。
そして、基準抵抗回路R8以外の抵抗回路R64〜抵抗回路R/32のそれぞれに対して、ヒューズFが1つずつ並列的に接続されている。ヒューズF同士は、直接または導体膜E(図6(a)参照)を介して直列に接続されている。
図7に示すように全てのヒューズFが溶断されていない状態では、抵抗56は、第1および第2接続電極3,4間に設けられた8個の抵抗体Rの直列接続からなる基準抵抗回路R8の抵抗回路を構成している。たとえば、1個の抵抗体Rの抵抗値rをr=8Ωとすれば、8r=64Ωの抵抗回路(基準抵抗回路R8)により第1および第2接続電極3,4が接続されたチップ部品1が構成されている。
また、全てのヒューズFが溶断されていない状態では、基準抵抗回路R8以外の複数種類の抵抗回路は、短絡された状態となっている。つまり、基準抵抗回路R8には、12種類13個の抵抗回路R64〜R/32が直列に接続されているが、各抵抗回路は、それぞれ並列に接続されたヒューズFにより短絡されているので、電気的に見ると、各抵抗回路は抵抗56に組み込まれてはいない。
本実施形態に係るチップ部品1では、要求される抵抗値に応じて、ヒューズFを選択的に、たとえばレーザ光で溶断する。それにより、並列的に接続されたヒューズFが溶断された抵抗回路は、抵抗56に組み込まれることになる。よって、抵抗56の全体の抵抗値を、溶断されたヒューズFに対応する抵抗回路が直列に接続されて組み込まれた抵抗値とできる。
特に、複数種類の抵抗回路は、等しい抵抗値を有する抵抗体Rが、直列に1個、2個、4個、8個、16個、32個…と、公比が2となる等比数列的に抵抗体Rの個数が増加されて接続された複数種類の直列抵抗回路ならびに等しい抵抗値の抵抗体Rが並列に2個、4個、8個、16個…と、公比が2となる等比数列的に抵抗体Rの個数が増加されて接続された複数種類の並列抵抗回路を備えている。そのため、ヒューズF(前述したヒューズ素子も含む)を選択的に溶断することにより、抵抗56全体の抵抗値を、細かく、かつデジタル的に、任意の抵抗値となるように調整して、チップ部品1において所望の値の抵抗を発生させることができる。
図8は、抵抗体膜ライン21Aおよび配線膜22により構成される他の電気回路図である。
図7に示すように基準抵抗回路R8および抵抗回路R64〜抵抗回路R/32を直列接続して抵抗56を構成する代わりに、図8に示すように抵抗56を構成してもかまわない。詳しくは、第1および第2接続電極3,4の間で、基準抵抗回路R/16と、12種類の抵抗回路R/16、R/8、R/4、R/2、R1、R2、R4、R8、R16、R32、R64、R128の並列接続回路との直列接続回路によって抵抗56を構成してもよい。
この場合、基準抵抗回路R/16以外の12種類の抵抗回路には、それぞれ、ヒューズFが直列に接続されている。全てのヒューズFが溶断されていない状態では、各抵抗回路は抵抗56に対して電気的に組み込まれている。要求される抵抗値に応じて、ヒューズFを選択的に、たとえばレーザ光で溶断すれば、溶断されたヒューズFに対応する抵抗回路(ヒューズFが直列に接続された抵抗回路)は、抵抗56から電気的に分離されるので、チップ部品1全体の抵抗値を調整できる。
図9は、抵抗体膜ライン21Aおよび配線膜22により構成されるさらに他の電気回路図である。
図9に示す抵抗56の特徴は、複数種類の抵抗回路の直列接続と、複数種類の抵抗回路の並列接続とが直列に接続された回路構成となっていることである。直列接続される複数種類の抵抗回路には、先の実施形態と同様、抵抗回路毎に、並列にヒューズFが接続されていて、直列接続された複数種類の抵抗回路は、全てヒューズFで短絡状態とされている。したがって、ヒューズFを溶断すると、その溶断されるヒューズFで短絡されていた抵抗回路が、抵抗56に電気的に組み込まれることになる。
一方、並列接続された複数種類の抵抗回路には、それぞれ、直列にヒューズFが接続されている。したがって、ヒューズFを溶断することにより、溶断されたヒューズFが直列に接続されている抵抗回路を、抵抗回路の並列接続から電気的に切り離すことができる。
かかる構成とすれば、たとえば、1kΩ以下の小抵抗は並列接続側で作り、1kΩ以上の抵抗回路を直列接続側で作れば、数Ωの小抵抗から数MΩの大抵抗までの広範な範囲の抵抗回路を、等しい基本設計で構成した抵抗の回路網を用いて作ることができる。つまりチップ部品1では、一つまたは複数のヒューズFを選択して切断することにより、複数種類の抵抗値に、容易にかつ速やかに対応できる。換言すれば、抵抗値の異なる複数の抵抗体Rを組み合わせることによって、様々な抵抗値のチップ部品1を共通の設計で実現できる。
以上のように、チップ部品1では、トリミング対象領域Xにおいて、複数の抵抗体R(抵抗回路)の接続状態が変更可能である。
次に、図10を参照して、チップ部品1についてさらに詳しく説明する。
図10は、チップ部品1の模式的な断面図である。なお、図10では、説明の便宜上、前述した抵抗56、絶縁膜20、ならびに第1および第2接続電極3,4に形成された凹部6の構成については簡略化して示していると共に、基板2以外の各要素にはハッチングを付している。
ここでは、前述したパッシベーション膜23および樹脂膜24について説明する。
パッシベーション膜23は、たとえばSiN(窒化シリコン)からなり、その厚さは、1000Å〜5000Å(ここでは、約3000Å)である。パッシベーション膜23は、素子形成面2Aおよび側面2C〜2Eのそれぞれにおけるほぼ全域に亘って設けられている。素子形成面2A上のパッシベーション膜23は、抵抗体膜21および抵抗体膜21上の各配線膜22(つまり、抵抗56)を表面(図10の上側)から被覆していて、抵抗56おける各抵抗体Rの上面を覆っている。そのため、パッシベーション膜23は、前述したトリミング対象領域Xにおける配線膜22も覆っている(図6(b)参照)。また、パッシベーション膜23は、抵抗56(配線膜22および抵抗体膜21)に接しており、抵抗体膜21以外の領域では絶縁膜20にも接している。これにより、素子形成面2A上のパッシベーション膜23は、素子形成面2A全域を覆って抵抗56および絶縁膜20を保護する保護膜として機能している。また、素子形成面2Aでは、パッシベーション膜23によって、抵抗体R間における配線膜22以外での短絡(隣り合う抵抗体膜ライン21A間における短絡)が防止されている。
一方、側面2C〜2Eのそれぞれに設けられたパッシベーション膜23は、第1および第2接続電極3,4の側面部分と基板2の側面2C〜2Eとの間に介在されており、側面2C〜2Eのそれぞれを保護する保護層として機能している。これにより、第1および第2接続電極3,4と基板2とを短絡させたくない場合に、その要求に応えることができる。なお、パッシベーション膜23は極めて薄い膜なので、本実施形態では、側面2C〜2Eのそれぞれを覆うパッシベーション膜23を、基板2の一部とみなすことにする。そのため、側面2C〜2Eのそれぞれを覆うパッシベーション膜23を、側面2C〜2Eそのものとみなすことにしている。
樹脂膜24は、パッシベーション膜23と共にチップ部品1の素子形成面2Aを保護するものであり、ポリイミド等の樹脂からなる。樹脂膜24の厚みは、約5μmである。
樹脂膜24は、素子形成面2A上のパッシベーション膜23の表面(パッシベーション膜23に被覆された抵抗体膜21および配線膜22も含む)の全域を被覆している。
樹脂膜24には、配線膜22における第1および第2接続電極3,4の側面部分に対向する周縁部を露出させる切欠部25が1つずつ形成されている。各切欠部25は、樹脂膜24およびパッシベーション膜23を、それぞれの厚さ方向において連続して貫通している。そのため、切欠部25は、樹脂膜24だけでなくパッシベーション膜23にも形成されている。これにより、各配線膜22は、抵抗56に近い内側の周縁部のみが樹脂膜24によって選択的に覆われており、その他の、基板2の周縁部85に沿う周縁部が切欠部25を介して選択的に露出している。配線膜22において各切欠部25から露出された表面は、外部接続用のパッド領域22Aとなっている。また、切欠部25から露出する配線膜22は、素子形成面2Aにおいて基板2の周縁部85から内方へ所定の間隔(たとえば、3μm〜6μm)離れて配置されている。また、切欠部25の側面には、チップ部品1の一方の短辺82から他方の短辺82へ向かって、絶縁膜26が全体的に形成されている。
2つの切欠部25のうち、一方の切欠部25は、第1接続電極3によって埋め尽くされ、他方の切欠部25は、第2接続電極4によって埋め尽くされている。第1および第2接続電極3,4は、前述したように、素子形成面2Aに加えて側面2C〜2Eも覆うように形成されている。また、第1および第2接続電極3,4は、樹脂膜24から突出するように形成されていると共に、樹脂膜24の表面に沿って基板2の内方(抵抗56側)へ引き出された引き出し部27を有している。
ここで、第1および第2接続電極3,4のそれぞれは、Ni層33、Pd層34およびAu層35を素子形成面2A側および側面2C〜2E側からこの順で有している。すなわち、第1および第2接続電極3,4のそれぞれは、素子形成面2A上の領域だけでなく、側面2C〜2E上の領域においても、Ni層33、Pd層34およびAu層35からなる積層構造を有している。そのため、第1および第2接続電極3,4のそれぞれにおいて、Ni層33とAu層35との間にPd層34が介装されている。第1および第2接続電極3,4のそれぞれにおいて、Ni層33は各接続電極の大部分を占めており、Pd層34およびAu層35は、Ni層33に比べて格段に薄く形成されている。Ni層33は、チップ部品1が実装基板に実装された際に、各切欠部25のパッド領域22Aにおける配線膜22のAlと、はんだとを中継する役割を有している。
このように、第1および第2接続電極3,4では、Ni層33の表面がAu層35によって覆われているので、Ni層33が酸化することを防止できる。また、第1および第2接続電極3,4では、Au層35を薄くすることによってAu層35に貫通孔(ピンホール)ができてしまっても、Ni層33とAu層35との間に介装されたPd層34が当該貫通孔を塞いでいるので、当該貫通孔からNi層33が外部に露出されて酸化することを防止できる。
そして、第1および第2接続電極3,4のそれぞれでは、Au層35が、最表面に露出している。第1接続電極3は、一方の切欠部25を介して、切欠部25におけるパッド領域22Aにおいて配線膜22に対して電気的に接続されている。第2接続電極4は、他方の切欠部25を介して、切欠部25におけるパッド領域22Aにおいて配線膜22に対して電気的に接続されている。第1および第2接続電極3,4のそれぞれでは、Ni層33がパッド領域22Aに対して接続されている。これにより、第1および第2接続電極3,4のそれぞれは、抵抗56に対して電気的に接続されている。ここで、配線膜22は、抵抗体Rのまとまり(抵抗56)、第1および第2接続電極3,4のそれぞれに接続された配線を形成している。
このように、切欠部25が形成された樹脂膜24およびパッシベーション膜23は、切欠部25から第1および第2接続電極3,4を露出させた状態で素子形成面2Aを覆っている。そのため、樹脂膜24の表面において切欠部25からはみ出した(突出した)第1および第2接続電極3,4を介して、チップ部品1と実装基板との間における電気的接続を達成できる。
次に、図11A〜図20を参照して、チップ部品1の製造方法、およびチップ部品1の実装基板9に対する実装工程について詳説する。
図11A〜図11Iは、図1に示すチップ部品1の製造方法を示す図解的な断面図である。
まず、図11Aに示すように、基板2の元となる基板30を用意する。この場合、基板30の表面30Aは、基板2の素子形成面2Aであり、基板30の裏面30Bは、基板2の裏面2Bである。
そして、基板30の表面30Aを熱酸化して、表面30AにSiO2等からなる絶縁膜20を形成する。絶縁膜20が形成された後、絶縁膜20には、第1および第2接続電極3,4に凹部6を形成するための複数の下地凹部8が形成される。第1および第2接続電極3,4における凹部6の形成工程については、図14A〜図14Eにおいて詳説する。
絶縁膜20が形成された後、絶縁膜20上に抵抗56(抵抗体Rおよび抵抗体Rに接続された配線膜22)を形成する。具体的には、スパッタリングにより、まず、絶縁膜20の上にTiN、TiONまたはTiSiONの抵抗体膜21を全面に形成し、さらに、抵抗体膜21に接するように抵抗体膜21の上にアルミニウム(Al)の配線膜22を積層する。その後、フォトリソグラフィプロセスを用い、たとえばRIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)等のドライエッチングにより抵抗体膜21および配線膜22を選択的に除去してパターニングし、図3Aに示すように、平面視で、抵抗体膜21が積層された一定幅の抵抗体膜ライン21Aが一定間隔をあけて列方向に配列される構成を得る。
このとき、部分的に抵抗体膜ライン21Aおよび配線膜22が切断された領域も形成されると共に、前述したトリミング対象領域XにおいてヒューズFおよび導体膜Eが形成される(図2参照)。続いて、たとえばウェットエッチングにより抵抗体膜ライン21Aの上に積層された配線膜22を選択的に除去する。この結果、抵抗体膜ライン21A上に一定間隔Rをあけて配線膜22が積層された構成の抵抗56が得られる。この際、抵抗体膜21および配線膜22が目標寸法で形成されたか否かを確かめるために、抵抗56全体の抵抗値を測定してもよい。
図11Aを参照して、抵抗56は、1枚の基板30に形成するチップ部品1の数に応じて、基板30の表面30A上における多数の箇所に形成される。基板30において抵抗56(前述した抵抗56)が形成された1つの領域をチップ部品領域Yというと、基板30の表面30Aには、抵抗56をそれぞれ有する複数のチップ部品領域Y(つまり、抵抗56)が形成(設定)される。1つのチップ部品領域Yは、完成した1つのチップ部品1(図10参照)を平面視したものと一致する。そして、基板30の表面30Aにおいて、隣り合うチップ部品領域Yの間の領域を、境界領域Zということにする。境界領域Zは、帯状をなしていて、平面視で格子状に延びている。境界領域Zによって区画された1つの格子の中にチップ部品領域Yが1つ配置されている。境界領域Zの幅は、1μm〜60μm(たとえば20μm)と極めて狭いので、基板30では多くのチップ部品領域Yを確保でき、結果としてチップ部品1の大量生産が可能になる。
次に、図11Aに示すように、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長)法によって、SiNからなる絶縁膜45を、基板30の表面30Aの全域に亘って形成する。絶縁膜45は、絶縁膜20および絶縁膜20上の抵抗56(抵抗体膜21や配線膜22)を全て覆っていて、これらに接している。そのため、絶縁膜45は、前述したトリミング対象領域X(図2参照)における配線膜22も覆っている。また、絶縁膜45は、基板30の表面30Aにおいて全域に亘って形成されることから、表面30Aにおいて、トリミング対象領域X以外の領域にまで延びて形成される。これにより、絶縁膜45は、表面30A(表面30A上の抵抗56も含む)全域を保護する保護膜となる。
次に、図11Bに示すようにマスク65を用いたエッチングによって、絶縁膜45を選択的に除去する。これにより、絶縁膜45の一部に開口28が形成され、その開口28において各パッド領域22Aが露出する。1つの半製品50につき、開口28は2つ形成される。
各半製品50において、絶縁膜45に2つの開口28を形成した後に、抵抗測定装置(図示せず)のプローブ70aを各開口28のパッド領域22Aに接触させて、抵抗56の全体の抵抗値を検出する。そして、絶縁膜45越しにレーザ光(図示せず)を任意のヒューズF(図2参照)に照射することによって、前述したトリミング対象領域Xの配線膜22をレーザ光でトリミングして、当該ヒューズFを溶断する。このようにして、必要な抵抗値となるようにヒューズFを溶断(トリミング)することによって、前述したように、半製品50(換言すれば、チップ部品1)全体の抵抗値を調整できる。このとき、絶縁膜45が抵抗56を覆うカバー膜となっているので、溶断の際に生じた破片などが抵抗56に付着して短絡が生じることを防止できる。また、絶縁膜45がヒューズF(抵抗体膜21)を覆っていることから、レーザ光のエネルギーをヒューズFに蓄えてヒューズFを確実に溶断できる。その後、必要に応じて、CVD法によって絶縁膜45上にSiNを形成し、絶縁膜45を厚くする。最終的な絶縁膜45(図11Cに示された状態)は、1000Å〜5000Å(ここでは、約3000Å)の厚さを有している。このとき、絶縁膜45の一部は、各開口28に入り込んで開口28を塞いでいる。
次に、図11Cに示すように、ポリイミドからなる感光性樹脂の液体を、基板30に対して、絶縁膜45の上からスプレー塗布して、感光性樹脂の樹脂膜46を形成する。表面30A上の樹脂膜46の表面は、表面30Aに沿って平坦になっている。次に、樹脂膜46に熱処理(キュア処理)を施す。これにより、樹脂膜46の厚みが熱収縮すると共に、樹脂膜46が硬化して膜質が安定する。
次に、図11Dに示すように、樹脂膜46、絶縁膜45および絶縁膜20をパターニングすることによって、これらの膜の切欠部25と一致する部分を選択的に除去する。これにより切欠部25が形成されると共に、境界領域Zにおいては表面30A(絶縁膜20)が露出することになる。
次に、図11Eに示すように、基板30の表面30Aの全域に亘ってレジストパターン41を形成する。レジストパターン41には、開口42が形成されている。
図12は、図11Eの工程において溝44を形成するために用いられるレジストパターン41の一部の模式的な平面図である。
図12を参照して、レジストパターン41の開口42は、多数のチップ部品1(換言すれば、前述したチップ部品領域Y)を行列状(格子状でもある)に配置した場合において平面視で隣り合うチップ部品1の輪郭の間の領域(図12においてハッチングを付した部分であり、換言すれば、境界領域Z)に一致(対応)している。そのため、開口42の全体形状は、互いに直交する直線部分42Aおよび42Bを複数有する格子状になっている。
レジストパターン41では、開口42において互いに直交する直線部分42Aおよび42Bは、互いに直交した状態を保ちながら(湾曲することなく)つながっている。そのため、直線部分42Aおよび42Bの交差部分43は、平面視で略90°をなすように尖っている。
図11Eを参照して、レジストパターン41をマスクとするプラズマエッチングにより、基板30を選択的に除去する。これにより、隣り合う抵抗56(チップ部品領域Y)の間の境界領域Zにおける配線膜22から間隔を空けた位置で基板30の材料が除去される。その結果、平面視においてレジストパターン41の開口42と一致する位置(境界領域Z)には、基板30の表面30Aから基板30の厚さ途中まで到達する所定深さの溝44が形成される。溝44は、互いに対向する一対の側壁44Aと、当該一対の側壁44Aの下端(基板30の裏面30B側の端)の間を結ぶ底壁44Bとによって区画されている。基板30の表面30Aを基準とした溝44の深さは約100μmであり、溝44の幅(対向する側壁44Aの間隔)は約20μmであって、深さ方向全域に渡って一定である。
基板30における溝44の全体形状は、平面視でレジストパターン41の開口42(図11参照)と一致する格子状になっている。そして、基板30の表面30Aでは、各抵抗56が形成されたチップ部品領域Yのまわりを溝44における矩形枠体部分(境界領域Z)が取り囲んでいる。基板30において抵抗56が形成された部分は、チップ部品1の半製品50である。基板30の表面30Aでは、溝44に取り囲まれたチップ部品領域Yに半製品50が1つずつ位置していて、これらの半製品50は、行列状に整列配置されている。このように溝44を形成することによって、基板30を複数のチップ部品領域Y毎の基板2に分離する。溝44が形成された後、レジストパターン41を除去する。
次に、図11Fに示すように、CVD法によって、SiNからなる絶縁膜47を、基板30の表面30Aの全域に亘って形成する。このとき、溝44の内周面(前述した側壁44Aの区画面44Cや底壁44Bの上面)の全域にも絶縁膜47が形成される。
次に、図11Gに示すように、絶縁膜47を選択的にエッチングする。具体的には、絶縁膜47における表面30Aに平行な部分を選択的にエッチングする。これにより、配線膜22のパッド領域22Aが露出すると共に、溝44においては、底壁44B上の絶縁膜47が除去される。
次に、無電解めっきによって、各切欠部25から露出した配線膜22からNi、PdおよびAuを順にめっき成長させる。めっきは、各めっき膜が表面30Aに沿う横方向に成長し、溝44の側壁44A上の絶縁膜47を覆うまで続けられる。これにより、図11Hに示すように、Ni/Pd/Au積層膜からなる第1および第2接続電極3,4を形成する。
図13は、第1および第2接続電極3,4の製造工程を説明するための図である。
詳しくは、図13を参照して、まず、パッド領域22Aの表面が浄化されることで、当該表面の有機物(炭素のしみ等のスマットや油脂性の汚れも含む)が除去(脱脂)される(ステップS1)。次に、当該表面の酸化膜が除去される(ステップS2)。次に、当該表面においてジンケート処理が実施されて、当該表面における(配線膜22の)AlがZnに置換される(ステップS3)。次に、当該表面上のZnが硝酸等で剥離されて、パッド領域22Aでは、新しいAlが露出される(ステップS4)。
次に、パッド領域22Aをめっき液に浸けることによって、パッド領域22Aにおける新しいAlの表面にNiめっきが施される。これにより、めっき液中のNiが化学的に還元析出されて、当該表面にNi層33が形成される(ステップS5)。
次に、Ni層33を別のめっき液に浸けることによって、当該Ni層33の表面にPdめっきが施される。これにより、めっき液中のPdが化学的に還元析出されて、当該Ni層33の表面にPd層34が形成される(ステップS6)。
次に、Pd層34をさらに別のめっき液に浸けることによって、当該Pd層34の表面にAuめっきが施される。これにより、めっき液中のAuが化学的に還元析出されて、当該Pd層34の表面にAu層35が形成される(ステップS7)。これによって、第1および第2接続電極3,4が形成され、形成後の第1および第2接続電極3,4を乾燥させると(ステップS8)、第1および第2接続電極3,4の製造工程が完了する。なお、前後するステップの間には、半製品50を水で洗浄する工程が適宜実施される。また、ジンケート処理は複数回実施されてもよい。
図11Hでは、各半製品50において第1および第2接続電極3,4が形成された後の状態を示している。
以上のように、第1および第2接続電極3,4を無電解めっきによって形成するので、電極材料であるNi,PdおよびAlを絶縁膜47上にも良好にめっき成長させることができる。また、第1および第2接続電極3,4を電解めっきによって形成する場合に比べて、第1および第2接続電極3,4についての形成工程の工程数(たとえば、電解めっきで必要となるリソグラフィ工程やレジストマスクの剥離工程等)を削減してチップ部品1の生産性を向上できる。さらに、無電解めっきの場合には、電解めっきで必要とされるレジストマスクが不要であることから、レジストマスクの位置ずれによる第1および第2接続電極3,4についての形成位置にずれが生じないので、第1および第2接続電極3,4の形成位置精度を向上して歩留まりを向上できる。
また、この方法では、配線膜22が切欠部25から露出していて、配線膜22から溝44までめっき成長の妨げになるものがない。そのため、配線膜22から溝44まで直線的にめっき成長させることができる。その結果、電極の形成にかかる時間の短縮を図ることができる。
このように第1および第2接続電極3,4が形成されてから、後述するプローブ70bによる第1および第2接続電極3,4間の通電検査が行われた後に、基板30が裏面30Bから研削される。
具体的には、溝44を形成した後に、図11Iに示すように、PET(ポリエチレンテレフタレート)からなる薄板状であって粘着面72を有する支持テープ71が、粘着面72において、各半製品50における第1および第2接続電極3,4側(つまり、表面30A)に貼着される。これにより、各半製品50が支持テープ71に支持される。ここで、支持テープ71として、たとえば、ラミネートテープを用いることができる。
各半製品50が支持テープ71に支持された状態で、基板30を裏面30B側から研削する。研削によって、溝44の底壁44B(図11H参照)の上面に達するまで基板30が薄型化されると、隣り合う半製品50を連結するものがなくなるので、溝44を境界として基板30が分割され、半製品50が個別に分離してチップ部品1の完成品となる。つまり、溝44(換言すれば、境界領域Z)において基板30が切断(分断)され、これによって、個々のチップ部品1が切り出される。なお、基板30を裏面30B側から溝44の底壁44Bまでエッチングすることによってチップ部品1を切り出してもかまわない。
完成した各チップ部品1では、溝44の側壁44Aの区画面44Cをなしていた部分が、基板2の側面2C〜2Eのいずれかとなり、裏面30Bが裏面2Bとなる。つまり、前述したようにエッチングによって溝44を形成する工程(図11E参照)は、側面2C〜2Eを形成する工程に含まれる。また、絶縁膜45および絶縁膜47の一部がパッシベーション膜23となり、樹脂膜46が樹脂膜24となり、絶縁膜47の一部が絶縁膜26となる。
以上のように、溝44を形成してから基板30を裏面30B側から研削すれば、基板30に形成された複数のチップ部品領域Yを一斉に個々のチップ部品1に分割できる(複数のチップ部品1の個片を一度に得ることができる)。よって、複数のチップ部品1の製造時間の短縮によってチップ部品1の生産性の向上を図ることができる。
なお、完成したチップ部品1における基板2の裏面2Bを研磨やエッチングすることによって鏡面化して裏面2Bを綺麗にしてもよい。
次に、図14A〜図14Eを参照して、チップ部品1の第1および第2接続電極3,4の凹部6の製造工程についてより具体的に説明する。
図14A〜図14Eは、チップ部品1の第1および第2接続電極3,4の凹部6の製造工程をより具体的に説明するための断面図である。なお、図14A〜図14Eはいずれも図4の断面図に対応しており、第2接続電極4については、第1接続電極3と同様の構成であるので、その図示を省略している。
第1接続電極3に凹部6を形成するには、まず、図11Aにおいて基板30の表面30Aに絶縁膜20が形成された後、絶縁膜20に複数の下地凹部8が形成される。下地凹部8は、第1接続電極3に凹部6を形成すべき領域に対応する位置に形成される。より具体的には、下地凹部8を形成すべき領域に開口を選択的に有するマスク(図示せず)が絶縁膜20上に形成される。そして、当該マスクを介して絶縁膜20にエッチング処理が施される。これにより、図14Aに示すように、下地凹部8が形成される。下地凹部8が形成された後、マスクは除去される。
次に、図14Bに示すように、図11Aの工程において形成された抵抗体膜21および配線膜22は、絶縁膜20に形成された下地凹部8の側面および底面によって区画された凹状の空間に入り込むように絶縁膜20の表面に沿って形成される。これにより、抵抗体膜21および配線膜22によって、下地凹部8が形成された領域にさらに凹状の空間が区画される。
次に、図14Cに示すように、絶縁膜45、および開口28の形成工程(図11B参照)を経て、たとえば抵抗測定装置(図示せず)のプローブ70aがパッド領域22Aに接触させられる。このとき、パッド領域22Aの中央部には、溝(凹状の空間)が形成されていない平坦部が形成されている。そのため、プローブ70aが、溝(凹状の空間)に入り込むことを防止できる。これにより、プローブ70aの接触領域を良好に確保できるので、良好に抵抗値の測定を行うことができる。
次に、図14Dに示すように、図11C〜図11Gの工程を経て、図13の製造工程により第1接続電極3が形成される。
より具体的に、パッド領域22Aの表面にNi層33が形成される際、Ni層33は、パッド領域22Aの凹状の空間を埋め戻すように形成される。このとき、Ni層33の表面には、パッド領域22Aに形成された凹状の空間に対応する位置において、厚さ方向に向かう滑らかな窪みが形成される。そして、Pd層34およびAu層35がこの順によりNi層33の表面に沿って形成される。これにより、図1および図2に示すように、第1接続電極3の長辺3Aおよび短辺3Bに沿う領域に複数の凹部6を有する第1接続電極3が形成される。
次に、図14Eに示すように、第1および第2接続電極3,4間での通電検査が行われる。第1および第2接続電極3,4間の通電検査は、たとえば、前述の図14C(図11B)で説明した方法と同様の方法で、抵抗測定装置(図示せず)のプローブ70bを第1および第2接続電極3,4に接触させて、抵抗56の全体の抵抗値を検出することによって行われる。このとき、第1接続電極3の内方部には、凹部6が形成されていない平坦部7が形成されている。そのため、プローブ70bが、凹部6に入り込むことを防止できる。これにより、プローブ70bの接触領域を良好に確保できるので、通電検査を良好に行うことができる。その後、図11H〜図11Iで説明した工程が実行される。
以下、図15A〜図15Dを参照して、チップ部品1の回収工程について詳説する。
図15A〜図15Dは、図11Iの工程後におけるチップ部品1の回収工程を示す図解的な断面図である。
図15Aでは、個片化された複数のチップ部品1が引き続き支持テープ71にくっついている状態を示している。この状態で、図15Bに示すように、各チップ部品1の基板2の裏面2Bに対して、熱発泡シート73を貼着する。熱発泡シート73は、シート状のシート本体74と、シート本体74内に練り込まれた多数の発泡粒子75とを含んでいる。
シート本体74の粘着力は、支持テープ71の粘着面72における粘着力よりも強い。そこで、各チップ部品1の基板2の裏面2Bに熱発泡シート73を貼着した後に、図15Cに示すように、支持テープ71を各チップ部品1から引き剥がして、チップ部品1を熱発泡シート73に転写する。このとき、支持テープ71に紫外線を照射すると(図15Bの点線矢印参照)、粘着面72の粘着性が低下するので、支持テープ71が各チップ部品1から剥がれやすくなる。
次に、熱発泡シート73を加熱する。これにより、図15Dに示すように、熱発泡シート73では、シート本体74内の各発泡粒子75が発泡してシート本体74の表面から膨出する。その結果、熱発泡シート73と各チップ部品1の基板2の裏面2Bとの接触面積が小さくなり、全てのチップ部品1が熱発泡シート73から自然に剥がれる(脱落する)。このように回収されたチップ部品1は、エンボスキャリアテープ(図示せず)に形成された収容空間に収容される。この場合、支持テープ71または熱発泡シート73からチップ部品1を1つずつ引き剥がす場合に比べて、処理時間の短縮を図ることができる。もちろん、複数のチップ部品1が支持テープ71にくっついた状態で(図15A参照)、熱発泡シート73を用いずに、支持テープ71からチップ部品1を所定個数ずつ直接引き剥がしてもよい。チップ部品1が収容されたエンボスキャリアテープは、その後、自動実装機80(図17および図18参照)に収納される。チップ部品1は、自動実装機80に備えられた吸着ノズル76により吸着されて個々回収される。このように回収されたチップ部品1に対して、部品認識カメラ14による表裏判定工程が実行される。
各チップ部品1の回収工程は、図16A〜図16Cに示す別の方法によっても行うことができる。
図16A〜図16Cは、図11Iの工程後におけるチップ部品1の回収工程(変形例)を示す図解的な断面図である。
図16Aでは、図15Aと同様に、個片化された複数のチップ部品1が引き続き支持テープ71にくっついている状態を示している。この状態で、図16Bに示すように、各チップ部品1の基板2の裏面2Bに転写テープ77を貼着する。転写テープ77は、支持テープ71の粘着面72よりも強い粘着力を有する。そこで、図16Cに示すように、各チップ部品1に転写テープ77を貼着した後に、支持テープ71を各チップ部品1から引き剥がす。この際、前述したように、粘着面72の粘着性を低下させるために支持テープ71に紫外線(図16Bの点線矢印参照)を照射してもよい。
転写テープ77の両端には、自動実装機80に設置されたフレーム78が貼り付けられている。両側のフレーム78は、互いが接近する方向または離間する方向に移動できる。支持テープ71を各チップ部品1から引き剥がした後に、両側のフレーム78を互いが離間する方向に移動させると、転写テープ77が伸張して薄くなる。これによって、転写テープ77の粘着力が低下するので、各チップ部品1が転写テープ77から剥がれやすくなる。この状態で、自動実装機80の吸着ノズル76をチップ部品1の素子形成面2A側に向けると、自動実装機80(吸着ノズル76)が発生する吸着力によって、チップ部品1が転写テープ77から引き剥がされて吸着ノズル76に吸着される。この際、図16Cに示す突起79によって、吸着ノズル76とは反対側から転写テープ77越しにチップ部品1を吸着ノズル76側へ突き上げると、チップ部品1を転写テープ77から円滑に引き剥がすことができる。このように回収されたチップ部品1に対して、部品認識カメラ14による表裏判定工程が実行される。
図17は、本発明に係るチップ部品1の表裏判定工程を説明するための図である。図18は、参考例に係るチップ部品10の表裏判定工程を説明するための図である。
図17および図18は、それぞれ、本発明のチップ部品1および参考例に係るチップ部品10が吸着ノズル76に吸着されている状態を示している。なお、参考例に係るチップ部品10とは、ここでは第1および第2接続電極3,4の各表面に凹部6が形成されていないチップ部品のことを言う。
図17に示すように、チップ部品1は、吸着ノズル76により吸着された状態で、自動実装機80によってチップ部品1の表裏が部品認識カメラ14によって判定される部品検出位置Pまで搬送される。このとき、吸着ノズル76は、裏面2Bの長手方向における略中央部分に吸着する。前述したように、第1および第2接続電極3,4は、チップ部品1の片面(素子形成面2A)および側面2C〜2Eにおける素子形成面2A側の端部だけに設けられていることから、チップ部品1において裏面2Bは、電極(凹凸)がない平坦面となる。よって、吸着ノズル76をチップ部品1に吸着して移動させる場合に、平坦な裏面2Bに吸着ノズル76を吸着させることができる。換言すれば、平坦な裏面2Bであれば、吸着ノズル76が吸着できる部分のマージンを増やすことができる。これによって、吸着ノズル76をチップ部品1に確実に吸着させ、チップ部品1を途中で吸着ノズル76から脱落させることなく確実に部品認識カメラ14による部品検出位置P(実装基板9上)まで搬送できる。
図17に示すように、チップ部品1が部品検出位置Pに到達すると、部品認識カメラ14の周囲に設置された光源15(たとえば複数のLEDを備えた光照射機)からチップ部品1の第1および第2接続電極3,4が形成された面(素子形成面2A)に光が斜め方向に照射される。部品認識カメラ14は、当該チップ部品1の第1および第2接続電極3,4、ならびに第1および第2接続電極3,4が形成されていない部分によって反射された反射光を検出することにより、第1および第2接続電極3,4が形成された領域とそうでない領域との明暗を区別して、チップ部品1の表裏を判定する。
チップ部品1は、必ずしも水平な姿勢で吸着ノズル76により吸着されるわけではなく、時には傾いた姿勢で吸着ノズル76により吸着される場合がある。
ここで、図18に示すように、参考例に係るチップ部品10の場合では、傾いた姿勢の状態で光源15から素子形成面2Aに光が照射されると(図18の入射光λ3参照)、第1および第2接続電極3,4によって部品認識カメラ14が配置された領域外に向けて反射(全反射:図18の反射光λ4参照)され、部品認識カメラ14によって検出されない場合がある。このような場合、部品認識カメラ14による映像情報では、チップ部品10の第1および第2接続電極3,4の一部または全部が暗く写ることになる。そのため、自動実装機80は、第1および第2接続電極3,4が形成された領域を第1および第2接続電極3,4が形成されていない領域であると誤認識し、チップ部品10の実装基板9への搬送を停止させる。したがって、参考例に係るチップ部品10の場合では、このような誤認識の発生が円滑なチップ部品の実装の妨げとなっている。
これに対して、本発明のチップ部品1では、図17に示すように、チップ部品1の最表面に形成された第1および第2接続電極3,4の表面にそれぞれ複数の凹部6が形成されている。そのため、たとえチップ部品1が傾いた姿勢で吸着されていても、光源15から第1および第2接続電極3,4に照射された光(図17の入射光λ1参照)は、第1および第2接続電極3,4の凹部6によって乱反射される(図17の反射光λ2参照)。第1および第2接続電極3,4では、このような凹部6が複数形成されているため、たとえ、チップ部品1が前述の図18のように傾いた姿勢で吸着ノズル76により吸着されていても、光源15からの入射光λ1をあらゆる方向に反射させることができる。そのため、部品検出位置Pに対して部品認識カメラ14がどのように配置されていても、当該部品認識カメラ14により第1および第2接続電極3,4(チップ部品1)を良好に検出できる。これにより、自動実装機80は、チップ部品1の仕様による誤認識を軽減できるので、チップ部品1の実装基板9に対する実装を円滑に行うことができる。
しかも、チップ部品1の第1および第2接続電極3,4に凹部6を形成するという加工で済むので、仕様の異なるチップ部品に適用できる。そのため、チップ部品の仕様毎に、部品認識カメラ14の周囲に配置する光源15の条件(仕様)を変更する必要はない。
このような工程を経たチップ部品1は、その後、図19に示すように実装基板9に実装される。
図19は、チップ部品1が実装基板9に実装された状態の回路アセンブリ100をチップ部品1の長手方向に沿って切断したときの模式的な断面図である。図20は、実装基板9に実装された状態のチップ部品1を素子形成面2A側から見た模式的な平面図である。
図19に示すように、チップ部品1は、実装基板9に実装される。この状態におけるチップ部品1および実装基板9は、回路アセンブリ100を構成している。図19における実装基板9の上面は、実装面9Aである。実装面9Aには、実装基板9の内部回路(図示せず)に接続された一対(2つ)のランド88が形成されている。各ランド88は、たとえば、Cuからなる。各ランド88の表面には、はんだ13が当該表面から突出するように設けられている。
自動実装機80は、表裏判定工程の後、チップ部品1を吸着した状態で吸着ノズル76を実装基板9まで移動させる。このとき、チップ部品1の素子形成面2Aと実装基板9の実装面9Aとが互いに対向する。この状態で、吸着ノズル76を移動させて実装基板9に押し付け、チップ部品1において、第1接続電極3を一方のランド88のはんだ13に接触させ、第2接続電極4を他方のランド88のはんだ13に接触させる。次に、はんだ13を加熱すると、はんだ13が溶融する。その後、はんだ13が冷却されて固まると、第1接続電極3と当該一方のランド88とがはんだ13を介して接合し、第2接続電極4と当該他方のランド88とがはんだ13を介して接合する。つまり、2つのランド88のそれぞれが、第1および第2接続電極3,4において対応する電極にはんだ接合される。これにより、実装基板9へのチップ部品1の実装(フリップチップ接続)が完了して、回路アセンブリ100が完成する。このとき、チップ部品1の外部接続電極として機能する第1および第2接続電極3,4の最表面には、Au層35(金メッキ)が形成されている。そのため、チップ部品1を実装基板9に実装する際に、優れたはんだ濡れ性と、高い信頼性とを達成できる。
完成状態の回路アセンブリ100では、チップ部品1の素子形成面2Aと実装基板9の実装面9Aとが、隙間を隔てて対向しつつ、平行に延びている(図20も参照)。当該隙間の寸法は、第1接続電極3または第2接続電極4において素子形成面2Aから突き出た部分の厚みとはんだ13の厚さとの合計に相当する。
図19に示すように、断面視においては、たとえば、第1および第2接続電極3,4は、素子形成面2A上の表面部分と側面2C,2D上の側面部分とが一体的になってL字状に形成されている。そのため、図20に示すように、実装面9A(素子形成面2A)の法線方向(これらの面に直交する方向)から回路アセンブリ100(厳密には、チップ部品1と実装基板9との接合部分)を見てみると、第1接続電極3と一方のランド88とを接合するはんだ13は、第1接続電極3の表面部分だけでなく、側面部分にも吸着している。同様に、第2接続電極4と他方のランド88とを接合するはんだ13も、第2接続電極4の表面部分だけでなく、側面部分にも吸着している。
このように、チップ部品1では、第1接続電極3が基板2の三方の側面2C,2E,2Fを一体的に覆うように形成され、第2接続電極4が基板2の三方の側面2D,2E,2Fを一体的に覆うように形成されている。すなわち、基板2の素子形成面2Aに加えて側面2C〜2Eにも電極が形成されているので、チップ部品1を実装基板9にはんだ付けする際の接着面積を拡大できる。その結果、第1および第2接続電極3,4に対するはんだ13の吸着量を増やすことができるので、接着強度を向上させることができる。
また、図20に示すように、はんだ13が基板2の素子形成面2Aから側面2C〜2Eに回り込むように吸着する。したがって実装状態において、第1接続電極3を三方の側面2C,2E,2Fではんだ13によって保持し、第2接続電極4を三方の側面2D,2E,2Fではんだ13によって保持することによって、矩形状のチップ部品1の全ての側面2C〜2Eをはんだ13で固定できる。これにより、チップ部品1の実装形状を安定化させることができる。
以上のように、本発明によれば、チップ部品1の表裏を良好に判定でき、かつ円滑に実装基板9に実装できるチップ部品1およびその製造方法を提供できる。また、チップ部品1を備えた回路アセンブリ100を提供できる。
<キャパシタ>
図21は、第2実施形態に係るチップ部品101の平面図であり、第1接続電極、第2接続電極および回路素子の配置関係ならびに素子の平面視の構成を示す図である。図22は、図21の切断面線XXII−XXIIから見た断面図である。図23Aは、図21の切断面線XXIIIa−XXIIIaから見た断面図である。図23Bは、図21の切断面線XXIIIb−XXIIIbから見た断面図である。図24は、チップ部品101の一部の構成を分離して示す分解斜視図である。
第2実施形態に係るチップ部品101が、前述の第1実施形態に係るチップ部品1と異なる点は、素子領域5に形成される回路素子として、抵抗56に代えてキャパシタ要素C1〜C9が形成されている点である。その他の構成は、前述の第1実施形態に係るチップ部品1の構成と同等である。図21〜図25において、前述の図1〜図25に示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して、説明を省略する。
図21を参照して、基板2の素子形成面2Aには、素子領域5内に、複数のキャパシタ要素C1〜C9が形成されている。複数のキャパシタ要素C1〜C9は、回路素子(ここでは、キャパシタ)を構成する複数の素子要素であり、第1および第2接続電極3,4の間に接続されている。詳しくは、複数のキャパシタ要素C1〜C9は、複数のヒューズユニット107(前述したヒューズFに相当する)を介してそれぞれ第2接続電極4に対して切り離し可能となるように電気的に接続されている。
図22に示されているように、基板2の素子形成面2Aには前述の第1実施形態と同様の構成で絶縁膜20が形成されていて、絶縁膜20の表面に下部電極膜111が形成されている。下部電極膜111は、素子領域5の略全域にわたっている。さらに、下部電極膜111は、第1接続電極3の直下の領域にまで延びて形成されている。
より具体的には、下部電極膜111は、素子領域5においてキャパシタ要素C1〜C9の共通の下部電極として機能するキャパシタ電極領域111Aと、第1接続電極3の直下に配置される外部電極引き出しのためのパッド領域111Bとを有している。キャパシタ電極領域111Aが素子領域5に位置していて、パッド領域111Bが第1接続電極3の直下に位置して第1接続電極3に接触している。
図23Aに示されているように、パッド領域111B(下部電極膜111)は、第1接続電極3の直下の領域において、絶縁膜20に形成された下地凹部8の側面および底面によって区画された凹状の空間に入り込むように、下地凹部8の側面および底面、ならびに絶縁膜20の表面に沿って形成されている。これにより、パッド領域111Bによって、さらに当該下地凹部8が形成された領域において、凹状の空間が区画されている。そして、第1接続電極3は、パッド領域111Bによって区画された凹状の空間をさらに埋め戻すようにパッド領域111B上に形成されている。これによって、第1接続電極3には、下地凹部8が形成された領域に対応する位置に凹部6が形成され、当該凹部6に取り囲まれた第1接続電極3の内方部には凹部6が形成されていない平坦部7が形成されている。
再度、図22を参照して、素子領域5において下部電極膜111(キャパシタ電極領域111A)を覆って接するように容量膜(誘電体膜)112が形成されている。容量膜112は、キャパシタ電極領域111A(素子領域5)の全域にわたって形成されている。容量膜112は、本実施形態では、さらに素子領域5外の絶縁膜20を覆っている。
容量膜112の上には、上部電極膜113が形成されている。上部電極膜113は、素子領域5に位置するキャパシタ電極領域113Aと、第2接続電極4の直下に位置して第2接続電極4に接触するパッド領域113Bと、キャパシタ電極領域113Aとパッド領域113Bとの間に配置されたヒューズ領域113Cとを有している。
図23Bに示されているように、容量膜112およびパッド領域113B(上部電極膜113)は、第2接続電極4の直下の領域において、絶縁膜20に形成された下地凹部8の側面および底面によって区画された凹状の空間に入り込むように、下地凹部8の側面および底面、ならびに絶縁膜20の表面に沿って形成されている。これにより、容量膜112およびパッド領域113Bによって、当該下地凹部8が形成された領域において、さらに凹状の空間が区画されている。そして、第2接続電極4は、容量膜112およびパッド領域113Bによって区画された凹状の空間をさらに埋め戻すようにパッド領域113B上に形成されている。これによって、第2接続電極4には、下地凹部8が形成された領域に対応する位置に凹部6が形成され、当該凹部6に取り囲まれた第1接続電極3の内方部には凹部6が形成されていない平坦部7が形成されている。
再度、図22を参照して、キャパシタ電極領域113Aにおいて、上部電極膜113は、複数の電極膜部分(上部電極膜部分)131〜139に分割(分離)されている。本実施形態では、各電極膜部分131〜139は、いずれも矩形形状に形成されていて、ヒューズ領域113Cから第1接続電極3に向かって帯状に延びている。複数の電極膜部分131〜139は、複数種類の対向面積で、容量膜112を挟んで(容量膜112に接しつつ)下部電極膜111に対向している。より具体的には、電極膜部分131〜139の下部電極膜111に対する対向面積は、1:2:4:8:16:32:64:128:128となるように定められていてもよい。すなわち、複数の電極膜部分131〜139は、対向面積の異なる複数の電極膜部分を含み、より詳細には、公比が2の等比数列をなすように設定された対向面積を有する複数の電極膜部分131〜138(または131〜137,139)を含む。これによって、各電極膜部分131〜139と容量膜112を挟んで対向する下部電極膜111とによってそれぞれ構成される複数のキャパシタ要素C1〜C9は、互いに異なる容量値を有する複数のキャパシタ要素を含む。電極膜部分131〜139の対向面積の比が前述の通りである場合、キャパシタ要素C1〜C9の容量値の比は、当該対向面積の比と等しく、1:2:4:8:16:32:64:128:128となる。すなわち、複数のキャパシタ要素C1〜C9は、公比が2の等比数列をなすように容量値が設定された複数のキャパシタ要素C1〜C8(またはC1〜C7,C9)を含むことになる。
本実施形態では、電極膜部分131〜135は、幅が等しく、長さの比を1:2:4:8:16に設定した帯状に形成されている。また、電極膜部分135,136,137,138,139は、長さが等しく、幅の比を1:2:4:8:8に設定した帯状に形成されている。電極膜部分135〜139は、素子領域5の第2接続電極4側の端縁から第1接続電極3側の端縁までの範囲に渡って延びて形成されており、電極膜部分131〜134は、それよりも短く形成されている。
パッド領域113Bは、第2接続電極4と略相似形に形成されており、略矩形の平面形状を有している。図22に示すように、パッド領域113Bにおける上部電極膜113は、第2接続電極4に接している。
ヒューズ領域113Cは、基板2上において、パッド領域113Bの一つの長辺(基板2の周縁に対して内方側の長辺)に沿って配置されている。ヒューズ領域113Cは、パッド領域113Bの前記一つの長辺に沿って配列された複数のヒューズユニット107を含む。
ヒューズユニット107は、上部電極膜113のパッド領域113Bと同じ材料で一体的に形成されている。複数の電極膜部分131〜139は、1つまたは複数個のヒューズユニット107と一体的に形成されていて、それらのヒューズユニット107を介してパッド領域113Bに接続され、パッド領域113Bを介して第2接続電極4に電気的に接続されている。図21に示すように、面積の比較的小さな電極膜部分131〜136は、一つのヒューズユニット107によってパッド領域113Bに接続されており、面積の比較的大きな電極膜部分137〜139は複数個のヒューズユニット107を介してパッド領域113Bに接続されている。全てのヒューズユニット107が用いられる必要はなく、本実施形態では、一部のヒューズユニット107は未使用である。
ヒューズユニット107は、パッド領域113Bとの接続のための第1幅広部107Aと、電極膜部分131〜139との接続のための第2幅広部107Bと、第1および第2幅広部107A,7Bの間を接続する幅狭部107Cとを含む。幅狭部107Cは、レーザ光によって切断(溶断)できるように構成されている。それによって、電極膜部分131〜139のうち不要な電極膜部分を、ヒューズユニット107の切断によって第1および第2接続電極3,4から電気的に切り離すことができる。
図21および図24では図示を省略したが、図22に表れている通り、上部電極膜113の表面を含むチップ部品101の表面は、前述したパッシベーション膜23によって覆われている。パッシベーション膜23は、たとえば窒化膜からなっていて、チップ部品101の上面のみならず、基板2の側面2C〜2Eまで延びて、側面2C〜2Eの全域をも覆うように形成されている。側面2C〜2Eにおいては、基板2と第1および第2接続電極3,4との間に介在されている。さらに、パッシベーション膜23の上には、前述した樹脂膜24が形成されている。樹脂膜24は、素子形成面2Aを覆っている。
パッシベーション膜23および樹脂膜24は、チップ部品101の表面を保護する保護膜である。これらには、第1および第2接続電極3,4に対応する領域に、前述した切欠部25がそれぞれ形成されている。切欠部25は、パッシベーション膜23および樹脂膜24を貫通している。さらに、本実施形態では、第1接続電極3に対応した切欠部25は、容量膜112をも貫通している。
切欠部25には、第1および第2接続電極3,4がそれぞれ埋め込まれている。これにより、第1接続電極3は下部電極膜111のパッド領域111Bに接合しており、第2接続電極4は上部電極膜113のパッド領域113Bに接合している。第1および第2接続電極3,4は、樹脂膜24の表面から突出すると共に、樹脂膜24の表面に沿って基板2の内方(素子領域5側)へ引き出された引き出し部27を有している。これにより、実装基板に対してチップ部品101をフリップチップ接合できる。
図25は、チップ部品101の内部の電気的構成を示す回路図である。第1接続電極3と第2接続電極4との間に複数のキャパシタ要素C1〜C9が並列に接続されている。各キャパシタ要素C1〜C9と第2接続電極4との間には、一つまたは複数のヒューズユニット107でそれぞれ構成されたヒューズF1〜F9が直列に介装されている。
ヒューズF1〜F9が全て接続されているときは、チップ部品101の容量値は、キャパシタ要素C1〜C9の容量値の総和に等しい。複数のヒューズF1〜F9から選択した1つまたは2つ以上のヒューズを切断すると、当該切断されたヒューズに対応するキャパシタ要素が切り離され、当該切り離されたキャパシタ要素の容量値だけチップ部品101の容量値が減少する。
そこで、パッド領域111B,113Bの間の容量値(キャパシタ要素C1〜C9の総容量値)を測定し、その後に所望の容量値に応じてヒューズF1〜F9から適切に選択した一つまたは複数のヒューズをレーザ光で溶断すれば、所望の容量値への合わせ込み(レーザトリミング)を行うことができる。特に、キャパシタ要素C1〜C8の容量値が、公比2の等比数列をなすように設定されていれば、最小の容量値(当該等比数列の初項の値)であるキャパシタ要素C1の容量値に対応する精度で目標の容量値へと合わせ込む微調整が可能である。
たとえば、キャパシタ要素C1〜C9の容量値は次のように定められていてもよい。
C1=0.03125pF
C2=0.0625pF
C3=0.125pF
C4=0.25pF
C5=0.5pF
C6=1pF
C7=2pF
C8=4pF
C9=4pF
この場合、0.03125pFの最小合わせ込み精度でチップ部品101の容量を微調整できる。また、ヒューズF1〜F9から切断すべきヒューズを適切に選択することで、10pF〜18pFの間の任意の容量値のチップ部品101を提供できる。
図26は、図21に示すチップ部品101の製造工程の一例を説明するためのフローチャートである。
このようなチップ部品101の製造工程は、前述の第1実施形態における抵抗56を形成した後のチップ部品1の製造工程と同じである。つまり、このようなチップ部品101は、前述の第1実施形態における抵抗56の形成工程に代えて、キャパシタ要素C1〜C9を形成する工程を行うことにより得ることができる。以下、前述の第1実施形態の製造工程と異なる点について詳説する。
すなわち、チップ部品101においてキャパシタ要素C1〜C9やヒューズユニット107を形成する場合には、まず、前述した基板30(基板2)の表面に、熱酸化法および/またはCVD法によって、絶縁膜20が形成される(ステップS11)。次に、絶縁膜20のうち、第1および第2接続電極3,4の凹部6が形成されるべき領域に対応する位置に下地凹部8が形成される(ステップS12)。より具体的には、下地凹部8を形成すべき領域に開口を選択的に有するマスクが絶縁膜20上に形成される。そして、当該マスクを介して絶縁膜20にエッチング処理が施される。これにより、絶縁膜20に下地凹部8が形成される。
次に、たとえばスパッタ法によって、アルミニウム膜からなる下部電極膜111が絶縁膜20の表面全域に形成される(ステップS13)。次に、その下部電極膜の表面に、下部電極膜111の最終形状に対応したレジストパターンが、フォトリソグラフィによって形成される(ステップS14)。レジストパターンをマスクとして、下部電極膜がエッチングされることにより、図22等に示したパターンの下部電極膜111が得られる(ステップS15)。下部電極膜111のエッチングは、たとえば、反応性イオンエッチングによって行うことができる。
次に、たとえばプラズマCVD法によって、窒化シリコン膜等からなる容量膜112が、下部電極膜111上に形成される(ステップS16)。下部電極膜111が形成されていない領域では、絶縁膜20の表面に容量膜112が形成されることになる。次に、その容量膜112の上に、上部電極膜113が形成される(ステップS17)。上部電極膜113は、たとえばアルミニウム膜からなり、スパッタ法によって形成できる。
次に、上部電極膜113の表面に上部電極膜113の最終形状に対応したレジストパターンがフォトリソグラフィによって形成される(ステップS18)。レジストパターンをマスクとしたエッチングにより、上部電極膜113が、最終形状(図21等参照)にパターニングされる(ステップS19)。それによって、上部電極膜113は、キャパシタ電極領域113Aに複数の電極膜部分131〜139に分割された部分を有し、ヒューズ領域113Cに複数のヒューズユニット107を有し、それらのヒューズユニット107に接続されたパッド領域113Bを有するパターンに整形される。上部電極膜113のパターニングのためのエッチングは、燐酸等のエッチング液を用いたウェットエッチングによって行ってもよいし、反応性イオンエッチングによって行ってもよい。
以上によって、チップ部品101におけるキャパシタ要素C1〜C9やヒューズユニット107が形成される。次に、前述の図11Aと同様の工程で、カバー膜としての絶縁膜45が形成される。次に、上部電極膜113のパッド領域113Bおよび下部電極膜111のパッド領域111Bにプローブ70aを押し当てて、複数のキャパシタ要素C1〜C9の総容量値が測定される(ステップS20)。このとき、プローブ70aがパッド領域111B、およびパッド領域113Bに接触させられる。パッド領域111B、およびパッド領域113Bには、溝(凹状の空間)が形成されていない平坦部が形成されている。そのため、検査用プローブが、溝(凹状の空間)に入り込むことを防止できる。これにより、検査用プローブの接触領域を良好に確保できるので、良好に複数のキャパシタ要素C1〜C9の総容量値の測定を行うことができる。測定された総容量値に基づき、目的とするチップ部品101の容量値に応じて、切り離すべきキャパシタ要素C1〜C9、すなわち切断すべきヒューズFが選択される(ステップS21)。
すなわち、前記総容量値の測定結果に応じて選択されたヒューズを構成するヒューズユニット107にレーザ光を当てて、そのヒューズユニット107の幅狭部107C(図21参照)が溶断される(ステップS22)。これにより、対応するキャパシタ要素がパッド領域113Bから切り離される。ヒューズユニット107にレーザ光を当てるとき、カバー膜である絶縁膜45の働きによって、ヒューズユニット107の近傍にレーザ光のエネルギーが蓄積され、それによって、ヒューズユニット107が溶断する。これにより、チップ部品101の容量値を確実に目的の容量値とすることができる。
その後、図11C〜図11Iの工程に倣って、チップ部品1の場合と同じ工程を実行すればよい。
以上のように、素子領域5にキャパシタを形成する場合であっても、前述の第1実施形態において述べた効果と同様の効果を奏することができる。
図27は、本発明の第3の実施形態に係るチップ部品102の平面図であり、第1接続電極、第2接続電極および回路素子の配置関係ならびに素子の平面視の構成を示す図である。
前述の第2の実施形態では、上部電極膜113のキャパシタ電極領域113Aがそれぞれ帯状の電極膜部分131〜139に分割されている。この場合、図21に示すように、素子領域5内にキャパシタ要素として利用することができない領域が生じてしまい、小さな基板2上の限られた領域を有効に活用することができない。
そこで、図27に示す実施形態では、複数の電極膜部分131〜139がL字形の電極膜部分141〜149に分割されている。これによって、たとえば、図27の構成における電極膜部分149は、図21の構成の電極膜部分139の1.5倍の面積で下部電極膜111に対向できる。よって、図21の第2の実施形態において電極膜部分139に対応したキャパシタ要素C9が4pFの容量を有しているとすれば、本実施形態における電極膜部分149を用いることで、キャパシタ要素C9は6pFの容量を有することができる。これにより、素子領域5内を有効に活用して、より広い範囲でチップ部品102の容量値を設定することが可能となる。
本実施形態に係るチップ部品102の製造工程は、前述の図26に示した工程と実質的に同様である。ただし、上部電極膜113のパターニング(ステップS18,S19)では、キャパシタ電極領域113Aが、図27に示す形状の複数の電極膜部分141〜149に分割される。
以上のように、第3実施形態の構成によっても、前述の第1実施形態において述べた効果と同様の効果を奏することができる。
図28は、本発明の第4実施形態に係るチップ部品103の平面図であり、第1接続電極、第2接続電極および回路素子の配置関係ならびに素子の平面視の構成を示す図である。
前述の第2実施形態では、下部電極膜111が素子領域5の略全域にわたる連続パターンからなるキャパシタ電極領域111Aを有し、上部電極膜113のキャパシタ電極領域113Aが複数の電極膜部分131〜139に分割されている(図21等参照)。
これに対して、第4実施形態では、上部電極膜113のキャパシタ電極領域113Aおよびパッド領域113Bが素子領域5の略全域にわたって連続する連続膜パターンに形成されている一方で、下部電極膜111のキャパシタ電極領域111Aが複数の電極膜部分151〜159に分割されている。電極膜部分151〜159は、第2実施形態における電極膜部分131〜139と同様の形状および面積比に形成されてもよいし、第3実施形態における電極膜部分141〜149と同様の形状および面積比に形成されてもよい。
本実施形態では、電極膜部分151〜159のうちの少なくともいずれか(図28では電極膜部分159)は、キャパシタ電極領域111AにおいてL字状に形成されている例を示している。このようにして、電極膜部分151〜159と、容量膜112と、上部電極膜113とによって、複数のキャパシタ要素が構成されている。複数のキャパシタ要素の少なくとも一部は、容量値の異なる(たとえば等比数列をなすように各容量値が設定された)キャパシタ要素群を構成している。電極膜部分151〜159は、順に、キャパシタ要素C1〜C9を構成している。図28の電極膜部分159は、L字形に折れ曲っていて、素子領域5の全域に亘って形成されている。そのため、キャパシタ要素C9の容量値を、キャパシタ要素C8の容量値よりも大きく、たとえば2倍とすることができる。これにより、キャパシタ要素C8,9の容量値が同じであった第2実施形態(図21参照)とは異なり、全てのキャパシタ要素C1〜C9の容量値が等比数列をなすように設定できる。
下部電極膜111は、さらに、キャパシタ電極領域111Aとパッド領域111Bとの間にヒューズ領域111Cを有している。ヒューズ領域111Cには、第2実施形態のヒューズユニット107と同様の複数のヒューズユニット147がパッド領域111Bに沿って一列に配列されている。各電極膜部分151〜159は、一つまたは複数のヒューズユニット147を介してパッド領域111Bに接続されている。
このような構成によっても、電極膜部分151〜159が互いに異なる対向面積で上部電極膜113に対向しており、これらはヒューズユニット147を切断することによって個別に切り離すことができる。したがって、第2実施形態の場合と同様の効果が得られる。特に、複数の電極膜部分151〜159の少なくとも一部が公比2の等比数列をなすように設定した対向面積で上部電極膜113に対向するように形成しておくことで、第2実施形態の場合と同様に、所要の容量値に高精度で合わせ込んだチップ部品を提供できる。
本実施形態に係るチップ部品103の製造工程は、図26に示した工程と実質的に同様である。ただし、下部電極膜111のパターニング(ステップS13,S14)において、キャパシタ電極領域111Aが電極膜部分151〜159に分割され、かつヒューズ領域111Cに複数のヒューズユニット147が形成されることになる。また、上部電極膜113のパターニング(ステップS18,S19)では、複数の電極膜部分の形成は行われず、ヒューズユニットの形成も行われない。ただし、上部電極膜113は、平面視で各ヒューズユニット147に重ならないようにパターニングされる。さらに、レーザトリミング(ステップS22)においては、下部電極膜111に形成されたヒューズユニット147がレーザ光によって切断される。レーザトリミングの際、下部電極膜111は容量膜112によって覆われているので、容量膜112をレーザ光のエネルギーを蓄積するためのカバー膜として利用できる。したがって、レーザトリミングの直前のカバー膜としての絶縁膜45の形成工程は省かれてもよい。上部電極膜113が平面視で各ヒューズユニット147に重なっていないので、レーザトリミングによって上部電極膜113が切断されることはない。
以上のように、第4実施形態の構成によっても、前述の第1実施形態において述べた効果と同様の効果を奏することができる。
<ヒューズ>
図29は、本発明の第5実施形態に係るチップ部品201の平面図である。
第5実施形態に係るチップ部品201が、前述の第1実施形態に係るチップ部品1と異なる点は、素子領域5に形成される回路素子として、抵抗56に代えてヒューズ要素204が形成されている点である。その他の構成は、前述の第1実施形態に係るチップ部品1の構成と同等である。図29において、前述の図1〜図28に示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して、説明を省略する。
ヒューズ要素204は、第1および第2接続電極3,4それぞれの下方に配置された一対のパッド領域209と、一対のパッド領域209間に配置された可溶体部210と、可溶体部210と各パッド領域209とを接続する一対の配線部211とを一体的に含む。本実施形態では、ヒューズ要素204は、Al−Cu系合金からなるが、その他の金属材料からなっていてもよい。
各パッド領域209は、その全域が第1および第2接続電極3,4の内方領域に収まるように、平面視において第1および第2接続電極3,4よりも一回り小さい矩形状に形成されている。
可溶体部210は、基板2の長手方向に沿って延びるライン状に形成されており、その両端部に各配線部211が接続されている。本実施形態では、可溶体部210は、基板2の長手方向に沿う直線状であるが、むろんS字状等の曲線状であってもよい。また、可溶体部210は、本実施形態では、配線部211と略同じ幅で形成されているが、可溶体部210をより容易に溶断させる観点から、配線部211よりも幅狭に形成してもよい。
そして、可溶体部210の長手方向に直交する幅方向の両側方に、壁部としての一対のダミーメタル212が配置されている。一対のダミーメタル212は、ヒューズ要素204と同一の金属材料(本実施形態ではAl−Cu系合金)からなる。また、一対のダミーメタル212は、ライン状の可溶体部210に沿って同じくライン状(直線状)に延びており、可溶体部210との間に側方の隙間213を隔てて配置されている。本実施形態では、ライン状の可溶体部210および一対のダミーメタル212をいずれも基板2の長手方向に沿って形成することで、基板2の幅方向に沿って形成する場合に比べて、サイズが制限された基板2上の領域において比較的長い可溶体部210および一対のダミーメタル212を形成できる。これにより、ある程度長い距離に亘って側方の隙間213を形成できるので、可溶体部210の熱を蓄える領域を増やすことができる。
一対の配線部211は、基板2の幅方向において、可溶体部210に対して一方側およびその反対側に一つずつ配置されている。本実施形態では、各配線部211は、可溶体部210の端部から基板2の長辺85に垂直に延びる部分と、当該長辺85に平行に延びる部分とを有する鉤形(L形)に形成されており、長辺85に平行な部分がパッド領域209に接続されている。
図30は、図29に係るチップ部品の切断面線XXXa−XXXa、切断面線XXXb−XXXbおよび切断面線XXXc−XXXcから見た断面図であって、切断面線XXXa−XXXaに係る断面図は可溶体部210およびダミーメタル212の構造を示し、切断面線XXXb−XXXbに係る断面図は配線部211の構造を示し、切断面線XXXc−XXXcに係る断面図はパッド領域209の構造を示している。図31は、図29に係るチップ部品の切断面線XXXI−XXXIから見た断面図である。図32は、図29に係るチップ部品の切断面線XXXII−XXXIIから見た断面図である。
基板2の素子形成面2Aを含む表面には、前述の第1実施形態と同様の構成で絶縁膜20が形成されている。絶縁膜20上には、窒化膜215を介してヒューズ要素204が形成されている。窒化膜215は、窒化シリコン(SiN)からなり、たとえば、8000Å以下の厚さを有している。窒化膜215は、ヒューズ要素204の下方領域において、可溶体部210の下方から除去されるように、ヒューズ要素204の可溶体部210以外の部分(本実施形態では、パッド領域209および配線部211)の下方領域に選択的に形成されている。
このように、可溶体部210以外の部分が窒化膜215からなる支持膜によって下側から選択的に支持されているので、可溶体部210は、その両端部に接続された部分(本実施形態では、配線部211)によって基板2に対して浮いた状態で両持ち支持されている。これにより、可溶体部210は、絶縁膜20で覆われた基板2との間に下方の隙間216を隔てて配置されている。また、可溶体部210の側方のダミーメタル212も同様に、基板2との間に下方の隙間216を隔てて配置されている。ここで、図30のXXXa−XXXa切断面に示すように、可溶体部210とダミーメタル212との間の側方の隙間213は、後述する被覆酸化膜218の厚さを考慮して、0.6μm以下となっている。
本実施形態では、ヒューズ要素204およびダミーメタル212は、その下面が下地酸化膜217で被覆され、さらにヒューズ要素204全体を被覆するように、被覆酸化膜218が形成されている。ヒューズ要素204を下地酸化膜217および被覆酸化膜218で完全に被覆することによって、可溶体部210をその周囲から確実に絶縁できる。
被覆酸化膜218は、基板2の素子形成面2Aの全域に亘って形成されており、図30に示すように、ヒューズ要素204およびダミーメタル212の形成領域以外の領域において、絶縁膜20に固定されている。ダミーメタル212は、被覆酸化膜218に被覆されることで、被覆酸化膜218の絶縁膜20に固定された部分によって基板2に対して浮いた状態で支持されている。
そして、可溶体部210およびダミーメタル212を覆うように、天井部の一例としての酸化膜219、窒化膜220および表面保護膜222の積層膜が形成されている。酸化膜219は、酸化シリコン(SiO2)からなり、たとえば、10000Å以下の厚さを有している。窒化膜220は、窒化シリコン(SiN)からなり、たとえば、11000Å〜13000Åの厚さを有している。表面保護膜222は、ポリイミドからなり、たとえば、20000Å〜100000Åの厚さを有している。
積層膜219,220,222は、可溶体部210およびダミーメタル212の上方においては、図30の切断面線XXXa−XXXaの切断面に示すように、可溶体部210を介してダミーメタル212の間に跨るように形成されている。これにより、可溶体部210とダミーメタル212との間に側方の隙間213は、その上方が積層膜219,220,222で塞がれている。また、積層膜219,220,222において酸化膜219は、側方の隙間213に対向する部分が選択的に除去されている。これにより、酸化膜219には、側方の隙間213と同一パターンの隙間223が形成されている。
積層膜219,220,222と被覆酸化膜218との間には、窒化膜224が介在している。窒化膜224は、可溶体部210およびダミーメタル212の上方領域から選択的に除去されている。これにより、積層膜219,220,222は、被覆酸化膜218で被覆された可溶体部210との間に上方の隙間225を隔てて配置されている。
第1および第2接続電極3,4は、図30の切断面線XXXc−XXXcの切断面に示すように、積層膜219,220,222、窒化膜224および被覆酸化膜218を貫通して、その下面がパッド領域209に接続されている。
図32に示すように、絶縁膜20には、前述の第1実施形態の場合と同様の構成で複数の下地凹部8が形成されている。
絶縁膜20上に形成された窒化膜215、および、窒化膜215上に形成された下地酸化膜217は、それぞれ第1接続電極3の下方に入り込むように形成されている。より具体的に、窒化膜215および下地酸化膜217は、下地凹部8の側面および底面によって区画された凹状の空間に入り込むように、下地凹部8の側面および底面、ならびに絶縁膜20の表面に沿って形成されている。これにより、窒化膜215および下地酸化膜217によって、さらに当該下地凹部8が形成された領域において、凹状の空間が区画されている。そして、下地酸化膜217の表面にパッド領域209(ヒューズ要素204)が形成されている。
パッド領域209は、窒化膜215および下地酸化膜217によって区画された凹状の空間をさらに埋め戻すように下地酸化膜217上に形成されている。これによって、パッド領域209は、下地凹部8が形成された領域に対応する位置が窪むように形成され、さらに凹状の空間が区画されている。第1接続電極3は、このように形成されたパッド領域209の表面に沿って形成されている。これにより、第1接続電極3には、下地凹部8が形成された領域に対応する位置に凹部6が形成されている。
以上、チップ部品201によれば、図30のXXXa−XXXa切断面に示すように、可溶体部210の両側方さらには上方および下方の四方全体に隙間213,216,225が形成されている。そのため、可溶体部210で発生した熱をその周囲(隙間213,216,225)に効率よく蓄えることができる。したがって、チップ部品201の第1および第2接続電極3,4間に過電流が流入したときには、ヒューズ要素204を可溶体部210で確実に溶断できる。
また、可溶体部210の四方全体を隙間213,216,225で取り囲むことによって、可溶体部210の移動や歪曲に対応可能なスペースを確保できる。
さらに、基板2として100Ω・cm以上の抵抗値を有する高抵抗シリコン基板を採用しているので、可溶体部210の溶断時に絶縁膜20が破壊されても、当該破壊箇所から露出する基板2を介してリーク電流が流れることを防止できる。
このようなチップ部品201は、前述の第1実施形態における抵抗56の形成工程に代えて、図33〜図39に示すヒューズ要素204を形成する工程を行うことにより得ることができる。以下、図33〜図39を参照して、前述の第1実施形態の製造工程と異なる点について詳説する。
図33〜図39は、図29に示すチップ部品201の製造工程の一部を工程順に説明するための断面図であって、図30と同じ切断面線XXXa−XXXa、切断面線XXXb−XXXbおよび切断面線XXXc−XXXcから見た断面図を示している。
チップ部品201を製造するには、まず図33に示すように、前述の第1実施形態の工程と同様の工程で下地凹部8を有する絶縁膜20が形成される。次に、たとえばCVD法によって窒化シリコン(SiN)を絶縁膜20上に堆積することによって、犠牲層としての窒化膜215が形成される。窒化膜215の厚さは、後のエッチング工程(図36参照)においてサイドエッチングが可能な大きさに設定され、たとえば8000Å以下である。
次に、たとえばCVD法によってUSG(Un-doped Silicate Glass)を窒化膜215上に堆積することによって、下地酸化膜217が形成される。下地酸化膜217の厚さは、後の2回のエッチング工程(図36および図38参照)で消失しない大きさに設定され、たとえば7000Å〜9000Åである。ただし、下地酸化膜217を省略し、後述するヒューズ要素材料膜226を窒化膜215上に直接堆積させてもよい。
次に、たとえばスパッタ法によってAl−Cu系合金を下地酸化膜217上に堆積することによって、ヒューズ要素材料膜226が形成される。ヒューズ要素材料膜226の厚さは、たとえば4000Å〜6000Åである。
次に、図34に示すように、ヒューズ要素材料膜226上に、ヒューズ要素204およびダミーメタル212を形成すべき領域を選択的に覆うマスク(図示せず)が形成され、当該マスクを利用するドライエッチングによって、ヒューズ要素材料膜226が選択的に除去される。これにより、ヒューズ要素204(パッド領域209、可溶体部210および配線部211)およびダミーメタル212が同時に形成される。次に、ヒューズ要素204の形成に利用したマスクを利用するドライエッチングによって、ヒューズ要素204およびダミーメタル212の下方領域以外の下地酸化膜217および窒化膜215が選択的に除去される。
次に、図35に示すように、たとえばCVD法によってUSGを基板2上に堆積することによって、被覆酸化膜218が形成される。被覆酸化膜218は、隣り合うヒューズ要素204(可溶体部210)とダミーメタル212との間に側方の隙間213が形成されるように、その一方表面および他方表面がヒューズ要素204およびダミーメタル212の上面および側面に沿って形成される。このとき、被覆酸化膜218の厚さは、後の2回のエッチング工程(図36および図38参照)で消失しない大きさ、かつ後の窒化膜224の堆積工程(図37参照)において側方の隙間213が埋まらない大きさに設定される。本実施形態では、側方の隙間213が0.6μm以下となるように、たとえば7000Å〜9000Åの厚さに設定される。
次に、図36に示すように、たとえば酸化シリコン(SiO2)に比べて窒化シリコン(SiN)に対して相対的に速いエッチングレートを有するエッチングガスまたはエッチング液を用いて、ヒューズ要素204およびダミーメタル212の下方領域の窒化膜215が選択的に除去される。本実施形態では、側方の隙間213にある被覆酸化膜218が除去された後、フッ素系ガスを利用するドライエッチングによって、側方の隙間213の底面から当該窒化膜215が等方的にエッチング(サイドエッチング)されて除去される。これにより、ヒューズ要素204およびダミーメタル212の下方領域に下方の隙間216が形成され、ヒューズ要素204およびダミーメタル212が基板2に対して浮いた状態となる。
次に、図37に示すように、たとえばCVD法によって窒化シリコン(SiN)およびUSGを基板2上に順に堆積することによって、犠牲層としての窒化膜224および酸化膜219が形成される。この際、側方の隙間213が0.6μm以下であるので、窒化膜224および酸化膜219は、可溶体部210を覆うように一対のダミーメタル212の間に跨って形成される。
次に、図38に示すように、たとえば酸化シリコン(SiO2)に比べて窒化シリコン(SiN)に対して相対的に速いエッチングレートを有するエッチングガスまたはエッチング液を用いて、ヒューズ要素204およびダミーメタル212の上方領域の窒化膜224が選択的に除去される。本実施形態では、酸化膜219に側方の隙間213と同一パターンの隙間223が形成された後、フッ素系ガスを利用するドライエッチングによって、当該隙間223の底面から当該窒化膜224が等方的にエッチング(サイドエッチング)されて除去される。これにより、ヒューズ要素204およびダミーメタル212の上方領域に上方の隙間225が形成される。
次に、図39に示すように、たとえばCVD法によって窒化シリコン(SiN)を酸化膜219上に堆積することによって、窒化膜220が形成される。次に、ポリイミドを窒化膜220上に塗布し、当該ポリイミドをキュアすることによって、表面保護膜222が形成される。次に、ヒューズ要素204のパッド領域209上の積層膜218,224,219,220,222がエッチングによって選択的に除去される。
その後は、パッド領域209にめっきすることによって、第1および第2接続電極3,4が同時に形成される。以上の工程を経て、チップ部品201が得られる。
以上、チップ部品201の製造方法によれば、窒化膜215と、下地酸化膜217および被覆酸化膜218とのエッチングレートの差を利用して、ヒューズ要素204およびダミーメタル212の下方領域の窒化膜215を等方性エッチングによって簡単にエッチングできる(図36参照)。同様のエッチングレートの差を利用して、ヒューズ要素204およびダミーメタル212の上方領域の窒化膜224を簡単にエッチングできる(図38参照)。さらに、ヒューズ要素204およびダミーメタル212が同一の材料であるAl−Cu系合金からなるので、図34に示すように、これらを同一工程で形成できる。
したがって、過電流が流入したときにヒューズ要素204を可溶体部210で確実に溶断できるチップ部品201を効率よく製造できる。
以上のように、素子領域5にヒューズ要素204を形成する場合であっても、前述の第1実施形態において述べた効果と同様の効果を奏することができる。
<ダイオード>
図40は、本発明の第6実施形態に係るチップ部品の平面図である。図41は、図40の切断面線XLI−XLIから見た断面図である。図42は、図40の切断面線XLII−XLIIから見た断面図である。図43は、図40の切断面線XLIII−XLIIIから見た断面図である。
第6実施形態に係るチップ部品301が、前述の第1実施形態に係るチップ部品1と異なる点は、素子領域5に形成される回路素子として、抵抗56に代えてダイオードセルD301〜D304が形成されている点である。その他の構成は、前述の第1実施形態に係るチップ部品1の構成と同等である。図40〜図43において、前述の図1〜図39に示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して、説明を省略する。
チップ部品301は、基板2と、基板2に形成された複数のダイオードセルD301〜D304と、基板2に形成された複数のダイオードセルD301〜D304と、これらの複数のダイオードセルD301〜D304を並列に接続するカソード電極303およびアノード電極304とを含む。カソード電極303には、前述の第1実施形態の場合と同様の構成で第1接続電極3が接続され、アノード電極304には、前述の第1実施形態の場合と同様の構成で第2接続電極4が接続されている。
基板2は、本実施形態では、p+型の半導体基板(たとえばシリコン基板)である。基板2の両端部に、カソード電極303との接続のためのカソードパッド305と、アノード電極304との接続のためのアノードパッド306とが配置されている。これらのパッド305,306の間(すなわち、素子領域5)に、ダイオードセル領域307が設けられている。
ダイオードセル領域307は、本実施形態では、矩形に形成されている。ダイオードセル領域307内に、複数のダイオードセルD301〜D304が配置されている。複数のダイオードセルD301〜D304は、本実施形態では4個設けられており、基板2の長手方向および短手方向に沿って、マトリックス状に等間隔で二次元配列されている。
図44は、図40に示すチップ部品301において、カソード電極303およびアノード電極304ならびにその上に形成された構成を取り除いて、基板2の表面の構造を示す平面図である。
ダイオードセルD301〜D304の各領域内には、それぞれ、基板2の表層領域にn+型領域310が形成されている。n+型領域310は、個々のダイオードセル毎に分離されている。これにより、ダイオードセルD301〜D304は、ダイオードセル毎に分離されたpn接合領域311をそれぞれ有している。
複数のダイオードセルD301〜D304は、本実施形態では等しい大きさおよび等しい形状、具体的には矩形形状に形成されており、各ダイオードセルの矩形領域内に、多角形形状のn+型領域310が形成されている。本実施形態では、n+型領域310は、正八角形に形成されており、ダイオードセルD301〜D304の矩形領域を形成する4辺にそれぞれ沿う4つの辺と、ダイオードセルD301〜D304の矩形領域の4つの角部にそれぞれ対向する別の4つの辺とを有している。基板2の表層領域には、さらに、n+型領域310から所定の間隔を空けて分離された状態でp+型領域312が形成されている。p+型領域312は、ダイオードセル領域307内において、カソード電極303が配置される領域を回避したパターンに形成されている。
図41〜図43に示されているように、基板2の表面には、前述の第1実施形態と同様の構成で絶縁膜20が形成されている。絶縁膜20には、ダイオードセルD301〜D304のそれぞれのn+型領域310の表面を露出させるコンタクト孔316と、p+型領域312を露出させるコンタクト孔317とが形成されている。絶縁膜20の表面には、カソード電極303およびアノード電極304が形成されている。カソード電極303は、絶縁膜20の表面からコンタクト孔316内に入り込み、コンタクト孔316内でダイオードセルD301〜D304の各n+型領域310との間でオーミック接触を形成している。アノード電極304は、絶縁膜20の表面からコンタクト孔317の内方へと延びており、コンタクト孔317内でp+型領域312との間でオーミック接触を形成している。カソード電極303およびアノード電極304は、本実施形態では、同じ材料からなる電極膜からなっている。
電極膜としては、Ti膜を下層としAl膜を上層としたTi/Al積層膜や、AlCu膜を適用できる。その他、AlSi膜を電極膜として用いることもできる。AlSi膜を用いると、基板2の表面にp+型領域312を設けることなく、アノード電極304と基板2との間でオーミック接触を形成することができる。したがって、p+型領域312を形成するための工程を省くことができる。
図43を参照すれば、カソードパッド305(カソード電極303)は、第1接続電極3の直下の領域において、絶縁膜20に形成された下地凹部8の側面および底面によって区画された凹状の空間に入り込むように、下地凹部8の側面および底面、ならびに絶縁膜20の表面に沿って形成されている。これにより、カソードパッド305(カソード電極303)によって、さらに当該下地凹部8が形成された領域において、凹状の空間が区画されている。そして、第1接続電極3は、カソードパッド305(カソード電極303)によって区画された凹状の空間をさらに埋め戻すようにカソードパッド305(カソード電極303)上に形成されている。これによって、第1接続電極3には、下地凹部8が形成された領域に対応する位置に凹部6が形成され、当該凹部6に取り囲まれた第1接続電極3の内方部には凹部6が形成されていない平坦部7が形成されている。
なお、第2接続電極4の構成は、前述の第1接続電極3の構成と同様であるので、図示および説明は省略する。
カソード電極303およびアノード電極304の間は、スリット318によって分離されている。本実施形態では、スリット318は、ダイオードセルD301〜D304のn+型領域310を縁取るように、n+型領域310の平面形状と整合する枠形状(すなわち正八角形枠状)に形成されている。それに応じて、カソード電極303は、n+型領域310の形状に整合する平面形状(すなわち正八角形形状)のセル接合部303aを各ダイオードセルD301〜D304の領域に有し、当該セル接合部303aの間が直線状の架橋部303bによって連絡されており、さらに、直線状の別の架橋部303cによってカソードパッド305の直下に形成された大きな矩形形状の外部接続部303dへと接続されている。一方、アノード電極304は、略一定の幅のスリット318に対応した間隔を開けて、カソード電極303を取り囲むように、絶縁膜20の表面に形成されていて、アノードパッド306の直下の矩形領域へ延びて一体的に形成されている。
カソード電極303およびアノード電極304は、たとえば窒化膜からなるパッシベーション膜320(図40では図示省略)によって覆われており、さらにパッシベーション膜320の上にはポリイミド等の樹脂膜321が形成されている。パッシベーション膜320および樹脂膜321には、第1および第2接続電極3,4の側面部分に対向する周縁部を露出させる切欠部322,323が形成されている。そして、前述の第1および第2接続電極3,4が対応するパッド305,306に接続されている。
各ダイオードセルD301〜D304では、基板2とn+型領域310との間にpn接合領域311が形成されており、したがって、それぞれpn接合ダイオードが形成されている。そして、複数のダイオードセルD301〜D304のn+型領域310がカソード電極303に共通に接続され、ダイオードセルD301〜D304の共通のp型(p+型)領域である基板2がp+型領域312を介してアノード電極304に共通に接続されている。これによって、基板2上に形成された複数のダイオードセルD301〜D304は、すべて並列に接続されている。
図45は、チップ部品の内部の電気的構造を示す電気回路図である。
ダイオードセルD301〜D304によってそれぞれ構成されるpn接合ダイオードは、カソード側がカソード電極303(第1接続電極3)によって共通接続され、アノード側がアノード電極304(第2接続電極4)によって共通接続されることによって、全て並列に接続されており、これによって、全体として1つのダイオードとして機能する。
本実施形態の構成によれば、チップ部品301は複数のダイオードセルD301〜D304を有しており、各ダイオードセルD301〜D304がpn接合領域311を有している。pn接合領域311は、ダイオードセルD301〜D304毎に分離されている。そのため、チップ部品301は、pn接合領域311の周囲長、すなわち、基板2におけるn+型領域310の周囲長の合計(総延長)が長くなる。これにより、pn接合領域311の近傍における電界の集中を回避し、その分散を図ることができるので、ESD耐量の向上を図ることができる。すなわち、チップ部品301を小型に形成する場合であっても、pn接合領域311の総周囲長を大きくできるから、チップ部品301の小型化とESD耐量の確保とを両立できる。
図46は、同面積の半導体基板上に形成するダイオードセルの大きさおよび/またはダイオードセルの個数を様々に設定して、pn接合領域の周囲長の合計(総延長)を異ならせた複数のサンプルについてESD耐量を測定した実験結果を示す。この実験結果から、pn接合領域の周囲長が長くなるほど、ESD耐量が大きくなることが分かる。4個以上のダイオードセルを半導体基板上に形成した場合に、8キロボルトを超えるESD耐量を実現することができた。
このようなチップ部品301は、前述の第1実施形態における抵抗56の形成工程に代えて、ダイオードセルD301〜D304を形成する工程を行うことにより得ることができる。以下、前述の第1実施形態の製造工程と異なる点について詳説する。
すなわち、まず、基板2(p+型の半導体基板)の表面に、前述の第1実施形態の工程と同様の工程で絶縁膜20が形成され、その上に、レジストマスクを形成する。このレジストマスクを介するn型不純物(たとえば燐)のイオン注入または拡散によって、n+型領域310が形成される。さらに、p+型領域312に整合する開口を有する別のレジストマスクが形成され、このレジストマスクを介するp型不純物(たとえば砒素)のイオン注入または拡散によって、p+型領域312が形成される。レジストマスクを剥離し、必要に応じて絶縁膜20を厚膜化(たとえばCVDにより厚膜化)した後、第1および第2接続電極3,4に凹部6を形成すための下地凹部8、およびコンタクト孔316,317に整合する開口を有するさらに別のレジストマスクが絶縁膜20の上に形成される。このレジストマスクを介するエッチングによって、絶縁膜20に下地凹部8、およびコンタクト孔316,317が形成される。
次いで、たとえばスパッタリングによって、カソード電極303およびアノード電極304を構成する電極膜が絶縁膜20上に形成される。そして、この電極膜上に、スリット318に対応する開口パターンを有するレジスト膜が形成され、このレジスト膜を介するエッチングによって、電極膜にスリット318が形成される。これにより、前記電極膜がカソード電極303およびアノード電極304に分離される。
次いで、レジスト膜を剥離した後、たとえばCVD法によって窒化膜等のパッシベーション膜320が形成され、さらにポリイミド等を塗布することにより樹脂膜321が形成される。そして、これらのパッシベーション膜320および樹脂膜321に対して、フォトリソグラフィを利用したエッチングを施すことにより、切欠部322,323が形成される。その後、前述の第1実施形態で説明した工程と同様の工程を経て、第1および第2接続電極3,4を有するチップ部品301が形成される。
図47は、本発明の第7実施形態に係るチップ部品329の断面図である。図47において、前述の図1〜図46に示された各部に対応する部分には同一参照符号を付して示す。
チップ部品329は、基板2の表面にカソード電極303が配置され、基板2の裏面にアノード電極328が配置されている。したがって、本実施形態では、基板2の表面側(カソード電極303側)にアノードパッド306を設ける必要がないので、それに応じて基板2のサイズを縮小したり、ダイオードセルD301〜D304の個数を多くしたりできる。カソード電極303は、基板2の表面の略全域を覆うように形成されていて、ダイオードセルD301〜D304の各n+型領域310との間でオーミック接触を形成している。アノード電極328は、基板2の裏面との間でオーミック接触を形成している。アノード電極328は、たとえば金からなっていてもよい。
図48は、本発明の第8実施形態に係るチップ部品331の平面図である。図49は、図48の切断面線XLIX−XLIXから見た断面図である。図50は、図48の切断面線L−Lから見た断面図である。
チップ部品331は、基板2と、基板2上に形成されたカソード電極333およびアノード電極334と、カソード電極333およびアノード電極334の間に並列に接続された複数のダイオードセルD311〜D314とを有している。基板2は、平面視において略矩形に形成されており、その長手方向の両端部にカソードパッド335およびアノードパッド336がそれぞれ配置されている。これらのカソードパッド335およびアノードパッド336の間(すなわち素子領域5)に矩形形状のダイオードセル領域337が設定されている。このダイオードセル領域337内に、複数のダイオードセルD311〜D314が二次元配列されている。本実施形態では、複数のダイオードセルD311〜D314は、基板2の長手方向および短手方向に沿ってマトリックス状に等間隔で配列されている。
ダイオードセルD311〜D314は、それぞれ矩形の領域からなり、その矩形の領域の内部に、平面視多角形形状(本実施形態では正八角形形状)のショットキ接合領域341を有している。各ショットキ接合領域341に接触するように、ショットキメタル340が配置されている。すなわち、ショットキメタル340は、ショットキ接合領域341における基板2との間でショットキ接合を形成している。
基板2は、本実施形態では、p型シリコン基板350と、その上にエピタキシャル成長させられたn型エピタキシャル層351とを有している。基板2には、図49に示すように、p型シリコン基板350の表面に形成されたn型不純物(たとえば砒素)を導入して形成されたn+型埋め込み層352が形成されていてもよい。ショットキ接合領域341は、n型エピタキシャル層351の表面に設定されており、このn型エピタキシャル層351の表面にショットキメタル340が接合されることによって、ショットキ接合が形成されている。ショットキ接合領域341の周囲には、コンタクトエッジのリークを抑制するためのガードリング353が形成されている。
ショットキメタル340は、たとえばTiまたはTiNからなっていてもよく、このショットキメタル340にAiSi合金等の金属膜342が積層されてカソード電極333が構成されている。ショットキメタル340は、ダイオードセルD311〜D314毎に分離されていてもよいが、本実施形態では、複数のダイオードセルD311〜D314の各ショットキ接合領域341に共通に接触するようにショットキメタル340が形成されている。
n型エピタキシャル層351には、ショットキ接合領域341を回避した領域に、n型エピタキシャル層351の表面からn+型埋め込み層352に達するn+型ウェル354が形成されている。そして、n+型ウェル354の表面との間でオーミック接触を形成するようにアノード電極334が形成されている。アノード電極334は、カソード電極333と同様の構成の電極膜からなっていてもよい。
n型エピタキシャル層351の表面には、絶縁膜20が形成されている。絶縁膜20には、ショットキ接合領域341に対応したコンタクト孔346と、n+型ウェル354を露出させるコンタクト孔347とが形成されている。カソード電極333は、絶縁膜20を覆うように形成されていて、コンタクト孔346の内部にまで達し、コンタクト孔346内においてn型エピタキシャル層351との間でショットキ接合を形成している。一方、アノード電極334は、絶縁膜20上に形成されていて、コンタクト孔347内に延び、このコンタクト孔347内においてn+型ウェル354との間でオーミック接触を形成している。カソード電極333とアノード電極334とは、スリット348によって分離されている。
また、絶縁膜20には、図50に示すように、前述の第1実施形態と同様の構成で形成された第1および第2接続電極3,4に凹部6を形成するための複数の下地凹部8が形成されている。絶縁膜20の構成は、前述の第1実施形態(第6実施形態)の場合と同様であるので、説明を省略する。
カソード電極333およびアノード電極334を覆うように、たとえば窒化膜からなるパッシベーション膜356が形成されている。さらに、パッシベーション膜356を覆うように、ポリイミド等の樹脂膜357が形成されている。パッシベーション膜356および樹脂膜357を貫通して、カソードパッド335となるカソード電極333の表面の一部の領域を露出させる切欠部358が形成されている。さらに、パッシベーション膜356および樹脂膜357を貫通するように、アノードパッド336となるアノード電極334の表面の一部領域を露出させるように切欠部359が形成されている。そして、前述の第1実施形成の場合と同様の構成で第1および第2接続電3,4がパッド335,336に接続されるように形成されている。
このような構成によって、カソード電極333は、ダイオードセルD311〜D314がそれぞれ有するショットキ接合領域341に共通に接続されている。また、アノード電極334は、n+型ウェル354およびn+型埋め込み層352を介してn型エピタキシャル層351に接続されており、したがって、複数のダイオードセルD311〜D314に形成されたショットキ接合領域341に共通に並列接続されていることになる。これにより、複数のダイオードセルD311〜D314のショットキ接合領域341を有する複数のショットキバリアダイオードが、カソード電極333とアノード電極334との間に並列に接続されている。
このように、本実施形態においても、複数のダイオードセルD311〜D314がそれぞれ互いに分離されたショットキ接合領域341を有しているため、ショットキ接合領域341の周囲長(n型エピタキシャル層351の表面におけるショットキ接合領域341の周囲長)の総延長が大きくなる。これによって、電界の集中を抑制できるので、ESD耐量を向上できる。すなわち、チップ部品331を小型に形成する場合であっても、ショットキ接合領域341の総周囲長を大きくできるから、チップ部品331の小型化とESD耐量の確保とを両立できる。
図51は、図51は、本発明の第9実施形態に係るチップ部品349の断面図である。図51において、前述の図1〜図50に示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して、説明を省略する。
チップ部品349は、基板2は、n+型シリコン基板372と、n+型シリコン基板372の表面に形成されたn型エピタキシャル層351とを含む。そして、基板2の裏面(n型エピタキシャル層351の表面とは反対側の表面)との間で、オーミック接触を形成するようにアノード電極373が形成されている。n型エピタキシャル層351の表面にはアノード電極が形成されておらず、n型エピタキシャル層351に形成されたショットキ接合領域341に並列に接続されるカソード電極333だけが形成されている。
このような構成によっても、前述の第8実施形態と同様の作用効果を奏することができる。加えて、n型エピタキシャル層351の表面にアノード電極を設けなくてもよいから、n型エピタキシャル層351の表面により多くのダイオードセルを配置することができ、ショットキ接合領域341の周囲長の総延長を一層長くして、ESD耐量を向上できる。あるいは、n+型シリコン基板372の大きさを小さくして、ESD耐量が確保された一層小型のチップダイオードを提供できる。
<双方向ツェナーダイオード>
図52は、本発明の第10実施形態に係るチップ部品401の平面図である。図53は、図52の切断面線LIII−LIIIから見た断面図である。図54は、図52の切断面線LIV−LIVから見た断面図である。図55は、図52の切断面線LV−LVから見た断面図である。
第10実施形態に係るチップ部品401が、前述の第1実施形態に係るチップ部品1と異なる点は、素子領域5に形成される回路素子として、抵抗56に代えて第1および第2ツェナーダイオードD401,D402が形成されている点である。その他の構成は、前述の第1実施形態に係るチップ部品1の構成と同等である。図52〜図55において、前述の図1〜図51に示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して、説明を省略する。
チップ部品401は、基板2(たとえばp+型のシリコン基板)と、基板2に形成された第1ツェナーダイオードD401と、基板2に形成され、第1ツェナーダイオードD401に逆直列接続された第2ツェナーダイオードD402と、第1ツェナーダイオードD401に接続された第1接続電極3と、第2ツェナーダイオードD402に接続された第2接続電極4とを含む。第1ツェナーダイオードD401は、複数のツェナーダイオードD411,D412から構成されている。第2ツェナーダイオードD402は、複数のツェナーダイオードD421,D422から構成されている。
第10実施形態に係る素子形成面2Aの両端部には、第1電極膜403に接続された第1接続電極3と、第2電極膜404に接続された第2接続電極4とが配置されている。これらの第1および第2接続電極3,4間の素子形成面2Aに、ダイオード形成領域407が設けられている。ダイオード形成領域407は、本実施形態では、矩形に形成されている。
図56は、図52に示すチップ部品401において、第1および第2接続電極3,4ならびにその上に形成された構成を取り除いて、基板2の表面(素子形成面2A)の構造を示す平面図である。
図52および図56を参照して、基板2(p+型の半導体基板)の表層領域には、基板2との間にそれぞれpn接合領域411を形成する複数の第1のn+型拡散領域(以下、「第1拡散領域410」という)が形成されている。また、基板2の表層領域には、基板2との間にそれぞれpn接合領域413を形成する複数の第2のn+型拡散領域(以下、「第2拡散領域412」という)が形成されている。
本実施形態では、第1拡散領域410および第2拡散領域412は2個ずつ形成されている。これらの4個の拡散領域410,412は、第1拡散領域410と第2拡散領域412とが基板2の短手方向に沿って交互にかつ等間隔をおいて配列されている。また、これらの4個の拡散領域410,412は、基板2の短手方向に交差する方向(本実施形態では直交する方向)に延びた長手に形成されている。第1拡散領域410および第2拡散領域412は、本実施形態では等しい大きさおよび等しい形状に形成されている。具体的には、第1拡散領域410および第2拡散領域412は、平面視において、基板2の長手方向に長くかつ4隅が切除された略矩形に形成されている。
各第1拡散領域410と基板2における第1拡散領域410の近傍部とによって、2個のツェナーダイオードD411,D412が構成され、これらの2個のツェナーダイオードD411,D412によって第1ツェナーダイオードD401が構成されている。第1拡散領域410はツェナーダイオードD411,D412毎に分離している。これにより、ツェナーダイオードD411,D412は、ツェナーダイオード毎に分離されたpn接合領域411をそれぞれ有している。
同様に、各第2拡散領域412と基板2における第2拡散領域412の近傍部とによって、2個のツェナーダイオードD421,D422が構成され、これらの2個のツェナーダイオードD421,D422によって第2ツェナーダイオードD402が構成されている。第2拡散領域412はツェナーダイオードD421,D422毎に分離している。これにより、ツェナーダイオードD421,D422は、ツェナーダイオード毎に分離されたpn接合領域413をそれぞれ有している。
図53および図54に示されているように、基板2の素子形成面2Aには、前述の第1実施形態の場合と同様の構成で絶縁膜20(図52では図示省略)が形成されている。絶縁膜20には、第1拡散領域410の表面をそれぞれ露出させる第1コンタクト孔416と、第2拡散領域412の表面を露出させる第2コンタクト孔417とが形成されている。絶縁膜20の表面には、第1電極膜403および第2電極膜404が形成されている。
第1電極膜403は、ツェナーダイオードD411に対応した第1拡散領域410に接続された引き出し電極L411と、ツェナーダイオードD412に対応した第1拡散領域410に接続された引き出し電極L412と、引き出し電極L411,L412(第1引き出し電極)と一体的に形成された第1パッド405とを有している。第1パッド405は、素子形成面2Aの一端部に矩形に形成されている。この第1パッド405に第1接続電極3が接続されている。このようにして、第1接続電極3は、引き出し電極L411,L412に共通に接続されている。
第2電極膜404は、ツェナーダイオードD421に対応した第2拡散領域412に接続された引き出し電極L421と、ツェナーダイオードD422に対応した第2拡散領域412に接続された引き出し電極L422と、引き出し電極L421,L422(第2引き出し電極)と一体的に形成された第2パッド406とを有している。第2パッド406は、素子形成面2Aの一端部に矩形に形成されている。この第2パッド406に第2接続電極4が接続されている。このようにして、第2接続電極4は、引き出し電極L421,L422に共通に接続されている。
引き出し電極L411は、絶縁膜20の表面からツェナーダイオードD411の第1コンタクト孔416内に入り込み、第1コンタクト孔416内でツェナーダイオードD411の第1拡散領域410との間でオーミック接触を形成している。引き出し電極L411において、第1コンタクト孔416内でツェナーダイオードD411に接合されている部分は、接合部C411を構成している。同様に、引き出し電極L412は、絶縁膜20の表面からツェナーダイオードD412の第1コンタクト孔416内に入り込み、第1コンタクト孔416内でツェナーダイオードD412の第1拡散領域410との間でオーミック接触を形成している。引き出し電極L412において、第1コンタクト孔416内でツェナーダイオードD412に接合されている部分は、接合部C412を構成している。
引き出し電極L421は、絶縁膜20の表面からツェナーダイオードD421の第2コンタクト孔417内に入り込み、第2コンタクト孔417内でツェナーダイオードD421の第2拡散領域412との間でオーミック接触を形成している。引き出し電極L421において、第2コンタクト孔417内でツェナーダイオードD421に接合されている部分は、接合部C421を構成している。同様に、引き出し電極L422は、絶縁膜20の表面からツェナーダイオードD422の第2コンタクト孔417内に入り込み、第2コンタクト孔417内でツェナーダイオードD422の第2拡散領域412との間でオーミック接触を形成している。引き出し電極L422において、第2コンタクト孔417内でツェナーダイオードD422に接合されている部分は、接合部C422を構成している。第1電極膜403および第2電極膜404は、本実施形態では、同じ材料からなっている。電極膜としては、本実施形態では、Al膜が用いられている。
図55を参照すれば、第1パッド405(第1電極膜403)は、第1接続電極3の直下の領域において、絶縁膜20に形成された下地凹部8の側面および底面によって区画された凹状の空間に入り込むように、下地凹部8の側面および底面、ならびに絶縁膜20の表面に沿って形成されている。これにより、第1パッド405(第1電極膜403)によって、さらに当該下地凹部8が形成された領域において、凹状の空間が区画されている。そして、第1接続電極3は、第1パッド405(第1電極膜403)によって区画された凹状の空間をさらに埋め戻すように第1パッド405(第1電極膜403)上に形成されている。これによって、第1接続電極3には、下地凹部8が形成された領域に対応する位置に凹部6が形成され、当該凹部6に取り囲まれた第1接続電極3の内方部には凹部6が形成されていない平坦部7が形成されている。
なお、第2接続電極4の構成は、前述の第1接続電極3の構成と同様であるので、図示および説明は省略する。
第1電極膜403と第2電極膜404との間は、スリット418によって分離されている。引き出し電極L411は、ツェナーダイオードD411に対応する第1拡散領域410上を通って第1パッド405に至る直線に沿って直線状に形成されている。同様に、引き出し電極L412は、ツェナーダイオードD412に対応する第1拡散領域410上を通って第1パッド405に至る直線に沿って直線状に形成されている。引き出し電極L411,L412は、対応する第1拡散領域410から第1パッド405まで間の至るところで一様な幅をそれぞれ有しており、それらの幅は、接合部C411,C412の幅よりも広い。接合部C411,C412の幅は、引き出し電極L411,L412の引き出し方向に直交する方向の長さによって定義される。引き出し電極L411,L412の先端部は、対応する第1拡散領域410の平面形状と整合するように整形されている。引き出し電極L411,L412の基端部は、第1パッド405に接続されている。
引き出し電極L421は、ツェナーダイオードD421に対応する第2拡散領域412上を通って第2パッド406に至る直線に沿って直線状に形成されている。同様に、引き出し電極L422は、ツェナーダイオードD422に対応する第2拡散領域412上を通って第2パッド406に至る直線に沿って直線状に形成されている。引き出し電極L421,L422は、対応する第2拡散領域412から第2パッド406まで間の至るところで一様な幅をそれぞれ有しており、それらの幅は、接合部C421,C422の幅よりも広い。接合部C421,C422の幅は、引き出し電極L421,L422の引き出し方向に直交する方向の長さによって定義される。引き出し電極L421,L422の先端部は、対応する第2拡散領域412の平面形状と整合するように整形されている。引き出し電極L421,L422の基端部は、第2パッド406に接続されている。
つまり、第1および第2接続電極3,4は、複数の第1引き出し電極L411,L412および複数の第2引き出し電極L421,L422が互いに噛み合う櫛歯形状に形成されている。また、第1接続電極3および第1拡散領域410と、第2接続電極4および第2拡散領域412とは、平面視において、互いに対称に構成されている。より具体的には、第1接続電極3および第1拡散領域410と第2接続電極4および第2拡散領域412とは、平面視において、素子形成面2Aの重心に対して点対称に構成されている。
第1接続電極3および第1拡散領域410と第2接続電極4および第2拡散領域412とが、実質的に線対称に構成されているとみなすこともできる。具体的には、基板2の一方の長辺側にある第2引き出し電極L422とそれに隣接する第1引き出し電極L411が略同じ位置にあるとみなすと共に、基板2の他方の長辺側にある第1引き出し電極L412とそれに隣接する第2引き出し電極L421とが略同じ位置にあるとみなす。そうすると、第1接続電極3および第1拡散領域410と第2接続電極4および第2拡散領域412とは、平面視において、素子形成面2Aの短手方向に平行でかつ長手方向中央を通る直線に対して線対称に構成されているとみなすことができる。なお、スリット418は、引き出し電極L411,L412,L421,L422を縁取るように形成されている。
第1電極膜403および第2電極膜404は、たとえば窒化膜からなるパッシベーション膜420(図52では図示省略)によって覆われており、さらにパッシベーション膜420の上にはポリイミド等の樹脂膜421が形成されている。パッシベーション膜420および樹脂膜421には、第1および第2接続電極3,4の側面部分に対向する周縁部を露出させる切欠部422,423が形成されている。そして、前述の第1および第2接続電極3,4が対応するパッド405,406に接続されている。
パッシベーション膜420および樹脂膜421は、保護膜を構成しており、第1引き出し電極L411,L412、第2引き出し電極L421,L422およびpn接合領域411,413への水分の浸入を抑制または防止すると共に、外部からの衝撃等を吸収し、チップ部品401の耐久性の向上に寄与している。
第1ツェナーダイオードD401を構成する複数のツェナーダイオードD411,D412の第1拡散領域410は、第1接続電極3に共通に接続されていると共に、ツェナーダイオードD411,D412の共通のp型領域である基板2に接続されている。これにより、第1ツェナーダイオードD401を構成する複数のツェナーダイオードD411,D412が並列に接続されている。一方、第2ツェナーダイオードD402を構成する複数のツェナーダイオードD421,D422の第2拡散領域412は、第2接続電極4に接続されていると共に、ツェナーダイオードD421,D422の共通のp型領域である基板2に接続されている。これにより、第2ツェナーダイオードD402を構成する複数のツェナーダイオードD421,D422が並列に接続されている。そして、ツェナーダイオードD421,D422の並列回路とツェナーダイオードD411,D412の並列回路とが逆直列接続されており、その逆直列回路によって、双方向ツェナーダイオードが構成されている。
図57は、図52に示すチップ部品401の内部の電気的構造を示す電気回路図である。第1ツェナーダイオードD401を構成する複数のツェナーダイオードD411,D412のカソードは第1接続電極3に共通接続され、それらのアノードは第2ツェナーダイオードD402を構成する複数のツェナーダイオードD421,D422のアノードに共通接続されている。そして、複数のツェナーダイオードD421,D422のカソードは、第2接続電極4に共通接続されている。これにより、全体として1つの双方向ツェナーダイオードとして機能する。
本実施形態によれば、第1接続電極3および第1拡散領域410と、第2接続電極4および第2拡散領域412とは、互いに対称に構成されているので、各電流方向に対する特性を実質的に等しくできる。
図58Bは、第1接続電極および第1拡散領域と第2接続電極および第2拡散領域とが互いに非対称に構成されている双方向ツェナーダイオードチップについて、各電流方向に対する電圧対電流特性を測定した実験結果を示すグラフである。
図58Bにおいて、実線は、双方向ツェナーダイオードに一方の電極を正極とし他方の電極を負極として電圧を印加した場合の電圧対電流特性を示し、破線は当該双方向ツェナーダイオードに前記一方の電極を負極とし前記他方の電極を正極として電圧を印加した場合の電圧対電流特性を示している。この実験結果から、第1接続電極および第1拡散領域と第2接続電極および第2拡散領域とが非対称に構成された双方向ツェナーダイオードでは、各電流方向に対する電圧対電流特性が等しくならないことが分かる。
図58Aは、図52に示すチップ部品401について、各電流方向に対する電圧対電流特性を測定した実験結果を示すグラフである。
本実施形態の双方向ツェナーダイオードでは、第1接続電極3を正極とし第2接続電極4を負極として電圧を印加した場合の電圧対電流特性および第2接続電極4を正極とし第1接続電極3を負極として電圧を印加した場合の電圧対電流特性は、共に図58Aに実線で示すような特性となった。つまり、本実施形態の双方向ツェナーダイオードでは、各電流方向に対する電圧対電流特性が実質的に等しくなった。
本実施形態の構成によれば、チップ部品401は、第1ツェナーダイオードD401と第2ツェナーダイオードD402とを有している。第1ツェナーダイオードD401は、複数のツェナーダイオードD411,D412(第1拡散領域410)を有しており、各ツェナーダイオードD411,D412がpn接合領域411を有している。pn接合領域411は、ツェナーダイオードD411,D412毎に分離されている。そのため、「第1ツェナーダイオードD401のpn接合領域411の周囲長」、すなわち、基板2における第1拡散領域410の周囲長の合計(総延長)が長くなる。これにより、pn接合領域411の近傍における電界の集中を回避し、その分散を図ることができるので、第1ツェナーダイオードD401のESD耐量の向上を図ることができる。すなわち、チップ部品401を小型に形成する場合であっても、pn接合領域411の総周囲長を大きくできるから、チップ部品401の小型化とESD耐量の確保とを両立できる。
同様に、第2ツェナーダイオードD402は、複数のツェナーダイオードD421,D422(第2拡散領域412)を有しており、各ツェナーダイオードD421,D422がpn接合領域413を有している。pn接合領域413は、ツェナーダイオードD421,D422毎に分離されている。そのため、「第2ツェナーダイオードD402のpn接合領域413の周囲長」、すなわち、基板2におけるpn接合領域413の周囲長の合計(総延長)が長くなる。これにより、pn接合領域413の近傍における電界の集中を回避し、その分散を図ることができるので、第2ツェナーダイオードD402のESD耐量の向上を図ることができる。すなわち、チップ部品401を小型に形成する場合であっても、pn接合領域413の総周囲長を大きくできるから、チップ部品401の小型化とESD耐量の確保とを両立できる。
本実施形態では、第1ツェナーダイオードD401のpn接合領域411および第2ツェナーダイオードD402のpn接合領域413の各周囲長は、400μm以上でかつ1500μm以下に形成されている。前記各周囲長は、500μm以上でかつ1000μm以下に形成されていることがより好ましい。
前記各周囲長が400μm以上に形成されているので、後に図59を用いて説明するように、ESD耐量の大きい双方向ツェナーダイオードチップを実現できる。また、前記各周囲長が1500μm以下に形成されているので、後に図60を用いて説明するように、第1接続電極3と第2接続電極4との間の容量(端子間容量)の小さな双方向ツェナーダイオードチップを実現できる。より具体的には、端子間容量が30[pF]以下の双方向ツェナーダイオードチップを実現できる。各周囲長は、500μm以上でかつ1000μm以下に形成されていることがより好ましい。
図59は、同面積の基板上に形成する引き出し電極(拡散領域)の個数および/または拡散領域の大きさを様々に設定して、第1ツェナーダイオードのpn接合領域および第2ツェナーダイオードのpn接合領域の各周囲長を異ならせた複数のサンプルについて、ESD耐量を測定した実験結果を示すグラフである。ただし、各サンプルにおいては、前記実施形態と同様に、第1接続電極および第1拡散領域と第2接続電極および第2拡散領域とは互いに対称に形成されている。したがって、各サンプルにおいて、第1ツェナーダイオードD401の接合領域411の周囲長と第2ツェナーダイオードD402のpn接合領域413の周囲長とは略同じになる。
図59の横軸は、第1ツェナーダイオードD401のpn接合領域411の周囲長または第2ツェナーダイオードD402のpn接合領域413の周囲長のうちの一方の長さを示している。この実験結果から、pn接合領域411およびpn接合領域413の各周囲長が長くなるほど、ESD耐量が大きくなることが分かる。pn接合領域411およびpn接合領域413の各周囲長を400μm以上に形成した場合に、目標値である8キロボルト以上のESD耐量を実現することができた。
図60は、同面積の基板上に形成する引き出し電極(拡散領域)の個数および/または拡散領域の大きさを様々に設定して、第1ツェナーダイオードのpn接合領域および第2ツェナーダイオードのpn接合領域の各周囲長を異ならせた複数のサンプルについて、端子間容量を測定した実験結果を示すグラフである。ただし、各サンプルにおいては、前記実施形態と同様に、第1接続電極および第1拡散領域と第2接続電極および第2拡散領域とは互いに対称に形成されている。
図60の横軸は、第1ツェナーダイオードD401の接合領域411の周囲長または第2ツェナーダイオードD402のpn接合領域413の周囲長のうちの一方の長さを示している。この実験結果から、pn接合領域411およびpn接合領域413の各周囲長が長くなるほど、端子間容量が大きくなることが分かる。pn接合領域411およびpn接合領域413の各周囲長を1500μm以下に形成した場合に、目標値である30[pF]以下の端子間容量を実現することができた。
さらに、本実施形態では、引き出し電極L411,L412,L421,L422の幅が、接合部C411,C412,C421,C422から第1パッド405までの間の至るところで、接合部C411,C412,C421,C422の幅よりも広い。これにより、許容電流量を大きくとることができ、エレクトロマイグレーションを低減して、大電流に対する信頼性を向上できる。すなわち、小型でESD耐量が大きく、しかも大電流に対する信頼性をも確保した双方向ツェナーダイオードチップを提供できる。
さらに、基板2の一方の表面である素子形成面2Aに第1および第2接続電極3,4の第1および第2接続電極3,4がいずれも形成されている。そこで、前述の第1実施形態において説明したように、素子形成面2Aを実装基板9に対向させて、第1および第2接続電極3,4をはんだ13によって実装基板9上に接合することにより、チップ部品401を実装基板9上に表面実装した回路アセンブリを構成できる(図19参照)。すなわち、フリップチップ接続型のチップ部品401を提供することができ、素子形成面2Aを実装基板9の実装面に対向させたフェースダウン接合によって、ワイヤレスボンディングによってチップ部品401を実装基板9に接続できる。これによって、実装基板9上におけるチップ部品401の占有空間を小さくできる。特に、実装基板9上におけるチップ部品401の低背化を実現できる。これにより、小型電子機器等の筐体内の空間を有効に利用でき、高密度実装および小型化に寄与できる。
また、本実施形態では、基板2上に絶縁膜20が形成されており、その絶縁膜20に形成された第1コンタクト孔416を介してツェナーダイオードD411,D412の第1拡散領域410に引き出し電極L411,L412の接合部C411,C412が接続されている。そして、第1コンタクト孔416の外の領域において絶縁膜20上に第1パッド405が配置されている。つまり、pn接合領域411の直上から離れた位置に第1パッド405が設けられている。
同様に、絶縁膜20に形成された第2コンタクト孔417を介してツェナーダイオードD421,D422の第2拡散領域412に引き出し電極L421,L422の接合部C421,C422が接続されている。そして、第2コンタクト孔417の外の領域において絶縁膜20上に第2パッド406が配置されている。第2パッド406もまた、pn接合領域413の直上から離れた位置にある。これにより、チップ部品401を実装基板9に実装するときに、pn接合領域411,413に大きな衝撃が加わることを回避できる。それによって、pn接合領域411,413の破壊を回避できるので、外力に対する耐久性に優れた双方向ツェナーダイオードチップを実現できる。また、第1および第2接続電極3,4を設けずに、第1パッド405および第2パッド406をそれぞれ第1接続電極3の外部接続部および第2接続電極4の外部接続部とし、これらの第1パッド405および第2パッド406にボンディングワイヤを接続する構成をとることもできる。この場合にも、ワイヤボンディング時の衝撃によってpn接合領域411,413が破壊されることを回避できる。
このようなチップ部品401は、前述の第1実施形態における抵抗56の形成工程に代えて、第1および第2ツェナーダイオードD401,D402を形成する工程を実行することにより得ることができる。以下、図61を参照して、前述の第1実施形態の製造工程と異なる点について詳説する。
図61は、図52に示すチップ部品401の製造工程の一例を説明するためのフローチャートである。
まず、基板2の元基板としてのp+型の半導体ウエハが用意される。半導体ウエハの表面は素子形成面であり、基板2の素子形成面2Aに対応している。素子形成面には、複数のチップ部品401に対応した複数の双方向ツェナーダイオードチップ領域が、マトリクス状に配列されて設定されている。隣接する双方向ツェナーダイオードチップ領域の間には、境界領域(前述の第1実施形態の図12に係る直線部分42Aおよび42Bに相当する。)が設けられている。境界領域は、ほぼ一定の幅を有する帯状の領域であり、直交する二方向に延びて格子状に形成されている。半導体ウエハに対して必要な工程を行った後に、境界領域に沿って半導体ウエハを切り離すことにより、複数のチップ部品401が得られる。
半導体ウエハに対して実行される工程の一例は、次のとおりである。
まず、半導体ウエハの素子形成面に、前述の第1実施形態と同様の工程で、絶縁膜20が形成され(ステップS31)、その上にレジストマスクが形成される(ステップS32)。このレジストマスクを用いたエッチングによって、第1および第2接続電極3,4の凹部6を形成するための下地凹部8、ならびに第1拡散領域410および第2拡散領域412に対応する開口が絶縁膜20に形成される(ステップS33)。さらに、レジストマスクを剥離した後に、絶縁膜20に形成された開口から露出する半導体ウエハの表層部にn型不純物が導入される(ステップS34)。n型不純物の導入は、n型不純物としての燐を表面に堆積させる工程(いわゆるリンデポ)によって行われてもよいし、n型不純物イオン(たとえば燐イオン)の注入によって行われてもよい。リンデポとは、半導体ウエハを拡散炉内に搬入し、拡散路内でPOCl3ガスを流して行う熱処理によって、絶縁膜20の開口内で露出する半導体ウエハの表面に燐を堆積させる処理である。必要に応じて絶縁膜20を厚膜化した後(ステップS35)、半導体ウエハに導入された不純物イオンを活性化するための熱処理(ドライブ)が行われる(ステップS36)。これにより、半導体ウエハの表層部に第1拡散領域410および第2拡散領域412が形成される。
次いで、コンタクト孔416,417に整合する開口を有するさらに別のレジストマスクが絶縁膜20の上に形成される(ステップS37)。このレジストマスクを介するエッチングによって、絶縁膜20にコンタクト孔416,417が形成される(ステップS38)、その後、レジストマスクが剥離される。
次いで、たとえばスパッタリングによって、第1および第2接続電極3,4を構成する電極膜が絶縁膜20上に形成される(ステップS39)。本実施形態では、Alからなる電極膜が形成される。そして、この電極膜上に、スリット418に対応する開口パターンを有する別のレジストマスクが形成され(ステップS40)、このレジストマスクを介するエッチング(たとえば反応性イオンエッチング)によって、電極膜にスリット418が形成される(ステップS41)。これにより、前記電極膜が、第1電極膜403および第2電極膜404に分離される。
次いで、レジスト膜を剥離した後、たとえばCVD法によって窒化膜等のパッシベーション膜420が形成され(ステップS42)、さらにポリイミド等を塗布することにより樹脂膜421が形成される(ステップS43)。たとえば、感光性を付与したポリイミドが塗布され、切欠部422,423に対応するパターンで露光した後、そのポリイミド膜が現像される(ステップS44)。これにより、切欠部422,423に対応した開口を有する樹脂膜421が形成される。その後、必要に応じて、樹脂膜をキュアするための熱処理が行われる(ステップS45)。そして、樹脂膜421をマスクとしたドライエッチング(たとえば反応性イオンエッチング)によって、パッシベーション膜420に切欠部422,423が形成される(ステップS46)。その後、前述の第1実施形態で述べた方法(図11E〜図11I参照)に倣って、第1電極膜403および第2電極膜404に接続されるように、外部接続電極としての第1および第2接続電極3,4が形成されて、半導体ウエハが個片化される。これにより、前述の構造のチップ部品401を得ることができる。
本実施形態では、基板2がp型の半導体基板からなっているので、基板2上にエピタキシャル層を形成しなくても、安定した特性を実現できる。すなわち、n型の半導体ウエハは抵抗率の面内ばらつきが大きいので、n型半導体ウエハを用いるときには、その表面に抵抗率の面内ばらつきの少ないエピタキシャル層を形成し、このエピタキシャル層に不純物拡散層を形成してpn接合を形成する必要がある。これは、n型不純物の偏析係数が小さいために、半導体ウエハの元となるインゴット(たとえばシリコンインゴット)を形成するときに、ウエハの中心部と周縁部とで抵抗率の差が大きくなるからである。これに対して、p型不純物の偏析係数は比較的大きいので、p型半導体ウエハは抵抗率の面内ばらつきが少ない。したがって、p型半導体ウエハを用いることによって、エピタキシャル層を形成することなく、安定した特性の双方向ツェナーダイオードをウエハのいずれの箇所からも切り出すことができる。よって、p+型の基板2を用いることによって、製造工程を簡単にでき、かつ製造コストを低減できる。
図62A〜図62Fは、それぞれ図52に示すチップ部品401の変形例を示す平面図である。図62A〜図62Fは、図52に対応する平面図を示している。図62A〜図62Fにおいて、図62A〜図62Fに示された各部に対応する部分には、図52と同一の参照符号を付して示す。
図62Aに示すチップ部品401Aでは、第1拡散領域410および第2拡散領域412は1個ずつ形成されている。第1ツェナーダイオードD401は、第1拡散領域410に対応する1個のツェナーダイオードから構成されている。第2ツェナーダイオードD402は、第2拡散領域412に対応する1個のツェナーダイオードから構成されている。第1拡散領域410および第2拡散領域412とは、基板2の長手方向に長い略矩形であり、基板2の短手方向に間隔をおいて配置されている。第1拡散領域410および第2拡散領域412の長手方向の長さは、比較的短く(第1パッド405と第2パッド406との間隔の1/2より短く)形成されている。第1拡散領域410および第2拡散領域412の間隔は、拡散領域410,412の幅よりも短く設定されている。
第1接続電極3には、第1拡散領域410に対応した1個の引き出し電極L411が形成されている。同様に、第2接続電極4には、第2拡散領域412に対応した1個の引き出し電極L421が形成されている。第1および第2接続電極3,4は、引き出し電極L411と引き出し電極L421が互いに噛み合う櫛歯形状に形成されている。
第1接続電極3および第1拡散領域410と第2接続電極4および第2拡散領域412とは、平面視において、素子形成面2Aの重心に対して点対称に構成されている。なお、第1接続電極3および第1拡散領域410と第2接続電極4および第2拡散領域412とが、実質的に線対称に構成されているとみなすことができる。つまり、第1引き出し電極L411と第2引き出し電極L421とがほぼ同じ位置にあるとみなすと、第1接続電極3および第1拡散領域410と第2接続電極4および第2拡散領域412とは、平面視において、素子形成面2Aの短手方向に平行でかつ長手方向中央を通る直線に対して線対称に構成されているとみなすことができる。
図62Bに示すチップ部品401Bでは、図62Aに示すチップ部品401Aと同様に、第1ツェナーダイオードD401および第2ツェナーダイオードD402は、それぞれ1個のツェナーダイオードから構成されている。図62Bに示すチップ部品401Bでは、第1拡散領域410および第2拡散領域412の長手方向の長さおよび引き出し電極L411,L421の長さが、図62Aに示すチップ部品401Aのそれらに比べて大きく(第1パッド405と第2パッド406との間隔の1/2より長く)形成されている。
図62Cに示すチップ部品401Cでは、第1拡散領域410および第2拡散領域412は4個ずつ形成されている。これら8個の第1拡散領域410および第2拡散領域412は、基板2の長手方向に長い矩形状であり、第1拡散領域410と第2拡散領域412とが基板2の短手方向に沿って交互にかつ等間隔をおいて配列されている。第1ツェナーダイオードD401は、各第1拡散領域410にそれぞれ対応した4個のツェナーダイオードD411〜D414から構成されている。第2ツェナーダイオードD402は、各第2拡散領域412にそれぞれ対応した4個のツェナーダイオードD421〜D424から構成されている。
第1接続電極3には、各第1拡散領域410にそれぞれ対応した4個の引き出し電極L411〜L414が形成されている。同様に、第2接続電極4には、各第2拡散領域412にそれぞれ対応した4個の引き出し電極L421〜L424が形成されている。第1および第2接続電極3,4は、引き出し電極L411〜L414と引き出し電極L421〜L424が互いに噛み合う櫛歯形状に形成されている。
第1接続電極3および第1拡散領域410と第2接続電極4および第2拡散領域412とは、平面視において、素子形成面2Aの重心に対して点対称に構成されている。なお、第1接続電極3および第1拡散領域410と第2接続電極4および第2拡散領域412とが、実質的に線対称に構成されているとみなすことができる。つまり、第1引き出し電極L411〜L414と第2引き出し電極L421〜L424の隣り合うものどうし(L424とL411,L423とL412,L422とL413,L421とL414)がほぼ同じ位置にあるとみなすと、第1接続電極3および第1拡散領域410と第2接続電極4および第2拡散領域412とは、平面視において、素子形成面2Aの短手方向中央に平行でかつ長手方向中央を通る直線に対して線対称に構成されているとみなすことができる。
図62Dに示すチップ部品401Dでは、図52の実施形態と同様に、第1拡散領域410および第2拡散領域412は2個ずつ形成されている。これら4個の第1拡散領域410および第2拡散領域412は、基板2の長手方向に長い矩形状であり、第1拡散領域410と第2拡散領域412とが基板2の短手方向に沿って交互に配列されている。第1ツェナーダイオードD401は、各第1拡散領域410にそれぞれ対応した2個のツェナーダイオードD411,D412から構成されている。第2ツェナーダイオードD402は、各第2拡散領域412にそれぞれ対応した2個のツェナーダイオードD421,D422から構成されている。これらの4個のダイオードは、素子形成面2Aにおいて、その短辺方向に、D422,D411,D421,D412の順に並んで配置されている。
ツェナーダイオードD422に対応した第2拡散領域412とツェナーダイオードD411に対応した第1拡散領域410とは、素子形成面2Aの一方の長辺寄りの部分に互いに隣接して配置されている。ツェナーダイオードD421に対応した第2拡散領域412とツェナーダイオードD412に対応した第1拡散領域410とは、素子形成面2Aの他方の長辺寄りの部分に互いに隣接して配置されている。つまり、ツェナーダイオードD411に対応した第1拡散領域410と、ツェナーダイオードD421に対応した第2拡散領域412とは、大きな間隔(拡散領域410,412の幅よりも大きな間隔)をおいて配置されている。
第1接続電極3には、各第1拡散領域410にそれぞれ対応した2個の引き出し電極L411,L412が形成されている。同様に、第2接続電極4には、各第2拡散領域412にそれぞれ対応した2個の引き出し電極L421,L422が形成されている。第1および第2接続電極3,4は、引き出し電極L411,L412と引き出し電極L421,L422が互いに噛み合う櫛歯形状に形成されている。
第1接続電極3および第1拡散領域410と第2接続電極4および第2拡散領域412とは、平面視において、素子形成面2Aの重心に対して点対称に構成されている。なお、第1接続電極3および第1拡散領域410と第2接続電極4および第2拡散領域412とが、実質的に線対称に構成されているとみなすことができる。つまり、基板2の一方の長辺側にある第2引き出し電極L422とそれに隣接する第1引き出し電極L411がほぼ同じ位置にあるとみなすとともに、基板2の他方の長辺側にある第1引き出し電極L412とそれに隣接する第2引き出し電極L421とがほぼ同じ位置にあるとみなす。そうすると、第1接続電極3および第1拡散領域410と第2接続電極4および第2拡散領域412とは、平面視において、素子形成面2Aの短手方向に平行でかつ中央長手方向中央を通る直線に対して線対称に構成されているとみなすことができる。
図62Eに示すチップ部品401Eでは、第1拡散領域410および第2拡散領域412は2個ずつ形成されている。各第1拡散領域410および各第2拡散領域412は、第1拡散領域410の長手方向に長い略矩形である。一方の第2拡散領域412は素子形成面2Aの一方の長辺寄りの部分に形成され、他方の第2拡散領域412は素子形成面2Aの他方の長辺寄りの部分に形成されている。2個の第1拡散領域410は、2個の第2拡散領域412の間の領域において、各第2拡散領域412にそれぞれ隣接して形成されている。つまり、2個の第1拡散領域410は大きな間隔(拡散領域410,412の幅よりも大きな間隔)をおいて配置されており、それらの外側に第2拡散領域412が1個ずつ配置されている。
第1ツェナーダイオードD401は、各第1拡散領域410にそれぞれ対応した2個のツェナーダイオードD411,D412から構成されている。第2ツェナーダイオードD402は、各第2拡散領域412にそれぞれ対応した2個のツェナーダイオードD421,D422から構成されている。第1接続電極3には、各第1拡散領域410にそれぞれ対応した2個の引き出し電極L411,L412が形成されている。同様に、第2接続電極4には、各第2拡散領域412にそれぞれ対応した2個の引き出し電極L421,L422が形成されている。
第1接続電極3および第1拡散領域410と第2接続電極4および第2拡散領域412とは、実質的に線対称に構成されているとみなすことができる。つまり、基板2の一方の長辺側にある第2引き出し電極L422とそれに隣接する第1引き出し電極L411がほぼ同じ位置にあるとみなすとともに、基板2の他方の長辺側にある第2引き出し電極L421とそれに隣接する第1引き出し電極L412とがほぼ同じ位置にあるとみなす。そうすると、第1接続電極3および第1拡散領域410と第2接続電極4および第2拡散領域412とは、平面視において、素子形成面2Aの長手方向中央を通る直線に対して線対称に構成されているとみなすことができる。
図62Eに示すチップ部品401Eでは、基板2の一方の長辺側にある第2引き出し電極L422とそれに隣接する第1引き出し電極L411とは、それらの間の所定の点を中心して互いに点対称に構成されている。また、基板2の他方の長辺側にある第2引き出し電極L421とそれに隣接する第1引き出し電極L412とは、それらの間の所定の点を中心して互いに点対称に構成されている。このように、第1接続電極3および第1拡散領域410と第2接続電極4および第2拡散領域412とが、部分的に対称な構造の組み合わせから構成されている場合にも、第1接続電極3および第1拡散領域410と第2接続電極4および第2拡散領域412とが実質的に対称に構成されているとみなすことができる。
図62Fに示すチップ部品401Fでは、基板2の表層領域に、複数の第1拡散領域410が離散的に配置されているとともに、複数の第2拡散領域412が離散的に配置されている。第1拡散領域410および第2拡散領域412は、平面視で同じ大きさの円形に形成されている。複数の第1拡散領域410は、素子形成面2Aの幅中央と一方の長辺との間の領域に配置されており、複数の第2拡散領域412は素子形成面2Aの幅中央と他方の長辺との間の領域に配置されている。そして、第1接続電極3は、複数の第1拡散領域410に共通接続された1つの引き出し電極L411を有している。同様に、第2接続電極4は、複数の第2拡散領域412に共通接続された1つの引き出し電極L421を有している。この変形例においても、第1接続電極3および第1拡散領域410と第2接続電極4および第2拡散領域412とは、平面視において、素子形成面2Aの重心に対して点対称に構成されている。
第1拡散領域410および第2拡散領域412の平面視での形状は、三角形、四角形、それ以外の多角形等の任意の形状であってもよい。また、素子形成面2Aの幅中央と一方の長辺との間の領域に、素子形成面2Aの長手方向に延びた複数の第1拡散領域410が素子形成面2Aの短手方向に間隔をおいて形成され、これらの複数の第1拡散領域410が引き出し電極L411に共通接続されていてもよい。この場合、素子形成面2Aの幅中央と他方の長辺との間の領域に、素子形成面2Aの長手方向に延びた複数の第2拡散領域412が素子形成面2Aの短手方向に間隔をおいて形成され、これらの複数の第2拡散領域412が引き出し電極L421に共通接続される。
<複合チップ部品>
図63Aは、本発明の第11実施形態に係るチップ部品501の構成を説明するための模式的な斜視図である。
第11実施形態に係るチップ部品501が、前述の第1実施形態に係るチップ部品1と異なる点は、一つの基板502に二つの回路素子が形成されている点(すなわち、素子領域5が一つの基板502上に二つの素子領域505を含んでいる点)である。その他の構成は、前述の第1実施形態に係るチップ部品1の構成と同等である。図63Aにおいて、前述の図1〜図62Fに示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して、説明を省略する。以下では、チップ部品501を「複合チップ部品501」という。
複合チップ部品501は、図63Aに示すように、共通の基板502上に、前述の第1〜第10実施形態において述べた回路素子(抵抗、キャパシタ、ヒューズ、ダイオード、ツェナダイオード等)のうちの二つを選択的に搭載したペアチップである。二つの回路素子は、その境界領域507に対して左右対称となるように互いに隣り合って配置されている。
複合チップ部品501は、直方体形状をなしている。複合チップ部品501の平面形状は、二つの回路素子の並び方向(以下、基板502の横方向)に沿う辺(横辺582)および横辺582に直交する辺(縦辺581)を有する四角形である。複合チップ部品501の平面寸法は、たとえば、長さL5(縦辺581の長さ)=約0.3mm、幅W5=約0.15mmである03015サイズの二つの回路素子の組み合わせによって、0303サイズとされている。むろん、複合チップ部品501の平面寸法はこれに限るものではなく、たとえば、長さL5=約0.4mm、幅W5=約0.2mmである0402サイズの素子の組み合わせによって、0404サイズとされていてもよい。また、複合チップ部品501の厚さT5は約0.1mmであり、互いに隣り合う二つの回路素子との間の境界領域507の幅は約0.03mmであることが好ましい。
複合チップ部品501は、基板(前述の第1実施形態における基板30に相当する)上に多数個の複合チップ部品501を格子状に形成してから当該基板に溝(溝44に相当する)を形成した後、裏面研磨(または当該基板を溝で分断)して個々の複合チップ部品501に分離することによって得られる。
二つの回路素子は、複合チップ部品501の本体を構成する基板502と、外部接続電極となる第1接続電極503および第2接続電極504と、第1接続電極503および第2接続電極504によって外部接続される素子領域505とを主に備えている。本実施形態では、第1接続電極503は、二つの回路素子に跨るように形成されており、二つの回路素子の共通の電極となっている。
基板502は、略直方体のチップ形状である。基板502において図63Aにおける上面をなす一つの表面は、素子形成面502Aである。素子形成面502Aは、基板502において素子が形成される表面であり、略長方形状である。基板502の厚さ方向において素子形成面502Aとは反対側の面は、裏面502Bである。素子形成面502Aと裏面502Bとは、ほぼ同寸法かつ同形状であり、互いに平行である。素子形成面502Aにおける一対の縦辺581および横辺582によって区画された四角形状の縁を、周縁部585ということにし、裏面502Bにおける一対の縦辺581および横辺582によって区画された四角形状の縁を、周縁部590ということにする。素子形成面502A(裏面502B)に直交する法線方向から見ると、周縁部585と周縁部590とは、重なっている(後述する図63C,63D参照)。なお、基板502は、たとえば、裏面502B側からの研削または研磨によって薄型化された基板であってもよい。基板502の材料としては、シリコン基板に代表される半導体基板を用いてもよいし、ガラス基板を用いてもよいし、樹脂フィルムを用いてもよい。
基板502は、素子形成面502Aおよび裏面502B以外の表面として、複数の側面(側面502C、側面502D、側面502Eおよび側面502F)を有している。当該複数の側面502C〜502Eは、素子形成面502Aおよび裏面502Bのそれぞれに交差(詳しくは、直交)して延びて、素子形成面502Aおよび裏面502Bの間を繋いでいる。
側面502Cは、素子形成面502Aおよび裏面502Bにおける基板502の横方向に直交する縦方向(以下、基板502の縦方向)の一方側(図63Aにおける左手前側)の横辺582間に架設されていて、側面502Dは、素子形成面502Aおよび裏面502Bにおける基板502の縦方向の他方側(図63Aにおける右奥側)の横辺582間に架設されている。側面502Cおよび側面502Dは、当該縦方向における基板502の両端面である。
側面502Eは、素子形成面502Aおよび裏面502Bにおける基板502の横方向一方側(図63Aにおける左奥側)の縦辺581間に架設されていて、側面502Fは、素子形成面502Aおよび裏面502Bにおける基板502の横方向他方側(図63Aにおける右手前側)の縦辺581間に架設されている。側面502Eおよび側面502Fは、当該横方向における基板502の両端面である。
側面502Cおよび側面502Dのそれぞれは、側面502Eおよび側面502Fのそれぞれと交差(詳しくは、直交)している。そのため、素子形成面502A〜側面502Fにおいて隣り合うもの同士が直角を成している。
基板502では、素子形成面502Aおよび側面502C〜502Eのそれぞれの全域がパッシベーション膜523で覆われている。そのため、厳密には、図63Aでは、素子形成面502Aおよび側面502C〜502Eのそれぞれの全域は、パッシベーション膜523の内側(裏側)に位置していて、外部に露出されていない。さらに、複合チップ部品501は、樹脂膜524を有している。パッシベーション膜523および樹脂膜524については、基板2が基板502となっている点において異なるが、前述の第1〜第3実施形態において説明したパッシベーション膜23および樹脂膜24と概ね同様の構成で形成されているので、その説明を省略する。
第1接続電極503および第2接続電極504は、基板502の素子形成面502A上において周縁部585を覆うように、素子形成面502Aおよび側面502C〜502Eに跨って形成された周縁部586,587を有している。本実施形態では、周縁部586,587は、基板502の側面502C〜502E同士が交わる各コーナー部511を覆うように形成されている。また、基板502は、各コーナー部511が平面視で面取りされたラウンド形状となっている。これにより、複合チップ部品501の製造工程や実装時におけるチッピングを抑制できる構造となっている。
第1接続電極503は、平面視における4辺をなす1対の長辺503Aおよび短辺503Bを有している。長辺503Aと短辺503Bとは平面視において直交している。第2接続電極504は、平面視における4辺をなす1対の長辺504Aおよび短辺504Bを有している。長辺504Aと短辺504Bとは平面視において直交している。長辺503Aおよび長辺504Aは、基板502の横辺582と平行に延びていて、短辺503Bおよび短辺504Bは、基板502の縦辺581と平行に延びている。また、複合チップ部品501は、基板502の裏面502Bに電極を有していない。
第1接続電極503および第2接続電極504の各表面には、前述の第1〜第11実施形態と同様に、複数の凹部6が形成されている。
複数の凹部6は、第1接続電極503の周端部に互いに間隔を空けて形成されている。より具体的には、複数の凹部6は、第1接続電極503の長辺503Aおよび短辺503Bに沿う領域に互いに間隔を空けて形成されている。各凹部6は、たとえば、平面視略円形状に形成されている。複数の凹部6によって取り囲まれた第1接続電極503の内方部には、凹部6が形成されていない平坦な平坦部7が形成されている。
平坦部7は、第1接続電極503の内方部において、長辺503Aに沿った長方形状になるように形成されている。チップ部品の製造工程では、素子領域505に形成された回路素子のプロービング(電気的テスト)が実施されるのであるが、このように第1接続電極503の表面に平坦部7を設けておくことで、プローブの接触領域を良好に確保できる。また、実装基板9(図19参照)に実装する際の接続面積も良好に確保できる。
各第2接続電極504にも、第1接続電極503と同様の凹部6が形成されている。第2接続電極504の凹部6については、前述の第1接続電極503の凹部6と同様の構成であるので、説明を省略する。
図63Bは、複合チップ部品501が実装基板9に実装された状態の回路アセンブリ100の模式的な断面図である。図63Cは、回路アセンブリ100を複合チップ部品501の裏面502B側から見た模式的な平面図である。図63Dは、回路アセンブリ100を複合チップ部品501の素子形成面502A側から見た模式的な平面図である。なお、図63B〜図63Dでは、要部のみ示している。
図63B〜図63Dに示すように、複合チップ部品501は、実装基板9に実装される。この状態における複合チップ部品501および実装基板9は、回路アセンブリ100を構成している。
図63Bに示すように、実装基板9の上面は、実装面9Aである。実装面9Aには、複合チップ部品501用の実装領域589が区画されている。実装領域589は、本実施形態では、図63Cおよび図63Dに示すように、平面視正方形状に形成されており、ランド588が配置されたランド領域592と、ランド領域592を取り囲むソルダレジスト領域593とを含む。
ランド領域592は、たとえば、複合チップ部品501が03015サイズの二つの回路素子を一つずつ備えるペアチップである場合、410μm×410μmの平面サイズを有する四角形(正方形)状である。つまり、ランド領域592の一辺の長さL501=410μmである。一方、ソルダレジスト領域593は、そのランド領域592を縁取るように、たとえば幅L502が25μmの四角環状に形成されている。
ランド588は、ランド領域592の四隅に一つずつ、合計4つ配置されている。本実施形態では、各ランド588は、ランド領域592を区画する各辺から一定の間隔を空けた位置に設けられている。たとえば、ランド領域592の各辺から各ランド588までの間隔は、25μmである。また、互いに隣り合うランド588の間には、80μmの間隔が設けられている。各ランド588は、たとえばCuからなり、実装基板9の内部回路(図示せず)に接続されている。各ランド588の表面には、図63Bに示すように、はんだ13が当該表面から突出するように設けられている。
複合チップ部品501を実装基板9に実装する場合、図63Bに示すように、自動実装機80の吸着ノズル76(図17等参照)を複合チップ部品501の裏面502Bに吸着してから吸着ノズル76を動かすことによって、複合チップ部品501を搬送する。このとき、吸着ノズル76は、裏面502Bにおける基板502の縦方向略中央部分に吸着する。前述したように、第1接続電極503および第2接続電極504は、複合チップ部品501の片面(素子形成面502A)および側面502C〜502Eにおける素子形成面502A側の端部だけに設けられていることから、複合チップ部品501において裏面502Bは、電極(凹凸)がない平坦面となる。よって、吸着ノズル76を複合チップ部品501に吸着して移動させる場合に、平坦な裏面502Bに吸着ノズル76を吸着させることができる。換言すれば、平坦な裏面502Bであれば、吸着ノズル76が吸着できる部分のマージンを増やすことができる。これによって、吸着ノズル76を複合チップ部品501に確実に吸着させ、複合チップ部品501を途中で吸着ノズル76から脱落させることなく確実に搬送できる。
また、複合チップ部品501が二つの回路素子を一対備えるペアチップであるため、たとえば抵抗器もしくはコンデンサを一つだけ搭載した単品チップを2回マウントする場合に比べて、同じ機能を有するチップ部品を1回のマウント作業で実装できる。さらに、単品チップに比べて、チップ一つ当たりの裏面面積を抵抗器もしくはコンデンサ2つ分以上に大きくできるので、吸着ノズル76による吸着動作を安定させることができる。
そして、複合チップ部品501を吸着した吸着ノズル76を実装基板9まで移動させる。このとき、複合チップ部品501の素子形成面502Aと実装基板9の実装面9Aとが互いに対向する。この状態で、吸着ノズル76を移動させて実装基板9に押し付け、複合チップ部品501において、第1接続電極503および第2接続電極504を、各ランド588のはんだ13に接触させる。
次に、はんだ13を加熱すると、はんだ13が溶融する。その後、はんだ13が冷却されて固まると、第1接続電極503および第2接続電極504と、ランド588とがはんだ13を介して接合する。つまり、各ランド588が、第1接続電極503および第2接続電極504において対応する電極にはんだ接合される。これにより、実装基板9への複合チップ部品501の実装(フリップチップ接続)が完了して、回路アセンブリ100が完成する。
完成状態の回路アセンブリ100では、複合チップ部品501の素子形成面502Aと実装基板9の実装面9Aとが、隙間を隔てて対向しつつ、平行に延びている。当該隙間の寸法は、第1接続電極503または第2接続電極504において素子形成面502Aから突き出た部分の厚みとはんだ13の厚さとの合計に相当する。
この回路アセンブリ100では、第1接続電極503および第2接続電極504の周縁部586,587が、基板502の素子形成面502Aおよび側面502C〜502E(図63Bでは、側面502C,502Dのみ図示)に跨って形成されている。そのため、複合チップ部品501を実装基板9にはんだ付けする際の接着面積を拡大できる。その結果、第1接続電極503および第2接続電極504に対するはんだ13の吸着量を増やすことができるので、接着強度を向上させることができる。
また、実装状態において、少なくとも基板502の素子形成面502Aおよび側面502C〜502Eの二方向からチップ部品を保持できる。そのため、チップ部品1の実装形状を安定させることができる。しかも、実装基板9へ実装後のチップ部品1を4つのランド588によって四点支持できるため、実装形状を一層安定させることができる。
また、複合チップ部品501が、03015サイズの二つの回路素子を一対備えるペアチップである。そのため、複合チップ部品501用の実装領域589の面積を、従来に比べて大幅に縮小できる。
たとえば、本実施形態では、実装領域589の面積は、図63Cを参照して、L503×L503=(L502+L501+L502)×(L502+L501+L502)=(25+410+25)×(25+410+25)=211600μm2で済む。
一方、図63Eに示すように、従来作製可能な最小サイズである0402サイズの単品チップ部品550を2つ実装基板9の実装面9Aに実装する場合には、319000μm2の実装領域551が必要であった。これから、本実施形態の実装領域589と、従来の実装領域551との面積を比較すると、本実施形態の構成では、約34%も実装面積を縮小できることが分かる。
なお、図63Eの実装領域551の面積は、ランド554が配置された各単品チップ部品550の実装エリア552の横幅L504=250μm、隣り合う実装エリア552の間隔L505=30μm、実装領域551の外周を構成するソルダレジスト領域の幅L506=25μm、および実装エリア552の長さL507=500μmに基づき、(L506+L504+L505+L504+L506)×(L506+L507+L506)=(25+250+30+250+25)×(25+500+25)=319000μm2として算出した。
<スマートフォン>
図64は、前述の第1〜第11実施形態に係るチップ部品が用いられる電子機器の一例であるスマートフォンの外観を示す斜視図である。スマートフォン601は、扁平な直方体形状の筐体602の内部に電子部品を収納して構成されている。筐体602は表側および裏側に長方形状の一対の主面を有しており、その一対の主面が4つの側面で結合されている。筐体602の一つの主面には、液晶パネルや有機ELパネル等で構成された表示パネル603の表示面が露出している。表示パネル603の表示面は、タッチパネルを構成しており、使用者に対する入力インターフェースを提供している。
表示パネル603は、筐体602の一つの主面の大部分を占める長方形形状に形成されている。表示パネル603の一つの短辺に沿うように、操作ボタン604が配置されている。本実施形態では、複数(3つ)の操作ボタン604が表示パネル603の短辺に沿って配列されている。使用者は、操作ボタン604およびタッチパネルを操作することによって、スマートフォン601に対する操作を行い、必要な機能を呼び出して実行させることができる。
表示パネル603の別の一つの短辺の近傍には、スピーカ605が配置されている。スピーカ605は、電話機能のための受話口を提供するとともに、音楽データ等を再生するための音響化ユニットとしても用いられる。一方、操作ボタン604の近くには、筐体602の一つの側面にマイクロフォン606が配置されている。マイクロフォン606は、電話機能のための送話口を提供するほか、録音用のマイクロフォンとして用いることもできる。
図65は、筐体602の内部に収容された回路アセンブリ100の構成を示す図解的な平面図である。回路アセンブリ100は、実装基板9と、実装基板9の実装面9Aに実装された回路部品とを含む。複数の回路部品は、複数の集積回路素子(IC)612〜620と、複数のチップ部品とを含む。複数のICは、伝送処理IC612、ワンセグTV受信IC613、GPS受信IC614、FMチューナIC615、電源IC616、フラッシュメモリ617、マイクロコンピュータ618、電源IC619およびベースバンドIC620を含む。
複数のチップ部品は、チップインダクタ621,625,635、チップ抵抗器622,624,633、チップキャパシタ627,630,634、チップダイオード628,631および双方向ツェナーダイオードチップ641〜648を含む。これらのチップ部品は、前述の第1〜第11実施形態で述べたチップ部品に相当するものであり、たとえばフリップチップ接合により実装基板9の実装面9Aに実装されている。
双方向ツェナーダイオードチップ641〜648は、ワンセグTV受信IC613、GPS受信IC614、FMチューナIC615、電源IC616、フラッシュメモリ617、マイクロコンピュータ618、電源IC619およびベースバンドIC620への信号入力ラインでのプラスマイナスのサージ吸収等を行うために設けられている。
伝送処理IC612は、表示パネル603に対する表示制御信号を生成し、かつ表示パネル603の表面のタッチパネルからの入力信号を受信するための電子回路を内蔵している。表示パネル603との接続のために、伝送処理IC612には、フレキシブル配線609が接続されている。
ワンセグTV受信IC613は、ワンセグ放送(携帯機器を受信対象とする地上デジタルテレビ放送)の電波を受信するための受信機を構成する電子回路を内蔵している。ワンセグTV受信IC613の近傍には、複数のチップインダクタ621と、複数のチップ抵抗器622と、複数の双方向ツェナーダイオードチップ641とが配置されている。ワンセグTV受信IC613、チップインダクタ621、チップ抵抗器622および双方向ツェナーダイオードチップ641は、ワンセグ放送受信回路623を構成している。チップインダクタ621およびチップ抵抗器622は、正確に合わせ込まれたインダクタンスおよび抵抗をそれぞれ有し、ワンセグ放送受信回路623に高精度な回路定数を与える。
GPS受信IC614は、GPS衛星からの電波を受信してスマートフォン601の位置情報を出力する電子回路を内蔵している。GPS受信IC614の近傍には、複数の双方向ツェナーダイオードチップ642が配置されている。
FMチューナIC615は、その近傍において実装基板9に実装された複数のチップ抵抗器624、複数のチップインダクタ625および複数の双方向ツェナーダイオードチップ643とともに、FM放送受信回路626を構成している。チップ抵抗器624およびチップインダクタ625は、正確に合わせ込まれた抵抗値およびインダクタンスをそれぞれ有し、FM放送受信回路626に高精度な回路定数を与える。
電源IC616の近傍には、複数のチップキャパシタ627、複数のチップダイオード628および複数の双方向ツェナーダイオードチップ644が実装基板9の実装面9Aに実装されている。電源IC616は、チップキャパシタ627、チップダイオード628および双方向ツェナーダイオードチップ644とともに、電源回路629を構成している。
フラッシュメモリ617は、オペレーティングシステムプログラム、スマートフォン601の内部で生成されたデータ、通信機能によって外部から取得したデータおよびプログラムなどを記録するための記憶装置である。フラッシュメモリ617の近傍には、複数の双方向ツェナーダイオードチップ645が配置されている。
マイクロコンピュータ618は、CPU、ROMおよびRAMを内蔵しており、各種の演算処理を実行することにより、スマートフォン601の複数の機能を実現する演算処理回路である。より具体的には、マイクロコンピュータ618の働きにより、画像処理や各種アプリケーションプログラムのための演算処理が実現されるようになっている。マイクロコンピュータ618の近傍には、複数の双方向ツェナーダイオードチップ646が配置されている。
電源IC619の近くには、複数のチップキャパシタ630、複数のチップダイオード631および複数の双方向ツェナーダイオードチップ647が、実装基板9の実装面9Aに実装されている。電源IC619は、チップキャパシタ630、チップダイオード631および双方向ツェナーダイオードチップ647と共に、電源回路632を構成している。
ベースバンドIC620の近くには、複数のチップ抵抗器633、複数のチップキャパシタ634、複数のチップインダクタ635および複数の双方向ツェナーダイオードチップ648が、実装基板9の実装面9Aに実装されている。ベースバンドIC620は、チップ抵抗器633、チップキャパシタ634、チップインダクタ635および複数の双方向ツェナーダイオードチップ648と共に、ベースバンド通信回路636を構成している。ベースバンド通信回路636は、電話通信およびデータ通信のための通信機能を提供する。
このような構成によって、電源回路629,632によって適切に調整された電力が、伝送処理IC612、GPS受信IC614、ワンセグ放送受信回路623、FM放送受信回路626、ベースバンド通信回路636、フラッシュメモリ617およびマイクロコンピュータ618に供給される。マイクロコンピュータ618は、伝送処理IC612を介して入力される入力信号に応答して演算処理を行い、伝送処理IC612から表示パネル603に表示制御信号を出力して表示パネル603に各種の表示を行わせる。
タッチパネルまたは操作ボタン604の操作によってワンセグ放送の受信が指示されると、ワンセグ放送受信回路623の働きによってワンセグ放送が受信される。そして、受信された画像を表示パネル603に出力し、受信された音声をスピーカ605から音響化させるための演算処理が、マイクロコンピュータ618によって実行される。
また、スマートフォン601の位置情報が必要とされるときには、マイクロコンピュータ618は、GPS受信IC614が出力する位置情報を取得し、その位置情報を用いた演算処理を実行する。
さらに、タッチパネルまたは操作ボタン604の操作によってFM放送受信指令が入力されると、マイクロコンピュータ618は、FM放送受信回路626を起動し、受信された音声をスピーカ605から出力させるための演算処理を実行する。
フラッシュメモリ617は、通信によって取得したデータの記憶や、マイクロコンピュータ618の演算や、タッチパネルからの入力によって作成されたデータを記憶するために用いられる。マイクロコンピュータ618は、必要に応じて、フラッシュメモリ617に対してデータを書き込み、またフラッシュメモリ617からデータを読み出す。
電話通信またはデータ通信の機能は、ベースバンド通信回路636によって実現される。マイクロコンピュータ618は、ベースバンド通信回路636を制御して、音声またはデータを送受信するための処理を行う。
<変形例>
前述の第1〜第5実施形態では、基板2の表面に絶縁膜20が形成されているが、図66に示す構成を採用してもよい。図66は、変形例に係るチップ部品701の第1接続電極3を示す模式的な断面図である。
変形例に係るチップ部品701が前述の第1実施形態のチップ部品1と異なる点は、絶縁材料からなる絶縁基板702が形成されている点、絶縁膜20が形成されていない点、および絶縁基板702の表面に下地凹部708が形成されている点である。なお、図66では、説明の便宜上、第1実施形態の変形例として示しているが、前述の第2〜第5実施形態の構成にも適用できる。図66において、前述の図1〜図65に示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して、説明を省略する。
変形例に係る絶縁基板702は、たとえば、セラミック製の基板である。絶縁基板702の表面には、平面視において、第1接続電極3の凹部6が形成された位置と同じ位置に、絶縁基板702を厚さ方向に掘り下げた下地凹部708が形成されている。
下地凹部708の構成は、前述の第1実施形態において述べた下地凹部8の構成と同等である。抵抗体膜21および配線膜22は、その一方表面(表面)および他方表面(裏面)が、下地凹部708の側面および底面によって区画された凹状の空間に入り込むように、下地凹部708の側面および底面、ならびに絶縁基板702の表面に沿って形成されている。これにより、抵抗体膜21および配線膜22によって、さらに当該下地凹部708が形成された領域において、凹状の空間が区画されている。
そして、第1接続電極3は、抵抗体膜21および配線膜22によって区画された凹状の空間をさらに埋め戻すように配線膜22上に形成されている。これによって、第1接続電極3には、下地凹部8が形成された領域に対応する位置に凹部6が形成されている。
以上のように、チップ部品701の構成によれば、絶縁膜20を形成する必要はなく、絶縁膜20に形成すべき下地凹部8を絶縁基板702に直接形成することができる。したがって、絶縁膜20を形成する工程を実行しなくてもよいので、製造工程を簡略化できる。むろん、前述の第11実施形態において、複合チップ部品501に形成される回路素子として、抵抗、キャパシタ、ヒューズのいずれかが採用される場合、複合チップ部品の基板2を絶縁基板702としてもよい。
<抵抗>
図67は、第1参考例に係るチップ部品1001の模式的な斜視図である。図67において、前述の図1〜図66に示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して示している。
チップ部品1001は、微小なチップ部品であり、図67に示すように、直方体形状をなしている。チップ部品1001の平面形状は、直交する二辺(長辺81、短辺82)がそれぞれ0.6mm以下、0.3mm以下の矩形(0603チップ)であってもよいし、0.4mm以下、0.2mm以下の矩形(0404チップ)であってもよい。好ましくは、チップ部品1001の寸法に関し、長さL1(長辺81の長さ)が約0.3mmであり、幅W1(短辺82の長さ)が約0.15mmの矩形(03015チップ)であり、厚さT1が約0.1mmである。
チップ部品1001は、チップ部品1001の本体を構成する基板2と、外部接続電極となる第1および第2接続電極3,4と、第1および第2接続電極3,4によって外部接続される回路素子が選択的に形成される素子領域5とを主に備えている。
基板2は、略直方体のチップ形状である。基板2において図67における上面をなす一つの表面は、素子形成面2Aである。素子形成面2Aは、基板2において回路素子が形成される表面であり、略長方形状である。基板2の厚さ方向において素子形成面2Aとは反対側の面は、裏面2Bである。素子形成面2Aと裏面2Bとは、略同寸法かつ同形状であり、互いに平行である。素子形成面2Aにおける一対の長辺81および短辺82によって区画された矩形状の縁を、周縁部85ということにし、裏面2Bにおける一対の長辺81および短辺82によって区画された矩形状の縁を、周縁部90ということにする。素子形成面2A(裏面2B)に直交する法線方向から見ると、周縁部85と周縁部90とは、重なっている。
基板2は、素子形成面2Aおよび裏面2B以外の表面として、複数の側面(側面2C、側面2D、側面2Eおよび側面2F)を有している。当該複数の側面は、素子形成面2Aおよび裏面2Bのそれぞれに交差(詳しくは、直交)して延びて、素子形成面2Aおよび裏面2Bの間を繋いでいる。
側面2Cは、素子形成面2Aおよび裏面2Bにおける長手方向一方側(図67における左手前側)の短辺82間に架設されていて、側面2Dは、素子形成面2Aおよび裏面2Bにおける長手方向他方側(図67における右奥側)の短辺82間に架設されている。側面2Cおよび側面2Dは、当該長手方向における基板2の両端面である。側面2Eは、素子形成面2Aおよび裏面2Bにおける短手方向一方側(図67における左奥側)の長辺81間に架設されていて、側面2Fは、素子形成面2Aおよび裏面2Bにおける短手方向他方側(図67における右手前側)の長辺81間に架設されている。側面2Eおよび側面2Fは、当該短手方向における基板2の両端面である。側面2Cおよび側面2Dのそれぞれは、側面2Eおよび側面2Fのそれぞれと交差(詳しくは、直交)している。そのため、素子形成面2A〜側面2Eにおいて隣り合うもの同士が直角をなしている。
基板2では、素子形成面2Aおよび側面2C〜2Eのそれぞれの全域がパッシベーション膜23で覆われている。そのため、厳密には、図67では、素子形成面2Aおよび側面2C〜2Eのそれぞれの全域は、パッシベーション膜23の内側(裏側)に位置していて、外部に露出されていない。さらに、チップ部品1001は、樹脂膜24を有している。樹脂膜24は、素子形成面2A上のパッシベーション膜23の全域(周縁部85およびその内側領域)を覆っている。パッシベーション膜23および樹脂膜24については、以降で詳説する。
第1および第2接続電極3,4は、基板2の素子形成面2A上において周縁部85を覆うように、素子形成面2Aおよび側面2C〜2Eに跨るように一体的に形成されている。第1および第2接続電極3,4のそれぞれは、チップ部品1001の最表面に露出するように形成されている。第1および第2接続電極3,4は、素子形成面2Aの長手方向に互いに間隔を開けて配置されている。当該配置位置において、第1接続電極3は、チップ部品1001の一方の短辺82(側面2C寄りの短辺82)およびその両側の一対の長辺81に沿う三方の側面2C,2E,2Fを一体的に覆うように形成されている。一方、第2接続電極4は、チップ部品1001の他方の短辺82(側面2D寄りの短辺82)およびその両側の一対の長辺81に沿う三方の側面2D,2E,2Fを一体的に覆うように形成されている。これにより、基板2の長手方向両端部において側面同士が交わる各コーナー部11はそれぞれ、第1接続電極3もしくは第2接続電極4によって覆われている。第1および第2接続電極3,4は、前述した法線方向から見た平面視において、略同寸法かつ同形状である。
第1接続電極3は、平面視における4辺をなす一対の長辺3Aおよび短辺3Bを有している。長辺3Aと短辺3Bとは平面視において直交している。
第2接続電極4は、平面視における4辺をなす一対の長辺4Aおよび短辺4Bを有している。長辺4Aと短辺4Bとは平面視において直交している。長辺3Aおよび長辺4Aは、基板2の短辺82と平行に延びていて、短辺3Bおよび短辺4Bは、基板2の長辺81と平行に延びている。また、チップ部品1001は、裏面2Bに電極を有していない。
図67に示すように、第1および第2接続電極3,4の表面には、素子形成面2A(裏面2B)に直交する法線方向から見た平面視において、平坦部97と、凸部形成部98とが形成されている。平坦部97は、第1および第2接続電極3,4の各表面が平坦に形成されている部分であり、凸部形成部98は、複数の凸部96が形成されている部分である。
平坦部97は、第1および第2接続電極3,4の各内方部に形成されており、かつ第1および第2接続電極3,4の長辺3A,4Aの長手方向に沿って延びるように平面視略長方形状に形成されている。平坦部97は、平面視における4辺をなす一対の長辺97Aおよび一対の短辺97Bを有し、凸部96の個々の表面積よりも大きい表面積を有している。平坦部97の表面積は、チップ部品1001の大きさに応じて、適宜変更されるものであるが、平坦部97の長辺97Aの長さは少なくとも60μm以上であり、短辺97Bの長さは少なくとも40μm以上であることが好ましい。チップ部品1001の製造工程では、素子領域5に形成された回路素子のプロービング(電気的テスト)が実施されるのであるが、このような大きさの平坦部97であれば、プローブ70a(より具体的には、プローブ70aの先端部以外の部分、図78D参照)が第1接続電極3の凸部96と接触することを効果的に抑制または防止できる。
凸部形成部98は、平坦部97を取り囲むように形成されている。凸部形成部98では、複数の凸部96が、互いに直交する行方向および列方向において一定の間隔で行列状に配列されたパターンで形成されている。各凸部96は、たとえば、平面視矩形状に形成されており、その大きさ(平面視における面積)は、たとえば5μm×5μm〜20μm×20μmであることが好ましい。むろん、各凸部96は、平面視矩形状に限定されるわけではなく、この面積の範囲内であれば、適宜その形状を変更してもよい。
素子領域5には、回路素子が形成されている。回路素子は、基板2の素子形成面2Aにおける第1接続電極3と第2接続電極4との間の領域に形成されていて、パッシベーション膜23および樹脂膜24によって上から被覆されている。
図68は、図67に係るチップ部品1001の平面図であり、第1接続電極3、第2接続電極4および回路素子(抵抗56)の配置関係ならびに回路素子(抵抗56)の平面視の構成を示す図である。
図68を参照すると、本参考例では、回路素子として抵抗56が形成されている。抵抗56は、等しい抵抗値を有する複数個の(単位)抵抗体Rを素子形成面2A上でマトリックス状に配列した抵抗回路網によって構成されている。抵抗体Rは、TiN(窒化チタン)、TiON(酸化窒化チタン)またはTiSiONからなる。抵抗56は、後述する配線膜22に電気的に接続されていて、配線膜22を介して第1接続電極3と第2接続電極4とに電気的に接続されている。つまり、抵抗56は、基板2上に形成され、第1および第2接続電極3,4の間に接続されている。
より具体的に、抵抗56は、行方向(基板2の長手方向)に沿って配列された8個の抵抗体Rと、列方向(基板2の幅方向)に沿って配列された44個の抵抗体Rとで構成された合計352個の抵抗体Rを有している。これらの抵抗体Rは、抵抗56の抵抗回路網を構成する複数の素子要素である。
これら多数個の抵抗体Rが1個〜64個の所定個数毎にまとめられて電気的に接続されることによって、複数種類の抵抗回路が形成されている。形成された複数種類の抵抗回路は、導体膜E(導体で形成された配線膜)で所定の態様に接続されている。さらに、基板2の素子形成面2Aには、抵抗回路を抵抗56に対して電気的に組み込んだり、または、抵抗56から電気的に分離したりするために切断(溶断)可能な複数のヒューズFが設けられている。複数のヒューズFおよび導体膜Eは、第1接続電極3の内側辺沿いに、配置領域が直線状になるように配列されている。より具体的には、複数のヒューズFおよび導体膜Eが隣接するように配置され、その配列方向が直線状になっている。複数のヒューズFは、複数種類の抵抗回路(抵抗回路毎の複数の抵抗体R)を第1接続電極3に対してそれぞれ切断可能(切り離し可能)に接続している。
図69Aは、図68に示す抵抗56の一部分を拡大して描いた平面図である。図69Bは、図69Aの切断面線LXIXb−LXIXbから見た断面図である。図69Cは、図69Aの切断面線LXIXc−LXIXcから見た断面図である。
チップ部品1001は、前述した配線膜22、パッシベーション膜23および樹脂膜24の他に、絶縁膜20と抵抗体膜21とをさらに備えている(図69Bおよび図69C参照)。絶縁膜20、抵抗体膜21、配線膜22、パッシベーション膜23および樹脂膜24は、基板2(素子形成面2A)上に形成されている。
絶縁膜20は、たとえば、SiO2(酸化シリコン)からなる絶縁材料を含む。絶縁膜20は、基板2の素子形成面2Aの全域を覆っている。なお、本参考例では、一層からなる絶縁膜20が形成されている例について説明するが、複数層からなる絶縁膜が形成されていてもよい。
抵抗体膜21は、絶縁膜20上に形成されている。抵抗体膜21は、TiN、TiONまたはTiSiONにより形成されている。抵抗体膜21の厚さは、たとえば、約2000Åである。抵抗体膜21は、第1接続電極3と第2接続電極4との間を平行に直線状に延びる複数本の抵抗体膜(以下「抵抗体膜ライン21A」という)を構成していて、抵抗体膜ライン21Aは、ライン方向に所定の位置で切断されている場合がある(図69A参照)。
抵抗体膜ライン21A上には、配線膜22が積層されている。配線膜22は、Al(アルミニウム)またはアルミニウムとCu(銅)との合金(AlCu合金)からなる。配線膜22の厚さは、約8000Åである。配線膜22は、抵抗体膜ライン21A上に、ライン方向に一定間隔Rを開けて積層されていて、抵抗体膜ライン21Aに接している。
次に、図70A〜図71を参照して、チップ部品1001の第1および第2接続電極3,4に形成された平坦部97の構成および凸部形成部98(凸部96)の構成について詳説する。
図70A(a)は、図68に示す第1接続電極3の一部分(平坦部97が形成された領域)を拡大して描いた平面図であり、図70A(b)は、図70A(a)の切断面線LXXA−LXXAから見た断面図である。図70B(a)は、図68に示す第1接続電極3の一部分(凸部形成部98)を拡大して描いた平面図であり、図70B(b)は、図70B(a)の切断面線LXXB−LXXBから見た断面図である。なお、図70Aおよび図70Bにおいて、第2接続電極4が形成された領域は、第1接続電極3が形成された領域と同等の構成であるので、その図示を省略している。
図70A(b)および図70B(b)に示すように、第1接続電極3が形成された領域には、前述したように基板2上に、絶縁膜20、抵抗体膜21および配線膜22がこの順に形成されている。配線膜22の表面には、配線膜22の表面を選択的に露出させるパターンPTがさらに形成されている。
パターンPTは、絶縁パターンであり、本参考例では、樹脂膜24と、配線膜22と樹脂膜24との間に介在するパッシベーション膜23とを含む。樹脂膜24は、ポリイミド(感光性ポリイミド)を含み、パッシベーション膜23は、SiN(窒化シリコン)を含む。パターンPTは、図70A(b)および図70B(b)の各断面視において、樹脂膜24の表面に形成された頂部と、パッシベーション膜23の両端部からなる底部とを滑らかに結ぶ略円弧状に形成されている。
パターンPTには、相対的に広い面積で配線膜22の表面を露出させる第1開口22Bと、当該第1開口22Bよりも狭い面積で配線膜22の表面を露出させる複数の第2開口22Cとが形成されている。
第1開口22Bは、第1接続電極3の平坦部97が形成された領域の直下の領域に形成されている。より具体的には、第1開口22Bは、図70A(a),(b)に示すように、平坦部97と相似形状となるように、平坦部97の長辺97Aおよび短辺97Bの直下の領域に沿って形成されている。第1開口22Bの平坦部97の長辺97Aに対応する辺の長さは、少なくとも60μm以上であり、平坦部97の短辺97Bに対応する辺の長さは、少なくとも40μm以上である。
一方、図70B(a),(b)に示すように、複数の凸部96が形成された直下の領域では、複数の第2開口22Cが、配線膜22の表面が互いに直交する行方向および列方向において一定の間隔で行列状に露出するように形成されている。複数の第2開口22Cは、複数の凸部96と相似形状に形成されている。列方向の第2開口22Cの幅W41は、たとえば5μm〜20μmであり、行方向の第2開口22Cの幅W42は、たとえば5μm〜20μmである。列方向に互いに隣接する第2開口22C間の幅W43は、たとえば5μm〜10μmであり、行方向に互いに隣接する第2開口22C間のW44は、たとえば5μm〜10μmである。
第1および第2開口22B,22Cが形成されたパターンPTにより、凹凸状のパッド領域22Aが形成されている。第1接続電極3は、第1および第2開口22B,22Cを埋め戻して配線膜22と電気的に接続されるように、当該凹凸状のパッド領域22A上に形成されている。なお、第1接続電極3は、Ni層33、Pd層34およびAu層35からなる積層構造を有している。
第1接続電極3は、図70A(b)および図70B(b)に示すように、厚さ方向に向けて窪むように形成された薄膜部16と、薄膜部16よりも上方に位置するように厚く形成された厚膜部17とを含む。薄膜部16は、パターンPTの直上の領域に形成されており、厚膜部17は、パターンPTから露出する配線膜22上の領域に形成されている。
図70A(a),(b)に示すように、第1接続電極3の表面に形成された平坦部97は、第1接続電極3の薄膜部16および厚膜部17により形成されている。すなわち、第1開口22Bを埋め戻すように形成された第1接続電極3の表面には、厚膜部17の表面が、配線膜22の表面(基板2の表面)と平行になるように形成されることにより、平坦部97が形成されている。そして、当該平坦部97(厚膜部17)の周囲を取り囲むように薄膜部16が形成されており、これにより、平坦部97と凸部形成部98とが区画されている。
一方、図70B(a),(b)に示すように、第1接続電極3の表面に形成された複数の凸部96も、第1接続電極3の薄膜部16および厚膜部17により形成されている。すなわち、第2開口22Cを埋め戻すように形成された第1接続電極3の表面には、薄膜部16を底部とし、厚膜部17を頂部とする断面視略円弧状の表面が形成されることにより、複数の凸部96が形成されている。薄膜部16は、凸部形成部98において、厚膜部17を行列状に区画するように網目状に形成されており、行方向および列方向に互いに隣接する各凸部96に対して共通の薄膜部(底部)となっている。
第1および第2接続電極3,4に形成された複数の凸部96は、図70Bの構成に代えて、図71のような構成であってもよい。図71は、図70Bに示す第1接続電極3の変形例の一部を拡大して描いた平面図である。なお、図71では、第2接続電極4が形成された領域は、第1接続電極3が形成された領域と同等の構成であるので、その図示を省略している。
図71に示す構成が前述の図70Bに示す構成と異なる点は、凸部形成部98に、互いに直交する行方向および列方向において1列おきに行方向の位置をずらして千鳥状に配列されたパターンを含む複数の凸部96が形成されている点である。
図70B(a),(b)に示すように、凸部形成部98に複数の凸部96が行列状に配列されている場合、対角線方向に互いに隣接する第2開口22C間に十字状の交差部Crが形成されている。この交差部Crの対角線方向の幅W45は、行方向および列方向に互いに隣接する第2開口22C間の幅W43,W44よりも幅広に形成されている。
第1接続電極3は、第1および第2開口22B,22Cを埋め戻すように、配線膜22上にめっき成膜されることによって形成される(図80参照)。交差部Cr上の薄膜部16は、互いに隣接する第2開口22Cから、めっき成膜した電極材料(すなわちNi層33)が横方向に移動して合わさることにより形成される。そのため、比較的幅広な交差部Cr上に形成される薄膜部16と、交差部Cr以外の比較的幅狭な部分に形成される薄膜部16とではタイムラグがあり、めっき成膜の条件(たとえば、めっき成膜の速度や時間等)によっては、交差部Cr以外の比較的幅狭な部分では隣り合う電極材料が互いに重なりあうが、交差部Cr上では、隣り合う電極材料が十分に重なり合わない時がある。そのため、交差部Cr上に形成される薄膜部16が、他の部分よりもさらにパターンPT(樹脂膜24)の表面に近く形成されたり、パターンPTの表面が第1接続電極3から露出したりする可能性がある。
そこで、図71に示すように、複数の凸部96が千鳥状に配列されるように、選択的に第2開口22Cを有するパターンPTを形成することにより、交差部Crを十字状からT字状にできる。すなわち、交差部Crに隣接する第2開口22Cの数を4つから3つに減らすことができ、交差部Crで互いに隣接する3つの第2開口22C間の距離を、行方向および列方向の幅W41,W42と一致させることができる。これにより、交差部Cr上に形成される薄膜部16と、それ以外の部分に形成される薄膜部16とのタイムラグをなくすことができる。その結果、交差部Cr上に形成される薄膜部16が、他の部分よりもさらにパターンPTの表面に近く形成されることを防止できる。
この構成の抵抗体膜ライン21Aおよび配線膜22の電気的特徴を回路記号で示すと、図72の通りである。すなわち、図72(a)に示すように、所定間隔Rの領域の抵抗体膜ライン21A部分が、それぞれ、一定の抵抗値rを有する1つの抵抗体Rを形成している。
そして、配線膜22が積層された領域では、配線膜22が隣り合う抵抗体R同士を電気的に接続することによって、当該配線膜22で抵抗体膜ライン21Aが短絡されている。よって、図72(b)に示す抵抗値rの抵抗体Rの直列接続からなる抵抗回路が形成されている。
また、隣接する抵抗体膜ライン21A同士は抵抗体膜21および配線膜22で接続されているから、図69Aに示す抵抗56の抵抗回路網は、図72(c)に示す(前述した抵抗体Rの単位抵抗からなる)抵抗回路を構成している。このように、抵抗体膜21および配線膜22は、抵抗体Rや抵抗回路(つまり抵抗56)を構成している。そして、各抵抗体Rは、抵抗体膜ライン21A(抵抗体膜21)と、抵抗体膜ライン21A上にライン方向に一定間隔をあけて積層された複数の配線膜22とを含み、配線膜22が積層されていない一定間隔R部分の抵抗体膜ライン21Aが、1個の抵抗体Rを構成している。抵抗体Rを構成している部分における抵抗体膜ライン21Aは、その形状および大きさが全て等しい。よって、基板2上にマトリックス状に配列された多数個の抵抗体Rは、等しい抵抗値を有している。
また、抵抗体膜ライン21A上に積層された配線膜22は、抵抗体Rを形成すると共に、複数個の抵抗体Rを接続して抵抗回路を構成するための導体膜Eの役目も果たしている(図68参照)。
図73(a)は、図68に示すチップ部品1001の平面図の一部分を拡大して描いたヒューズFを含む領域の部分拡大平面図であり、図73(b)は、図73(a)の切断面線LXXIIIb−LXXIIIbから見た断面図である。
図73(a)および(b)に示すように、前述したヒューズFおよび導体膜Eも、抵抗体Rを形成する抵抗体膜21上に積層された配線膜22により形成されている。すなわち、抵抗体Rを形成する抵抗体膜ライン21A上に積層された配線膜22と同じレイヤーに、配線膜22と同じ金属材料であるAlまたはAlCu合金によってヒューズFおよび導体膜Eが形成されている。なお、配線膜22は、前述したように、抵抗回路を形成するために、複数個の抵抗体Rを電気的に接続する導体膜Eとしても用いられている。
つまり、抵抗体膜21上に積層された同一レイヤーにおいて、抵抗体Rを形成するための配線膜や、ヒューズFや、導体膜Eや、さらには、抵抗56を第1および第2接続電極3,4に接続するための配線膜が、配線膜22として、同一の金属材料(AlまたはAlCu合金)を用いて形成されている。なお、ヒューズFを配線膜22と異ならせている(区別している)のは、ヒューズFが切断しやすいように細く形成されていること、および、ヒューズFの周囲に他の回路要素が存在しないように配置されていることによるからである。
ここで、配線膜22において、ヒューズFが配置された領域を、トリミング対象領域Xということにする(図68および図73(a)参照)。トリミング対象領域Xは、第1接続電極3の内側辺沿いの直線状領域であって、トリミング対象領域Xには、ヒューズFだけでなく、導体膜Eも配置されている。また、トリミング対象領域Xの配線膜22の下方にも抵抗体膜21が形成されている(図73(b)参照)。そして、ヒューズFは、配線膜22において、トリミング対象領域X以外の部分よりも配線間距離が大きい(周囲から離された)配線である。
なお、ヒューズFは、配線膜22の一部だけでなく、抵抗体R(抵抗体膜21)の一部と抵抗体膜21上の配線膜22の一部とのまとまり(ヒューズ素子)を指していてもよい。
また、ヒューズFは、導体膜Eと同一のレイヤーを用いる場合のみを説明したが、導体膜Eでは、その上に更に別の導体膜を積層するようにし、導体膜E全体の抵抗値を下げるようにしてもよい。なお、この場合であっても、ヒューズFの上に導体膜を積層しなければ、ヒューズFの溶断性が悪くなることはない。
図74は、抵抗体膜ライン21Aおよび配線膜22により構成される一の電気回路図である。
図74を参照して、抵抗56は、基準抵抗回路R8と、抵抗回路R64、2つの抵抗回路R32、抵抗回路R16、抵抗回路R8、抵抗回路R4、抵抗回路R2、抵抗回路R1、抵抗回路R/2、抵抗回路R/4、抵抗回路R/8、抵抗回路R/16、抵抗回路R/32とを第1接続電極3からこの順番で直列接続することによって構成されている。基準抵抗回路R8および抵抗回路R64〜R2のそれぞれは、自身の末尾の数(R64の場合には「64」)と同数の抵抗体Rを直列接続することで構成されている。抵抗回路R1は、1つの抵抗体Rで構成されている。抵抗回路R/2〜R/32のそれぞれは、自身の末尾の数(R/32の場合には「32」)と同数の抵抗体Rを並列接続することで構成されている。抵抗回路の末尾の数の意味については、後述する図75および図76においても同じである。
そして、基準抵抗回路R8以外の抵抗回路R64〜抵抗回路R/32のそれぞれに対して、ヒューズFが1つずつ並列的に接続されている。ヒューズF同士は、直接または導体膜E(図73(a)参照)を介して直列に接続されている。
図74に示すように全てのヒューズFが溶断されていない状態では、抵抗56は、第1および第2接続電極3,4間に設けられた8個の抵抗体Rの直列接続からなる基準抵抗回路R8の抵抗回路を構成している。たとえば、1個の抵抗体Rの抵抗値rをr=8Ωとすれば、8r=64Ωの抵抗回路(基準抵抗回路R8)により第1および第2接続電極3,4が接続されたチップ部品1001が構成されている。
また、全てのヒューズFが溶断されていない状態では、基準抵抗回路R8以外の複数種類の抵抗回路は、短絡された状態となっている。つまり、基準抵抗回路R8には、12種類13個の抵抗回路R64〜R/32が直列に接続されているが、各抵抗回路は、それぞれ並列に接続されたヒューズFにより短絡されているので、電気的に見ると、各抵抗回路は抵抗56に組み込まれてはいない。
本参考例に係るチップ部品1001では、要求される抵抗値に応じて、ヒューズFを選択的に、たとえばレーザ光で溶断する。それにより、並列的に接続されたヒューズFが溶断された抵抗回路は、抵抗56に組み込まれることになる。よって、抵抗56の全体の抵抗値を、溶断されたヒューズFに対応する抵抗回路が直列に接続されて組み込まれた抵抗値とできる。
特に、複数種類の抵抗回路は、等しい抵抗値を有する抵抗体Rが、直列に1個、2個、4個、8個、16個、32個…と、公比が2となる等比数列的に抵抗体Rの個数が増加されて接続された複数種類の直列抵抗回路ならびに等しい抵抗値の抵抗体Rが並列に2個、4個、8個、16個…と、公比が2となる等比数列的に抵抗体Rの個数が増加されて接続された複数種類の並列抵抗回路を備えている。そのため、ヒューズF(前述したヒューズ素子も含む)を選択的に溶断することにより、抵抗56全体の抵抗値を、細かく、かつデジタル的に、任意の抵抗値となるように調整して、チップ部品1001において所望の値の抵抗を発生させることができる。
図75は、抵抗体膜ライン21Aおよび配線膜22により構成される他の電気回路図である。
図74に示すように基準抵抗回路R8および抵抗回路R64〜抵抗回路R/32を直列接続して抵抗56を構成する代わりに、図75に示すように抵抗56を構成してもかまわない。詳しくは、第1および第2接続電極3,4の間で、基準抵抗回路R/16と、12種類の抵抗回路R/16、R/8、R/4、R/2、R1、R2、R4、R8、R16、R32、R64、R128の並列接続回路との直列接続回路によって抵抗56を構成してもよい。
この場合、基準抵抗回路R/16以外の12種類の抵抗回路には、それぞれ、ヒューズFが直列に接続されている。全てのヒューズFが溶断されていない状態では、各抵抗回路は抵抗56に対して電気的に組み込まれている。要求される抵抗値に応じて、ヒューズFを選択的に、たとえばレーザ光で溶断すれば、溶断されたヒューズFに対応する抵抗回路(ヒューズFが直列に接続された抵抗回路)は、抵抗56から電気的に分離されるので、チップ部品1001全体の抵抗値を調整できる。
図76は、抵抗体膜ライン21Aおよび配線膜22により構成されるさらに他の電気回路図である。
図76に示す抵抗56の特徴は、複数種類の抵抗回路の直列接続と、複数種類の抵抗回路の並列接続とが直列に接続された回路構成となっていることである。直列接続される複数種類の抵抗回路には、先の参考例と同様、抵抗回路毎に、並列にヒューズFが接続されていて、直列接続された複数種類の抵抗回路は、全てヒューズFで短絡状態とされている。したがって、ヒューズFを溶断すると、その溶断されるヒューズFで短絡されていた抵抗回路が、抵抗56に電気的に組み込まれることになる。
一方、並列接続された複数種類の抵抗回路には、それぞれ、直列にヒューズFが接続されている。したがって、ヒューズFを溶断することにより、溶断されたヒューズFが直列に接続されている抵抗回路を、抵抗回路の並列接続から電気的に切り離すことができる。
かかる構成とすれば、たとえば、1kΩ以下の小抵抗は並列接続側で作り、1kΩ以上の抵抗回路を直列接続側で作れば、数Ωの小抵抗から数MΩの大抵抗までの広範な範囲の抵抗回路を、等しい基本設計で構成した抵抗の回路網を用いて作ることができる。つまりチップ部品1001では、一つまたは複数のヒューズFを選択して切断することにより、複数種類の抵抗値に、容易にかつ速やかに対応できる。換言すれば、抵抗値の異なる複数の抵抗体Rを組み合わせることによって、様々な抵抗値のチップ部品1001を共通の設計で実現できる。
以上のように、このチップ部品1001では、トリミング対象領域Xにおいて、複数の抵抗体R(抵抗回路)の接続状態が変更可能である。
次に、図77を参照して、チップ部品1001についてさらに詳しく説明する。
図77は、チップ部品1001の模式的な断面図である。なお、図77では、説明の便宜上、前述した抵抗56、第1および第2接続電極3,4に形成された凸部96および平坦部97の構成については簡略化して示していると共に、基板2以外の各要素にはハッチングを付している。
ここでは、前述したパッシベーション膜23および樹脂膜24について説明する。
パッシベーション膜23は、前述の図70A〜図71で説明した構成でパターンPTとして配線膜22上に形成されている他、素子形成面2Aおよび側面2C〜2Eのそれぞれにおけるほぼ全域に亘って設けられている。パッシベーション膜23の厚さは、たとえば1μm〜2μmである。
素子形成面2A上のパッシベーション膜23は、抵抗体膜21および抵抗体膜21上の各配線膜22(つまり、抵抗56)を表面(図77の上側)から被覆していて、抵抗56おける各抵抗体Rの上面を覆っている。そのため、パッシベーション膜23は、前述したトリミング対象領域Xにおける配線膜22も覆っている(図73(b)参照)。また、パッシベーション膜23は、抵抗56(配線膜22および抵抗体膜21)に接しており、抵抗体膜21以外の領域では絶縁膜20にも接している。これにより、素子形成面2A上のパッシベーション膜23は、素子形成面2A全域を覆って抵抗56および絶縁膜20を保護する保護膜として機能している。また、素子形成面2Aでは、パッシベーション膜23によって、抵抗体R間における配線膜22以外での短絡(隣り合う抵抗体膜ライン21A間における短絡)が防止されている。
一方、側面2C〜2Eのそれぞれに設けられたパッシベーション膜23は、第1および第2接続電極3,4の側面部分と基板2の側面2C〜2Eとの間に介在されており、側面2C〜2Eのそれぞれを保護する保護層として機能している。これにより、第1および第2接続電極3,4と基板2とを短絡させたくない場合に、その要求に応えることができる。なお、パッシベーション膜23は極めて薄い膜なので、本参考例では、側面2C〜2Eのそれぞれを覆うパッシベーション膜23を、基板2の一部とみなすことにする。そのため、側面2C〜2Eのそれぞれを覆うパッシベーション膜23を、側面2C〜2Eそのものとみなすことにしている。
樹脂膜24は、パッシベーション膜23と共に第1および第2接続電極3,4の表面に凸部96を形成するためにパターンPTとして配線膜22上に形成される他、チップ部品1001の素子形成面2Aを保護するものである。樹脂膜24の厚みは、たとえば3μm〜10μmである。
樹脂膜24は、素子形成面2A上のパッシベーション膜23の表面(パッシベーション膜23に被覆された抵抗体膜21および配線膜22も含む)の全域を被覆している。
樹脂膜24には、配線膜22における第1および第2接続電極3,4の側面部分に対向する周縁部を露出させる切欠部25が1つずつ形成されている。各切欠部25は、樹脂膜24およびパッシベーション膜23を、それぞれの厚さ方向において連続して貫通している。そのため、切欠部25は、樹脂膜24だけでなくパッシベーション膜23にも形成されている。これにより、各配線膜22は、抵抗56に近い内側の周縁部が樹脂膜24によって選択的に覆われており、その他の、基板2の周縁部85に沿う周縁部が切欠部25を介して選択的に露出している。
配線膜22において、第1および第2開口22B,22C、ならびに各切欠部25から露出された表面は、外部接続用の凹凸状のパッド領域22Aとなっている。また、切欠部25から露出する配線膜22は、素子形成面2Aにおいて基板2の周縁部85から内方へ所定の間隔(たとえば、3μm〜6μm)離れて配置されている。また、切欠部25の側面には、チップ部品1001の一方の短辺82から他方の短辺82へ向かって、絶縁膜26が全体的に形成されている。
2つの切欠部25のうち、一方の切欠部25は、第1接続電極3によって埋め尽くされ、他方の切欠部25は、第2接続電極4によって埋め尽くされている。この第1および第2接続電極3,4は、前述したように、素子形成面2Aに加えて側面2C〜2Eも覆うように形成されている。また、第1および第2接続電極3,4は、樹脂膜24から突出するように形成されていると共に、樹脂膜24の表面に沿って基板2の内方(抵抗56側)へ引き出された引き出し部27を有している。
ここで、第1および第2接続電極3,4のそれぞれは、Ni層33、Pd層34およびAu層35を素子形成面2A側および側面2C〜2E側からこの順で有している。すなわち、第1および第2接続電極3,4のそれぞれは、素子形成面2A上の領域だけでなく、側面2C〜2E上の領域においても、Ni層33、Pd層34およびAu層35からなる積層構造を有している。そのため、第1および第2接続電極3,4のそれぞれにおいて、Ni層33とAu層35との間にPd層34が介装されている。第1および第2接続電極3,4のそれぞれにおいて、Ni層33は各接続電極の大部分を占めており、Pd層34およびAu層35は、Ni層33に比べて格段に薄く形成されている。Ni層33は、チップ部品1001が実装基板に実装された際に、各切欠部25のパッド領域22Aにおける配線膜22のAlと、はんだとを中継する役割を有している。
このように、第1および第2接続電極3,4では、Ni層33の表面がAu層35によって覆われているので、Ni層33が酸化することを防止できる。また、第1および第2接続電極3,4では、Au層35を薄くすることによってAu層35に貫通孔(ピンホール)ができてしまっても、Ni層33とAu層35との間に介装されたPd層34が当該貫通孔を塞いでいるので、当該貫通孔からNi層33が外部に露出されて酸化することを防止できる。
そして、第1および第2接続電極3,4のそれぞれでは、Au層35が、最表面に露出している。第1接続電極3は、一方の切欠部25を介して、この切欠部25におけるパッド領域22Aにおいて配線膜22に対して電気的に接続されている。第2接続電極4は、他方の切欠部25を介して、この切欠部25におけるパッド領域22Aにおいて配線膜22に対して電気的に接続されている。第1および第2接続電極3,4のそれぞれでは、Ni層33がパッド領域22Aに対して接続されている。これにより、第1および第2接続電極3,4のそれぞれは、抵抗56に対して電気的に接続されている。ここで、配線膜22は、抵抗体Rのまとまり(抵抗56)、第1および第2接続電極3,4のそれぞれに接続された配線を形成している。
このように、切欠部25が形成された樹脂膜24およびパッシベーション膜23は、切欠部25から第1および第2接続電極3,4を露出させた状態で素子形成面2Aを覆っている。そのため、樹脂膜24の表面において切欠部25からはみ出した(突出した)第1および第2接続電極3,4を介して、チップ部品1001と実装基板との間における電気的接続を達成できる。
次に、図78A〜図86を参照して、チップ部品1001の製造方法、およびチップ部品1001の実装基板9に対する実装工程について詳説する。
図78A〜図78Iは、図67に示すチップ部品1001の製造方法を示す図解的な断面図である。
まず、図78Aに示すように、基板2の元となる基板30を用意する。この場合、基板30の表面30Aは、基板2の素子形成面2Aであり、基板30の裏面30Bは、基板2の裏面2Bである。
そして、基板30の表面30Aを熱酸化して、表面30AにSiO2等からなる絶縁膜20を形成する。次に、絶縁膜20上に抵抗56(抵抗体Rおよび抵抗体Rに接続された配線膜22)を形成する。具体的には、スパッタリングにより、まず、絶縁膜20の上にTiN、TiONまたはTiSiONの抵抗体膜21を全面に形成し、さらに、抵抗体膜21に接するように抵抗体膜21の上にアルミニウム(Al)の配線膜22を積層する。その後、フォトリソグラフィプロセスを用い、たとえばRIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)等のドライエッチングにより抵抗体膜21および配線膜22を選択的に除去してパターニングし、図69Aに示すように、平面視で、抵抗体膜21が積層された一定幅の抵抗体膜ライン21Aが一定間隔をあけて列方向に配列される構成を得る。
このとき、部分的に抵抗体膜ライン21Aおよび配線膜22が切断された領域も形成されると共に、前述したトリミング対象領域XにおいてヒューズFおよび導体膜Eが形成される(図68参照)。続いて、たとえばウェットエッチングにより抵抗体膜ライン21Aの上に積層された配線膜22を選択的に除去する。この結果、抵抗体膜ライン21A上に一定間隔Rをあけて配線膜22が積層された構成の抵抗56が得られる。この際、抵抗体膜21および配線膜22が目標寸法で形成されたか否かを確かめるために、抵抗56全体の抵抗値を測定してもよい。
図78Aを参照して、抵抗56は、1枚の基板30に形成するチップ部品1001の数に応じて、基板30の表面30A上における多数の箇所に形成される。基板30において抵抗56(前述した抵抗56)が形成された1つの領域をチップ部品領域Yというと、基板30の表面30Aには、抵抗56をそれぞれ有する複数のチップ部品領域Y(つまり、抵抗56)が形成(設定)される。1つのチップ部品領域Yは、完成した1つのチップ部品1001(図77参照)を平面視したものと一致する。そして、基板30の表面30Aにおいて、隣り合うチップ部品領域Yの間の領域を、境界領域Zということにする。境界領域Zは、帯状をなしていて、平面視で格子状に延びている。境界領域Zによって区画された1つの格子の中にチップ部品領域Yが1つ配置されている。境界領域Zの幅は、1μm〜60μm(たとえば20μm)と極めて狭いので、基板30では多くのチップ部品領域Yを確保でき、結果としてチップ部品1001の大量生産が可能になる。
次に、図78Aに示すように、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長)法によって、SiNからなる絶縁膜45を、基板30の表面30Aの全域に亘って形成する。絶縁膜45は、絶縁膜20および絶縁膜20上の抵抗56(抵抗体膜21や配線膜22)を全て覆っていて、これらに接している。そのため、絶縁膜45は、前述したトリミング対象領域X(図68参照)における配線膜22も覆っている。また、絶縁膜45は、基板30の表面30Aにおいて全域に亘って形成されることから、表面30Aにおいて、トリミング対象領域X以外の領域にまで延びて形成される。これにより、絶縁膜45は、表面30A(表面30A上の抵抗56も含む)全域を保護する保護膜となる。
次に、図78Bに示すように、ポリイミドからなる感光性樹脂の液体を、基板30に対して、絶縁膜45の上からスプレー塗布して、感光性樹脂の樹脂膜46を形成する。表面30A上の樹脂膜46の表面は、表面30Aに沿って平坦になっている。次に、樹脂膜46に熱処理(キュア処理)を施す。これにより、樹脂膜46の厚みが熱収縮すると共に、樹脂膜46が硬化して膜質が安定する。
次に、図78Cに示すように、樹脂膜46、絶縁膜45および絶縁膜20をパターニングすることによって、これらの膜の第1および第2開口22B,22Cと一致する部分、ならびに切欠部25と一致する部分を選択的に除去する。
より具体的には、第1および第2接続電極3,4の表面に、平坦部97および凸部形成部98が形成されるパターンで、樹脂膜46、絶縁膜45および絶縁膜20がパターニングされる。平坦部97が形成される領域では、第2開口22Cよりも広い面積で配線膜22の表面を露出させる第1開口22Bが配線膜22上に形成される。
図70Bに示すように、第1および第2接続電極3,4の凸部形成部98において、行列状の凸部96を形成する場合には、配線膜22上に、複数の第2開口22Cが、互いに直交する行方向および列方向において一定の間隔で行列状に配列されるパターンで、樹脂膜46、絶縁膜45および絶縁膜20がパターニングされる。
また、図71に示すように、第1および第2接続電極3,4の凸部形成部98において、千鳥状の凸部96を形成する場合には、配線膜22上に、複数の第2開口22Cが、互いに直交する行方向および列方向において1列おきに行方向の位置をずらして千鳥状に配列されるパターンで、樹脂膜46、絶縁膜45および絶縁膜20がパターニングされる。
このようにして、所定パターンPTの樹脂膜24および絶縁膜45(パッシベーション膜23)が配線膜22上に形成される(図70A〜図71参照)と共に、切欠部25が形成される。このとき、樹脂膜24および絶縁膜45(パッシベーション膜23)は、露光されることにより溶融して、図70A〜図71に示したように、断面視円弧状に形成される。また、これと同時に、境界領域Zにおいては表面30A(絶縁膜20)が露出することになる。
次に、図78Dに示すように、抵抗測定装置(図示せず)のプローブ70aをパッド領域22A(第1開口22B、図70A(a)参照)に接触させて、抵抗56の全体の抵抗値を検出する。そして、絶縁膜45越しにレーザ光(図示せず)を任意のヒューズF(図68参照)に照射することによって、前述したトリミング対象領域Xの配線膜22をレーザ光でトリミングして、当該ヒューズFを溶断する。このようにして、必要な抵抗値となるようにヒューズFを溶断(トリミング)することによって、前述したように、半製品50(換言すれば、チップ部品1001)全体の抵抗値を調整できる。
このとき、配線膜22には、第1開口22Bが形成されている。そのため、配線膜22上に形成されたパターンPTとプローブ70a(より具体的には、プローブ70aの先端部以外の部分)とが接触することを効果的に抑制できる。よって、抵抗56の全体の抵抗値を良好に検出できる。
また、絶縁膜45が抵抗56を覆うカバー膜となっているので、溶断の際に生じた破片などが抵抗56に付着して短絡が生じることを防止できる。また、絶縁膜45がヒューズF(抵抗体膜21)を覆っていることから、レーザ光のエネルギーをヒューズFに蓄えてヒューズFを確実に溶断できる。
次に、図78Eに示すように、基板30の表面30Aの全域に亘ってレジストパターン41を形成する。レジストパターン41には、開口42が形成されている。
図79は、図78Eの工程において溝44を形成するために用いられるレジストパターン41の一部の模式的な平面図である。
図79を参照して、レジストパターン41の開口42は、多数のチップ部品1001(換言すれば、前述したチップ部品領域Y)を行列状(格子状でもある)に配置した場合において平面視で隣り合うチップ部品1001の輪郭の間の領域(図79においてハッチングを付した部分であり、換言すれば、境界領域Z)に一致(対応)している。そのため、開口42の全体形状は、互いに直交する直線部分42Aおよび42Bを複数有する格子状になっている。
レジストパターン41では、開口42において互いに直交する直線部分42Aおよび42Bは、互いに直交した状態を保ちながら(湾曲することなく)つながっている。そのため、直線部分42Aおよび42Bの交差部分43は、平面視で略90°をなすように尖っている。
図78Eを参照して、レジストパターン41をマスクとするプラズマエッチングにより、基板30を選択的に除去する。これにより、隣り合う抵抗56(チップ部品領域Y)の間の境界領域Zにおける配線膜22から間隔を空けた位置で基板30の材料が除去される。その結果、平面視においてレジストパターン41の開口42と一致する位置(境界領域Z)には、基板30の表面30Aから基板30の厚さ途中まで到達する所定深さの溝44が形成される。溝44は、互いに対向する1対の側壁44Aと、当該1対の側壁44Aの下端(基板30の裏面30B側の端)の間を結ぶ底壁44Bとによって区画されている。基板30の表面30Aを基準とした溝44の深さは約100μmであり、溝44の幅(対向する側壁44Aの間隔)は約20μmであって、深さ方向全域に渡って一定である。
基板30における溝44の全体形状は、平面視でレジストパターン41の開口42(図78E参照)と一致する格子状になっている。そして、基板30の表面30Aでは、各抵抗56が形成されたチップ部品領域Yのまわりを溝44における矩形枠体部分(境界領域Z)が取り囲んでいる。基板30において抵抗56が形成された部分は、チップ部品1001の半製品50である。基板30の表面30Aでは、溝44に取り囲まれたチップ部品領域Yに半製品50が1つずつ位置していて、これらの半製品50は、行列状に整列配置されている。このように溝44を形成することによって、基板30を複数のチップ部品領域Y毎の基板2に分離する。溝44が形成された後、レジストパターン41を除去する。
次に、図78Fに示すように、CVD法によって、SiNからなる絶縁膜47を、基板30の表面30Aの全域に亘って形成する。このとき、溝44の内周面(前述した側壁44Aの区画面44Cや底壁44Bの上面)の全域にも絶縁膜47が形成される。
次に、図78Gに示すように、絶縁膜47を選択的にエッチングする。具体的には、絶縁膜47における表面30Aに平行な部分を選択的にエッチングする。これにより、配線膜22において凹凸状のパッド領域22A露出すると共に、溝44においては、底壁44B上の絶縁膜47が除去される。
次に、無電解めっきによって、各切欠部25から露出した配線膜22からNi、PdおよびAuを順にめっき成長させる。めっきは、各めっき膜が表面30Aに沿う横方向に成長し、溝44の側壁44A上の絶縁膜47を覆うまで続けられる。これにより、図78Hに示すように、Ni/Pd/Au積層膜からなる第1および第2接続電極3,4を形成する。
図80は、第1および第2接続電極3,4の製造工程を説明するための図である。
詳しくは、図80を参照して、まず、パッド領域22Aの表面が浄化されることで、当該表面の有機物(炭素のしみ等のスマットや油脂性の汚れも含む)が除去(脱脂)される(ステップS51)。次に、当該表面の酸化膜が除去される(ステップS52)。次に、当該表面においてジンケート処理が実施されて、当該表面における(配線膜22の)AlがZnに置換される(ステップS53)。次に、当該表面上のZnが硝酸等で剥離されて、パッド領域22Aでは、新しいAlが露出される(ステップS54)。
次に、パッド領域22Aをめっき液に浸けることによって、パッド領域22Aにおける新しいAlの表面にNiめっきが施される。こ
れにより、めっき液中のNiが化学的に還元析出されて、当該表面にNi層33が形成される(ステップS55)。
次に、Ni層33を別のめっき液に浸けることによって、当該Ni層33の表面にPdめっきが施される。これにより、めっき液中のPdが化学的に還元析出されて、当該Ni層33の表面にPd層34が形成される(ステップS56)。
次に、Pd層34をさらに別のめっき液に浸けることによって、当該Pd層34の表面にAuめっきが施される。これにより、めっき液中のAuが化学的に還元析出されて、当該Pd層34の表面にAu層35が形成される(ステップS57)。これによって、第1および第2接続電極3,4が形成され、形成後の第1および第2接続電極3,4を乾燥させると(ステップS58)、第1および第2接続電極3,4の製造工程が完了する。なお、前後するステップの間には、半製品50を水で洗浄する工程が適宜実施される。また、ジンケート処理は複数回実施されてもよい。
図78Hでは、各半製品50において第1および第2接続電極3,4が形成された後の状態を示している。
以上のように、第1および第2接続電極3,4を無電解めっきによって形成するので、電極材料であるNi,PdおよびAlを絶縁膜47上にも良好にめっき成長させることができる。また、第1および第2接続電極3,4を電解めっきによって形成する場合に比べて、第1および第2接続電極3,4についての形成工程の工程数(たとえば、電解めっきで必要となるリソグラフィ工程やレジストマスクの剥離工程等)を削減してチップ部品1001の生産性を向上できる。さらに、無電解めっきの場合には、電解めっきで必要とされるレジストマスクが不要であることから、レジストマスクの位置ずれによる第1および第2接続電極3,4についての形成位置にずれが生じないので、第1および第2接続電極3,4の形成位置精度を向上して歩留まりを向上できる。
また、この方法では、配線膜22が切欠部25から露出していて、配線膜22から溝44までめっき成長の妨げになるものが無い。すなわち、抵抗56は、樹脂膜46に覆われているので、抵抗56が形成された領域は、めっき成長されない。そのため、配線膜22から溝44まで直線的にめっき成長させることができる。その結果、電極の形成にかかる時間の短縮を図ることができる。
このように第1および第2接続電極3,4が形成されてから、第1および第2接続電極3,4間での通電検査が行われる。第1および第2接続電極3,4間での通電検査は、たとえば、前述の図78Dで説明した方法と同様の方法で、抵抗測定装置(図示せず)のプローブ70bを第1および第2接続電極3,4に接触させて、抵抗56の全体の抵抗値を検出する。このとき、プローブ70bは、第1および第2接続電極3,4の各平坦部97に接触させられる。そのため、プローブ70bが第1および第2接続電極3,4に形成された凸部96とプローブ70bとが接触することを効果的に抑制できる。よって、第1および第2接続電極3,4との接触領域を良好に確保できるので、抵抗56の全体の抵抗値を良好に検出できる。そして、第1および第2接続電極3,4間での通電検査が行われた後に、基板30が裏面30Bから研削される。
具体的には、溝44を形成した後に、図78Iに示すように、PET(ポリエチレンテレフタレート)からなる薄板状であって粘着面72を有する支持テープ71が、粘着面72において、各半製品50における第1および第2接続電極3,4側(つまり、表面30A)に貼着される。これにより、各半製品50が支持テープ71に支持される。ここで、支持テープ71として、たとえば、ラミネートテープを用いることができる。
各半製品50が支持テープ71に支持された状態で、基板30を裏面30B側から研削する。研削によって、溝44の底壁44B(図78H参照)の上面に達するまで基板30が薄型化されると、隣り合う半製品50を連結するものがなくなるので、溝44を境界として基板30が分割され、半製品50が個別に分離してチップ部品1001の完成品となる。つまり、溝44(換言すれば、境界領域Z)において基板30が切断(分断)され、これによって、個々のチップ部品1001が切り出される。なお、基板30を裏面30B側から溝44の底壁44Bまでエッチングすることによってチップ部品1001を切り出しても構わない。
完成した各チップ部品1001では、溝44の側壁44Aの区画面44Cをなしていた部分が、基板2の側面2C〜2Eのいずれかとなり、裏面30Bが裏面2Bとなる。つまり、前述したようにエッチングによって溝44を形成する工程(図78E参照)は、側面2C〜2Eを形成する工程に含まれる。また、絶縁膜45および絶縁膜47の一部がパッシベーション膜23となり、樹脂膜46が樹脂膜24となり、絶縁膜47の一部が絶縁膜26となる。
以上のように、溝44を形成してから基板30を裏面30B側から研削すれば、基板30に形成された複数のチップ部品領域Yを一斉に個々のチップ部品1001に分割できる(複数のチップ部品1001の個片を一度に得ることができる)。よって、複数のチップ部品1001の製造時間の短縮によってチップ部品1001の生産性の向上を図ることができる。
なお、完成したチップ部品1001における基板2の裏面2Bを研磨やエッチングすることによって鏡面化して裏面2Bを綺麗にしてもよい。
以下、図81A〜図81Dを参照して、チップ部品1001の回収工程について詳説する。
図81A〜図81Dは、図78Iの工程後におけるチップ部品1001の回収工程を示す図解的な断面図である。
図81Aでは、個片化された複数のチップ部品1001が引き続き支持テープ71にくっついている状態を示している。この状態で、図81Bに示すように、各チップ部品1001の基板2の裏面2Bに対して、熱発泡シート73を貼着する。熱発泡シート73は、シート状のシート本体74と、シート本体74内に練り込まれた多数の発泡粒子75とを含んでいる。
シート本体74の粘着力は、支持テープ71の粘着面72における粘着力よりも強い。そこで、各チップ部品1001の基板2の裏面2Bに熱発泡シート73を貼着した後に、図81Cに示すように、支持テープ71を各チップ部品1001から引き剥がして、チップ部品1001を熱発泡シート73に転写する。このとき、支持テープ71に紫外線を照射すると(図81Bの点線矢印参照)、粘着面72の粘着性が低下するので、支持テープ71が各チップ部品1001から剥がれやすくなる。
次に、熱発泡シート73を加熱する。これにより、図81Dに示すように、熱発泡シート73では、シート本体74内の各発泡粒子75が発泡してシート本体74の表面から膨出する。その結果、熱発泡シート73と各チップ部品1001の基板2の裏面2Bとの接触面積が小さくなり、全てのチップ部品1001が熱発泡シート73から自然に剥がれる(脱落する)。このように回収されたチップ部品1001は、エンボスキャリアテープ(図示せず)に形成された収容空間に収容される。この場合、支持テープ71または熱発泡シート73からチップ部品1001を1つずつ引き剥がす場合に比べて、処理時間の短縮を図ることができる。もちろん、複数のチップ部品1001が支持テープ71にくっついた状態で(図81A参照)、熱発泡シート73を用いずに、支持テープ71からチップ部品1001を所定個数ずつ直接引き剥がしてもよい。チップ部品1001が収容されたエンボスキャリアテープは、その後、自動実装機80に収納され、当該自動実装機80に備えられた吸着ノズル76により吸着されて個々回収される(図83および図84参照)。このように回収されたチップ部品1001に対して、部品認識カメラ14による表裏判定工程が実行される。
各チップ部品1001の回収工程は、図82A〜図82Cに示す別の方法によっても行うことができる。
図82A〜図82Cは、図78Iの工程後におけるチップ部品1001の回収工程(変形例)を示す図解的な断面図である。
図82Aでは、図81Aと同様に、個片化された複数のチップ部品1001が引き続き支持テープ71にくっついている状態を示している。この状態で、図82Bに示すように、各チップ部品1001の基板2の裏面2Bに転写テープ77を貼着する。転写テープ77は、支持テープ71の粘着面72よりも強い粘着力を有する。そこで、図82Cに示すように、各チップ部品1001に転写テープ77を貼着した後に、支持テープ71を各チップ部品1001から引き剥がす。この際、前述したように、粘着面72の粘着性を低下させるために支持テープ71に紫外線(図82Bの点線矢印参照)を照射してもよい。
転写テープ77の両端には、自動実装機80に設置されたフレーム78が貼り付けられている。両側のフレーム78は、互いが接近する方向または離間する方向に移動できる。支持テープ71を各チップ部品1001から引き剥がした後に、両側のフレーム78を互いが離間する方向に移動させると、転写テープ77が伸張して薄くなる。これによって、転写テープ77の粘着力が低下するので、各チップ部品1001が転写テープ77から剥がれやすくなる。この状態で、自動実装機80の吸着ノズル76をチップ部品1001の素子形成面2A側に向けると、自動実装機80(吸着ノズル76)が発生する吸着力によって、チップ部品1001が転写テープ77から引き剥がされて吸着ノズル76に吸着される。この際、図82Cに示す突起79によって、吸着ノズル76とは反対側から転写テープ77越しにチップ部品1001を吸着ノズル76側へ突き上げると、チップ部品1001を転写テープ77から円滑に引き剥がすことができる。このように回収されたチップ部品1001に対して、部品認識カメラ14による表裏判定工程が実行される。
図83は、第1参考例に係るチップ部品1001の表裏判定工程を説明するための図である。図84は、参考例に係るチップ部品1010の表裏判定工程を説明するための図である。
図83および図84は、それぞれ、チップ部品1001および参考例に係るチップ部品1010が吸着ノズル76に吸着されている状態を示している。なお、参考例に係るチップ部品1010とは、ここでは第1および第2接続電極3,4の各表面に凸部96が形成されていないチップ部品のことを言う。
図83に示すように、チップ部品1001は、吸着ノズル76により吸着された状態で、自動実装機80によって、チップ部品1001の表裏が部品認識カメラ14によって判定される部品検出位置Pまで搬送される。このとき、吸着ノズル76は、裏面2Bの長手方向における略中央部分に吸着する。前述したように、第1および第2接続電極3,4は、チップ部品1001の片面(素子形成面2A)および側面2C〜2Eにおける素子形成面2A側の端部だけに設けられていることから、チップ部品1001において裏面2Bは、電極(凹凸)がない平坦面となる。よって、吸着ノズル76をチップ部品1001に吸着して移動させる場合に、平坦な裏面2Bに吸着ノズル76を吸着させることができる。換言すれば、平坦な裏面2Bであれば、吸着ノズル76が吸着できる部分のマージンを増やすことができる。これによって、吸着ノズル76をチップ部品1001に確実に吸着させ、チップ部品1001を途中で吸着ノズル76から脱落させることなく確実に部品認識カメラ14による部品検出位置P、および実装基板9上まで搬送できる。
図83に示すように、チップ部品1001が部品検出位置Pに到達すると、部品認識カメラ14の周囲に設置された光源15(たとえば複数のLEDを備えた光照射機)からチップ部品1001の第1および第2接続電極3,4が形成された面(素子形成面2A)に光が斜め方向に照射される。部品認識カメラ14は、当該チップ部品1001の第1および第2接続電極3,4、ならびに第1および第2接続電極3,4が形成されていない部分によって反射された反射光を検出することにより、第1および第2接続電極3,4が形成された領域とそうでない領域との明暗を区別して、チップ部品1001の表裏を判定する。
チップ部品1001は、必ずしも水平な姿勢で吸着ノズル76により吸着されるわけではなく、時には傾いた姿勢で吸着ノズル76により吸着される場合がある。
ここで、図84に示すように、参考例に係るチップ部品1010の場合では、傾いた姿勢の状態で光源15から素子形成面2Aに光が照射されると(図84の入射光λ3参照)、第1および第2接続電極3,4によって部品認識カメラ14が配置された領域外に向けて反射(全反射:図84の反射光λ4参照)され、部品認識カメラ14によって検出されない場合がある。このような場合、部品認識カメラ14による映像情報では、参考例に係るチップ部品1010の第1および第2接続電極3,4の一部または全部が暗く写ることになる。そのため、自動実装機80は、第1および第2接続電極3,4が形成された領域を第1および第2接続電極3,4が形成されていない領域であると誤認識し、参考例に係るチップ部品1010を実装基板9への搬送するのを停止させる。したがって、参考例に係るチップ部品1010の場合では、このような誤認識の発生が円滑なチップ部品の実装の妨げとなっている。
これに対して、チップ部品1001では、図83に示すように、チップ部品1001の最表面に形成された第1および第2接続電極3,4の表面にそれぞれ複数の凸部96が形成されている。そのため、たとえチップ部品1001が傾いた姿勢で吸着されていても、光源15から第1および第2接続電極3,4に照射された光(図83の入射光λ1参照)は、第1および第2接続電極3,4の凸部96によって乱反射される(図83の反射光λ2参照)。第1および第2接続電極3,4では、このような凸部96が複数形成されているため、たとえ、チップ部品1001が前述の図84のように傾いた姿勢で吸着ノズル76により吸着されていても、光源15からの入射光λ1をあらゆる方向に反射させることができる。そのため、部品検出位置Pに対して部品認識カメラ14がどのように配置されていても、当該部品認識カメラ14により第1および第2接続電極3,4(チップ部品1001)を良好に検出できる。これにより、自動実装機80は、チップ部品1001の仕様による誤認識を軽減できるので、チップ部品1001の実装基板9に対する実装を円滑に行うことができる。
しかも、チップ部品1001の第1および第2接続電極3,4に凸部96を形成するという加工で済むので、仕様の異なるチップ部品に適用できる。そのため、チップ部品の仕様ごとに、部品認識カメラ14の周囲に配置する光源15の条件(仕様)を変更する必要はない。
このような工程を経たチップ部品1001は、その後、図85に示すように実装基板9に実装される。
図85は、チップ部品1001が実装基板9に実装された状態の回路アセンブリ100をチップ部品1001の長手方向に沿って切断したときの模式的な断面図である。図86は、実装基板9に実装された状態のチップ部品1001を素子形成面2A側から見た模式的な平面図である。
図85に示すように、チップ部品1001は、実装基板9に実装される。この状態におけるチップ部品1001および実装基板9は、回路アセンブリ100を構成している。図85における実装基板9の上面は、実装面9Aである。実装面9Aには、実装基板9の内部回路(図示せず)に接続された一対(2つ)のランド88が形成されている。各ランド88は、たとえば、Cuからなる。各ランド88の表面には、はんだ13が当該表面から突出するように設けられている。
自動実装機80は、表裏判定工程の後、チップ部品1001を吸着した状態で吸着ノズル76を実装基板9まで移動させる。このとき、チップ部品1001の素子形成面2Aと実装基板9の実装面9Aとが互いに対向する。この状態で、吸着ノズル76を移動させて実装基板9に押し付け、チップ部品1001において、第1接続電極3を一方のランド88のはんだ13に接触させ、第2接続電極4を他方のランド88のはんだ13に接触させる。次に、はんだ13を加熱すると、はんだ13が溶融する。その後、はんだ13が冷却されて固まると、第1接続電極3と当該一方のランド88とがはんだ13を介して接合し、第2接続電極4と当該他方のランド88とがはんだ13を介して接合する。つまり、2つのランド88のそれぞれが、第1および第2接続電極3,4において対応する電極にはんだ接合される。これにより、実装基板9へのチップ部品1001の実装(フリップチップ接続)が完了して、回路アセンブリ100が完成する。このとき、チップ部品1001の外部接続電極として機能する第1および第2接続電極3,4の最表面には、Au層35(金メッキ)が形成されている。そのため、チップ部品1001を実装基板9に実装する際に、優れたはんだ濡れ性と、高い信頼性とを達成できる。
完成状態の回路アセンブリ100では、チップ部品1001の素子形成面2Aと実装基板9の実装面9Aとが、隙間を隔てて対向しつつ、平行に延びている(図86も参照)。当該隙間の寸法は、第1接続電極3または第2接続電極4において素子形成面2Aから突き出た部分の厚みとはんだ13の厚さとの合計に相当する。
図85に示すように、断面視においては、たとえば、第1および第2接続電極3,4は、素子形成面2A上の表面部分と側面2C,2D上の側面部分とが一体的になってL字状に形成されている。そのため、図86に示すように、実装面9A(素子形成面2A)の法線方向(これらの面に直交する方向)から回路アセンブリ100(厳密には、チップ部品1001と実装基板9との接合部分)を見てみると、第1接続電極3と一方のランド88とを接合するはんだ13は、第1接続電極3の表面部分だけでなく、側面部分にも吸着している。同様に、第2接続電極4と他方のランド88とを接合するはんだ13も、第2接続電極4の表面部分だけでなく、側面部分にも吸着している。
このように、チップ部品1001では、第1接続電極3が基板2の三方の側面2C,2E,2Fを一体的に覆うように形成され、第2接続電極4が基板2の三方の側面2D,2E,2Fを一体的に覆うように形成されている。すなわち、基板2の素子形成面2Aに加えて側面2C〜2Eにも電極が形成されているので、チップ部品1001を実装基板9にはんだ付けする際の接着面積を拡大できる。その結果、第1および第2接続電極3,4に対するはんだ13の吸着量を増やすことができるので、接着強度を向上させることができる。
また、図86に示すように、はんだ13が基板2の素子形成面2Aから側面2C〜2Eに回り込むように吸着する。したがって実装状態において、第1接続電極3を三方の側面2C,2E,2Fではんだ13によって保持し、第2接続電極4を三方の側面2D,2E,2Fではんだ13によって保持することによって、矩形状のチップ部品1001の全ての側面2C〜2Eをはんだ13で固定できる。これにより、チップ部品1001の実装形状を安定化させることができる。
以上のように、第1参考例によれば、チップ部品1001の表裏を良好に判定でき、かつ円滑に実装基板9に実装できるチップ部品1001およびその製造方法を提供できる。また、チップ部品1001を備えた回路アセンブリ100を提供できる。
<キャパシタ>
図87は、第2参考例に係るチップ部品1101の平面図であり、第1接続電極、第2接続電極および回路素子の配置関係ならびに素子の平面視の構成を示す図である。図88は、図87の切断面線LXXXVIII−LXXXVIIIから見た断面図である。図89Aは、図87の切断面線LXXXIXa−LXXXIXaから見た断面図である。図89Bは、図87の切断面線LXXXIXb−LXXXIXbから見た断面図である。図90は、チップ部品1101の一部の構成を分離して示す分解斜視図である。
第2参考例に係るチップ部品1101が、前述の第1参考例に係るチップ部品1001と異なる点は、素子領域5に形成される回路素子として、抵抗56に代えてキャパシタ要素C1〜C9が形成されている点である。その他の構成は、前述の第1参考例に係るチップ部品1001の構成と同等である。図87〜図90において、前述の図1〜図86に示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して示している。
図87を参照して、基板2の素子形成面2Aには、素子領域5内に、複数のキャパシタ要素C1〜C9が形成されている。複数のキャパシタ要素C1〜C9は、回路素子(ここでは、キャパシタ)を構成する複数の素子要素であり、第1および第2接続電極3,4の間に接続されている。詳しくは、複数のキャパシタ要素C1〜C9は、複数のヒューズユニット107(前述したヒューズFに相当する)を介してそれぞれ第2接続電極4に対して切り離し可能となるように電気的に接続されている。
図88に示されているように、基板2の素子形成面2Aには絶縁膜20が形成されていて、絶縁膜20の表面に下部電極膜111が形成されている。下部電極膜111は、素子領域5のほぼ全域にわたっている。さらに、下部電極膜111は、第1接続電極3の直下の領域にまで延びて形成されている。
より具体的には、下部電極膜111は、素子領域5においてキャパシタ要素C1〜C9の共通の下部電極として機能するキャパシタ電極領域111Aと、第1接続電極3の直下に配置される外部電極引き出しのためのパッド領域111Bとを有している。キャパシタ電極領域111Aが素子領域5に位置していて、パッド領域111Bが第1接続電極3の直下に位置して第1接続電極3に接触している。
図89Aに示されているように、パッド領域111B上には、前述の第1参考例において述べた構成と同様の構成で、樹脂膜24およびパッシベーション膜23を含むパターンPTが形成されている(図70A〜図71参照)。したがって、第2参考例における第1接続電極3の表面には、前述の第1参考例と同様の凸部96と平坦部97とが形成されている。
図88を参照して、素子領域5において下部電極膜111(キャパシタ電極領域111A)を覆って接するように容量膜(誘電体膜)112が形成されている。容量膜112は、キャパシタ電極領域111A(素子領域5)の全域にわたって形成されている。容量膜112は、本参考例では、さらに素子領域5外の絶縁膜20を覆っている。
容量膜112の上には、上部電極膜113が形成されている。上部電極膜113は、素子領域5に位置するキャパシタ電極領域113Aと、第2接続電極4の直下に位置して第2接続電極4に接触するパッド領域113Bと、キャパシタ電極領域113Aとパッド領域113Bとの間に配置されたヒューズ領域113Cとを有している。
図89Bに示されているように、パッド領域113B上には、前述の第1参考例において述べた構成と同様の構成で、樹脂膜24およびパッシベーション膜23を含むパターンPTが形成されている(図70A〜図71参照)。したがって、第2参考例における第2接続電極4の表面には、前述の第1参考例と同様の凸部96と平坦部97とが形成されている。
キャパシタ電極領域113Aにおいて、上部電極膜113は、複数の電極膜部分(上部電極膜部分)131〜139に分割(分離)されている。本参考例では、各電極膜部分131〜139は、いずれも矩形形状に形成されていて、ヒューズ領域113Cから第1接続電極3に向かって帯状に延びている。複数の電極膜部分131〜139は、複数種類の対向面積で、容量膜112を挟んで(容量膜112に接しつつ)下部電極膜111に対向している。より具体的には、電極膜部分131〜139の下部電極膜111に対する対向面積は、1:2:4:8:16:32:64:128:128となるように定められていてもよい。すなわち、複数の電極膜部分131〜139は、対向面積の異なる複数の電極膜部分を含み、より詳細には、公比が2の等比数列をなすように設定された対向面積を有する複数の電極膜部分131〜138(または131〜137,139)を含む。これによって、各電極膜部分131〜139と容量膜112を挟んで対向する下部電極膜111とによってそれぞれ構成される複数のキャパシタ要素C1〜C9は、互いに異なる容量値を有する複数のキャパシタ要素を含む。電極膜部分131〜139の対向面積の比が前述の通りである場合、キャパシタ要素C1〜C9の容量値の比は、当該対向面積の比と等しく、1:2:4:8:16:32:64:128:128となる。すなわち、複数のキャパシタ要素C1〜C9は、公比が2の等比数列をなすように容量値が設定された複数のキャパシタ要素C1〜C8(またはC1〜C7,C9)を含むことになる。
本参考例では、電極膜部分131〜135は、幅が等しく、長さの比を1:2:4:8:16に設定した帯状に形成されている。また、電極膜部分135,136,137,138,139は、長さが等しく、幅の比を1:2:4:8:8に設定した帯状に形成されている。電極膜部分135〜139は、素子領域5の第2接続電極4側の端縁から第1接続電極3側の端縁までの範囲に渡って延びて形成されており、電極膜部分131〜134は、それよりも短く形成されている。
パッド領域113Bは、第2接続電極4とほぼ相似形に形成されており、ほぼ矩形の平面形状を有している。図88に示すように、パッド領域113Bにおける上部電極膜113は、第2接続電極4に接している。
ヒューズ領域113Cは、基板2上において、パッド領域113Bの一つの長辺(基板2の周縁に対して内方側の長辺)に沿って配置されている。ヒューズ領域113Cは、パッド領域113Bの前記一つの長辺に沿って配列された複数のヒューズユニット107を含む。
ヒューズユニット107は、上部電極膜113のパッド領域113Bと同じ材料で一体的に形成されている。複数の電極膜部分131〜139は、1つまたは複数個のヒューズユニット107と一体的に形成されていて、それらのヒューズユニット107を介してパッド領域113Bに接続され、このパッド領域113Bを介して第2接続電極4に電気的に接続されている。図87に示すように、面積の比較的小さな電極膜部分131〜136は、一つのヒューズユニット107によってパッド領域113Bに接続されており、面積の比較的大きな電極膜部分137〜139は複数個のヒューズユニット107を介してパッド領域113Bに接続されている。全てのヒューズユニット107が用いられる必要はなく、本参考例では、一部のヒューズユニット107は未使用である。
ヒューズユニット107は、パッド領域113Bとの接続のための第1幅広部107Aと、電極膜部分131〜139との接続のための第2幅広部107Bと、第1および第2幅広部107A,7Bの間を接続する幅狭部107Cとを含む。幅狭部107Cは、レーザ光によって切断(溶断)できるように構成されている。それによって、電極膜部分131〜139のうち不要な電極膜部分を、ヒューズユニット107の切断によって第1および第2接続電極3,4から電気的に切り離すことができる。
図87および図90では図示を省略したが、図88に表れている通り、上部電極膜113の表面を含むチップ部品1101の表面は、前述したパッシベーション膜23によって覆われている。パッシベーション膜23は、たとえば窒化膜からなっていて、チップ部品1101の上面のみならず、基板2の側面2C〜2Eまで延びて、側面2C〜2Eの全域をも覆うように形成されている。側面2C〜2Eにおいては、基板2と第1および第2接続電極3,4との間に介在されている。さらに、パッシベーション膜23の上には、前述した樹脂膜24が形成されている。樹脂膜24は、素子形成面2Aを覆っている。
パッシベーション膜23および樹脂膜24は、チップ部品1101の表面を保護する保護膜である。これらには、第1および第2接続電極3,4に対応する領域に、前述した切欠部25がそれぞれ形成されている。切欠部25は、パッシベーション膜23および樹脂膜24を貫通している。さらに、本参考例では、第1接続電極3に対応した切欠部25は、容量膜112をも貫通している。
切欠部25には、第1および第2接続電極3,4がそれぞれ埋め込まれている。これにより、第1接続電極3は下部電極膜111のパッド領域111Bに接合しており、第2接続電極4は上部電極膜113のパッド領域113Bに接合している。第1および第2接続電極3,4は、樹脂膜24の表面から突出すると共に、樹脂膜24の表面に沿って基板2の内方(素子領域5側)へ引き出された引き出し部27を有している。これにより、実装基板に対してチップ部品1101をフリップチップ接合できる。
図91は、チップ部品1101の内部の電気的構成を示す回路図である。第1接続電極3と第2接続電極4との間に複数のキャパシタ要素C1〜C9が並列に接続されている。各キャパシタ要素C1〜C9と第2接続電極4との間には、一つまたは複数のヒューズユニット107でそれぞれ構成されたヒューズF1〜F9が直列に介装されている。
ヒューズF1〜F9が全て接続されているときは、チップ部品1101の容量値は、キャパシタ要素C1〜C9の容量値の総和に等しい。複数のヒューズF1〜F9から選択した1つまたは2つ以上のヒューズを切断すると、当該切断されたヒューズに対応するキャパシタ要素が切り離され、当該切り離されたキャパシタ要素の容量値だけチップ部品1101の容量値が減少する。
そこで、パッド領域111B,113Bの間の容量値(キャパシタ要素C1〜C9の総容量値)を測定し、その後に所望の容量値に応じてヒューズF1〜F9から適切に選択した一つまたは複数のヒューズをレーザ光で溶断すれば、所望の容量値への合わせ込み(レーザトリミング)を行うことができる。とくに、キャパシタ要素C1〜C8の容量値が、公比2の等比数列をなすように設定されていれば、最小の容量値(当該等比数列の初項の値)であるキャパシタ要素C1の容量値に対応する精度で目標の容量値へと合わせ込む微調整が可能である。
たとえば、キャパシタ要素C1〜C9の容量値は次のように定められていてもよい。
C1=0.03125pF
C2=0.0625pF
C3=0.125pF
C4=0.25pF
C5=0.5pF
C6=1pF
C7=2pF
C8=4pF
C9=4pF
この場合、0.03125pFの最小合わせ込み精度でチップ部品1101の容量を微調整できる。また、ヒューズF1〜F9から切断すべきヒューズを適切に選択することで、10pF〜18pFの間の任意の容量値のチップ部品1101を提供できる。
図92は、図87に示すチップ部品1101の製造工程の一例を説明するためのフローチャートである。
このようなチップ部品1101の製造工程は、前述の第1参考例における抵抗56を形成した後のチップ部品1001の製造工程と同じである。つまり、このようなチップ部品1101は、前述の第1参考例における抵抗56の形成工程に代えて、キャパシタ要素C1〜C9を形成する工程を行うことにより得ることができる。以下、前述の第1参考例の製造工程と異なる点について詳説する。
すなわち、チップ部品1101においてキャパシタ要素C1〜C9やヒューズユニット107を形成する場合には、まず、前述した基板30(基板2)の表面に、熱酸化法および/またはCVD法によって、絶縁膜20が形成される(ステップS111)。次に、たとえばスパッタ法によって、アルミニウム膜からなる下部電極膜111が絶縁膜20の表面全域に形成される(ステップS112)。次に、その下部電極膜の表面に、下部電極膜111の最終形状に対応したレジストパターンが、フォトリソグラフィによって形成される(ステップS113)。レジストパターンをマスクとして、下部電極膜がエッチングされることにより、図87等に示したパターンの下部電極膜111が得られる(ステップS114)。下部電極膜111のエッチングは、たとえば、反応性イオンエッチングによって行うことができる。
次に、たとえばプラズマCVD法によって、窒化シリコン膜等からなる容量膜112が、下部電極膜111上に形成される(ステップS115)。下部電極膜111が形成されていない領域では、絶縁膜20の表面に容量膜112が形成されることになる。次に、その容量膜112の上に、上部電極膜113が形成される(ステップS116)。上部電極膜113は、たとえばアルミニウム膜からなり、スパッタ法によって形成できる。
次に、上部電極膜113の表面に上部電極膜113の最終形状に対応したレジストパターンがフォトリソグラフィによって形成される(ステップS117)。レジストパターンをマスクとしたエッチングにより、上部電極膜113が、最終形状(図87等参照)にパターニングされる(ステップS118)。それによって、上部電極膜113は、キャパシタ電極領域113Aに複数の電極膜部分131〜139に分割された部分を有し、ヒューズ領域113Cに複数のヒューズユニット107を有し、それらのヒューズユニット107に接続されたパッド領域113Bを有するパターンに整形される。上部電極膜113のパターニングのためのエッチングは、燐酸等のエッチング液を用いたウェットエッチングによって行ってもよいし、反応性イオンエッチングによって行ってもよい。以上によって、チップ部品1101におけるキャパシタ要素C1〜C9やヒューズユニット107が形成される。
次に、前述の図78C〜図78Dと同様の工程で、上部電極膜113のパッド領域111B上および下部電極膜111のパッド領域113B上にパターンPTが形成された後、各パッド領域111B,113Bにプローブ70aを押し当てて、複数のキャパシタ要素C1〜C9の総容量値が測定される(ステップS119)。このとき、パッド領域111B、およびパッド領域113Bには第1開口22Bが形成されている。これにより、プローブ70aの接触領域を良好に確保できるので、良好に複数のキャパシタ要素C1〜C9の総容量値の測定を行うことができる。この測定された総容量値に基づき、目的とするチップ部品1101の容量値に応じて、切り離すべきキャパシタ要素C1〜C9、すなわち切断すべきヒューズFが選択される(ステップS120)。
すなわち、前記総容量値の測定結果に応じて選択されたヒューズを構成するヒューズユニット107にレーザ光を当てて、そのヒューズユニット107の幅狭部107C(図87参照)が溶断される(ステップS121)。これにより、対応するキャパシタ要素がパッド領域113Bから切り離される。ヒューズユニット107にレーザ光を当てるとき、カバー膜である絶縁膜45の働きによって、ヒューズユニット107の近傍にレーザ光のエネルギーが蓄積され、それによって、ヒューズユニット107が溶断する。これにより、チップ部品1101の容量値を確実に目的の容量値とすることができる。
その後、図78E〜図78Iの工程に倣って、チップ部品1001の場合と同じ工程を実行すればよい。
以上のように、素子領域5にキャパシタを形成する場合であっても、前述の第1参考例において述べた効果と同様の効果を奏することができる。
図93は、第3参考例に係るチップ部品1102の平面図であり、第1接続電極、第2接続電極および回路素子の配置関係ならびに素子の平面視の構成を示す図である。図93において、前述の図1〜図92に示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して示している。
前述の第2参考例では、上部電極膜113のキャパシタ電極領域113Aがそれぞれ帯状の電極膜部分131〜139に分割されている。この場合、図87に示すように、素子領域5内にキャパシタ要素として利用することができない領域が生じてしまい、小さな基板2上の限られた領域を有効に活用することができない。
そこで、図93に示す参考例では、複数の電極膜部分131〜139がL字形の電極膜部分141〜149に分割されている。これによって、たとえば、図93の構成における電極膜部分149は、図87の構成の電極膜部分139の1.5倍の面積で下部電極膜111に対向できる。よって、図87の第2参考例において電極膜部分139に対応したキャパシタ要素C9が4pFの容量を有しているとすれば、本参考例における電極膜部分149を用いることで、キャパシタ要素C9は6pFの容量を有することができる。これにより、素子領域5内を有効に活用して、より広い範囲でチップ部品1102の容量値を設定することが可能となる。
チップ部品1102の製造工程は、前述の図92に示した工程と実質的に同様である。ただし、上部電極膜113のパターニング(ステップS117,S118)では、キャパシタ電極領域113Aが、図93に示す形状の複数の電極膜部分141〜149に分割される。
以上のように、第3参考例の構成によっても、前述の第1参考例において述べた効果と同様の効果を奏することができる。
図94は、第4参考例に係るチップ部品1103の平面図であり、第1接続電極、第2接続電極および回路素子の配置関係ならびに素子の平面視の構成を示す図である。図94において、前述の図1〜図93に示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して示している。
前述の第2参考例では、下部電極膜111が素子領域5のほぼ全域にわたる連続パターンからなるキャパシタ電極領域111Aを有し、上部電極膜113のキャパシタ電極領域113Aが複数の電極膜部分131〜139に分割されている(図87等参照)。
これに対して、第4参考例では、上部電極膜113のキャパシタ電極領域113Aおよびパッド領域113Bが素子領域5のほぼ全域にわたって連続する連続膜パターンに形成されている一方で、下部電極膜111のキャパシタ電極領域111Aが複数の電極膜部分151〜159に分割されている。電極膜部分151〜159は、第2参考例における電極膜部分131〜139と同様の形状および面積比に形成されてもよいし、第3参考例における電極膜部分141〜149と同様の形状および面積比に形成されてもよい。
本参考例では、電極膜部分151〜159のうちの少なくともいずれか(図94では電極膜部分159)は、キャパシタ電極領域111AにおいてL字状に形成されている例を示している。このようにして、電極膜部分151〜159と、容量膜112と、上部電極膜113とによって、複数のキャパシタ要素が構成されている。複数のキャパシタ要素の少なくとも一部は、容量値の異なる(たとえば等比数列をなすように各容量値が設定された)キャパシタ要素群を構成している。電極膜部分151〜159は、順に、キャパシタ要素C1〜C9を構成している。図94の電極膜部分159は、L字形に折れ曲っていて、素子領域5の全域に亘って形成されている。そのため、キャパシタ要素C9の容量値を、キャパシタ要素C8の容量値よりも大きく、たとえば2倍とすることができる。これにより、キャパシタ要素C8,9の容量値が同じであった第2参考例(図87参照)とは異なり、全てのキャパシタ要素C1〜C9の容量値が等比数列をなすように設定できる。
下部電極膜111は、さらに、キャパシタ電極領域111Aとパッド領域111Bとの間にヒューズ領域111Cを有している。ヒューズ領域111Cには、第2参考例のヒューズユニット107と同様の複数のヒューズユニット147がパッド領域111Bに沿って一列に配列されている。各電極膜部分151〜159は、一つまたは複数のヒューズユニット147を介してパッド領域111Bに接続されている。
このような構成によっても、電極膜部分151〜159が互いに異なる対向面積で上部電極膜113に対向しており、これらはヒューズユニット147を切断することによって個別に切り離すことができる。したがって、第2参考例の場合と同様の効果が得られる。とくに、複数の電極膜部分151〜159の少なくとも一部が公比2の等比数列をなすように設定した対向面積で上部電極膜113に対向するように形成しておくことで、第2参考例の場合と同様に、所要の容量値に高精度で合わせ込んだチップ部品を提供できる。
チップ部品1103の製造工程は、図92に示した工程と実質的に同様である。ただし、下部電極膜111のパターニング(ステップS112,S113)において、キャパシタ電極領域111Aが電極膜部分151〜159に分割され、かつヒューズ領域111Cに複数のヒューズユニット147が形成されることになる。また、上部電極膜113のパターニング(ステップS117,S118)では、複数の電極膜部分の形成は行われず、ヒューズユニットの形成も行われない。ただし、上部電極膜113は、平面視で各ヒューズユニット147に重ならないようにパターニングされる。さらに、レーザトリミング(ステップS121)においては、下部電極膜111に形成されたヒューズユニット147がレーザ光によって切断される。レーザトリミングの際、下部電極膜111は容量膜112によって覆われているので、容量膜112をレーザ光のエネルギーを蓄積するためのカバー膜として利用できる。したがって、レーザトリミングの直前のカバー膜としての絶縁膜45の形成工程は省かれてもよい。上部電極膜113が平面視で各ヒューズユニット147に重なっていないので、レーザトリミングによって上部電極膜113が切断されることはない。
以上のように、第4参考例の構成によっても、前述の第1参考例において述べた効果と同様の効果を奏することができる。
<ヒューズ>
図95は、第5参考例に係るチップ部品1201の平面図である。
第5参考例に係るチップ部品1201が、前述の第1参考例に係るチップ部品1001と異なる点は、素子領域5に形成される回路素子として、抵抗56に代えてヒューズ要素204が形成されている点である。その他の構成は、前述の第1参考例に係るチップ部品1001の構成と同等である。図95において、前述の図1〜図94に示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して示している。
ヒューズ要素204は、第1および第2接続電極3,4それぞれの下方に配置された一対のパッド領域209と、一対のパッド領域209間に配置された可溶体部210と、可溶体部210と各パッド領域209とを接続する一対の配線部211とを一体的に含む。本参考例では、ヒューズ要素204は、Al−Cu系合金からなるが、その他の金属材料からなっていてもよい。
各パッド領域209は、その全域が第1および第2接続電極3,4の内方領域に収まるように、平面視において第1および第2接続電極3,4よりも一回り小さい矩形状に形成されている。
可溶体部210は、基板2の長手方向に沿って延びるライン状に形成されており、その両端部に各配線部211が接続されている。本参考例では、可溶体部210は、基板2の長手方向に沿う直線状であるが、むろんS字状等の曲線状であってもよい。また、可溶体部210は、本参考例では、配線部211と略同じ幅で形成されているが、可溶体部210をより容易に溶断させる観点から、配線部211よりも幅狭に形成してもよい。
そして、可溶体部210の長手方向に直交する幅方向の両側方に、壁部としての一対のダミーメタル212が配置されている。一対のダミーメタル212は、ヒューズ要素204と同一の金属材料(本参考例ではAl−Cu系合金)からなる。また、一対のダミーメタル212は、ライン状の可溶体部210に沿って同じくライン状(直線状)に延びており、可溶体部210との間に側方の隙間213を隔てて配置されている。本参考例では、ライン状の可溶体部210および一対のダミーメタル212をいずれも基板2の長手方向に沿って形成することで、基板2の幅方向に沿って形成する場合に比べて、サイズが制限された基板2上の領域において比較的長い可溶体部210および一対のダミーメタル212を形成できる。これにより、ある程度長い距離に亘って側方の隙間213を形成できるので、可溶体部210の熱を蓄える領域を増やすことができる。
一対の配線部211は、基板2の幅方向において、可溶体部210に対して一方側およびその反対側に一つずつ配置されている。本参考例では、各配線部211は、可溶体部210の端部から基板2の長辺81に垂直に延びる部分と、当該長辺81に平行に延びる部分とを有する鉤形(L形)に形成されており、長辺81に平行な部分がパッド領域209に接続されている。
図96は、図95に係るチップ部品の切断面線XCVIa−XCVIa、切断面線XCVIb−XCVIbおよび切断面線XCVIc−XCVIcから見た断面図であって、切断面線XCVIa−XCVIaに係る断面図は可溶体部210およびダミーメタル212の構造を示し、切断面線XCVIb−XCVIbに係る断面図は配線部211の構造を示し、切断面線XCVIc−XCVIcに係る断面図はパッド領域209の構造を示している。図97は、図95に係るチップ部品の切断面線XCVII−XCVIIから見た断面図である。図98は、図95に係るチップ部品の切断面線XCVIII−XCVIIIから見た断面図である。
基板2の素子形成面2Aを含む表面には、絶縁膜20が形成されている。絶縁膜20上には、窒化膜215を介してヒューズ要素204が形成されている。窒化膜215は、窒化シリコン(SiN)からなり、たとえば、8000Å以下の厚さを有している。窒化膜215は、ヒューズ要素204の下方領域において、可溶体部210の下方から除去されるように、ヒューズ要素204の可溶体部210以外の部分(本参考例では、パッド領域209および配線部211)の下方領域に選択的に形成されている。
このように、可溶体部210以外の部分が窒化膜215からなる支持膜によって下側から選択的に支持されているので、可溶体部210は、その両端部に接続された部分(本参考例では、配線部211)によって基板2に対して浮いた状態で両持ち支持されている。これにより、可溶体部210は、絶縁膜20で覆われた基板2との間に下方の隙間216を隔てて配置されている。また、可溶体部210の側方のダミーメタル212も同様に、基板2との間に下方の隙間216を隔てて配置されている。ここで、図96のXCVIa−XCVIa切断面に示すように、可溶体部210とダミーメタル212との間の側方の隙間213は、後述する被覆酸化膜218の厚さを考慮して、0.6μm以下となっている。
本参考例では、ヒューズ要素204およびダミーメタル212は、その下面が下地酸化膜217で被覆され、さらにヒューズ要素204全体を被覆するように、被覆酸化膜218が形成されている。ヒューズ要素204を下地酸化膜217および被覆酸化膜218で完全に被覆することによって、可溶体部210をその周囲から確実に絶縁できる。
被覆酸化膜218は、基板2の素子形成面2Aの全域に亘って形成されており、図96に示すように、ヒューズ要素204およびダミーメタル212の形成領域以外の領域において、絶縁膜20に固定されている。ダミーメタル212は、被覆酸化膜218に被覆されることで、被覆酸化膜218の絶縁膜20に固定された部分によって基板2に対して浮いた状態で支持されている。
そして、可溶体部210およびダミーメタル212を覆うように、天井部の一例としての酸化膜219、窒化膜220および樹脂膜222の積層膜が形成されている。酸化膜219は、酸化シリコン(SiO2)からなり、たとえば、10000Å以下の厚さを有している。窒化膜220は、窒化シリコン(SiN)からなり、たとえば、11000Å〜13000Åの厚さを有している。樹脂膜222は、ポリイミドからなり、たとえば、20000Å〜100000Åの厚さを有している。
積層膜219,220,222は、可溶体部210およびダミーメタル212の上方においては、図96の切断面線XCVIa−XCVIaの切断面に示すように、可溶体部210を介してダミーメタル212の間に跨るように形成されている。これにより、可溶体部210とダミーメタル212との間に側方の隙間213は、その上方が積層膜219,220,222で塞がれている。また、積層膜219,220,222において酸化膜219は、側方の隙間213に対向する部分が選択的に除去されている。これにより、酸化膜219には、側方の隙間213と同一パターンの隙間223が形成されている。
積層膜219,220,222と被覆酸化膜218との間には、窒化膜224が介在している。窒化膜224は、可溶体部210およびダミーメタル212の上方領域から選択的に除去されている。これにより、積層膜219,220,222は、被覆酸化膜218で被覆された可溶体部210との間に上方の隙間225を隔てて配置されている。
第1および第2接続電極3,4は、図96の切断面線XCVIc−XCVIcの切断面に示すように、積層膜219,220,222、窒化膜224および被覆酸化膜218を貫通して、その下面がパッド領域209に接続されている。
図98に示すように、一対のパッド領域209上には、前述の第1参考例において述べた構成と同様の構成で、パターンPT(図98のクロスハッチング部参照)が形成されている(図70A〜図71参照)。第5参考例に係るパターンPTは、積層膜219,220,222、窒化膜224および被覆酸化膜218が積層された構成を有している。したがって、第5参考例における第1接続電極3(第2接続電極4)の表面には、前述の第1参考例と同様の凸部96と平坦部97とが形成されている。
以上、チップ部品1201によれば、図96のXCVIa−XCVIa切断面に示すように、可溶体部210の両側方さらには上方および下方の四方全体に隙間213,216,225が形成されている。そのため、可溶体部210で発生した熱をその周囲(隙間213,216,225)に効率よく蓄えることができる。したがって、チップ部品1201の第1および第2接続電極3,4間に過電流が流入したときには、ヒューズ要素204を可溶体部210で確実に溶断できる。
また、可溶体部210の四方全体を隙間213,216,225で取り囲むことによって、可溶体部210の移動や歪曲に対応可能なスペースを確保できる。
さらに、基板2として100Ω・cm以上の抵抗値を有する高抵抗シリコン基板を採用しているので、可溶体部210の溶断時に絶縁膜20が破壊されても、当該破壊箇所から露出する基板2を介してリーク電流が流れることを防止できる。
このようなチップ部品1201は、前述の第1参考例における抵抗56の形成工程に代えて、図99〜図105に示すヒューズ要素204を形成する工程を行うことにより得ることができる。以下、図99〜図105を参照して、前述の第1参考例の製造工程と異なる点について詳説する。
図99〜図105は、図95に示すチップ部品1201の製造工程の一部を工程順に説明するための断面図であって、図96と同じ切断面線XCVIa−XCVIa、切断面線XCVIb−XCVIbおよび切断面線XCVIc−XCVIcから見た断面図を示している。
チップ部品1201を製造するには、まず図99に示すように、絶縁膜20が形成される。次に、たとえばCVD法によって窒化シリコン(SiN)を絶縁膜20上に堆積することによって、犠牲層としての窒化膜215が形成される。窒化膜215の厚さは、後のエッチング工程(図102参照)においてサイドエッチングが可能な大きさに設定され、たとえば8000Å以下である。
次に、たとえばCVD法によってUSG(Un-doped Silicate Glass)を窒化膜215上に堆積することによって、下地酸化膜217が形成される。下地酸化膜217の厚さは、後の2回のエッチング工程(図102および図104参照)で消失しない大きさに設定され、たとえば7000Å〜9000Åである。ただし、下地酸化膜217を省略し、後述するヒューズ要素材料膜226を窒化膜215上に直接堆積させてもよい。
次に、たとえばスパッタ法によってAl−Cu系合金を下地酸化膜217上に堆積することによって、ヒューズ要素材料膜226が形成される。ヒューズ要素材料膜226の厚さは、たとえば4000Å〜6000Åである。
次に、図100に示すように、ヒューズ要素材料膜226上に、ヒューズ要素204およびダミーメタル212を形成すべき領域を選択的に覆うマスク(図示せず)が形成され、当該マスクを利用するドライエッチングによって、ヒューズ要素材料膜226が選択的に除去される。これにより、ヒューズ要素204(パッド領域209、可溶体部210および配線部211)およびダミーメタル212が同時に形成される。次に、ヒューズ要素204の形成に利用したマスクを利用するドライエッチングによって、ヒューズ要素204およびダミーメタル212の下方領域以外の下地酸化膜217および窒化膜215が選択的に除去される。
次に、図101に示すように、たとえばCVD法によってUSGを基板2上に堆積することによって、被覆酸化膜218が形成される。被覆酸化膜218は、隣り合うヒューズ要素204(可溶体部210)とダミーメタル212との間に側方の隙間213が形成されるように、その一方表面および他方表面がヒューズ要素204およびダミーメタル212の上面および側面に沿って形成される。このとき、被覆酸化膜218の厚さは、後の2回のエッチング工程(図102および図104参照)で消失しない大きさ、かつ後の窒化膜224の堆積工程(図103参照)において側方の隙間213が埋まらない大きさに設定される。本参考例では、側方の隙間213が0.6μm以下となるように、たとえば7000Å〜9000Åの厚さに設定される。
次に、図102に示すように、たとえば酸化シリコン(SiO2)に比べて窒化シリコン(SiN)に対して相対的に速いエッチングレートを有するエッチングガスまたはエッチング液を用いて、ヒューズ要素204およびダミーメタル212の下方領域の窒化膜215が選択的に除去される。本参考例では、側方の隙間213にある被覆酸化膜218が除去された後、フッ素系ガスを利用するドライエッチングによって、側方の隙間213の底部から当該窒化膜215が等方的にエッチング(サイドエッチング)されて除去される。これにより、ヒューズ要素204およびダミーメタル212の下方領域に下方の隙間216が形成され、ヒューズ要素204およびダミーメタル212が基板2に対して浮いた状態となる。
次に、図103に示すように、たとえばCVD法によって窒化シリコン(SiN)およびUSGを基板2上に順に堆積することによって、犠牲層としての窒化膜224および酸化膜219が形成される。この際、側方の隙間213が0.6μm以下であるので、窒化膜224および酸化膜219は、可溶体部210を覆うように一対のダミーメタル212の間に跨って形成される。
次に、図104に示すように、たとえば酸化シリコン(SiO2)に比べて窒化シリコン(SiN)に対して相対的に速いエッチングレートを有するエッチングガスまたはエッチング液を用いて、ヒューズ要素204およびダミーメタル212の上方領域の窒化膜224が選択的に除去される。本参考例では、酸化膜219に側方の隙間213と同一パターンの隙間223が形成された後、フッ素系ガスを利用するドライエッチングによって、当該隙間223の底部から当該窒化膜224が等方的にエッチング(サイドエッチング)されて除去される。これにより、ヒューズ要素204およびダミーメタル212の上方領域に上方の隙間225が形成される。
次に、図105に示すように、たとえばCVD法によって窒化シリコン(SiN)を酸化膜219上に堆積することによって、窒化膜220が形成される。次に、ポリイミドを窒化膜220上に塗布し、当該ポリイミドをキュアすることによって、樹脂膜222が形成される。次に、ヒューズ要素204のパッド領域209上の積層膜218,224,219,220,222をエッチングによって選択的に除去することによって、積層膜219,220,222、窒化膜224および被覆酸化膜218を含むパターンPT(図98のクロスハッチング部参照)が形成されたパッド領域209が形成される。
その後は、積層膜219,220,222、窒化膜224および被覆酸化膜218からなるパターンPTから露出するパッド領域209にめっきすることによって、表面に複数の凸部96と、平坦部97とを有する第1および第2接続電極3,4が同時に形成される。以上の工程を経て、チップ部品1201が得られる。
以上、チップ部品1201の製造方法によれば、窒化膜215と、下地酸化膜217および被覆酸化膜218とのエッチングレートの差を利用して、ヒューズ要素204およびダミーメタル212の下方領域の窒化膜215を等方性エッチングによって簡単にエッチングできる(図102参照)。同様のエッチングレートの差を利用して、ヒューズ要素204およびダミーメタル212の上方領域の窒化膜224を簡単にエッチングできる(図104参照)。さらに、ヒューズ要素204およびダミーメタル212が同一の材料であるAl−Cu系合金からなるので、図100に示すように、これらを同一工程で形成できる。
したがって、過電流が流入したときにヒューズ要素204を可溶体部210で確実に溶断できるチップ部品1201を効率よく製造できる。
以上のように、素子領域5にヒューズ要素204を形成する場合であっても、前述の第1参考例において述べた効果と同様の効果を奏することができる。
<ダイオード>
図106は、第6参考例に係るチップ部品1301の平面図である。図107は、図106の切断面線CVII−CVIIから見た断面図である。図108は、図106の切断面線CVIII−CVIIIから見た断面図である。図109は、図106の切断面線CIX−CIXから見た断面図である。
第6参考例に係るチップ部品1301が、前述の第1参考例に係るチップ部品1001と異なる点は、素子領域5に形成される回路素子として、抵抗56に代えてダイオードセルD301〜D304が形成されている点である。その他の構成は、前述の第1参考例に係るチップ部品1001の構成と同等である。図106〜図109において、前述の図1〜図105に示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して示している。
チップ部品1301は、基板2と、基板2に形成された複数のダイオードセルD301〜D304と、基板2に形成された複数のダイオードセルD301〜D304と、これらの複数のダイオードセルD301〜D304を並列に接続するカソード電極303およびアノード電極304とを含む。カソード電極303には、前述の第1参考例の場合と同様の構成で第1接続電極3が接続され、アノード電極304には、前述の第1参考例の場合と同様の構成で第2接続電極4が接続されている。
基板2は、本参考例では、p+型の半導体基板(たとえばシリコン基板)である。基板2の両端部に、カソード電極303との接続のためのカソードパッド305と、アノード電極304との接続のためのアノードパッド306とが配置されている。これらのパッド305,306の間(すなわち、素子領域5)に、ダイオードセル領域307が設けられている。
ダイオードセル領域307は、本参考例では、矩形に形成されている。ダイオードセル領域307内に、複数のダイオードセルD301〜D304が配置されている。複数のダイオードセルD301〜D304は、本参考例では4個設けられており、基板2の長手方向および短手方向に沿って、マトリックス状に等間隔で二次元配列されている。
図110は、図106に示すチップ部品1301において、カソード電極303およびアノード電極304ならびにその上に形成された構成を取り除いて、基板2の表面の構造を示す平面図である。
ダイオードセルD301〜D304の各領域内には、それぞれ、基板2の表層領域にn+型領域310が形成されている。n+型領域310は、個々のダイオードセル毎に分離されている。これにより、ダイオードセルD301〜D304は、ダイオードセル毎に分離されたpn接合領域311をそれぞれ有している。
複数のダイオードセルD301〜D304は、本参考例では等しい大きさおよび等しい形状、具体的には矩形形状に形成されており、各ダイオードセルの矩形領域内に、多角形形状のn+型領域310が形成されている。本参考例では、n+型領域310は、正八角形に形成されており、ダイオードセルD301〜D304の矩形領域を形成する4辺にそれぞれ沿う4つの辺と、ダイオードセルD301〜D304の矩形領域の4つの角部にそれぞれ対向する別の4つの辺とを有している。基板2の表層領域には、さらに、n+型領域310から所定の間隔を空けて分離された状態でp+型領域312が形成されている。p+型領域312は、ダイオードセル領域307内において、カソード電極303が配置される領域を回避したパターンに形成されている。
図107〜図109に示されているように、基板2の表面には、絶縁膜20が形成されている。絶縁膜20には、ダイオードセルD301〜D304のそれぞれのn+型領域310の表面を露出させるコンタクト孔316と、p+型領域312を露出させるコンタクト孔317とが形成されている。絶縁膜20の表面には、カソード電極303およびアノード電極304が形成されている。カソード電極303は、絶縁膜20の表面からコンタクト孔316内に入り込み、コンタクト孔316内でダイオードセルD301〜D304の各n+型領域310との間でオーミック接触を形成している。アノード電極304は、絶縁膜20の表面からコンタクト孔317の内方へと延びており、コンタクト孔317内でp+型領域312との間でオーミック接触を形成している。カソード電極303およびアノード電極304は、本参考例では、同じ材料からなる電極膜からなっている。
電極膜としては、Ti膜を下層としAl膜を上層としたTi/Al積層膜や、AlCu膜を適用できる。その他、AlSi膜を電極膜として用いることもできる。AlSi膜を用いると、基板2の表面にp+型領域312を設けることなく、アノード電極304と基板2との間でオーミック接触を形成することができる。したがって、p+型領域312を形成するための工程を省くことができる。
カソード電極303およびアノード電極304の間は、スリット318によって分離されている。本参考例では、スリット318は、ダイオードセルD301〜D304のn+型領域310を縁取るように、n+型領域310の平面形状と整合する枠形状(すなわち正八角形枠状)に形成されている。それに応じて、カソード電極303は、n+型領域310の形状に整合する平面形状(すなわち正八角形形状)のセル接合部303aを各ダイオードセルD301〜D304の領域に有し、当該セル接合部303aの間が直線状の架橋部303bによって連絡されており、さらに、直線状の別の架橋部303cによってカソードパッド305の直下に形成された大きな矩形形状の外部接続部303dへと接続されている。一方、アノード電極304は、ほぼ一定の幅のスリット318に対応した間隔を開けて、カソード電極303を取り囲むように、絶縁膜20の表面に形成されていて、アノードパッド306の直下の矩形領域へ延びて一体的に形成されている。
カソード電極303およびアノード電極304は、たとえば窒化膜からなるパッシベーション膜320(図106では図示省略)によって覆われており、さらにパッシベーション膜320の上にはポリイミド等の樹脂膜321が形成されている。パッシベーション膜320および樹脂膜321には、第1および第2接続電極3,4の側面部分に対向する周縁部を露出させる切欠部322,323が形成されている。そして、前述の第1および第2接続電極3,4が対応するパッド305,306に接続されている。
各ダイオードセルD301〜D304では、基板2とn+型領域310との間にpn接合領域311が形成されており、したがって、それぞれpn接合ダイオードが形成されている。そして、複数のダイオードセルD301〜D304のn+型領域310がカソード電極303に共通に接続され、ダイオードセルD301〜D304の共通のp型(p+型)領域である基板2がp+型領域312を介してアノード電極304に共通に接続されている。これによって、基板2上に形成された複数のダイオードセルD301〜D304は、すべて並列に接続されている。
図109を参照すれば、カソードパッド305の表面には、前述の第1参考例と同様の構成で、パターンPTが形成されている(図70A〜図71参照)。本参考例に係るパターンPTは、パッシベーション膜320および樹脂膜321を含む。これにより、第6参考例における第1接続電極3の表面には、前述の第1参考例と同様の凸部96と平坦部97とが形成されている。なお、第2接続電極4の構成は、前述の第1接続電極3の構成と同様であるので、図示および説明は省略する。
図111は、チップ部品1301の内部の電気的構造を示す電気回路図である。
ダイオードセルD301〜D304によってそれぞれ構成されるpn接合ダイオードは、カソード側がカソード電極303(第1接続電極3)によって共通接続され、アノード側がアノード電極304(第2接続電極4)によって共通接続されることによって、全て並列に接続されており、これによって、全体として1つのダイオードとして機能する。
本参考例の構成によれば、チップ部品1301は複数のダイオードセルD301〜D304を有しており、各ダイオードセルD301〜D304がpn接合領域311を有している。pn接合領域311は、ダイオードセルD301〜D304毎に分離されている。そのため、チップ部品1301は、pn接合領域311の周囲長、すなわち、基板2におけるn+型領域310の周囲長の合計(総延長)が長くなる。これにより、pn接合領域311の近傍における電界の集中を回避し、その分散を図ることができるので、ESD耐量の向上を図ることができる。すなわち、チップ部品1301を小型に形成する場合であっても、pn接合領域311の総周囲長を大きくできるから、チップ部品1301の小型化とESD耐量の確保とを両立できる。
図112は、同面積の半導体基板上に形成するダイオードセルの大きさおよび/またはダイオードセルの個数を様々に設定して、pn接合領域の周囲長の合計(総延長)を異ならせた複数のサンプルについてESD耐量を測定した実験結果を示す。この実験結果から、pn接合領域の周囲長が長くなるほど、ESD耐量が大きくなることが分かる。4個以上のダイオードセルを半導体基板上に形成した場合に、8キロボルトを超えるESD耐量を実現することができた。
このようなチップ部品1301は、前述の第1参考例における抵抗56の形成工程に代えて、ダイオードセルD301〜D304を形成する工程を行うことにより得ることができる。以下、前述の第1参考例の製造工程と異なる点について詳説する。
すなわち、まず、基板2(p+型の半導体基板)の表面に、絶縁膜20が形成され、その上に、レジストマスクを形成する。レジストマスクを介するn型不純物(たとえば燐)のイオン注入または拡散によって、n+型領域310が形成される。さらに、p+型領域312に整合する開口を有する別のレジストマスクが形成され、レジストマスクを介するp型不純物(たとえば砒素)のイオン注入または拡散によって、p+型領域312が形成される。レジストマスクを剥離し、必要に応じて絶縁膜20を厚膜化(たとえばCVDにより厚膜化)した後、コンタクト孔316,317に整合する開口を有するさらに別のレジストマスクが絶縁膜20の上に形成される。レジストマスクを介するエッチングによって、コンタクト孔316,317が形成される。
次いで、たとえばスパッタリングによって、カソード電極303およびアノード電極304を構成する電極膜が絶縁膜20上に形成される。そして、電極膜上に、スリット318に対応する開口パターンを有するレジスト膜が形成され、レジスト膜を介するエッチングによって、電極膜にスリット318が形成される。これにより、前記電極膜がカソード電極303およびアノード電極304に分離される。
次いで、レジスト膜を剥離した後、たとえばCVD法によって窒化膜等のパッシベーション膜320が形成され、さらにポリイミド等を塗布することにより樹脂膜321が形成される。そして、これらのパッシベーション膜320および樹脂膜321に対して、フォトリソグラフィを利用したエッチングを施すことにより、切欠部322,323が形成されるとともに、カソードパッド305およびアノードパッド306の表面に、前述の第1参考例と同様の構成でパッシベーション膜320および樹脂膜321を含むパターンPTが形成される。その後、前述の第1参考例で説明した工程と同様の工程を経て、第1および第2接続電極3,4を有するチップ部品1301が形成される。
図113は、第7参考例に係るチップ部品1329の断面図である。図113において、前述の図1〜図112に示された各部に対応する部分には同一参照符号を付して示している。なお、図113では、説明の便宜上、パターンPTを省略して示している。
チップ部品1329は、基板2の表面にカソード電極303が配置され、基板2の裏面にアノード電極328が配置されている。したがって、本参考例では、基板2の表面側(カソード電極303側)にアノードパッド306を設ける必要がないので、それに応じて基板2のサイズを縮小したり、ダイオードセルD301〜D304の個数を多くしたりできる。カソード電極303は、基板2の表面のほぼ全域を覆うように形成されていて、ダイオードセルD301〜D304の各n+型領域310との間でオーミック接触を形成している。アノード電極328は、基板2の裏面との間でオーミック接触を形成している。アノード電極328は、たとえば金からなっていてもよい。
図114は、第8参考例に係るチップ部品1331の平面図である。図115は、図114の切断面線CXV−CXVから見た断面図である。図116は、図114の切断面線CXVI−CXVIから見た断面図である。図114〜図116において、前述の図1〜図113に示された各部に対応する部分には同一参照符号を付して示している。
チップ部品1331は、基板2と、基板2上に形成されたカソード電極333およびアノード電極334と、カソード電極333およびアノード電極334の間に並列に接続された複数のダイオードセルD311〜D314とを有している。基板2は、平面視においてほぼ矩形に形成されており、その長手方向の両端部にカソードパッド335およびアノードパッド336がそれぞれ配置されている。これらのカソードパッド335およびアノードパッド336の間(すなわち素子領域5)に矩形形状のダイオードセル領域337が設定されている。ダイオードセル領域337内に、複数のダイオードセルD311〜D314が二次元配列されている。本参考例では、複数のダイオードセルD311〜D314は、基板2の長手方向および短手方向に沿ってマトリックス状に等間隔で配列されている。
ダイオードセルD311〜D314は、それぞれ矩形の領域からなり、その矩形の領域の内部に、平面視多角形形状(本参考例では正八角形形状)のショットキ接合領域341を有している。各ショットキ接合領域341に接触するように、ショットキメタル340が配置されている。すなわち、ショットキメタル340は、ショットキ接合領域341における基板2との間でショットキ接合を形成している。
基板2は、本参考例では、p型シリコン基板350と、その上にエピタキシャル成長させられたn型エピタキシャル層351とを有している。基板2には、図115に示すように、p型シリコン基板350の表面に形成されたn型不純物(たとえば砒素)を導入して形成されたn+型埋め込み層352が形成されていてもよい。ショットキ接合領域341は、n型エピタキシャル層351の表面に設定されており、n型エピタキシャル層351の表面にショットキメタル340が接合されることによって、ショットキ接合が形成されている。ショットキ接合領域341の周囲には、コンタクトエッジのリークを抑制するためのガードリング353が形成されている。
ショットキメタル340は、たとえばTiまたはTiNからなっていてもよく、ショットキメタル340にAiSi合金等の金属膜342が積層されてカソード電極333が構成されている。ショットキメタル340は、ダイオードセルD311〜D314毎に分離されていてもよいが、本参考例では、複数のダイオードセルD311〜D314の各ショットキ接合領域341に共通に接触するようにショットキメタル340が形成されている。
n型エピタキシャル層351には、ショットキ接合領域341を回避した領域に、n型エピタキシャル層351の表面からn+型埋め込み層352に達するn+型ウェル354が形成されている。そして、n+型ウェル354の表面との間でオーミック接触を形成するようにアノード電極334が形成されている。アノード電極334は、カソード電極333と同様の構成の電極膜からなっていてもよい。
n型エピタキシャル層351の表面には、絶縁膜20が形成されている。絶縁膜20には、ショットキ接合領域341に対応したコンタクト孔346と、n+型ウェル354を露出させるコンタクト孔347とが形成されている。カソード電極333は、絶縁膜20を覆うように形成されていて、コンタクト孔346の内部にまで達し、コンタクト孔346内においてn型エピタキシャル層351との間でショットキ接合を形成している。一方、アノード電極334は、絶縁膜20上に形成されていて、コンタクト孔347内に延び、コンタクト孔347内においてn+型ウェル354との間でオーミック接触を形成している。カソード電極333とアノード電極334とは、スリット348によって分離されている。
カソード電極333およびアノード電極334を覆うように、たとえば窒化膜からなるパッシベーション膜356が形成されている。さらに、パッシベーション膜356を覆うように、ポリイミド等の樹脂膜357が形成されている。パッシベーション膜356および樹脂膜357を貫通して、カソードパッド335となるカソード電極333の表面の一部の領域を露出させる切欠部358が形成されている。さらに、パッシベーション膜356および樹脂膜357を貫通するように、アノードパッド336となるアノード電極334の表面の一部領域を露出させるように切欠部359が形成されている。
図116を参照すれば、ショットキメタル340上の金属膜342(カソード電極333)の表面には、前述の第1参考例と同様の構成でパターンPTが形成されている(図70A〜図71参照)。本参考例に係るパターンPTは、パッシベーション膜356および樹脂膜357を含む。これにより、第8参考例における第1接続電極3の表面には、前述の第1参考例と同様の凸部96と平坦部97とが形成されている。なお、第2接続電極4の構成は、前述の第1接続電極3の構成と同様であるので、図示および説明は省略する。そして、前述の第1実施形成の場合と同様の構成で第1および第2接続電3,4がパッド335,336に接続されるように形成されている。
このような構成によって、カソード電極333は、ダイオードセルD311〜D314がそれぞれ有するショットキ接合領域341に共通に接続されている。また、アノード電極334は、n+型ウェル354およびn+型埋め込み層352を介してn型エピタキシャル層351に接続されており、したがって、複数のダイオードセルD311〜D314に形成されたショットキ接合領域341に共通に並列接続されていることになる。これにより、複数のダイオードセルD311〜D314のショットキ接合領域341を有する複数のショットキバリアダイオードが、カソード電極333とアノード電極334との間に並列に接続されている。
このように、本参考例においても、複数のダイオードセルD311〜D314がそれぞれ互いに分離されたショットキ接合領域341を有しているため、ショットキ接合領域341の周囲長(n型エピタキシャル層351の表面におけるショットキ接合領域341の周囲長)の総延長が大きくなる。これによって、電界の集中を抑制できるので、ESD耐量を向上できる。すなわち、チップ部品1331を小型に形成する場合であっても、ショットキ接合領域341の総周囲長を大きくできるから、チップ部品1331の小型化とESD耐量の確保とを両立できる。
図117は、図117は、第9参考例に係るチップ部品1349の断面図である。図117において、前述の図1〜図116に示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して示している。なお、図113では、説明の便宜上、カソードパッド335上に形成されたパッシベーション膜356および樹脂膜357を含むパターンPTを省略して示している。
チップ部品1349は、基板2は、n+型シリコン基板372と、n+型シリコン基板372の表面に形成されたn型エピタキシャル層351とを含む。そして、基板2の裏面(n型エピタキシャル層351の表面とは反対側の表面)との間で、オーミック接触を形成するようにアノード電極373が形成されている。n型エピタキシャル層351の表面にはアノード電極が形成されておらず、n型エピタキシャル層351に形成されたショットキ接合領域341に並列に接続されるカソード電極333だけが形成されている。
このような構成によっても、前述の第8参考例と同様の作用効果を奏することができる。加えて、n型エピタキシャル層351の表面にアノード電極を設けなくてもよいから、n型エピタキシャル層351の表面により多くのダイオードセルを配置することができ、ショットキ接合領域341の周囲長の総延長を一層長くして、ESD耐量を向上できる。あるいは、n+型シリコン基板372の大きさを小さくして、ESD耐量が確保された一層小型のチップダイオードを提供できる。
<双方向ツェナーダイオード>
図118は、第10参考例に係るチップ部品1401の平面図である。図119は、図118の切断面線CXIX−CXIXから見た断面図である。図120は、図118の切断面線CXX−CXXから見た断面図である。図121は、図118の切断面線CXXI−CXXIから見た断面図である。
第10参考例に係るチップ部品1401が、前述の第1参考例に係るチップ部品1001と異なる点は、素子領域5に形成される回路素子として、抵抗56に代えて第1および第2ツェナーダイオードD401,D402が形成されている点である。その他の構成は、前述の第1参考例に係るチップ部品1001の構成と同等である。図118〜図121において、前述の図1〜図117に示された各部に対応する部分には同一参照符号を付して示している。
チップ部品1401は、基板2(たとえばp+型のシリコン基板)と、基板2に形成された第1ツェナーダイオードD401と、基板2に形成され、第1ツェナーダイオードD401に逆直列接続された第2ツェナーダイオードD402と、第1ツェナーダイオードD401に接続された第1接続電極3と、第2ツェナーダイオードD402に接続された第2接続電極4とを含む。第1ツェナーダイオードD401は、複数のツェナーダイオードD411,D412から構成されている。第2ツェナーダイオードD402は、複数のツェナーダイオードD421,D422から構成されている。
第10参考例に係る素子形成面2Aの両端部には、第1電極膜403に接続された第1接続電極3と、第2電極膜404に接続された第2接続電極4とが配置されている。これらの第1および第2接続電極3,4間の素子形成面2Aに、ダイオード形成領域407が設けられている。ダイオード形成領域407は、本参考例では、矩形に形成されている。
図122は、図118に示すチップ部品1401において、第1および第2接続電極3,4ならびにその上に形成された構成を取り除いて、基板2の表面(素子形成面2A)の構造を示す平面図である。
図118および図122を参照して、基板2(p+型の半導体基板)の表層領域には、基板2との間にそれぞれpn接合領域411を形成する複数の第1のn+型拡散領域(以下、「第1拡散領域410」という)が形成されている。また、基板2の表層領域には、基板2との間にそれぞれpn接合領域413を形成する複数の第2のn+型拡散領域(以下、「第2拡散領域412」という)が形成されている。
本参考例では、第1拡散領域410および第2拡散領域412は2個ずつ形成されている。これらの4個の拡散領域410,412は、第1拡散領域410と第2拡散領域412とが基板2の短手方向に沿って交互にかつ等間隔をおいて配列されている。また、これらの4個の拡散領域410,412は、基板2の短手方向に交差する方向(本参考例では直交する方向)に延びた長手に形成されている。第1拡散領域410および第2拡散領域412は、本参考例では等しい大きさおよび等しい形状に形成されている。具体的には、第1拡散領域410および第2拡散領域412は、平面視において、基板2の長手方向に長くかつ4隅が切除された略矩形に形成されている。
各第1拡散領域410と基板2における第1拡散領域410の近傍部とによって、2個のツェナーダイオードD411,D412が構成され、これらの2個のツェナーダイオードD411,D412によって第1ツェナーダイオードD401が構成されている。第1拡散領域410はツェナーダイオードD411,D412毎に分離している。これにより、ツェナーダイオードD411,D412は、ツェナーダイオード毎に分離されたpn接合領域411をそれぞれ有している。
同様に、各第2拡散領域412と基板2における第2拡散領域412の近傍部とによって、2個のツェナーダイオードD421,D422が構成され、これらの2個のツェナーダイオードD421,D422によって第2ツェナーダイオードD402が構成されている。第2拡散領域412はツェナーダイオードD421,D422毎に分離している。これにより、ツェナーダイオードD421,D422は、ツェナーダイオード毎に分離されたpn接合領域413をそれぞれ有している。
図119および図120に示されているように、基板2の素子形成面2Aには、絶縁膜20(図118では図示省略)が形成されている。絶縁膜20には、第1拡散領域410の表面をそれぞれ露出させる第1コンタクト孔416と、第2拡散領域412の表面を露出させる第2コンタクト孔417とが形成されている。絶縁膜20の表面には、第1電極膜403および第2電極膜404が形成されている。
第1電極膜403は、ツェナーダイオードD411に対応した第1拡散領域410に接続された引き出し電極L411と、ツェナーダイオードD412に対応した第1拡散領域410に接続された引き出し電極L412と、引き出し電極L411,L412(第1引き出し電極)と一体的に形成された第1パッド405とを有している。第1パッド405は、素子形成面2Aの一端部に矩形に形成されている。第1パッド405に第1接続電極3が接続されている。このようにして、第1接続電極3は、引き出し電極L411,L412に共通に接続されている。
第2電極膜404は、ツェナーダイオードD421に対応した第2拡散領域412に接続された引き出し電極L421と、ツェナーダイオードD422に対応した第2拡散領域412に接続された引き出し電極L422と、引き出し電極L421,L422(第2引き出し電極)と一体的に形成された第2パッド406とを有している。第2パッド406は、素子形成面2Aの一端部に矩形に形成されている。第2パッド406に第2接続電極4が接続されている。このようにして、第2接続電極4は、引き出し電極L421,L422に共通に接続されている。
引き出し電極L411は、絶縁膜20の表面からツェナーダイオードD411の第1コンタクト孔416内に入り込み、第1コンタクト孔416内でツェナーダイオードD411の第1拡散領域410との間でオーミック接触を形成している。引き出し電極L411において、第1コンタクト孔416内でツェナーダイオードD411に接合されている部分は、接合部C411を構成している。同様に、引き出し電極L412は、絶縁膜20の表面からツェナーダイオードD412の第1コンタクト孔416内に入り込み、第1コンタクト孔416内でツェナーダイオードD412の第1拡散領域410との間でオーミック接触を形成している。引き出し電極L412において、第1コンタクト孔416内でツェナーダイオードD412に接合されている部分は、接合部C412を構成している。
引き出し電極L421は、絶縁膜20の表面からツェナーダイオードD421の第2コンタクト孔417内に入り込み、第2コンタクト孔417内でツェナーダイオードD421の第2拡散領域412との間でオーミック接触を形成している。引き出し電極L421において、第2コンタクト孔417内でツェナーダイオードD421に接合されている部分は、接合部C421を構成している。同様に、引き出し電極L422は、絶縁膜20の表面からツェナーダイオードD422の第2コンタクト孔417内に入り込み、第2コンタクト孔417内でツェナーダイオードD422の第2拡散領域412との間でオーミック接触を形成している。引き出し電極L422において、第2コンタクト孔417内でツェナーダイオードD422に接合されている部分は、接合部C422を構成している。第1電極膜403および第2電極膜404は、本参考例では、同じ材料からなっている。電極膜としては、本参考例では、Al膜が用いられている。
第1電極膜403と第2電極膜404との間は、スリット418によって分離されている。引き出し電極L411は、ツェナーダイオードD411に対応する第1拡散領域410上を通って第1パッド405に至る直線に沿って直線状に形成されている。同様に、引き出し電極L412は、ツェナーダイオードD412に対応する第1拡散領域410上を通って第1パッド405に至る直線に沿って直線状に形成されている。引き出し電極L411,L412は、対応する第1拡散領域410から第1パッド405まで間の至るところで一様な幅をそれぞれ有しており、それらの幅は、接合部C411,C412の幅よりも広い。接合部C411,C412の幅は、引き出し電極L411,L412の引き出し方向に直交する方向の長さによって定義される。引き出し電極L411,L412の先端部は、対応する第1拡散領域410の平面形状と整合するように整形されている。引き出し電極L411,L412の基端部は、第1パッド405に接続されている。
引き出し電極L421は、ツェナーダイオードD421に対応する第2拡散領域412上を通って第2パッド406に至る直線に沿って直線状に形成されている。同様に、引き出し電極L422は、ツェナーダイオードD422に対応する第2拡散領域412上を通って第2パッド406に至る直線に沿って直線状に形成されている。引き出し電極L421,L422は、対応する第2拡散領域412から第2パッド406まで間の至るところで一様な幅をそれぞれ有しており、それらの幅は、接合部C421,C422の幅よりも広い。接合部C421,C422の幅は、引き出し電極L421,L422の引き出し方向に直交する方向の長さによって定義される。引き出し電極L421,L422の先端部は、対応する第2拡散領域412の平面形状と整合するように整形されている。引き出し電極L421,L422の基端部は、第2パッド406に接続されている。
つまり、第1および第2接続電極3,4は、複数の第1引き出し電極L411,L412および複数の第2引き出し電極L421,L422が互いに噛み合う櫛歯形状に形成されている。また、第1接続電極3および第1拡散領域410と、第2接続電極4および第2拡散領域412とは、平面視において、互いに対称に構成されている。より具体的には、第1接続電極3および第1拡散領域410と第2接続電極4および第2拡散領域412とは、平面視において、素子形成面2Aの重心に対して点対称に構成されている。
第1接続電極3および第1拡散領域410と第2接続電極4および第2拡散領域412とが、実質的に線対称に構成されているとみなすこともできる。具体的には、基板2の一方の長辺側にある第2引き出し電極L422とそれに隣接する第1引き出し電極L411がほぼ同じ位置にあるとみなすとともに、基板2の他方の長辺側にある第1引き出し電極L412とそれに隣接する第2引き出し電極L421とがほぼ同じ位置にあるとみなす。そうすると、第1接続電極3および第1拡散領域410と第2接続電極4および第2拡散領域412とは、平面視において、素子形成面2Aの短手方向に平行でかつ長手方向中央を通る直線に対して線対称に構成されているとみなすことができる。なお、スリット418は、引き出し電極L411,L412,L421,L422を縁取るように形成されている。
第1電極膜403および第2電極膜404は、たとえば窒化膜からなるパッシベーション膜420(図118では図示省略)によって覆われており、さらにパッシベーション膜420の上にはポリイミド等の樹脂膜421が形成されている。パッシベーション膜420および樹脂膜421には、第1および第2接続電極3,4の側面部分に対向する周縁部を露出させる切欠部422,423が形成されている。
図121を参照すれば、第1電極膜403の表面(第1パッド405)には、前述の第1参考例と同様の構成でパターンPTが形成されている(図70A〜図71参照)。第9参考例に係るパターンPTは、パッシベーション膜420および樹脂膜421を含む。これにより、第9参考例における第1接続電極3の表面には、前述の第1参考例と同様の凸部96と平坦部97とが形成されている。なお、第2接続電極4の構成は、前述の第1接続電極3の構成と同様であるので、図示および説明は省略している。そして、前述の第1実施形成の場合と同様の構成で第1および第2接続電3,4が第1および第2電極膜403,404(第1および第2パッド405,406)に接続されるように形成されている。
パッシベーション膜420および樹脂膜421は、第1電極膜403の表面(第1パッド405)において、所定のパターンPTを構成している他、チップ部品1401の保護膜を構成しており、第1引き出し電極L411,L412、第2引き出し電極L421,L422およびpn接合領域411,413への水分の浸入を抑制または防止するとともに、外部からの衝撃等を吸収し、チップ部品1401の耐久性の向上に寄与している。
第1ツェナーダイオードD401を構成する複数のツェナーダイオードD411,D412の第1拡散領域410は、第1接続電極3に共通に接続されているとともに、ツェナーダイオードD411,D412の共通のp型領域である基板2に接続されている。これにより、第1ツェナーダイオードD401を構成する複数のツェナーダイオードD411,D412が並列に接続されている。一方、第2ツェナーダイオードD402を構成する複数のツェナーダイオードD421,D422の第2拡散領域412は、第2接続電極4に接続されているとともに、ツェナーダイオードD421,D422の共通のp型領域である基板2に接続されている。これにより、第2ツェナーダイオードD402を構成する複数のツェナーダイオードD421,D422が並列に接続されている。そして、ツェナーダイオードD421,D422の並列回路とツェナーダイオードD411,D412の並列回路とが逆直列接続されており、その逆直列回路によって、双方向ツェナーダイオードが構成されている。
図123は、図118に示すチップ部品1401の内部の電気的構造を示す電気回路図である。第1ツェナーダイオードD401を構成する複数のツェナーダイオードD411,D412のカソードは第1接続電極3に共通接続され、それらのアノードは第2ツェナーダイオードD402を構成する複数のツェナーダイオードD421,D422のアノードに共通接続されている。そして、複数のツェナーダイオードD421,D422のカソードは、第2接続電極4に共通接続されている。これにより、全体として1つの双方向ツェナーダイオードとして機能する。
本参考例によれば、第1接続電極3および第1拡散領域410と、第2接続電極4および第2拡散領域412とは、互いに対称に構成されているので、各電流方向に対する特性を実質的に等しくできる。
図124Bは、第1接続電極および第1拡散領域と第2接続電極および第2拡散領域とが互いに非対称に構成されている双方向ツェナーダイオードチップについて、各電流方向に対する電圧対電流特性を測定した実験結果を示すグラフである。
図124Bにおいて、実線は、双方向ツェナーダイオードに一方の電極を正極とし他方の電極を負極として電圧を印加した場合の電圧対電流特性を示し、破線は当該双方向ツェナーダイオードに前記一方の電極を負極とし前記他方の電極を正極として電圧を印加した場合の電圧対電流特性を示している。この実験結果から、第1接続電極および第1拡散領域と第2接続電極および第2拡散領域とが非対称に構成された双方向ツェナーダイオードでは、各電流方向に対する電圧対電流特性が等しくならないことが分かる。
図124Aは、図118に示すチップ部品1401について、各電流方向に対する電圧対電流特性を測定した実験結果を示すグラフである。
本参考例の双方向ツェナーダイオードでは、第1接続電極3を正極とし第2接続電極4を負極として電圧を印加した場合の電圧対電流特性および第2接続電極4を正極とし第1接続電極3を負極として電圧を印加した場合の電圧対電流特性は、共に図124Aに実線で示すような特性となった。つまり、本参考例の双方向ツェナーダイオードでは、各電流方向に対する電圧対電流特性が実質的に等しくなった。
本参考例の構成によれば、チップ部品1401は、第1ツェナーダイオードD401と第2ツェナーダイオードD402とを有している。第1ツェナーダイオードD401は、複数のツェナーダイオードD411,D412(第1拡散領域410)を有しており、各ツェナーダイオードD411,D412がpn接合領域411を有している。pn接合領域411は、ツェナーダイオードD411,D412毎に分離されている。そのため、「第1ツェナーダイオードD401のpn接合領域411の周囲長」、すなわち、基板2における第1拡散領域410の周囲長の合計(総延長)が長くなる。これにより、pn接合領域411の近傍における電界の集中を回避し、その分散を図ることができるので、第1ツェナーダイオードD401のESD耐量の向上を図ることができる。すなわち、チップ部品1401を小型に形成する場合であっても、pn接合領域411の総周囲長を大きくできるから、チップ部品1401の小型化とESD耐量の確保とを両立できる。
同様に、第2ツェナーダイオードD402は、複数のツェナーダイオードD421,D422(第2拡散領域412)を有しており、各ツェナーダイオードD421,D422がpn接合領域413を有している。pn接合領域413は、ツェナーダイオードD421,D422毎に分離されている。そのため、「第2ツェナーダイオードD402のpn接合領域413の周囲長」、すなわち、基板2におけるpn接合領域413の周囲長の合計(総延長)が長くなる。これにより、pn接合領域413の近傍における電界の集中を回避し、その分散を図ることができるので、第2ツェナーダイオードD402のESD耐量の向上を図ることができる。すなわち、チップ部品1401を小型に形成する場合であっても、pn接合領域413の総周囲長を大きくできるから、チップ部品1401の小型化とESD耐量の確保とを両立できる。
本参考例では、第1ツェナーダイオードD401のpn接合領域411および第2ツェナーダイオードD402のpn接合領域413の各周囲長は、400μm以上でかつ1500μm以下に形成されている。前記各周囲長は、500μm以上でかつ1000μm以下に形成されていることがより好ましい。
前記各周囲長が400μm以上に形成されているので、後に図125を用いて説明するように、ESD耐量の大きい双方向ツェナーダイオードチップを実現できる。また、前記各周囲長が1500μm以下に形成されているので、後に図126を用いて説明するように、第1接続電極3と第2接続電極4との間の容量(端子間容量)の小さな双方向ツェナーダイオードチップを実現できる。より具体的には、端子間容量が30[pF]以下の双方向ツェナーダイオードチップを実現できる。各周囲長は、500μm以上でかつ1000μm以下に形成されていることがより好ましい。
図125は、同面積の基板上に形成する引き出し電極(拡散領域)の個数および/または拡散領域の大きさを様々に設定して、第1ツェナーダイオードのpn接合領域および第2ツェナーダイオードのpn接合領域の各周囲長を異ならせた複数のサンプルについて、ESD耐量を測定した実験結果を示すグラフである。ただし、各サンプルにおいては、前記参考例と同様に、第1接続電極および第1拡散領域と第2接続電極および第2拡散領域とは互いに対称に形成されている。したがって、各サンプルにおいて、第1ツェナーダイオードD401の接合領域411の周囲長と第2ツェナーダイオードD402のpn接合領域413の周囲長とはほぼ同じになる。
図125の横軸は、第1ツェナーダイオードD401のpn接合領域411の周囲長または第2ツェナーダイオードD402のpn接合領域413の周囲長のうちの一方の長さを示している。この実験結果から、pn接合領域411およびpn接合領域413の各周囲長が長くなるほど、ESD耐量が大きくなることが分かる。pn接合領域411およびpn接合領域413の各周囲長を400μm以上に形成した場合に、目標値である8キロボルト以上のESD耐量を実現することができた。
図126は、同面積の基板上に形成する引き出し電極(拡散領域)の個数および/または拡散領域の大きさを様々に設定して、第1ツェナーダイオードのpn接合領域および第2ツェナーダイオードのpn接合領域の各周囲長を異ならせた複数のサンプルについて、端子間容量を測定した実験結果を示すグラフである。ただし、各サンプルにおいては、前記参考例と同様に、第1接続電極および第1拡散領域と第2接続電極および第2拡散領域とは互いに対称に形成されている。
図126の横軸は、第1ツェナーダイオードD401の接合領域411の周囲長または第2ツェナーダイオードD402のpn接合領域413の周囲長のうちの一方の長さを示している。この実験結果から、pn接合領域411およびpn接合領域413の各周囲長が長くなるほど、端子間容量が大きくなることが分かる。pn接合領域411およびpn接合領域413の各周囲長を1500μm以下に形成した場合に、目標値である30[pF]以下の端子間容量を実現することができた。
さらに、本参考例では、引き出し電極L411,L412,L421,L422の幅が、接合部C411,C412,C421,C422から第1パッド405までの間の至るところで、接合部C411,C412,C421,C422の幅よりも広い。これにより、許容電流量を大きくとることができ、エレクトロマイグレーションを低減して、大電流に対する信頼性を向上できる。すなわち、小型でESD耐量が大きく、しかも大電流に対する信頼性をも確保した双方向ツェナーダイオードチップを提供できる。
さらに、基板2の一方の表面である素子形成面2Aに第1および第2接続電極3,4の第1および第2接続電極3,4がいずれも形成されている。そこで、前述の第1参考例において説明したように、素子形成面2Aを実装基板9に対向させて、第1および第2接続電極3,4をはんだ13によって実装基板9上に接合することにより、チップ部品1401を実装基板9上に表面実装した回路アセンブリを構成できる(図85参照)。すなわち、フリップチップ接続型に示すチップ部品1401を提供することができ、素子形成面2Aを実装基板9の実装面に対向させたフェースダウン接合によって、ワイヤレスボンディングによってチップ部品1401を実装基板9に接続できる。これによって、実装基板9上におけるチップ部品1401の占有空間を小さくできる。とくに、実装基板9上におけるチップ部品1401の低背化を実現できる。これにより、小型電子機器等の筐体内の空間を有効に利用でき、高密度実装および小型化に寄与できる。
また、本参考例では、基板2上に絶縁膜20が形成されており、その絶縁膜20に形成された第1コンタクト孔416を介してツェナーダイオードD411,D412の第1拡散領域410に引き出し電極L411,L412の接合部C411,C412が接続されている。そして、第1コンタクト孔416の外の領域において絶縁膜20上に第1パッド405が配置されている。つまり、pn接合領域411の直上から離れた位置に第1パッド405が設けられている。
同様に、絶縁膜20に形成された第2コンタクト孔417を介してツェナーダイオードD421,D422の第2拡散領域412に引き出し電極L421,L422の接合部C421,C422が接続されている。そして、第2コンタクト孔417の外の領域において絶縁膜20上に第2パッド406が配置されている。第2パッド406もまた、pn接合領域413の直上から離れた位置にある。これにより、チップ部品1401を実装基板9に実装するときに、pn接合領域411,413に大きな衝撃が加わることを回避できる。それによって、pn接合領域411,413の破壊を回避できるので、外力に対する耐久性に優れた双方向ツェナーダイオードチップを実現できる。また、第1および第2接続電極3,4を設けずに、第1パッド405および第2パッド406をそれぞれ第1接続電極3の外部接続部および第2接続電極4の外部接続部とし、これらの第1パッド405および第2パッド406にボンディングワイヤを接続する構成をとることもできる。この場合にも、ワイヤボンディング時の衝撃によってpn接合領域411,413が破壊されることを回避できる。
このようなチップ部品1401は、前述の第1参考例における抵抗56の形成工程に代えて、第1および第2ツェナーダイオードD401,D402を形成する工程を実行することにより得ることができる。以下、図127を参照して、前述の第1参考例の製造工程と異なる点について詳説する。
図127は、図118に示すチップ部品1401の製造工程の一例を説明するためのフローチャートである。
まず、基板2の元基板としてのp+型の半導体ウエハが用意される。半導体ウエハの表面は素子形成面であり、基板2の素子形成面2Aに対応している。素子形成面には、複数のチップ部品1401に対応した複数の双方向ツェナーダイオードチップ領域が、マトリクス状に配列されて設定されている。隣接する双方向ツェナーダイオードチップ領域の間には、境界領域(前述の第1参考例の図79に係る直線部分42Aおよび42Bに相当する。)が設けられている。境界領域は、ほぼ一定の幅を有する帯状の領域であり、直交する二方向に延びて格子状に形成されている。半導体ウエハに対して必要な工程を行った後に、境界領域に沿って半導体ウエハを切り離すことにより、複数のチップ部品1401が得られる。
半導体ウエハに対して実行される工程の一例は、次のとおりである。
まず、半導体ウエハの素子形成面に、絶縁膜20が形成され(ステップS131)、その上にレジストマスクが形成される(ステップS132)。レジストマスクを用いたエッチングによって、第1拡散領域410および第2拡散領域412に対応する開口が絶縁膜20に形成される(ステップS133)。さらに、レジストマスクを剥離した後に、絶縁膜20に形成された開口から露出する半導体ウエハの表層部にn型不純物が導入される(ステップS134)。n型不純物の導入は、n型不純物としての燐を表面に堆積させる工程(いわゆるリンデポ)によって行われてもよいし、n型不純物イオン(たとえば燐イオン)の注入によって行われてもよい。リンデポとは、半導体ウエハを拡散炉内に搬入し、拡散路内でPOCl3ガスを流して行う熱処理によって、絶縁膜20の開口内で露出する半導体ウエハの表面に燐を堆積させる処理である。必要に応じて絶縁膜20を厚膜化した後(ステップS135)、半導体ウエハに導入された不純物イオンを活性化するための熱処理(ドライブ)が行われる(ステップS136)。これにより、半導体ウエハの表層部に第1拡散領域410および第2拡散領域412が形成される。
次いで、コンタクト孔416,417に整合する開口を有するさらに別のレジストマスクが絶縁膜20の上に形成される(ステップS137)。レジストマスクを介するエッチングによって、絶縁膜20にコンタクト孔416,417が形成される(ステップS138)、その後、レジストマスクが剥離される。
次いで、たとえばスパッタリングによって、第1および第2接続電極3,4を構成する電極膜が絶縁膜20上に形成される(ステップS139)。本参考例では、Alからなる電極膜が形成される。そして、電極膜上に、スリット418に対応する開口パターンを有する別のレジストマスクが形成され(ステップS140)、レジストマスクを介するエッチング(たとえば反応性イオンエッチング)によって、電極膜にスリット418が形成される(ステップS141)。これにより、前記電極膜が、第1電極膜403および第2電極膜404に分離される。
次いで、レジスト膜を剥離した後、たとえばCVD法によって窒化膜等のパッシベーション膜420が形成され(ステップS142)、さらにポリイミド等を塗布することにより樹脂膜421が形成される(ステップS143)。たとえば、感光性を付与したポリイミドが塗布され、第1および第2電極膜403,404の表面に形成されるべき所定のパターンPTに対応するパターン、および切欠部422,423に対応するパターンで露光した後、そのポリイミド膜が現像される(ステップS144)。これにより、第1および第2電極膜403,404の表面を選択的に露出させる第1および第2開口22B,22Cが形成されたパターンPTと、切欠部422,423とに対応した開口を有する樹脂膜421が形成される。その後、必要に応じて、樹脂膜をキュアするための熱処理が行われる(ステップS145)。そして、樹脂膜421をマスクとしたドライエッチング(たとえば反応性イオンエッチング)によって、パッシベーション膜420に所定のパターンPTと、切欠部422,423とが形成される(ステップS146)。その後、前述の第1参考例で述べた方法(図78E〜図78I参照)に倣って第1電極膜403および第2電極膜404に接続されるように、外部接続電極としての第1および第2接続電極3,4が形成されて、半導体ウエハが個片化される。これにより、前述の構造のチップ部品1401を得ることができる。
本参考例では、基板2がp型の半導体基板からなっているので、基板2上にエピタキシャル層を形成しなくても、安定した特性を実現できる。すなわち、n型の半導体ウエハは抵抗率の面内ばらつきが大きいので、n型半導体ウエハを用いるときには、その表面に抵抗率の面内ばらつきの少ないエピタキシャル層を形成し、エピタキシャル層に不純物拡散層を形成してpn接合を形成する必要がある。これは、n型不純物の偏析係数が小さいために、半導体ウエハの元となるインゴット(たとえばシリコンインゴット)を形成するときに、ウエハの中心部と周縁部とで抵抗率の差が大きくなるからである。これに対して、p型不純物の偏析係数は比較的大きいので、p型半導体ウエハは抵抗率の面内ばらつきが少ない。したがって、p型半導体ウエハを用いることによって、エピタキシャル層を形成することなく、安定した特性の双方向ツェナーダイオードをウエハのいずれの箇所からも切り出すことができる。よって、p+型の基板2を用いることによって、製造工程を簡単にでき、かつ製造コストを低減できる。
図128A〜図128Fは、それぞれ図118に示すチップ部品1401の変形例を示す平面図である。図128A〜図128Fは、図118に対応する平面図を示している。図128A〜図128Fにおいて、前述の図1〜図127に示された各部に対応する部分には同一参照符号を付して示している。
図128Aに示すチップ部品1401Aでは、第1拡散領域410および第2拡散領域412は1個ずつ形成されている。第1ツェナーダイオードD401は、第1拡散領域410に対応する1個のツェナーダイオードから構成されている。第2ツェナーダイオードD402は、第2拡散領域412に対応する1個のツェナーダイオードから構成されている。第1拡散領域410および第2拡散領域412とは、基板2の長手方向に長い略矩形であり、基板2の短手方向に間隔をおいて配置されている。第1拡散領域410および第2拡散領域412の長手方向の長さは、比較的短く(第1パッド405と第2パッド406との間隔の1/2より短く)形成されている。第1拡散領域410および第2拡散領域412の間隔は、拡散領域410,412の幅よりも短く設定されている。
第1接続電極3には、第1拡散領域410に対応した1個の引き出し電極L411が形成されている。同様に、第2接続電極4には、第2拡散領域412に対応した1個の引き出し電極L421が形成されている。第1および第2接続電極3,4は、引き出し電極L411と引き出し電極L421が互いに噛み合う櫛歯形状に形成されている。
第1接続電極3および第1拡散領域410と第2接続電極4および第2拡散領域412とは、平面視において、素子形成面2Aの重心に対して点対称に構成されている。なお、第1接続電極3および第1拡散領域410と第2接続電極4および第2拡散領域412とが、実質的に線対称に構成されているとみなすことができる。つまり、第1引き出し電極L411と第2引き出し電極L421とがほぼ同じ位置にあるとみなすと、第1接続電極3および第1拡散領域410と第2接続電極4および第2拡散領域412とは、平面視において、素子形成面2Aの短手方向に平行でかつ長手方向中央を通る直線に対して線対称に構成されているとみなすことができる。
図128Bに示すチップ部品1401Bでは、図128Aに示すチップ部品1401Aと同様に、第1ツェナーダイオードD401および第2ツェナーダイオードD402は、それぞれ1個のツェナーダイオードから構成されている。図128Bに示すチップ部品1401Bでは、第1拡散領域410および第2拡散領域412の長手方向の長さおよび引き出し電極L411,L421の長さが、図128Aに示すチップ部品1401Aのそれらに比べて大きく(第1パッド405と第2パッド406との間隔の1/2より長く)形成されている。
図128Cに示すチップ部品1401Cでは、第1拡散領域410および第2拡散領域412は4個ずつ形成されている。これら8個の第1拡散領域410および第2拡散領域412は、基板2の長手方向に長い矩形状であり、第1拡散領域410と第2拡散領域412とが基板2の短手方向に沿って交互にかつ等間隔をおいて配列されている。第1ツェナーダイオードD401は、各第1拡散領域410にそれぞれ対応した4個のツェナーダイオードD411〜D414から構成されている。第2ツェナーダイオードD402は、各第2拡散領域412にそれぞれ対応した4個のツェナーダイオードD421〜D424から構成されている。
第1接続電極3には、各第1拡散領域410にそれぞれ対応した4個の引き出し電極L411〜L414が形成されている。同様に、第2接続電極4には、各第2拡散領域412にそれぞれ対応した4個の引き出し電極L421〜L424が形成されている。第1および第2接続電極3,4は、引き出し電極L411〜L414と引き出し電極L421〜L424が互いに噛み合う櫛歯形状に形成されている。
第1接続電極3および第1拡散領域410と第2接続電極4および第2拡散領域412とは、平面視において、素子形成面2Aの重心に対して点対称に構成されている。なお、第1接続電極3および第1拡散領域410と第2接続電極4および第2拡散領域412とが、実質的に線対称に構成されているとみなすことができる。つまり、第1引き出し電極L411〜L414と第2引き出し電極L421〜L424の隣り合うものどうし(L424とL411,L423とL412,L422とL413,L421とL414)がほぼ同じ位置にあるとみなすと、第1接続電極3および第1拡散領域410と第2接続電極4および第2拡散領域412とは、平面視において、素子形成面2Aの短手方向中央に平行でかつ長手方向中央を通る直線に対して線対称に構成されているとみなすことができる。
図128Dに示すチップ部品1401Dでは、図118の参考例と同様に、第1拡散領域410および第2拡散領域412は2個ずつ形成されている。これら4個の第1拡散領域410および第2拡散領域412は、基板2の長手方向に長い矩形状であり、第1拡散領域410と第2拡散領域412とが基板2の短手方向に沿って交互に配列されている。第1ツェナーダイオードD401は、各第1拡散領域410にそれぞれ対応した2個のツェナーダイオードD411,D412から構成されている。第2ツェナーダイオードD402は、各第2拡散領域412にそれぞれ対応した2個のツェナーダイオードD421,D422から構成されている。これらの4個のダイオードは、素子形成面2Aにおいて、その短辺方向に、D422,D411,D421,D412の順に並んで配置されている。
ツェナーダイオードD422に対応した第2拡散領域412とツェナーダイオードD411に対応した第1拡散領域410とは、素子形成面2Aの一方の長辺寄りの部分に互いに隣接して配置されている。ツェナーダイオードD421に対応した第2拡散領域412とツェナーダイオードD412に対応した第1拡散領域410とは、素子形成面2Aの他方の長辺寄りの部分に互いに隣接して配置されている。つまり、ツェナーダイオードD411に対応した第1拡散領域410と、ツェナーダイオードD421に対応した第2拡散領域412とは、大きな間隔(拡散領域410,412の幅よりも大きな間隔)をおいて配置されている。
第1接続電極3には、各第1拡散領域410にそれぞれ対応した2個の引き出し電極L411,L412が形成されている。同様に、第2接続電極4には、各第2拡散領域412にそれぞれ対応した2個の引き出し電極L421,L422が形成されている。第1および第2接続電極3,4は、引き出し電極L411,L412と引き出し電極L421,L422が互いに噛み合う櫛歯形状に形成されている。
第1接続電極3および第1拡散領域410と第2接続電極4および第2拡散領域412とは、平面視において、素子形成面2Aの重心に対して点対称に構成されている。なお、第1接続電極3および第1拡散領域410と第2接続電極4および第2拡散領域412とが、実質的に線対称に構成されているとみなすことができる。つまり、基板2の一方の長辺側にある第2引き出し電極L422とそれに隣接する第1引き出し電極L411がほぼ同じ位置にあるとみなすとともに、基板2の他方の長辺側にある第1引き出し電極L412とそれに隣接する第2引き出し電極L421とがほぼ同じ位置にあるとみなす。そうすると、第1接続電極3および第1拡散領域410と第2接続電極4および第2拡散領域412とは、平面視において、素子形成面2Aの短手方向に平行でかつ中央長手方向中央を通る直線に対して線対称に構成されているとみなすことができる。
図128Eに示すチップ部品1401Eでは、第1拡散領域410および第2拡散領域412は2個ずつ形成されている。各第1拡散領域410および各第2拡散領域412は、第1拡散領域410の長手方向に長い略矩形である。一方の第2拡散領域412は素子形成面2Aの一方の長辺寄りの部分に形成され、他方の第2拡散領域412は素子形成面2Aの他方の長辺寄りの部分に形成されている。2個の第1拡散領域410は、2個の第2拡散領域412の間の領域において、各第2拡散領域412にそれぞれ隣接して形成されている。つまり、2個の第1拡散領域410は大きな間隔(拡散領域410,412の幅よりも大きな間隔)をおいて配置されており、それらの外側に第2拡散領域412が1個ずつ配置されている。
第1ツェナーダイオードD401は、各第1拡散領域410にそれぞれ対応した2個のツェナーダイオードD411,D412から構成されている。第2ツェナーダイオードD402は、各第2拡散領域412にそれぞれ対応した2個のツェナーダイオードD421,D422から構成されている。第1接続電極3には、各第1拡散領域410にそれぞれ対応した2個の引き出し電極L411,L412が形成されている。同様に、第2接続電極4には、各第2拡散領域412にそれぞれ対応した2個の引き出し電極L421,L422が形成されている。
第1接続電極3および第1拡散領域410と第2接続電極4および第2拡散領域412とは、実質的に線対称に構成されているとみなすことができる。つまり、基板2の一方の長辺側にある第2引き出し電極L422とそれに隣接する第1引き出し電極L411がほぼ同じ位置にあるとみなすとともに、基板2の他方の長辺側にある第2引き出し電極L421とそれに隣接する第1引き出し電極L412とがほぼ同じ位置にあるとみなす。そうすると、第1接続電極3および第1拡散領域410と第2接続電極4および第2拡散領域412とは、平面視において、素子形成面2Aの長手方向中央を通る直線に対して線対称に構成されているとみなすことができる。
図128Eに示すチップ部品1401Eでは、基板2の一方の長辺側にある第2引き出し電極L422とそれに隣接する第1引き出し電極L411とは、それらの間の所定の点を中心して互いに点対称に構成されている。また、基板2の他方の長辺側にある第2引き出し電極L421とそれに隣接する第1引き出し電極L412とは、それらの間の所定の点を中心して互いに点対称に構成されている。このように、第1接続電極3および第1拡散領域410と第2接続電極4および第2拡散領域412とが、部分的に対称な構造の組み合わせから構成されている場合にも、第1接続電極3および第1拡散領域410と第2接続電極4および第2拡散領域412とが実質的に対称に構成されているとみなすことができる。
図128Fに示すチップ部品1401Fでは、基板2の表層領域に、複数の第1拡散領域410が離散的に配置されているとともに、複数の第2拡散領域412が離散的に配置されている。第1拡散領域410および第2拡散領域412は、平面視で同じ大きさの円形に形成されている。複数の第1拡散領域410は、素子形成面2Aの幅中央と一方の長辺との間の領域に配置されており、複数の第2拡散領域412は素子形成面2Aの幅中央と他方の長辺との間の領域に配置されている。そして、第1接続電極3は、複数の第1拡散領域410に共通接続された1つの引き出し電極L411を有している。同様に、第2接続電極4は、複数の第2拡散領域412に共通接続された1つの引き出し電極L421を有している。この変形例においても、第1接続電極3および第1拡散領域410と第2接続電極4および第2拡散領域412とは、平面視において、素子形成面2Aの重心に対して点対称に構成されている。
第1拡散領域410および第2拡散領域412の平面視での形状は、三角形、四角形、それ以外の多角形等の任意の形状であってもよい。また、素子形成面2Aの幅中央と一方の長辺との間の領域に、素子形成面2Aの長手方向に延びた複数の第1拡散領域410が素子形成面2Aの短手方向に間隔をおいて形成され、これらの複数の第1拡散領域410が引き出し電極L411に共通接続されていてもよい。この場合、素子形成面2Aの幅中央と他方の長辺との間の領域に、素子形成面2Aの長手方向に延びた複数の第2拡散領域412が素子形成面2Aの短手方向に間隔をおいて形成され、これらの複数の第2拡散領域412が引き出し電極L421に共通接続される。
<複合チップ部品>
図129Aは、第11参考例に係るチップ部品501の構成を説明するための模式的な斜視図である。
第11参考例に係るチップ部品501が、前述の第1参考例に係るチップ部品1001と異なる点は、一つの基板502に二つの回路素子が形成されている点(すなわち、素子領域5が一つの基板502上に二つの素子領域505を含んでいる点)である。その他の構成は、前述の第1参考例に係るチップ部品1001の構成と同等である。図129Aにおいて、図1〜図128Fに示された各部に対応する部分には、同一の参照符号を付して示す。以下では、チップ部品501を「複合チップ部品501」という。
複合チップ部品501は、図129Aに示すように、共通の基板502上に、前述の第1〜第10参考例において述べた回路素子(抵抗、キャパシタ、ヒューズ、ダイオード、ツェナダイオード等)のうちの二つを選択的に搭載したペアチップである。二つの回路素子は、その境界領域507に対して左右対称となるように互いに隣り合って配置されている。
複合チップ部品501は、直方体形状をなしている。複合チップ部品501の平面形状は、二つの回路素子の並び方向(以下、基板502の横方向)に沿う辺(横辺582)および横辺582に直交する辺(縦辺581)を有する四角形である。複合チップ部品501の平面寸法は、たとえば、長さL5(縦辺581の長さ)=約0.3mm、幅W5=約0.15mmである03015サイズの二つの回路素子の組み合わせによって、0303サイズとされている。むろん、複合チップ部品501の平面寸法はこれに限るものではなく、たとえば、長さL5=約0.4mm、幅W5=約0.2mmである0402サイズの素子の組み合わせによって、0404サイズとされていてもよい。また、複合チップ部品501の厚さT5は約0.1mmであり、互いに隣り合う二つの回路素子との間の境界領域507の幅は約0.03mmであることが好ましい。
複合チップ部品501は、ウエハ上に多数個の複合チップ部品501を格子状に形成してから当該ウエハに溝を形成した後、裏面研磨(または当該基板を溝で分断)して個々の複合チップ部品501に分離することによって得られる。
二つの回路素子は、複合チップ部品501の本体を構成する基板502と、外部接続電極となる第1接続電極503および第2接続電極504と、第1接続電極503および第2接続電極504によって外部接続される素子領域505とを主に備えている。本参考例では、第1接続電極503は、二つの回路素子に跨るように形成されており、二つの回路素子の共通の電極となっている。
基板502は、略直方体のチップ形状である。基板502において図129Aにおける上面をなす一つの表面は、素子形成面502Aである。素子形成面502Aは、基板502において素子が形成される表面であり、略長方形状である。基板502の厚さ方向において素子形成面502Aとは反対側の面は、裏面502Bである。素子形成面502Aと裏面502Bとは、ほぼ同寸法かつ同形状であり、互いに平行である。素子形成面502Aにおける一対の縦辺581および横辺582によって区画された四角形状の縁を、周縁部585ということにし、裏面502Bにおける一対の縦辺581および横辺582によって区画された四角形状の縁を、周縁部590ということにする。素子形成面502A(裏面502B)に直交する法線方向から見ると、周縁部585と周縁部590とは、重なっている(後述する図129C,128D参照)。なお、基板502は、たとえば、裏面502B側からの研削または研磨によって薄型化された基板であってもよい。基板502の材料としては、シリコン基板に代表される半導体基板を用いてもよいし、ガラス基板を用いてもよいし、樹脂フィルムを用いてもよい。
基板502は、素子形成面502Aおよび裏面502B以外の表面として、複数の側面(側面502C、側面502D、側面502Eおよび側面502F)を有している。当該複数の側面502C〜502Fは、素子形成面502Aおよび裏面502Bのそれぞれに交差(詳しくは、直交)して延びて、素子形成面502Aおよび裏面502Bの間を繋いでいる。
側面502Cは、素子形成面502Aおよび裏面502Bにおける基板502の横方向に直交する縦方向(以下、基板502の縦方向)の一方側(図129Aにおける左手前側)の横辺582間に架設されていて、側面502Dは、素子形成面502Aおよび裏面502Bにおける基板502の縦方向の他方側(図129Aにおける右奥側)の横辺582間に架設されている。側面502Cおよび側面502Dは、当該縦方向における基板502の両端面である。
側面502Eは、素子形成面502Aおよび裏面502Bにおける基板502の横方向一方側(図129Aにおける左奥側)の縦辺581間に架設されていて、側面502Fは、素子形成面502Aおよび裏面502Bにおける基板502の横方向他方側(図129Aにおける右手前側)の縦辺581間に架設されている。側面502Eおよび側面502Fは、当該横方向における基板502の両端面である。
側面502Cおよび側面502Dのそれぞれは、側面502Eおよび側面502Fのそれぞれと交差(詳しくは、直交)している。そのため、素子形成面502A〜側面502Fにおいて隣り合うもの同士が直角を成している。
基板502では、素子形成面502Aおよび側面502C〜502Fのそれぞれの全域がパッシベーション膜523で覆われている。そのため、厳密には、図129Aでは、素子形成面502Aおよび側面502C〜502Fのそれぞれの全域は、パッシベーション膜523の内側(裏側)に位置していて、外部に露出されていない。さらに、複合チップ部品501は、樹脂膜524を有している。パッシベーション膜523および樹脂膜524については、基板2が基板502となっている点において異なるが、前述の第1〜第3参考例において説明したパッシベーション膜23および樹脂膜24と概ね同様の構成で形成されているので、その説明を省略する。
第1接続電極503および第2接続電極504は、基板502の素子形成面502A上において周縁部585を覆うように、素子形成面502Aおよび側面502C〜502Fに跨って形成された周縁部586,587を有している。本参考例では、周縁部586,587は、基板502の側面502C〜502F同士が交わる各コーナー部511を覆うように形成されている。また、基板502は、各コーナー部511が平面視で面取りされたラウンド形状となっている。これにより、複合チップ部品501の製造工程や実装時におけるチッピングを抑制できる構造となっている。
第1接続電極503は、平面視における4辺をなす1対の長辺503Aおよび短辺503Bを有している。長辺503Aと短辺503Bとは平面視において直交している。第2接続電極504は、平面視における4辺をなす1対の長辺504Aおよび短辺504Bを有している。長辺504Aと短辺504Bとは平面視において直交している。長辺503Aおよび長辺504Aは、基板502の横辺582と平行に延びていて、短辺503Bおよび短辺504Bは、基板502の縦辺581と平行に延びている。また、複合チップ部品501は、基板502の裏面502Bに電極を有していない。
第1および第2接続電極503,504の各表面には、複数の凸部96と平坦部97とが形成されている。複数の凸部96および平坦部97は、前述の第1〜第10参考例で述べたように、第1および第2接続電極503、504直下の領域に形成された所定のパターンPTにより同様の構成で形成されている。
図129Bは、複合チップ部品501が実装基板9に実装された状態の回路アセンブリ100の模式的な断面図である。図129Cは、回路アセンブリ100を複合チップ部品501の裏面502B側から見た模式的な平面図である。図129Dは、回路アセンブリ100を複合チップ部品501の素子形成面502A側から見た模式的な平面図である。なお、図129B〜図129Dでは、要部のみ示している。
図129B〜図129Dに示すように、複合チップ部品501は、実装基板9に実装される。この状態における複合チップ部品501および実装基板9は、回路アセンブリ100を構成している。なお、図129B〜図129Dでは、説明の便宜上、第1および第2接続電極503,504の凸部96および平坦部97の図示を省略して示している。
図129Bに示すように、実装基板9の上面は、実装面9Aである。実装面9Aには、複合チップ部品501用の実装領域589が区画されている。実装領域589は、本参考例では、図129Cおよび図129Dに示すように、平面視正方形状に形成されており、ランド588が配置されたランド領域592と、ランド領域592を取り囲むソルダレジスト領域593とを含む。
ランド領域592は、たとえば、複合チップ部品501が03015サイズの二つの回路素子を一つずつ備えるペアチップである場合、410μm×410μmの平面サイズを有する四角形(正方形)状である。つまり、ランド領域592の一辺の長さL501=410μmである。一方、ソルダレジスト領域593は、そのランド領域592を縁取るように、たとえば幅L502が25μmの四角環状に形成されている。
ランド588は、ランド領域592の四隅に一つずつ、合計4つ配置されている。本参考例では、各ランド588は、ランド領域592を区画する各辺から一定の間隔を空けた位置に設けられている。たとえば、ランド領域592の各辺から各ランド588までの間隔は、25μmである。また、互いに隣り合うランド588の間には、80μmの間隔が設けられている。各ランド588は、たとえばCuからなり、実装基板9の内部回路(図示せず)に接続されている。各ランド588の表面には、図129Bに示すように、はんだ13が当該表面から突出するように設けられている。
複合チップ部品501を実装基板9に実装する場合、図129Bに示すように、自動実装機(図示せず)の吸着ノズル76(図83等参照)を複合チップ部品501の裏面502Bに吸着してから吸着ノズル76を動かすことによって、複合チップ部品501を搬送する。このとき、吸着ノズル76は、裏面502Bにおける基板502の縦方向略中央部分に吸着する。前述したように、第1接続電極503および第2接続電極504は、複合チップ部品501の片面(素子形成面502A)および側面502C〜502Fにおける素子形成面502A側の端部だけに設けられていることから、複合チップ部品501において裏面502Bは、電極(凹凸)がない平坦面となる。よって、吸着ノズル76を複合チップ部品501に吸着して移動させる場合に、平坦な裏面502Bに吸着ノズル76を吸着させることができる。換言すれば、平坦な裏面502Bであれば、吸着ノズル76が吸着できる部分のマージンを増やすことができる。これによって、吸着ノズル76を複合チップ部品501に確実に吸着させ、複合チップ部品501を途中で吸着ノズル76から脱落させることなく確実に搬送できる。
また、複合チップ部品501が二つの回路素子を一対備えるペアチップであるため、たとえば抵抗器もしくはコンデンサを一つだけ搭載した単品チップを2回マウントする場合に比べて、同じ機能を有するチップ部品を1回のマウント作業で実装できる。さらに、単品チップに比べて、チップ一つ当たりの裏面面積を抵抗器もしくはコンデンサ2つ分以上に大きくできるので、吸着ノズル76による吸着動作を安定させることができる。
そして、複合チップ部品501を吸着した吸着ノズル76を実装基板9まで移動させる。このとき、複合チップ部品501の素子形成面502Aと実装基板9の実装面9Aとが互いに対向する。この状態で、吸着ノズル76を移動させて実装基板9に押し付け、複合チップ部品501において、第1接続電極503および第2接続電極504を、各ランド588のはんだ13に接触させる。
次に、はんだ13を加熱すると、はんだ13が溶融する。その後、はんだ13が冷却されて固まると、第1接続電極503および第2接続電極504と、ランド588とがはんだ13を介して接合する。つまり、各ランド588が、第1接続電極503および第2接続電極504において対応する電極にはんだ接合される。これにより、実装基板9への複合チップ部品501の実装(フリップチップ接続)が完了して、回路アセンブリ100が完成する。
完成状態の回路アセンブリ100では、複合チップ部品501の素子形成面502Aと実装基板9の実装面9Aとが、隙間を隔てて対向しつつ、平行に延びている。当該隙間の寸法は、第1接続電極503または第2接続電極504において素子形成面502Aから突き出た部分の厚みとはんだ13の厚さとの合計に相当する。
回路アセンブリ100では、第1接続電極503および第2接続電極504の周縁部586,587が、基板502の素子形成面502Aおよび側面502C〜502F(図129Bでは、側面502C,502Dのみ図示)に跨って形成されている。そのため、複合チップ部品501を実装基板9にはんだ付けする際の接着面積を拡大できる。その結果、第1接続電極503および第2接続電極504に対するはんだ13の吸着量を増やすことができるので、接着強度を向上させることができる。
また、実装状態において、少なくとも基板502の素子形成面502Aおよび側面502C〜502Fの二方向からチップ部品を保持できる。そのため、チップ部品1001の実装形状を安定させることができる。しかも、実装基板9へ実装後のチップ部品1001を4つのランド588によって四点支持できるため、実装形状を一層安定させることができる。
また、複合チップ部品501が、03015サイズの二つの回路素子を一対備えるペアチップである。そのため、複合チップ部品501用の実装領域589の面積を、従来に比べて大幅に縮小できる。
たとえば、本参考例では、実装領域589の面積は、図129Cを参照して、L503×L503=(L502+L501+L502)×(L502+L501+L502)=(25+410+25)×(25+410+25)=211600μm2で済む。
一方、図129Eに示すように、従来作製可能な最小サイズである0402サイズの単品チップ部品550を2つ実装基板9の実装面9Aに実装する場合には、319000μm2の実装領域551が必要であった。これから、本参考例の実装領域589と、従来の実装領域551との面積を比較すると、本参考例の構成では、約34%も実装面積を縮小できることが分かる。
なお、図129Eの実装領域551の面積は、ランド554が配置された各単品チップ部品550の実装エリア552の横幅L504=250μm、隣り合う実装エリア552の間隔L505=30μm、実装領域551の外周を構成するソルダレジスト領域の幅L506=25μm、および実装エリア552の長さL507=500μmに基づき、(L506+L504+L505+L504+L506)×(L506+L507+L506)=(25+250+30+250+25)×(25+500+25)=319000μm2として算出した。
<スマートフォン>
図130は、第1〜第11参考例に係るチップ部品が用いられる電子機器の一例であるスマートフォンの外観を示す斜視図である。スマートフォン1601は、扁平な直方体形状の筐体602の内部に電子部品を収納して構成されている。筐体602は表側および裏側に長方形状の一対の主面を有しており、その一対の主面が4つの側面で結合されている。筐体602の一つの主面には、液晶パネルや有機ELパネル等で構成された表示パネル603の表示面が露出している。表示パネル603の表示面は、タッチパネルを構成しており、使用者に対する入力インターフェースを提供している。
表示パネル603は、筐体602の一つの主面の大部分を占める長方形形状に形成されている。表示パネル603の一つの短辺に沿うように、操作ボタン604が配置されている。本参考例では、複数(3つ)の操作ボタン604が表示パネル603の短辺に沿って配列されている。使用者は、操作ボタン604およびタッチパネルを操作することによって、スマートフォン1601に対する操作を行い、必要な機能を呼び出して実行させることができる。
表示パネル603の別の一つの短辺の近傍には、スピーカ605が配置されている。スピーカ605は、電話機能のための受話口を提供するとともに、音楽データ等を再生するための音響化ユニットとしても用いられる。一方、操作ボタン604の近くには、筐体602の一つの側面にマイクロフォン606が配置されている。マイクロフォン606は、電話機能のための送話口を提供する他、録音用のマイクロフォンとして用いることもできる。
図131は、筐体602の内部に収容された回路アセンブリ100の構成を示す図解的な平面図である。回路アセンブリ100は、実装基板9と、実装基板9の実装面9Aに実装された回路部品とを含む。複数の回路部品は、複数の集積回路素子(IC)612〜620と、複数のチップ部品とを含む。複数のICは、伝送処理IC612、ワンセグTV受信IC613、GPS受信IC614、FMチューナIC615、電源IC616、フラッシュメモリ617、マイクロコンピュータ618、電源IC619およびベースバンドIC620を含む。
複数のチップ部品は、チップインダクタ1621,1625,1635、チップ抵抗器1622,1624,1633、チップキャパシタ1627,1630,1634、チップダイオード1628,1631および双方向ツェナーダイオードチップ1641〜1648を含む。これらのチップ部品は、前述の第1〜第11参考例で述べたチップ部品に相当するものであり、たとえばフリップチップ接合により実装基板9の実装面9Aに実装されている。
双方向ツェナーダイオードチップ1641〜1648は、ワンセグTV受信IC613、GPS受信IC614、FMチューナIC615、電源IC616、フラッシュメモリ617、マイクロコンピュータ618、電源IC619およびベースバンドIC620への信号入力ラインでのプラスマイナスのサージ吸収等を行うために設けられている。
伝送処理IC612は、表示パネル603に対する表示制御信号を生成し、かつ表示パネル603の表面のタッチパネルからの入力信号を受信するための電子回路を内蔵している。表示パネル603との接続のために、伝送処理IC612には、フレキシブル配線609が接続されている。
ワンセグTV受信IC613は、ワンセグ放送(携帯機器を受信対象とする地上デジタルテレビ放送)の電波を受信するための受信機を構成する電子回路を内蔵している。ワンセグTV受信IC613の近傍には、複数のチップインダクタ1621と、複数のチップ抵抗器1622と、複数の双方向ツェナーダイオードチップ1641とが配置されている。ワンセグTV受信IC613、チップインダクタ1621、チップ抵抗器1622および双方向ツェナーダイオードチップ1641は、ワンセグ放送受信回路623を構成している。チップインダクタ1621およびチップ抵抗器1622は、正確に合わせ込まれたインダクタンスおよび抵抗をそれぞれ有し、ワンセグ放送受信回路623に高精度な回路定数を与える。
GPS受信IC614は、GPS衛星からの電波を受信してスマートフォン1601の位置情報を出力する電子回路を内蔵している。GPS受信IC614の近傍には、複数の双方向ツェナーダイオードチップ1642が配置されている。
FMチューナIC615は、その近傍において実装基板9に実装された複数のチップ抵抗器1624、複数のチップインダクタ1625および複数の双方向ツェナーダイオードチップ1643と共に、FM放送受信回路626を構成している。チップ抵抗器1624およびチップインダクタ1625は、正確に合わせ込まれた抵抗値およびインダクタンスをそれぞれ有し、FM放送受信回路626に高精度な回路定数を与える。
電源IC616の近傍には、複数のチップキャパシタ1627、複数のチップダイオード1628および複数の双方向ツェナーダイオードチップ1644が実装基板9の実装面9Aに実装されている。電源IC616は、チップキャパシタ1627、チップダイオード1628および双方向ツェナーダイオードチップ1644と共に、電源回路629を構成している。
フラッシュメモリ617は、オペレーティングシステムプログラム、スマートフォン1601の内部で生成されたデータ、通信機能によって外部から取得したデータおよびプログラムなどを記録するための記憶装置である。フラッシュメモリ617の近傍には、複数の双方向ツェナーダイオードチップ1645が配置されている。
マイクロコンピュータ618は、CPU、ROMおよびRAMを内蔵しており、各種の演算処理を実行することにより、スマートフォン1601の複数の機能を実現する演算処理回路である。より具体的には、マイクロコンピュータ618の働きにより、画像処理や各種アプリケーションプログラムのための演算処理が実現されるようになっている。マイクロコンピュータ618の近傍には、複数の双方向ツェナーダイオードチップ1646が配置されている。
電源IC619の近くには、複数のチップキャパシタ1630、複数のチップダイオード1631および複数の双方向ツェナーダイオードチップ1647が、実装基板9の実装面9Aに実装されている。電源IC619は、チップキャパシタ1630、チップダイオード1631および双方向ツェナーダイオードチップ1647と共に、電源回路632を構成している。
ベースバンドIC620の近くには、複数のチップ抵抗器1633、複数のチップキャパシタ1634、複数のチップインダクタ1635および複数の双方向ツェナーダイオードチップ1648が、実装基板9の実装面9Aに実装されている。ベースバンドIC620は、チップ抵抗器1633、チップキャパシタ1634、チップインダクタ1635および複数の双方向ツェナーダイオードチップ1648と共に、ベースバンド通信回路636を構成している。ベースバンド通信回路636は、電話通信およびデータ通信のための通信機能を提供する。
このような構成によって、電源回路629,632によって適切に調整された電力が、伝送処理IC612、GPS受信IC614、ワンセグ放送受信回路623、FM放送受信回路626、ベースバンド通信回路636、フラッシュメモリ617およびマイクロコンピュータ618に供給される。マイクロコンピュータ618は、伝送処理IC612を介して入力される入力信号に応答して演算処理を行い、伝送処理IC612から表示パネル603に表示制御信号を出力して表示パネル603に各種の表示を行わせる。
タッチパネルまたは操作ボタン604の操作によってワンセグ放送の受信が指示されると、ワンセグ放送受信回路623の働きによってワンセグ放送が受信される。そして、受信された画像を表示パネル603に出力し、受信された音声をスピーカ605から音響化させるための演算処理が、マイクロコンピュータ618によって実行される。
また、スマートフォン1601の位置情報が必要とされるときには、マイクロコンピュータ618は、GPS受信IC614が出力する位置情報を取得し、その位置情報を用いた演算処理を実行する。
さらに、タッチパネルまたは操作ボタン604の操作によってFM放送受信指令が入力されると、マイクロコンピュータ618は、FM放送受信回路626を起動し、受信された音声をスピーカ605から出力させるための演算処理を実行する。
フラッシュメモリ617は、通信によって取得したデータの記憶や、マイクロコンピュータ618の演算や、タッチパネルからの入力によって作成されたデータを記憶するために用いられる。マイクロコンピュータ618は、必要に応じて、フラッシュメモリ617に対してデータを書き込み、またフラッシュメモリ617からデータを読み出す。
電話通信またはデータ通信の機能は、ベースバンド通信回路636によって実現される。マイクロコンピュータ618は、ベースバンド通信回路636を制御して、音声またはデータを送受信するための処理を行う。
以上、本発明の実施形態および参考例に係る形態について説明したが、本発明の実施形態および参考例に係る形態はさらに他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の第1〜第11実施形態では、抵抗、キャパシタ、ヒューズ、ダイオードがそれぞれ一つのチップ部品に形成された例について説明したが、抵抗、キャパシタ、ヒューズ、ダイオードが選択的に一つのチップ部品(たとえば、0603チップ、0402チップ、03015チップ)に形成されている例を採用してもよい。したがって、たとえば、一つのチップ部品に形成された素子領域5を二分割して、各分割された素子領域に、抵抗とキャパシタとを形成してもよいし、キャパシタとダイオードとを形成してもよい。
また、前述の第1〜第11実施形態では、複数の凹部6が第1および第2接続電極3,4の厚さ方向に向かって窪むように形成された例について説明したが、複数の凹部6は、第1および第2接続電極3,4を貫通するように形成されていてもよい。
また、前述の第1〜第11実施形態では、第1および第2接続電極3,4に複数の凹部6が形成された例について説明したが、複数の凹部6が一体的に連なったライン状(閉環状)の凹部6が形成されていてもよい。このようなライン状の凹部6は、たとえば図14Aにおいて説明した絶縁膜20の形成工程の際に、ライン状(閉環状)の下地凹部8を形成することにより得ることができる。この場合、ライン状の下地凹部8が形成されるようにマスクのレイアウトを変更するだけで良い。また、当該ライン状の凹部6をさらに取り囲むように第2、第3、またはそれ以上のライン状の凹部が形成されてもよい。
また、前述の第1〜第11実施形態では、第1および第2接続電極3,4の長辺3A,4Aおよび短辺3B,4Bに沿う領域に複数の凹部6が形成された例について説明したが、第1および第2接続電極3,4の長辺3A,4Aまたは短辺3B,4Bのいずれか一方に沿った領域にのみ、凹部6が形成されている例を採用してもよい。この場合、長辺3Aおよび短辺3Bのいずれにも凹部6が形成されている場合に比して凹部6の数は少ないため、当該凹部6によって光源15からの光が反射される部分も少なくなる。そのため、長辺3Aおよび短辺3Bのいずれにも凹部6が形成されている方が好ましいと言える。
また、第1および第2接続電極3,4の全面に凹部6が形成されている構成を採用してもよい。この場合、第1および第2接続電極3,4の全面により光源15からの光を反射できるので、より良好に部品認識カメラ14による検出が可能となる。一方で、第1および第2接続電極3,4に平坦部7が形成されないので、プローブ70aによる電気テスト(たとえば抵抗値の検出工程等(図11B参照))時において、プローブ70aが凹部6に入り込み、測定値に誤差を生じる可能性がある。したがって、プローブ70aの接触領域を確保できる程度に凹部6が第1および第2接続電極3,4に複数形成されていることが好ましい。
また、前述の第1〜第11実施形態では、第1接続電極3(第2接続電極4)の内方部に平坦部7が形成された例について説明したが、第1接続電極3(第2接続電極4)の長辺3A(長辺4A)および短辺3B(短辺4B)が交わる角部の領域に平坦部が形成されている例を採用してもよい。
また、前述の第1〜第11実施形態では、第1および第2接続電極3,4が基板2の縁部を覆うように、側面および素子形成面2Aに形成されている例について説明したが、第1および第2接続電極3,4は、素子形成面2A上のみに形成されていてもよい。この場合、たとえば、前述の第1実施形態の図11Dの工程において、切欠部25を形成する工程に代えて、配線膜22を選択的に露出させるコンタクトホールを絶縁膜45および樹脂膜46を貫通するように形成した後、第1および第2接続電極3,4を当該コンタクトホールを埋め戻すように形成すれば良い。
また、前述の第2〜第4実施形態では、上部電極膜および下部電極膜のうちの一方が複数の電極膜に分割されている構成を示したが、上部電極膜および下部電極膜が両方とも複数の電極膜部分に分割されていてもよい。
また、前述の第2〜第4実施形態では、上部電極膜または下部電極膜とヒューズユニットとが一体化されている例を示したが、上部電極膜または下部電極膜とは別の導体膜でヒューズユニットを形成してもよい。
また、前述の第2〜第4実施形態では、複数のキャパシタ要素が公比r(0<r、r≠1)=2の等比数列をなす容量値を有する複数のキャパシタ要素を有している例を示したが、当該等比数列の公比は2以外の数であってもよい。
また、前述の第2〜第4実施形態において、基板2として導電性基板を用い、その導電性基板を下部電極として用い、導電性基板の表面に接するように容量膜112を形成してもよい。この場合、導電性基板の裏面から一方の外部電極を引き出してもよい。
また、前述の第5実施形態において、可溶体部210の両側方に形成され、ダミーメタル212を一例として挙げた壁部は、基板2に対して浮いている必要はなく、基板2上に固定されていてもよい。
また、前述の第5実施形態では、下方の隙間216および上方の隙間225は等方性のドライエッチングによって形成されたが、これらの隙間216,225はウエットエッチングによって形成されてもよい。
また、前述の第6〜第9の実施形態では、4個のダイオードセルが基板2上に形成された例について説明したが、基板2上に2個または3個のダイオードセルが形成されていてもよく、4個以上のダイオードセルが形成されていてもよい。
また、前述の第6〜第9の実施形態では、pn接合領域またはショットキ接合領域が平面視において正八角形に形成されている例について説明したが、辺の数が3個以上の任意の多角形形状にpn接合領域またはショットキ接合領域を形成してもよいし、それらの平面形状を円形や楕円形としてもよい。pn接合領域またはショットキ接合領域の形状を多角形形状とする場合に、それらは正多角形形状である必要はなく、辺の長さが2種類以上の多角形によってそれらの領域を形成してもよい。さらにまた、pn接合領域またはショットキ接合領域は、同じ大きさに形成される必要はなく、異なる大きさの接合領域をそれぞれ有する複数のダイオードセルが基板2上に混在していてもよい。さらにまた、について説明したが、上に形成されるpn接合領域またはショットキ接合領域の形状は、1種類である必要はなく、2種以上の形状のpn接合領域またはショットキ接合領域が基板2上で混在していてもよい。
また、前述の第10実施形態では、p型半導体基板からなる基板2の例について説明したが、それに代えてn型半導体基板からなる基板を用いてもよい。n型半導体基板を用いる場合には、その主面にn型エピタキシャル層を形成し、n型エピタキシャル層の表層部にp+型の第1拡散領域とp+型の第2拡散領域とを形成すればよい。
また、前述の第10実施形態では、第1拡散領域410と第2拡散領域412とは、それらの配列方向に直交する方向に延びた長手に形成されているが、それらの配列方向に対して斜め方向に延びた長手に形成されていてもよい。
また、前述の第1〜第11参考例では、複数の凸部96が、平面視矩形状に形成されている例について説明したが、複数の凸部96は、平面視円形状に形成されていてもよい。
また、複数の凸部96は、平面視ハニカム状に配列されていてもよい。平面視ハニカム状に複数の凸部96が形成されている場合、互いに隣り合う凸部96間の幅は全て等しくなる。したがって、第1および第2接続電極3,4の表面に凸部96を無駄なく敷き詰めることができると共に、第1参考例において説明したように、凸部96が千鳥状に配列されている場合と同様の効果を奏することができる(図71も併せて参照)。この場合、配線膜22上には、配線膜22の表面をハニカム状に露出させるように第1および第2開口22B,22Cを有するパターンPT(樹脂膜24)が形成される。
また、前述の第1〜第11参考例では、複数の凸部96が、それぞれ互いに間隔を空けて形成されている例について説明したが、複数の凸部96のうち幾つかが互いに連なるように形成され、平面視長方形状、平面視凸形状、平面視凹形状等を構成していてもよい。
また、前述の第1〜第11参考例では、平坦部97と当該平坦部97の周囲に形成された複数の凸部96とが互いに間隔を空けて形成されている例について説明したが、平坦部97と当該平坦部97の周囲に形成された複数の凸部96とは、互いに連なるように形成されていてもよい。
また、前述の第1〜第11参考例では、複数の凸部96が第1および第2接続電極3,4形成された例について説明したが、複数の凸部96が一体的に連なったライン状(環状)の凸部が形成されていてもよい。このようなライン状の凸部96は、たとえば図78Cにおいて説明したパターンPT(切欠部25)の形成工程の際に、絶縁膜45および絶縁膜20のパターニング法を変更することにより得ることができる。すなわち、たとえば、第1参考例で説明したように、平坦部97の直下の領域では、第1開口22Bが形成されるように平面視環状のパターンが形成されるのであるが、当該環状のパターンの周囲をさらに取り囲むように複数の環状のパターンを形成すればよい。これにより、第1および第2接続電極3,4の各表面には、平坦部97の周囲を取り囲むように、ライン状(環状)の凸部が複数形成される。
また、前述の第1〜第11参考例では、第1および第2接続電極3,4の表面に平坦部97が形成されている例について説明したが、第1および第2接続電極3,4の表面全域に凸部96が形成されている構成を採用してもよい。この場合、第1および第2接続電極3,4の全面により光源15からの光を反射できるので、より良好に部品認識カメラ14による検出が可能となる。一方で、第1および第2接続電極3,4に平坦部97が形成されないので、プローブ70a,70bによる電気テスト(たとえば抵抗値の検出工程等(図78D,図78H参照)時において、プローブ70a,70b(より具体的には、プローブ70a,70bの先端部以外の部分)が凸部96と接触する可能性がある。したがって、プローブ70a,70bの接触領域を確保できる程度に凸部96が第1および第2接続電極3,4に複数形成されていることが好ましい。
また、前述の第1〜第11参考例では、第1および第2接続電極3,4の内方部に平坦部97が形成された例について説明したが、第1および第2接続電極3,4の長辺3A,4Aおよび短辺3B,4Bが交わる角部の領域に平坦部が形成されている例を採用してもよい。
また、前述の第1〜第11参考例では、第1および第2接続電極3,4の表面に平面視長方形状の平坦部97が形成された例について説明したが、平面視長方形状の平坦部97に代えて、平面視多角形状、平面視円形状等の平坦部が形成されていてもよい。この場合、配線膜22上には、平坦部が形成される領域に対応する位置に、平面視多角形状、平面視円形状の第1開口22Bを含むパターンPTを形成すればよい。
また、前述の第1〜第11参考例では、配線膜22上に樹脂膜を含むパターンPTが形成されている例について説明したが、樹脂膜以外の材料、たとえば、SiO2、SiN等の絶縁材料によりパターンPTが形成されていてもよい。
また、前述の第1〜第11参考例では、第1および第2接続電極3,4が基板2の縁部を覆うように、側面および素子形成面2Aに形成されている例について説明したが、第1および第2接続電極3,4は、素子形成面2A上のみに形成されていてもよい。この場合、たとえば、前述の第1参考例の図78Bの工程において、切欠部25を形成する工程に代えて、配線膜22を選択的に露出させるコンタクトホールを絶縁膜45および樹脂膜46を貫通するように形成した後、第1および第2接続電極3,4を当該コンタクトホールを埋め戻すように形成すれば良い。
また、前述の第1〜第5参考例では、基板2の表面に絶縁膜20が形成されているが、基板2が絶縁性の基板(たとえばセラミック基板)であれば、絶縁膜20を省くことができる。そのため、チップ部品の製造工程を簡略化できる。
また、前述の第2〜第4参考例では、上部電極膜および下部電極膜のうちの一方が複数の電極膜に分割されている構成を示したが、上部電極膜および下部電極膜が両方とも複数の電極膜部分に分割されていてもよい。
また、前述の第2〜第4参考例では、上部電極膜または下部電極膜とヒューズユニットとが一体化されている例を示したが、上部電極膜または下部電極膜とは別の導体膜でヒューズユニットを形成してもよい。
また、前述の第2〜第4参考例では、複数のキャパシタ要素が公比r(0<r、r≠1)=2の等比数列をなす容量値を有する複数のキャパシタ要素を有している例を示したが、当該等比数列の公比は2以外の数であってもよい。
また、前述の第2〜第4参考例において、基板2として導電性基板を用い、その導電性基板を下部電極として用い、導電性基板の表面に接するように容量膜112を形成してもよい。この場合、導電性基板の裏面から一方の外部電極を引き出してもよい。
また、前述の第5参考例において、可溶体部210の両側方に形成され、ダミーメタル212を一例として挙げた壁部は、基板2に対して浮いている必要はなく、基板2上に固定されていてもよい。
また、前述の第5参考例では、下方の隙間216および上方の隙間225は等方性のドライエッチングによって形成されたが、これらの隙間216,225はウエットエッチングによって形成されてもよい。
また、前述の第6〜第9参考例では、4個のダイオードセルが基板2上に形成された例について説明したが、基板2上に2個または3個のダイオードセルが形成されていてもよく、4個以上のダイオードセルが形成されていてもよい。
また、前述の第6〜第9参考例では、pn接合領域またはショットキ接合領域が平面視において正八角形に形成されている例について説明したが、辺の数が3個以上の任意の多角形形状にpn接合領域またはショットキ接合領域を形成してもよいし、それらの平面形状を円形や楕円形としてもよい。pn接合領域またはショットキ接合領域の形状を多角形形状とする場合に、それらは正多角形形状である必要はなく、辺の長さが2種類以上の多角形によってそれらの領域を形成してもよい。さらにまた、pn接合領域またはショットキ接合領域は、同じ大きさに形成される必要はなく、異なる大きさの接合領域をそれぞれ有する複数のダイオードセルが基板2上に混在していてもよい。さらにまた、について説明したが、上に形成されるpn接合領域またはショットキ接合領域の形状は、1種類である必要はなく、2種以上の形状のpn接合領域またはショットキ接合領域が基板2上で混在していてもよい。
また、前述の第10参考例では、p型半導体基板からなる基板2の例について説明したが、それに代えてn型半導体基板からなる基板を用いてもよい。n型半導体基板を用いる場合には、その主面にn型エピタキシャル層を形成し、n型エピタキシャル層の表層部にp+型の第1拡散領域とp+型の第2拡散領域とを形成すればよい。
また、前述の第10参考例では、第1拡散領域410と第2拡散領域412とは、それらの配列方向に直交する方向に延びた長手に形成されているが、それらの配列方向に対して斜め方向に延びた長手に形成されていてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。この明細書および図面から抽出される特徴を以下に示す。
たとえば、図67〜図131を参照して、良好に表裏判定でき、円滑に実装基板に実装できるチップ部品およびその製造方法を提供すること、ならびに、当該チップ部品を備えた回路アセンブリ、およびこのような回路アセンブリを備えた電子機器を提供することを目的とする場合、以下のA1〜A23に示すような特徴を有するチップ部品が抽出され得る。
A1:基板と、前記基板上に形成され、上方に向けて突出する所定パターンの複数の凸部が形成された凸部形成部を含む表面を有する電極と、前記電極と電気的に接続された回路素子を有する素子領域とを含む、チップ部品。
この構成によれば、たとえチップ部品が傾いた姿勢で吸着されていても、光源から電極に照射された光は、チップ部品の最表面に形成された電極の凸部によって乱反射される。チップ部品の電極には、このような凸部が複数形成されているため、たとえ、チップ部品が傾いた姿勢で吸着ノズルにより吸着されていても、光源からの入射光をあらゆる方向に反射させることができる。そのため、部品検出位置(部品認識カメラによる表裏判定が行われる位置)に対して部品認識カメラがどのように配置されていても、当該部品認識カメラにより電極を良好に検出できる。これにより、自動実装機は、チップ部品の仕様による誤認識を軽減できるので、チップ部品の実装基板に対する実装を円滑に行うことができる。
しかも、チップ部品の電極に凸部を形成するという加工で済むので、仕様の異なるチップ部品に適用できる。そのため、チップ部品の仕様毎に、部品認識カメラの周囲に配置する光源の条件(仕様)を変更する必要はない。
A2:前記基板と前記電極との間に形成され、前記電極と前記回路素子とを電気的に接続する配線膜と、前記配線膜上に形成され、前記複数の凸部の下方位置に選択的に開口が形成された絶縁パターンとを含む、A1に記載のチップ部品。
この構成によれば、電極の表面に形成された凸部は、配線膜上に形成された絶縁パターンにより形成できる。すなわち、電極の表面に別途凸部を形成するための工程を追加しなくとも、配線膜に予め絶縁パターンを形成しておくことにより、その後、所定の条件で開口を電極材料で埋め戻すことにより、電極の形成と同時に、配線膜に形成された絶縁パターンを利用して、電極の表面に凸部を形成できる。
A3:前記絶縁パターンは、最表面に樹脂膜を有する絶縁膜の積層構造からなる、A2に記載のチップ部品。
A4:前記樹脂膜は、ポリイミドからなる、A3に記載のチップ部品。
A5:前記凸部形成部は、前記複数の凸部が、互いに直交する行方向および列方向において一定の間隔で行列状に配列されたパターンを含む、A1〜A4のいずれか一つに記載のチップ部品。
この構成によれば、光源からの光をむらなく反射させることができるので、部品認識カメラにより電極をより一層良好に検出できる。
A6:前記凸部形成部は、前記複数の凸部が、互いに直交する行方向および列方向において1列おきに行方向の位置をずらして千鳥状に配列されたパターンを含む、A1〜A5のいずれか一つに記載のチップ部品。
凸部が行列状に配列されたパターンを含む前述の構成の場合、電極の表面には、凸部の頂部よりも厚さ方向に窪んだ部分(以下、「電極の底部」という。)が網目状に形成されている。電極の底部は、行方向に延びるパターンと列方向に延びるパターンとを含む。行方向および列方向に延びる電極の底部のパターンが交差する十字状の交差部では、当該交差部の対角線方向(すなわち、凸部の角部と当該凸部の中心を挟んで対向する角部とを結ぶ直線方向)の幅が、行方向および列方向に延びる電極の底部の各幅よりも幅広に形成されている。交差部では、行方向および列方向に延びる電極の底部が重なって形成されているので、当該交差部上に形成される電極の底部が、他の部分よりもさらに深く形成される可能性がある。したがって、たとえば、電極の底部の直下の領域に下地層として絶縁パターンが形成されている場合には、絶縁パターンの表面が露出する可能性がある。
そこで、凸部が千鳥状に配列されたパターンを含む電極の表面を形成することにより、電極の底部によって形成されるパターンの交差部を十字状からT字状にできる。すなわち、交差部に隣接する凸部の数を4つから3つに減らすことができ、交差部で互いに隣接する3つの凸部間の距離を、行方向および列方向に互いに隣接する凸部間の距離と一致させることができる。これにより、電極の底部が、交差部で重なって形成されることを防止できるので、電極の底部が、深く形成されることを効果的に抑制できる。
A7:前記電極の表面には、各前記凸部よりも広い面積を有する平坦部が形成されている、A1〜A6のいずれか一つに記載のチップ部品。
チップ部品の製造工程では、素子領域に形成された回路素子のプロービング(電気的テスト)が実施されるのであるが、この構成のように電極の表面に凸部よりも広い面積を有する平坦部を設けておくことで、プローブ(より具体的には、プローブの先端部以外の部分)が凸部と接触することを抑制または防止できる。その結果、プロービングを良好に行うことができる。また、実装基板に実装する際の接続面積も良好に確保できる。
前記平坦部は、前記電極の内方部に形成されていることが好ましい。この構成によれば、プローブと電極とが接触する位置を電極の内方部に限定できるので、プローブが凸部と接触することを効果的に抑制または防止できる。
A8:前記凸部形成部は、前記平坦部を取り囲むように形成されている、A7に記載のチップ部品。
A9:前記電極は、前記基板の表面の縁部を覆うように、当該表面および側面に一体的に形成されている、A1〜A8のいずれか一つに記載のチップ部品。
A10:前記基板は平面視において矩形状であり、前記電極は、前記基板の三方の縁部を覆うように形成されている、A9に記載のチップ部品。
A11:前記電極は、互いに間隔を空けて形成された一対の電極を含み、前記素子領域は、前記一対の電極の間に形成されている、A1〜A10のいずれか一つに記載のチップ部品。
A12:前記素子領域は、前記基板上において、互いに異なる機能を有する複数の回路素子が互いに間隔を空けて配置された複数の素子領域を含み、前記電極は、各前記複数の回路素子にそれぞれ接続されるように、前記基板の表面に形成された一対の電極を含む、A1〜A11のいずれか一つに記載のチップ部品。
この構成によれば、チップ部品は、複数の回路素子が共通の基板上に配置された複合チップ部品を構成している。複合チップ部品によれば、実装基板に対する接合面積(実装面積)を縮小できる。また、複合チップ部品をN連チップ(Nは、正の整数)としたことによって、素子を一つだけ搭載したチップ部品をN回実装する場合に比べて、同じ機能を有するチップ部品を1回の工程で実装できる。さらに、単品チップに比べて、チップ部品一つ当たりの面積を大きくできるので、自動実装機の吸着ノズルによる吸着動作を安定させることができる。
A13:前記電極は、Ni層と、Au層と、前記Ni層と前記Au層との間に介在するPd層とを含む、A1〜A12のいずれか一つに記載のチップ部品。
この構成によれば、チップ部品の外部接続電極として機能する電極の最表面には、Au層が形成されている。そのため、チップ部品を実装基板に実装する際に、優れたはんだ濡れ性と、高い信頼性とを達成できる。また、この構成の電極では、Au層を薄くすることによってAu層に貫通孔(ピンホール)ができてしまっても、Ni層とAu層との間に介装されたPd層が当該貫通孔を塞いでいるので、当該貫通孔からNi層が外部に露出されて酸化することを防止できる。
A14:前記回路素子は、抵抗を含む、A1〜A13のいずれか一つに記載のチップ部品。
A15:前記回路素子は、キャパシタを含む、A1〜A14のいずれか一つに記載のチップ部品。
A16:前記回路素子は、ヒューズを含む、A1〜A15のいずれか一つに記載のチップ部品。
A17:前記回路素子は、ダイオードを含む、A1〜A16のいずれか一つに記載のチップ部品。
ダイオードとしては、pnダイオード、ショットキダイオード、ツェナーダイオード等を例示できる。
A18:A1〜A17のいずれか一つに記載のチップ部品と、前記基板の前記表面に対向する実装面に、前記電極にはんだ接合されたランドを有する実装基板とを含む、回路アセンブリ。
A19:A18に記載の回路アセンブリと、前記回路アセンブリを収容した筐体とを含む、電子機器。
A20:基板上に設定された素子領域が有する回路素子と電気的に接続される配線膜を、前記基板上に形成する工程と、前記配線膜を選択的に露出させる複数の開口が形成されるように、前記配線膜上に絶縁パターンを形成する工程と、前記絶縁パターンの前記複数の開口の上方位置に選択的に複数の凸部を有する凸部形成部が形成されるように、前記絶縁パターンを電極材料で覆うことによって、前記絶縁パターン上に電極を形成する工程とを含む、チップ部品の製造方法。
この方法によれば、基板上に形成される電極の表面に複数の凸部が形成されたチップ部品を製造できる。したがって、前述のチップ部品と同様の効果を奏するチップ部品を製造できる。
A21:前記絶縁パターンを形成する工程は、前記複数の開口が、互いに直交する行方向および列方向において一定の間隔で行列状に配列されるパターンで、前記絶縁パターンを形成する工程を含む、A20に記載のチップ部品の製造方法。
この方法によれば、電極の表面に複数の凸部が行列状に形成されたチップ部品を製造できる。
A22:前記絶縁パターンを形成する工程は、前記複数の開口が、互いに直交する行方向および列方向において1列おきに行方向の位置をずらして千鳥状に配列されるパターンで、前記絶縁パターンを形成する工程を含む、A20またはA21に記載のチップ部品の製造方法。
この方法によれば、電極の表面に複数の凸部が千鳥状に形成されたチップ部品を製造できる。
A23:前記絶縁パターンを形成する工程は、各前記開口よりも広い面積を有する平坦な絶縁材料部が形成されるようなパターンで、前記絶縁パターンを形成する工程を含む、A20〜A22のいずれか一つに記載のチップ部品の製造方法。
この方法によれば、電極の表面に平坦部が形成されたチップ部品を製造できる。