以下に、添付図面を参照して、本発明にかかるリアクトルコアおよびこれを用いたリアクトルの好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本実施の形態により、本発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一構成部分には同一符号を付している。
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1にかかるリアクトルコアを適用したリアクトルの構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態1にかかるリアクトルの一構成例を示す図である。図2は、図1に示すリアクトルのA−A線断面を示す断面図である。図1,2に示すように、本実施の形態1にかかるリアクトル1は、複数のギャップが設けられた2つの脚部2a,2bを有するリアクトルコア2と、これら2つの脚部2a,2bに巻回する2つのコイル9a,9bを一組とするコイル組9とを備える。
リアクトルコア2は、リアクトル1用の磁心であり、図1,2に示すように、電磁鋼板の積層構造を有する2個の積層コア3,5を用いて構成される。具体的には、リアクトルコア2は、所定の間隔をあけて並ぶ2つの脚部2a,2bと、これら2つの脚部2a,2bを挟んで対向する一対のヨーク部3e,5eとを有する。図1に示すように、リアクトルコア2の2つの脚部2a,2bのうち、一方の脚部2aは、積層コア3と積層コア5との対向する脚部3a,5b同士を接合した接合体である。他方の脚部2bは、積層コア3と積層コア5との対向する脚部3b,5a同士を接合した接合体である。すなわち、積層コア3,5同士の接合部分は、一方の脚部3a,5b同士の接合部7と他方の脚部3b,5a同士の接合部8との2箇所のみである。リアクトルコア2は、このような接合部7,8を境にして、積層コア3と積層コア5とに分割される。また、図1に示すように、リアクトルコア2の一方の脚部2aには、ヨーク部3e,5e間に延在する脚部2aの延在方向に沿って4箇所に切れ込みギャップ4a〜4dが設けられる。リアクトルコア2の他方の脚部2bには、ヨーク部3e,5e間に延在する脚部2bの延在方向に沿って4箇所に切れ込みギャップ4e〜4hが設けられる。ヨーク部3eは、積層コア3の一部分であり、リアクトルコア2の脚部2a,2bの一端部同士を一体的に連結する。ヨーク部5eは、積層コア5の一部分であり、リアクトルコア2の脚部2a,2bの他端部同士を一体的に連結する。
コイル組9は、リアクトルコア2の2つの脚部2a,2bに各々挿入する2つのコイル9a,9bを一組とするものである。コイル9a,9bは、各々螺旋状に巻回され、互いに直列接続される。コイル9a内には、リアクトルコア2の脚部2aが挿入される。この際、コイル9aの一方の開口端側から積層コア3の脚部3aがコイル9a内に挿入され、コイル9aの他方の開口端側から積層コア5の脚部5bがコイル9a内に挿入される。これら脚部3a,5b同士は、コイル9a内において接合されることにより、リアクトルコア2の脚部2aとなる。この結果、コイル9aは、その内部に脚部2aを挿入するとともに、この脚部2aに巻回した状態となる。このようなコイル9a内には、図1に示すように、脚部2aの切れ込みギャップ4a〜4dおよび接合部7が位置する。一方、コイル9b内には、リアクトルコア2の脚部2bが挿入される。この際、コイル9bの一方の開口端側から積層コア3の脚部3bがコイル9b内に挿入され、コイル9bの他方の開口端側から積層コア5の脚部5aがコイル9b内に挿入される。これら脚部3b,5a同士は、コイル9b内において接合されることにより、リアクトルコア2の脚部2bとなる。この結果、コイル9bは、その内部に脚部2bを挿入するとともに、この脚部2bに巻回した状態となる。このようなコイル9b内には、図1に示すように、脚部2bの切れ込みギャップ4e〜4hおよび接合部8が位置する。上述したようにリアクトルコア2の脚部2a,2bに各々巻回した状態のコイル9a,9bは、通電によって励磁し、これにより、磁束を発生させる。発生した磁束は、リアクトルコア2に沿って、その脚部2a,2bおよびヨーク部3e,5eの各内部を通る。すなわち、リアクトルコア2は、磁路を形成する。このようなリアクトルコア2の磁路を通る磁束は、図1に示す脚部2a,2bの切れ込みギャップ4a〜4hを横切る。
つぎに、本発明の実施の形態1にかかるリアクトルコア2の構成の詳細について説明する。図3は、本発明の実施の形態1にかかるリアクトルコアの一構成例を示す図である。なお、図3には、本実施の形態1にかかるリアクトルコア2を分解した状態が図示されている。図3に示すように、本実施の形態1にかかるリアクトルコア2は、電磁鋼板を積層してなる積層体を用いて形成される一対の積層コア3,5を備える。
積層コア3,5は、各々、電磁鋼板の積層体を用いて一体的に形成される複数の脚部を有するコア部材である。具体的には、図3に示すように、積層コア3は、電磁鋼板の積層体をその積層方向(図2参照)から見てJ字状の外形となるように形成したコア部材であり、2つの脚部3a,3bとヨーク部3eとを有する。これら2つの脚部3a,3bとヨーク部3eとは、電磁鋼板の積層体を用いて一体的に形成される。この際、2つの脚部3a,3bは、ヨーク部3eから同じ方向側に延出する態様に各々形成される。これら2つの脚部3a,3bにおいて、一方の脚部3aは、ヨーク部3eからの延出長さが他方の脚部3bよりも長くなるように形成される。また、一方の脚部3aの先端面は、後述する積層コア5の脚部5bの先端面と突き合わせる部分すなわち突合せ部3cである。他方の脚部3bの先端面は、後述する積層コア5の脚部5aの先端面と突き合わせる部分すなわち突合せ部3dである。積層コア5は、上述した積層コア3と同様に電磁鋼板の積層体をJ字状の外形に形成したコア部材であり、2つの脚部5a,5bとヨーク部5eとを有する。これら2つの脚部5a,5bとヨーク部5eとは、電磁鋼板の積層体を用いて一体的に形成される。この際、2つの脚部5a,5bは、ヨーク部5eから同じ方向側に延出する態様に各々形成される。これら2つの脚部5a,5bにおいて、一方の脚部5aは、ヨーク部5eからの延出長さが他方の脚部5bよりも長くなるように形成される。また、一方の脚部5aの先端面は、上述した積層コア3の脚部3bの先端面(突合せ部3d)と突き合わせる部分すなわち突合せ部5cである。他方の脚部5bの先端面は、上述した積層コア3の脚部3aの先端面(突合せ部3c)と突き合わせる部分すなわち突合せ部5dである。上述した積層コア3,5のヨーク部3e,5eは、一方の突合せ部3c,5d同士を突き合わせて接合される脚部3a,5bと、他方の突合せ部3d,5c同士を突き合わせて接合される脚部3b,5aとを挟んで互いに対向するように配置される。
また、積層コア3,5の複数の脚部には、積層コア3と積層コア5との対向する脚部毎に脚部の磁路方向に沿ってギャップが複数並ぶように設けられる。これら複数のギャップは、積層体の積層方向に脚部の一部を貫通し、且つ、この積層方向と脚部の磁路方向とに垂直なコア幅方向に延在して脚部の磁路を横切るギャップである。本発明において、積層体の積層方向は、積層コア3,5を構成する電磁鋼板の積層体の積層方向(図2参照)である。以下、この積層体の積層方向は、「積層方向」と適宜略して称する。脚部の磁路方向は、リアクトルコア2によって形成される磁路(例えば閉磁路)のうちの脚部2a,2b(図1参照)における磁路の方向である。この磁路方向は、図3に示すように、積層コア3,5の脚部3a,3b,5a,5bの延出方向に平行な方向である。以下、この脚部の磁路方向は、「磁路方向」と適宜略して称する。コア幅方向は、上述した積層方向と磁路方向とに垂直な方向であり、図3に示すように、積層コア3,5の脚部3a,3b,5a,5bの幅方向と同じ方向である。
本実施の形態1においては、積層コア3と積層コア5との対向する脚部3a,5bの接合体にギャップが磁路方向に沿って複数並ぶように設けられる。具体的には、図3に示すように、これら2つの脚部3a,5bのうちの積層コア3の脚部3aに切れ込みギャップ4a〜4dが設けられる。切れ込みギャップ4a〜4dの各々は、積層方向に脚部3aの一部を貫通し且つコア幅方向に延在する中空のギャップ(空隙)の一例である。切れ込みギャップ4a〜4dは、図3に示すように、脚部3aの磁路方向(延出方向)に沿って脚部3aの4箇所に各々形成される。これら4箇所の切れ込みギャップ4a〜4dのうち、2箇所の切れ込みギャップ4b,4dは、脚部3aの内側からコア幅方向に切れ込んで形成される。この脚部3aの内側は、図3に示す脚部3aのコア幅方向の一端面側、すなわち、脚部3aと脚部3b,5aとの対向する端面側である。一方、残り2箇所の切れ込みギャップ4a,4cは、脚部3aの外側からコア幅方向に切れ込んで形成される。この脚部3aの外側は、図3に示す脚部3aのコア幅方向の他端面側、すなわち、上述した脚部3aの内側と反対の端面側である。本実施の形態1における積層コア3と積層コア5との対向する脚部3a,5bにおいて、内側からの切れ込みギャップ4b,4dおよび外側からの切れ込みギャップ4a,4cは、図3に示すように、脚部3aの磁路方向に沿って交互に設けられる。このような切れ込みギャップ4a〜4dは、図1に示したリアクトルコア2の脚部2aの磁路(特に脚部3aの磁路)を横切る。なお、上述した脚部3aの内側と外側との関係は、この脚部3aに対向する脚部5bにおいても同様である。
また、本実施の形態1においては、積層コア3と積層コア5との対向する脚部3b,5aの接合体にギャップが磁路方向に沿って複数並ぶように設けられる。具体的には、図3に示すように、これら2つの脚部3b,5aのうちの積層コア5の脚部5aに切れ込みギャップ4e〜4hが設けられる。切れ込みギャップ4e〜4hの各々は、積層方向に脚部5aの一部を貫通し且つコア幅方向に延在する中空のギャップ(空隙)の一例である。切れ込みギャップ4e〜4hは、図3に示すように、脚部5aの磁路方向(延出方向)に沿って脚部5aの4箇所に各々形成される。これら4箇所の切れ込みギャップ4e〜4hのうち、2箇所の切れ込みギャップ4f,4hは、脚部5aの内側からコア幅方向に切れ込んで形成される。この脚部5aの内側は、図3に示す脚部5aのコア幅方向の一端面側、すなわち、脚部5aと脚部3a,5bとの対向する端面側である。一方、残り2箇所の切れ込みギャップ4e,4gは、脚部5aの外側からコア幅方向に切れ込んで形成される。この脚部5aの外側は、図3に示す脚部5aのコア幅方向の他端面側、すなわち、上述した脚部5aの内側と反対の端面側である。本実施の形態1における積層コア3と積層コア5との対向する脚部3b,5aにおいて、内側からの切れ込みギャップ4f,4hおよび外側からの切れ込みギャップ4e,4gは、図3に示すように、脚部5aの磁路方向に沿って交互に設けられる。このような切れ込みギャップ4e〜4hは、図1に示したリアクトルコア2の脚部2bの磁路(特に脚部5aの磁路)を横切る。なお、上述した脚部5aの内側と外側との関係は、この脚部5aに対向する脚部3bにおいても同様である。
上述したように積層コア3と積層コア5との対向する脚部毎に設けられた切れ込みギャップ4a〜4hにおいて、ギャップ間隔Hおよびギャップ長Lは、以下に示すとおりである。ギャップ間隔Hは、積層コア3,5の脚部3a,3b,5a,5bの磁路方向に隣り合う複数のギャップの間隔である。すなわち、本実施の形態1において、切れ込みギャップ4a〜4dの各間のギャップ間隔Hは、脚部3aの幅Wの3/4以下である。切れ込みギャップ4e〜4hの各間のギャップ間隔Hは、脚部5aの幅Wの3/4以下である。このギャップ間隔Hの下限値は、脚部3a,5aを構成する電磁鋼板の積層体の強度を考慮し、例えば、脚部3aの一体構造および脚部5aの一体構造をともに維持できる最小の間隔に設定される。なお、脚部3a,3b,5a,5bの各幅Wは、脚部3a,3b,5a,5bのコア幅方向(図3参照)の長さである。一方、ギャップ長Lは、例えば図3に示すように、積層コア3,5に設けるギャップのコア幅方向の長さである。すなわち、本実施の形態1において、切れ込みギャップ4a〜4dの各ギャップ長Lは、脚部3aの幅Wの3/4以上である。切れ込みギャップ4e〜4hの各ギャップ長Lは、脚部5aの幅Wの3/4以上である。すなわち、脚部3a,5aは、その幅Wからギャップ長Lを減じた残りの部分(詳細には幅Wの1/4以下の部分)が繋がって一体化した構造を有する。ここで、ギャップ長Lの上限値は、脚部3a,5aを構成する電磁鋼板の積層体の強度を考慮し、例えば、脚部3aの一体構造および脚部5aの一体構造をともに維持できる最大の長さに設定される。例えば、本実施の形態1において、ギャップ長Lの上限値は、脚部3a,5aの各幅Wの5/6未満に設定される。
また、上述した切れ込みギャップ4a〜4hにおいて、ギャップ厚dは、例えば図3に示すように、積層コア3,5に設けるギャップの磁路方向の長さである。切れ込みギャップ4a〜4hの各ギャップ厚dは、脚部長と、脚部毎の切れ込みギャップ数と、上述したギャップ間隔Hとによって設定される。なお、脚部長は、ギャップを設ける脚部の磁路方向の長さであり、本実施の形態1においては脚部3a,5aの各延出長さである。
なお、上述した積層コア3,5に用いる積層体をなす電磁鋼板の性状および寸法等は本発明において特に問われないが、板厚が0.35[mm]以下であり、シリコン(Si)濃度が3.0〜7.0[重量%]の範囲内にある電磁鋼板を積層コア3,5に用いることが好ましい。これは、以下の理由による。すなわち、電磁鋼板の板厚が0.35[mm]を超過する場合、電磁鋼板の渦電流層が増加し、これにより、電磁鋼板の高周波磁気特性が劣化する傾向にある。延いては、電磁鋼板の積層体を用いた積層コア3,5の高周波磁気特性が劣化する。また、電磁鋼板のSi濃度が3.0[重量%]未満である場合、比抵抗が小さいためにコアロスが上昇する傾向にある。電磁鋼板のSi濃度が7.0[重量%]を超過する場合、珪素鋼板が非常に脆くなるため、電磁鋼板の積層体を用いた積層コア3,5の製造が困難になるのみならず、製造後の積層コア3,5の取り扱いも困難になる虞がある。積層コア3,5の高周波磁気特性を一層向上させるためには、電磁鋼板の板厚を0.2[mm]にすることが望ましく、また、積層コア3,5の電磁鋼板として、Si濃度が5.0〜7.0[重量%]の範囲内にある高珪素鋼板を用いることが望ましい。一方、電磁鋼板の板厚の中心層と表層との間においてSi濃度に傾斜をつけてもよい。これにより、10[kHz]以上の高周波領域におけるコアロスが低減され、この結果、高周波鉄損の低減に有利な積層コア3,5(延いてはリアクトルコア2)が形成可能となる。この場合、電磁鋼板の表層のSi濃度が3.0〜7.0[重量%]の範囲内にあることが必要である。また、電磁鋼板の中心層のSi濃度が3.0〜4.0[重量%]の範囲内にあり且つ電磁鋼板の表層のSi濃度が5.0〜7.0[重量%]の範囲内にあることが好ましい。
つぎに、本発明の実施の形態1にかかるリアクトルコア2を適用したリアクトル1の製造方法について説明する。図4は、本発明の実施の形態1にかかるリアクトルの製造方法の一例を示すフローチャートである。図5は、リアクトルコアを構成する積層コアの各脚部をコイル内に挿入する状態を示す図である。図6は、コイル内において積層コアの脚部同士を接合した状態を示す図である。
本実施の形態1にかかるリアクトル1(図1参照)の製造方法において、図4に示すように、まず、ギャップ付きの脚部を有する一対の積層コアと一組のコイルとを準備する準備工程が行われる(ステップS101)。このステップS101においては、図3に示したように、電磁鋼板の積層体を用いて一体的に形成される2つの脚部3a,3bとヨーク部3eとを備える積層コア3と、これと同じ電磁鋼板の積層体を用いて一体的に形成される2つの脚部5a,5bとヨーク部5eとを備える積層コア5とが形成される。積層コア3の脚部3aには、切削加工等により、4箇所の切れ込みギャップ4a〜4dが磁路方向に沿って交互に設けられている。これと同様に、積層コア5の脚部5aには、4箇所の切れ込みギャップ4e〜4hが磁路方向に沿って交互に設けられている。このような一対の積層コア3,5において、各脚部3a,3b,5a,5bは同じ幅Wを有し、各切れ込みギャップ4a〜4hは、同じギャップ間隔Hをなし且つ同じギャップ長Lおよび同じギャップ厚dの形状に形成されることが望ましい。一方、銅線等の金属線を絶縁被覆したものを螺旋状に巻回して、脚部3a,3b,5a,5bに応じた2つのコイル9a,9bを一組とするコイル組9が形成される。
続いて、一対の積層コア3,5の各脚部3a,3b,5a,5bをコイル組9のコイル9a,9b内に挿入する挿入工程が行われる(ステップS102)。このステップS102においては、図5に示すように、積層コア3と積層コア5との対向する2つの脚部3a,5bがコイル組9の一方のコイル9aに挿入される。この際、コイル9aの一方の開口端側から積層コア3の脚部3aがコイル9a内に挿入される。コイル9aの他方の開口端側から積層コア5の脚部5bがコイル9a内に挿入される。また、コイル9a内において、脚部3a,5bは、突合せ部3c,5d同士を対向させる。これに並行して、コイル9bの一方の開口端側から積層コア3の脚部3bがコイル9b内に挿入される。コイル9bの他方の開口端側から積層コア5の脚部5aがコイル9b内に挿入される。また、コイル9b内において、脚部3b,5aは、突合せ部3d,5c同士を対向させる。
その後、一対の積層コア3,5の脚部同士を突き合わせて接合する接合工程が行われる(ステップS103)。このステップS103においては、積層コア3と積層コア5との対向する複数の脚部同士が各々コイル9a,9b内において突き合わさって接合される。具体的には、図6に示すように、コイル9a内に挿入後の脚部3a,5bは、コイル9a内に位置することによってコア幅方向(図3参照)の位置を束縛されつつ、互いに対向させた突合せ部3c,5d同士を突き合わせる。このコイル9aの作用により、脚部3a,5bのコア幅方向の位置決めが適切に行われ、この位置決め状態を維持しつつ、上述したように突き合わせた突合せ部3c,5d同士が、所定の方法によって接合される。この結果、積層コア3と積層コア5との対向する脚部3a,5b同士がコイル9a内において接合される。これら脚部3a,5b同士の接合部7は、上述した突合せ部3c,5d同士の接合部分であり、図6に示すように、コイル9a内に位置する。上記脚部3a,5b同士の接合に並行して、コイル9b内に挿入後の脚部3b,5aは、コイル9b内に位置することによってコア幅方向の位置を束縛されつつ、互いに対向させた突合せ部3d,5c同士を突き合わせる。このコイル9bの作用により、脚部3b,5aのコア幅方向の位置決めが適切に行われ、この位置決め状態を維持しつつ、上述したように突き合わせた突合せ部3d,5c同士が、所定の方法によって接合される。この結果、積層コア3と積層コア5との対向する脚部3b,5a同士がコイル9b内において接合される。これら脚部3b,5a同士の接合部8は、上述した突合せ部3d,5c同士の接合部分であり、図6に示すように、コイル9b内に位置する。
上述したステップS103の接合工程により、図1,6に示すように、切れ込みギャップ4a〜4d付きの脚部2a(脚部3a,5bの接合体)と、切れ込みギャップ4e〜4h付きの脚部2b(脚部3b,5aの接合体)と、これらの脚部2a,2bを挟んで互いに対向する一対のヨーク部3e,5eとを一体的に有するリアクトルコア2が組立完了する。これと同時に、上述したリアクトルコア2と、リアクトルコア2の2つの脚部2a,2bを各々挿入する2つのコイル9a,9bからなるコイル組9とを備えたリアクトル1が製造完了する。
以上、説明したように、本発明の実施の形態1では、電磁鋼板の積層体を用いて一体的に形成される複数の脚部を各々有する第1の積層コアと第2の積層コアとを構成し、積層体の積層方向に脚部の一部を貫通し且つコア幅方向に延在して脚部の磁路を横切る切れ込みギャップを、これら第1の積層コアと第2の積層コアとの対向する脚部毎に磁路方向に沿って複数並ぶように設け、これら第1の積層コアと第2の積層コアとの対向する脚部同士をコイル内において突き合わせて接合している。
このため、単一の積層体からなる積層コアの脚部における切れ込みギャップの位置、ギャップ間隔、ギャップ長、およびギャップ厚を固定する一体構造を確保して、第1の積層コアと第2の積層コアとの対向する脚部同士を接合することができる。これにより、多数(例えば3個以上)のコア部材を用いなくとも、また、多数のコア部材の位置決め並びに各コア部材間のギャップの位置および厚さの調整を行わなくとも、第1および第2の積層コアの数(=2個)以上に多数の切れ込みギャップが磁路方向に沿って並ぶ脚部(第1の積層コアと第2の積層コアとの対向する脚部同士の接合体)を複数形成することができる。この結果、コア部材以上のギャップ数の脚部を形成するために要する時間および労力を可能な限り低減できるとともに、脚部とヨーク部との位置調整および接合に要する手間を省くことができる。このことから、多数の切れ込みギャップが磁路方向に沿って並ぶ脚部を複数備えたリアクトルコアを容易に組み立てることができる。さらには、このリアクトルコアを用いることによって、直流重畳特性に優れたリアクトルを容易に組み立てることができる。
また、本発明の実施の形態1では、第1の積層コアと第2の積層コアとの対向する脚部同士をコイル内において突き合わせて接合している。このため、コイル内において突き合わせる両脚部のコア幅方向の位置を同コイルによって束縛し、これにより、これら両脚部のコア幅方向の位置決めを適切に行うことができる。この結果、第1の積層コアと第2の積層コアとの対向する脚部同士を精度よく接合できるとともに、これら脚部同士の接合し易さを促進することができる。
(実施の形態2)
つぎに、本発明の実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、第1の積層コアと第2の積層コアとの対向する脚部同士を直接突き合わせて接合していたが、本実施の形態2では、第1の積層コアと第2の積層コアとの対向する脚部同士の接合部に非磁性のギャップ材を介在させている。
図7は、本発明の実施の形態2にかかるリアクトルコアを適用したリアクトルの一構成例を示す図である。図8は、図7に示すリアクトルのB−B線断面を示す断面図である。なお、図7には、本実施の形態2にかかるリアクトルコアの構成を説明し易くするために、リアクトルのコイルの縦断面が図示されている。図7,8に示すように、本実施の形態2にかかるリアクトル21は、上述した実施の形態1にかかるリアクトル1のリアクトルコア2に代えてリアクトルコア22を備える。本実施の形態2にかかるリアクトルコア22は、上述した実施の形態1にかかるリアクトルコア2の接合部7,8に代えて、非磁性のギャップ材24が介在する接合部27,28を有する。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
リアクトルコア22は、リアクトル21用の磁心であり、図7,8に示すように、実施の形態1と同様の積層コア3,5を用いて構成される。具体的には、リアクトルコア22は、上述した実施の形態1にかかるリアクトルコア2と同様の構成を有し、さらに、積層コア3と積層コア5との対向する複数の脚部同士の接合部27,28に介在する非磁性のギャップ材24を備える。リアクトルコア22を構成する積層コア3,5同士の接合部分は、一方の脚部3a,5b同士の接合部27と他方の脚部3b,5a同士の接合部28との2箇所のみである。すなわち、リアクトルコア22は、これら2箇所の接合部27,28を境にして、積層コア3と積層コア5とギャップ材24とに分割される。
ギャップ材24は、積層コア3,5に比して透磁率が低い非磁性材料からなる。具体的には、ギャップ材24は、積層コア3と積層コア5との対向する一方の脚部3a,5b同士の接合部27に介在する。図7に示すように、接合部27において、脚部3aの突合せ部3cと脚部5bの突合せ部5dとは、ギャップ材24を介し、互いに対向して突き合わさる。この場合、ギャップ材24は、リアクトルコア22の一方の脚部2a(脚部3a,5b同士の接合体)のコア幅方向の全域に亘って延在し、切れ込みギャップ4aと所定の間隔(例えばギャップ間隔H)をあけて磁路方向に並ぶ。このようなギャップ材24は、この脚部2aの磁路を横切るギャップとして作用する。すなわち、この脚部2aに発生した磁束は、切れ込みギャップ4a〜4dとギャップ材24とを通る。一方、ギャップ材24は、積層コア3と積層コア5との対向する他方の脚部3b,5a同士の接合部28に介在する。図7,8に示すように、接合部28において、脚部3bの突合せ部3dと脚部5aの突合せ部5cとは、ギャップ材24を介し、互いに対向して突き合わさる。この場合、ギャップ材24は、リアクトルコア22の他方の脚部2b(脚部3b,5a同士の接合体)のコア幅方向の全域に亘って延在し、切れ込みギャップ4eと所定の間隔(例えばギャップ間隔H)をあけて磁路方向に並ぶ。このようなギャップ材24は、この脚部2bの磁路を横切るギャップとして作用する。すなわち、この脚部2bに発生した磁束は、切れ込みギャップ4e〜4hとギャップ材24とを通る。なお、ギャップ材24の厚さは、所望の厚さに調整されてもよいが、例えば、切れ込みギャップ4a〜4hと同様のギャップ厚d(図3参照)に調整される。
つぎに、本発明の実施の形態2にかかるリアクトルコア22を適用したリアクトル21の製造方法について説明する。図9は、本発明の実施の形態2にかかるリアクトルコアを構成する積層コアの各脚部をコイル内に挿入する状態を示す図である。本実施の形態2にかかるリアクトル21の製造方法は、積層コア3と積層コア5との接合部27,28に介在させる非磁性のギャップ材24に関する処理以外、上述した実施の形態1にかかるリアクトルコア1の製造方法と同様である。
すなわち、本実施の形態2では、図4に示したステップS101〜S103のうちのステップS101において、積層コア3と積層コア5との対向する各脚部3a,5bのうちのいずれか一方の先端面と、各脚部3b,5aのうちのいずれか一方の先端面とにギャップ材24が配置される。本実施の形態2において、ギャップ材24は、例えば図9に示すように、積層コア5の脚部5a,5bの突合せ部5c,5dに配置されるが、積層コア3の脚部3a,3bの突合せ部3c,3dに配置されてもよい。
また、本実施の形態2では、ステップS102において、図9に示すように、積層コア3と積層コア5との対向する一方の脚部3a,5bは、コイル9a内に挿入後、このコイル9a内において、ギャップ材24を介し突合せ部3c,5d同士を対向させる。これに並行して、積層コア3と積層コア5との対向する他方の脚部3b,5aは、コイル9b内に挿入後、このコイル9b内において、ギャップ材24を介し突合せ部3d,5c同士を対向させる。
さらに、本実施の形態2では、ステップS103において、コイル9a内に挿入後の脚部3a,5bは、ギャップ材24を介して突合せ部3c,5d同士を突き合わせる。このように突き合わせた突合せ部3c,5d同士は、所定の方法により、ギャップ材24を介して接合される。この結果、積層コア3と積層コア5との対向する脚部3a,5b同士が、コイル9a内に位置しながらギャップ材24を介して接合される。すなわち、これら脚部3a,5b同士の接合部27において、図7に示すように、ギャップ材24が突合せ部3c,5dの間に介在する。この接合部27のギャップ材24は、コイル9a内において、脚部3a,5b同士の接合体である脚部2a(リアクトルコア22の一方の脚部)の磁路を横切る中実のギャップとして作用する。上記脚部3a,5b同士の接合に並行して、コイル9b内に挿入後の脚部3b,5aは、ギャップ材24を介して突合せ部3d,5c同士を突き合わせる。このように突き合わせた突合せ部3d,5c同士は、所定の方法により、ギャップ材24を介して接合される。この結果、積層コア3と積層コア5との対向する脚部3b,5a同士が、コイル9b内に位置しながらギャップ材24を介して接合される。すなわち、これら脚部3b,5a同士の接合部28において、図7に示すように、ギャップ材24が突合せ部3d,5cの間に介在する。この接合部28のギャップ材24は、コイル9b内において、脚部3b,5a同士の接合体である脚部2b(リアクトルコア22の他方の脚部)の磁路を横切る中実のギャップとして作用する。
本実施の形態2におけるステップS101〜S103により、図7,8に示すように、ギャップ材24による中実のギャップおよび切れ込みギャップ4a〜4d付きの脚部2a(脚部3a,5bの接合体)と、ギャップ材24による中実のギャップおよび切れ込みギャップ4e〜4h付きの脚部2b(脚部3b,5aの接合体)と、これらの脚部2a,2bを挟んで互いに対向する一対のヨーク部3e,5eとを一体的に有するリアクトルコア22が組立完了する。これと同時に、上述したリアクトルコア22と、リアクトルコア22の2つの脚部2a,2bを各々挿入する2つのコイル9a,9bからなるコイル組9とを備えたリアクトル21が製造完了する。
以上、説明したように、本発明の実施の形態2では、第1の積層コアと第2の積層コアとの対向する脚部同士を、非磁性のギャップ材を介して接合し、その他を実施の形態1と同様に構成している。このため、リアクトルコアの組立(延いては、リアクトルコアを用いたリアクトルの組立)の難易度および労力の増加を最小限に止めて、リアクトルコアの脚部に、磁路を横切る中実のギャップを追加することができる。この結果、上述した実施の形態1と同様の作用効果を享受するとともに、脚部に中実のギャップを追加したリアクトルコアを容易に組み立てることができ、このリアクトルコアを用いることにより、一層直流重畳特性に優れたリアクトルを容易に組み立てることができる。
(実施の形態3)
つぎに、本発明の実施の形態3について説明する。上述した実施の形態1、2では、積層コアの脚部に中空の切れ込みギャップを設けていたが、本実施の形態3では、積層コアの脚部に設けた中空の切れ込みギャップ内に非磁性のギャップ材を埋め込んでいる。
図10は、本発明の実施の形態3にかかるリアクトルコアを適用したリアクトルの一構成例を示す図である。図11は、図10に示すリアクトルのC−C線断面を示す断面図である。なお、図10には、本実施の形態3にかかるリアクトルコアの構成を説明し易くするために、リアクトルのコイルの縦断面が図示されている。図10,11に示すように、本実施の形態3にかかるリアクトル31は、上述した実施の形態2にかかるリアクトル21のリアクトルコア22に代えてリアクトルコア32を備える。本実施の形態3にかかるリアクトルコア32は、上述した実施の形態2にかかるリアクトルコア22の積層コア3,5に代えて積層コア33,35を備える。これら2個の積層コア33,35の切れ込みギャップ4a〜4h内には、非磁性のギャップ材34が埋め込まれている。その他の構成は実施の形態2と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
リアクトルコア32は、リアクトル31用の磁心であり、図10,11に示すように、積層コア33,35を用いて構成される。具体的には、リアクトルコア32は、上述した実施の形態2にかかるリアクトルコア22と同様の構成を有し、さらに、中空の切れ込みギャップ4a〜4h内に埋め込まれる非磁性のギャップ材34をさらに備える。リアクトルコア32は、上述した実施の形態2の場合と同様に、2箇所の接合部27,28を境にして、積層コア33と積層コア35とギャップ材24とに分割される。
ギャップ材34は、積層コア33,35に比して透磁率が低い非磁性材料からなる。ギャップ材34は、図10,11に示すように、積層コア33の切れ込みギャップ4a〜4d内と、積層コア35の切れ込みギャップ4e〜4h内とに埋め込まれる。このようなギャップ材34は、積層コア33,35の各切れ込みギャップ4a〜4hを中実のギャップに変えるとともに、各切れ込みギャップ4a〜4hの形成部分の強度を補強して各切れ込みギャップ4a〜4hの形状を維持する。例えば本実施の形態3において、ギャップ材34は、脚部3aの幅Wからギャップ長Lを減じた残りの狭小部分の強度を補強する。また、ギャップ材34は、脚部5aの幅Wからギャップ長Lを減じた残りの狭小部分の強度を補強する。なお、上記の狭小部分は、切れ込みギャップ4a〜4hを設けた脚部3a,5aのうち、切れ込みギャップ4a〜4hのコア幅方向の各先端側(開口端と反対側)に位置して脚部3a,5aの各々を一体的に繋ぐ積層体部分である。
本実施の形態3において、切れ込みギャップ4a〜4hのギャップ長Lは、上述した実施の形態1,2と同様に、脚部3a,5aの幅Wの3/4以上であるが、この幅Wの5/6以上に設定されることが望ましい。何故ならば、ギャップ長Lが増すことにより、切れ込みギャップ4a〜4hの各々が、リアクトル31のインダクタンスの調整に有効なギャップとして一層作用し易くなるからである。このようなギャップ長Lの切れ込みギャップ4a〜4hは、リアクトル31の低電流側のインダクタンスや初期インダクタンスの緩和に有効である。一方、切れ込みギャップ4a〜4hの各ギャップ長Lを脚部3a,5aの各幅Wの5/6以上とした場合、上述した脚部3a,5aの各狭小部分は、コア幅方向に幅Wの1/6以下の薄肉形状に形成される。しかし、切れ込みギャップ4a〜4hの各内部にはギャップ材34が埋め込まれるため、脚部3a,5aの各狭小部分の強度が補強される。この結果、脚部3a,5aの幅方向全域がギャップ材34によって支えられる状態となることから、脚部3a,5aの各狭小部分の強度不足は解消される。
つぎに、図10,11を参照しつつ、本発明の実施の形態3にかかるリアクトルコア32を適用したリアクトル31の製造方法について説明する。本実施の形態3にかかるリアクトル31の製造方法は、積層コア3,5の各切れ込みギャップ4a〜4h内に埋め込まれる非磁性のギャップ材34に関する処理以外、上述した実施の形態2にかかるリアクトルコア21の製造方法と同様である。
すなわち、本実施の形態3では、図4に示したステップS101〜S103のうちのステップS101において、積層コア33の脚部3aに設けた切れ込みギャップ4a〜4dの各内部にギャップ材34を埋め込む。これと同様に、積層コア35の脚部5aに設けた切れ込みギャップ4e〜4hの各内部にギャップ材34を埋め込む。この場合、ギャップ材34は、脚部3a,5aのうちの切れ込みギャップ4a〜4hという形状の定まった空隙に埋め込まれる。一方、上述したようにギャップ材34を埋め込まれる切れ込みギャップ4a〜4hは、ギャップ長Lが脚部3a,5aの幅Wの3/4以上(望ましくは幅Wの5/6以上)となる形状に予め形成されている。なお、切れ込みギャップ4a〜4hのギャップ間隔Hおよびギャップ厚d(図3参照)は、上述した実施の形態1,2と同様である。
その後、本実施の形態3では、上述した実施の形態2と同様にステップS102,S103が行われる。この結果、図10,11に示すように、ギャップ材24による中実のギャップおよびギャップ材34の埋め込みによる中実の切れ込みギャップ4a〜4d付きの脚部2a(脚部3a,5bの接合体)と、ギャップ材24による中実のギャップおよびギャップ材34の埋め込みによる中実の切れ込みギャップ4e〜4h付きの脚部2b(脚部3b,5aの接合体)と、これらの脚部2a,2bを挟んで互いに対向する一対のヨーク部3e,5eとを一体的に有するリアクトルコア32が組立完了する。これと同時に、上述したリアクトルコア32と、リアクトルコア32の2つの脚部2a,2bを各々挿入する2つのコイル9a,9bからなるコイル組9とを備えたリアクトル31が製造完了する。
以上、説明したように、本発明の実施の形態3では、第1の積層コアおよび第2の積層コアの各脚部に設けた切れ込みギャップ内、すなわち、脚部において予め形状の定まった中空のギャップ内に、非磁性のギャップ材を埋め込み、その他を実施の形態2と同様に構成している。このため、組立の難易度を増やすことなく、容易に、切れ込みギャップの形成部分の強度を補強できるとともに、切れ込みギャップのギャップ長の増加を図ることができる。この結果、上述した実施の形態2と同様の作用効果を享受するとともに、脚部の一体構造の強度を向上させたリアクトルコアを容易に組み立てることができ、このリアクトルコアを用いることにより、より一層直流重畳特性に優れたリアクトルを容易に組み立てることができる。
(実施の形態4)
つぎに、本発明の実施の形態4について説明する。上述した実施の形態1〜3では、積層コアの脚部に切れ込みギャップを設けていたが、本実施の形態4では、積層コアの脚部に、そのコア幅方向の一端部と他端部との間の部分を切り抜いて形成される切り抜きギャップを設けている。
図12は、本発明の実施の形態4にかかるリアクトルコアを適用したリアクトルの一構成例を示す図である。図13は、図12に示すリアクトルのD−D線断面を示す断面図である。なお、図13には、本実施の形態4にかかるリアクトルコアの構成を説明し易くするために、リアクトルのコイルの縦断面が図示されている。図12,13に示すように、本実施の形態4にかかるリアクトル41は、上述した実施の形態2にかかるリアクトル21のリアクトルコア22に代えてリアクトルコア42を備える。本実施の形態4にかかるリアクトルコア42は、上述した実施の形態2にかかるリアクトルコア22の積層コア3,5に代えて積層コア43,45を備える。これら2個の積層コア43,45の脚部2a,2bには、上述した実施の形態2における切れ込みギャップ4a〜4hに代えて切り抜きギャップ44a〜44hが設けられる。その他の構成は実施の形態2と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
リアクトルコア42は、リアクトル41用の磁心であり、図12,13に示すように、積層コア43,45を用いて構成される。具体的には、リアクトルコア42は、上述した実施の形態2にかかるリアクトルコア22の切れ込みギャップ4a〜4hを切り抜きギャップ44a〜44hに各々置き換えた構成を有する。このようなリアクトルコア42は、上述した実施の形態2の場合と同様に、2箇所の接合部27,28を境にして、積層コア43と積層コア45とギャップ材24とに分割される。
切り抜きギャップ44a〜44dは、各々、積層コア43をなす電磁鋼板の積層体の積層方向に脚部3aの一部を貫通し且つコア幅方向に延在する中空のギャップ(空隙)の一例である。切り抜きギャップ44a〜44dは、図12に示すように、脚部3aの磁路方向に沿って脚部3aの4箇所に各々形成される。これら4箇所の切り抜きギャップ44a〜44dは、脚部3aのうちのコア幅方向の一端部と他端部との間の部分を切り抜いて形成される。なお、この脚部3aの一端部は、図12に示す脚部3aのコア幅方向の内側の端部、すなわち、脚部3aと脚部3b,5aとの対向する端部である。この脚部3aの他端部は、図12に示す脚部3aのコア幅方向の外側の端部、すなわち、上述した脚部3aの内側と反対の端部である。このような切り抜きギャップ44a〜44dは、実施の形態2における切れ込みギャップ4a〜4dと同様に、リアクトルコア42の脚部2aの磁路(特に脚部3aの磁路)を横切る。
切り抜きギャップ44e〜44hは、各々、積層コア45をなす電磁鋼板の積層体の積層方向に脚部5aの一部を貫通し且つコア幅方向に延在する中空のギャップ(空隙)の一例である。切り抜きギャップ44e〜44hは、図12に示すように、脚部5aの磁路方向に沿って脚部5aの4箇所に各々形成される。これら4箇所の切り抜きギャップ44e〜44hは、脚部5aのうちのコア幅方向の一端部と他端部との間の部分を切り抜いて形成される。なお、この脚部5aの一端部は、図12に示す脚部5aのコア幅方向の内側の端部、すなわち、脚部5aと脚部3a,5bとの対向する端部である。この脚部5aの他端部は、図12に示す脚部5aのコア幅方向の外側の端部、すなわち、上述した脚部5aの内側と反対の端部である。このような切り抜きギャップ44e〜44hは、実施の形態2における切れ込みギャップ4e〜4hと同様に、リアクトルコア42の脚部2bの磁路(特に脚部5aの磁路)を横切る。
上述したように積層コア43と積層コア45との対向する脚部毎に設けられた切り抜きギャップ44a〜44hにおいて、ギャップ間隔Hおよびギャップ長Lは、以下に示すとおりである。切り抜きギャップ44a〜44dの各間のギャップ間隔Hは、脚部3aの幅Wの3/4以下である。切り抜きギャップ44e〜44hの各間のギャップ間隔Hは、脚部5aの幅Wの3/4以下である。このギャップ間隔Hの下限値は、脚部3a,5aを構成する電磁鋼板の積層体の強度を考慮し、例えば、脚部3aの一体構造および脚部5aの一体構造をともに維持できる最小の間隔に設定される。一方、切り抜きギャップ44a〜44dの各ギャップ長Lは、脚部3aの幅Wの3/4以上である。切り抜きギャップ44e〜44hの各ギャップ長Lは、脚部5aの幅Wの3/4以上である。すなわち、脚部3a,5aは、図12に示すように、その幅Wからギャップ長Lを減じた残りの部分(詳細には脚部3a,5aのコア幅方向の両端部分)が繋がって一体化した構造を有する。ここで、ギャップ長Lの上限値は、脚部3a,5aを構成する電磁鋼板の積層体の強度を考慮し、例えば、脚部3aの一体構造および脚部5aの一体構造をともに維持できる最大の長さに設定される。例えば、本実施の形態1において、ギャップ長Lの上限値は、脚部3a,5aの各幅Wの5/6未満に設定される。なお、上述した切り抜きギャップ44a〜44hの各ギャップ厚dは、上述した切れ込みギャップ4a〜4h(図3等参照)と同様に設定される。
つぎに、図12,13を参照しつつ、本発明の実施の形態4にかかるリアクトルコア42を適用したリアクトル41の製造方法について説明する。本実施の形態4にかかるリアクトル41の製造方法は、積層コア3,5の脚部3a,5aに設ける切り抜きギャップ44a〜44hに関する処理以外、上述した実施の形態2にかかるリアクトルコア21の製造方法と同様である。
すなわち、本実施の形態4では、図4に示したステップS101〜S103のうちのステップS101において、積層コア43の脚部3aに切り抜きギャップ44a〜44dを設ける。この場合、切り抜きギャップ44a〜44dは、脚部3aのコア幅方向の両端部を残して、上述したギャップ長Lおよびギャップ厚dをなす形状(図12参照)に脚部3aを切り抜くことにより、各々形成される。また、切り抜きギャップ44a〜44dは、脚部3aの磁路方向に沿って、上述したギャップ間隔Hをあけて各々形成される。上記の切り抜きギャップ44a〜44dと同様に、積層コア45の脚部5aには切り抜きギャップ44e〜44hが設けられる。切り抜きギャップ44e〜44hは、脚部5aのコア幅方向の両端部を残して、上述したギャップ長Lおよびギャップ厚dをなす形状(図12参照)に脚部5aを切り抜くことにより、各々形成される。また、切り抜きギャップ44e〜44hは、脚部5aの磁路方向に沿って、上述したギャップ間隔Hをあけて各々形成される。
また、本実施の形態4では、上述した切り抜きギャップ44a〜44hの形成以外、上述した実施の形態2と同様にステップS101〜S103が行われる。この結果、図12,13に示すように、ギャップ材24による中実のギャップおよび中空の切り抜きギャップ44a〜44d付きの脚部2a(脚部3a,5bの接合体)と、ギャップ材24による中実のギャップおよび中空の切り抜きギャップ44e〜44h付きの脚部2b(脚部3b,5aの接合体)と、これらの脚部2a,2bを挟んで互いに対向する一対のヨーク部3e,5eとを一体的に有するリアクトルコア42が組立完了する。これと同時に、上述したリアクトルコア42と、リアクトルコア42の2つの脚部2a,2bを各々挿入する2つのコイル9a,9bからなるコイル組9とを備えたリアクトル41が製造完了する。
以上、説明したように、本発明の実施の形態4では、第1の積層コアおよび第2の積層コアの各脚部に、脚部のうちのコア幅方向の一端部と他端部との間の部分を切り抜いてなる切り抜きギャップを、上述した切れ込みギャップの代わりに形成し、その他を実施の形態2と同様に構成している。このため、上述した切れ込みギャップと同様に作用する中空のギャップを、脚部のコア幅方向の両端部分を残して形成できる。これにより、中空のギャップ(切り抜きギャップ)を設けた脚部の一体構造の強度を、切れ込みギャップを設けた脚部に比して高めることができる。この結果、上述した実施の形態2と同様の作用効果を享受するとともに、脚部の一体構造の強度を向上させたリアクトルコアを容易に組み立てることができ、このリアクトルコアを用いることにより、一層直流重畳特性に優れたリアクトルを容易に組み立てることができる。
(実施例1)
つぎに、本発明の実施例1について説明する。本実施例1では、本発明にかかるリアクトルとして、上述した切れ込みギャップ(図3等参照)または切り抜きギャップ(図12参照)のいずれかを複数の脚部に各々設けたリアクトルコア(以下、タイプSのリアクトルコアという)と、このタイプSのリアクトルコアの各脚部に非磁性のギャップ材24(図7等参照)による中実のギャップ(以下、突合せギャップという)を追加したリアクトルコア(以下、タイプRのリアクトルコアという)とを組み立てた。また、本発明にかかるタイプSのリアクトルコアおよびタイプRのリアクトルコアに対する比較例として、ギャップ数と同数のコア部材を用いて構成される従来のリアクトルコア(図17参照)を組み立てた。
上述した各リアクトルコアの組立に際し、リアクトルコアの脚部に設けるギャップの数を変化させた。具体的には、上述した実施の形態1等に例示されるように、タイプSのリアクトルコアは、積層コア3,5等の第1の積層コアと第2の積層コアとの対向する脚部同士を突き合わせて接合することにより、構成される。このタイプSのリアクトルコアが有する複数の脚部に設けられたギャップの数を、タイプSのリアクトルコアのギャップ数とし、このギャップ数を「6」、「8」、「10」、「12」に変えてタイプSのリアクトルコアを組み立てた。また、タイプRのリアクトルコアは、上述した実施の形態2等に例示されるように、第1の積層コアと第2の積層コアとの対向する脚部同士を、非磁性のギャップ材24を介し突き合わせて接合することにより、構成される。このタイプRのリアクトルコアが有する複数の脚部に設けられたギャップの数を、タイプRのリアクトルコアのギャップ数とし、このギャップ数を「6」、「8」、「10」、「12」に変えてタイプRのリアクトルコアを組み立てた。なお、タイプRのリアクトルコアのギャップ数には、各脚部の突合せギャップの数(=2箇所)が含まれる。一方、従来のリアクトルコアは、図17に例示されるように、ギャップ数と同数のコア部材を互いに突き合わせて接合することにより、構成される。この従来のリアクトルコアが有する複数の脚部に設けられたギャップの数を、従来のリアクトルコアのギャップ数とし、このギャップ数を「4」、「6」、「8」、「10」、「12」に変えて従来のリアクトルコアを組み立てた。
なお、タイプSのリアクトルコア、タイプRのリアクトルコア、および従来のリアクトルコアの間において、脚部に設けた全ギャップの磁路方向の長さ(ギャップ厚d)の合計値は同等とした。また、タイプSのリアクトルコアおよびタイプRのリアクトルコアに設けるギャップ(切れ込みギャップまたは切り抜きギャップ)のコア幅方向の長さ、すなわちギャップ長Lは、脚部の幅Wの4/5とした。
本実施例1では、上述したタイプSのリアクトルコアの組立に要する時間と、タイプRのリアクトルコアの組立に要する時間と、従来のリアクトルコアの組立に要する時間とをギャップ数別に計測し、得られた各リアクトルコアの組立所要時間を比較した。図14は、本発明にかかるリアクトルコアと従来のリアクトルコアとの組立所要時間の比較結果を示す図である。図14において、組立所要時間比は、ギャップ数が4箇所(=コア部材の数)である従来のリアクトルコアの組立所要時間を基準とする各リアクトルコアの組立所要時間の比である。例えば、ギャップ数が4箇所である従来のリアクトルの組立所要時間比は、「1」である。また、図14において、相関線P1は、タイプSのリアクトルコアのギャップ数と組立所要時間比との相関を示す。相関線P2は、タイプRのリアクトルコアのギャップ数と組立所要時間比との相関を示す。相関線P3は、従来のリアクトルコアのギャップ数と組立所要時間比との相関を示す。
図14に示すように、従来のリアクトルコアの組立所要時間比は、ギャップ数の増加に伴って増加した。これは、従来のリアクトルコアを構成するコア部材の数がギャップ数の増加に伴って増加し(相関線P3参照)、この結果、コア部材同士の固定および各コア部材間のギャップ調整に要する時間が急激に増加したからである。これに対し、タイプSのリアクトルコアおよびタイプRのリアクトルコアの各組立所要時間比(相関線P1,P2参照)は、ギャップ数の増加に関係なく一定であるとともに、従来のリアクトルコアの組立所要時間比に比して小さく、具体的には1未満であった。これは、タイプSのリアクトルコアおよびタイプRのリアクトルコア、すなわち本発明にかかるリアクトルコアを構成する積層コアの数がギャップ数によらず2個であり、これら2個の積層コアの脚部同士の接合に要する時間がギャップ数の増加に関係なく変わらないからである。以上より、本発明にかかるリアクトルコアの組立所要時間は、ギャップ数が積層コアの数以上に多数であっても、従来のリアクトルコアの組立所要時間よりも短いことが確認できた。
一方、図14の相関線P1,P2に示されるように、タイプRのリアクトルコアの組立所要時間比は、タイプSのリアクトルコアに比して若干大きい。これは、第1の積層コアと第2の積層コアとの対向する脚部同士の接合部に非磁性のギャップ材を介在させる処理工程がある分、タイプRのリアクトルコアの組立工程がタイプSのリアクトルコアに比して多くなるからである。しかし、図14を参照して解るように、従来のリアクトルコアと本発明にかかるリアクトルコアとの組立所要時間比の差に比べれば、タイプSのリアクトルコアとタイプRのリアクトルコアとの組立所要時間比の差は殆ど無いに等しい。以上より、タイプRのリアクトルコアの組立所要時間はタイプSのリアクトルコアの組立所要時間と略同等であることが確認できた。
(実施例2)
つぎに、本発明の実施例2について説明する。本実施例2では、本発明にかかるリアクトルとして、上述した切れ込みギャップ(図3等参照)を複数の脚部に各々設けたリアクトルコアとコイルとを備えるリアクトル(以下、タイプXのリアクトルという)と、上述した切り抜きギャップ(図12参照)を複数の脚部に各々設けたリアクトルコアとコイルとを備えるリアクトル(以下、タイプYのリアクトルという)とを組み立てた。この際、上述した実施の形態1〜4のいずれかの製造方法または実施の形態1〜4を適宜組み合わせた製造方法を採用した。一方、本発明にかかるタイプXのリアクトルおよびタイプYのリアクトルに対する比較例として、上述した従来のリアクトルコア(図17参照)とコイルとを備える従来のリアクトルを組み立てた。
上述した各リアクトルの組立に際し、各リアクトルコアのギャップ数を12箇所に統一した。具体的には、タイプXのリアクトルを構成するリアクトルコアは、複数の脚部に合計12箇所の切れ込みギャップが設けられたリアクトルコアとした。また、タイプYのリアクトルを構成するリアクトルコアは、複数の脚部に合計12箇所の切り抜きギャップが設けられたリアクトルコアとした。一方、従来のリアクトルを構成するリアクトルコアは、例えば図17に示すようにコア部材の数と同数のギャップを脚部に設けたリアクトルコアとした。
なお、タイプXのリアクトル、タイプYのリアクトル、および従来のリアクトルの各リアクトルコア間において、脚部に設けた全ギャップの磁路方向の長さ(ギャップ厚d)の合計値は同等とした。また、タイプXのリアクトルを構成するリアクトルコアの切れ込みギャップのギャップ長L、および、タイプYのリアクトルを構成するリアクトルコアの切り抜きギャップのギャップ長Lは、双方とも脚部の幅Wの4/5とした。
本実施例2では、上述したタイプXのリアクトルの直流重畳時のインダクタンスと、タイプYのリアクトルの直流重畳時のインダクタンスと、従来のリアクトルの直流重畳時のインダクタンスとを計測し、得られた各計測値に基づいて、タイプXのリアクトルとタイプYのリアクトルと従来のリアクトルとの直流重畳特性を比較した。図15は、本発明にかかるリアクトルと従来のリアクトルとの直流重畳特性の比較結果を示す図である。図15において、インダクタンス比は、上述した従来のリアクトルのコイルに通電する直流重畳電流を200[A]にした際のインダクタンスを基準とする各リアクトルのインダクタンスの比である。例えば、従来のリアクトルのインダクタンス比は、直流重畳電流が200[A]である場合に「1」である。また、図15において、相関線P4は、タイプXのリアクトルの直流重畳電流とインダクタンス比との相関を示す。相関線P5は、タイプYのリアクトルの直流重畳電流とインダクタンス比との相関を示す。相関線P6は、従来のリアクトルの直流重畳電流とインダクタンス比との相関を示す。
ギャップ数を12箇所に統一したタイプXのリアクトル、タイプYのリアクトル、および従来のリアクトルの間において、直流重畳電流に対するインダクタンス比の変化は、図15に示すように、略同等であった。特に、これらタイプXのリアクトル、タイプYのリアクトル、および従来のリアクトルの間において、インダクタンス比が低下する直流重畳電流は略同等となった。このことから、タイプXのリアクトル、タイプYのリアクトル、および従来のリアクトルの各ギャップ数が同数である場合、タイプXのリアクトルおよびタイプYのリアクトル、従来のリアクトルと略同等の直流重畳特性を有することが解った。すなわち、本発明にかかるリアクトルの切れ込みギャップまたは切り抜きギャップは、従来のリアクトルのギャップと同程度に、リアクトルコアの磁気飽和を抑止し且つインダクタンスを調整する作用を発揮可能であることが確認できた。
なお、上述した実施の形態1〜4では、第1の積層コアと第2の積層コアとの対向する脚部同士の接合体毎、すなわち、これら2つの積層コア同士を接合して形成されるリアクトルコアの脚部毎に、切れ込みギャップまたは切り抜きギャップを4箇所設けていたが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明にかかるリアクトルコアは、これを用いたリアクトルの直流重畳特性を向上させるという観点から、脚部の磁路方向に沿って可能な限り多くの切れ込みギャップまたは切り抜きギャップが脚部毎に設けられたものであることが望ましい。すなわち、本発明にかかるリアクトルコアの脚部毎に脚部の磁路方向に沿って設けられる切れ込みギャップまたは切り抜きギャップの数は、複数個所(2箇所以上)であってもよいが、3箇所以上であることが望ましい。
具体的には、リアクトルコアの脚部毎に、脚部内側からの切れ込みギャップと脚部外側からの切れ込みギャップとを各々2箇所以上、望ましくは、各々3箇所以上(例えば3〜6箇所)設けることが望ましい。この場合、脚部内側からの切れ込みギャップが脚部の磁路方向に沿って複数隣り合わせに並べて設けられてもよいし、脚部外側からの切れ込みギャップが脚部の磁路方向に沿って隣り合わせに並べて設けられてもよい。また、脚部内側からの切れ込みギャップと脚部外側からの切れ込みギャップとは、脚部の十分な強度を確保するという観点から、上述した実施の形態1〜3に例示したように、脚部の磁路方向に沿って交互に設けられることが望ましい。さらに、切れ込みギャップおよび切り抜きギャップは、リアクトルコアの同じ脚部内に混在して設けられてもよい。
一方、上述した実施の形態1〜4では、リアクトルコアを構成する積層コアとして、J字状の外形に形成された積層コアを例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明にかかるリアクトルコアを構成する第1の積層コアおよび第2の積層コアは、例えばU字状またはコの字状等、J字状以外の外形に形成されたものであってもよい。例えば、図16に示すように、リアクトルコア2を構成する積層コア3,5は、U字状の外形に形成されたものであってもよい。
また、上述した実施の形態1〜4では、リアクトルコアを構成する積層コアの2つの脚部のうちの一方に切れ込みギャップまたは切り抜きギャップを設けていたが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明にかかるリアクトルコアを構成する各積層コアの複数の脚部には、これら各積層コア同士(第1の積層コアおよび第2の積層コア)の対向する脚部毎に脚部の磁路方向に沿って、切れ込みギャップまたは切り抜きギャップが複数並ぶように設けられていればよい。この場合、第1の積層コアおよび第2の積層コアの外形(J字状、U字状あるいはコの字状等)によらず、複数の脚部のうちの少なくとも一つに切れ込みギャップまたは切り抜きギャップが設けられてもよいし、第1の積層コアおよび第2の積層コアのうちのいずれか一方のみの積層コアの各脚部に切れ込みギャップまたは切り抜きギャップが設けられてもよい。あるいは、これら複数の脚部の各々に切れ込みギャップまたは切り抜きギャップが設けられてもよい。例えば図16に示すように、リアクトルコア2を構成するU字状の積層コア3,5のうち、一方の積層コア3の脚部3a,3bに切れ込みギャップ4c,4dと切れ込みギャップ4e,4fとが各々設けられてもよい。同様に、他方の積層コア5の脚部5a,5bに切れ込みギャップ4a,4bと切れ込みギャップ4g,4hとが各々設けられてもよい。
さらに、上述した実施の形態1〜4では、2つの脚部を有するリアクトルコアを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明にかかるリアクトルコアは、3つ以上の脚部を有するものであってもよい。この場合、本発明にかかるリアクトルを構成するコイル組に含まれるコイルの数は、リアクトルコアの脚部の数と同じ3つ以上であってもよい。すなわち、本発明において、リアクトルコアの脚部の数、コイルの数、コイルの巻き数、は特に問われない。
また、上述した実施の形態2〜4では、リアクトルコアを構成する第1の積層コアおよび第2の積層コアのうちのいずれか一方の積層コアの各脚部先端面(突合せ部)にギャップ材を配置していたが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明において、リアクトルコアの脚部の中実ギャップを構成するギャップ材は、第1の積層コアおよび第2の積層コアの双方の各脚部先端面に配置されてもよいし、第1の積層コアと第2の積層コアとの対向する脚部同士のいずれか一方の先端面に配置されてもよい。
また、上述した実施の形態1〜4および実施例1,2により本発明が限定されるものではなく、上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。例えば、本発明にかかるリアクトルコアおよびこれを用いたリアクトルは、実施の形態1にかかるリアクトルコア2の各切れ込みギャップ4a〜4h内にギャップ材34が埋め込まれたものであってもよいし、実施の形態1,3にかかるリアクトルコア2,32の切れ込みギャップ4a〜4hを切り抜きギャップ44a〜44hに置き換えたものであってもよい。その他、上述した実施の形態1〜4および実施例1,2に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例および運用技術等は全て本発明に含まれる。