JP2015141961A - 半導体装置の製造方法、および半導体装置 - Google Patents

半導体装置の製造方法、および半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高い放熱性を有し、且つ良質な結晶品質を有する化合物半導体から成る半導体装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板(1)上に化合物半導体の結晶層(3)を形成する第1の工程と、前記第1の工程で形成された結晶層上に、第1の金属層(4)を島状に形成する第2の工程と、前記半導体基板上の前記第1の金属層が形成されていない領域の前記結晶層を除去する第3の工程と、前記化合物半導体より熱伝導率が高い支持基板(10)上に、第2の金属層(5)を形成する第4の工程と、前記第1の金属層と前記第2の金属層とを接合することによって前記半導体基板と前記支持基板とを貼り合せる第5の工程と、前記半導体基板を前記結晶層を残して除去する第6の工程と、を含むことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体装置の製造方法および半導体装置に関し、特に、GaAs系およびInP系などの化合物半導体素子から成る半導体装置の製造方法に関する。
InPあるいはGaAsといった材料を用いたヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT:Heterojunction Bipolar Transistor)などの化合物半導体素子は、一般的なシリコンを用いた半導体素子と比較して高い電子移動度、電子飽和速度、絶縁破壊電界といった物性的特徴を有することから、高速・高出力動作が可能である。このような化合物半導体素子から成る半導体装置は、例えば光通信分野におけるトランスインピーダンスアンプや変調器ドライバ回路に利用されている。
近年、回路の高性能化の観点から、上記の化合物半導体素子に対して、更なる高速化および高出力動作化が要求されている。化合物半導体素子の高速化のためには、素子の注入電流量を増加させることによって素子の内部容量の充放電時間を短縮させることが有効である。一方で、InP、GaAsなどの化合物半導体基板は、熱伝導率が低く、且つ放熱性が悪いという課題がある。そのため、注入電流量を増加させると化合物半導体素子で発生した熱によって素子の温度が上昇し、電子輸送特性の劣化や素子寿命の低下を招いてしまう。
上記の問題を解決するために、一般的に化合物半導体素子の放熱を妨げる化合物半導体基板を可能な限り薄くした上で、低下した機械的な強度を補うために熱伝導率が高い支持基板に貼り合わせる方法が知られている(例えば非特許文献1)。具体的に、上記方法は、図6に示すように、化合物半導体素子203が形成された半導体基板202を薄層化した後にチップ化し、チップ化された化合物半導体素子を樹脂あるいは金属を接着層201として用いて支持基板200に貼り合わせるものである。
上記の方法によれば、化合物半導体素子の作製後に半導体基板の研削および接合工程を追加するだけでよいので、作製工程の変更を最小限度に抑えることができる。一方で、研削や接合を行う際に、化合物半導体素子には機械的な負荷が加わるので、素子が破壊するおそれがある。この負荷による化合物半導体素子の破壊を防止するには、半導体基板にその負荷に耐えるだけの厚さが必要となる。そのため、化合物半導体素子と接合した支持基板との間には、熱伝導率が低い半導体基板が残ることで、放熱性の向上がある程度妨げられてしまう。このように、上記の方法では、化合物半導体素子の破壊防止と放熱性の向上を両立することが困難である。
そこで、化合物半導体素子を破壊させずに放熱性を高める方法として、基板転写プロセスを行った後に化合物半導体素子を形成する手法が知られている(例えば特許文献1)。上記基板転写プロセスとは、予め化合物半導体素子を構成する結晶層(エピタキシャル層)が形成された半導体基板と支持基板とを接合させた後に、半導体基板のみを選択的に除去することで、半導体基板よりも熱伝導率が高い支持基板の上にエピタキシャル層を形成する手法を言う。
この手法によれば、予め接合された支持基板がエピタキシャル層を機械的に支持するため、例えば厚さが数百ナノメートルオーダーのエピタキシャル層のみを残して半導体基板を全て除去することが可能である。これにより、熱伝導率が低い半導体基板を完全に除去することができるため、上記の非特許文献1の方法と比べて化合物半導体素子の放熱性をより高めることができる。
特開2013−191655号公報
K. Nishihori, et al., "Thermal Analysis of GaAs Power Monolithic Microwave IC’s Mounted with Epoxy Attachment", IEEE Transactions on Components, Packaging, and Manufacturing Technology, Part A, Vol. 20, No. 2 (1997), pp. 220-224.
上述したように、化合物半導体素子の高速化および高出力化において、素子の放熱性を向上させることが重要である。
上記非特許文献1に示された方法、すなわち、化合物半導体素子の形成後に半導体基板を薄層化して半導体基板より熱伝導率が高い支持基板に接合する方法では、上述したように、化合物半導体素子の破壊を防止する観点から、半導体基板の薄層化には限界があり、放熱性を向上させることが困難である。
一方で、特許文献1に開示された方法、すなわち、化合物半導体素子を構成するエピタキシャル層を有する半導体基板と支持基板とを接合した後に半導体基板を除去する基板転写プロセスを用いる方法によれば、素子の結晶品質を維持しつつ、放熱性を向上させることが可能である。しかしながら、この方法には、以下に示す二つの課題がある。
一つ目として、熱応力の問題がある。例えば、エピタキシャル層に半導体素子を作製する工程において加熱処理を行うと、エピタキシャル層と支持基板間の熱膨張係数差が原因で熱応力が生じる。エピタキシャル層は厚さが数百ナノメートルオーダーと薄くかつ強度も低い材料であるため、その熱応力によって、エピタキシャル層の結晶品質の劣化や破壊が生じるおそれがある。
二つ目として、化合物半導体素子を構成するエピタキシャル層に欠けや浮きが生じる可能性が高いことが挙げられる。半導体素子の形成に影響を及ぼさないようにするためには、エピタキシャル層に浮きや欠けが生じることなく支持基板に化合物半導体の多層膜を接合しなければならない。しかしながら、一般に半導体基板および支持基板は中心から縁に向かって徐々に厚さが薄くなっていることから、半導体基板および支持基板の周縁部では、半導体基板と支持基板とが接合し難く、接合不良個所が発生し易い。また、半導体基板および支持基板の周縁部はハンドリングする際に接合の妨げとなる異物が付着しやすい領域でもある。そのため、上述した半導体基板および支持基板の厚さばらつきや異物の付着に起因して、上記周縁部においては中心部と比較して接合強度が弱くなってしまい、エピタキシャル層に欠けや浮きが生じるおそれがある。エピタキシャル層に欠けや浮きが存在すると、化合物半導体素子の作製時にその部分を起点としてクラックが発生し、エピタキシャル層が破壊され、それが原因で素子形成不良あるいはプロセス装置の汚染が生じるおそれがある。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、高い放熱性を有し、且つ良質な結晶品質を有する化合物半導体から成る半導体装置を提供することを目的とする。
本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板上に化合物半導体の結晶層を形成する第1の工程と、前記第1の工程で形成された結晶層上に、第1の金属層を島状に形成する第2の工程と、前記半導体基板上の前記第1の金属層が形成されていない領域の前記結晶層を除去する第3の工程と、前記化合物半導体より熱伝導率が高い支持基板上に、第2の金属層を形成する第4の工程と、前記第1の金属層と前記第2の金属層とを接合することによって、前記半導体基板と前記支持基板とを貼り合せる第5の工程と、前記半導体基板を前記結晶層を残して除去する第6の工程と、を含むことを特徴とする。
上記半導体装置の製造方法において、前記第1の金属層は、前記半導体基板の厚さが均一な領域に形成された前記結晶層上に形成されてもよい。
上記半導体装置の製造方法において、前記第1の金属層および第2の金属層は夫々多層構造を有し、前記第1の金属層を構成する複数の金属層のうち前記結晶層に接する金属層と、前記第2の金属層を構成する複数の金属層のうち前記支持基板に接する金属層とは、チタンを主成分とする金属材料で構成され、前記第1の金属層を構成する複数の金属層のうち前記第2の金属層と接合される金属層と、前記第2の金属層を構成する複数の金属層のうち前記第1の金属層と接合される金属層とは、金または銅を主成分とする金属材料で構成されてもよい。
また、本発明に係る半導体装置は、支持基板と、前記支持基板上に金属層を介して積層された化合物半導体から成る結晶層とを備え、前記支持基板は、前記化合物半導体より高い熱伝導率を有し、前記結晶層は島状に形成されることを特徴とする。
上記半導体装置において、島状に形成された前記結晶層は、前記支持基板の厚さが均一な領域に形成されてもよい。
上記半導体装置において、島状に形成された前記結晶層の夫々は、平面視円形状に形成されてもよい。
上記半導体装置において、前記金属層は、多層構造を有し、前記金属層を形成する複数の層のうち、前記結晶層に接する第1の層と前記支持基板に接する第2の層は、チタンを主成分とする金属材料から構成され、前記第1の層と前記第2の層の間に形成される第3の層は、金または銅を主成分とする金属材料から構成されてもよい。
上記半導体装置において、前記支持基板は、Si、SiC、AlN、GaN、およびダイヤモンドの何れかで構成されてもよい。
以上説明したことにより、本発明によれば、高い放熱性を有し、且つ良質な結晶品質を有する化合物半導体から成る半導体装置を提供することができる。
図1は、本発明に係る半導体装置の断面を模式的に示す図である。 図2Aは、本発明に係る半導体装置の製造方法を説明するための図である。 図2Bは、本発明に係る半導体装置の製造方法を説明するための図である。 図2Cは、本発明に係る半導体装置の製造方法を説明するための図である。 図2Dは、本発明に係る半導体装置の製造方法を説明するための図である。 図2Eは、本発明に係る半導体装置の製造方法を説明するための図である。 図2Fは、本発明に係る半導体装置の製造方法を説明するための図である。 図3は、図2Bの製造工程における半導体基板1の平面を模式的に示す図である。 図4は、半導体基板1上に形成される第1の金属層4の構造を説明するための図である。 図5は、支持基板10上に形成される第2の金属層5の構造を説明するための図である。 図6は、従来の化合物半導体から成る半導体装置の断面を模式的に示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
図1に、本発明に係る半導体装置の断面を模式的に示す。同図に示される半導体装置100は、第1の金属層4および第2の金属層5を介して化合物半導体から成るエピタキシャル層3が形成された支持基板10から成る。半導体装置100において、エピタキシャル層3は、支持基板10の厚さが均一な領域(支持基板10の周縁部を除いた内側の領域)80に島状に形成される。
半導体装置100は、例えば、その後の製造工程において、夫々のエピタキシャル層3にHBTなどの半導体素子が形成された後、半導体素子が形成されたエピタキシャル層3毎に支持基板10が切削されて切り出されることにより、複数の半導体チップとなる。すなわち、本実施の形態に係る半導体装置100は、半導体チップ製造用の基板と言うこともできる。
以下、半導体装置100の製造方法について詳細に説明する。
図2A〜図2Fは、半導体装置100の製造方法を説明するための図である。
先ず、図2Aに示すように、半導体基板1上に、化合物半導体から成る結晶層を形成する(第1の工程)。具体的には、半導体基板1上に犠牲層2を形成した後、犠牲層2上に半導体素子を形成するためのエピタキシャル層3を形成する。犠牲層2およびエピタキシャル層3は、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法や分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法により形成される。
エピタキシャル層3は、例えば、複数の異なる材料で構成される多層構造を有する。例えば、半導体素子としてInP系GaAsSbベースHBTを形成する場合、半導体基板1はInP基板である。この場合、エピタキシャル層3は、半導体基板1側から順番に、InGaAsサブコレクタ層、InPサブコレクタ層、InPコレクタ層、GaAsSbベース層、InPエミッタ層、InGaAsエミッタキャップ層が積層された構造となる。
犠牲層2は、エピタキシャル層3と同様に、多層構造とすることが望ましい。例えば、犠牲層2を2層構造とし、半導体基板1に接する層を第1の材料で構成し、エピタキシャル層3に接する層を第2の材料で構成する。ここで、第1の材料を、後述する半導体基板1をエッチングにより除去する際に半導体基板1に対するエッチングの選択比が高い(半導体基板1に対してエッチングされ難い)材料とし、第2の材料は、エピタキシャル層3の最下層(上記例の場合、InGaAsキャップ層)に対するエッチングの選択比が高い(エピタキシャル層3の最下層に対してエッチングされ易い)材料とすることが望ましい。例えば、エピタキシャル層3が上述したHBTである場合、犠牲層2を構成する上記第1の材料をInGaAsとし、上記第2の材料をInPとすればよい。
また、犠牲層2は、後述する半導体基板1のエッチングの際に、半導体基板1を完全に除去するまでに、犠牲層2が除去されないだけの厚さがあればよい。例えば、犠牲層2の厚さは、半導体基板1を除去する方法、半導体基板1の厚さ、半導体基板1のエッチングレート、および選択比等を考慮して決定される。例えば、半導体基板1として厚さ600umのInP基板を用いた場合、塩酸系のエッチャントで除去する際の犠牲層2としては、夫々100nm程度の厚さを有するInGaAs層とInP層とにより構成すればよい。
次に、図2Bに示されるように、半導体基板1上に形成されたエピタキシャル層3上に、第1の金属層4を島状に形成する(第2の工程)。例えば、第1の金属層4は、公知のリソグラフィ技術およびリフトオフ法を用いて形成される。
具体的に、第1の金属層4は、図2Bに示されるように、半導体基板1の厚さが均一な領域90のエピタキシャル層3上に形成され、半導体基板1の厚さが均一でない領域のエピタキシャル層3上には形成されない。より具体的には、第1の金属層4は、半導体基板1の周縁部91を除く領域のエピタキシャル層3上に形成される。
図3は、図2Bの製造工程における半導体基板1の平面を模式的に示す図である。なお、第1の金属層4から成る島の個数は、図3に示される個数に限定されない。
図3に示されるように、エピタキシャル層3が形成された半導体基板1の表面のうち、半導体基板1の縁から例えば5mm〜10mm内側の領域に、第1の金属層4を島状に形成する。以下、このことについて詳細に説明する。
一般に、半導体基板の周縁部(縁周辺の部分)の厚さは半導体基板の中心部の厚さよりも薄い。例えば、半導体基板が3インチのInP基板の場合、InP基板の厚さは、縁から5mm程度内側の箇所から縁に向かって薄くなる。例えば、InP基板の周縁部の厚さは、InP基板の中心部よりも、約1〜5um程度薄い。そのため、前述したように、基板転写プロセスによって半導体基板と支持基板とを接合する際には、薄くなっている周縁部の領域では接合し難い。また、前述したように、半導体基板の周縁部はハンドリングする際に接合の妨げとなる異物が付着しやすい領域である。そのため、例えば半導体基板1の周縁部(厚さが均一でない領域)91にまで第1の金属層4を堆積してしまうと、異物や厚さばらつきに起因して、半導体基板1の周縁部91において安定した接合強度を得ることができず、半導体基板1の内側の領域90と比較して接合強度が弱くなる。その結果、前述したように、その後の半導体素子の作製工程において、上記周縁部91を起点としてエピタキシャル層3が剥離する等の問題が生じるおそれがある。
そこで、図2Bおよび図3に示したように、第1の金属層4を半導体基板1の周縁部91を除く半導体基板の内側の領域90に設ける。このように第1の金属層4を形成する領域を限定することにより、半導体基板1と支持基板10との接合領域(接合面積)が限定されるので、接合工程において単位面積当たりに加わる接合荷重を増加させることができ、接合強度を増加させることができる。
更に望ましくは、第1の金属層4を形成する領域を、製品となる化合物半導体素子や化合物半導体素子が集積された機能回路をチップ化して切り出す有効領域のみに限定した方がよい。上記有効領域は、半導体基板の厚さやエピタキシャル層の厚さの均一性が半導体基板の中でも良好な領域であるため、半導体基板と支持基板とを接合する際に未接合や接合強度が弱い領域が生じることを防止できる。
また、図2Bおよび図3に示されるように、第1の金属層4は島状に形成される。すなわち、第1の金属層4は、複数分散して配置され、夫々の第1の金属層4の間には隙が設けられている。夫々の第1の金属層4は、図3に示されるように、平面視で矩形を面取りした形状、すなわち、平面視円形状とされる。
このように第1の金属層4を円形に近い形状とすることで、第1の金属層4を矩形状(角を有する形状)とする場合に比べて、その後の半導体素子の作製工程における加熱処理時の熱応力によって、第1の金属層4下に形成されたエピタキシャル層3が剥離するのを抑制することができる。また、第1の金属層4から成る夫々の島の面積は、特に制限されないが、後述する半導体基板1を除去する工程においてエピタキシャル層3の島の側面のエッチング量が島の面積に対して無視できる程度の大きさがあればよい。例えば、少なくともリソグラフィ工程におけるワンショットの面積程度あればよく、約1平方センチメートル以上の大きさがあればよい。
更に、第1の金属層4は、エピタキシャル層3との接着強度が高く、且つ放熱性を損ねない程度の高い熱伝導率を有していることが望ましい。そこで、本実施の形態では、第1の金属層4は多層構造を有する。
図4に、第1の金属層4の断面を模式的に示す。同図に示されるように、第1の金属層4は、例えば、異なる金属材料から成る2つの金属層が積層された構造を有する。例えば、第1の金属層4を構成する金属層のうちエピタキシャル層3に接する金属層41は、チタン(Ti)を主成分とする金属材料で構成され、他方の金属層42は、例えば金(Au)または銅(Cu)を主成分とする金属材料で構成される。これにより、放熱性を損なうことなく、エピタキシャル層3との接着性を向上させることが可能となる。
ただし、Tiは、熱伝導率がInPやGaAs等の化合物半導体材料よりも低いため、金属層41の膜厚を大きくすると放熱性が低下するおそれがある。そこで、Tiから成る金属層41は、放熱性を低下させないように、その膜厚をエピタキシャル層3との接着性が十分に保たれる範囲内で可能な限り薄くすることが望ましい。例えば、金属層41の膜厚を30nm以下とすることが望ましい。
また、放熱性の低下を抑えるためには、AuまたはCuから成る金属層42の膜厚も同様に、可能な限り薄くすることが望ましい。例えば、金属層42の膜厚の下限値は、半導体基板1と支持基板10と精度良く接合できるか否かによって決定される。すなわち、金属層42の膜厚の下限値は、接合技術そのものに依存する。
次に、図2Cに示されるように、半導体基板1上の第1の金属層4が形成されていない領域のエピタキシャル層3および犠牲層2を除去する(第3の工程)。具体的には、第1の金属層4をエッチングマスクとして、例えば公知のウェットエッチングやドライエッチング法により、第1の金属層4が形成されていない領域のエピタキシャル層3および犠牲層2を除去する。
次に、図2Dに示されるように、半導体基板1とは別個に用意した支持基板10上に、第2の金属層5を形成する(第4の工程)。
ここで、支持基板10は、エピタキシャル層3を構成する化合物半導体よりも熱伝導率が高く、且つ上記化合物半導体と同程度の絶縁性を有する。例えば、Si、SiC、AlN、GaN、およびダイヤモンドの何れかの材料で構成された基板を支持基板10として用いる。これにより、化合物半導体素子の放熱性を損なわず、かつ化合物半導体素子間(夫々のエピタキシャル層3同士)を電気的に分離することができる。
また、支持基板10は、例えば、半導体素子を形成する工程において支持基板10をハンドリングしたときに支持基板10自体が破壊されない程度の厚みを有するように、可能な限り薄くすることが望ましい。例えば、支持基板10としてSiC基板を用いた場合、100〜150μm程度の厚さが望ましい。このように支持基板10の厚さを可能な限り薄くすることで、支持基板10の熱抵抗を小さくすることができ、放熱性を向上させることができる。
第2の金属層5は、例えば公知の真空蒸着法やスパッタリング法により、支持基板10上に金属を堆積することにより形成される。第2の金属層5は、第1の金属層4と同様に、多層構造を有する。
図5に、第2の金属層5の断面を模式的に示す。同図に示されるように、第2の金属層5は、例えば、異なる金属材料から成る2つの金属層が積層された構造を有する。例えば、第2の金属層5を構成する2つの金属層のうち支持基板10に接する金属層51は、Tiを主成分とする金属材料で構成され、他方の金属層52は、例えばAuまたはCuを主成分とする金属材料で構成される。これにより、放熱性を損なうことなく、支持基板10との接着性を向上させることが可能となる。なお、放熱性の観点から、第2の金属層5の厚さも、第1の金属層4と同様に可能な限り薄くすることが望ましいが、第1の金属層4の厚さと同じにする必要はない。
次に、図2Eに示されるように、第1の金属層4と第2の金属層5とを接合することによって半導体基板1と支持基板10とを貼り合せる(第5の工程)。具体的には、第1の金属層4と、支持基板10の厚さが均一な領域(支持基板10の内側の領域)80に形成された第2の金属層5とを接合させる。接合する際には、接合時の温度が素子形成工程中での最高温度よりも低いことが望ましい。例えば、上述したInP系GaAsSbベースHBTの場合、最高プロセス温度は400℃であるので、それよりも低い温度で接合することが望ましい。接合温度が高い場合、接着層(第1の金属層4および第2の金属層5)とエピタキシャル層3との間や、上記接着層と支持基板10との間に熱応力が生じ、エピタキシャル層3が劣化または破壊されるおそれがある。
上記のような低い接合温度で第1の金属層4と第2の金属層5とを接合する方法としては、表面活性化接合法を例示することができる。表面活性化接合法は、高真空中で接合面を表面処理することにより、接合面の表面の原子を化学結合しやすい状態にする手法である。具体的に、表面活性化接合法によって半導体基板1と支持基板10とを貼り合せる場合、第1の金属層4と第2の金属層5の夫々の表面をArプラズマまたは分子線でエッチングすることにより、上記表面のわずかな不純物を除去し、原子が結合しやすいように第1の金属層4および第2の金属層5の表面を活性化させた後、第1の金属層4と第2の金属層5とを接合させる。
次に、図2Fに示されるように、半導体基板1を、エピタキシャル層3を残して除去する(第6の工程)。具体的には、犠牲層2、エピタキシャル層3、第1の金属層4、第2の金属層5、および支持基板10を残して、半導体基板1のみを除去する。例えば、バックグラインダーを用いて半導体基板1を機械的に研削し、半導体基板1を薄層化した後、犠牲層2と半導体基板1のエッチング選択比が十分にとれる公知のエッチング法によって、薄層となった半導体基板1を除去すればよい。この手法で半導体基板1を除去する場合、機械的な研削によって半導体基板1が薄くなるにつれて、研削時に半導体基板1を介してエピタキシャル層3や支持基板10に加わる負荷が増大する。そのため、バックグラインダーによる研削量は、エピタキシャル層3と支持基板11との接合強度によって規定される。したがって、研削時の負荷によってエピタキシャル層3が剥離しない厚さまで半導体基板1を薄くした後で、エッチング法により半導体基板1を除去すれば、エピタキシャル層3等にダメージを与えることなく、効率良く半導体基板1を除去することが可能となる。例えば、上述したInP系GaAsSbベースHBTの場合、InP基板から成る半導体基板1を10um〜100um程度の厚さを残すようにバックグラインダーを用いて研削した後に、塩酸系エッチャントを用いて半導体基板1を完全に除去し、最後に、犠牲層2の第1の材料であるInGaAsとクエン酸系エッチャントで選択的に除去し、第2の材料であるInP層を塩酸系エッチャントで選択的に除去すればよい。これにより、図1に示されるように、島状に分離されたエピタキシャル層3のみが第1の金属層4および第2の金属層5を介して支持基板10上に形成された状態となり、上記の半導体装置100が形成される。
その後の製造工程において、半導体装置100におけるエピタキシャル層3にHBT等の半導体素子を形成し、各種の工程を経た後に、半導体素子が形成されたエピタキシャル層3毎に支持基板10を切削して切り出すことにより、複数の半導体チップが形成される。
以上、本発明によれば、第1の金属層4を島状に形成することにより、エピタキシャル層3を複数分散して形成することができるから、例えば、その後の半導体素子の作製工程における加熱によって生じる支持基板10とエピタキシャル層3との間の熱応力によるひずみを緩和させることができる。これにより、エピタキシャル層3の結晶品質の劣化やエピタキシャル層3の破壊を防止することが可能となる。
また、本発明によれば、化合物半導体から成るエピタキシャル層3が形成された半導体基板1と支持基板10とが、上記化合物半導体よりも熱伝導率が高く且つヤング率が低い(塑性変形し易い)第1および第2の金属層4、5を介して接合されるので、半導体基板1と支持基板10とを直接接合する場合に比べて、接合の際に半導体基板1と支持基板10の夫々に要求される表面平坦性が緩和される。これにより、半導体基板1と支持基板10との接合が容易となり、接合によるエピタキシャル層3の欠けや浮きの発生を抑えることが可能となる。
また、エピタキシャル層3を構成する化合物半導体よりも熱伝導率の高い支持基板10と半導体基板1とを接合するための接着層として第1および第2の金属層4,5を用いるので、接着層を用いたことによる放熱性の低下を抑えることができる。
すなわち、本発明によれば、高い放熱性を有し、且つ良質な結晶品質を有する化合物半導体素子から成る半導体装置を製造することが可能となる。
更に、本発明のように、第1の金属層4を、半導体基板1の周縁部91を除いた半導体基板1の厚さが均一な内側の領域90に形成することにより、エピタキシャル層3のクラックが発生する起点となる接合不良箇所の発生(エピタキシャル層3の欠けや浮きの発生)を抑えることができるので、良質な結晶品質を有する化合物半導体素子の実現に資する。
また、接着層となる第1の金属層4が形成される領域を上記のように限定することにより、半導体基板1と支持基板10との接合領域が限定されるので、接合時に半導体基板と支持基板の間に加わる単位面積当たりの荷重を増やすことができ、接合強度を増加させることができる。
また、金属層4,5を上記のように2層構造とすることにより、放熱性の低下を抑えつつ、エピタキシャル層3と第1の金属層4との密着性および第2の金属層5と支持基板10との密着性を向上させることが可能となる。また、第1の金属層4と第2の金属層5とを同一の金属材料からなる面で接合するので、接合が容易となる。
更に、本発明のように、エピタキシャル層3を平面視円形状に形成することにより、エピタキシャル層3を矩形状に形成する場合に比べて、熱応力等によってエピタキシャル層3が剥離し難くなり、エピタキシャル層3の破壊等を防止することが可能となる。
以上、本発明者らによってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、第1の金属層4および第2の金属層5を2層構造とする場合を例示したが、例えばTiとAu(Cu)との間に別の金属材料を挿入して3層以上の構造としてもよい。また、放熱性を損なわず、エピタキシャル層3と十分に密着させることが可能な金属材料を用いることができる場合には、第1の金属層5をその金属材料を用いた単層構造としてもよい。
金属層41および金属層51を構成する金属材料としてTiを例示したが、これに限られず、エピタキシャル層3や支持基板10との密着性を高めることができるのであれば、別の金属材料を用いてもよい。また、金属層41と金属層51を別の金属材料としてもよい。
また、半導体基板1と支持基板10とを貼り合せる方法として表面活性化接合法を例示したが、これに限られず、表面活性化接合と同等の条件(例えば低い接合温度等)やエピタキシャル層3に影響を与えない条件で第1の金属層4と第2の金属層5とを接合できることができるのであれば、他の方法を用いることも可能である。
100…半導体装置、1…半導体基板、2…犠牲層、3…エピタキシャル層、4…第1の金属層、5…第2の金属層、41、42、51、52…金属層、10…支持基板、80…支持基板の厚さが均一な領域、90…半導体基板の厚さが均一な領域、91…半導体基板の周縁部。

Claims (8)

  1. 半導体基板上に、化合物半導体の結晶層を形成する第1の工程と、
    前記第1の工程で形成された結晶層上に、第1の金属層を島状に形成する第2の工程と、
    前記半導体基板上の前記第1の金属層が形成されていない領域の前記結晶層を除去する第3の工程と、
    前記化合物半導体より熱伝導率が高い支持基板上に、第2の金属層を形成する第4の工程と、
    前記第1の金属層と前記第2の金属層とを接合することによって、前記半導体基板と前記支持基板とを貼り合せる第5の工程と、
    前記半導体基板を前記結晶層を残して除去する第6の工程と、を含む
    ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記第1の金属層は、前記半導体基板の厚さが均一な領域に形成された前記結晶層上に形成される、
    ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記第1の金属層および第2の金属層は夫々多層構造を有し、
    前記第1の金属層を構成する複数の金属層のうち前記結晶層に接する金属層と、前記第2の金属層を構成する複数の金属層のうち前記支持基板に接する金属層とは、チタンを主成分とする金属材料で構成され、
    前記第1の金属層を構成する複数の金属層のうち前記第2の金属層と接合される金属層と、前記第2の金属層を構成する複数の金属層のうち前記第1の金属層と接合される金属層とは、金または銅を主成分とする金属材料で構成される
    ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  4. 支持基板と、
    前記支持基板上に金属層を介して積層された化合物半導体から成る結晶層とを備え、
    前記支持基板は、前記化合物半導体より高い熱伝導率を有し、
    前記結晶層は、島状に形成される
    ことを特徴とする半導体装置。
  5. 請求項4に記載の半導体装置において、
    島状に形成された前記結晶層は、前記支持基板の厚さが均一な領域に形成される
    ことを特徴とする半導体装置。
  6. 請求項4または5に記載の半導体装置において、
    島状に形成された前記結晶層の夫々は、平面視円形状に形成される
    ことを特徴とする半導体装置。
  7. 請求項4乃至6の何れかに記載の半導体装置において、
    前記金属層は、多層構造を有し、
    前記金属層を形成する複数の層のうち、前記結晶層に接する第1の層と前記支持基板に接する第2の層はチタンを主成分とする金属材料から構成され、前記第1の層と前記第2の層の間に形成される第3の層は、金または銅を主成分とする金属材料から構成される
    ことを特徴とする半導体装置。
  8. 請求項7に記載の半導体素子形成用の基板において、
    前記支持基板は、Si、SiC、AlN、GaN、およびダイヤモンドの何れかで構成される
    ことを特徴とする半導体装置。
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