JP2015141249A - 画像形成装置、及びプロセスカートリッジ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料及びクロロガリウムフタロシアニン顔料から選択される電荷発生材料と正孔輸送材料と特定の構造を有するフルオレン化合物の電子輸送材料とフェノール系酸化防止剤とを含む感光層を有する感光体10と、感光体10の表面を800V以上1200V以下に帯電する帯電装置20と、を備えた画像形成装置。
【選択図】図1
Description
導電性基体と前記導電性基体上に設けられた単層型の感光層とを有し、前記感光層が結着樹脂とヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料及びクロロガリウムフタロシアニン顔料から選択される少なくとも1種の電荷発生材料と正孔輸送材料と下記一般式(1)で表される電子輸送材料とフェノール系酸化防止剤とを含む電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を800V以上1200V以下に帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備えた画像形成装置。
前記フェノール系酸化防止剤は、下記式(2)で表される酸化防止剤を含む、請求項1に記載の画像形成装置。
前記フェノール系酸化防止剤は、下記式(3)で表される酸化防止剤を含む、請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
前記正孔輸送材料は、下記一般式(4)で表される正孔輸送材料である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
導電性基体と前記導電性基体上に設けられた単層型の感光層とを有し、前記感光層が結着樹脂とヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料及びクロロガリウムフタロシアニン顔料から選択される少なくとも1種の電荷発生材料と正孔輸送材料と下記一般式(1)で表される電子輸送材料とフェノール系酸化防止剤とを含む電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を800V以上1200V以下に帯電する帯電手段と、
を備え、画像形成装置に脱着されるプロセスカートリッジ。
本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真感光体と、電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により、電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、を備える。
そして、単層型の感光層は、結着樹脂と、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料及びクロロガリウムフタロシアニン顔料から選択される少なくとも1種の電荷発生材料と、正孔輸送材料と、一般式(1)で表される電子輸送材料と、フェノール系酸化防止剤と、を含む。
なお、単層型の感光層とは、電荷発生能と共に、正孔輸送性及び電子輸送性を持つ感光層である。
一方で、単層型感光体は、その単層型の感光層内に、電荷発生材料と正孔輸送材料と電子輸送材料とを含有する構成である。このため、感光層が機能分離されていない単層型感光体は、機能分離型の感光層を有する有機感光体(積層型感光体)に比べると、電荷の輸送制御が難しい。
そのため、帯電手段により帯電された感光体の表面電位が前記範囲よりも低い場合に比べて目的とする画像濃度が得られやすく、かつ、感光層に含有させる材料が前記組み合わせ以外の場合(例えばフェノール系酸化防止剤以外の酸化防止剤を用いた場合、酸化防止剤を用いなかった場合、又は一般式(1)で表される電子輸送材料以外の電子輸送材料を用いた場合等)に比べて、繰り返し使用しても画像に意図しない黒点が発生しにくい。
上記表面電位の測定は、現像装置の代わりに電子写真感光体と正対するように表面電位測定プローブを設置し、表面電位計(例えば、トレック社製、トレック334)を用いて行う。
本実施形態に係る画像形成装置101は、図1に示すように、例えば、矢印Aで示すように、時計回り方向に回転する電子写真感光体10と、電子写真感光体10の上方に、電子写真感光体10に相対して設けられ、電子写真感光体10の表面を帯電させる帯電装置20(帯電手段の一例)と、帯電装置20により帯電した電子写真感光体10の表面に露光して、静電潜像を形成する露光装置30(静電潜像形成手段の一例)と、露光装置30により形成された静電潜像に現像剤に含まれるトナーを付着させて電子写真感光体10の表面にトナー像を形成する現像装置40(現像手段の一例)と、記録紙P(記録媒体の一例)をトナーの帯電極性とは異なる極性に帯電させて記録紙Pに電子写真感光体10上のトナー像を転写させる転写装置50と、電子写真感光体10の表面をクリーニングするクリーニング装置70(クリーニング手段の一例)と、を備える。そして、本実施形態に係る画像形成装置101は、トナー像が形成された記録紙Pを搬送しつつ、トナー像を定着させる定着装置60を備える。
図2は、本実施形態に係る電子写真感光体10の一部の断面を概略的に示している。
図2に示した電子写真感光体10は、例えば、導電性基体4を備え、導電性基体4上に、下引層1、単層型の感光層2、及び保護層3がこの順で設けられて構成されている。
なお、下引層1、及び保護層3は、必要に応じて、設けられる層である。
導電性基体としては、例えば、金属(アルミニウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等)又は合金(ステンレス鋼等)を含む金属板、金属ドラム、及び金属ベルト等が挙げられる。また、導電性基体としては、例えば、導電性化合物(例えば導電性ポリマー、酸化インジウム等)、金属(例えばアルミニウム、パラジウム、金等)又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、樹脂フィルム、ベルト等も挙げられる。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
酸性処理液による処理は、例えば、以下のようにして実施される。先ず、リン酸、クロム酸及びフッ酸を含む酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、例えば、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲がよい。処理温度は例えば42℃以上48℃以下が好ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が好ましい。
下引層は、例えば、無機粒子と結着樹脂とを含む層である。
これらの中でも、上記抵抗値を有する無機粒子としては、例えば、酸化錫粒子、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化ジルコニウム粒子等の金属酸化物粒子がよく、特に、酸化亜鉛粒子が好ましい。
無機粒子の体積平均粒径は、例えば、50nm以上2000nm以下(好ましくは60nm以上1000nm以下)がよい。
特に、電子受容性化合物としては、アントラキノン構造を有する化合物が好ましい。アントラキノン構造を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシアントラキノン化合物、アミノアントラキノン化合物、アミノヒドロキシアントラキノン化合物等が好ましく、具体的には、例えば、アントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が好ましい。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂、導電性樹脂(例えばポリアニリン等)等も挙げられる。
これら結着樹脂を2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
添加剤としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。シランカップリング剤は前述のように無機粒子の表面処理に用いられるが、添加剤として更に下引層に添加してもよい。
下引層の表面粗さ(十点平均粗さ)は、モアレ像抑制のために、使用される露光用レーザ波長λの1/4n(nは上層の屈折率)から1/2λまでに調整されていることがよい。
表面粗さ調整のために下引層中に樹脂粒子等を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が挙げられる。また、表面粗さ調整のために下引層の表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が挙げられる。
これらの溶剤として具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。
図示は省略するが、下引き層と感光層との間に中間層をさらに設けてもよい。
中間層は、例えば、樹脂を含む層である。中間層に用いる樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子化合物が挙げられる。
中間層は、有機金属化合物を含む層であってもよい。中間層に用いる有機金属化合物としては、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、ケイ素等の金属原子を含有する有機金属化合物等が挙げられる。
これらの中間層に用いる化合物は、単独で又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
中間層を形成する塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
単層型の感光層は、結着樹脂と、電荷発生材料と、正孔輸送材料と、電子輸送材料と、酸化防止剤と、必要に応じて、その他添加剤と、を含んで構成される。
結着樹脂としては、特に制限はないが、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。これらの結着樹脂は、単独又は2種以上混合して用いてもよい。
これらの結着樹脂の中でも、特に、感光層の成膜性の観点から、例えば、粘度平均分子量30000以上80000以下のポリカーボネート樹脂がよい。
電荷発生材料としては、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料及びクロロガリウムフタロシアニン顔料から選択される少なくとも1種が適用される。
電荷発生材料としては、これら顔料を単独で用いてもよいが、必要に応じて併用してもよい。そして、電荷発生材料としては、感光体の高感度化、及び画像の点欠陥抑制の観点から、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料がよい。
特に、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料としては、例えば、600nm以上900nm以下の波長域での分光吸収スペクトルにおいて、810nm以上839nm以下の範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料がより優れた分散性が得られる観点から好ましい。電子写真感光体の材料として用いた場合に、優れた分散性と、十分な感度、帯電性及び暗減衰特性とが得られ易くなる。
ここで、平均粒径が0.20μmより大きい場合、又は比表面積値が45m2/g未満である場合は、顔料粒子が粗大化しているか、又は顔料粒子の凝集体が形成される傾向があり、分散性や、感度、帯電性及び暗減衰特性といった特性に欠陥が生じやすい傾向にあり、それにより画質欠陥を生じ易くなることがある。
クロロガリウムフタロシアニン顔料の好適な分光吸収スペクトルの最大ピーク波長、平均粒径、最大粒径、及び比表面積値は、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料と同様である。
正孔輸送材料は、例えば、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の化合物が挙げられる。これらの正孔輸送材料は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられるが、これらに限定されるものではない。
まず、下記一般式(4)で表される化合物について説明する。
これらの中でも、低級アルキル基としては、メチル基、エチル基が好ましい。
なお、フェニル基に置換し得る置換基としては、例えば、R1〜R6が示す低級アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子が挙げられる。
・4−Me:フェニル基の4−位に置換するメチル基
・3−Me:フェニル基の3−位に置換するメチル基
・4−Cl:フェニル基の4−位に置換する塩素原子
・4−MeO:フェニル基の4−位に置換するメトキシ基
・4−F:フェニル基の4−位に置換するフッ素原子
・4−Pr:フェニル基の4−位に置換するプロピル基
・4−PhO:フェニル基の4−位に置換するフェノキシ基
なお、この正孔輸送材料の含有量は、複数種の正孔輸送材料を併用した場合、その正孔輸送材料全体の含有量である。
電子輸送材料としては、一般式(1)で表される電子輸送材料が適用される。
一般式(1)中、R11〜R17が示すアラルキル基としては、例えば、ベンジル基等が挙げられる。
これらの中でも、フェニル基が好ましい。
炭素数5以上10以下の直鎖状のアルキル基としては、例えば、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
炭素数5以上10以下の分岐状のアルキル基としては、例えば、イソプロピル基、
イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、tert−ヘプチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、イソノニル基、sec−ノニル基、tert−ノニル基、イソデシル基、sec−デシル基、tert−デシル基等が挙げられる。
R19が示すアルキレン基としては、直鎖状又は分岐状の炭素数1以上のアルキレン基が挙げられ、メチレン基、エチレン基、n−プロビレン基、イソプロビレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、tert−ペンチレン基等が挙げられる。
Arが示すアリール基としては、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基等が挙げられる。
・Ph:フェニル基
なお、この電子輸送材料の含有量は、一般式(1)で表される電子輸送材料と他の電子輸送材料を併用した場合、その電子輸送材料全体の含有量である。
上記正孔輸送材料及び特定の電子輸送材料以外にも、機能を損ねない範囲で、他の電荷輸送材料(他の電子輸送材料)を併用してもよい。但し、他の電荷輸送材料は、正孔輸送材料及び電子輸送材料全体に対して10質量%以下で併用することがよい。
正孔輸送材料と電子輸送材料との比率は、質量比(正孔輸送材料/電子輸送材料)で、50/50以上90/10以下が望ましく、より望ましくは60/40以上80/20以下である。
なお、本比率は、他の電荷輸送材料を併用した場合、その合計での比率である。
酸化防止剤として、フェノール系酸化防止剤が適用される。フェノール系酸化防止剤は、フェノール環を有する酸化防止剤である。
1)炭素数4以上8以下のアルキル基(例えば炭素数4以上8以下の分岐状のアルキル基)が少なくとも一つ置換されたフェノール環を一つ有する酸化防止剤。
2)炭素数4以上8以下のアルキル基(例えば炭素数4以上8以下の分岐状のアルキル基)が少なくとも一つ置換されたフェノール環を2つ以上4つ以下有し、且つ直鎖又は分岐状の2価以上4価以下の脂肪族炭化水素基からなる連結基、又は2価以上4価以下の脂肪族炭化水素基の炭素−炭素の結合間に、エステル結合(−C(=O)O−)及びエーテル結合(−O−)の少なくとも一方が介在した連結基で、2つ以上4つ以下のフェノール環が連結された酸化防止剤。
フェノール系酸化防止剤が有する前記ヒンダードフェノール環の数としては、例えば1以上4以下が挙げられ、2以上4以下が好ましく、2が最も好ましい。
前記ヒンダードフェノール環を有するフェノール系酸化防止剤としては、例えば、下記一般式(A−1)〜(A−5)で表される化合物等が挙げられる
なお、R24における直鎖状のアルキル基及びアルコキシ基を置換する置換基としては、例えば、炭素数1以上20以下のアルコキシ基、炭素数1以上20以下のアルコキシカルボニル基、フェニル基等が挙げられる。
以下、フェノール系酸化防止剤の例示化合物を示すが、これに限られるわけではない。
また、感光層の固形分に対するフェノール系酸化防止剤の含有量は、前記黒点の発生を抑制し易くする点から、例えば、0.5質量%以上10質量%以下がよく、好ましくは1質量%以上5質量%以下、より好ましくは1質量%以上3質量%以下である。
このフェノール系酸化防止剤の含有量を上記範囲とすることで、黒点の発生を抑制しつつ、前記含有量が多すぎる場合に比べて電子写真感光体の電気特性の低下も抑制される。
単層型の感光層には、光安定剤、熱安定剤等の周知のその他添加剤を含んでいてもよい。また、単層型の感光層が表面層となる場合、フッ素樹脂粒子、シリコーンオイル等を含んでいてもよい。
単層型の感光層は、上記成分を溶剤に加えた感光層形成用塗布液を用いて形成される。
溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状もしくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤が挙げられる。これら溶剤は単独又は2種以上混合して用いる。
保護層は、必要に応じて感光層上に設けられる。保護層は、例えば、帯電時の感光層の化学的変化を防止したり、感光層の機械的強度をさらに改善する目的で設けられる。
そのため、保護層は、硬化膜(架橋膜)で構成された層を適用することがよい。これら層としては、例えば、下記1)又は2)に示す層が挙げられる。
2)非反応性の電荷輸送材料と、電荷輸送性骨格を有さず、反応性基を有する反応性基含有非電荷輸送材料と、を含む組成物の硬化膜で構成された層(つまり、非反応性の電荷輸送材料と、当該反応性基含有非電荷輸送材料の重合体又は架橋体と、を含む層)
なお、保護層形成用塗布液は、無溶剤の塗布液であってもよい。
帯電装置20は、電子写真感光体10の表面の電位が前記範囲となるように帯電するものであれば特に限定されない。
帯電装置20としては、例えば、導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が挙げられる。また、帯電装置20としては、例えば、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も挙げられる。帯電装置20としては、接触帯電の場合、その押圧により黒点の発生が促進されることがあるため、非接触型帯電器のほうが望ましい。
露光装置30としては、例えば、電子写真感光体10表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体10の分光感度領域にあるものがよい。半導体レーザの波長としては、例えば、780nm前後に発振波長を有する近赤外がよい。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、露光装置30としては、例えばカラー画像形成のためにはマルチビーム出力するタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
現像装置40は、例えば、トナー及びキャリアからなる2成分現像剤を収容する容器内に、現像領域で電子写真感光体10に対向して配置された現像ロール41が備えられた構成が挙げられる。現像装置40としては、2成分現像剤により現像する装置であれば、特に制限はなく、周知の構成が採用される。
転写装置50としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
クリーニング装置70は、例えば、筐体71と、クリーニングブレード72と、クリーニングブレード72の電子写真感光体10回転方向下流側に配置されるクリーニングブラシ73と、を含んで構成されている。また、クリーニングブラシ73には、例えば、固形状の潤滑剤74が接触して配置されている。
その後、クリーニング装置70により電子写真感光体10の表面をクリーニングされる。そして、再び、帯電装置20によって、帯電がなされて、次のサイクル(画像プロセス)が行われる。
プロセスカートリッジ101Aの構成は、これに限られず、例えば、少なくとも、電子写真感光体10を備えてえればよく、その他、例えば、帯電装置20、露光装置30、現像装置40、及びクリーニング装置70から選択される少なくとも一つを備えていてもよい。
電荷発生材料としてCukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜,16.0゜,24.9゜,28.0゜の位置に回折ピークを有するV型のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料 2質量部と、結着樹脂としてビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:5万) 53質量部と、酸化防止剤として前記式(2)で表される化合物 1質量部と、テトラヒドロフラン
250質量部と、からなる混合物を、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて5時間分散し、分散液を得た。
得られた分散液に、正孔輸送材料として一般式(4)で表される例示化合物(4−1)(表1及び表2中「T−1」と表記) 32質量部と、電子輸送材料として一般式(1)で表される例示化合物(1−2)(表1及び表2中「I−1」と表記) 14質量部と、を添加し、さらに12時間攪拌して、感光層形成用塗布液を得た。
以上の工程を経て、電子写真感光体(感光体1)を作製した。
表1〜表2に従って、電荷発生材料、結着樹脂、酸化防止剤、正孔輸送材料、及び電子輸送材料の種類及び量を変更した以外は、感光体1と同様にして、感光体2〜20を作製した。
なお、表1中の「部」は質量部を示している。
(初期画像評価)
表3に従って、得られた電子写真感光体(感光体1〜感光体20)をBrother社製の画像形成装置(JUSTIO HL2270DW)に搭載し、帯電電位(帯電装置によって帯電された電子写真感光体の表面における電位)及び現像電位(現像ロールに印加される電位で、露光された後の電子写真感光体の表面電位と現像電位の電位差によって現像されるトナー量がコントロールされる電位)が表3に示す値になるように電位設定を行った画像形成装置について、以下の初期画像評価を行った。結果を表3に示す。
A:0.15<Dout≦0.25
B:0.1<Dout≦0.15 又は 0.25<Dout≦0.3
C:Dout≦0.1 又は 0.3<Dout
A:1.4≦Dout
B:1.35≦Dout<1.4
C:1.3≦Dout<1.35
D:Dout<1.3
表3に従って、得られた電子写真感光体(感光体1〜感光体20)をBrother社製の画像形成装置(HL2270DW)に搭載し、帯電電位及び現像電位が表3に示す値になるように電位設定を行った画像形成装置について、以下の維持性評価を行った。結果を表3に示す。
具体的には、上記画像形成装置を用い、室温28℃湿度85%の環境下で、画像密度4%の画像を2000枚形成し、その後12時間放置した後、50%ハーフトーン画像を形成し、画像の黒点発生個数を数え、以下の基準で評価を行った。なお、黒点の個数については、電子写真感光体1週分の画像における黒点の個数を数え、以下の基準で評価した。
A:Φ0.3mm未満の黒点が5個以下、かつ、Φ0.3mm以上の黒点未発生
B:Φ0.3mm未満の黒点が5個以下、かつ、Φ0.3mm以上0.5mm以下の黒点が1個以下
C:Φ0.3mm未満の黒点が8個以下、かつ、Φ0.3mm以上0.5mm以下の黒点が3個以下
D:Φ0.3mm未満の黒点が0個以上、Φ0.3mm以上0.5mm未満の黒点が4個以上、又はΦ0.5mm以上の黒点が発生
上記画像形成装置をさらに電位測定用に改造した。具体的には、現像装置の代わりに電子写真感光体と正対するように表面電位測定プローブ(トレック社、Model 555P−1)を設置し、表面電位計(トレック社製、トレック334)と接続し電位測定を行った。次に、室温28℃湿度85%の環境下で、ベタ濃度出力時の感光体表面電位(露光装置によってベタ濃度の潜像が形成された感光体の表面電位)を測定し、これを露光後電位VLとした。
上記露光後電位VLの測定を、前記画像維持性評価の前後において行い、その差ΔVLを求め、以下の基準で評価した。
A:ΔVL≦10V
B:10V<ΔVL≦20V
C:20V<ΔVL
これにより、本実施例では、比較例に比べ、目的とする画像濃度が得られやすく、かつ、繰り返し使用しても画像に意図しない黒点が発生しにくいことがわかる。
・ヒドロキシガリウムフタロシアニン: Cukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜,16.0゜,24.9゜,28.0゜の位置に回折ピークを有するV型のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料(600nm以上900nm以下の波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長=820nm、平均粒径=0.12μm、最大粒径=0.2μm、比表面積値=60m2/g)
・クロロガリウムフタロシアニン: Cukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.4゜,16.6゜,25.5゜,28.3゜の位置に回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン顔料(600nm以上900nm以下の波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長=780nm、平均粒径=0.15μm、最大粒径=0.2μm、比表面積値=56m2/g)
・ビスフェノールZポリカーボネート: ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:5万)
・式(2): 前記式(2)で表される化合物(MDPS)
・式(3): 前記式(3)で表される化合物(SUMILIER(登録商標) GA−80、住友化学(株)製)
・P−1: 前記フェノール系酸化防止剤の例示化合物(P−1)
・P−4: 前記フェノール系酸化防止剤の例示化合物(P−4)
・P−3: 前記フェノール系酸化防止剤の例示化合物(P−3)
・式(C−1): 下記式(C−1)で表される化合物
・式(C−2): 下記式(C−2)で表される化合物
・T−1: 前記一般式(4)で表される正孔輸送材料の例示化合物(4−1)
・T−2: 前記一般式(B−2)で表されるベンジジン誘導体の例示化合物(HT−1)
・T−3: 前記一般式(B−1)で表されるトリアリールアミン誘導体の例示化合物(HT−4)
・I−1: 一般式(1)で表される電子輸送材料の例示化合物(1−2)
・I−2: 一般式(1)で表される電子輸送材料の例示化合物(1−14)
・I−3: 一般式(1)で表される電子輸送材料の例示化合物(1−15)
・I−4: 下記式(C−3)で表される電子輸送材料
Claims (5)
- 導電性基体と前記導電性基体上に設けられた単層型の感光層とを有し、前記感光層が結着樹脂とヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料及びクロロガリウムフタロシアニン顔料から選択される少なくとも1種の電荷発生材料と正孔輸送材料と下記一般式(1)で表される電子輸送材料とフェノール系酸化防止剤とを含む電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を800V以上1200V以下に帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備えた画像形成装置。
(一般式(1)中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、及びR17は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はアラルキル基を示す。R18は、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。) - 前記フェノール系酸化防止剤は、下記式(2)で表される酸化防止剤を含む、請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記フェノール系酸化防止剤は、下記式(3)で表される酸化防止剤を含む、請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
- 前記正孔輸送材料は、下記一般式(4)で表される正孔輸送材料である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(一般式(4)中、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、各々独立に、水素原子、低級アルキル基、アルコキシ基、フェノキシ基、ハロゲン原子、又は、低級アルキル基、低級アルコキシ基及びハロゲン原子から選ばれる置換基を有していてもよいフェニル基を示す。m及びnは、各々独立に、0又は1を示す。) - 導電性基体と前記導電性基体上に設けられた単層型の感光層とを有し、前記感光層が結着樹脂とヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料及びクロロガリウムフタロシアニン顔料から選択される少なくとも1種の電荷発生材料と正孔輸送材料と下記一般式(1)で表される電子輸送材料とフェノール系酸化防止剤とを含む電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を800V以上1200V以下に帯電する帯電手段と、
を備え、画像形成装置に脱着されるプロセスカートリッジ。
(一般式(1)中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、及びR17は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はアラルキル基を示す。R18は、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。)
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