JP2015140897A - 車両の自動変速制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】クラッチが切断不能な非常状態に変速動作を可能として、スタータモータにより車両を脱出させる。【解決手段】車両の自動変速制御装置は、スタータモータ11bにより駆動可能な内燃機関11にクラッチ16を介して機械式変速機21が接続され、クラッチ16を切断した状態で機械式変速機21の変速動作を行わせる変速制御手段22を備える。非常用強制変速スイッチ36が設けられ、非常用強制変速スイッチ36が入れられているときに変速制御手段22はクラッチ16を切断すること無く機械式変速機21のギヤ入れを行わせることを特徴とする。クラッチ16を切断すること無く機械式変速機21のギヤ入れを行わせる要件として、内燃機関11が停止中であることを含み、そのギヤ入れが行われると注意を喚起する注意喚起手段38を更に備える。【選択図】 図1

Description

本発明は、内燃機関にクラッチを介して接続された機械式変速機を制御する車両の自動変速制御装置に関するものである。
従来、内燃機関の駆動力により走行する車両には、その内燃機関を始動するスタータモータが設けられ、そのスタータモータを制御するスタータ制御装置が設けられる。この従来のスタータ制御装置には、内燃機関の始動時に不用意に車両が発進することを防止するために、内燃機関の動力が車輪に伝達されない状態にあるときにのみ内燃機関の始動が可能なように構成される。即ち、スタータ始動時に変速機のギヤ位置がニュートラル位置以外の位置、又はクラッチが切断されていないときには、運転者がキースイッチをスタータ位置に操作しても、スタータモータを駆動させないようにしている。
しかし、この要件を厳格に適用すると、停止してはいけない場所、例えば、踏切内において突然内燃機関が停止してしまった場合に、変速機のギヤをロー位置に入れてクラッチを接続してドライブ状態とし、キースイッチを回してスタータモータを作動させて、車両を応急的に脱出させることができないという問題がある。
この点を解消するために、キースイッチと別に非常スイッチを設け、停止してはいけない場所で停止してしまったときに、その非常スイッチが入れられるとスタータモータを作動可能とするスタータ制御装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。これにより運転者は、内燃機関の動力が車輪に伝達されるドライブ状態であっても、非常スイッチを入れることによりキースイッチによりスタータモータを作動させることが可能になり、車両を停止した場所から脱出させることが可能になるとしている。
一方、トラックなど商用車においては、自動変速装置を搭載するものが多く見られる。このような自動変速装置として、機械的なクラッチと歯車式の機械式変速機を用い、これらの作動状態を検出する各種センサとこれらを駆動するアクチュエータを設けたものが知られている。このような車両の機械式変速機を制御する自動変速制御装置では、運転者の操作力で手動変速するのでなく、各種センサの検出信号に基づいてアクチュエータを制御し、所定の変速マップに従って、クラッチを切断した状態でギヤ抜きやセレクト動作及びギヤ入れを行って、機械式変速機におけるシフトアップ又はシフトダウンの変速制御を行うようにしている。
特開平11−247745号公報
しかし、上記従来の車両の自動変速制御装置では、クラッチを切断した状態で機械式変速機における変速動作を行うので、何らかの原因でクラッチが切断不能な状況になると、変速動作が行われなくなる。このようにクラッチが切断不能な状況において、停止してはいけない場所、例えば、踏切内において突然に内燃機関が停止してしまった場合には、変速機のギヤをロー位置に入れることができなくなる。すると、キースイッチを回してスタータモータを作動させたとしても、その動力を車輪に伝達することができずに、車両を脱出させることができないという、未だ解決すべき課題が残存していた。
本発明の目的は、クラッチが切断不能な非常状態に変速動作を可能として、スタータモータにより車両を脱出させ得る車両の自動変速制御装置を提供することにある。
本発明は、スタータモータにより駆動可能な内燃機関にクラッチを介して機械式変速機が接続され、クラッチを切断した状態で機械式変速機の変速動作を行わせる変速制御手段を備えた車両の自動変速制御装置の改良である。
その特徴ある構成は、非常用強制変速スイッチが設けられ、非常用強制変速スイッチが入れられているときに変速制御手段はクラッチを切断すること無く機械式変速機のギヤ入れを行わせるところにある。
この車両の自動変速制御装置では、クラッチを切断すること無く機械式変速機のギヤ入れを行わせる要件として、内燃機関が停止中であることを含むことが好ましく、非常用強制変速スイッチが入れられて内燃機関が停止中にクラッチを切断すること無く機械式変速機のギヤ入れが行われると注意を喚起する注意喚起手段を更に備えることもできる。
本発明の車両の自動変速制御装置では、非常用強制変速スイッチが入れられているときに、クラッチを切断すること無く機械式変速機のギヤ入れを行わせるようにしたので、何らかの原因でクラッチが切断不能な状況になったとしても、非常用強制変速スイッチを入れることによりギヤ入れが可能になる。このため、停止してはいけない場所、例えば、踏切内において突然にクラッチが切断不能な状況になってしまった場合であっても、非常用強制変速スイッチを入れることにより、変速機のギヤをロー位置に入れることができる。そして、その後、キースイッチを回してスタータモータを作動させることにより駆動輪を回転させて、車両を脱出させることができる。
ここで、内燃機関が稼働中に非常用強制変速スイッチが入れられると、クラッチ切断の有無にかかわらず機械式変速機のギヤ入れが行われることになる。このため、クラッチが接続された状態でギヤ入れが行われると、そのギヤ入れが完了した時点で直ちに内燃機関の駆動力が駆動輪に伝達されることになる。
よって、クラッチを切断すること無く機械式変速機のギヤ入れを行わせる要件として、内燃機関が停止中であることを含むようであれば、内燃機関が稼働中にギヤ入れが行われることによる車両の不意な飛び出しを防止することができる。
そして、非常用強制変速スイッチが入れられて内燃機関が停止中にクラッチを切断すること無く機械式変速機のギヤ入れが行われると注意を喚起する注意喚起手段を更に備えれば、スタータモータを作動させると同時に車両が走行することに関する注意を運転者に喚起することができる。
本発明実施形態の車両の自動変速制御装置の構成図である。 その自動変速制御装置の動作を示すフローチャートである。 その注意喚起手段の動作を示すフローチャートである。
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、車両10には、内燃機関11が設けられる。内燃機関11は、ガソリン、軽油、CNG(Compressed Natural Gas)、LPG(Liquefied Petroleum Gas)、又は代替燃料等を内部で燃焼させて、クランク軸を回転させる動力を発生させるものである。図1には、軽油を内部で燃焼させるディーゼルエンジン11を示す。
また、この車両10には、内燃機関11を制御するエンジンECU12が設けられる。このエンジンECU12からは内燃機関11における燃料噴射装置11aにその制御出力が接続される。また、車両10には、アクセルペダル13の踏み込み量を検出するアクセルセンサ14と内燃機関11における回転速度を検出する回転センサ15が設けられ、これらの検出出力はエンジンECU12に接続される。エンジンECU12は、運転者がアクセルペダル13を踏み込んで車両10を走行させる時に、内燃機関11に供給される燃料流量をアクセルペダル13の踏み込み量に応じて増減させ、内燃機関11の回転を所望の回転に維持させるように構成される。
また、車両10には、この内燃機関11にクラッチ16を介して接続された機械式変速機21が設けられる。クラッチ16は、図1の左側にある内燃機関11のクランク軸に結合されて、そのクランク軸とともに回転するフライホイール16aと、そのフライホイール16aに対向配置されて変速機21の回転軸と一体的に回転するクラッチディスク16bを備える。そして、クラッチ16にはクラッチレバー16cが設けられ、このクラッチレバー16cをクラッチブースタ18が傾動可能に構成される。クラッチブースタ18はクラッチアクチュエータ19により制御される油圧によりそのロッド18aを出没させてクラッチレバー16cを動かすものを例示する。
クラッチアクチュエータ19は変速制御手段である変速制御ECU22からの電気信号により制御され、クラッチ16は、内燃機関11により発生する動力を機械式変速機21に伝達可能に構成される。そして、内燃機関11からの動力が機械式変速機21に伝達されると、その動力はこの機械式変速機21を介してプロペラシャフト23に伝達し、プロペラシャフト23の回転により駆動車輪24を回転させて、車両10を走行させるように構成される。
即ち、クラッチ16は、変速制御手段である変速制御ECU22の制御によって、内燃機関11のクランク軸と変速機21の回転軸とを機械的に接続することにより、内燃機関11の軸出力を変速機21に伝達したり、又は、内燃機関11のクランク軸と変速機21の回転軸との機械的な接続を切断することにより、内燃機関11のクランク軸と、変速機21の回転軸とが互いに異なる回転速度で回転できるようにするものである。
内燃機関11の出力を駆動車輪24に伝達する変速機21は、変速制御ECU22により制御される機械式の自動変速機21である。車両10には、変速用操作桿26の位置を検出するレンジセンサ27が設けられ、この検出出力は、変速制御ECU22の制御入力に接続される。操作桿26は、車両10を駐車させるP(パーキング)位置と、車両10を後退させるR(リバース)位置と、内燃機関11の動力を変速機21に伝達させないN(ニュートラル)位置と、内燃機関11の動力を変速機21に伝達させて車両10を走行させるD(ドライブ)位置等に移動可能に構成される。そして、変速制御ECU22は、その操作桿26の位置に基づいて機械式変速機21を変速制御するように構成される。
図示しないが、機械式変速機21は、内燃機関11のクランク軸に連結されたインプットシャフトと、そのインプットシャフトに同軸に設けられたアウトプットシャフトと、そのアウトプットシャフトの周囲で空転する複数のドリブンギヤとを備える。アウトプットシャフトの下方には、インプットシャフトとともに回転するカウンタシャフトが設けられ、カウンタシャフトにはドライブギヤが一体的に形成される。ドライブギヤはドリブンギヤと常時噛み合っており、各ドリブンギヤのそれぞれの間のアウトプットシャフトには、円盤状のシンクロナイザハブがそれぞれ一体的に設けられる。その複数のシンクロナイザハブの外周には、複数の結合スリーブが摺動可能に設けられる。そして、結合スリーブが隣接するドリブンギヤに係合していない状態がギヤ抜き状態であり、そのギヤ抜き状態から、結合スリーブが軸方向に移動して隣接するドリブンギヤに係合すると、カウンタシャフトとアウトプットシャフトは連結され、これによりギヤ入れは完了することになる。このようにギヤ入れが完了すると、インプットシャフトの回転がカウンタシャフトを介してアウトプットシャフトに伝達されることになる。
この車両10には、機械式変速機21の段位を検出する段位検出手段であるギヤ位置センサ28と、クラッチ16の接断状態を検出するクラッチセンサ29が設けられ、これらの検出出力も変速制御ECU22の制御入力に接続される。また、この変速制御ECU22と上述したエンジンECU12は、図示しない他の機器と共にCAN(Controller Area Network)31を介して連結されて互いに交信可能に構成され、この変速制御ECU22には、エンジンECU12を介して内燃機関11の回転速度情報等も入力可能に構成される。
そして、操作桿26がN(ニュートラル)位置であることをレンジセンサ27が検出すると、変速制御ECU22は、機械式変速機21の図示しない結合スリーブを係合していたドリブンギヤから離脱させるギヤ抜きを行い、カウンタシャフトとアウトプットシャフトの連結を解消して、内燃機関11からの動力がこの機械式変速機21を介してプロペラシャフト23及び駆動車輪24に伝達させないように構成される。
また、操作桿26がD位置であることをレンジセンサ27が検出する場合において、変速制御ECU22は、内燃機関11の回転速度や車速等の情報を参照して、必要に応じて、クラッチ16を切断し、その状態でセレクト用エアシリンダ33及びシフト用エアシリンダ34を制御し、機械式変速機21の図示しない結合スリーブを係合していたドリブンギヤから離脱させるギヤ抜きや、その他のスリーブを移動対象とするセレクト動作、及びその他の結合スリーブを軸方向に移動させて隣接するドリブンギヤに係合させるギヤ入れを行って、機械式変速機21をシフトアップまたはシフトダウンさせるように構成される。この変速制御ECU22にはメモリ22aが設けられ、そのメモリ22aには、ドライバ要求トルク等の条件に応じた目標変速段が記載された変速マップが記憶される。ここで、ドライバ要求トルクとは、アクセルペダル13の踏み込みにより開閉するスロットルの開度と車速等から求められるものである。そして、図1に示す符号33a及び34aは、それらエアシリンダ33,34に圧縮エアを給排するバルブ33a、34aである。これにより、その機械式変速機21を車両10の走行状態に応じた最適な段位に制御可能に構成される。
一方、内燃機関11には、この内燃機関11を始動可能なスタータモータ11bが設けられ、このスタータモータ11bにはエンジンECU12からの制御出力が接続される。そして、そのエンジンECU12には、そのスタータモータ11bを駆動するためのキースイッチ32が接続される。そして、このエンジンECU12は、内燃機関11の動力が駆動車輪24に伝達されない状態にあるときにのみ、キースイッチ32をスタータ位置に操作した場合にスタータモータ11bを駆動させて、内燃機関11を始動させることができるように構成される。具体的には、変速機21のギヤ位置がN(ニュートラル)位置、又はクラッチ16が切断されているときに、運転者がキースイッチ32をスタータ位置に操作することにより、スタータモータ11bを駆動させるように構成される。
本発明の特徴ある構成は、 非常用強制変速スイッチ36が設けられ、内燃機関11が停止中であって、かつこの非常用強制変速スイッチ36が入れられているときに、変速制御手段である変速制御ECU22はクラッチ16を切断すること無く機械式変速機21のギヤ入れを行わせるところにある。
また、車両10における運転席前方のパネル37にはディスプレイ38が各種メータ39,40に隣接して埋設され、変速制御手段である変速制御ECU22の制御出力がそのディスプレイ38に接続される。そして、変速制御ECU22は、非常用強制変速スイッチ36が入れられて、内燃機関11が停止中にクラッチ16が切断されることなく機械式変速機21のギヤ入れが行われると、そのディスプレイ38に「飛び出し注意」なる文言を表示して、非常用強制変速スイッチ36を入れた運転者に、クラッチ16を切断すること無く機械式変速機21のギヤ入れが行われたことに関する注意を喚起するように構成される。
そして、エンジンECU12は、内燃機関11の動力が駆動車輪24に伝達されない状態にあるときにスタータモータ11bを駆動させるものであるけれども、この非常用強制変速スイッチ36が入れられると、このエンジンECU12は、変速機21のギヤ位置がN(ニュートラル)位置以外の位置、又はクラッチ16が切断されていないときであっても、スタータモータ11bを駆動するように構成される。
次に、このように構成された車両の自動変速制御装置の動作を説明する。
この変速制御装置では、各種センサ14,15,27,28,29からの情報により、変速制御ECU22が変速させる必要が生じたと判断したとき、機械式変速機21を変速制御する。その手順は、図2に示すように、変速制御ECU22は、先ずクラッチ16を切断する(S01)。図1に示すように、このクラッチ16の切断は、クラッチアクチュエータ19に指令を発してクラッチブースタ18のロッド18aを突出させてフライホイール16a及びクラッチ16ディスク16bを切り離すことにより行われる。
図2に戻って、非常用強制変速スイッチ36が入れられていない通常の状態では(S02)、クラッチ16の切断が完了したことをクラッチセンサ29の検出出力から確認した後(S03)、変速制御ECU22は、具体的な変速動作が開始される。即ち、クラッチ16を切断した状態で、ギヤ抜きを行い(S04)、その後、セレクト動作を行った後(S05)に、ギヤ入れを行う(S06)。そして、ギヤ入れが完了した後に、再びクラッチ16を接続することにより(S07)、変速されて新たにギヤ入れされた段位での走行が可能になる。
一方、このような変速制御では、クラッチ16の切断が完了した状態で機械式変速機21における変速動作を行うので、何らかの原因でクラッチ16が切断不能な状況になると、クラッチ16の切断は完了しないことになるので、その後の変速動作が行われなくなる。そして、このようにクラッチ16が切断不能な状況において、例えば、停止してはいけない場所、例えば、踏切内において突然に内燃機関11が停止してしまった場合には、直ちにその場所から退避する必要がある。
そこで、運転者は、このようにクラッチ16が切断不能な状況で車両10が停車してしまった場合には、非常用強制変速スイッチ36を入れる。そして、操作桿26がDレンジ以外であれば、改めてその操作桿26をDレンジに位置させる。すると変速制御手段である変速制御ECU22は、クラッチ16を切断すること無く機械式変速機21のギヤ入れを行わせることになる。
その手順は、図2に示すように、変速制御ECU22は、先ずクラッチ16の切断制御を実施する(S01)けれども、非常用強制変速スイッチ36が入れられているので(S02)、次に内燃機関11のクランク軸の回転速度がゼロ、即ち、内燃機関11が停止しているか否かを判断する(S08)。そして、内燃機関11が停止している場合には、クラッチ16の切断が完了したことを確認(S03)することなく、変速制御ECU22は、クラッチが接続された状態であっても、具体的な変速動作を行う(S04〜S07)。
ここで、内燃機関11が停止しているので、車速はゼロである。このため、変速制御ECU22は、機械式変速機21の変速動作により最終的にギヤをロー位置に入れるギヤ入れを行うことになる。これとともに、変速制御ECU22は、運転席前方のパネル37に設けられたディスプレイ38に「飛び出し注意」なる文言を表示して、非常用強制変速スイッチ36を入れた運転者に、クラッチ16を切断すること無く機械式変速機21のギヤ入れが行われたことに関する注意を喚起する。
このような注意喚起手段をも構成する変速制御ECU22における具体的な制御を図3に示す。図3に示すように、注意喚起手段を構成する変速制御ECU22は、非常用強制変速スイッチ36が入れられている場合であって(S11)、内燃機関11が停止中に(S12)、クラッチ16を切断すること無く(S13)、機械式変速機21のギヤ入れが行われると(S14)、ディスプレイ38に「飛び出し注意」なる文言を表示して(S15)、運転者にその後の注意を喚起する。
そして、運転者はキースイッチ32を回してスタータ位置に操作すると、エンジンECU12は、非常用強制変速スイッチ36が入れられているので、スタータモータ11bを作動させる。すると内燃機関11のクランク軸を回転させるスタータモータ11bの駆動力が、クラッチ16,機械式変速機21及びプロペラシャフト23を介して駆動輪24に伝達され、その駆動輪24が回転することにより車両は走行することになる。
このため、本発明では、停止してはいけない場所、例えば、踏切内において突然にクラッチ16が切断不能な状況で内燃機関11が停止してしまった場合であっても、非常用強制変速スイッチ36を入れて変速機21のギヤをロー位置に入れ、キースイッチ32を操作してスタータモータ11bを作動させることにより、その停止してはいけない場所から車両を脱出させることができるのである。
ここで、クラッチ16が接続された状態における機械式変速機21の変速動作を可能にすると、そのようにクラッチ16が接続された状態における変速動作が、内燃機関11が稼働中に行われると、そのギヤ入れが完了した時点で直ちに内燃機関11の駆動力が駆動車輪24に伝達され、車両が不意に飛び出して走行をする場合もある。
よって、クラッチ16を切断すること無く機械式変速機21のギヤ入れを行わせる要件が、内燃機関11が停止中であることを含むことにより、クラッチ16が接続された状態における機械式変速機21の変速動作を内燃機関11が稼働中は不能とすることができる。すると、内燃機関11が稼働中にギヤ入れが行われることによる車両の不意な飛び出しを防止することができる。
そして、非常用強制変速スイッチ36が入れられて内燃機関11が停止中にクラッチ16を切断すること無く機械式変速機21のギヤ入れが行われると注意を喚起する注意喚起手段を備えているので、スタータモータ11bを作動させることにより車両が走行することに関する注意を運転者に喚起することができる。そして、この注意喚起は、図3に示すように、非常用強制変速スイッチ36が切られるか(S11)、内燃機関11が始動するか(S12)、クラッチ16が切断されるか(S13)、又は機械式変速機21がニュートラルになるような変速動作が行われると(S14)、その注意喚起は解除されることになる(S16)。
また、機械式変速機21と、その変速を制御する変速制御手段である変速制御ECU22を備えている車両10であれば、非常用強制変速スイッチ36を設けて、その変速制御ECU22の制御内容を変更することにより本発明とすることができ、停止してはいけない場所から車両を脱出させるような非常脱出手段が設けられていない従来の車両を、比較的容易かつ安価に本発明の対象となる車両とすることができる。
なお、上述した実施の形態では、非常用強制変速スイッチ36が入れられているときであって、かつ内燃機関11が停止中に、変速制御手段である変速制御ECU22はクラッチ16を切断すること無く機械式変速機21のギヤ入れを行わせる場合を説明した。けれども、内燃機関11が稼働中にギヤ入れが行われることによる不具合が生じなければ、クラッチ16を切断すること無く機械式変速機21の変速動作を行わせるのに、内燃機関11が停止中であることは、必ずしも必要としない。
また、上述した実施の形態では、注意喚起手段として、運転席前方のパネル37に埋設されたディスプレイ38に「飛び出し注意」なる文言を表示させた。けれども、表示させる文言はこれに限らず「発進注意」等の他の文言であっても良く、運転者の視覚を刺激する警報ランプであっても良い。また、この注意喚起手段は、視覚に限られず、聴覚に訴えるブザーであっても良く、運転者の触覚を刺激するバイブレーター等であっても良い。
11 内燃機関
11b スタータモータ
16 クラッチ
21 機械式変速機
22 変速制御ECU(変速制御手段)
36 非常用強制変速スイッチ
38 ディスプレイ(注意喚起手段)

Claims (3)

  1. スタータモータ(11b)により駆動可能な内燃機関(11)にクラッチ(16)を介して機械式変速機(21)が接続され、前記クラッチ(16)を切断した状態で前記機械式変速機(21)の変速動作を行わせる変速制御手段(22)を備えた車両の自動変速制御装置において、
    非常用強制変速スイッチ(36)が設けられ、
    前記非常用強制変速スイッチ(36)が入れられているときに前記変速制御手段(22)は前記クラッチ(16)を切断すること無く前記機械式変速機(21)のギヤ入れを行わせる
    ことを特徴とする車両の自動変速制御装置。
  2. クラッチ(16)を切断すること無く機械式変速機(21)のギヤ入れを行わせる要件として、内燃機関(11)が停止中であることを含む請求項1記載の車両の自動変速制御装置。
  3. 非常用強制変速スイッチ(36)が入れられて内燃機関(11)が停止中にクラッチ(16)を切断すること無く機械式変速機(21)のギヤ入れが行われると注意を喚起する注意喚起手段(38)を更に備えた請求項2記載の車両の自動変速制御装置。
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