JP2015138826A - 炭化珪素基板 - Google Patents

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Nozomi Hattori
望 服部
康成 森
Yasunari Mori
康成 森
宮武 直正
Naomasa Miyatake
直正 宮武
純央 佐野
Sumihisa Sano
純央 佐野
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Abstract

【課題】安価で絶縁性に優れた炭化珪素基板を提供する。【解決手段】炭化珪素基板は、CVD法または焼結法により形成された炭化珪素からなる第1の層と、前記第1の層の表面に形成され、炭化珪素と異なる材料からなる第2の層と、を備える。前記第2の層は、前記第1の層よりも比抵抗が1?102Ωcm以上大きい。前記炭化珪素基板は、全体の比抵抗が1?1010Ωcm以上であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、炭化珪素基板に関する。
炭化珪素は、シリコンよりも熱伝導性に優れた材料として知られている。炭化珪素のうち、単結晶構造を有するSiC(単結晶SiC)は、高価であるため、パワーデバイスや高周波デバイスの基板材料として普及させるのにコスト面の課題がある。一方、CVD法等で作製された多結晶構造を有するSiC(多結晶SiC)は、比較的安価でありながら単結晶SiCと同程度の熱伝導率を有する。パワーデバイス等の基板材料には単結晶構造は不要なため、多結晶SiCを基板材料として用いることで、放熱性に優れたデバイスを低コストで作ることができる。
しかし、多結晶SiCに直接デバイスを作製しても、結晶性の悪さから充分な特性が得られず、多結晶SiCを基材とした貼り合わせデバイスにおいてもデバイス特性が悪化する場合がある(特許文献1参照)。特に、多結晶SiCを高周波デバイスに用いた場合は、絶縁性の不足によってRF損失が生じやすくなる。
特開2012−18960号公報
本発明は、安価で絶縁性に優れた炭化珪素基板を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、炭化珪素基板であって、
CVD法または焼結法により形成された炭化珪素からなる第1の層と、
炭化珪素と異なる材料からなり、前記第1の層の表面に形成された第2の層と、を備え、
前記第2の層は、前記第1の層よりも比抵抗が1×10Ωcm以上大きく、
全体の比抵抗が1×1010Ωcm以上であることを特徴とする。
本発明によれば、安価で絶縁性に優れた炭化珪素基板を提供することができる。
本実施形態の炭化珪素基板の層構成を説明する断面図である。
以下、本発明のSiC基板を詳細に説明する。
図1に、本実施形態のSiC基板Sの層構成を示す。
SiC基板Sは、CVD法または焼結法により形成されたSiCからなる第1の層1と、炭化珪素と異なる材料からなり、第1の層1の表面に形成された第2の層2と、を備える。第2の層2は、第1の層1よりも比抵抗が1×10Ωcm以上大きい。また、SiC基板S全体の比抵抗は1×1010Ωcm以上である。
(第1の層)
第1の層1は、CVD法により作製されたSiC(以降、CVD−SiCという)、または、焼結法により作製されたSiC(以降、焼結SiCという)からなる。CVD−SiCは、主として3C型(β型)の結晶多形を含み、焼結SiCは、主として3C型(β型)の結晶多形および6H型(α型)結晶多形を含む構造となっている。
第1の層1の比抵抗は、第2の層2によってSiC基板全体の絶縁性が高められているため、特に制限されないが、好ましくは1×10Ωcm以上である。これにより、第2の層2による、SiC基板S全体の比抵抗を向上させる効果が得られる。例えば、第1の層1の比抵抗は、中抵抗率と呼ばれる70〜200Ωcmの範囲にあってもよい。第1の層1の上限値は、特に制限されない。SiC基板Sが高周波デバイスに用いられる場合は、第1の層1の比抵抗が1×10Ωcm程度の比較的高い値であっても絶縁性が不足する場合があるが、本実施形態では、SiCと異なる材料からなり、比抵抗が第1の層1よりも1×10Ωcm以上大きい第2の層2が形成されていることによって、第1の層1だけでは得ることが困難な1×1010Ωcm以上の比抵抗を有するSiC基板を得ることができる。
第1の層1に含まれる不純物の量は、第1の層1の比抵抗に影響を及ぼすことから、少ないほど好ましいが、第1の層1の比抵抗の値が1Ωcm以上となる範囲において不純物が含まれていてもよい。不純物の含有量の合計は、例えば1×1019atoms/cm以下である。なお、本明細書において、不純物は、Si、C以外の元素をいう。
第1の層1の厚さは、特に制限されず、SiC基板Sの用途に応じて、その用途で要求される仕様を考慮して、適宜定めることができ、例えば100〜1000μmである。
(第2の層)
第2の層2は、SiCと異なる材料からなり、第1の層1よりも比抵抗が1×10Ωcm以上大きい。多結晶SiCであるCVD−SiCまたは焼結SiCは、単結晶SiCと比べて不純物が混入しやすく、比抵抗が低くなりやすいが、本実施形態では、第2の層2が第1の層1と異なる材料からなり、第2の層2と第1の層1の比抵抗の差が1×10Ωcm以上であることによって、SiC基板S全体として比抵抗が高くなり、具体的には、第1の層1単独では1×10Ωcm程度である比抵抗を1×1010Ωcm以上の高い値に大幅に向上させることができる。なお、比抵抗は、4端子法または4探針法などにより測定され、例えば、比抵抗が1×106Ωcm程度より小さい領域では、4端子法が用いられ、JIS C2141に準じて20℃で測定される。比抵抗が1×106Ωcm程度以上の領域では、例えば、熱雑音を低減可能な機器を組み込んだ4探針法による測定装置などを用いて測定される。
第2の層2の材料は、好ましくは、第13族または第14族元素の窒化物、酸化物、または酸窒化物からなる。第13族元素としては、B、Al、Ga、In、Tlが挙げられるが、中でも、熱伝導性に優れる点で、Alが好ましい。第14族元素としては、C、Si、Ge、Sn、Pbが挙げられるが、中でも、絶縁性が良好である点で、Siが好ましい。第13族または第14族元素の窒化物または酸化物としては、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ケイ素(SiO)、窒化珪素(Si)を例示できる。これらの中では、熱伝導率が高く、放熱性に優れる点で、AlNが特に好ましく用いられるが、第2の層2の厚さが薄くてもよい場合は、Al、SiO、Siも好ましく用いられる。
第2の層2に含まれる不純物は、第2の層2と第1の層1の比抵抗の差が1×10Ωcm以上となる範囲において含まれていてもよいが、第2の層2が原子層堆積(ALD)法により形成される場合は、特に制限されない。
第2の層2は、SiCとの熱伝導率の差が100W/mK以下の材料からなることが好ましい。これにより、SiC基板S全体としての熱伝導性を高くすることができる。例えば、第2の層2の熱伝導率は、第1の層1の熱伝導率が200W/mK程度である場合は、100〜150W/mKである。なお、SiCの熱伝導率は200W/mK程度、AlNの熱伝導率は150W/mK程度、Alの熱伝導率は12〜34W/mK程度、SiOの熱伝導率は1.0〜1.4W/mK程度、Siの熱伝導率は23〜54W/mK程度である。なお、熱伝導率は、JIS R1611に準拠して測定され、本明細書において、20℃における値で表される。
第2の層2は、SiCとの熱伝導率の差が100W/mKを超える材料から作製されてもよい。この場合は、第2の層2の厚さを薄くすることで、SiC基板S全体の熱伝導率の低下を抑えられる。一方で、第2の層2として、熱伝導率は低いが比抵抗は高い材質を選ぶことができ、SiC基板Sの用途に応じた材料選択の自由度が増す。
第2の層2の膜厚は、SiC基板S全体の比抵抗および熱伝導性を考慮して、適宜定められる。例えば、SiC基板Sの比抵抗を高くする観点からは、第2の層2の膜厚は1μm以上であることが好ましく、SiC基板Sの熱伝導率を大きく低下させない観点からは、0.5μm以下の薄さにすることが好ましい。
第2の層2の表面の表面粗さRaは、10nm以下であることが好ましい。第2の層2の表面とは、第1の層1と接する側と反対側の面をいう。表面粗さは、算術平均粗さRaである。第2の層2の表面粗さRaが10nm以下であることにより、SiC基板Sに貼り合わせられる後述する貼り合わせ材との密着性が高くなる。第2の層2のこのような表面粗さは、第2の層2の表面を研磨することによって得られるほか、第1の層1の表面(第2の層2が形成される側の表面)を研磨した後に、均一な膜厚の第2の層2を形成することによっても得られる。第1の層1および第2の層2の表面の研磨は、例えば、ダイヤモンド砥粒を用いた機械研磨や、CMP等の化学機械研磨により行われる。
第2の層2を研磨する場合は、研磨による取り代を確保するために、第2の層2の膜厚は20μm以上であることが好ましい。この場合の第2の層2の形成は、速く成膜でき、かつ、コストを抑えられる点で、CVD法、スパッタリング等の方法により行われることが好ましい。
一方、第1の層1を研磨し、その後、均一な膜厚の第2の層2を形成する場合は、第2の層2の表面を研磨する必要がないことから、第2の層2の形成は、高い段差被覆性を有する点で、ALD法により好ましく行われる。これにより、第2の層2の表面粗さを上記範囲にし、貼り合わせ材等との密着性を高めることができる。
なお、第2の層2の膜厚を厚くしたい場合には、例えば、第1の層1の表面に、CVD法、スパッタリング等により第2の層2の大半の部分を形成し、その後、ALD法により第2の層2の残りの部分を形成する方法を用いることができる。なお、高速に成膜を行うために、ALD法の中でも、公知のSpatialALD法が用いられてもよい。
SiC基板Sは、第2の層2の表面が上記範囲の表面粗さRaを有していることに加え、反りが100μm以下であることが好ましい。これにより、第2の層の表面と貼り合わせ材等との密着性をより高めることができる。
なお、第2の層2は、第1の層1が熱処理等されることによって酸化されて形成されたSiOからなる層であってもよい。
本実施形態のSiC基板Sは、例えば、次のようにして作製される。ここでは、第2の層2として、AlNを作製する場合を例に説明する。
まず、減圧容器内に、シラン系ガスおよび炭化水素ガスを含む原料ガスを供給するとともに、窒素ガスを供給し、減圧容器内に配置された黒鉛基材を1100〜1500℃に加熱して、黒鉛基材上に多結晶SiCを堆積させて第1の層1を形成する。第1の層1を形成後、酸素雰囲気中で900〜1400℃で加熱することにより、黒鉛基材を燃焼させて除去する。このようにして形成された第1の層1の表面を、ダイヤモンド砥粒を用いて機械研磨し、平滑にした後、別の減圧容器内で、窒素原子を含む窒化ガスおよびアルミニウムを含む原料ガスを交互に供給しながら、第1の層1を常温〜400℃で加熱して、第1の層1の表面にAlNからなる第2の層2を形成する。
本実施形態のSiC基板によれば、CVD法または焼結法で作製された多結晶SiCの第1の層1の上に、SiCと異なる材料からなり、かつ、第1の層1との比抵抗の差が1×10Ωcm以上の高抵抗膜である第2の層2が形成されていることによって、安価で絶縁性に優れたSiC基板Sが得られる。このような絶縁性の高いSiC基板Sを用いて作製されたデバイスは、デバイス特性が良好であり、特に高周波デバイスに用いられた場合のRF損失が生じにくくすることができる。なお、この効果は、SiC基板の表面粗さが上記範囲内であることにも起因して得られる。このようなSiC基板Sは、例えば、0.7GHz以上の高周波素子として好適に用いられ、20GHz以上の高周波素子としてより好適に用いられる。
多結晶SiCは、従来よりプラズマエッチング装置の治具等の用途に用いられているが、絶縁性が低いために、半導体基板に用いられていない。また、多結晶SiCは、上記したように高周波特性に劣るため、それのみで信頼性の高い高周波デバイスを得ることには限界がある。ここで、多結晶SiCの代わりに、SiC基板よりも絶縁性が高く、高周波特性に優れた基板材料としてサファイア基板を用いることが考えられる。サファイア基板は、例えば、その上にシリコン層を成膜したシリコンサファイアとして用いられる。しかし、サファイア基板は、熱伝導率が低いため(41W/mK程度)、デバイスに用いられた場合の放熱性が良好ではなく、デバイスの信頼性、安定した動作が損なわれるおそれがある。本実施形態のSiC基板Sでは、放熱性に優れたデバイスが得られるとともに、デバイスの信頼性、安定した動作が確保される。また、SiCは、シリコンと比べ熱伝導性が高く、放熱性に優れるため、例えば、発熱量の大きいデバイスにおける冷却を簡易に行え、製品を小型化できる。また、高温動作が可能となり、例えば、100℃を超える環境で用いられる可能性のあるデバイスや、10kW程度の大電力が供給されるデバイスとして用いられた場合に、デバイスにおける熱暴走を抑え、信頼性の高いデバイスを作ることができる。
(SiC基板の用途)
本実施形態のSiC基板Sは、例えば、種々の特性を有する貼り合わせ材と貼り合わせることができ、貼り合わせ基板に用いることができる。貼り合わせ材としては、例えば、Si、SiC、GaN等の単結晶材料のウエハが挙げられるが、特にこれらに制限されない。
貼り合わせ基板は、単結晶ウエハの有する特性をそのまま有し、かつ、安価に作製されるSiCによって厚さが確保されているため、種々の特性を有する基板を安価に作製できる。すなわち、高価な単結晶ウエハからなる貼り合わせ材の厚さを薄くして、コストを抑えることができる。なお、貼り合わせ基板の厚さを確保する理由は、デバイス作製のために貼り合わせ基板の表面に層の形成等を行う場合に必要とされるためである。
SiC基板Sと貼り合わせ材を貼り合わせる方法は、例えば、公知のスマートカット(イオンカットともいう)を用いることができる。具体的には、貼り合わせ材である単結晶ウエハに、イオン注入法により水素原子を数μmの深さに高濃度に導入して切れ目を入れ(水素脆化させ)、次いで、水素原子を導入した単結晶ウエハの表面をSiC基板の第2の層の表面にあてがい、必要に応じて熱処理を施すことで、単結晶ウエハの上記表面を含む部分が当該表面の全域にわたって、単結晶ウエハの他の部分から剥がされる。このとき単結晶ウエハのうち剥がれてSiC基板S上に残る部分の厚みは、数μmの薄さである。なお、貼り合わせ基板は、スマートカットによって作製した後に、貼り合わせ材の表面にエピタキシャル成長によって単結晶薄膜が形成されてもよい。これにより、貼り合わせ材として比抵抗が十分に高くないものを用いた場合にも、貼り合わせ基板の表面の特性を良好にできるとともに、貼り合わせ材の全てをエピタキシャル成長により形成する場合と比べ、コストを大きく低減することができる。なお、貼り合わせは、スマートカットに限定されず、メートル法、SUFTLA(登録商標)等、他の方法により行われてもよい。
単結晶シリコンからなる貼り合わせ材とSiC基板Sとの貼り合わせ基板は、熱伝導性に優れかつ絶縁性が改善された上記SiC基板を備えているため、単結晶シリコンからなる貼り合わせ材と多結晶シリコン基板とが貼り合わされてなる従来の貼り合わせ基板と比べ、多様な用途に用いることができる。例えば、携帯通信端末の受信機や、RFスイッチ、デジタルステップ減衰器、PLL周波数合成器、ミキサ、プリスケーラ、デジタル可変キャパシタ、DC−DCコンバータ等に用いられる。
また、単結晶SiCからなる貼り合わせ材とSiC基板Sとの貼り合わせ基板は、絶縁性の高い第2の層を備えていることで、高周波デバイスに用いられる場合に有用である。この場合に、例えば、貼り合わせ材とSiC基板とを貼り合わせた後に、貼り合わせ材の表面にエピタキシャル膜を形成することによって、単結晶SiCをチャネル層とするFETを作製することができる。
さらに、単結晶GaNからなる貼り合わせ材とSiC基板Sとの貼り合わせ基板は、10kW程度の大電力が供給される高周波デバイスに用いられた場合に、絶縁性の高い第2の層があることによって、RF損失が低減される。
以上、本発明の炭化珪素基板について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。

Claims (4)

  1. CVD法または焼結法により形成された炭化珪素からなる第1の層と、
    炭化珪素と異なる材料からなり、前記第1の層の表面に形成された第2の層と、を備え、
    前記第2の層は、前記第1の層よりも比抵抗が1×10Ωcm以上大きく、
    全体の比抵抗が1×1010Ωcm以上であることを特徴とする炭化珪素基板。
  2. 前記第2の層は、第13族または第14族元素の窒化物、酸化物、または酸窒化物からなる、請求項1に記載の炭化珪素基板。
  3. 前記第2の層の表面粗さRaが10nm以下である、請求項1または2に記載の炭化珪素基板。
  4. 0.7GHz以上の高周波素子として用いられる、請求項1から3のいずれか1項に記載の炭化珪素基板。
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