JP2015138769A - 積層体、蓄電デバイス及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]
少なくとも1種の電極と、
セパレータ用基材と、
前記セパレータ用基材と前記電極との間の少なくとも一部に形成された熱可塑性ポリマーを含有する層と、
を備える積層体であって、
前記熱可塑性ポリマーが、炭素数8以上の鎖状アルキル基を有するエチレン性不飽和単量体2〜66質量%と、炭素数8以上の鎖状アルキル基を有するエチレン性不飽和単量体と共重合可能なその他の単量体34〜98質量%とを単量体単位として有する共重合体を含む、積層体。
[2]
前記その他の単量体が、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体を含む、[1]に記載の積層体。
[3]
前記その他の単量体が、アミド基を有するエチレン性不飽和単量体を含む、[1]又は[2]に記載の積層体。
[4]
前記その他の単量体が、ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和単量体を含む、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の積層体。
[5]
前記その他の単量体が、架橋性単量体を含む、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の積層体。
[6]
前記その他の単量体が、シクロアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体を含む、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の積層体。
[7]
前記炭素数8以上の鎖状アルキル基を有するエチレン性不飽和単量体が、2−エチルヘキシルアクリレートである、[1]〜[6]のいずれかに記載の積層体。
[8]
前記シクロアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体が、シクロヘキシルアクリレート又はシクロヘキシルメタクリレートである、[6]に記載の積層体。
[9]
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(質量比2:3)に対する前記共重合体の膨潤度が5.0倍以下である、[1]〜[8]のいずれか1項に記載の積層体。
[10]
前記熱可塑性ポリマーを含有する層が、積層方向と垂直な面に対してドット状に存在する、[1]〜[9]のいずれか1項に記載の積層体。
[11]
[1]〜[10]のいずれか1項に記載の積層体を備える、蓄電デバイス。
[12]
[1]〜[10]のいずれか1項に記載の積層体を備える、リチウムイオン二次電池。
また、該共重合体を含む熱可塑性ポリマーの耐酸化性を良好にする観点から、その他の単量体(B)は(メタ)アクリル酸エステル単量体(b9)を含むことが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル単量体(b9)は上記単量体(A)、(b1)〜(b8)とは異なる単量体である。(メタ)アクリル酸エステル単量体(b9)としては、以下に限定されないが、例えば、エチレン性不飽和結合を1つ有し、かつ炭素数8未満の鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられ、より具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、などのアルキル基を有する(メタ)アクリレート(より好ましくはアルキル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とからなる(メタ)アクリレート)等が挙げられる。また、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートなどの芳香環を有する(メタ)アクリレート(より好ましくは芳香環と(メタ)アクリロイルオキシ基とからなる(メタ)アクリレート)等が挙げられる。これらの中では、電極(電極活物質)とセパレータとの密着性向上の観点から、炭素数4以上8未満の鎖状アルキル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とからなる(メタ)アクリル酸エステル単量体が好ましく、炭素数6以上8未満のアルキル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とからなる(メタ)アクリル酸エステル単量体がより好ましい。より具体的には、メチルメタクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、が好ましく、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレートがより好ましい。これら(メタ)アクリル酸エステル単量体(b9)は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
また、上記共重合体における炭素数8以上の鎖状アルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(A)の適切な含有形態としては、上記共重合体中におけるTg=0℃以下の単量体(ここでTg=0℃以下の単量体とは、Tg=0℃以下のホモポリマーを形成する単量体を指す)のみで考慮した場合、0℃以下の全単量体中50%以上の比率で含有されていることが好ましい。より好ましくは、60%以上、更に好ましくは70%以上である。炭素数8以上の鎖状アルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(A)のTg=0℃以下の単量体中に含まれる割合が50%を超える場合、電池内部における電極(電極活物質)とセパレータとの密着性がより良好となる傾向にある。ここで、炭素数8以上の鎖状アルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(A)以外のTg=0℃以下の単量体としては、以下に限定されないが、例えば、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレート化合物類等が挙げられる。
より好ましくは、30〜90質量%である。
熱可塑性ポリマーは、その全量に対して、好ましくは60〜90質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、特に好ましくは98質量%以上で上記共重合体を含む。その熱可塑性ポリマーは、上記共重合体以外に、本発明の課題解決を損なわない程度の、その他の成分を含んでもよい。
ポリエチレン:[η]=6.77×10-4Mv0.67(Chiangの式)
ポリプロピレン:[η]=1.10×10-4Mv0.80
本実施形態におけるポリマー層の電極(電極活物質)又はセパレータ用基材に対する担持量は、固形分で0.05g/m2以上1.0g/m2以下が好ましく、より好ましくは0.07g/m2以上0.80g/m2以下であり、さらに好ましくは0.1g/m2以上0.70g/m2以下である。その層の電極(電極活物質)又はセパレータ用基材に対する担持量を0.05g/m2以上1.0g/m2以下とする場合、得られる積層体において、電極(電極活物質)とセパレータとの接着力を一層向上させる傾向にあり、また、セパレータの孔を閉塞することによるサイクル特性(透過性)の低下を一層抑制する観点から好ましい。
本実施形態では、熱可塑性ポリマー層が、電極(電極活物質)とセパレータ用基材の層間面積に対して、70%以下の面積率で層間に存在することが好ましく、より好ましくは50%以下、更に好ましくは45%以下、特に好ましくは40%以下である。また、ポリマー層が5%以上の面積率で電極(電極活物質)とセパレータ用基材の層間に存在することが好ましい。このポリマー層の面積率を70%以下とすることは、熱可塑性ポリマー(例えば、上記共重合体)によるセパレータの孔の閉塞を更に抑制し、セパレータとして、透過性を一層向上する観点から好ましい。一方、面積率を5%以上とすることは、電極(電極活物質)とセパレータとの接着性を一層向上する観点から好ましい。
本実施形態の積層体における、電極(電極活物質)とセパレータ用基材間に存在するポリマー層の平均厚さは、特に限定されないが、2.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは1.0μm以下、更に好ましくは0.5μm以下である。ポリマー層の平均厚さを2.0μm以下とすることは、ポリマー層による透過性低下を抑制すると共に、熱可塑性樹脂をセパレータ用基材上に塗布したセパレータとして提供する場には、前記熱可塑性樹脂が塗布されたセパレータをロールとして保管した際のポリマー層同士又はポリマー層とセパレータ用基材との貼り付きを効果的に抑制する観点から好ましい。本実施形態におけるポリマー層の平均厚さは、例えば、セパレータ用基材に塗布する塗布液における熱可塑性ポリマー又は共重合体濃度や塗布液の塗布量、塗布方法及び塗布条件を変更することにより調整することができる。ただし、ポリマー層の平均厚さの調整方法は、それらに限定されない。
本実施形態におけるポリマー層の存在形態(パターン)は、特に限定されず、積層体の積層方向と垂直な面に対して、例えば図1に黒塗りで示す平面形状を有していてもよい。すなわち、ポリマー層は、例えば、ドット状(例えば図1の(A))、格子目状(例えば図1の(B))、線状(例えば図1の(C))、縞状(例えば図1の(D))、亀甲模様状(例えば図1の(E))等のような平面形状で存在してもよい。
本実施形態において、共重合体を含む熱可塑性ポリマーを、正極(正極活物質)、負極(負極活物質)、セパレータ用基材(以降「電極およびセパレータ基材等」と記載する)の少なくともひとつの面に担持する方法は、特に限定されない。例えば、熱可塑性ポリマーを含有する塗布液を、電極およびセパレータ基材等の少なくともひとつの面に塗布した後、必要に応じて塗布液の溶媒又は分散媒を除去する方法が挙げられる。
本実施形態の蓄電デバイスは、積層体を備えるものであり、特に限定されないが、例えば、非水系電解液二次電池等の電池、コンデンサー、キャパシタ等が挙げられる。それらの中でも、本発明による作用効果による利益がより有効に得られる観点から、電池が好ましく、非水系電解液二次電池がより好ましく、リチウムイオン二次電池が更に好ましい。本実施形態の積層体は、電極(電極活物質)とセパレータ用基材の層間にポリマー層を備える構成を有しているため、本実施形態の蓄電デバイスもまた、電極(電極活物質)とセパレータとの接着性及び透過性に優れるものということができる。
上記積層体を製造するにあたり、熱可塑性ポリマーを正極(正極活物質)上、もしくは負極(負極活物質)上に担持形成させたのち、同様の工程を経て製造することもできる。
(1)固形分
得られた共重合体の水分散体をアルミ皿上に約1g精秤し、このとき量り取った水分散体の質量を(a)gとした。それを、130℃の熱風乾燥機で1時間乾燥し、乾燥後の共重合体の乾燥質量を(b)gとした。下記式により固形分を算出した。
固形分=(b)/(a)×100 [%]
光散乱法による粒径測定装置(LEED&NORTHRUP社製、商品名「MICROTRAC UPA150」)を用い、50%粒径(nm)を測定し、平均粒径とした。
10cm×10cm角の試料を基材から切り取り、株式会社島津製作所製の電子天秤AEL−200(商品名)を用いて質量を測定した。得られた質量を100倍することで1m2当たりの膜の目付(g/m2)を算出した。
10cm×10cm角の試料を基材から切り取り、その体積(cm3)と質量(g)を求め、膜密度を0.95(g/cm3)として下記式を用いて計算した。
気孔率=(1−質量/体積/0.95)×100
JIS P−8117に準拠し、東洋精器株式会社製のガーレー式透気度計、G−B2(商標)により測定した透気抵抗度を透気度とした。
カトーテック製のハンディー圧縮試験器KES−G5(商標)を用いて、開口部の直径11.3mmの試料ホルダーで基材を固定した。次に固定された基材の中央部に対して、先端の曲率半径が0.5mmである針を用い、突刺速度2mm/secの条件で、25℃の雰囲気下にて突刺試験を行うことにより、最大突刺荷重として突刺強度(g)を得た。
キャピラリー内部の流体は、流体の平均自由工程がキャピラリーの孔径より大きいときはクヌーセンの流れに、小さい時はポアズイユの流れに従うことが知られている。そこで、基材の透気度測定における空気の流れがクヌーセンの流れに、また、基材の透水度測定における水の流れがポアズイユの流れに従うと仮定した。
d=2ν×(Rliq/Rgas)×(16η/3Ps)×106
ここで、Rgasは透気度(秒)から下記式を用いて求めた。
Rgas=0.0001/(透気度×(6.424×10-4)×(0.01276×101325))
また、Rliqは透水度(cm3/(cm2・sec・Pa))から下記式を用いて求めた。
Rliq=透水度/100
ν=((8R×T)/(π×M))1/2
走査型電子顕微鏡(SEM)「型式S−4800、HITACHI社製」を用い、セパレータの断面観察により測定した。より具体的には、セパレータを1.5mm×2.0mm程度に切り取り、ルテニウム染色した。ゼラチンカプセル内に染色後のサンプルとエタノールとを収容し、液体窒素により凍結させた後、ハンマーでサンプルを割断した。次いで、サンプルをオスミウム蒸着し、加速電圧1.0kV、30000倍にて観察し、ポリマー層の平均厚さを算出した。なお、SEM画像にて基材(ポリオレフィン微多孔膜)断面の多孔構造が見えない最表面領域をポリマー層領域とした。
共重合体を含む水分散体(固形分=38〜42質量%、pH=9.0)を、アルミ皿に適量とり、130℃の熱風乾燥機で30分間乾燥した。乾燥後の乾燥皮膜約17mgを測定用アルミ容器に詰め、DSC測定装置(島津製作所社製、型番:DSC6220)にて窒素雰囲気下におけるDSC曲線及びDDSC曲線を得た。なお、測定条件は下記の通りとした。
(1段目昇温プログラム)
70℃で開始し、毎分15℃の速度で昇温した。110℃に到達後、その温度で5分間維持した。
(2段目降温プログラム)
110℃から毎分30℃の速度で降温した。−100℃に到達後、その温度で4分間維持した。
(3段目昇温プログラム)
−100℃から毎分15℃の速度で130℃まで昇温した。この3段目の昇温時にDSC及びDDSCのデータを取得した。
得られたDSC曲線におけるベースラインを高温側に延長した直線と、変曲点における接線との交点をガラス転移温度(Tg)とした。
共重合体を含む水分散体を130℃のオーブン中に1時間静置して乾燥させた。乾燥させて得られた共重合体の膜を0.5gになるように切り取った。切り取ったサンプルを、エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=2:3(質量比)の混合溶媒10gと一緒に50mLのバイアル瓶に入れ、1日混合溶媒を浸透させた後、サンプルを取り出し、上記混合溶媒にて洗浄し、質量(Wa:g)を測定した。その後、サンプルを150℃のオーブン中に1時間静置してから、質量を測定し(Wb:g)、下記式より共重合体の電解液に対する膨潤度を算出した。
共重合体の電解液に対する膨潤度(倍)=(Wa−Wb)÷(Wb)
ポリマー層の表面被覆率は、走査型電子顕微鏡(SEM)(型式:S−4800、HITACHI社製)を用いて測定した。サンプルであるセパレータをオスミウム蒸着し、加速電圧1.0kV、50倍の条件にて観察し、下記式から表面被覆率を算出した。なお、SEM画像にてセパレータ用基材(ポリオレフィン微多孔膜)又は電極(電極活物質)表面の多孔構造が見えない領域をポリマー層領域とした。
ポリマー層の表面被覆率(%)=ポリマー層の面積÷(基材の孔部分を含む面積+ポリマー層の面積)×100
各サンプルにおける表面被覆率は、上記測定を3回行い、その相加平均値とした。
セパレータ用基材(ポリオレフィン微多孔膜)又は電極(電極活物質)及び熱可塑性ポリマー担持基材等のそれぞれについて、10cm×10cmに切り出したサンプル3枚の総質量を測定し、下記式により、サンプル中のポリマー層の担持量(固形分)を測定した。
ポリマー層の存在量(g/m2)=[(熱可塑性ポリマー担持基材3枚の総質量)−(基材3枚の総質量)]÷3×100
(13)セパレータと電極(電極活物質)との密着性
セパレータと電極(電極活物質)との密着性は、以下の手順で評価した。
(正極の作製)
正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)92.2質量%、導電材としてリン片状グラファイトとアセチレンブラックそれぞれ2.3質量%、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)3.2質量%を、N−メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面にダイコーターで塗布し、130℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。この時、正極の活物質塗布量は250g/m2、活物質嵩密度は3.00g/cm3になるようにした。
負極活物質として人造グラファイト96.9質量%、バインダーとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩1.4質量%とスチレン−ブタジエンコポリマー水分散体1.7質量%を、精製水中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを負極集電体となる厚さ12μmの銅箔の片面にダイコーターで塗布し、120℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。この時、負極の活物質塗布量は106g/m2、活物質嵩密度は1.35g/cm3になるようにした。
上記方法により得られた電極を幅20mm、長さ40mmに切断した。この電極上にエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを2:3の比率(体積比)にて混合した電解液(富山薬品工業製)を、電極活物質が浸る程度まで滴下し、この上に微多孔性絶縁体としてのセパレータ用基材又はセパレータ(サイズ:幅30mm、長さ50mm)を、当該セパレータ用基材又はセパレータの片面全体を電極が覆うように重ねた。得られた積層体をアルミニウム製のジップ付き袋に入れ、80℃、10MPaの条件で、3分間プレスを行った。その後、積層体を袋から取り出し、セパレータ用基材又はセパレータを電極から剥がした。このとき、セパレータ用基材又はセパレータ上に残存した電極活物質の付着面積の割合(セパレータ用基材又はセパレータの片面の面積を100%として)から下記の評価基準にて密着性評価を行った。なお、密着性試験において、セパレータ用基材又はセパレータの片面に無機フィラーが露出している場合には、無機フィラーが露出していない側の面が電極と接するように積層体を作製した。
<評価基準>
付着面積の割合が70%以上100%以下…S
付着面積の割合が50%以上70%未満 …A
付着面積の割合が30%以上50%未満 …B
付着面積の割合が10%以上30%未満 …C
付着面積の割合が 5%以上10%未満 …D
付着面積の割合が 0%以上 5%未満 …E
セパレータ用基材又は熱可塑性ポリマーを担持して構成されるセパレータと、被着体としての正極集電体(冨士加工紙株式会社製のアルミニウム箔、厚さ:20μm)とをそれぞれ30mm×150mmに切り取り、セパレータ用基材又はセパレータを正極集電体に重ね合わせた後、その積層体をテフロン(登録商標)シート(ニチアス株式会社製のナフロン(登録商標)PTFEシート TOMBO−No.9000)で挟んだ。熱可塑性ポリマーが存在する材料、すなわち、後述のとおりに得られる各例のセパレータに関しては、熱可塑性ポリマーが正極集電体に接するように重ね合わせた。各サンプルについて、下記1)及び2)の条件にて積層方向にプレスを行うことによって試験用サンプルを得た。
1)25℃、5MPa、3分
2)40℃、5MPa、3分
得られた各試験用サンプルのセパレータと正極集電体との間の剥離強度を、島津製作所製のオートグラフAG−IS型(商標)を用いて、JIS K6854−2に準じて引張速度200mm/分で測定した。剥離強度の値に基づいて、下記の評価基準により評価した。
<評価基準>
6N/m未満 ・・・○
6N/m以上、8N/m未満・・・△
8N/m以上 ・・・×
セパレータ用基材又は熱可塑性ポリマーを担持して構成されるセパレータと、被着体としての正極集電体(冨士加工紙株式会社製のアルミニウム箔、厚さ:20μm)とをそれぞれ30mm×150mmに切り取り、セパレータ用基材又はセパレータを正極集電体に重ね合わせた後、その積層体をテフロン(登録商標)シート(ニチアス株式会社製のナフロン(商標)PTFEシート TOMBO−No.9000)で挟んだ。熱可塑性ポリマーが存在する材料、すなわち、後述のとおりに得られる各例のセパレータに関しては、熱可塑性ポリマーがアルミニウム箔に接するように重ね合わせた。こうして得られた各サンプルについて、80℃、10MPaの条件で、3分間、積層方向にプレスを行うことによって試験用サンプルを得た。
得られた各試験用サンプルの微多孔性絶縁体とアルミニウム箔との間の剥離強度を、島津製作所製のオートグラフAG−IS型(商標)を用いて、JIS K6854−2に準じて引張速度200mm/分で測定した。剥離強度の値に基づいて、下記の評価基準により評価した。
<評価基準>
10N/m以上 …○
5N/m以上10N/m未満 …△
5N/m未満 …×
各種水分散体を固形分で30質量部となるように水で希釈し、熱可塑性ポリマーを含む塗布液(固形分30質量%)を調製した。次いで、セパレータ用基材の片面にマイクログラビアコーターを用いて塗布液を塗布した。なお、正極活物質面、負極活物質面に塗布液を塗布する場合に関しては、スプレー塗工法を用いて塗布液を塗布した。その後、60℃にて塗布後の塗布液を乾燥して水を除去した。乾燥後の塗布面を指でこすった際に形成された共重合体の乾燥塗膜が粉落ちする程度を下記の評価基準により評価した。粉落ち試験により、接着性を評価した。
◎:白い粉の粉落ちが全くないもの
○:白い粉がわずかに発生するもの
△:白い粉が発生するが、セパレータ用基材又は電極側から完全には取れないもの
×:白い粉が発生し、セパレータ用基材又は電極側から完全に除去されるもの
(水分散体1)
撹拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取りつけた反応容器に、イオン交換水70.4質量部と、乳化剤として「アクアロンKH1025」(登録商標、第一工業製薬株式会社製25%水溶液、表中「KH1025」と表記)1.5質量部を投入した。次いで、反応容器内部の温度を80℃に昇温し、80℃の温度を保ったまま、過硫酸アンモニウムの2%水溶液を7.5質量部添加した。過硫酸アンモニウム水溶液を添加終了した5分後に、乳化液を滴下槽から反応容器に150分かけて滴下した。なお、乳化液は、炭素数8以上の鎖状アルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(A)として2−エチルヘキシルアクリレート(表中、「EHA」と表記)5質量部、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(b1)としてメタクリル酸(表中、「MAA」と表記)1質量部、アクリル酸(表中、「AA」と表記)1質量部、アミド基を有するエチレン性不飽和単量体(b2)としてアクリルアミド(表中、「AM」と表記)3質量部、ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(b3)として2−ヒドロキシエチルメタクリレート(表中、「HEMA」と表記)1質量部、架橋性単量体(b4)としてトリメチロールプロパントリアクリレート(A−TMPT、新中村化学工業株式会社製商品名、表中、「A−TMPT」と表記)0.7質量部、メタクリル酸グリシジル(表中、「GMA」と記載)0.3質量部、γ‐メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(表中、「AcSi」と記載)0.3質量部、上記以外の(メタ)アクリル酸エステル単量体(b9)としてメチルメタクリレート(表中、「MMA」と表記)68.7質量部、ブチルメタクリレート(表中BMAと記載)15質量部、ブチルアクリレート(表中、「BA」と表記)5質量部、乳化剤として「アクアロンKH1025」(登録商標、第一工業製薬株式会社製25%水溶液)4.5質量部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液7.5質量部、及びイオン交換水52質量部の混合物をホモミキサーにより5分間混合させて作製した。
乳化液の滴下終了後、反応容器内部の温度を80℃に保ったまま90分間維持し、その後室温まで冷却した。得られたエマルジョンを、水酸化アンモニウム水溶液(25%水溶液)でpH=9.0に調整し、濃度40%の水分散体を得た(水分散体1)。得られた水分散体1中の共重合体について、上記方法により、Tg、平均粒径、及び電解液に対する膨潤度を測定した。得られた結果を表1に示す。
(水分散体2〜22)
原材料の種類及び配合比を表1〜表3に示すように変更した以外は、合成例1と同様にして、水分散体2〜22を得た、表中、「CHMA」は、シクロアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(b5)の1種であるシクロヘキシルメタクリレートを意味する。得られた水分散体2〜22中の共重合体について、上記方法により、Tg、粒子径、及び電解液に対する膨潤度を測定した。得られた結果を表1〜表3に示す。なお、表中、原材料の組成は質量基準である。
(基材(セパレータ用基材)B1の製造)
Mvが70万であり、ホモポリマーの高密度ポリエチレンを45質量部と、Mvが30万であり、ホモポリマーの高密度ポリエチレンを45質量部と、Mvが40万であるホモポリマーのポリプロピレンとMvが15万であるホモポリマーのポリプロピレンとの混合物(質量比=4:3)10質量部とを、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られたポリオレフィン混合物99質量部に酸化防止剤としてテトラキス−[メチレン−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを1質量部添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、混合物を得た。得られた混合物を、窒素雰囲気下で二軸押出機へフィーダーにより供給した。また、流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10−5m2/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。押し出される全混合物中に占める流動パラフィンの割合が65質量部となるように、すなわち、ポリマー濃度が35質量部となるように、フィーダー及びポンプの運転条件を調整した。
(基材B2の製造)
延伸温度と緩和率の調整をしたこと以外は、製造例1と同様の操作により、基材B2を得た。得られた基材B2を製造例1と同様に上記方法により評価・試験をした。得られた結果を表4に示す。
(基材B3の製造)
粘度平均分子量70万のホモポリマーの高密度ポリエチレン47.5質量部と粘度平均分子量25万のホモポリマーの高密度ポリエチレン47.5質量部と粘度平均分子量40万のホモポリマーのポリプロピレン5質量部とを、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られたポリマー混合物99質量部に対して酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を1質量部添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、混合物を得た。得られた混合物は窒素で置換を行った後に、二軸押出機へ窒素雰囲気下でフィーダーにより供給した。また、流動パラフィンを押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。
溶融混練し、押し出される全混合物中に占める流動パラフィン量比が67質量%(樹脂組成物濃度が33質量%)となるように、フィーダー及びポンプを調整した。
(基材B4の製造)
粘度平均分子量200万の超高分子量ポリエチレン25質量部と粘度平均分子量70万のホモポリマーの高密度ポリエチレン15質量部と粘度平均分子量が25万の高密度ポリエチレン30質量部と粘度平均分子量12万でプロピレン単位含有量1mol%の共重合ポリエチレン30質量部とを、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られたポリマー混合物99質量部に対して酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を0.3質量部添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、混合物を得た。得られた混合物は窒素で置換を行った後に、二軸押出機へ窒素雰囲気下でフィーダーにより供給した。また流動パラフィンを押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。
溶融混練し、押し出される全混合物中に占める流動パラフィン量比が65質量%(樹脂組成物濃度が35質量%)となるように、フィーダー及びポンプを調整した。
(基材B5の製造)
延伸温度と緩和率の調整をしたこと以外は、製造例3と同様の操作により、基材B5を得た。得られた基材B5について、製造例1と同様にして、各種物性並びに耐ブロッキング性、密着性を評価し、上記簡易接着試験を行った。得られた結果を表4に示す。
(基材B6の製造)
粘度平均分子量が100万の超高分子量ポリエチレン19.2質量部、粘度平均分子量が25万の高密度ポリエチレン12.8質量部、フタル酸ジオクチル(DOP)48質量部、微粉シリカ20質量部を混合造粒した後、先端にTダイを装着した二軸押出機にて溶融混練した後に押し出し、両側から加熱したロールで圧延し、厚さ110μmのシート状に成形した。該成形物からDOP、微粉シリカを抽出除去し微多孔膜を作製した。該微多孔膜を2枚重ねて120℃でMD方向に5倍、120℃でTDに2倍延伸し、最後に137℃で熱処理し基材B6を得た。得られた基材B6について、製造例1と同様にして、各種物性並びに耐ブロッキング性、密着性を評価し、上記簡易接着試験を行った。得られた結果を表4に示す。
(基材B7の製造)
水酸化酸化アルミニウム(平均粒径1.0μm)96.0質量部と、アクリルラテックス(固形分濃度40%、平均粒径145nm、最低成膜温度0℃以下)4.0質量部と、ポリカルボン酸アンモニウム水溶液(サンノプコ社製 SNディスパーサント5468)1.0質量部とを100質量部の水に均一に分散させて塗布液を調製し、ポリオレフィン樹脂多孔膜B1の表面にマイクログラビアコーターを用いて塗布した。60℃にて乾燥して水を除去し、多孔層を2μmの厚さで形成して、基材B7を得た。得られた基材B7について、製造例1と同様にして、耐ブロッキング性、密着性を評価し、上記簡易接着試験を行った。得られた結果を表5に示す。
(基材B8の製造)
基材B1の一方の表面に製造例7と同様の方法で多孔層を4μmの厚さで形成して、基材B8を得た。得られた基材B8について、製造例1と同様にして、耐ブロッキング性、密着性を評価し、上記簡易接着試験を行った。得られた結果を表5に示す。
(基材B9の製造)
基材B2の一方の表面に製造例7と同様の方法で多孔層を3μmの厚さで形成して、基材B9を得た。得られた基材B9について、製造例1と同様にして、耐ブロッキング性、密着性を評価し、上記簡易接着試験を行った。得られた結果を表5に示す。
(基材B10の製造)
基材B5の一方の表面に製造例7と同様の方法で多孔層を7μmの厚さで形成して、基材B10を得た。得られた基材B10について、製造例1と同様にして、耐ブロッキング性、密着性を評価し、上記簡易接着試験を行った。得られた結果を表5に示す。
(基材B11の製造)
焼成カオリン(カオリナイト(Al2Si2O5(OH)4)を主成分とする湿式カオリンを高温焼成処理したもの、平均粒径1.8μm)95.0質量部と、アクリルラテックス(固形分濃度40%、平均粒径220nm、最低成膜温度0℃以下)5.0質量部と、ポリカルボン酸アンモニウム水溶液(サンノプコ社製 SNディスパーサント5468)0.5質量部とを180質量部の水に均一に分散させて塗布液を調製し、基材B3の表面にマイクログラビアコーターを用いて塗布した。60℃にて乾燥して水を除去し、多孔層を6μmの厚さで形成して、基材B11を得た。得られた基材B11について、製造例1と同様にして、耐ブロッキング性、密着性を評価し、上記簡易接着試験を行った。得られた結果を表5に示す。
(基材B12の製造)
延伸温度と緩和率の調整をしたこと以外は、製造例1と同様の操作により、目付け:4.6g/m2、膜厚:7μm、気孔率:38%、透気度:150秒、突刺強度:270g、平均孔径:0.070μmの基材を得た。前記基材の一方の表面に製造例7と同様の方法で多孔層を3μmの厚さで形成して、基材B12を得た。得られた基材B12について、製造例1と同様にして、耐ブロッキング性、密着性を評価し、上記簡易接着試験を行った。得られた結果を表5に示す。
水分散体4を固形分で30質量部となるように水で希釈し、熱可塑性ポリマーを含む塗布液(固形分30質量%)を調製した。次いで、基材B1の片面にマイクログラビアコーターを用いて塗布液を塗布した。その後、60℃にて塗布後の塗布液を乾燥して水を除去した。さらに、基材B1のもう片面にも同様に塗布液を塗布し、再度上記と同様にして乾燥させた。こうして、基材B1の両面にポリマー層を形成したセパレータを得た。なお、このセパレータにおいて、ポリマー層の表面被覆率は30%であり、ポリマー層の平均厚さは1μmであった。また、SEMにて確認したところ、ポリマー層は基材B1の表面にほぼ円形のドット状に存在していた。基材B1の片面あたりのポリマーの担持量は0.3g/m2であった。
得られたセパレータについて、上記方法により、耐ブロッキング性、粉落ち性、密着性および上記簡易接着試験を行った。得られた結果を表6に示す。
水分散体の種類及び混合割合(質量%)、塗布液中の固形分(質量%)、並びに微多孔性絶縁体である基材の種類を表6〜表9および表11に示すように変更した以外は実施例1と同様にして塗布液を調製し、微多孔性絶縁体である各種セパレータ用基材上に各熱可塑性ポリマーを担持して構成されるセパレータを作製した。得られたセパレータの各種物性及び評価・試験結果を表6〜表9および表11に示す。
水分散体の種類および混合割合(質量%)、塗布液中の固形分(質量%)、並びに基材の種類を表10に示す組み合わせとした。塗布する水分散体を正極活物質および負極活物質上にスプレー塗工し、その後、60℃にて塗布後の塗布液を乾燥して水を除去した。こうして、正極活物質上および負極活物質上に熱可塑性ポリマー層を形成した各電極を得た。なお、SEMにて確認したところ、この電極において、ポリマー層の表面被覆率は30〜35%であり、ポリマー層の厚さは0.5〜1.2μm(平均1.0μm)であった。また、ポリマー層は各種基材の表面に円形もしくは楕円状で、各々が独立したドット状として存在していた。得られた熱可塑性ポリマー担持電極について、上記方法により、耐ブロッキング性、粉落ち性、密着性試験を行った。得られた結果を表10に示す。なお、表10における、簡易接着性試験に関しては、熱可塑性ポリマーの接着性の有無を簡易的に確認する試験である。そのため、電極に熱可塑性ポリマーを担持させたものではなく、実施例1に記載の方法で、表10に記載の熱可塑性ポリマーを基材B1上に形成担持させ、上記簡易接着性試験を実施し評価した。
Claims (12)
- 少なくとも1種の電極と、
セパレータ用基材と、
前記セパレータ用基材と前記電極との間の少なくとも一部に形成された熱可塑性ポリマーを含有する層と、
を備える積層体であって、
前記熱可塑性ポリマーが、炭素数8以上の鎖状アルキル基を有するエチレン性不飽和単量体2〜66質量%と、炭素数8以上の鎖状アルキル基を有するエチレン性不飽和単量体と共重合可能なその他の単量体34〜98質量%とを単量体単位として有する共重合体を含む、積層体。 - 前記その他の単量体が、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体を含む、請求項1に記載の積層体。
- 前記その他の単量体が、アミド基を有するエチレン性不飽和単量体を含む、請求項1又は2に記載の積層体。
- 前記その他の単量体が、ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和単量体を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記その他の単量体が、架橋性単量体を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記その他の単量体が、シクロアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記炭素数8以上の鎖状アルキル基を有するエチレン性不飽和単量体が、2−エチルヘキシルアクリレートである、請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
- 前記シクロアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体が、シクロヘキシルアクリレート又はシクロヘキシルメタクリレートである、請求項6に記載の積層体。
- エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(質量比2:3)に対する前記共重合体の膨潤度が5.0倍以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記熱可塑性ポリマーを含有する層が、積層方向と垂直な面に対してドット状に存在する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の積層体。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の積層体を備える、蓄電デバイス。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の積層体を備える、リチウムイオン二次電池。
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