JP2015137420A - オーステナイト系ステンレス鋼管 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた耐水蒸気酸化性を有するオーステナイト系ステンレス鋼管を提供する。【解決手段】本実施形態によるオーステナイト系ステンレス鋼管は、曲管部と直管部とを備える。上記ステンレス鋼管は、質量%で、C:0.2%以下、Si:2.0%以下、Mn:0.1〜3.0%、Cr:14〜28%、Ni:6〜30%、N:0.3%以下、Mo:0〜5%、W:0〜10%、Ta:0〜5%、Co:0〜10%、Cu:0〜5%、V:0〜1.0%、Nb:0〜1.5%、Ti:0〜0.5%、Ca:0〜0.02%、Mg:0〜0.02%、Al:0〜0.3%、Zr:0〜0.5%、B:0〜0.02%、及び、REM:0〜0.1%を含有し、残部はFe及び不純物からなる化学組成を有する。上記ステンレス鋼管はさらに、投射材によるブラスト処理が実施された内面を有する。さらに、曲管部の内面から50μm深さ位置での結晶粒度番号が、直管部の厚さ中央部での結晶粒度番号よりも大きい。【選択図】なし

Description

本発明は、鋼管に関し、さらに詳しくは、直管部と曲管部とを備えるオーステナイト系ステンレス鋼管に関する。
近年、地球環境問題への対応として、発電プラントでは、炭酸ガスの総排出量の低減が求められている。そのため、発電プラントは、高効率の発電を求められる。例えば、火力発電ボイラでは、高効率の発電のために、蒸気の高温高圧化が求められている。
蒸気を高温高圧化した場合、ボイラの過熱器管及び再熱器管等の管壁温度が上昇する。そのため、このようなボイラに利用される鋼管では、高温強度とともに、水蒸気による高温酸化に対する耐性(以下、耐水蒸気酸化性という)が求められる。
特許文献1〜14は、鋼材の耐水蒸気酸化性を高める技術を提案する。これらの文献に提案された技術は、次の5つに分類される。
(1)ピーニング加工により冷間加工層を形成する技術
特許文献1〜3では、鋼管の内面に対してピーニング加工を実施して耐水蒸気酸化性を高める。具体的には、特許文献1では、鋼管に対して最終熱処理を実施した後、鋼管内面に対して、粒子吹き付けによるピーニング加工を実施する。特許文献2では、鋼管に対してピーニング加工を実施して、10μm以上の加工層を形成する。特許文献3では、既設のボイラから取り出した鋼管に対して熱処理を実施する。熱処理された鋼管に対して化学洗浄を実施して、内面のスケールを除去する。化学洗浄後、鋼管内面に対してショットブラスト加工を実施して冷間加工層を形成する。
(2)スケールの密着性を高める技術
特許文献4及び5では、鋼管内面のスケールの密着性を高めて耐水蒸気酸化性を高める。具体的には、特許文献4では、希土類元素を含有するオーステナイト系ステンレス鋼管を準備する。この鋼管に対して溶体化処理を実施する。溶体化処理された鋼管内面に対して粒子吹き付けによるピーニング加工を実施する。特許文献5では、9〜28質量%のCrを含有する鋼管を準備する。この鋼管の冷間加工後の内面の最大高さを15μm以上とする。さらに、この鋼管の内面層のビッカース硬さと肉厚中央部のビッカース硬さとの差を100以上にする。これらの処理により、スケールの密着性が高まる。
(3)高加工度の冷間加工を実施する技術
特許文献6〜9では、鋼管に対して高加工度の冷間加工を実施して、鋼管の耐水蒸気酸化性を高める。具体的には、特許文献6では、16〜20重量%のCrを含有するオーステナイトステンレス鋼に対して高加工度の冷間加工を実施する。冷間加工後の鋼管では、鋼管内面近傍位置でのCr濃度が14重量%以上である。さらに、鋼管内面から100μm位置の深さの硬さが、母材の平均硬さの1.5倍以上であるか、Hv300以上であるかのいずれかである。特許文献7では、8〜28質量%のCrを含有する鋼管に対して高加工度の冷間加工を実施する。これにより、鋼管内面に硬度の高い加工層が形成される。特許文献8及び9では、鋼管に対して高加工度の冷間加工を実施する。特許文献8では、冷間加工後の鋼管の内面から10〜20μm深さ位置の金属組織が、体積率で0.3%以上のサブグレイン(小角粒界及び大角粒界)組織を有する。特許文献9では、冷間加工後の鋼管の内面の金属組織において、XRD測定により得られた平均転位密度が3.0×1014/m以上である。
(4)冷間加工層を形成した後、溶体化処理を実施する技術
特許文献10〜13では、鋼管内面に冷間加工層を形成した後、溶体化処理を実施して、鋼管の耐水蒸気酸化性を高める。具体的には、特許文献10では、オーステナイト系ステンレス鋼管に対して溶体化処理を実施する。溶体化処理後の鋼管内面に対して、ショット加工、グラインダ加工、又は、研磨加工等の冷間加工を実施する。冷間加工実施後の鋼管に対して、再度、溶体化処理を実施する。特許文献11では、オーステナイト系ステンレス鋼管に対して、20%以上の加工率の冷間加工を実施する。冷間加工後の鋼管に対して、2.9℃/秒以下の昇温速度で固溶化熱処理を実施する。特許文献12では、オーステナイト系鉄合金管の内面に、結晶粒度No.7よりも細粒であり、30μm以上の厚さを有する細粒層を形成する。細粒層が形成された鋼管に対して20%以上の冷間加工を実施する。冷間加工後の鋼管に対して再結晶化処理を実施する。特許文献13では、鋼管内面から20μmの深さ位置における硬さがHv320以上となるように、オーステナイト系ステンレス鋼管に対して冷間加工を実施する。冷間加工後の鋼管に対して溶体化処理を実施する。
(5)溶体化処理後においても細粒組織を維持する技術
特許文献14では、溶体化処理後においても細粒組織を維持することにより、鋼管の耐水蒸気酸化性を高める。具体的には、鋼管におけるC及びNの総含有量を0.15%にする。この場合、溶体化処理後においても、鋼管内面層は、結晶粒度番号がNo.7以上の細粒組織を有する。
特開昭49−135822号公報 特開昭52−8930号公報 特開昭63−54598号公報 特開平6−322489号公報 特開2006−307313号公報 国際公開第2008/023410号 特開2009−68079号公報 国際公開第2011/155296号 国際公開第2013/001956号 特開昭53−114722号公報 特開昭54−138814号公報 特開昭55−58329号公報 特開昭58−39733号公報 特開昭58−133352号公報
上述の特許文献1〜14の対策により、オーステナイト系ステンレス鋼管の耐水蒸気酸化性は高まる。しかしながら、オーステナイト系ステンレス鋼管に対して曲げ加工を施して曲管部を設けた後、曲管部に熱処理を実施した場合、曲管部において耐水蒸気酸化性が低下する場合がある。この熱処理は、曲げ後熱処理(Post Bending Heat Treatment、PBHT)と呼ばれる。PBHTは、曲げ加工により曲管部に発生する残留応力を除去するために施される。
本発明の目的は、曲管部を含んでいても優れた耐水蒸気酸化性を有するオーステナイト系ステンレス鋼管を提供することである。
本実施形態によるオーステナイト系ステンレス鋼管は、直管部と曲管部とを備える。上記ステンレス鋼管は、質量%で、C:0.2%以下、Si:2.0%以下、Mn:0.1〜3.0%、Cr:14〜28%、Ni:6〜30%、N:0.3%以下、Mo:0〜5%、W:0〜10%、Ta:0〜5%、Co:0〜10%、Cu:0〜5%、V:0〜1.0%、Nb:0〜1.5%、Ti:0〜0.5%、Ca:0〜0.02%、Mg:0〜0.02%、Al:0〜0.3%、Zr:0〜0.5%、B:0〜0.02%、及び、希土類元素:0〜0.1%を含有し、残部はFe及び不純物からなる化学組成を有する。上記ステンレス鋼管はさらに、投射材によるブラスト処理が実施された内面を有する。さらに、曲管部の内面から50μm深さ位置での結晶粒度番号が、直管部の厚さ中央部での結晶粒度番号よりも大きい。
本実施形態によるオーステナイト系ステンレス鋼管は、優れた耐水蒸気酸化性を有する。
本発明者らは、内面をショットブラストされたオーステナイト系ステンレス鋼管に曲げ加工を施して曲管部を設け、この曲管部に従来どおり熱処理(PBHT)を施した。その後、曲管部及び直管部の内面に生成される酸化スケールを調査した。直管部は、曲げ加工が施されていない部分である。その結果、本発明者らは次の知見を得た。
曲管部の内面の酸化スケールは、直管部の内面の酸化スケールよりも厚かった。曲管部の酸化スケール(以下、曲管スケールという)は、外層スケールと、内層スケールと、クロミア(Cr)とを含んだ。外層スケールは主としてFeであった。内層スケールは、外層スケールの下(鋼管側)に形成され、Fe及びCrを含有するスピネル型の酸化物であった。クロミアは内層スケールと鋼管との界面に形成された。クロミアは連続的に形成されず、断続的(不連続)に形成されていた。
一方、直管部の酸化スケール(以下、直管スケールという)も、曲管スケールと同様に、外層スケールと、内層スケールと、クロミアとを含んだ。しかしながら、直管スケールでは、クロミアが連続的に形成されていた。
上述のとおり、直管スケールでは、クロミアが連続的に形成されたため、直管部は耐水蒸気酸化性が高かった。一方、曲管スケールでは、クロミアが不連続に形成されたため、耐水蒸気酸化性が直管部と比較して低かった。
本発明者らは、曲管部と直管部とでのクロミアの形成の違いについて調査した。その結果、曲管部の内面から50μm深さ位置における結晶粒は、直管部の肉厚中央部の結晶粒よりも大きかった。一方、直管部の内面から50μm深さ位置における結晶粒は、直管部の肉厚中央部の結晶粒よりも小さかった。さらに、曲管部の内面近傍の結晶粒界上には、粗大なCr炭化物も析出していた。
以上の結果から、次の事項が推定される。ショットブラスト等のブラスト処理によりオーステナイト系ステンレス鋼管の内面に加工層が形成される。加工層の結晶粒は微細である。しかしながら、加工層を有する鋼管に曲げ加工を施して曲管部を形成し、その後、曲管部に熱処理(PBHT)を実施すれば、曲管部の加工層も熱処理を受ける。この場合、PBHTの実施中、又は、PBHTを施した後の冷却過程において、曲管部の結晶粒は、加工層及びそれ以外の部分の両方において粗大化し、結晶粒界に粗大なCr炭化物が析出する。粗大なCr炭化物の生成により、鋼中のCrが低減する。さらに、結晶粒が粗大である場合、内面にCrが供給されにくい。そのため、水蒸気酸化環境において、クロミア(Cr)が不連続に形成される。
曲げ加工時に発生する加工ひずみ量を抑制し、PBHTを実施しなければ、クロミアの不連続形成を抑制することができる。しかしながら、所望の形状を実現するためには、加工ひずみ量を抑制することは困難である。そのため、本発明者らは、曲げ加工及びPBHTの実施を前提として、曲管部にクロミアを連続的に形成することについて検討し、次の知見を得た。
曲管部の内面から50μm深さ位置の結晶粒が、直管部の厚さ中央部の結晶粒よりも小さければ、結晶粒界に粗大なCr炭化物が析出しにくい。さらに、結晶粒が微細であれば、粒界が多数存在するため、粒界を介してCrが内面に供給されやすい。そのため、曲管部においても、クロミアが連続的に形成されやすく、耐水蒸気酸化性が高まる。
以上の知見に基づいて完成した本実施形態によるオーステナイト系ステンレス鋼管は、直管部と曲管部とを備える。上記ステンレス鋼管は、質量%で、C:0.2%以下、Si:2.0%以下、Mn:0.1〜3.0%、Cr:14〜28%、Ni:6〜30%、N:0.3%以下、Mo:0〜5%、W:0〜10%、Ta:0〜5%、Co:0〜10%、Cu:0〜5%、V:0〜1.0%、Nb:0〜1.5%、Ti:0〜0.5%、Ca:0〜0.02%、Mg:0〜0.02%、Al:0〜0.3%、Zr:0〜0.5%、B:0〜0.02%、及び、希土類元素:0〜0.1%を含有し、残部はFe及び不純物からなる化学組成を有する。上記ステンレス鋼管はさらに、投射材によるブラスト処理が実施された内面を有する。さらに、曲管部の内面から50μm深さ位置での結晶粒度番号が、直管部の厚さ中央部での結晶粒度番号よりも大きい。
好ましくは、上記曲管部の内面から50μm深さ位置での結晶粒度番号は9以上である。
上記オーステナイト系ステンレス鋼管は、N:0.005〜0.3%、Mo:0.1〜5%、W:0.1〜10%、Ta:0.1〜5%、Co:0.1〜10%、Cu:0.1〜5%、V:0.01〜1.0%、Nb:0.01〜1.5%、Ti:0.01〜0.5%、Ca:0.0001〜0.02%、Mg:0.0001〜0.02%、Al:0.0001〜0.3%、Zr:0.0001〜0.5%、B:0.0001〜0.02%、及び、希土類元素:0.0001〜0.1%からなる群から選択される1種又は2種以上を含有してもよい。
以下、本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼管について詳しく説明する。各元素の含有量の「%」は「質量%」を意味する。
[化学組成]
本実施形態によるオーステナイト系ステンレス鋼管(直管部及び曲管部)の化学組成は、次の元素を含有する。
C:0.2%以下
炭素(C)は、不可避的に含有され、鋼の強度及びクリープ強度を高める。しかしながら、C含有量が高すぎれば、溶体化処理後であって未固溶の炭化物が残存し、強度が低下する。C含有量が高すぎればさらに、靭性等の機械的性質が低下する。したがって、C含有量は0.2%以下である。C含有量の好ましい下限は0.01%以上であり、さらに好ましくは0.02%である。C含有量の好ましい上限は0.2%未満であり、さらに好ましくは0.16%であり、さらに好ましくは0.12%である。
Si:2.0%以下
シリコン(Si)は、不可避的に含有される。Siは鋼を脱酸する。Siはさらに、鋼の耐水蒸気酸化性を高める。しかしながら、Si含有量が高すぎれば、鋼の溶接性及び熱間加工性が低下する。したがって、Si含有量は2.0%以下である。Si含有量の好ましい下限は0.1%であり、さらに好ましくは0.12%である。Si含有量の好ましい上限は2.0%未満であり、さらに好ましくは1.5%であり、さらに好ましくは0.8%である。
Mn:0.1〜3.0%
マンガン(Mn)はSiと同様に、鋼を脱酸する。Mnはさらに、Sと結合してMnSを形成し、熱間加工性を高める。Mn含有量が低すぎれば、上記効果は得られない。一方、Mn含有量が高すぎれば、鋼が脆化する。したがって、Mn含有量は0.1〜3.0%である。Mn含有量の好ましい下限は0.1%よりも高く、さらに好ましくは0.2%であり、さらに好ましくは0.5%である。Mn含有量の好ましい上限は3.0%未満であり、さらに好ましくは2.5%であり、さらに好ましくは2.0%である。
Cr:14〜28%
クロム(Cr)は鋼の高温強度を高める。Crはさらに、水蒸気酸化環境において、鋼の表面に酸化物(Cr)を形成し、耐水蒸気酸化性を高める。Cr含有量が低すぎれば、上記効果は得られない。一方、Cr含有量が高すぎれば、鋼の靭性及び熱間加工性が低下する。したがって、Cr含有量は14〜28%である。Cr含有量の好ましい下限は14%よりも高く、さらに好ましくは15%であり、さらに好ましくは16%である。Cr含有量の好ましい上限は28%未満であり、さらに好ましくは27%であり、さらに好ましくは26%である。
Ni:6〜30%
ニッケル(Ni)は、鋼中のオーステナイト組織を安定化する。Niはさらに、クリープ強度を高める。Ni含有量が低すぎれば、上記効果が得られない。一方、Ni含有量が高すぎれば、上記効果が飽和し、製造コストも増加する。したがって、Ni含有量は6〜30%である。Ni含有量の好ましい下限は6%よりも高く、さらに好ましくは7%であり、さらに好ましくは8%である。Ni含有量の好ましい上限は30%未満であり、さらに好ましくは25%であり、さらに好ましくは21%である。
N:0.3%以下
窒素(N)は不可避的に含有される。Nは積極的に含有されなくてもよい。Nを積極的に含有する場合、Nは鋼に固溶して鋼の強度を高める。Nはさらに、他の元素と結合して窒化物を形成し、鋼を析出強化する。しかしながら、N含有量が高すぎれば、鋼の靭性及び溶接性が低下する。したがって、N含有量は0.3%以下である。鋼を強化するためにNを積極的に含有する場合、N含有量の好ましい下限は0.005%であり、さらに好ましくは0.01%である。N含有量の好ましい上限は0.3%未満であり、さらに好ましくは0.28%であり、さらに好ましくは0.27%である。Nを積極的に含有しない場合、N含有量は0.005%未満である。
本実施の形態によるオーステナイト系ステンレス鋼管の化学組成の残部は、Fe及び不純物からなる。ここで、不純物とは、鋼材を工業的に製造する際に、原料としての鉱石、スクラップ、又は製造環境などから混入されるものである。
本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼管はさらに、Mo、W、Ta、Co及びCuからなる群から選択される1種又は2種以上を含有してもよい。これらの元素は任意元素であり、いずれも、鋼の高温強度を高める。
Mo:0〜5%、
W:0〜10%、
Ta:0〜5%、
Co:0〜10%、
Cu:0〜5%
モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、コバルト(Co)及び銅(Cu)はいずれも、任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、これらの元素は鋼の高温強度を高める。しかしながら、これらの元素含有量が高すぎれば、鋼の溶接性及び熱間加工性が低下する。したがって、Mo含有量は0〜5%であり、W含有量は0〜10%であり、Ta含有量は0〜5%であり、Co含有量は0〜10%であり、Cu含有量は0〜5%である。Mo含有量の好ましい下限は0.1%であり、さらに好ましくは0.15%である。Mo含有量の好ましい上限は5%未満であり、さらに好ましくは4.5%である。W含有量の好ましい下限は0.1%であり、さらに好ましくは0.15%である。W含有量の好ましい上限は10%未満であり、さらに好ましくは8%である。Ta含有量の好ましい下限は0.1%であり、さらに好ましくは0.15%である。Ta含有量の好ましい上限は5%未満であり、さらに好ましくは4.5%である。Co含有量の好ましい下限は0.1%であり、さらに好ましくは0.15%である。Co含有量の好ましい上限は5%未満であり、さらに好ましくは4%である。Cu含有量の好ましい下限は0.1%であり、さらに好ましくは0.15%である。Cu含有量の好ましい上限は5%未満であり、さらに好ましくは4%である。
本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼管はさらに、V、Nb及びTiからなる群から選択される1種又は2種以上を含有してもよい。これらの元素はいずれも任意元素であり、鋼を析出強化する。
V:0〜1.0%、
Nb:0〜1.5%、
Ti:0〜0.5%
バナジウム(V)、ニオブ(Nb)及びチタン(Ti)はいずれも、任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、これらの元素はいずれも、C及びNと結合して炭窒化物を形成し、鋼を析出強化する。しかしながら、これらの元素の含有量が高すぎれば、鋼の加工性が低下する。したがって、V含有量は0〜1.0%であり、Nb含有量は0〜1.5%であり、Ti含有量は0〜0.5%である。V含有量の好ましい下限は0.01%であり、さらに好ましくは0.03%である。V含有量の好ましい上限は1.0%未満であり、さらに好ましくは0.8%である。Nb含有量の好ましい下限は0.01%であり、さらに好ましくは0.03%である。Nb含有量の好ましい上限は1.5%未満であり、さらに好ましくは1.0%である。Ti含有量の好ましい下限は0.01%であり、さらに好ましくは0.03%である。Ti含有量の好ましい上限は0.5%未満であり、さらに好ましくは0.4%である。
本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼管はさらに、Ca、Mg、Al、Zr、B及び希土類元素(REM)からなる群から選択される1種又は2種以上を含有してもよい。これらの元素はいずれも任意元素であり、鋼の強度、加工性及び耐水蒸気酸化性を高める。
Ca:0〜0.02%、
Mg:0〜0.02%、
Al:0〜0.3%、
Zr:0〜0.5%、
B:0〜0.02%、
REM:0〜0.1%
カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、ボロン(B)及び希土類元素(REM)はいずれも任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、これらの元素はいずれも、鋼の強度、加工性及び耐水蒸気酸化性を高める。しかしながら、これらの元素含有量が高すぎれば、鋼の加工性及び溶接性が低下する。したがって、Ca含有量は0〜0.02%であり、Mg含有量は0〜0.02%であり、Al含有量は0〜0.3%であり、Zr含有量は0〜0.5%であり、B含有量は0〜0.02%であり、REM含有量は0〜0.1%である。本明細書でいうAl含有量は、sol.Al(酸可溶Al)の含有量を意味する。また、本明細書におけるREMは、Sc、Y、及び、ランタノイド(原子番号57番のLa〜71番のLu)の少なくとも1種以上を含有し、REM含有量は、これらの元素の合計含有量を意味する。
Ca含有量の好ましい下限は、0.0001%であり、さらに好ましくは0.0005%である。Ca含有量の好ましい上限は0.02%未満であり、さらに好ましくは0.015%である。Mg含有量の好ましい下限は0.0001%であり、さらに好ましくは0.0005%である。Mg含有量の好ましい上限は0.02%未満であり、さらに好ましくは0.015%である。Al含有量の好ましい下限は0.0001%であり、さらに好ましくは0.0005%である。Al含有量の好ましい上限は0.3%未満であり、さらに好ましくは0.2%である。Zr含有量の好ましい下限は0.0001%であり、さらに好ましくは0.0005%である。Zr含有量の好ましい上限は0.5%未満であり、さらに好ましくは0.4%である。B含有量の好ましい下限は0.0001%であり、さらに好ましくは0.0005%である。B含有量の好ましい上限は0.02%未満であり、さらに好ましくは0.015%である。REM含有量の好ましい下限は0.0001%であり、さらに好ましくは0.0005%である。REM含有量の好ましい上限は0.1%未満であり、さらに好ましくは0.07%である。
さらに好ましくは、これらの元素(Ca、Mg、Al、Zr、B及びREM)の総含有量は0.8%以下である。
[ミクロ組織等]
本実施形態によるオーステナイト系ステンレス鋼管は、上述の化学組成を有するオーステナイト系ステンレス鋼管に曲管部を形成したものである。そのため、オーステナイト系ステンレス鋼管は、直管部と曲管部とを備える。直管部は、直線状である。直管部は、曲げ加工が施されていない部分に相当する。曲管部は、湾曲している。曲管部は、後述の曲げ加工により形成される。
本実施形態によるオーステナイト系ステンレス鋼管はさらに、投射材によるブラスト処理が実施された内面を有する。投射材によるブラスト処理はたとえば、ショットピーニング、ショットブラスト、サンドブラスト等である。投射材はたとえば粒子であり、粒子は、鋼、鋳鋼、ステンレス、硝子、珪砂、アルミナ、アモルファス、ジルコニア等である。投射材の形状は球形であってもよいし、カットワイヤ、ラウンドカットワイヤ、グリッドであってもよい。ブラスト処理ではたとえば、圧縮空気、羽根車(インペラ式)による遠心力、高圧水、超音波等を用いて投射材を鋼管内面に吹き付けてもよい。
ブラスト処理された内面に、加工層が形成される。加工層の結晶粒は微細であるため、Crを内部から内面に供給しやすい。したがって、ブラスト処理により加工層が形成された場合、内面にクロミア(Cr)皮膜が連続的に形成されやすく、耐水蒸気酸化性が高まる。以降の説明において、ブラスト処理により加工層が形成された内面を、「加工内面」という。
曲管部のうち、加工内面から50μm深さ位置(曲管内面層部という)での結晶粒は、直管部のうち、肉厚中央部(直管中央部という)での結晶粒よりも微細である。より具体的には、曲管内面層部でのJIS G0551(2005)に基づく結晶粒度番号は、直管中央部での結晶粒度番号よりも大きい。
結晶粒度番号は次の方法により決定される。上述のオーステナイト系ステンレス鋼管を、加工内面と垂直に切断する。切断面のうち、曲管部における加工内面から50μmの深さ位置(曲管内面層部)において任意の4視野を決定する。各視野において、JIS G0551(2005)に規定される結晶粒度の顕微鏡試験方法を実施して、オーステナイト結晶粒度番号を求める。具体的には、各視野を含むサンプルを採取する。サンプルの視野面を、周知の腐食液(グリセレジア、カーリング試薬、マーブル試薬、王水、硝酸−塩酸−グリセリン混合試薬等)を用いて腐食し、結晶粒界を現出させる。腐食された各視野面において、各視野の結晶粒度番号を求める。JIS G0551(2005)の7.1.2に規定された結晶粒度標準図との比較により、各視野における結晶粒度番号を求める。4つの視野の結晶粒度番号の平均を、曲管内面層部の結晶粒度番号と定義する。
直管中央部の結晶粒度番号も、曲管内面層部の結晶粒度番号と同様の方法で求める。具体的には、直管部のうち、肉厚中央部(つまり直管中央部)の任意の4視野を決定する。上述の方法により、視野を含むサンプルの視野面を腐食し、各視野の結晶粒度番号を求める。求めた結晶粒度番号の平均を、直管中央部の結晶粒度番号と定義する。
本実施形態では、加工層を有するオーステナイト系ステンレス鋼管に対して曲げ加工を実施し、さらに熱処理を実施して曲管部を形成しても、曲管内面層部の結晶粒が、直管中央部の結晶粒よりも小さい。そのため、曲管内面層部には、結晶粒界が多く存在する。結晶粒界は、内面にCrを供給するパス(経路)となる。曲管部の加工内面近傍は、直管中央部よりも細粒であるため、Crを内面に供給しやすい。そのため、曲管部の加工内面にもクロミア(Cr)を連続的に生成しやすく、耐水蒸気酸化性が高まる。
好ましくは、曲管内面層部の結晶粒度番号は9以上である。この場合、曲管部の加工内面近傍には、Crを内面に供給するための粒界が十分存在するため、耐水蒸気酸化性がさらに高まる。
[製造方法]
上述のオーステナイト系ステンレス鋼管の製造方法の一例を説明する。本実施形態の製造方法は、鋼管を準備する工程(準備工程)と、鋼管の内面に対してブラスト処理を実施して加工層を形成する工程(加工層形成工程)と、加工層が形成された鋼管に対して曲げ加工を実施して曲管部を形成する工程(曲げ加工工程)と、曲管部に対して熱処理(PBHT)を実施する工程(PBHT工程)とを備える。以下、各工程について説明する。
[準備工程]
上述の化学組成を有する素材を準備する。素材は、連続鋳造法(ラウンドCCを含む)により製造された鋳片であってもよい。また、造塊法により製造されたインゴットを熱間加工して製造された鋼片でもよい。鋳片から製造された鋼片でもよい。
準備された素材を加熱炉又は均熱炉に装入し、加熱する。続いて、加熱した素材を熱間加工してオーステナイト系ステンレス鋼管を製造する。オーステナイト系ステンレス鋼管の製造方法として、たとえば、熱間加工としてマンネスマン法が挙げられる。具体的には、素材を穿孔機により穿孔圧延して素管にする。続いて、マンドレルミルやサイジングミルにより、素管をさらに圧延する。熱間加工として熱間押出を実施してもよいし、熱間鍛造を実施してもよい。必要に応じて、熱間加工された素管に対して軟化熱処理を行った後、冷間加工してもよい。冷間加工はたとえば、冷間圧延や、冷間引抜等である。さらに、必要に応じて、冷間加工後に結晶粒の均質化を目的として、溶体化の熱処理を施してもよい。以上の工程によりオーステナイト系ステンレス鋼管が製造される。
[加工層形成工程]
準備されたオーステナイト系ステンレス鋼管の内面(水蒸気酸化環境にさらされる側の表面)に対して、投射材を用いたブラスト処理を実施して、加工層を形成する。
好ましくは、ブラスト処理により形成される加工層の最大深さは、鋼管の肉厚の1/4以下とする。加工層の深さが鋼管肉厚の1/4よりも大きくなれば、機械的特性が低下するためである。冷間圧延や冷間抽伸により加工層を形成した場合、加工層の最大深さは鋼管肉厚の1/4以上になりやすい。したがって、本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼管では、ブラスト処理により鋼管の内面に加工層を形成する。
[曲げ加工工程]
加工層形成工程後のオーステナイト系ステンレス鋼管に対して、曲げ加工を実施して曲管部を形成する。曲げ加工方法は特に限定されない。曲げ加工方法はたとえば、曲げ成形機を使用する方法がある。
[PBHT工程]
曲げ加工工程で形成された曲管部に対して熱処理(PBHT)を実施する。PBHTを実施することにより、曲げ加工により曲管部に発生する残留応力を除去する。
PBHTでの好ましい熱処理温度(以下、PBHT温度という)は1050〜1180℃である。PBHT温度が低すぎれば、曲げ加工により発生した残留応力の除去が不十分となる。PBHT温度が低すぎれば、合金元素の炭化物が析出し、クリープ特性が低下する。一方、PBHT温度が高すぎれば、曲管内面層部の結晶粒が粗大化し、直管中央部の結晶粒よりも大きくなる。この場合、耐水蒸気酸化性が低下する。したがって、好ましいPBHT温度は1050〜1180℃である。PBHT温度のより好ましい下限は1060℃であり、さらに好ましくは1070℃であり、さらに好ましくは1075℃である。PBHT温度のより好ましい上限は1170℃であり、さらに好ましくは1150℃であり、さらに好ましくは1140℃である。
好ましいPBHT時間(PBHT温度で保持する時間)は、5〜100分である。PBHT時間が短すぎれば、残留応力の除去が不十分となる。一方、PBHT時間が長すぎれば、曲管内面層部の結晶粒が粗大化し、直管中央部の結晶粒よりも大きくなる。この場合、耐水蒸気酸化性が低下する。したがって、好ましいPBHT時間は5〜100分である。PBHT時間の好ましい下限は10分である。PBHT時間の好ましい上限は80分であり、さらに好ましくは60分である。
PBHTは、曲管部のみに実施してもよいし、直管部及び曲管部に実施してもよい。PBHT温度が1050〜1180℃であり、PBHT時間が5〜100分であれば、直管部の結晶粒が粗大化しにくいからである。
以上の製造工程により、本実施形態によるオーステナイト系ステンレス鋼管が製造される。
表1に示す化学組成を有する溶鋼を製造した。
Figure 2015137420
表1を参照して、鋼番号1〜9の化学組成は本実施形態の化学組成の範囲内であった。一方、鋼番号10のCr含有量は低すぎた。なお、鋼番号1、5〜10のN含有量は0.005%未満であり、不純物レベルであった。
鋼番号1〜10の化学組成の溶鋼を真空溶解により製造した。これらの溶鋼を用いて、180kgのインゴットを製造した。インゴット対して熱間鍛造及び熱間押出しを実施して、110mmの外径と、12mmの肉厚とを有する鋼管を製造した。
鋼番号1の鋼管に対して、表面スケールを除去した。その後、鋼番号1の鋼管に対して溶体化処理を実施した。
鋼番号2〜10の鋼管に対してはさらに冷間圧延を実施して、種々の外径及び肉厚(外径は25.4〜50.8mmの範囲、肉厚は1.6〜8mmの範囲)を有する鋼管を製造した。そして、製造された鋼管に対して、鋼番号1と同じ条件で溶体化処理を実施した。冷間圧延後の鋼管のうち、鋼番号2の鋼管に対しては、鋼番号1とは異なる条件でも溶体化処理を実施し、4種の結晶粒度の鋼管を製造した。必要に応じて、同じ鋼番号の鋼管を複数製造した。
各鋼番号の鋼管の内面に対して、同じ条件でショットブラストを実施した。その後、曲げ加工を実施して曲管部を形成し、曲管部に対して熱処理(PBHT)を実施した。曲げ加工には、曲げ成形機を使用した。曲げ加工条件とPBHT条件は表2に示す試験番号1〜24の条件とした。
Figure 2015137420
表2に、各試験番号で実施された曲げ加工の曲げひずみ量(%)と、PBHT温度(℃)とPBHT時間(分)とを示す。曲げひずみ量は、式(1)で定義される値である。
s=100×r/R (1)
ここで、s:ひずみ量(%)、r:鋼管外径の半分(mm)、R:曲げ中立線の公称半径(mm)である。
PBHTを実施した後、次の試験を実施した。
[結晶粒度の顕微鏡試験]
各試験番号の鋼管の直管中央部と、曲管内面層部とにおいて、上述の方法により結晶粒度番号を求めた。腐食液には希釈王水を用いた。直管中央部及び曲管内面層部の結晶粒度番号を表2に示す。
[水蒸気酸化試験]
各試験番号の鋼管の曲管部から、管内面を含む試験片を採取した。試験片を治具に吊り下げたまま、横型管状加熱炉に挿入した。加熱炉内において、試験片を600℃で200時間保持して酸化試験を実施した。試験中の加熱炉内の雰囲気は、溶存酸素量が100ppbの水蒸気雰囲気とした。600℃で200時間保持した後、試験片を常温(25℃)まで炉冷した。常温まで冷却した試験片を樹脂に埋め込んだ。樹脂に埋め込んだ試験片を、管内面に対して垂直に切断し、断面に対して鏡面研磨を実施した。研磨後、曲管部の内面に生成した酸化スケールの断面を光学顕微鏡で観察した。各試験番号において、任意の4視野において曲管部の酸化スケール厚さを測定した。測定された値の平均値を、その試験番号の酸化スケール厚さ(μm)と定義した。
[試験結果]
表2を参照して、試験番号1、2、4〜9、12〜16、18及び20〜23では、化学組成が適切であった。さらに、曲管内面層部の結晶粒度番号は、直管中央部の結晶粒度番号よりも大きかった。そのため、これらの試験番号では、水蒸気酸化試験で生成された酸化スケールの厚さは20μm以下であり、優れた耐水蒸気酸化性が得られた。
特に、試験番号1、4、6〜8、12〜16、18及び20〜23では、曲管内面層部の結晶粒度番号が9以上であった。そのため、これらの試験番号では、試験番号2、5及び9と比較して酸化スケールの厚さが薄く、12μm以下であった。
さらに、試験番号1、2、4〜9、13、15、16、18及び20〜23では、PBHT温度が1050〜1180℃であったため、十分に残留応力が除去された。また、十分なクリープ特性を有することを確認した。
一方、試験番号3、10及び17では、化学組成が適切であったものの、PBHT温度が高すぎた。そのため、曲管内面層部の結晶粒度番号が、直管中央部の結晶粒度番号よりも小さかった。その結果、酸化スケールの厚さが20μmを超え、耐水蒸気酸化性が低かった。
試験番号11及び19では、化学組成が適切であったものの、PBHT時間が長すぎた。そのため、曲管内面層部の結晶粒度番号が、直管中央部の結晶粒度番号よりも小さかった。その結果、酸化スケールの厚さが20μmを超え、耐水蒸気酸化性が低かった。
試験番号24では、Cr含有量が低すぎた。そのため、酸化スケールの厚さが60.2μmと20μmを大きく超え、耐水蒸気酸化性が低かった。
以上、本発明の実施の形態を説明した。しかしながら、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。したがって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変更して実施することができる。
本実施形態によるオーステナイト系ステンレス鋼管は、耐水蒸気酸化性が要求される環境に用いられる鋼材として広く適用できる。特に、発電設備のボイラ、配管、廃熱回収ボイラ、熱交換器等に用いられる鋼材として好適である。

Claims (3)

  1. 直管部と曲管部とを備えるオーステナイト系ステンレス鋼管であって、
    質量%で、
    C:0.2%以下、
    Si:2.0%以下、
    Mn:0.1〜3.0%、
    Cr:14〜28%、
    Ni:6〜30%、
    N:0.3%以下、
    Mo:0〜5%、
    W:0〜10%、
    Ta:0〜5%、
    Co:0〜10%、
    Cu:0〜5%、
    V:0〜1.0%、
    Nb:0〜1.5%、
    Ti:0〜0.5%、
    Ca:0〜0.02%、
    Mg:0〜0.02%、
    Al:0〜0.3%、
    Zr:0〜0.5%、
    B:0〜0.02%、及び、
    希土類元素:0〜0.1%を含有し、残部はFe及び不純物からなる化学組成と、
    投射材によるブラスト処理が実施された内面とを有し、
    前記曲管部の前記内面から50μm深さ位置での結晶粒度番号が、前記直管部の厚さ中央部での結晶粒度番号よりも大きい、オーステナイト系ステンレス鋼管。
  2. 請求項1に記載のオーステナイト系ステンレス鋼管であって、
    前記曲管部の前記内面から50μm深さ位置での結晶粒度番号は9以上である、オーステナイト系ステンレス鋼管。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のオーステナイト系ステンレス鋼管であって、
    N:0.005〜0.3%、
    Mo:0.1〜5%、
    W:0.1〜10%、
    Ta:0.1〜5%、
    Co:0.1〜10%、
    Cu:0.1〜5%、
    V:0.01〜1.0%、
    Nb:0.01〜1.5%、
    Ti:0.01〜0.5%、
    Ca:0.0001〜0.02%、
    Mg:0.0001〜0.02%、
    Al:0.0001〜0.3%、
    Zr:0.0001〜0.5%、
    B:0.0001〜0.02%、及び、
    希土類元素:0.0001〜0.1%からなる群から選択される1種又は2種以上を含有する、オーステナイト系ステンレス鋼管。
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