JP2015137409A - 坩堝及び真空蒸着装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】円形台上に複数、載置する場合に、電子ビームの加熱による蒸着用材料の溶融むらを防止しつつ、蒸着用材料の合計収納量を増大させることができる坩堝を提供する。【解決手段】坩堝11は、底壁部30と、底壁部30の周縁から起立し、内周側に上側開放の上方視で扇形の収納空間32が形成される周壁部32とを有し、収納空間32内に電子ビームにより溶解される蒸着用材料を収納可能になっている。【選択図】図5
Description
本発明は、真空蒸着に使用される坩堝及び該坩堝を備える真空蒸着装置に関する。
例えば、所定の強誘電体膜を基板上に成膜する真空蒸着装置では、強誘電体膜の材料を入れた坩堝の上方から電子ビームを照射することにより材料が加熱されて蒸発し、蒸気となって基板の方へ上昇するようになっている(例:特許文献1)。
従来の一般的な真空蒸着装置では、坩堝内の材料の蒸発が進み、坩堝が空になると、蒸着用材料の補給のために、真空蒸着を中断して真空蒸着室から取出した坩堝に材料を補給したり、材料入りの別の坩堝と交換したりする。その後、坩堝を入れた真空蒸着室を真空引きして、蒸着を再開する。このような坩堝の交換及び真空蒸着室の所定の真空度までの真空引きには、手間と時間を要するので、坩堝の交換回数は少なくすることが望まれる。
対策として、坩堝の容量を大きくすることが考えられるが、坩堝を大きくするだけでは、内部に入れた材料を電子ビームで溶融するときに、十分に溶融ができない材料部分が生じることがある。そこで、坩堝を大型化せず坩堝交換の手間を少なくする手段として、特許文献2の真空蒸着装置では、材料入りの複数の坩堝を真空蒸着室内の円形の回転テーブルに回転方向に配列して載置し、電子ビームを所定の回転位置にある1つの坩堝に照射して該坩堝が空になると、回転テーブルを回転して次の坩堝に電子ビームを照射する。こうして、複数の坩堝に順番に電子ビームを照射することが開示されている。
また、特許文献3の真空蒸着装置では、固体の材料の先端が、坩堝の上部開口縁の上方へ到達するように、該固体の材料を真空蒸着室の外部から内部へ水平に連続供給する。そして、該固体の材料の先端が、上方から坩堝に向かう電子ビームの縁に照射されるようにし、照射により溶解した材料を坩堝内に落下させることにより、真空蒸着室内の坩堝への材料の連続補給を実現している。
上記のように、複数の坩堝を回転テーブルにより回転させる真空蒸着装置において、円形台(坩堝は、回転テーブルに直接載置されず、円形台を介して回転テーブルに載置される。)に載置する坩堝は上方視で円形であるので、円形台上の坩堝間の隙間が増大し、円形台の面積の割に、確保できる坩堝全体の蒸着用材料の合計収納量は少ない。
また、真空蒸着装置では、電子ビームガンからの電子ビームが照射される円形台上の照射点は固定されている。円形の坩堝は、電子ビームの照射位置が円の中心になるように設定されている。したがって、坩堝を円以外の形状に変えると、照射位置から遠い部位と近い部位とで加熱量に差が生じ、電子ビームによる坩堝内の蒸着用材料の溶解にむらが生じてしまう。
また、回転テーブルに載置される円形坩堝の半径を増大するならば、円形台に載置できる坩堝の個数が減少して、全部の坩堝の蒸着用材料の合計の収納量は十分に増大しない。
本発明の目的は、円形台上に複数、載置する場合に、電子ビームの加熱による蒸着用材料の溶融むらを防止しつつ、蒸着用材料の合計収納量を増大させることができる坩堝及び該坩堝を装備する真空蒸着装置を提供することである。
本発明の坩堝は、底壁部と、該底壁部の周縁から起立し、内周側に上側開放の上方視で扇形の収納空間が形成される周壁部とを有し、前記収納空間内に電子ビームにより溶解される蒸着用材料を収納可能になっていることを特徴とする。
本発明の坩堝によれば、蒸着用材料の収納空間が上方視で扇形とされることにより、該坩堝を円形台に複数載置する場合に、上方視で円形である収納空間よりも、坩堝の収納空間の収納量を増大することができる。また、収納空間の上方視で扇形の収納空間は、円弧側から中心角側へ向かって、中心角の二等分線に対する直角方向の幅が狭くなっていく。したがって、上方から収納空間内に照射する加熱ビームの照射位置を、中心角の二等分線上で扇形の頂点と円弧の中央との中点に対して、中心角側よりも円弧側に偏倚した位置に設定することにより、照射位置に対して円弧側の存在する蒸着用材料の量と、中心角側に存在する蒸着用材料の量とが均衡化する。この結果、収納空間内において電子ビームの照射位置から伝導して来る加熱量に差異が生じるのが抑制され、収納空間内の蒸着用材料に溶融むらが生じるのを防止することができる。
本発明の坩堝において、前記扇形の中心角は、円形台上に複数の坩堝を載置するように、円周方向に等分割された円形台上の複数の扇形区画の各々の中心角に等しく設定されていることが好ましい。
この構成によれば、坩堝を円形台に効率的に載置可能となり、円形台に載置される全部の坩堝の合計の収納量を増大することができる。
本発明の坩堝において、前記扇形内の所定位置に前記電子ビームを照射して、前記所定位置の熱が前記所定位置から前記収納空間の周辺の方へ伝導するとき、最大伝導熱の部位の伝導熱と最小伝導熱の部位の伝導熱との差が許容値以内となるように前記所定位置を設定することができる。
収納空間を上方視で扇形とすることにより、収納空間の周辺部の各部位とビーム照射点と距離に差が生じるが、この構成によれば、このような差にもかかわらず、収納空間の周辺部の各部位への伝導熱量のむらを防止することができる。
本発明の坩堝において、前記底壁部の上面に、前記所定位置を中心とする所定半径の円形凹部が形成されていることが好ましい。
この構成によれば、坩堝内の少なくなった蒸着用材料は、円形凹部に集まる。電子ビームの照射点は、円形凹部の中心に合わせられているので、坩堝内の残り切れ近くの蒸着用材料も電子ビームにより支障なく加熱することができる。
本発明の真空蒸着装置は、円周方向に複数の扇形区画に等分割されて、各扇形区画に各坩堝が載置される円形台と、前記円形台が上面側に固定され、前記円形台の中心を通る垂直軸線の回りに回転する回転テーブルと、所定の回転位置にある1つの坩堝が収納する蒸着用材料に該1つの坩堝の上方から照射する電子ビームを生成する電子ビームガンと、前記坩堝、前記円形台及び前記回転テーブルを収容する真空蒸着室を内側に形成した真空チャンバーとを備えることを特徴とする。
本発明の真空蒸着装置によれば、蒸着用材料の収納空間が上方視で扇形とされる坩堝とすることにより、収納空間が上方視で円形とされる坩堝を円形台に複数載置する場合よりも、全部の坩堝の収納空間の合計収納量を増大することができる。また、収納空間の上方視で扇形の収納空間は、円弧側から中心角側へ向かって、中心角の二等分線に対する直角方向の幅が狭くなっていく。したがって、上方から収納空間内に照射する加熱ビームの照射位置を中心角の二等分線上で扇形の頂点と円弧の中央との中点に対して、中心角側よりも円弧側に偏倚した位置に設定することにより、照射位置に対して円弧側の存在する蒸着用材料の量と、中心角側に存在する蒸着用材料の量とが均衡化する。これにより、収納空間内の蒸着用材料の溶融むらを防止することができる。
図1は本発明の実施形態の真空蒸着装置1の構成図である。真空蒸着装置1は、真空チャンバー2の内側に真空蒸着室3を画成する。真空蒸着室3には、真空蒸着装置1の主要構成要素としてのホルダ4、ヒータ5、回転テーブル9、円形台10及び坩堝11が収容されている。真空チャンバー2には扉(図示せず)が設けられ、該扉を介して真空蒸着室3の坩堝11に、蒸着用材料18を供給したり、又は真空蒸着室3内の空になった坩堝11を、蒸着用材料18入りの別の坩堝11と交換したりする。
ホルダ4は、真空蒸着室3内の上部に配設され、上面側にはヒータ5を取付けられ、下面側には複数の基板6が、成膜側を下に向けて、取り付けられる。ホルダ4は、垂直回転軸7により垂直軸線の回りに回転し、基板6における蒸着むらを防止する。
回転テーブル9は、真空蒸着室3の下部に配設され、円形台10は、それと同一半径の回転テーブル9の上面側に取り付けられる。本発明の実施例の坩堝11は、蒸着用材料18を収納して、円形台10の上面側に載置される。例えば、蒸着用材料18は鉛であり、坩堝11はカーボン、チタン又はチタン酸化物から成り、回転テーブル9と円形台10とは銅製である
垂直回転軸14は、上端において回転テーブル9の下面に結合し、回転テーブル9及び円形台10の垂直中心線の回りに回転させる。回転テーブル9内には、冷却水路15が形成され、冷却水が、垂直回転軸14内の管路(図示せず)を介して冷却水路15に出入りし、回転テーブル9を冷却する。
電子ビームガン21は、回転テーブル9の近辺に配設され、真空蒸着室3内へ電子ビーム22を出射する。電子ビーム22は、図示しない磁場生成器により生成された磁場により進路を曲げられて、所定の回転位置にある1つの坩堝11に上方から照射する。
電子ビーム22が照射されている坩堝11内に収納されている蒸着用材料18は、電子ビーム22により加熱されて蒸発し、蒸気23となって、真空蒸着室3内を立ち昇る。そして、基板6を成膜する。
図2(a)は坩堝11の平面図(開口側から見た図)、図2(b)は図2(a)のA1−A1線断面図である。坩堝11は、底壁部30と、底壁部30の周縁から少し外側に傾斜しつつ起立する周壁部31とを有する。収納空間32は、下側を底壁部30の上面により画成され、周壁部31の内周側に上側開放の収納空間として形成されている。
底壁部30の上面の輪郭、並びに周壁部31の内周及び外周は、共に上方視で扇形である。この結果、坩堝11は上方視で扇形の外形になるとともに、収納空間32の横断面、すなわち水平方向に平行な横断面は、どの高さにおいても扇形になる。
図2(a)において、Bは電子ビーム22の照射点、図2(b)において、B’は、坩堝11の近辺における電子ビーム22の進路を示している。進路B’は、坩堝11の近辺においてほぼ鉛直に下降する。坩堝11が、円形台10に載置され、回転テーブル9の回転に伴い、所定の回転位置で静止したとき、電子ビーム22は、進路B’に沿って、坩堝11内を下降する。
なお、電子ビーム22は、垂直回転軸14の回転軸線の回りに所定の回転位置にある1つの坩堝11に照射されることになっている。したがって、図2は、円形台10上の複数の坩堝11のうち、該所定の回転位置にある坩堝11に対するビーム照射点B及び進路B’となる。
坩堝11の底壁部30の上面は、円形凹部35が一定の深さで形成され、円の中心に前述の所定の回転位置にある坩堝11に対するビーム照射点Bが位置するようになっている。
図3は円形台10を斜め上方から見た斜視図である。円形台10は、リング部51と、円周方向に60°間隔で配置され、リング部51と結合する仕切り部53とを備える。
リング部51と仕切り部53とに囲まれて扇形の凹部54が形成され、上方において開口している。凹部54は、坩堝11の外面形状に一致する面形状で、かつ坩堝11の高さよりわずかに小さい深さに形成される。したがって、坩堝11が凹部54に上方から出し入れ自在に嵌入したときに、坩堝11の上端縁がリング部51及び仕切り部53の上面から僅かに突出する。凹部54からの坩堝11を取出す際は、所定の工具で、坩堝11の上端縁を把持して、取出すことになる。
挿通孔55は、円周方向に仕切り部53と同一位置となるように、リング部51に計6個、形成され、リング部51を貫通している。挿通孔55には、円形台10を回転テーブル9に固定するねじ(図示せず)が挿入される。
図4(a)は坩堝11が円形台10に載置された状態の平面図、図4(b)は図4(a)のA2−O−A2線断面図である。Oは円形台10の円周の中心である。
図4(a)において、円周線B’’は、円形台10が回転したときに、ビーム照射点Bが円形台10で移動する軌跡を示している。図4(b)において、電子ビーム22の進路B’は、図2(b)の進路B’と同一であり、円形台10の上方からの電子ビーム22の進路を示している。真空蒸着装置1では、円形台10の上方からの電子ビーム22の進路は、固定されている。円形台10の回転角度を、例えば、図4(a)において、図面上でOに対して12時の方向に引いた放射線の回転角度を0°、時計方向を回転角度の正の方向に定義すると、進路B’は、円周線B’’とは90°の回転位置で交わるように、設定される。
円形台10の凹部54の側壁は、凹部54に受け入れる坩堝11のテーパ状の外面形状に合わせて、上方へ向かって凹部54の横断面積(円形台10の中心線に対して直角方向の断面)を広げるように、傾斜している。この傾斜は、凹部54への坩堝11の出し入れを円滑化させる。
図5は、坩堝11が円形台10の凹部54に嵌入された状態における円形台10及び坩堝11の位置関係の説明図である。図5には、説明のために、坩堝11の底壁部30の下面の外形線としての下面外形線45が破線で追加されている。また、図5には、説明補助線として、区画線41、中心角二等分線42及び半径延長線47が記載されている。
区画線41は、上方視で仕切り部53(図4)の中心線となっており、Oからの放射線に一致する。円形台10の上面は、区画線41により円周方向へ60°間隔の等分割の6つの扇形区画61に区分される。各凹部54(図3)は、1つの扇形区画61に割り当てられて、その扇形区画61に収まるように形成される。
坩堝11の周壁部31の内外周は、上方視で扇形となっている。上方視で収納空間32の輪郭線は、坩堝11の周壁部31の内周に一致する。ただし、坩堝11の各角部は丸く形成されている。
図5において、半径延長線47は、坩堝11を上方視で見たときに、坩堝11の扇形の最外周線(周壁部31の上面の扇形の外周線に相当)の2つの半径部分の延長線となっている。2つの半径延長線47は位置Qにおいて交わる。αは、2つの半径延長線47の交角であり、坩堝11の上方視の扇形の中心角でもある。βは、円周方向に隣り合う2つの区画線41の交角であり、図5の場合は60°である。
前記円形台10の凹部54(図3)は、坩堝11の中心角αの二等分線42と扇形区画61の中心角の二等分線とが一致するように、各扇形区画61に形成される。坩堝11は、扇形区画61の凹部54に嵌挿されて、円形台10に固定される。上方視で扇形の坩堝11を、扇形区画61からはみ出ないようにするためには、上方視で坩堝11の大きさを扇形区画61の大きさより十分に小さくすれば、αは、任意の角度に選定できる。
しかしながら、(a)中心角αの中心角二等分線42とβの二等分線とが重なること、(b)上方視で坩堝11が扇形区画61の外へはみ出ないこと、(c)上方視で仕切り部53の強度上及び挿通孔55の形成上、必要な仕切り部53の許容最小幅を確保すること、(d)中心角二等分線42上でOと上方視の坩堝11との許容最小距離以上にすること、及び(e)中心角二等分線42上で上方視の坩堝11と円形台10の円周縁との許容最小距離以上にすることの5つの条件を全て満たしつつ、上方視で収納空間32の面積を極力大きくする場合には、α=β=60°とすることが好ましい。また、挿通孔55の形成を確保するために、αを60°より少し小さい角度にして、仕切り部53の幅がOから放射方向外側に向かって、漸増するようにすることもできる。
図5において、坩堝11の上方視で見たときの扇形の収納空間32は、1つの中心角部64と、2つの円弧端角部65とを有している。周壁部31は、円弧部分67と、円弧部分67の両端から位置Qの方へ延び出して延び出し先の先端において結合する2つの半径部分68とから成る。中心角部64は、2つの半径部分68の結合部の内面側の部位であり、円弧端角部65は、円弧部分67と半径部分68との結合部の内面側の部位となる。
図5の坩堝11は、ビーム照射点Bが円形凹部35の中心にあるときの円形台10の回転位置で示されている。この坩堝11では、円形凹部35の中心が扇形区画61の内接円の中心(=上方視で扇形の収納空間32の内接円の中心)に設定されている。また。各坩堝11が電子ビーム22の照射位置に来た時、ビーム照射点Bが円形凹部35の中心と一致するように、凹部54(図3)が、円形台10に形成されていて、坩堝11を受け入れるように、製作されている。
円形凹部35の中心は、中心角二等分線42上で中心角部64より円弧部分67側へ偏倚している。したがって、上方視でビーム照射点B−中心角部64間の距離は、ビーム照射点B−円弧端角部65間の距離より長い。ビーム照射点Bへの電子ビーム22の照射による熱は、ビーム照射点Bを中心に周囲の方へ広がっていくので、一般的には、ビーム照射点Bから遠い位置ほど、ビーム照射点Bからの熱の供給量が減る。このために、上方視で円形ではない異形の坩堝では、坩堝内に蒸着用材料18の溶融むらが起こる可能性が高まる。
しかしながら、収納空間32は、上方視が扇形であるので、中心角二等分線42に対して直角方向の幅は、円弧部分67から中心角部64の方へ徐々に狭まって行く。この結果、収納空間32において、ビーム照射点B(円形凹部35の中心)に対して中心角部64側に存在する蒸着用材料18の量と、ビーム照射点Bに対して円弧部分67側に存在する蒸着用材料18の量とは、均衡化する。これにより、ビーム照射点Bからの中心角部64までの距離は、ビーム照射点Bから円弧端角部65までの距離より大きくなっても、ビーム照射点Bから中心角部64に伝導して来る加熱量と、ビーム照射点Bから円弧端角部65に伝導して来る加熱量とは、均衡化し、収納空間32内の蒸着用材料18の溶解むらが防止される。
坩堝11からの蒸着用材料18の蒸発に伴い、坩堝11内の蒸着用材料18の残量レベルは低下して、底壁部30の上面に近付く。底壁部30の円形凹部35は、底壁部30の他の部位より低くなっており、かつ中心にビーム照射点Bがある。したがって、坩堝11内の少なくなった蒸着用材料18の溶融液は、円形凹部35に集まり、ほぼ全部が蒸気23(図1)になって、坩堝11から出て行く。
1つの坩堝11が空になると、回転テーブル9が60°回転する。これにより、円形台10の円周方向に、空の坩堝11の隣りにあって蒸着用材料18が満たされている坩堝11がビーム照射点Bの位置になって、内部の蒸着用材料18が加熱される。これにより、全部の、すなわち6つの坩堝11の全部が空になるまで、坩堝11への蒸着用材料18の供給のために、真空チャンバー2の扉を開閉しなくて済む。この結果、成膜作業が効率化される。
図6は、実施例の坩堝11に対する比較例の丸形(上方視が円形の)坩堝71を円形台70に載設した状態を上方視で示している。円形台70の半径は円形台10(図4)の半径と等しい。図6において、区画線41、挿通孔55及び円周線B’’は、図4のそれらに対応している。二等分線82は、Oと丸形坩堝71の中心とを結ぶ放射線であり、円周方向に隣り合う区画線41が形成する中心角を二等分している。区画線41と二等分線82との形成する中心角は30°となる。
計6つの円形の凹部74は、円形台70の上面に円周方向に60°の等間隔で形成される。蒸着用材料18(図1)が満たされた丸形坩堝71は、各凹部74に出し入れ自在に嵌入される。
図7は、扇形坩堝(例:坩堝11)と丸形坩堝(例:丸形坩堝71)とを円形台10上に円周方向に60°の等角度間隔で計6つ載置したときに蒸着用材料18の収納量について扇形坩堝の方が丸形坩堝(例:丸形坩堝71)より増大することを説明する図である。図7は、図2(a)等と同様に、上方視で示している。図7では、要点を分かり易くするために、実線で図示した扇形輪郭線Ls(厳密には角部が丸くなった扇形輪郭線)及び破線で図示した円形輪郭線Lcの大きさを坩堝11(図4(a))及び丸形坩堝71(図6)に一致させることなく、扇形区画61において許容できる最大限の大きさで記載されている。
図7において、O,B,B’’は図2等に示されたものである。説明の簡易化のために、扇形輪郭線Lsの2つの半径部分は、区画線41上に存在するものとする。円形輪郭線Lcは、ビーム照射点Bを中心として扇形輪郭線Lsの内接円としている。
扇形輪郭線Lsは、扇形区画61から外へはみ出すことなく、円形輪郭線Lcより中心角部の方と2つの円弧端角部の方へ張り出すことができる。したがって。上方視で、扇形輪郭線Ls内の面積は、円形輪郭線Lcの面積よりも、図7において斜線を付した1つの中心角部側領域92aと2つの円弧端角部側領域92bとの合計の面積分だけ増大する。この結果、前述の実施例の坩堝11の収納量は、比較例の丸形坩堝71の収納量よりも増大することが分かる。
実施形態では、扇形区画61は円形台10をOの回りに6等分割したものとされ、α(図5)は、60°になっている。本発明の坩堝は、円形台をOの回りに3〜8のいずれかの整数で等分割して、坩堝11の中心角を45°〜120°の範囲内にすることもできる。
実施形態では、円形凹部35の中心は、坩堝11が回転テーブル9の回転に伴い電子ビーム22の照射を受ける回転位置に来たとき、扇形区画61の内接円の中心となる位置に設定されている。しかしながら、本発明の坩堝は、上方視で扇形となる坩堝の周壁部の内外周に対し、該扇形内の所定位置に電子ビームを照射して、所定位置の熱が所定位置から収納空間の周辺の方へ伝導するとき、最大伝導熱の部位の伝導熱と最小伝導熱の部位の伝導熱との差が許容値以内となる所定位置を電子ビームの照射点に設定する。そして、該照射点を、坩堝の底壁部の上面に形成する円形凹部の中心に設定することもできる。
1・・・真空蒸着装置、3・・・真空蒸着室、9・・・回転テーブル、10・・・円形台、11・・・坩堝、18・・・蒸着用材料、21・・・電子ビームガン、22・・・電子ビーム、23・・・蒸気、30・・・底壁部、31・・・周壁部、32・・・収納空間、35・・・円形凹部、61・・・扇形区画。
Claims (5)
- 底壁部と、該底壁部の周縁から起立し、内周側に上側開放の上方視で扇形の収納空間が形成される周壁部とを有し、前記収納空間内に電子ビームにより溶解される蒸着用材料を収納可能になっていることを特徴とする坩堝。
- 請求項1に記載の坩堝において、
前記扇形の中心角は、円形台上に複数の坩堝を載置するように、円周方向に等分割された円形台上の複数の扇形区画の各々の中心角に等しく設定されていることを特徴とする坩堝。 - 請求項1又は2に記載の坩堝において、
前記扇形内の所定位置に前記電子ビームを照射して、前記所定位置の熱が前記所定位置から上方視で同心状に前記収納空間の周辺の方へ伝導するとき、最大伝導熱の部位の伝導熱と最小伝導熱の部位の伝導熱との差が許容値以内となるように前記所定位置を設定することを特徴とする坩堝。 - 請求項3に記載の坩堝において、
前記底壁部の上面に、前記所定位置を中心とする所定半径の円形凹部が形成されていることを特徴とする坩堝。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の坩堝と、
円周方向に複数の扇形区画に等分割されて、各扇形区画に各坩堝が載置される円形台と、
前記円形台が上面側に固定され、前記円形台の中心を通る垂直軸線の回りに回転する回転テーブルと、
所定の回転位置にある1つの坩堝が収納する蒸着用材料に該1つの坩堝の上方から照射する電子ビームを生成する電子ビームガンと、
前記坩堝、前記円形台及び前記回転テーブルを収容する真空蒸着室を内側に形成した真空チャンバーとを備えることを特徴とする真空蒸着装置。
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