JP2015135393A - 液晶配向剤、液晶配向膜、液晶表示素子、位相差フィルム及び位相差フィルムの製造方法 - Google Patents

液晶配向剤、液晶配向膜、液晶表示素子、位相差フィルム及び位相差フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シール剤周辺の表示ムラが長期に亘って少なく、かつ電気特性、液晶配向性、耐熱性といった各種特性をバランスよく兼ね備えた液晶表示素子を得る。
【解決手段】下記式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸エステルと、イミド化率が75%以下のポリイミドを液晶配向剤に含有させる。
Figure 2015135393

(式中、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基であり、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は置換若しくは無置換の炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基である。Xは4価の有機基であり、Yは2価の有機基である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶配向剤、液晶配向膜、液晶表示素子、位相差フィルム及び位相差フィルムの製造方法に関する。
従来、液晶表示素子としては、電極構造や使用する液晶分子の物性、製造工程等が異なる種々の駆動方式が開発されており、例えばTN型やSTN型、VA型、面内スイッチング型(IPS型)、FFS型等の各種液晶表示素子が知られている。これら液晶表示素子は、液晶分子を配向させるための液晶配向膜を有する。液晶配向膜の材料としては、耐熱性、機械的強度、液晶との親和性などの各種特性が良好である点から、ポリアミック酸やポリイミドが一般に使用されている。
近年では、大画面で高精細の液晶テレビが主体となり、表示ムラや残像等の表示不良の低減に対する要求はより厳しくなっており、かつ過酷な使用環境での長期使用にも耐え得る信頼性の高い液晶表示素子が要求されている。こうした要求を満たすべく種々の液晶配向剤が提案されている。また、その一つの態様として、重合体成分の少なくとも一部にポリアミック酸エステルを使用した液晶配向剤が種々提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許文献1には、特定構造を有する2種類のポリアミック酸エステルを液晶配向剤に含有させ、これにより焼成温度が200℃未満の低温の場合でも、良好な液晶配向性及び電気特性を示し、表示不良が発生しにくい液晶表示素子を得ることが提案されている。また、特許文献2には、重合体成分としてポリアミック酸エステルとポリアミック酸とを含み、ポリアミック酸エステルの重量平均分子量がポリアミック酸の重量平均分子量よりも小さい液晶配向剤が提案されている。この特許文献2に記載の液晶配向剤によれば、液晶配向膜における膜表面に生じる微細な凹凸が低減され、液晶表示素子における液晶配向性及び電気特性を改善できると記載されている。
特許文献3には、ポリアミック酸エステルと可溶性ポリイミドとを含有する液晶配向剤が提案されている。この特許文献3に記載のものでは、イミド化率が高くても塗膜形成時において白化現象を起こさず、印刷性及び塗膜の耐ラビング性が良好であり、液晶表示素子における液晶配向性及び電気特性を改善できると記載されている。なお、特許文献3の実施例に開示されている液晶配向剤では、ポリイミドのイミド化率を90%又は86%としており、イミド化率が比較的高いポリイミドを配合させている。
また、液晶表示素子には種々の光学材料が用いられており、中でも位相差フィルムは、表示の着色を解消する目的や、視覚方向によって表示色及びコントラスト比が変化するといった視野角依存性を解消する目的で用いられている。かかる位相差フィルムとしては、TACフィルム等の基板の表面に形成された液晶配向膜と、その液晶配向膜の表面に重合性液晶を硬化させることによって形成された液晶層とを有するものが知られている。また近年、位相差フィルムにおける液晶配向膜の作製に際して、基板表面に形成した感放射線性の有機薄膜に偏光又は非偏光の放射線を照射することにより液晶配向能を付与する光配向法が利用されており、かかる方法によって液晶配向膜を作製するための位相差フィルム用の液晶配向剤が種々提案されている(例えば、特許文献4参照)。
特開平11−335461号公報 国際公開第2011/115078号 国際公開第2013/147083号 特開2012−37868号公報
近年、液晶ディスプレイに対する高精細化、高寿命化の要求は更に高まりつつあり、電気特性及び液晶配向性の更なる改善が求められている。また、近年における液晶表示素子の多用途化に伴い、液晶表示素子はより過酷な状況で使用されることが想定される。したがって、液晶表示素子としては耐熱性に優れたものが求められる。
液晶ディスプレイは、液晶配向膜を形成した一対の基板を対向配置し、その対向配置した一対の基板間に液晶を配置することにより製造される。その際、一対の基板はエポキシ樹脂などのシール剤を用いて貼り合わされる。ここで、スマートフォンやタブレットPCに代表されるタッチパネル式の表示パネルにおいて、そのタッチパネルの可動面積をより広く、かつ液晶パネル(素子)の小型化を両立させるため、狭額縁化を図ることが試みられている。また、液晶パネルの狭額縁化に伴い、経年などによりシール剤周辺で表示ムラが視認されることがあり、表示品位の点で十分に満足できるものではなかった。液晶ディスプレイの高精細化、高寿命化を図るためには、こうしたシール剤周辺での表示ムラが長期に亘って視認されにくい(ベゼルムラ耐性が高い)液晶表示素子が求められる。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、シール剤周辺の表示ムラの発生が長期に亘って少なく、かつ電気特性、液晶配向性、耐熱性といった各種特性をバランスよく兼ね備えた液晶表示素子を得るための液晶配向剤を提供することを一つの目的とする。
本発明者らは、上記のような従来技術の課題を解決するべく鋭意検討した結果、液晶配向剤の重合体成分をポリアミック酸エステルと特定のポリイミドとのブレンド系とすることにより、上記課題を解決可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明により以下の液晶配向剤、液晶配向膜、液晶表示素子、位相差フィルム及びその製造方法が提供される。
本発明は一つの側面において、下記式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸エステルと、ポリイミドとを含有し、該ポリイミドのイミド化率が75%以下である液晶配向剤を提供する。
Figure 2015135393
(式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基であり、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は置換若しくは無置換の炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基である。Xは4価の有機基であり、Yは2価の有機基である。)
本発明は一つの側面において、上記液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜を提供する。また、上記液晶配向膜を備える液晶表示素子及び上記液晶配向膜を備える位相差フィルムを提供する。さらに、別の一つの側面において、上記液晶配向剤を基板上に塗布して塗膜を形成する工程と、該塗膜に光照射する工程と、その光照射した後の塗膜上に重合性液晶を塗布して硬化させる工程と、を含む位相差フィルムの製造方法を提供する。
本発明の液晶配向剤によれば、シール剤周辺の表示ムラが長期に亘って少なく、かつ電気特性、液晶配向性、耐熱性といった各種特性をバランスよく兼ね備えた液晶表示素子を得るための液晶配向膜を形成することができる。また、本発明の液晶配向剤によれば、液晶配向性が良好な位相差フィルムを得ることができる。
FFS型液晶セルの概略構成図。 トップ電極の平面模式図。(a)はトップ電極の上面図であり、(b)はトップ電極の部分拡大図である。
本発明の液晶配向剤は、重合体成分としてポリアミック酸エステル及びポリイミドを含有する。以下に、本発明の液晶配向剤に含まれる各成分、及び必要に応じて任意に配合されるその他の成分について説明する。
<ポリアック酸エステル>
本発明の液晶配向剤に含有されるポリアミック酸エステルは、下記式(1)で表される繰り返し単位を有する。
Figure 2015135393
(式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基であり、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は置換若しくは無置換の炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基である。Xは4価の有機基であり、Yは2価の有機基である。)
上記式(1)のR及びRにおける炭素数1〜5のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられ、これらは直鎖状でも分岐状でもよい。好ましくは炭素数1〜3であり、より好ましくはメチル基又はエチル基である。
及びRにおける炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基は飽和状でも不飽和状でもよく、具体的には、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基などが挙げられる。これらは直鎖状であっても分岐状であってもよい。R及びRは置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えばハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、水酸基、シアノ基、アルコキシ基などが挙げられる。
ここで、本明細書において「炭化水素基」とは鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基を含む意味である。「鎖状炭化水素基」とは、主鎖に環状構造を含まず、鎖状構造のみで構成された炭化水素基を意味する。但し、鎖状構造は直鎖状であっても分岐状であってもよい。「脂環式炭化水素基」とは、環構造としては脂環式炭化水素の構造のみを含み、芳香環構造を含まない炭化水素基を意味する。但し、脂環式炭化水素の構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造を有するものも含む。また、「芳香族炭化水素基」とは、環構造として芳香環構造を含む炭化水素基を意味する。但し、芳香環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造や脂環式炭化水素の構造を含んでいてもよい。
及びYにおける有機基としては、例えば鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基などの炭化水素基;当該炭化水素基の炭素−炭素結合間に−O−、−COO−、−CO−、−NHCO−、−S−、−NH−、−SO−等の官能基が導入されてなる基;炭化水素基における水素原子がハロゲン原子、水酸基、ニトロ基等で置換された基;複素環を有する基、などが挙げられる。
上記式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸エステルは、有機化学の定法に従って合成することができる。例えば、[I]ポリアミック酸とエステル化剤とを反応させる方法、[II]テトラカルボン酸ジエステルとジアミンとを反応させる方法、[III]テトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物とジアミンとを反応させる方法、などによって合成することができる。
・方法[I]について
方法[I]で用いるポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させることにより得ることができる。
(テトラカルボン酸二無水物)
ポリアミック酸の合成に使用するテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。これらの具体例としては、脂肪族テトラカルボン酸二無水物として、例えばブタンテトラカルボン酸二無水物などを;
脂環式テトラカルボン酸二無水物として、例えば1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−8−メチル−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸2:4,6:8−二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸2:3,5:6−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物などを;
芳香族テトラカルボン酸二無水物として、例えばピロメリット酸二無水物などを;それぞれ挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。なお、ポリアミック酸の合成に使用するテトラカルボン酸二無水物としては、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ポリアミック酸の合成に使用するテトラカルボン酸二無水物としては、液晶配向性及び溶剤に対する溶解性の観点から、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸2:3,5:6−二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−8−メチル−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸2:4,6:8−二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、及びピロメリット酸二無水物よりなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物(以下、「特定テトラカルボン酸二無水物」ともいう。)を含むことが好ましい。
当該特定テトラカルボン酸二無水物の使用量は、ポリアミック酸の合成に使用するテトラカルボン酸二無水物の全量に対して、5モル%以上とすることが好ましく、10モル%以上とすることがより好ましく、20モル%以上とすることが特に好ましい。ポリアミック酸の合成に使用するテトラカルボン酸二無水物は、上記の化合物の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。なお、上記式(1)におけるXは、ポリアミック酸の合成に使用するテトラカルボン酸二無水物に由来する構造単位である。
(ジアミン)
ポリアミック酸の合成に使用するジアミンとしては、例えば脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミン、ジアミノオルガノシロキサンなどを挙げることができる。これらの具体例としては、脂肪族ジアミンとして、例えばメタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどを;脂環式ジアミンとして、例えば1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどを;
芳香族ジアミンとして、例えばo−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,5−ジアミノナフタレン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、3,6−ジアミノアクリジン、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−フェニル−3,6−ジアミノカルバゾール、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−ベンジジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−N,N’−ジメチルベンジジン、1,4−ビス−(4−アミノフェニル)−ピペラジン、3,5−ジアミノ安息香酸、ドデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、テトラデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ドデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、テトラデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、コレスタニルオキシ−3,5−ジアミノベンゼン、コレステニルオキシ−3,5−ジアミノベンゼン、コレスタニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、コレステニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸コレスタニル、3,5−ジアミノ安息香酸コレステニル、3,5−ジアミノ安息香酸ラノスタニル、3,6−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)コレスタン、3,6−ビス(4−アミノフェノキシ)コレスタン、4−(4’−トリフルオロメトキシベンゾイロキシ)シクロヘキシル−3,5−ジアミノベンゾエート、4−(4’−トリフルオロメチルベンゾイロキシ)シクロヘキシル−3,5−ジアミノベンゾエート、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−ブチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−ヘプチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−((アミノフェノキシ)メチル)フェニル)−4−ヘプチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−(4−ヘプチルシクロヘキシル)シクロヘキサン、2,4−ジアミノ−N,N―ジアリルアニリン、4−アミノベンジルアミン、3−アミノベンジルアミン、1−(2,4−ジアミノフェニル)ピペラジン−4−カルボン酸、4−(モルホリン−4−イル)ベンゼン−1,3−ジアミン、1,3−ビス(N−(4−アミノフェニル)ピペリジニル)プロパン、α−アミノ−ω−アミノフェニルアルキレン、1−(4−アミノフェニル)−2,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−1H−インデン−5−アミン、1−(4−アミノフェニル)−2,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−1H−インデン−6−アミン、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート、4,4’−[4,4’−プロパン−1,3−ジイルビス(ピペリジン−1,4−ジイル)]ジアニリン、及び下記式(a−1)
Figure 2015135393
(式(a−1)中、XI及びXIIは、それぞれ独立に、単結合、−O−、−COO−又は−OCO−であり、R及びRIIは、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルカンジイル基であり、aは0又は1であり、bは0〜2の整数であり、cは1〜20の整数であり、dは0又は1である。但し、a及びbが同時に0になることはない。)
で表される化合物などを;
ジアミノオルガノシロキサンとして、例えば、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−テトラメチルジシロキサンなどを;それぞれ挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のジアミンを用いることができる。
上記式(a−1)における「−X−(R−XII−」で表される2価の基としては、炭素数1〜3のアルカンジイル基、*−O−、*−COO−又は*−O−C−O−(ただし、「*」を付した結合手がジアミノフェニル基と結合する。)であることが好ましい。基「−C2c+1」の具体例としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基などを挙げることができる。ジアミノフェニル基における2つのアミノ基は、他の基に対して2,4−位又は3,5−位にあることが好ましい。
上記式(a−1)で表される化合物の具体例としては、例えば下記式(a−1−1)〜(a−1−3)のそれぞれで表される化合物などを挙げることができる。
Figure 2015135393
反応に使用するジアミンとしては、液晶配向性や電気特性などの観点において、芳香族ジアミンを含むことが好ましい。なお、上記式(1)におけるYは、ポリアミック酸の合成に際して使用するジアミンに由来する構造単位である。ポリアミック酸の合成に使用するジアミンは、これらの化合物の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(ポリアミック酸の合成)
ポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの使用割合は、ジアミンのアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、0.3〜1.2当量となる割合がより好ましい。
ポリアミック酸の合成に際しては、上記の如きテトラカルボン酸二無水物及びジアミンとともに、適当な分子量調節剤を用いて末端修飾型の重合体を合成することとしてもよい。かかる末端修飾型の重合体とすることにより、本発明の効果を損なうことなく液晶配向剤の塗布性(印刷性)を更に改善することができる。
分子量調節剤としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸などの酸一無水物、アニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミンなどのモノアミン化合物、フェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどのモノイソシアネート化合物等を挙げることができる。分子量調節剤の使用割合は、使用するテトラカルボン酸二無水物及びジアミンの合計100重量部に対して、20重量部以下とすることが好ましく、10重量部以下とすることがより好ましい。
ポリアミック酸の合成反応は、好ましくは有機溶媒中において行われる。このときの反応温度は、−20℃〜150℃が好ましく、0〜100℃がより好ましい。また、反応時間は、0.1〜24時間が好ましく、0.5〜12時間がより好ましい。
反応に使用する有機溶媒としては、例えば非プロトン性極性溶媒、フェノール系溶媒、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素、炭化水素などを挙げることができる。これらの有機溶媒のうち、非プロトン性極性溶媒及びフェノール系溶媒よりなる群(第一群の有機溶媒)から選択される1種以上、又は、第一群の有機溶媒から選択される1種以上と、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素及び炭化水素よりなる群(第二群の有機溶媒)から選択される1種以上との混合物を使用することが好ましい。後者の場合、第二群の有機溶媒の使用割合は、第一群の有機溶媒及び第二群の有機溶媒の合計量に対して、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下であり、更に好ましくは30重量%以下である。
特に好ましくは、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミド、m−クレゾール、キシレノール及びハロゲン化フェノールよりなる群から選択される1種以上を溶媒として使用するか、あるいはこれらの1種以上と他の有機溶媒との混合物を、上記割合の範囲で使用することが好ましい。
有機溶媒の使用量(a)は、テトラカルボン酸二無水物及びジアミンの合計量(b)が、反応溶液の全量(a+b)に対して、0.1〜50重量%になる量とすることが好ましい。
以上のようにして、ポリアミック酸を溶解してなる反応溶液が得られる。この反応溶液はそのままエステル化剤との反応に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸を単離したうえでエステル化剤との反応に供してもよく、又は単離したポリアミック酸を精製したうえでエステル化剤との反応に供してもよい。ポリアミック酸の単離及び精製は公知の方法に従って行うことができる。
ポリアミック酸と反応させるエステル化剤としては、例えば水酸基含有化合物、アセタール系化合物、ハロゲン化物、エポキシ基含有化合物等などを挙げることができる。これらの具体例としては、水酸基含有化合物として、例えばメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、フェノール、クレゾール等のフェノール類などを;アセタール系化合物として、例えばN,N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール、N,N−ジエチルホルムアミドジエチルアセタールなどを;ハロゲン化物として、例えば臭化メチル、臭化エチル、臭化ステアリル、塩化メチル、塩化ステアリル、1,1,1−トリフルオロ−2−ヨードエタンなどを;エポキシ基含有化合物として、例えばプロピレンオキシドなどを、それぞれ挙げることができる。
ポリアミック酸とエステル化剤との反応は、好ましくは有機溶媒中において行われる。このときの反応温度は、−20℃〜200℃が好ましく、0〜120℃がより好ましい。また、反応時間は、0.1〜24時間が好ましく、0.5〜12時間がより好ましい。
反応に使用する有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に使用することができる有機溶媒の説明を適用することができ、具体的には、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンなどを好ましく使用することができる。有機溶媒の使用量は、ポリアミック酸が、反応溶液の全量に対して0.1〜50重量%になる量とすることが好ましい。エステル化剤の使用量は、ポリアミック酸の繰り返し単位1モルに対して0.002〜10モルとすることが好ましく、0.02〜6モルとすることがより好ましい。
・方法[II]について
方法[II]で使用するテトラカルボン酸ジエステルは、例えば上記で例示したテトラカルボン酸二無水物を、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類を用いて開環することによって得ることができる。テトラカルボン酸ジエステルと反応させるジアミンとしては、上記ポリアミック酸の合成に使用することができるジアミンとして例示した化合物等が挙げられる。ポリアミック酸エステルの合成反応に供されるテトラカルボン酸ジエステルとジアミンとの使用割合は、ジアミンのアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸ジエステルのカルボキシル基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、0.3〜1.2当量となる割合がより好ましい。
テトラカルボン酸ジエステルとジアミンとの反応は、好ましくは脱水触媒及び塩基の存在下、有機溶媒中において行われる。このときの反応温度は、−20℃〜150℃が好ましく、0〜100℃がより好ましい。また、反応時間は、0.1〜24時間が好ましく、0.5〜12時間がより好ましい。
反応に使用する有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に使用することができる有機溶媒の説明を適用することができ、中でもN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンなどを好ましく使用することができる。有機溶媒の使用量は、テトラカルボン酸ジエステル及びジアミンの合計量が、反応溶液の全量に対して0.1〜50重量%になる量とすることが好ましい。
上記反応に使用する脱水触媒としては、例えば4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムハライド、カルボニルイミダゾール、ジシクロヘキシルカルボジイミド、リン系縮合剤などが挙げられる。これら縮合剤の使用量は、テトラカルボン酸ジエステル1モルに対して、2〜3モルとすることが好ましく、2〜2.5モルとすることがより好ましい。
塩基としては、例えばピリジン、トリエチルアミン等の3級アミンを好ましく使用することができる。塩基の使用量は、ジアミン1モルに対して、2〜4モルとすることが好ましく、2〜3モルとすることがより好ましい。なお、上記反応は、反応の進行を促進させる目的でルイス酸の存在下で行ってもよい。ルイス酸としては、例えば塩化リチウム等のハロゲン化リチウムなどが挙げられる。
・方法[III]について
方法[III]で使用するテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物は、上記の如くして得たテトラカルボン酸ジエステルを、塩化チオニル等の適当な塩素化剤と反応させることにより得ることができる。テトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物と反応させるジアミンとしては、上記ポリアミック酸の合成に使用することができるジアミンとして例示した化合物等が挙げられる。ポリアミック酸エステルの合成反応に供されるテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物とジアミンとの使用割合は、ジアミンのアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物の基「−COX(Xはハロゲン原子)」が0.2〜2当量となる割合が好ましく、0.3〜1.2当量となる割合がより好ましい。
テトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物とジアミンとの反応は、好ましくは塩基の存在下、有機溶媒中において行われる。このときの反応温度は、−30℃〜150℃が好ましく、−10〜100℃がより好ましい。また、反応時間は、0.1〜24時間が好ましく、0.5〜12時間がより好ましい。反応に使用する有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に使用することができる有機溶媒の説明を適用することができる。有機溶媒の使用量は、テトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物及びジアミンの合計量が、反応溶液の全量に対して0.1〜50重量%になる量とすることが好ましい。上記反応に使用する塩基としては、例えばピリジン、トリエチルアミン等の3級アミンを好ましく使用することができる。塩基の使用量は、ジアミン1モルに対して、2〜4モルとすることが好ましく、2〜3モルとすることがより好ましい。
このようにしてポリアミック酸エステルを含有する反応溶液が得られる。この反応溶液は、そのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸エステルを単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、又は単離したポリアミック酸エステルを精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。ポリアミック酸エステルの単離及び精製は公知の方法に従って行うことができる。
上記の如くして合成されたポリアミック酸エステルに対し、重合体末端のアミノ基と反応可能な化合物を反応させることにより末端修飾型の重合体を合成することとしてもよい。このような末端修飾剤としては、アクリロイルクロリド、メタクリロイルクロリド、イソオキサゾール−5−カルボン酸クロリド、2−フロイルクロリド等のクロロカルボニル化合物などが挙げられる。
ポリアミック酸エステルと末端修飾剤との反応は、好ましくは塩基の存在下、有機溶媒中で行うことができる。このときの末端変性剤の使用割合は、反応に使用するジアミン1モルに対して、0.005〜0.6モルとすることが好ましく、0.01〜0.2モルとすることがより好ましい。塩基としては、例えばピリジン、トリエチルアミン等の3級アミンを好ましく使用することができる。有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に使用することができる有機溶媒の説明を適用することができ、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンなどを好ましく使用することができる。
本発明の液晶配向剤に含有されるポリアミック酸エステルは、上記式(1)で表される繰り返し単位(以下、「アミック酸エステル構造」ともいう。)のみを有していてもよく、あるいは、ポリアミック酸エステルが有する全繰り返し単位の一部に、アミック酸構造及びイミド環構造の少なくともいずれかを含む部分エステル化物であってもよい。
上記ポリアミック酸エステルは、本発明の目的であるベゼルムラ耐性の観点から、上記式(1)で表される繰り返し単位を、当該ポリアミック酸エステルが有する全繰り返し単位に対して、1モル%以上有していることが好ましく、5モル%以上有していることがより好ましく、10モル%以上有していることが更に好ましい。また、上記式(1)で表される繰り返し単位の含有量の上限は、ラビング耐性、耐熱性の観点から、99モル%以下とすることが好ましく、95モル%以下とすることがより好ましい。
<ポリイミド>
本発明の液晶配向剤に含有されるポリイミドは、例えば上記の如くして合成されたポリアミック酸を脱水閉環してイミド化することにより得ることができる。
ポリイミドは、その前駆体であるポリアミック酸が有していたアミック酸構造のすべてを脱水閉環した完全イミド化物であってもよく、アミック酸構造の一部のみを脱水閉環し、アミック酸構造とイミド環構造が併存する部分イミド化物であってもよい。本発明の液晶配向剤に含有されるポリイミドは、液晶配向膜の表面平滑性を良好にし、かつ液晶表示素子におけるシール剤周辺の表示ムラを低減させる観点から、そのイミド化率は75%以下であり、好ましくは70%以下であり、より好ましくは65%以下である。また、イミド化率の下限については、電気特性や耐熱性、残像特性を良好にする観点から、1%以上であることが好ましく、3%以上であることがより好ましく、5%以上であることが更に好ましい。このイミド化率は、ポリイミドのアミック酸構造の数とイミド環構造の数との合計に対するイミド環構造の数の占める割合を百分率で表したものである。ここで、イミド環の一部がイソイミド環であってもよい。
本発明の液晶配向剤を光配向用とする場合、液晶配向剤に含有させるポリイミドの一部又は全部を、光配向性構造を有する重合体としてもよい。ここで、光配向性構造とは、光配向性基及び分解型光配向部の両者を含む概念である。具体的には、光配向性構造としては、光異性化や光二量化、光分解等によって光配向性を示す種々の化合物由来の基を採用することができ、例えばアゾベンゼン又はその誘導体を基本骨格として含有するアゾベンゼン含有基、桂皮酸又はその誘導体を基本骨格として含有する桂皮酸構造を有する基、カルコン又はその誘導体を基本骨格として含有するカルコン含有基、ベンゾフェノン又はその誘導体を基本骨格として含有するベンゾフェノン含有基、クマリン又はその誘導体を基本骨格として含有するクマリン含有基、ポリイミド又はその誘導体を基本骨格として含有するポリイミド含有構造等が挙げられる。
光配向性構造を有するポリイミドを使用する場合、当該ポリイミドは分解型光配向部を含む重合体であることが好ましく、具体的にはビシクロ[2.2.2]オクテン骨格又はシクロブタン骨格を有するポリイミドであることが好ましい。これらの骨格を有するポリイミドは、例えばシクロブタンテトラカルボン酸二無水物及びビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物のうちの少なくともいずれかを含むテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させることにより得ることができる。
光配向法により塗膜に液晶配向能を付与する場合において、光配向性構造を有するポリイミドの使用割合は、液晶配向剤の重合体成分の全量に対して、10重量%以上とすることが好ましく、30〜97重量%とすることがより好ましく、50〜95重量%とすることが更に好ましい。
なお、光配向法により塗膜に液晶配向能を付与する場合には、光配向性構造を有するポリアミック酸エステルを液晶配向剤中に含有させてもよい。この場合、光配向性構造を有するポリアミック酸エステルと光配向性構造を有するポリイミドとの合計を、液晶配向剤の重合体成分の全量に対して、10重量%以上とすることが好ましく、30重量%以上とすることがより好ましく、50重量%以上とすることが更に好ましい。
ポリアミック酸の脱水閉環は、好ましくはポリアミック酸を加熱する方法により、又は有機溶媒に溶解したポリアミック酸溶液中に脱水剤及び脱水閉環触媒を添加し、必要に応じて加熱する方法により行われる。このうち、後者の方法によることが好ましい。
ポリアミック酸の溶液中に脱水剤及び脱水閉環触媒を添加する方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、ポリアミック酸のアミック酸構造の1モルに対して0.01〜20モルとすることが好ましい。脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミン等の3級アミンを用いることができる。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとすることが好ましい。脱水閉環反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いる有機溶媒を挙げることができる。脱水閉環反応の反応温度は、好ましくは0〜180℃であり、より好ましくは10〜150℃である。反応時間は、好ましくは1.0〜120時間であり、より好ましくは2.0〜30時間である。
このようにしてポリイミドを含有する反応溶液が得られる。この反応溶液は、そのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液から脱水剤及び脱水閉環触媒を除いたうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、ポリイミドを単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、又は単離したポリイミドを精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。これらの精製操作は公知の方法に従って行うことができる。
以上のようにして得られるポリアミック酸エステル及びポリイミドは、これを濃度15重量%の溶液としたときに、15〜1500mPa・sの溶液粘度を持つものであることが好ましく、20〜1200mPa・sの溶液粘度を持つものであることがより好ましい。なお、上記重合体の溶液粘度(mPa・s)は、当該重合体の良溶媒(例えばγ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドンなど)を用いて調製した濃度15重量%の重合体溶液につき、E型回転粘度計を用いて25℃において測定した値である。
ポリアミック酸エステル及びポリイミドのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000〜500,000であり、より好ましくは2,000〜300,000である。また、重量平均分子量Mwと、GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは15以下であり、より好ましくは10以下である。このような分子量範囲にあることで、液晶表示素子の良好な配向性及び安定性を確保することができる。
本発明の液晶配向剤中におけるポリアミック酸エステルとポリイミドとの含有割合は、ポリアミック酸エステル/ポリイミドの重量比で3/97〜97/3であることが好ましい。ポリイミドの含有割合が少なすぎると電圧保持率が低くなる傾向にあり、ポリイミドの含有割合が多すぎると液晶配向膜の表面凹凸が生じやすくなる傾向にある。より好ましくは5/95〜95/5であり、更に好ましくは10/90〜90/10である。
<その他の成分>
本発明の液晶配向剤は、上記の如きポリアミック酸エステル及びポリイミドを含有するが、必要に応じてその他の成分を含有させることができる。当該液晶配向剤に添加してもよいその他の成分としては、例えば、ポリアミック酸エステル及びポリイミド以外のその他の重合体、分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物(以下、「エポキシ基含有化合物」という。)、官能性シラン化合物、金属キレート化合物、硬化促進剤、界面活性剤等を挙げることができる。
[その他の重合体]
上記その他の重合体は、溶液特性や電気特性の改善のために使用することができる。かかるその他の重合体としては、例えばポリアミック酸、ポリエステル、ポリアミド、ポリオルガノシロキサン、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの中でも、ポリアミック酸、ポリエステル、ポリオルガノシロキサン及びポリ(メタ)アクリレートよりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体であることが好ましく、ポリアミック酸及びポリオルガノシロキサンよりなる群から選ばれる少なくとも一種であることがより好ましい。
また、本発明の液晶配向剤を光配向用とする場合、上記その他の重合体として、光配向性構造を有する重合体を用いてもよい。具体的には、光配向性基を有する重合体とすることが好ましく、光配向性基として桂皮酸構造を有する基が導入された重合体とすることがより好ましい。中でも、重合体への光配向性基の導入が容易である点において、桂皮酸構造を有するポリオルガノシロキサンを好ましく用いることができる。
なお、光配向性基を有する重合体は従来公知の方法により合成することができる。例えば、その他の重合体としての光配向性基を有するポリオルガノシロキサンは、エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンと、光配向性基を有するカルボン酸とを、好ましくはエーテル、エステル、ケトン等の有機溶媒中、4級アンモニウム塩等の触媒の存在下で反応させることにより合成することができる。
上記その他の重合体を液晶配向剤に添加する場合、その配合比率は、該組成物中の全重合体100重量部に対して50重量部以下とすることが好ましく、0.1〜40重量部とすることがより好ましく、0.1〜30重量部とすることが更に好ましい。
[エポキシ基含有化合物]
エポキシ基含有化合物は、液晶配向膜における基板表面との接着性を向上させるために使用することができる。ここで、エポキシ基含有化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N−ジグリシジル−ベンジルアミン、N,N−ジグリシジル−アミノメチルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−シクロヘキシルアミン、国際公開第2009/096598号記載のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン等を好ましいものとして挙げることができる。
これらエポキシ基含有化合物を液晶配向剤に添加する場合、その配合比率は、液晶配向剤中に含まれる重合体の合計100重量部に対して、40重量部以下が好ましく、0.1〜30重量部がより好ましい。
[官能性シラン化合物]
上記官能性シラン化合物は、液晶配向剤の印刷性を向上させるために使用することができる。このような官能性シラン化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノナン酸メチル、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
官能性シラン化合物を液晶配向剤に添加する場合、その配合比率は、重合体の合計100重量部に対して、2重量部以下が好ましく、0.02〜0.2重量部がより好ましい。
[金属キレート化合物]
上記金属キレート化合物は、液晶配向剤の重合体成分がエポキシ構造を有する場合に、低温処理によって形成した膜の機械的強度を担保することを目的として液晶配向剤(特に、位相差フィルム用の液晶配向剤)中に含有される。当該金属キレート化合物としては、アルミニウム、チタニウム及びジルコニウムから選択される金属のアセチルアセトン錯体又はアセト酢酸錯体を用いることが好ましい。具体的には、例えばジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(アセチルアセトネート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)チタニウム、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどを挙げることができる。
上記金属キレート化合物の使用割合は、エポキシ構造を含む構成成分の合計100重量に対して、好ましくは50重量部以下であり、より好ましくは0.1〜40重量部であり、1〜30重量部とすることが更に好ましい。
[硬化促進剤]
上記硬化促進剤は、液晶配向剤中の重合体成分がエポキシ構造を有している場合に、形成される液晶配向膜の機械的強度および液晶配向性の経時的安定性を担保するために液晶配向剤(特に、位相差フィルム用の液晶配向剤)中に含有される。当該硬化促進剤としては、例えばフェノール基、シラノール基、チオール基、リン酸基、スルホン酸基、カルボキシル基、カルボン酸無水物基などを有する化合物を使用することができ、中でもフェノール基又はシラノール基を有する化合物が好ましい。その具体例としては、フェノール基を有する化合物として、例えばシアノフェノール、ニトロフェノール、メトキシフェノキシフェノール、チオフェノキシフェノール、4−ベンジルフェノールなどを;シラノール基を有する化合物として、例えばトリメチルシラノール、トリエチルシラノール、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジシロキサンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼン、トリフェニルシラノール、トリ(p−トリル)シラノール、ジフェニルシランジオールなどを、それぞれ挙げることができる。
硬化促進剤の使用割合は、エポキシ構造を含む構成成分の合計100重量に対して、好ましくは50重量部以下であり、より好ましくは0.1〜40重量部であり、1〜30重量部とすることが更に好ましい。
[界面活性剤]
上記界面活性剤は、液晶配向剤の基板に対する塗布性を向上させることを目的として液晶配向剤(特に、位相差フィルム用の液晶配向剤)中に含有させることができる。このような界面活性剤としては、例えばノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン界面活性剤、ポリアルキレンオキシド界面活性剤、含フッ素界面活性剤などを挙げることができる。
界面活性剤の使用割合は、液晶配向剤の全量100重量部に対して、10重量部以下とすることが好ましく、1重量部以下とすることがより好ましい。
その他、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤などの酸化防止剤;エチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート;等を液晶配向剤中に添加してもよい。
<溶剤>
本発明の液晶配向剤は、上記のポリアミック酸エステル、ポリイミド及び必要に応じて使用されるその他の成分が、好ましくは適当な溶剤中に分散又は溶解してなる液状の組成物として調製される。
使用する溶剤としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等を挙げることができる。これらは、1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明の液晶配向剤における固形分濃度(液晶配向剤の溶媒以外の成分の合計重量が液晶配向剤の全重量に占める割合)は、粘性、揮発性などを考慮して適宜に選択されるが、好ましくは1〜10重量%の範囲である。すなわち、本発明の液晶配向剤は、後述するように基板表面に塗布され、好ましくは加熱されることにより、液晶配向膜である塗膜又は液晶配向膜となる塗膜が形成される。このとき、固形分濃度が1重量%未満である場合には、塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜が得にくくなる。一方、固形分濃度が10重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜が得にくく、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布性が低下する傾向にある。
特に好ましい固形分濃度の範囲は、液晶配向膜の用途や、基板に液晶配向剤を塗布する際に用いる方法によって異なる。例えば液晶セル用の液晶配向剤について、スピンナー法により基板に塗布する場合には、固形分濃度(液晶配向剤中の溶媒以外の全成分の合計重量が液晶配向剤の全重量に占める割合)が1.5〜4.5重量%の範囲であることが特に好ましい。印刷法による場合には、固形分濃度を3〜9重量%の範囲とし、それにより溶液粘度を12〜50mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。インクジェット法による場合には、固形分濃度を1〜5重量%の範囲とし、それにより、溶液粘度を3〜15mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。本発明の液晶配向剤を調製する際の温度は、好ましくは10〜50℃であり、より好ましくは20〜30℃である。また、位相差フィルム用の液晶配向剤については、液晶配向剤の塗布性及び形成される塗膜の膜厚を適度にする観点から、液晶配向剤の固形分濃度が0.2〜10重量%の範囲であることが好ましく、3〜10重量%の範囲であることがより好ましい。
ここで、ポリアミック酸エステルは体積固有抵抗が一般に高いことが知られており、直流電圧を印加した際の残留電荷が多くなる傾向がある。DC残留電荷の緩和を図るべく、液晶配向剤の重合体成分をポリアミック酸エステルとポリアミック酸のブレンド系とすることが考えられるが、かかる場合、液晶表示素子においてシール剤周辺に表示ムラが発生しやすくなることが本発明者らの検討結果により明らかとなった。その理由は必ずしも明らかではないが、ポリアミック酸に由来する残存カルボキシル基にシール剤からの不純物イオンが吸着することがその一因であるものと推察した。そして、こうした推察に基づき、液晶配向剤の重合体成分をどのように配合するか鋭意検討し、ポリアミック酸エステルと特定範囲のイミド化率を有するポリイミドとのブレンド系において、液晶表示素子のシール剤周辺の表示ムラが抑制されることが分かったものである。
<液晶表示素子及び位相差フィルム>
上記に説明した本発明の液晶配向剤を用いることにより液晶配向膜を製造することができる。また、本発明の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜は、液晶表示素子用(液晶セル用)の液晶配向膜及び位相差フィルム用の液晶配向膜に好ましく適用することができる。以下に、本発明の液晶表示素子及び位相差フィルムについて説明する。
[液晶表示素子]
本発明の液晶表示素子は、上記液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜を具備する。本発明の液晶表示素子の動作モードは特に限定せず、例えばTN型、STN型、VA型(VA−MVA型、VA−PVA型などを含む。)、IPS型、FFS型、OCB型など種々の動作モードに適用することができる。本発明の液晶表示素子は、例えば以下の工程(1−1)〜(1−3)を含む工程により製造することができる。工程(1−1)は、所望の動作モードによって使用基板が異なる。工程(1−2)及び工程(1−3)は各動作モード共通である。
[工程(1−1):塗膜の形成]
先ず、基板上に本発明の液晶配向剤を塗布し、次いで塗布面を加熱することにより基板上に塗膜を形成する。
(1−1A)例えばTN型、STN型又はVA型の液晶表示素子を製造する場合、まず、パターニングされた透明導電膜が設けられている基板二枚を一対として、その各透明性導電膜形成面上に、本発明の液晶配向剤を、好ましくはオフセット印刷法、スピンコート法、ロールコーター法又はインクジェット印刷法によりそれぞれ塗布する。基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)などのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In−SnO)からなるITO膜などを用いることができる。パターニングされた透明導電膜を得るには、例えばパターンなし透明導電膜を形成した後、フォト・エッチングによりパターンを形成する方法;透明導電膜を形成する際に所望のパターンを有するマスクを用いる方法;などによることができる。液晶配向剤の塗布に際しては、基板表面及び透明導電膜と塗膜との接着性をさらに良好にするために、基板表面のうち塗膜を形成する面に、官能性シラン化合物、官能性チタン化合物などを予め塗布する前処理を施しておいてもよい。
液晶配向剤を塗布した後、塗布した液晶配向剤の液垂れ防止などの目的で、好ましくは予備加熱(プレベーク)が実施される。プレベーク温度は、好ましくは30〜200℃であり、より好ましくは40〜150℃であり、特に好ましくは40〜100℃である。プレベーク時間は、好ましくは0.25〜10分であり、より好ましくは0.5〜5分である。その後、溶剤を完全に除去し、必要に応じて重合体に存在するアミック酸構造を熱イミド化することを目的として焼成(ポストベーク)工程が実施される。このときの焼成温度(ポストベーク温度)は、好ましくは80〜300℃であり、より好ましくは120〜250℃である。ポストベーク時間は、好ましくは5〜200分であり、より好ましくは10〜100分である。このようにして形成される膜の膜厚は、好ましくは0.001〜1μmであり、より好ましくは0.005〜0.5μmである。
(1−1B)IPS型又はFFS型の液晶表示素子を製造する場合、櫛歯型にパターニングされた透明導電膜又は金属膜からなる電極が設けられている基板の電極形成面と、電極が設けられていない対向基板の一面とに、本発明の液晶配向剤をそれぞれ塗布し、次いで各塗布面を加熱することにより塗膜を形成する。このとき使用される基板及び透明導電膜の材質、塗布方法、塗布後の加熱条件、透明導電膜又は金属膜のパターニング方法、基板の前処理、並びに形成される塗膜の好ましい膜厚については上記(1−1A)と同様である。金属膜としては、例えばクロムなどの金属からなる膜を使用することができる。
上記(1−1A)及び(1−1B)のいずれの場合も、基板上に液晶配向剤を塗布した後、有機溶媒を除去することによって液晶配向膜又は液晶配向膜となる塗膜が形成される。このとき、塗膜形成後に更に加熱することによって、本発明の液晶配向剤に配合されるポリアミック酸エステル及びポリイミド、並びに必要に応じて配合されるポリアミック酸の脱水閉環反応を進行させ、よりイミド化された塗膜としてもよい。
[工程(1−2):配向能付与処理]
TN型、STN型、IPS型又はFFS型の液晶表示素子を製造する場合、上記工程(1−1)で形成した塗膜に液晶配向能を付与する処理として、該塗膜を例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦るラビング処理を実施する。これにより、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜となる。一方、VA型液晶表示素子を製造する場合には、上記工程(1−1)で形成した塗膜をそのまま液晶配向膜として使用することができるが、該塗膜に対しラビング処理を施してもよい。ラビング処理後の液晶配向膜に対しては、更に、液晶配向膜の一部に紫外線を照射することによって液晶配向膜の一部の領域のプレチルト角を変化させる処理や、液晶配向膜表面の一部にレジスト膜を形成した上で先のラビング処理と異なる方向にラビング処理を行った後にレジスト膜を除去する処理を行い、液晶配向膜が領域ごとに異なる液晶配向能を持つようにしてもよい。この場合、得られる液晶表示素子の視界特性を改善することが可能である。なお、VA型の液晶表示素子に好適な液晶配向膜は、PSA(Polymer sustained alignment)型の液晶表示素子にも好適に用いることができる。塗膜に液晶配向能を付与する処理としては、ラビング処理に代えて光配向法による処理を採用してもよい。
[工程(1−3):液晶セルの構築]
上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、対向配置した2枚の基板間に液晶を配置することにより液晶セルを製造する。液晶セルを製造するには、例えば以下の2つの方法が挙げられる。第一の方法は、従来から知られている方法である。先ず、それぞれの液晶配向膜が対向するように間隙(セルギャップ)を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止することにより、液晶セルを製造することができる。また、第二の方法は、ODF(One Drop Fill)方式と呼ばれる手法である。液晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に、例えば紫外光硬化性のシール剤を塗布し、さらに液晶配向膜面上の所定の数箇所に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせるとともに液晶を基板の全面に押し広げ、次いで基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化することにより、液晶セルを製造することができる。いずれの方法による場合でも、上記のようにして製造した液晶セルにつき、さらに、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで徐冷することにより、液晶充填時の流動配向を除去することが望ましい。
シール剤としては、液晶用の接着剤として通常使用されるものを用いることができ、例えば硬化剤を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。また、シール剤としては、スペーサーとしての酸化アルミニウム球を更に含有するものを用いてもよい。
液晶としては、ネマチック液晶及びスメクチック液晶を挙げることができ、その中でもネマチック液晶が好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などを用いることができる。また、これらの液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック液晶;商品名「C−15」、「CB−15」(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤;p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶などを、添加して使用してもよい。
そして、液晶セルの外側表面に偏光板を貼り合わせることにより、本発明の液晶表示素子を得ることができる。液晶セルの外表面に貼り合わされる偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながらヨウ素を吸収させた「H膜」と称される偏光フィルムを酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板又はH膜そのものからなる偏光板を挙げることができる。
[位相差フィルム]
次に、本発明の液晶配向剤を用いて位相差フィルムを製造する方法について説明する。本発明の位相差フィルムの製造に際しては、工程中にほこりや静電気が発生するのを抑えつつ均一な液晶配向膜を形成することが可能である点、放射線の照射時に適当なフォトマスクを使用することによって基板上に液晶配向方向が異なる複数の領域を任意に形成できる点において光配向法を利用することが好ましい。具体的には、以下の工程(2−1)〜(2−3)を経ることによって製造することができる。
[工程(2−1):液晶配向剤による塗膜の形成]
先ず、本発明の液晶配向剤を基板上に塗布して塗膜を形成する。ここで使用される基板としては、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートなどの合成樹脂からなる透明基板を好適に例示することができる。これらのうち、TACは、液晶表示素子における偏光フィルムの保護層として一般的に使用されている。また、ポリメチルメタクリレートは、溶媒の吸湿性が低い点、光学特性が良好である点及び低コストである点において位相差フィルム用の基板として好ましく使用することができる。なお、液晶配向剤の塗布に使用する基板に対しては、基板表面と塗膜との密着性を更に良好にするために、基板表面のうち塗膜を形成する面に従来公知の前処理が実施されていてもよい。
位相差フィルムは、多くの場合、偏光フィルムと組み合わせて使用される。このとき、所期する光学特性を発揮できるように、偏光フィルムの偏光軸に対する角度を特定の方向に精密に制御して位相差フィルムを貼り合わせる必要がある。従って、ここで、所定角度の方向に液晶配向能を有する液晶配向膜を、TACフィルムやポリメチルメタクリレートなどの基板上に形成することにより、位相差フィルムを偏光フィルム上にその角度を制御しつつ貼り合わせる工程を省略することができる。またこれにより、液晶表示素子の生産性の向上に寄与することができる。所定角度の方向に液晶配向能を有する液晶配向膜を形成するには、本発明の液晶配向剤を用いて光配向法によって行うことが好ましい。
基板上への液晶配向剤の塗布は、適宜の塗布方法によることができ、例えばロールコーター法、スピンナー法、印刷法、インクジェット法、バーコーター法、エクストリューションダイ法、ダイレクトグラビアコーター法、チャンバードクターコーター法、オフセットグラビアコーター法、一本ロールキスコーター法、小径のグラビアロールを使ったリバースキスコーター法、3本リバースロールコーター法、4本リバースロールコーター法、スロットダイ法、エアードクターコーター法、正回転ロールコーター法、ブレードコーター法、ナイフコーター法、含浸コーター法、MBコーター法、MBリバースコーター法などを採用することができる。
塗布後、塗布面を加熱(ベーク)して塗膜を形成する。この時の加熱温度は、40〜150℃とすることが好ましく、80〜140℃とすることがより好ましい。加熱時間は、0.1〜15分とすることが好ましく、1〜10分とすることがより好ましい。基板上に形成される塗膜の膜厚は、好ましくは1〜1,000nmであり、より好ましくは5nm〜500nmである。
[工程(2−2):光照射工程]
次いで、上記のようにして基板上に形成された塗膜に対し光を照射することにより、塗膜に液晶配向能を付与して液晶配向膜とする。ここで、照射する光としては、例えば150〜800nmの波長の光を含む紫外線、可視光線などを挙げることができる。これらのうち、300〜400nmの波長の光を含む紫外線が好ましい。照射光は偏光であっても非偏光であってもよい。偏光としては、直線偏光を含む光を使用することが好ましい。
光の照射は、用いる光が偏光である場合には、基板面に垂直の方向から行っても斜め方向から行ってもよく、あるいはこれらを組み合わせて行ってもよい。非偏光を照射する場合には、基板面に対して斜めの方向から行う必要がある。
使用する光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、水銀−キセノンランプ(Hg−Xeランプ)などを挙げることができる。偏光は、これらの光源を例えばフィルター、回折格子などと併用する手段などにより得ることができる。
光の照射量は、0.1mJ/cm以上1,000mJ/cm未満とすることが好ましく、1〜500mJ/cmとすることがより好ましく、2〜200mJ/cmとすることがさらに好ましい。
[工程(2−3):液晶層の形成]
次いで、上記のようにして光照射した後の塗膜上に、重合性液晶を塗布して硬化させる。これにより、重合性液晶を含む塗膜(液晶層)を形成する。ここで使用される重合性液晶は、加熱及び光照射のうちの少なくとも1種の処理によって重合する液晶化合物又は液晶組成物である。このような重合性液晶としては、従来公知のものを使用することができ、具体的には、例えば非特許文献1(「UVキュアラブル液晶とその応用」、液晶、第3巻第1号(1999年)、pp34〜42)に記載されているネマチック液晶を挙げることができる。また、コレステリック液晶;ディスコティック液晶;カイラル剤を添加されたツイストネマティック配向型液晶などであってもよい。重合性液晶は、複数の液晶化合物の混合物であってもよい。重合性液晶は、さらに、公知の重合開始剤、適当な溶媒などを含有する組成物であってもよい。
形成された液晶配向膜上に上記のような重合性液晶を塗布するには、例えばバーコーター法、ロールコーター法、スピンナー法、印刷法、インクジェット法などの適宜の塗布方法を採用することができる。
次いで、上記のように形成された重合性液晶の塗膜に対して、加熱及び光照射から選択される1種以上の処理を施すことにより、該塗膜を硬化して液晶層を形成する。これらの処理を重畳的に行うことが、良好な配向が得られることから好ましい。
塗膜の加熱温度は、使用する重合性液晶の種類によって適宜に選択される。例えばメルク社製のRMS03−013Cを使用する場合、40〜80℃の範囲の温度で加熱することが好ましい。加熱時間は、好ましくは0.5〜5分である。
照射光としては、200〜500nmの範囲の波長を有する非偏光の紫外線を好ましく使用することができる。光の照射量としては、50〜10,000mJ/cmとすることが好ましく、100〜5,000mJ/cmとすることがより好ましい。
形成される液晶層の厚さとしては、所望の光学特性によって適宜に設定される。例えば波長540nmの可視光における1/2波長板を製造する場合は、形成した位相差フィルムの位相差が240〜300nmとなるような厚さが選択され、1/4波長板であれば、位相差が120〜150nmとなるような厚さが選択される。目的の位相差が得られる液晶層の厚さは、使用する重合性液晶の光学特性によって異なる。例えばメルク製のRMS03−013Cを使用する場合、1/4波長板を製造するための厚さは、0.6〜1.5μmの範囲である。
上記のようにして得られた位相差フィルムは、液晶表示素子の位相差フィルムとして好ましく適用することができる。本発明の液晶配向剤を用いて製造された位相差フィルムが適用される液晶表示素子は、その動作モードに制限はなく、例えばTN型、STN型、IPS型、FFS型、VA型などの公知の各種モードに適用することができる。上記位相差フィルムは、液晶表示素子の視認側に配置された偏光板の外側面に対し、位相差フィルムにおける基板側の面が貼付されて用いられる。従って、位相差フィルムの基板をTAC製又はアクリル基材とし、該位相差フィルムの基板を偏光フィルムの保護膜としても機能させる態様とすることが好ましい。
ここで、位相差フィルムを工業的規模で生産する方法としてロール・トゥー・ロール方式がある。この方法は、長尺状の基材フィルムの巻回体からフィルムを巻き出し、その巻き出したフィルム上に液晶配向膜を形成する処理、液晶配向膜上に重合性液晶を塗布して硬化する処理、及び必要に応じて保護フィルムを積層する処理までを連続した工程で行い、それら工程を経た後のフィルムを巻回体として回収する方法である。本発明の液晶配向剤を用いて形成した位相差フィルムは基板に対する密着性が良好であり、これを巻回体として保管等した場合にも液晶配向膜と基板とが剥離しにくい。よって、ロール・トゥー・ロール方式によって位相差フィルムを製造する際における製品歩留まりの低下を抑制することができる。
本発明の液晶表示素子は、種々の装置に有効に適用することができ、例えば、時計、携帯型ゲーム、ワープロ、ノート型パソコン、カーナビゲーションシステム、カムコーダー、PDA、デジタルカメラ、携帯電話、スマートフォン、各種モニター、液晶テレビ、インフォメーションディスプレイなどの各種表示装置に用いることができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
合成例における重合体の重量平均分子量、ポリイミドのイミド化率及び各重合体溶液の溶液粘度は以下の方法により測定した。
[重合体の重量平均分子量]
重合体の重量平均分子量Mwは、以下の条件におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算値である。
カラム:東ソー(株)製、TSKgelGRCXLII
溶剤:テトラヒドロフラン、又は、リチウムブロミド及びリン酸含有のN,N−ジメチルホルムアミド溶液
温度:40℃
圧力:68kgf/cm
[ポリイミドのイミド化率]
ポリイミドを含有する溶液を純水に投入し、得られた沈殿を室温で十分に減圧乾燥した後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、テトラメチルシランを基準物質として室温でH−NMRを測定した。得られたH−NMRスペクトルから、下記数式(1)を用いてイミド化率[%]を求めた。
イミド化率[%]=(1−A/A×α)×100 …(1)
(数式(1)中、Aは化学シフト10ppm付近に現れるNH基のプロトン由来のピーク面積であり、Aはその他のプロトン由来のピーク面積であり、αは重合体の前駆体(ポリアミック酸)におけるNH基のプロトン1個に対するその他のプロトンの個数割合である。)
[重合体溶液の溶液粘度]
重合体溶液の溶液粘度[mPa・s]は、所定の溶媒を用い、重合体濃度15重量%に調製した溶液についてE型回転粘度計を用いて25℃で測定した。
<ポリアミック酸エステルの合成>
[合成例1−1;重合体(A−1)の合成]
ジアミン化合物としてパラフェニレンジアミンを6.92g(合成に使用したジアミン化合物の全体量100モル部に対して80モル部)及び4,4’−ジアミノジフェニルメタン3.17g(同20モル部)、塩基としてピリジン15ml、並びに溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)505mlを加え溶解させた。この溶液を水冷撹拌しながら、ジメチル−1,3−ビス(クロロカルボニル)シクロブタン−2,4−カルボキシレート2.975g(同97モル部)を添加し、さらに固形分濃度が5重量%となるようにNMPを加え、水冷しながら4時間撹拌した。この溶液を250gの水に注いで重合体を析出させ、吸引濾過により重合体をろ取し、再度水250gで洗浄したのちメタノール63gにて3回洗浄し、40℃で減圧乾燥することで、重合体(A−1)のポリアミック酸エステル粉末28gを得た。このポリアミック酸エステルの重量平均分子量は、Mw=27,000であった。得られた重合体(A−1)をNMPにて15重量%となるように調製した。
[合成例1−2;重合体(A−2)の合成]
ジアミン化合物として4,4’−ジアミノジフェニルメタン2.00g(10.0878モル)、N−メチル−2−ピロリドン40.94g、塩基としてピリジン1.9246g(24.3317モル)加え、撹拌して溶解させた。次に、このジアミン溶液を撹拌しながらジメチル−1,3−ビス(クロロカルボニル)シクロブタン−2,4−カルボキシレートを3.0831g(9.4825モル)添加し、水冷下4時間反応させた。その後、イソオキサゾール−5−カルボン酸クロリドを0.1725g(1.3114モル)加えて、水冷下で30分反応させた。その後、反応溶液にN−メチル−2−ピロリドンを45.06g加え、室温(20℃)で15分撹拌した。得られたポリアミック酸エステル溶液を495gのエタノールに撹拌しながら投入し、析出した白色沈殿をろ取した。続いて、226gのエタノールで1回、451gの水で2回、451gのエタノールで1回、113gのエタノールで3回洗浄し、乾燥することで重合体(A−2)のポリアミック酸エステル粉末4gを得た。また、このポリアミック酸エステルの重量平均分子量は、Mw=18,000であった。得られた重合体(A−2)をNMPにて15重量%となるように調製した。
<ポリイミドの合成>
[合成例2−1;重合体(BIm−1)の合成]
テトラカルボン酸二無水物として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物24.764g(合成に使用したジアミン化合物の全体量100モル部に対して98モル部)、並びにジアミン化合物としてパラフェニレンジアミン2.786g(同20モル部)、4,4’−ジアミノジフェニルアミン10.219g(同40モル部)及び下記式(DA−8)で表される化合物12.231g(同40モル部)をNMP200gに溶解し、室温で6時間反応を行った。次いで、NMP250gを追加し、ピリジン2.00g(酸二無水物の合計100モル部に対して20モル部)及び無水酢酸2.58g(同20モル部)を添加し、70℃で6時間脱水閉環反応を行った。次いで、反応混合物を大過剰のメタノール中に注ぎ、反応生成物を沈澱させた。回収した沈殿物をメタノールで洗浄した後、減圧下40℃において15時間乾燥することにより、イミド化率約10%のポリイミド(以下、「重合体(BIm−1)」という。)を得た。得られた重合体(BIm−1)をNMPにて15重量%となるように調製した。この溶液の粘度を測定したところ502mPa・sであった。
Figure 2015135393
[合成例2−2〜合成例2−10]
上記合成例2−1において、反応に使用するテトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物の種類及び量、並びにピリジン及び無水酢酸の量を下記表1の通り変更した以外は合成例2−1と同様にしてポリイミドを合成し、重合体(BIm−2)〜重合体(BIm−10)を得た。なお、表1中の数値は、テトラカルボン酸二無水物については、反応に使用したテトラカルボン酸二無水物の全体量に対する使用割合(モル%)を示し、ジアミン化合物については、反応に使用したジアミン化合物の全体量に対する使用割合(モル%)を示す。ピリジン及び無水酢酸については、テトラカルボン酸二無水物の合計100モル部に対するモル部を示す。合成例2−1〜合成例2−10で得た重合体溶液のそれぞれにつき、20℃で3日間静置したところ、いずれもゲル化することはなく、保存安定性は良好であった。
Figure 2015135393
表1中、化合物の略称はそれぞれ以下の意味である。
(テトラカルボン酸二無水物)
AN−1;1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
AN−2;ピロメリット酸二無水物
AN−3;2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物
AN−4;エチレンジアミン四酢酸二無水物
AN−5;5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−8−メチル−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン
AN−6;ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸2:4,6:8−二無水物
(ジアミン)
DA−1;パラフェニレンジアミン
DA−2;4,4’−ジアミノジフェニルメタン
DA−3;4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート
DA−4;4,4’−[4,4’−プロパン−1,3−ジイルビス(ピペリジン−1,4−ジイル)]ジアニリン
DA−5;2,4−ジアミノ−N,N−ジアリルアニリン
DA−6;4,4’−ジアミノジフェニルアミン
DA−7;3,5−ジアミノ安息香酸
DA−8;上記式(DA−8)で表される化合物
DA−9;1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン
DA−10;4−(テトラデカオキシ)ベンゼン−1,3−ジアミン
DA−11;3,5−ジアミノ安息香酸コレスタニル
<ポリアミック酸の合成>
[合成例3−1;重合体(BAm−1)の合成]
撹拌装置付き及び窒素同導入管付きの100mL四つ口フラスコに、3,5−ジアミノ安息香酸2.4301g(15.97mmol)、4,4’−[4,4’−プロパン−1,3−ジイルビス(ピペリジン−1,4−ジイル)]ジアニリン9.4204g(24.0mmol)を取り、NMPを44.60g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物4.7505g(23.98mmol)を添加し、室温で2時間撹拌した。次に、NMPを44.59g加え、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物を3.1054g(15.84mmol)加えた。さらに固形分濃度が15重量%になるようにNMPを加え、室温で24時間撹拌した。得られたポリアミック酸の粘度は802mPa・sであった。さらにこの溶液に3−グリシジルプロピルメチルジエトキシシラン0.0590g加え、室温で24時間撹拌し、重合体(BAm−1)を含むポリアミック酸溶液を得た。
[実施例1−1:FFS型液晶表示素子]
(1)液晶配向剤の調製
重合体として、合成例1−1で得た重合体(A−1)80重量部及び合成例2−1で得た重合体(BIm−1)20重量部を、γ−ブチロラクトン(GBL)、NMP及びブチルセロソルブ(BC)からなる混合溶媒(GBL:NMP:BC=40:40:20(重量比))に溶解し、固形分濃度が3.5重量%の溶液とした。この溶液を孔径0.2μmのフィルターで濾過することにより液晶配向剤を調製した。
(2)塗布膜の表面凹凸性の評価
上記で調製した液晶配向剤を、ガラス基板上にスピンナーを用いて塗布し、80℃のホットプレートで1分間プレベークを行った後、庫内を窒素置換した200℃のオーブンで1時間加熱(ポストベーク)することにより、平均膜厚1,000Åの塗膜を形成した。この塗膜を原子間力顕微鏡(AFM)にて観察し、中心平均粗さ(Ra)を測定した。評価は、1.0nm未満の場合を表面凹凸性「良好」、1.0nm以上5.0nm未満であった場合を「可」、5.0nm以上の場合を「不良」として行った。本実施例では、Raが0.4nmであり、表面凹凸性は「良好」であった。
(3)ラビング耐性の評価
上記で得た塗膜に対し、コットン布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンにより、ロール回転数1000rpm、ステージ移動速度20cm/秒、毛足押し込み長さ0.4mmでラビング処理を7回実施した。得られた基板上のラビング削れによる異物(塗膜の欠片)を光学顕微鏡にて観察し、500μm×500μmの領域内の異物数を計測した。評価は、異物の数が3個以下の場合をラビング耐性「良好」、4個以上7個以下の場有を「可」、8個以上の場合をラビング耐性「不良」として行った。その結果、この塗膜のラビング耐性は「良好」であった。
(4)FFS型液晶表示素子の製造
図1に示すFFS型液晶表示素子10を作製した。先ず、パターンを有さないボトム電極15、絶縁層14としての窒化ケイ素膜、及び櫛歯状にパターニングされたトップ電極13がこの順で形成された2系統の電極対を片面に有するガラス基板11aと、電極が設けられていない対向ガラス基板11bとを一対とし、ガラス基板11aの透明電極を有する面と対向ガラス基板11bの一面とに、それぞれ上記(1)で調製した液晶配向剤を、スピンナーを用いて塗布して塗膜を形成した。次いで、この塗膜を80℃のホットプレートで1分間プレベークを行った後、庫内を窒素置換したオーブン中で230℃にて15分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚1,000Åの塗膜を形成した。トップ電極13の平面模式図を図2に示す。なお、図2(a)は、トップ電極13の上面図であり、図2(b)は、図2(a)の破線で囲った部分C1の拡大図である。本実施例では、電極の線幅d1を4μm、電極間の距離d2を6μmとした。
次いで、ガラス基板上に形成した塗膜の各表面にコットンにてラビング処理を実施し、液晶配向膜12とした。図2(b)に、ガラス基板11a上に形成した塗膜に対するラビング方向を矢印で示す。次に、一対の基板のうちの一方の基板における液晶配向膜を有する面の外縁に、シール剤として商品名「XN−21−S」(三井化学社製)を塗布した後、これらの基板を、互いの基板11a,11bのラビング方向が逆並行となるように直径3.5μmのスペーサーを介して貼り合わせ、シール剤を硬化させた。次いで、液晶注入口より一対の基板間に液晶MLC−6221(メルク社製)を注入し、液晶層16を形成した。さらに、基板11a,11bの外側両面に、偏光板(図示略)を2枚の偏光板の偏光方向が互いに直交するように貼り合わせることにより液晶表示素子10を作製した。
(5)液晶配向性の評価
上記(4)で製造したFFS型液晶表示素子につき、5Vの電圧をON・OFF(印加・解除)したときの明暗の変化における異常ドメインの有無を顕微鏡によって倍率50倍で観察した。評価は、異常ドメインが観察されなかった場合を液晶配向性「良好」とし、異常ドメインが観察された場合を液晶配向性「不良」として行った。この液晶表示素子では液晶配向性「良好」であった。
(6)電圧保持率の評価
上記(4)で製造したFFS型液晶表示素子につき、23℃において5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率(VHR)を測定したところ98.9%であった。なお、測定装置としては、(株)東陽テクニカ製、VHR−1を使用した。
(7)耐熱性の評価
上記(4)で製造したFFS型液晶表示素子につき、上記(6)と同様に電圧保持率を測定し、その値を初期VHR(VHRBF)とした。次いで、初期VHR測定後の液晶表示素子につき、100℃のオーブン中に300時間静置した。その後、この液晶表示素子を室温下に静置して室温まで放冷した後、上記同様にして電圧保持率(VHRAF)を測定した。また、下記数式(2)により、熱ストレスの付与前後の電圧保持率の変化率(△VHR(%))を求めた。
△VHR=((VHRBF−VHRAF)÷VHRBF)×100…(2)
耐熱性の評価は、変化率ΔVHRが4%未満であった場合を耐熱性「良好」、4%以上5%未満であった場合を「可」、5%以上であった場合を耐熱性「不良」として行った。その結果、本実施例の液晶表示素子のΔVHRは2.9%であり、耐熱性は「良好」であった。
(8)駆動ストレス後のコントラスト評価(AC残像特性の評価)
基板の外側両面に偏光板を貼り合わせなかった点以外は上記(4)と同様の操作を行い、FFS型液晶セルを作製した。このFFS型液晶セルにつき、交流電圧10Vで30時間駆動した後に、光源と光量検出器の間に偏光子と検光子を配置した装置を使用して、下記数式(3)で表される最小相対透過率(%)を測定した。
最小相対透過率(%)=(β−B)/(B100−B)×100 …(3)
(数式(3)中、Bは、ブランクでクロスニコル下の光の透過量である。B100は、ブランクでパラニコル下の光の透過量である。βは、クロスニコル下で偏光子と検光子の間に液晶表示素子を挟み最小となる光透過量である。)
暗状態の黒レベルは液晶表示素子の最小相対透過率で表され、FFS型液晶表示素子では暗状態での黒レベルが小さいほどコントラストが優れる。最小相対透過率が0.5%未満のものを「良好」とし、0.5%以上1.0%未満のものを「可」とし、1.0%以上のものを「不良」とした。その結果、この液晶表示素子の最小相対透過率は0.2%であり、「良好」と判断された。
(9)シール剤周辺のムラ耐性(ベゼルムラ耐性)
上記(4)で製造したFFS型液晶表示素子につき、25℃、50%RHの条件下に100日保管し、その後、交流電圧5Vで駆動し点灯状態を観察した。評価は、シール剤周辺にて輝度差(モアブラック又はモアホワイト)が視認されなければ「優良」、視認されるが、点灯後1分未満に輝度差が消失すれば「良好」、1分以上10分未満に輝度差が消失すれば「可」、10分経過しても輝度差が視認される場合を「不良」とした。その結果、この液晶表示素子の輝度差が視認されず、「優良」と判断された。
[実施例1−2〜実施例1−8及び比較例1−1〜比較例1−5]
上記実施例1−1において、重合体として下記表2に示す種類のものをそれぞれ使用したほかは実施例1−1と同様にして液晶配向剤を調製するとともに、FFS型液晶表示素子及び液晶セルを製造して各種評価を行った。評価結果は下記表3に示した。
Figure 2015135393
Figure 2015135393
表3に示すように、実施例1−1〜1−8では、塗膜の表面凹凸性及びラビング耐性についていずれも良好な結果が得られた。また、液晶表示素子のベゼルムラ耐性の評価は「優良」又は「良好」であった。さらに、実施例1−1〜1−8では、液晶表示素子における液晶分子の配向性、電圧保持率、耐熱性及びAC残像特性についても「良好」又は「可」の結果であり、各種性能をバランス良く有することが分かった。
これに対し、比較例1−1〜比較例1−5では、ベゼルムラ耐性が「可」又は「不良」であり、実施例よりも劣っていた。また、比較例1−1〜比較例1−4では塗膜の表面凹凸性が「可」又は「不良」であり、比較例1−3では塗膜のラビング耐性が「可」であり、比較例1−2では耐熱性が「不良」であった。
[実施例2−1:TN型液晶表示素子]
(1)液晶配向剤の調製
重合体として、合成例1−1で得た重合体(A−1)85重量部及び合成例2−9で得た重合体(BIm−9)15重量部を、NMP及びBCの混合溶媒(NMP:BC=50:50(重量比))に溶解し、固形分濃度6.5重量%の溶液とした。この溶液を十分に撹拌した後、孔径0.2μmのフィルターで濾過することにより、液晶配向剤を調製した。
(2)印刷性の評価
上記(1)で調製した液晶配向剤を、液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製)を用いてITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面に塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、200℃のホットプレート上で10分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚600Åの塗膜を形成した。この塗膜を倍率20倍の顕微鏡で観察して印刷ムラ及びピンホールの有無を調べた。評価は、印刷ムラ及びピンホールの双方とも観察されなかった場合を印刷性「良好」、印刷ムラ及びピンホールの少なくともいずれかが僅かに観察された場合を印刷性「可」、印刷ムラ及びピンホールの少なくともいずれかが多く見られた場合を印刷性「不良」として行った。本実施例では、印刷ムラ及びピンホールの双方とも観察されず、印刷性は「良好」であった。
(3)TN型液晶セルの製造
上記(1)で調製した液晶配向剤を、液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製)を用いてITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面に塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、200℃のホットプレート上で10分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚600Åの塗膜を形成した。この塗膜に対し、レーヨン布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンにより、ロール回転数500rpm、ステージ移動速度3cm/秒、毛足押し込み長さ0.4mmでラビング処理を行い、液晶配向能を付与した。その後、超純水中で1分間超音波洗浄を行い、次いで100℃クリーンオーブン中で10分間乾燥することにより、液晶配向膜を有する基板を得た。また、上記の操作を繰り返し、液晶配向膜を有する基板を一対(2枚)得た。
次に、上記一対の基板のうちの一方の基板につき、液晶配向膜を有する面の外縁に直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、一対の基板を液晶配向膜面が相対するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化した。次いで、液晶注入口より一対の基板間にネマチック液晶(メルク社製、MLC−6221)を充填した後、アクリル系光硬化型接着剤で液晶注入口を封止することにより、TN型液晶セルを製造した。
(4)液晶配向性の評価
上記(3)で製造した液晶セルにつき、クロスニコル下で5Vの電圧をオン・オフしたときの異常ドメインの有無を顕微鏡によって倍率50倍で観察した。評価は上記実施例1−1の(5)と同様にして行った。その結果、この液晶表示素子では液晶配向性「良好」であった。
(5)プレチルト角安定性の評価
上記(3)で製造した液晶セルにつき、He−Neレーザー光を用いる結晶回転法によって液晶分子の基板面からの傾きの角度を測定し、この値を初期プレチルト角θINとした。結晶回転法は、非特許文献1(T.J.Scheffer et.al.,J.Appl.Phys.vol.48,p1783(1977))及び非特許文献2(F.Nakano et.al.,JPN.J.Appl.Phys.vol.19,p2013(1980))に記載の方法に準拠して行った。
次いで、初期プレチルト角θINを測定した後の液晶表示素子に、5Vの交流電圧を100時間印加した。その後、上記と同様の方法により再度プレチルト角を測定し、この値を電圧印加後のプレチルト角θAFとした。これらの測定値を下記数式(4)に代入して、電圧印加の前後におけるプレチルト角の変化量(△θ(°))を求めた。
Δθ=|θAF−θIN| …(4)
Δθが、3%未満であった場合をプレチルト角安定性「良好」、3%以上4%未満であった場合をプレチルト角安定性「可」、4%以上であった場合をプレチルト角安定性「不良」と評価したところ、この液晶表示素子のプレチルト角変化率は2.7%であり、プレチルト角安定性「良好」と判断された。
(6)電圧保持率及び耐熱性の評価
上記実施例1−1の(6)と同様にして電圧保持率(VHRBF)を測定するとともに、上記実施例1−1の(7)と同様にして、熱ストレス付与前後の電圧保持率の変化率により液晶表示素子の耐熱性を評価した。その結果、VHRBFは99.1%であった。また、ΔVHRは2.2%であり、耐熱性「良好」と判断された。
(7)シール剤周辺のムラ耐性(ベゼルムラ耐性)
上記実施例1−1の(9)と同様にしてベゼルムラ耐性を評価した。その結果、この液晶表示素子の輝度差が視認されず、「優良」と判断された。
[実施例3−1:VA型液晶表示素子]
(1)液晶配向剤の調製
重合体として、合成例1−1で得た重合体(A−1)20重量部及び合成例2−10で得た重合体(BIm−10)80重量部にNMP及びBCを加えて、固形分濃度6.5重量%、溶媒の混合比がNMP:BC=50:50(重量比)の溶液とした。この溶液を十分に撹拌した後、孔径0.2μmのフィルターで濾過することにより液晶配向剤を調製した。
(2)印刷性の評価
上記(1)で調製した液晶配向剤を用いて、上記実施例2−1の(2)と同様にして印刷性を調べたところ、印刷ムラ及びピンホールの双方とも観察されず、印刷性は「良好」であった。
(3)VA型液晶セルの製造
上記で調製した液晶配向剤を、ITO膜からなる透明電極付きガラス基板(厚さ1mm)の透明電極面上に、液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製)を用いて塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)し、さらに200℃のホットプレート上で60分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚800Åの塗膜(液晶配向膜)を形成した。この操作を繰り返し、透明導電膜上に液晶配向膜を有するガラス基板を一対(2枚)得た。次に、上記一対の基板のうちの一方の基板につき、液晶配向膜を有する面の外縁に直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、一対の基板を液晶配向膜面が相対するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化させた。次いで、液晶注入口より一対の基板間にネマチック液晶(メルク社製、MLC−6608)を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止することによりVA型液晶セルを製造した。
(4)液晶配向性、電圧保持率及び耐熱性の評価
上記(3)で製造した液晶セルにつき、実施例1−1の(5)と同様に液晶配向性の評価を行ったところ、この液晶表示素子の液晶配向性は「良好」であった。また、実施例1−1の(6)と同様にして電圧保持率(VHRBF)を測定するとともに、上記実施例1−1の(7)と同様にして耐熱性(熱ストレス付与前後の電圧保持率の変化率)の評価を行った。その結果、VHRBFは99.1%であった。また、ΔVHRは2.3%であり、耐熱性「良好」と判断された。
(5)シール剤周辺のムラ耐性(ベゼルムラ耐性)
上記実施例1−1の(9)と同様にしてベゼルムラ耐性を評価した。その結果、この液晶表示素子の輝度差が視認されず、「優良」と判断された。
[実施例4−1:位相差フィルム]
(1)液晶配向剤の調製
重合体として、合成例1−1で得た重合体(A−1)100重量部、及び合成例2−1で得た重合体(BIm−1)10重量部を、NMP及びBCからなる混合溶媒(NMP:BC=50:50(重量比))に溶解し、固形分濃度が3.5重量%の溶液とした。この溶液を孔径0.2μmのフィルターで濾過することにより液晶配向剤を調製した。
(2)位相差フィルムの製造
基板としてのTACフィルムの一面に、上記で調製した液晶配向剤を、バーコーターを用いて塗布し、オーブン内にて120℃で2分間ベークして膜厚100nmの塗膜を形成した。次いで、この塗膜表面にHg−Xeランプ及びグランテーラープリズムを用いて313nmの輝線を含む偏光紫外線10mJ/cmを基板法線から垂直に照射した。次いで、重合性液晶(RMS03−013C、メルク社製)を孔径0.2μmのフィルターでろ過した後、この重合性液晶を、光照射後の塗膜上にバーコーターにより塗布して重合性液晶の塗膜を形成した。温度50℃に調整したオーブン内で1分間ベークした後、Hg−Xeランプを用いて365nmの輝線を含む非偏光の紫外線1,000mJ/cmを塗膜面に対して垂直の方向から照射し、重合性液晶を硬化して液晶層を形成することにより、位相差フィルムを製造した。
(3)液晶配向性の評価
上記(2)で製造した位相差フィルムにつき、クロスニコル下での目視及び偏光顕微鏡(倍率2.5倍)によって異常ドメインの有無を観察することにより液晶配向性(光配向性)を評価した。評価は、目視にて配向性が良好かつ偏光顕微鏡にて異常ドメインが観察されなかった場合を液晶配向性「良好」、目視では異常ドメインが観察されなかったが偏光顕微鏡にて異常ドメインが観察された場合を液晶配向性「可」、目視及び偏光顕微鏡にて異常ドメインが観察された場合を液晶配向性「不良」として行った。その結果、この位相差フィルムは液晶配向性「良好」と評価された。
(4)密着性
上記(2)で製造した位相差フィルムを用いて、液晶配向剤により形成した塗膜の基板との密着性について評価した。先ず、ガイドの付いた等間隔スペーサーを用い、カッターナイフにより位相差フィルムの液晶層側の面から切り込みを入れ、10個×10個の格子パターンを形成した。各切込みの深さは、液晶層表面から基板厚さの中ほどまで達するようにした。次いで、上記格子パターンの全面を覆うようにセロハンテープを密着させた後、該セロハンテープを引き剥がした。引き剥がし後の格子パターンの切込み部をクロスニコル下における目視によって観察して密着性を評価した。評価は、切込み線に沿った部分及び格子パターンの交差部分に剥離が確認されなかった場合を密着性「良好」、上記部分に剥離が観察された格子目の個数が、格子パターン全体の個数に対して15%未満の場合を密着性「可」、上記部分に剥離が観察された格子目の個数が、格子パターン全体の個数に対して15%以上であった場合を密着性「不良」として行った。その結果、この位相差フィルムは密着性「良好」であった。
10…液晶表示素子、11a,11b…ガラス基板、12…液晶配向膜、13…トップ電極、14…絶縁層、15…ボトム電極、16…液晶層、f…ラビング方向。

Claims (7)

  1. 下記式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸エステルと、ポリイミドとを含有し、該ポリイミドのイミド化率が75%以下であることを特徴とする液晶配向剤。
    Figure 2015135393
    (式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基であり、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は置換若しくは無置換の炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基である。Xは4価の有機基であり、Yは2価の有機基である。)
  2. ポリアミック酸エステルとポリイミドとの含有割合が、ポリアミック酸エステル/ポリイミドの重量比で3/97〜97/3である、請求項1に記載の液晶配向剤。
  3. 前記Xは、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸2:3,5:6−二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−8−メチル−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸2:4,6:8−二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、及びピロメリット酸二無水物よりなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物に由来する構造単位である、請求項1又は2に記載の液晶配向剤。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜。
  5. 請求項4に記載の液晶配向膜を具備する液晶表示素子。
  6. 請求項4に記載の液晶配向膜を具備する位相差フィルム。
  7. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶配向剤を基板上に塗布して塗膜を形成する工程と、
    前記塗膜に光照射する工程と、
    前記光照射した後の塗膜上に重合性液晶を塗布して硬化させる工程と、を含む位相差フィルムの製造方法。
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